もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart18

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:20:29

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの18スレ目です。

    アグネスはひょんな成り行きから、遂に彼女がずっと溜め込んでいた疑念-ユニウスセブン落下テロにはプラント上層部に協力者が存在したのではないか―を最高評議会議員に指摘してしまいます。

    その小さな波紋は、既に盤石とも思えるデュランダル政権にどのような作用を及ぼすのでしょうか。

    そして、ミネルバ一行が宙で傷をいやす間も地球の争乱は止まるところを知りません。

    砕かれた世界で繰り広げられる国家間のそして対ロゴスの戦争に終わりの兆しは見えるのか。

    おつきあいをいただければ。

  • 2二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:24:40
  • 3二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:26:04
  • 4二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:27:17
  • 5二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:28:48
  • 6二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:29:56
  • 7二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:30:58
  • 8二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:31:59
  • 9二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:33:43
  • 10二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:38:35

    ジュセック最高評議員につもりに積もった疑念を(一部)ぶちまけたアグネス!
    オラわくわくしてきたぞ!

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:29:06

    ジュセック「よろしい。直ぐにアーモリーワンを発つ。ギーベンラート嬢、シャトルは心配しなくて良い。諸々の協議込みで、この後グラディス提督とも少しお話し、月軌道艦隊からナスカ級を出してもらおうと思う」

    決断が早い。流石、建国の父の一人ね。方針を決めるや、ポケットから業務用携帯を取り出し、上の階で休憩中のグラディス提督に連絡している。疾風迅雷、クーデター慣れしているわね。

    ジュセック「良し、道中でこの話を。まずはライトナ―最高評議会議員たち司法委員会に。国防委員会にはグラディス提督からも一報を入れてもらう。そこから皆にも順に。夜分遅いが最高評議会内でコンセンサスを得る必要がある。ボーンホルム島での出来事についてはまた後日に」

    そう言うとジュセック評議員は名刺入れから、三枚名刺を取り出すと、机のこちら側に体を乗り出して私とアスランとメイリンに渡して下さる。

    アグネス、アスラン、メイリン「ありがとうございます」

    アスランとメイリンが、両側で目を瞬かせている。思わぬ成り行きにビックリと言ったところか。言い出した私も少し気圧されているが、今更引きない。

    ジュセック「いや、こちらこそありがとう。貴女達がリスクを承知で打ち明けてくれたこと、必ず最高評議会議員の中で共有する。
    『ユニウスセブン落下テロ事件にはプラント上層部にも協力者が存在し、テロリストへの物資支援他、その行動を把握していながら、あえて見逃していた疑惑が存在すること』、『その疑惑がアークエンジェルとアスハ代表のプラント不信の要因と推測されること』、『テロリストのプラント内協力者の存在(疑惑)が今後の外交問題に発展しないように予め手を打っておくべきである事』。この3点は絶体に」

    思わぬ成り行きに心臓がバクバクする。

    落ち着け、カメラの前での話になったことを除けば予定とさして変わらない。ユニウスセブン落下テロ黒幕疑惑は元々お話しする積もりではあったんだ。

    そう話した後、彼は一度躊躇い、やがて再び私の両眼に視線を合わせる。

    力強い眉の下から延びる理知的な眼光に気圧されかける。だが、その眼差しが普段の理知的なものであることに気が付き安堵する。

    ジュセック「ギーベンラート嬢、試みに尋ねるが、貴女はだれが怪しくないと思うかね?」

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:37:44

    彼の声音は疑心暗鬼とは程遠い。だからこそ、『怪しくない方』を聞いてくれている。無論それはお互いの身の安全のためでもある。犯人探しなどここでするべきではないから。

    横目で無機質なカメラを睨みながら、考えを纏める。まず、無実の人に疑いがかかることは排除するべきだろう。自分の家族を含めて。

    アグネス「まず、基本的な考え方を。もしプラント上層部内にテロ協力者が存在したのなら、彼ないし彼女はこの変事に乗じて何かしらの政治的目的を達成しようとしていたはずです」

    私の言葉を彼は首肯する。

    ジュセック「確かに、テロリズムの定義は政治的な目的を達成するために暴力及び暴力による脅迫を行うこと。サトー一派の剝き出しの復讐心とはまた異なる思惑があったことは容易に想像がつくな」

    アグネス「ただ、その一方で協力者の望みがサトー一派と完全に同じ可能性もあります。即ち地上のナチュラルの大量殺戮を行い、既存の国際秩序を破壊し、絶滅戦争を再開すること」

    ある意味これが一番単純で分かりやすい事例だと思う。猪か、流石にあり得ないと思うが例として提示する。

    ジュセック「協力者と実行犯の目的が同じケースか。そうなるとプラントの有力者の中では、下野させられた旧ザラ派所縁の元最高評議会議員が真っ先に思い浮かぶが…。おそらく彼らではないな」
    アグネス「はい。私もそう思います」

    ジュセック評議員の問いに応じながら、軽くカメラに気を配る。彼らは現在、最もスケープゴートにされそうな人たちだ。おまけに、私の家に近い方も多い。と言うか、私の家もその一員。そこははっきり否定しておかなければいけない。

    アグネス「ザラ派として前大戦末期に最高評議会を追われた人達とその親類縁者。彼らは現政権とユニウス条約下の国際秩序の潜在的敵対者として、当局の厳重な監視下にありました。公職追放を免れた者もザラ派有力者は監視がついているはず。つまり、彼らは一番怪しい故に最もアリバイがある方たちなのです。私は、彼らは『白』だと思います」

    この人たちは警察自体がアリバイ証人、故に容疑者から完全に外れる。同時にギーベンラート家とイザーク先輩、ディアッカ先輩も白。パパとママはカナーバ復権以後、肩身が狭い思いをして来た。ここに来てそれがアリバイになるとは人生塞翁が馬だわ。

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:49:34

    ジュセック「うむ。確かに司法局は―私達は―彼らをマークしていた。そうなるとエザリア・ジュール元最高評議会議員、タッド・エルスマン元最高評議会議員、ユーリ・アマルフィ元最高評議会議員、ジェレミー・マクスウェル元最高評議会議員、ヘルマン・グールド元最高評議会議員、とその縁者は容疑者から外れることになるな」

    旧知の者たちが容疑者リストから外れそうなことが分かりジュセック評議員は安堵している。無論、私の見立てを鵜吞みにする気はないだろうけれど。

    ジュセック「他に貴女が協力者でないと確信している者はいるかな?テロの目的がユニウス条約下の国際秩序破壊や政権転覆、ないしは―」

    試すような言葉を慎重に選びながら、ジュセック評議員は再度私に尋ねる。『ないしは―』の続きはお互いこの場では言えない。政権転覆ではなく政権の権力強化にテロを利用した事例も歴史上数多い。言葉には注意を。

    アグネス「最高評議会の内、国防委員会の四名。タカオ・シュライバー国防委員長、エドアルド・リー国防委員、アラン・クラーゼク国防委員、リカルド・オルフ国防委委員は『白』であると考えています」
    ジュセック「ほう…」

    やや意外と云った面持ちで彼は私の顔を見直す。

    確かにジン・ハイマニューバ2型の横流し疑惑を考えるなら、国防委員会こそ疑惑の本丸ではある。ジュセック評議員からしてみれば、私が軍人特有の身内贔屓を発動したのだと思われているかもしれない。

    アグネス「(国防委員会と軍本部の機体管理の甘さは大批判を浴びても仕方ない。戦友を疑いたくない気持ちは確かに胸の中にある)」

    ただ、私がこの人たちを除いたのは別に身内びいきからではない。

    アグネス「思い出して下さい。あのテロの際、デュランダル議長はミネルバに乗艦中でした。初動で指揮を執っていたのはデュランダル議長以外の11名の最高評議会議員、別けてもシュライバー国防委員長以下国防委員会の皆さま。
    当時の議事録によれば、最高評議会は、その場でミネルバの議長に連絡を入れ、ユニウスセブンが地球に向かっているのかの調査を開始し、回避の手立ての検討、地球への警告の是非も直ぐに議論なされています。ザフトが誇る精鋭、ジュール隊にメテオブレーカーを持たせ先行させたのも国防委員会の指示のはず。彼らはユニウスセブン落下阻止に全力を尽くしていました」

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:59:58

    ジュセック「そう言えば…。確かに。しかし、それも演技だった可能性は?」

    当時を思い返しながら、ジュセック評議員は最もな質問をする。

    アグネス「(カメラに撮られているのにこの方も随分攻めるわね…。それともこれは同僚への確かな信頼の裏返しかな。『彼らがそんな事をする筈が無い』と私に言ってほしいのか)」

    そうだとしたら、何度でも言ってあげよう。私が白だと確信している理由を!

    アグネス「それならば先行部隊にジュール隊を選抜しません。選抜しても歯抜けにします。しかし、実際は逆、ファントムペインが偶々テロ現場に来ていたのが不幸であり、もしそれがなければジュール隊は独力でテロリストを返り討ちにしてユニウスセブンを砕き終わったかも知れません。
    ジン・ハイマニューバ2型の流失はどう言い繕っても国防委員会の失態、そこまでの政治リスクを犯しながら、行う演技としては手が込み過ぎています。普通は完璧を期すかと」

    本当になぜ、ファントムペインがあのタイミングで機体の強奪テロを仕掛けたのか。あれさえも仕掛けがあったのか?いや、よせ話が逸れる。

    アグネス「それと、ザフト軍は議長の方針もあったとは言え、被災国の支援活動にも熱心でした。当然これも国防委員会の管轄の下行われたこと。国防委員にナチュラル殲滅ないし、戦争再開を狙った者が居れば、議事妨害やサボタージュの一つもする筈ですが、そんな振舞いをした方はいません。無論、テロと連動しての地上侵攻の計画や況やクーデターの予兆など皆無。故に関与なしと内心で結論しています」

    私の話にジュセック評議員は目線をやや下に向けて頷いている。両肩の力が安堵で少し抜けたように見えるのは気のせいではないだろう。

    ジュセック「他は?」
    アグネス「ルイーズ・ライトナー最高評議員、アリー・カシム最高評議員、オーソン・ホワイト最高評議員は『白』と考えています。これらの方たちは前大戦でザラ派とも接点があり、下野した方々ほどでは無いししろ、監視の目が合ったはず」

    ここまで話し終わるとジュセック評議員は軽く右手を上げる。ここまで、と言うサインだ。お互いのためにも。

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 02:11:04

    コン、コン、コン…。

    丁度そのタイミングで扉が外からノックされる。控えめで女性的な音だが、補佐官や秘書がしたものにしては重みがある。グラディス提督が到着されたのね。

    ジュセック「良く分かった。ありがとう。参考にさせてもらうよ。アスラン君、ホーク嬢もお疲れだったね。この件は私達の方でも調べてもみる。今日はここまでとしよう」

    彼が今日のヒアリング終了を宣言し立ち上がったので、私達も返事とともに敬礼する。

    アスラン、アグネス、メイリン「はい」 バッ!

    彼も丁寧に私達に返礼しつつ、思いやり深い眼差しで私たち3人に語り掛ける。

    ジュセック「どうやら、我々は君たちに大変な思いをさせていたようだ。誠に済まない。君達が、後ろの事を心配せずに職務に邁進できるよう、我々も使命を果たそう。今日は帰って休みたまえ」
    アスラン、アグネス、メイリン「ありがとうございます!」
    ジュセック「うん」

    軽く私達に目礼した後、ジュセック評議員は小会議室の扉を開ける。予想通りそこにはグラディス提督が待っていた。彼女は部屋から出てきたジュセック評議員に敬礼しつつ、中の私達に軽くアイサインを送る。

    ビックっと一瞬目を閉じてしまう。私は今日一日でグラディス提督に重すぎる政治リスクを背負わせてしまった。どんな目で見られているのだろう…。

    恐る恐る瞼を開けると、彼女の労わるような優しい眼差しが私に注いでいることに気が付く。アスランとメイリンにも順にその視線を向けていらっしゃる。

    よく頑張ったわね、そう言ってくれている。

    勝手に自爆したも同然だったのに…。私が『上』に行ける日はまだまだ遠いようだ。三人で廊下を早歩きで進み去るお二人をお見送りし、秘書官に連れられ1階のロビーに降りる。グラディス提督とは帰りが別になってしまったわ。仕方ない。

    それにしても―本当に疲れた―やっと肩の力が抜ける。あ~あ、終わったわ。先の事?分からないわ!

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 10:41:27

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 16:11:06

    よく頑張っただけど議長がまたアコードを使って卓袱台返ししたらご破算

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 18:02:45

    >>17

    そんな都合よくアコードいないやろ…

    ないよな?

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 21:39:22

    シュラが潜入していたり、イングリッドがプラントに特使として来ていたらヤバいかも

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 01:40:43

    波乱のヒアリングを何とか乗り切り、私たち3人はやっとのことで迎えのリムジンに乗る。来た時と同じく運転手はミネルバクルーだ。

    運転手(ミネルバクルー)「グラディス提督は?」
    アグネス「ジュセック最高評議会議員と緊急の要件が入りました。今後の動向は、私も読めません。運転手さんはどのように命じられていますか?」
    運転手(ミネルバクルー)「自分は提督から、3人を送るようにと命令を受けています。ではお早く」
    アグネス「では、お願いします」、アスラン、メイリン「お願いします」

    アスランと運転手さんのお手並みで車椅子ごと素早く乗車し、足早にホテルを発つ。グラディス提督はまだ協議中だから、この運転手は再往復する必要がある。グラディス提督の動向によっては往復ではない可能性もあるが…。

    アスラン「この後どうなると思う?」

    開口一番切り出すアスラン、恐れ入る。ずっと地蔵顔だったのに相変わらず内弁慶だこと。とは言え、話せるとき、話せる場所で言葉を交わす努力は大切だわ。訂正、内弁慶大いに結構。幸い、行きと同じリムジンで運転しているのはミネルバの仲間、運転席と客席は区切られ、防音対策はばっちりしてある。

    アグネス「最高評議会が『この後』どうなるのかと言う意味ならば―。ジュセック最高評議会議員ご本人が口になされた通り、今夜中に彼は議会工作に着手するはずです。ナスカ級でアプリリウスに向かう道中で、若しくは既にホテル内から。彼自身が『白』判定を下した最高評議会議員や有力者達を叩き起こし、席に着かせていることでしょう」

    私の発言を聞いたアスランは、隣で少し曖昧な表情を浮かべながら頷く。

    アスラン「『最高評議会内でコンセンサスを得る必要がある』と仰っていたからな…。『白』判定の議員・有力者とは、君が名を挙げた人たちか?」
    アグネス「それは判りかねます。ただ、私の感触として、言及した方々については同じ見解に達したように思います」

    つまり、ジュセック評議員ご自身以外の11人の最高評議会議員(腹黒議長含む)の内、7名とまずコンタクトを取ろうと図るはず。

    自分の発言を思い出す。留任組の3人、ルイーズ・ライトナー最高評議員、アリー・カシム最高評議員、オーソン・ホワイト最高評議員は程度の差こそあれ、旧ザラ派とも縁があり、それゆえ逆に白と推測できる。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 01:50:19

    今一頼りがない国防委員会の四名。タカオ・シュライバー国防委員長、エドアルド・リー国防委員、アラン・クラーゼク国防委員、リカルド・オルフ国防委委員、この人たちもテロ事件前後の言動から見て『白』だろう。

    アグネス「おそらく、ここまではジュセック評議員も納得なされていたように思います。何しろ、彼らには―ジュセック最高評議会議員を含め、動機も得もありません」
    アスラン「そうだな。いや―政権強化にテロを見過ごした可能性は?」

    遂にそこに言及してしまうか。向かい側に座るメイリンは彼女にしては珍しく脅えた表情を浮かべている。何だかんだと言っても私達、17、16の小娘だもの、仕方ない。

    アグネス「(でも、仕方ないで済まないわね。私達は多くを知り多くを成してきた。第一、プラントの成人年齢は15歳、その歳でニコル先輩は散華しなされたのだから!)」

    それはそうと、もうはっきりしなければいけないタイミングだ。話してしまおう。

    アグネス「そう仮定しても、これ等の人々にはリスクに見合ったリターンはありません。国防委員会にはテロなど起こさずとも国軍たるザフトがバックに控えています。ジュセック評議員含め留任組の皆さまは祖国独立の父母。すでに大業を達成され、各自の専門分野で素晴らしい成果を上げ、国民の信も厚い。テロまで起こして強化する権力などないのです。もう持っているのですから」

    そう断言すると、アスランは少し緩慢に私の方に顔を向け、リムジン内を目線でぐるりと撫でまわす。彼のその動作に対し、メイリンは黙って頷く。

    彼もそこでようやく決心したらしく、遂に重い口を開く。

    アスラン「やはり、君は議長が協力者だと?」
    アグネス「はい。もし、『協力者が実在するなら』デュランダル議長であると確信しています。ジュセック評議員も察しているのでしょう。だから、月軌道艦隊からナスカ級を借り上げられた。戦闘艦であると共にミネルバを除けば最速の船です」

    『テロリストの協力者はデュランダル議長』そう断言したのは―但し書き付きだが―初めてかも知れない。私自身怖かったのだ。一度口にすれば戻れない気がしていた。

    もしかしたら、この言葉をメイリンには聞かせるべきではなかったか?彼女を共犯者にしてしまう!

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 02:04:11

    メイリンも聞いたのでこれはいよいよ

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 02:09:08

    そんな心配が、ふと心の中から湧き上がり、思わず彼女のクリクリした目を見てしまう。すると彼女は強い眼差しで私に答えてくれる。『私は大丈夫ですから』と。

    一方、お隣の内弁慶さんは―。
    アスラン「そうか…。カガリには悪いことをしたな」

    相変わらず、ピンボケした発言をするものだから、悲壮な決意も台無しだわ。おかげでメンタル復活よ!

    アグネス「現実は推理小説ではありません。ただ、その手法は応用可能です。即ち、ユニウスセブン落下テロでいったい誰が一番得をしたのか?無論、地上国家ではありません」
    アスラン「そうだな…。だが、ロゴスは?彼らは復興特需を見込んでいたのでは?」

    確かに、巨大な災害後にある種の好景気が到来することはある。災害の痛手を逆手に社会インフラや政治改革を成した例もある。破壊は創造の母、とね。

    アグネス「(何が母だか…。産みの苦しみを語れるのは母親のみの特権よ。被災地に立つ母親がこの言葉を口にしていたら、平伏してしまうかもしれないけれど)」

    まあ、なんにせよ。

    アグネス「その特需のために自分たちの資産・不動産まで吹き飛ばすでしょうか?復興特需、災害によるスクラップ&ビルドは飽くまで次善の策。事態を奇貨としてのものに過ぎないでしょう。それはブルーコスモスも同じこと。彼らにすれば『青き清浄なる世界』が無茶苦茶となって大損です。落下テロ以降の反コーディネイター運動も『どうせならこの機会に…』と言ったところ」

    そうなるとやはりプラント側で得をしたのは誰か、と言う事になる。既に弾かれた者以外で考えるならば―。

    アスラン「そうなるとデュランダル議長以外思い当たらないな…。ユニウスセブン落下テロによって生じた国内外の危機の中、彼は逆に名声を高め、権力基盤を盤石なものにした。国家の危機の際、指導者は求心力を得るものだ…。歴史の通りだな」

    結局、何度考えてもこの結論になってしまうのだ。自国の国家元首が世界を砕いた等と思いたくない気持ちは私にもある。でも、仕方ない。言おう!

    アグネス「はい。彼にとって見れば、ユニウスセブン落下テロはどちらに転んでも得しかありません。別に失敗しても良かったのです」

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 02:29:31

    そう、彼は仮にテロが失敗に終わったとしても十分なリターンがあった。

    アグネス「...どこまでが計画だったのか、それは判然とはしませんが。テロ決行時、彼はミネルバに搭乗中でした。忠勇なるザフト軍人達と共に宙を駆けテロと立ち向かった勇気ある指導者、という成果は残ります。もし、テロが成功すれば、それを防げなかったプラントは国内外で政治的危機に陥ります。しかしながら犯人はザラ派、クライン派の流れを汲む彼の政治的ダメージは相対的に少ない」

    あいつだけ得してプラントは大損だわ。地球は云うに及ばず。

    アグネス「その後の大戦についても―。議長は地球連合側から開戦することを望み備えていたのでしょうが…、回避されても別に良かった。ユニウスセブン落下テロ後の支援政策だけで『聖人デュランダル』の宣伝は達成可能でした。一報、開戦はプラントに取って大きな痛手です。地球との貿易だけではない。もう少しで絶滅戦争の敗者になるところでした。なので一周回ってプラント側の軍産複合体の線もない。限りあるニュートロンスタンピーダー、その存在を知り、大博打で果実を得られた者は誰でしょう?」

    そう問いかけると、アスランは納得するがメイリンから指摘が入る。

    メイリン「待ってください。確かにユニウスセブン落下テロで―クライン派の流れを汲むデュランダル議長の派閥-は得をしました。でも、それは議長本人じゃなくても、例えば議長に比較的近い最高評議会議員。ノイ・カザエフスキー最高評議会議員やクリスタ・オーブルク最高評議員でも…。うーん…」
    アグネス「話ながら、『無いわ~』って顔しないでよ。メイリン!」

    メイリンは、二人の若い女性評議員の線の細い顔を思い浮かべ、あり得ないことを再確認している。勿論、私達は教育として、人は見掛けに寄らないし、人間は多面的な生き物、そう心得てはいる。とは言え、どう見ても、あの二人があの惨事を招いたテロの協力者になるとは―。

    アグネス「...直接お会いしての感想だけれど、カザエフスキー評議員は素直な善い人って感じだわ。うん、やっぱり無いわね。あんな悪事にかかわっていたら、きっとあの人心を病んでしまうわ」

    ブリュッセルで一緒に彼女と会ったアスランもこの見解に同意する。

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 02:50:09

    アスラン「そうだな。それに文官系の1年生議員である彼女達にジン・ハイマニューバ2型の横流しは無理だ。武官の国防委員会を飛び越えて事を運ぶには、立場がもう一段上でないといけない」

    メイリン「つまり、お二人も白。議長の表の顔を信じて【片腕】になった気でいるだけなんですね」

    そこまで聞いたメイリンが少し辛辣なまとめをする。まあ、少し可哀想だけれど、仕方ない。お二人は人を見る目が無かったことを反省して、これからの人生をアスファルトに咲く花のように頑張って生きてほしい。

    ちょっとグラディス提督の事も心配のなって来たわ。上手く立ち回らないと!

    アグネス「アスラン先輩の最初の問いに戻ります。今私達が考えたことと同じことをジュセック評議員もグラディス提督もお察しされている。通信で他の最高評議会議員7人の同意が確認されたなら、あとはアプリリウスに乗り込み…」
    メイリン「乗り込み?」

    メイリンは続きを促すが、私は言葉に詰まってしまう。乗り込んでどうする?仮に8人の最高評議会議員でコンセンサスを得られたとしても。

    アグネス「(これまでの話はあくまで推測、憶測の域を出ない。今の話を基に現職の議長を拘束するとか弾劾するのは法律上無理だ。第一、軍も民衆も付いて来ないわ)」

    何より、こちらには内外に示せる大義がない。そもそも『ユニウスセブン落下テロにプラント側の協力者がいた』こと自体を秘密裏に処理しないといけないのに。事情を話したら国際的に自爆する。

    アスラン「ならどうする?」
    メイリン「尻尾を出すまで泳がせる、とか?」

    何を言っているの。もう、こっちは賽を投げてルビコン川を渡ってしまったのよ。ローマに進軍する以外道はないじゃない。

    アグネス「例えば、まずジュセック評議員達で最高評議会の開催を発議し、会議を緊急で開かせる。その会議でコンセンサスを得た議員の数を生かして、最高評議会内に『ユニウスセブン落下テロ真相究明のための特別秘密委員会』を設置させる。
    特別秘密委員会のメンバーは席次上のルイーズ・ライトナ―最高評議会議員、それから立法委員長のアリー・カシム最高評議会議員と司法委員のパーネル・ジュセック最高評議会議員は必ず。必要とあれば、60人議会や民間から特任委員を加えても良い」

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 04:03:49

    取り合えず、頭に浮かんだアイデアをつらつら述べてみる。

    メイリン「特別秘密委員会。秘密と…。隠せるんですか?」
    アグネス「いいえ。情報公開は自由民主主義の基礎。でも、今は無理よ。特定秘密として、50年後に公開とか?」
    アスラン「それで真相究明特別秘密委員会を設置して、どうする?」

    勿論、この委員会に議長権限を接収する。

    アグネス「真相究明特別秘密委員会、委員長に最高評議会議長の権限を『調査期間中は』一時的に委任させてはいかがでしょう。この委員会の委員長を実質的な最高評議会議長代行にしてしまうのです。一応、表向きデュランダル議長は、任期切れまで議長のまま。どうでしょうか?」

    一息にプレゼンテーションして見るが、アスランの反応は芳しくない。

    アスラン「どうかと俺に聞かれても。そもそも証拠が…。ああ、証拠収集には権限のある委員会を設置するべきなのか、本来は」

    考えが一周回ってアスランは納得する。やはり、この人は物事が道理に合うかをかなり重視する。搦手を使うのが嫌だし、使われるのも嫌なのだ。
    アグネス「(でも、それで正解なのかもしれない。結局、正論、正道、王道が一番強い。屁理屈、邪道、覇道は弱い。そこは一線弁えておくべきだろう)」

    そして、腹黒議長が後者であることは明らかなのだ。私たち自身が相手の特異なフィールドに降りても良いことは何もない。筋道を立てて動かなければ。

    メイリン「特別究明委員会は置いて。そもそも議長は再調査要求を呑むでしょうか?」
    アスラン「それは...」
    アグネス「すんなり飲む筈が無い。圧力を掛けないと。しかも秘密裏に、うーん。お腹にもう一度穴が開きそうだわ」

    比喩ではない。本当に脂汗が出てきた。馬鹿者ども!こっちは重傷者なんだぞ!

    アスラン「おい…。大丈夫か?」
    アグネス「ミネラルウォーターを…。鎮痛剤飲みます」
    アスラン「ああ…。これ」、メイリン「もう少しで着きますよ」

    アスランが差し出してくれたペットボトルを受け取り、鎮痛剤を一錠飲みこむ。ああ、傷ついた体に染みわたるわ。中毒にならないようにしよう。

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