- 1二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:12:56
- 2二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:13:17
- 3二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:13:33
- 4二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:14:32
- 5二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:16:02
スレ主もこれから書き始めるけどかなり遅筆なので、すぐに文を書けなかったら申し訳ない…!
- 6二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:31:50
自分も書くけどとりあえず10まで保守した方がいいかもしれんね
- 7二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:35:30
面白そう保守
- 8二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:35:52
夜は規制もあって落ちやすいぞ保守
- 9二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:36:13
保守ありがとうございます
- 10二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:36:26
ほ
- 11二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:49:54
- 12二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:50:02
練習で 5分で書いて みたかった だけど余裕で 時間はオーバー
<情景描写>
苔むした巨石でできた谷間に静かに川が流れる。
そびえ立つ岩の間から落ちる清涼な水が川面を叩く音が周囲に響いていた。
谷間にかぶさるように生い茂った木々から柔らかな光が漏れ、水面をきらめかせる。
- 13二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:57:58
もう5分とか嘘だと言ってよバーニー…
<情景描写>
家のドアも壁も小道も多種多様な青色が彩る。
紺碧に塗られた階段や壁には目の覚めるような赤や黄色、オレンジの鉢が飾られて通行人お目を楽しませる。
乾燥と暑さの厳しいこの地域にあって、すっと空へと伸びていく植物の緑の葉がその生命力を誇っていた。
- 14二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:59:27
このレスは削除されています
- 15二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:06:34
自分が使いがちな単語がよくわかるな
<情景描写…?>
夜の暗さを吹き飛ばすネオンの看板が道路の両脇から迫り出していた。
ガイドブックを片手にした観光客達は威勢のいい客引きの掛け声に顔を上げ、ページを閉じる。
人々の熱気と辺りを漂う食欲を誘う香り。そのひとつひとつが粒子となって体にぶつかってくるような圧倒的なエネルギーに満ちていた。
- 16二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:07:26
- 17二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:12:46
- 18二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:14:17
- 19二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:16:50
- 20二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:17:34
ありがとう! そして感想嬉しい☺️
そちらの文章も素敵だった
自分はなんかこう『情景をそのまま描写すること』がちょっと苦手なんだけど上手くて羨ましい
それぞれ静かさが耳に染み入るような、晴天から降る白光が見えるような、旅のワクワク感が伝わってくるような文章だった……自分も精進せねば……
- 21二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:18:48
あ、スレ主が挙げた写真以外でも他に気になる写真があしましたら
みなさまお好きにアップしてスレを賑やかにしていただければと思います! - 22二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:22:33
無常感、って言うんだろうか
そういうものをひしひしと感じられて素敵だった
青年に何があったのか、この後どうなるのか、そういう煩雑な思考を『橋は何も言わない。橋は何も思わない。』に収束させて葬るように終わらせているのが「匠の技だ……」と思わず理解者顔でうなづいてしまった……三十分でこれ書き上げられるの凄いな……
- 23二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 00:29:44
はわわ…理知的な文章…ありありと情景の浮かぶ的確な描写…物語も美しくて好きです…
写真の景色だけでなく、その景色へと至る背後に流れる長い時間を深く感じさせると共に
今を描写し、そして青年が落ちた後にふたたび静かな情景へと至る、そして未来へ続いていく物語の美しさ…
30分…?
30分?????
- 24二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 01:08:11
マカオの写真を見て書いてみたい事を書いてみました
ああ、うっとうしい。
中心街に向かいほどに強くなる、人々の活気からでる騒音と人間を光に集まる虫だと思っているのかと思うほどの強いネオンに脳を揺らすような不快感が止まらない。仕事の終わりに何の気無しに寄るんじゃ無かった。
…君ときた時は、中心街に向かう程に人々の活気一つ一つがステップを踏むように足を軽くさせ、ネオン一つ一つが君を照らすライトの様で芸能界に迷い込んだかと思う程だったのに。
1日訪れた、観光地を第二の都の様に溶け込む君がいなくなるとこんなにも疎外感のある場所だとは思わなかったな。君は今、誰と関わっているのか、と考えてしまうのは異国の地だからだろう。 - 25二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 01:24:48
川を揺蕩う私の真上を森は枝を伸ばし屋根を形作った。
木漏れ日と共に覗く空の薄い青は、この渓谷を静謐の色で照らしている。
ひんやりと、苔むして、そびえ立つ岩の壁からは滝の音が落ちていた。
雄大な自然の中にしつらえられた橋には人影などなく。
世界の狭間に取り残されたような気持になった。
その町を一言で表すなら間違いなく白だ。しかし全てが真っ白ということはない。
私は青い階段を上った。その傍らには赤色や黄色、様々な色に塗られた鉢植えが
街の白々しい寂しさを紛らわせるように並び彩りを添えている。
今度子供をここに連れてこようと思った。
白い画用紙とカラフルなクレヨンもプレゼントして。
あの子なら、きっと良い思い出を描き残せる気がした。
闇夜に輝くネオンサインは、うるさいくらいに眩しくてどこか妖しい色気がある。
所狭しと掲げられる看板はその意味がわからずとも歩行者たちの目を盗み。
ギラギラと照らされた街は夜空に輝く星を忘れさせる。
空に星を見つけられなくなった人々は、地上で輝く星を望んだ。
故に、毒のように美しい繁華街のスターたちは何者をも魅了するわけだ。
写真の場所はミリしらなので第一印象だけで描いてるためきっと内容はメチャクチャ
- 26二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 01:36:09
(見た目から連想して、架空の土地として扱ってます。ガイドブック風)
(湖の名前)は、森の奥に存在する秘境の湖だ。
精神統一にピッタリな場所故、この場所を知る人々が心を休めるために近場に来ることがある。
また、この湖には主といわれる魚が居るというウワサ…
海辺の港町に来た人を初めに出迎えるのは真っ白な家。
カラフルな植木鉢に植わさった植物と波の音が合わさり、南国情緒を引き立ててくれる。
中には隠れたお土産屋もあるので探してみるのもいいかもしれない。
この眠らない街の繁華街を彩るのはカラフルなネオン。
様々な店のネオンが、まるで甘い香りの花のように人々を引き寄せる。
食べ歩きするのもいいが、散財のしすぎや食べすぎには注意しよう。
- 27二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 07:38:37
- 28二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 07:40:57
感じた繁華街の鬱陶しさの描写と、「君」がいた頃の同じ繁華街の楽しさの描写の対比が美しい 同じ光景をここまで正反対の雰囲気で書けるなんて凄い
どちらの描写もその光景がありありと浮かんでくるようで、文章力が凄まじいと思った
「君」はどうして居なくなったのか、背景も考察したくなるような魅力的な文章だった
- 29二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:27:07
同じ場所でも一緒にいた人で感じ方が変わる…その落差や風景は心で見ていると気付かされました
きっと「君」と来たときに輝いていた思い出の場所だから訪れただろうに
「君」が隣にいないことをまざまざと実感することになった感情の動きがひしひしと伝わる…
物語を想像させる文章で好きです
- 30二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:38:09
は〜…美しい…とても美しい…
的確に情景をその風景にあった雰囲気の言葉で描写していてかつその中に
視点主だからこそ感じられたことがすっと伝わってきて、しかも文章の中でシーンが完結していて気持ちいい
他の方々も含めて、こんな豊かなさまざまな文章・作品をお気軽に摂取できてしまっていいんだろうか
スレ建てした自分、マジでグッジョブ…
- 31二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:40:47
- 32二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:56:30
冷えた空気から逃れるように布団にくるまってまどろむ。
鳥の羽ばたきにふっと意識が上昇した。
目を擦りながらうっすらと光の差し込む窓をみれば電線に鳥達が留まっていた。
あれはドミソ。あっちはミソラ。
はちゃめちゃな音が脳内に響く。
鳥達は羽ばたいて空へと消えると静寂が戻った。
僕は起き上がるとティファールのスイッチを入れた。
目覚ましにホットコーヒーを飲んで、ついでにそのコップで指も温めて。
今日は自由に音と戯れよう。あの鳥達のように。
- 33二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:59:04
- 34二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 10:40:11
エマちゃんのワクワク感が伝わってきていいですね…!
情景の要素を抜き出して表現された描写は素直に読みやすくて、読者によって色々なイメージが湧くような、想像させる余白があって好きです
絵を描きたくなる文章ですね!
- 35二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 10:42:09
このレスは削除されています
- 36二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:10:22
- 37二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:31:28
- 38二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:32:21
- 39二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:33:09
- 40二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:36:22
- 41二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 11:36:58
- 42二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:22:08
- 43二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:25:45
影をなぞっていた。そぞろに移ろう視線が、その輪郭を撫でるのだった。
淡い空。薄い空。広い空。遠い空。言葉を重ねるほどに、かえってその赤裸々な有様から遠のくようで。なんて淋しいことだろう。だからその掴みがたい空に近づくために、影をなぞることにした。
影は、その黒の密度を異にして、奥行きを語ったいる。別に影が好きなのではない。空を追いかけているだけだ。
影が彩らない余白は、そのうち空になるはずだから。空を表す言葉を数えるよりも、視界に落ちる影を数える方が、手を煩わずに済むのだから。
最後に浮き彫りにされた空は、果たしてどんな色をしているのだろう。期待の絵の具で、胸に広がる虚像のキャンパスに色を載せる。
あれは倦んだ電線。鼠色で縁をなぞる。
あれはさざめく草木。歯の浮くような青を塗りたくる。
あれは飛び立つ鴫。控えめな茜を滲ませる。
影を数える。筆を走らす。情景と眺望の二枚写しに、世界は荒唐無稽な彩りを帯びる。
しばり、と瞬く。櫛で濡烏を解くように、空気が睫毛の間を潜る音がした。
目を開ける。それは筆を置くことだった。
影は蒸発したようだ。一面の空。
- 44二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:34:15
- 45二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:37:44
白いキャンパスに、ターコイズを溶かしたような神秘的な景色に目を奪われる。普段は鬱陶しいだけの風がひんやりと肌を掠めて気持ちがいい。
小さい頃、来た時は
「さびーけどディアルガいそうだから好き」
とか言ってDSでポケモンいじっててごめんよ父さん母さん。
修学旅行などで訪れた景色を大人になってから見直すと、あの時何でちゃんと見てなかったのだろうと土地の由来や歴史を知る度に後悔する。
折角だし景色を写真で撮ろうとスマホを取り出そうとすると
「…ユキノオーいそうだから好き」
「何言ってんの、Switchしまいなさい」
「…ディアルガじゃなくて?」
「お父さんも何言ってんの」
どうやら我が娘は、ユキノオー派らしい。
日光の光が雪を照らし、星のように煌めきながら落ちてくるような景色を尻目に、娘のSwitchを覗き込む。
何言ってんの言いつつユキノオーを確認している妻と、どこら辺にいるか検討している娘。
旅行での景色は、毎回景色が変わるらしい。
全て楽しい、人生の思い出だ。
- 46二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:41:31
- 47二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 13:46:06
冷たさは鋭さに喩えられる。
凍結。氷解。凍土。言葉に埋め込まれたこおりは、いつも鋭い停滞を表す。
冷たく滞るもの。人は氷に、そんなイメージを背負わせたようだ。
飽和し膨らむ白色を目に注ぎ込みながら、そんなことを考えた。
不恰好な樹氷が、名無し草のように雪原を覆う。無骨な山肌が纏う雪化粧。雲が剥き出しの空を晒すことを拒んでいる。
白色は無垢と可能性を背負わされた。白紙。自白。潔白。人はいつも、どうして身勝手な観念で言葉を縛りつけるのだろう。
なんて自由なのだ。一面の白と氷を見て、私は澄んだ空のかけらを胸に吸い込んだ。濁った息を吐き出し、純白を小さく汚した。
いずれ雲は去るだろう。樹氷は失せ、野暮な緑が茂っていく。山肌が痛々しく剥ける日も近い。
今を否定する全ての未来を思い描き、目の前の束の間をただ愛おしむ。
白い氷の世界に、私は確かに今、立っている。
- 48元ネタはsoldiers(曲)25/03/02(日) 16:00:44
「その景色は、まるで別世界」
……かつて読んだ小説の一節だったか、それとも、何処ぞかで聞いた歌詞の断片だったか、今となっては思い出せない。その当時は陳腐でありきたりな表現だったと思ったものだが、しかし、そのようなありきたりな言葉だからこそ、表象し得る光景があるのだということに、今更ながら気付かされる。
己が心の裡に焼き付けるように、あるいは溶かし込むように。私はじいっと目を凝らして、眼前に広がる光景を収める、空の蒼と、雪と雲の月白と、遠方に広がる、剥き出しになった山肌の灰。そして、私の口から断続的に溢れでる白い吐息、この四色が複雑に混ざり合い、一つの幻想的な雪景色を作り出していた。それは美しく、蠱惑的で、しかれども、私を飲み込んでしまいそうな恐ろしさがあって。私は小さく笑みを浮かべる。
ああ、この景色は。本当に別世界だ、としか言いようがないな。
- 49二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 16:12:52
「お菓子の家みたいだ」
旧市街の町並みを眺めた僕は、思わずそう感想を漏らした。
「お菓子の家? ヘンゼルとグレーテルか?」
我が息子ながら変な事を言いうなあという顔の父のツッコミに、僕は慌てて訂正を入れる。
「いや、童話じゃなくて。ていうか、あれ舞台はヨーロッパじゃん。そうじゃなくてさ、窓枠周辺とかの白い部分がアイシングっていうの? 砂糖菓子のコーティングみたいだなって思って」
「言われてみれば、結構シュトーレンに似てるかもなあ」
父はここ数年日本でも流行りだしたドイツのクリスマス菓子の名前を口にする。
まったくここは中東の国だというのに、またヨーロッパ繋がりではないか。そう思ったが、そもそも自分が連想したアイシングだってヨーロッパ発祥なのでは? と思い至るまでにそう時間はかからなかった。
改めてもう一度街並みを眺めてみた。
思った以上に、僕たちの脳はヨーロッパに浸食されているようである。
確かに色合いはよく似ているなと父に同意せざるを得なかった。
- 50二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 16:52:53
- 51二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 17:12:21
- 52二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 17:49:03
乾燥した風が顔を撫で、刺すような日差しが濃い影を落とす。
日干しレンガが積み重なった建物の窓や壁には白の線が走り美しく飾っている。
日陰を求めて小道の橋を歩けば、異国の言葉が歌っているかのように聞こえた。
焦茶色の巻き毛の少年の興味深そうなオリーブの目と視線が交わるも、母親に手を引かれてすぐにそれは解けた。
柔らかな女性の声に応える声は高く空へと吸い込まれていった。
- 53二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:18:09
ジーザス!クライストォォォォォォ!
なんだ!?このファンシーな空間は!――心の中で俺は絶叫したよ。
どうやらここは奥まった住宅街か何かの裏のようだ。
狭い坂道に向かい合うように住居の壁が並んでいる。
つまりは屋外だ……が、こいつが気持ち悪い!
家も壁も、床の階段すらもだ!全部が青!青!青!
まるで夢の中か何かのようにふわふわと非現実のような質感で何もかもが青白い!
『あぁ、これが死者の迷い込む国ヴァルハラか』と思ったね!
(※マサトシはヴァルハラをファンシーな死者と生者の狭間の世界と思っている。
正しくは北欧神話の死した戦士の魂の集まる宮殿であり、そのようなものではない)
しかも、それだけじゃないんだ。
その空間の中のあちこちにポップでファンシー、カラフルな鉢が散りばめられてやがるんだ。
わかるかい?ステファニー
こんな空間に突然スポーンしてしまった俺の気持ち
――どうでもいいから、早く言ってちょうだいよ、結局どこなのよそこ。
あなたっていつもそうね、自分のことを聞いてもらいたくてしょうがないって。
まるで女々しい豚だわ。先に結論から言いなさいって言ってるでしょう?
女々しくて!女々しくて!女々しくてつらいよ!!!!!
そうだよ、モロッコだよ、モロッコヨーグルの!
――まぁ!あのモロッコヨーグルの!
モロッコヨーグルってそんな不思議な空間で作られていたのね!
(※違います、断じて違います)
- 54二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:22:44
柔らかな新緑が風に揺れていた。
水分をしっとりと含んだ空気を肺一杯に吸い込む。
木々のしなやかな影が映るのは悠久の時を重ねた石壁。
そっと横たわる苔むした柱に手を添わせると、ひんやりとした石に体温が移る。
私は、過ぎ去った遠い過去と今が交差する狭間に触れているのだ。
- 55二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:28:51
- 56二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:30:04
- 57二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:35:50
- 58二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:43:17
- 59二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:53:34
このレスは削除されています
- 60二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 18:55:10
- 61二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 19:33:13
大人でほろ苦い内容で写真の雰囲気と重なるのがいいですね!
家の主人がいない布団で過ごせるほど近しい間柄なのに、カラスの鳴き声に急かされるようにその家を出て、帰路に着く…
帰る先が今いるそこじゃないなんて切なすぎます…!
- 62二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 19:47:27
雪原に何百何千と乱立する雪の塊。
奇妙なオブジェのようなそれは、しかし吹き荒ぶ風に立ち向かう命の強さだ。
力強く立つ樹木に近づけば、冷たい光が薄青い影を伸ばしていた。
雪は白だけだと思っていたな。
遠くを見遣れば、山影は青く、光の照らす先は白く輝いている。
すこしずつ日は傾き影が伸びる。
夜になれば、月光で新たな色をみることができるだろうか。
- 63二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 19:55:06
視点主が子供の頃は、もしかしたらご両親から共感はもらえなかったかもしれませんが
視点主の娘がかつての自分と同じ視点で世界を見ていること、それを一緒に見ようとしてくれている妻がいる
そんな視点主の家族の暖かさが伝わってきました
- 64二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:01:49
悠久の時を経て朽ちていく遺跡…その静かな死へ挑む探検隊
隊員達の当初の遺跡に対する畏れと、隊長の不敬とも取れる動作とのギャップ、生と死のコントラストがいいですね!
遺跡の中へ足をすすめる探検隊の行方が気になります!
- 65二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:09:16
- 66二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:15:33
- 67二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:20:14
とてもいい…
ついつい文化や風土に着目しがちですが、写真を見たときの素直な感想
お菓子の発想は全くなかったので、その筆者の視点とそれを表現する軽やかな筆致に写真を改めて見るとお菓子にしか見えなくなりました
コーヒーを片手にアイシングクッキーを食べたい
- 68二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:26:30
書かれた文章一つ一つに感想出してるの凄いな…
- 69二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:26:44
あ〜…脳内に胸元が伸びて、汗や油で薄汚れた少し黄味がかった、かつて白かったタンクトップを着たおじさんがいます
ちょっと無精髭が生えた顔で首の後ろを掻いて話してる感
故郷を大切にしている気持ちにあふれた人であってほしいような後ろ手に銃を隠し持っていてほしいような
そんな続きを想像したくなる文章でした
- 70二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:28:32
感想書くの苦手というか自分の語彙力というか読解力というか感受性というか想像力というか
創作をする上で諸々が足りないことに打ちのめされながら書いております!!!!!!
他の方々も、どこか琴線に触れられましたらコメントをしていただけますと誠に嬉しく思います!!!!!
- 71二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:38:17
はい可愛い
異国を訪れた少女からみた世界の美しさ…
舞踏会に胸を膨らませる少女の服装は故郷のものでいかにも外国のお嬢さん的な感じでもいいし
現地の服装を身に纏っているのもそれもまたよい
少女視点の世界もみたいけど、同時にその世界を楽しむ少女を見つめたい、そんな気持ちになる文章でした
- 72二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:45:29
ハイ マサトシ!
ポップでファンシーな青の世界を気持ち悪いと言いつつ実は楽しむ(?)その姿勢!素直な言葉もそれもまたよし!
ただし異国の地であることをゆめゆめ忘れず素直すぎる表現にお気をつけて!
はぶあないすとりっぷ!
- 73二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 20:54:57
- 745525/03/02(日) 22:41:50
例えばキャラとか建物に差す影の色を夕焼け風に赤く、っていう発想自体は
絵でも3D映像でもあるよね
青だって緑だってできるから
そこから「陰影は黒とは限らない」って発想が自分に蓄積されたんだろうね
って言語化できたよ
感想頂きこちらこそありがとう!
- 75二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 00:13:15
とある出来事。
あれは、今振り返ってもほんの些細なことだったように思える。だがその些細なことが、流血に繋がってしまった。初めて銃を撃ったのはあのデモの時だった。「財閥からの要請?」
信じられなかった、政府からではなく。たがの一企業からの要請で国が動いて、それによって警察が動いたことに。
そのデモを鎮圧する為にたどり着いた、大きなビルの隙間から見えた光はとてもきれいだった。
「キレイだ......」
それはとても幻想的に感じた。だが、自分はこんな状況でキレイなものを見たくはなかった。
よくこの景色を見ると、太陽の光が自分を非難しているようにも、見えたからだ。
「これを汚したくはなかったな」
この景色に幻想的に感じていたから。ここを、血だまりにすることになる自分の行動が嫌だった。
「でも、やるしかなかった......」
過去を振り返るのをやめてあの人と同じように、ビル外の太陽を見た。あの時と同じきれいな太陽だが......あの時と同じように感じる。
......ことはなかった。
「やっぱり太陽は、嫌いだ......」
- 76二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:02:31
- 77二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 06:58:07
徹夜明けの重い体を引きずりビルから出た瞬間、朝日が目を差した。
道路の両脇に立つビルの窓にうっすらと夜の名残を映していた。
ふらついた足取りで目覚め始めた街を通り駅へと歩く。
少しずつ高くなる太陽に小さく悪態をつく。
求めているのは夜の安寧であり静かな時間であった。
いや、違う。ただ朝が怖くなったのだ。
あぁ、一日が始まる。
- 78二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 07:13:34
上の警察官のお話の続きあってますか?違ったら申し訳ないです
財閥と公権力の癒着やら気になる要素が垣間見えるのが心くすぐりますね
これから一体どうなるんだろう?と先を読みたくなります
太陽は元気な時ややる気がある時にはパワーをもらえますけど、その力強さ、眩しさが時にこちらを焼き尽くしてしまうこともある…と寝不足の目をこすりながら頷きました
- 79二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 07:30:59
ひらけた場所で見た時にはハエがとかは構わず飛び交い、ビル群の限られた視界では無機質な直線だけがある…
そのコントラストを切り取り太陽を見る視点に月曜の朝の倦怠感がとてもマッチしている、自分に置き換えて共感しました
- 80二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 16:41:41
保守
- 81二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 20:27:58
強い光を感じて私は目を覚ました。目を突く刺激に飛び起きたが、飛び起きたつもりになっただけで、体は寝そべったまま動かない。寝そべったままなので周囲を見回すこともできず、白んだ空に突き出たビルの影と、冷たいアスファルトの感触から、自分が往来で大の字に寝ているらしいことを理解した。
起き上がろうとするが、体に力が入らない。この体中の糸が切れたような倦怠感は、間違いなく昨日飲んだ酒のせいだ。それが経験則で分かるくらい、私は度々このようなことを繰り返していた。
「もうやめようって言ったのにな…」
医者に説教されたのは先月のことだ。今度こそ後はないと危機感を覚え、周囲の人間にも禁酒すると触れ回って抑止効果を期待した。しかし我が親愛なる阿呆の友人たちは、そんなことはものの数週間で忘れ去っており、私を夜の街へと誘った。そして私も阿呆の仲間だった。
体と同じように、心にも無力感が漂った。自己嫌悪はもう何百回とした。最早自分はもうどうしようもないという諦めだけがあった。
まだ体は動かないので、今度は深呼吸をしてみる。ひんやりとした空気が鼻に吸い込まれる。アスファルトの冷たさに紛れていたが、周囲の空気そのものが刺すような冷気を帯びていた。今は2月、それも、この静けさはおそらく早朝。そして雲一つない晴天。寒いはずだ。私は上着を脱ぎ捨てていなかった昨夜の自分を心の中で褒めてやった。
少しずつ体に力が戻り始め、何とか上体を起こした。すると、真っ白い光が全身に降り注いだ。通りには目立った遮蔽物が無く、街中とは思えない光量の日光が視界を覆った。静かだと思った周囲には本当に人も車も全くおらず、人の営みが無いビル群はまるで変てこなオブジェの集まりのように見え、ひどく滑稽だった。思わず乾いた笑いが漏れ出した。
脱力した体に、空虚な心で、誰もいない空間に佇むと、後悔や不安といった感情も不思議と虚空へ消え去っていくような気がして、何だか心が軽くなった。すると体の方も、さっきよりも軽快に動くようになった。
まだ体はふらつくが、ガードレールに掴まって立ち上がることができた。こんな無様を晒しながら、数分のうちに何だか清々しい気分になっている自分の現金さに呆れながら、その心中と同じように澄み渡った空に向かって私は歩き出した。
「まあ、明日から頑張るか」
軽くなった心から、軽い言葉が出た。
- 82二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 22:04:39
ダメ人間だ…!だけど人間らしい…!
そして思考の流れや体感している状況もわかりやすくて読みやすい
とか思いながら読んでいたらだんだん前向きな感じになってきての、最後
って明日からかーい!!!!
と無茶苦茶突っ込んでしまいました
いや、愛すべき方ですね
- 83二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 22:19:41猫写 | Writening「あ、鳥が飛んだよ」 アパートから出た瞬間、君が言った。 鳥が飛んだから、だから何だというのだ。弾むような声にべっと舌を出すと、日の落ちかけた夕べの空気はひんやりと冷たかった。 君にマフラ…writening.net
30分くらいで書いたので、もし誤字とかあったら薄目で見てあげてくれ
(ちなみにタイトルの読みは「びょうしゃ」です)
- 84二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 23:53:53
私、かみさまなんだ。ナイショだよ?
幼い頃自分にそう打ち明けた少女は、その頃の笑顔のまま横断歩道の真ん中でただ空を見上げていた。
大都会、東京、千代田区。平日の大通りにも関わらず人っ子一人、車の1台も無いオフィス街。
「本当に世界に2人だけになっちゃったね」
「そうなんだ」
私と君だけの世界にならないかなぁ。そう彼女が呟いた翌日、この世界から人間が消え失せた。彼女いわく、もうここには僕たち2人だけしか存在しないらしい。その割には電気もガスも水道もネットもあるし1週間、ひと月と経っても食材に困ることはない。それを彼女に問うてみたら「かみさまだもの、なんとかなるんだよ」と返ってきた。
「かみさまパワー」とやらで映画館では好きな映画を観て、スタッフの居ない遊園地でアトラクションを楽しみ、店員の居ないレストランで出来たて料理を楽しむ。文字通り2人だけの世界で彼女はただ楽しそうに笑ってる。
「ねぇ、君は楽しい?」
「君が楽しんでるなら僕も楽しいよ」
「かみさまだから」と普通の人とは違う生き方しか出来ない君。壊れているように見えて、どこまでも正気な君。僕はそんな君の願いをなんでも叶えてあげたい。
「君が2人だけの世界がいい」と願ったから「僕が叶えた」。「かみさまになりたい」と願ったから「僕が叶えた」。君が「僕と居たい」と願う限り、ずっと一緒にいるよ。
地球という名の箱庭で、かみさま(人間)と人間(かみさま)、ふたりだけのおままごとをしよう。
- 85二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 08:06:19
- 86二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 08:18:25
本来なら人がいるはずの場所で誰もいないの怖さ
そんなうっすらと不気味な空気を感じつつ、自分の願い事を叶える「かみさま」と名乗る少女
「かみさま」へつっこむ僕に冷静さを感じていたらまさかの
自分の願いがいつも叶うから自身を「かみさま」と思い込んでしまった少女のそれまでの人生も気になりつつ
ある意味では自分のためだけど、特定の人の願いをおそらくずっと叶えてきた(そして君以外への関心のなさ)のが
僕の人外感や傲慢さ、価値観の違いが浮き彫りになっていていいですね
神様怖いな
- 87二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 18:08:02
- 88二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:12:06
「極夜を閉じ込めたんだ」
暑さの厳しい日差しを避け、薄暗い室内でカウチに横になっていた僕に、そう言ってルシオは華奢な首元を飾るループタイを指差して嫣然と微笑んだ。
青。紫。蒼。水色。碧。翠。
整えられた指の先。楕円の中で陽炎のように色が踊る。
瞬く度に変化する色に目が吸い寄せられる。
「触ってみる?」
遥か遠く氷と雪の国からやってきたルシオのアクセントはいつも歌っているように聞こえた。
そっと指を触れると、夏の冷えた井戸水よりも、冬の冷たい風よりも、僕の知る冷たさのどれよりも冷たかった。
だんだんと指先が痺れ、痛み、痛みが鈍くなる。僕は初めて痛みの先に何も感じないことがあると知った。
そっと指を離して頬に当ててみると冷たさと温もりが交差し溶け合っていく。
「ありがとう」
ルシオの首元から目線を上げると、ルシオのグレーの瞳に薄暗い部屋でやけに輝いていた。
その奥に、先ほど見た陽炎がよぎった気がした。
- 89二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:33:25
「どこで手に入れたんだ?」
「さあね、企業秘密ですよ」
黒いスーツの男は薄笑いを浮かべて言った。
宝石商である私は、この名前も素性も分からない男が持ち込んだ黒い宝石に手を焼いていた。それは見たことが無い黒い石で、出所はどこか、何の鉱石なのかと訊いても男は何も答えない。いやそもそも石なのか?一時間近く観察しても何もわからない、まさに謎の物質と言うしかなかった。
そんな得体の知れない物を、私は一時間悩まされ続けてもなお付き返せないでいた。空間に空いた穴のように、立体感すらわからないほどの底なしの黒。映り込んだ窓の湾曲から丸い形だと分かるが、私はその映り込んだ像を邪魔と感じ、物陰に隠してもっと不純物の無いこの暗闇を見つめようとした。あまりにも怪しい。だが目が離せない。
目を凝らすと、時々夕闇に浮かぶ雲のような、不定形の紫の靄が闇の中に浮かび上がった。それを垣間見た一瞬、この闇の中に吸い込まれて落ちてゆく錯覚に襲われ、我に返ると不思議な快感が全身を包んだ。それを何度か繰り返すごとに、感覚は強くなっていた。
さらに倍の時間それを堪能すると、私はこの石を買うことに決めた。数時間待たされても、男はずっと薄笑いのままだった。
「気に入っていただけて何よりです」
代金の受け渡しが終わると、男は襟を正して礼をした。鞄を手に取り扉に向かう前に、男は薄笑いを一層ひしゃげさせてこちらを見た。
「では、よい夢を見てくださいね」
そう言った男の瞳には、石と同じ暗闇が広がっていた。
- 90二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 06:22:35
空間の空いた穴、立体感すらわからないほどの底なしの黒、映り込んだ窓の湾曲から丸い形とわかる…!
これらの表現が好きです
どんなものなんだろう、と写真を補助に想像力が掻き立てられました
何か吸い取られているのにそれが快感になっているのも、最後の男性の目が宝石と同じ暗闇なのも悪魔のような手を出しちゃいけないものに手を出してしまった感
宝石商の人、絶対に無事ではなさそう…
- 91二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 16:19:07
このレスは削除されています
- 92二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:45:10
- 93二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:53:32
難しい!でもすごく素敵な写真!
皆さんの作品、それぞれに個性があってとても好きです
「ついてきて」とだけ僕に言って歩き出した青年は、真っ白な布を何枚も重ねたような服を着ていた。等間隔で並ぶ鉢植えと時折現れる古びた扉にはどうやら規則性がありそうで、目印として覚えておこうと思いながら終わりの見えない階段のできるだけ真ん中を下っていく。
視線を前に戻すと青年を見失ってしまっていた。仕方ない、戻ろうと振り返ると鉢植えたちははてんでばらばらの配置、そして今時なかなかお目にかかれない鮮やかな色の集団として目に突き刺さってきた。色眼鏡を置いてきたのは失態だったかもしれない。まあいい。幸い扉の配置は変わっていなさそうだ。あと62個、こいつを見れば宿に帰れる。
- 94二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:09:56
いい話ですね…!
耀さんにとって、初めの嬉しさだけでなく、さらに深い喜びというか安堵、許し、肯定…うまい言葉が見つかりませんが
そういった感情ひっくるめた心の震えが印象的でした
名前の通り輝いてほしいですし、誰かが「耀」という名前をつけられたのだから、冴さん以外にも美しいと思ってくれた人がきっといたはずだ
とさまざまに想像しました
- 95二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 09:01:13
ファンタジーな雰囲気が想像力を掻き立てますね!
真っ白な服、色眼鏡といった言葉で日差しがきつい地域なんだろうなとわかるさりげない描写だけでなく
目印として覚えていた扉の数が62個、と視点主の優秀さとさらっと出してくるのが見習いたいです
- 96二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 12:21:49
- 97二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 18:21:23
- 98二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:10:08
- 99二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:32:25
初夏の日差しが降り注ぐ中、鳥居をくぐって石段を登る。
最後の一段に足をかけた瞬間、追い風がうっすらと汗をかいた首筋を撫でた。
後ろを振り返れば、前髪が踊り視界がパッと開ける。
入学式の頃の若葉から随分と緑が深まった木々の先には住宅が建ち並び、遠く高層ビル群がそびえ立っていた。
あの高いビルからは、都会の片隅にある鎮守の森とも呼べないこの小さな緑の中にいる自分は見えない。
それはどこか寂しくて、しかし、誰にも気づかれていない自由に心地よさも感じる。
風が吹き、スカートが揺らす。
ピィと高い鳴き声と羽音とともに梢が揺れた。
深く息を吸い込んで静寂で肺を満たす。
鳥も風も自由だ。そして、私も。
- 100二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:54:38
久しぶりに訪れたーー断じて、帰ったではない。とうの昔に家を出て自立しているのだーー屋敷。
家族や使用人のまとわりつく視線から逃れて広大な庭を散策していると、人目のつかない場所の大樹にブランコが吊ってあった。
近づいてみると鎖には錆が浮き、座板はささくれており、随分前からそこにあったことが窺えた。
はて、こんなものなんてあっただろうか。
首をひねるが心当たりがない。
なんとなく、そのままブランコに座った瞬間の浮遊感に、ふと記憶が刺激された。
そうだ。幼い頃、街に降りた際に馬車から見たブランコに乗る子供たちをみて、自分も乗ってみたくなったのだ。
背中を押したり、靴を飛ばしたりと賑やかなで楽しそうな様子に、さぞや楽しいのだろうと思って、設置してもらったのだった。
いざ乗ってみれば、背中を押す人も、靴を飛ばし合う友もいないそれはなんとも味気なく、かえって寂しさが募った。
それから二度と乗らなかったからすっかり忘れていた。
身じろぐとささくれだった木の皮が布を刺してちくりと痛みが走る。
鎖を握った手には赤く錆がついてこすっても取れなかった。
やはり、面白くないな。
そう心の中で呟いて、再び散策に戻った。
- 101二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:25:25
現代最後の人斬り、巌流 宗翔はあり得ぬ怪人と対峙していた。
「刃が万全だったら斬れたかな……」
日のカンカンと照った昼間、鳴岬神社へと続く石階段は人斬りの血に汚れていた。
「斬れぬことは最初の一合目で察して下さい。それとも我が堅牢なる石畳にその芸術品の全てを浪費してしまうおつもりですか?」
「刀は佩く物だよ。芸術品だなんて思ったことなッいッ!」
裂空の如き冴え。無傷の肌。人斬りは舌打ちと共に折れ飛んだ刃を鞘で受け止め、納めている。三度に渡る挑戦は宗翔の半分以上もあった刃渡りを拳ほどにまで損耗させた。
「本ッ当硬い……何者なの?君」
「私は"石畳人間"。稀に登る石畳が以前と違う並びに感じたことはありませんか?その疑問の答えとして産まれたのが私。昨日産まれです。よろしくお願いします」
あの鍋色の肌にあと何回の余裕もない。人斬りは思考する。
「絶対に……小指程度でも斬ってやる」
「ええ、どうぞご自由に。人を導き支える石畳を人が斬れる道理など無いですが」
人斬りが斬り掛かった。
「惜しい。折れる以前の刀の重さがあれば―――――ウグッっガアッ」
- 102二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:37:56
今度は指が宙を舞う番だった。石畳人間の小指は、如何なる威力であろう。その骨までもが斬られていた。
「何故ッ斬れたッ!私を斬るには刃の重さが、威力が足りぬはず!グヴゥ゙……」
「教えてやろう、技の名を。これは人体を刃の一部として、その体重を刀の威力に乗せる、魔なる剣術『刀騙し』」
「そうか。残った刀身とあなたの体重を足した斬撃!」
「いいや。刀の半キロ、僕の体重八十二キログラムそして、回収しておいた鞘の中の残りの刀身、二十四と半キロ。占めて百七キログラムだ」
人斬りの技が石畳人間を凌駕した。この事実は誰にも明らかだった。
「人斬りに石畳人間が斬れない道理はないよ」
「言いよるわ」
緊張と敗北の汗にまみれながらも、石畳人間はどこか余裕の笑みを浮かべていた。
「ッ!」
ぐらり、と全ての石階段が持ち上がった。
「私たちはあなた人斬りに負けるのでしょう。しかし、あなたの勝利は心臓破りの道先にある!」
その全てが石畳人間であった。
「往路五百段あります。」
「全員、膾人間に転生させてやるよ、かかってきな」(終)
- 103二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 06:53:58
- 104二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 07:44:47
- 105二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 14:56:26
雨上がり。
僕は靴を濡らし草根を掻き分け、やっとの思いでそこに辿り着く。
触れた木の幹は前よりずっと太く大きなものになっていたしもう腰掛けることすら憚れる、低くなったブランコは少しの力で縄が千切れてしまいそうだった。
ここへ帰ってくるまで随分と時間がかかった。
あの日僕たちは約束をしたんだ。
いつか夢を叶えたらここで待ち合わせをしようって。
辺りを見渡してみるがもちろん誰もいない。
そりゃそうか、さっきまでひどい豪雨だったのだから。もしアイツらが夢を叶えていたとしてもきっと今日は来ないだろう。
こんな深い森の奥、晴れていたって目印でもなければあっという間に迷ってしまう。
子供の頃は毎日のように遊んでいたからこそ、その危険性はわかっているつもりだ。
ああでも本当に懐かしい。
このちょうどよく枝分かれした隙間で昼寝をしたり、木を揺らして脅かしてみたり。
誰もいないとわかっていてもいつだって声を潜めて話すのが鉄則だった。
ここで起きたことは全て僕たちだけの秘密だから。
いくつもの懐かしい記憶が蘇ると同時にアイツらのことを想う。一体どんな大人になったのだろうか。
もう何年も連絡を取ってないし同窓会も行かなかった僕には手がかりが何もない。
陰キャだとか笑わないでほしい、ここで会う以外でアイツらの近況を知りたくなかっただけなんだから。
あの時、漠然と空を飛びたいと言った彼は今何をしているんだろう。宇宙飛行士を目指したのか、それともパイロットだろうか。
他にも魔法使いだとか花になりたいだとか、今思えば笑ってしまうくらい夢みがちだったアイツらはちゃんと大人になれたのかな。
僕はあの頃何になりたかったんだっけ。
そうぼんやりとした思考に浸りながら、僕はブランコを紐を引きちぎり、手に持ったチェーンソーで木を伐採した。
思い出は思い出のままがいちばん美しい。
- 106二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:06:49
ラストー!!!!
幼い頃のその場所や友人たちの思い出を懐かしく振り返って、会いたいな、もうすぐ会えるな的な楽しみだよね、わかるわかると読んでいたんですよ!
でも好きですこのラスト
ここ以外で近況を知りたくなかったのに、その場所を自分の手でなくした以上、その後の視点主はきっと友人に会わないままなんだろうな、とか
それこそ目印とかも消しそうだなこの人、いや逆に切り倒された樹を見つけてほしいとも思ってそうだな、とか
視点主の友人たちとこの場所で遊ばなくなってからのこれまでと、場所をなくしたこれからを色々と想像しました
- 107二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:56:03
ブランコがキコキコ揺れていた。ブランコが前へ後ろへ、ユラユラと行ったり来たりするのと合わせて、長い黒髪と、白いワンピースが、ひらひらとたなびいていた。
目の前で君がブランコに乗っていた。全く変わらない、向日葵のように眩しい笑みを振り撒いていた。どこまでも楽しそうに楽しそうにきゃらきゃら遊んでいた。
不意に君と目が合った。君は僕を見つけると笑顔を一層太陽のように輝かせて、ブランコを止めてブンブンと激しく手を振った。
「◼︎◼︎くん!」
君が僕の名前を明るく呼んだ。僕がここまで来てくれると信じて疑わない、無垢な声色だった。
持っていた花束がバサリと地面に落ちた。君のために買った、白い菊とクローバーの花束だった。これを君に供えるために僕はここに来たはずだった。
君は五年前に事故で死んだ。いつも通り公園で遊んでいた時にトラックが突っ込んできたのだった。君に花冠を作ろうと、ブランコから離れていた僕だけが助かった。それから今までずっと、この公園には来ていなかった。
君の五回目の命日の今日、ようやく足を運んでここに来た。他に誰もいない公園の中、変わらぬ君がブランコを漕いでいた。
君が僕を呼んでいる。あの頃と同じように呼んでいる。生きていた時と同じ姿で手招いている。
いかなきゃ、と思った。地面に目を落とすと、花束はいつの間にか、不恰好な花冠に変わっていた。拾い上げて、歩き出した。
君がさらに激しく手を左右に振り回した。君に近づくたびに、五年間で伸びた僕の身長は、あの日と同じになっていった。
君の前に来た。大好きな君の顔がよく見えた。大好きな君の匂いを感じた。
「●●ちゃん」
五年ぶりに名前を呼んだ。言いながら、君に花冠を被せてやった。君は頭の花冠を触り、世界一嬉しそうに声を上げた。
それで、全部が十分だった。
- 108二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 07:10:20
少女はずっと遊んでいたのか、命日の時だけいたのか、それともクローバーに誘われたのか
現れた理由を想像するとどれも切ないですね
また、視点主が花冠をその日に花冠を作り終えてブランコで渡してきたら一緒に今既にいなかっなかもしれないし
少女が視点主の方にいれば今も生きて一緒にいたかもしれない
でも、どのイフでも、今の物語でも少女と一緒にいられるこれからは変わらないですからね!
ハッピーエンド…?いや、視点主的にハッピーエンド!
- 109二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 16:08:33
- 110二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 00:28:20
- 111二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 00:31:21
- 112二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:18:52
このレスは削除されています
- 113二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:21:12
友人からコメントなしで送られてきた動画を開くと薄暗い和式の室内が映っていた。
画像は荒く、襖の開け放たれた続き部屋の奥に何か掛け軸のようなものが床の間に飾ってあるようだった。
隠されると気になるもので、スマートフォンの画面に指を当てて拡大して目を凝らす。
読めない。なぜ読めない? どうにかして読みたい。
どうしても読まなければという思考一色に染まり始める。
微かに残った思考が叫ぶ。
何かがおかしい。これ以上は見るな。見てはいけない。
動画を閉じようと指をあてるとしずみこみはじめる。
がめんを、がめんをとじーー。
- 114二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:53:22
とぷん。
海の中なら沈み込むと視界いっぱいに遠くまでアクアマリンに緑色をほんの数滴垂らしたようなブルーグリーンの世界が飛び込んできた。
太陽で光る波の形を少し変えてところどころ不規則に白く歪な模様を描く。
美しい世界に見惚れながら周囲に目をやるも魚はいなかった。
透明度の高い海は栄養が少ないと聞いたことがあったが、どうやら本当だったらしい。
どこまでも澄んだ景色は、どこか真冬の雪原を思い起こさせた。
揺蕩う水中では風の音も波の音も聞こえない。
この静謐な世界を自分以外に見るものがいないのも少し寂しい。
水中カメラを取り出して写真を撮るとふと気付いた。
そもそも自分も水中マスク越しの視界であって、この美しさはもしかしたら誰も、何物も本当の意味では見ることができないのではないだろうか。
どこまでも澄んだブルーグリーンの世界。
本来の美しさを知られることもなく、ただ静かにそこにあるのだ。
- 115二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:57:14
- 116二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 08:31:44
見られている、と気づいたのはいつからだったか。
どこからともなく視線を感じて動けなくなる。襖に隠れ息を潜めても“それ”は離れようとせず、熱心に見つめるばかり。
ここには何もない、あなたが求めるようなものは何も。だから帰って。
そう伝えてもうんともすんとも言わず、ただジージーと音を鳴らすだけ。覗き込んでも動きもしないその様子にどうやら敵意は無さそうだと胸を撫で下ろす。
以前やってきた得体の知れない物はうるさく喚いてとても怖かったので静かにさせたが、これくらいならまあ大丈夫。許せる範囲だ。
もうずっと1人で退屈していたから住人が増えるのは素直に嬉しい。歓迎しよう。
そう思って3本足の不思議なそれに寄り添った途端ブツン!と音を立てたかと思えばやがて鳴かなくなった。
あら、私好みの姿になってくれたのね。すごく嬉しい。
優しいそれを撫でているとまた何かが私の家に上がり込んできた。ドタバタと大きな音を立てて近づいてくるのが怖くて慌てて襖に隠れる。
どうしてか、いつもよりずっと数が多い。
その場に残ったそれを見て何かが叫んだ。
「警部!証拠品を見つけました!」
- 117二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 12:31:45
- 118二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:38:02
- 119二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 19:53:21
- 120二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:37:10
>>119 ありがとうございます。この調子に乗って、写真を遡ってもう一本
秋が始まる頃、正午になりそうな時間。山の上にある公園から帰るために階段を降りていく。まだまだ暑いものの、木々が葉の色を変え始め、既に地面に落ちている葉もある。
木々の葉の間からビル……いや、高層マンションがちらりと覗く。
やはり高層マンションに住むと良い意味で違ってくるのだろうか?周囲に良い店や施設が多いだろうし、高層階に住めば夜景を毎晩楽しむことが出来るのだろうか?
いや、私はとりあえず公園のそばの一軒家で良い。静かに散歩が出来るこの公園が、私は一番好きだから。
- 121二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 23:30:58
- 122二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:25:41
ウンという音でしか表現のしようがない。端的に説明するなら、海が持ち上がった。
全速力で山を駆け下りて……体が動かない。危機を想うよりも先に、精神が折れてしまった。絶滅をもたらす厄災を前にできることは、ただ呆然と自身の安全に心をよりかけ、慰めることだけだ。誰しもに結婚を羨まれたノノロはその前日に故郷を喪った。何もかもが絶望に呑まれた。
空の落ちるような滅びを前に、それは駆けていた。踊るカツオブシを連想させる波模様の、圧し潰れる民家を、引きずり呑まれるオコゼの腹を、一毛の見切りに身を投げて、ありえぬ生還の道を駆けていた。
「なんたる無茶を……皆スマン……」
それは地獄の血の池すらも八艘飛びが如く渡り切る身軽の業前を持つ。『鶴のハクジ』、彼こそは封印されし忍者の血筋が一つ、『鳥家』の後継者であった。
超常の体躯に巻き上げられた海水がもたげる鎌首の影を映している。
「なぁ、ハクジ坊よ、なぁなぁ囚われ島の鬼様よ……自由に……極悪忍軍に入らねぇか……」
その頭頂に滅びの下手人は居た。
「入らぬ。入れる訳がなかろうよ、ショショウ。我ら鳥家の百姓らを滅ぼした罪、取り立て候」
「ハハッ鳥家だけに取り立てるってか?笑えねぇ……やっぱり入れよ。お前には向いてる組織だぜ」
下手人の名前は『膿朽縄(ウミクチナワ)のショショウ』『蛇家』後継者である。
京を東に出てウン海里、囚われ島の遠浅は、さては巨大なウミヘビそのものであった。
ハクジとショショウの血で血を洗う、醜き闘争が今、始まる!(終)
- 123二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 03:53:42
なるほど石にアクアマリンと名付けたひとは、きっとこの景色を目の当たりにしたことだろう。波間を通る光芒の一条一条が乳白色に溶けて散らばり、海底の岩をこすって磨きあげ、さながら宝石のように輝きを与えている。