【🎲あり】ホラーっぽいの詰め込み

[1 １ 25/02/28(金) 02:48:14]

ワンピキャラとホラー絡める短い(短いとはいってない)噺の詰め合わセットスレの続き

[2 １ 25/02/28(金) 02:49:20]

前のスレ落としたんでこっちにまとめて終わったら前スレ消す
前スレでレスくれた人たちありがとう

[3 １ 25/02/28(金) 02:52:01]

1人目

1.クリオネ(廃船の深海魚)

[4 １ 25/02/28(金) 02:53:47]

2人目

2.ベンサム(生きた蝋人形)

[5 １ 25/02/28(金) 02:55:52]

3人目

3.お玉(ほねばみ)

[6 １ 25/02/28(金) 02:57:04]

4人目

4.ジュエリー・ボニー(年を取るごとに若返る人)

[7 １ 25/02/28(金) 02:58:28]

5人目

5.ペロスペロー(あの日の悲鳴)

[8 １ 25/02/28(金) 02:59:31]

6人目

6.ウソップ(珍しい素材)

[9 １ 25/02/28(金) 03:01:16]

7人目

7.プリン(記憶に封じられた罪人)

[10 １ 25/02/28(金) 03:04:02]

8人目

8.ヤマト(食べたら誰かの目が見えなくなるフルーツ飴)

[11 １ 25/02/28(金) 03:05:23]

この次9人目→67でヒルルク

[12 二次元好きの匿名さん 25/02/28(金) 11:45:20]

保守

[13 1 25/02/28(金) 19:48:42]

1.泥棒時代

2.医者時代

dice1d2=2 (2)

[15 1 25/03/01(土) 03:30:39]

9.ヒルルク

「原因不明の病気？」
弟子であり息子でもある可愛いトナカイに尋ねられ、ヒルルクはふむ、と顎を擦った。
元大泥棒で現医者(ヤブ)。医者としての職歴は短いが、それでもアグレッシブに動き回っているだけあって症例はそれなりに目にしてきた。その中にはヒルルクには全くわからない病気も多々あった。後々調べてみてもわからないものも珍しくない。
「まァ色々あったなァ。骨が溶ける病気だの皮膚が葉っぱみてェにガサガサに剥がれる病気だの身体中に痣が出てきて最後は死んじまう病気だの…」
あれやこれやと思い返すヒルルクの脳裏に、あまり思い出したくない事例が過った。

チョッパーと出会う前、医者として活動し始めた頃だった。患者と聞けばどこにでも飛んでいったヒルルクだったが、患者を治療できた例はほぼない。なんなら悪化させることも多かった。もちろんその中にはヒルルクでなくとも、後に出会う魔女でもどうにもならなかっただろう患者もいる。
ヒルルクとしてはあくまで医療行為だったが、結果として患者が快復しなければ意味がない。それはわかっている。だが治れば何でもいいのかと言われるとどうだろう。少なくともヒルルクはそこに疑問をもつ理性も倫理もあった。そしてその時に見たものに、その理性や倫理は見受けられなかった。

『どんな方法でもいい、死なせないでくれ』
そう言ったのは患者自身ではなくその家族。必死なのだろう、威圧的でさえある彼らの後ろに患者はいた。
ヒルルクはその患者を見て眉を顰めた。医者としては駆け出しだが人を見る目はあるつもりだ。その患者の目に生気がない。何もかも諦めたような顔をしてる。
聞けばその患者は国に多大な貢献をしてきた立場にあり、引退してなお国から恩賞が出ているという。それだけで事情は察せられた。要はこの家族は患者に入る金が目当てで、その金が入らなくなると困るから、この患者に生きていてほしいのだろう。どんな状態でも。
「くだらねェ」
患者の家族が出ていった後、ヒルルクはケッと悪態をついた。気分が悪い。
しかし――さて、困った。目の前には患者。その患者には生きる気力がない。仮に病状が奇跡的に快復したとして、果たしてこの患者にとってそれは喜ばしいことだろうか。そんな葛藤に唸っているヒルルクの前で、それ起きた。

[16 1 25/03/01(土) 12:30:19]

最初にゴポ、と籠った音がした。まるで沼の底から大きな気泡が浮いてきたような。試すかどうか悩んでいた手製の薬を持ったまま反射的に音の方を振り返るが、そこには目が死んでいる患者しかいない。気のせいだったかとヒルルクが目を逸らしかけた時だった。
ゴポ、と患者の口から何かが溢れた。どろりとしたゼリー状の、半透明な何か。それがゴポ、ゴポ、と何度も溢れ出ている。その量はどう見ても口の中の容量を超えていた。溢れ出たゼリー状の何かは患者の周りに溜まり、やがてベッドからボタボタと落ちる。
やがてそれは人一人分程の量となり、全て床に落ちて半透明の塊になった。塊はしばらく蠢いていが、ほどなく窓に向かって芋虫のように動き、そのまま窓から出て行った。
「…は？」
消えた半透明の塊を完全に見送ってから、やっとヒルルクは我に返った。なんだ今の。
慌てて患者を見るが特に変わった様子はない。あれだけの量を吐き出した割に腹すら凹んでいなかった。そもそもあの半透明のものは何だ？
混乱のまま立ち尽くしていると、ふいに呻くような声が聞こえた。患者からだ。まだ何かあるのかとヒルルクが身構えたところ…。
「ーーっああ、よく寝…痛ッ！なんじゃこの痛み…ん？なんじゃお前」
患者は、普通に起きた。
ついさっきまで廃人もかくやという様だった患者が。しばらく動かしていなかった体の痛みに驚きヒルルクを見て驚き繋がれた点滴に驚き自分が病人として扱われているらしいと気づいて驚き。
「どうなっとるんじゃ？」
「こっちのセリフだ！！」
仮にも病み上がりの相手に、ヒルルクは盛大にツッコんだ。

[17 1 25/03/01(土) 21:32:49]

・
・

「そ…それどうなったんだ！？」
「どうもしねェよ。元気になった患者を見て家族はひっくり返ってたが」
肩を竦めてそう言うヒルルクに、チョッパーは病気というよりオカルトの空気を察知して震えていた。ので。
「まあアレだ、きっと極度の鼻詰まりとか痰が絡んでたとかそんな感じのモンだったんだろうよ」ｴｯｴｯ
大笑いするヒルルクにそんなワケあるかァ！とツッコミをいれたチョッパーはその病気の正体を突き止めるんだと分厚い本を片っ端から広げ始めた。勉強熱心なかわいい息子だ。
それを眺めるヒルルクはその後のことを思い出していた。元患者の声を聞きつけ部屋に入ってきた家族達は目が飛び出んばかりに驚いていた。あれは単純な驚きではない。”ありえないこと”を目の当たりにした者の反応だった。つまりあの家族達は、あの元患者に快復の見込みがないことを知っていたのだ。
――何をしたんだ！
中でもヒルルクに詰め寄った男の表情は鬼気迫っていた。それでヒルルクは直感したのだ。元患者のあの症状には、こいつが一枚噛んでいると。
――なんだ、治しちゃいけなかったってのか？
とっさにそう言い返すと男は何も言えず押し黙った。そうして金を押し付けると余計なことをしやがってという表情でヒルルクを締め出したのだ。あの元患者が廃人同然の状態でないと国から入る金を自由にできない。だからこそのあの反応だったのだろう。
「つまらねェ野郎だったぜ」
その後のことは知らない。それまで元患者に入っていた金を使い込んだ言い訳をどうしたのかくらいは気になるがその程度だ。どちらかというとあの半透明のものが何だったのか、なぜあのタイミングで元患者から出ていったのか、どこへ行ったのかの方が気になる。あの時自分はまだ何もしていなかった。自分で作った薬を試すかどうかすら迷っていたのだ。
「そういやあの時の薬は…何だったかなァ」
はて？と遠い記憶に首を傾げる。何かにメモしたかもしれないが、さてそのメモがどこへ行ったか。
しばらく考えていたヒルルクは一分もしないうちに「ま、いいさ」と思考を放棄した。それより新しく手に入れた素材で次の実験をしたいのだ。
「おーいチョッパー、こっち手伝え！」
「なんだ？何か作るのか？」
本を閉じてちょこちょこと駆けてくる小さなトナカイに、ヒルルクはニッと笑ってみせた。


(郭公の真似事)

[18 1 25/03/01(土) 21:41:14]

10人目

dice1d100=48 (48)

[19 二次元好きの匿名さん 25/03/02(日) 03:19:52]

10.イゾウ

ついさっきまで抜けるような青だった空を見上げながら、イゾウはため息を吐いた。
「タイミングが悪いな」
ｻﾞ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ｯ…
景色が霞むほどの大雨。立ち寄った島で船に戻る途中、突然バケツをひっくり返したような豪雨に見舞われたイゾウは手近な家に駆け込んだ。ずいぶん老朽化していて人が住むには無理があるが一時雨を凌ぐことはできるだろうか。
「冷えるな」
しばらく軒下に佇んでいたがまだまだ止みそうにはない。人がいないならこれ幸いとイゾウは縁側に上がった。
「廃墟か…」
全体的に砂埃にまみれ、枯れ葉やゴミが散らばり、家具は転倒しガラスは割れ、雑草まで生えている。どうやらそこらにネズミもいるようだ。あまり奥まで入らないほうがいいなとイゾウは部屋には入らず足を止めた。
「ん？こいつは…」
縁側から外に目を向けて、イゾウは軒先に吊るされているものに気づいた。てるてる坊主だ。
元の家人の子どもが下げたのだろうか。経年劣化だけではない不格好さがそう思わせる。風に煽られたのかひっくり返って頭が下に来てしまっていた。なるほど、この大雨はこいつのせいか。
それで天候が変わるとは思っちゃいないが、イゾウはちょいと指先で突いて向きを直してやろうとした。歪な頭部分を押し上げて――。
ﾊﾟﾗﾊﾟﾗｯ
「ん？なんだ、詰め物か？」
頭を上に向けると同時に、パラパラと何か木片のようなものが落ちた。反射的に見下ろすと黒っぽいものが縁側の床板に散っている。頭に詰めていたものが落ちたのだろうと気にもしなかったが、目を逸らすまでのコンマ数秒でピタリとイゾウの動きが止まった。足元、床の上、黒っぽい、尖った…三日月状の、小さな破片。
1秒にも満たない時間で理解してしまった。それは血に汚れた人間の爪だった。
「…ッ！！」
爪切りで切った後に見るような見慣れた爪の欠片。黒っぽい汚れが血だと察した途端に鼻を突いた鉄臭い匂い。それが上から漂ってきていると気づいたイゾウは懐に手を入れつつ軒先を見上げた。

[20 1 25/03/02(日) 03:43:41]

――ﾆﾀ
赤い三日月が３つ笑みのように描かれた顔と目があった。生き物のように、てるてる坊主が笑っている。ポタポタと落ちてくるものが雨水にしてはぬるりと粘性があり鉄臭いと気づいた瞬間、ゾワッと全身の毛穴が開き一気に体温が下がった。
――ﾀﾞﾝｯ
軋んだ床板が抜けかねない勢いで蹴りつけて縁側を飛び出す。目の前も危うい豪雨だが関係ない。全身濡れ鼠になろうがあの家よりはマシ。
駄目だ。本能で直感した。幾多の戦闘を駆け抜けて鍛えられた本能が逃げろと叫んでいる。一歩、二歩と地面を蹴りつけて、ほんの十秒で数十メートルも距離をとった。
ｻﾞ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ｯ…
チラッと振り返った廃墟は、雨に霞んで消えた。

・
・

それ依頼、豪雨に見舞われるとあのてるてる坊主を思い出してしまう。まあ白ひげの船にてるてる坊主なんてかわいいものを作る奴はいないのだが。
「うへェ、すげェな」
「あー、こりゃ雨が過ぎるまで動かねェ方がいいか」
仲間たちが海と甲板を打ち付ける豪雨を船の中から眺めながら気のない声を出す。湿気った空気の匂いが気力を削いだ。
その中に鉄臭い匂いを感じてイゾウは船の中に戻っていった。厨房に行ってコーヒーでも貰おう。お茶や紅茶もいいが、それより匂いが強いものがいい。
「止まねェなァ」
仲間の声すらかき消しそうな豪雨も、扉を閉じれば遠くなる。

ｻﾞ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ｯ…


(〇〇乞い)

[21 二次元好きの匿名さん 25/03/02(日) 12:59:46]

誰当たっても書くのすごいな

[22 二次元好きの匿名さん 25/03/02(日) 19:58:20]

前スレ保守間に合わなくてめちゃくちゃショックだったから復活うれしいありがとう！！

[23 二次元好きの匿名さん 25/03/03(月) 01:00:44]

>>3　これめちゃくちゃ好き

前スレ見たかった〜　クオリティ高いの尊敬…

[24 1 25/03/03(月) 09:29:58]

そろそろと思ったがまだ30にもきてないな

おまけ11人目

dice1d100=31 (31)

[25 二次元好きの匿名さん 25/03/03(月) 17:42:07]

保守

[26 二次元好きの匿名さん 25/03/03(月) 21:28:42]

推しキャラが当たったらいいなとおもうけど他の人もめっちゃ面白くて最高

[27 二次元好きの匿名さん 25/03/04(火) 01:01:54]

リクエストしようか悩んでたキャラが爺さんで別キャラとはいえ白ひげも爺さんだしどうなるか期待

[28 1 25/03/04(火) 03:28:30]

迷った時はダイス任せ

1.増える

2.減る

dice1d2=1 (1)

[29 1 25/03/04(火) 12:30:15]

11.白ひげ(ニューゲート)

晴天の下。白ひげは酒を飲む手は止めずに視線だけで甲板を見渡した。今日は特に予定もなく海も穏やかで、息子達はそれぞれ好きにしている。
釣りをしている者、洗濯に走る者、何やら賭け事をしている者、デッキブラシ掛け競走に勤しむ者、それに野次を飛ばす者…おっと、洗濯係が1人跳ねられた。洗い立てのシャツやらシーツやらが盛大に舞う。
「おい何しやがる！せっかく洗ったのに！！」
「うるせー！避けねェお前が悪い！」
「言ったなコラ！テメェのシャツの血を誰が染み抜きしてやったと思ってんだ！！」
「あざーっす！！」
いつもながら騒がしい船だ。轢いた奴が一発拳骨をもらって笑いが起こる。
「幾つになっても落ち着かねェな」ｸﾞﾗﾗ
バカで可愛い息子達に笑みを浮かべる白ひげの横ではマルコが呆れのため息を吐いている。
その時ふと、妙に風通しがいいような、落ち着かない空気を感じた。
「…？」
良くない違和感に酒を飲む手を止めてチラと周囲を見渡す。
「っしゃ！おれの勝ちィ！」
「あーッ！くっそ一人勝ちかよ！！」
「釣れねェなあ…よし、ちょっと餌変えてみるか」
「なんでおれのシャツに針つけようとしてんだよ！！」
「なあ、このシャツ誰のだ？」
「おれのと似てるけど色が違ェな。新入りか？」
「食堂のジオラマ？あれ前の島で誰かが買ったやつか？」
「ありゃテラリウムだよ。ナースちゃん達が綺麗って喜んでたぜ」
「なあ、サッチさんどこだ？」
「食料保管庫じゃねーか？最近減りが早いって言いながらその辺歩いてたぜ」

「…」
「オヤジ？」
目敏い息子にどうした？と呼ばれ、白ひげはなんでもねェと酒を煽った。

[30 1 25/03/04(火) 21:53:51]

　
数日後。白ひげは甲板に出る途中で大きなガラス玉を見つけた。確か動植物を容器の中に設置して育てるものだったと思うが、確かにそのガラス容器の中には土台の土とその上に細かい草、小さな木などが配置されている。なかなか凝った作りで、確かに女は好きだろうと思えた。白ひげから見たら指の先ほどもない小さな人形が幾つか置かれ、立体の絵のようだ。
それを眺めていたところ、後ろから近づく気配があった。振り返るまでもない、息子達だ。
「よおオヤジ、何してんだ？」
「お、あのテラリウムじゃねェか。場所変えたのか」
サッチとラクヨウ。連れ立ってきた２人は白ひげの両脇から同じようにガラス玉を覗き込んだ。
「草だの木だの細けェよなァ。おれにはわからん」
「おれはちょっとばかり興味あるな。ケーキなんかのデコレーションに通じるものがある」
「そのちまちましたのが無理なんだよ」
呆れの息を吐いたラクヨウが、ところでと首を傾げる。
「そもそもこいつは誰が買ってきたんだ？」
「さァなあ…ウチじゃああんまり見ねェ趣味だな」
「新人だよ。一番新しい奴」
「新人っつーと…あ、あいつか。へェ、見た目に反してこんなの作れるくらい器用なのか」
感心したという風に腕を組んで頷くサッチは料理番に誘ってみるかと呟いた。なにせ大食らいばかりの大所帯。料理番の人手はいくらでも欲しい。
「体格的に力もありそうじゃないか？」
「そうだなァ…よし、手始めにパンでも作らせてみるか。いいよな、オヤジ」
「グララ…何でもやってみりゃあいいさ」
「味見係なら任せろ」
「そこだけは困らねェんだよなあ、この船は」
そんじゃ早速探しに行きますかね、とサッチは船内に戻っていった。ラクヨウとともに甲板に向かいながら、白ひげは「ん？」と違和感に気づいた。
「どうした、オヤジ」
「いやァ…何かあったような、なかったような…」
はっきりしない、モヤッとするものを感じて。白ひげはしばらく考え込んだ。

[31 二次元好きの匿名さん 25/03/05(水) 02:25:46]

きな臭い新人だなぁ
大所帯だからほかのとこに比べたら紛れやすいのか？

[32 1 25/03/05(水) 11:53:52]

その日の海は少しばかり荒れていた。巨船で安定感のあるモビー・ディック号でも多少は揺れる。
「どうだ」
「騒ぐほどの時化じゃねーッスよ」
「若ェのがギャーギャー言ってるがな。ったく、情けねェ」
「船の損傷も今のところなし、問題ねェよい」
古参幹部の落ち着き払った様に若輩層の新入りが信じられないものを見る目をする。育てよ若者。
「あれ、オヤジ？どこに行くんだよ」
「酔いを覚ましてくるだけだ」
そう言って笑いながら甲板に上がる船長を幹部達は仕方ねェなと呆れたり肩を竦めたりしながら、新入りはやはり信じられないものを見る目で見送った。

ちなみにこの時化、そこらの船と船乗りであれば波に揉まれて大破しててもおかしくない規模のものだった。

＊

荒れた海を抜けるとまずするのは掃除や船の状態確認。人的被害はなくとも(多少の怪我は被害に入らない)棚がひっくり返ったり荷が崩れたり甲板を中心に船全体が海水と漂流物で汚れたりしているからだ。
とはいえもちろん船長はそんな雑務には関わらない。各隊の隊長達があれこれ取り仕切りあげてくる報告を聞くだけだ。
「医療品保管庫の棚が一部崩れててよ。薬品瓶が幾つか割れちまってたな」
「あーマジか。買い出しリストに追加だな」
「武器庫と食糧庫は？」
「大した損害はないが、湿気がなあ…食材の足が早くなるし鯖も怖ェ」
「鯖落としもリスト入りっと…次の島まで近くて良かったな」
あれやこれやと話し合う幹部達の顔を見ていると、ふと1人が「そういえば」と顔を上げた。

[33 1 25/03/05(水) 19:20:50]

「さっきあのテラリウム見たんだけどさ、ヒビ一つ入ってなかったぜ。中身も無事で」
「あのでかくて丸いやつか？ヘェ、真っ先に転がって割れそうなのに」
「下の方で固定されてんじゃねェか？…おいオヤジ、挿し間違うから一旦酒止めてくれよい」
「だとしても中の土やら草やらがひっくり返りそうなもんだがな。随分器用な奴が作ってるんだろ」
「…あれ？そういやあれ、誰のだ？」
「新入りだろ。おいサッチ、お前あの新入りに料理番手伝わすとか言ってたじゃねーか。忘れたのか？」
「え？おれが？…ああ、うん、言ったか？」
「しっかりしろよ隊長サマ。それに相当器用な奴だってのもマジだぞ。気づいてるか？あのテラリウム、少しずつ中の木とか人形とかが増えてるんだ。増築されてんだよ」
「へェ。あの新入りおれと体格変わらねェのにそんな細かい作業できるのか」
「いや、ラクヨウは不器用すぎる」
「ンだとォ！？」
その会話を聞きながら、白ひげはふと冷たい風が胸を抜けるのを感じた。覚えのある感覚。甲板を見渡す。釣りをしている者、洗濯に走る者、デッキブラシ掛け競走に勤しむ者、それに野次を飛ばす者…。
前にも、いや、最近何度か。この感覚はーーー…。
ｶﾞﾀｯ
「おっと」
「オヤジ？」
突然立ち上がった船長にただならぬものを感じて隊長達の間に緊張が走る。ついさっきまでの穏やかな表情はどこへやら、敵を前にしたかのような険しい顔。足元に倒れた点滴スタンドも無視して、なんならチューブを引きちぎって白ひげはドカドカと船内に向かった。
「おい、オヤジ！なんだってんだよ！」
「…追うぞ！」
異常事態を察したマルコが白ひげを追う。点滴針を引きちぎるなと言いたいがそれどころではないようだ。ラクヨウ達も困惑しながらそれに続いた。

[34 1 25/03/06(木) 00:16:25]

大きなガラス玉は位置を変えていた。白ひげは見聞色なのかカンなのか、一直線にその部屋に向かい扉を開ける。そこはモビー・ディック号の中心に位置する部屋だった。白ひげに続いて部屋に入ったマルコ達はそのガラス玉を見て「あっ」と声をあげる。
「な、んだこりゃ…」
「これ、あのテラリウムか！？こんなにでかくなかっただろ！」
「容器自体もだが中身もだよ…こんなになかっただろ」
ガラス玉は部屋の高さ半分ほどに膨れ上がっていた。それに応じて中身も詰まっている。玉の下部は海のように水が張り、土が盛られて陸地になり、草木が茂る中に沢山の人形が設置されている。それをじっと見ていた白ひげがチッと舌打ちした。
「おれとしたことが…こんなモンに騙されるとはなァ。年はとりたくねェもんだ」
「オヤジ…？」
白ひげの顔が好戦的に歪む。何かあるのかとマルコ達はテラリウムを覗き込んだ。
ガラス玉は倍以上の大きさになったが、中身はもっと増えていた。特に人形。木製だろうか、マルコの親指程度の小さな人形が10や20ではきかないほどに設置されている。デフォルメされた男女の人形は男は服がバラバラなのに反して女は似たような服ばかりだった。手前の上半身裸に帽子を被った男や、それより縦にも横にもでかく丸い白シャツパーマの男なんかがいるのに対し、女はピンク色のスカートに…帽子…あれ？
「――あッ！？これナースちゃん達じゃねェか！！」
「あ、どうりで見覚えがあると思ったら。モデルにしてんのか？…あれ？」
サッチの発見にラクヨウが言葉をきる。そういえば…そういえば、ここしばらく。
「なァ…そういえば、最近ナースちゃん達見てなくねェか…？船を降りたわけでもねえし、いつもはオヤジの…そばに…」
シン、と静まり返る。いつも白ひげの周りにいて世話をしているナース達。ピンク色のナース服が特徴的で、海賊の世話をしているだけあって強かで。そんな彼女たちを、ここ何日か見かけていない。同じ船に乗って白ひげのそばにいたのに。誰も見ていない？ありえない。でも誰一人いないから、今日だってマルコが点滴を。
そもそもいつからいなかった？前の島では確実にいた。その後は？あの時化の時は？徐々に青ざめていくサッチ達の横で、マルコがバチンとガラス玉に手をついた。
「おい、どうしたマルコ」
「こいつ…この帽子の人形…」
ﾊﾟﾁﾝ
「―――エースか！！」

[35 1 25/03/06(木) 00:56:47]

頭の中でパズルのピースが嵌まったような感覚があった。エース。ポートガス・D・エース。まだ年若く少々向こう見ずで、弟が大好きな二番隊隊長。
「は！？エース！？いや、確かに似ちゃあいるが」
「あ、待て！じゃあこれティーチじゃねェか！？ってことはこれビスタか！！」
サッチとラクヨウもガラス玉に手をついて人形を確かめる。それらはよくよく見れば確かに自分達の仲間に似ていた。
「待て…そういえばエース達も、ここ何日か見てねェよい」
「は！？…――いや、そうだ…あの大食らい共の姿を食堂で全然…え！？あいつらどこに行っちまったんだ！？」
「どこって…前の島を発つ時は確かにいたから…」
つまり仲間たちはその後、この船で消えたことになる。どこに行った？あり得ないとわかっていながら、３人の視線はガラス玉の中の人形達に向かった。
「まさか…」
「そのまさかさ」
今まで黙っていた白ひげが口を開く。その目が自分達の後ろを睨むように見下ろしている事に気づいてパッと振り返ると、そこにはこの部屋まで一緒に来た仲間がいた。大柄で、まだ最近の新入りで、なかなか手先が器用な―――あれ？
同時に気づいた。おかしい。この仲間は、さっき甲板で時化の被害報告をしあっていた隊長だったはず。そう、そこにいた。テラリウムのことを話しだしたのはこいつだ。サッチが忘れかけていた新入りのことを指摘したのも。でもこいつは大柄でまだ馴染みきれない新入りだったはず。情報が噛み合わない。そうしてマルコはふと思った。
「いや、そもそも…ここ最近、新入りなんていなかった…よな？」
「「　」」
そうだ。そもそも４皇たる白ひげの本船に、そうそう新入りなんて来ない。それに眼の前の仲間だったはずの男がどの隊の誰だったのかさえ、３人にはわからない。それに今の今まで気づかず、普通に仲間だと思って接していたなんて。
「てめェ…どこのどいつだ！能力者か！？」
奇っ怪な現象に見舞われればまず考えるのは悪魔の実の能力。サッチとラクヨウが戦闘態勢に入る前で、新入りだったはずの男はぐらぐらと揺れながら何かぶつぶつと呟き始めた。何を言っているのか反射的に耳を澄ませそうになったところ、背後からすさまじい覇気が。
「ゔ」
「オ、ヤジ」
ビリビリビリビリ。覇王色の覇気に室内の壁や天井がミシミシと悲鳴を上げる。白ひげはガラスに片手をつくと、そのままぐっと力を込めた。

[36 1 25/03/06(木) 03:04:12]

「おれの」
ﾋﾞｼｯ
「可愛い息子たちを」
ﾋﾞｼﾋﾞｼﾋﾞｼｯ
「―――返せ、アホンダラァ！！！」
ﾋﾞｼﾋﾞｼﾋﾞｼﾋﾞｼﾋﾞｷﾋﾞｷｯ!!　ﾊﾞｷﾞﾝｯ!!　――ｶﾞｼｬｱｱｱｱｱｱﾝ!!

＊

ｻﾞ――ﾝ…ｻﾞｻﾞ――ﾝ…
抜けるような青空の下、３人の白ひげ海賊団幹部がぼーっと海やら空やらを眺めていた。
「結局…なんだったんだ、ありゃ」
ぽつりとサッチが呟く。他の２人に返せる言葉はない。だって始終意味がわからなかった。
あの覇王色に乗せた叫びの直後、ガラス玉は一瞬にして全体にヒビが走り、秒としないうちに大きなガラス玉は重い音をたてて粉々に砕けた。しばらくして室内に静寂が戻った頃、床の上には何人もの仲間たちやナース達が転がっていた。全員それはもう健やかな寝息をたてて。
「あいつらの体は」
「問題ねェよい、なーんも」
ひらひらとマルコが投げやりに手を降る。人形に変えられガラス玉に閉じ込められていたとしか思えない彼らは目が覚めてからも何も覚えておらず、体にもこれと言って異常はなかった。なんなんだ。
もちろんあの新入りと思い込んでいた男も消えていた。こじつけるならあのガラス玉――テラリウムが、あの男の本体だったのだろう。当然だが仲間たちが目覚める前に床に散ったガラス片や土や草木は全て海に捨てた。一欠片も残さないよう徹底的に掃除して捨てた。
あのガラス玉は確かに前の島を発ってから船にあったが、まさか仲間や物資を吸収？取り込んで？テラリウムとして大きくなっていたとは。いや気づくかそんなもん、と突っ込んだのはサッチだ。
「ともあれ、もう大丈夫なんだよな？」
「悪魔の実の能力だとしたら海に捨てたから確実、そうじゃなくても捨てた後速攻であの海域から離れたから追いついてはこれねェよ」
「ぜひともそうであってほしいモンだよい」
ﾊ――――――――ｯ…

「…なあ、なんか変じゃねェかあいつら」
「だよなァ。なんかあったのか？」
自分達が人形にされていたことなど知りもしない仲間たちは、ため息を吐く３人を見てただ首を傾げるばかりだった。それを含めて愛する家族が全員揃っているのを眺めながら、白ひげは満足げに笑う。


(成長するテラリウム)

[37 二次元好きの匿名さん 25/03/06(木) 09:02:33]

エース出てこないからもっと昔の話かと思ってたら

[38 二次元好きの匿名さん 25/03/06(木) 18:00:19]

かっこいいぜオヤジィ！
しっかし認識阻害系は得てして質が悪いなぁ

[39 二次元好きの匿名さん 25/03/06(木) 22:13:56]

古参のビスタやティーチまで取り込めてたテラリウム怖…
それに気づいてぶっ飛ばすオヤジ強いかっこいい

[41 二次元好きの匿名さん 25/03/07(金) 13:13:47]

保守

[42 二次元好きの匿名さん 25/03/07(金) 20:06:54]

これダイスで増えるか減るか決めてたんだな
もし増えててもオヤジならわかるんだろうなっていう信頼感がある

[43 1 25/03/07(金) 20:45:46]

次の話メインは一味

決め難いので気になるもの選んでくださいダイスでもいいよ

1.ウィンチェスター

2.ダイヤモンド

3.ポストアポカリプス

4.送り火

安価>>48

[44 二次元好きの匿名さん 25/03/07(金) 21:42:19]

>>43

お題？

2

[45 二次元好きの匿名さん 25/03/07(金) 22:10:07]

１

[46 二次元好きの匿名さん 25/03/08(土) 00:17:30]

3

[47 二次元好きの匿名さん 25/03/08(土) 00:47:21]

３

[48 二次元好きの匿名さん 25/03/08(土) 02:09:13]

dice1d4=3 (3)

[49 二次元好きの匿名さん 25/03/08(土) 04:25:56]

ポストアポカリプスか
あの世界だと実際ありそう
海の中かもしれんが

[50 1 25/03/08(土) 13:45:27]

>>48

ポストアポカリプス系決定

ホラーレベル　dice1d100=29 (29)

[51 1 25/03/08(土) 21:36:11]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=4 (4)

[52 二次元好きの匿名さん 25/03/08(土) 22:19:53]

ホラーレベル低めだし比較的平和そうかな？
ウソップ楽しみ

[53 二次元好きの匿名さん 25/03/09(日) 02:20:58]

ウソップのポストアポカリプスはなんかこうちゃんと悲観しつつ状況ちゃんと見て絶望してくれそうでいいな

[54 1 25/03/09(日) 03:28:03]

1.ウソップ

「おーい、一部くれ！」

青空に向かって呼びかけると、カモメの配達員は一声鳴いてサニー号に向かって降りてきた。見張り台の縁に足をかけ、赤いカバンから新聞を一部引っ張り出す。

「ありだとな」

ベリー硬貨で支払うとニュース・クーはまた一声鳴いて飛び去った。買った者の特権で一番に広げる。相変わらず世間は騒がしい。まあウソップは、あまり細かい部分はまでは読まないのだが。しっかり読むのは自分達に関係のある人や国の話が載っていたりよほどセンセーショナルな事件が起こった時くらいだ。

ザッと目を通したが今日は目ぼしい記事はなかった。見張りの交代時間になったらナミかロビンに回そう。ナミはまだ寝ているだろうから、ロビンか。

昼前になってもなぜナミが寝ているのかというと、ほんの数時間前に大きな嵐に見舞われたからだ。航路を変更せざるを得ないほどの嵐で、航海士のナミと操舵手のジンベエは特に大変だった。まあジンベエは持ち前の体力でピンピンしているが、ナミはそうはいかない。朝食をパスして仮眠をとっているわけだ。

読み終えた新聞を畳もうとした時、間からパサリとなにかが落ちた。なんだ、と見てみれば。

1.葉っぱ

2.白い紙

3.古い紙

dice1d3=2 (2)

[55 1 25/03/09(日) 04:14:24]

落ちたのは白い紙だった。メモ紙ほどで、端が２辺不揃いなのを見るに元はもっと大きな紙から切り取ったのだろう。
「なんだ？」
裏を見てもなにも書いていない。炙り出しか何かだろうか。
ただ紛れ込んだだけの紙だろうが、それはそれとして後でルフィ達を誘って確認してみよう。光に透かしても何も文字らしきものが見えないのを確認していると、下から声がかかった。
「おーい、ウソップ！昼飯だ！」
「お、わかった！今行くー！」
フランキーが大皿を運んでいる。山盛りのおにぎりを見て急に腹の虫が鳴きだした。
昼食にするということはナミも起きたのだろう。ウソップは紙をポケットに突っ込むと、新聞を片手に見張り台を降りていく。空は数時間前とは真逆で、太陽光も眩しく晴れ渡っていた。

[56 1 25/03/09(日) 11:24:33]

2

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=5 (5)

[57 二次元好きの匿名さん 25/03/09(日) 17:16:35]

まだ日常の範囲なのにダイスが多いなぁ何事だ？

[58 1 25/03/09(日) 22:14:36]

2.サンジ

炊きたてのご飯をあれこれ混ぜたり包んだり焼いたり巻いたりしながら大皿の上におむすびを盛っていく。既におむすびの山は３つめに突入していた。同時進行でウィンナーや卵焼きを焼けるだけ焼いている。
「野郎どもの分はこれくらいでいいか。で、こっちはナミさんとロビンちゃんの…」
盛り付け方もこだわりながら女性２人用の皿を用意する。ウィンナーも飾り切り。特にナミは朝方の嵐で相当気を張り疲れている。負担にならず、かつ回復のための栄養がとれるように。言いたいことは山ほどあるが地獄の２年間で習得したバイタルレシピは日々仲間のために大いに役立っていた。
「ん？」
ふいに一流コックの嗅覚にひっかかる匂いがあった。炊きたての米でもない、少し焦げた味噌でもない、脂の乗った焼き魚でもない、会心の出来の漬物でもない、柔らかい卵焼きでもジューシーなウィンナーでもない…。なんだろう、少し生臭い、焦げるような…。
ｼﾞﾘｼﾞﾘ…
「焦げ…――焦げ！？」
ハッとして振り返ればこれも違うと思っていたウィンナーが焦げかけていた。慌てて火を止める。フライパンの上で転がすと美味しそうと言うには少々焦げていた。もちろん野郎ども用の大皿に放り込む。一番ひどく焦げていたものはその場で自分の口の中に。焦げはしたがそれでも美味い。
「おれもちったァ疲れてんのかね」
らしくない失態だったと頭をかく。あと２本はどうするか――と、そこに匂いを嗅ぎつけたのかドタドタと駆けてくる足音。バーン！と開けられるダイニングの扉。
「うまそうな匂いがする！」
「メシ〜〜〜〜〜〜〜！！」
「もうできるからちっと待ってろ！！」
つまみ食い(ですまない)しようと突撃してきた船長と船医を足であしらいつつ、焦げ気味のウィンナーを２人の口に放り込む。よし。
「んめ〜〜〜〜〜〜〜！！」
「ジューシ―――――！！」
「今日は甲板で食うからな、皆呼んでこい！」
任務を与えてダイニングから蹴り出す。ルフィとチョッパーは元気に飛び出していった。
「やれやれ…」
静かなのはつかの間、今のうち。そうしてサンジは手早く仕上げにとりかかった。

[59 1 25/03/09(日) 22:15:06]

３

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=4 (4)

[60 1 25/03/10(月) 02:10:45]

3.ウソップ

起きてきたナミが座ったところで始まったおむすびメインの昼食は船の上でありながらピクニックのような盛り上がりをみせた。朝方は嵐だったとは思えないほど綺麗に晴れ渡った空の下、青々とした芝生の上で爽やかな海風に吹かれながら、ウソップは脂がのった鮭ハラミのおむすびを口いっぱいに頬張った。ほろほろ崩れる米に染みた脂の旨さときたら。

「うんめ〜〜〜〜！！」

「これもうめ〜ぞ！肉巻きおにぎり！」

「味噌焼きか。味噌の焦げた匂いがいいのう」

「おやおや…このウィンナー、タコとかカニみたいですねぇ、カワイイ！」ﾖﾎﾎ

賑やかな男性陣を前に、一方こちらは女性陣。眠って体力を回復したのか、ナミは３つめのおむすびに手を伸ばしていた。

「これ炊き込みご飯ね。あ〜、おいしい！」

「体は大丈夫？」

「もちろん！頭もすっきりしてるし、一回寝て正解だったわ」

卵焼きを頬張るナミに「それはよかった」とロビンは微笑む。そんな２人が視界に入ったウソップは「あ、そうだ」と新聞のことを思い出した。

「おーい、ナミ！これ今日の新聞だ！」

「あ、買っといてくれたのね。ありがと！」

畳んだままの新聞を投げてパスする。それを見届けて、今度はポケットに突っ込んだままだった白紙を引っ張り出した。

「んん？うほっふ、ふぁんらふぉれ？(ウソップ、なんだそれ？)」

「ちょ、飲み込んでから喋れよ汚ェな！」

米粒飛ばすな！と言うとごくんと一気に飲み込んで「悪ィ悪ィ」と笑う。まったく。改めて「で、それなんだ？」と覗き込まれて、ウソップはもったいぶって白紙を見せた。

「この紙なんだがよ、さっきの新聞に挟まってたんだ」

「新聞に？なんでだ？」

興味を持ったらしくぴょこ、と顔を出すチョッパー。口周りに米粒がついたままだ。

「おれ様はな…」

1.「誰かからの救援要請だと思ってる」

2.「暗号が隠されていると思ってる」

3.「宝の地図が隠されてると思ってる」

dice1d3=2 (2)

[61 1 25/03/10(月) 11:52:13]

「おれ様はな…この紙に暗号が隠されていると思ってる」
「「暗号〜〜〜〜〜！？✨」」
「バカ！声がでかい！」
しーっ！と人差し指で示すと2人揃って口を押さえて頷く。ウソップは改めて声を低くした。
「考えてもみろ、新聞にこんなもんが偶然紛れ込むと思うか？偶然じゃないとしたら何か意味があるんだろうが、ただの白い紙だぞ？下手すりゃ捨てられてる。なんでそんなことをしたのかって、目に触れちゃ困る相手がいたからだ。そいつらに見つかりたくはない、だが誰かに向けてメッセージは飛ばしたい、だからこうしてパッと見じゃあわからないようにしたんだ。じゃあこれに隠された暗号をどうやって解読するかっていうと、水に濡らすとか炙り出しとかーーー」
ﾋｭｳｯ
「わっ！！」
「あっ、紙！飛んでった！」
「ちょおおおお待てコラァ〜〜〜！！」
突風でウソップの指から逃げた紙を慌ててルフィが腕を伸ばして掴む。ナミ達はそれを見て「また何かやってる」とため息を吐いた。
「ふ〜、危ねェ危ねェ。…あり？」
「よーしルフィ、よくやった！…どうした？」
捕まえた紙を、ルフィはまじまじと見ている。ルフィ？とチョッパーが声をかけても首を傾げている。
「なーんかこれ、見覚えがあるような…」
見覚え？とウソップとチョッパーが声を揃えた時、ルフィが掌に乗せた白紙が僅かに動いた。あ、これは。
「「「ビブルカード！！」」」
ルフィのそれと同じ、"誰か"の命の紙だった。


その頃見張り台の上のゾロは、酒瓶から口を離して目を細めた。水平線の向こうに何か。あれは…。
「島か」
望遠鏡を覗き込んで確認すると、そのまま甲板の仲間達に向かって呼びかける。
「おい、島が見えたぞ！」

[62 1 25/03/10(月) 14:32:46]

4

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=5 (5)

[63 1 25/03/10(月) 20:04:47]

量

1.少

2.中

3.多

dice1d3=2 (2)

[66 1 25/03/10(月) 22:35:52]

4.サンジ

島が見えた、と言ってもすぐに着くわけではない。望遠鏡を覗いて水平線の向こうに豆粒程度その頭が見えるだけの距離だ。ひとまず大量に用意した昼食を平らげ、まずナミは海図を取りに行った。朝方の嵐で少々進路がズレている。予定の島とは違う島であるのは確実。まずその島の情報を探さねばならない。
次に忙しいのはサンジだ。昼食の片付けはもちろん上陸するとなれば騒がしい船長は弁当を欲しがるだろう。洗い物が終わったら準備してやらなければ。
「よっ…と」
足でダイニングの扉を開けると両手に重ねた皿を流し台に置く。残りはフランキー達が運んできてくれると言うので先に洗い始めてしまおう。蛇口を捻ってスポンジに洗剤を垂らす。と。
――ｸﾗｯ
「ッ、お…」
急な目眩。崩れかけた足を踏ん張ってやっと、自分が体勢を崩したことに気付いた。
なんだこれ、と思う間もなく膝から力が抜けて崩れ落ちた。開けっ放しの蛇口からジャーッと水が出ている音がする。流し台に手をついたがぐわんぐわんと眼の前が回り、久しく覚えのない船酔いか、あるいは貧血のような。
バタン。
「おうサンジ、皿持ってきたぜ」
「サンジ、冒険弁と――サンジ？」
サンジの耳には届かなかったが、フランキーとルフィが皿を抱えてダイニングに入ってきた。扉を開けて数秒、サンジの返事がないことにフランキーが眉を寄せ、気配がおかしいことにルフィが真顔になる。そして同時に鼻を突く匂いにハッとした。血の匂いだ。それも尋常な量ではない。
「サンジ！」
「おいどうしたこの匂い！怪我でも、ッ！！」
キッチンに駆け込んだ２人が見たものは。むせ返るような血の匂いと真っ赤に染まったシンク、そして流し台にもたれかかるようにして崩れ落ちている仲間――。
「「サンジ！！！」」
2人の叫びは甲板にまで響き、操舵席のジンベエや水やりをしていたロビンが何事かと顔を上げた。

[67 1 25/03/10(月) 22:36:15]

5

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[68 1 25/03/11(火) 01:38:36]

5.ゾロ

ｶﾀｶﾀ…
「(ん？)」
昼食後、昼寝をしようと芝生に転がったところで愛刀の一振りが僅かに震えた。閻魔だ。
「なんだ…？」
ただの振動とするには胸騒ぎがして、仕方なく身を起こす。しかし様子を見ようと抜き切るより先に、閻魔の刃が滲むような赤色を反射して――悪寒が走った。切れ味のいい剃刀の刃が背中を撫でるような。
「なん、」
「「サンジ！！！」」
「！？」
ダイニングからルフィとフランキーの叫び声が聞こえた。今更見聞色が異常な気配を感知する。ジンベエも同じだったようで、２人で駆け出そうとした時開けっ放しのダイニングの扉からルフィがサンジを抱えて飛び出してきた。
「チョッパー！チョッパー来てくれ！サンジが大変なんだ！」
血の匂いがした。ルフィから、もっと濃い匂いがサンジから。
実際芝生に転がされたサンジは身体中赤黒く染まっていて、パッと見で重症だった。顔色も悪い。ただ、なんとなく見覚えが…ああ、シャボンディ諸島や魚人島で見た、貧血状態の時の顔色だ。いやまさか身体中を染めるこの赤が全てサンジ自身の鼻血ということはないだろうけれど。
「サンジがどうした！？」
「サンジくん！？」
頼れる船医と航海士が揃って走ってきた。サンジの状態に悲鳴を上げてすぐさま診察が始まる。
事ここにおいて自分にできることはないと、ゾロは周辺に意識を向けた。自分達はどこかから攻撃されている？だが先程はまだしも今は何の気配も感じない。
「(能力者か？)」
神経を尖らせて気を張り詰めるゾロの手の中で、閻魔がまた一つカタ、と震えた。

[70 1 25/03/11(火) 10:10:19]

6

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=5 (5)

[71 二次元好きの匿名さん 25/03/11(火) 18:08:23]

当たりたくないタイプのダイスだな～って思ってたらまたサンジ！？
今やばい状況なんですよ！？

[72 二次元好きの匿名さん 25/03/11(火) 18:10:55]

ウソップゾロサンジしか出てないのすごいな…

[73 1 25/03/11(火) 21:36:49]

6.サンジ

サンジの目覚めは惨状の割に早かった。小さく呻いたかと思えばそのまま目を開けたサンジに、囲んでいた一味はホッと息を吐く。
「サンジ！」
「サンジくん、大丈夫！？」
仰向けのサンジの視界は青空と覗き込んでくる仲間。コンマ１秒でサンジはハッと目を見開いた。
「天使…いや女神…！？おれは死んだのか…ここは天国か！！」
「思ったより元気だ」
「元気にトチ狂ってんな」
ナミを見て間髪入れずそう言い放ったサンジに安堵する一同。急に血色がよくなったのは輸血が効いてきたからだけではないかもしれない。
「ん？血…？」
「ワノ国で少し輸血用の血をもらっておいたんだ。血液は長期保存はできねェけど、あんな無茶な戦いしたからな、何もなくても後から急にくる可能性もあったし」
ましてサンジに輸血できる人は少ないのに、チョッパーが修行後再会して以降のサンジは度々ひどく出血しているので(特に鼻血)。念の為にとワノ国の人たちからもらった血が早速役に立った。立ってしまった。
「そういやァ…なんか急に目眩がして、そのまま気絶しちまったのか」
ワノ国でのダメージがぶり返したのだろうか。今更？と首をひねるサンジだが、一味はちょっと…なんとも言えない顔をした。え、なに？
「おれとルフィがダイニングに入った時、おめェは既に血まみれで倒れていたワケだが」
「血まみれ？あの時はどこにも怪我なんてしてなかったぞ」
「ああ、そうだろうな。現にチョッパーが診たが、お前は無傷だ」
サンジが気絶している間にわかったことは４つ。サンジは怪我こそなかったが確かに失血していた、キッチンをサンジごと汚した血は蛇口から出ていた、その血は蛇口を閉めたら止まり次にひねった時には普通の水だった、大量の血にはサンジ以外の血液型も混じっていた。
「そもそもあの量は人一人の血液量を超えてたからな」
「蛇口の方もちっと調べてみたが配管と濾過装置にも異常はなかったぜ」
「いったいどういう…いやちょっと待て！キッチンが血まみれ！？一大事じゃねェか！！」
「あッこら動くな！！」
衛生命のキッチンが血で染まるなんて二重に大惨事だ。点滴針が刺さったまま立ち上がりキッチンに駆け出そうとするサンジにきつめのドクターストップが入る。ドサッと芝生に倒れ込んだサンジに、一同のため息が揃った。

[74 1 25/03/11(火) 21:38:49]

7

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[75 1 25/03/11(火) 21:39:05]

なぜ…？？

[76 二次元好きの匿名さん 25/03/11(火) 23:30:59]

気になるなら名前の順番変えてみるのはどうかな

[78 1 25/03/12(水) 00:29:32]

7.ゾロ

「起きたみてェだな」
サンジが目覚めた気配を感じたゾロが呟く。同じように気づいたジンベエも表情を綻ばせた。
「サンジが目を覚ましたの？そう、よかった…」
「おやおや、後で目覚めの喜びを一曲奏でなくては！」
表のサンジ介抱組と別で、こちらはゾロ、ジンベエ、ロビン、ブルックが血まみれになったキッチンを掃除していた。ダイニングに入った時には全員が思わず顔を顰めたものだ。匂いがきつくて。一味の中では血生臭い事に耐性のあるメンバーですら。
「それにしても…やっと薄れてきたかしら」
「汚れ自体はほとんど綺麗になりましたが、匂いは徹底的に換気しないことには完全に消えそうにもないですね」
「妙な血だな。ドロっとしてて」
「色も黒ずんでいたように見えたのう…時間が経っておったんじゃろうか」
例えるなら小さな池に死体を何体も放り込んで流れ出た血が雨や池の水に混じってさらにどろどろになったような。放っておいたらスライムのような、ゼリー状になったんじゃないか。その汚れは思いの外綺麗になったが、匂いの方が隅々に残っている。
「今日は1日中扉を開けっ放しにしておかないとね」
「いっそフランキーさんに、一時的に壁に風通し穴でも開けてもらいますか」
「ったく、なんだってんだ」
ぎゅっと雑巾を絞るゾロの耳に表の騒ぎが入る。どうやら動こうとしたサンジにチョッパーからドクターストップが入ったらしい。病み上がりにチョッパーの言葉を聞かずに動こうとするからだ、アホめ。自分のことは棚に上げてゾロは鼻で笑う。
「しかし…第三者からの攻撃にしては妙じゃのう」
「そうですねェ。私達を狙った能力者だとしても…確かにサンジさんには被害がありましたが…どうにも」
離れた場所から怪我をさせずに血だけを抜く？だとしたら脅威だがなぜ室内にいたサンジなのか。あの時は外から見える位置にルフィ達もいたのに。
あれこれと話している３人を残して、ゾロはバケツに溜まった汚水を捨てにダイニングを出た。こんな気味の悪いものを海に捨てるのも些か気になるが、船の中で処理するのはもっと嫌だ。
バケツをひっくり返すと赤黒い液体が風に散りながら海面に落ちる。それを確認してダイニングに戻ろうとするゾロをナミが呼んだ。
「次の島のことで話があるの。ロビン達を呼んできて！」

[79 1 25/03/12(水) 00:31:46]

>>76

やってみる

8

1.チョッパー　2.ナミ　3.ゾロ　4.ブルック　5.フランキー　6.ルフィ　7.ジンベエ　8.ウソップ　9.サンジ　10.ロビン

dice1d10=2 (2)

[80 二次元好きの匿名さん 25/03/12(水) 00:33:55]

変えてなかったらまたゾロだったんじゃねーか！

[81 二次元好きの匿名さん 25/03/12(水) 07:36:37]

今回のダイス神234ばっかりだな
ナミさん含め東の海編メンバーが当たってる

[82 1 25/03/12(水) 12:47:36]

8.ナミ

広げた資料を見ながらナミは頭を抱えていた。これを知らせればどうなるかわかっていたからだ。
嵐から逃れたはいいものの予定の航路を外れた。それは仕方ない。仕方ないがこの先にある島が問題だ。絶対ルフィは行きたがる。つまりそういう島だ。
いっそ何も教えずそれとなく当初の予定通りの航路に誘導しようか？いや、バレる。本能で見抜かれる。こういう時の我らが船長のカンは超人的だ。
まあ、それに。何より航海士として船長に嘘をつくことはできない。大きく深い溜め息を吐いて、ナミは腹を括って甲板に戻ろうと部屋のドアノブに手をかけた。チョッパーを呼ぶルフィの大声が聞こえたのは、その直後だった。

血まみれのサンジという事件はあったものの、一先ず落ち着いたところでナミは全員を集めた。今の一件を考えるともはや誤魔化しは元より引き伸ばしもできない。既に肉眼でも確認できるあの島について、全員に伝えなければ。
「話ってなんだ？あの島についてか？」
「そうよ。事と次第によっては無理矢理にでも進路を変えなきゃいけないわ」
「ええ〜〜〜〜〜〜〜ッ！？なんでだよ！！」
ゴン、と一味には耳慣れた音がした。
「それを今から説明すんのよ！黙って聞く！！」
「ずびばぜん…」
シュウウ…と船長の頭にたんこぶができるのも慣れたもの。ナミは改めて咳払いした。
「あの島なんだけどね、今は無人島なのよ」
「無人島？今は、ってことは前は人がいたのか？」
ゾロの問いに是を返す。話としてはこうだった。
「元々は小さいけど人がいる普通の島だったみたい。それだけならよくある話なんだけど、問題はここから」
「問題？」
「あの島はごく一部の人達の間じゃ有名なの。”呪われた島”ってね」
ぽかん、とした一味の脳内を再現したかのように、一羽の蝶がひらりとサニー号から離れていった。

[83 1 25/03/12(水) 12:53:10]

9

1.チョッパー　2.ナミ　3.ゾロ　4.ブルック　5.フランキー　6.ルフィ　7.ジンベエ　8.ウソップ　9.サンジ　10.ロビン

dice1d10=1 (1)

[84 1 25/03/12(水) 22:25:11]

9.チョッパー

呪われた島、と聞いて、チョッパーは悲鳴を上げた。
「の、の、呪われた島ァ〜！？」ｱｱｱｱ
「待て待て落ち着け〜、チョッパー。おいナミ脅かすなよ〜。呪いったってアレだろ？人がいなくなって廃れた町とかが不気味でそう言われてるとかそういうやつだろ？」ﾊﾊﾊ
「だったらよかったんだけどね」
チョッパーをなだめながら「またまたあ」という様子で笑うウソップをジロリと睨めつける。
「実際あの島に行ったって人達がそれなりにいるのよ。で、その人達が尽く”そういう”目に遭ってるってワケ」
「そういう、とは」
「…お化けとか幽霊とかそういうヤツよ」
ふいと目を逸らしてナミは呟いた。、つまりさっきのサンジのあれそれもそのせいという可能性が。
「よーし進路変更！無人島なら物資の補給もできねェしな！」
「そうだ、そうしよう！次の島を目指そう！いいよなルフィ！？」
「ん？？✨️✨️✨️✨️」
「「すっごい目輝かせてる〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！」」
デジャヴ。
ウソップがルフィの胸ぐらをつかんでルフィを止めようとするがルフィはろくすっぽ聞いちゃいない。チョッパーは自分とウソップだけでは戦力不足だと仲間に助けを求めたが…。
「ま、背を向ける理由にはならねェな」
「呪いだろうがなんだろうが切っちまえばいいだろうが」
「島全体が廃墟ってことよね。遺跡ではないけど見てみたいわ」
「滅んだ島…なんでしょう…私、ちょっとシンパシーを感じます」
割と怖がりなブルックまでもが島に興味を示しているのを見てだめだこれは…とチョッパーが絶望した時。

[85 二次元好きの匿名さん 25/03/12(水) 23:50:35]

めっちゃすき
展開楽しみ

[86 1 25/03/13(木) 01:17:05]

「待たんかルフィ！」
「「ジンベエ！！」」
頼れる親分が待ったをかけた。元船長でもあるジンベエなら。
「予想できる危険なら回避せい！幽霊だなんだはともかくそういう島には島固有の幻覚作用のある花粉を散らす植物が自生しとる場合もある！」
「おれ毒効かねェぞ」
「サンジがさっきあんな事になったのにわざわざ危険に飛び込む気か！」
「そうだジンベエ、ビシッと行ってやってくれ！」
声援をとばすウソップを手を取り合いながら、チョッパーは「ジンベエはやっぱりすげェな〜〜！」と思っていた。しかしそう言われたルフィは――真顔のままジンベエの後ろを指差した。ジンベエに釣られてチョッパーとウソップも振り返ると、そこには。
「幽霊だかなんだか知たねェがウチのキッチンを汚しやがって…許さねェ…地の果てまで蹴り飛ばしてやるぞクソ幽霊共ォ…！！！」ﾒﾗﾒﾗ
サンジが燃えていた。コックの城たるキッチンを血まみれにされたことに相当キレている。あ、これはダメだわ。
困った顔でこちらを見るジンベエに、チョッパーはウソップと揃って黙って首を振った…。

[87 1 25/03/13(木) 01:49:13]

>>85

あざす

10

1.チョッパー　2.ナミ　3.ゾロ　4.ブルック　5.フランキー　6.ルフィ　7.ジンベエ　8.ウソップ　9.サンジ　10.ロビン

dice1d10=9 (9)