- 1125/02/23(日) 20:41:19
- 2125/02/23(日) 20:48:38
そんなある日、片付けの途中に部屋のクローゼットの奥から埃を被った箱を見つけた。
「けほっ、なんだっけこれ……」
ふとした拍子に吸い込んでしまった埃に少し咽せ、私はその箱を開けた。
【ゲームガールカラーゴールドver.】
昔子供向けホビー雑誌の懸賞で当たったゲーム機だった。 - 3125/02/23(日) 20:52:52
一緒に出てきたソフト、【バケットロボッツ】は、小さなロボットを集めて、改造して遊ぶ育成RPGだ。
なんとなく起動してみると、プレイ時間はカンストしていた。
データは三つまで残せるらしかったが、私のはひとつだけ。
そして、すべてのパーツを集めた完全クリア証明の星マークが付いていた。
私はなんともなしにそれの新しいデータを作り、遊び始めた。 - 4125/02/23(日) 20:57:01
十年近く前に中古で買ったそれは、名作とはいえレトロゲームのなかのレトロゲーム。
最新のものと比べると、当然ながら古い作品特有の不自由感はあった。
けれど、進めれば進めるほど幼い頃の記憶が蘇ってくる。
プレイを進めて行くうちに、私は無意識のうちに一筋の涙を流していた。 - 5125/02/23(日) 21:00:57
そして次の日、私はそのゲームを学校に持ち込んでいた。
最高効率でプレイすればそう長くはかからないだろうけど、私はあえて遠回りすることを選んだ。
すべてのモブに話しかけ、道中手に入れられるすべてのパーツを集める。
色違い、なんて要素もあったので、休日の時間はまるで溶けるように進んだ。 - 6125/02/23(日) 21:05:05
昼休み。
学校のトイレの個室に隠れてイヤホンをつけ、ゲームを始めた。
部活とかならともかく、個人的にゲーム機を持ち込むのは校則違反だ。それでもやりたくて持ってきてしまったのは、やりたいという衝動以外にも、良くも悪くも目立たない自分の生活に、ちょっとした刺激を求めていたからかもしれない。 - 7125/02/23(日) 21:12:25
コンコンッと、個室のドアを軽くノックする音が聞こえた。
私は慌てて立ち上がる。
ゲームをしたいという理由でここにいるが、本来の用途でここにきた人に迷惑をかけるのは申し訳ない。
そうして立ち上がった結果、有線イヤホンにしか対応していない古いゲーム機であるゲームガールから、何かに引っかかったイヤホンのケーブルが引っこ抜かれた。
静かな空間に小さく流れ出すレトロで軽快なゲーム音楽。
──まずい!
そう思った頃にはもう手遅れで、私は暗い気分でドアを開けた。
校則違反。私のゲームガールカラーゴールドverは没収を免れないだろう……
せっかく、趣味見つけられたと思ったんだけどな…… - 8125/02/23(日) 21:19:06
そうして出ると、いきなりガッと手を掴まれた。
終わった。
そう思って相手の顔を見ると、そこにはとてもキラキラと目を輝かせたピンクネコミミヘッドホンの少女がいた。
「これ!このメロディは【バケットロボッツ】だよね!?あ、ゲームガール!!しかも金色!?なにこれ!!初めて見た!!!
あ、私はモモイ!才羽モモイ!!ちょっときて欲しいところがあるの!ついてきて!!!」 - 9125/02/23(日) 21:22:16
「ちょっ、え!?あぁぁぁあ!」
有無を言わさず掴んだ私の手を引っ張り、モモイと名乗る少女はトイレをでて、そのまま廊下を駆け抜けて行く。 - 10125/02/23(日) 21:24:02
「ユズ!ミドリ!見つけた!新入部員!!これでゲーム開発部は存続確定だよ!!」
何この状況!?
こ、これから私、どうなっちゃっうの!?? - 11125/02/23(日) 21:25:21
(てな感じで衝動的に思いついたネタを書いてみました。
10まで行ったので少し休憩
いかがでしょうか、感想もらえれば続けられます)