ガイアフォース「どうすりゃいいんだ・・・」

1二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:01:54

敵地、東京競馬場で行われたフェブラリーS
前年と打って変わってスローペース、直線も勢いを見せず惨敗だった
ターフに響くファンのため息、どこからか聞こえる「もはや白毛だな」の声
無言で帰り始める人馬達の中、昨年の2着馬ガイアフォースは独りパドックで泣いていた
セントライト記念で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるハイペース・・・
それを今年の競馬界で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」ガイアは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、ガイアははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいハミの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってレコーディングをしなくちゃな」ガイアは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、ガイアはふと気付いた

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ゲートから飛び出したガイアが目にしたのは、内馬場まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに馬券が振られ、地鳴りのようにオイオイが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするガイアの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた

「ガイアフォース、ハイペースだ、早く行くぞ」声の方に振り返ったガイアは目を疑った
「な・・・長岡さん？」　「シェケナベイベー！Fantastic！」
「ぜ・・・前科者？」　「なんだシェケナ、かってに田原さんを収容させやがって」
「幸さん・・・」　シェケナは半分パニックになりながら出馬表を見上げた

1番：アグネスデジタル　2番：カフェファラオ　3番：モズアスコット　4番：アドマイヤドン　5番：イーグルカフェ　6番：内川　7番：ソダシ　8番：クロフネ　9番：ガイアフォース

暫時、唖然としていたシェケナだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「芝か・・・芝なのか！？」
田原から憑依を受け取り、ダートコースへ全力疾走するタバル、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った