【一応閲覧注意】広P不治の病概念

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 21:55:09

    プロデュースしてしばらく絆を深め合ったある日プロデューサーに不治の病があることが判明して余命を宣告される広P概念

    プロデューサーの病を治すためにアイドル辞めて病を治す方法を探そうとする広と文字通り命を燃やして広をアイドルにしたい学Pが衝突するのを見たい

    解釈違いだったらすみません

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 21:57:53

    >>1

    書いてください。お願いします。何でもしますから。

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 21:59:46

    ままならないことで笑えなくなる広概念はここですか?

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:02:16

    ままならない日々の価値が信じられないくらい重くなる広……

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:08:51

    「ふふ、起きないから奇跡って言うんだね」

  • 6125/02/26(水) 22:13:18

    >>2

    (´・ω・`)すまない、文章力やらもろもろがなさ過ぎて俺には概念を言語化するのが精一杯だった


    (´・ω:;.:…本当にすまない


    (´:;….::;.:. :::;.. …..

  • 7>>225/02/26(水) 22:20:29

    >>6

    お願い、死なないでイッチ!

    あんたが今ここで倒れたら、ワイやスレ民との約束はどうなっちゃうの?

    時間はまだ残ってる。ここを耐えれば、みんなハッピーにできるんだから!

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:23:39

    Pが死んじゃったあとにタイムマシン発明してPが死なない世界線を作り出すのもウマいでッ!

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:29:37

    多分誰にも共感されないと思うんだけどさ学Pが死ぬことによってその病気の特効薬ができるみたいなのが美味しいと思うんだよね
    もっと言えばその特効薬を作るには学Pを殺すことと等しいことをしなければならなくてかつ広もその病に掛かってしまったとかそういうの

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:30:38

    佑芽のマッサージ受けた時ぐらいの声量出して学Pと喧嘩してほしい

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:32:46

    普段怒ったりしない広が言うんだよね、プロデューサーは生きたくないの?って
    学Pは一瞬だけ躊躇うけど俺は篠澤さんの時間を使わせるなら俺のためではなくて、篠澤さんとの趣味のために使いたい、それがプロデューサーとしての自分の最後の望みだって返すんだよね
    それを聞いて表面上は学Pの思いをくんでトップアイドルを再び目指すけど、でも広はプロデューサーに生きて欲しいからこっそり病気の研究もするんだよね
    それで広は天才だからそれなりにすぐ薬完成の目処がたって、直近のライブが終わったらサプライズとして学Pに知らせようとするんだよね
    でもそのライブ中が学Pは容態が急変してしまうんだよね
    美しいね…

  • 121ではない人25/02/26(水) 22:32:59

    しゃーねぇ駄文でもいいなら私が書くか

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:33:46

    >>12

    本日の神はここですか?

  • 14消えた125/02/26(水) 22:36:00

    >>12

    :;…::;.:.:::;..`):;.:.:;.:.Д`)(´Д`)vありがとうございます

  • 1512ではない人25/02/26(水) 22:45:58

    「アイドルを辞める……違う……アイドルを休む」
    「……突飛なことを言い出すのはいつものことですが、今回は何事ですか?」
    「大学に戻って研究する」
    「ますます意味がわかりません。理由を聞かせてください」
    「私のいた大学には、医療分野について先進的な研究をするチームがいくつかある。そこに参加する」
    「篠澤さんらしくない……いつまでも話の核が見えない」
    「らしくないのはプロデューサー……理解したくないだけだ、よ。これ」
    「それ、は」
    「私が治療法を見つける。趣味は一旦中断、治療法を見つけてくる、よ」
    「駄目です」
    「えっ」
    「NIAを優勝してHIFを目指そうという時に何を言っているのですか? 篠澤さんにそんな暇はありません」
    「本当に時間がないのはプロデューサー。急がないと手遅れ。ちょっと天才少女に戻るだけだ、よ」
    「専門分野では無いでしょう。1から勉強して最前線の研究に追いつけるとでも? いくら篠澤さんでも無茶なことです。さて、明日のスケジュールですが」
    「手土産になる論文を書く」
    「篠澤さん、いい加減にしてください」
    「プロデューサーを助ける。プロデューサーの病気、不治の病、それの治療法を見つける」
    「今回のわがままは聞けません。見つかるかも、あるかもわからないものを探しに担当アイドルを行かせることなどできません。それなら人生の最後に夢を叶える方が良い」
    「私はプロデューサーに生きて欲しい。そのために趣味を中断する。趣味も夢も、治ってからでも遅くない、よ」
    「篠澤さ!……」「プロデューサー! ケホッケホッ……」
    「……お互いらしくもなくヒートアップしてしまいました。今日は頭を冷やしましょう」
    「……プロデューサー。私……」
    「今日はもう休んでください。俺も帰ります」
    「わかった……また明日」
    「えぇ。お疲れ様でした」

    書いちゃったから供養させとくれ

  • 161ではない人25/02/26(水) 22:50:16

    その日私は少し早く授業を終えて、プロデューサーが昼食を先に取っているであろういつもの部屋に向かう。たまたまあさり先生が午後から出張ということで、授業が10分くらい早く終わったのだ。するとドア向こうからガタッ、ガタ、という音がする。プロデューサー、何をしているんだろう。少し困らせてやろう、と思ったのかもしれないし、からかおうとしたかもしれない。とにかく私は何が起きているか考えずガラリとドアを開けた。

    「プロデューサー、授業、終わったよ。」

    そこに居たのは口元を抑えているプロデューサーだった。机に置かれている薬のパック。曜日ごとにどれを飲むかはっきりさせるための道具だ。そして指の間を抜けて、地面にぽたり、ぽたりと垂れている赤い液体。時間が止まったようだった。私の頭脳はそこで理解をする。まずプロデューサーはこの事をちゃんと知っている。突発的なことなら市販薬や病院に行ったとしてもああいう日にち事に何錠、とはしない。かなり長期的に何らかの病気を患っている可能性が高い。次に、この病気は普通の病気じゃない。血痰や吐血をするような病気になるにはプロデューサーは若すぎる。普通の病気が悪化したわけでもなさそうだ。そして三つ目。これを私に隠そうとしていること。そしてドッキリなどではない、ということだ。

    「篠澤さん、これは…………」

    焦ったようにプロデューサーが言う。医学方面に進んでいない私でもわかるような、重病人であった。私は、頭が真っ白になりながらプロデューサーに近づいていって問いかける。ままならないことが好きだとしても、アクシデントを楽しめるとしても、これは笑えない。冗談にしては、笑えなさ過ぎる。現実にしては、狂いすぎている。いくら賢いと言われても、こんな状況でも簡素なデジタル時計のように動くには、今の私は向いて無さ過ぎた。目覚まし時計がアラームを鳴らすように心臓が早鐘を打っている。

    「プロデューサー、どういうこと。説明……………して。」

    それが今の私に言える、精一杯の言葉だった。

  • 171ではない人25/02/26(水) 23:05:31

    >>16

    「不治の病……余命…一年も……ない、の?」

    「長く見積もって、一年です。」


    そこから、10分ほどかけて、現在の状況を話される。現代医学でも治らない病気、数千万人に一人の病、奇跡というには悪質すぎる偶然。それに対して私は言葉で脳内で反芻しながら考えていた。今からアイドルを辞めるとして、専門分野で無い私がどれだけ医学会に貢献できるだろうか?趣味という、アイドル。可愛くなりたいという自分の想い。けれど、今、プロデューサーがいなくなったら、その趣味は、本気の趣味は、ままならない日々は、続いてくれない。口から滑り落ちた言葉は、自分らしくない言葉だった。


    「プロデューサー、私……アイドルを……辞める。」


    あまりに感情に乗って早計な言葉だということはわかっている。わかっていても言わずにはいられなかった。それに対して帰ってきた言葉は、あまりにもプロデューサーらしくて、逆に安心してしまうような、それでいて自分の全てが裏目に出てしまったような言葉だった。


    「貴方ごときが?専門分野でもないでしょう。それに、二度とプロデューサーにはなりませんよ。」


    そこに蘇る、プロデューサーの成績の問題。NIAを経た今、HIFを控えている、としても。篠澤広というアイドルの存在がなければ、プロデューサーとしても成り立たない。アイドルを一人としてもプロデュースしていなければ、プロデューサーではない。そして……新しくスカウトできたとしても、その病がある。奇跡が起きて、直ったとしてもそのときはきっと私のことを、選ぶんだろう。けれど、プロデューサーは奇跡を信じるより、ままならないような道を、見ている。


    「プロデューサー、もしかして……」


    ツカツカと歩いてプロデューサーの鞄を見る。プロデューサーは、止めなかった。中身を出していくと、バインダーの中に、”遺書”があった。きっと先生やトレーナー、次のプロデューサーに向けての私のプロデュースの方法や、知り合いに向ける別れの言葉や、謝罪の言葉なのだろう。やっぱり、自分が死んでも良いように、していた。頭がかっと熱くなる。限界だった。自分に黙って、一人で逝こうとするだなんて、という怒りと、一人だけ、あんな約束をしたのに一人だけ残されるという恐怖や、寂しさもあったのかもしれない。私は思わず叫んでいた。


    「……プロデューサー!」

  • 181ではない人25/02/26(水) 23:18:31

    >>17

    「なんですか、篠澤さん。」


    当たり前のように言うプロデューサーが、すごく、嫌だった。それに抗おうとしているわけでも無くて、それを受け入れて消えてしまいそうな、その言葉遣いが、嫌だった。その病気になるのがプロデューサーじゃなければよかったのに。そう言おうとしたけれど、それを言っても変わらないことだというのは、眼に見えていた。自分の才能を、自分は知っている。どれだけ頭が良くても、どれだけ頑張ろうとも、今から変えるのは、きっと自分一人では無理だ。一年、せめてもう一年あれば、自分が初星学園じゃなくて、あのままでいれば、変えられたかもしれないのに。そんな言葉の本質が、口から飛び出た。ぐずる子供のように眼がしらがじわりと熱くなって、視界が雲っていく。


    「……私、私プロデューサーがいい。一千万人に一人なんかじゃなくてこの世界にたった一人の、プロデューサーがいい。」


    プロデューサーは、それを見て何か変えるつもりもない。ああ、泣き落としのようになってしまう自分が、悔しかった。あんなに賢い賢いと言われてきた私が、何も知識で助けられる自信がないのが、悔しかった。だからこそ、どんどんと涙が出てきていた。プロデューサーの血の上にも、涙がこぼれて薄くなっていく。今のプロデューサーも、きっと消えるように、いなくなってしまうような気がしてきた。


    「篠澤さんは、ままならないのが、好きでしょう。」


    プロデューサーも、困ったような笑いを浮かべていた。自分のことを励ましたいというわけじゃないだろう。プロデューサー自身も、きっと辛いものがあるんだろう。自分の未来、自分がしたいことも、あったのに、それが死んでしまう。プロデューサーは笑っていても、きっと心の底から気にしていないわけじゃないんだろう。でもそれでも笑っている理由は……


    「俺は……篠澤さんが俺の夢を叶えるところを、見てみたいです。」


    私のことが、大事だったからだ。それが、自分の全てをベットするような、夢だった。NIAの最後に言った、夢だった。ダメだった。なんで、なんで私はこんなに無力なのに、プロデューサーに、プロデューサーが。膝をついて、泣き始めていた。嫌だ。こんなことになってしまうなんて、本当に、嫌だ。泣いても変わらないそこにある現実、自分でも、千奈でも、佑芽でも、美鈴でも、手毬でも、変えられない漠然とした現実がある。

  • 191ではない人25/02/26(水) 23:29:01

    >>18

    篠澤広に、私には夢があった。趣味で始めたアイドルという存在。可愛くなりたいという、願望。それが、夢になった、気がした。ままならない中で目指したいものだったのが、ならなくてはいけない存在に変わっていた。手毬の気持ちが、わかった気がした。自分が、どれだけ無力だって本当の意味でわかった気がした。今言わないといけない言葉は、わかっていた。苦虫をかみつぶすよりも、ずっと苦く、本当は言いたくない言葉を、言わないといけなかった。


    「……レッスン、行ってくる。」


    「ええ、頑張ってください。」


    私は部屋を後にすると、千奈と佑芽がやってくる。いつもは声の大きな佑芽も、何かに気づいたみたいで、小さな声で聴いてくる。時間が見れないが、二人が来ているということは、時間より少し遅れているのかもしれない。立った一瞬だったようにも、永遠と思えるような時間がしていた。


    「広ちゃんどうしたの?お目目真っ赤だよ……?」

    「それだけじゃありませんわ、お顔が真っ青ですわよ……?どうなっていますの?」

    「も、ももももしかして広ちゃん、プロデューサーさんに何かされちゃったの?」

    「…………」


    心がどこかに行ってしまったように、二人を見ている。二人もただ事じゃないと気付いたのか、自分を連れて誰もいない1年B組の教室にまで運ばれて行く。三人しかいないこの場所で、改めて問いかけられる。


    「広ちゃん……何があったの?」

    「だ、大丈夫でしたらお聞かせくださいませんか?」


    口をゆっくりと開く。それは、今ではとっくに叶ったことのようで、でもずっと遠いように聞こえる、夢だった。


    「あのね、私、アイドルになりたい。」

  • 201ではない人25/02/26(水) 23:29:23

    以上です、お目汚し失礼しました

  • 21消えた125/02/26(水) 23:55:30

    >>20

    ありがとう、本当にありがとう

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 00:05:34

    ありがとう、本当にありがとうございます!

    でも、まだ続きあるよね?
    ほら書きなよ、書いてくださいお願いします!

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 02:26:37

    ん〜〜〜〜♪︎たまんね〜〜〜この感覚〜〜ありがとう〜〜

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 02:27:58

    広が本気で取り乱す時にしか得られない栄養素はあると思う
    今はまだ効かないがいずれガンにも効くようになる

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 06:42:13

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 13:17:36

    しゅ

  • 271ではない人25/02/27(木) 13:37:50

    ウワ"ーッ!保守されてる…!?
    書くもんナイヨそんなに言われても…!
    まずどんなのを書けばいいんだい

  • 28>>225/02/27(木) 14:00:34

    >>27

    えっと、広がプロデューサーに「夢を叶える」って言っちゃたけど、やっぱりプロデューサーの死期が近づくにつれてレッスンに集中できなくなって研究をプロデューサーに隠れてこっそり始めちゃう。

    それでも、衰えていくプロデューサーは気づかなくて、広はどんどん時間を増やしていくんだけど、もう限界が近づいているプロデューサーはやっぱり気がつかない。

    そのうちプロデューサーが倒れてしまうんだけど、プロデューサーが倒れていることを聞いた広は研究を未完成ながらも形を無理矢理作って、プロデューサーのところに向かう。そして、薬を飲ませようと頑張るんだけど、最終的に口移しで薬を飲ませるって話が展開されるって聞いたんですが...

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 14:01:14

    ごめんなさい。ハンドル残ってました。すみません...

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 14:50:40

    >>28

    ( ´∀`)bグッ!

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 15:15:38

    このレスは削除されています

  • 321ではない人25/02/27(木) 16:57:24

    >>28

    ハッピーエンドはない可能性がとても高いですが

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 17:09:34
  • 34二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 17:10:57

    このレスは削除されています

  • 351ではない人25/02/27(木) 17:16:39

    わかったよ虎杖、お前に続きを見せる

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 17:17:59

    >>35

    本日の神降臨ですね。ありがたい。

  • 371ではない人25/02/27(木) 17:42:44

    >>19  駄文・蛇足失礼します

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    それから、私の生活は変わっていった。


    一番大きな変化は、プロデューサーに会えない日々が増えて行ったことだった。プロデューサーに見捨てられた、なんてわけじゃなくて。病院に行かないといけないことが増えていったからだった。その時、千奈と佑芽に星南……生徒会長のことを教えてもらって、星南にプロデュースの現場を助けてもらうことになった。勿論プロデューサーは一人だけだけど、NIAにも優勝したアイドルをそうそう見捨てるような真似はしたくない、らしい。


    それに対してプロデューサーは、一週経つごとに、レッスンの進め方を聞きに行くたびに、放課後に会いに行くたびに少しずつ体調が悪くなっていることに嫌でも気づかされていた。何時倒れるかもわからないプロデューサーは、外に歩くことも減って、ベッドに縛り付けられているかのように寝転がっている時間が増えていた。時々咳き込んで、お医者さんが青い顔をしては知ってくることも、あった。


    「ねぇ、プロデューサー。」

    「どうしましたか?篠澤さん。」

    「今なら、私の方がプロデューサーよりも体力があるかも、ね。」

    「……ええ、そうでしょうね。」


    そんな短い会話を、噛み締めるように話すことが増えていた。ただ、今日は、いつもよりも会話が多かった。それは願ったりかなったりの会話だったけれど、その日言われたことは、いつもとは違う、予想外の言葉だった。


    「篠澤さん、H.I.Fですが……新しい曲を、修得していただきたいと思います。」

    「今から覚えるの?プロデューサーは……やっぱりひどい。”Campus mode!!”じゃないんだ。」

    「ええ、そうです。だってその日は……」


    H.I.F。'25年の冬の開催日はクリスマス直前の休日、つまり日曜日に行われるもので、その日は……


    「篠澤さんの、誕生日でしょう?ファンも期待していると思います。」


    12月21日、私の誕生日だった。

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 17:47:46

    もう美しい最高

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 17:53:08

    素晴らしい

  • 401ではない人25/02/27(木) 18:05:17

    >>37

    「広。次の番よ。……プロデューサーのことを考えていたの?」

    「あ、うん。少しだけ、思い出してて。」


    そういう会長の声で、目を開く。いつもと同じ控室がほんのちょっと広く感じるのは、きっとプロデューサーが居ないからかもしれない。ほんの少しだけ隣を歩く人の背が小さくて戸惑うのは、きっとプロデューサーが居ないからかもしれない。テレビには、雷のような拍手と共に、前のアイドルがステージから抜けていく。H.I.F。アイドル一人一人がライブし、審査員がそれを見て決めていく。私のチャンスは、まだ一年生だけれど、たった一回だった。


    「広。貴方にプレッシャーをかけるようになるかもしれないけれど、伝言を伝えておくわ。」

    「今日、貴方のライブ中継をプロデューサーは見ていてくれるわ。」

    「……プロデューサーは、こんな時にもプレッシャーを掛けてくる。やっぱりプロデューサーは、ひどい。」


    そう言って少しだけ笑う。プロデューサー、見ていてくれるんだ。今の私を、この私を。私の光景を。ノックされ、ドアが開き、スタッフから声が掛かり、部屋を二人で出て、ステージの幕内、ハケまで進んでいく。舞台裏で衣装を身にまとい、深く呼吸する。息を吸って、吐く。目を閉じて、開く。心臓が飛び跳ねる。体の血液が廻る。熱がうねる、心が躍る。そして、時間が来た。


    「いってらっしゃい、広。」

    「行ってくるね。星南。」


    そう言って、一歩歩きだす。ステージの上に立つ。スポットライトの光の目が、私を見る。まつ毛の向こうで、誰かが瞬く方で。今、ステージの端まで見えているずっと先で選んだ、あの時から。光が私の肌を焼くように明るくて、熱くて。ファンの声は、ひどく賑やかで、世界を揺らすように響き渡ってくる。そこにいる、あなたたち,を。あなたたちのために。他でもない、あなたのために。あの日、選び取った熱が、今日まで、今までずっと残っているその余燼を。


    「みんな、見ててね。………………………『メクルメ』。」







    「……あら?この番号は……はい、十王星南です……」

  • 411ではない人25/02/27(木) 18:29:19

    >>40

    「___め く る 見つめる。 そっと唱える。」


    歌が、始まった。世界が色づいてくる。私は夢を手にしていた。世界が私を見ているようだった。これが、本気の全てなんだといえるような気がした。私は、アイドルという人生に夢中になっていく(Getting into life 'Cause)。だって、その退屈を奪い去っていってしまったことに、気づけたから(I found that it's not so boringNot anymore)。この先を貴方を見てみたい。感じてみたい。貴方、一緒に。


    「触 れ る くずれる ちょっとひらける。」


    歌を歌っていく。色づく世界へ、もっと遠くまで、貴方と一緒に飛んで往きたい。非日常を超えていく近況報告。何度も反芻して実行していくレッスン。はっきりと言えるほどまで成長した今。誰かの憧れになれるこの恰好。流れる汗すら今は楽しい。一刻一刻と、変わりゆく貴方に、心が飛び跳ね焦燥する。けれど、今はもう迷ってなんていない。前向きに緊張している。かつてないほどに、私は走ろうとしていた。


    「は ず す ゆらいでく なにかひらめく。」


    なんでだろうか。それの理由は………………………


    「意識は巡る。不思議は眠る。」


                 ・・・

    必要なのは、過去と今、私とあなたのコントラストだったからだ。


    「それがメクルメ。」

  • 421ではない人25/02/27(木) 19:03:39

    >>41


    「容態急変…………」

    舞台袖の少し外で、私……十王星南は、電話をしていた。相手は、プロデューサーの病院。プロデューサーの病室に、曲が響いている。けれど、それを聞くプロデューサーは、既に意識も途切れそうになっている。らしい。電話の向こう側から、音が聞こえる。心拍数を図る、規則的な音だ。それも、少しずつ不規則になっている。もう、長くはないと理解していた。


    『落下していく電波 所詮箱庭の実験

     繰り返しのサイン波がそっと数字を減らしている。』


    今から篠澤広に伝えることは、不可能だ。一人の人間としても、プロデューサーとしても。今これを伝えたら、きっと篠澤広は本来のパフォーマンスを発揮できなくなる。ままならないことと、理不尽なことは、決して同一ではないからだ。


    「そびえ立った世界観で反響する産声」


    ここにはいないプロデューサーは、病院で見てくれると言っていた。私にとってそれが世界だったようなあの研究室から私は産まれて、外へと手を引いてくれた人がいる。私をあの真っ白な研究室という檻から解き放ったあの日があるとするのであれば、次あの真っ白な病院から、プロデューサーを解き放つのは、私の役目だ。だから、心の底から想いを乗せて歌詞を紡ぐ。

       

    「この”清らな檻”から連れ出して__!!」


    あの日出会ったあの時。      「だって」

    倒れている私に対して、

    一蓮托生で契約をしてくれた時も。 「溶けた甘い甘い妄想 解けない」

    NIAに優勝して貴方の夢になる、

    そう決意したあの日も。      「この熟れた古い古い本能 離れない」

    そして、今日まで、ずっと一緒に居た。

    だって、私を、「綺麗だった。」  「でも秘める深い深い衝動 暴きたい」

    なんて、言ってくれたから。


    「だから」


    私にとっては短くて、プロデューサーにとっては永久の先にあるような「青い」春を。どれだけ大変なままならない道でも進んできたあの「熱い」日々も。プロデューサーが居なくなってしまうかもしれないと知って「痛い」心も。見ていたいから。


    だから、私にとっては一瞬で、貴方にとっては遥か先にある「遠い 季節を!」

  • 431ではない人25/02/27(木) 20:08:09

    >>42


    『待ちわびたりして 満ち足りないまま ”独り”でここに居た。』


    篠澤広のライブを、見ているしかできなかった。これが終わったあと、どう伝えればいいか、十王星南は緊張していた。時間ばかりが過ぎていく。プロデューサーの存在の重要さを、知っているからこそ、声の掛け方を戸惑っていた。いくらアイドルとして有力でも、いくら天才だとしても、その根にある高校一年生という存在に、自分の大切な人の死をぶつけるのは、自分の未来の断絶を伝えるのは、自分の目の前に超えることのできない壁ができるようなものだからだ。


    『割れた鏡も愛おしい__』


    私にとっては限界に挑むライブ。汗が流れ、今にも倒れそうの連続。大空に羽ばたいたイカロスのような、ソユーズロケットに乗った宇宙飛行士のような、不可能とされる世界への挑戦。自分というものがすり減っていくのを感じる。ヴェートーベンが耳を喪ったような、オイラーが目を喪ったような、世界を切り開いていく人に下される、呪いのような病という存在。プロデューサーが吐いていたあの血のように、この世界は残酷だ。


    自ら苦難に走る私と、苦難を与える世界。


    「世界/私どっちか壊れてるみたい。」


    1番の後は落としの間奏へと飛んでいく。その直前に歌詞、つまり。今の私を、プロデューサーの今が、世界に伝えるように、声が動く。体が熱い。肺が冷たい。脚が痛い。それでも歌うのは。心臓が、こんなにも高鳴って、無理だと叫んでいるのに、歌うのは。私がしたいことがあるから。


    「心臓の拍動に抗うように 歌った。」

    それはプロデューサーと何度も何度も練習しながら続けた声。

    手毬に歌い方を幾度も幾度も聞いて覚えた歌。


    「心臓の拍動に抗うように 踊った。」

    それはプロデューサーと何度も何度も練習しながら続けた体。

    佑芽に踊り方を幾度も幾度も聞いて覚えた踊り。


    「心臓の拍動に抗うように 笑った。」

    それはプロデューサーと何度も何度も練習しながら続けた姿。

    千奈に笑い方を幾度も幾度も聞いて覚えた笑み。

  • 441ではない人25/02/27(木) 20:20:48

    >>43


    「心臓の拍動に抗うように 叫んだ!!!!!」

    それは、私自身の願いなんだろう。揺れる鼓動、拍動、律動に。途絶えてほしくないこの道に、消える拍動に抗うように、燃え尽きる拍動に抗うように、全て吐き出すように、叫んだ。世界が静まりかえる。ここからが静かなパートだ、といえば必然に聞こえる。けれど、私が歌うために、この全てを一度燃やし尽くして。再び火を灯すために、一度力を抜いて歌う。


    『   割り切れないまま 溶けあいたいから 

             指を嘘でなぞる。

       振り向く 瞬きするたび 波打つ景色は

           別世界 孵化待っていた……    』


    くらりと、倒れそうになった気がした。いや、きっと倒れていたのかもしれない。けれど、目を覚ましていた。すぐ聞こえる声がした。誰が目を覚ましたのかは、すぐに分かった。ああ、篠澤さんだ。その景色は、夢が、叶った。そう言えた。そう思えた。本当に思えた。


    「……頑張れ。」


    くらりと、倒れそうになった気がした。本当だったらずっと前に倒れていたのかもしれない。けれど、私は立っていた。気のせいかもしれない。けれど、なんで立っていられたのかは、すぐに分かった。プロデューサーが、いるような気がした。数秒の沈黙、そして歌の続きが来る。歌わないと……息が、持たない。ダメだ。ここで終わるわけにはいかない。プロデューサーのためにも。来る、次が……


    「広ちゃーーーーん!!頑張ってぇえええ!!!」

    「篠澤さん頑張ってくださいませ!!!」


    声が、聞こえた。はっと息が、吸えた。世界を踏みつけるようにステージに立ち、叫ぶ。どれだけ待ちわびていたんだろうか。プロデューサーと辿り着いたこの光景を。どれだけ待ちわびていたんだろうか。ライバルでありながら、対照的な友人たちを。私が欲しいものは、ほしいものは。選び取ったものは、必要とするものは。


    「……季節を!!!!!!」


    世界が、ぱっと本当に色づいた気がした。

  • 451ではない人25/02/27(木) 20:42:27

    「待ちわびたといま さざめき出し解く
     秘密のフィロソフィア」

    私は、知りたかった。知ろうとした。
    私は、可愛くなりたかった。可愛くなろうとした。
    私は、プロデューサーと一緒に……

    「旅した春夏秋また 目の眼差すまま」

    光景、私が選び取ったあの光の目のずっと先、
    私のアイドルとしての、花咲くかもわからない芽を。

    「新世界 孵化/開花する銀河!」

    それが、花開いたように、弾けるように歌う。踊る。

    「におい 形 光 私に触れるすべてがエコーする」

    嗅いだものを、触れたものを、見えたものを。
    全てを”きろく”と”想い出”、”メモリー”にして。進んでいく。

    「ときめく 返す波々も眩しい…」

    そして、この曲が終わる。この歌の最後、この曲で伝えたいこと……
    最期の最後に叫ぼうとした、私の本音。プロデューサーとの別れの言葉…

    私の、望み。

  • 461ではない人25/02/27(木) 20:43:01

    「世界/私 まだ、語り合えるみたいね。」

    曲が、終わった。

  • 471ではない人25/02/27(木) 20:45:38

    一先ずここで一度締めます。感想がありましたら是非書いてくださると嬉しいです

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 21:21:14

    美しいです

  • 49二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:17:04

    野生の文才が現れたと聞いて

  • 50二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:12:32

    よかった

  • 51二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:51:17

    最高、それ以外の言葉が見つからない

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 02:12:44

    今更メクルメってこんなに広のことを表してたんだってことに気付けた

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 07:19:26

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 08:21:22

    >>52

    メクルメは確実に篠澤広のこと歌ってるんだけど無限に解釈できるのがこれまた篠澤広って感じ

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 16:26:43

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 16:34:04

    保守代わりにご都合主義多めになってしまったがハピエン方向に舵を切る形で>>15 の続きを少しだけ書いた

    個人的に広の親密度20は何も前情報なしで見て欲しいと思ってるのでまだの方は開かない方向で

    x.gd

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