- 1二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:01:53
- 2二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:17:47
- 3二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:20:56
今日も今日とて変わらない日常。授業を受けて、友人と他愛のない話しをして、家路につく。そんな日常が、私にとっての学校生活、だったはずなのに…。
「真城優さん、ですね。」
今日はそんな日常に、一人の男が入り込んできた。
スーツに身を固め、髪をしっかり整えた長身の男。一瞬、変態に声をかけられたのかと身構えたが、すぐにその正体に感づいたのは胸元の校章のおかげだった。
「そうですけど…。あなたはプロデューサー科の学生さんですよね?私に何か御用でしょうか?」
初星学園プロデューサー科。同じく初星学園の高等部に存在するアイドル科の女生徒たちをプロデュースしながら、プロデューサーとしての経験と学びを得るための機関。
そんな彼らは、普通科の私とは相容れることはないと思っていたのだが…。 - 4二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:26:08
「…申し遅れました。俺はプロデューサー科のこういうものです。」
しっかりとした作法で名刺を渡しながら、私の目を見据えて自己紹介をしてくる。
プロデューサー科1年〇〇…。名前と役職を見ながら、やはりという気持ちと困惑の気持ちが同時に起こった。
「やっぱりそうですか…。プロデューサー科の方がなぜ私に?こういうのは、アイドル科の方たちにやるものではないのでしょうか。」
困惑と疑問を胸に抱え、まずはその目的を確認する。
「単刀直入に言いましょう。…真城優さん、あなたをプロデュースさせてください。」 - 5二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:39:22
困惑がさらに膨れ上がる。
プロデュース?私を?何故?アイドル科の方たちではなく?
目を丸くして呆けている私に、続けざまに男は言う。
「あなたの美しい顔立ち、クールな性格、そして放送部でのラジオでのトーク力…。あなたはアイドルにふさわしい。俺が必ず導いて見せます。トップアイドルへの道を。」
話が頭に入ってこない。これは夢か何かだろうか。現実とは信じられないような話だ。普通科で平凡な学生生活を送っているだけの私が、アイドル?それに…トップアイドルへの道?…よく考えても理解しがたい。むしろ、考えれば考えるほど困惑は深まっていく。
「私が…アイドルですか?…人違いではないでしょうか?」
「人違いなどではありませんよ。現に先ほど、名前を確認していますし。」
…どうやら、本当に私のことらしい。実際、放送部のことも知っていた。この男は、本当に私をアイドルとしてプロデュースしたいつもりのようだ。 - 6二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:42:52
有能おるやん
- 7二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:49:10
「…お断りします。私はアイドルになれるような器ではありません。それに、普通科ですし、そもそもなりたいとも思っていません。」
私が放送部にゲストとして呼ぶアイドル達、彼女達は皆それぞれ輝ける資質を持っているのが、素人の私にも見て取れた。そんな彼女達と比べて、私にそういう魅力は無いと自分ではっきりと分かっている。
「…真城さんは、必ずアイドルになれる。私が保証します。今はまだ、その才能は眠っているだけだ。」
しぶとく私をスカウトする男に、だんだんと苛立ってきた。私は早く帰ってラジオでのネタを考えたい。ここは、少し強引にでも話を終わらせよう。
「…すみません、今日は帰ってやることがあるので、失礼しますね。」 - 8二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:49:57
すみません、プロデューサーの一人称が私になってますが、正しくは俺です。
- 9二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:50:31
自分で気づくのえらい
- 10二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:01:30
私はふいと背を向けて、家の方角へと歩き出す。
去り際に、声をかけられた。
「俺は諦めませんよ。」
次の日の放課後、私はラジオの準備のために放送室へと向かっていた。今日のゲストは誰か、用意しておいたゲストへの話の順番はどうしようかなどと考えながら歩いていると、見覚えのある―というより、昨日見たばかりの顔が目に入った。
「おや、奇遇ですね真城さん。これから放送の準備ですか?」
「えっ、あ、はい…。どうも。」
何故この男はこんなところにいるのだろうか。奇遇というには、誰かを待っていたというような素振りだった。…まさかまた性懲りもなく?
「丁度良い機会です。あなたのプロデュースについて少しだけおはな「お断りします」…せめて言い切らせてくれませんか?」
やっぱりだ。昨日しっかりと断ったはずだが、全く分かっていない。…分かったうえで言っているのだろうか?ならばことさらたちが悪い。 - 11二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:14:31
「…昨日はっきりと言いましたよね?アイドルになる気はありませんって。なんでそんなに私に執着するんですか?…アイドル科にいる方たちのほうがよっぽど魅力的です。彼女たちをスカウトするべきじゃないんですか。」
これ以上付きまとわれたらうんざりだと言う気持ちを込めながら、少し語気を強めて突っぱねる。あなたがプロデュースするべき人は他にたくさんいると。
「…俺も昨日言いましたが、あなたのアイドルの才能は眠っているだけです。まずはアイドル科に転向しましょう。そこで基礎を学び、歌やダンス、自分の魅せ方を知ることで、あなたは必ず花開く。」 - 12二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:28:11
普通科からアイドル科に転入?そんなこと、本当に出来るのだろうか。そんな前例はないし、きっとこれからもだ。
「プロデューサー科の一生徒がそんなことを望んでも、出来ないでしょう。今までそんな話は聞いたことありません。」
「いえ、すでに学園長から許可はとってありますよ。あとは真城さんの意思次第ですぐにでも…。」
「えっ。」
そこまで話が進んでいたのか。私が首を縦に振ればすぐにでも?こんな私のために?…どうしよう、ここまでされて断ったらなんだかすごく気まずい気がする…。だけど、それは私の意思じゃない。そんな気持ちで受ければ、私もこの男も、きっと後悔することになる。…ならばここはひとまず。
「えっ…と、話の衝撃がすごくて、ちょっとついていけてないので、一旦持ち帰りにさせてもらえませんか?これからラジオの準備もあるので…。」
とりあえず、話を先送りにしよう。 - 13二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:29:18
良いSSだわ 気長に待とう
- 14二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:41:49
明日早いので、書けるとこまで書きます。変なとこで終わったら規制ぶっかけられたと思ってください。あと即興だから変なとこあったら許してね。
「…!わかりました。また後日お話しましょう。何かあれば昨日の名刺に電話番号が書いてあるのでそちらまでご一報ください。それでは、良い返答を期待して待っています。」
返答を聞いた男はパッと顔を明るくすると、それだけ言って去っていった。
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準備も終わり、ラジオの開始時間が始まる。今日のゲストは篠澤広さん、アイドル科1年2組の生徒だ。いつも通り最初は雑談から始めて、そこからアイドルの方に質問…という流れなのだが、始めの雑談中の話題に、私はビクリとしてしまった。
「優は、アイドルにならないの?可愛いのに。」 - 15二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:04:44
…タイムリーすぎる話題だ。ついさっき、その話をしていたばかりだと言うのに。私は焦ってしどろもどろに答えた。
「な、なりませんから。というか、アイドルの皆さんと比べたら、私なんか石ころみたいなものですよ…。」
我ながらなんという下手な例えか。しかしまぁ、実際比べたらこんなものだろう。彼女たちは輝ける原石、私は道端の石ころ、天と地ほどの差があるというものだ。
しかし篠澤さんはそれを否定して、続ける。
「そんなことない。これまでのラジオは全部聞いたけど、優のことが好きってコメントはたくさんあったし、リスナーのみんなもそう思ってる。」
それを聞いた私は、顔が赤くなるのが自分で分かった。
私のことが…好き?こんな平凡な私にも…ファンができたの?
そこからの私は、何を言ったか覚えていない。おそらく、すぐにでも篠澤さんへの話題に切り替えていたのだと思う。
そこで生まれた小さな感情を隠しながら…。 - 16二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:06:50
寝ます!スレ主さんが見てるかはわかりませんが、読んでいただけていれば嬉しいです。
スレ残ってたら明日また書いてみようと思います! - 17二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:17:59
>>16ッ!お前の睡眠賭けのSSッ!
僕は敬意を表する!
- 18二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:20:04
これをP優学会に届けてくれよ……
これは……いいものだ!!