賀陽燐羽の日記2

  • 125/02/23(日) 23:12:11
  • 2二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:14:31

    待ってた!期待!

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:14:49

    .

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:21:49

    期待

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:33:19

    待ってた!前スレホント好きだったから嬉しいぜ

  • 625/02/23(日) 23:47:30

    ☆〜月☆日

    ようやく四音の仕事がひと段落したみたい。
    すぐ忙しくなるけど少しは余裕が出来た、と言っていた。
    だから私のソロ曲を作る。
    どういう曲にしたいか考えておいて欲しい。
    近いうちに打ち合わせを行う、と。
    ...何でそうなるわけ?
    ユニットの曲を、ならわかるわよ?
    そう聞くと両方作るに決まってると呆れられた。
    ...ああもうこの人は、と私も呆れた。
    そもそもあなたは営業を取ったりレッスンを見たり他の打ち合わせも抱えてる。
    それに四音の楽曲の収録だってまだあるのよ?
    私の持ち歌なんかに構ってる余裕はないのに、本当にわかってる?と小言を言った。
    あの白草四音に同じステージに立つアイドル。
    きっと誰もが貴女を見る。
    そこまでいって「わかりますね?」と笑っていた。
    なるほど、と思った。
    FINALEであれだけの活躍を見せ、いまだに四音は注目されている。
    FINALEから1ヶ月が経ったというのにSNSではまだあのライブを見た観客の熱が高まり続けている。
    そんな四音がユニットを組んだ。
    あのアイドルは誰だ?と当然思われる。
    ユニットとして活動するならしなければいけない。

    "賀陽燐羽"を納得させなければいけない。

    ___四音のファンたちに。


    『白草四音と同じステージに立つ』とはそういうことだ。

  • 725/02/23(日) 23:47:49

    ☆〜月¥日

    四音が可愛い。
    何でかわからないけど今日一日ずっと顔が赤かった。
    お昼を食べた時も寮に戻る時も見かけたけど本当に顔が赤かった。
    名前を呼んだだけで声が上擦っていたし。

    多分というかどうせプロデューサーでしょうね。


    プロデューサーとはソロ曲とユニットの話で硬い空気だし、四音も仕事で忙しい。
    あまり、二人に構ってもらえてない。
    そもそも、あの二人だけズルい。
    四音とプロデューサーだけ二人でずっと行動しているなんて。
    四音と一緒にいるプロデューサーも。
    プロデューサーと一緒にいる四音も。

    羨ましい。

  • 825/02/23(日) 23:48:40

    ☆〜月○日

    ユニットの今後について打ち合わせをした。
    今冬の半ばにある『SATELITE』でユニットとして出場し優勝する。
    それが今後の方針。
    その前に私はソロでライブを披露しなければいけない。
    プロデューサーが見繕ってくれているけれどSATELITEの直前にある『Striking Talent Stage』通称S.T.Sで考えているらしい。
    そのS.T.Sを圧勝しSATELITEへ直行する、と。
    S.T.Sは出場するアイドルが得点を取り合うポイント制かつファン投票ありの大会。
    引退を惜しむ声が絶えない"賀陽燐羽"の復帰舞台としてこれ以上ないぐらい相応しい舞台、と。
    「SATELITEの直前、というのも好都合です」と言って詳細を説明された。
    S.T.Sは最前線を走るアイドルも新星も殴り込む大きな大会。
    優勝者は話題になり火が残る。
    その優勝者が先日のN.I.Aで優勝した白草四音とユニットとしてSATELITEに出場する。
    いまだに火が燃え続ける四音と直前まで燃えている私で結成したユニットで薪を焚べる、と。
    ただ、ユニットの告知はしないらしい。
    出場ユニット一覧にはユニット名と極月学園の名前しか出さない、と。
    「告知などしませんよ」
    「観客たちはユニットのメンバーが誰なのか」
    「極月のユニットがどういうことか」
    「ステージ上に立つ貴女たちを見て初めて知る」
    「蹂躙しましょう」
    物凄く悪い顔をしながらそう言っていた。
    ...あの人、たまにああいうところあるわよね。
    極月らしい、というか。
    ...『一番星』のプロデューサーをやっていた頃とは似ても似つかない。
    少なくとも耳に入ってきた話とは随分違う。
    まあ、極月へ来てようやくやりたいことがやれるようになったのかもしれない。

  • 925/02/23(日) 23:48:57

    あといくらぼかしても私たちだと予想する人は出てくるらしいから告知に関しては臨機応変にやるらしい。
    任せてください、と楽しそうにしていた。

    私は自身のソロ曲とユニットの曲も練習しなければいけない、とかなり負担がかかることを心配されたけど問題はない。
    むしろ心配なのはプロデューサーの方だ。
    ...私の負担がそのままあの人の負担になるのだから。
    自分に言ったら?と小言を言うと「なんでですか?」と本当に疑問に思っている顔で返された。
    ...あれは、倒れてようやく自分が限界を越えていたと気づく人種の顔だ。
    ...本当に心配。

  • 1025/02/23(日) 23:50:40

    ☆〜月+日

    今日は早速、ソロ曲の楽曲制作をした。
    ......あの人の家で。
    いや、まあ、私が強行したというか。
    ...仕方がない。
    確かに下心はある。
    あるけど責めないで欲しい。
    最近、プロデューサーにはあまり構ってもらってない。
    寂しい。
    ...だから、仕方がない。
    ......四音に言うのが怖いわね。
    撫子に鉢合わせたし、撫子越しに聞いてるかも知れない。
    まあ、あの子は口が硬いし...いや、それは、どうかしら。
    ...微妙だ。
    ......祈るとしましょう。
    大人しくしててくれることを。

    ...本題に戻ろう。
    N.I.Aでプロデューサーは四音のソロ曲を制作した。
    だから、まずその制作時の話を聞いた。
    自室にある機材で打ち込みをメインで制作したらしい。
    私はその場でこうしたいああしたいと相談したい。
    それに急いで作るならデモ音源が出来上がるのをいちいち待っていられない。
    だから、プロデューサーが曲を作る環境に私もいるのは理にかなっている。
    そう言ったけどプロデューサーは渋った。

  • 1125/02/23(日) 23:51:11

    それはもう本当に困ったという顔で渋っていた。
    「やましいモノでもあるのかしら」と聞いたら「そういうわけではないのですが」と歯切れが悪い。
    問い詰めると「灰皿があります」とようやく言った。
    ......あの人は馬鹿なの?
    灰皿があるからなに?
    というかタバコ吸うの?
    見たい。
    とても見たい。
    余計行きたがる私に根負けして連れて行ってくれた。
    「内緒にしてくださいね」と恥ずかしがっていた。
    何でも自室での作業中は吸うらしい。
    あと休憩とか寝る前とか。
    知らなかった、と言うと「まあ家以外では吸いませんから」と言っていた。

  • 1225/02/23(日) 23:51:42

    プロデューサーの部屋はすごかった。
    資料の山やら機材やらたくさんあったけれど散らかってなくて確かな生活感があった。
    ...男の人の家って感じがした。
    まあ、この話はこのあたりにしましょう。
    楽曲だ。
    ハイスネアやシェイカー、ドラムが小さいながら背景で軽快に鳴っていて、でも仄暗さや儚さを幽かに感じる曲、にまとまった。
    ...テーマにしているのが私の心なこともあってすごく恥ずかしい。
    なんか、こう、文章に起こすと、ね?
    ...いや、それはいい。
    プロデューサーはその場でいくつもメロディーラインを作ってくれておおよその方向性を固めた。
    歌詞も見てもらい、フレーズとデモを照らし合わせまた考える。
    何度も。
    「ならここはもっと汚した方が良さそうですね」
    「このフィルインのニュアンスはどうですか」
    「ここにクラップ入れましょう」と初日なのに随分進んだ。
    難航すると思っていたのに滑り出しが良い。
    一旦ここまでにしましょう、とまた見てもらう約束をしてさっき帰ってきた。

  • 1325/02/23(日) 23:52:10

    ...タバコを吸うところもちゃんと見せて貰った。
    煙を吸い込む息遣いも吐き出す時の横顔もタバコを持つ手にも、何もかもにギャップを感じた。
    ジロジロと見ないでください、と言われたけど目に焼き付けた。
    だって、プロデューサーの初めて見る顔だもの。
    多分、四音も知らない顔。
    それを私が見た。
    ...嬉しい。


    しばらくは四音にも言わず一人占めしたい。

  • 1425/02/23(日) 23:52:51

    ☆〜月〒日

    今日は撫子たちのレッスンを見る約束をしていたから見て来た。
    Cランク...とはもう呼べないわね。
    そう呼べる成長の仕方をしている。
    どの子もN.I.Aで良い成績を収め、ファンも獲得した。
    N.I.Aは結果が数字に出る。
    まあ、それは良いところも悪いところもあるけれど少なくともあの子たちには自信になったみたい。
    特に撫子の成長は著しい。
    Bランクになる日も近いでしょうし、これからも見守ろう。
    ...撫子だけじゃないわね。
    全員。
    あの子たち全員、見捨てるつもりはない。
    ...それに、随分と懐かれてしまったし。
    久々に今日言われた。
    _____アイドル引退しないでください、と。
    ......手毬のアレのせいだ。
    ...本当に。

    しないわよ、と言うと凄く喜んでくれたのが嬉しかった。
    ファンの子たちにも早く言いたいけれど、ソロ曲が出来てPV等諸々が出来上がってから声明を出す、とプロデューサーと相談して決めたし我慢だ。

    ...それまで手毬のアレは尾を引きそう。

  • 1525/02/24(月) 00:00:16

    ☆〜月^日

    今日はレッスンルームで白草月花と一緒だった。
    白草月花が極月へ来た時のことを思い出した。
    あの時はプロデューサーのことをアメリカへ来いと勧誘してた。
    それはもういいのかと聞くと「奴は私に心底興味がない」と返された。

    四音にも私にも執着している。
    アレはお前たちのモノだ。
    だからもういい。
    そう言っていた。

    ...それで、その。
    私にも質問をされた。


    ____何故、お前は選ばれた。


    四音はわかる。
    N.I.Aであれだけのパフォーマンスが出来た。
    才能を感じていたと納得出来る。
    だから解せない。

    十王星南との担当契約を渋るような男が理事長の指示だからといって、一アイドルの面倒を見ることを快諾するハズがない。

    そういうことを言われた。

  • 1625/02/24(月) 00:01:21

    ......何も、返せなかった。
    だって、そんなこと思いもしなかった。
    今まであの人は私を特別扱いなんてしなかった。
    他のアイドルにしたことを私にもしたし、私にしたことを他のアイドルにもしてた。
    それに引退を止められたこともない。
    私の引退ライブのために具体的なプランを考えてくれていた。
    それがあの時の約束だから。
    ありがたい、と思っていた。
    私との約束を守ってくれることを嬉しく思ってた。
    約束を守ってくれる人だ、としか思わなかった。
    それに指導とかレッスンとか、営業とかアイドル活動のプランニングまで、色々な子の面倒を見てた。
    それがあの人の普通で、私もそうだと思ってた。
    居心地の良さを感じてた。
    重荷になっていない、と安心していた。




    ___でも、違うの?

  • 1725/02/24(月) 00:01:37

    立て直しの面倒を見て欲しいと言ったあの時。

    快諾してくれたあの時。

    あの時、私はあの人に選ばれたの?

    あの人の特別になれたの?

    私も四音と同じように、愛を向けられているの?



    ...そうなの?


    ...ああ、どうしようもないな。



    _______期待、してしまう。

  • 1825/02/24(月) 00:15:12

    ☆〜月☆〜日

    ...私はどうしようもない。

    ...あの人にスリーサイズを伝えた。
    ......あの人の家で。
    下心はある。
    二人きり。
    あの人の家。
    ____その状況で、スリーサイズを伝えた。
    ...女、を感じて欲しくて。
    ...私の身体を意識して欲しくて。
    でも、返ってきたのは「そうですか」の一言だった。
    ...どうかと思う。
    女の子が勇気を出してスリーサイズを伝えて、恥ずかしがるでも気まずくなるでもなく「そうですか」はどうかと思う。
    すぐにメモを取って、おしまい。
    ...それで、その。
    ...押し、倒してしまった。
    ......あの人にどうかと思うと言っておいて私の方がどうかしてる行動をしているのは、わかる。
    でも、迫ってしまった。
    私のことも意識して欲しい、と言ってしまった。
    ...だと言うのにあの人の口から出た言葉は「怪我はないですか」だ。
    たしかに、急に押し倒した。
    ベッドの上とかクッションがあったとかでもない。
    だから、その気遣いは正しいと思ってる。
    あの人の良いところだと思ってる。
    優しくされて嬉しいと思ってる。


    でも、私の欲しい言葉じゃない。

  • 1925/02/24(月) 00:16:03

    ...そのことに余計ムキになって、また迫ろうとした。
    あの人の身体に顔を埋めて、私の胸も押しつけてやろうと思ってた。
    そんなことを考えてたらプロデューサーと目が合った。
    あの人と目があってようやく私は我に返って、自分がしたことと今からしようとしていることの恥ずかしさが込み上げてきた。
    ...羞恥心で黙り込んでしまった。
    あの人は何も言ってくれなかったクセにずっと私の顔を見てた。
    どうしてか、目を逸らすのは負けた気がして私もずっとあの人の顔を見てた。
    どのぐらいそうしていたかわからないけれどプロデューサーのスマホに電話がかかってきて、あの訳のわからない時間は有耶無耶になった。
    電話が終わってすぐあの人は楽曲の打ち合わせをし始めて、そのまま楽曲の制作になった。
    ...ずっと私だけが余所余所しい態度のままだった。
    結局、私だけが意識してた。

    白草月花に聞かされたことが嬉しかったせいだ。

    本当かどうか確かめようとしたせいだ。

    私にも可能性があるんじゃないか、と期待してしまったせいだ。

    ...嬉しくて、舞い上がってた。
    ...最悪だ。

    寮に帰ってきてからずっと後悔している。
    ...絶対変な女の子だと思われた。
    ......それに、きっと四音にも嫌われる。
    こんなことがありました、とプロデューサーから今日のことを聞かされたら四音に嫌われる。
    あの人を盗ろうとした、と思われても仕方がないことをした。
    ...嫌、だな。


    _____今日をやり直したい。

  • 2025/02/24(月) 00:21:50

    ☆〜月☆☆日

    ...昨日のことを謝ったら「気にしていませんよ」と返された。
    ......それはそれで傷つく。
    ...結果としては良かったのかもしれないけど、どうかと思う。
    思い切ったことをした、と思っていたのに意識されてない。
    ...まあ、アイドルがしていいことじゃない。
    ...忘れよう。

  • 2125/02/24(月) 00:24:04

    ...今日はボイトレをした。
    歌いながら抑揚の付け方を調整して、フレーズもその都度様子を見てニュアンスを変えたり声の抜き方を変えた。
    ...やっぱり難しい。
    四音のように表現しきれない。
    ___でも、楽しい。
    こういうのは本当に久々だ。
    プロデューサーにも「楽しそう」と言われるなんて私は案外顔に出やすいのかもしれない。
    それとS.T.Sに出場しそうなアイドルのリストを貰った。
    ...かなり、多い。
    N.I.Aには出場出来なかった規格のアイドルもいるのだから当たり前のことではあるけれど、流石に多すぎる。
    N.I.Aには出場出来なかった規格のアイドルもいるのだから当たり前のことではあるけれど、流石に多すぎる。
    最前線を走るアイドルもN.I.A以降頭角を現し始めたアイドルも"最新"の情報でまとめられていた。
    ...リサーチの能力が高すぎる。
    何が強みで、アイドルとして何に秀でているか、それをこの人数分?
    正気の沙汰じゃない。
    可能な限りで調べました、と言っていたけれどそんな言葉で片付けていい話ではない。
    ...あの人のしたことは、たった1人でアイドル業界の勢力図をすべて把握しきったと言っても過言じゃないレベルだ。
    ...規格外すぎる。

  • 2225/02/24(月) 00:42:04

    ☆〜月☆%日

    最近はあの人の家に行く習慣が出来つつある。
    プロデューサーの家はそこまで遠くない。
    むしろ丁度いい。
    遠すぎず近すぎず。
    ランニングがてら寄ってしまうこともある。
    ...曲の進み具合を見に来た、と尤もらしい言い訳をして。
    そんなことをしていたら...その、鍵を貰った。
    プロデューサーのいない時も好きに使っていい、と言われた。
    冷蔵庫とかシャワーとかも使ってもいいし、休憩に使ってもいい、と言ってた。
    遠慮しようとしたのに。
    我慢しようとしたのに。
    「でも、タバコは触っちゃダメですからね」の一言で、しないわよ、とつい受け取ってしまった。
    ...女の子に慣れてる、と思った。
    ...鍵、なんて。
    ......期待、してしまう。
    ...思春期の女の子に言ってる自覚はあるのか、と思った。

    タバコを吸う顔も行く度に見てるし、今日も見た。
    ベランダに行って吸うのもあの人らしい。
    ...戻って来ても微かに感じるあの人のタバコの残り香が好き。
    ...あの人を感じる、から。
    あの人が私の中に広がる、気がする。
    匂いを感じるあの距離が、愛おしい。
    匂いを感じた瞬間あの人が隣にいることを実感する。
    私のそばで、私のことを考えてくれていることを噛み締められる。
    ...だから、好き。

    ...こんな恥ずかしいことを日記に書くなんてどうかしてる。

  • 2325/02/24(月) 00:42:38

    ...とりあえず、おかげで楽曲の進みが良い。
    エフェクトの掛け方だったり音の粒の大きさの調整まで出来て細かい所まで進んでる。
    だから、とりあえずまともに聴けるようにはなった。
    ひとまず、プロデューサーの方でこのまま進めてもらってデモ音源が出来上がる度に確認する流れでまとまった。
    次は振り付けを考えないといけない。
    振り付けも土台が一通り出来ないことには始まらないのだから。
    四音にも協力して欲しい。
    あの子の指先まで楽曲を表現出来る身体の使い方は参考になる。
    ......それに四音にも構ってもらいたい。

  • 2425/02/24(月) 00:44:52

    ☆〜月☆○日

    早速今日、四音に昨日練習していた動きだったりこれからしようと思っている動きを見て貰ったりこのフレーズを表現するにはどういう動きがいいか相談をした。
    ...それで思ったのだけど。
    ...四音は教えるのが苦手だ。
    いえ、言っていることは伝わってくるの。
    それに私もちゃんと汲み取れてる。
    でも、本人が若干感覚派よりなこともあって四苦八苦してる。
    本人は恥ずかしがっていたけど学べることは多い。
    私は頭の中で『ここはこういう感情だからこうして表現する』と考えてるけど四音はそうじゃない。
    『自分の感情を乗せる』で成り立たせている。
    それは私にはなかったモノだ。
    勉強にならないわけがない。

    あと四音に嫉妬された。
    ...バレてた。
    プロデューサーの家に行ってたこと。
    ズルい、と拗ねる四音に自慢したら凄く羨ましがってた。
    ユニットの曲もそろそろ作り始めると思うし行けるかもしれないわね、と言うと「その時はプロデューサーにお願いしに一緒に行って欲しい」と赤い顔で言っていた。
    四音は揶揄われるとすぐに赤い顔をする。
    そういうところが可愛い。

    ...鍵を貰ったことはまだ内緒にしておこう。

  • 2525/02/24(月) 00:45:49

    ☆〜月¥〜日

    四音に振り付けを見てもらった。
    ...やっぱり四音の表現力はすごい。
    『感覚』
    たったそれだけで、楽曲を表現出来ている。
    聴いて感じたままを表現出来ている。
    それに表現の取捨選択のセンスが飛び抜けて高い。
    どのパートが一番感情を乗せられるか、曲中のどの感情を優先するか、どういう動きが相応しいか。
    それを無意識で選んでいる。
    あの子の武器はフットワークと表情での表現だと思っていたけれど、それだけじゃない。
    ...どちらかといえばその根本にあるモノね。
    感受性が高い。
    強みだと理解していないのがあの子らしいけれど。
    まあ、それは重要なことじゃない。
    その感受性が輝き出した。
    四音の身体がその感受性のままに動けるようになったのか、感受性の方が四音の成長に合わせて育ったのかはわからない。
    でも、楽曲の世界をより鮮明に表現出来るようになった。
    ...でも、それはきっと本質じゃない。
    私の曲であの有様だった。
    きっと四音は楽曲の世界を自分の世界に変えられるアイドル。
    書き換え、塗り替え、染め上げ、自分の世界に出来る。

    ...本当に私と同世代?
    ......アイドルの世界ってこんな魔境だった?
    少なくとも四音に引っ張られて他のアイドルの成長が加速する。
    S.T.Sに出るようなアイドルは四音のN.I.Aを見て、もう加速しているハズだ。
    ...厳しい大会になりそう。

  • 2625/02/24(月) 00:46:18

    ☆〜月¥%日

    今日久々にレッスンルームで白草月花と一緒だった。
    相変わらず我が物顔で極月の設備を使っていた。
    ...いや、極月の3年生なのだから何の問題もないのはわかっているけれど。
    なんというか、違和感がある。
    まあ、それはいい。
    いつものように雑談をしていたら来月ニューヨークに帰ると伝えられた。
    四音とも十分話せたし向こうのファンも待たせているから、と。
    四音とは向こうに行ってからも話そうと約束をしたそうだ。
    どうやら姉妹仲は良くなってきたらしい。
    「あの男が四音を変えたのだな」と笑っていた。
    ...まあ、たしかに。
    四音はプロデューサーの元で活動していくうちに随分と丸くなった。
    揶揄うような言動に余裕のある態度で人と接しているけれど、内面の部分ではかなり年相応の振る舞いを見せるようになったと思う。
    少なくともあの人の前では特にだ。
    最近は私の前でも素を出すこともあるけれど姉に対してもそうらしい。
    ...きっと、四音は本当に余裕が出来たんでしょう。
    今まで踠くように必死に飛んでいたのにプロデューサーという止まり木が出来た。
    張り詰めていた心も焦っていた気持ちも満たされて肩肘張らずに過ごすのが四音の日常になってきた。
    喜ばしいことだ。
    二人が良い関係になれてよかった、と思う。

  • 2725/02/24(月) 00:48:01

    それと以前から少し気になっていたことがある。
    ...いや、少しじゃない。
    かなり、だ。
    アメリカの方に帰ってしまう、のなら今のうちに聞こうと思って聞いた。
    ......プロデューサーのことを弟と呼んでいるのはどういうことなの?
    色々とおかしい。
    ...まず、あの人は四音の姉も口説いたの?
    ...四音はどう思っているの?
    ......そもそもどういうプレイなの?
    あの人が月花に甘える、というわけでもない。
    月花もあの人を甘やかしているわけじゃない。
    ...本当にアレは何?
    あの人はああいう変なのが好みだったりするの?
    そのうち四音にも弟呼ばわりさせるの?
    四音の姉に呼ばせて、外堀から埋めたつもりなの?
    ...どうかしている。
    そんなことを考えていたら「お前も妹だ」と真顔で言われた。
    ...おかしいのは月花の方だった。
    意味がわからない。
    ...恐怖すら感じる。
    プレイに巻き込まれていたのはプロデューサーの方だ。
    しかも、私も巻き込まれた。
    あの人を弟呼ばわりしている理由も私を妹呼ばわりしている理由も話してくれなかったクセに「姉だと言え」と延々言われた。
    ...姉さん、と渋々呼ぶと喜んでいた。
    プロデューサーは全然呼んでくれないらしい。
    ...当たり前だ。
    あの人の感性は意外とマトモだ。
    こんなおかしなやりとりに付き合ってくれるような人じゃない。

  • 2825/02/24(月) 00:48:23

    ...まあ、そんな話をしながら二人でレッスンをして過ごしてた。
    終わり際に、ユニットのライブの時には観にくると言われた。
    楽しみにしている、と。
    ...私と白草月花は微妙な関係だ。
    ......姉、になったし。
    それに、連絡先も知らない。
    だからといって顔を合わす度に話す仲でもない。
    でも、そんな奇妙な間柄でも期待されるのは案外悪くない。
    不思議と頑張ろうと思えた。

  • 2925/02/24(月) 00:49:44

    ☆〜月¥○日

    振り付けがようやくまとまった。

    ただ、指先や表情で曲を表現しようとするとファンサらしいファンサが出来ないのが引っかかる。
    ...私としてはこの曲自体がファンサだ。
    ...それは言い訳か。
    とりあえずプロデューサーに見て貰って相談しよう。

    あと四音に意地悪をされた。
    結局スリーサイズは私の方から言ったのか、って。
    ...あの時のことはあまり思い出したくない。
    ...押し倒す、なんて。
    本当にどうかしている。
    ...そもそも付き合ってないのに。
    ......それに、押し倒すより押し倒される方が良い。
    ...あの人が女の子を押し倒すところなんて想像出来ないけれど。

    ...私は何を考えているのか。

  • 3025/02/24(月) 00:50:04

    ☆〜月¥+日

    プロデューサーに振り付けを通しで見てもらった。
    「これで行きましょう」
    一言だけそう言われた。
    ファンサのことで何か言われるかと思っていたのに、と言うとプロデューサーは「この曲自体がファンサでしょう」に返された。
    下手にファンサをするよりもこの曲の世界を私が見せることに集中した方がファンの心にはきっと届く、って。
    プロデューサーには伝わっていた。
    私がこの曲に込めた気持ちも、どう感じて欲しいかも、全部伝わっていた。
    ...あの人はいつも私のことを理解してる。
    ああいうところは初星のプロデューサーらしいと思う。
    衣装ももう出来上がったみたいで明日確認して欲しいと言っていた。
    ...出来上がるまで早すぎないかしら。
    あくまで仮衣装らしいけれどだとしても早すぎる。

  • 3125/02/24(月) 00:50:51

    ☆〜月¥<日

    ...衣装。
    どうしてぴったりなの?
    ...最近、少し胸が大きくなったのに。
    ......ブラも最近窮屈に感じてる。
    少なくとも、あの時伝えたサイズじゃない。
    ...本当にどうして?
    ...色々とおかしい。
    四音はサイズも言わないうちに衣装が出来上がってて、その衣装がリテイクなしでサイズがぴったり合ってたことに恥ずかしがってた。
    ......私は伝えたサイズよりも胸が大きくなってたのに渡された衣装はぴったり合ってた。
    それも締め付けられてるような嫌な窮屈感じゃない。
    どこか安心感があるような丁度いい窮屈感。
    ...ここまで来ると羞恥心より恐怖心の方が大きい。
    「言いにくいのですが視たら大体わかります」
    そう言われた。
    ...それはつまり、女の子の身体を見ただけでスリーサイズがわかる、ということ?
    ...女の子の天敵じゃない。
    極月のアイドル全員のスリーサイズはあの人に把握されてるってことでしょう?
    ......新手の変質者だ。
    ...そもそも"大体"じゃない。
    "確実に"だ。
    精度が高すぎる。
    色々と文句を言うと、意識しないようにしていると言われた。

  • 3225/02/24(月) 00:51:13

    「この前だって困ったんですよ」
    「意識して欲しい、なんて」
    「あまり私の理性をいじめないでください」
    少し照れたような顔で返された。
    ...それを言われたらこっちだって何も言えない。
    ......それに少し嬉しい。
    あの顔を見てわかった。
    私のことを少なからず意識してくれてたんだ、と思ったから。
    そのまま大人しく衣装の確認をした。
    動きも問題ないしこのまま行こうと思う。
    そう伝えて、そのままレッスンを見てもらった。

    ...日記を書いていて思った。
    ......まさか、仕事をあんなに頑張ってあれこれ抱えている理由ってそれなの?
    忙しさで女の子のスリーサイズを打ち消そうとしているの?
    ...馬鹿じゃない?
    ...本当に馬鹿じゃない?

  • 3325/02/24(月) 00:52:07

    ☆〜月¥「日

    プロデューサーが頑張ってくれて私の曲が完成した。
    納得出来るクオリティだった。
    ......衣装の方も問題はない。
    ...どうせ、私の胸がまた大きくなってもそれに合うサイズにリテイクして持ってくる。
    ...私がサイズの申告をしなくてもね。

    とにかく、あとは備えるだけ。
    振り付けを完璧にして、表現を研ぎ澄ます。
    指先に、表情に、"私"を宿す。
    気持ちを作ることも忘れない。
    感情のままに振る舞うために。
    私のソロ曲に必要なことだから。
    あの曲で、私の心を歌う。
    "賀陽燐羽"ではない、ありのままの"私"。
    私を苦しめてきたのも私を励ましてきたのも私の心だ。
    ...それを知って欲しい。
    四音にも、プロデューサーにも、手毬にも、美鈴にも、私を待ってくれるファンにも届けたい。
    何が私をそうさせるのか、何が私をここまで連れてきたのか。

    ____私の心の輪郭を、知って欲しい。

  • 3425/02/24(月) 00:52:30

    ☆〜月¥〒日

    プロデューサーから改めてS.T.Sの説明をされた。
    一線を退いた元トップアイドルや各プロダクションの社長らで構成された多数の審査員からの評価点を取りつつ、ファンからの人気投票も集める。
    グループ分けされて2回のオーディションを行って残った8人で最終オーディションになる。
    その最終オーディションで優勝すれば、相応しいステージでのライブが出来る。
    全3回のオーディションも中継されるからファンへ向けたアピールも欠かせない。
    それに期間中のファンとの交流も必要だ。
    ...ただ、例年通りなら十王社長も審査員の一人になると言っていた。
    ...巡り巡ってアイドルとして十王社長の前に私が立つことになるなんて。
    きっと良い顔はされないでしょうね、と言うと「そうでもないですよ」と返された。
    私の引退を反対していた人間なのだから嬉しいに決まっている、と笑っていた。
    ......そういうものなの?
    ...そう単純に割り切れる人だとは思えないのだけど。
    ファンに向けてのPVも作ると言っていた。
    具体的な撮影は☆☆月に入ってかららしい。
    でも、それが済んだらようやく声明を出せる。
    ファンの子たちを随分と振り回した。
    なのに、私を必要だとまだ言ってくれている。
    早くごめんなさいを言いたい。
    そんなことを考えていたらバレたのか「申し訳なさそうにしてはダメですよ」と言われた。
    ...あの人には私の心が筒抜けだ。

    そういうところがズルい。

  • 3525/02/24(月) 00:53:07

    ☆〜月¥^日

    今日はユニットの打ち合わせをした。
    私の曲がひとまず完成したから、ユニットの曲を作り始めるつもりだと言っていた。
    プロデューサーが前々から考えていた曲にするつもりだけど、私たちの意見も取り入れてくれるらしい。
    四音はしっとりとした曲調が良いらしい。
    たしかにそういう曲の方があの子の表現力は輝く。
    私のソロ曲もそういうニュアンスが目立つ曲だしユニットの曲もその方向性で良いかもしれない。
    ...今までアイドルとして歌っていたのはキレのあるダンスが中心の楽曲だったから慣れないダンスであることに間違いないはないけれどやってみたい。
    四音が得意なのはゆったりとしていたり妖しい感じの曲調なのはここ最近で十分身に沁みてわかっている。
    それをユニットの曲でもやりたい。
    ...だって私が四音一色に染まる気がする。
    ...四音のモノになっていく、とわかりやすく実感出来る。
    ......相変わらず日記に書くことではないか。

  • 3625/02/24(月) 00:53:25

    とにかく、ユニットの曲がそういう曲調だと想定して二人で練習をした。
    まったく息が合わなかった。
    ...正直、こなせると思っていただけにショックがある。
    Syng Up!でユニットの経験があったから四音とも合わせられるだろう、と甘く考えすぎていた。
    ...まあ、プロデューサーの要望が難しいのも大きいけれど。
    素早いターンを揃える。
    一度のターンでの回転も多い上で、だ。
    多分、ユニットの曲でやりたいことなんでしょう。
    踊りながら、歌いながら、ターンをする。
    ___何度も。
    きっとそれをユニットの曲で求められる。
    今のままでは満足に出来そうにないのにあの人は何の心配も不安もしていない。
    ...期待してくれている。
    真っ直ぐな期待を向けてくれている。
    ...応えたいと思う。

    頑張ろう。

  • 3725/02/24(月) 00:58:00

    ☆〜月%☆日

    四音からデートに誘われた。
    撫子からリゾートのチケットを貰ったらしい。
    プロデューサーと行ってきたら、と言おうと思ったけれど四音の真剣な顔を見たら言えなかった。
    『大事な話がしたい』と言われた。
    来てしまったか、と思った。
    ...プロデューサーとのことでしょう。
    ...告白した、とかかしら。
    付き合った、とかかもしれない。
    ...どちらにしろ祝福しましょう。

    私も一緒に、とは言えない。
    そんなことは言えない。
    ...ここが引き際。
    もう、甘えられない。
    十分幸せだった。
    わかっていたことだ。
    いつか来る日のことなんて。
    ...覚悟していたハズだ。
    ...だから、ここまで。

    この気持ちは、捨てる。
    待っていてはいけないモノだ。
    私を苦しませる。
    でも、もう少しだけ。
    あの毒のような微睡に浸っていたい。


    ____これで、最後だから。

  • 3825/02/24(月) 01:14:33

    今回の投下はここまでです。
    起きてからまた投稿する予定です。

    投稿が遅れてしまった理由なのですが、私生活が忙しかったのと次回の投稿の☆☆月が何度書き直しても性的内容を含んでしまい四苦八苦していたためです。
    完結した後にIFとして投稿しようとしていたR-18の書き溜めに気づいたら本編が侵食されてました。
    大した描写ではない、と思えるレベルまで削ったのですが苦手な方には不快感を与えてしまうかもしれません。
    ご理解いただけたら、と思います。

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 02:57:30

    このはっきりと言葉に言い表せない絶妙な関係が良すぎる...!
    そして裏でさらっと全部やってるPがしごできすぎる...!?

スレッドは2/24 12:57頃に落ちます

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