- 1二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:47:57
- 2二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:49:17
美鈴「プロデューサー。これから一緒にお花見にいきませんか?」
3月も下旬。あたたかな日が差す午後の陽気に担当アイドルである秦谷さんからこんな誘いを受けた
学P「…秦谷さん。今日は平日ですよ。」
美鈴「はい」
学P「この後レッスン、ありますよね?」
美鈴「はい。そうですね。」
学P「…またサボりですか?」
美鈴「うふふふ」
事前調査から分かっていたことだが、相変わらずの素行だ。最近は更に輪をかけてサボタージュの頻度が上がっている。 - 3二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:50:10
学P「先週だけで14回。あなたを連れ戻した回数です」
美鈴「まぁ、律儀に数えてらしたんですね」
学P「最近は特に増えてますよね」
美鈴「あたたかくなってきましたからね。こんな日にレッスン室に篭るだなんて勿体無いです。」
学P「…」
美鈴「うふふふ。困らしてしまいました。」
本当に困ったことにこのサボりの頻度でもオーディションには、キッチリ合格している。先日行われたライブでも圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。
学P「…確かに俺はスカウトの際にあなた共に歩みたいと言いました。ですが、これはいくらなんでもサボりすぎです。」
美鈴「ふふふ、そうですね。」
いつもの調子で秦谷さんは微笑む。次に紡がれた言葉は概ね想像通りだった。 - 4二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:50:58
美鈴「でもこれが私のペースなんです。私は私のまま歩いてトップアイドルになります。」
分かっている。秦谷美鈴はこういうアイドルだと。
美鈴「それに今日一日レッスンしなくても、オーディションには合格できますから。」
こうなったら秦谷さんは梃子でも動かない。ならプロデューサーとしてやれる事は一つだ。
学P「…分かりました。一緒にお花見にいきましょう。」
美鈴「うふふ、ありがとうございます。」
学P「ただし、明日はサボらずにレッスンを受けてください。」
美鈴「それは…考えておきますね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー - 5二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:52:05
お花見会場到着
学P「きれいですね」
学園を抜け出した俺たちを待っていたのは見事な桜たちだった。時間が時間ということもあり人も少なく、満開の桜たちが静かに風に揺れている。
美鈴「ポカポカしていて今すぐにでも寝られそうです…
ふぁ〜あ…」
学P「分かりました。すぐ近くにベンチがありますのでそこで休みましょう」
なんだかお花見というよりお昼寝がメインになっている気がするが、秦谷さんが満足なら問題ないだろう。
美鈴「それじゃあ、お借りしますね」
学P「何をですか?秦谷さ、ん!?」
ベンチに腰掛けたと同時に秦谷さんが俺の足に頭を預けてきた。いわゆる膝枕だ。
学P「秦谷さん。俺たちはアイドルとプロデューサーです。あまり距離が近いと今後の活動に差し障りが…」
美鈴「…Zzzz」
言い切る前に既に秦谷さんは眠ってしまった。人通りが少ないとはいえ、この状況を見られるのはまずいだろう - 6二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:52:59
学P「秦谷さん。起きてください。」
美鈴「ん〜っ…すぅ…Zzzz」
駄目だ。全く起きる気配がしない。それどころかズボンを掴まれてしまい身動きが出来なくなってしまった。
学P「はぁ…どうした…もの…か…」
ふと瞼が重くなる。そういえば最近はあまり睡眠をとっていなかった。通常のプロデュース業務だけでなく、サボっている秦谷さんを連れ戻したり、その件について各方面に謝罪をしたりして、一息つく間もなかった。
学P「…駄目だ。俺まで寝たら…」
比較的治安が良い地域とはいえ、2人とも寝てしまうのはあまりにも無防備だ。しかし、この眠気は…抗いたがい…
学P「秦谷…さ…ん…すみま…せ…ん…」
担当アイドルの心地良さそうな寝顔を見ながら、俺は意識を手放した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー - 7二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:54:45
???
美鈴「…うーん?ここは?」
視界がぼやけてよく見えませんね…あれは…
美鈴「プロデューサー?」
逆光になって表情は見えませんが、間違えなくプロデューサーですね。どうしたのでしょう?私に何か用でしょうか?
学P「すみません。秦谷さん。やっぱり俺は俺の夢を叶えてくれるアイドルをプロデュースしたいです」
美鈴「え?」
あれ?隣にいるのは…まりちゃん?
手毬「そういうことだから美鈴。プロデューサーは私のものだから」
そんな…いくらまりちゃんでもプロデューサーは…
美鈴「ま、まってまりちゃん!プロデューサーは私の」
手毬「取り返したかったら本気で来なよ。」
学P「行きましょうか。月村さん」
2人が遠くに向かって走っていく、私の見えないところまで。 - 8二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:55:28
プロデューサー…あの時言ってくれた言葉は嘘だったのですか?一緒に歩いてトップアイドルになると言ってくれたではありませんか
気がつくと私はライブ会場にいて、まりちゃんがHIFの優勝ライブをしていました。私の隣には誰もいなくて…
控え室に行くとまりちゃんとプロデューサーが喜びのあまり抱擁していて…私は、私は…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー - 9二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:56:15
美鈴「私のプロデューサーを返して!!」
ゴツン!
学P「…痛っ…い」
美鈴「プロデューサー?」
勢いよく起き上がった秦谷さんとおでこをぶつけてしまった…正直とても痛い。
学P「…おはようございます。秦谷さん。」
もう日は落ちており、周りはすっかり暗くなっている。寝過ぎてしまったようだ。
学P「随分寝てしまいましたね。」
美鈴「…」
学P「秦谷さん?」 - 10二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:57:04
美鈴「…プロデューサーは私のものです。離れたりしたら許しません」
秦谷さんの様子がおかしい。きっと嫌な夢を見たのだろう。ならばプロデューサーとして真摯に応えよう。
学P「もちろんです。言ったでしょう。貴方と共に歩みたいと。貴方から離れるつもりはありません。」
美鈴「…」
学P「それにいつか一緒に高いところであくびをするのでしょう?」
美鈴「!」
学P「貴方は貴方自身のまま、貴方のペースでトップアイドルになる。俺はその歩みをそばで支え続けます。」
美鈴「…他の子に目移りしたら許しませんからね」
学P「もちろんです。貴方しか見ていませんから」 - 11二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:58:05
いつもの調子に戻った秦谷さんと共に帰路に着く。途中いきなり手を握られた。
学P「?!秦谷さん?」
美鈴「ふふふ。これで離れられませんね」
美鈴「それとも私と手を握るのは嫌ですか?」
学P「そういう問題ではなくてですね…分かりました。寮の前までですよ。」
美鈴「うふふふ」
その後、寮の門限に間に合わず麻央寮長に2人して叱られたのはまた別の話。 - 12二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:58:21
終わり
- 13二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:58:54
あの美鈴が手毬ではなくPを取られたくないって思えるほど依存されてみてぇなぁ
- 14二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:00:14
ここまで読んでいただきありがとうございました!
美鈴エミュ難しい… - 15二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:01:50
んふふ~いいねぇ~
口角上がっちまったぜ