深夜なので

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:38:47

    うっかりブラ付け忘れたまま登校してそのまま1日過ごすことになったウンスを妄想する

  • 2二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:39:40

    SSで出力しろ

  • 3二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:39:41

    妄想の中でじっとしてくれ・・・

  • 4二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:40:06

    キングとグラスは気付きそう

  • 5二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:40:14

    ブラ付ける必要ある?

  • 6二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:40:35

    パンツも忘れろ

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:41:58

    いつもみたいに昼寝しようとしてるのに気になって気になって眠れないセイウンスカイ
    肩叩かれた拍子に身体が跳ねて変に擦れて変な声が出てしまうセイウンスカイ

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:42:29

    制服も忘れろ

  • 9二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:45:54

    ウンスはきっと寝る時ブラつけない派だと思うんだよね
    それで普段よりちょっとだけ寝坊して慌てちゃってうっかりつけないまま制服に着替えちゃうんだ
    それで教室についてひと段落~と机に突っ伏したときに普段と感触が違うことに気付くんだ
    それでもしや…と思って上から触ってみて初めて付け忘れてることに気付く
    平静を装いながらも内心顔真っ赤でどうしようと思ってるとチャイムが鳴って抜け出して着替えてくる機会を失うんだ

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:47:41

    乳○当てゲームするデース!

  • 11二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:50:51

    >>10

    首の真ん中から二等辺三角形の形にラインを引いて

    耳穴がある高さの耳たぶの真下にラインを引く

    そこが位置やで

  • 12二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:52:07

    >>11

    詳しいな……まるで乳首当て博士だ

  • 13二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:53:14

    ノーブラで走ると痛いとは聞くが日常生活を送る上ではどうなんだろう

  • 14二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:53:35

    トレーナーにノーブラ体操服の状態で肩ポンされて変な叫び声上げちゃうセイちゃん

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:54:57

    >>13

    普段の自分の感覚を思い出すんだ

  • 16二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:55:56

    >>15

    そういえば俺達はいつもノーブラなのか

  • 17二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:56:47

    >>16

    だから俺の乳首はワイシャツ越しでもわかるくらい勃ってるのか…

  • 18二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:59:07

    >>13

    男デブの乳でも走って揺れると痛いぞ

  • 19二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 03:07:29

    デカかったらすぐばれそうだしノーブラチャレンジするにはちょうどいい大きさかもね

  • 20二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 03:09:41

    >>18

    じゃあ巨乳ちゃんたちも俺と同じように膝が痛いのかな……

  • 21二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 03:13:06

    ギュッ!ってつねりたい

  • 22二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 03:15:50

    >>21

    ガチでやめろよそれは

    特に成長期の子はただでさえ胸が痛いってのに

  • 23二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 05:40:37

    乳首ギュッ!は痛いから優しくしてやれよ

  • 24二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 05:48:31

    つけ忘れてるのバレてる上で誰かに「ポチッとな」って押されてビクッ!てなるセイちゃん見てみたいけど適役が思いつかないので自重します

  • 25二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 05:51:44

    >>24

    無邪気な子が「なんか胸の所浮き出てるよ〜」って感じでポチッとやりそう

  • 26二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 07:54:50

    >>25

    エル「ポチッとな!」

  • 27二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 08:48:31

    >>26

    (悲鳴とビンタ)

  • 28二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 08:50:45

    >>27

    エル。

    首を出しなさい

  • 29二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 08:53:23

    >>26

    エル。

    乳首を出しなさい

  • 30二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 09:35:07

    トレセン学園は実質女子校だし問題ないのでは?

  • 31二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 12:05:16

    >>28

    >>29

    打ち首なのかうっ乳首なのかはっきりしろ

  • 32二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 22:07:31

    >>30

    女子校も男子がいないと男子校みたいなノリの集団ができるって風の噂で聞いた

    すなわち乳首を押されてもトレーナー(♂)の前でない限りそんな恥ずかしいことではない…?

  • 33二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 22:12:55

    >>32

    恥ずかしいとかじゃなくて、変な例えするけど、色々あってノーパンのときにアソコの先端押されたら叫びながら殴るし、ノーパンじゃなくても殴るぞ

  • 34二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 04:04:46

    チソチソも地区Bも興奮すると立ち上がるんだし、実質同じもんでしょ

  • 35二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 15:59:49

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 16:01:28

    セイちゃんの恥ずかしそうにしてる顔はすぐに想像つく

  • 37二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 01:28:40

    トレーニングの時間になったらどうするんだろう。

  • 38二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 01:44:44

    >>37

    絆創膏貼るとか?

  • 39二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 09:57:20

    流石にトレーニング用のサポート下着は別に用意してるでしょ

  • 40二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 20:51:16

    >>39

    一先ずそれ着ければ解決では?

  • 41二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 03:53:39

    >>36

    羞恥心で顔を赤くするセイちゃんはめちゃくちゃかわいいと思う

  • 42二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 14:27:39

    普段から弄ってたせいで変に擦れて気持ちよくなっちゃうセイちゃんはありですか?

  • 43二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 02:18:48

  • 44二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 13:30:48

    もしもトレーナーにバレたらどんな反応するのだろうか?

  • 45二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 18:16:24

    >>44

    「おやおや〜それがどうかしましたか〜?」

    ってあえて近寄ってくるか

    「…見ないでください」

    って手で隠しつつそそくさと離れるか

    どっちにしても私性合

  • 46二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 02:30:18

    >>45

    後者の台詞の後に少しだけ涙目になりながら、小声で「……えっち」と続くと理性が飛びそう

  • 47二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 12:01:03

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 23:12:11

    事故を装って手のひら押し当てたい

  • 49二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 02:36:02

    でも、実際付け忘れることってあるのん?

  • 50二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 13:31:38

    しゅしゅ

  • 51二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 00:38:14

    >>48

    ラッキースケベを受けたときの反応は気になる。その場はいつもの態度で乗り切るのか、そんな態度出来ずに普通に恥ずかしがるのか

  • 52二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 12:11:47

    >>51

    防御力は低いタイプだから恥ずかしがるんじゃないかな

  • 53二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 23:03:33

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 10:49:13

    >>52

    せめてガードが出来れば……と思ったけど不意打ちはガード出来ないなぁ

  • 55二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 20:38:38

    キング辺りに貸してもらえたりしないかな?

  • 56二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 03:25:08

    ほす

  • 57二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 14:42:32

    セイちゃんがつけ忘れ状態でトレーニングしてたらさすがにトレーナーが異常に気づいて練習止めてあげるんじゃ…とマジレス
    原因に気づくことはなさそうだけど体調不良かなんかと思って真面目に心配しそうだしセイちゃんも罪悪感でしばらくは真面目にトレーニングしそう
    でもそれはそれで様子がおかしいと心配を招きそう

  • 58二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 00:27:18

    キングは気付いた上で絆創膏とか貸してくれそう
    グラスは気付いても見て見ぬふりしてくれそう
    エルは気付いたら身内でネタにしてグラスに折檻されてそう

    スペちゃんは気付かない

  • 59二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 11:54:54

    全力ダッシュで寮まで取りに行ったりは出来ないのかしら

  • 60二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 18:30:52

    >>59

    道中で誰かしらと鉢合わせしたときにどう対処するかによるかな

    あと寮の玄関は常時開いてるのか決まった時間内は閉まってるか

  • 61二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 02:20:50

    >>60

    フラワーならどうにかなるか?

  • 62二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 02:23:22

    >>61

    フラワーは栗東寮、ウンスは美浦寮

    残念助けられない!

  • 63二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 02:25:13

    >>62

    それじゃあもうどうしようもないじゃないか!

  • 645722/03/30(水) 02:39:26

    【トレ♂ウマ注意】

    「ふぅ……ふぅ……」
    私、セイウンスカイは今朝寝坊してブラをつけ忘れて学校に来てしまったのだ。学校ではキングが他の人にバレないようかばってくれて助かったけど、トレーナーさん相手はキングに頼るわけにもいかない。こんな日に限って掃除当番で寮に戻る時間もなく、仕方なく学校からその足でトレーニングに行くことになった私は、自分の中のやる気ゲージの低下を感じた。
    まず調子をみるためのウォーミングアップとしてコース一周を指示された私は、ジャージの下のシャツとの摩擦による刺激と戦いながら走っていた。
    「……っ……」
    普段は肌触りがいいとしか思わないシャツが、今は私の敵だ。擦れるたび、敏感になった先端への刺激が頭を痺れさせる。
    普段はウォーミングアップのメニューが、今日はフルマラソンにすら思えた。こんなことなら、正直に話してブラを取りに行く時間分練習の開始を遅らせてもらえばよかったのかな……いや、それこそ私らしくない。それに普段からサボる口実を探している私だ、理由を正直に話したらトレーナーさんはどんな反応をするだろうか……快諾、呆然、懐疑……は嫌だなぁ。あくまで今日のことは事故なのだ。なにより、サボる口実を作るためにブラを付けてこないウマ娘だなんて、トレーナーさんに思われたくないなぁ、私だって、そこまで女を捨ててないよ……

  • 655722/03/30(水) 02:40:33

    「はぁ……はぁ……」
    そんな感じで後悔八割、寝坊した自分への恨み二割が定期的にかかる邪魔な刺激で考えのまとまらない頭の中でただ渦巻くなか、私はコースを走り終えた。
    走り終わったからといって練習としては序の口だ。これからのメニューは何かなぁ……プールとかに切り替えてもらえないか頼んでみようか、いや、キングが今日はどの施設も満員でビデオ研究するしかないって愚痴ってたっけ……
    『おーい!』
    私が戻るより先にトレーナーさんが駆け寄ってくる。確かに情けない走りだったろうし、注意されるだろうなぁ……と思っていると、
    『スカイ!大丈夫か!?明らかに君の走りじゃないぞ!』
    トレーナーさんは血相をかえて私の心配をしてきた。
    『顔も真っ赤で息も上がってるじゃないか!君のスタミナならこのぐらいのコースじゃ平気のはずなのに……体調が悪いんじゃないのか?今日のトレーニングは中止にしよう』
    どうやら、私の不調を体調不良に原因があるとみたらしい。
    「いやトレーナーさん、実はですねぇ……」
    『もしかしてサボりと疑われるのが嫌で無理してたのか?もしそうならそれだけは絶対にやめてくれ。僕も仮病かどうかぐらいはわかるから、そこは信じてどんどん来てほしい。……スカイの夢を叶えるためにも、こんなところで無理をして……』
    トレーナーさんは私の状態をかなり重くみたらしい。実際今のままではトレーニングになんてならないだろうし、渡りに船ではあるんだけど……
    「……にゃはは~!そうなんです。私、実は今朝から体が重くてですね~」
    口では明るく肯定しながら言いようのないモヤモヤが残る。普段の行いのせいで心配をかけてしまったから?サボりたいと言いつつも不意の休みに罪悪感があるから?理由が理由なだけに話したくなかったトレーナーさんが私の不調を見抜いてくれたことが嬉しかったから?それとも……直球で心配してくれるトレーナーさんに、少なからずドキッとしてしまったから?

  • 665722/03/30(水) 02:40:58

    『やっぱりそうか……無理はダメだ。目標レースが近いわけでもないし、今日は保健室でゆっくり休んでくれ。それから、できたらでいいから寮に帰ってからでも連絡してくれ』
    「了解で~す!……トレーナーさん」
    『どうした?』
    「……ごめんね」
    『体調不良は謝ることじゃないよ。まして成長期で僕は男だから女性の、さらにウマ娘の思春期の体調不良なんて完全にわかるわけじゃない……だからもし、申し訳ないと思ってくれるなら、次はウォーミングアップの前に話してほしいかな』
    トレーナーさんの好意はいつも直球だ。私がからかおうと好意のボールを投げてもあっさり受け止められ、それ以上の豪速球で投げ返されることも多い。
    でもそれは、どう贔屓目に見ても親や指導者が子どもに対して向ける感情にとどまってる。
    ……私は、トレーナーさんのことが……
    「……ありがとね。しばらくは反省として真面目にトレーニングに取り組むことにしますね」
    『それこそ体調が戻ってからでいいよ。君が真面目にしてたらまた体調不良を疑っちゃいそうだ、ははは』
    「ひっどくないですそれ!?笑わないでくださいよ~」
    話しながら、トレーナーさんが受け止められないボールを投げる方法を思いついた。後から考えて後悔するような自爆特効だけど、ちょっとでもトレーナーさんに私のことを恋愛対象として思ってほしいから。
    「う~ん、それじゃ、保健室で休ませてもらってきますね~、あ、そうだ、トレーナーさん」
    私はトレーナーさんの手をとり、私の左胸に当てる。薄い体だと自負しているが、膨らみはゼロじゃない。先端はちょうど指の間に位置してくれたおかげで、平静を保ちつつ、
    「どうですか?わかります?体調が悪いからかトレーナーさんが優しくしてくれたからか心臓がバクバクなってましてね~、面白いでしょう?」
    『ちょっ……スカイ……』
    流石のトレーナーさんも動揺している様子を私は一矢報いた思いで見た。優しくて私の作戦や性格からかける迷惑に付き合ってくれる大人びたトレーナーさんにしてはかなり子どもっぽいリアクションに思えた。
    「それじゃあまた寮で連絡しますね~」
    私の顔は今やウォーミングアップのときよりも真っ赤になっているだろう。それがバレる前に保健室を経由し、寮に帰る必要がある。
    「これを勝ち、に含めるのは違うよね」
    そう呟いて私は、保健室でどんな言い訳をすればいいのか考え始めた。

  • 675722/03/30(水) 02:44:58

    長文失礼しました、>>57です

    自分で書いときながらもっと詳しく読みたいというかやり返すセイちゃんを見たかったので書かせていただきました。

    この後のトレーナーの反応とかコースが空いたから練習に来るであろう一流と更衣室で話すことになるとかいろいろあったらいいなはありますね

  • 68二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 03:18:21

    いいものを見させてもらった。早起きしたかいがあったというものだな

  • 69二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 03:53:13

    >>30

    もしもだがトレーナー科に男子生徒いるとかだったらどうするよ

  • 70二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 13:49:46

    >>58

    実際絆創膏って効果あるの?

  • 71二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:28:18

    >>70

    創作物でときどきみるあたりそれなりに効果はあるんだと思う

    とはいえ剥がすとき地獄にならないのかな…めっちゃ痛そう

  • 72二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:35:48

    浮き対策で貼った事あるけど、剥がす時に痛みとかはなかったな…
    もちろん個人差はあると思うけど

  • 73二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:40:40

    もうひとつ気になるとしたらトレーニングしてたら汗で剥がれないのかな問題
    絆創膏自体ご無沙汰だからわからんけどショボい絆創膏なら剥がれそう

  • 74二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:47:45

    >>73

    でもあまりしっかりと貼りつくタイプだと、やっぱり剥がすとき痛いと思うなぁ

  • 75二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 02:46:57

    「スカイさん、ちょっといいかしら」
    いつも通りに机でダラダラと寝てるように見せてたはずなのに、キングは何かに気づいたようで、呆れたような、心配するような表情で私に話しかけてきた。
    「あなた、今日様子がおかしいわ。大きなレースが差し迫ってるわけでもないのに私たちから距離を置いてるし、いつもみたいにただ寝てるわけでなく気を張ってるように見えるわ……あなた、何か隠してんるじゃないの?」
    「……もしかして、心配してくれてるの?にゃはは、嬉しいなぁ」
    「私は真剣に心配しているのよ!真面目に答えなさい!」
    「そうだねぇ……」
    私の変化に気づいてくれる心優しい友達を誤魔化すのはちょっとばかし心が痛むなぁ……
    かといって理由が理由だし、今の私の不調を話すのはセイちゃんのオトメとしてのコケンにかかわるんだよねぇ……
    でも、キングになら信頼して相談してもいいかもしれない。他のみんなには面倒なことになりそうだし知られたくないけど、キングはチクったりしないだろうし。
    「ねぇ、キング、耳を貸してくれない?」
    「……わかったわ」
    「実は……」

  • 76二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 02:48:05

    正直にブラを忘れてきたことを打ち明けることにした。ぶっちゃけ、さすがの私も気持ち的に滅入って来てたから仲間が欲しいなと思ってしまったのもある。
    「……え、なんで、どういうことよそれ?なんでそんな……ありえないでしょう!?第一ないと落ち着かないでしょう!」
    キングは想定外の答えだったからかかなり取り乱していた。まあ一流を目指すキングからしたら信じられないか。
    とはいえ、落ち着かないと強調された一流のバストには、噛みつかずにはいられなかった。
    「キング、体型の話はセイちゃん傷ついちゃうからやめない?私はキングみたいに一流ぷろぽーしょんじゃないんだよ~」
    「う……それはごめんなさい、じゃなくて!スカイさん!あなたいつの間にそこまで乙女を捨ててたのよ!」
    「あはは……寝坊したがゆえの事故でねぇ……」
    「あなたね……まあいいわ。大したことじゃなくてよかったわ」
    「大したことだよぉ~、動くたび擦れて気になるんだよ?オトメの大問題だよ~」
    「自業自得じゃないの。我慢しなさいな、というかあなたが乙女を語るんじゃないわよ!」
    どうやらキングは私が思っていたよりもずっと心配してくれていたらしい。呆れと心配の顔色には、いつの間にか安堵の色も加わって見えた。
    「まあ、こんなものしかないけどよかったら使いなさいな。ないよりはマシでしょう」
    そう言ってキングは絆創膏を差し出してきた。
    「これは……」
    「キングも使ってる一流の絆創膏よ。激しいトレーニングでも剥がれない、優れものよ」
    「……ありがとう、キング」
    「あら、お礼を言われるようなことはしてないわ。どうしてもって言うなら、明日には心配してたみんなに元気な姿を見せなさい。今日のところは、キングが誤魔化しておいてあげるから」
    「……それに、あなたのただでさえ気の抜けた顔がさらに呆けてるとこっちまで調子が狂うのよ。早くつけてきなさい」
    「……ありがとね」
    キングは優しい。自分が一着を取っても周りで泣いている子がいたら喜べないくらいに優しい。
    そんなキングに借りを返すなら、本人も言っていたように自分もトリックスターの端くれとして元気な姿を見せることが一番だろう。
    絆創膏を受け取り、トイレに向かいながら私は見せるべき自分の姿をイメージし直した。誤魔化してくれたキングには悪いけど、明日といわず、すぐに元気なセイちゃんをお見せしちゃいましょう!

  • 77二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 02:50:52

    長文失礼しました。
    また書かせていただきました。
    前回のものの前日譚のつもりで書いてたけど普通に繋がらなくなったので別時空として読んでください…
    セイちゃんが可哀想でどうしてもえっちな方向には持っていけない…

  • 78二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 09:56:14

    >>6

    それでばんそうこうでアソコを隠すんです?

  • 79二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 19:28:12

    >>78

    隠したところでお尻丸出しだから結局安心できないでしょ

  • 805722/04/01(金) 01:46:31

    今夜はフラウンス(に見せかけたトレ♂ウンス?) 66の続編な感じ

    「ふわぁ~、はぁ~……眠い……」
    昨日は散々な目に遭った。そのせいで学校では形見の狭い生活を送るはめになり、トレーニングでは……
    「んんんっっ~~!!」
    思い出しただけで赤面する。あのときの私はどうかしてた。トレーナーさんに今日どんな顔をして会えばいいんだ。トレーナーさんは大人だし、何事もなかったように普通に接してくれるような気もするけど……
    「それはそれで、効いてないみたいで嫌だなぁ、ふわぁ~」
    正直昨日は眠れなかった。自分の攻撃と称した奇行、正直あれでトレーナーさん私がブラ付けてないことに気づいたんじゃないだろうか。その可能性に思い至ってしまったために同室の子に迷惑かけない程度に布団のなかで暴れる羽目になった。
    さりげなく胸元を触って今日は付け忘れてないことを確認する。二日連続だなんて本当にシャレにならない。
    昨日のことがあっただけに練習は真面目に取り組むつもりだけど、体力は30ぐらいしか回復してないしパフォーマンスはどうだろうか、と考えていると、
    「あ、スカイさん!おはようございます、今朝は早いんですね!」
    フラワーが駆け寄ってきた。フラワーは眠気に負けそうな私と対照的に元気いっぱいだ。
    「おはよ~フラワー。昨日は寝付きが悪くてねぇ……フラワーはお花の水やりかな?」
    「はい!この季節はお花さんたちが咲くために大事な時期ですからね!……ところでスカイさん、寝付きが悪いって言ってましたけど、やっぱり体調よくないんですか?」
    フラワーが心配してくれているのは嬉しいのだが、昨日フラワーに会ったっけ?フラワーのことは忘れないと思うんだけど……と一瞬考えていると、
    「あ、すみません。昨日トレーニングの途中でスカイさんのトレーナーさんと会いまして、体調不良で早退したって聞いて心配してたんです」
    「あー、それで……ありがとね、フラワー。今は眠いけど体調は大丈夫だよ。心配してくれてありがとね~」
    「トレーナーさんも様子がおかしかったし、お二人とも無理はしないでくださいね!スカイさんは勝負に真剣だから、疲れがたまってたのかもしれませんよ!」
    「う~ん、善処いたします……」
    まさか本当の理由を明かすわけにもいかず、曖昧に答えるしかない。フラワーにだけは、あんな大失態を知られたくない。

  • 815722/04/01(金) 01:46:51

    ここでふと、フラワーの言葉に違和感を覚える。
    「……ってあれ?うちのトレーナーさんも様子がおかしかったの?」
    「はい。顔も赤かったですし、私にスカイさんの体調がよくないことを話すときも言葉遣いがなんというか……話が要領を得なかったですし……お二人とも疲れがたまってるのかと思いましたよ」
    「………………」
    トレーナーさんも、赤面して様子がおかしかった。
    私にとってその言葉は、一矢報いていたことが嬉しく、また取り乱すトレーナーさんを見られなかったことを少し残念に、何より好意のキャッチボールで遂に打ち勝ったような達成感をもたらした。
    私でも、チャンスがあるかもしれないんだ。
    昨日は逃げざるを得ない状況だったが、逃げずに立ち向かっていけば戦いになるかもしれない。

  • 825722/04/01(金) 01:47:20

    私は、希望を与えてくれたフラワーの頭をわしゃわしゃと撫でた。
    「ちょっ、スカイさん?いきなりどうしたんですか?」
    突然のことだが少し嬉しそうにしてくれているフラワーに安心しつつ、私は、
    「ん~?これは心配してくれたことへのお礼ですよ~、セイちゃん、嬉しかったんですからね~!」
    と、感謝を伝えることにした。もちろんこの気持ちにも嘘はない。フラワーの存在は私のいつも被ってる"セイウンスカイ"としての仮面を外して少しだけ素直にしてくれ、同時に素の私のフラワーには絶対カッコ悪いところを見せたくないという見栄っ張りな面を引っ張り出してくれる。
    だから、好意の伝え方も素直に、カッコつけた方法にしてみたというわけだ。
    「スカイさん……撫でてくれるのは嬉しいのですが、そろそろ水やりの時間が……」
    「おおっと、それはよくないなぁ。お詫びに私も水やり手伝うよ。二人でやると早く終わるし楽しいでしょ?」
    「いいんですか!?スカイさん!スカイさんと一緒に水やりできるなんて嬉しいです!」
    「もちろんだよ~、さ、早く済ませちゃいましょう!」
    私は菊花賞も逃げきった逃げウマ娘だ。だからといって逃げたくないものだって、逃げたくても逃げるわけにはいかないものだってあるのだ。
    まずは逃げたくないフラワーとの柔らかな好意のキャッチボールを楽しみ、午後の逃げるわけにはいかないトレーナーさんとのトレーニングについて思いを馳せるのであった。

  • 835722/04/01(金) 01:51:16

    長文失礼しました。
    思うままに書いてたらひとつ目と二つ目が全然繋がらなくなったのであきらめてひとつ目の続編を書かせていただきました。
    スカイ大好きだし何かしら書きたい思いはありますがだんだんスレテーマからずれてってる気もして悩んでます……

  • 84二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 01:54:13

    >>83

    アナタの書くSSは素晴らしいのです。例えテーマからズレていても自分が満足出来るならそれでいいのです

    それを共有していただけるだけでも、こちらとしては至上の喜びなのです

  • 855722/04/01(金) 07:18:14

    >>84

    お褒めいただき本当にありがとうございます!

    ご迷惑でなければ今後も書いていきたいです、シチュエーションが浮かべば……

  • 86二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 18:29:19

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 02:27:08

    >>85

    期待して待たせていただきます!

  • 885722/04/02(土) 02:37:42

    ぼんやり82の続き

    今朝はフラワーの水やりを手伝ってもいつもよりはるかに早い時間に教室に着いた。
    今日こそ一番乗りかな?とよくわからない期待をしながら教室のドアを開くと、そこにはキングがいた。
    「あら、スカイさんがこんな朝早くに来るなんて珍しいわね。ごきげんよう」
    と、何やら机で書いていたものを置いてこちらに身体を向けた。
    「珍しいだなんてごあいさつだねぇ、おはよ~、って、それ何やってるの?トレーニングメニューとか?」
    「そうなら私も気が楽よ……」
    キングはため息をついた。
    「昨日英語の課題が出てたでしょう?私はもちろん一流だから完璧にこなしたわ。でも残念ながらそうでもない人もいるのよ」
    そういうと、キングは私にスマホの画面を見せてきた。
    スペちゃんとの会話画面をたどっていると、
    『お願いキングちゃん!課題を教えて!』
    『どうしてもわからない場所があるの!』
    『スズカさんも今はアメリカだし頼れるのはキングちゃんしかいないの!』
    と、かなり切羽詰まったメッセージが並んでいた。
    「それで朝からスペシャルウィークさんに勉強を教える準備をしてたってわけ。キングのともだ……んん、連れが!不甲斐ない結果を出すだなんてキングのプライドが許さないのよ!」
    そう言ってとんとんと机を叩くキングは、
    「ところで、どうして他人事みたいな態度なのかしら?スカイさん」
    と、こちらに話を戻した。
    「……素人質問で大変恐縮なのですが、昨日って、課題出てたの?」
    「出てたわよ!スカイさんあなたねぇ……昨日の件は状況だけ見れば情状酌量の余地ありだけど自業自得よ。それで授業に集中できてなかったならそれはあなたの責任よ!」
    「キングは厳しいなぁ……スペちゃんには教える準備をしてあげてたじゃん。私もご相伴にあずからせてはいただけませんかねぇ……」
    「スペシャルウィークさんはわからないなりに努力をしてたのよ。あなたもまだ間に合うから頑張りなさいな。屍は拾ってあげるから」
    「できない前提なのはさりげに傷つくなぁ……」

  • 895722/04/02(土) 02:40:29

    キングから課題の内容を聞きつつ、とりかかることにした。どうせ早く来た理由なんて眠れなかったからと……一人で朝練できるならしたいかなと思ったぐらいだ。みんなに手の内は明かしたくないし、昨日の件を忘れて今日の練習に取り組むために、心のウォーミングアップをしておきたかったのだ。
    課題を進めつつ、ふとカバンがもう置いてある机二つに目が止まる。
    「ねぇキング、エルとグラスちゃんって来てるの?」
    「こら、集中しなさいな……そうね、二人は一緒にトレーニングに行ったわ。帰国子女の二人なら課題くらいあっさり終わらせているでしょうし、特に問題はないでしょう」
    結局一人で朝練は叶わぬ夢だったようだ。それならと気分を切り替えて課題を終わらせようと取り組んでいると、
    「ねえ、昨日は大丈夫だったのかしら?押さえられてたコースがひとつ空いたってことはあなたが空けてくれたのかと思ったのだけど」
    「……かだいのじゃましないでくださーい」
    「あらごめんなさい。ところで話は変わるのだけど、コースを空けてくれた人にお礼として課題の要点をまとめたノートを用意していたのだけど」
    「私です私です私です!トレーナーさんが私の様子がおかしいからって体調不良として休みにしてくれたんです!」
    課題の要点ノート欲しさに余計なことまで言ってしまった気がするが背に腹は変えられない。
    ちぇっ、今日はずっとキングのペースに巻き込まれてる気がするなぁ……
    「すごいねぇキング、課題がスルスル終わってく!」
    「当然よ!このキングがまとめた虎の巻よ!感謝なさい!」
    「でも少し申し訳ないなぁ……キングはこれを私の分とスペちゃんの分と、二つも作ったのなら課題を三回もやったも同然じゃん……」
    「それを損とは考えないわ。より深く課題の部分が理解できたから私にも利はあるのよ」
    「……頼まれたスペちゃんはともかく、コースの話を持ち出してまで私を助けてくれる理由はなんなの?というかなんで私がコースを空けたってわかったの?」
    「質問が多いわね……まあいいわ。あなたがコースを空けたと思ったのは空いたコースにあなたのトレーナーがぼーっと突っ立ってたからよ。それからあなたを助ける理由は……朝言ったはずよ。キングのプライドが許さないのよ」

  • 905722/04/02(土) 02:42:06

    どうやら、キングからともだ……んん、連れとしては思われているらしい。一方通行の関係は寂しいから、こういうキャッチボールはしっかりとボールを返してあげたい。
    「……私としても、昨日は走れるような状態じゃなかったし、友達のキングが有効活用してくれたのなら嬉しいなぁ」
    「とも……んん!あなたの場合走れるような状態じゃなかったことを反省しなさいよ!まさか今日は忘れてないでしょうね!?」
    「えー、そんなに私の下着に興味あるの?やーんへんたい、へんたいキング」
    「人がせっかく心配を……あら?そういえばなんであなたのトレーナーはコースで突っ立ってたのかしら?」
    「そういえばフラワーにも様子がおかしかったって言われたっけ……私が帰ったあとに何かあったのかな……」
    言いながら、記憶の奥に封印しようとした自爆特効の記憶がよみがえる。
    「わ……わたしは!特に思い当たることはないかなぁ!」
    「いきなりどうしたのよ……声も裏返ってるし……何か怪しいわね」
    「そ、そんなことないよ」
    「もしかして、『トレーナーにブラ付けてないことがバレたんじゃないか』って不安になったとか、かしら?」
    「!!?」
    当たらずとも遠からずの推察。一瞬の動揺。
    しかし、自爆特効の話をするよりもはるかにダメージが少ないんじゃないかとすぐに思い至る。
    「……まあ、不安にはなるでしょ。キングが逆の立場だったとして、トレーナーさんにバレたくないと思うでしょ?」
    「一流はまず前提みたいなことを起こさないものだけど……そうね、そこは同意するわ」
    「だったら武士の情けとして、これ以上の追及はやめてもらえないかなぁ、なーんて」
    「それはグラスさんの専売特許でしょう……まあいいわ。課題ももうそろそろ終わったでしょうし、あなた寝不足でしょう?授業が始まる前には起こしてあげるから、寝てていいわよ」

  • 915722/04/02(土) 02:43:08

    「……そんな見てわかるほど寝不足全開でした?」
    「それはもう。私でもブラを忘れるなんてやらかしをしたら眠れないでしょうし、気持ちはわかるわ。課題をやってますます眠くなったんでしょうね。ひどい顔になってるわよ」
    「うへぇ、ひどい顔かぁ……それじゃあ、本気で甘えるよ?」
    「よろしくてよ。原因は自分であれ昨日のあなたは苦労をしたんだから、今ぐらいゆっくり休む権利をあげるわ」
    「……ありがとね、それじゃあおやすみ~」
    私は机にうつ伏せになり、不安を棚上げし、とりあえず今は休むことにした。
    眠りにつく前にドアが開く音とスペちゃんがキングに泣きつく声、もっと早く来なさいよと怒るキングの声が聞こえてきた。
    キングは優しいなぁ、そんなことを思いながら私は贅沢な朝寝に落ちていった。

  • 925722/04/02(土) 02:47:02

    短くまとめる才能がなくてダラダラとすみません……
    ちょっとずつ話を進めていきたいなと考えてます。
    あと二つ目の話は繋がりが微妙なのでifとしてでも一個目の前にあった話として読んでいただいても……

  • 93二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 08:25:19

    >>92

    繋がらない部分はこっちが妄想で補えば問題ないかと

  • 94二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:00:33

    保守

  • 955722/04/03(日) 02:52:59

    ほんのり91の続き

    授業はあっという間に終わり、気づけばトレーニングの時間になっていた。
    みんなに挨拶を済ませ、トレーナーさんの待つトレーナー室へと向かう。
    「メールだと普通に話せたんだけどなぁ……」

    セ【セイちゃんでーす】
    セ【保健室で休んだからか元気になりましたよー、明日のトレーニングはどうします?】
    ト【本当か!元気になったならよかった!】
    ト【それでも明日は無理をしないようレース研究や作戦会議にあてよう。焦って悪化しても困るからな】
    セ【了解でーす、それじゃあトレーナー室に行けばいい感じです?】
    ト【そうだな、体調が悪いなら休んでもいいからいつでも言ってくれよ】

    今私の心を占めるのは、昨日あんな理由で休んでしまった罪悪感、自爆のせいで生じた気まずさ、それから……トレーナーさんに会いたいという思いだ。
    自分でも意外に思うけど、気まずさに任せて今日も体調が悪いことにして逃げるなんて方向には向かわなかった。トレーナーさんに心配させてしまった、もうあんな心配はかけたくないという罪悪感が私をいい感じに舵取りしていた。
    とはいえ気まずさがなくなるわけではないが、フラワーとキングが言っていた「トレーナーさんの様子がおかしかった」という言葉が背中を押してくれる。
    「私にドキドキしてくれてたなら、自爆した甲斐もあったというものだよね……」
    自分で自分を鼓舞しつつ、トレーナー室に入った。

  • 965722/04/03(日) 02:53:51

    「お疲れ様、トレーナーさん。今日のトレーニング、始めましょうか!」
    『おお、スカイ!今日は早いんだな!体調は大丈夫なのか?』
    「はい、大丈夫ですよ~、いや~昨日はご心配をおかけしましたね~」
    『体調が悪いときは仕方ないよ。みんないつでも元気ってわけにはいかないからな』
    「そうですね~」
    あれだけ気まずかったわりに普通に話せてる、私は安心しつつ"いつもの自分"を意識する。
    『……スカイ、本当に大丈夫か?』
    「へ?」予想外の反応だ。
    『いつもの君なら「トレーナーさんも体調悪いときは休んでくださいね~」とか、そんな感じで休もうとするだろう?まだ本調子じゃないか?』
    「…………それはさすがにひどくないです!?昨日の遅れを取り戻すべく時間通りに馳せ参じたセイちゃんに言う言葉がそれですか!?」
    『よかった、いつものスカイだな』
    トレーナーさんは笑う。どうやら冗談だったようだ。
    こればかりは普段の自分の行いが悪い。それは承知の上で、
    「心が傷ついたので休みを要求しまーす」
    『それだけ言える元気があるなら安心だよ、さあ、作戦会議といこうか』
    「聞いてます~!?」
    これでいい。"いつも通り"の私でいられてるのなら多少の嫌な信頼も今はよしとしましょう。
    テーブルに向かい合って座り、作戦会議を始める。
    『菊花賞での作戦は見事だったけど、あれはたびたび使える作戦でもないからな。新たな軸になる作戦を考えておきたい』
    「そうですね~、特にしてやられたスペちゃんなんかはがっつりマークしてきそうですよね。そうなるとのんびり逃げさせてはくれなさそうです」
    『何か策はあるか?実行するスカイの意見が聞きたい』
    「うーん……最終直線に賭けるというのはどうでしょう。まずーー」
    作戦会議は順調に進み、ライバルのレース動画を見て仕掛けどころの研究も上々に終わった。
    『それじゃあ次のレースまでにスタミナをつけるのが一番の急務だな。スピードやパワーもつけていきたいが、焦らずにいこう』
    「はいはーい、明日からまた忙しくなりそうですねぇ」
    『君がやる気になってくれてよかったよ。』
    「なんですかそれ~、セイちゃんはいつも全力ですよ~」
    軽口を交わし笑い合う。昨日までもあった光景だ。
    でも、もう一歩進みたい。ちょっとでも私がトレーナーさんをドキドキさせられたのならチャンスはあるはずなのだ。

  • 975722/04/03(日) 02:56:36

    「……トレーナーさん、昨日の話なんですけど……」
    決死の覚悟で話を振る。赤面してたらどうしよう。覚えてた上でドン引きされてたらどうしよう。
    『昨日?どの話だ?』
    トレーナーさんはピンと来てないようだ。
    「古来より心は心臓に宿ると申しまして、いわば心臓とは心と言ってしまっても過言ではないということです。……私の心に触れて、どうでしたか?」
    自爆上等。!掛かりというマークが視界にちらついた気がしたが気にしない。……支離滅裂なことを言っている気もするが気にしない。
    逃げずに戦う。敵前逃亡は嫌だ。
    『スカイ……』
    トレーナーさんは、言葉を選んでいるようだった。選ばれる言葉が前向きなものであることを祈りつつ、続きを待つ。
    『実は心臓が左寄りにあるというのは俗説で、本当は体の真ん中あたりにあるんだ。だからスカイの心に触れられたわけではない、と思う……それでも、君のドキドキは伝わってきた。それから体調がおかしかったとはいえそこまでしてくれるほどに心を開いてくれてることは素直に嬉しかったよ』
    優等生な答えに私は少し……いや、かなり落胆する。これは恋愛的な好意ではない、というより意図的に伏せられてる感じがする。恐らく、どんな答えであれ私を傷つける可能性があるから。
    「トレーナーさん」私は止まらない。
    「なんですかそのロマンのない答えは!心臓の位置が違う!?私はウマ娘ですよ!人間の人体構造なんてあてはまらないですよ!」
    我ながら意味がわからない。
    「それならもう一回です。今日頭が正常なのは作戦会議でご存じのはずです。私がそれぐらい好意を向けていることを否定しないでくださいよ!」
    でも止まらない。堰をきったように思いが溢れてくる。
    自分の手である程度の位置を探ってからトレーナーさんの手を取り、私の胸の下あたり、心臓のあたりに手を当てる。
    「このドキドキがトレーナーさんへの想いです。私はトレーナーさんのことが……ことが……」
    ここまで来て続く言葉が出てこない。二文字が出てこないって本や音楽でよく聞く話ではあったけど、本当だったんだ。

  • 985722/04/03(日) 02:57:10

    『……スカイ』トレーナーさんが口を開く。
    『そこから先は僕の方から言うべきかもしれない、なんていうと今じゃあ男女差別になるのかな』トレーナーさんは苦笑しながら続ける。
    『でも、それは今じゃない。今じゃないんだよ、スカイ。君の思いはよくわかった。光栄だし、嬉しい。でも今答えを出してあげることはできない。レース、立場、年齢、いろんな問題がある。僕の思いを君に伝えることには障害走なんて目じゃないぐらい困難が待ってるんだ』
    トレーナーさんは目をつぶり、何かを覚悟した表情で続けた。
    『だから明日まで待ってくれ。覚悟を決めるまでの猶予をくれないか。君の覚悟に答えるため、今いい加減な答えを出したくないんだ』
    「トレーナーさん……」
    言葉を、反芻する。思いを伝えることに問題があるということは……もしかして……
    『ああ、そうじゃないよな……格好つけてこんなこと言って……僕は結局、君の気持ちから保留なんて逃げを打とうとしてるわけだ』
    トレーナーさんは気づけば顔が赤くなっていた。
    「……逃げも、追ってくる相手との戦いも、悪くないものですよ」
    『……言葉の重みが違うな、さすがはトリックスターだ』
    「トレーナーさんのペースも乱せました?」
    『ああ、乱されすぎて考えがちっともまとまらないよ。きっと今日は眠れないだろうな』
    「私も今夜は眠れますかねぇ……ふわぁ」
    『今あくびしてるなら大丈夫だよ、きっと』
    「オトメのあくびを見ないでくださーい」
    無駄口を叩きながら、私もいろんな思いを保留にする。明日トレーナーさんの答えが返ってくる。そしてそれは、どちらにせよ受け入れなければならないものだ。
    今回のキャッチボールは私がめちゃくちゃにしてしまったけど、明日にはボールを返してくれると信じてる。
    「それじゃあお疲れ様で~す、明日、楽しみにしてますね~」
    努めて明るい声を出す。ボロが出た"私"を繕い直す。
    『明日はグラウンドで待ってるから、直接来てくれよー!』
    トレーナーさんの言葉に、手を振って返事する。
    私も、腹をくくるしかないな。そう決意し、トレーナー室を後にした。

  • 995722/04/03(日) 02:58:27

    多分あと一回か二回ぐらいで終わりそうです……
    もしよろしければ最後までお付き合いいただければ幸いです……

  • 100二次元好きの匿名さん22/04/03(日) 03:02:29

    >>99

    期待してます

  • 1015722/04/03(日) 14:20:39

    うっすら98の続き

    トレーナー室から帰る途中、キングに会った。
    「あら、スカイさん。お疲れ様」
    「やっほーキング、お疲れ様~、ここで会うのは珍しいねぇ」
    「そうね……ねぇ、あなた、大丈夫?」
    「へ?何が?」
    「あなたが今ひどい顔してるわよ。何か悩んでるんじゃない?」
    「………………」
    しまった、顔に出てたか。もしくはキングが鋭いのか。
    そして一瞬迷う。キングに相談すべきか。いつもの"セイウンスカイ"ならきっと笑ってごまかすだろう。でも今の"私"はそこまで強くなれそうもなかった。
    「…………キングってさ、トレーナーさんとどんな関係?」
    「いきなりどうしたのよ……そうね、彼はまだまだ至らない点も多いし、ときどきデリカシーのないことを言ってきたりもするけど、それでも私と一緒に一流を目指す姿勢は……嫌いじゃないわ」
    キングの顔にわずかに朱がさす。
    「なるほどなるほど。それじゃ、異性としてはどう思う?」
    「はぁ!?そんなの……スカイさん……わかったわ、場所を変えましょう」
    私たちは夕日のさす中、私が普段昼寝に使っている人通りのない小さな丘に移動した。
    「なるほど、こんなところにあなたのサボりスポットがあったわけね。参考にさせてもらうわ」
    「うげ、教えるんじゃなかったなぁ」
    「冗談はここまでにして、と。スカイさん、あなたトレーナーとの関係で悩んでるのね」
    「直球だねぇ。……あ~ダメだ。ごまかそうと思ったけど何も思いつかないや」
    「あなたがそこまで弱った姿を見せるなんて本当に珍しいわね。こうなると私も真面目に相談に乗るわよ。何があったか、このキングに話してごらんなさい」
    「…………わかったよ」

  • 1025722/04/03(日) 14:21:19

    私は昨日からのことをキングに話した。突拍子のない私の奇行も、キングはツッコミを入れることなく真面目に聞いてくれた。
    「……なるほどね。あなたがあんな顔をするなんて何があったのかと思ってみたら、ただの青春じゃないの」
    私の話を聞き終わったキングは呆れたような、それでいて安心したような表情でそう締めくくった。
    「青春って……トレーナーさんに……恋することが青春だなんて……そんなキラキラした言葉でまとめていいの?」
    「トレーナーとウマ娘が恋に落ちるなんて珍しくもない話よ。トレーナーはウマ娘のことを思ってトレーニングを組み、勝利をつかむためにできることを全てして、逆に私たちウマ娘はその恩を返すようにレースに勝ち、ライブで感謝を伝える。相思相愛、一心同体の関係と言えなくもないわ」
    「………………」
    「トリックスターだなんて言われててもあなたはあなたよ、セイウンスカイ。掛かり気味でも不格好でも、もう思いを伝えてしまったのなら恐れずぶつかって行ってごらんなさいな。あなたのトレーナーは答えをはぐらかすような人じゃないでしょう?」
    「……恐れず、か。そっか、私、明日が怖かったのか」
    「あなたは自分のキャラを意識しすぎなのよ。それで自分の気持ちまでわからなくなってちゃ世話ないわよ」
    「……そんなつもりは……あったかな。みんなみたいに私は恵まれた才能も強い心も持ってないからね。せめて強いふりぐらいはしてないと……みんなと並ぶことなんてできないから」
    「……あなた、私たちの世代でクラシックで二冠取ってったウマ娘が誰だか忘れたの?……悔しいけど、あなたも持ってる側よ。このキングから勝利をもぎ取ったのよ。なのにその自己評価の低さはいただけないわ。もっと自信を持ちなさい」

  • 1035722/04/03(日) 14:21:35

    キングの言葉を受け、しばし考える。
    結局私には才能も強い心もない。その劣等感だけはどうしても拭うことができない。それでも。
    これまで走ってきた自分を認めることぐらいは、してあげてもいいのかもしれない。
    「にしても、明日ねぇ……あなたに今できることはないでしょうけど、ま、気楽に待つことね。夜不安になったら電話をかけてきてもいいわよ」
    「……ありがとね、キング」
    「……キャラがどうのとは言ったけど、あなたがそう殊勝な態度だと調子が狂うわね」
    「え、それはひどくない?私だって真面目なときはあるよぉ」
    「普段の行いを省みてからおっしゃいなさい!あなた、いつもふざけてばっかりじゃないの!」
    「みんなしてひどいなぁ……セイちゃんはいつも真剣なのに……よよよ」
    「……まあいいわ、それだけ軽口が叩けるようになったのなら上等よ。ちょっとぐらい腹が立つぐらいがちょうどいいわね、あなたは」
    どちらともなく笑い出す。
    「ねぇ、キングのトレーナーさんの話も聞かせてよ」
    「嫌よ!と言いたいところだけど……しょうがないわね!素直なあなたを見せてくれたお礼に聞かせてあげるわ!」
    その後私たちは、年相応の恋バナ、ってやつを門限ギリギリまで楽しんだ。
    明日に備えて、私が今できることは……

    セ【トレーナーさん、明日の練習ですが、予定を変更して私にメニューを任せてもらえません?】
    ト【いきなりだな。でも何か考えがあるんだろう、いいよ】
    セ【ありがとうございます~、それじゃ、グラウンドでお待ちしてますね~】

  • 1045722/04/03(日) 14:23:45

    保守代わりに続きを
    今晩終わらせられる…といいなぁ

  • 105二次元好きの匿名さん22/04/03(日) 19:48:14

    >>104

    期待しています!

    保守しておきますよ!

  • 106二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 01:49:21

    守護

  • 1075722/04/04(月) 02:28:02

    ふんわり103の続き

    時は流れて来たる放課後のグラウンド。
    私ーーセイウンスカイは、クラスメイトのキング、スペちゃん、グラスちゃん、エルちゃんと一緒にトレーナーさんを待っていた。
    『……クラスメイトのみんなか。スカイのしたかったことってもしかして……』
    「そう!今日はクラスのみんなと模擬レースをしたいと思いまして~にゃははっ!」
    「セイちゃんがレースに誘ってくれるなんて珍しいよね!私楽しみで楽しみで仕方なかったよー!」
    「スペちゃん元気ですねー!でも勝つのはエルデース!」
    「ふふっ……二人とも元気ですね」
    仕掛けは上々、と盛り上がるみんなを見ていると、
    「スカイさん、ちょっと来て」
    とキングに連れ出された。
    「あなた、昨日の今日で何を企んでいるの?私にぐらい教えてくれてもいいんじゃないの?まさか本当にただ模擬レースがしたいだけなんて訳ないでしょう?」
    「いや~、キングは鋭いなぁ、ま、ちょっとした儀式みたいなもんだよ。私が覚悟を決めるためのね」
    「ふぅん……まあ詳しくは最後まで終わってから聞かせてもらうとして……まさかあなた、すんなり勝てるとは思ってないわよね?悪いけれどレースである以上は手は抜けないわよ」
    「それはありがたいねぇ……今回ばかりは、楽に勝たせてもらうんじゃ意味がない。全力のみんなに全力で挑んで、絶対に勝つんだ。勝たなきゃ、意味ないんだ」
    「へぇ、珍しく闘志むき出しじゃない。面白いわ。せいぜい逃げ切ってみせなさい。キングが差しきってあげるから」
    「やれるもんならやってみなよ。今日は私も、本気だから」

  • 1085722/04/04(月) 02:29:00

    距離はみんなと相談して2000メートルで行うことになった。
    「それじゃ、トレーナーさん、スタートの合図お願いしま~す」
    『わかった。それじゃ……始め!』
    レースは予想通り、私が一人逃げ、スペちゃん、エルちゃんが先行策、キングとグラスちゃんが控えて足をためる展開となった。
    「………………」
    今回は作戦なんてない。ただ逃げて逃げて根性で逃げ切る。よく言えば作戦がないのが作戦、ってことになるかな。
    スペちゃん、がっつりマークしてきてるなぁ……菊花賞でしてやられたのが悔しかったんだろうなぁ。
    エルちゃんは堂々と自分の走りをしてるみたいだね……正直対戦経験がないから怖いや。
    キングは……末脚にかけてるみたいだね。最後に笑うのはこのキングよ!とか思ってそうだなぁ。
    グラスちゃんは……すごい気迫。まるで薙刀でも持って追われてるみたいなプレッシャーを感じるよ。
    「でも……勝つのは……私だぁぁぁあ!!」
    ラストコーナー、スパートをかける。作戦なんてない。自分の限界を越えるつもりで根性で加速する。
    「えぇ!?ここでまだ加速するの!?セイちゃん……でも、負けないよ!」
    スペちゃんも負けじと加速してくる。他の三人も追ってきてるだろうなぁ。
    「はぁぁぁぁああ!!」
    負けたくない……いや、勝ちたい。勝ちたい!
    ここで勝たなきゃ私は……
    「抜かせるかぁぁぁあ!!」
    スペちゃんと競り合った。振り切る。
    もう後ろは気にしない。ただゴールを目指す。
    そして……

    「セイちゃんすごいね!ペースを保ったまま逃げ切っちゃうなんて……またリベンジさせてね!」
    「まさかセイちゃんがこれほど強いとは……次に勝つのは私デース!」
    「ふふふ……次は正式なレースで戦いましょう」
    一着でゴールしたものの息も絶え絶えの私に、みんなが駆け寄ってくる。
    「……そっか、私、勝てたんだ……」
    レース後なのに元気なみんなと無茶なペースで飛ばしてヘトヘトの自分を比べて少し落ち込み、それでもみんなに勝てた喜びが込み上げてくる。

  • 1095722/04/04(月) 02:29:42

    「呆れた……あなた、全力じゃないの。その一割でも普段の生活に回せないのかしら」
    「キング……」
    「まあ、おめでとうと言っておくわ。あなたの色恋の都合に付き合わされたのは少し癪だけど……誇りなさい。あなたはこのキングに勝ったのよ」
    「……にゃはは、お詫びにキングが何かを吹っ切りたいときには付き合うよ。ただ、負けてあげることはできないけどね~」
    「言うじゃない!完膚なきまでに差しきってあげるわ!」
    「セイちゃん、キングちゃん、なに話してるのー?」
    「あはは、スペちゃんにはまだ早い、オトナの話だよ~」
    「えー、なにそれー!」
    そんな感じでセイウンスカイプレゼンツ、私たちの世代ステークスは私の勝ちで幕を閉じた。
    さて、次は……

    『おめでとう、スカイ。君らしくない走りだったけど、あれは作戦だったのか?』
    「にゃはは、ペースを落とすと踏んでいる相手から全力で逃げることでペースを乱す……何度も使える手ではないけど、こういう逃げをするかもしれないってみんなに意識させることまで含めて今回の作戦って感じですかね~」
    我ながらよくもまあ舌が回るものだ。理屈と膏薬はどこにでもつくとはよく言ったものですねぇ。
    『なるほど、いつもながら見事な作戦だ……でも、トレーナーとして病み上がりであんな無茶をしたことを手放しで誉めることはできない。そこは反省してくれ』
    「あっははー、手厳しいですねぇ……そこは反省します……」

  • 1105722/04/04(月) 02:30:36

    『それで……もしかしてなんだが、今日こんな無茶をしたのは昨日の約束と関係があるのか?』
    「……私なりに、いろいろ考えたんです。トレーナーさんがどんな返事をするか。その上での私の答えが、今日のレースです」
    『えーと……どういうことだ?』
    「例えばです、トレーナーさんが私の思いを拒む理由を考えたときに、真っ先に思い浮かんだのがレースへの影響です。結果はこの通り、作戦とはいえ私は根性で勝ちきって見せました。これはレースへ悪影響を及ぼすことはないという証明になるんじゃないでしょうか」
    「作戦について疎かになるんじゃないか。この通り昨日の作戦会議では出なかった新しい作戦を考えてきました。問題ないです。練習が疎かになるんじゃないか。ここは信頼していただくしかないですが、私が真面目になってトレーナーさんと一緒に頑張ります。学業が疎かにーー」
    『……あはははは、もういいよ、スカイ、よくわかったよ』
    『そんなこと言わなくても大丈夫だよ。君はもっと自分の魅力を信じていいんだよ』
    「でも……」
    『僕からの答えはこれだ』
    そういうとトレーナーさんは、私の足の甲に口をつける仕草をした。
    当然ウマ娘にとって足は走るために重要な部位だ。そこにキスをするということは……
    『レース後の足にそのままキスされるのは嫌だろうから今はフリだけで許してくれ。足の甲へのキスの意味は本来なら隷属なんて物騒な意味だが、トレーナーがウマ娘に対して行う場合は意味合いがかなり変わってくる』

  • 1115722/04/04(月) 02:32:35

    「"永遠にあなたの足を支えます"ーー転じて、愛を誓う意味になる……」
    『そう。……えーと……だいぶ格好つけちゃったなぁ……我ながら。顔から火が出そうだ』
    顔を真っ赤にしているトレーナーさんを、抱き締める。
    「なんですかそれ……格好つけすぎですよ……格好いいじゃないですか!ますます好きになっちゃうじゃないですか!」
    『嬉しいなぁ、それは……だから、スカイが心配してたようなことは全部杞憂だから安心してほしい。今日のレースを見せてもらわなくても、君のことは信頼してたからね』
    「それじゃあ……昨日の私の策はまるっきり空振りだったってことじゃないですかぁ!」
    『いいや、空振りじゃないよ。あれでウマ娘としての君に惚れ直したからね』
    「っ……!惚れ直したって、トレーナーさんも私のこと……」
    『ああ、出会いはロマンなんてない偶然だったけど、そこからは君に惹かれる日々だったよ。自分の実力を低く見積もりつつも持ってるもので工夫して戦い抜く姿勢。その奥に秘めた負けず嫌いの顔。そしていつもの無気力そうな飄々とした態度……どれも君で、どれも好きだ。トレーナー失格を重々承知で、僕は君を愛してしまっている』
    「……素面でそういうことすらすら言えちゃうんですから……私もトレーナーさんのこと、負けないぐらいに好きなんですからね!」
    恋心だと明確に意識したのは、バレンタインのときだったと思う。
    でもその前からーー私の中に甘く、温かく積もっていくその思いは、ずっと前から。
    私のサボり癖を知った上で見放さずにいてくれる。
    邪道ともいえる私の作戦勝負を一緒になって考えてくれる。
    私のことを不器用に、過剰なぐらいに心配してくれる。
    私のことを一番に……三冠は取れずそこからも勝ててない私をいつも応援してくれる。
    「……そんな感じでうっかりセイちゃんのことを釣り上げちゃったんだから、責任もってお世話してくださいね!」
    『釣られちゃったのはお互い様だろう、スカイ』
    「……あー!なんかむず痒いです!お互いに砂糖を吐くような会話はむずむずします!」

  • 1125722/04/04(月) 02:33:29

    『じゃあ話を変えようか……トレーナー研修でね、一番最初に言われる言葉は"なるべく一人のウマ娘に入れ込みすぎるな"なんだよ』
    「……?なるべく?なんとなくふわっとした言葉ですねぇ」
    『そうなんだよ。この言葉の裏……というか真意は額面通りの意味じゃなくて、なるべくがかなわず入れ込む一人の相手ができたなら、責任をとれという意味だと言われててね……』
    「……それじゃあ、まるで恋愛オーケーみたいな真逆の意味合いになりません?」
    『そうでもないよ。乱暴に言ってしまえば可能な限り好きにならない努力をしろ、もしそれが無理なら幸せにしてやれ、ってことだからね』
    「好きにならない努力……うーん、私にもその努力をしてたんです?」
    『ああ、特に僕は新人だし生真面目に君の欠点を探そうとしたよ。……まあその結果、欠点より美点を多く見つけてしまってこのザマだ。厳しくしようと心がけてた口調も気づけば砕けてきてるし、僕も空回りばっかりだよ』
    トレーナーさんは笑って答えた。
    「つまりセイちゃんが魅力的すぎたのが悪かったってことですねぇ、いやぁ、いい女ですみません」
    私も笑って軽口を叩く。
    私の作戦は結局思っていたような結果にはならなかったが、考えられる限り最高の結果にたどり着けたからよしとしよう。
    『これで付き合うことになる……のかな?でも関係自体はそう変わらないよな』
    「ですねぇ、突き詰めたらウマ娘とトレーナーって関係自体は続いていきますしねぇ」
    『まあ、これからは真面目にトレーニングしてくれるってスカイも言ってたし、期待させてもらおうかな』
    「げげ、これは墓穴を掘っちゃったかなぁ……まあ、ずっとと言えるかはわかりませんが、愛の力で頑張っちゃいますよ~」
    トレーナーさんとオツキアイするようになったとはいえ、何もかもが変わるわけではない。
    厳しい言い方をするなら、一歩進んだだけとも、むしろ風当たりが強くなるんじゃないかともいえる。
    それでも、私は私を少しは認めることができたと思う。今の私を、幸福だと認めてあげることができる。
    「よく頑張ったな、私!」
    ブラをつけ忘れたことから始まった一連の自爆やらなんやらを思い返しつつ、私は経緯はどうあれたどり着いた結末に、花丸をつけてあげることにした。

  • 1135722/04/04(月) 02:33:52

    余談だけど、この後私とトレーナーさんの関係がバレた結果、私たちの世代で誰かがトレーナーさんと恋仲になるとき、5人でレースするという習慣ができた。
    そしてそのとき勝利するのは、決まって恋仲になる子だったという……

  • 1145722/04/04(月) 02:38:45

    マジで長い…申し訳ないです…
    初めての拙作に長い間お付き合いいただきありがとうございました。
    スレ主さんもだんだん趣旨からずれてく珍妙なSSでスレ汚し失礼いたしました…
    SSを書くことの楽しさはよくわかったため、ご迷惑でなければまたどこかでお会いできれば…
    読んでくださった皆さん、保守してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
    自分としてはスカイに幸せな結末を用意してあげられたことが一番嬉しいです。

  • 115二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 10:25:36

    めっちゃよかったです

  • 116二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 20:45:56

    これは良いスレだ

  • 117二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 00:42:51

    ss助かる

  • 1185722/04/05(火) 01:33:13

    「あの……スカイさん、よかったら今週末一緒に買い物に来てくれませんか?」
    「フラワーからのお誘いなんて珍しいねぇ、もちろんオッケーだよ。何買いにいくの?蹄鉄とか?」
    「いえ……その……わ、笑ったりしませんか?」
    「フラワーを笑ったりなんてしないよ。このセイウンスカイ、フラワーのためならたとえ火の中水の中!なんでも言ってごらん?」
    「スカイさん……ありがとうございます!実はその……ブラを……見に行きたいんです……」
    「ん……なるほど、そっか。ブラは走るのにも影響するしね。もしかして初めて?」
    「はい……最近走るときに違和感があって……」
    「フラワーももうそういう年頃なんだねぇ。でもそんな大役、私でいいの?」
    「はい!クラスメイトの皆さんや同室のブルボンさんにはこんな話をするのがどうしても躊躇われてしまって……スカイさんになら相談できるかと思って……」
    「ふむふむ、それはセイちゃん冥利に尽きるというかなんというか……よし!せっかくだし最高のブラをフラワーにプレゼントしちゃいましょう!」
    (とは言ったものの私もブラにそんなに詳しい訳じゃないんだよね……どうしよう……)

  • 1195722/04/05(火) 01:35:13

    みたいなフラウンスがあってもいいと思うんです
    調べまくってフラワーをエスコートするスカイもいいし自分が興味ないから空回っちゃうスカイもいいしでどう転んでもおいしいのでは?

  • 120二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 11:18:19

    >>119

    個人的には後者で二人そろって更衣室で悩みぬいてほしいですね

  • 121二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 20:41:49

    >>119

    SSまだ何かネタある?保守しとくで

  • 1225722/04/05(火) 22:51:24

    >>121

    温かくて泣きそうになりました……嬉しい

    今日の育成が終われば120さんの上げてくださったシチュエーションで書きたいですね

  • 1235722/04/06(水) 02:33:04

    ふわっとフラウンス初ブラ編

    「ありゃりゃ……早めに来たつもりだったんだけどねぇ」
    「あ、スカイさん、おはようございます!今日はよろしくお願いしますね!」
    「こっちこそよろしくね~」
    迎えた週末。私はフラワーとの待ち合わせ時間より15分も早く待ち合わせ場所の校門前に来たというのに、フラワーはそれより早かったみたいだ。
    結局特に下調べはせずに来てしまったなぁ……話を聞こうにも周りは私よりはるかにいいものをお持ちの皆さんですからねぇ、私もろくに覚えてない初めてのブラの話なんて覚えてるか……閑話休題。
    「そういやフラワーと私服で出掛けるのは珍しいねぇ、よく似合ってて可愛いよ」
    「ありがとうございます!スカイさんもスポーティーでよくお似合いです!」
    「いやいや、私は動きやすさ重視だから……でもフラワーに褒められると嬉しいな」
    「スカイさん釣りがお好きですしね。……ところでスカイさん、今日はどこに見に行くか決まってますか?」
    「あー……そういえばどこに買いに行くとか決めてなかったね。とりあえず私が普段買ってるところ見てみる?」
    「はい、お願いします!」
    そうして私たちは行きつけの(というほど通ってはない)下着店へと移動することにした。
    移動中、大丈夫かなという不安がよぎる。どうせ見えないし動きやすさ重視、デザインは二の次派の私と違ってフラワーはおしゃれも気にするオンナノコだ。それも初めてということもあり可愛いものを選びたいのではないだろうか。しかも私は……うん、体型の維持が完璧に近くできているため、ブラを頻繁に買い換えることもない。サイズがキツくなったなどとのたまうスペちゃんやキングたちは体型管理が甘いんだよ、うん、と自分を納得させる。
    ……あれ?私もしかして女子失格?
    「一人だとどうしても踏ん切りがつかなかったから、スカイさんに一緒に来てもらえて本当に心強いです!」
    私の内心の焦りとは無関係に、フラワーは無邪気な笑顔をこちらに向けてくる。
    「あ、あははー、力になれるかはわからないけどね」
    謙遜なんかじゃない。マズい。このままでは私は何の役にも立てそうにない……

  • 1245722/04/06(水) 02:34:50

    「ここがスカイさんがいつも選んでる下着屋さんですね!」
    「うん、とはいえあんまり……ううん、なんでもないよ!」
    ショッピングモールの一角にある下着屋さん。ウマ娘の運動にも耐えられる耐久性が評判と聞いて足を運んだところ、あまりに傷まないためにしばらく来ていなかった、のだが。
    「一口にブラと言ってもいろんな種類がありますね。スカイさんはどうやって選んでますか?」
    「そうだね、まずは店員さんにお願いしてサイズを測ってもらおうか。それから……そうだね、運動用のものと普段使いの二種類を見ることにしよう。ヒト向けのブラはウマ娘の運動に耐えられないからね」
    「わかりました!それじゃあ……店員さんにお願いするの、一緒に来てもらってもいいですか?」
    「もちろん。それならついでに私もサイズ変わってないか見てもらおうかな」
    そうして店員さんにサイズを測ってもらい、ウマ娘用のコーナーに移動した。
    「スカイさん、そうお気になさらず!私はスカイさんはスリムでかっこいいと思いますよ!」
    「まさか据え置きそのままだとは……ごめんね、フラワーにまでフォローさせて……とりあえず、このあたりがフラワーのサイズになると思うけど、こればっかりは実際に着けてみないとわからないからねぇ。ひとまずピンときたものを試着してみようか」
    「なるほど、それじゃあ……これを試してみます!」
    そう言って試着室に入っていったフラワーを見送り、私は安堵のため息を漏らした。
    そうだ、私は気にしてなかったけど運動用のブラってだいたい強度重視でデザインが凝ったものはないのだ。考えてみれば、過度な装飾は肌への刺激となってレースへの集中を妨げかねない。
    「スカイさん、すみません、ちょっと来ていただけますか?」
    安心しつつ次の普段使いのほうのことを考えていると、フラワーからお呼びがかかった。

  • 1255722/04/06(水) 02:35:47

    「はいはーい、どうかした?というか開けて大丈夫?」
    「はい、今は上に服を羽織ってますので……」
    「了解、それじゃあ入るよ~」
    中では、恥ずかしそうな顔をしたフラワーが待っていた。
    「その、着けてみたんですけど変じゃないか見てもらいたくて……」
    そう言うと、フラワーは服を脱ぎ、上半身はブラだけの格好になった。
    「ひゃぁ!……フラワーって、意外と大胆だねぇ……」
    「スカイさんだからですよ!それで……後ろちゃんと留められてるかとか……胸に対して位置はおかしくないかとか……見てください……」
    「了解、それじゃ、見ていくね~」
    正直私も正解不正解を判定できるほどの知識があるわけでもないのだけど……ままよ!とばかりにフラワーを観察する。
    デザインがシンプルな分着用しやすいこともあり、後ろも問題なく、カップ部分もフラワーの可愛らしい胸にちゃんとフィットしているようだった。
    しかし、なんというか……
    「なんか照れるね、これ……」
    「私も恥ずかしいので頑張ってください!」
    そうして、着け心地も問題なく良好とのことで一つ目が決まった。さて次の問題は……
    「普段使いのほうだけど……これも結局自分に合うかだから私がどうこう言うものでもないんだよね」
    「そういうものなんですね……それじゃあ、自分で選んでみます!……ところで、スカイさん……」
    「ん?」
    「スカイさんは……何色のを着けてますか?」
    「え、私?そうだなぁ……緑とかが多いかなぁ」
    と、自分の髪の毛をつまんで答える。これでも自分の髪の毛の色は気に入ってるので、デザインとかは二の次で色で選んでるところもあるぐらいだ。
    「これにしてみます!」
    とフラワーはブラを一つ選んで試着室に駆け込んだ。
    こっちは見られたくなかったのかな。フラワーも女の子だしねぇ……
    しばらくすると、またフラワーに呼ばれて試着室に招き入れられた。
    フラワーは上に服を着る余裕もなかったようで、淡い緑色のスポーツブラと格闘していた。
    「その……後ろの留めかたがわからないので……手伝ってください……」

  • 1265722/04/06(水) 02:37:10

    淡い緑色に少しの間目を奪われ、
    「……ああ、ごめん、了解!」
    と、フラワーの背に回る。
    ホックはえてしてよくわからない構造のものが多い。初めてともなるとうまくつけられないのもさもありなんだ。
    フラワーから両端を受け取り、留めようとしたがうまくいかない。
    「……あれ?普段後ろ手でやるからかなぁ……これ、難しいぞ……」
    「スカイさん、あんまり引っ張りすぎないでいただけると……」
    「ああごめんフラワー!えっと……このホックがここにかかって……」
    それから体感10分ぐらいの時間が過ぎ、ようやくフラワーはブラを着けることができた。
    「やっとできた……ごめんねフラワー、あんまり役に立てなくて」
    「いえ、そんなことはないです!私一人では着けられませんでしたし!」
    「うーん……それも似合ってるけど初めてならもっと着けやすいデザインのほうがいいんじゃないかな?着けるのに手間取って学校に遅れるなんてことになっても困るし」
    「やっぱりそうですかね……スカイさんとお揃いの色がよかったんですが……」
    「……その気持ちは嬉しいけど、やっぱり最初のはフラワーが着けやすいものにすべきだと思うかな。ごめんね」
    「いえ、スカイさんが謝ることでは……他のものも試してみますね!」
    そうしてフラワーは何度かの試着の末、薄桃色のブラを選んだ。

  • 1275722/04/06(水) 02:37:24

    「じゃあ私も買おうかな」
    「え、スカイさん!?」
    私は薄桃色の自分のサイズに合ったブラを試着せず購入した。
    「緑が好きなんじゃないんですか?どうして……」
    「いやー、お揃いにするためにフラワーが無理をする必要はないってことですよ。これもお揃いでしょ」
    格好をつけて買ったはいいもののちゃんと着けられなかったらどうしよう、サイズが微妙に違ってて締め付けてくる系のだと嫌だなぁ……という後悔は確かに存在している。それでも。
    「正直に言うと、私ブラにはあんまり興味なくてさ……着けられたらそれでいいぐらいの存在だったんだ。でも、フラワーと一緒の色を着けられるなら、それは悪くないなってさ」
    「スカイさん……わかりました!今度私がブラを買いにいくときもまた一緒に来てください!私もそれまでに慣れて今度こそスカイさんの好きな淡い緑でお揃いにしましょう!」
    「……そういえば淡い緑がいいの?確かに私もそのぐらいの濃さが好きだけど緑としか言ってなかったよね?」
    「それは……スカイさんの髪の毛の色みたいで綺麗だったので……」
    「……にゃはは~!そっかそっか!」
    わけもなく嬉しくなる。
    趣味は人それぞれ、とはいうものの好きな相手と一致して嫌な気分になる人はそういないだろう。
    芽吹いた薄桃色の花が散り、木々が緑に変わるまでの季節を私はのんびり待つことにした。

  • 1285722/04/06(水) 02:42:09

    またしても長々とすみません……
    下着事情はマジでわからない&ウマ娘用があるのでは?みたいなよくわからない沼にはまって難航してました……
    逆にセイちゃんがキングあたりにトレーナーとくっついたくせに色気が無さすぎる!って一流ランジェリーを紹介されるみたいなのもアリだと思います(それを書けるだけの下着知識はない)

  • 129二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 08:32:05

    保守しとくで!書きたいだけ書きや!

  • 130二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 16:29:38

    いいスレだ...どうする?新作書こっかなって時のために保守しとこか?

  • 131二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 16:33:08

    お前らの幻想をぶち壊すようで悪いがノーブラで走ったりしたらマジでこうなるからウマ娘はその辺徹底して教育してると思うぞ

  • 1325722/04/06(水) 17:31:15

    みなさん保守ありがとうございます!
    スレ乗っ取ったみたいでスレ主さんには申し訳ない気がするのですが、許されるのであれば今後も何かしら書いていきたいです……
    いつもド深夜になってるし今日はもうちょい早く出せるように頑張ります

  • 1335722/04/07(木) 00:05:19

    「……ねえトレーナーさん、やっぱり男の人は大きい方が好きなんです?」
    「……いきなりどうしたんだ?スカイ」
    「いやいや、乙女に全部言わせないでくださいよ。……あのですね、私の友達にもエルとかキングとか、どことは言いませんけど大きい娘がいるでしょう?」
    「……言わんとしてることはわかったけどそれをトレーナーの立場から言及するのはどうなんだろうか……」
    「にゃはは、そこはセイちゃんが話を振ってるからいいんですよ。どうせここだけでしてる与太話なんですし。それでですね、私のものはみんなに比べたら正直見劣りするでしょう?もしもトレーナーさんが大きい方が好みだったりしたら、私としてはどうしたらいいのかと思いまして」
    「それを僕に言われてもね……サイズなんて関係なく、僕はスカイが好きだよ」
    「……っ!!……えへへ、それはすごく嬉しいですけど……そういう優等生的な意見は認めませーん!トレーナーさんは大きいのと小さいの、どっちが好きなんですか!?」
    「ちょ、ちょっと落ち着けスカイ!何か嫌なことでもあったのか!?」
    「よくぞ聞いてくれました!実はですね……」

    「なるほど、それでサイズが変わってなくてショックだったわけか」
    「うう……身長も伸びないし、あわれセイちゃんの成長期は終わってしまったのでしょうか……」
    「うーん……月並みな話だが成長期は栄養バランスよく食事をとるのが肝要だ。スカイは細すぎて心配になるぐらいだし、もっと食べてもいいと思うぞ」
    「私はスペちゃんみたいに太りたい訳じゃないんですよぉ……」
    「スペシャルウィークについては彼女のトレーナーからわりと愚痴られてるし複雑だな……まあ調整に困るぐらい食べ過ぎるなんてそれこそ君にはあり得ないことだろうし、もっと食べてみるのはどうだろう?」
    「それなら帰りにスイーツでも一緒に食べに行きません?もちろんトレーナーさんの奢りで !」
    「まさかこれまでの流れ、スイーツをねだるための作戦だったのか……?」
    「いえいえまさか。別にトレーナーさんの優しさを信頼しての駆け引きだとか、デートしたいからだとかそういうことではありませんよ?」
    「ならそういうことにしておこうか。何が食べたい?」
    「やったー!トレーナーさん大好きー!」
    「現金だな全く……」
    今はまだ遠回りしないと伝えられないけれど。
    いつか正面から伝えたいな、私のキャラじゃないけどね。

  • 1345722/04/07(木) 00:05:56

    おまけ
    「そもそもスカイも普通にあるから気にしなくていいと思うよ」
    「いやいや、そんなお世辞は大丈夫ですって」
    「お世辞じゃなくて心に触れたときの感想だよ」
    「にゃ!?その話は出さないでくださいよぉ!禁止です禁止!!」
    「そうは言ってもスカイからやってきたことだろう?」
    「だとしても禁止です!……トレーナーさんのいじわる」
    「ごめんごめん、あのときは……なんていうか、いつも仮面をつけてるスカイの素顔が見えたみたいでさ。正直、ドキッとしたよ」
    「あー、そういえばキングやフラワーも様子がおかしかったって言ってましたね。私としてはあれを素顔だと思われるのはちょっと……ですがトレーナーさんがときめいてくれたのならよしとしてあげましょう!」
    「お詫びといってはなんだけど、僕の心にも触れてみるか?」
    「え、それは……というか、あのときの私と違ってトレーナーさん別にドキドキしてるとかでもないでしょう?」
    「そんなことないよ。好きな人と一緒にいるからね、そりゃドキドキもするよ」
    「わ……私が言うのもなんですけど、そういうことばっかり言ってると信用なくしますよ?ロマンチックの安売りはよくないでーす!」
    「僕らの場合出会いがロマンもなにもあったもんじゃなかったからな。その分結ばれてからはロマンチックでもいいんじゃないか?」
    「……やっぱり触れてみていいですか、心。今日のトレーナーさんちょっとおかしいですよ。こんな歯の浮くようなことを平然と並べるトレーナーさんは嫌です。これでトレーナーさんが平然と言ってるならセイちゃん凹みます」
    「……どうぞ」
    導かれるままに触れてみたトレーナーさんの胸は、早鐘のように激しく鼓動していた。
    「……よかった、トレーナーさんも平気じゃなかったんですね」
    「……自分から言っといてなんだけど、装おうとしたキャラを見破られるのは恥ずかしいな。顔から火が出そうだよ」
    「にゃはは、無理して飛ばすと後がしんどくなりますからね。私たちは私たちのペースで歩きましょうよ」
    「……そうだな」
    トレーナーさんもカッコつけたがるなんて、可愛いところあるんだなぁ。そういうところ、もしかしたら私たち似てる……のかな?
    そう考えたら無性に気恥ずかしくなってきて、私はトレーナーさんから顔を背けた。

  • 1355722/04/07(木) 00:10:21

    昨日言ってたスカイとキングの話は挫折しました……雰囲気で書くとキングが知ったかみたいになりそうですし
    あと前にスカイ→エルの呼び名をエルちゃんって書いた気がするけどボイス確認してたらエルって呼び捨てでした……ここにお詫び申し上げます

  • 136二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:11:31

    あら〜ニコニコしちゃった
    ちなみに本気で胸を育てたければナイトブラをするとよろし

  • 1375722/04/07(木) 02:08:32

    トレーナーさん、ちょっと今から一緒に寝ませんか?

    いやいや!違います違います!そういう意味じゃなくて!練習前に一緒に昼寝でもしませんかってことです!シエスタってやつです!もう、トレーナーさんのえっち……

    ともかく、昼寝にちょうどいい丘がありましてねぇ……ちょっとだけ、どうです?

    30分だけ、ですか……目覚ましもしっかりかける!?……まあ、乗ってくれただけありがたいですよね。

    そうそう、ここです!人通りもないですしこの通り、晴れてると日当たりもよくて今の季節は昼寝に最適なんですよ~

    それじゃ、横になりましょうか。……え?そのまま横になるのは気が引ける?……すみません、特に準備してないのでそこは我慢してください。

    どうです?気持ちいいでしょう?こんなに心地いいと、あっという間に……

    あれ、トレーナーさんもう寝ちゃった?仕事ばっかりの人だし、やっぱ疲れも溜まってるよねそりゃあ……

    ……一人で昼寝するのも好きだけど、隣に好きな人が寝てるってのも落ち着くもんだねぇ。

    私なんかのために、いつもありがとうございますね。……好きですよ。

    ふわぁ!?起きてたんですか!?い、いつから!?……そもそも寝られてなかった!?

    忘れてください!忘れてください!さもなくば慰謝料として本日の休みを要求します!

  • 1385722/04/07(木) 02:11:37

    みたいな古典的なシチュエーションもおいしいと思います
    セイちゃんが素直にぶつかればトレーナーさんに大ダメージ与えられるのに素直になれなくて逃げちゃうシチュエーション、いいですよね!

  • 139二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 07:23:05

    保守

  • 140二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 08:44:31

    小さいから大丈夫っしょ

  • 141二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 16:46:53

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 16:48:03

    57さんに聞くけどこのスレ保守しまくってもいいの?なんかss催促みたいになりそうなんだけど、

    最悪自分でスレ建ててss書くとかss宣伝してる総合スレとかあるしそこで宣伝とかあるで

  • 143二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 16:48:39

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 16:48:46

    保守

  • 1455722/04/07(木) 17:45:19

    >>142

    自分としてはかなり楽しんで書いてるので……というか自己満足で書き始めたわけですが反応や保守いただけるのはとても嬉しく、むしろモチベになってます

    他人様の概念に乗っかっといてなんですが、セイちゃんいいよねを共有したいが一番ですし

  • 146二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 17:47:01

    このレスは削除されています

  • 1475722/04/07(木) 23:53:13

    「……それで今週末、トレーナーさんとデートすることになっちゃいまして~!……ってキング、聞いてる?」
    「はいはい聞いてるわよ……それで、わざわざ私一人を呼び出してまで話したかったことっていうのは、その聞いてる側まで砂糖を吐きそうになるようなノロケ話なのかしら?」
    「いやいや、それだけならわざわざスペちゃんたちのいないところに動かないって……実はそのデートのときに、トレーナーさんと一歩進んだ関係になりたいと思ってまして……それでキングに背中を押してもらいたいなってね」
    「嘘……あなた、何考えてるのよ!次のレースが近いんでしょう?それなのにそんな……」
    「そう……トレーナーさんと、手を繋いで歩いてみたいのです!」
    「……はぁ?」
    「実はセイちゃん、まだトレーナーさんと手を繋いだことがなくてですねぇ……どうしたのキング、その呆れきった表情。もしかしてキングにはまだ早い話だったかな?」
    「その逆よこのおばか!なんで自分の胸を触らせておいて手を繋いだことはないのよ!順序がおかしいでしょう!」
    「そ、それは言わないでよ!私だって必死だったんだからさぁ!」
    「……まあいいわ。それで、手を繋いで歩きたいんですって?そのぐらい普通にすればいいじゃないの」
    「それができたら苦労はしないって……」
    「あなたって、色々作戦を立てて小細工はするくせに、真っ向勝負は本当に苦手よねぇ……」
    「そっか、トレーナーさんから手を繋ぐように作戦を立てれば……」
    「そこは自分で頑張りなさいこのへっぽこ!逃げるのはレース中だけで十分よ!」
    「……まあ、善処してみるよ」
    「その意気よ。……相談料ってわけじゃないけど、明日のあなたの予定って空いてるかしら。よかったら模擬レースをお願いしたいのだけど」
    「……なるほど、承りましたよ。けどわざと負けてあげるなんてことはできないよ」
    「上等よ!全力のみんなを差しきってこその一流ですもの!」
    「いやぁ楽しみだねぇ……ところで一歩進んだ関係になりたいって言ったとき、キングは何を想像してたの?」
    「……忘れなさいおばか!」

  • 1485722/04/07(木) 23:55:26

    みたいにセイちゃんが恋バナ相談する相手はキングであってほしいしキングからもそのうちセイちゃんに相談しててほしい
    キングは耳年増だとなおいい

  • 149二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 11:03:35

    >>148

    キングはへっぽこだから知識として聞いてても失敗する気しかしないからねしょうがないね

  • 150二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 17:34:54

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 01:45:38

    ウンスが照れてるのめっちゃ好き

  • 1525722/04/09(土) 02:10:33

    「……どうあがいても私は待ち合わせで待たせる側なのかな」
    「おはよう、スカイ。早かったね」
    この前のフラワーとの待ち合わせでの反省を踏まえ、今度は20分早く待ち合わせ場所に来たというのに……
    「おはようございます。……トレーナーさん、どのぐらい前に来てました?もちろん今来たところなんて気を使った答えは結構ですよ」
    「えーと、10分ぐらい前かな。スカイも時間より早く来てるんだから気にすることはないよ」
    「トレーナーさんが気にしなくても私が気にするんですよぉ!たまには待つ側になってみたいなぁ……」
    「そんなに待たせる側が多いのか?」
    「そうですねぇ、フラワーやグラスちゃん、キングあたりは絶対に待ち合わせ時間より早く来てますからねぇ……スペちゃんやエルも時間付近には来ますし」
    「そういえばトレーニングもだいたい待たせる側だね」
    「今は楽しいデートなのでトレーニングの話題は禁止でーす。特に昨日の模擬レースの話は絶対に出さないでください」
    「あのキングヘイローの末脚は見事だったからな。あれは仕方ないよ」
    「はい減点でーす!デート中に他の女の子の話はデリカシーないですよ、トレーナーさん」
    「スカイが振ってきたんだろう!?でもまあ一理あるし気をつけるよ」
    「それで、今日はどういう予定なんです?あえて当日まで秘密にしてたってことは期待していいんですよね?」
    「君が喜ぶデートプランが難しくて……その結果事前に教えるタイミングがなかっただけだよ」
    「それ、遠回しに面倒なやつって言ってません?」
    「そんなことないよ。さあ行こう」
    あっさり差し出された左手。
    一瞬ためらってから、右手で繋ぐ。
    「……これは加点、いや、ううん……」
    「なんか言ったか?」
    「いいえ、気のせいですよ~」
    トレーナーさんに先手を打たれた。手を繋げて嬉しいやら自分から仕掛けたかったので悔しいやら……
    少なくとも、拍子抜けだ。私は用意していた勇気をどこに持っていけばいいのか。
    そして減点はもう一つ。オトメの精一杯のおしゃれはちゃんと褒めてくださいよ……

  • 1535722/04/09(土) 02:11:34

    「へぇ、映画館ですか。定番ですがセイちゃんを寝かせないような映画はやってますかね?」
    「いろいろ考えたんだけど、これなんてどうだろう?」
    トレーナーさんが指差したポスターは、ウマ娘とトレーナーの恋物語だった。
    「やっぱり王道とされるものにはそれだけの理由があると思うんだよ。変化球に手を出すのは直球を知ってからのほうがいいと思って」
    「ふむふむ、一理ありますか」
    正直無難なチョイスだと思ったが、はてさて。
    私たちは券とポップコーン、ジュースを買って席へと向かった。

    映画自体は普通に面白いものだった。私だって年頃のオトメだし、恋愛ものを嗜む感性はある、のだが……
    「……トレーナーさん、どう思いました?あのラストシーン」
    映画館を出て歩きながらの感想合戦。ネタバレに配慮して少し距離をおいてから話す。
    「……僕なら出走させないかな。映画だと無事に帰ってこられてるけど、少しでもリスクがあるなら走らせるべきではないよ、やっぱり」
    「トレーナーさんもそうですか、私もです。たしかにどうしても勝ちたいレースはありますがそれはそれとして、命あってのことですしね」
    「脚部不安でレースに出すのは話としては王道だけど……それはフィクションだから美談になるだけであって……僕なら絶対にスカイをそんな状態で走らせたりしないな」
    「……そういえば、トレーナーさんってレースを見守ってるときどんな気分なんですか?」
    「とても一言では言い表せないな……スカイには勝ってほしいし、これまでの努力が報われてほしいとも思って見てる。よっぽど仕上がりがいいときは、スカイが負けるわけがない!って強気なときもあるな。それでもやっぱり、」
    トレーナーさんが立ち止まる。私もつられて止まって、
    「一番は無事に帰ってきてほしいって思うよ。本当はレースの結果なんてどうでもいいんだ。スカイが無事に帰ってきてくれるなら、それでいいと最近は特に強く思うようになったよ。」
    「………………」
    言葉に詰まる。トレーナーさん、素でこのボールを放ってくるのはズルくない?私から振った話だし本当にいつも思ってるってことだよね?
    「レースが始まってしまったらトレーナーにできることなんて何もないからね。悔しいけど、やっぱり君を信じて待つしかないんだ」

  • 1545722/04/09(土) 02:12:05

    「……やっぱりトレーナーさんも思うところあるんですねぇ。もしかして、セイちゃん愛されてます?」
    「間違いなく、僕の愛バだよ」
    「っ……!!お、おー、トレーナーさんってば、直球ですねぇ」
    「小細工よりも直球のほうが君には届きそうだからね」
    「……ノーコメントでーす。そんなことより、お腹がすいたのでご飯を食べたいなぁ」
    「あぁ、もうそんな時間か。何が食べたい?」
    「そうですねぇ……」

    私の希望でハンバーガーのチェーン店に入ることになった。
    「本当にこういう店でいいのか?僕の財布を気にしてるのなら別に……」
    「いえいえ、ここはスペちゃんたちとよく来てましてね。私にとっては馴染み深い場所なんですよ。そこで普段はいないトレーナーさんと話すというのも悪くないかと思いまして」
    「本当に気を使って、じゃないのか?」
    「……どちらかというと私側の事情ですね。高い店ってこう、なんというかカッチリしててのびのびご飯が食べられないじゃないですか。私はこのぐらいの多少ざわついてる店ぐらいがいいんですよ」
    トレーナーさんのおごりで、いつもよりワンランク豪華なハンバーガーにかぶりつく。やっぱりおいしい、けど次からはいつものでも十分かな。
    「ところでスカイ、もうひとつ懸念があるんだが、みんなとよく来るってことは、休日にトレーナーと二人でデートしてる、みたいな噂になったりしないか?大丈夫か?」
    「心配性ですねぇ。それに付き合ってるのは事実だし、噂が流れることは悪いことばかりじゃありませんよ。都合よく侮ってくれたら次のレース展開も楽になるというものです」
    「……君は本当にレースで勝つためにはなんでも活かすんだな」
    「そりゃそうですよ。トレーナーさんは私が負けず嫌いなの、知ってるでしょう?」
    「そりゃあ好きなところだしね」
    「……えぇと、そのー……そうやって好きって言ってもらえるのは嬉しいんですけど……真正面から来られるのは照れますよ……」
    目をそらす前にトレーナーさんの顔がわずかに赤くなっていることに気づき、少し安心する。
    「……それで、次は何をするんです?まさか映画を見てご飯を食べてだけで終わりなんてわけないですよねぇ?」
    「もちろんだよ。食べ終わったしそろそろ移動しようか」

  • 1555722/04/09(土) 02:14:58

    「……なるほど、猫カフェですか。セイちゃんの好みを踏まえた悪くないチョイスですねぇ」
    「うわ、すごいな。僕の四倍ぐらい猫が集まってきてるぞ、スカイ」
    「トレーナーさんはがっつきすぎなんですよ。私みたいに仲間ですよオーラを出さないと猫ちゃんは来てくれませんよ~」
    「仲間、か……言われてみればスカイって猫に似てるよな。気まぐれで飄々としてて、可愛くて」
    「……もー、そういうこと言うのはズルいですって……」
    猫ちゃんにまみれていた私は意を決し、そのままトレーナーさんの隣に移動する。
    「……どうですか、芦毛の可愛い子が一匹来ましたよ」
    「……ヤバい。言葉にできないぐらい可愛い」
    やった。欲しかった反応がもらえたことに、私は内心ガッツポーズをきめた。
    「どうしました?撫でるぐらいしてくれてもいいんじゃないですか?」
    「あ、ああ」
    トレーナーさんが慣れない手つきで私の頭を撫でる。
    文字通り猫をかぶった私は、されるがままに幸福感を味わった。

    「さて、もう夕方だな。晩ごはんは食べたいものあったりするか?」
    「そうですねぇ……トレーナーさんはどうですか?昼は私の案が採用されてますし、夜はトレーナーさんの食べたいものにしません?」
    「うーん……そう言われると難しいな。彼女をエスコートできるような店なんて知らないし」
    「私はおいしければどこでもいいですよ~」
    「独身男性の食生活を過信しないでほしいな……スカイ、肉と魚ならどっちがいい?」
    「今は肉の気分ですかねぇ」
    「それなら奮発して焼肉にでも行こうか」
    「焼肉ですか……やっぱ魚のほうでお願いします」
    「?わかった。なら寿司を食べに行こう」
    おそらく私の意図をはかりかねているトレーナーさんと一緒に、私たちは回転寿司の店で食事を済ませた。
    「新人トレーナーの財布事情で回るところが限界なんだ、申し訳ない」
    帰り道で、トレーナーさんが謝ってきた。
    「いや、それはいーですよ。それより、焼肉が嫌で回転寿司ならオーケーな理由、わかりませんか?」
    めんどくさい私が顔を出す。

  • 1565722/04/09(土) 02:15:55

    「違和感のある反応だとは思ったがやっぱり焼肉は嫌だったか……この前も言ったけど、スカイは痩せすぎなぐらいだから多少の肉付きは問題ないと思うぞ」
    「違いますよぉ!なんなら待ち合わせ場所に着いたときから!私に言うべきことがあったと思うんですが!」
    「?うーん……あ!……スカイ、いつもと服が違うな……」
    「そうですね、違いますよ」
    「いつもより、可愛らしい服装だな」
    「そうですよ、頑張って選びました」
    「……とてもよく似合ってるよ」
    「その言葉を喜ぶにはヒントもらいすぎですし時間にして10時間ぐらい遅いですが……自力で答えてくれたのでよしとしましょう」
    「なるほどな……そりゃおしゃれしてきてくれてるのに匂いのつくような焼肉はさすがにダメだよな……彼女の変化一つ気づけないなんて僕は彼氏失格だな」
    トレーナーさんの傷ついた様子に、自分の中の何かが抗議の声を上げる。
    「……私はどうなんですか?行き先はトレーナーさん任せ、そのくせ文句はつけるし挙げ句服装に気づけなんて面倒なこと言うじゃじゃウマ娘ですよ?トレーナーさんが彼氏失格なら私も彼女失格ですよ」
    「……惚れた弱みだよ。恋は盲目のほうかな。どんな君も可愛くて仕方ない」
    「っ!!……それを言うなら私も一緒なんですけど!今日のデート、めちゃくちゃ楽しかったですよ!私が一番行きたい場所は、いつだってトレーナーさんの隣なんですよ!」
    素直になれず斜に構え、おしゃれに気づいてもらえなかったことに拗ね、結果……大好きなトレーナーさんを傷つけてしまった大嫌いな私。
    そんな私への嫌がらせと言わんばかりに、私の中の理性じゃないどこかがトレーナーさんへの思いを叫ぶ。

  • 1575722/04/09(土) 02:16:30

    「映画の感想を話し合えて楽しかったです!私の日常の場所で一緒にご飯を食べられて嬉しかったです!猫カフェでトレーナーさんに撫でてもらって……その、気持ちよかったです。トレーナーさんは悪くないんです!悪いのは私……意地を張っちゃう私なんですよ!」
    叫んでいるのは恋心。抑えているのは全部冗談だってことにして逃げてしまえとわめく理性。そんな自分が嫌だと否定する自己嫌悪。
    いろんなものが私のなかでないまぜになって自分でもわけがわからなくなっていた。
    こんなのは、自分の気持ちに折り合いをつけられない子どもの駄々と変わらない。
    「だからトレーナーさんは悪くな……!」
    トレーナーさんに抱き締められた。起きた事象に理解が追いつかない。
    「君の気持ちは嬉しいよ。でもやっぱり君の服に気づけなかったことは僕が悪いんだよ。だからどうかそれを理由に自分を……僕の好きな人を否定するのはやめてくれないか?」
    「トレーナー、さん」
    「君はすごいウマ娘だ。そして魅力的な女性で僕の……自慢の恋人だ。自分の気持ちに蓋をしすぎるのだけは玉にキズだけどね。だから今度からはこんなに気持ちが溜まる前に、僕に吐き出してほしいな」
    トレーナーさんに包まれながら、私の中の混沌が収まっていく。
    「トレーナーさん、好きです……私も、トレーナーさんのことが、好きです!」
    「うん、僕もスカイのことが大好きだよ」
    しばらく私たちは、人目もはばからず抱き締めあっていた。

  • 1585722/04/09(土) 02:17:02

    「そろそろ門限ですし帰らないとですねぇ。いやぁ、名残惜しいです」
    「僕もだよ……最後はあんな感じになっちゃったけど、楽しんでもらえたかな?」
    「いやぁ、どうですかね?トレーナーさんはおしゃれに気づかないという減点、私は私で素直になれなかったという減点があるので、実は赤点なんじゃないですか?……ですので、」
    想定外の言葉に戸惑うトレーナーさんに、私はまだセイウンスカイを意識して伝える。
    「再試験を要求します!……要するに、再デートしましょう!」
    あっけにとられていたトレーナーさんが徐々に笑顔になっていき、
    「ああ、もちろんだ!今度は試験対策として二人でプランを練ろう!」
    「なるほど、試験対策は誰かと一緒にやるのが定石ですしね!」
    正直言って、私としては今回のデートに不満はないのだが。
    ……認めてしまえば、このくだりはトレーナーさんとまたデートに行きたいがゆえの小芝居なのだ。恐らくトレーナーさんは気づいた上で乗ってくれてるのだろう。
    いきなり素直になるなんてやっぱり難しいよ。でも、いつかは。
    「それじゃあトレーナーさん、私を寮までエスコートしてくださいな!」
    私は余っていた勇気を振り絞り、右手を差し出す。トレーナーさんはすぐにその手を繋ぎ返してくれる。
    「それじゃあ行きましょうか、姫」
    「しゃべり方は普通でいいですよぉ……」
    だから、まあ。まだ仮面を被ってはいるけれど。
    今回のところは、このあたりでご勘弁いただければと思うわけです。
    目標は達成したわけですしね、にゃはは。

  • 1595722/04/09(土) 02:22:51

    昨日出す予定だったけど寝落ちして書ききれなかったものをまとめ直したけど……長いです。申し訳ありません。
    特に終盤はお前はセイちゃんのなんなんだと言われたらなんでもないただのファンCなので解釈違い多そうだなと思いつつ……セイちゃんは悪くないよ、57が悪いんだよ

  • 160二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 09:53:47

     セイちゃんいいよね

  • 161二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 19:59:49

    めっちゃ好きだわここのss

  • 162二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 20:38:19

    セイちゃんとのデート最高過ぎます!ニッコリが止まらない

  • 1635722/04/10(日) 02:29:45

    「トレーナーさん、ちょっと私をドキドキさせてみてくださいよ」
    「いきなりだな。どういうことだ?」
    「ほら、バレンタインのときは一方的に私がトレーナーさんをドキドキさせてあげたじゃないですか。だからトレーナーさんからもドキドキさせてもらわないと不公平かなって」
    「あれは途中で逃げたからノーカウントだ」
    「ちょっ、それはひどいですよ!セイちゃん頑張ったんですよ!?努力は認められてしかるべきですよぉ!」
    「悲しいことに大人の世界は結果が全てなんだよ」
    「異議ありでーす!セイちゃんまだ子どもですけどー?……というかですね、あのバレンタイン、トレーナーさんは全然ドキドキしませんでした?それはそれでショックなんですけど……」
    「……結果だけを語るのも悲しいことだと思わないか?スカイ」
    「ズルい!一つ前の台詞を思い出してくださいよトレーナーさん!」
    「過去に囚われすぎるのもよくないぞ。……まあ冗談はこのへんにして、うーん……そうだな。スカイ、ちょっとそこの壁を背に立ってくれ」
    「?なんです急に……まあ立ちますけど」
    言われるがままに移動した私の前にトレーナーさんが立ち、右手を壁についた。
    「なるほど、壁ドンですか。乗ってくれたのは嬉しいですがちょっとばかしネタが古くないですかねぇ?」
    アニメやマンガで見るシチュエーションではあるし、タイミングがよければ効果的な手ではあるのだろうけど。
    こうも前フリの後に出てくると物足りなさというか……ふざけてマンガのワンシーンを再現するときみたいな気分だなぁ。

  • 1645722/04/10(日) 02:30:02

    「……それで、ここからどう私をドキドキさせてくれるんです?」
    トレーナーさんは黙ったまま、左手も壁につけた。
    「……ちょっと、なんか喋ってくださいよトレーナーさん。真顔でこれはちょっと怖いですよ?」
    トレーナーさんは無言のまま、ゆっくりと私の顔に向かって顔を寄せてきた。
    「ちょっ、トレーナーさ、近い近い!距離感は大事ですよ!?」
    避けようと左右を見るも、トレーナーさんの手に阻まれて逃げられない。
    トレーナーさんは止まらず、私の顔……唇に向かって近づいてくる。
    「トレーナーさん!そういうのは付き合ってからでないとっていうか私たち付き合ってるんですけどそうじゃなくてしかるべき雰囲気でですね……」
    近い近い近い近い!
    しゃがむ……いや、間に合わない!
    意を決して目を閉じた。
    「………………?」
    おかしい。何も起きない。
    恐る恐る目を開けると、トレーナーさんが元の位置で笑いをこらえていた。
    「なっ……ちょっとトレーナーさん!さすがにこれは説明を求めます!」
    「ふふふ……悪い悪い、スカイの真剣な顔が可愛くてつい……」
    「うっ……今回のはそんな言葉では騙されませんよ!オトメの純情をもてあそぶなんて許されないことですよこれは!」
    「確かにいきなり迫ったのは怖かったかな。悪かったよ。でもスカイ、今回の趣旨を忘れてないか?」
    「へ?今回の……あっ!」
    「どうだ?ドキドキしたか?それともまだ物足りないか?」
    「…………トレーナーさんのすけべ」
    「え……あ、ちょっと!スカイ!今日の練習は!?」
    「病欠です!探さないでくださーい!」
    私はたまらず逃げ出した。
    勝負?そんなの負けに決まってるでしょう!
    「ズルいよ、トレーナーさん……」
    しばらくは収まってくれそうにない心拍数を走っているせいにして、私はあてのない単騎逃げを始めた。

  • 1655722/04/10(日) 02:31:27

    おまけ
    「……それで私のところに逃げてきたわけ。そういうこと……」
    「お願いだよキング、しばらく匿ってよ」
    「……ちょっと待ちなさい。どこから突っ込むべきか考えてるから」
    「え?」
    「え?じゃないわよこのへっぽこ!要するに!あなたが自分のトレーナーにちょっかいを出して!それで返り討ちにあっただけじゃないのよ!それが私の練習を邪魔する理由なのかしら!」
    「ええー?私とキングの仲じゃん。友達のピンチに手をさしのべるのが一流じゃない?」
    「あなたの場合ピンチになる理由がいつも自業自得なのよ!理があれば私も手をさしのべるわよ!」
    「利だったらあるよ。もしキングが恋愛関係で困ったら、今度は私が策を考えるよ」
    「あなたの策なんていらないわよ恋愛へっぽこウマ娘!と言いたいところだけど……あなた、他人のこととなると妙に頭が回るから無下にもしづらいのよね。スペシャルウィークさんの一件なんて見事だったわ」
    「にゃははー、相手を術中に誘い込む基本は平常心を乱すことですからねぇ。レースの応用だよ」
    「それであなたが平常心乱されてちゃあ世話ないじゃないのよ……もういいわ、話を聞いてあげるからあとで並走なさい。……それで、何が目的だったのよ」
    「ありがとうキング!並走了解!話はバレンタインのときに遡りまして……」

  • 1665722/04/10(日) 02:31:48

    「……へぇ、あなたの自爆癖はそのときから既にあったのね」
    「その言い方はひどくない!?それで、トレーナーさんにも同じような逃げをさせたかったんだよぉ」
    「浅慮極まりないわね……自分の防御力を考えてから行動しないからそうなるのよ」
    「耐えきれなくなる前にトレーナーさんが自滅してくれると思ったんだよぉ……」
    「本当あなた攻めはともかく守りがへっぽこなのよねぇ……隣で聞いてる私としては、逆にチャンスを逃したように思えるわ」
    「え?チャンス?」
    「攻撃するときは防御が甘くなるもの。そこで何かしらのカウンターを仕掛けられていればあなたが勝っていたんじゃないかしら?」
    「カウンター、ねぇ……簡単に言ってくれるけど、好きな人の顔が近寄ってきてるんだよ?そんなの平常心保てるわけなくない?」
    「それなら事前に策を考えておきなさいな。なんで煽るだけ煽ってノーガードで攻撃を受けてやられてるのよ。最悪腕力は私たちの方が上なんだから力ずくで回避でもできたでしょうに」
    「……考えもしなかったよ」
    「まあいいわ。私のパートナーは一流だからあなたのトレーナーに連絡を済ませてくれたわ。もう走って忘れなさいな」
    「……そうするよ、ありがと」
    キングと並走しながら、トレーナーさんへのリベンジ方法を考える。
    トレーナーさんは知ってると思うけど、私は負けず嫌いなんだからね。覚悟しててよ。

  • 1675722/04/10(日) 02:35:17

    自爆してキングのところに逃げてリベンジを誓うセイちゃんが見たかったので書きました
    前半は言いそうな台詞考えながらフラグみたいなことしか言わないからちょっと笑いました

  • 168二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 11:39:38

    新作助かる

  • 169二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 14:56:33

    なーんか駅伝か何かで男の人の両乳首が血だらけになってた画像を見たことあんだよね。
    走りがヒトより何倍も激しいウマだし、乳首のダメージも人のそれとは比べ物にならなさそうだね。普通に『ケガ』になりそう。

  • 170二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 15:08:01

    新作最高

  • 171二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 21:26:16

    >>169

    運動量も相まって出血多量とかになりそうだよね

    やっぱりブラジャーって大事なんやな

  • 1725722/04/11(月) 03:12:22

    ごめんなさい、今日何書いてもなんか違うってなるので今日は書けないです……
    三つぐらい没案はあるのでリメイクして見せられるものにできたらまた出します……

  • 173二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 03:16:53

    >>172

    創作において自分を納得させるっていうのは最低条件ですからね……。でもそれも案外難しいですよね……。ゆっくり書いていってくださいませ

  • 174二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 03:20:57

    お待ちしておりますわ

  • 175◆WKUMPWBUWs22/04/11(月) 11:24:56

    最悪スレ落ちたり埋まったりしたら新しいスレ建てや、このスレの57です!とかまたはコテハンを俺の名前みたいに#使って付けてくれ、1番追いやすいから

    あ、新スレ建てたらこのスレの57ですはマジで言っくれわからんから

  • 176二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 20:46:02

    保守しとくね

  • 177二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 23:52:24

    保守

  • 1785722/04/12(火) 00:39:48

    ざっくり166の続き セイちゃんリベンジ編

    「トレーナーさん、今日はどうします?」
    「うん、まずは近づいてきたレースの作戦について練り直して、足りない部分を補っていくことにしよう」
    「はいはーい、それじゃ、ちゃちゃっと済ませましょうか。次のレースはーー」
    昨日の単騎逃げがまるで何事もなかったかのように、今日の練習は普通に進行していた。
    ……結局、トレーナーさんをドキドキさせられる手は思いつかなかったなぁ。攻めるときは相手の嫌がることをするのがテッパンだけど……それは違うよねぇ。
    どちらかというと自分のされたいこと?……そんなの、何されても大体嬉しいし……
    「……スカイ、どうかしたか?あんまり気乗りしてないように見えるけど」
    「……そんな風に見えてました?確かに今回の作戦は微妙、ってほどじゃないけどどうにもマンネリ感があるかなぁとは思ってましたけど」
    「うーん、やっぱりスカイもそう思うか。インパクトも相手を食いつかせる仕掛けも弱いよなぁ……とはいえ、申し訳ないことに僕の方に代案はないんだけど」
    「私も残念ながらお手上げですね~、なんにも思いつきません。今回は小細工だけではしのぎきれそうにないですし、作戦は今後の課題にしておいて、今日はとりあえず基礎体力をつける方向にしときます?」
    「……まあ、今日を無駄にするのも勿体ないけど今後を考えたらいたずらに体力を消耗するのもどうかとは思うし……駄目だ、頭が回らなくなってきた。スカイの好きにしていいよ」
    「なら、今日は休みにしちゃいます?」
    「言うと思ったけど……あながち今回に関してはそれも悪くないかもな。正直色々行き詰まってる感じはあるし、気分転換にあてるか」
    「おおー、トレーナーさん柔軟だねぇ。それじゃ、おデートといきませんか?」
    「正直、レースが近づいてきてるこのタイミングでデートはどうなんだろうと思わなくもないが……スカイの気分転換になるなら喜んで」
    「やったー!トレーナーさん行きたいとこあります?」

  • 1795722/04/12(火) 00:40:33

    「にゃはは、今日の私たちちょっと調子悪すぎません?楽しいデートの行き先すら思いつかないなんて……」
    「本当に行き詰まってる感じがあるよな……まあ、町をぶらついて、気になるものがあればそこに行くぐらいでちょうどいいだろう。頭空っぽにしてさ」
    「そうですねぇ、今の私たちに必要なのは斬新な発想。焦ってると魚もアイデアも逃げていくってわけですね」
    「釣りかぁ……僕が釣りに詳しければ一緒に釣りに行くのもありなんだけど……今度教えてもらってもいいか?」
    「もちろん、大歓迎ですよ!」
    私としては、こうしてトレーナーさんと歩くだけでも楽しいけど……
    トレーナーさんも楽しんでくれてるかな……
    「……スカイ、なんか食べるか?」
    「レース前にいいんですか?それもトレーナーさんが勧めてくるなんて」
    「君は細すぎるぐらいだから大丈夫だよ。それを気にするならこれからはレース前の体重申告をちゃんとしてくれないか?」
    「乙女の体重を聞くなんてひどい!トレーナーさんにはデリカシーってものがないんですか!?」
    「デリカシーがどうこうじゃなくて増えたか減ったかだけでも申告しといてくれよ!あれ毎回僕が適当に理由つけて誤魔化してるんだぞ!」
    「うー……と、トレーナーさん、あのクレープ屋さん、美味しいって評判らしいですよ」
    「話を反らすな、と言いたいところだけど今日はレースの話からは離れたほうがよさそうだしな……スカイ、どれが食べたい?」
    「やったー!トレーナーさん愛してる!」
    「もっと別の場面で聞きたかったな……」
    別の場面では恥ずかしくて言えません。
    ともあれ、私たちはクレープを買い、近くの公園で食べることにした。

  • 1805722/04/12(火) 00:46:49

    「んー!美味しいですね、トレーナーさん!」
    「そうだな。こういうのはなかなか一人では食べないから新鮮だよ」
    そうだ、と私は思いついた作戦を実行に移す。
    「トレーナーさんのも美味しそうですねぇ。一口いただけません?」
    名付けて間接キス大作戦!正直私も恥ずかしいけどきっとトレーナーさんも恥ずかしがるはずーー
    「ああ、いいよ」
    トレーナーさんはあっさりと私の前にクレープを差し出してくれた。
    「……おおー!ありがとうございます!」
    作戦と違う!なんで?トレーナーさん全然平気そうじゃん!
    とはいえ自分でまいた種だ。もう引き返せない。
    「あむ。……んー、こっちも美味しいですね」
    策士策に溺れた感が否めない。
    味なんてわかんないし、私だけが恥ずかしい思いをしてる気がする。
    「……お返しに、トレーナーさんも一口どうです?」
    こうなったらヤケだ。逆ならトレーナーさんも少しはーー
    「え……いいよ僕は。君の分を取るのは申し訳ないし」
    ……おや?この反応、もしかしていける?
    「いえいえご遠慮なく。私は十分味わいましたので」
    「それじゃあ……」
    トレーナーさんが遠慮がちに私のクレープを食べる。
    「……うん、スカイのほうも美味しいな」
    「ふふっ、まるで恋人どうしみたいですねぇ」
    「……みたいもなにも、その通りだろう」
    「そうなんですけど、そういう当たり前の確認ってなんかよくないですか?幸せの再確認、ですよ」
    「……うん、君の言うとおりだな」
    私はトレーナーさんに一撃入れられた満足感と、トレーナーさんと一緒にいる幸福感とで穏やかな気分に包まれていた。
    ……ふと手元のクレープを見る。
    これ、私が食べて、トレーナーさんが食べて、残りを私が食べるんだよね……
    ふと隣を見ると、トレーナーさんも戸惑いながらクレープを見つめていた。
    ……うーん、私、バカになってない?

  • 181◆QadlXyrFEc22/04/12(火) 00:51:46

    一日おいて感覚がわからなくなってました。57です。
    昨日から今日にかけて何を書こうとしても勝手にネガティブな方向に進む呪いにかかってしまい、それを乗り越えようとしたらセイちゃんがバカになってしまいました。恋の病ということで大目に見てあげてください。
    175さんがおっしゃってたようにトリップ?を付けてみましたがこれで合ってますかね?
    次スレ立てるときにはこれで行こうと思います

  • 182二次元好きの匿名さん22/04/12(火) 01:19:21

    とても良き…。
    恋は盲目状態のセイちゃん可愛いです!

  • 183◆QadlXyrFEc22/04/12(火) 01:46:33

    「……スカイさん、ちょっと相談があるのだけど……」
    「キングが私になんて珍しいねぇ。借りもあるし、なんでも相談に乗るよ!」
    「その……今週末初デートなのだけど……スカイさんはどうだったかしら?」
    「初デート、かぁ……キングのところ、進展早いね」
    「え、そうかしら……今は今しかないのだから、全力で楽しまないと損じゃなくて?」
    「……なるほど、一流だねぇ」
    「……それで、あなたのところの初デートはどうだったのよ?」
    「うーん……本試験は赤点で再試験になったよ」
    「どういうことなのよそれ!?大失敗だったのかしら!?」
    「いやぁ……どちらかというと今後に期待と言いますか、次があってほしいなっていう採点と言いますか」
    「……呆れた。結局次に誘う口実が欲しかっただけじゃないの」
    「……否定はしないよ。いろいろ失敗した上で私が言えることがあるなら、迷ったら素直になれってことかな」
    「……嘘つきの言うその言葉は重みがあるわね」
    「嘘つきはひどくない!?トリックスターって呼んでよ!……私が言えたことじゃないんだけどさ、キングも一流であろうとする志は立派と思うけど、そういう重荷をおろして素顔のキングヘイローとしての自分にも目を向けてあげてね。格好つけてタイミングを逃すのは本当に後悔することになるよ」
    「……一流を目指さない素顔の私として……それは私と呼べるのかしら?」
    「難しく考えなくていいよ。要はキングがしたいようにしたらいいって話なんだから。立場とか見せたい姿とかそういうのじゃなくて、自分がしたいことを、ね」
    「なるほど、問題ないじゃない。要は一流として素直にってことね!キングは二兎を追って両方仕留めるわ!」
    「……やっぱり元気だねぇ。でも、その姿勢は見習ったほうがいいのかな」
    「スカイさん……真面目に相談に乗ってくれてありがとう。てっきりあなたのことだからふざけた答えをするかと思ってたわ」
    「ひどいよキング!真面目に答えたのに~!」
    いつも種をまいてるのは自分なんだけど。
    たまには綺麗な花を咲かせてくれないものか……

  • 184◆QadlXyrFEc22/04/12(火) 01:50:52

    昨日の没案のリメイク供養です、57です。
    長さにもよりますがあと上げられて二本できるかどうかぐらいですし、キングとの相談よりも本筋にある程度の一区切りをつけるべきかとも思いましたが一応供養として……
    なんとなくのここまでは書きたいってゴールはあるので、頑張ります。
    よかったら読んでいただけると嬉しいです。

  • 185おにぎり◆rfCbxpRFGM22/04/12(火) 10:07:52

    トリップいいと思います!出来れば愛称もつけて欲しいかも...こんな感じで

  • 186二次元好きの匿名さん22/04/12(火) 19:46:50

    残りスレで行ける?新しいスレ建てるか?

  • 187二次元好きの匿名さん22/04/13(水) 00:32:05

    保守

  • 188さくら◆QadlXyrFEc22/04/13(水) 01:26:47

    すっきり180の続き 一応区切りの話のつもりです

    レースが終わった次の日。
    私たちは芝生の広がる公園で寝そべっていた。
    「あぁーー」
    「スカイ、そろそろ元気を出してくれ。あれはスペシャルウィークの執念のマークが強かっただけの話だ。君は強かったよ」
    「二人でいるときに他の女の子の話はやめてくださぁーー」
    「頼むからちゃんとしゃべってくれよ……今日は練習も休みにしたんだし、一日君の言うこと聞くからさ」
    「……一緒に寝そべってください」
    「僕スーツなんだけど……」
    文句を言いつつもちゃんと私の横に寝転がってくれる。
    「なるほど、これはこれで悪くないな」
    「芝生って意外と寝心地いいでしょう?トレーナーさんと一緒じゃなければこのままふて寝してましたよ」
    「……一回トレーナー室に来てくれて本当によかったよ。行方不明で知らない公園で寝てるとか心配なんてもんじゃないからな」
    正直負けちゃったのはだいぶショックだし、今日は何もしたくないぐらい落ち込んではいるけど。
    トレーナーさんには会いたかったから。
    「……心配してくれるんですね。こんなにサボってばっかのじゃじゃウマ娘なのに」
    「当たり前だろうそんなの!ただでさえ落ち込んでるだろうレースの後だぞ!……縁起でもない話はしないけど、心配に決まってるし、なにより行き詰まってるなら相談してほしい」
    「……ありがとうございます」
    私は照れくさくなって顔を背ける。
    顔を背けて、目をそらしていた自分の中のドロドロした感情を見てしまう。

  • 189さくら◆QadlXyrFEc22/04/13(水) 01:29:12

    「……トレーナーさんは、どうして負けちゃったと思います?やっぱり作戦が微妙だったんでしょうか。それともトレーニング不足?私の限界?それとも、」
    否定してほしくて、一番考えたくない可能性を挙げる。
    「……私、色ボケしてダメになっちゃったんでしょうか?」
    考えたくない。もしそうだとしたら、トレーナーさんと一緒にいられなくなる。
    もし本当にそうだとしたら、私は……
    「いやー、最近とんと作戦が思いつかなくてですね。ほら、よく言うじゃないですか。結婚して満たされたら作風が変わっちゃう作家さんとか、そういうの」
    「……スカイ」
    「……バカみたいですよね、私。トレーナーさんと一緒にいられるのが嬉しくて、幸せで……それで浮かれて、負けて……」
    「スカイ、そこまでだ。次に活かせる後悔ならともかく、自分を責めるだけの後悔は誰も幸せにならない」
    「でも、トレーナーさん……今回のレースは……」
    「たかが一回だ、スカイ。レースに大きいも小さいもないよ。負けて悔しかったなら次勝てばいい、そうだろう?」
    「………………」
    「それに……今回の敗北は僕のせいだよ。もちろんトレーナーだからとかそんな理由じゃなくて……浮かれてたのは僕も一緒だから」
    「……え?」
    トレーナーさんも?
    「君が可愛いあまりにトレーニングが甘くなってしまって……厳しいトレーニングが指示できなくなってしまってたんだ。気分転換と称して休みを許可したり、基礎トレーニングよりもレース研究を優先させたり、な」
    「………………」
    いや、そんなことはないはずだ。
    確かに気分転換で休みをもらったことはあったけど、遅れを取り戻すべく次の日はその分のトレーニングをしていたし、レース研究だって行き詰まってた私たちには必要だった。
    それに基礎トレーニングだって今までと変わらないぐらいやってきた。
    「だからスカイの調整不足を招いたのは僕だ。本当にすまなかった」
    私を元気づけようとしてくれてるのかと思ったけど……トレーナーさんは真剣な様子だ。励ますための芝居にしては熱が入りすぎてる。
    「こんなトレーナー失格な僕だけど、それを承知で言わせてほしい。それでも君と一緒にいたい。君のトレーナーでいたい。君と一緒に、夢を見ていたいんだ」
    ウマ娘を励ます文言にしては随分とロマンチックだ。これじゃまるでプロポーズじゃないか。どう考えてもトレーナーさんはかかってる。

  • 190さくら◆QadlXyrFEc22/04/13(水) 01:30:05

    思い返せば、私たちのお付き合いはブラを忘れた私がかかってよくわからないアタックをしたところから始まったんだよね。
    こんな変なとこばっか似てなくてもいいのにね、私たち。
    「ふふふ……」
    「……え、スカイ?」
    また見つけた共通点に、気づけば私は笑っていた。
    「トレーナーさん、素敵な口説き文句ありがとうございますなんですが、それを確認したいのは私のほうなんですよ。私のめんどくささ、知ってるでしょう?」
    「そこも含めて君の魅力だ」
    「トレーニングだってサボりますよ?」
    「ちゃんと参加させるのがトレーナーの仕事だよ。腕の見せ所かな」
    「これまで通り作戦を考えられないかもしれませんし」
    「君だけに作戦を考えさせること自体が間違ってる。僕こそ考えられるかわからないけど、一緒に考えて、一緒に期待を裏切ろう」
    「……ここが私の限界かもしれませんよ。懸けるなら他の娘にしたほうが」
    「君の前で他の娘の話なんてしない。それにスカイ。僕が君に懸けて後悔するなんて絶対にない話だ。これからどうなろうとも、君が一番大事だ」
    「っ……こんな私でも、トレーナーさんのウマ娘でいていいんですか?トレーナーさんと一緒に……トレーナーさんの隣で、ずっといていいんですか?」
    「もちろんだよ。君がどれだけ不安に思おうとも僕がそれを否定する。君が自分を認められない分僕が君を肯定する。二人で、進んでいこう」
    「……ぜったい、ですよ?」
    「ああ、絶対だ」
    「……ありがとうございます」
    ドロドロした感情は溶けてなくなっていた。
    「それじゃあ今後のことはまた一緒に考えるとして、今日はせっかくの休みですしゆっくりしましょうか。せっかくですしお昼寝しましょう」
    「……なんか落ち着かないな」
    「トレーナーさんスーツですしね。でしたら私はお先におやすみなさい……すぅ……すぅ……」
    「凄いな、っとと、起こしちゃ悪いよな」
    「すぅ……すぅ……これは寝言ですけど、トレーナーさん、大好きです」
    「!……僕もこれは寝言だけど、僕も大好きだよ、スカイ」
    「っ!!……またまた寝言ですけどーー」
    「こっちも寝言だけどーー」
    眠りの浅かった私たちは、暗くなるまで寝言を言い合った。
    ……明日の分のポーカーフェイスを用意しとかなきゃ。夢みたいな今日でも、明日は来るんだしね。

  • 191さくら◆QadlXyrFEc22/04/13(水) 01:44:24

    読んでくださったみなさん、本当にありがとうございます。185さんのアドバイスを受けて57改めさくらと名乗らせていただきます。よろしくお願いします。
    一応一区切りの回として書かせていただきました。最後のシーンがどうしても書きたかっただけなんですが自分の中のセイちゃんは自己評価が一貫してすごく低い娘なので、すぐにネガティブなことを言いながら落ち込む方向に話を持っていこうとするのでだいぶ手間取りました。セイちゃんを曇らせたいわけではないんですが勝手に曇ってくんです……すみません、自分の理解やら実力不足です。
    186さんも心配してくださってありがとうございます。スレ消費を危惧してお返事できず申し訳ありません……
    今日今からは書けないですが、オチの決まってないネタが二つほどあるのでできたら明日(おそらく水曜日の夜中)にスレ立てしようと考えてますのでよかったら読んでいただけると嬉しいです。
    告知をここでしていいのかわかりませんが、セイちゃんとはスレタイに含む予定です(ちゃんと決められてなくて申し訳ないです)し、今度はさくら名義で書かせていただくのでわかるようにさせていただきます。
    要領を得ない変人のスレ汚し失礼いたしました。本当にありがとうございました。

  • 192二次元好きの匿名さん22/04/13(水) 07:18:15

    良い純愛でした。
    引き続きお待ちしてますね!

  • 193二次元好きの匿名さん22/04/13(水) 18:05:32

    一応保守しときます!持つかはわかりませんがここで宣伝してもええんやで!

  • 19422/04/13(水) 23:24:13

    なんで深夜テンションで建てたスレが生き残って完走しようとしてるの…?

  • 195二次元好きの匿名さん22/04/13(水) 23:29:50

    >>194

    おはスレ主

    おかげで素晴らしいSSが産まれましたわ

  • 196さくら◆QadlXyrFEc22/04/13(水) 23:52:57

    >>194

    乗っかって勝手に大暴れしてすみませんでした!

    セイちゃんは本人のずぼらさとか気づかれなさ的に絶妙なラインでありそうで革新的ですよね……

  • 197二次元好きの匿名さん22/04/13(水) 23:56:04

    マジで完走しそうで草

  • 198さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:10:16
  • 199前スレ9322/04/14(木) 07:12:18
  • 200二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 17:05:32

    >>200ならさくらさんのssは素晴らしい

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