私は、ウサギではないので…

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:35:30

     いつものようにパソコンと睨めっこしていたある日の事だった。
     いつまでも終わる気配がしない書類とデータの山に辟易していた私のもとに、1件のモモトークが届く。
     差出人は、ミヤコだった。
     そういえば、今日はミヤコが当番の日だったか。と、そんなことを思い出しながら私はコーヒーを片手にモモトークを開く。

     相変わらず、真面目な文体だ。

     廃校になってしまったとはいえ、SRTという軍事学校で小隊長を務めるだけあって、私よりも立派な大人になりそうだと思う。
     メッセージの内容は、至って簡潔に今からこちらに向かうと書かれているだけだ。特筆することは書かれていない。
     トラブルに巻き込まれないように気を付けて来てねと返事を送り、私はミヤコが到着するまでに、少しでも多く仕事を減らしておこうと気を取り直す。
     飲みかけのコーヒーを机に置き、背筋を伸ばして気持ちを切り替える。

     さて、やるぞと意気込んだその時。

     シャーレの大きな窓に、一滴の水がぽつりと、その存在を主張した。

    「……雨か」

     そういえば、今日は天気予報で午後から雨が降ると言っていたっけ。
     呑気にそんなことを考えていると、外では次第に雨雲は広がり、雨足は強まっていく。
     気圧の変化と暗雲のせいで、気分はやや下がり気味だ。

    「……ミヤコ、大丈夫かな」

     ふと、彼女のことを思い出す。しっかり者の彼女に限って、傘を忘れるようなことはないだろう。

     私はそう楽観視して、仕事に戻るのだった。

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:36:46

    「……先生、すみません。シャワーをお借りしてもよろしいでしょうか」

     シャーレに到着したミヤコは、率直に言ってずぶ濡れだった。
     話を聞くに、どうやらここへ来る途中スケバンの抗争があったようで、それに巻き込まれたのだという。

     確かに、言われてみれば所々に泥が跳ねて汚れているし、服に銃弾が当たった跡もある。

    「風邪をひいたらいけないから、早く入ってきな」
    「……ありがとうございます」

     スケバンとの抗争に巻き込まれたのがそれ程嫌だったのか、不機嫌さを隠しきれていないミヤコはシャワーを浴びに向かった。

     そんな様子を見て、私は呑気にいつもと変わらないなと思うのであった。

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:46:20

    しまった、出オチスレじゃなかった!

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:47:04

    「シャワー、ありがとうございました」

     シャワーを浴びて出てきたミヤコの姿に、私は驚きを隠せなかった。

    「ミ、ミヤコ……?その服は一体……」
    「これですか?脱衣所にあったので、お借りしています。生憎、着替えを持ってきていませんでしたので」

     そう言うミヤコに、私はしまったと思った。

     いつもシャワーを借りに来るミヤコ達は、当然ながら着替えを持ってきている。しかし、今回ばかりはシャワーを浴びに来るという目的では無い。

     だから、彼女が着替えを持ってきていないことに気づかなければならなかった。

     先生として、気を遣わなければいけなかったことに反省しつつも、今目の前で起こっている状況について、私は困惑を隠せなかった。

     今、ミヤコが来ている服は、私の予備だ。

     一見、なんの変哲もない白シャツとジーパンでしかない。しかし、シャワー上がりで火照っているミヤコが着ることで、何かイケナイ感じがこれでもかと言うくらいに溢れ出ている。

     オーバーサイズの白いシャツに、だぼっとしたジーパン姿が妙な色気を醸し出す。

     だが、相手は生徒だ。先生である私が、そんな劣情を抱くことは許されない。

     私は理性を働かせ、席を立つ。

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:52:14

    「ミヤコは、コーヒー飲む?ココアもあるけど、どっちがいい?」

     たとえシャワーを浴びたといえど、体が完全に温まっているとは限らない。何か温かいものを飲んで体の内側から温まった方がいいだろうと思い、私はミヤコに提案する。

     だが、しばらく経っても返答は来なかった。

     一体どうしたのだろうと、私はミヤコの方へと振り返る。

    「ミヤコ、どうし――」

     ポン。

     と、軽い音が私の胸で鳴った。

    「ミ、ミヤコ!?」

     私が振り返ったその瞬間。ミヤコは私の胸に顔を埋めていたのだ。

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:02:15

    「……先生は、私のこの姿を見てもなんとも思わないのですか……?」
    「ミヤコ、何を言って――」
    「先生の私服を、私は着ているんです」

    「ウサギは、寂しくても弱らないそうですが……私は、ウサギではないので」

    「この安心感に、包まれていたいんです」

     潤んだ瞳に、上気した頬。普段とは違う髪型が、私の理性を奪う。

     私の私服に包まれて、笑顔を浮かべるミヤコを見て、私は一瞬本能に身を任せそうになった。

     しかし、ダメだ。

     生徒と教師の関係である私たちが、このようなことをしてはいけない。

     私は辛うじて理性を取り戻し、ミヤコを引き剥がそうと彼女の両肩に手を添える。

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:08:51

    「ミヤコ、私は――」
    「ウサギは、年中恋人を探しているようですが、私はウサギではないので。ですが……先生のためなら、私はウサギになっても構いません」

     私の胸に顔を当てて、上目遣いのミヤコの発言に、私の理性は崩壊した。

     鼻先が触れてしまうほど近い距離にあるミヤコの顔は、何かを待っているように瞳を閉じている。

     私は、その柔らかな赤い唇を自らの唇で重ねようと――

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:09:51

    すまない・・・バーボンセイアなんだ。
    この紅茶はサービスだから、まず飲んで落ち着いてくれ。
    ああすまない、「また」なんだ。
    仏の顔もと言うし、謝る気もないよ。

    でも、このタイトルを見た時、君は言葉には言い表せない「ときめき」のような物を感じてくれたんじゃないか?
    それこそ「楽園」と同じようにね。
    殺伐としたキヴォトスの中でその気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこの場を設けたんだ。

    では、注文を聞こう。

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:12:34

    クソがッッッ!

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:14:13

    オォイ!!!!

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:16:39

    導入タイプのバーボンセイアだって!?
    僕のデータに無いぞ!

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:18:05

    これがやりたかった……!
    歌でもひとつ歌いたいような気分だ……!

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:19:23

    長い序盤でドキドキした心が一瞬でバンジーした感覚がしたよ
    とりあえず酒は嫌いだからストレートで紅茶をください。茶菓子はオランジェットがいいです

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:24:23

    彼シャツミヤコ概念は良い…
    もっと広めるべきだ

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 20:11:02

    こんぶ茶ください

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