賀陽燐羽の日記2

  • 125/02/23(日) 23:12:11
  • 2二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:14:31

    待ってた!期待!

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:14:49

    .

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:21:49

    期待

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:33:19

    待ってた!前スレホント好きだったから嬉しいぜ

  • 625/02/23(日) 23:47:30

    ☆〜月☆日

    ようやく四音の仕事がひと段落したみたい。
    すぐ忙しくなるけど少しは余裕が出来た、と言っていた。
    だから私のソロ曲を作る。
    どういう曲にしたいか考えておいて欲しい。
    近いうちに打ち合わせを行う、と。
    ...何でそうなるわけ?
    ユニットの曲を、ならわかるわよ?
    そう聞くと両方作るに決まってると呆れられた。
    ...ああもうこの人は、と私も呆れた。
    そもそもあなたは営業を取ったりレッスンを見たり他の打ち合わせも抱えてる。
    それに四音の楽曲の収録だってまだあるのよ?
    私の持ち歌なんかに構ってる余裕はないのに、本当にわかってる?と小言を言った。
    あの白草四音に同じステージに立つアイドル。
    きっと誰もが貴女を見る。
    そこまでいって「わかりますね?」と笑っていた。
    なるほど、と思った。
    FINALEであれだけの活躍を見せ、いまだに四音は注目されている。
    FINALEから1ヶ月が経ったというのにSNSではまだあのライブを見た観客の熱が高まり続けている。
    そんな四音がユニットを組んだ。
    あのアイドルは誰だ?と当然思われる。
    ユニットとして活動するならしなければいけない。

    "賀陽燐羽"を納得させなければいけない。

    ___四音のファンたちに。


    『白草四音と同じステージに立つ』とはそういうことだ。

  • 725/02/23(日) 23:47:49

    ☆〜月¥日

    四音が可愛い。
    何でかわからないけど今日一日ずっと顔が赤かった。
    お昼を食べた時も寮に戻る時も見かけたけど本当に顔が赤かった。
    名前を呼んだだけで声が上擦っていたし。

    多分というかどうせプロデューサーでしょうね。


    プロデューサーとはソロ曲とユニットの話で硬い空気だし、四音も仕事で忙しい。
    あまり、二人に構ってもらえてない。
    そもそも、あの二人だけズルい。
    四音とプロデューサーだけ二人でずっと行動しているなんて。
    四音と一緒にいるプロデューサーも。
    プロデューサーと一緒にいる四音も。

    羨ましい。

  • 825/02/23(日) 23:48:40

    ☆〜月○日

    ユニットの今後について打ち合わせをした。
    今冬の半ばにある『SATELITE』でユニットとして出場し優勝する。
    それが今後の方針。
    その前に私はソロでライブを披露しなければいけない。
    プロデューサーが見繕ってくれているけれどSATELITEの直前にある『Striking Talent Stage』通称S.T.Sで考えているらしい。
    そのS.T.Sを圧勝しSATELITEへ直行する、と。
    S.T.Sは出場するアイドルが得点を取り合うポイント制かつファン投票ありの大会。
    引退を惜しむ声が絶えない"賀陽燐羽"の復帰舞台としてこれ以上ないぐらい相応しい舞台、と。
    「SATELITEの直前、というのも好都合です」と言って詳細を説明された。
    S.T.Sは最前線を走るアイドルも新星も殴り込む大きな大会。
    優勝者は話題になり火が残る。
    その優勝者が先日のN.I.Aで優勝した白草四音とユニットとしてSATELITEに出場する。
    いまだに火が燃え続ける四音と直前まで燃えている私で結成したユニットで薪を焚べる、と。
    ただ、ユニットの告知はしないらしい。
    出場ユニット一覧にはユニット名と極月学園の名前しか出さない、と。
    「告知などしませんよ」
    「観客たちはユニットのメンバーが誰なのか」
    「極月のユニットがどういうことか」
    「ステージ上に立つ貴女たちを見て初めて知る」
    「蹂躙しましょう」
    物凄く悪い顔をしながらそう言っていた。
    ...あの人、たまにああいうところあるわよね。
    極月らしい、というか。
    ...『一番星』のプロデューサーをやっていた頃とは似ても似つかない。
    少なくとも耳に入ってきた話とは随分違う。
    まあ、極月へ来てようやくやりたいことがやれるようになったのかもしれない。

  • 925/02/23(日) 23:48:57

    あといくらぼかしても私たちだと予想する人は出てくるらしいから告知に関しては臨機応変にやるらしい。
    任せてください、と楽しそうにしていた。

    私は自身のソロ曲とユニットの曲も練習しなければいけない、とかなり負担がかかることを心配されたけど問題はない。
    むしろ心配なのはプロデューサーの方だ。
    ...私の負担がそのままあの人の負担になるのだから。
    自分に言ったら?と小言を言うと「なんでですか?」と本当に疑問に思っている顔で返された。
    ...あれは、倒れてようやく自分が限界を越えていたと気づく人種の顔だ。
    ...本当に心配。

  • 1025/02/23(日) 23:50:40

    ☆〜月+日

    今日は早速、ソロ曲の楽曲制作をした。
    ......あの人の家で。
    いや、まあ、私が強行したというか。
    ...仕方がない。
    確かに下心はある。
    あるけど責めないで欲しい。
    最近、プロデューサーにはあまり構ってもらってない。
    寂しい。
    ...だから、仕方がない。
    ......四音に言うのが怖いわね。
    撫子に鉢合わせたし、撫子越しに聞いてるかも知れない。
    まあ、あの子は口が硬いし...いや、それは、どうかしら。
    ...微妙だ。
    ......祈るとしましょう。
    大人しくしててくれることを。

    ...本題に戻ろう。
    N.I.Aでプロデューサーは四音のソロ曲を制作した。
    だから、まずその制作時の話を聞いた。
    自室にある機材で打ち込みをメインで制作したらしい。
    私はその場でこうしたいああしたいと相談したい。
    それに急いで作るならデモ音源が出来上がるのをいちいち待っていられない。
    だから、プロデューサーが曲を作る環境に私もいるのは理にかなっている。
    そう言ったけどプロデューサーは渋った。

  • 1125/02/23(日) 23:51:11

    それはもう本当に困ったという顔で渋っていた。
    「やましいモノでもあるのかしら」と聞いたら「そういうわけではないのですが」と歯切れが悪い。
    問い詰めると「灰皿があります」とようやく言った。
    ......あの人は馬鹿なの?
    灰皿があるからなに?
    というかタバコ吸うの?
    見たい。
    とても見たい。
    余計行きたがる私に根負けして連れて行ってくれた。
    「内緒にしてくださいね」と恥ずかしがっていた。
    何でも自室での作業中は吸うらしい。
    あと休憩とか寝る前とか。
    知らなかった、と言うと「まあ家以外では吸いませんから」と言っていた。

  • 1225/02/23(日) 23:51:42

    プロデューサーの部屋はすごかった。
    資料の山やら機材やらたくさんあったけれど散らかってなくて確かな生活感があった。
    ...男の人の家って感じがした。
    まあ、この話はこのあたりにしましょう。
    楽曲だ。
    ハイスネアやシェイカー、ドラムが小さいながら背景で軽快に鳴っていて、でも仄暗さや儚さを幽かに感じる曲、にまとまった。
    ...テーマにしているのが私の心なこともあってすごく恥ずかしい。
    なんか、こう、文章に起こすと、ね?
    ...いや、それはいい。
    プロデューサーはその場でいくつもメロディーラインを作ってくれておおよその方向性を固めた。
    歌詞も見てもらい、フレーズとデモを照らし合わせまた考える。
    何度も。
    「ならここはもっと汚した方が良さそうですね」
    「このフィルインのニュアンスはどうですか」
    「ここにクラップ入れましょう」と初日なのに随分進んだ。
    難航すると思っていたのに滑り出しが良い。
    一旦ここまでにしましょう、とまた見てもらう約束をしてさっき帰ってきた。

  • 1325/02/23(日) 23:52:10

    ...タバコを吸うところもちゃんと見せて貰った。
    煙を吸い込む息遣いも吐き出す時の横顔もタバコを持つ手にも、何もかもにギャップを感じた。
    ジロジロと見ないでください、と言われたけど目に焼き付けた。
    だって、プロデューサーの初めて見る顔だもの。
    多分、四音も知らない顔。
    それを私が見た。
    ...嬉しい。


    しばらくは四音にも言わず一人占めしたい。

  • 1425/02/23(日) 23:52:51

    ☆〜月〒日

    今日は撫子たちのレッスンを見る約束をしていたから見て来た。
    Cランク...とはもう呼べないわね。
    そう呼べる成長の仕方をしている。
    どの子もN.I.Aで良い成績を収め、ファンも獲得した。
    N.I.Aは結果が数字に出る。
    まあ、それは良いところも悪いところもあるけれど少なくともあの子たちには自信になったみたい。
    特に撫子の成長は著しい。
    Bランクになる日も近いでしょうし、これからも見守ろう。
    ...撫子だけじゃないわね。
    全員。
    あの子たち全員、見捨てるつもりはない。
    ...それに、随分と懐かれてしまったし。
    久々に今日言われた。
    _____アイドル引退しないでください、と。
    ......手毬のアレのせいだ。
    ...本当に。

    しないわよ、と言うと凄く喜んでくれたのが嬉しかった。
    ファンの子たちにも早く言いたいけれど、ソロ曲が出来てPV等諸々が出来上がってから声明を出す、とプロデューサーと相談して決めたし我慢だ。

    ...それまで手毬のアレは尾を引きそう。

  • 1525/02/24(月) 00:00:16

    ☆〜月^日

    今日はレッスンルームで白草月花と一緒だった。
    白草月花が極月へ来た時のことを思い出した。
    あの時はプロデューサーのことをアメリカへ来いと勧誘してた。
    それはもういいのかと聞くと「奴は私に心底興味がない」と返された。

    四音にも私にも執着している。
    アレはお前たちのモノだ。
    だからもういい。
    そう言っていた。

    ...それで、その。
    私にも質問をされた。


    ____何故、お前は選ばれた。


    四音はわかる。
    N.I.Aであれだけのパフォーマンスが出来た。
    才能を感じていたと納得出来る。
    だから解せない。

    十王星南との担当契約を渋るような男が理事長の指示だからといって、一アイドルの面倒を見ることを快諾するハズがない。

    そういうことを言われた。

  • 1625/02/24(月) 00:01:21

    ......何も、返せなかった。
    だって、そんなこと思いもしなかった。
    今まであの人は私を特別扱いなんてしなかった。
    他のアイドルにしたことを私にもしたし、私にしたことを他のアイドルにもしてた。
    それに引退を止められたこともない。
    私の引退ライブのために具体的なプランを考えてくれていた。
    それがあの時の約束だから。
    ありがたい、と思っていた。
    私との約束を守ってくれることを嬉しく思ってた。
    約束を守ってくれる人だ、としか思わなかった。
    それに指導とかレッスンとか、営業とかアイドル活動のプランニングまで、色々な子の面倒を見てた。
    それがあの人の普通で、私もそうだと思ってた。
    居心地の良さを感じてた。
    重荷になっていない、と安心していた。




    ___でも、違うの?

  • 1725/02/24(月) 00:01:37

    立て直しの面倒を見て欲しいと言ったあの時。

    快諾してくれたあの時。

    あの時、私はあの人に選ばれたの?

    あの人の特別になれたの?

    私も四音と同じように、愛を向けられているの?



    ...そうなの?


    ...ああ、どうしようもないな。



    _______期待、してしまう。

  • 1825/02/24(月) 00:15:12

    ☆〜月☆〜日

    ...私はどうしようもない。

    ...あの人にスリーサイズを伝えた。
    ......あの人の家で。
    下心はある。
    二人きり。
    あの人の家。
    ____その状況で、スリーサイズを伝えた。
    ...女、を感じて欲しくて。
    ...私の身体を意識して欲しくて。
    でも、返ってきたのは「そうですか」の一言だった。
    ...どうかと思う。
    女の子が勇気を出してスリーサイズを伝えて、恥ずかしがるでも気まずくなるでもなく「そうですか」はどうかと思う。
    すぐにメモを取って、おしまい。
    ...それで、その。
    ...押し、倒してしまった。
    ......あの人にどうかと思うと言っておいて私の方がどうかしてる行動をしているのは、わかる。
    でも、迫ってしまった。
    私のことも意識して欲しい、と言ってしまった。
    ...だと言うのにあの人の口から出た言葉は「怪我はないですか」だ。
    たしかに、急に押し倒した。
    ベッドの上とかクッションがあったとかでもない。
    だから、その気遣いは正しいと思ってる。
    あの人の良いところだと思ってる。
    優しくされて嬉しいと思ってる。


    でも、私の欲しい言葉じゃない。

  • 1925/02/24(月) 00:16:03

    ...そのことに余計ムキになって、また迫ろうとした。
    あの人の身体に顔を埋めて、私の胸も押しつけてやろうと思ってた。
    そんなことを考えてたらプロデューサーと目が合った。
    あの人と目があってようやく私は我に返って、自分がしたことと今からしようとしていることの恥ずかしさが込み上げてきた。
    ...羞恥心で黙り込んでしまった。
    あの人は何も言ってくれなかったクセにずっと私の顔を見てた。
    どうしてか、目を逸らすのは負けた気がして私もずっとあの人の顔を見てた。
    どのぐらいそうしていたかわからないけれどプロデューサーのスマホに電話がかかってきて、あの訳のわからない時間は有耶無耶になった。
    電話が終わってすぐあの人は楽曲の打ち合わせをし始めて、そのまま楽曲の制作になった。
    ...ずっと私だけが余所余所しい態度のままだった。
    結局、私だけが意識してた。

    白草月花に聞かされたことが嬉しかったせいだ。

    本当かどうか確かめようとしたせいだ。

    私にも可能性があるんじゃないか、と期待してしまったせいだ。

    ...嬉しくて、舞い上がってた。
    ...最悪だ。

    寮に帰ってきてからずっと後悔している。
    ...絶対変な女の子だと思われた。
    ......それに、きっと四音にも嫌われる。
    こんなことがありました、とプロデューサーから今日のことを聞かされたら四音に嫌われる。
    あの人を盗ろうとした、と思われても仕方がないことをした。
    ...嫌、だな。


    _____今日をやり直したい。

  • 2025/02/24(月) 00:21:50

    ☆〜月☆☆日

    ...昨日のことを謝ったら「気にしていませんよ」と返された。
    ......それはそれで傷つく。
    ...結果としては良かったのかもしれないけど、どうかと思う。
    思い切ったことをした、と思っていたのに意識されてない。
    ...まあ、アイドルがしていいことじゃない。
    ...忘れよう。

  • 2125/02/24(月) 00:24:04

    ...今日はボイトレをした。
    歌いながら抑揚の付け方を調整して、フレーズもその都度様子を見てニュアンスを変えたり声の抜き方を変えた。
    ...やっぱり難しい。
    四音のように表現しきれない。
    ___でも、楽しい。
    こういうのは本当に久々だ。
    プロデューサーにも「楽しそう」と言われるなんて私は案外顔に出やすいのかもしれない。
    それとS.T.Sに出場しそうなアイドルのリストを貰った。
    ...かなり、多い。
    N.I.Aには出場出来なかった規格のアイドルもいるのだから当たり前のことではあるけれど、流石に多すぎる。
    N.I.Aには出場出来なかった規格のアイドルもいるのだから当たり前のことではあるけれど、流石に多すぎる。
    最前線を走るアイドルもN.I.A以降頭角を現し始めたアイドルも"最新"の情報でまとめられていた。
    ...リサーチの能力が高すぎる。
    何が強みで、アイドルとして何に秀でているか、それをこの人数分?
    正気の沙汰じゃない。
    可能な限りで調べました、と言っていたけれどそんな言葉で片付けていい話ではない。
    ...あの人のしたことは、たった1人でアイドル業界の勢力図をすべて把握しきったと言っても過言じゃないレベルだ。
    ...規格外すぎる。

  • 2225/02/24(月) 00:42:04

    ☆〜月☆%日

    最近はあの人の家に行く習慣が出来つつある。
    プロデューサーの家はそこまで遠くない。
    むしろ丁度いい。
    遠すぎず近すぎず。
    ランニングがてら寄ってしまうこともある。
    ...曲の進み具合を見に来た、と尤もらしい言い訳をして。
    そんなことをしていたら...その、鍵を貰った。
    プロデューサーのいない時も好きに使っていい、と言われた。
    冷蔵庫とかシャワーとかも使ってもいいし、休憩に使ってもいい、と言ってた。
    遠慮しようとしたのに。
    我慢しようとしたのに。
    「でも、タバコは触っちゃダメですからね」の一言で、しないわよ、とつい受け取ってしまった。
    ...女の子に慣れてる、と思った。
    ...鍵、なんて。
    ......期待、してしまう。
    ...思春期の女の子に言ってる自覚はあるのか、と思った。

    タバコを吸う顔も行く度に見てるし、今日も見た。
    ベランダに行って吸うのもあの人らしい。
    ...戻って来ても微かに感じるあの人のタバコの残り香が好き。
    ...あの人を感じる、から。
    あの人が私の中に広がる、気がする。
    匂いを感じるあの距離が、愛おしい。
    匂いを感じた瞬間あの人が隣にいることを実感する。
    私のそばで、私のことを考えてくれていることを噛み締められる。
    ...だから、好き。

    ...こんな恥ずかしいことを日記に書くなんてどうかしてる。

  • 2325/02/24(月) 00:42:38

    ...とりあえず、おかげで楽曲の進みが良い。
    エフェクトの掛け方だったり音の粒の大きさの調整まで出来て細かい所まで進んでる。
    だから、とりあえずまともに聴けるようにはなった。
    ひとまず、プロデューサーの方でこのまま進めてもらってデモ音源が出来上がる度に確認する流れでまとまった。
    次は振り付けを考えないといけない。
    振り付けも土台が一通り出来ないことには始まらないのだから。
    四音にも協力して欲しい。
    あの子の指先まで楽曲を表現出来る身体の使い方は参考になる。
    ......それに四音にも構ってもらいたい。

  • 2425/02/24(月) 00:44:52

    ☆〜月☆○日

    早速今日、四音に昨日練習していた動きだったりこれからしようと思っている動きを見て貰ったりこのフレーズを表現するにはどういう動きがいいか相談をした。
    ...それで思ったのだけど。
    ...四音は教えるのが苦手だ。
    いえ、言っていることは伝わってくるの。
    それに私もちゃんと汲み取れてる。
    でも、本人が若干感覚派よりなこともあって四苦八苦してる。
    本人は恥ずかしがっていたけど学べることは多い。
    私は頭の中で『ここはこういう感情だからこうして表現する』と考えてるけど四音はそうじゃない。
    『自分の感情を乗せる』で成り立たせている。
    それは私にはなかったモノだ。
    勉強にならないわけがない。

    あと四音に嫉妬された。
    ...バレてた。
    プロデューサーの家に行ってたこと。
    ズルい、と拗ねる四音に自慢したら凄く羨ましがってた。
    ユニットの曲もそろそろ作り始めると思うし行けるかもしれないわね、と言うと「その時はプロデューサーにお願いしに一緒に行って欲しい」と赤い顔で言っていた。
    四音は揶揄われるとすぐに赤い顔をする。
    そういうところが可愛い。

    ...鍵を貰ったことはまだ内緒にしておこう。

  • 2525/02/24(月) 00:45:49

    ☆〜月¥〜日

    四音に振り付けを見てもらった。
    ...やっぱり四音の表現力はすごい。
    『感覚』
    たったそれだけで、楽曲を表現出来ている。
    聴いて感じたままを表現出来ている。
    それに表現の取捨選択のセンスが飛び抜けて高い。
    どのパートが一番感情を乗せられるか、曲中のどの感情を優先するか、どういう動きが相応しいか。
    それを無意識で選んでいる。
    あの子の武器はフットワークと表情での表現だと思っていたけれど、それだけじゃない。
    ...どちらかといえばその根本にあるモノね。
    感受性が高い。
    強みだと理解していないのがあの子らしいけれど。
    まあ、それは重要なことじゃない。
    その感受性が輝き出した。
    四音の身体がその感受性のままに動けるようになったのか、感受性の方が四音の成長に合わせて育ったのかはわからない。
    でも、楽曲の世界をより鮮明に表現出来るようになった。
    ...でも、それはきっと本質じゃない。
    私の曲であの有様だった。
    きっと四音は楽曲の世界を自分の世界に変えられるアイドル。
    書き換え、塗り替え、染め上げ、自分の世界に出来る。

    ...本当に私と同世代?
    ......アイドルの世界ってこんな魔境だった?
    少なくとも四音に引っ張られて他のアイドルの成長が加速する。
    S.T.Sに出るようなアイドルは四音のN.I.Aを見て、もう加速しているハズだ。
    ...厳しい大会になりそう。

  • 2625/02/24(月) 00:46:18

    ☆〜月¥%日

    今日久々にレッスンルームで白草月花と一緒だった。
    相変わらず我が物顔で極月の設備を使っていた。
    ...いや、極月の3年生なのだから何の問題もないのはわかっているけれど。
    なんというか、違和感がある。
    まあ、それはいい。
    いつものように雑談をしていたら来月ニューヨークに帰ると伝えられた。
    四音とも十分話せたし向こうのファンも待たせているから、と。
    四音とは向こうに行ってからも話そうと約束をしたそうだ。
    どうやら姉妹仲は良くなってきたらしい。
    「あの男が四音を変えたのだな」と笑っていた。
    ...まあ、たしかに。
    四音はプロデューサーの元で活動していくうちに随分と丸くなった。
    揶揄うような言動に余裕のある態度で人と接しているけれど、内面の部分ではかなり年相応の振る舞いを見せるようになったと思う。
    少なくともあの人の前では特にだ。
    最近は私の前でも素を出すこともあるけれど姉に対してもそうらしい。
    ...きっと、四音は本当に余裕が出来たんでしょう。
    今まで踠くように必死に飛んでいたのにプロデューサーという止まり木が出来た。
    張り詰めていた心も焦っていた気持ちも満たされて肩肘張らずに過ごすのが四音の日常になってきた。
    喜ばしいことだ。
    二人が良い関係になれてよかった、と思う。

  • 2725/02/24(月) 00:48:01

    それと以前から少し気になっていたことがある。
    ...いや、少しじゃない。
    かなり、だ。
    アメリカの方に帰ってしまう、のなら今のうちに聞こうと思って聞いた。
    ......プロデューサーのことを弟と呼んでいるのはどういうことなの?
    色々とおかしい。
    ...まず、あの人は四音の姉も口説いたの?
    ...四音はどう思っているの?
    ......そもそもどういうプレイなの?
    あの人が月花に甘える、というわけでもない。
    月花もあの人を甘やかしているわけじゃない。
    ...本当にアレは何?
    あの人はああいう変なのが好みだったりするの?
    そのうち四音にも弟呼ばわりさせるの?
    四音の姉に呼ばせて、外堀から埋めたつもりなの?
    ...どうかしている。
    そんなことを考えていたら「お前も妹だ」と真顔で言われた。
    ...おかしいのは月花の方だった。
    意味がわからない。
    ...恐怖すら感じる。
    プレイに巻き込まれていたのはプロデューサーの方だ。
    しかも、私も巻き込まれた。
    あの人を弟呼ばわりしている理由も私を妹呼ばわりしている理由も話してくれなかったクセに「姉だと言え」と延々言われた。
    ...姉さん、と渋々呼ぶと喜んでいた。
    プロデューサーは全然呼んでくれないらしい。
    ...当たり前だ。
    あの人の感性は意外とマトモだ。
    こんなおかしなやりとりに付き合ってくれるような人じゃない。

  • 2825/02/24(月) 00:48:23

    ...まあ、そんな話をしながら二人でレッスンをして過ごしてた。
    終わり際に、ユニットのライブの時には観にくると言われた。
    楽しみにしている、と。
    ...私と白草月花は微妙な関係だ。
    ......姉、になったし。
    それに、連絡先も知らない。
    だからといって顔を合わす度に話す仲でもない。
    でも、そんな奇妙な間柄でも期待されるのは案外悪くない。
    不思議と頑張ろうと思えた。

  • 2925/02/24(月) 00:49:44

    ☆〜月¥○日

    振り付けがようやくまとまった。

    ただ、指先や表情で曲を表現しようとするとファンサらしいファンサが出来ないのが引っかかる。
    ...私としてはこの曲自体がファンサだ。
    ...それは言い訳か。
    とりあえずプロデューサーに見て貰って相談しよう。

    あと四音に意地悪をされた。
    結局スリーサイズは私の方から言ったのか、って。
    ...あの時のことはあまり思い出したくない。
    ...押し倒す、なんて。
    本当にどうかしている。
    ...そもそも付き合ってないのに。
    ......それに、押し倒すより押し倒される方が良い。
    ...あの人が女の子を押し倒すところなんて想像出来ないけれど。

    ...私は何を考えているのか。

  • 3025/02/24(月) 00:50:04

    ☆〜月¥+日

    プロデューサーに振り付けを通しで見てもらった。
    「これで行きましょう」
    一言だけそう言われた。
    ファンサのことで何か言われるかと思っていたのに、と言うとプロデューサーは「この曲自体がファンサでしょう」に返された。
    下手にファンサをするよりもこの曲の世界を私が見せることに集中した方がファンの心にはきっと届く、って。
    プロデューサーには伝わっていた。
    私がこの曲に込めた気持ちも、どう感じて欲しいかも、全部伝わっていた。
    ...あの人はいつも私のことを理解してる。
    ああいうところは初星のプロデューサーらしいと思う。
    衣装ももう出来上がったみたいで明日確認して欲しいと言っていた。
    ...出来上がるまで早すぎないかしら。
    あくまで仮衣装らしいけれどだとしても早すぎる。

  • 3125/02/24(月) 00:50:51

    ☆〜月¥<日

    ...衣装。
    どうしてぴったりなの?
    ...最近、少し胸が大きくなったのに。
    ......ブラも最近窮屈に感じてる。
    少なくとも、あの時伝えたサイズじゃない。
    ...本当にどうして?
    ...色々とおかしい。
    四音はサイズも言わないうちに衣装が出来上がってて、その衣装がリテイクなしでサイズがぴったり合ってたことに恥ずかしがってた。
    ......私は伝えたサイズよりも胸が大きくなってたのに渡された衣装はぴったり合ってた。
    それも締め付けられてるような嫌な窮屈感じゃない。
    どこか安心感があるような丁度いい窮屈感。
    ...ここまで来ると羞恥心より恐怖心の方が大きい。
    「言いにくいのですが視たら大体わかります」
    そう言われた。
    ...それはつまり、女の子の身体を見ただけでスリーサイズがわかる、ということ?
    ...女の子の天敵じゃない。
    極月のアイドル全員のスリーサイズはあの人に把握されてるってことでしょう?
    ......新手の変質者だ。
    ...そもそも"大体"じゃない。
    "確実に"だ。
    精度が高すぎる。
    色々と文句を言うと、意識しないようにしていると言われた。

  • 3225/02/24(月) 00:51:13

    「この前だって困ったんですよ」
    「意識して欲しい、なんて」
    「あまり私の理性をいじめないでください」
    少し照れたような顔で返された。
    ...それを言われたらこっちだって何も言えない。
    ......それに少し嬉しい。
    あの顔を見てわかった。
    私のことを少なからず意識してくれてたんだ、と思ったから。
    そのまま大人しく衣装の確認をした。
    動きも問題ないしこのまま行こうと思う。
    そう伝えて、そのままレッスンを見てもらった。

    ...日記を書いていて思った。
    ......まさか、仕事をあんなに頑張ってあれこれ抱えている理由ってそれなの?
    忙しさで女の子のスリーサイズを打ち消そうとしているの?
    ...馬鹿じゃない?
    ...本当に馬鹿じゃない?

  • 3325/02/24(月) 00:52:07

    ☆〜月¥「日

    プロデューサーが頑張ってくれて私の曲が完成した。
    納得出来るクオリティだった。
    ......衣装の方も問題はない。
    ...どうせ、私の胸がまた大きくなってもそれに合うサイズにリテイクして持ってくる。
    ...私がサイズの申告をしなくてもね。

    とにかく、あとは備えるだけ。
    振り付けを完璧にして、表現を研ぎ澄ます。
    指先に、表情に、"私"を宿す。
    気持ちを作ることも忘れない。
    感情のままに振る舞うために。
    私のソロ曲に必要なことだから。
    あの曲で、私の心を歌う。
    "賀陽燐羽"ではない、ありのままの"私"。
    私を苦しめてきたのも私を励ましてきたのも私の心だ。
    ...それを知って欲しい。
    四音にも、プロデューサーにも、手毬にも、美鈴にも、私を待ってくれるファンにも届けたい。
    何が私をそうさせるのか、何が私をここまで連れてきたのか。

    ____私の心の輪郭を、知って欲しい。

  • 3425/02/24(月) 00:52:30

    ☆〜月¥〒日

    プロデューサーから改めてS.T.Sの説明をされた。
    一線を退いた元トップアイドルや各プロダクションの社長らで構成された多数の審査員からの評価点を取りつつ、ファンからの人気投票も集める。
    グループ分けされて2回のオーディションを行って残った8人で最終オーディションになる。
    その最終オーディションで優勝すれば、相応しいステージでのライブが出来る。
    全3回のオーディションも中継されるからファンへ向けたアピールも欠かせない。
    それに期間中のファンとの交流も必要だ。
    ...ただ、例年通りなら十王社長も審査員の一人になると言っていた。
    ...巡り巡ってアイドルとして十王社長の前に私が立つことになるなんて。
    きっと良い顔はされないでしょうね、と言うと「そうでもないですよ」と返された。
    私の引退を反対していた人間なのだから嬉しいに決まっている、と笑っていた。
    ......そういうものなの?
    ...そう単純に割り切れる人だとは思えないのだけど。
    ファンに向けてのPVも作ると言っていた。
    具体的な撮影は☆☆月に入ってかららしい。
    でも、それが済んだらようやく声明を出せる。
    ファンの子たちを随分と振り回した。
    なのに、私を必要だとまだ言ってくれている。
    早くごめんなさいを言いたい。
    そんなことを考えていたらバレたのか「申し訳なさそうにしてはダメですよ」と言われた。
    ...あの人には私の心が筒抜けだ。

    そういうところがズルい。

  • 3525/02/24(月) 00:53:07

    ☆〜月¥^日

    今日はユニットの打ち合わせをした。
    私の曲がひとまず完成したから、ユニットの曲を作り始めるつもりだと言っていた。
    プロデューサーが前々から考えていた曲にするつもりだけど、私たちの意見も取り入れてくれるらしい。
    四音はしっとりとした曲調が良いらしい。
    たしかにそういう曲の方があの子の表現力は輝く。
    私のソロ曲もそういうニュアンスが目立つ曲だしユニットの曲もその方向性で良いかもしれない。
    ...今までアイドルとして歌っていたのはキレのあるダンスが中心の楽曲だったから慣れないダンスであることに間違いないはないけれどやってみたい。
    四音が得意なのはゆったりとしていたり妖しい感じの曲調なのはここ最近で十分身に沁みてわかっている。
    それをユニットの曲でもやりたい。
    ...だって私が四音一色に染まる気がする。
    ...四音のモノになっていく、とわかりやすく実感出来る。
    ......相変わらず日記に書くことではないか。

  • 3625/02/24(月) 00:53:25

    とにかく、ユニットの曲がそういう曲調だと想定して二人で練習をした。
    まったく息が合わなかった。
    ...正直、こなせると思っていただけにショックがある。
    Syng Up!でユニットの経験があったから四音とも合わせられるだろう、と甘く考えすぎていた。
    ...まあ、プロデューサーの要望が難しいのも大きいけれど。
    素早いターンを揃える。
    一度のターンでの回転も多い上で、だ。
    多分、ユニットの曲でやりたいことなんでしょう。
    踊りながら、歌いながら、ターンをする。
    ___何度も。
    きっとそれをユニットの曲で求められる。
    今のままでは満足に出来そうにないのにあの人は何の心配も不安もしていない。
    ...期待してくれている。
    真っ直ぐな期待を向けてくれている。
    ...応えたいと思う。

    頑張ろう。

  • 3725/02/24(月) 00:58:00

    ☆〜月%☆日

    四音からデートに誘われた。
    撫子からリゾートのチケットを貰ったらしい。
    プロデューサーと行ってきたら、と言おうと思ったけれど四音の真剣な顔を見たら言えなかった。
    『大事な話がしたい』と言われた。
    来てしまったか、と思った。
    ...プロデューサーとのことでしょう。
    ...告白した、とかかしら。
    付き合った、とかかもしれない。
    ...どちらにしろ祝福しましょう。

    私も一緒に、とは言えない。
    そんなことは言えない。
    ...ここが引き際。
    もう、甘えられない。
    十分幸せだった。
    わかっていたことだ。
    いつか来る日のことなんて。
    ...覚悟していたハズだ。
    ...だから、ここまで。

    この気持ちは、捨てる。
    待っていてはいけないモノだ。
    私を苦しませる。
    でも、もう少しだけ。
    あの毒のような微睡に浸っていたい。


    ____これで、最後だから。

  • 3825/02/24(月) 01:14:33

    今回の投下はここまでです。
    起きてからまた投稿する予定です。

    投稿が遅れてしまった理由なのですが、私生活が忙しかったのと次回の投稿の☆☆月が何度書き直しても性的内容を含んでしまい四苦八苦していたためです。
    完結した後にIFとして投稿しようとしていたR-18の書き溜めに気づいたら本編が侵食されてました。
    大した描写ではない、と思えるレベルまで削ったのですが苦手な方には不快感を与えてしまうかもしれません。
    ご理解いただけたら、と思います。

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 02:57:30

    このはっきりと言葉に言い表せない絶妙な関係が良すぎる...!
    そして裏でさらっと全部やってるPがしごできすぎる...!?

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 11:08:10

    待機

  • 4125/02/24(月) 12:37:28

    今から投下します。

  • 4225/02/24(月) 12:38:09

    ☆☆月☆日

    プロデューサーから改めてPVの撮影とS.T.Sについての説明をされた。
    まず、PVに関しては楽曲のイントロと衣装のチラ見せ程度で考えていて、最後の数秒に私のカットを入れるらしい。
    私が歌ったことのある今までの楽曲と違うソロ曲。
    今までの"賀陽燐羽"とは違う"私"としてのアイドルの在り方。
    それを意識するなら当然その変化を一瞬の中に写したい。
    だから撮影では、今までを気にせずに魅せたい私を出して欲しい。
    必ずファンの心へ届けるから。
    ...そう、言ってくれた。
    ......私がファンを大事にしているのと同じように、あの人も私のファンのことを考えてくれているのが嬉しかった。
    また一つ、あの人の好きなところが出来た。
    ......出来てしまったが、正しいか。
    ...もうすぐこの恋心ともお別れをしないといけないというのに。
    いや、日記にネガティブなことを書くのはやめよう。

  • 4325/02/24(月) 12:42:44

    撮影の話だ。
    四音の時はイントロと衣装だけのPVだったから極月の設備で作ることが出来たけれど私のカットを入れるならスタジオかどこか楽曲の雰囲気に合っているロケ地が必要になる。
    スタジオに関しては961プロのスタジオを借りられるから、ロケ地の候補を探しているらしい。
    スタジオでの撮影を済ませてからまたそのロケ地でも撮影をするかも、と言われた。
    正直、PVに関してはあの人に任せようと思う。
    私の伝えたいことを誰よりも理解してくれていて、それを私と同じように大切にしてくれている。
    私があれこれ考えるよりプロデューサーとして考える"どう伝えるか"の方がよっぽどファンの子たちに届くと思うから。
    そう言うと「任せてください」と意気込んでいたし、邪魔したくない。

    それとS.T.SだけどどうやらグループBになったようだ。
    ...わかっていたことだけど、実力者が多い。
    それに咲季も佑芽もいる。
    彼女たちはきっと強くなった。
    でも、次も勝とう。
    アイドルを辞めるためだったN.I.Aとアイドルを続けるためのS.T.Sだ。
    あの時の私じゃない、と知って欲しい。
    ...それに、謝りたい。
    ......N.I.Aの時の私は随分と当たりがキツかったと思うから。

  • 4425/02/24(月) 12:43:13

    ☆☆月¥日

    プロデューサーにレッスンを見てもらった。
    調子は良かった。
    なのに、いまいち納得出来ない。
    ...きっと四音のパフォーマンスと比べてしまうからだ。
    焦る必要はない、とあの人は言ってくれるけど、どうしても不安だ。
    Syng Up!として活動していた時のパフォーマンス中に自分の世界が会場に広がるという感覚は何度かあった。
    レッスン中にも自分という存在が周りに滲み出すという感覚だって過去に何度かあった。
    ...四音は違う。
    自分の世界で会場の空気も観客の理性も何もかもを塗り潰す。
    あの子と同じようなパフォーマンスが出来なければ、ユニットとしてあの子の隣には立てない。
    プロデューサーとしても不安じゃないのか、と何度も聞いた。
    返ってくるのは「心配などしていない」という一言だけ。
    でも今日は別のことを言われた。
    自分が可能性を感じたアイドルは、四音と私の二人だけ、と。
    ...私も?と耳を疑った。
    面倒を見て欲しい、と言われた時は心の中で感謝したらしい。
    引退するまで、の期間とはいえプロデューサーとして関われる。
    なんて幸福なんだろう、と思ったと言っていた。

  • 4525/02/24(月) 12:45:39

    ...そんなの初耳だ。
    「引退を止めるつもりはありませんでしたから」
    「アイドルの望みを捻じ曲げるなど」
    「プロデューサーのすることではないでしょう」と答えられた。
    ___プロデューサーとして優先するべきは理性。
    ___自分の望みや願望など切り捨てろ。
    ___自我など捨ててしまえ。
    ___引退しないで欲しいなど言うべきではない。

    そう、思っていたらしい。
    だからアイドルを続けることを選んでくれて嬉しい、と言われた。


    月花と話した時に抱いた期待を思い出した。


    私は、あなたの特別なの?

  • 4625/02/24(月) 12:46:04

    ____今更気づいたんですか?



    勢いに任せて聞くと、そう答えてくれた。


    嬉しかった。

    四音と同じように、私もあの人から愛されていた。

    そのことが、嬉しい。

    ...うん。
    それだけで、満足だ。

  • 4725/02/24(月) 12:46:31

    ☆☆月%日

    今日もソロ曲の振り付けをプロデューサーに見てもらった。
    午前だけだけど。
    午後はユニットの楽曲を作るらしい。
    動きはいつも通り調子が良い。
    でも、少しだけ不思議な感覚があった。
    自分の身体なのに別の誰かが動かしているような浮遊感。
    プロデューサーにも褒められた。
    四音と同じだ、とも言っていた。
    私が以前から時折感じていた"私の中の誰か"。
    その誰かと私の身体が繋がった感覚だ。
    少しだけではあったけど、その感覚を感じとれたのは大きい。
    同時になるほど、と思った。
    ...四音のあのパフォーマンス。
    アレはこの感覚の極みにあるモノだ。

    だから私と四音に可能性を感じているの?とプロデューサーに聞くと「これは前提条件ですよ」と笑って返された。
    ......前提条件。
    なら何を感じているの?と返すと「ユニットの諸々がまとまったら話します」と言われた。
    ...気になる。

    まあ、そのうちわかる。
    それまではレッスンだ。
    集中しよう。

  • 4825/02/24(月) 12:58:00

    ☆☆月+日

    ...四音が素っ気ない気がする。
    ......私がプロデューサーのことを好きだったのを知っているだけに避けられ始めた?と思ってしまう。
    それに"だった"じゃない。
    今も、だ。
    きっと四音にはバレてる。
    だから、邪魔になったのかもしれない。
    四音の仕事もこなしてるけど、学園にいる時のプロデューサーは私を優先してる。
    ...多分、二人は付き合ってる。
    ......合間を縫って会ってる二人を見る度にそう思う。
    四音のあの人への接し方が変わった気がする。
    進んだ、というやつだと思う。
    送る視線も距離感も何もかもが前とは違う。
    ...他のアイドルの子たちも四音とあの人が二人でいる時は話しかけに行かない。
    みんな何となく思ってる。
    ...どうして、あの人は私のプロデューサーもやっているんだろうって。
    "白草四音がいるのに賀陽燐羽を構ってるのはどうして?"
    ...そう思われてる気がして不安。
    ......私は邪魔してる。

    ...デートの日が怖い。
    ......ちゃんと笑える、かな。

  • 4925/02/24(月) 12:58:38

    ☆☆月「日

    今日はPVの撮影をした。
    上手く出来たと思う。
    プロデューサーも満足してたし。
    それに961のスタジオも凄かった。
    照明とかセットとか演出の設備の質が良いしスタッフの人の腕もかなり良かった。
    黒井さんが選んだだけあると思う。

    あと黒井さんに励まされたというか応援をされた。
    初星の冷血漢を叩きのめせ、って。
    ...他にも言ってたけど、内容が内容だった。
    日記に書けるようなことじゃない。
    あまりにも色々と言うから仲が悪いのかと思った。
    でも、黒井さんの声は楽しそうだった。
    ...多分ライバルという奴だ。
    私が極月へ移籍したことを未だに十王社長にぐちぐちと言われているらしい。
    なのにそれも何処か嬉しそうだった。
    ...プロデューサーが困ってた。
    いい加減自分を経由して会話しないで欲しい、と。
    十王社長がプロデューサーに文句を言って、黒井さんはその返事をプロデューサーを通して十王社長に伝えているらしい。
    「毎回毎回面倒くさいです」とはっきり言ってた。
    ...事の発端が私の移籍なだけに何も言えなかったけど、ちょっとだけ可愛いと思った。
    黒井さんも十王社長も素直になれない子どもみたいで可愛げがある。

    まあ、言わないけど。

  • 5025/02/24(月) 13:00:42

    ☆☆月〒日

    手毬から連絡があった。
    『四音って人、この前私と喧嘩した人じゃん』

    ...気づいてしまった、と思った。
    ......いや、逆か。
    ...どうして今まで気づかなかったの?
    四音ってN.I.Aを優勝したのよ?
    一緒に炎上した仲でしょう?
    ...気づくの遅くない?

    まあ、それはいい。
    ...手毬だし。

    それよりも。
    私たちのプロデューサーを知ってた。
    知ってたというか『主席の人?』と聞かれただけだけど。
    以前、手毬と美鈴と私の三人で話す機会があった時にお互いのプロデューサーについて話したことはあったけど、あの人が主席とまでは言ってない。
    なんでも手毬と美鈴のプロデューサーが次席で、私たちのプロデューサーをライバル視してるらしい。
    N.I.A期間中の時ですら『アイツだ』と騒いでいたみたいだし。
    ...それで、その。
    最近凄いらしい。
    次席さんの熱量が。
    初星にいた4年間まったく相手にされてなかったから、SATELITEで絶対に勝ちたいらしい。

  • 5125/02/24(月) 13:02:30

    ...一つだけ気になった。
    手毬たちのプロデューサーは女性って聞いてる。
    ......元恋人、だったりするの?
    手毬に聞いたら『そうなの!?』と騒いでた。
    ...余計なことを言った気がした。
    本当にお願いだから大人しくしていて欲しい。

  • 5225/02/24(月) 13:03:09

    ...それにしても。

    手毬と四音。

    Syng Up!と私たち。

    初星と極月。

    次席と主席。

    まるで物語だ。

    ...どういう因果なのかしら。

  • 5325/02/24(月) 13:03:33

    ☆☆月^日

    今日もレッスン。
    あの感覚はない。
    意識しすぎてもダメなのかもしれない。
    不満そうな私を見てプロデューサーは笑ってた。
    ...性格悪いと思う。
    仕返し、と思ってあの人に手毬たちのプロデューサーの話をした。
    すごく嫌そうだった。
    ...色々あったらしい。

    それに手毬は次席さんに怒られたらしい。
    手毬と美鈴から連絡があった。
    ご褒美のラーメンを取り上げられた、と泣いていた。
    ......ご褒美のラーメン?
    .........うん。
    ...食べられてることに感謝した方がいい。
    まあ、それはいい。
    次席さんだ。
    『アイツとアタシが恋人とか笑えない』とすごい顔で言われたらしい。
    美鈴が言うには照れてるとか恥ずかしがってるとか、そんなことを言えるような顔じゃなかったみたい。
    ...私たちのプロデューサーって嫌われてたりするの?
    ...何をしたの?
    良い人だと思うんだけど。
    まあ、それは贔屓か。

    ...仲良くして欲しいな。

  • 5425/02/24(月) 13:03:55

    ☆☆月☆¥日

    ...明日は四音とのデートだ。
    ちゃんと笑って祝福しよう。

    最後の思い出にしよう。

  • 5525/02/24(月) 13:05:20

    ☆☆月☆%日

    同じ気持ちだったなんて。
    恋人になって欲しい、って。
    告白、された。
    四音に。
    ____夢、みたい。
    幸せだ。
    こんな幸せがある、なんて。
    嬉しいな。
    すごく、嬉しい。
    日記にちゃんと書き残そう。

    今日何があって、どんなに幸せで、どれだけ嬉しかったのか。

  • 5625/02/24(月) 13:05:56

    今日は四音と一日中デートをしてた。
    リゾートに行ってきた。
    着いてすぐ受付を済ませたら部屋に案内された。
    ...VIP待遇らしい。
    四音が慌ててた。
    どうして、って何度も小声で言ってるあの子は小動物みたいな可愛さがあった。
    撫子から貰ったチケットがVIP向けだったらしい。
    スタッフの人も撫子から私たち二人のことを聞いていたらしく、手厚く迎えてくれた。
    リゾートの各施設も自由に使って構わない、と説明も受けた。
    ...最後にホテルの部屋の鍵も渡された。
    ......しかも、ダブルの部屋。
    その時は女の子同士だから何とも思わなかったけど、本来ならプロデューサーと四音で来てたのよね?
    ...............それって、いいの?
    ...まあ、そこは重要じゃない。
    ...いや、重要ではあるんだけど。
    一旦、置いておきましょう。
    ...うん。
    二人とも荷物が多いわけじゃないし疲れたりしたら部屋で休もう、なんて言いながらスパの受付に行った。
    本人確認とか諸々説明を受けに行った。
    ...厳密にはしてくれた、が正しい。
    案の定、予約の時間になった時に行けば良かったのに、その場でスタッフの人が前倒しで色々と説明とか手続きをしてくれた。
    予約の時間になったらまた来てください、と言われた。
    ......迷惑をかけてしまった。
    予約の時間まで余裕もあるし、ということで二人で施設を巡った。

  • 5725/02/24(月) 13:27:09

    少ししてから四音に話したいことがあるから外に行こう、と言われた。

    ___ああ、ついにか。

    ついに来てしまった、と苦しくなった。
    幸せな時間にこのまま浸っていたい、と心底思った。

    中庭の隅にあった休憩スペースに行くまでの数分がどうしようもなく辛くて、四音の口から直接聞いたら泣いてしまうかもなんて考えてた。
    実際「プロデューサーから告白された」と聞いた時は少し泣きそうだった。
    よく我慢出来たと思う。
    ...でも、まさか。
    そのあと告白される、なんて。

    「ずっと変なんだ」

    「おかしいってわかってるのに」

    「同じぐらい燐羽のことも好きなんだ」

    「燐羽もボクのモノにしたい」

    そう、告白された。

  • 5825/02/24(月) 13:28:10

    嬉しかった。
    同じことを思ってくれていたことが。
    私を意識してくれていたことが。
    私と同じように悩んでいたことが。
    全部、嬉しかった。

    すぐにその気持ちに応えたかったのに言葉が出なかった。

    四音は耳まで真っ赤にしながらまた言った。

    ____ボクの恋人になってくれる?

    そこまで言ってくれてようやく私は「うん」と一言だけ言えた。

  • 5925/02/24(月) 13:30:09

    それがきっかけになったのか堰が切れたように、四音のことをずっと好きだったことを話した。
    気づけば四音のことばかり考えていたこと。
    この歪な気持ちに悩んでいたこと。
    プロデューサーへの恋を諦めて、四音への恋も諦めようとしていたこと。
    全部、話してた。
    四音は優しく笑って聞いてくれていた。
    似た者同士だね、とあの子は微笑んでた。
    そうね、と返すのがやっとだった。
    少し落ちついてから自然とホテルの部屋に行った。
    向かい合うようにベッドに寝転びながらまた話をしてた。
    プロデューサーも一緒だよ?と意地悪に笑うあの子がすごく可愛くて、気づけば首にキスをしてた。
    顔を真っ赤にして、私の首にもキスをされた。
    ...はっきりとわかるぐらいの跡をお互いにつけた。
    そのことにどうしようもなく幸せを感じて、またあの子の首にキスをした。
    耳元で聞こえる四音の囁くような声に。
    「好き」という一言に。
    私のキスに反応して漏れる甘い声に。
    ......身体に熱が籠るのをはっきりと感じた。
    「私にもして?」と誘うように首元を見せた。
    四音は「うん」と真っ赤な顔で言って、私の首に優しくキスをしてくれた。
    手を繋ぎながら、愛を囁きながら、刻みつけるように、お互いの体に何度もキスをした。
    ...唇にもキスをしたかったけど、プロデューサーとまだしてない。
    それに、四音もしてこなかった。
    きっと"初めてのキスはプロデューサーと"ってお互い思ってる。
    だから、しなかった。

  • 6025/02/24(月) 13:38:59

    四音が私にキスしようとして、呟いた。
    「もうつける場所がないよ」
    「どうしよう」
    赤い顔ですごく困ってた。
    その顔も可愛くて、ついまたキスをしそうになったけど「ここまでにしましょうか」と言ってお開きにした。
    ...冷静になってお互いの身体を見たけど、跡がすごい。
    恥ずかしいわね、と二人で笑ってしまった。
    プロデューサーにもつけよう、と二人で悪巧みをした。
    四音はあの人と恋人らしいことをしたいらしい。
    でも、プロデューサーは全然してくれなくて、良い雰囲気になってもお預けにされるらしい。
    我慢なんか出来ないのに、とむくれてた。
    「だから二人でプロデューサーをその気にさせよう」とまた意地悪に笑うあの子が可愛かった。
    いいわね、と返すとすごく喜んでくれた。
    キスはしたい、と言っていた。
    それ以上のことだってしたい、と言っていた。
    ......それ以上って、そういうことよね?
    「私も」と赤い顔で返すのがやっとだった。
    デートの前、告白を不安がっていた四音を勇気付けるようにプロデューサーが「次は3人で行きましょう」と言っていたらしい。
    だから「その時かも」と四音は赤い顔で言っていた。
    ......思わず、想像してしまった。
    四音も想像したのか黙り込んで顔が真っ赤になっていた。
    ......まあ、うん。
    ......3人で、というのも悪くない。

  • 6125/02/24(月) 13:39:51

    少し気まずい空気になったけど、四音が「そういえば」と言ってプレゼントをくれた。
    告白が成功したら渡そうと思っていたのに、キスで忘れてた、と照れていた。

    ペアのシンプルな黒いチョーカー。

    「貰ってくれる?」と心配そうに私を見る四音が可愛いかった。
    着けて、とあの子に背中を向けるとすごく喜んですぐに着けてくれた。
    ......あの子のモノになったみたいで、嬉しい。
    「ボクにも着けて」と首を差し出された。
    四音の細い首にチョーカーを沿わせて、でも焦らすようにゆっくりと着けた。
    意地悪、と少し拗ねた声で言う四音が可愛かった。
    着け終わってから自然とまた向かい合って、愛を囁き合った。
    そうしているうちに、帰る予定の時間になってしまった。

  • 6225/02/24(月) 13:41:04

    学園に戻って来てからまた少し話した。
    明日プロデューサーに一緒に報告しようと約束をした。
    そのままプロデューサーにキスをせがもう、なんて約束も。
    ...きっとあの人はキスしてくれないけど。
    ...まあ、それでもしよう。

    そんな話をしてお別れした。

    ...うん。
    日記を書いてるうちに落ち着くと思っていたけど全然そんなことはない。
    高揚感はずっと残っているし、夢なんじゃってまだ思う。
    でも。
    首にあるチョーカーが。
    キスマークが。
    夢じゃないよ、と教えてくれている。

    幸せだ。

    ____すごく幸せ。

  • 6325/02/24(月) 13:41:29

    ...今更だけど。
    明日のレッスンどうしようかしら。
    ...この跡を隠せるようなインナーなんて持ってない。
    ......まあ、いいか。
    見せびらかす、というのも悪くない。
    ...プロデューサーはどんな反応するか怖いけど明日の朝の打ち合わせを楽しみにしよう。
    羨ましいならキスをして、と言い寄る口実になる。
    うん。
    そうしよう。

    ...プロデューサーへの告白もしたいな。
    好き、ってちゃんと言いたい。

    ...近いうちに言おう。

  • 6425/02/24(月) 13:46:02

    18時頃に続きを投稿します。
    朝思いっきり寝坊して、昼休憩に投稿していたのですが投稿しきれませんでした...。
    ...ご迷惑をおかけします。

  • 65二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 19:41:30

    過去スレ全部読んで来た。めちゃ好みなのでこのまま続けてくれ……

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 19:47:30

    今から投下します。
    お仕事終わってやっと家着きました...。

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 19:47:45

    ☆☆月☆○日

    プロデューサーが凄い顔してた。
    打ち合わせの時間が説教の時間になってしまったし。
    色々と怒っていた。
    私たちの関係が進むのは、良い。
    こうなると思っていたから。
    でもそこまで進むとは思わなかった。
    どうして隠そうとしないのか。
    どうしてそんなに自慢気なのか。
    ...本当に色々言っていた。
    ...アイドルとしての自覚がとか他のアイドルにどう説明するのかとか営業にも支障が出るとか耳が痛くなることを散々言われた。
    _____でも、絶対羨ましがってた。
    プロデューサーとして言わないといけないことを伝えてくれていたのはわかる。
    けど本心では絶対悔しがってる。
    そういう顔だった。
    ...お揃いのチョーカーにも嫉妬していたし。
    キスマークがあるから嫌でもチョーカーに視線がいってしまう、と拗ねていた。

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 19:48:07

    貴方にもキスしてあげる、と四音と二人で迫ると「本当ですか」と口走っていた。
    ......本心が透けてる。
    ...ダメに決まっているでしょう、とすぐ取り繕っていたけど。
    強がってる、と揶揄っていたらまた怒られた。
    ...恋人みたいなこと、したいのに。

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:01:31

    ☆☆月☆<日

    ...プロデューサーに告白した。
    朝の打ち合わせの時に。
    少し遅れて来るように四音にお願いした。

    ずっと前からあなたのことが好き。

    そう言って告白をした。

    「私も愛してますよ」と優しい声で答えてくれた。

    朝の冷えた空気が澄み渡る部屋。
    カーテンの隙間から差し込む陽の光。
    少し散らかり始めた資料の山。
    用意されている3人分のコーヒー。
    いつものように、ソファに腰掛けているあの人。
    もう何度も見た変わり映えのない風景。

    そんな風景がキラキラと輝き始めた気がした。

    忘れられない、綺麗な思い出になった。

    やっと言えた、とあの人の隣に私も座った。
    「私もです」と安心したような顔であの人は呟いた。
    四音が私に先に告白したかったから言えなかったからやっと伝えられた、と笑っていた。
    「二人とも四音のモノになったわね」と軽口を叩きながら、あの人に身体を預けた。
    距離を空けられるわけでも、気を違われるわけでもなく、私にもあの人が身体を預けてくれた。

  • 70二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:10:02

    ...嬉しい。
    あの人との関係が進んだんだ、と胸が暖かくなった。

    そのあとは二人でゆっくりとしていた。

    あなたの子どもみたいに笑う顔が好き。

    鋭くてスッとしている眼が崩れて、優しい眼に変わるあの瞬間が好き。

    あなたの部屋で過ごすあの時間が好き。

    あなたの匂いが好き。

    ___あなたのことが、好き。


    そんな話をして過ごした。


    気づけば四音から寮を出るよと連絡が来てた。
    連絡が来てからもう10分ぐらい経ってた。

    この時間が終わってしまう、と思ってしまった。


    ____あの子が来るまでの残りの数分が愛しい。

  • 71二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:10:44

    幸せな朝だった。

    これからはこんな朝が待っている、なんて。

    幸せな一日だった。

    明日の朝が待ち遠しい。

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:11:07

    ☆☆月☆「日

    今日もソロ曲の練習をした。
    パフォーマンスの出来が今までで一番良い。
    ...わかりやすいな、と思う。
    四音と恋人になれた。
    プロデューサーとも恋人になれた。
    四音に甘えられて、あの人にも甘えられる。
    だから調子が良い。
    ____笑ってしまいそうなぐらいわかりやすい。
    ...あの人も四音も二人して私を揶揄ってくる。
    ...まあ、悪い気はしないけれど。

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:12:36

    ☆☆月☆^日

    今日はユニットの練習をした。
    四音が考えてくれていた振り付けを通しで見せて貰った。
    あくまでイメージを掴むために形にした程度だからもっとブラッシュアップする、と四音は張り切っていた。
    ...ステージじゃないのにFINALEの時のように四音が別人に見えた。
    何かに取り憑かれたようなパフォーマンス。
    ...これに負けないパフォーマンスが私にも求められる。
    ...頑張ろうと思う。

    楽曲の方もデモが既に出来上がったみたいで聞かせて貰った。
    ...妖しいというのが第一印象だ。
    大人、というか。
    狂気的、というか。
    レトロな曲調なのにドロドロとした重さを感じる。
    何処か聞き覚えのあるノイズも不思議だ。
    ...不快感はないのに不安になる。
    「観客の心をキュッと握り潰すつもりで歌ってください」と笑って言われた。
    ...それは、アイドルとしてどうなの?
    あの人のいつもの悪いところが出始めたな、と思った。

    それと明日はあの人がいないらしい。
    自主レッスンをお願いします、と言われた。
    なんでもSATELITEの運営と理事長やらで会談?があるらしい。
    プロデューサーが行く必要まではないみたいだけど黒井さんに連れてかれるらしい。
    喧嘩を売るために拉致された、と言っていた。
    ...よくわからないけど大変そうだった。

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:17:15

    ☆☆月¥〜日

    ...思春期、というのを甘く考えてた。
    ......それを実感する一日だった。

    ...今日は朝から少し騒がしかった。
    何人かの子が、プロデューサーがカッコよかった、と話していた。
    いないハズでしょ?と聞くと、黒井さんと一緒に学園を出るところを見かけたらしい。
    ビジュアルが優勝してる、なんて言っていた。
    どういう意味かわからなかったけど、会談から帰って来たプロデューサーを見て理解した。

    いつもと違ってセットした髪。

    ヴィンテージ調でシルバーのラウンドの眼鏡。

    ジャケットもシャツも黒で揃えたスーツ。

    ...凄くカッコいい。
    なんていうか、大人の色気を纏ってた。
    危ない色気だ。
    刺激が強すぎる。
    他のアイドルの子たちにずっと話しかけられてた。

    ...私の恋人、なのに。

    四音も嫉妬したのか二人でずっと遠目で見てた。
    ......プロデューサーは他のアイドルの子たちに囲まれて、困ったように笑っていた。
    早くその子たちを撒いて担当の所に来なさいよ、と嫉妬した。
    ......これはあの人が悪いと思う。

  • 75二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:17:26

    全然こっちにこないしあの人に話しかける子は増えるし辛かった。
    「もう、いい」と四音がボソッと言って、二人で活動室に行った。
    そのまま二人で愚痴を言い合った。
    「プロデューサーはボクと燐羽のモノなのに」とか「恋人って言いたい」とか色々話してた。
    そうしてるうちにプロデューサーがやって来た。
    ...睨んでばかりの私と四音に困ってた。
    ...その反応にもイライラした。

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:20:37

    「座って」と四音が言った。
    あの人はいつものソファに黙って腰掛けた。
    「お仕置きするから」と向かい合うようにあの人の片足に四音が跨った。

    ____そのまま首にキスをしてた。

    あの人は「あの」と驚いていたけど遮るように四音がまた言った。

    「燐羽もしよう」

    ...突然のことで頭が追いつかなかったのに自然と足はプロデューサーの方へ向かってた。
    あの人の空いてる方の足に座って、私もあの人の首にキスをした。

    ぎこちなく座った。

    遠慮するようなキスをした。

    なのに。

    ___求めるように、何度もキスをしていた。

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:21:50

    ジャケットも脱がせて夢中でキスを、してた。
    あの人の声なんて、もう聞こえなくて。
    気がついたらあの人の首は、私と四音のキスの跡で埋め尽くされていた。
    「もうつける場所なんて残ってないですよ」と赤い顔でプロデューサーが言った。
    その顔に凄く興奮して「まだあるわよ」とシャツのボタンを外した。
    姿を見せた鎖骨に、キスをした。
    男を感じさせる胸板に、舌を這わせた。
    ____四音と二人で、あの人を貪った。
    あの人はされるがままで、声を漏らさないように強がってた。
    なのに、私たちが落ちないように支えてくれた。
    ぎこちなく腰に手を沿わせていた。
    その手に、また興奮した。

    私の口から甘い声が漏れていたことに気づいた。

    その時初めて自分がしていたことを自覚した。

    あの人に、していたこと。

    股を、擦り付けていたことを。
     


    _____自覚してしまった。

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:26:57

    卑しく、厭らしく、快楽を求めた。
    自覚してしまったからなのか感じる声を抑えられなかった。
    甘い声も喘ぎ声に変わってた。

    きっと四音にもプロデューサーにも聞かれた。

    キスをすることに夢中な四音にも。
    されるがままのプロデューサーにも。
    私が何をしてるかバレた。

    なのに、腰が止まらなくて。

    何度も、何度も、擦り付けた。

    "聞かれている"ことに興奮した。

    あの人への愛を嘯いた。

    あの人の匂いで意識を蕩した。

    あの人の首を、舐めて、吸って、噛んだ。


    そうしながら股を、擦り付けていた。


    もう何度も果てた、というのにまだ腰が止まらなかった。
    果てる度にあの人に頭を撫でられた。
    燐羽さん、と名前を呼ばれた。
    あの人と何度も視線を交わした。

  • 79二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:34:39

    理性が溶ける音がした。

    もういいや、と諦めにも似た感情を持ちながらまた腰を振った。

    劣情に身を任せた。

    肉欲のままに。

    本能のままに。

    腰を振った。


    ____あの人の情欲を焚き付けるように。



    そのままあの人の唇にキスをしようとした時、入口のドアのガラス越しに赤い顔をしている撫子と目が合った。

  • 80二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:38:34

    ............最悪だ。
    ...全部、見られた。

    四音と二人で、プロデューサーにキスをしていたところも、喘ぎ声を出していたところも、あの人の足に腰を振っていたところも。

    何もかも見られた。

    「え」と気の抜けた声しか出せなくて、四音も撫子の存在に気づいた。
    プロデューサーも遅れて気づいた。
    全員が撫子の方を見た。
    撫子は申し訳なさそうにノックをしてから、活動室に一歩だけ入って小声で言った。

    「どうぞ続けてください」

    ......聞き間違いかと思った。
    今度は四音が「え」と間抜けな声を出した。

    赤い顔で撫子がまた言った。


    「もういっそのこと、ここで見てもよろしくて?」


    「もうお終いですよ」とプロデューサーが返すと「そんな」と落ち込んだ。
    ...挙句、ごねた。

    私のことは居ない者だと思って。

    私を帰した後に続きをやるんでしょう、と。

  • 81二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 20:38:46

    .........あの子、どうしちゃったの?
    プロデューサーが「終わるタイミングを見計らっていました」と返すと「そんな」と落胆していた。
    ...プロデューサーが困ってた。
    撫子は少し黙ってから決意を固めたような顔で「次も来ます」と言ってから部屋を後にした。

    ......本当にどうしちゃったの?

    ...撫子が出て行ったあと気まずくて仕方がなかった。

  • 82二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:02:34

    全員が冷静になった。
    私も四音も、服が汚れた。
    プロデューサーなんか、私と四音の唾液で首とか胸がぐちょぐちょだ。

    ......太腿の辺りに大きいシミが出来てた。
    ...私の、だ。

    プロデューサーはそのシミとか胸元をタオルで拭きながら荒い息遣いで言った。

    「こういうの良くないです」

    ......四音と顔を見合わせた。
    自然と揃って声に出た。

    またしたい。

    邪魔の入らないところで、またしたい、って。

    ...あの人は頭を抱えてた。
    けど「ユニットのライブが終わるまではナシですよ」と言ってくれた。

    ...して、くれるんだ。
    四音と二人で喜んだ。

    ...でも、そのあとちゃんと怒られた。
    いきなりすぎる、とか。
    そもそも健全じゃない、とか。
    撫子に見られたこと、とか。
    とにかく色々と怒られた。

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:03:38

    着替えないとレッスンなんて出来ないし寮に行った。
    でも、腰が抜けて力が入らなかったし足もガクガクして立てなかった。
    ......あの人に頼んで、部屋まで付き添ってもらった。

    良くない、とわかっていたのに。

    やってしまった。

    ____押し倒して、しまった。

    馬乗りになって、あの人の手に指を絡めた。

    私の身体をあの人が欲しくなるように。

    あの人が"その気"になるように。


    媚びた声で「続き」とあの人に甘えた。


    でも、ダメだった。


    「四音さんが待ってますよ」

    そう言って優しく抱きしめられた。


    ......ごめんなさい、と謝ることしか出来なかった。

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:25:49

    ...そんな一日、だった。


    ......日記を書いてて改めて思った。

    _____思春期を舐めてた。

    ...でも、元を辿れば四音が始めたお仕置きのせいだ。
    もっといえば、そもそも他の女の子に構うプロデューサーのせいだ。
    ...あの人だって感じてた。
    ......息も荒かった。
    声も漏れないように我慢してた。
    ...それはつまり、感じてたってことでしょう?
    ......これは言いがかり、か。
    ...この考え方は良くない気がする。

    でも、私が果てる度に頭を撫でたのはどうなの?

    アレはどういうつもりなのか、と問い詰めたい。
    ...あんなの、卑怯だ。
    ズルだ。
    良くない。
    劇薬だ。


    ____甘えたくなるに、決まってる。

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:28:14

    ...だって、腰に添えてた手を頭に回す度にあの人の身体と私の身体が密着して、あの人の匂いに包まれた。
    ......意識がクラクラした。
    視界だってチカチカと光が弾けてた。
    ...あんなの、良くない。

    ......色々と言ってるけど私がしたことがなくなるわけじゃない。

    ...部屋で押し倒したのはどう考えても私が悪い。
    ......私はもう、その気になってた。

    ...一線を超えようとしてた。

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:33:25

    ☆☆月¥☆日

    ...プロデューサーに謝りに行った。
    そのつもりだったのに気がつけばキスをせがんでいた。
    やっぱり私は四音とは違うの?と困らせるようなことも言ってしまった。

    ...でも、私にキスしてくれた。

    そんなことはないですよ、と首にキスしてくれた。
    ...一回だけじゃ、ない。
    「これで我慢出来ますか?」と優しく何回もしてくれた。
    四音にもまだしてない、って言ってた。

    ...私が、先。

    独占欲と優越感が沸々と溢れ出した。

    ...四音は収録で今日は学園にいない。
    ずっと私があの人を一日中独り占めしてた。
    ...レッスンで褒められる度に「もう一回」とキスをせがんでた。
    最初のうちはしてくれていたけど、途中からは「ダメです」とお預けにされた。
    そんなの無理、と私は拗ねた。
    ご褒美が欲しい、と抱きついた。
    ...困った顔をさせてしまった。
    でも、頭を撫でながら「何がお望みですか」と言ってくれた。

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:40:20

    あっ、と思った。

    もう身体が覚えてる。

    果てる度に頭を撫でられたことを。

    クセになってる。


    _____頭を撫でられると、疼く。


    これだ、と思った。

    ご褒美はこれしか、ない。

    「撫でて」とおねだりした。

    「いいですよ」と撫でてくれた。
    ......慣れてた感じなのがすごくイライラしたけど。
    ...だって、髪型を崩さないような力加減だった。
    髪を梳かすような撫で方。
    少し乱暴な撫で方。
    ...焦らすような撫で方もされた。
    ......それはもう、わかってやってるわよね、と思った。

    ...意地悪。

    結局、面白いぐらいパフォーマンスが跳ねた。
    ...私ってホント単純だと思う。

  • 88二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:41:11

    ...それと思ったのだけど。
    撫でられるのは私の身体に悪い。
    ......ギリギリまでお預けされてる感じだ。
    ...その、濁さずに言うと。
    果てる一歩手前、だ。
    イイところで"あともう少し"が足りない。
    ...撫でられただけで果てそうになる、というのもどうかしてると思ってる。

    ...あの人とあの時みたいなことがシたい。

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:41:37

    ☆☆月¥¥日

    四音が羨ましい。
    ズルい。
    アレはズルい。

    朝の打ち合わせに遅れて急いで向かった。
    ...四音が耳を触られてた。
    ご褒美、だって言ってた。
    甘い声を出してた。
    ...誰が見てもあの子は感じてた。
    アレがいいなら私にも、もっとして欲しい。
    ...羨ましいな、って見てたら「四音も」と言われた。
    私にもしてくれるんだ、と思ってたら四音に手を取られた。
    そのまま、あの子の耳に待ってかれた。


    ____そっちね。

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:41:58

    ...まあ、いいけど。
    四音のことも大好きだし。
    こっちはこっちで良いか、と思った。
    遠慮がちに触り始めたけど、四音の反応が凄く可愛い。


    想像以上に満足した。


    長い髪にいつもは隠れてるあの子の綺麗な耳。
    髪を耳にかけてその綺麗な耳が姿を覗かせてる。
    赤く染まった耳が、存在を主張してた。
    ...なんていうか嗜虐心を唆る。

    結局、たくさんイジメてしまった。
    ...四音って耳が弱い。
    それに感じる声がすごく可愛い。

    「耳の蓋の内側が弱点ですよ」とプロデューサーも乗り気で四音を二人で可愛がってた。

    意地悪しないで、とあの子からのおねだりもされたし。

    良い、一日だった。

    私だってあの人にたくさん撫でて貰えた。
    ......四音はそれに嫉妬してたけど。
    四音からしたら、これはこれで恋人らしくて羨ましいらしい。

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:42:21

    ☆☆月¥○日

    今日からはS.T.Sに向けての最終調整。
    ソロ曲の練習もそうだけどファンとの交流会の段取りを具体的に説明された。
    ...地方への遠征もある。

    S.T.Sのブロックとは関係なく、ただファンの子たちに会いに行く。

    顔を合わせてあの子たちの声を聞ける場をプロデューサーが作ってくれていた。
    ...どこまでも私に寄り添ってくれる人だと改めて思った。
    大したことをしていない、と言わんばかりの顔で伝えてくるし...。
    ユニット曲の練習もあるから二次オーディションの手前辺りには交流会の頻度が減ってしまうかもしれない、と申し訳なさそうにしていた。
    「ですが、可能な限り調整します」と言ってくれた。
    ありがとう、と感謝の気持ちを何度も伝えた。
    構いませんよ、と頭を撫でられた。
    ...今は、求めてない。
    それされると"その気"になるわよ、と脅すとすぐに頭から手を離した。
    ......それはそれで、どうなの。

    ...まあ、いい。
    プロデューサーにこれだけのことをしてもらった。

    気を引き締めよう。

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:43:36

    ☆☆月¥<日

    PVを公開した。
    私の復帰についての声明も出した。
    ファンの子たちからは喜んでもらえたみたいで話題になってる。
    ソロ曲についても好感触だ。
    Syng Up!時代の楽曲とは違う曲調も受け入れてもらえてる。
    ...それと"賀陽燐羽のプロデューサーは白草四音のプロデューサーと同一人物では?"と噂になってる。
    ......どうしてわかるの?
    ...声明文程度でそこまでわかるものなの?
    何処から噂になったのかはわからないけど言及の声が多い。
    S.T.S期間中のファンとの交流会の予定についての告知とソロ曲の存在が理由?らしい。
    スケジュールの緻密さとPVの演出面がN.I.Aの四音と似ている、と。
    極月のソロ曲自体が珍しいのもある。
    今まで極月学園のアイドルは、課題曲や961プロのアイドルの曲のカバーが多かっただけに私のソロ曲が目立っている。
    だから四音と同じプロデューサーでは、と。
    ...それがどうした、と一蹴する声もあるけど期待されている。
    FINALEで魅せた四音のように、S.T.Sで賀陽燐羽も魅せてくれるのでは、と期待を向けられている。

    これだけの人からの期待。

    重圧にもなりえる期待だと思う。

    でも、私はそうは思わない。


    ___自信だ。

    魅せてやろうじゃない、と気分が上がる。

  • 93二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:44:04

    ☆☆月¥「日

    調子がすごく良かった。
    ...慢心じゃないと良いのだけど。
    ...プロデューサーに四音にも褒められたのだし安心したい。
    それに本当に調子が良かった。
    レッスンルームなのにまるでステージに立ってるような錯覚。
    ステージライトに反射してキラキラと光る衣装。
    私を見るファンの視線。
    ファンの耳に届く私の声。
    揺れるサイリウム。
    私を映すカメラ。
    楽曲に合わせて明滅を繰り返すライト。

    そんな景色を見た。

    いつもよりレッスンルームが広く感じて、細かなひとつひとつの動作が思うままに動かせていた。
    呼吸ですら操れていた気がする。

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:44:25

    プロデューサーが言ってた。

    私と四音は似ている。

    ____でも、完成形はまったく違う。

    四音は自我を置いてけぼりにする。
    感情に身を任せて別人になる。
    置いてけぼりにされた自我が四音を飛び出して世界を塗り潰す。

    私はその逆。
    どこまでも自我を研ぎ澄ます。
    その自我が私の中で広がり続ける。
    そうやって形作られる世界をステージの上で観客は垣間見る。

    「そんな貴女の世界に行きたい、と我々は焦がれるのでしょうね」と優しく笑っていた。

    ...ああ、と思った。
    それが私のアイドルの姿なんだ。


    そんなアイドルに私は成れるんだ。

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:46:04

    ☆☆月%☆日

    明日からS.T.Sが始まる。
    あの言いようのない感覚もある。
    以前よりも、強く、はっきりと感じる。

    自分の身体なのに何処か他人事のように意識は俯瞰していて、なのに身体を動かす感覚ははっきりとある不思議な感覚。

    プロデューサーにも「期待以上です」と褒められた。
    自分でもかなり動けていたという自覚はあるのに疲れは微塵も感じない。
    明日からはこれ以上に動けるという自信もある。
    それに四音も見にきてくれる。
    大好きな二人に"私"を見てもらえる。
    そのことが、どうしようもなく私を奮い立たせる。

    ____優勝しよう。

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:52:40

    書き溜め分終わりました。

    次回は四音視点になります。

    重ね重ねなのですが、仕事で展示会やら見本市に参加したりで私生活が忙しくなってきたので、次の投稿までまた間が空いてしまいます。
    気長に待っていただけたら、と思います。

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:54:45

    >>89

    「四音も」のところですが「燐羽も」ですね...。

    ...脳内補完をお願いします。

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:55:03

    乙です。
    最高だったので続きいつまでも待ちます。特に撫でられる燐羽最高でした…

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:04:28

    このレスは削除されています

  • 100二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 01:30:45

    度々すいません。

    >>56>>57の間の描写が抜けてました...。


    投下します。

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 01:31:26

    アパレルはすごい高かった。
    ...冗談でしょ?と言いたくなる値段だった。
    四音もそう思ったのか「試着なんか怖くてできない」と言っていて、二人ですぐに退散した。
    ...なんていうか、ああいうのは学生の身には余る。
    そもそも、プロデューサーがたまに持ってくるカタログに載ってるような海外のハイブランドだ。
    どう考えても持て余す。
    そのあとは雑貨屋に行った。
    雑貨屋にあった小物はどれも可愛いくて悩んだけど、ネコのぬいぐるみをお迎えすることにした。
    本当に悩んだけれど、可愛い子をお迎え出来た。
    四音も一目惚れしたのかキツネのぬいぐるみをお迎えしてた。
    二人ともずっとそのぬいぐるみを抱きしめながら他のお店を回っていたからなのか、スタッフの人とか他のお客さんからの視線が生暖かかった。
    ...恥ずかしい。
    あのぬいぐるみは手触りもふわふわ感もすごく良い。
    だから、仕方がない。
    それに女の子二人がぬいぐるみを抱きしめながら歩いていても別に変なことじゃないし。

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 01:33:05

    そうこうしてるうちにスパの時間も迫ってきたから、休憩がてらカフェに行った。
    プロデューサーの話をしたり私の曲の話とか服の好みとか色々話して時間を潰してスパに行った。
    そのスパが本当に良かった。
    レッスンの疲労なんか吹き飛ぶぐらい気持ち良かった。
    どういう原理で人間の身体からあんなに疲労だけを搾り取るように抜くのかさっぱりわからないけど、とにかく気持ちよかった。
    終わってからしばらく四音と二人でぼんやりとしてた。
    そのあとは昼食を食べて、ホテルの部屋でゆっくりとしてた。
    ぬいぐるみもいつまでも持っているわけには行かないし部屋に置いておくことにして、また施設を巡りに行った。
    前に約束したお揃いのピアスを選びにアクセサリーを見て回った。
    見つけたお店がすごい広かったから、良いのがあったらお互いを呼ぼうと相談して探してた。
    暗めの紫のストーンが付いた黒いピアスにした。
    そのストーンを取り囲むように支えている意匠がコルセットみたいで可愛い。
    四音にも見て貰ったけど「これにしよう」とすぐに決まった。
    ピアッサーなんて手元にないから開けるのはまた今度になる、なんて話をしながらお会計を済ませてまた施設を回ってた。

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 01:35:06

    短いですが、以上です。
    抜けがないように気をつけます...。

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 07:13:53

    いつまでも待ちます

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 14:08:09

    >>103感謝を捧げます 神

オススメ

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