TRPGのPCをコズミック・イラに放り込んでみた。(TRPG風SS)

  • 1スレ主25/02/23(日) 22:40:05



    ガンダムブレイカー4でパーツを集め終えたので、好きなTRPG[駅前魔法学園]のキャラを投入する。

    ジークアクスは情報が少ないので、SEEDをベースにします。

    基本はSSで、重要な行動をする際はダイスを振ります。


    感想や挿絵を送っていただければ主のやる気が三倍になるので、

    リプレイ作品を見るような気持ちでお付き合いください。

  • 2スレ主25/02/23(日) 22:41:57

    まずは最初に登場するPCを決めます。


    dice1d2=2 (2)


    1なら男、2なら女

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 22:42:59

    平和な世界のPCを投入するのか…メタガあたりならともかく

  • 4スレ主25/02/23(日) 22:49:01

    ドラえもんやクレしんの劇場版みたいなことを経験しているという事で

    名前 綾瀬瑠璃(アヤセルリ) 女 13歳

    パーテム(その人の運命や才能を示す物)ウィザード(トランプのキングに当たり、統率を司る。
    回復とバフが得意な支援役)

    マギカスタイル(主に修学している魔法の種類)召喚術(異世界・精神世界の存在を呼び出して使役する魔法。
    どちらの世界からやってくるのかは本人にもわからない)

  • 5スレ主25/02/23(日) 22:55:56

    髪の色dice1d2=1 (1) 1.黒2.茶

    身長110+dice1d40=

    スタイルdice1d2=2 (2) 1.貧乳2.巨乳

    性格dice1d2=2 (2) 1.元気いっぱい2.落ち着いている


    能力

    パイロットdice1d100=58 (58)

    砲手50+dice1d100=24 (24)

    操舵手dice1d100=83 (83)

    メカニックdice1d100=6 (6)

    オペレーターdice1d100=31 (31)

    艦長dice1d100=73 (73)

    空間認識能力70+dice1d100=38 (38) (ムウが100)

  • 6スレ主25/02/23(日) 22:57:19

    身長110+dice1d40=20 (20)

  • 7スレ主25/02/23(日) 23:08:19



    綾瀬瑠璃(アヤセルリ)

    女 13歳

    ウィザード 召喚術(スキル:精霊との会話 動物との会話 魔法生物知識)

    声なき友(大自然の友:プリプレイ毎にマナソース精魂+1)

    事件解決(希望の星:登場判定に+1)

    中学生(スキル:勉強)

    食堂管理係(スキル:魔法の料理)

    散歩(スキル:街の地理 社会値1 アクションポイント4)

    魔法薬学(スキル:魔法薬 社会値3 アクションポイント1)

    バディ(精魂♡)

    オリジナルスキル:絆(一人だけで異世界に迷い込んでも、必ず味方NPCを得る)

  • 8スレ主25/02/23(日) 23:08:50

    産まれた時から妖精や精霊の類を見ることができた。結果魔法を学ぶことになり、
    特に召喚術に強い興味を持つようになった。
    単独で事件に巻き込まれることが多いが、すぐに味方を作れる人徳故に困ることはなかった。
    散歩というより旅行が趣味であり、その土地の文化や名物を楽しむのが生きがい。
    料理を含めて家事全般が得意で、世話焼きな面がある。

    干支に因んだ12体の召喚獣を、目的に合わせて召喚する。
    最も信頼する召喚獣は犬(狼)型の[不知火(シラヌイ)]、普段から護衛兼癒し枠として傍に置いている。
    他は無数に分身して潜入調査をする鼠の[佐介(サスケ)]、障害物の撤去に長けた牛の[堂丸(ドウマル)]、
    森林や影を移動手段にできる虎の[長飛(ナガトビ)]、
    夜間や暗所での活動に長けたウサギの[友羽(トモハネ)]、
    一撃の火力では最強な龍の[奈殿(ナデン)]、水上・水中行動に長け蛇の[蛟(ミズチ)]、
    風を操る馬の[疾風(ハヤテ)]、液体を操ったり酒に変える羊の[呑兵衛(ノンベエ)]、
    植物を操る猿の[日照(ニッショウ)]、炎を操る鶏の[烈火(レッカ)]、
    地面を掘り進む猪の[童子(ドウジ)]。

    過去の経験から軍式の格闘術と銃火器の扱いにもたけている。

    総合的には[サポート特化]、前線に出るよりも後衛として補助に回るのが一番得意。
    砲手に適性があるので、そちらに回ることが多い。

  • 9スレ主25/02/23(日) 23:10:50

    バストサイズdice1d5=4 (4)


    1.C

    2.D

    3.E

    4.F

    5.G

  • 10スレ主25/02/23(日) 23:37:12

    突然自分の視界は光に包まれ、気が付けばどこか知らない場所に居た。

    普通なら混乱して叫びまわるだろうけど、私は冷静に周りを分析する。

    産まれた時から魔法使いになることが決まっているような人生を送って早13年。

    こんなことは指の数では足りないほど経験している。


    仲間たちと合流するための御守りもちゃんと持ってるし、まずは情報収集ね。


    「おいで、不知火」


    魔法陣が私の足元に展開され、そこから牛サイズの犬が飛び出してくる



    この子は不知火、私が一番信頼する召喚獣。

  • 11スレ主25/02/23(日) 23:37:44

    「しっかし、凄い光景ね」


    それは巨大な人工物の空間だった。

    人工的に作られた太陽に代わる光源。人工的に再現された重力。

    そして目の前だけでなく頭上の空間まで敷き詰めらているビル群。

    以前弟に説明されたスペースコロニーで間違いないのでしょうね。


    (どうしようかしら……)


    現代の延長上にある世界なら、私は完全に個人情報無しの不審者。

    このままだとホームレスか、非合法に身を売るしかないかもしれない。

    そう考えていた時、肩に緑色の鳥型ロボットが止まった。

    トリィって言うのね、可愛いじゃない。


    ???「トリィ!」


    すると茶髪で紫の目をした少し年上らしきdice1d2=2 (2) が駆け寄ってきた。


    1.少年

    2.少女

  • 12スレ主25/02/24(月) 05:56:37

    「貴女のですか?」


    私が尋る間も、トリィは私の肩に止まったまま。懐かれちゃったみたいね。

    それにしても手乗りサイズで飛べるうえに、自分の意志を持ってるロボットを作れるなんて。

    この世界の技術力はそれだけ高いという事かしら。


    キラの一人称dice1d2=1 (1)

    1.私2.僕


    キラのバストサイズdice1d5=1 (1)


    1.C 2.D 3.E 4.F 5.G

  • 13スレ主25/02/24(月) 08:38:02

    「私は瑠璃、ルリ・アヤセです」
    「ルリか…私はキラ、キラ・ヤマトよ、貴女はここの住人?」
    「いえ、今日来たばかりです」
    「ご両親の都合で?」
    「いえ、親はいません……だから根無し草って奴です」
    「あ…ご、ごめん」
    「気にしないでください」

    両手の指じゃ足りなくなるくらい一人で異世界に迷い込んだ身だけど、
    何十倍も回数が多い上にB級映画みたいな経験もしてる弟に比べればマシだし。

    「それで今日の寝床はどうしようかなって思ってたんですよ」

    野宿には慣れてるし、魔法のポシェットの中にはキャンプ道具もあるから衣住には困らない。
    でも先立つものが無いから食が問題なのよね。
    一応非常食は持ってるけど。

    するとヨシと一言いいながら、キラさんは顔を上げる。

    「なら家においでよ、一人ぐらいなら増えても大丈夫だからさ」
    「迷惑じゃないですか?」
    「子供が遠慮しないの、トリィが懐くってことは悪い人じゃなさそうだしね」
    「それなら、お世話になります」

    毎度のことながら、すぐ味方ができるなんて運がいいわね。

  • 14スレ主25/02/24(月) 11:28:21

    本編開始前にdice1d2=1 (1) 登場

    1.弟だけ 2.残りメンバー全員


    時期はdice1d2=2 (2)

    1.直前 2.少しだけ余裕がある

  • 15スレ主25/02/24(月) 14:23:56

    あれから数日たった。

    キラの父ハルマと母カリダはいい人で、快く私を受け入れてくれた。


    正直dice1d3=3 (3) けど、家のお手伝いとか楽しいのよね。


    1.二人の惚気姿を延々と見せられるのはくるものがあった

    2.カリダ母さんに着せ替え人形にされるのは辟易とした

    3.キラの拘束具の様な趣味の私服はどうかと思った


    ただ、私みたいな魔法使いが塒にしてる場所って、妖精なんかにとっては

    砂漠のオアシスみたいなものだから自然と集まって来るのよね。

    三人やキラの友人達にも自然と見えるようなっちゃったから、自分が魔法使いだって白状することになったし。


    さらに数日、大きな出来事があった。


    「「キラが男連れて来た!?」」



    いえ、家の弟です。

  • 16スレ主25/02/24(月) 18:02:22


    綾瀬琉生(アヤセルイ)

    男 13歳

    アリス 魔女術(スキル:占い 箒飛行 魔法薬)

    運命(勇者の因子:BOSS相手のダメージロールに+3)

    先輩の期待(差し入れの品:1シナリオに1回、任意の一時アイテムを二つまで即時入手)

    私立探偵(スキル:調査)

    八百万神支援会員(スキル:魔法の知識)

    デイトレード(スキル:株取引 社会値3 アクションポイント2)

    気功治療(スキル:気功治療 社会値3 アクションポイント1)

    お気に入りの服(形象♣)

    オリジナルスキル:早熟(他のパーテム・マギカスタイルのマギアーツを

    各ミドル・バトルフェイズ時に使用可能。ただし、達成値には-1d6補正が掛かる)

  • 17スレ主25/02/24(月) 18:06:22

    アリス:トランプのエースに当たり、可能性を司るパーテム。昔の魔女っ娘物に近い能力。

    魔女術:ヨーロッパで魔女と呼ばれていた人々が使っていた魔法。薬品調合、占い、飛行が得意

  • 18スレ主25/02/24(月) 18:07:19

    [駅前魔法学園]が一番好きなTRPGだった転生者で、瑠璃の二卵性の弟。
    魔法を学び始めて以来、事ある毎に事件に巻き込まれ、それを解決してきた。
    その為「人生はほんのり刺激がある程度で十分」がモットーの昼行燈を気取っているが、
    巻き込まれた際にはいの一番に行動するほど責任感が強い。
    敵対者は容赦なく叩きのめすが、これは5人の中で単独での事件遭遇が最も多いゆえである。
    過去に事件がらみで何人かの女性と仲を深めたが、結局破断になっている。
    自分で豆をブレンドするほどのコーヒー党で、事が終わった後に一杯飲みながら呟くのがお約束。
    調合が専門なので、薬膳料理や香辛料が決め手の料理も得意。

    戦闘時は盾とワイヤーを使用。
    盾は魔法金属製のサーフボードに近い形状で、これに乗って空をアクロバットな動きで飛び回る。
    ワイヤーは片方が円柱で、もう片方が球体と脇差の二種類所持しており、腕や手首の動きだけで
    狙った場所に正確に当てたり巻き付けたりできるが、魔力を通すことで伸ばしたり、より自在に動かしたり、
    硬度を上げて槍として使うこともできる。
    また、マテバ2006Mやギアッパライノ、リンクスG9などの実銃を魔力を固形化した弾丸を撃てる様に
    改良した物も愛用している。
    お気に入りの服は細縁メガネ、中折れ帽子、蒼いネクタイの黒スーツ、手甲付きの指だしグローブとアーミーブーツ。
    全て防弾防刃素材と魔法素材の複合、更にルーン文字を織り込むことで防御魔法を重ね掛けしてるので、
    戦車砲の直撃にも耐えられる(衝撃は和らげるくらいしかできないので無敵ではない)
    眼鏡も防弾素材で、状況によって潜水・防塵ゴーグルに変わる上に、望遠鏡や暗視ゴーグルの機能も備えている。
    更に帽子、袖、懐、ポケットは同じ異空間に繋がっているので、そこから物を取り出せる。


    総合的に[前衛が務まる回復役]だが、手数が多いので他の分野でもそれなりに活躍できる。
    ただし得意分野(治療と調査、BOSS戦)以外は器用貧乏なので、専門家には劣る。

  • 19スレ主25/02/24(月) 20:13:18

    能力


    パイロット70+dice1d100=58 (58)

    砲手dice1d100=69 (69)

    操舵手dice1d100=48 (48)

    メカニック50+dice1d100=95 (95)

    オペレーターdice1d100=30 (30)

    艦長dice1d100=12 (12)

    空間認識能力50+dice1d100=41 (41) 


    身長140+dice1d40=29 (29)

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:09:20

    弟の方が強くね?

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 03:59:49

    役立つ場面多そうだ

  • 22スレ主25/02/25(火) 10:26:02

    どことなく私と血の繋がりを感じさせる顔立ち、私より同い年だけど私より高い背。

    細縁メガネ、中折れ帽子、蒼いネクタイの黒スーツ、手甲付きの指だしグローブとアーミーブーツ。

    全て袖を含めた各所にルーン文字が織り込まれてる。

    それに顔に付いた横一線の傷跡にやる気の無さそうなジト目。

    うん、間違い無く弟の琉生だ。


    「さっき教授に押し付けられたプログラムの解析を手伝ってくれてね、

    そしたら瑠璃の弟だって言うから連れてきたの」

    「確かに家の弟です」


    琉生って、広く浅く程度ではあるけど出来ること多いからね。

    プログラミングが得意なのは知らなかったけど。


    「アドベリオンは修理中だから別の方法で来たんだ。

    だから悪いけどすぐには帰れない」


    アドベリオンとは、琉生が持っている世界を移動できる乗り物だ。



    まあ、事ある毎に故障したり燃料切れになるからすぐ帰れないなんてザラだけど。


    「だからさ、この子も一緒に暮らそうって誘ったんだ」

    「生活費ならご心配なく」


    そう言って、琉生が金や宝石の山を見せる。

    ある程度力がある魔法使いにとって、その辺の石ころや鉄くずを貴金属にするなんて朝飯前。

    私じゃその領域にいけないから羨ましいわね。

  • 23スレ主25/02/25(火) 17:05:22

    あれから数か月たった。

    何だかんだ琉生もヤマト家の皆の仲良くなってるのよね。


    それからキラの学友であるトール・ケーニヒ、ミリアリア・ハウ、カズイ・バスカーク、

    サイ・アーガイル、フレイ・アルスターとも仲良くなった。


    おまけにカリダさんとキラ・ミリアリア・フレイに着せ替え人形にされたり、

    琉生がキラと一緒にゼミの教授から出されたプログラムの修正作業をしたり、

    没頭するキラのストッパーを務めたりと今のところ平和だ。


    でもこの世界、受精卵段階で遺伝子操作を受けたコーディネーターと、

    それを受けていないナチュラルの対立と、それに端を発した戦争が一年近く続く世界だから油断できない。


    てゆーか、コーディネーターってそんなに相容れない存在なのかしら?。

    キラはコーディネーターで確かに優秀だけど、普通の女の子と大差ないようにしか思えないわよ。


    現在の琉生とキラの関係


    琉生>キラ 20+dice1d100=87 (87)

    キラ>琉生 20+dice1d100=50 (50)


    50以下で仲のいい姉弟

    60以下で自覚は無いけど異性として見てる

    70以下で自覚ありで異性として見てる

    80以下で夜のおかずにしてる

    それ以上だと二人きりの時に押し倒しそうになる

  • 24スレ主25/02/25(火) 20:57:08

    最近琉生とキラの距離近いし、女の勘だけどお互いに好意があるわね。
    琉生って毎回失恋で終わってるし、今度こそ旨くいってほしいわね。

    「はいこれ、追加の品だってさ
    見せればわかるって言ってた」
    「うぇぇ、また?」
    「キラのこと便利に使いすぎじゃないか?」

    本日もまたゼミの教授から出されたデータの解析という名の残飯処理を押し付けられている。

    「しっかし、教授もよくやるよ」
    「どうした?」
    「これMS用のOSだぞ、粗悪品以下の出来だけど」

    琉生の呟きを聞いた皆が固まる。

    「何驚いてる、中立はあくまで[ドンパチやる際にはどっちの味方もしない]ってだけ。
    その立場を守るには圧倒的な力が必要。そして現代戦の主役はMSだから、自前で開発を進めるのは
    当然のことだろ?、ジャンク屋からジンを買えるだろうし」

    モビルスーツとはこの戦争で登場した人型ロボットで、
    ジンはコーディネーター側の勢力のザフトが主力してるMSのこと。

  • 25スレ主25/02/26(水) 04:00:37

    「……あれ? お客さん?」

    ところで、トールが壁にもたれかかっている見慣れない姿の少年を見つけた。
    硬質な金髪をし、帽子を深めにかぶっている……おそらくはキラたちと同い年だ。

    「教授のお客さん。ここで待ってろ、って言われたみたいだ」
    「お客さん?へえ……」

    きな臭い物を感じる。
    何というか、物語の始まりみたいな危機感が。

    その時、大きな地震が起こった。
    部屋が揺れ、俺達は姿勢を崩す。

    「──隕石!?」
    「いったい、何が!?」

    室内は停電を起こし、キラ達はパニックに陥った。

    「隕石じゃない!この揺れ方は……襲撃だ!」

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 11:44:03

    キラがショタコンになってる

  • 27スレ主25/02/26(水) 14:19:45

    「────襲撃!? どうして!」


    一般市民からその言葉を受けて、キラ達はその言葉を疑った。


    「さあ、わからんよ!いきなりザフトの連中が、ここに攻撃を仕掛けて来たんだ!」


    ここは中立国──それは、地球軍にもザフト軍にも組みさない──〝オーブ〟が所有するヘリオポリスの内部だ。

    そこへ、ザフトのモビルスーツが突如、襲撃を仕掛けて来た、というのだ。

    避難している、一般人の男性が言った。


    「ということはハードだけオーブがジンより高性能なMSを完成させた。

    それを技術協力で連合が手にするを恐れて奪いに来た。

    あるいは連合がここにあるモルゲンレーテ社と共同開発していたのを奪いに来たか、だな」

    「考えるのは後でいい!君たちも早く、近くのシェルターに避難するんだ!」


    琉生が持論を説明していると非難している人にそう言われ、

    トールたちはすぐさま貴重品を身に着け、避難の準備を開始する。

    その時、シェルターへと避難しようとするトール達とは反対側の方向に、キラが駆け出していた。


    「え、ちょっとキラ!どこ行くの!?」

    「なんか、さっきのお客さんがこっちに!大丈夫、すぐに連れ戻して私もシェルターに避難するから!」


    瑠璃dice1d2=2 (2)

    琉生dice1d2=1 (1)

    1.キラについていく 2.非難する

  • 28スレ主25/02/26(水) 20:19:51

    キラが言うには、先程の[教授のお客さん]がこの震動と共に血相を変えて、
    シェルターではない方向に駆け出してしまったのだという。
    キラはそれを、連れ戻そうと行動しているのだ。

    「しかたない、皆はシェルターに」
    「皆って、琉生はどうするの!?」
    「まだ俺一人なら通れそうだ、キラねぇの安否を確かめてくる」

    躊躇したようだが、琉生が語尾を強くして促すと、
    サイが率先して皆を誘導した。
    正直私も付いていきたいけど、流石に足手まといが増えるだけね。

    私は佐介を召喚し、周りに危険が無いか確かめつつ皆についていった。

    瑠璃SIDEOUT

  • 29スレ主25/02/27(木) 04:16:01

    琉生SIDEIN

    「ちょっ、待てよ!」

    キラが少年に追いつき、腕を取る。

    「な、離せ!」

    暴れる少年だったが、背後のどこかで爆発が起こり、被っていた帽子が吹っ飛んだ。
    良く見えなかった顔があらわになり、少年ではなく少女だと気付く。

    「お前達は早く戻れ!私には行かねばならんところがある!」
    「戻れるルートなんてもう無い!こっちだ、工場区なら避難シェルターがある」

    俺は邪魔になりそうな瓦礫を粉砕し、キラが強引に少女の手を引いて走り出す。

    「は、離せ!バカ!」

    手を引かれて走る少女は涙目だ。

    「こんなことになってはと……私は……」

    通路を走り抜けた先は、格納庫に繋がっていた。

    「着いた、工場区!ッ!あれはッ!?」
    「地球軍の新型機動兵器……」

    格納庫にあったのは2体の鋼鉄の巨人。灰色のMSを巡って、連合とザフトが銃撃戦を繰り広げていた。

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 12:18:29

    ルイがストライクに乗るのか?
    あるいはもう一機あるのか?

  • 31スレ主25/02/27(木) 22:03:37

    「お父様の裏切り者ー!」


    泣き崩れた少女が叫んだ。銃撃戦の最中に大声なんてあげれば、そりゃ反射的に撃たれる。

    キラが慌てて少女を引っ張り、俺が盾を構えると銃弾が当たった。


    「ああ、もう!」


    へにゃへにゃしている少女を面倒くさがったキラが抱えて走る。

    残念ながらお姫様抱っこではなく、お米様抱っこだが。


     


    俺は愛銃のギアッパライノを取り出し、二人の護衛をする。


    避難シェルターの入口へたどり着いたキラはインターフォンを押す。

    しかし内部的な余裕から一人しか入れないらしい。


    「入って」

    「え?」


    呆然としている少女を入口に押し込むキラ。少女は抵抗しようとするが、無理矢理押し込む。


    「私達は隣のシェルターに行くから!」

    「待て、お前達は──」


    最後まで言葉が届くことなく、扉は閉まった。

  • 32スレ主25/02/28(金) 03:50:16

    「ハマナ、ブライアン!早くX303とX105を起動させるんだ!」


    二人が格納庫まで戻ってくると、銃撃戦は激化していた。

    連合、ザフト両陣営で多くの犠牲者が出ている。

    キャットウォークから見下ろすと、丁度女性作業員の背後からザフト兵が銃撃しようとしていた。


    そこに琉生がdice1d12=7 (7) 発撃ち込んでザフト兵を無力化する。

    更に女性作業員が振り向き際にライフルを乱射し、ザフト兵を倒した。

    しかしライフルの弾が切れたらしく、拳銃で応戦する。


    「来い!」

    「左ブロックのシェルターへ行きます!お構いなく!」

    「あそこはもう、ドアしかない!」

    「チッ、おりゃあ!」


    それを聞いた琉生は、キラを抱きかかえて飛び降りる。


    キラの身長150+dice1d15=6 (6)

  • 33スレ主25/02/28(金) 08:07:36

    もうビルスーツはもう一機dice1d2=2 (2)

    1.ある 2.ない


    1の場合dice1d4=1 (1)

    1.ストライク 2.デュエル 3.アストレイグレーフレーム 4.オリジナル

  • 34スレ主25/02/28(金) 16:17:12

    そのついでに、赤いパイロットスーツのザフト兵を一人撃つ。

    「はっ、ラスティ!」

    もう一人の赤パイロットスーツの兵士は、遮蔽物から飛び出して残りの連合兵士を一掃する。

    「うおぉぉ!!」

    さらに女性整備士の肩を撃ち抜く。その直後に弾詰まりを起こしたのかライフルをその場で捨て、
    サバイバルナイフを抜いて止めを刺そうと向かってくる。

    「させるか!」

    俺は袖から愛用のワイヤーを引き抜き、固定化して槍として構える。

    「なんだお前は!?邪魔をするな!!」
    「そうはいくか。お前たちのおかげで大勢の人間が巻き込まれたんだ。
    これ以上は好きにやらせるわけにはいかない」

    俺は槍術と棒術、体術を駆使して相手の左腕の関節を外す。

    「グゥウ、お前は一体・・・・キラ?」

    左腕を押さえながら睨みつけてきた男の表情が驚きで変わる。

  • 35スレ主25/02/28(金) 19:52:33

    琉生は自分用の機体をdice1d2=1 (1)

    1.持ってる 2.持ってない


    1の場合dice1d4=2 (2)

    1.ガンブレのガンプラ

    2.レイアース的な魔神 

    3.マクロスのバルキリー 

    4.STARWARS(旧三部作)の戦闘機

  • 36スレ主25/02/28(金) 21:21:26

    「アスラン?」

    キラも驚愕の表情を浮かべる。

    「キラ──」

    アスランが何か話そうとした瞬間、大きな爆発が起きた。
    格納庫はいつの間にか燃え盛り、生存者もこの場の俺達4人しかいない。

    「くっ」

    女兵士が負傷を押して拳銃を構える。それに気づいたアスランが下がるのと同時に、
    再び大きな爆発が起こり、キラと女兵士に爆炎が迫る。

    「くそッ!」

    咄嗟に二人を抱え上げ、残っていたMSのコックピットに飛び込む。

    「コックピット閉めるスイッチどれですか!?」

    コックピットに飛び込むやいなや叫び、女兵士がそれと指差したスイッチを押す。
    ちなみにキラはシートの後ろ。女兵士はシートに座った俺の膝の上にお姫様抱っこのような形で乗っている。
    妙齢の美女特有の柔らかさと香りを感じるが、今はそれどころではない。
    キラが不満の混じった冷たい視線を向けてくるし。

  • 37二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 02:21:00

    機体ファンタジーなんだな

  • 38スレ主25/03/01(土) 07:49:09

    「このままこいつで、ここから出ます。機体のシステムの立ち上げをお願いします」
    「いや、それは……」
    「撃たれてるお姉さんよりは俺のほうがマシですよ。あ、俺はルイ・アヤセって言います。
    後ろに居るのはキラ・ヤマトです」
    「……私はマリュー・ラミアス大尉です。わかりました。この機体はザフトに絶対に渡せないので、そのつもりで」

    マリューが幾つかのスイッチを押すとモニターや計器類に光が入る。そして

    General
    Unilateral
    Neuro-Link
    Dispersive
    Autonomic
    Maneuver

    モニターに表示されるOS。

    「ガ、ン、ダ、ム…ね」

    【ストライク】の両目が光り、徐々に立ち上がる。爆炎を背に、鋼鉄の巨人に命が吹き込まれた。

  • 39二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 13:53:31

    先にルイが操縦するのか

  • 40二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 16:29:18

    ルイがOS書き換えるのか?
    それともキラがやるのか?

  • 41スレ主25/03/01(土) 20:56:55

    ストライクのOSを書き換えるのはdice1d2=2 (2)

    1.琉生 2.キラ

  • 42二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 02:20:00

    保守

  • 43スレ主25/03/02(日) 07:56:55

    外の方ではザフトのMSジンの攻撃であちこちに被害が出ており、
    避難している住民はパニック状態へと陥っていた。
    その中の一機のパイロットであるミゲル・アイマンは、
    格納庫の方から出てきた二機の機体を見て思わず笑みを浮かべた。

    「アスランとラスティの奴、ようやく終わったか。」

    彼はてっきり二機とも無事に強奪できたと考えていたが自分の近くに着地した機体から通信が来る。

    『ミゲル。』
    「アスランか。どうやらうまくいったようだな。」
    『いや、ラスティは失敗だ。』
    「何!?」
    『向こうの機体には地球軍の士官が乗っている。』

    確かに離れたところに着陸した機体は、うまく姿勢が取れていなかった。
    ラスティが強奪してOSを書き換えたのならこんなことをするはずがない。

    一方、ストライクの中ではあまりの不安定さに琉生が文句を言っていた。
    必死にレバーとペダルを動かして立たせるのがやっとだ。

    「何だこの不安定さ!?戦うどころか逃げることもできねぇぞ!」
    「琉生、機体状況を呼び出して」

    各種異常を示す表示はエラーばかり。
    スラスターの出力制御から、動作パターンの間接連動プログラムの不具合まで。
    運動時に発生する慣性を計算、制御する式から、火器管制の類まで。
    他にも多岐にわたりエラーの嵐である。

  • 44スレ主25/03/02(日) 14:21:30

    オペレーションシステムを呼び出してみれば数値がでたらめ。
    一部未設定の部分まであるのだからこれで軍事用なのかと呆れ返る。
    こんなお粗末な状態で辛うじてでもジンと戦える琉生がどれだけ異常か理解できた。

    そんな事お構いなしにジンは、飛んで切りかかってくる。もう回避が間に合わないと判断した琉生は、
    トリコロールカラーに変化し両腕を組んでジンの剣を受け止めた。

    「何っ!?どうなっているんだコイツの装甲は!?」

    サーベルで切断できないことにミゲルは、驚愕する。その答えはすぐに分かった。

    『こいつ等の機体はフェイズシフト装甲を持っているんだ。展開されたら、ジンのサーベルなど通用しない。』
    「ちい!ナチュラルがこんなものを・・・・アスラン、お前は早く離脱しろ!
    怪我人にいつまでもここにいられたら迷惑だ。」

    ミゲルは、アスランのイージスが離脱したのを確認すると再びストライクに急接近して何度も切りかかる。
    それに対して、琉生は腕を盾にしつつカウンターでパンチや膝蹴りで応戦する。
    更に頭部に装備されたバルカン砲[イーゲルシュテルン]を放つが、大半が明後日の方角に飛ぶ。

    「あークッソ!これじゃ生身で戦った方がましだ!」
    「……お粗末のもほどがあるわ……こんなOSで動かそうだなんて」
    「ま、まだ全て終わってないのよ!」

    仕方ないでしょと文句を垂れるマリューを尻目に、
    キラはメンテナンス用キーボードを引っ張り出す。

  • 45二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 16:56:58

    マリューより戦えるの凄いな

  • 46スレ主25/03/02(日) 20:21:49

    「琉生!私がOSを書き換えるわ!」

    「了解!何とか持たせる!」

    「キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定。ダメ!?

    なら疑似皮質のイオンポンプに制御モジュール直結!ニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築。

    メタ運動野パラメータ更新、フィードフォワード制御再起動。伝達関数、コリオリ偏差修正。

    運動ルーチン接続、システムオンライン、ブートストラップ起動!」


    キラがOSを書き換えるのと同時に、イーゲルシュテルンを直撃させる。

    更に怯んだところで肘打ちで体勢を崩し、武器を持っていた右腕の関節をへし折る。


    「なんなんだコイツ!?急に動きが良くなるどころかこんな・・・」


    動揺している隙に武装を確認。腰部のサイドアーマーに収納されている折り畳み式ナイフを一本取りだす。


    「アーマーシュナイダー・・・ナイフだけか!」


    ナイフを構えるとストライクは、動揺しているジンの背後に一瞬で回り込み取り押さえる形で首元に突き刺した。


    「ハイドロ応答無し、多元駆動システム停止!?ええい!」


    機体が動かなくなったことでミゲルは、憤りを感じながらも自爆装置を起動して脱出していった。


    「まずいわ、早くジンから離れて!!」


    回避にdice1d2=2 (2)

    1.成功 2.失敗

  • 47スレ主25/03/02(日) 21:22:19

    「うん?」

    マリューの言っていることが分からない琉生は、
    そのままジンの自爆に巻き込まれて後方へと吹き飛ばされてしまった。
    爆圧がストライクを激震させ、三人は衝撃で頭を打ってしまった。

    「ウ・・・ウゥ。」

    一瞬朦朧とした琉生だったが、すぐに首を振って勝機を取り戻す。
    そして同乗していた二人の安否を確認する。
    キラもマリューも気絶しているだけで、大事には至っていない。

    (自爆とは…しくったな)

    反省しつつ、琉生はポケットから薬と医療キットを取り出し、マリューの治療を行う。
    幸い弾は貫通して残っていなかったので、手持ちの魔法薬を塗って完治させることができた。

    (後は姉貴達の安否だな、シェルターには入れたのか?)

    倒れていたストライクを起き上がらせるとコックピットハッチを開けて彼は、外の様子を見る。
    周囲はジンの自爆であちこち壊れていたが幸い瑠璃達5人は無事でストライクの足元に来ていた。

    「あっ!琉生よ!」

    瑠璃は、ハッチから顔を出した琉生に指を差す。その姿にトール達も驚きを隠せなかった。

  • 48二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 02:23:27

    ナチュラルなのにキラのOSで動かせるのか

  • 49スレ主25/03/03(月) 09:19:09

    「本当だ!琉生、お前どうしてモビルスーツに!?」
    「あの迷惑な客人のおかげで戦闘に巻き込まれてな。
    コイツのおかげでなんとかなった。キラも一緒だ」
    「そうなんだ、私達入れるシェルターがなくてここまで来たんだけど」
    「なら遠出して探すか」

    この世界ではザフトがバラまいた核分裂を止める装置[ニュートロンジャマー]のせいで
    原子炉が使えなくなり、モビルスーツを始めとする乗り物の多くは充電で動いている。
    ストライクのバッテリーを確認すると現在半分。フェイズシフト装甲は実体攻撃に対して
    無敵に近い防御力を誇るが、代償に燃費が悪いようだ。
    戦闘時ではない今は切っておくほうがいいだろう。

    琉生SIDEOUT

  • 50スレ主25/03/03(月) 16:09:49

    地球連合軍の士官、マリュー・ラミアス大尉は体を揺すられる振動でうっすらと意識を取り戻した。
    背中が痛い。自分は金属の上に横になっているのか。
    横から少女の声が聞こえた。

    「……気がつきました?琉生ー!この人目を覚ましたわよ!」

    マリューが体をおこしてみると、そこは空だった。地表ではない。
    景色がゆっくり流れていく。周りに少年少女がいてマリューをほっとした顔で見ていた。

    「まだ寝てた方がいいですよ、治療は済んでますけど酷い怪我だったみたいだし」

    眼鏡をかけた少年、サイにそう言われてマリューは戸惑いながら辺りを見回した。
    モビルスーツの手……どうやらストライクの手のひらの上らしいと見てとれる。移動中のようだ。
    サイとミリアリア、瑠璃とマリューが落ちたりしないように、ストライクのもう片方の手で囲いができている。
    ずいぶんと器用な真似だ。マリューが今まで寝ていられた程度には振動も穏やかだ。

    ……器用どころか、人を手に乗せて歩行しつつ振動を
    この程度に抑えているのは、むしろ驚異的な機体制御技術だった。
    機体の腕や手首を細かく上下させて振動自体を和らげているらしい。
    マリューが今まで寝ていられた程度には。
    オート制御にそのレベルの式はまだ用意できていないはずだ。

  • 51スレ主25/03/03(月) 19:18:46

    それに気付いてマリューは、誰が操っているのかとコックピットに目を向ける。
    居たのは先程の少年だった。琉生がいて、マリューを見ていた。
    その周りにトール、カズイがくっついてはしゃいでいる。
    キラはコンソールでOSの微調整をしていた
     
    「まだ動かない方がいいですよ……傷は負債だけど流れた血は手付かずなので。
    今はモルゲンレーテの方に向かってます。他に当てが無いので……」
    「貴方……さっきの……あっ!?そ、その機体から離れなさい!」

    マリューは琉生と言葉を交わすと弾かれたように銃を抜き放った。操縦席に座る琉生に向けて構える。

    「えっ!?」
    「ち、ちょっと!」

    サイとミリアリアがあわてて間に入ろうとするが、銃口を向けられておとなしくなる。
    キラは素直に、琉生はトールとカズイの首根っこを掴んで一緒にコックピットから出た。

  • 52二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 21:06:04

    キラのOSってナチュラルには使えないよな?
    なんで操縦できてるの?

  • 53スレ主25/03/03(月) 22:18:07

    「助けてもらったことは感謝します。でもこれは軍の重要機密よ、民間人が無闇に触れていい物ではないわ」

    その堅苦しい物言いにトールが不満を漏らすが無視された。
    マリューは全員に名前と職業を名乗らせると、これからの対応を説明し始めた。

    「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。
    申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなりました。
    事情はどうあれ、軍の最高機密を見てしまった貴方たちは、しかるべき所と連絡が取れ、
    処置が決定するまで、私と行動を共にしてもらいます」

    綾瀬姉弟はだろうなと納得するが、彼女の突然の言葉にトールたちは呆然とする。
    自分たちは好きで見たわけでもないのに勝手に束縛され、更に罰則を受けると言われているのだ。

    「そんな!?」
    「冗談じゃねえよ!なんだよそりゃ!?」
    「従ってもらいます。」
    「僕たちはヘリオポリスの民間人ですよ?中立です!軍とかなんとか関係ないんです!」
    「・・・・いや、俺たちはもう無関係じゃない。」
    「ルイっ!?」

    無関係だと主張しようとした彼らは、琉生の一言に騒ぐのをやめる。

  • 54スレ主25/03/04(火) 06:01:14

    「軍の重要機密は、本来なら一般兵にすら知られるのは許されない。
    どこかしらでうっかり話してしまえば漏洩する恐れがあるからだ。
    その場合は口封じのために監禁されるか、悪ければ・・・・何らかの罪を着せられて消される」
    「うわぁ・・・・」
    「それに今は戦時中だ。ただでさえ中立を謳っていた国でこんなもの作ったことが知られたんだ。
    地球軍は愚かオーブ政府すら俺たちに何をするか分からない。
    だから、ここは素直に従った方がいい。そうだろ?マリュー・ラミアスさん。」
    「・・・貴方は話が分かるようで助かるわ。とりあえず、しばらくの間私の指示に従ってもらいます。」

    真面目に話をする彼に対し、マリューは銃を下ろす。

    「それに生きるか死ぬかの状況だったとはいえ、勝手にモビルスーツを動かして
    何もないと思うほど暢気じゃないですよ。あとトールたちは、俺も事前に注意しなかったけど、
    何でモビルスーツ勝手に触って大丈夫だと思ってるんだよ……」

    最後のほうは溜め息まで吐いてる琉生に、トールたちも居心地悪そうにしている。

    「まあ、このままモルゲンレーテに向かうぞ」

  • 55スレ主25/03/04(火) 09:20:31

    マリューは、敵がとりあえずいない事と、モルゲンレーテが近くにあったために落ち着きを取り戻していた。
    発砲までしておいて情けない話ではあるが、学生達に協力をしてもらっている。
    琉生にはストライクで友軍との連絡を試みてもらい、サイ達には
    ストライクのオプションパックを載せてあるトレーラーを取りに行ってもらっていた。

    その際に琉生は、モルゲンレーテのシェルター区画へ友人達を送れないか?
    安全な避難場所や通信設備は?と聞いてきたが、マリューは否定した。

    内部は襲撃により破壊されていて爆発、火災の危険がある。隔壁の解除も簡単にはされない。
    だから外側にある搬入区画に立ち入るのが精一杯だと。

    そう言われると琉生は肩を落として引き下がった。

    「こちら、X105ストライク。地球軍、応答願う。聞こえるか?こちら、X105ストライク。地球軍・・・・」

    その後、琉生は通信を試みていた。港には地球軍の
    新造艦が停泊しているとのことで連絡が取れるかもしれないとのことだ。

    「マリューさん、ダメだ。通信が繋がらない。」
    「そう。それじゃあ、今度はストライカーパックを装備してやってみて。
    パワーパックと接続すれば通信機能が良くなるはずだから。」
    「分かった。」

  • 56スレ主25/03/04(火) 14:32:22

    他にもコンテナがdice1d2=2 (2)

    1.ある 2.ない


    1の場合dice3d5=3 2 5 (10)

    1.デュエル

    2.ストライク

    3.ガンバレルストライク

    4.バスター

    5.アストレイグレーフレーム

  • 57二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 17:45:37

    戦力増えないな

  • 58スレ主25/03/04(火) 19:08:38

    そう言うと琉生は、トールたちが運んできてくれたトレーラーの荷台を開ける。

    「砲撃用の装備か。コイツを付ければいいのか?」
    「そうよ」
    「また専用のOS構築しないといけないのか・・・・・面倒だな」

    中に収納されている[ランチャーストライカー]を背中と肩に装備するが、
    琉生は浮かない顔を浮かべる。

    「他にないのか?こんなの危なくて使えないぞ」

    背中に装備された主兵装[320mm超高インパルス砲アグニ]。戦艦を貫ける威力の重火器だ。
    宇宙に住む人間が、コロニー内で手にするのに躊躇いを覚えるのに、十分すぎる見た目だろう。
    撃ったら大惨事だ。マリューは、撃たせるつもりはないから安心してほしいと琉生をなだめる。

    「別に撃つ必要はないわ。でもこのオプションパックを付けてもらわないと、身動きが取れないの。急いで」

    別装備は今のところ確保できていない、と言われると、琉生はため息をついて
    後ろに座るキラに調整を頼む。マリューは本当に不思議だと思った。
    非協力的なら分かるが、協力的だというのには戸惑いを覚えてしまう。
    今だって嫌がりはしたが、手は止めていない。むしろ仕事が早かった。

  • 59二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:59:37

    これ、キラがサポキャで終わるんじゃ

  • 60二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 04:17:47

    キラがサポキャヒロインで終わるんじゃ

  • 61スレ主25/03/05(水) 04:28:52

    すると宇宙港側の隔壁が爆発し、炎の中からMSとMAが侵入してきた。

    「また、敵か!?」
    「えぇ~!?」

    サイたちが動揺しているのも束の間、ザフトのMS[シグー]は頭部のモノアイをストライクに向ける。

    「ほう、あれがミゲルを墜とした最後の一機か。このままにはしておけんな。」

    パイロットの仮面の男ラウ・ル・クルーゼは、先ほどまで相手していた
    MAをそっちのけにしてストライクの方へと目標を変える。

    「クソ、やらせるか!」

    装備していた優先式誘導砲ガンバレルをすべて失いながらも、
    地球軍のMA[メビウス・ゼロ]に乗るムウ・ラ・フラガがさせまいと追いかける。

    「キラ!OSは!?」
    「10分!いや5分で何とかする」

    それを聞いた琉生は、GM6・リンクスを取り出しシグーに向ける。

  • 62二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 10:02:48

    GM6って対戦車ライフルだよな。
    それでMS撃つってメロウリンクか?

  • 63スレ主25/03/05(水) 13:59:08

    琉生:不意打ち込みで40+dice1d100=69 (69)

    クルーゼ:dice1d100=46 (46)


    数字が大きい方の勝利

  • 64スレ主25/03/05(水) 19:08:49

    シグーが破壊された場所dice1d5=2 (2)

    1.頭部 2.右腕 3.左腕. 4.右足 5.左足

  • 65二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:21:02

    勝てそうな予感

  • 66二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 00:10:30

    ますますメロウリンクっぽいな

  • 67二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 03:54:34

    よく当てられたな

  • 68スレ主25/03/06(木) 07:56:52

    鬱陶しいと感じたラウは、シグーのスラスターで上に回り込むと

    ゼロの最後の装備であるレールガンを容赦なく斬り捨てようとブレードを振り上げた。

    その時である、シグーの右腕が肘先から吹き飛んだのだ。


    「何っ!?」


    驚愕の表情を浮かべるクルーゼに、もう一発銃弾が迫る。


    琉生:dice1d100=93 (93)

    クルーゼ:dice1d100=51 (51)


    数字が大きい方の勝利

  • 69スレ主25/03/06(木) 07:58:04

    シグーが破壊された場所dice1d4=1 (1)

    1.頭部 2.左腕 3.右足 4.左足

  • 70二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 11:25:23

    これ、生身でも勝てるんじゃね

  • 71二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 14:20:10

    ルイつえー

  • 72二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 18:30:15

    というかさ、対戦車ライフルでMSに勝てるのか?

  • 73二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:01:00

    >>72

    一応ルイ魔法使いだろ

    Gガンよりは難しいけど勝てるんじゃね

  • 74スレ主25/03/06(木) 20:32:08

    銃弾は頭部に命中し、完全に破壊される。


    「ばかな!?いったいどこから!?」


    大慌てでサブカメラを起動し、残った左腕でブレードを構えたクルーゼに、

    OS調整を終えたストライクが迫ってきた。


    琉生:dice1d100=69 (69)

    クルーゼ:dice1d100=56 (56) -50(破損によるデバフ)

  • 75スレ主25/03/06(木) 20:54:17

    軍式格闘術をベースにした無駄の無い肉弾の連打に、クルーゼは翻弄される。

    (だ、ダメだ…隙が無い)

    ザフトはこれまで戦車と戦闘機、船舶を前提にしていた戦術の元に戦って来た。
    おまけに訓練でMS同士の戦いもあったが、近接武器を持ってる状態が前提だ。
    間違っても精密機器であるマニピュレータ(手)やペディピュレーター(足)を
    当然のごとくぶつけてくる戦いなど想定されていない。

    その衝撃に、クルーゼは翻弄されるばかりだ。
    殴られるたびに装甲は凹み、砕け、駆動系にも大きな損傷が出来る。

    (逃げるしかない!)

    そう確信したクルーゼは持てる手段で、何とか隙を作ろうと思案する。
    その時何かを感じ取ったのかラウは、シグーを一旦急上昇させる。
    すると鉱山エリアの隔壁が爆風で吹き飛び、白い戦艦がヘリオポリス内へと侵入してきた。

    「艦?さっき言ってた[アークエンジェル]か?」
    「新造艦?どうやら、仕留め損ねたか!」

  • 76二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 04:31:40

    これ、AAが来なかったら勝てたろうな

  • 77スレ主25/03/07(金) 08:23:37

    アークエンジェル艦内では、士官であるナタル・バジルールが生き残ったクルーたちで動かしていた。

    「状況はどうなっている!?」
    「地上でストライクを確認・・・いえ、交戦しています!」

    観測手の報告で、ブリッジの緊張が高まる。
    そこに、とりあえず攻撃だと言わんばかりに、シグーが接近する。
    どうやら逃げるついでに音好きらしい
     
    「回避、面舵!」

    ナタルの指示に、操舵手のノイマンが答える。シグー
    から放たれた銃弾を艦体を90度近く傾けて避けた。

    「このッ!」

    シグーの追撃を止める為に、ストライクが銃撃する。
    シグーはアークエンジェルへの攻撃を止め、ストライクと銃撃戦を始めた。
    それを見たナタルが、援護しようとミサイルを放つが、
    回避されコロニーを支えるシャフトに当たりそうになる。

    「砲手は馬鹿か!?」

    それを見た琉生は、右肩の120㎜バルカンと多目的ガンランチャーでミサイルを撃ち落とす。
    その隙にシグーは逃げてしまった。

  • 78二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 12:57:03

    ルイラウのこと知らないみたいだし、
    コロニー優先するのは当然か

  • 79二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 15:59:08

    転生者だけどガンダムの知識は無いみたいだな

  • 80スレ主25/03/07(金) 18:56:23

    シグーの撤退が確認されると琉生は、全員をストライクの手に乗せて
    着陸したアークエンジェルのカタパルトに入り、ナタルたちと合流した。

    「ラミアス大尉、ご無事で何よりでありました!」

    ナタルは、彼女の前で敬礼する。マリューの方も敬礼し、母艦が無事であったことに少し安堵した。

    「貴方たちの方もよくアークエンジェルを。おかげで助かったわ。」

    お互いの安否を確認している傍ら、琉生とキラはストライクから降りて一呼吸していた。
    クルーたちは、搭乗していたパイロットがまだ10代の子供であったことに驚いている。

    「ラミアス大尉、これは・・・」
    「あぁ・・・実は」
    「へぇ~コイツは驚いたな。」

    事情を話そうとしたところで遅れて着艦したムウが水を差す形でその場にやってくる。

    「おっと、失礼。地球軍第7軌道艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ。よろしく。」
    「地球軍第2宙域第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です。」
    「同じく、ナタル・バジルール少尉であります。」

  • 81スレ主25/03/07(金) 19:30:46

    軍人同士の挨拶が終わるとムウは、周囲を見回しながら改めて口を開く。

    「いきなりのところ悪いけど乗艦許可をもらいたいんだがこの艦の責任者は?」

    彼の問いにナタルは、表情を曇らせる。

    「・・・艦長以下、主だった士官は全員戦死されました。よって、ラミアス大尉がその任にあると思われます。」
    「えぇ!?艦長が!?」

    彼女の発言にマリューは、動揺を隠せなかった。彼女は一応アークエンジェルの
    副長ではあるもののあくまで本業は技術士官であり、戦艦長として訓練を積んでいない。

    「無事だったのは艦にいた下士官十数名のみです。私はシャフトの中で運よく・・・」
    「やれやれ、なんてこった。とりあえず許可をくれよ?ラミアス大尉。俺の乗ってきた艦も落とされちまってね。」
    「は、はい。許可します。」
    「ところであれは?」

    取り合えず乗艦許可をもらったムウは、次の視線を琉生達に向ける。当の本人は疲れたのか目を閉じていた。

  • 82スレ主25/03/07(金) 19:41:28

    「御覧の通り、民間人の子供です。襲撃を受けた時、何故か工場区にいて。
    私がGに乗せました。ルイ・アヤセとキラ・ヤマト言います。
    彼等のおかげでジン一機を撃退し、あの機体だけは守ることができました。」

    「ふうん。」
    「ジンを撃退した?あの子供が?」

    マリューの言葉にナタルを始め、アークエンジェルのクルーたちは、半信半疑になる。
    ろくに訓練をしていないはずの民間人が自分たちの最高機密を乗りこなし、
    MSを撃退するなど普通なら考えられない。

    「俺はGのパイロットになるひよっこたちの護衛で来たんだがね。あいつらは?」
    「丁度、指令ブースで艦長との着任の挨拶の時に爆破されましたので恐らく・・・・」
    「そうか」

    興味を持ったのか彼は、琉生とキラの近くにまで来て彼の顔を見る。

    「・・・・なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」

    琉生が目を開けるとムウは、特に気にするような様子もなくさりげなく言った。

    「君達、コーディネーターだろ?」

  • 83二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:06:42

    さて、どう反応する?

  • 84二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:23:51

    絶対大人しくはないな

  • 85スレ主25/03/08(土) 04:37:16

    途端に、空気が張り詰めるように緊張する。ムウの後ろでは、

    マリューがこの野郎と言わんばかりにムウを睨み付けている。

    それに気づいたナタルは、ちょっと引いている。


    「はい」


    キラが答えると、船員の後ろにいた兵士達が銃を構えた。

    その時、何かがしなる音がして銃が叩き落される。


    琉生の選択dice1d3=3 (3)


    1.無言でキラの前に立つ

    2.ムウに銃を向ける

    3.だからどうした?っとキラを庇う

  • 86スレ主25/03/08(土) 09:13:25

    「フッ、分かった途端撃つか?仲間を殺した奴らと同じだとわかれば民間人でも容赦しないと言う訳か」

    琉生は、警戒する彼らに対してワイヤーを手に皮肉を言う。実際、
    連合は否定こそしているが[血のバレンタイン]で大勢のコーディネーターを虐殺したと言われている。
    その気になれば民間人だろうと躊躇なく殺せるだろう。

    「なんなんだよ、それは!!」

    そこへトールが間に割って入ってくる。

    「トール。」
    「コーディネーターでもキラは敵じゃねえよ!さっきの見てなかったのか!?
    どういう頭してんだよ、お前らは!!」

    彼は、兵士たちに食って掛かる。それに続くようにミリアリアたちも言う。

    「そうよ、私たちを守ってくれたのよ!」
    「いくら何でも勝手じゃないか!」
    「サイ、ミリアリア。」
    「・・・・・銃を下ろしなさい。」

    マリューの命令で兵士たちは銃を下ろす。
    ナタルは、戸惑いながらもこれでいいのかとばかりに言う。

    「ラミアス大尉、よろしいのですか?」
    「そう驚くこともないでしょう? ヘリオポリスは、中立国であるオーブのコロニーですもの。
    戦火に巻き込まれるのが嫌でここに移ったコーディネーターがいたとしても不思議じゃないわ。
    そうでしょ、キラさん?」

  • 87スレ主25/03/08(土) 09:46:08

    「ええ、私は一世代です。ここに移る前は両親とコペルニクスに住んでいました。
    プラントには行ったことはありません」
    「なるほど、親はナチュナルってわけか。いや、悪かったな。とんだ騒ぎにしちまって。」

    ムウは、苦笑しながらこれ以上空気を悪くさせないようにと謝罪する。

    「俺はただ聞きたかっただけなんだ。ここに来るまで、あいつらのシミュレーションを散々見てきたが、
    鈍くさ動かすのにも四苦八苦してたからな。やれやれだな」

    彼は、そう言うとその場を後にしようとする。

    「大尉、どちらへ?」

    「どちらって、俺は被弾して降りたんだし、外にいるのはクルーゼ隊だぜ。
    あいつら、かなりしつこいぞ。ここでのんびりしていたらいつ攻めてくるのか」
    「なら出航の準備をしよう、必要物資の指示を頼む」
    「ありがとう、ルイ君。お願いするわ」
    「え、ラミアス大尉!?」

    驚くナタルをよそに、マリューはきびきびと予定を立てていく。

    「ストライク関連のパーツは、私が直接指示を出します。バジルール少尉は、艦で全体の指示を」
    「は、はい」

  • 88二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:04:48

    ルイがナチュラルだと知ったらどうなるのやら

  • 89二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:06:15

    ルリはMAくらいなら動かせるかね

  • 90二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 15:51:45

    いつナチュラルだってバレるのかな

  • 91二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:40:46

    知った時関係者全員エネル顔になるな(確信)

  • 92二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:59:14

    オリキャラ姉弟ホントにナチュラルか?

  • 93二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 04:29:24

    保守

  • 94スレ主25/03/09(日) 07:14:49

    アークエンジェルは一時的にヘリオポリスの地表に降りていた。
    二度、ザフトを撃退した事で少しの猶予ができたとの判断である。
    今後に備えての物資搬入や機材のチェック。クルーの配置、迎撃態勢の構築。
    艦の行動方針の決定まで含めて、やらねばならない事は山ほどあった。

    モルゲンレーテ区画とアークエンジェルの間は近かった事が幸いした。
    整備班と保安部の大半がピストン輸送で物資搬入を行っており、悪くはない状況だった。
    瑠璃が運搬を得意とする召喚獣、牛の[堂丸」を呼び出して重機数機分の働きをしているのも大きい。
    艦内では整備班の残りと部署未配属の者が、搭載兵器の修理、艦の気密チェック、
    緊急時のダメージコントロール方法の確認等に走り回っていた。
    こちらは、お世辞にも良い、とは言い難い状況で未確認の項目が積み上がっていた。

    人気がなくなったヘリオポリスの中で、アークエンジェル近辺だけが喧騒に包まれていた。

    ブリッジ及び戦闘指揮所(以後、CIC)では、担当部署を割り振られた
    下士官達がシステム周りのチェックや、艦の能力の把握に努めていた。

    その片隅では3人の将校が、頭を悩ませている。

  • 95スレ主25/03/09(日) 13:45:52

    マリュー「はぁー。コロニー内の避難はほぼ100%完了しているということだけど、

    さっきので警報レベルは9に上がったそうよ。友軍へ通信は?どこか通じるかしら」

    レベル9の警戒レベルなんて言えば、コロニー内に人が居られる状態では無いことを示す。
    酸素も薄れて、まともに生活できる状態じゃ無い。まさに戦争状態だ。
    こんな惨状を招いてしまった責任感からか、マリューの両肩には重苦しい何かが載っているようにも見えた。

    マリューの問いに、オペレーターのチャンドラが答える。

    「電波撹乱が止みません、通信は困難です」

    電波撹乱が緩まないという事はつまり、ザフトはまだここで仕掛けてくるつもりだと見てとれた。
    マリューを思わず弱気が襲う。

    マリュー「では、アークエンジェル単艦で脱出をしなければいけない訳、か。
    ……バジルール少尉。戦闘から逃走、一応、降伏までを視野に入れて結構よ。どうしたらいいかしら?」

    マリューの明け透けな言葉に、ナタルは一瞬ムッとした。
    指揮官が使う言葉ではないし、大尉が少尉に聞く事ではない。
    技術将校とはいえ、今は艦長席に座る人間が。

    「こ……失礼しました。降伏は論外です、この艦とストライクは連合の財産です。

    戦闘は最小限に、ヘリオポリスからの脱出を進言いたします」

  • 96二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:15:15

    原作よりマシな戦力

  • 97二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:24:41

    このレスは削除されています

  • 98スレ主25/03/09(日) 18:26:19

    ナタル・バジルールは地球連合軍の少尉だった。
    新鋭艦アークエンジェルのクルーに選ばれて、ヘリオポリスにやって来ていた。
    ザフトの襲撃により、アークエンジェルの艦長以下主だったクルーの大半が戦死してしまい、
    残った中では最上級に当たる将校だった。

    マリュー達と合流するまでの短い間、指揮をとっていたのも彼女だ。
    ただ、いくらなんでも少尉が艦長では無理があるため、
    元々副長として任命されるはずだったマリューが、臨時で艦長職についていた。

    「そうよね……だけど具体的には?」
    「ローエングリン…… 特装砲でヘリオポリスの外壁を撃ち抜いて、脱出路を確保します。
    穴を開ける場所はフラガ大尉のメビウス・ゼロに偵察を行ってもらい、敵の警戒網の薄い部分を算定した上で」
    「ちょっと待って少尉……!貴女、コロニーの中から特装砲を撃つ気なの?あれは」
    「既に一度は撃っています。それに威力はもちろん加減をするつもりです。
    宙港ドックは敵の警戒が厚いと予想されます、そこでミラー部分のどこかを破壊して高速で離脱を……」

    特装砲……陽電子破城砲ローエングリン。
    名前に破城とつく通りで威力に優れる、アークエンジェル最強の装備である。
    確かに宙港ドックから素直に出ていくのは危険だろう。 
    コロニー内部の、破壊可能な箇所を選んで脱出路を開けるのは現実的と言える。

    しかしナタルの作戦案には問題が三つあった。
    一つは、ローエングリンは放射能を発生させる事、これは環境に対する汚染を避けられない武装だ。
    二つ目は範囲の問題。威力は高いが効果範囲も広い武装だ。もし万が一にも、
    シェルターが集中している部分に被害が及べば大惨事である。
    三つめは、一つ目と二つ目に絡む問題だった。
    それを説明するのに言葉に迷うマリューを残りの一人、ムウ・ラ・フラガ大尉が代わって問題を指摘した

  • 99スレ主25/03/09(日) 20:37:35

    「あー、少尉。止めた方がいいな、外にいるのはクルーゼ隊だって言ったろ?
    あいつはグリマルディで戦った時もそうだが、人が嫌がる事をやるのが上手いんだ。
    コロニーにド派手に穴なんて開けたら、ザフトから映像が出回りかねないぞ。
    地球連合の新鋭艦、コロニーを破壊!これが連合のやり方だ!……なんてな」

    ムウの言葉は柔らかいが目は笑っていなかった。
    コロニー内部で放射能を撒く、という事の意味を分かっているのか?と、言いたげだった。

    ハッキリ言って強硬派がやってしまった暴挙。農業コロニー[ユニウスセブン]に
    核攻撃を行い、20万人以上の民間人を虐殺し開戦のきっかけになった[血のバレンタイン]の再現だ。

    それをここですれば連合の敵はプラントだけではなくなる。
    宇宙にだってナチュラルはいるのだ。そして地球にもコーディネーターは多い。

    内壁を破るのに一度やってしまったからこそ、もうできなかった。
    身動きとれずにやむなく瓦礫を破砕しました、と、
    逃げるためにコロニーに穴を開けましたでは、外聞は違いすぎる。

    ムウは無意識にだが、まだ若い少尉を見下した。
    この女、まさか過激派のブルーコスモスじゃないだろうな、と。

  • 100スレ主25/03/09(日) 21:12:27

    ブルーコスモスは元々環境保護団体だったが、今はコーディネーターを
    排斥するためなら無関係なナチュラルの民間人を多数巻き添えにすることも辞さない
    テロ組織だ。面倒なことに生まれつきの天才であるコーディネーターへの嫉妬から、
    構成員や賛同者は数えきれないほど多い。

    「それに俺のゼロは万全じゃない、ガンバレルをすべて潰されて整備中だ。
    出るのは可能だろうが、一機での偵察は勘弁してほしいな」
    「では、如何されますか。まさか正面から堂々と出るとでも?」
    「それしか無いんじゃない? 少なくとも、コロニー内でばかすか撃つのは止めときましょっ、てな」
    「……撃たねばやられてしまいます」
    「やられるにしてもよ、格好つけなきゃならん時があるのよ。困ったもんだ」

    ムウの返答にナタルが考えこむ、今度はマリューが口を開いた。

    「……ストライクの力も、必要になりますわね」
    「なら、フラガ大尉がストライクに乗ればよろしいのでは?」

    ナタルが当たり前ではと言わんばかりに意見を言うが、ムウは冗談だろと言わんばかりだ。

    「いや、少尉。あの嬢ちゃんの弄ったっていうストライクのOS、君は見てないのか?」
    「見ておりませんが、報告は受けております。勝手に変更を加えたと。
    フラガ大尉が動かすのには不具合があるのですか?」
    「不具合つーかなんつーか。まあ実際、あのくらいじゃねえと使い物にならないんだろうな……」

    ナタルはムウから、ストライクのOSは極めて性能を発揮できる代物になっていると説明された。
    ただし、限界性能を発揮するために、信じられない程シビアなレベルでの反応速度、
    操縦技術を要求される厄介な代物でもあると。
    一部だがオート制御を切って、マニュアル制御での操作を組み込んであるOSを見たムウは、
    人間が使う物じゃないと感じた。F1カーエンジンを自転車で制御するようなものだ。

  • 101二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 03:54:06

    そりゃルイをコーディだと思うわな

  • 102スレ主25/03/10(月) 11:10:28

    ムウが琉生をコーディネーターと判断した理由もそれだ。
    今もそんなストライクを難なく操縦して荷運びをしている琉生がナチュラルなはずが無いと。

    しかし、琉生も瑠璃も異世界から来た現代日本人。
    この世界の定義に当てはめれば、純粋なナチュラルである。

    では何故琉生が使いこなせる奴は一種の化物なOSで動くストライクを難なく操縦できるのか。
    それはルイの特殊性にある。

    琉生が最も得意な魔法は[魔女術]だが、物質を解析し、形状を変えたり別の物質に変換する[錬金術]。
    そして体内に流れるエネルギーである[気]を操作し、身体に様々な影響を与える
    [気功術]も得意分野の魔法なのである。

    故に身体能力や反応速度を大幅に強化し、通常の人間を上回るスペックを発揮できる。

    もう一つはこれまでの経験だ。琉生は単身で異世界に迷い込むことが多々あった。
    ある時は銀河規模で圧政を敷く強国に抵抗するレジシタンスの一員として宇宙戦闘機を駆り。
    ある時は地球征服をたくらむ異星人が送り込んだ巨大怪獣に同等以上の巨大ロボットで対決した。
    またある時はパイロット自身すら使い捨てにすることを前提にした機動兵器で戦場を駆け抜けた。

    そんな経験を積んできた琉生からすれば、キラのOSはむしろ扱いやすい分類なのだ。

  • 103二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 14:28:30

    つまり、スペックでごり押し?

  • 104二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 16:42:56

    常識を超えた天才(化物)と言うべきか
    常識が通じない天然(バカ)と言うべきか
    どっちだ?

  • 105二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:31:28

    このレスは削除されています

  • 106スレ主25/03/10(月) 21:34:23

    ナタルはそれを聞いてムッとする。

    「では、ストライクからOSをコピーして、それを元に修正を加えていくというのはダメなのですか?」
    「いや、だからさ!修正どころの話じゃなくて。
    あれ俺じゃ使えねえよ、つーかあんなの、まともな人間が動かせるレベルじゃないんだよ」

    「では!元に戻してそれを、とにかくあんなコーディネーターの子供なんかに」
    「そんで性能落として、のろくさ出ていって的になれっての?」

    困ったように苦笑いするムウに、ナタルは押し黙った。
    彼女は基本的に理知的な人間だ。できる事とできない事を区別する分別がある。
    だから自分が馬鹿な事を言ってしまったと分かったのだ。ムウの言う事が正しいと。

    「それにガキ共さ…もう、どっか探して放り込むって訳にも、いかないじゃないの」

    綾瀬姉弟に、キラをはじめとしたヘリオポリスのカレッジで学ぶ学生達。
    臨戦状態となった今では、彼らも避難民だ。軍とは無関係である彼らを
    安全な場所に連れて行きたいところだが、レベル9となれば、
    シェルターは外部からの出入りが完全に遮断される。

  • 107スレ主25/03/11(火) 04:35:43

    3人が対応を話し合っていると、
    オペレーターのロメロ・パルからマリューに艦内電話が来ていると声が上がった。

    物資搬入を続けていた整備班、それに協力していた保安部の者かららしい。
    民間人数十名と、幾人かの友軍歩兵が避難して来たと報告が上がってきたのだ。

    さらに、それとは別の民間人の集団が保護を求めに来ていて、そちらには怪我人まで混じっているという話。

    指揮官達は顔を見合せた。話が見えないマリューだが、とりあえず艦内電話を手に取る。

    マリュー「避難したのではなかったの?」
    『はあ……それが……』

    マリューは報告を受けながら、ついさっき、コロニーを管理するコロニー公社の担当者から、
    避難状況の詳細を受け取っていた事を思い出す。

    避難は、ほぼ、終了したとの事だった。
    ただし、避難中の混乱で結構な数の死傷者が出てしまっている、
    行方不明も0ではない、と、担当者からの連絡には恨みがこもっていた。
    コロニー内、及び周辺での戦闘は禁止されているはずだからだ。

  • 108二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 06:51:59

    これに関してはどっちもどっちだよなぁ

  • 109二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 12:16:36

    保守

  • 110スレ主25/03/11(火) 15:57:00

    マリューは将校として簡単に謝罪をする立場になかったが、素直に詫びていた。

    担当の者は、警戒レベルを9に引き上げると伝えてきた後、戦闘になるなら、
    せめてコロニーから出て戦ってほしいと頼んできた。
    努力する、としかマリューは言えなかった。

    ――その行方不明の人間や、シェルターに溢れてしまった人達だろうと、マリューはあたりをつけ話の先を促した。

    『……モルゲンレーテの技術者とその家族と、付き添っていた歩兵小隊と言っています、
    歩兵小隊は戦闘で指揮官を失ったそうです。
    話によるとシェルターにあぶれて……戦闘があったからよそへ移動もできなかったと。
    怪我人は、その……シェルターが破壊されて出てくるしかなかった方々らしく
    ……動かせない人がまだ何名かいて。救助も要請しています』

    頭を押さえるマリュー。
    多分、いや、原因の半分はアークエンジェルだ。
    シェルターは艦艇の砲撃や、ミサイルに耐えられるような構造ではないのだ。

    その横で聞いていたムウがうなずく。

    「乗せるべきだな、艦長」
    「ええ。それしかありません。……いいわ、全員乗せてちょうだい。身元の確認は最低限で。
    物資の搬入は現時点で中止。すぐに終了させて、荷物の固定を厳重に。
    余った人員で破損したシェルターの場所を聞いたらすぐに救助を向かわせて、
    使えそうな車両の使用を許可します。時間がないわよ、急いで」

    マリューとフラガの判断に、ナタルが抗議する。
    民間人の保護は軍人の義務だ。それは当然だ。……ましてや、
    緊急時とは言え自分達が行った戦闘の巻き添えになったのである。

  • 111スレ主25/03/11(火) 18:07:37

    しかし誰が乗ってくるか分からないではないか。と言うのが彼女の主張だった。
    そこまでやって何とか、ザフトを撃退したのに。ノーチェックで誰彼構わず乗せては、と。
    せめて身元の確認は時間をかけるべきです、と、ナタルは慎重論を唱えたが、マリューは時間がないと言い切った。

    「もし私たちが見捨てて、ザフトが彼らを保護したらどうするの。宇宙で私たちに協力してくれる人はいなくなるわ」

    ヘリオポリスの警戒レベルは9だ。もう全てのシェルターはロックが掛かっている、
    破損や空気流出は応急修理では対応できないレベルだった。
    シェルターは避難場所ではなくコロニー脱出ポットに役割を変える段階……
    ここで彼らを置いていくという事は、死んでも構わない、と突き放すのと一緒だ。

    それぐらいはナタルも理解しているし、彼女もそこまで非情ではない。

    「それは分かっています、ではせめて艦内での移動制限を……」

    それでも堅物である以上、規則を徹底させる意見を口にするのだった。

  • 112二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 22:48:49

    保守

  • 113スレ主25/03/12(水) 05:12:00

    姉貴達同様シェルターに入れなかったり、逃げ込んだシェルターが壊れて出ざるをえなかった
    逃げ遅れをアークエンジェルに収容し、物資の搬入も一段落着いた。
    ストライクを格納庫に戻して充電と整備作業が行われるのを眺めつつ、
    俺は自分で淹れたコーヒーを楽しんでいた。
    隣に居るキラは苦味が苦手な甘党なので、カフェオレにして渡す。

    聞いた話では正規軍人はパイロットを含め大半が戦死、
    コロニーの警戒レベルは9でシェルターが避難船に切り替わってるから入れない。
    つまり、生き延びるには追加の人員が来るまでストライクで戦うしかなくなったわけだ。
    そして飲み終えたころ合いに、ラミアス大尉が現れ、そして彼女は俺とキラの名前を呼んだ。
    そして彼女の口から語られたのは、もうじきザフトの追撃が来るという現状と、
    ザフトの追撃から逃れる為に俺達の力を借りたいという要請だった。
    ラミアス大尉は直接的に言いはしなかったが、
    要するに俺とキラにまた、モビルスーツに乗ってほしいという事だった。

    「お断りします!」

    その要請を即座に断ったのはキラだった。

    「私は…私達は戦争が嫌で、中立の国に住む事を選んだんです!
    …貴女の言う通り、外の世界では戦争をしている。だからいつか、戦いに巻き込まれるかもしれない。
    それは今、この瞬間に実感しました。でもだからって、
    自分から戦いに飛び込んでいくのは違う!そんなのは、私は御免です!」

    それは当然の反応だ。戦火に巻き込まれた、それはまだいい。
    納得し難いが、それが今の現実な以上キラは受け止めるしかない。
    だがそれと、自ら戦火に飛び込んでいく事は全くの別物だ。
    兵器を取り、人を撃つ。本来、心優しい性根の持ち主であるキラ・ヤマトには、向いていないのだ。

    …お前がそれを選ぶなら、俺が肯定しよう。

  • 114スレ主25/03/12(水) 13:52:37

    「俺は構いませんよ」
    「えっ─────」

    ラミアス大尉が目を見開き、キラもまた信じられないと言わんばかりの目で俺を見上げる。

    「…良いのですか?」
    「誰かが行かなきゃ、この艦は沈む。俺の力でそれが避けられるなら、喜んで乗りますよ」

    元々そのつもりだしな、いつまでになるかは知らないが。
    コーヒーを飲み終えた俺は、マグカップをしまって立ち上がる。

    「待ってっ!」

    振り返った先には、俺達の方へ手を伸ばし、こちらへ来ようとしたのか片足が半歩前に出た体勢のキラが居た。

    「…どうした?」
    「あ─────う…」

    しかし返ってくるのは要領の得ない、小さなかすれ声だけ。

  • 115スレ主25/03/12(水) 21:09:53

    「…悪いけど、時間がないみたいだから。キラは姉貴達と待っててくれ」

    そう言って再度俺は歩き出そうとして─────

    「ま、待って!私も!」

    今度こそ聞こえて来たキラのその言葉に、思わず驚き目を見開いてしまう。

    「…君が行くなら、私も行く」

    その言葉はハッキリと、決意が籠もった瞳と共に、俺へと投げ掛けられた。

  • 116スレ主25/03/12(水) 23:42:57

    『ここはアルゴリズムが狂ってるな』


    初めて会った時は無気力そうな、でも優しそうだと思った。

    初めてこの人と目を合わせたあの時、形容し難い感覚が私の全身を過った。

    生まれて初めての感覚で戸惑ったけど、不快には感じなくて、むしろその感覚に温かさを覚えて─────。

    気が付けば私は、二人目の居候と一緒にいるのが心地よく感じた。


    『俺は構いませんよ』


    その言葉を聞いた時、何故だろう。年下だけど身長が上な彼を一人で行かせちゃいけない、と思った。


    『君が行くなら、私も行く』


    ルイ・アヤセ。彼と一緒なら、さっきまであんなにも怖いと感じていた戦場も大丈夫。

    気付いた時には、私は自分も戦場に出ると口にしてしまっていた。


    キラ>琉生の好感度 70+dice1d100=61 (61)


    70以下で自覚ありで異性として見てる

    80以下で夜のおかずにしてる

    それ以上だと二人きりの時に押し倒しそうになる

  • 117二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 04:25:03

    キラはルイとくっ付くならさ、ラクスはどうなるんだ?

  • 118スレ主25/03/13(木) 08:34:13

    「どうだ、親父さん?」

    「おう、坊主。戻って来た・・・って、俺はまだそんな歳じゃねえ!!」


    そんな突っ込みを入れられながらも琉生は今の状況を確認し始める。


    「それで整備の方はどうなんだ?」

    「思っていたより損傷が少なかったからストライクの方は早く済んだ。

    フラガ大尉のゼロの方は少し手間取ってるがこの進みなら何とかなりそうだ。」

    「そうか、俺のとキラは出られるがフラガ大尉は無理か」

    「二人って…他に機体は無いぞ。同乗でもするのか?」

    「問題無い、自分用がある」


    俺は空いてるスペースに移動し、帽子を外してフィンガースナップを決める。

    すると、ストライクよりやや大きな機体が飛び出した。



    周囲が驚愕する中、俺はアークエンジェルとつながる通信機を受け取り、コックピットに乗り込んだ。

    機体は武者鎧とドラゴンを足して割ったような外見で、サーフボードを持っている。

    これがとある異世界で手に入れた愛機、カンヘルだ。

  • 119二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 11:45:04

    >>116

    アスランとの初戦後にロマンティクスかな

  • 120スレ主25/03/13(木) 17:14:10


    魔導機神カンヘル

    全高18.2Ⅿ 重量4.5t

    動力:グランドータス式魔導エンジン

    装甲材質:オリハリュコニュム合金

    操縦方式:グランドータス式精神接続


    とある異世界で琉生が手に入れたファンタジー系ロボ。

    元は乗り手が現れず、遺跡で埃を被っていた発掘品だった。

    それを琉生が現地の技師と共に自身の知識と技術を応用して復活させ、

    以後彼の乗機となった。

    その世界独自の操縦方式の為、生身の体とな時感覚で操縦することができる。


    武装は空中・水上・水中・宇宙を自在にサーフィン方式で移動できるシールド。

    ある程度伸縮し、鞭の様に使えるグレイブと長棍。

    調整すればMS用の装備も問題無く使用できる。

  • 121スレ主25/03/13(木) 22:57:19

    「どうして戦場に出るって言ったんだ?」

    今、私はストライクのコックピットに居る。コックピット内のスピーカーから聞こえてくるのは、
    通信が繋がっているもう一機のモビルスーツ、カンヘルのコックピットに居るルイの声。
    モニター画面が浮かび、そこに映される彼の顔。彼は不思議そうに私の顔を見ながらそう尋ねて来た。

    「…私が戦わないと、君が一人になるでしょう?」
    「…俺の為?」
    「うぅん。それもあるけど…、もう一つ、確かめたい事があるの」

    一人で行かせたくない。その気持ちは本当だけどもう一つ、戦場に出ようと私を決意させた理由があった。

    ─────アスラン。

    それは、マリュー・ラミアスと名乗ったあの人とストライクに乗り込む前。彼女に襲い掛かるザフト兵、
    ヘルメットが邪魔でハッキリと見えた訳じゃないけれど…、
    名前を呼んだ時、私の名前を呼ぶ声が微かに聞こえて来た。

    月の幼年学校で一緒になり、同じコーディネーターという事もあって仲良くなり、親友ともいうべき存在。

    ─────本当に君なの?アスラン…。

    知りたい。本当にあのザフト兵が彼なのか。もしそうだとしたら、
    どうしてあんなにも戦争を嫌っていた彼が、ザフト兵になんてなったのか。

  • 122スレ主25/03/13(木) 23:04:27

    「…よく分からないけど、無理はするなよ。キラは無理せず、艦の周りに居てくれたらいい。

    ホントならこっち側に居るべきじゃない人間だからな」

    「そんなの、私が一緒に居る意味がなくなっちゃうよ。…怖いけど、大丈夫。私も戦うから」


    胸の内の感情が顔に出てしまっていたのか、画面に映る顔が心配げな表情を浮かべていた。

    私を気遣うその言葉を嬉しく感じながら、それでもその提案は断らせて貰う。

    だって、その言葉通りにしたら、私がこの機体に乗る意味がない。

    今言った通り、戦場に出るのは怖い。こうして兵器に乗り込んでいるという、この現状ですら今の私には怖い。


    だけど、戦うと決めたんだ。この人と一緒に、この艦を─────この艦に乗っている友達の為に。


    「一つお願い」

    「何だ?」

    「帰ってきたらいつものやって」

    「dice1d4=1 (1) ?…ショタコンまっしぐらだな変態」


    1.膝枕してもらう(するのも)

    2.後ろから抱き着いて胸を当てる(Dカップ、成長中)

    3.抱き着いてクンカクンカする

    4.抱き枕にして一緒に寝る

  • 123二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 03:34:33

    >>122

    マシ・・・か?

  • 124スレ主25/03/14(金) 09:14:22

    私がそう呼び掛けると、ルイは無言で頷いてから通信を切った。
    浮かんでいたモニターは消え、目の前に見えるのはストライクが映すメインカメラの映像のみとなる。

    「すぅ─────はぁ」

    大きく深呼吸をする。それでも大きく高鳴る心臓の鼓動は落ち着かず、操縦桿を握る手には汗が滲む。
    それでもそこから手は離さず、むしろその手に更に力を込めたその時だった。

    「ルイ君!キラさん!」

    聞こえて来たのはさっきまで話していたユウとは違う女性の声。

    それが、戦闘開始の合図なのだと、言われる前に私は悟るのだった。

  • 125スレ主25/03/14(金) 15:14:38

    「艦長!ストライクともう一機の発進準備完了しました!」


    若干疑問を覚えるナタルの報告に、マリューはルイとキラを思い浮かべる。

    あんな子供を戦わせることしかできない自分に忸怩たる思いを抱くが、それしか方法が無い。


    「アークエンジェル離床!ストライクも発進させて!」


    アークエンジェルがエンジンを吹かして飛び、カタパルトが開いた。

    そこから、発進したカンヘルとストライクがアークエンジェルを守るように、前に出る。


    レーダーを担当しているブリッジクルー、トノムラがモビルスーツの反応を確認した。


    「レーダーに感あり!モビルスーツ4!……ジンが3機、残り1機はイージスです!」

    「なッ!?もう実戦に投入してきたというの!?」

    「あれ完全に拠点用よね、コロニー壊す気?」

    「なんで嬢ちゃんが座ってるんだ!?」


    乗機の修理が終わってないためCICを担当したムウが、

    先に銃座に座る瑠璃を見て驚愕する。


    「撃ちます、機銃でいいですよね?」

    「いやいいけどさ!」


    確認するやいなや、瑠璃はアークエンジェルの対空気銃[イーゲルシュテルン]の

    照準を合わせ、ジンに向かって発射する。


    撃墜数dice1d3=1 (1)

  • 126二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 20:14:37

    >>125

    クレしん並みの行動力(笑)

  • 127スレ主25/03/14(金) 22:23:04

    「D(拠点攻略)装備機、撃墜を確認」

    「一発で当てやがったよこの娘」

    「次はこのバリアント…レールガンね、またジンを狙うわ」

    「だからマテ!待てってば!」

    「大丈夫、コロニーには当てないから」


    そのまま瑠璃は照準を合わせ、引き金を引く。


    撃墜数dice1d2=2 (2)


    「お前さん素人だろ、何で奇麗に当たるんだよ」

  • 128スレ主25/03/14(金) 22:24:26

    >>5

    書き忘れていましたが、100を超えるとその世界最高クラス以上です。

  • 129二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 04:11:50

    残りの面子も来たらどうなるやら

  • 130スレ主25/03/15(土) 10:29:56

    昔五人で戦闘艇を動かすことになった際、姉貴は砲手を担当していた。

    その経験が生きたのか、姉貴の砲撃でジンは全滅。

    残りはトサカが特徴的な赤いガンダムだ。

    マリューさんによれば、あれはX303イージス。可変機構と強力な火器を備えた指揮官機らしい。


    「キラ!まずは外に追い出すぞ!」

    『わかったわ!』


    琉生dice1d100=30 (30)

    キラdice1d100=60 (60)

    アスランdice1d100=70 (70)

  • 131スレ主25/03/15(土) 12:11:05


    とりあえずこれ以上コロニーに被害が出ないようにしないといけない。

    イージスを殴り飛ばそうとするが、相手も腕はいいらしく躱される。

    その後、キラが装備した大剣[シュベルトゲベール]が、元が対艦用の長刀身なせいで

    大振りになってしまい、上手いこと当たらない。


    『・・・・キラ、キラ・ヤマト!』

    『!?』

    『キラ・・・・お前は、やはりキラなのか!?』

    『アスラン・・・・アスラン・ザラ!どうして君が!?』

    『それはこっちの台詞だ。お前こそ、何故それに乗っている!?』


    聞こえてくる通信からして知り合いらしい。

    手出ししずらいが、取り合えずイージスに組み付く。


    「ここから出ていけーー!!」


    ヘリオポリスで過ごした時間は短いながら、ここは俺にとって大切な場所だ。

    だから経緯はどうあれ、ここでドンパチやらかした上に拠点攻略用らしき

    重武装まで持ち出してきたザフトには腹が立ってしょうがない。

    一先ずコロニー外へ放り出すことだけには成功した。


    「キラ、辛いなら変わるぞ」

    『ごめん』

  • 132スレ主25/03/15(土) 12:15:34

    dice1d2=2 (2)


    1.イージスを捕獲した

    2.向こうが撤退した

  • 133二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 15:22:01

    やっぱアスラン強いな

  • 134スレ主25/03/15(土) 23:37:12

    僚機すべてを失ったアスランは、dice1d3=3 (3) が乗るストライクともう一機をどうするか決めかねた。


    1.大切な幼馴染

    2.今でも思いを寄せている初恋の相手

    3.妹同然の相手


    『撤退しろ、アスラン』


    そんなアスランの機体へ通信をしてきたのは、自分の後方で待つザフト艦の艦長アデスだ。


    「艦長!ですが…」

    『ええい!見てわからんか!お前一人ではどうにもならん!』


    アスランの抗議をアデスは一蹴して、これは命令だとさらに語気を強くして言い放つ。

    ジン三機を落とされ、さらに敵のモビルスーツ二機が戦闘ができるとなれば、いくらなんでも分が悪すぎる。


    「くっ…了解…!」


    アスランはモビルアーマー形態に変形すると、ヘリオポリスの宙域から一気に離脱していく。

    ヘリオポリスとアークエンジェルを守るのが最優先のキラも琉生も、それを見送るだけだ。


    誰から見ても、ザフトの敗北だった。

  • 135二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 06:35:46

    BBSにはならなかったか

  • 136スレ主25/03/16(日) 09:03:46

    ヘリオポリスはボロボロだが、救助が来るまで酸素は持つらしい。

    手放しで喜べないが、崩壊してしまうよりはいいだろう。

    少なくとも、修理してまた人が住めるようになるのだから。

    アークエンジェルに戻る間、何度かキラに呼びかけたが一向に返事がない。

    しょうがないのでハンガーに戻った後、ハッチを外から開ける。

    そこでは、キラが縮こまって震えていた。

    無理もない、ずっと無縁で生きて来た殺し合いの世界にいきなり飛び込んだのだ。

    俺みたいにあっさり順応できる方がどうかしている。


    俺はキラdice1d2=1 (1)


    1.の手を優しく握った

    2.をそっと抱きしめた

  • 137スレ主25/03/16(日) 11:58:10

    「終わったぜ、もう大丈夫だ」


    するとキラは、俺の手を両手で握りしめて泣き出す。


    「どうして……」



    「どうしてアスランがザフトに居るのよ!


    どうして戦わないといけないのよ!」


    ワンワン泣き出すキラに何か気の利いたことでも言ってやれればいいんだろうが、

    そんな器用な真似ができる人間ではないので、泣き止むまで好きにさせることにした。

  • 138二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 13:36:52

    おや、紳士的

  • 139二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 16:42:10

    そっち方面の経験は少ないか

  • 140スレ主25/03/16(日) 18:40:44

    アークエンジェルはヘリオポリスを離脱、友軍と合流をするべく移動しながらレーザー通信を行っていた。
    ザフトを振り切った訳ではない。
    目的地が完全に決まった訳ではないが、あまりゆっくりもできなかった。

    そのブリッジで、マリューは送られてきた通信の内容に首を傾げているところだった。
    いや、呆れていた。

    正確には、アークエンジェルから二ヶ所に向けて送ったレーザー通信に対して、
    何とか返ってきた内容についてだった。

    《現在、援軍及び救援を編成中。可及的速やかに派遣する次第である。
    貴艦においては現宙域を離れ、艦責任者が職責により適切と判断した友軍との、一時合流を指示する。
    また、連合以外、連合に敵対するいかなる存在に対しても、艦及び艦に関わる機密を明け渡す事を禁ずる。
    民間人、及びその他については、艦責任者に対して処遇を一任をする物とする》

    《当国は現在、かかる事態の収拾と避難民の救援に全力を注いでおり、貴艦に対しても無事を祈る物である。
    また、貴艦から要請された救援要請についての返答は、これを是としない。
    当国は自己による主権を持つ、一国家として軍事的中立を表明しているためである。
    よって、地球連合軍を称する貴艦からの救援は、これを受け入れる物ではなく、
    また、軍事的な戦力の支援についてもこれを是としない。
    民間人の収容については深く感謝の念をお伝えする、人道的見地から保護と速やかな安全の確保をお願いする。
    また、当国の軍籍を保有する者については、主権を侵害しないよう要請する。航海の無事を祈る》

    前者は地球連合軍月本部からの、後者はヘリオポリスを保有していた地球の国家、
    オーブ連合首長国からの物だった。

  • 141スレ主25/03/16(日) 18:50:55

    前者は地球連合軍月本部からの、後者はヘリオポリスを保有していた地球の国家、オーブ連合首長国からの物だった。

    超が付く巨大組織としての地球連合軍と。
    曲がりなりにも地球、プラント間で戦争状態にある現在で、中立を宣言しているオーブからの返答である。
    まるでどこぞの事務屋が、なるべくかかわり合いになりたくない、と考えて送ってきた文面だとマリューは思った。
    担当者どころか音声すらなく、ただの文面だけ。

    一介の大尉、しかも技術畑出身のマリューにはかなりの難解な代物だった。
    実は大変に高度な暗号なのでは? と思ってしまった程だ。
    艦長権限により副長に任命したナタルに相談すると、
    彼女はしばらく文面を読み「……今は自分で何とかしろ、という事では?」などとふくれ面で言ってきた。

    今すぐ援軍や救援をくれ、とは言わないが、せめてもう少し暖かみのある内容を送ってほしかった。
    これでは見捨てるような物ではないか。

    だがこちらとて必死だ。弱まったとは言え、まだ電波撹乱があるのだ。
    ザフト艦が近いのは確実。助けがなければ沈んでしまう。

    ならばとマリューがやけくそ気味に、恥も外聞もなく、
    艦名も職責も外しての個人名マリュー・ラミアスでオーブに送った通信については、今度は驚きの返信が来た。

  • 142スレ主25/03/16(日) 18:51:44

    現・代表首長ウズミ・ナラ・アスハ、その名前で返ってきたのだ。
    内容は簡潔だった。

    《恥ずかしい話ではあるが、できる事とできない事の間で苦慮している。察してほしい。
    我が国の者を保護してくれた事に感謝したい、
    軍籍の者については緊急避難としての協力を必ずしも否定はできない。どうかお願いしたい》

    マリューは渋面を作った。
    自分が言える義理ではないが、既に協力はしているのだ、モビルスーツ開発を。
    連合はザフトのモビルスーツに対抗するために、オーブは自国防衛のために。
    それがヘリオポリスのG兵器だ。

    確かにそれだけだが、やってはいるのだ。
    表に出せないにしても、コロニーを一つ損壊させられて国家代表がこれしか言えないのか。

    それとも、これでも踏み込んでくれたのだろうか。

  • 143二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 20:37:28

    政治って難しいよね、ってところだね
    国の立ち位置を守らないといけないし、この情勢だと何をやるにも痛し痒しになる

  • 144スレ主25/03/16(日) 20:39:28

    (そうね……中立を頑迷に言い張るオーブが、連合と極秘でモビルスーツ開発をするくらいだもの。
    苦しいのはどこも一緒か……)

    開発中に色々な噂は聞いていた。
    中でもマリューが馬鹿らしいと思ったのが、[G]とアークエンジェルに
    代表首長のウズミが関わっていないとの噂だった。

    まさか、事実の訳はあるまい。
    だが、そんな下らない噂を流してでも、中立を守るのがオーブなのだろうと思ってはいた。
    しかし、国民を守る、助けるために堂々と動けないのなら、
    わざわざ中立という立場を選んだ事になんの意味があるのか。

    マリューは息を吐く。

    とにかく、どこからもすぐには援軍は来ない。それは確かだった。

  • 145スレ主25/03/16(日) 21:14:31

    現在のアークエンジェルの状況dice1d4=4 (4)


    1.すべての物資に余裕があり、月本部に直行できる

    2.補修パーツや弾薬、各種生活用品は十分だが、運悪く水が確保出来なかった

    3.補修パーツと弾薬は十分だが、他の物資が足りない。

    4.何もかも余裕が無い

  • 146二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:55:35

    状況は最悪か

  • 147二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 01:45:24

    原作より悪そうだな

  • 148スレ主25/03/17(月) 05:27:58

    避難民としてdice1d3=3 (3) が乗っている


    1.フレイ 2.カガリ 3.ヤマト夫妻

  • 149二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 08:54:08

    キラの精神はマシになるかな

  • 150スレ主25/03/17(月) 11:10:19

    アークエンジェル内は慌ただしかった。
    襲撃のせいで必要物資の大半が焼かれてしまい、更に二度も襲撃受けたのだ。
    水、食料、医薬品、生活物資、弾薬、補修パーツ、運用人員。
    何もかもが足りてない状態で逃げ遅れた民間人まで収容したのだから苦しい現状なのは当たり前。

    それでも幸運だったのは、琉生が医療魔法を得意としていたので怪我人に対応できたこと。
    異空間に非常食やキャンプ用品などを溜め込んでいたので、多少の足しにはなったことだろう。

    「アルテミス要塞?」
    「重要な位置に無い上に、[アルテミスの傘]って呼ばれる防御壁のおかげで難攻不落。
    逃げ込むにはちょうどいい。必要な物が何もかも足りない現状じゃ他に行く当てないしな」

    一通りの作業を終えた綾瀬姉弟とキラは、ムウにそう説明された。
    磐田ことを咀嚼すれば正しいのだろうが、幾度となく面倒な事態に巻き込まれた
    綾瀬姉弟には一つの懸念があった。

  • 151二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 16:12:43

    アルテニスの件は避けられないか

  • 152スレ主25/03/17(月) 20:52:57

    「連合ってデカい組織だし、設立から一年足らずぐらいだろ。
    当然一枚岩なわけないよな」

    先ずGとアークエンジェルの開発主導及びマリュー達の所属は大西洋連邦、
    アルテミス要塞が属するのはユーラシア連邦だ。
    両者はザフトとの戦争をしている現在でも対立関係にある。

    だからこそ……

    「戦後を見据えれば、むしろ潜在敵国家。
    ノコノコ寄港したらそのまま拿捕されかねんな」
    「まさか!同じ地球連合軍ですよ!?。
    それにまだ戦後ではありません!友軍を信頼すべきです!」
    「相手から見れば、俺達の方が信頼できないから問題だ。
    だって、まだアークエンジェルは船籍登録されてないんだろ?
    識別コード…あるの?この艦」
    「あ」

    マリューが思い出したように声を出した。

  • 153スレ主25/03/17(月) 21:26:13

    当たり前のことだった。


    最高機密で造られたアークエンジェルとG兵器は、まだ地球連合に登録されていない所属不明機に他ならない。

    無論、ムウやナタル、マリュー等は正式な軍籍を持つが、それでも不明艦に乗って要塞に乗り付ければ、

    逮捕されてもそれが全くの不当だとは主張し辛い。

    民間人を軍機に触れさせて凌いでる現状ならばなおのことだ。


    「我々は特務を帯びているから、事前通告も無しにいきなり寄港したが、そのまま補給物資を寄越せ」


    と言われて、その施設の司令官が素直に頷けるかどうかは微妙だろう。

    対立関係や司令官の人格面の問題が無かったとしても、そもそもそこが問題だった。

    琉生の疑問を感じ取ったムウの指摘に、マリューもナタルも危険性を理解したようだ。


    しかし現状では補充を受けるにしろ、避難民を降ろすにしろ、他に当てが無いのも事実だ


    dice1d2=1 (1)


    1.アルテミスに直行

    2.デブリベルトを通って月本部に向かう

  • 154二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 22:42:17

    結局変わらずか

  • 155二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 23:49:55

    綾瀬姉弟が大人しくするとは思えないけど

  • 156二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 02:37:25

    >>144

    いや、それが事実なんですよ(白目)

    小国の氏族たちの政治力学なんて、アメリカ合衆国の後裔である大西洋連邦の技術士官のマリューさんには想像できないでしょうけど


    後で大西洋は大西洋で政治家でもない30そこそこのアズラエルに好き勝手されて他国の事言えなくなるし、そいつと権限も無しに勝手に外交ごっこしてた五大首長家のボンボンが今回の主犯の一人なんてねえ

  • 157二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 05:39:50

    というか、綾瀬姉弟魔法使いだってバラしたのか?

  • 158スレ主25/03/18(火) 09:01:06

    結局、アルテミス要塞に向かうことになった。
    問題は山積みだが、他に選択肢は無い。

    ストライクの整備と、ゼロの修理作業を大急ぎで行う。

    「そういやキラ」

    俺は隣で一緒に作業をしているキラに疑問をぶつけた。

    「イージスに乗ってたアスラン……だっけ、知り合い?」

    少ししてから、キラは口を開いた。

    「……アスラン・ザラ、コペルニクスに暮らしてた時の幼馴染なの
    なんで、ザフトなんかに……戦争なんか嫌だって言ってたのに」
    「もしかして、父親がパトリック・ザラで、
    母親がレノア・ザラって名前?」
    「そうだけど、何で知ってるの?」
    「中立国に居るからこそ調べられることがあってね。
    現在のプラント議長シーゲル・クラインはナチュラルと共存を唱える穏健派だけど、
    ザフト長官のパトリック・ザラはナチュラル滅ぼせって唱える強硬派筆頭。
    昔はどうか知らないけど、血のバレンタインで奥さん殺されてからそう訴えるようになったそうだ」

  • 159二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 11:26:46

    よく調べたな

  • 160二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 15:15:14

    どうやって調べたんだ?

  • 161二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 20:08:58

    >>158

    こういう背景情報て、この時点の本編では手に入らなかったんだよなぁ

    だからずっと、何で、何でってなってた訳で

    そしてこの段階で抱えていたその思いを欠片でも話せる相手がいる、これも本編キラがずっと必要としていたもの

    この姉弟には原作よりマシになるよう期待したい

  • 162スレ主25/03/18(火) 21:56:01

    「佐介に調べさせたよ、G兵器を奪って言った連中の顔」

    作業をしている面々に軽食を振舞う瑠璃が、何枚かの写真を琉生に渡す。

    「これ、これがアスラン」
    「赤服か、エリートだな」

    今度は他の面子に目を通し、琉生は顔を顰める。

    「イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、二コル・アマルフィ。
    プラント評議会員の子息ばっかじゃねぇか。一人でも殺したら標的確定だな」
    「トンデモ進水式といい、呪われてるんじゃないこの船」

    ムウを始め、横で聞いていた面子は頭を抱えた。
    つまりよくは知らないが、ひたすら面倒だということが確定したのだ。
    1機でも落とせば目の敵になるのが決定だ。嘘と言って欲しいくらいだった。

    「……そんな奴らモビルスーツに乗せんなよ。いや、言っても仕方ねえけどさ……」

    再度ムウが溜息を吐く。

    「……ああーもう、くそっ。マジで聞くんじゃなかった。艦長達にこの話は伝えるぞ?どうなんだ」
    「構いません。どうぞ」
    「まあ、黙ってる方が印象悪いしな」

    ムウの話し方によってはキラの内通者疑惑はさらに深まる。
    だが黙っているのは無しだった。
    どうせばれる。なら早めにこちらから言わねば心証が悪い。

  • 163スレ主25/03/18(火) 22:10:13

    残りの三人が合流するのはdice1d3=2 (2)


    1.ラクスと同時 2.砂漠編 3.オーブ入国時

  • 164二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 02:11:49

    この姉弟、諜報に便利だな

  • 165スレ主25/03/19(水) 06:34:00

    その時腹の虫が盛大に鳴ったのだ。誰か?キラだった。
    雰囲気がぶっ壊れた。しらけたような空気になる。

    それでもマジメにやれと怒鳴り声が飛ばなかったのは、キラの表情のせいだろう。
    顔を赤く染めて小さくなるその態度は、年相応の子供に見えたのだ。

    「ごめん、こんな量じゃ足りないわね」

    「……お前ら、ちょっとメシ食ってこい。……あーいいから!
    戦闘中に空腹で倒れてもらっちゃこっちが困るんだよ!行け!15分で帰ってこい」

    これには全員笑うしかなかった。

  • 166二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 10:31:46

    確かに笑う

  • 167スレ主25/03/19(水) 13:49:29

    私達が食堂に入ると席はほぼ、埋まっていた。空きを探すとサイ達の姿が目に入る。
    彼らはヤマト夫妻と話していた。最初の襲撃の際は別行動だったけど、収容した避難民の中に居たみたい。

    だけど、やっぱりサイは元気が無い。

    「フレイが心配?」

    彼の婚約者、フレイ・アルスター姿が無い。
    彼が気落ちするのは仕方ないだろう。

    (とは言っても、現状じゃ確認しようがないのよね)

    佐介の行動半径は超えちゃってるし、今更ヘリオポリスに戻っても仕方がない。
    現状できるのは無事を祈る事だけね。

  • 168二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 17:56:16

    悪いけど、フレイはいない方がキラの精神的にいい

  • 169二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 20:00:00

    >>162

    どうやって調べたか突っ込まれそうだけど、この情報を連合に流したら、総力を上げたガンダム4機奪還作戦が実行されそうやな(遠い目)


    お偉いさんが家族や自分は安全なところにいるのに戦争を煽ることはフィクションでも現実でも批判されるけど、来られたら来られたらで現場は大迷惑という


    とりあえずキラ一人で抱え込むんじゃなく、情報共有してみんなで胃痛を分け合うから原作よりマシだな!(ぐるぐる目)

  • 170スレ主25/03/19(水) 22:37:23

    ザフトのクルーゼ隊に所属する黒服同隊の母艦、ナスカ級高速戦闘艦ヴェサリウスの
    艦長を務めるアデスは、G兵器奪取に伴った自分たちの損失を見て、頭を抱えた。
    最重要任務である地球軍が開発したG兵器の奪取。5機の内の4機を手中におさめたとは言え、
    引き換えにした損失があまりにも痛すぎた。

    ジン4機喪失、さらに1機はスクラップに近い。クルーゼ隊の指揮官機であるシグーも、
    腕部と頭部を完全に破壊されているため、修理するには一度帰還するしかない。
    損傷した武装も入れれば、クルーゼ隊のモビルスーツ戦力はゼロに等しくなる。

    それに加えて、アデスの頭を悩ませるのは目の前に浮かぶ巨大なコロニー、ヘリオポリスだ。

    「このような事態になろうとは…いかがされます?中立国のコロニーを攻撃したとなれば、評議会も…」

    黙っては居ない。戦時とは言え、反戦争派もいるわけだから、
    中立を謳うコロニーにモビルスーツで攻撃をしたなんて知られたら、どうなるか分かったものではない。

    しかし、焦燥するアデスと違ってクルーゼはやけに冷静であり、余裕を感じさせた。

    「地球軍の新型兵器を製造していたコロニーの、どこが中立だ」
    「しかし…」
    「住民のほとんどは脱出している。さして問題はないさ。血のバレンタインの悲劇に比べれば」

    それを引き合いに出されたら、アデスは何も言えなくなる。地球軍が決行した核によるプラントへの攻撃。
    多大な死者や損失を出した[血のバレンタイン]は、未だにプラントの多くの人の心に残っていて、
    それは憎しみの源泉ともなっているからだ。

  • 171スレ主25/03/19(水) 22:39:29

    「敵の新造戦艦の位置は掴めるかね?」
    「掴めてはいますが、こちらとの距離はかなり開いてます」

    クルーゼの言葉に、オペレーターは困ったような声で答える。
    そのやり取りを見て、アデスは驚いたように無重力のブリッジを漂ってクルーゼの元へ詰め寄った。

    「まだ追うつもりですか?しかしこちらには既にモビルスーツは…」
    「あるじゃないか」

    淡々というクルーゼに、アデスはまさかと思って息を呑む。

    「地球軍から奪ったモビルスーツ、それが4機も」

    なんてことを言うのだ、このお方は。アデスはクルーゼの冷酷さを目の当たりにしたような気がした。
    あの4機を手に入れるまでに、一体どれほどの血が流れたというのか。
    にも関わらず、クルーゼという男は、奪ったばかりの武器で敵を討つという。
    正気とは思えないが、今は戦時だと割り切れてしまう自分も、すでに正気ではないのだろう。

    「データを取ればもうかまわんさ。使わせてもらう。宙域図を出してくれ。ガモフにも打電だ。
    それと、アスランに艦長室に来るように伝えてくれ」

  • 172二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 02:50:13

    この冷酷さと決断の速さは流石クルーゼ

  • 173スレ主25/03/20(木) 07:27:25

    「アスラン・ザラです。通告を受け、出頭致しました」

    アスランをここへ呼び出した張本人、クルーゼはデスクにて座り、入室したアスランに視線を向ける。

    「来たか。君を休ませたいとは思っているのだが、話を聞かせてほしくてね」

    クルーゼは立ち上がり、アスランへ歩み寄りながら声を掛ける。

    「先の戦闘、君本来の動きではなかった。あのストライクに対しては特に、戦うのを躊躇っている様にすら見えた」
    「…」
    「理由を、聞かせて貰えるかね」

    ここへ呼び出された理由は、アスランの思った通りだった。
    当然だ。命令無視で鹵獲した機体で出撃したのだから。
    更にはクルーゼの言う通り、ストライクと…キラと戦う事を躊躇っていたという自覚も、アスランは持っていた。

    「あのストライクに乗っているパイロットの名は、キラ・ヤマト。月の幼年学校で友人でした」
    「…ほう」

    仮面に隠れたクルーゼの顔からは、感情が読み取れない。
    しかし、微かにその口から漏れた声からは、確かな驚愕が込められている様に聞こえた。

    「あいつはコーディネーターです。俺達の仲間なんです!
    だから…ストライクを鹵獲し、あいつをここへ連れて来たかった」
    「なるほど…。戦争とは皮肉なものだな。仲の良い友人と、戦場で再会を果たすとは」

    口元に手を当て、何かを考える素振りを見せてから、クルーゼが続けて口を開く。

  • 174スレ主25/03/20(木) 07:35:50

    「次の出撃、君は外そう。そんな相手には銃を向けられまい。私とて、君にそんな事をさせたくない」

    その言葉を聞き、俯いていたアスランは勢いよく顔を上げる。

    「いいえ!隊長、私は大丈夫です!行かせてください!」
    「アスラン」
    「あいつは、ナチュラルに良いように利用されてるだけなんです!あいつ、優秀だけどぼうっとして、
    お人好しだから…。だから、私は説得したいんです!俺達が戦う理由なんてないって、分かってくれる筈です!」

    そう。キラは利用されているだけ。戦いたくて、自分からあの機体に乗っている訳じゃない筈なのだ。
    だから、自分達と戦う理由なんてないと、こちらへ
    ─────コーディネーター(仲間)の元へ来るべきだと、分かってくれる筈なのだ。

    「君の気持ちは分かる。だが…聞き入れない時は?」
    「っ…!」

    しかし、分かって貰えなかった時は?
    話をして、説得をして、それでも、こちらへ来てくれなかった時は?

    「その、時は…。私が、撃ちます」

    絞り出すようにして、アスランはクルーゼへとそう返答するのだった。

  • 175スレ主25/03/20(木) 07:36:28

    「好きにしたまえ」

    アスランは、いいのか、とでも言いたげにクルーゼを見上げる。
    そこにあるのは厳しい上官の顔ではなく、いっそ優しげな物だった。

    「だが、アスラン。君の友人のために手加減はできん、あの艦とストライクはプラントに危険と考える。
    速やかに破壊するべきだ。よって、私は部下達に全力で戦えと言うつもりだ。
    余計な話を伝えるつもりもない。時間に余裕はないぞ」
    「わかってします」
    「それでこそだ、ザフトのアスラン・ザラ。酷なようだが立場を忘れないで欲しい、
    人には取れる行動と、やってはいけない行動がある。以上だ、下がっていい」

    クルーゼの最後のセリフには、何か言いたげのアスランだったが、結果として彼は黙って退出していった。

    クルーゼは椅子にかけ、しばらく無言だった。ぽつりと呟く。

    「……キラ・ヤマト、貴様だったか」

    許せない存在。しかもアスランと旧友とは。なんと素晴らしい展開か、何という世界か。
    面白い。色々な可能性を考えてはきたが、こんな状況が整うとは。何という事か。

    このカードをどう使うか。

    中立のヘリオポリスに、連合軍とオーブ軍がいて、共同で対ザフト戦を行った。
    未成年が連合の兵器に乗っている。しかもその未成年は、プラントの国防委員長の息子と古い友人。
    こんな贅沢な手札はそうはない。

    (国籍は……オーブだったな、連合に変わった?いや、間違いない。
    奴の事は何もかも調べた。オーブだ、オーブの人間が連合のモビルスーツに乗っている)

  • 176スレ主25/03/20(木) 07:37:00

    仮にスパイだと言い掛かりをつけるだけでも、どちらにでも効果を与えられる。
    オーブのウズミは引きずり下ろすか、据えておくか。
    連合に対する打撃としてもよい。いや、オーブ自体を揺らす手もある。それともユーラシアと大西洋を割るか。
    あの盟主はこの情報を喜んでくれるだろうか。アスランの説得に応じて、
    プラントに来るなら来るで、使い道は少なくないが……。事故死はどうだろうか。
    いや、出来るならば殺したい。はっきりと、それも今すぐ。
    奴を、キラ・ヤマトを討つ事は最高の気分になれるはずだ。
    自分の手で討つか。それとも同じコーディネーターの手で討たせるか、どちらも最高に皮肉が利いている。

    (それとも、やはり貴様は究極の存在なのか?私では勝てないのか?どうなんだ、キラ・ヤマト……)

    クルーゼの言葉に、面白いように追い込まれてくれたアスランの
    思い詰めた顔を見る限りは、次の戦いで宇宙の塵と消える可能性もある。

    万が一逃げられた時は、それはそれで謀略につなげればいい。
    クルーゼは机から常用の薬を取り、飲み込んだ。笑いが止まらなかった。
    手元にある通信機を起動、ブリッジを呼び出す。

    「アデス、連合の月本部へ打電、レーザー通信だ……聞き間違いではないよ。連合に打電だ……そうだ。
    暗号通信ではなく、通常文で送る。以下のように打て……」

  • 177スレ主25/03/20(木) 14:30:28

    マリューはいきなりの危機に直面していた。

    ザフト艦の襲撃を受ける前に、アルテミスに入港できそう……というところだった。
    艦内からの一つの報告と、艦外から一つの電文、そして一つの音声通信が
    もたらした状況により、状況がおかしくなっていた。

    一つは、避難してきた民間人の間で、自分たちだけでもザフトに
    降伏の申し込みは出来ないのか、と言う意見が出始めていると言う物。
    中にはコーディネーターが混ざっているとの報告が。

    一つは、月の本部からの緊急電文。
    他国の民間人、未成年者への戦闘行為強要の事実確認と、事実の場合の即時停止命令。

    そして最後の一つは最優先の課題。いや、問題だ。
    何とか繋がったノイズ混じりのリアルタイム通信……アルテミス要塞との交信、
    その内容にマリューのみならずナタル、ブリッジ要員まで激しく困惑していた最中だった。

    「……受け入れられない!?ビダルフ中佐、当艦の入港を受け入れないとは
    どういう事ですか。ジェラード少将は……基地司令はご存じなのですか!」

    マリューはモニターに向かって激怒していた。
    さっき送った通信には受け入れ可能と返ってきたのに。
    ザフト艦との位置関係は、微妙ではあったがギリギリで逃げ込めそうだったのだ。危険だが間に合う計算だ。
    なぜ、いきなり拒否になるのか。

  • 178スレ主25/03/20(木) 16:32:33

    『要塞指揮官ジェラード少将の判断による指示を、私が通達している。
    繰り返しお伝えするが、我がアルテミス要塞は地球連合軍の宇宙拠点である。
    現在は戦時であり、身元の不確かな人物、及び艦船の受け入れは許容できない』
    「私たちは友軍です!……当艦には識別コードも船籍登録もありませんが……ですが!私の軍籍は」
    『状況が変わったのですよ。貴女が、本物の地球連合軍所属、マリュー・ラミアス大尉と仮定してお伝えしましょう。
    他国籍の、コーディネーターの民間人を戦闘させるなど、正気とは思えん。
    正常な判断力を保有する軍人とは判断しかねる』

    マリュー以下ブリッジ要員は愕然とした。何故それを知っているのか?
    月本部もアルテミスも何故それを知っている。いや、それより弁明を。

    マリューは苦しみながらも、それはあくまで緊急措置だと言い募った。オーブのウズミの電文は出せなかった。
    さすがにここでは出せない、軽々しく出すべきではない内容だ。

    「……では月本部への照会をお願いします! 私のIDを送ったはずです。身元の保証なら第8艦隊のハルバートン提督にも……」
    『IDは。確かにマリュー・ラミアス大尉の物だった。しかし、君がマリュー・ラミアス大尉本人とは断定できない。
    情報漏れや偽装を疑わなくてはならない状況でしてな。ヘリオポリスではザフトのスパイがいたと聞く。民間人として、そこに乗っていないと断言できるのかね?》
    「なっ……」

    ビダルフ中佐の言うスパイとは正真正銘ザフトに属するスパイの事であって、
    別に綾瀬姉弟やキラの事を指した訳ではない。
    しかし、アークエンジェルのブリッジにはそう聞こえてしまい、マリューは言いよどんだ。
    ナタルが慌てて割って入る。

  • 179スレ主25/03/20(木) 16:56:41

    「待ってください、こちらにも事情があったんです! 説明は出来ます、弁明の機会を、今はザフトに追われているんです!」
    『事情ならばこちらにもある。我々はここを防御する責任があるのでな』
    「っ!ではせめて民間人の受け入れを!臨検して頂いた上で民間人を降ろさせて下さい!司令官にお話を。
    アークエンジェルは無事を確保できしだい即座に出港いたします。一時で結構です、アルテミス内に入港……」
    『残念ながら、君たちの後方にザフト艦を確認している。奇襲を警戒していてね。
    繰り返すが、君たちの受け入れは、時間的な猶予も考慮された上でジェラード少将が却下した。
    我が要塞はこれより防御態勢に入る、以上だ』
    「……軍の規定に違反しているではありませんか!連合の規定では」
    『少尉、いい加減、分からんかね。ここは大西洋でもオーブでもない、ユーラシアのアルテミスだ。
    規定というなら、自分達の行いはどうなのか……戦闘終了後なら民間人の保護は考慮しよう。航海の無事を祈るよ』

    絶句するナタルの前で、最低の皮肉と共に通信が切られた。
    次いで光学モニターの中でアルテミス要塞の[全方位光波防御帯]……通称アルテミスの傘が展開していく。
    レーザーも通信も、実弾兵器も通さない強力な防御兵器。彼らは本気で閉じ籠る気なのだ。
    友軍を名乗る所属不明艦とザフトを残して。アークエンジェルのブリッジには重い空気が立ち込めた。

    「何だよ、これ……」
    「俺たち、見捨てられたのかよ」
    「くっ……艦長、月本部へ連絡を! 本部からアルテミスへの命令を」
    「無駄よナタル……傘が開いた状態で通信は……」

    ブリッジクルーどころかナタルですら焦りが見えた、そんな声を聞きながら、マリューは必死で何処へ向かうかを考える。
    頭が回転を始める、逃げなければ、ここにはいられない。しかし何処へ?何処へ向かう。何処へ。
    オペレーターからの報告がマリューの思考を遮った。

    「レーダーに感あり!ナスカ級です、急速に接近中、距離は2000を切ります!さらに後方にローラシア級……」
    「……だ、第1種戦闘配置!フラガ大尉とルイ君、キラさんの出撃用意をさせて。バジルール少尉、ここから逃げるわよ。
    民間人にはしっかりした物に掴まるように伝えて!戦闘は最小限に……あ、いえ。ルイ君は待って、二人は……」

  • 180二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 17:01:25

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  • 181スレ主25/03/20(木) 17:03:18

    ナスカ級のタイミングは効果的だ、まるで狙ったかのようだった。少なくないデブリに紛れて近づいている。
    優位に立っている癖に徹底してこちらからの砲撃を警戒しているのだ。撃ち合いも無理だ。逃げなければ沈む。
    向こうにはただでさえ奇襲に向いた機体があるのだ。止まっているのは論外だった。
    とにかく指示を下したマリューだったが、しかし味方から拒絶されたショックなのか、対応はどこかちぐはぐだった。
    民間人の戦闘は……とカンヘルとストライクの出撃は思いとどまる。
    そんな事を言っている場合ではないのは分かるが、月からの通信がマリューの邪魔をした。彼女は一応軍属だ。
    一瞬、月本部に許可を求めようかと思ったが頭をふる。……民間人を戦わせる許可を求めてどうするのか。

    「メビウスとカンヘル、ストライクは発進させないで、アークエンジェルを後退させて、砲撃しながら撤退を……」
    「艦長、どちらに向かいますか。フラガ大尉は出てもらえますが。カンヘルとストライクは……」

    ナタルはマリューに答えながらフラガを呼び出している、状況の説明と打開策の模索に入ったのだろう。
    そうだった、何処へ向かう。いや、逃げるなら全速だ、機動兵器を出してる場合じゃない。振り切るしかない。
    しかし近くには友軍はいない。直接は月本部へたどりつけない。いや、そうじゃない。アルテミスに入港するために、速度を落としてしまっているのだ。とにかく動かなければ、距離を詰められる。
    戦闘になる。アークエンジェルのラミネート装甲だって艦砲射撃は何発も耐えられない。

    早く動かなければ。だから、何処へ……?

    「……ナタル、ザフト艦に一時停戦を!民間人の脱出を」
    「不可能です! 向こうが止まっていてくれるなら可能かもしれませんが、包囲された状態になったら
    ……そこから、どう離脱されるおつもりですか!相手の気まぐれで撃たれれば取り返しがつきません!」

  • 182スレ主25/03/20(木) 17:04:32

    民間人を脱出させるために、一時停戦を申し込んでそれから離脱を……
    そんなに都合のいい停戦なんて、受け入れられないだろう。
    おまけに停戦の為として艦を止めれば、まず射程内に捕捉される事を受け入れる事になる。
    仮に民間人を回収させるにしても、その後、民間人を収容したザフト艦を撃つのか? 帰ってくれる保証は?
    それともアルテミスか。しかし確実に収容してもらえるのか。あの判断を下した者達に?保証がない。
    盾にしていると言われれば終わりだ。それは避けたい流れだった。では抱えているしかないのか。
    あくまでも連れて脱出か?では出撃は、フラガ大尉だけを出すのか?
    向こうには少なくとも残りのG兵器3機が……。

    「熱源探知、モビルスーツです!ナスカ級から2、ローラシア級より3……いえ、4です!艦砲射撃来ます!」
    「……回避!」

    アークエンジェルの進路を確実に邪魔してくる、嫌な砲撃だった。艦体が回避運動で揺らぐ。

    「艦長!」

    ナタルの叫ぶ声を聞きながらマリューは絶望する。何が言いたいのかわかっている。無理だと。これは無理だ。
    その気になれば1機で艦艇を無力化できるのがモビルスーツという兵器だ。
    それが6機。囲まれれば終わりだ。しかし向かう先は……。

    「対艦、対モビルスーツ戦闘!ノイマン曹長……デブリ帯へ逃げ込みます!回避運動を取りつつ何とかしのいで!
    ナタル、アークエンジェルはアルテミス周辺のデブリ帯を使って逃げるわ、いいわね?」

    艦の操舵が仕事のノイマンは単純に了解をしたが、ナタルは難しい顔を返した。
    デブリを縫うように逃げれば行けるかもしれないが、しかしそれでは。

    「それしかありませんか……ですが一撃を与えねば逃げ切れません。物資が不安です、
    ここでナスカ級の足を止めなければ、後々……」
    「それは分かっているけれど……」

  • 183スレ主25/03/20(木) 17:07:04

    また、艦が揺らぐ。アークエンジェルの横を砲撃が通り過ぎていった。
    有効射程距離にはまだ遠いが、だからと言って当たりたくはない。
    その砲撃を見ながらマリューは顔をしかめた。ナタルの言う通りだ、ここで叩いておく必要がある。
    アークエンジェルの速度についてこれるナスカ級を何とかしないと、じり貧だ。
    しかし6機のモビルスーツはどうする。下手に戦闘を開始すれば袋叩きにあう戦力差だ。

    マリューは必死で頭を働かせるが、役にも立たない思考が渦をまく。

    そもそも通信がおかしい。最初に月からの、民間人とその他は処遇を一任をする、という話と矛盾するではないか。
    綾瀬姉弟とキラの事が漏れているのは何故だ。本人が漏らしたのか?しかし、
    これでは一緒に沈むではないか。自分だけは脱出するつもりなのか?月本部に何かあったのか?

    この時点でのマリューには分からない事だが、クルーゼの送った通信により、
    現在月の連合はユーラシア連邦と大西洋連邦の間で、結構なレベルの権力闘争が始まりつつあった。
    いや、元からあった火種が燃えた、というのが正しい。……面倒な事に、中立を表明しているはずの
    オーブも巻き込む動きがあって、両派閥の中ではこれを好機と動く者と、巻き添えを食いたくない者と、
    保身に走る者が入り交じり始めていた。
    マリューへの通信はその中の一つの結果として発露した物で、大西洋側の人間が慌てて送ってきた物だった。
    軍政をするレベルの者から下りてきた要請と言う名の命令。要は縛られたのだ。
    保身に走った一部の人間の浅ましさは、驚異的な早さでの決断と行動を可能にしていた。
    手順や手続きを守る良識的な者を無視して。

  • 184スレ主25/03/20(木) 17:08:15

    一方のユーラシアはユーラシアで、自陣営の事を考えてアルテミス指揮官に指示を送った結果だった。
    アルテミス指揮官のジェラード・ガルシアはそれを元に判断し、リスクとリターンを天秤にかけて、
    そして、良いと思える物を実行したにすぎない。凄まじい指揮系統の乱れだが、それが現在の地球連合だった。

    ジェラード・ガルシアは野心に枯れていない年齢だった。だから今回の派閥闘争に乗ったのである。

    自陣営の上層部から下りてきた、関わるべからず、との通信に彼は判断をしただけだ。
    アークエンジェルに関わらない、と。

    識別コードはなし、船籍登録もなし。艦長のIDは本物だったが、ヘリオポリスにはザフトの
    スパイが入っていたという情報も送られて来たのだ。表向きの言い訳は十分にある。
    後は、可能性を考えて、アルテミスが沈むよりは門前払いの方がよいと判断した……そう言うだけで済む話だ。
    まして同じ派閥の者が利益を用意しつつ、守ってくれるというのであれば。

    ただ、それをやられるアークエンジェルは堪った物ではない。

    「……投降……させれば。民間人をシャトルで……ザフトの足を止められるか……?」

    マリューはそんな言葉を耳に捉える。言った本人は、口に出している事に気づいていないのだろう。
    立場としてはどうかと思うが、マリューは聞こえてしまったその内容を検討せざるを得ない。
    たった今、ナタル・バジルールが口にしてしまった、民間人を囮にする手段をだ。
    いざと言う時のためだ……マリューはそう言い訳しながらナタルに検討を指示する。
    最低の行為だ。実際に声をかけられたナタルは、マリューがそれを至急、
    検討してくれと言ってきた事に驚いているのだから。
    離脱しながら、民間人をアークエンジェルから脱出させて、
    ザフト艦がそれを無視できない状況を無理矢理に作り出す。

    政治的に自殺するような作戦だった。

  • 185二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 19:22:17

    種シリーズを知ってるほどあり得ると思うのがなんとも

  • 186スレ主25/03/20(木) 21:22:41

    マリューさんから戦わず逃げられそうだと聞いていたが、相手側指揮官の
    ラウ・ル・クルーゼ智勇兼備の名将と聞いていたので、信用していなかった。
    だからカンヘルの中でアルテミス要塞を制圧できるよう準備を進めていたし、
    敵襲のアラートが鳴っても驚きはしなかった。

    問題は、マリューさんの言った内容だった。

    「入れない?」
    『ええ……正直何が何だか』
    「クルーゼの策に嵌った……そんなとこでしょ」

    中立国の民間人にストライクを操縦させたと伝えたのだろう。
    本当かどうかなんて関係ない、それだけでスキャンダルのネタになるから水かけ合戦が起きる。
    その結果切り捨てられたのだろうな。

    『艦長、今はとにかく脱出を……』
    『少尉の言う通りだな。それで、どうする?
    デブリベルトへ入れば姿を隠せるかもしれないが。ここはどう切り抜ける?』
    『……被害は覚悟の上で、突っ切ろうかと思います。アークエンジェルは高速艦でもありますから
    ……まずはアルテミス周辺のデブリ帯へ。三人は艦内待機を。デブリ帯の中では、
    フラガ大尉に出てもらうかもしれませんが……』

    マリューさんが迷いながらの判断をしているのは、表情から分かった。
    この周辺のデブリ帯から、デブリベルトと呼ばれる大規模な滞留物密集地帯へさらに逃げ込むというのだろう。
    しかし、デブリ帯へは行けるかもしれないが、いざ入っていくとなれば慎重な進入が求められる。
    速度を落とせば、モビルスーツの餌食だ。

  • 187二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 02:13:54

    >>183

    原作ではライブ感や大人の都合でラスボスが変遷したけど、二次創作なので最初から暫定ラスボスのクルーゼが本気出したぞ!


    まあメタ的には情報戦面でもチートなキャラがAAに投入されたからバランス調整の為なんだろうけど。


    月本部って事はハルバートン提督にも情報は伝わってる可能性があるから、クルーゼも警戒する智将はどう動くのか?

  • 188スレ主25/03/21(金) 10:00:15

    『それと……手段を選ばないのであれば、ザフトへの投降を希望している民間人を放出する……という手が』
    「まだその手を切る状況じゃない。マリューさん、それは止めましょう」

    最後まで聞かなかった。やっていい事と悪い事がある。
    だがそんなことが口に出るぐらい追い詰められてるのだろう。
    元々この人は技術士官んだ。本来ならマードックさんの立場になるはずが、
    人材不足の繰り上がりで艦長になってしまった。当然現場指揮官には慣れていない。
    ならこっちでフォローするしかない。俺はカンヘルをカタパルトに向かわせる。

    『では他にどうする?待て、止まれ!言っておくがお前は出さんぞ。司令部に露見している、
    お前を出撃させるのは、もう誤魔化せな……』
    「だから軍機の為に4ねと?お断りだね。
    アークエンジェルの直掩に入ります、発進シークエンスよろしく」
    『おい坊主。やる気なのか?6対3だぞ?』
    『ルイ君、何か作戦があるの?』
    「ゼロなら速力と小回りが利く筈だから、ムウさんがナスカ級を攻撃してくれ」

    デブリに紛れて接近していけば、ナスカ級に対して、逆に奇襲を仕掛けられるはずだと俺は説明した。
    撃沈する必要は無く、エンジンノズルに数発当てれば十分だとも。
    その作戦案に指揮官達は一瞬沈黙する、可能かどうかを計算し始めているのだ。
    出来ないとは言わずに、別の問題を持ち出したのはムウさんだ。

  • 189スレ主25/03/21(金) 12:49:49

    『……アークエンジェルはどうすんだよ、モビルスーツが来てるんだぞ』
    「何とかする、姉貴をこっちに。ストライクにはランチャーパックを」

    はっきりと受け持った琉生に対して、指揮官達はさすがに口をひきつらせた。
    可能なのか?そんな事が。特にムウの不安は他の二人よりも一段上の物だった。

    『持たせるってお前……二機でやる気かよ。向こうのモビルスーツには……ああっくそ。
    艦長すまん、実は話さなきゃならん事があるんだが、ちょっと面倒でな』
    『何です?大尉』

    ムウはまだ、アスラン達の事を話していなかった。話す暇がなかったのだ。
    状況が落ち着いてから切り出そうと、迷っている内にこうなってしまった。

    「時間が無い、先に行くぜ」

    聞き出そうとするマリューを遮り、俺は通信を切った。

  • 190二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 15:09:13

    まあ、大人しく4ぬわけないわな

  • 191スレ主25/03/21(金) 20:58:38

    琉生dice4d100=79 73 96 28 (276)

    瑠璃dice4d100=60 68 98 80 (306)

    キラdice4d100=92 17 46 66 (221)


    アスランdice1d100=5 (5)

    イザークdice1d100=2 (2)

    ディアッカdice1d100=58 (58)

    二コルdice1d100=72 (72)

  • 192スレ主25/03/21(金) 21:16:28

    ナタルが、静かに疑問を問いかけてきた。

    『待て、ルイ・アヤセ。……お前達が戦うのに、他の民間人は巻き込まないでくれと言うのは理屈が合わない。
    生きるために手段を選ばないなら、何でもやるべきだろう。それこそ卑怯な手段もだ、違うか』

    ナタルの声は真剣だった。しかし、迷いも含んでいる。当然と言えるだろう。
    ナタルは今、味方からの酷い仕打ち、理不尽と不合理を味わったのだ。
    感情が波打っている。納得させるのは難しいだろう。……だから琉生は強引に押し通す事にした。

    「説明が面倒だ!勝手にやるから後にしろ!」
    『んなっ!』

    あいにく弁舌が達者な覚えはない。ナタルのような生真面目な女性を説得する能力も時間もなかった。
    だから後回しだ。こういう時はノリと勢いでどうにかする。……生きてさえいれば。話し合えるのだ。
    そう思って開き直ったのだが、通信機ごしにフラガやブリッジクルーの笑いがこぼれる声が聞こえてきた。失礼な。
    笑っている場合かと思ったが、落ち込まれるよりはいいかなと気を取り直す。

    「……ムウさん、先に行きますよ。カンヘル出るぞ!カタパルトを!」
    『了解だ、バカヤロー。艦長!俺がナスカ級を叩いてくる、アークエンジェルは
    このバカ共と何とか持たせといてくれ。後で話さなきゃならん事があるからな。
    ムウ・ラ・フラガ、メビウス・ゼロ、出るぞ!』

    パイロット共はやる気だった。ナタルはムッとした表情だが、カンヘルとメビウス・ゼロの
    発進シークエンスに手早く入らせる。マリューの見たところ、ナタルを含め
    ブリッジクルーに不満の色は見えるが、怯えや躊躇いの表情は少ない。
    先程までと比べれば、戦うのに雰囲気は悪くないと思えた。
    マリューは自分も泥を被る覚悟を決めた。何とかして逃げてやる。その為には……。

    マリューは、ナタルに民間人を放出する準備をしておく事を伝える、ナタルは迷いを見せたが無表情で頷いた。
    さらにザフト艦への通信を指示する。少しでも相手が迷ってくれれば御の字だ。

  • 193スレ主25/03/21(金) 21:23:36

    ヴェサリウスは足つき……アークエンジェルの側面からモビルスーツを展開させていた。
    そのブリッジではクルーゼが、アルテミスの防御を固めた姿を見て満足気な顔をしている。

    横からヴェサリウス艦長のアデスが報告を上げてきた。

    「クルーゼ隊長。イージス、及びジン・ハイマニューバは出撃しました、
    ガモフからも鹵獲した機体とジンが出ました。……アルテミスは確かに籠りましたな……」

    アデスが報告する声色には、絡め手を使いすぎではないのか?との疑問が混ざっていた。
    一指揮官のやり方を完全に超えている。クルーゼはそれに気付いた上で無視した。

    「内輪揉めにお忙しいらしい、お邪魔をしては失礼だからな。我々も、手早く仕事を済ませてしまおう」

    連合の失点は歓迎だ、そういう無能な指揮官はいくらいてもいい。おかげで国力に劣るザフトが戦えているのだから。
    心底愉快そうに笑うクルーゼに、通信が入ったとの報告があがる。

    「……足つきから通信?」
    「はい、怪我人を含む民間人を多数保護しており、戦闘を望まないと。できれば」
    「あり得んな」

    クルーゼは通信担当からの報告を切って捨てた。
    対応不要でよいと。それにはさすがにヴェサリウスのクルーがざわつく。アデスの目にも動揺があるのだ。
    しかし、クルーゼはぶれなかった。

    「民間人が乗っている……敵にそう言われたから逃がしました。それでは戦争に勝てんよ」

    あまりにも自信のある態度に、クルー達の不満はあれど表には出ない。

  • 194スレ主25/03/21(金) 21:24:38

    ザフトでも有数のエースに反抗するには、狙っている獲物が危険すぎた。
    アデスしか、疑問を唱えられない。

    「しかし、もし事実であれば、どうするのですか?」
    「運が悪かった……そう諦めてもらうしかないな」
    「それは……」

    さすがに顔に嫌悪が浮かんだアデスを、クルーゼは皮肉げになだめた。

    「冗談だ。しかしユニウスセブンはどうだ?20万の同胞は助けを求める暇もなかったぞ?
    何より、オーブは連合と共同作戦をやっていた、ならば敵だ。敵ならば、まずは叩いてからだ。
    訳の分からない不明瞭な文を気にやむ必要はない」

    クルーゼはアデスとの会話を切って、アルテミスの状態を再度確認させにかかる。

    「アルテミスは防御帯を展開、艦隊の出撃は確認できず。沈黙を守っています」
    「結構、足つきにレーザー通信。以下の通り打て。民間人がいるなら放り出せ。
    こちらで救助してやるから、宇宙に放り出して自分だけ逃げるがいい。以上だ。
    ガモフに打電、砲撃を開始させろ。足を止めればいいとな」
    「味方が展開中ですが……!?」
    「足つきの足を止めろと言った、味方を撃てとは言っていないよ。始めさせろ」

    逃げ道はほぼ塞いだ、戦力でも勝っている。まだ若いパイロット共の戦意も煽った。
    軽く暴走してくれそうなくらいに。足つきのクルーも多少なり動揺があるだろう。

  • 195スレ主25/03/21(金) 21:28:08

    勝てるな。クルーゼは満足気に笑みを浮かべる。

    「クルーゼ隊長……やはり一度、本国に指示を」
    「アデス、できません分かりません、とはな。責任を放棄するという事だ。
    私の判断に問題があれば、後から本国が評価するだろう、今はあの艦を沈める。
    あんな危険な代物、合流させる訳にはいくまい。それを操る人員含めてな」

    クルーゼの言っている事は一見まともだが冷徹にすぎた。
    加えてアデスには、クルーゼの顔に狂気が見える気がしたのだ。隠れて見えないはずの目元から。
    そのクルーゼの感情を見てアデスは、さりげなくオペレーターの一人に目線を送る。
    互いに見知ったベテランだった。彼は、自然な動きでアデスの視線に気づいて、そして自然に仕事を始めてくれた。
    いつものクルーゼならば、そんな事をさせる程に強行策を取らなかったし、取らせる隙を与えなかった。
    しかし、今のクルーゼは既に次の戦局を考えてしまっていた。

    キラ・ヤマトが宇宙の塵と消えるのを楽しみすぎたのだ。

    だが、クルーゼが今一番興味があったのはストライクではない六機目だった。
    奪った四機からもデータが無く、外見からしてどこか別系譜の技術の産物に見える。

    何より、自身の直感はあれを動かすパイロットに違和感を感じていた。
    そう、まるで[この世]の存在ではないかのように。
    自分の直感が告げている。あれを動かしているのは対物ライフルで自身を追い詰めた少年だと。

  • 196スレ主25/03/21(金) 21:35:11

    その後ストライクを動かし、自身に命を刈り取りかけた相手だと。
    そんな相手がストライクとは別の機体で出るという事は、本気で戦うという事。

    強化APSV弾でも傷一つ付かないフェイズシフト装甲に、ジンを遥かに上回る機動性。
    まさしく対MS、対コーディネーター用兵器。そしてそれを動かすのは
    コーディネーターの中でも選りすぐりのエリートパイロット。

    この戦いであの[竜騎士]は生き残ることができるのか?
    または、それ以上のことを成すのか?それともここで沈む程度の器なのか。

    見定めさせて貰おう。

    クルーゼはただそれを思い、小さく笑うだけだった。

  • 197スレ主25/03/21(金) 21:55:18
  • 198二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:18:12

    応援梅

  • 199二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:18:29

    楽しみにしてます

  • 200二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:18:45

    うめ

オススメ

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