- 1聖杯の魔女25/02/23(日) 13:00:21
皆様、ご無沙汰しております。”聖杯の魔女”です。
もうAI関係ないじゃないかというのは一旦置いといてください。
過去スレは>>2に貼ります。
これまで大小クソミスをお届けしてきましたが、今回で一区切りとなります。
前回の新しさは超えないものの、俺の”好き”を詰め込んだ作品です。
いつも通り大目に見てくださると幸いです。
最初に、大きな注意事項があります。
今回の物語は過去のゲーム盤をお目通しくださった方向けとなっております。
今から全部読んでもまだ当スレは続いておるはずですので、どうか先にご一読ください。
そうでないと、スレ主が痛い奴になります。
- 2聖杯の魔女25/02/23(日) 13:00:34
↓過去スレ(まず読んでください)↓
① 《汝ら呷れ、さかづきを》
AIが考えたミステリーを解いてほしい【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板ChatGPTo1に屁理屈推理合戦を学習させたら、そこそこの難問が完成した。俺がリザインした出題をみんなにも解いてほしいと思う……大筋はAIが考えたトリックのまま。足りない部分を俺が修正・加筆してるか…bbs.animanch.comAIが考えたストーリーを解いてほしい2【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板ChatGPTが考えたミステリーに脚色を加えたものを、皆さんに解いていただいています。題名は《汝ら呷れ、さかづきを》です。(これは自分で名付けました)現状、大きな謎として①何故神父は密室内で死亡してい…bbs.animanch.com② 《イッツ・マジック! あなたに贈る万華鏡》
AIと共作のミステリーを解いてほしい【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板以前「AIが考えたミステリーを解いてほしい」でスレ立てした者です。過去スレは>>2に貼ります。これまで何回かゲームしてみましたが、俺側の負担が大きい!AIに任せればラクラク簡単に屁理屈推理…bbs.animanch.comAIと共作のミステリーを解いてほしい2【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板さあ、第3幕を始めましょう。このスレは>>2の続きとなります。ぜひ前スレをご覧ください。脱出不可能な水槽で、首をちぎられた支配人。尽きし摩天楼の頂上で、塵芥と化したマジシャン。そして舞い降…bbs.animanch.comAIと共作のミステリーを解いてほしい3【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板万華鏡が同じ文様を映し出す確率は、人の一生の内には訪れないと言います。さっきまで見ていた景色も、証明不可能な泡沫の夢でしかないのです。それでは、謎の答えへ迫りましょう。bbs.animanch.comAIと共作のミステリーを解いてほしい(解決編)【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板大変お待たせいたしました。聖杯の魔女です。宣言通り過去最長になってしまったこの物語……第1幕、水槽に沈む首なし死体。第2幕、万華鏡に照らされた潰死体。そして第3幕、無垢に横たわる謎の死体。その謎の全て…bbs.animanch.com↓屁理屈推理合戦のルール↓
屁理屈推理合戦屁理屈推理合戦とは、ゲーム「うみねこのなく頃に」から派生した推理ゲームである。dic.pixiv.net【赤き真実】: 魔女の特権。物語における絶対の真実。
『青き真実』: 人間側の特権で、魔女の幻想を破る屁理屈。
「復唱要求」: 魔女へ問い掛けたい時は、ご随意に。
~魔女は青き真実に対してのみ、赤き真実による返答の義務を負う~
- 3二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 13:09:01
待ってました!
- 4聖杯の魔女25/02/23(日) 13:09:06
次に、小さな注意事項があります。
人間様の皆様を縛る意図はないので、ご参加はお好きなように。
・本ゲーム盤では特殊なゲーム設定が用いられます。
端的に言うと、普通の屁理屈推理合戦ではありません。
そこんところ前回のゲーム盤に参加された方はご存知のはず。
まだの方はまずご覧いただいて、”あー……”となってください。
・人間様の皆様の出番はしばらく先となります。
何故なら、冗長な小説が続くからです。
これらは一部リアルタイムのため、投稿に時間が掛かることがあります。
ご了承くださいませ。
・スレ主は皆様の野次、ツッコミ、リアクションを好みます。
反応が帰ってこないのは虚無です。
そのため地の文に割り込んでいただいても一向に構いません。
しかしそうは言えレスを使うのは……という方のため、以下の場を設けます。
↓《うちの探偵と屁理屈推理合戦 実況スレ》↓
うちの探偵と屁理屈推理合戦 実況・考察スレ|あにまん掲示板人間様の皆様、お疲れ様でございます。ここはゲーム盤の外側。思うことを自由に書き込んでください。念のため以下のルールを規定いたします。1.【このスレッドへの書き込みはゲーム盤の進行に関係しない】2.【こ…bbs.animanch.com考察でもチラシの裏でも何でもいいので、盛り上げてくださると嬉しいです。
・前回いわゆる”探偵権限”は存在するのか?という質問がありました。
センシティブな部分なので、今回は先にハッキリさせておきます。
【この物語において、探偵は犯人ではない】
【探偵が偽証したり、犯人に協力するといったことはない】
【このルールは、物語中において探偵である全人物に及ぶ】
これで、皆様がムダに疑獄へ陥る心配が省けるものかと思われます。
- 5二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 13:12:44
長く続いてるだけにちょっと敷居高くなってきたな
本スレ参加せずに実況スレで野次馬だけでも大丈夫?
いけそうならいく感じで - 6聖杯の魔女25/02/23(日) 13:17:00
- 7聖杯の魔女25/02/23(日) 13:20:52
それでは、長々とお目汚し失礼いたしました。
これから更なるお目汚しを披露してまいります。
様々な表現が飛び交うかと思われますが、
その理由と目的はたった1人を傷付けるがため。
皆様に累を及ぼす意図は一切ございませんので、ご安心ください。
なお前回は何人か死にましたが、今回の犠牲者はたった2人だけです。
皆様次第では3人になるかもしれませんが、大した事ではありません。
どうかリラックスしてお見届けくださいませ。 - 8聖杯の魔女25/02/23(日) 13:28:00
- 9聖杯の魔女25/02/23(日) 13:39:32
「あの……何ですか、これは?」
【6月20日、昼】。
えらくピリ付いた冷ややかな声に”探偵”は顔を上げた。
スポーツ新聞を脇に置き、机に乗せていた脚をゆっくり下ろす。
そして、聞いてもいなかったラジオの電源を切った。
「あぁ。もう来て……」
「”何ですかコレは”って聞きましたっ!」
バンと細い指が机を叩く。
どうもガラスの灰皿にこんもりと積もった、シケモクの山を指しているらしい。
「何って、タバコの吸い殻じゃないか」
「事務所の中では吸わないって約束しましたよね!?
どうして平然かつ堂々と破れるんですか!?」
「……御影ちゃんは厳しいなぁ」
そんな約束なら多分した。だが覚えていない。
ということは、【その時限りの約束に過ぎない】のだ。
それを永遠の契約かのように言うのはそっちの落ち度である。
なんて減らず口を思い付いては飲み込んで、汐留康一は身を起こした。 - 10聖杯の魔女25/02/23(日) 13:47:01
対し、馳河御影は割と真剣に怒っていた。
彼女にはこの世で最も嫌いなものが2つあり、その片方がタバコなのだ。
昔から事務所に来ると、こいつらは部屋が白く見えるくらい吸っていた。
その片方が足早に天国へ飛んで行ってしまってから5年。
2人しかいないこの探偵事務所は、落ちるところまで落ちていた。
「……仕事してください」
「ないよそんなの。知ってるクセに酷いなぁ」
「だったら取ってきてくださいよ!
このままテナントばっか払い続けると、3ヶ月後には廃業確定だって言いましたよね!?
こうしてる間も、あなたにだって人件費が……」
「君に言われなくてもなぁ。払い主は僕なんだから」
どうしてこいつが所長なのか。御影は唇を噛んだ。
前所長……馳河石英の遺言だというが、信じられなかった。
彼は頭が良かったのではないのか? どうして後継がこの人なのか。
いっそのこと自分に譲ってくれれば……なんて思うものの、
父親急逝当時の御影は14歳。何もかもそれどころではなかった。
彼のような探偵になりたいと願ったところで、
探偵事務所を運営出来るかどうかはまた別なのである。
それは今も同じだ。大学に通いながら探偵業は営めない。
石英は大して資産を残さず、御影は母と2人苦労しているのだ。 - 11聖杯の魔女25/02/23(日) 13:56:36
「このまま、事務所がなくなったらどうする気なんですか。あなたは」
「君は知らないだろうけどね、そんなの過去20年で数十回あったんだよ。
ところがその数十回を全部生き延びちゃってこのザマさ。
今回も場合によっちゃ、まあ何とかなるんじゃないのかな」
「……ならなかったら?」
「そりゃ、そん時ゃ運がなかったって話だよ」
何もかも行き当たりばったり。計画性マイナス273度。
それがこの男・汐留であった。石英にとって往年の助手に当たる。
馳河石英といえば、数々の難事件を解明した名探偵で有名だ。
一方で、この人が何かしたという武勇伝は全く聞いたことがない。
御影は額を手のひらで押さえながら、自分の即席デスクに腰掛ける。
ダンボールで作られた屈辱的な席だった。
「来週は税理士さんとの面談です。
まだ書類出来てないですよね?
私も大学の隙間見つけて来てるんですから、もうちょっと感謝を」
「ホントに探偵、なっちゃうのかい? 御影ちゃん」
「……はあ?」
汐留がばさっと新聞記事を広げる。
そこには、大きな見出しでこう書いてあった。
《女子大生が大手柄! “回る万華鏡事件”解決の背景に名探偵の影》 - 12聖杯の魔女25/02/23(日) 14:05:21
「1ヶ月も前の記事じゃないですか。
さすがに、もう世間だって忘れてますよ」
「君は忘れてないんだろう。自分の記事、全部集めてたくらいだし」
「……」
頭の奥でカチンと音が鳴った。それが何だと言うのか。
1ヶ月前、御影は1つの事件を解いた。3人の怪死とその陰謀、背後に存在した愛。
亡くなったのは彼女の唯一無二の親友だった。
以前から”友達に持ちたくない奴”と噂される御影にとって、大切な人。
彼女を喪った実感がまだなくて、今だ大学ではその面影を探してしまう。
あの事件は探偵としての仕事ではない。
1円も入らないどころか、彼女は最も大事なものを手放したのだ。
だから、そんな風に言われると……安い喧嘩でも、買わざるを得ない。
「……今度は説教ですか。私が調子に乗ってるって?」
「探偵なんてロクな仕事じゃないぞぉ。
懐はキツいし、やり方は汚いし、時たま危険だし。
まんまと現代に生き残った3Kってやつだね」
「ロクに探偵やってないあなたが言う資格ないです」
「いやぁ。僕だって昔はなぁー……」
最悪の形で昔話が始まろうとしている。
御影は深い不快な溜め息と共に、片手を伸ばした。 - 13聖杯の魔女25/02/23(日) 14:16:39
「いいから、書類っ! やればいいんでしょ、やれば」
「はい」
ぱし、と封筒が手渡される。御影の眉がぴくりと動く。
税理士宛の書類ではなかった。汐留宛でもない。
その宛先には、”馳河御影様”と書いてあったのだ。
「……これは?」
「なんか届いてた。ファンレターみたいだね」
「……」
相変わらず含みのある言い方をする。
封は切ってあるし、彼が先に読んだのは間違いない。
この前やられた冷蔵庫のプリンといい……手癖の悪い探偵だ。
封筒には、ある美術館の銘が印刷されていた。
送り主は”東 林之助”。そこの館長であるということらしい。
小洒落た便箋が数枚入っている。御影はさっそく文面に目を走らせた。 - 14聖杯の魔女25/02/23(日) 14:17:17
《探偵 馳河御影 様》
新宿にございます”教会跡美術館”の東と申します。
この度は貴殿の知恵をお貸しいただきたく、こうしてお手紙いたしました。
端的に申しますと、とある事件を解いていただきたいのです。
その事件の様相はあまりに奇怪。まさしく人の手に余る殺人事件です。
当時、貴殿の父君であらせられる馳河石英様のお力もお借りいたしました。
しかしその叡智を以てさえしても事件の謎を解くに至らず、
過去20年間に渡って事件は封印されたのでございます。
事件解明のため、あなたのお知恵をお貸しいただきたい。
契約金ほか当方の用意は別紙に纏めております。
何卒、当美術館にご足労賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。 - 15聖杯の魔女25/02/23(日) 14:23:48
最初の1枚を読み終え、御影はぽかんと口を開けていた。
これは……自分の目と脳が間違っていなければ。
「私への、依頼……!?」
猫探しでも事務所の掃除でも経理書類の取りまとめでもない。
“探偵”として、彼女を名指しした初めての仕事ということになる。
「あの、えぇっと、これって」
「書いてある通りなんじゃないの、多分。知らんけど」
汐留は頬杖を突いた。その態度が全てを物語っていた。
さっきからの態度の悪さは、恐らくこれのせいだったのだろう。
急いで残りの便箋を手繰る御影。そこには契約内容の提案があった。
「け、契約金150万円!? 破格の高報酬ですよ!」
「そうだね」
「向こう半年の家賃になります! 今すぐ受注しましょう!」
「君って、詐欺とか疑ったことないタイプの人?」
「……う」
白けた視線を送られ、御影は面食らう。
確かにこの苦境でそんな美味い話……そうそうあるものではない。 - 16聖杯の魔女25/02/23(日) 14:30:08
あの事件後、御影目当ての取材が殺到した。
警察発表による情報は最低限だったものの、ああした話は漏れるものだ。
中にはグラビアアイドルとしての勧誘なんてものもあった。
世間が御影を単なる探偵として見ようとしていないことは明白だった。
父・石英もメディア露出の多い人だった。
人気最盛期はバラエティ番組に出演したことだってある。
当時は嬉しかったが、今になって思う点がないでもない。
大人の汚いやり口は御影も熟知しているつもりだ。
そうは言え……いや、むしろ、だからこそ。
“探偵”として自分に送られてきたこの依頼を、無視することは出来ない。 - 17聖杯の魔女25/02/23(日) 14:36:41
翌日、御影は美術館の正門前にいた。
新宿区・”教会跡美術館”。華美ではないが、そこそこの構えである。
空はまさしく曇り模様。風の吹き方からしても降り出すのは間違いない。
そこへ、ルーズなパーカーを着た汐留がぽてぽてと歩いてきた。
「……遅いっ! 探偵なんですから、時間は守ってください!」
「んー? 時間を守る私立探偵なんてこの世にいないよぉ」
ポケットに手を突っ込み、髪もロクに整えずやってきた中年。
確かに誰もこれが探偵とは思うまい。
ある意味、偽装工作としては優秀な恰好かもしれなかった。
今回は身分を隠す必要はないし、むしろ信用を得る必要があるのだが。
「へぇー。これがその美術館? 随分と人、入ってるじゃない」
「来たことあるんですよね? 20年前に」
「そんな昔のこと覚えてるわけないじゃん。まず向こうの嘘かもよ」
「失敗だったかな……連れてきたの」
当然、御影の気掛かりはあの手紙の一文に掛かっている。
色々と情報を聞き出すためにも、当時の人物は重要である。
この”探偵”とて事務所で昼寝させているよりはマシだと思ったのだ。
ともかく、【美術館の敷地は外壁で覆われている】。
【外壁はコンクリート製。2メートルはあるだろう】。
【外壁を越えた内側に、2棟の建物が建っている】のが見えた。 - 18聖杯の魔女25/02/23(日) 14:43:12
正門を抜け、建物に差し掛かる。
汐留の言った通り、夜から嵐だというのに随分な人入りだ。
建物入って正面の受付には行列が出来ている。
確かに立地として悪条件ではないものの、ただの私立美術館。
いつもこんなに観客が入っているとは思えない。
不思議に思って見回していると、御影はとある掲示を見つけた。
「え? “名探偵・馳河石英展”?」
「おやおや」
「ど、どういうことですか? 何で美術館がお父さんを……」
往年の馳河石英、その姿が載った企画展のポスター。
どうも今週頭から始まっているようで、今日が最終日に当たるらしい。
寝耳に水、である。
「……私、聞いてないですが?」
「そんな目で見られても困るなぁ。僕だって今知ったよ」
「事務所や家族の許可もなく、こんなことしていいんですか。
いいわけないですよね。明らかに営利目的ですし」
「そうは言っても、故人だからね」
脳内でロジックを組み立ててみる。確かに……違法とは言い難い。
御影がその気なら民事で訴えられそうな気もするが、死後5年だ。
展示の権利関係さえ適切なら、付け入る隙はない。 - 19聖杯の魔女25/02/23(日) 14:47:16
- 20聖杯の魔女25/02/23(日) 15:01:43
「馳河御影様ですか! お越しいただけないものかと……!」
「……えぇっと。来ました」
御影は愛想の良いタイプではない。
表面だけでもそういう雰囲気を作るのは、実優の方が得意だった。
恋人はおろか友人付き合いも大してないのが実情である。
そんな御影にとって、探偵デビューは当然緊張を伴うものだった。
対し、受付から出てきた中年の女性は丁寧に頭を下げる。
「事務局長の中西と申します。この度は何卒」
「は……はい」 - 21聖杯の魔女25/02/23(日) 15:01:59
雰囲気に呑まれまいとするものの、身体はこわばっている。
この人たちが今回のクライアントになるのだと思うと、不安が拭えない。
中西が名刺を差し出してくるにあたって、御影は汐留を盾にした。
「……私、名刺がなくて。こっちが探偵、なので」
「あら、さようでしたか。ええと」
「汐留と言います。御影ちゃんの目付け役みたいなもんですわ」
「ああ! 失礼いたしました。よろしくお願いいたしますね」
順番は間違ってない。私は気後れしてるわけじゃない。
ごくりと唾を飲み下し、御影は切り返した。
「本来、お約束はしばらく後でしたね。
良ければ先に館内を見せていただこうかなと……思いまして」
「もちろんでございます。ご案内いたしますので、是非」
「あ。えぇっと……1人で大丈夫です。集中、したいので」 - 22聖杯の魔女25/02/23(日) 15:12:36
「ふぅん……大人の対応ねぇ……」
汐留がじろじろ見下ろしてくる。
御影は展示室入ってすぐの壁に背中を付け、ぶつぶつと呟いた。
「いや、クライアントだからと言って警戒を怠らないのは当然の危機管理意識ですし……前乗りしてるわけですから、先方の予定を崩すのは失礼ですし……所長であるあなたがまず矢面に立つのは当然ですし……」
「はいはい。それで、何か気になることでも?」
「はぁ……とにかく……ですね……」
落ち着かない様子で咳払いをしつつ、御影は周囲を見回した。
【この美術館には本館と別館があり、渡り廊下で接続されている】。
【観客の順路は受付向かって左方向。
そのまま時計回りに別館方向へ進んでいくことになる】。
本館の展示室には幾多の絵画の他、
企画展示として馳河石英展が実施されていた。
御影は汐留の顔色をちらちらと見ながら聞く。
「はぐらかさずに答えてください。ここ、来たことあるんですよね?」
「まあねぇ。ただ20年前だよ? そんなに細かく覚えてないって。
そん時ゃここは宗教施設だったしねぇ。多分色々と変わってるよ」
「……お父さんが解けなかった事件というのは、本当ですか?」
心臓が小動物のように鳴りまくっている。
その質問は、彼女にとって大きかった。 - 23聖杯の魔女25/02/23(日) 15:19:28
「イサさんだって神様じゃないからねぇ。そういう事件は他にもあるよ。
ただここは……そうだなぁ……」
「何ですか? 今更言いにくいことでも?」
「20年前だろ。”探偵”として脂が乗ってくる前の話だね。
探偵はやってたけど、まだ事務所らしい事務所もなかった頃だよ」
「……どんな経緯で依頼に繋がったんです?」
「さあなぁ。イサさんが取ってきた案件だったからね」
汐留はつまらなさそうに”敷地内禁煙”の張り紙を眺める。
外が降り出してくるのはもう間もなくといったところだろう。
「ま、1人にしてほしんだろ?
僕はパトロールに行ってくるから、よろしく」
「ちょっと、まだ聞きたいことが……あぁ、もう」
汐留は、そそくさとライターを片手に飛び出して行ってしまった。
取り残された御影は胸に手を置きながら深呼吸を繰り返す。 - 24聖杯の魔女25/02/23(日) 15:21:30
……大丈夫。
この前だって乗り越えられた。あの地獄から生きて帰ったんだ。
あんなことはもう起きない。今回だって、何とかなるはず。
たとえそれが……お父さんに解けなかった謎だとしても。
とりあえず、御影の意志は固まった。
最初のステップとして、ここ。”教会跡美術館”をよく知る必要がある。
美術には詳しくないが、展示品には何かしらの傾向があるはず。
そこから今回の依頼へ繋がる背景を導き出すことは可能だ。
御影の視線は、初っ端に飾ってある絵画へと注がれた。
そして、彼女は肩を竦ませる。 - 25聖杯の魔女25/02/23(日) 15:24:35
- 26二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:30:29
聖杯協会がらみ…!?
- 27聖杯の魔女25/02/23(日) 15:35:21
「……何、これ」
見たところ油絵だ。しかしその様相はあまりに暗い。
描かれているのは教会? 聖堂? 柱の立ち並ぶ場所。
暗い雰囲気の中、1人の人間が倒れている。
しかもその上に、視線を誘導するかのように何か置いてある。
御影の想像が正しければ……銀器だ。
「”汝ら呷れ、さかづきを”」
思わず、キャプションを声に出して読んでしまう。
そうでもしないと吸い込まれてしまいそうな不気味さがあった。
少なくとも入って1発目に見せる様相の絵画ではない。
視線を横にズラすと、他にも何枚か似た様子の絵があった。
人の死に絶える王国……血まみれの学校……そんなのばかり。
一言で表すなら、陰惨。室温は低くないのに、背筋が冷える。
「……」
「ばあ!」
「ぃ~~~っ!!?」
突如、緊張が弾ける。声にならない悲鳴が上がる。
背後から刺し貫かれたかのような感覚だった。しかし痛みはない。
真っ青な顔で振り返ると、そこにはニヤけ顔の男性が立っていた。
「……おっとっと。こいつは最初から飛ばし過ぎたかな」 - 28聖杯の魔女25/02/23(日) 15:40:03
「……」
御影はしばらく何も言えず、視線による抗議を続けた。
あり得ない。初対面で、ていうか美術館で、急に驚かせてくるなんて。
しかも冷え切った脳細胞で類推するに、相手は職員だ。
首にネームプレートを掛けているのが最たる証拠。
「失礼失礼。そんなに驚くとは思わなくてね。
俺は北野、ここの学芸員さ。あんたが馳河さんだろ? よろしくな」
「……どうも」
彼が差し出してくる手に対し、御影は真心からの視線を返した。
すなわち純粋な軽蔑と嫌悪である。
「学芸員さん……ですか。あなたが」
「そ。この辺の展示は俺が集めたもんさ。
その絵は有名な画家さんでね。色々と斬新な手法が」
「父の特別展も……あなたの企画ということで?」
「ん? おう。そこにあるから見てってくれな」
謎に納得してしまう。怒りと呆れと驚きがないまぜになっている。
とりあえず目の前の北野という人間について、御影の印象は定まった。
だがそれはそれ。これはこれ。
一呼吸置き、頭の中で”大人の対応”と反復する。 - 29聖杯の魔女25/02/23(日) 15:52:43
「……お招きいただいてありがとうございます。
私のことは、よくご存知みたいですね」
「こないだの事件、ビックリしたもん。まさか馳河石英にこんな娘がなぁ。
そんで今回の特別展を思い付いたワケよ」
「そうですか。あの……この絵について聞いても?」
「あぁ、館長が一番大切にしてるヤツだよ。
見てるだけでゾーッとするだろ? だがしかし、お化け屋敷じゃないぜ」
「だから、この絵について聞いても?」
“大人の対応”はやっぱり難しかった。何せ相手が子供みたいだ。
御影の苛立ちが伝わったのか、それとも生来の質か。
北野は饒舌を加速させていく。
「館長直々に、ここが教会だった頃の話を絵にしてほしいって頼んでね。
俺は最初に置くのは反対したんだが、全く聞き入れなくって。
教会ってのは“聖杯記念教会”のことだよ。場所のモデルはここの地下さ」
「……地下があるんですか」
この美術館について、ネット上に書かれている情報は多くない。
御影がほとんど下調べもなしに臨んでいるのはそのためである。
そんな彼女に対して、北野は以下のような説明をした。
【教会跡美術館の最大の特徴は、”地下聖堂”の存在である】。
【地下聖堂の階段は本館と別館の両方に繋がっている】。
【そこは20年前、実際に絵画の事件が起きた現場である】。 - 30二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:59:34
中世とかじゃなく現代の話なのかよ……
- 31聖杯の魔女25/02/23(日) 16:01:50
御影は彼の話を聞くにつけ、表情を険しくした。
それが本当なら、ここは殺人現場の上に立つ美術館ということになる。
どうりでこんな悪趣味な展示をするわけだ。
「それでね、この絵を描いたのはね……」
北野は聞いてもいない話を再開するが、御影はそれどころではない。
少しでも情報を得ようと絵画に視線を滑らせる。
【絵が描かれたのは5年前】。
【ちょうど、この美術館が始まった頃と重なる】。
絵には複数人が携わっているらしく、特定の画家の作品ではないらしい。
館長の東が情熱を注ぎ、様々な修正を加えて完成したとか。
東という人、一筋縄に行かないことがよく伝わってくる。
ご丁寧に出資者の名前までもが列挙されている。
この悪趣味な絵を作るのに、まともなスポンサーが付くものだろうか?
北野の話をそこそこに、御影はキャプションを覗き込んだ。
「え?」
「おっ、さっそく気付いたかい。さすがは探偵さんだねぇ」
「……」
“まともな、スポンサー”……御影は今一度、頭の中で反復する。
【出資・寄贈として記されている人の名は、星神幻蔵】。
背中に、悪い冷や汗の伝う気持ちがした。 - 32聖杯の魔女25/02/23(日) 16:11:51
しばらく本館の展示を見て回り、御影は別館に移った。
馳河石英展については、特に言うこともなかった。
本場のミステリーファンとやらが詰め寄せていたものの、衝撃はない。
昔から石英にはストーカーに近い熱狂的な支持者が多かったからだ。
展示の内容は、御影も当然知っている有名な事件の数々。
【一部の展示スペースが空白にされていた】のは気掛かりだったが、
石英でも解けなかった事件の現場が地下にある……という衝撃に
比較すれば、さして拾い上げるべきものもなかった。 - 33聖杯の魔女25/02/23(日) 16:17:54
渡り廊下を抜けた先、別館はあまり広くないようだった。
ぽつぽつと展示はされているものの、廊下という印象を拭えない。
“教会”と呼ばれていた建物を無理やり美術館にした。
そんな情報にも納得感がある。
トイレを左手に見て廊下を進もうとする御影。
その時、進行方向からまたも1人の男がやってきた。
「……お前か」
「えっ」
北野とは違う。厳つい雰囲気の男だった。
ネームプレートは提げていないが、職員であることはすく分かった。
手にはバケツ。ワークキャップを被っている。
何より順路を憚らず逆行してきたことがその証だ。
「お前に解けるのか。あの事件が」
「……え、えぇっと?」
すれ違いざまに、その男はそう言った。御影の胸がどきりと鳴る。
真意を問う間もなく男は行ってしまう。
そして警備室の扉を開け、御影の視界から失せてしまうのだった。 - 34聖杯の魔女25/02/23(日) 16:24:08
「すぅー……はぁー……」
外の空気は生温いが、ここは思ったよりひんやりしている。
それもそのはず。何メートルか降りてきた先の地下だ。
【別館から降りた先は廊下。右手に木製の扉がある】。
【廊下の奥には上り階段。本館に繋がっている】らしい。
その扉の奥には、まさしく”地下聖堂”とやらが存在する。
周りにはちょうど誰もいない。観客に邪魔されず中を拝むチャンスだ。
しかし、御影の足は凍て付いたように動かなかった。
「い、行け……行けってば……!」
汐留がいなくて良かった。だけど出来ればいてほしかった。
あんな頼りない中年でも、存在すれば賑やかしにはなるのだ。
御影はごつごつした石畳をローファーで踏み締めつつ、1歩を踏み出す。 - 35聖杯の魔女25/02/23(日) 16:25:20
- 36聖杯の魔女25/02/23(日) 16:37:05
天井に蛍光灯が点いているのは廊下までで、中は薄暗かった。
ハロゲンランプが黄色い光で聖堂の床を照らしている。
天井から仄かな明かりが舞い降りている。
見たところ、【嵌め殺しの天窓が中庭に繋がっている】ようだ。
【聖堂両脇には何本もの円柱】。
【聖堂奥には石造りの台座】。
【スポットライトが照らすその台座には、何も乗せられていない】。
まさしくあの絵は、この地下聖堂を模っていた。
違いに関して言うならば2つ。
倒れている人物も、崇高に鎮座する銀器も現実にはないことだ。
「……聖、杯……」
ズキリと頭が痛む。きっと過呼吸のせいだ。
今一度、御影は埃っぽい地下の空気をゆっくりと吸い込んだ。
推理どころではなかった。結局、御影は足早に地下を立ち去るのだった。 - 37聖杯の魔女25/02/23(日) 16:44:02
「既に一通り観ていただいたんですか。それはそれは」
「……はい」
【時刻は15時00分】。御影と汐留は美術館の応接室にいた。
正面に座るのは館長の東。見通せない質の笑顔を浮かべている。
ピシッと決まったスーツは派手ではないものの、高級そうだ。
果たしてこの依頼が金持ちの酔狂か、重大な事件なのか。
それを図る時がやってきたのである。
「いかがでしたか? 当館の展示は」
「楽しませてもらいました。馳河石英展。よく調べてくださいましたね」
「ああ、北野の……お気を悪くされたなら申し訳ありません。
彼は若干独断専行といいますか、空気の読めないところがありまして」
「んま、イサさんも構ってもらえて喜んでるんじゃないですか」
中西の出したアイスコーヒーをぐいっと傾け、汐留は笑う。
隠しようのないタバコの臭い。御影は表情を引きつらせる。
ともかく、世間話から入る気分にはなれなかった。
「さっそくで恐縮なんですが、天気の件もあることですし……
単刀直入に、私へお声掛けくださった理由を教えてくれませんか」 - 38聖杯の魔女25/02/23(日) 16:52:45
前のめりになっているのは丸分かりだろう。
それが向こうの作戦かもしれない。
見たところ、東は抜け目のないタイプの大人だ。
丁寧な言葉遣いの裏に、どんな打算があるか分からない。
東は指と指とを組み、ゆっくりと答える。余裕だった。
「手紙にお書きした通りです。誰でもない、あなたに解いてほしいのです。
探偵・馳河石英に解けなかった殺人事件の真相を」
「ハハ、大任だね」
「……探偵の専門は殺人事件の解明ではありません。
石英がそうした風評を作り上げたことは事実ですけど……私が期待に応えられるかどうか。
今日こうして伺ったのは、私の知らない父の話を聞きたかったからです」
敢えて遜った、それでいて挑発的な言い方をした。
それで向こうがどう出るか気になった。
しかし東は、貼り付けたような笑顔を崩さなかった。
「何なりと。私も、御影様にこの話が出来る日を楽しみに思っていたんです」
「19のガキに殺人事件の話をですかい」
「じゃ、お話しください?」
ローテーブルの下で、御影は汐留の足を蹴った。
これは私の依頼だと言わんばかりに。
そんな一幕すら意に介さないように、東は滔々と語り出すのだった。 - 39聖杯の魔女25/02/23(日) 17:07:40
今からお話しするのは、20年前にこの建物内で起きた事件です。
世間には公になっていませんが、私は”聖杯消失事件”と呼んでいます。
ご存知の通り、かつてここは”聖杯記念教会”と呼ばれていました。
事件によって指導者を失い、一度は解散することになったのです。
その後も有志によって敷地自体は管理されていました。
我々は、この場所をより有意義に活用出来ないかと考えました。
それで準備を進め、5年前に美術館として改装したのです。
ええ、私も教会関係者でした。
当時の教会を指導していたのは”神父”。皆がそう呼びます。
私は神父の下で教えを学ぶ、言わば青年司祭の立ち位置だったのです。
教会は名前の通り、”聖杯”を管理していました。
聖杯にはこの世の叡智が詰まっていると神父は申しておりました。
安置されていたのはもちろん地下聖堂。
しかしある嵐の夜、事件が起こったのです。
……ああ、その前に申し上げますと。
現在の地下聖堂は当時と形を異にいたします。
【これがその当時の地下聖堂です】。 - 40聖杯の魔女25/02/23(日) 17:20:01
さて、話を戻しますが、その夜。
神父は地下聖堂から出てまいりませんでした。
私は夜通し祈祷を行うものと聞き及んでおりました。
そのため様子を見に参ることもしなかったのです。
翌朝になっても、神父は地下から出てきませんでした。
こんなことは今までありませんでしたので、私は扉越しに呼び掛けました。
それでも神父は出て来られないものですから……鍵穴を覗いたのです。
中で、神父が倒れておりました。
地下聖堂の扉には、内側から鍵が掛かっておりました。
鍵は神父の持つものしかありませんので、私は扉を破ることにしました。
一筋縄には行きませんでしたが、扉は内開きです。
何度か身体をぶつけて、ようやく扉を開けることが出来たのでした。
しかし、ようやく開かれた聖堂の内部は酷い有様でした。
床には禍々しい魔法陣が描かれ、神父はその中心で倒れていました。
慌てて神父を引き摺り出したものの、彼は既に事切れていたのです。
顔は焼け爛れ、口元には夥しい煤。
挙句に目玉も……いや、よしておきましょう。
とにかく。中には誰もいませんでしたし、鍵も掛かっていたわけです。
唯一の鍵は神父の傍らに落ちておりました。
にも関わらず神父は亡くなっており……それに。
我々が大事に守ってきた”聖杯”までもが消え去っていました。
何故、どうしてこんなことになったのか。パニック状態でしたよ。 - 41聖杯の魔女25/02/23(日) 17:35:37
その後、馳河石英さんに推理を披露していただきました。
彼と偶然繋がりを得ることが出来ましたからね。
ですが、お答えは以下のようなものでした。
『神父は自殺した』。ただ、それだけです。
はっきり言って、信じることが出来ません。
あんな自殺の仕方がありますか? 焼身自殺の有様じゃありませんよ。
地下聖堂で火事が起こった証拠は何もないんです。
それどころか、神父が自殺を行った証拠だってありません。
地下にはそれを裏付ける証拠は一切ない。私がこの目で見てます。
なのに、あの”探偵”は神父を自殺と断定したんです。 - 42二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:39:50
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- 43聖杯の魔女25/02/23(日) 17:42:54
……以上が事件の全貌です。
20年前とはいえ、私には昨日のことのように思い出されます。
死んだ神父の顔が目に焼き付いて離れないのです。
去って行った教会の仲間には、様々なことを言う者がおります。
“これは祟りだ”とか、”聖杯が悪魔に姿を変えた”だとか……。
そうした風評もひとえに聖杯への信仰が為せる業。
全てを全て否定する気はございません。
しかし神父が自ら命を絶ったなどという推理は……受け入れ難い。
あなたにはこの謎を、今一度解いていただきたいのです。
今こうして検分することで、新たな真相が見えてくるのか否か。
それとも彼と同様、『神父の自殺』なる結論に行き着いてしまうのか。
いかなる答えが出るにせよ、あなたに依頼を持ち掛けたのは事実。
契約書の通り報酬をお支払いすることを約束いたします。
ですが、くれぐれも私の疑問に答え得る推理を。期待しております。 - 44聖杯の魔女25/02/23(日) 17:49:21
東は原稿もなしに、最後まで途切れることもなく語った。
最も印象的だったのは彼の話が佳境へ向かうに連れ、
仮面のようであった表情が鬼気迫る様相へ変わっていったことだった。
かつて青年司祭であったという彼の訓練がそうさせるのか?
ようやく話が落ち着いた頃、御影の肩はまたもこわばっていた。
「……よく、分かりました」
それしか言えなかった。
大量の情報が頭の中で渦巻いている。
彼と話しながらそれを纏めるなんて芸当が出来るはずなかった。
石英は違う。御影にとって、彼はまさしく名探偵だった。
彼は事件について話している間、突然答えを話し始めることさえあった。
脳の回転速度が異常なのだ。
御影は腕を組み、東から視線を逸らす。
「推理するのに……時間をください。明日には、一旦」
「おいおい、御影ちゃん。一晩あれば解けるってのかい?
依頼人サマが20年間悩み続けたっていう謎だぜ」
「分かってますよ……! だから、その。
私にこの謎が解けるのかどうか、一晩考えさせてほしいって話です!」
かなり苦しい屁理屈だった。
こんなものがいつどこで身に付いたのか、思わず自分が恥ずかしくなる。
しかしその条件に、東は元の貼り付いた笑顔でゆっくりと頷くのだった。 - 45聖杯の魔女25/02/23(日) 18:03:48
……おやおや。
何かと思えば、どこかで聞いたような話じゃないですか。
あちこちでいろんな方が頭を悩ましてくださっているようで、
“聖杯の魔女”たる俺としては喜ばしい限りですよ。
さて。どうも東氏、”探偵”様の推理がお気に召さない様子。
『聖杯が悪魔に姿を変えた』は良くて、『神父が自殺した』はダメ?
何でまたそんな思考回路になっちゃうんでしょ。
やっぱ宗教やってる人ってそうなんですかね? ふふふ。 - 46聖杯の魔女25/02/23(日) 18:08:17
おっと、つい幕間のボヤキが入ってしまいました。
人間様の皆様としては言いたいことが山ほどあるのでは?
しかしそいつはもう少しだけ、脳漿に溜め込んでおきましょう。
何故って? そりゃあもう……
【これは、探偵と共に解くミステリー】だからですよ。 - 47聖杯の魔女25/02/23(日) 18:11:56
それじゃ、引き続きツマラナイ小説をお楽しみください。
皆様の前に主役が登壇する、その時まで……。 - 48聖杯の魔女25/02/23(日) 18:27:37
「うぅ……どうしよ……」
【時刻は18時00分】。
東の去った応接室で、御影は膝を抱えていた。
かたや汐留。
彼は窓の外で吹き荒れる黒い風を眺めつつ、貧乏ゆすりをしていた。
「ホントまいったなぁ。中で吸ったらさすがにバレるか?」
「あなたの悩みなんてどうでもいいですよっ!
吸うなら出てってください!」
「無茶言うなよ。御影ちゃんがうんうん唸ってる間に、もう大嵐だぜ」
もう東との会話からしばらく経つが、御影はここを出ようとしなかった。
彼女が同時に出来ることには限界がある。
大学の課題をやりながらテレビを観ることくらいは可能だ。
でも150万円と父の名誉が掛かった状況で、
推理を進めつつ台風からの帰路を考えるなんて芸当はさすがに出来ない。
そんなこんなで、まんまと嵐に降り込められてしまったのだった。 - 49聖杯の魔女25/02/23(日) 18:43:43
「ねぇ、教えてくださいよ。
どうしてお父さんは自殺って推理したんですか?」
「むしろそれ以外にどんな可能性があるんだい」
「それはもう色々とありますけど……。
だけど、何て言えば東さんが納得するのかなんて分かりませんよぉ」
「『聖杯が悪魔に姿を変えた』って言えばいいんじゃないの?」
「ふざけないでください。それでも探偵ですか……?」
魔法の存在を認める。それだけは絶対に出来ない。
もうその退路はとっくのとうに投げ捨てたのだ。
あの時……星神幻蔵の限りない悪意に陥れられたあの事件。
“これは魔法の産物です”なんて、口が裂けても言いたくなかった。
たった1つの真実があると追い求め……それは確かに存在した。
だから、今になって後戻りは出来ない。出来ない、のだけれど。 - 50聖杯の魔女25/02/23(日) 18:50:20
「うーん、うーん……」
「ここの人らも今日は泊まるんだとさ。
御影ちゃんはここで寝ていいってよ? お母さんに連絡しときな」
「思考が散ります。協力する気がないなら出てってください」
「お、おう」
さすがの汐留とて、彼女と寝所を共にする気はない。
東の手配で、別館の宿直室を使わせてもらえることになっていた。
タバコの残数を数えながら立ち上がる汐留。
「まあ……何だ。こんなことに根詰めなくたっていいんだよ。
150万なんて最初からなかったと思っときな?
探偵なんかハナっから儲かる仕事じゃないんだからさ」
「聞かないと分かってて、言わないでください」
「そこまで言うかい。君にとって、探偵ってのは何なの?」
「……」 - 51聖杯の魔女25/02/23(日) 18:53:48
「金の生る木? 父親の嗣業? 人の役に立つ仕事? 小さい時からの夢?
僕ぁイサさんとは大学ん時からの付き合いだけどさ……
あの人ぁ随分と勝手気ままだったもんよ。君も知ってるでしょうよ」
「……」
「あの人がここの連中とどんな付き合いだったのか、僕もよく分からん。
僕ぁ宗教には詳しくないし、20年経っても分からんことばかりだ。
自殺って推理が正しかったのかどうかもな」
「……」
「人間、分からんことは分からんもんよ。
“分からないということが分かった”って境地もあるんじゃないのかね?
イサさんもあれで苦労してたみたいだし、さ」
「それで諦められたら、苦労しないです」
「ん」
「【探偵とは、真実の探求者である】。私はそう思います」
「……そうかい」
御影は潤んだ瞳で、汐留の眉間を睨んだ。
彼の口角が吊り上がる。
「やっぱ、イサさんの子だねぇ」
それがこの日、汐留との最後の会話になった。 - 52聖杯の魔女25/02/23(日) 19:10:07
『それで、何で俺に電話が来るんだよ?』
【時刻は進み、22時00分】。
台風の最接近は日付が変わる頃だという。
外では黒い疾風が建物を切り刻もうとしていた。
結局、【御影は一度も部屋から出ていない】。
夕食にさえあり付いていないが、そんな気すらしなかった。
口にしたのはこんなこともあろうかと持ち込んでいたチョコレートくらいだ。
「あのですね……私がどんな気持ちでここにいるのか、
これだけ説明してもまだご理解いただけてないんですか?」
『要するに怖いんだろ? お前、昔からホント暗いとこ苦手だもんな』
「そういう意味じゃありませんっ!」
電話口は馳河葉一。彼女の従兄が面倒臭げに応対している。
鎧戸がガタガタ音を立てる度、御影は声を大きくした。
「部屋は明るくしてますし、殺人事件なんか怖くないですよ。今更です」
『嵐の中、曰くつきの美術館に閉じ込められてる状況なんだろ。
その上オッサンを追っ払っちまったから、俺に電話してきたんだろ』
「ねぇお兄さん、意地悪はいいから私の話だけ聞いて……!」 - 53二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 19:22:46
このレスは削除されています
- 54聖杯の魔女25/02/23(日) 19:25:24
葉一は新宿警察署の刑事である。家に帰れず署内にいるという。
何とも社畜、いや署畜の様相。それが辛うじて御影の心を支えていた。
しかし、せっかく繋がっているのだから話題が必要だ。
御影の意識は、再び”聖杯消失事件”に戻っていった。
「実際、こんなことが可能なんでしょうか?
犯行を終えてから鍵を掛けて、煙のように消え去るなんて……」
『現場を見てないから何ともな。本当にそこからは出られないのか?
合鍵とか隠し通路とか、何ならピッキングとか。可能性はあるだろ』
「そんな単純な話じゃないですよ。バカにしないでください」
『何でそういうのがないって言い切れるんだ? そこまで調べたのか』
「むぅ……」
彼女の不安は、ある1つの問題に起因している。
東から聞かされた事件には、確定的な情報が全くないのだ。
彼が最も状況を知る人物とはいえ、それを検証する余地がない。
実は彼の思い違いだったとか、知らなかった事実があるとか……
そういう”X”を排除することが出来ないのだ。だから推理のしようがない。 - 55聖杯の魔女25/02/23(日) 19:34:12
「だったら世渡りについて教えてくださいよ。
私、あの人に何て言ったらいいんですか?」
『たった1つの真実を暴くのが探偵なんじゃなかったのか』
「ねぇ、お兄さん……」
不安げな溜め息が続々漏れて止まらない。
果たして葉一に、彼女の危機感は伝わっているのかどうか。
「こんなの解きようがないですよ。証拠が何にもないんですから」
『こないだだってそうじゃなかったか?
むしろどうしてお前、あんな複雑な事件が解けたんだよ』
「それは……」
汐留なら”もしかして君が真犯人?”などと嘯くところ。
だが葉一は常識人である。御影が母の次に気を許せる相手だ。
色々と伝えたいが、どうしても口に出せないことだってある。
「その。何か、降りてきたっていうか」
『はあ』
信じていない反応。それも当然か、と御影は天井を仰ぐ。
何せ御影が無限に近い時間と感じていた……”回る万華鏡事件”。
あれはたった3時間程度の間の出来事でしかなかったのだ。
御影はその間に、3人の死の真相を解いた。
単純計算で言うと、今は5人分の殺人事件を暴いていないとおかしい。 - 56聖杯の魔女25/02/23(日) 19:45:59
「……赤き真実」
『ん?』
「まあその、やっぱり手掛かりが不充分です。
指紋に監視カメラ、アリバイ証言……刑事だって情報が大事でしょ」
『当然だ。むしろ探偵にこんな依頼してくる方がおかしいな。
当時の警察が匙を投げたなら、後は占い師にでも頼むしかないんじゃないのか』
スマートフォンをきゅっと握り締めて、御影は頷いた。
謎は解けるはずがない。だって、誰も真実を保証してくれないのだから。
そう思うと少しだけ安心する。
だがその時、外で大きな音が鳴った。
「きゃぁっ!?」
『うお、びっくりした。何だ急に』
「そ、外で今、何か壊れた音が……バキバキッて言いましたよ?」
『何か壊れたりもするだろ。この後は台風のピークなんだから』
「はぁ……あの。お兄さん」
『今度は何だよ?』
「私から返事がなくなるまで絶対に切っちゃダメですよ」
御影はソファーへ横になり、溜め息をつくのだった。 - 57聖杯の魔女25/02/23(日) 20:08:17
【御影が首の痛みと共に目覚めたのは、翌朝6時55分だった】。
喉の渇きを感じて起き上がる。部屋には夜通し明かりが点いたままだった。
「ん……」
スマートフォンが鳴る直前の起床である。慣れた手つきでアラームを削除。
次に、外の世界へと耳を澄ませてみる。
鎧戸の格子の間から、朝の目映い光が降り注いでいた。
雨の音も風の音もない。とりあえず暗黒の夜は越えたらしい。
簡単に手元で寝癖を直してから、御影は応接室を出ることにした。
「あら、御影様。おはようございます。お休みになれました?」
「……中西さん、おはようございます。おかげ様で何とか。
昨日、何だか凄い音しませんでしたか」
「しました、しました。外だと思うけれど……何か壊れてないかしら。
南部さんが見に行こうとしたので、必死に止めたんですよぉ」
事務所の前に中西がいた。【彼女も事務所内で音を聞いた】らしい。
一夜明けて吹っ切れたような気もするが、御影は一応突っ込んだ。
「南部さんって……?」
「あら、昨日は会われませんでしたか。当館の管理人ですよ」
昨日別館ですれ違った、不愛想な男。彼のことらしい。
とにかく朝はまだ早い。御影はとりあえず、応接室に留まることにした。
館長の東が出てきたら、暇を貰うつもりで。 - 58聖杯の魔女25/02/23(日) 20:26:05
「……物置、めちゃくちゃになってましたね」
「ええ。どうしたものかしら? あれは私じゃとても……
やっぱり後で、南部さんに見ていただかないと」
【朝9時00分】。
ソファーで二度寝というわけにも行かず、御影はうろうろしていた。
物置の扉が外圧で壊れているのを発見したのはその途上である。
コンビニで買ってきた菓子パンを食べ終わり、御影は腕を組む。
今日は美術館の閉館日。電車も復旧しているし、もう帰れる。
一晩悩んだ結果、御影の中では結論が出ていた。
”現状は父親と同じ結論しか出せない”。東の期待には沿えない。
とりあえず入館料をタダにしてもらったのと泊めてもらったのと、
その2つを以て今回の手打ちにしたいと思っていた。
150万円なんて、汐留の言う通り最初からなかったのだ。
そんな大金が事務所に入ったところで、彼が競馬に使ってしまうだけだ。
真実を導けないなら、潔く身を引くのもまた探偵。
もしかすると石英には何か見えていたのかもしれない。
でもそれはそれ。これはこれ。御影の近付ける真実ではなかった。
たったそれだけのことだ。だから、御影の心中は晴れやかだった。 - 59聖杯の魔女25/02/23(日) 20:40:12
そのことを話すと、中西は一通り残念がった。
しかし何せ20年も前のこと。御影の判断が正しいだろう、そう言った。
気掛かりなのは、館長が事務所に顔を見せないことだった。
彼は夜中の内に館長室に向かったという。
「館長室、なんてありましたっけ?」
「地下聖堂の東側に、小部屋があるでしょう? あそこが館長室です。
東さん地下が一番落ち着くっていつも仰るんですよ」
「あ、あそこにオフィスを……?」
全く理解出来なかった。あそこには電気すら通っていないはず。
聖堂内のハロゲンランプは全部コードで配線していたし、何という無駄。
絶対、そこの会議室辺りを潰して館長室にした方がいい。
そんなお節介もそこそこに、御影は顔を上げた。
「じゃ、館長室へ案内お願いしてもいいですか?
東さんにサッとご挨拶だけさせていただきます」
「もちろんですよ。それでは、こちらへ」
中西は愛想笑いを浮かべ、手で廊下の奥を指し示す。
売店横、通常の順路では地下からの出口となる階段だ。
御影は父の探偵カバンを片手に、地下へと向かうのだった。 - 60聖杯の魔女25/02/23(日) 20:59:57
朝にも関わらず、地下道は薄暗かった。
中西の話によれば大戦時から残存するというこの地下壕。
“聖杯”の曰くは深く聞けなかったが、建物自体は確かに古い。
2人が降りてくると、先に人影が見えた。
件の人物である男性、南部だ。
「あら、南部さん。こちらにいらしたんですね。おはようございます」
「……中西。東に連絡取れるか」
「はい?」
やはり彼の不愛想な感触は拭えない。
体格も良いし、警備員よりガードマンといった印象だ。あまり変わらないか?
さておき、中西はスマートフォンを取り出した。
何とこの男……今の時勢に携帯電話を持っていないのだという。
「出ませんね。鍵が掛かってるんですか?」
「昨夜は掛かってなかった」
「もしかして外に出られたのかしら。でも」
「……私たち、どちらか片方は受付付近にいましたよ。
東さんが上がってきたんだとしたら、相当早い時間です」
地下聖堂の扉は確かに閉まっていた。
開館時は開け放しているのが当然のこの扉。それが閉まっている。
……御影は、深呼吸した。 - 61聖杯の魔女25/02/23(日) 21:11:16
「あの。鍵穴から中を覗くって、出来ませんか」
御影は腕を組み、南部の顔色をちらりと伺う。
彼女の険しい顔を見て南部は返答した。
「俺はやらない。お前がやれ」
「……私も嫌です」
「お2人とも、何のこと?」
地下道に冷たい緊張感が走った。目を伏せる御影。
南部はこちらをしかめ面で睨み付けている。
ああ、そうだ。もしかしたら……と思ったけれど、そうは行かない。
言い出した者の義務。それを試すなら、自分だ。
御影は南部を押し退けるようにして、扉の前に出る。
そして、冷たい金属製のドアノブに触れた。
鍵は確かに掛かっている。だが扉は年代物。
恐らく……20年前当時のものを補修して嵌め込んでいるのだろう。
それなら、鍵穴も。同じだ。
「……っ、見ますよ」
多分、南部は御影よりも先に可能性へ至っていた。
だから瞬時に中の確認を拒んだのだ。
まるで盗みにでも入るかのように、御影はゆっくり膝を屈める。
鍵穴は大きい。息を呑み、彼女は視線を中へと送る。 - 62聖杯の魔女25/02/23(日) 21:24:35
「……えっ?」
上ずった声が飛び出る。御影は何度か目を瞬かせた。
背中に南部と中西の視線を浴びながら、何秒間かそうしていた。
「どうした。何が見える」
苛立つ声に両手を上げつつ、御影は扉から離れる。
それはまるで、信じられないものを見たといった顔で。
「え、えぇっと。私が言っても、信じませんよね……?」
「何?」
「物は試しということで……蹴破ってみませんか。この扉」
「ええっ!?」
今度は中西が素っ頓狂な声を上げた。無理もない。
だが、南部には言わんとすることが分かったらしい。
彼は2人に離れるよう言うと、扉から数歩離れた。
「行くぞ」
そう言い終わらない内に、彼の大きな身体が機敏に動く。
彼は堅い安全靴を履いていた。その爪先が扉にぶち当たり、穴を作る。
その穴から手を入れ、南部は中から鍵を開錠した。
用を為さなくなった扉が、彼の大きな手でゆっくりと開けられる。
次の瞬間、中西が更に大きな声を上げた。 - 63二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:26:56
そっち!?
- 64聖杯の魔女25/02/23(日) 21:35:52
「ああっ!? あれは……!?」
「……」
聖堂の中には、誰の姿も見えない。
だが確かに存在する。地下聖堂、その特等席。
誰が見ても見間違うことのない存在感を、台座から放っている。
「あれが……”聖杯”、ですか?」
御影に構うことなく、南部がずんずんと中へ分け入った。
それに続き、足をもつれさせながら中西が進む。
御影は腕を組んだまま、それを慎重に見守った。
聖堂奥の台座の上に、銀器が置いてある。杯だ。
天窓から日差しを受けて、鈍い光を反射させている。
……確かに、この存在感。人々が”聖杯”と呼ぶのも頷ける。
南部は触れはしなかったものの、じっとそれを見つめていた。
次に視線が行く場所。それは聖堂東の、館長室であった。
「ここも破れというのか」
「お任せします。私には出来ないので」
「……」
「中西さん。【館長室の鍵は東さんしか持っていない】……ですよね?」
「は、はい」 - 65聖杯の魔女25/02/23(日) 21:50:39
「南部さん……やらないなら警察を呼びますが、いいですか?
どの道、彼らが押し破ることになりますけど」
御影がまだ言い終わらない内に、鈍い衝撃音が響いた。
南部が館長室の扉へ身体を打ち付けたのだ。
恐らく、館長室の扉は地下聖堂より堅牢。脚では開かない。
「な、南部さん……」
「むんっ! ぐぬぅっ!」
御影は冷静であるよう努めた。まずは聖堂内の確認だ。
中西はただ呆然と見守っているように見える。聖堂内に他の動きはない。
御影が扉付近に突っ立っているのには、理由があるのだ。
鈍かった音が次第に甲高い破壊音に変わっていく。
その時が訪れるに当たって、御影は呟いた。
「聖杯が……戻ってきた……」
一際大きな音が鳴り、何かが倒れた。扉の蝶番が壊れたのだ。
中西が言葉を失う。南部がその場に立ち尽くす。
そこには、東がいた。館長室の中心で、東が倒れていた。
力なく横たわる彼の、焼け爛れた顔。
口元には炭とも煤とも取れない黒い凝固物。
そして、部屋全体に描かれた……古き魔法陣。
足下に落ちているのは、2つの鍵。
“聖杯帰還事件”が、ここに幕を開ける。 - 66聖杯の魔女25/02/23(日) 21:59:10
……いやはや、長かったですね。
人1人死ぬのに段階を踏み過ぎなんじゃないですか?
【地下室で男が死んでいた】
【部屋には鍵が掛かっていた】
【中には誰もいなかった】
これだけで充分なのに!
まあ、我らの探偵様には下準備ってやつが必要なのです。
どうもゲーム盤を楽しんでいただくどころか、
自ら降りてしまわれる気だったようですからね。
当然、逃がしませんよ? - 67聖杯の魔女25/02/23(日) 22:07:38
- 68聖杯の魔女25/02/23(日) 22:19:08
- 69聖杯の魔女25/02/23(日) 22:41:30
「そもそもお前、平然とし過ぎじゃないか?
昨日の午後まで話してた相手があんなことになってだぞ」
「……動揺してないと言えば噓になります。
まさかこんなことになるなんて思ってませんでした。
だけど何か、必然的なものを感じるというか……」
「何だそりゃ」
「とにかく。邪魔はしませんから、捜査を進めてください」
巡査や鑑識が忙しなく動く中、2人は地下聖堂にいた。
嵐の直前だった昨日と違い、日中の地下聖堂は随分明るい。
天窓から降り注ぐ光だけで全体が判別出来るくらいだ。
眠そうな葉一の目が、従兄から刑事に戻る。
「【死体の第一発見者は御影、中西、南部の3人】か。
その間、【地下聖堂・館長室の中には3人以外の誰もいなかった】と」
「【館長室も地下聖堂に含めてしまっていい】でしょう。
【館長室に出入りするためには必ず地下聖堂を通る必要がある】。
密室突破後、私はずっと扉で見張ってました。
中には結局私たち以外の誰もいませんでしたから、これは確定です」
「地下聖堂に入るには、あの扉しかないのか?
【台座の真上に天窓がある】が……」
「あの天窓ですが、【大きさはマンホールくらい】ですね。
でもさっき確認したところ【天窓は嵌め殺し】でした。
【中の状況を確認することは出来ても、通過は不可能】でしょうね」 - 70聖杯の魔女25/02/23(日) 22:51:28
「……隠し扉の可能性は?」
「それは警察の皆さんで、虱潰しに調べてください」
前回の1件がある。御影もその可能性には注目せざるを得なかった。
何より【20年前の事件後、地下聖堂には改修が入っている】。
その最たるものが館長室の拡張になるだろう。
【電源が引かれているのは館長室の中だけ】。
【地下聖堂の内部にいても外部との電波は通る】らしい。
御影が思っていたほど不便なオフィスではなかったのかもしれない。
御影が出口を見張ったのは【地下聖堂の柱に隠れる余地がある】からだ。
何しろ彼女は一晩中、20年前の事件について考えを巡らせていた。
あらゆる可能性を考えたが、最も簡単な方法。
それは部屋を施錠してどこかに隠れ、発見者の目を盗んで逃げること。
そんなもの密室でも何でもない。ただ、可能性としてはあり得た。
これが念頭にあったから、御影は出口を塞いだのだった。
「次に館長室についてだが……確かに【館長室も施錠されてた】。
これで扉を破った南部が嘘を付いていた線は消えるな」
「どの道、地下聖堂の扉を潜らなければ外へは出られないんです。
ただこの2重密室……何か引っ掛かるような」
「類推も憶測も後だ。とにかく、【東は死亡していた】。
【地下聖堂と館長室、どっちの鍵も東の足元に落ちてた】。
後は……【館長室には魔法陣が描かれてた】。これは何なんだ?」
「さあ。今のとこ、確かなことは言えません」 - 71聖杯の魔女25/02/23(日) 23:03:21
「【東の死因は火傷、または頭部外傷】と報告を受けてる。
【頭部を執拗に殴打されていた】。かつ【身体を満遍なく焼かれてる】。
だが【それらしい凶器は館長室内に見当たらない】な」
「……20年前の事件と同じです」
「そうか。次に重要な証拠は……」
「地下聖堂内の指紋ですね。まず、【鍵には東さんの指紋しかなかった】」
「ああ。それと扉のドアノブに関してだが、
【地下聖堂の扉には御影と南部の指紋が付いてた】。
【館長室の扉には東の指紋以外付いてなかった】……」
「……」
類推も憶測も後。そうは言っても考え込んでしまう。この違いは一体?
だが、ここで悩んでも答えは出そうにない。
指紋は消そうと思えば消せるし、そもそも付けないことだって可能だ。
「じゃあ、最後に……アレの話ってことになるが」
「です、ね」
御影と葉一は腫れ物に触るような生温かい視線を、それに向ける。
台座の上に鎮座する、聖杯だ。 - 72聖杯の魔女25/02/23(日) 23:18:40
「何なんだありゃ? 本当に日中はなかったってのか」
「間違いありません。【聖杯は日中は存在しなかった】です。
【嵐の夜の間に出現した】……ってことになりますね」
「調べたが、【聖杯にも台座にも指紋は付いてなかった】ぞ。
ていうか【聖杯は汚れてるしあちこち傷付いてる】。一体どうしてだ?」
「元々そうだったのかどうか。東さんでさえ分からないかもですね」
「現場にあれを置いてくってのはどういう神経だ? 何か意味があるのか」
「分からないって言ってるじゃないですか」
「じゃ、アレの情報はほとんど何もないってことになるが」
「”分からないということが分かった”。それだけで充分です」
「……お、探偵っぽいこと言うじゃないか」
「まあ。はい」
誰が、何のために、どうやって。御影の胸中に、その3語が躍った。しかしまだ情報が足りない。
【この謎はあらゆる情報を引き出して、やっと解けるか解けないか】。そんな印象を抱いた。
「……ここに籠ってても仕方ないな」
「次は事情聴取ですね。それなら、私に任せてくれますか」
行き交う警官たちは全員思っていた。どうしてあの探偵、当然のように捜査に加わっているんだろう。 - 73聖杯の魔女25/02/23(日) 23:36:53
「しかし、台風一過ってやつか……日差しが目に染みるぜ」
「ここからの調査は重要ですよ。気を抜かないでくださいね」
「現場2回目のガキに言われたくねえよ。
お前を使ってるってのがバレたら俺も結構ヤバいんだからな?」
「その割には堂々としてるけど……」
一通りの作戦会議を終えて、刑事と探偵は動き出していた。
警官たちから続々と上がってくる情報。
それらを聞くに、事件は地下だけではない。地上でも起こっているらしい。
「……こうして見ると、案外複雑だな。ここの構造」
「外壁もそこそこに、本館と別館の2棟構造ですからね」
「とりあえず、【正門も通用口も通れた】んだな?
だが【受付前の自動ドアは一晩中閉まってた形跡がある】と」
「はい。そして【館内の扉には3種類ある】ことが分かりました。
1つは鍵がなくても通行出来る扉。
もう1つは事務所に鍵が保管されている扉。
最後は警備室に鍵が保管されている扉……ですね。ようです」
「【同じ種類の鍵があれば、どの扉も開けられる】。不用心だな……」
「【朝、警備室保管の鍵は所定の位置にあり、指紋は付いていなかった】。
対し【朝、事務所保管の鍵はなくなっていてまだ見つかっていない】って話です」 - 74聖杯の魔女25/02/23(日) 23:51:23
「なあ……これホントに事件と関係あるのか?」
「むしろどうして関係ないことがあり得るんですか。
各容疑者のアリバイに関わるんですよ」
「監視カメラの情報があるだろ? あれだけで解決しないのか?」
「だーかーら。そんなに単純な話じゃないって言ってるんです。
【監視カメラが付いてたのは地上だけ】。しかも【たった4ヵ所】ですよ。
果たしてカメラの情報だけで推理が可能か、確かめる必要があります」
「……マジかよ」
「カメラの監視範囲を図に起こしてみました。それがこれです」
「主要な犯行ルートは塞いでるように見えるけどな……」
「【各通路に仕掛けられた監視カメラに死角がない】のは確かです。
でも【監視カメラは図上の壁を透視は出来ない】。この範囲だけです。
【監視カメラの記録は夜の間、一度も停止していません】でした。
私の見た限りでは【映像が改竄されたりすり替えられた形跡もない】です」
「ちょっと寝てきていいか?」
「ダメに決まってるでしょ。事情聴取の間、私を守ってください」 - 75聖杯の魔女25/02/24(月) 00:07:17
「とにかく、出入り出来る場所はこれで終わりか?
壁を越えたり隠し扉があったりは?」
「犯行時刻付近は台風のピークですよ。
【外壁を乗り越えるなんてことは無理】です。
それに、【24以上の数の扉は使われていない】ですね。
つまり【扉は図に載っているものが全部】ってことになります」
「……この物置については?」
「【物置は朝の時点で破壊されていました】。
台風のせいなのか、誰かが意図的に壊したのかは分かりません。
中はビショビショになってましたけど立ち入りは可能です」
「なるほど、【物置内の全ての指紋は判別不可能】か……厄介だな。
こんだけの数の備品があって、自由に犯行に使えたってのか?」
「えぇっと……物置の中にあったのは、【バール、ドライバー、精密ドリル、金床、ハンマー、ニッパー、レンチ、やすり、ピンバイス、セメント、珪砂、ケーブルカッター、チェーンソー、ニス、十徳ナイフ、ワイヤー(10m)、灯油、酢、シリコンオイル、サンドペーパー、磁石、カセットコンロ、プロパンバーナー、鉈、塩ビパイプ、糸鋸、石膏、ピンセット】。
これだけ道具があれば家だって建ちそうですね」
「【これ以外の備品は記録上にない】、か。
つまりいくつか犯人に使われてたとしても、律儀に戻したってことになるな」
「南部さん、教会の保全に命を懸けてたそうですからね。
こんな危険物まで外に置いとかない方が絶対良いのに……」
「とりあえず、地上の情報としてはこんなところか」 - 76聖杯の魔女25/02/24(月) 00:32:59
2人は応接室に入った。昨晩御影が身体を休めた場所である。
現在、容疑者はそれぞれの部屋で待機させている。当然監視付きで。
各容疑者の待機室は、各々が昨晩いたはずの部屋に対応している。
【中西要は事務所】。
【南部伸司は警備室】。
【北野肇は資料室】。
そして、【汐留康一は宿直室】である。
「……おい。汐留のオッサンも容疑者なのか?」
「仕方ないじゃないですか。アリバイがないんだから」
「そうは言ってもな。疑う余地なんてあるか?」
「現状、死体発見現場にいなかった人の方が怪しいです。
まあ大方、あの人はひっくり返って寝てたんでしょうけど」
「平等に扱わないわけにも行かないか……。
しかしお前、あの人に事情聴取がちゃんと出来るのか」
「葉一さんがやるより確実です。私は情けなんて掛けませんから。
あの人に疑いが残る以上、徹底的に追求するつもりですよ」
「うーん……」 - 77聖杯の魔女25/02/24(月) 00:59:33
「やあ御影ちゃん。東さんの件は残念だったねぇ」
ぬぼーっとした面持ちで、汐留はあくび交じりに言い放った。
どこも残念そうに見えない。ばかりか、現況を把握しているのかも曖昧だ。
聞くところ、警官が呼びに行くまでずっと寝ていたらしい。
この緊張感のなさ。犯人だろうがそうでなかろうが問題である。
「単刀直入に聞きます。あなた、犯人なんですか?」
「だったらどうする? 探偵事務所は終わりだなぁ」
「質問に応えなさい!」
「いや、御影ちゃんに尋問される日が来るなんて思わなかったよ。イサさん何て言うかな? ハハハ」
最初から高圧的な御影の様子に、葉一は溜め息をついた。
彼女を刑事にしてはいけない理由はこの辺にある。
時たま、自分の推理や思考に固執して周りが見えなくなるのだ。
「オッサン、その辺にしとけ。これは事情聴取だ。
昨日あったことを述懐してくれればいい」
「昨日かぁ。22時頃はテレビを観てたよ。
それがつまんなくて、日付が変わる前には寝ちゃったなぁ。酒もタバコもなくて辛い夜だったよ……」
「……私が今、どんな気持ちであなたの前にいるのか。それすらも推理出来ないんですか」
「御影……」
「犯人じゃないって、言ってください」 - 78>>125/02/24(月) 01:03:46
御影の真剣な面持ちを、汐留は正面から受け止めた。
頭を振る葉一。しかし御影は止まらない。
「頼みますよ。何か1つでもいいから、有益な情報を……。
あなただってあの馳河石英の助手だったんでしょ?
この状況で思うことなり出来る推理なり、あるはずじゃないですか」
「有益な情報? うーん。あぁ、警備員の人に会ったよ」
「! いつ……?」
「いつだろう。寝た後トイレに1回起きてさ、その時トイレの中で会ったのよ」
「寝た後。ってことは、日付が変わった後か」
「……」
御影は更に表情を険しくした。それを見て、汐留は思わず吹き出す。
「はっはっは。御影ちゃん、下手だねぇ。
そんな顔するってことは、犯行時刻は日付が変わる前かな?」
「! そ、そんなこと」
「いいのいいの。誰にも言わないから。でも他の容疑者の前でやっちゃダメだぜ」
「……」
「探偵ってのは、どんな時もポーカーフェイスで行くもんさ。
そんなんじゃ先が思いやられるぜ」 - 79>>125/02/24(月) 01:16:42
「まさか、こんなことになるなんて……」
次の事情聴取は中西が相手となった。
壁を背に見守る葉一。御影は咳払いをしてから話し出す。
「こういう事件の時は、みんなそう言うものです。
今から聞かれたことだけ答えてください」
「……ええ」
「昨日の夜、22時以降の動静を知りたいんです。
何をしていたか簡潔に教えていただけますか」
「22時ですか。そうね、その辺りまでは仕事を幾つか。
やってる内に、南部さんが事務所に入ってきましたよ」
「彼とは何を?」
「台風が過ぎた後の話なんかを少々。
あぁ、外から大きな音が聞こえたのもこの時でした」
「! その時、南部さんは事務所にいたんですね?」
「はい」
外からの物音。御影が聞いたのと同じものだ。
だとしたら、時刻は22時15分頃になる。
「……その後は?」 - 80聖杯の魔女25/02/24(月) 01:22:54
「23時前には仕事を切り上げたと思います。
寝ようと思ったけれど、コーヒーを飲み過ぎてしまって。
その後2回ほど、お手洗いに寄りましたね」
「それを証明出来る人は……いるはずないか……」
頬杖を突く御影。一番知りたい時間帯なのに。
当然、全ての行動の時間を正確に記憶している人間などいない。
むしろそっちの方が犯人としては疑わしい。
だが、悩む彼女に中西は言った。
「これ、証拠になりませんか? スマートウォッチのデータです」
「えっ」
「睡眠時の途中覚醒や心拍数を記録していますから。
これを見ると……22時45分頃と、23時45分頃になっていますよ。
どうでしょう。ちょうど2回ですし、お手洗いに行った時間帯として」
「……」
「まあ、参考にはなるな。
手堅い証拠とは行かないが、偽造も難しいし」
葉一が助け船を出した。御影は考える。
中西の在室は、他の容疑者より重要な情報になり得る。
問題となるのは事務所で保管していた鍵。
朝にはなくなっていたそれを、誰がいつ取っていったのか?
もしかすると、事件解決を左右する情報かもしれなかった。 - 81聖杯の魔女25/02/24(月) 01:32:15
「……言うことはない」
「それじゃ困ります。逮捕しますよ」
「お前に逮捕権はないぞ」
今日はどうも突っ走りがちな御影だった。葉一は溜め息をつく。
事情聴取は折り返し地点。次の相手は南部となる。
鉄面皮という言葉が相応しいそんな彼は、厳つい顔で御影を睨んだ。
「まだ謎は解けないのか」
「……南部さんの協力次第ですね。昨日、22時以降どこへ?」
気圧されそうになるが、さすがに普段通りの御影ではない。
殺人事件の捜査とあっては、簡単に引き下がってはいられないのだ。
「2回、見回りに出た」
「見回り……パトロールですね。いつといつ?」
「22時00分。0時00分」
「……」
思ったより正確な時間が出てきたので、御影は目を丸くした。
しかしさっきの言葉。”探偵はポーカーフェイスであれ”を思い出す。
事情聴取で逆に情報を引き抜かれては目も当てられない。
手帳にメモを取りながら、彼へと視線を戻す。 - 82聖杯の魔女25/02/24(月) 01:41:57
「やけに物覚えがいいような。いつも決めた時間に?」
「ルーティーンだ。5年間欠かしていない」
「そりゃ凄いな……じゃあルートも決まってるってわけか」
「警備室から順路を逆に辿る。22時15分、中西と会った」
「ふむ。その後は……地下聖堂の前を通りましたね?
あなたは今朝、”昨夜は掛かってなかった”って言いました。
地下聖堂の鍵に関してです。開けたんですか」
「開けた。22時45分。東と会った」
「なっ……」
思わず葉一に視線を送る御影。彼も眉をひそめていた。
22時45分といえば……東の殺されるほとんど直前ではないか。
この人はかなり物覚えがいい。供述が本当なら、事件の核心となる情報を握っているはずだ。
「彼と、何の話を?」
「お前について」
「……えぇっ、と」
「それ以外は特にない。23時30分、警備室に戻った」
イレギュラーな来訪客ではあるし、話題に上るのも頷けない私ではない。
しかし死んだ人が直前に自分の話をしていたというのは意外だった。 - 83聖杯の魔女25/02/24(月) 01:51:16
「そ、その後は……0時00分にまた警備室を出たわけですか」
「0時15分、受付で中西を見た」
「今度は、地下聖堂へは?」
「入っていない。さっきは用があるから入っただけだ」
「……誰かに会ったりは?」
「1時00分、男に会った。トイレで」
供述が繋がった。男とは、ほぼ間違いなく汐留のことだ。
彼の水も漏らさぬ供述は中西・汐留と繋がっている。
あまり飾らない性格の南部。どこまで信じたものかはむしろ難しい。
「それ以外、何か気になることはありますか?」
「……」
「あ、あの」
「聖杯」
「え」
「あれは、聖杯ではない」
低い声が応接室に響く。それで彼への事情聴取は終わった。 - 84聖杯の魔女25/02/24(月) 02:01:20
「いやあ、違うんですよ刑事さん。ホント何も知らないんですって」
狼狽した声音で、北野はフニャフニャと回答した。
彼の目には正面の御影より、入り口前の葉一ばかり映るらしい。
それが腹立たしくてつい言い方がトゲトゲしくなる。
「他の方は協力してくれましたよ? あなたのアリバイをどうぞ」
「そう言われても……ずっと寝てたからさ。資料室で。
何も言えることなんてないんだよ。なあ?」
“なあ”ではない。
何も知らないで済まされるほど自分の取り調べは甘くない。
そんな風に構える御影の横で、葉一は冷静だった。
こういうタイプは追い詰めても何も出ないどころか、口八丁を試みる。
無駄な情報のノイズを撒き散らされては捜査に差し障るのだ。
「一晩中寝てたと、そういうことでいいんだな?」
「あ、ああ……そうだよ。外は嵐なんだぜ? 当然じゃないか」
「ま、いいだろ。そういうことにしといてやる」
「ちょっと……っ」
「ただし、供述は供述だ。その証言には責任が伴う。忘れるなよ」 - 85聖杯の魔女25/02/24(月) 02:14:18
「……最後の、甘過ぎませんか」
「お前がキツ過ぎるんだよ。聴取は尋問じゃねえんだぞ」
「いたっ」
額を小突かれ、御影は葉一を睨んだ。
隣に座ってくる彼から露骨に距離を取り、頬を膨らませる。
「だけど、どうするんですか。1人だけ時間表がスカスカですよ」
「だな。でも痛め付けて吐かせるってわけにもいかないだろ。
今出てる情報から推理を進めるしかないんじゃないか?」
「まあ……思ったより収穫はありましたね。特に南部さんの情報」
「ああ。監視カメラと組み合わせると、結構確度は高いな」
ひとまず、出来上がったタイムライン。
他の情報と重ねれば、容疑者を絞ることも不可能ではない。
御影はちらちらと葉一に目をくれながら言った。
「これで、推理に必要な情報は集まりましたか?」
「俺に聞くなよ。まだ部下の方はあれこれ調べてるんだからな」
「うーん……」
警察は物証を挙げることに躍起になっている。
だが……この事件は複雑怪奇。それほどの分かりやすいものが、出てくるのかどうか。 - 86聖杯の魔女25/02/24(月) 02:28:32
「俺はもう一回下へ行ってくる。お前は少し休め」
「ちょっと……そんな、そっちほど疲れてませんよ」
「顔に出てるんだよ。水か何か持ってきてやるからさ」
「うっ」
ポンと肩を叩かれて、身体から力が抜けた。御影はソファーの背もたれに深くずり落ちていく。
実は、さっきから頭が痛いのだ。
「……っ、何で」
葉一に比べれば睡眠は取っている。カロリーも水分も問題ない。
しかしこの割れそうな頭の痛みは、一体?
まるで何かにこじ開けられそうになっているような……。
考えれば考えるほど、謎の深みにハマっていく。
“聖杯記念教会”と美術館の関係。
突然、自分を招いた被害者・東。
彼はその日の夜に殺された。しかも20年前と同じ形で。
いや、同じではない。”聖杯”の存在がある。
かつて在るべき場所から消え……そして、無いはずの場所へ帰ってきた。
この器は事件と関係があるのだろうか?
東は、中西は、南部は、北野は、何が目的で動いている?
果たして誰が犯人なら全てが矛盾なく繋がるのか?
グルグルと始まる眩暈に、御影は口元を押さえた。 - 87聖杯の魔女25/02/24(月) 02:40:25
「う……っ」
不可能密室。
魔法じみた犯罪。
解けない謎と悪意。
魑魅魍魎のゲーム。
際限ない無限の否定。
取り返しの付かない過去。
闇と叡智が集う、混沌の場。
ぐにゃりと視界が歪み、頭痛が頂点へと高まっていく。
意識が……連れ去られようとしている。
その感覚には覚えがあった。
星神幻蔵。
親友の綺麗な死相。
今なお耳につく高笑い。
噴き出て飛び散る血。血。血。あの時と一緒だ。
この事件は魔法であるのか? そうでないのか?
何もかもを暴いたら、そこには何が残るのか?
激しい耳鳴りが悲鳴に、そして甲高い笑い声へと変わっていく。
御影は何ら抵抗出来ず、ソファーへ倒れ込んだ。
「待っ……て……」
ダメだ。このままじゃ、また……私は。
魔女に、弄ばれる――――― - 88聖杯の魔女25/02/24(月) 02:44:23
- 89二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 09:08:44
時間じゃない上にあんまり関係ないこと聞いてごめんだけど
登場人物全員の名前の読みを教えてもらえないかな
石英さんってなんて読むのとか東さんはアズマなのかヒガシなのかとか… - 90聖杯の魔女25/02/24(月) 10:21:49
- 91聖杯の魔女25/02/24(月) 10:45:56
さてさて……皆様、大変お待たせいたしました。
改めまして"聖杯の魔女"と申します。
まず、今回のゲーム盤についておさらいと行きましょう。
皆様が解明しなくてはならない謎。
それは"聖杯帰還事件"の真相でございます。
【嵐の夜、東が殺された】。
【館内にいたのは御影、汐留、中西、南部、北野の5人】。
【地下聖堂は施錠されていた。中の館長室も施錠されていた】。
【扉の鍵は両方、東の足元に落ちていた】。
そして、【日中は存在しなかった聖杯が、地下聖堂に出現していた】。
なんともはや怪奇なる事件でありましょうか?
俺はこれを"20年前に姿を消した魔女の再臨が具象的に現された状況である"と主張します。
……まあ要するに、魔法だってことです。 - 92聖杯の魔女25/02/24(月) 10:46:33
そんな謎を解くため、今から皆様にはあるルールへ従っていただきます。
すなわち【探偵と共に謎を解く】こと。
【彼女の推理を補佐し、完全なる真相を導くことが皆様の役割】です。
まあ探偵を飛び越えて解いてしまわれても構いませんがね? ふふ。
何しろ俺はこの事件の当事者。聖杯の魔女です。
犯人の証言を何から何まで信じてしまう探偵なんていないでしょ?
だから皆様には、複合的な情報を積み重ねて真相に迫っていただきます。
さっそく、今回のメインゲストをお呼びしましょう。
なおかつ彼女が皆様をもてなすホストとなります。
今回もお手柔らかにお願いしますよ? ふふふ。
それではどうぞ。
“回る万華鏡事件”を解明した名探偵・馳河御影さんです。 - 93馳河御影25/02/24(月) 10:47:26
頭が……痛い……っ……
ここ、は……?
まさか……!? - 94聖杯の魔女25/02/24(月) 10:51:23
【今から行うゲームにおいて、魔女は皆様に答えません】。
この探偵様が人柱となってくださいます。
ま、こないだと同じですよ。
【御影さんは事件の真相をご存知ありません】。
【この世界の真実も承知なさっておりません】。
そのため、【御影さんの出せる赤き真実には限界がある】ことをご承知おきください。
彼女が知らないことは確定情報として扱うことが出来ない……ってワケです。
とりあえず、気になることを何でもぶつけてみたらいかがですか?
果たして皆様の濁流の如き疑問に、彼女が応え切れるのかは知りませんがね。
ふふふ。 - 95馳河 御影25/02/24(月) 10:53:15
聖杯の、魔女……!
ってことは、やっぱり。また……。
……そんな気はしてた。
でも、まさかもう一度、こんな狂った役割をやらされることになるなんて……。
やるしか、ないの? - 96聖杯の魔女25/02/24(月) 10:58:01
……あ、そういや忘れてた。
これがなきゃ始まりませんよね。
【御影たちが踏み込む前、地下聖堂及び館長室はベアトリーチェの密室定義を満たす密室空間である】
久しぶりの完全密室じゃないですか?
"実は密室じゃない"って話が続きましたからね。もう沢山です。
ってことで、今からゲーム開始です。
復唱要求でも青き真実でも、我らが探偵様にぶつけてしまってくださいませ! - 97二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:01:51
御影さん、こんにちは。お久しぶりです。
真相を究明するお手伝いをします。
とりあえず前提を確認したいので、復唱をお願いします。
「馳河御影は探偵」
「汐留康一は探偵」 - 98二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:03:35
とりあえず青文字
ベアトリーチェの密室定義のことを考えると無理のある青もあると思うけど、あくまで「踏み込む前」の話で、死亡時については言及がないから一応ね
『男を自殺に誘導』
『男を事故死に誘導』
『ガスを用いた犯行』
『未知の経路を用いた』
『人間以外による犯行』
『未知の仕掛けを用いた犯行』
魔女をリザインさせるにはこんな青文字じゃ片手落ちもいいとこだけど、リザインを狙わなくていいならこれで充分でしょ
探偵さんが否定できないならできないでヒントにはなるし - 99二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:09:48
事件じゃなくてゲーム盤のほうだけど
「目標の一つは犯人の特定である」
「ここは高速回転している御影の頭の中なので時間経過はない、
それ故に警察からの追加情報は無い」 - 100二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:14:54
復唱要求
「馳河御影は、6月20日から現在までの既出の赤き真実をすべて認識できている」
上記を復唱できない場合、再度復唱要求
「馳河御影は、これまでの赤き真実の提示を希望する」 - 101馳河 御影25/02/24(月) 11:19:55
え、えぇ……? 急に、何ですか。
すみません、まだ頭が回ってなくて……。
【私も汐留さんも馳河探偵事務所に所属する"探偵"です】よ。
事件に関係ありますか? それ。
大量ですね……ただ、こないだよりは私も調べてきてます。
答えられそうなら対応します。
【館長室の中に自殺の形跡は残ってなかった】です。
【東さんに事故死の徴候は見られません】でした。
【館長室内にガスを発生させる器具はなかった】です。
未知の経路……は密室定義がある以上、使えませんね。
人間以外の犯行……は正直、現段階だと分かりません。
未知の仕掛け。例えばどんなものですか?
捜査に加わってる以上、それじゃ私の納得だって行きません。
……ちょっと考えてることがあるので、後で話します。
ただ、ここに呼ばれたってことは【現実の時間は停止している】んでしょう。
まともじゃないですよ、こんなの……。
6月20日から現在までの全ての赤き真実……ですか。
【はい、それなら分かってる】つもりです。
個別の真実については都度確認していただいて結構です。
- 102二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:32:36
魔女が拒否しても御影さんなら…ってことで
復唱要求というより質問「汐留康一、中西、南部、北野、御影石英の名前をどのように読むかを教えてください」 - 103二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:32:54
はい、必要な復唱です。復唱して赤き真実にできれば、余計な疑いをかけずに推理をよりスムーズに進められるかもしれませんよ。
なぜなら
【この物語において、探偵は犯人ではない】
【探偵が偽証したり、犯人に協力するといったことはない】
【このルールは、物語中において探偵である全人物に及ぶ】
という赤き真実がすでに魔女から提示されているからです。
ただし、この探偵という言葉が示すのが、ただの職業としての探偵でよいのか、このゲーム盤における役割を示すのかはいまだ不明です。
というわけで、もう一度復唱要求です。
「馳河御影は探偵」
「汐留康一は探偵」 - 104二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:36:06
「聖杯の汚れは泥汚れである」
「警察が来るまで駐車場は空、車も自転車もその他も無い」 - 105二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:38:14
繰り返しになるけど、【密室定義を満たしているのは、御影たちが踏み込む前】の話でしかないから、真に重要な《館長の死亡時〜死亡直後》に密室定義を満たしていたかはわからない
まあ要するに【館長室内にガスを発生させる器具はなかった】ことは『気体の何かが事件に関与している』可能性を否定しきれてはいない……と思う
もちろん(思い出したくなかったらごめんだけど)【東の死因は火傷、または頭部外傷】【頭部を執拗に殴打されていた】【身体を満遍なく焼かれてる】わけだから、ガスで全て説明できるわけじゃないけどね
それに《未知の経路……は密室定義がある以上、使えませんね》が赤になっていない
『未知の経路が事件に関与している』可能性もなくはないのかな?
あと《未知の仕掛け》に関してはごめん
これは様式美みたいなものなんだ
「未知の仕掛けが介在する余地はない」とか復唱してもらえたら楽なんだけどね - 106二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:52:16
「建物に2階は無い」
「鍵の複製は不可である」 - 107馳河 御影25/02/24(月) 12:00:08
あー……えぇっと……その……あの。
【私、全員の正確な名前の読み方が分かりません】。
シオドメコウイチ、ナカニシさん、ナンブさん、キタノさんで合ってると思うけど。
下の名前まではちょっと……名刺にフリガナ、書いとくべきですよねぇ……。
全員分のを貰ってるワケでもないですし。
定義の話なら、私に復唱は無理です。
あの魔女がどう弄ってるものか想像付きませんし。
どうしても復唱してほしいなら言いますけど。
馳河御影は探偵である!
汐留康一は探偵である!
……ほら、赤にならないじゃないですか。
こういう結果になるなら復唱したって逆効果だと思いますよ。
【聖杯は泥で汚れてるわけじゃなかった】です。
【濡れてもいなかった】ですし。
あれは硫化してるって言うのかな? 【材質は純銀】みたいですし……。
うーん……まあ、そうですよね。
隠し通路もデストラップ?も可能性は排除したいところです。
【地下聖堂へ入るには必ず、地下道からの扉を通る必要がある】!
【私の知らない道具や設備を使った犯行はない】!
もうここは既定路線にしちゃいましょう。
- 108馳河 御影25/02/24(月) 12:00:28
【美術館の本館・別館に2階はない】です。
【屋根裏に人が通った事実もない】と思います。
【複製された鍵も存在しない】です。ベアトリーチェの密室定義がありますから。
……あの、色々言われてますけど、あなたたちに変な配慮とかされても困ります。
私、大人ですから。それに【私、探偵ですから】。
ちゃんとそういう認識で見てくださいね?
- 109二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:05:09
馳河石英と馳河御影さんの読み方が抜けていますね
「馳河石英と馳河御影の名前のふりがなを教えてください」
あるいは
青「馳河石英のふりがなは はせがわいしふさ である。長谷川御影のふりがなは はせがわみかげ である」 - 110馳河 御影25/02/24(月) 12:08:01
- 111二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:12:45
「聖杯の汚れは石膏(硫化カルシウム)によるものである」
- 112二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:15:21
事件発覚後、事務室の鍵がみつからないそうですが、「事務室の鍵であけられる扉はすべて解錠された状態だった」のでしょうか?
- 113二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:15:23
「東の読みはアズマである」
「東の読みはヒガシである」
職員さんたちが呼んでたからこれは分かりますよね - 114二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:16:35
まさか【地下聖堂へ入るには必ず、地下道からの扉を通る必要がある】に【私の知らない道具や設備を使った犯行はない】とこの段階で言い切れるとは……
【館長室も地下聖堂に含めてしまっていい】【館長室に出入りするためには必ず地下聖堂を通る必要がある】と組み合わせると、「未知の経路は使用されていない」可能性が俄然高くなってきたように見える
一応《出入りする》とか《入るには》を咎める屁理屈を言えば、『館長室から出ることのみできる未知の経路が存在する』とか『地下聖堂から出ることのみできる未知の経路が存在する』とか言えはするけど……
「私の知らない道具や設備には、未知の経路が含まれる」とか言われると破綻するし、この線は無さそうかな? - 115二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:20:57
「地下聖堂から出るには必ず、地下道からの扉を通る必要がある」
- 116二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:21:32
「事務所の扉の鍵で開く扉は全てが両側に鍵穴のみであり、つまみなど鍵以外で開錠・施錠できる手段は存在しないものである」
- 117馳河 御影25/02/24(月) 12:24:17
何とも言えません。化学的に検証してみないと。
でも今は無理だし、私も理系じゃないですからね……
【事務所の鍵で開けられる扉は、朝の時点で全て施錠されていました】。
【警備室の鍵で開けられる扉も、朝の時点で全て施錠されていました】。
ただ覚えておいてほしいんですけど……
【どの扉も内側からなら鍵不要で開け閉め可能】です。当然ですよね。
でなきゃ北野さんは資料室から出られません。
それに【オートロックの扉は1つもありません】でした。
【みんなアズマさんまたはアヅマさん】と呼んでましたね。
ただこれ、関係あるんでしょうか?
一方通行の隠し通路、確かに可能性としては……はぁ。残ってましたね。
【地下聖堂から出るには必ず、地下道からの扉を通る必要がある】。
これで間違いないです。
- 118二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:28:40
普段施錠していて、しかも資料棚なんかで手狭そうな資料室よりも、普段施錠の必要なく寝るスペースも確保しやすそうな会議室の方が宿泊するには適していると思うんですが、
「北野が会議室ではなく資料室に宿泊する理由があった」かどうかわかりますか? - 119二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:36:13
しつこいようだけど安心したいから聞きます
「《私の知らない道具や設備》には、未知の経路が含まれる」
定義の話ではなくあなたの認知(どこまでを含むつもりの発言だったか?)の話なので、理論上は赤くなりうるように思います - 120二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:36:34
「地下聖堂に死体以外の異臭は無かった」
「地下聖堂の形は地図で示されたとおりであった」
「聖杯にバリのような跡は無かった」 - 121二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:39:29
完全に興味本位なんだけど「観客の順路に地下道は含まれる」?
- 122馳河 御影25/02/24(月) 12:42:04
【資料室では書架だけじゃなく、美術品の保管もしてました】。
【実質的に、学芸員である北野さんのオフィスになってた】みたいです。
あの人にとっては居心地の良いねぐらだったんでしょうね。
普段、鍵の開け閉めは中西さんがやってたみたいです。
……そうでなきゃ、葉一さんと調査した意味がないです。
【地下も含めて美術館内には、未知の経路は存在しない】!
とりあえずそう考えなきゃ進まないかなって。
【地下聖堂に死体以外の異臭は無かった】です。
【地下聖堂の形は地図で示された通り】でした。
【バリのような跡もなかった】ですね。見た限りだと。
もちろん【地下道は観客の順路に含まれます】。
時計回りの順路の最後に地下聖堂がある……って形ですね。
- 123馳河 御影25/02/24(月) 12:42:15
……ちょっといいですか?
少し、お話というか相談があります。
思うに、このまま押し問答してても事件は解けないです。
私ですら処理し切れない大量の情報がありますから。
私を探偵と認めてくれるなら……
探偵の手法に則って、犯人を探してみませんか? - 124二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:46:45
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- 125馳河 御影25/02/24(月) 12:46:46
皆さんは魔法の存在を否定出来れば勝ちなんでしょうけど、私は違う。
言うなれば皆さんが見ているのは”ハウダニット”ですが、
私には”フーダニット”も”ホワイダニット”も重要なんです。
それを探り抜かないと、完全な真相には辿り着けませんから。
……あれから色々考えてたんです。
不規則かつ闇雲に推理しても、私も皆さんも混乱するだけ。
今から、探偵としてのやり方を皆さんに共有したいと思います。
【容疑者のプロファイリングから真相を読み解く】んです。
つまり、「動機」と「機会」と「手段」。
各容疑者にこれらが揃っているか検証してみましょう。
揃ってる人は当然、怪しい。
揃ってない人は相対的に怪しくないってことになります。
そうすれば、闇雲に推理するより可能性を大幅に狭められるはず……。
【探偵役が私に委ねられている】なら、私のやり方で解かせてください。 - 126二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:50:49
邪魔はしないよ
……というか、既存の手法では未知の経路の関与を否定するためだけに4手も掛かってるし、多分そういうやり方も必要なんだろう
こんなんじゃ到底終わりそうにない
(あとメタいことを言えばコレやるのは既定路線なんだろうし) - 127馳河 御影25/02/24(月) 12:54:18
今から、私の作った各容疑者のデータをお見せします。
それを基に、1つ1つの状況を整理していきましょう。
つまり、1人ずつ検証していくんです。
① 犯行動機はあったのか?
② 犯行時刻に行動は可能だったか?
③ 地下聖堂へアクセスすることは出来たか?
④ 犯行そのものの実行能力はあったか?
この4つを考えれば、さすがに真偽が問えると思います。
密室構築の謎は残るけど……一旦置いておくしかないです。
でも全ての条件を満たした人が犯人ってことは判明しますよね?
色々あると思うけど、まずは私に付き合ってください。お願いします。 - 128二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:55:03
聖堂の中への入り方は分からないけど北野は誰にも見つからずに聖堂の前まで行けるかも
青「北野は22:40ごろ資料室から出た。22:45に中西がトイレに行っている間に左の鍵無し扉から入り事務室の鍵を盗み、右の扉から出て施錠し、左の階段から地下に降りて何らかの手段で地下聖堂の扉を開けて東をころした」
青「中庭に出て焼却炉で地下聖堂の扉を開けた手段を燃やし、23:45に再度事務室を通って資料室に戻った」 - 129二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:56:53
- 130二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:00:19
加えて
青「北野は聖杯を石膏の中に隠していた」
青「外で聞こえた大きな音は石膏を割って中から聖杯を取り出した音である」
青「倉庫の中にある道具を使って北野は石膏を取り出した」 - 131二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:03:54
間違え
青「倉庫の中にある道具を使って北野は石膏から聖杯を取り出した」
動悸は
青「北野は学芸員であり、馳川によって五年前の事件が解き明かされてしまうと神秘性が失われてしまい仕事を失う」
あるいは
青「北野は学芸員であり、馳川によって五年前の事件が解き明かされてしまうと神秘性が失われてしまうこと自体を恐れた」
東をころした理由は
青「かつての青年司祭であり、不可思議な方法でころされ、聖杯の神秘性を強化するには適格な相手だったから」 - 132馳河 御影25/02/24(月) 13:05:57
- 133二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:10:56
頭部の傷と火傷の範囲かな
「頭部の傷は後頭部のみである」
「火傷の範囲は口周りのみである」 - 134二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:16:05
「即死であった」のか、「受傷後しばらく存命していた可能性がある」かどうか
わからないならわからないでOK - 135二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:16:38
『20年前の神父の死を自殺と推理された事に不満があり、事件になぞらえた方法で自殺し、自身の死を他殺と誤認させる事で、神父の死も他殺と思わせたかった』とか?
- 136二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:17:57
20年前の事件で神父が自殺してないって結論を出して欲しくて(?)探偵呼んだのに、似たような事件を起こしてわざわざ自殺なんてするかな……
- 137二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:18:51
犯行動機かあ
東が教唆犯で実効犯が他にいる場合なら『神父の死が他殺であることを証明するため、わざわざ20年前を再現する形で殺された』とかもあるよな - 138二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:20:43
馬鹿々々しいけど一応聞いておいた方がいいか
復唱要求
「東林之助は教会跡美術館の館長である」
「アズマ/アヅマは教会跡美術館の館長である」 - 139聖杯の魔女25/02/24(月) 13:22:57
ほう。赤と青が交錯する、この魔女のゲーム盤において……
あくまで人間のロジックを推理に用いようとは。
何たる僭越。
何たる不敬……。
ですがまあ、いいとしましょう。
それもまたあなたの智慧というならば。
御影さんの用いる"探偵"のプロセスが、この謎にどこまで届くのか。
このゲーム盤に潜む幾多の人間様方と一緒に、見守って差し上げるとしましょうか……。
この検証プロセスにおいて、御影さんは必ずしも赤き真実を使いません。
客観的に可能性を狭めていくだけです。
まあ、全ての真実に到達するかはさておき……それくらいの情報量は集まっているんじゃないですか? - 140二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:27:20
本当に「東は20年前、司祭として教会に属していたのか」のか←第一発見者の青年司祭は別人だったのかも
本当に「東は20年前、神父の第一発見者だった」のか←同上
20年前の事件の真相は、我々の知る類似の事件と同一の真相だったのか
「他の美術館メンバーとは20年前の事件当時から関係を持っているのか」←共犯になりえるかも
まあ、御影さんが知る由のないことばっかりだけど - 141二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:28:42
「22時00分頃のカメラ映像に不審な点はなかった」
- 142馳河 御影25/02/24(月) 13:40:59
魔女……あなたのその余裕、極めて不愉快です。
だけど今度こそ、その命脈を断ち切ってみせる……!
【頭部への打撃は後頭部だけでなく、全体に渡っていました】。
【火傷は全身に及んでいました】。
印象として、相当強い怨恨を感じざるを得ません。
【一撃で致命傷になり得る傷はなかった】みたいです。
このことから【即死ではない】と思います。
……これ密室ですよ? 他者の関与を否定するかのような。
自分の死まで自殺だと思われてちゃ世話ないです。
そこのロジックがどう成り立つのか……うーん。
なるほど……考慮に入れておきます。
狂言の要素を含む見立て殺人ってことですね。
2つに分ける意味をあんまり感じませんけど。
【東林之助は教会跡美術館の館長室である】
【亡くなった東さんは、私と汐留さんが昨日会った人と同一人物】です。
- 143馳河 御影25/02/24(月) 13:41:10
- 144馳河 御影25/02/24(月) 13:52:37
……あ。それと、所持品についてのデータが出てます。
【東さんが持っていたのは以下の物品でした】。
・スマートフォン
・万年筆
・腕時計(雲上ブランド)
・マッチ箱
・地下聖堂、館長室の鍵
どれも壊されたりはしてませんでした。 - 145馳河 御影25/02/24(月) 13:54:42
- 146二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:00:58
「事務所出る時に東が鍵を持ち出した」んじゃないか?
後は煙草もなしにマッチだけ持ってるのが気になる
「東にはマッチを携帯する理由があった」んだろうか? - 147二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:07:00
ちょっとふわふわかもしれんが
『東の動機は「神父の自殺を否定したい」だから「御影父の推理を否定したい」
その方法として探偵(御影)の推理を外したい。
東が犯人と共犯で密室殺人、ここで自殺と結論だすと「御影父の推理も間違っていた」と言い張れる』 - 148馳河 御影25/02/24(月) 14:10:24
- 149馳河 御影25/02/24(月) 14:10:43
- 150二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:16:09
【東の死因は火傷、または頭部外傷】
【頭部を執拗に殴打されていた】
【身体を満遍なく焼かれてる】
【それらしい凶器は館長室内に見当たらない】
なら彼はどうやって自ら外傷と火傷を負ったというのか。自殺するには難しい気がするが……
「“それらしい凶器”以外に館長室にはいろいろな物品又は痕跡があった」のならできるだけ細かく知りたいな - 151馳河 御影25/02/24(月) 14:17:35
【館長室の中に自殺の形跡は残ってなかった】。
【彼が火を点けたと思われる燭台は燃え尽きていました】。
それに【マッチや燭台の火で付けられる火傷ではなかった】です。
【館長室に火事の形跡はなかった】ですし、
【彼を殴るための凶器も残ってなかった】です。
にも関わらず……
【彼の頭部は激しく殴打され、全身を焼かれていた】。
これじゃ……自殺とはとても言えません。
恐らく警察も自殺の線は薄いと見て、外部犯行を疑うでしょう。
果たしてこの状況を打ち破る手があるんでしょうか?
何度も言いますが、【2つの鍵は館長室の中だった】のに…… - 152二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:20:03
全身が焼けていたのなら「服も燃えていた」?
また、「灯油をかけた状態ならマッチやろうそくの火でも全身にやけどを負わせることはできた」? - 153二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:20:14
殴打については「床や壁などに自ら打ち付けた」とすれば傷は負えるかもしれない
- 154二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:23:47
「頭部以外にも打撲はあった」のか。
「防御の際にできたと思しき傷があった」のか。 - 155二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:25:22
当時の絵画って天井部分が天窓のようになっているけれど、実際の地下室の天井はどうなっているんだろう。
「地下室の内装は当時の絵画と同様だった」? - 156二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:25:30
東個人で犯行を完結させたパターンなら152~153でなんとかなりそうだし
共犯があった場合は『頭部を強打して自殺した後、遺体を共犯に地道に炙ってもらった』とかもありうる
あるいは『とある人物に殴られ、火をつけられた東は館長室に逃げ込み、力尽きた』 - 157二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:26:56
東が所持していた物品に壊されていないのは了解だが「スマートフォン、万年筆、腕時計(雲上ブランド)、マッチ箱、地下聖堂、館長室の鍵に加熱の痕跡はなかった」のか
「スマートフォンと腕時計は正常に動いているのか」
電池切れや何らかの理由で止まっていないなら、スマホの通話記録の有無も調べたい所だが - 158二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:28:08
いまいち理解できてないんだけど【館内の扉には3種類ある】ってのは「地下聖堂と館長室の扉はカウントしていない」ってことでいいんだよね?
さすがに『地下聖堂と館長室の扉は事務所及び警備室の鍵が使用できた』なんてことはないだろうけど
とはいえ「地下聖堂と館長室の扉だけ特別だった」ってのもそれはそれで違和感ではあるか
案外『犯行後に扉を取り替えた。2つの鍵は犯行当時は関係ない鍵だった』なんてオチだったりして - 159二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:28:38
当時の事件の再現をしたかったんなら、焼身だけでいいはずなんだよね。身体に打撲がある必要性がない。
「事件の晩に焼却炉が使われた形跡があった」 - 160二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:28:42
とある事件に状況が似てるので教えてほしい
東の口元の「"炭とも煤とも取れない黒い凝固物"の正体は判明している」かどうか
東の口元の「"炭とも煤とも取れない黒い凝固物"は口腔内又はその奥まで達していた」かどうか - 161馳河 御影25/02/24(月) 14:41:41
はい、【東さんの衣服は焼けていました】。
ただし【完全に焼失してはいなかったです】。
火の中に投げ入れられたというより……炙り殺されでもしたかのような?
後【館長室で灯油が燃えた形跡はなかった】です。
さすがにそんなことしたら火事になっちゃうでしょうし。
……その。
【東さんの眼球は潰れた状態で外に飛び出していました】。
自分で頭をゴンゴン打ち付けた程度じゃ、これほど残虐な状況には……。
死体があんな風に焼かれてしまっている以上、
ちょっとやそっとの傷は掻き消されてしまいます。
【犯人と争った形跡があったかは判別出来ない】ですね。
【地下室の内装は、絵画と同じでした】。
見てきたように【天窓は台座の真上にあります】。
ただ、台座は聖堂の一番奥。絵画は誇張されたパースで描かれていますね。
【自分で頭部を打ち付けて、あんな死に方は出来ません】。
それに【致命傷を負った東さんは立ち上がることも出来なかった】はずです。
- 162馳河 御影25/02/24(月) 14:41:52
【東さんの所持品は全て机の上に並べられていました】。
【その机に目立つ傷はありませんでした】。
【腕時計は正常でしたが、スマートフォンは電源が切られていました】。
とりあえず【金目の犯行という線は切れます】が……
部屋の中、身一つで何をしていたんでしょう?
【3種類の扉は地上のみを指しています】。
【地下には2つの扉があって、地上の扉の鍵とは全く別】です。
それに【夜の内にあの扉を取り外し、また取り付けるなんて無理】です。
さすがに、南部さんか中西さんが気付くでしょうし。
あの焼却炉なんですけど、【夜の内に使われた形跡はなかった】です。
何せ雨風吹き曝しの簡易な焼却炉ですからね。
【炉内は浸水してましたし、嵐の中で燃焼させるなんて無理】ですよ。
そもそも【焼却炉は遺構であって使われてはいなかった】ようですし。
えぇっと……【口に付いてたのは炭と煤】でしたよ?
相当強い火力で焼いたのか、表皮は炭化してましたからね。
- 163二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:43:24
ちょっとそれるけど
「御影の聞いた深夜の大きな音は壊れた扉Aの方向から聞こえた」 - 164二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:47:45
”炙り殺されでもしたかのような”?
自殺という線では無理かもしれませんが、「プロパンバーナーで炙られた」可能性がありますね - 165二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:53:42
魔法陣の中心で自殺を図ったなら「東がその場でのたうち回ったような形跡はあった」と思うんですがどうでしょう。
他殺なら、死亡後に魔法陣の中心に置かれた可能性もあるのでそんな形跡がなくてもおかしくないと思いまして。 - 166馳河 御影25/02/24(月) 14:55:42
- 167二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:57:05
- 168二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:57:35
「東さんは地下聖堂で燃やされた」と見ていいのかな?
「東さんは別の場所で燃やされた後運ばれた」可能性は消していい? - 169二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:02:16
嵐だったけど
「大きな音がしてから死亡時刻の間の時間に濡れずに物置には行けない」?行ける? - 170二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:02:44
「外から見ると地下聖堂の天窓は中庭に当たる部分にあった」のかな
いやベアトリーチェの密室定義があるし台風があったからここから侵入したら中に水が入るんだけども念のため
あとは頭を殴られたならかなり出血すると思うんだけど「飛び散った血の痕があった」? - 171二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:06:03
そういえば【地下聖堂の扉のドアノブには、御影と南部の指紋しかついていなかった】んだよね
本当に東が単独で自殺したなら、東の指紋も付いてないとおかしいような……。 - 172馳河 御影25/02/24(月) 15:09:02
……【魔法陣は前から描かれてた】可能性は高いです。
何かしらの塗料が使われているみたいですが、形跡はかなり古かった。
【カーペットを敷けば普段は隠せる】でしょうしね。
あと、【東林之助は教会跡美術館の館長である】の間違いですよ!
それくらいほっといてくださいっ!
はい、【犯行現場は地下聖堂あるいは館長室の中】でしょうね。
外での犯行とするには証拠が少な過ぎます。
【東さんが物置に行った可能性はない】と見てます。
東さんは雨具を持ってなかったので、ズブ濡れもいいとこでしょうね……。
【館長室の床は濡れてなかった】ですから。
はい。【地下聖堂の天窓は中庭から採光しています】。
ただ【天窓は嵌め殺しで開閉も取り外しも出来なかった】ので、注意してください。
あと、血痕は……【魔法陣の上だけに残ってました】。
- 173馳河 御影25/02/24(月) 15:09:37
- 174二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:09:55
美術館だから美術品を扱うための手袋は常備されていると思う。
「東は手袋をしていた」
「この話の容疑者は事件当時手袋を手に入れることができた」 - 175馳河 御影25/02/24(月) 15:23:38
- 176二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:29:49
どうして財布が空なんだろうね
取り敢えず「汐留康一はバイクの運転が出来る」んだ?
それとも鍵持ってないとこ見るとファッション? - 177二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:30:34
「汐留康一が1:00に遭遇したのは南部伸司である」
- 178二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:31:07
まずは犯行動機ね。
さすがにこれはないと思うけど一応書いておこう
「尊敬する馳河石英の推理をあたかも誤っているかのような言いぐさに腹が立った」
「尊敬する馳河石英の娘である馳河御影を亡き者にする計画を東が立てていることを知り、それを事前に阻止するため」 - 179二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:32:37
(仮説を提唱する時は『』に入れて青き真実にした方が多分いいと思う)
- 180二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:35:33
手紙を先に開けてたこと
「美術館からの手紙は改ざんも一部が抜き取られていたりはしない」
駐車場はあるけど
「御影と汐留康一は徒歩できた」
美術館よりも御影父との関係
「汐留康一は御影父に遺恨は無い」 - 181馳河 御影25/02/24(月) 15:40:35
……東さんもですけど、家の鍵とかはみんな持ってますよ。
【私が事件に関係ないと思ったから入れなかっただけ】です。
バイクはどっか近くの屋根があるとこに停めてきたとか。
【美術館の裏手に職員用の駐車場がありますけど、あそこは屋根がない】ので。
現状、私には言い切れません。
2人共そう言ってるからには、示し合わせたでもなければ間違いないと思いますけど。
【あの人、お父さ……父とは同い年なんです】。
父の存命中いっつもボヤいてましたし、そんな忠誠心あるわけないです。
あと【東さんが私を殺そうとしていた事実はない】と思いますね……。
そんな状況になったら、汐留さんは尻尾巻いて逃げ出すに決まってますよ。
【美術館から送られてきた封筒は、何の細工もされていませんでした】。
【美術館へは私は電車、汐留さんはバイクで現地合流でした】。
あと、父と汐留さんについてですけど……。
【仲が良いってよりかは腐れ縁?というか、そんな感じ】です。
- 182二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:44:01
『20年前の事件で汐留・石英と東との間で何かしらの因縁が生じた。
汐留は20年越しの反抗に及んだ』とかか - 183二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:47:28
正直、東がバーナーで炙られた可能性が高い時点で汐留の線は薄いよね
一応可能性として『報酬について諍いが発生し、勢い余って犯行に及んだ』って提示するけど… - 184二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:47:43
「美術館メンバーの一人あるいは複数人は汐留と会ったことありそうな反応をしていた」
汐留は自身は“そんな昔のこと覚えてるわけないじゃん。まず向こうの嘘かもよ”って言ってたけど、お互いにそうなのかはわからない。
来たことあっても誰も覚えてない場合、
「20年前と比べて、汐留は見た目が変わった」
可能性もあるかな。体形とか…… - 185二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:48:34
普段を知っているなら
「御影から見て汐留康一に普段と違う様子は無い」 - 186二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:51:41
スマートフォン、東の所持品リストには入ってて汐留には入ってないってことは、汐留はスマホ持ってないのかな
もし持ってるなら、御影が汐留と連絡取れるように連絡先交換しといてほしい。念のため…… - 187二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:55:11
動機とかそういうのじゃないけど、
「汐留は20年前の石英の推理の詳細を知っている」可能性あるよね
覚えてないって言いそうだけど - 188馳河 御影25/02/24(月) 15:59:51
それなんですけど……。
【誰も汐留さんに反応してなかった】気がします。
中でも東さんは、あの事件で探偵絡みの因縁は感じてたはず。
お父さ……石英の影に隠れて、全く目立ってなかったんでしょう。
それかサボってタバコを吹かしていたか。
外見の変化について言えば、20年間ありますからね。さすがに何とも……
【でも東さんの時計は現場に残ってました】よ?
お金目当てなら盗ってかない理由ありますか?
【汐留さんの手癖の悪さは私が保証します】。
【汐留さんの様子はいつも通りです】。
【場当たり的で、計画性も思慮も感じません】。
台風の日にバイクで来る人がいますか?
私はタクシーで何とか戻るつもりでいたのに……。
【汐留さんにスマホは使えません】。
【あの人は未だにガラケー使い】なんです。
連絡先は当然控えてますよ。いつも出ないけど。
さあ……。
でも【お父さんの推理が正しかったのかどうか分からない】って言ってましたね。
- 189二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 16:13:19
反応が無いというけど
「汐留康一は一般観覧客と区別されていて、御影の保護者として不自然は無い範囲。
不自然なほど反応が薄いわけではない」 - 190馳河 御影25/02/24(月) 16:19:54
まあ、透明人間じゃないですし……私の関係者としては歓迎されてましたよ。
だけど【あの人は私の保護者ではありません】からね?
そこだけは間違えないでくださいね?
とりあえず、話を先に進めます。
また思い出したことがあったら聞いてください。
- 191馳河 御影25/02/24(月) 16:20:23
- 192聖杯の魔女25/02/24(月) 16:24:26
……おっと、もうこんな頃合いとは。
第1篇、終了といたしましょうか。
果たしてどこまで進んだか分かりませんが……今回は大半が出題。
まだまだ解くべき謎しかございません。
引き続き、第2篇でお待ちしておりますよ。
うちの探偵とミステリーを解いてほしい 第2篇【屁理屈推理合戦】|あにまん掲示板皆様、長時間に渡ってお疲れじゃありませんか?それは探偵様も同じみたいですけどもね。ふふふ。こちらは>>2 前スレの続きとなっております。現在、ゲーム盤は推理パートを邁進中。探偵である御影さ…bbs.animanch.comふふふ。
- 193二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 16:26:24
中庭を通らない限り汐留は監視カメラに映らずに階段へたどり着けない
「中庭に続く扉の周囲に濡れた痕跡はなかった」? - 194二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 16:28:14
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- 195二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 17:22:01
埋め埋め
『馳河御影は悧巧でかわいい』! - 196二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 17:28:42
『馳河御影は悧巧でかわいい』
赤で言えなくてごめんね