(あぁ…そうだったな……)

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 12:27:33

    (俺はきりねことあの町で2人だけの暮らしをしてたんだったな)


    (ははっ、何で今まで忘れていたんだ)

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 13:01:28

    目を覚ますっすプロデューサーさん
    霧子ちゃんは青森育ちっす

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 13:31:19

    耳の位置にこだわりを感じる

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 14:05:52

    (ふゆも一緒に暮らしたいのよね…)

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 14:08:12

    瞬間シャニPの脳に溢れ出した
    存在しない記憶

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 14:27:43

    理想の夢の世界に閉じ込めてくるタイプの敵やんけ

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:13:52

    ――あなたは、だあれ?
     わたしが聞くと、そのひとは「うわっ」とびっくりしながら、慌てて後ずさりました。急に下がったから、頭のうしろをドアの枠にごつんとぶつけて、また「うわっ」とびっくり。
    「なんだい、どうかしたかい?」
     廊下から聞こえたのは、オオヤさんの声。このおうちにはお部屋がいっぱいあります。お部屋にはいろんな人がすんでいて、その人たちはみんな、この人を「オオヤさん」とよんでいました。
    「……おやおや。野良猫かい」
    「野良……なんですか?」
    「ああ。家猫みたいにきれいだけど、ここらで猫を飼ってるって話は聞かないからね。おおかた、野良だろうね」
     「ほら」と持ち主さんが指をさして、びっくりしていたひとは「ああ」と言いました。
     細く開いていた窓からは、春のやわらかい風が入ってきて、わたしの背中をなでてくれています。
    「追い出すかい。ホウキかなんかでおどせば……」
    「あっ、ちょっと待ってください」
     そのひとは、ぶつけたばかりの頭を触って「いてて」と言いながら、わたしの眼の前にやってきました。とても、大きいひとでした。しゃがんで、ひざをついて、背中をまるくして。それでも、わたしよりもずっと高い場所に、目があります。
    「……ここは、キミのおうちなのかい?」
    ――うん
    「そうか。でも俺も、じゃあ出ていくよ、ってわけにはいかないんだ」
    ――そうなの?
    「だから、キミさえよければ……」
    「なんだい、猫と話ができてるみたいじゃないか」
    「ははっ、本当に話ができたらよかったんですけどね。ニャアとは言ってくれてるけど、なんともかんとも」
     なんだかはずかしそうに、でもとってもやさしそうに笑いながら、そのひとはオオヤさんに振り返りました。
    「ここ、ペットNGではなかったですよね?」
    「……いや確かにNGと書きはしなかったけど、それにしたって急に」
    「必要なことは俺がやりますので、この子が好きに入ってくるのも、認めてもらうのは……」
    「認めるだけなら簡単だけど、壁やら床やら汚したら、どうするつもりだい」
     それからしばらく。そのひとは、なんだかたくさんのことをオオヤさんとお話していました。すこし聞いていてもわからなかったので、わたしは、ちょうどよく入ってきたおひさまを浴びながら、おひるねをすることにしました。

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:14:35

     おへやにものがふえました。
     「急なルームシェアになっちゃって申し訳ない」と言っていたそのひとが、たくさんのものを置いたからです。
     おおきなお布団、細長いテーブルとイス、時々いろんなものが映る真っ黒な板――テレビ、と言うそうです――それに、小さくて丸い、ふかふかのお布団。
     そのひとは、おひさまがよくあたるところに小さなお布団を置きました。
    「とりあえず、ここは引き続きキミの特等席ということで。出入りは窓から……だけど、冬になったらどうするかなあ」
     ほかのおへやとおんなじように、このおへやにも、人がすむことになった。オオヤさんとのお話は、たぶん、そういうことだったみたいです。
     わたしのおへやだよ、って言っても、そのひとは「ごめんな」と言うばかりで、オオヤさんも「この人がお前の分のヤチンをはらってくれるんだぞ」と、なんだかわからないことを言っていました。
     さいしょは、ほかのおへやを探そうとおもいました。静かであったかいおへやに、いろんな人がいろんなものを、ばたばた音を立ててもってきたからです。
     でも、すぐにばたばたはしなくなりました。そして、おへやにすむことになったひとは静かでやさしいから、わたしはすぐに、一緒にすんでもいい気持ちになりました。
     ふかふかのお布団も、おいしいごはんも、きれいなお水も、その人が全部持ってきてくれました。
     もう、雨の日にごはんをさがす必要もありません。そのひとと一緒にぱたぱたという水の音を聞いていると、冷たくて寒かった雨の日も、たのしいものなったみたいでした。
     でも、そのひとはたまに、おへやからずっと出ていったまま、夜まで帰ってこないことがあります。そういうときはいつも、「レポートが」「カダイが」って、なんだかむずかしい顔をしています。
    ――おかえりなさい。ごはん、ください。おみず、ください。
     わたしが言うと、むずかしい顔のままやさしく笑って――変なふうに聞こえるけれど、本当にそういう顔をします――「ごめんな、お腹すいたよな」と、ごはんをくれるのでした。

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:15:11

    「一人暮らし、しんどいな……」
     おおきなお布団のなかで、そのひとが言いました。わたしとお話するときのやさしい声じゃなくて、低くてがらがらの声でした。
     いつもは、おそとに行っている時間です。なのに今日は、わたしのごはんとお水をくれたら、あとはずっと、お布団のなかにいます。ときどき、げほげほと鳴きながら、体をはねさせます。
     わたしはなんだかとても、こわくなりました。なんにもわからないけれど、このひとがつらそうなのを見ると、こわくて、かなしくなりました。
    「ごめんな……窓、閉めとくから……出たくなったら、言ってくれ……」
     今日のお外は、もやもやでまっしろくてよく見えません。雨じゃないけれど、体が濡れる日。あんまり、外に出たくない日でした。
    「さむい、さむい……」
     そのひとが、言いました。それは、わたしにもわかることでした。
     さむい、さむい。さむいのは、つらいです。だからわたしは、ちょっとでもさむくないように、と、そのひとのお布団に入りました。
     さむい、と言っていたのに、おおきな体はとてもあつくなっています。
    「……はは。心配してくれてるのか」
     そのひとが、言いました。
    「ありがとな……あったかいよ……」
     お腹のそばで丸くなっているので、声はあんまり聞こえなくて、顔も見えません。でも、そのひとがぐすぐすと泣いているのは聞こえました。
    「……霧が濃いんだな、今日は」
     しばらくして、そのひとは言いました。もう、こわくてかなしくなる声では、ありませんでした。
    「霧……きり……」
     白くてもやもやした日。それを、きり、と言うのでしょうか。
    「霧子……うん、そうしよう。キミは、霧子だ……今日を……キミに救われた日を、ずっと覚えていられるように」
     きりこ、きりこ。
     そのひとは、何回も繰り返しました。
     その声はまだがらがらで低いけれども、とてもやさしくて、あたたかくもありました。つめたいものも包みこんで、あたたかくしてくれるようでした。
    「ありがとう、霧子」
     だから、聞いているとわたしも、きりこ、という言葉が好きになりそうでした。

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:16:10

    「プロデューサーさんと、一緒のお布団に入る夢を見ました」
    「えっ」
     頭のてっぺんから出ていそうなくらい高い声を上げて、プロデューサーさんは手に持っていたガムテープを落としました。ころころと床を転がっていこうとしたそれを慌てて拾うと、「えーっと」とまだちょっと裏返った声で首をかしげます。
    「それは……どういう?」
    「わたしが……猫になっていて……」
    「ああ……」
     プロデューサーさんは苦笑いをして、ガムテープを、びー、と長く取ります。わたしがダンボール箱の蓋を押さえると、合わせ目をふさぐように、テープが貼られました。箱の中には、キャットフードがたくさん入っています。
    「CMで猫役やったからかな」
    「ふふ……夢の中で食べてたのも……このごはんでした……」
     撮影のお礼に、ってもらったたくさんのキャットフードは、猫さんと暮らしている病院のスタッフさんや結華ちゃんのご実家にあげることになりました。そのための準備を、プロデューサーさんがお手伝いしてくれています。
    「プロデューサーさん……一人暮らしで、風邪を引いてしまって……寒がっていて……」
    「うん」
    「わたしも……なにかをしたくて……でも、猫だから、看病はできなくて……」
    「それで、布団に入って暖めてくれたのか」
    「はい……」
    「猫になっても優しかったんだな、霧子は」
     プロデューサーさんがダンボール箱を持ち上げて、底が抜けないことを確かめました。
     立ち上がって荷物を抱えるプロデューサーさんと、見上げるわたし。猫のわたしも、こうしてプロデューサーさんを見上げていた気がします。
    「……にゃー」
    「おや。夢の中から、猫の霧子が出てきちゃったか?」
    「ふふ……にゃー、にゃー……です……」
     わたしが猫でも、プロデューサーさんは、やさしいひとでした。
     でも、こうしておはなししていると、やっぱり、人間としてプロデューサーさんと出会えてよかったな、と思いました。

    おしまい

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:21:46

    うわあああ!急に物語になるなあ!

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:27:10

    >>7-10

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:31:05

    コミュネタバレやめてください!
    もうこれでいいよ!

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:31:32

    >>2

    青森というのがまた無慈悲で笑う

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:53:27

    適当に建てたスレで急に名作SSが投下されると感動より先に恐怖が来るんだなって、学習しました。

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 16:31:43

    なんだコイツ!危ねェぞ!

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 16:50:18

    待って、スレ主が「掛かったな!ここはSSスレだ!!!」をしてきたのかと思ったら
    一般通過文字書きなのか!?

    こんなのボクのデータにないぞ!

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 17:45:24

    ははっ、あれは俺が黒猫霧子に命を握られていたときの話だが

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 20:39:46

    >>17

    データキャラ辞めちまえ!!

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 23:02:28

    郁田先生に漫画化して貰おう

スレッドは2/27 09:02頃に落ちます

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