- 1二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:26:04
これは、1人の少女の傷から盾になった若きMS乗りのお話。
※このスレは『(完全妄想)ニャアンの傷になりたい』の続きです。
元々はニャアンに恋した1人の連邦軍スパイのMS部隊特務隊員による傷になりたいスレだったものがあにまん民達の神の一手で生存ルートを切り開き奇跡的に生き延び、本編後世界でニャアンとジャンク屋をやったりデートしたり事件に巻き込まれたり戦ったり、時には地獄みたいな試練もあるけど最後には結構ハッピー寄りな物語空想まとめとなってこのスレに至ります。
本編始まるまでどうなるかも全く想像つかないジークアクス世界ですが、一緒に物語を空想して楽しんで頂けたら幸いです。
初代スレ
(完全妄想)ニャアンの傷になりたい|あにまん掲示板普段はスラム街のジャンク屋の兄ちゃんとしてニャアンに合法的な商品運んできて貰ってお得意さんとして顔馴染みでありたい「今度デートしようぜ!!」ってヘラヘラ笑いながら手を振って見送って、困った顔になって欲…bbs.animanch.com2スレ目
ニャアンの盾になりたい(なった)(完全妄想)|あにまん掲示板これは、1人の少女の傷から盾になった若きMS乗りのお話。※このスレは『(完全妄想)ニャアンの傷になりたい』の続きです。元々はニャアンに恋した1人の連邦軍スパイのMS部隊特務隊員による傷になりたいスレだ…bbs.animanch.com3スレ目
ニャアンの盾になりたい(なった)(完全妄想)2|あにまん掲示板これは、1人の少女の傷から盾になった若きMS乗りのお話。※このスレは『(完全妄想)ニャアンの傷になりたい』から派生した空想シリーズスレです。元々はニャアンに恋した1人の連邦軍スパイのMS部隊特務隊員…bbs.animanch.com前スレ
ニャアンの盾になりたい(なった)(完全妄想)3|あにまん掲示板これは、1人の少女の傷から盾になった若きMS乗りのお話。※このスレは『(完全妄想)ニャアンの傷になりたい』の続きです。元々はニャアンに恋した1人の連邦軍スパイのMS部隊特務隊員による傷になりたいスレだ…bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:27:01
登場人物
ジュン・ファンボイ
サイド6コロニーの繁華街でジャンク屋をしている青年。陽気かつ気さくな性格をしており、合法の機械整備部材を配達してくれるニャアンに対して何度もアプローチしている。軟派に見えがちだがニャアンに対する想いは真剣で、何かと彼女に接し、悩みを聞いているうちに信じて貰えるようになる。
しかしその正体は地球連邦軍MS特務隊に務めるコロニー6潜伏隊員。上層部からの指示を受けて戦争犯罪者や敗残兵崩れのテロリストなどの抹サツを務める、いわば軍人にとってのコロし屋。後述のブルキャノンを駆り、既に相当の数の危険因子の始末を遂行している実力者。任務時は上記の性格が嘘のようにどこまでも冷酷に任務を遂行する活躍から、内部の人間に『公爵家の蒼い騎士(ノーブルブラウリッター)』の名で恐れられている。
かつてのコロニー落としで両親と妹を失いスペースノイドへの怒りから連邦軍へ入隊、MS操縦の才能を認められ特務隊に配属され、そのままサイド6のスパイとしてコロニーを訪れる。しかし実際にコロニーで生活をしていくうちに生きていれば妹と同い年のニャアンに出会い、宇宙でも一生懸命に生きている命がある事を痛感。ニャアンへの想いが強くなっていき今の自分が本当に正しい事をしているのか悩むようになる。
紆余曲折あってニャアンとの初めてのデートを約束した直後に上層部からの命令でジークアクス及び赤いガンダムの破壊命令を受け、クランバトルを装った作戦行動を開始、特務隊の仲間達と彼の上官である指揮官と共にジークアクス達に挑むが、コロニーを巻き込む指揮官のやり方を目の当たりにして反旗を翻し、緊急発進した エグザベ君も味方に加えて連邦軍を迎撃。
激戦の末コロニーに突っ込み見せしめにニャアンをコロそうとした指揮官の猛攻を身を挺して防ぎ戦タヒ…したかに見えたがブルキャノンの重装甲と咄嗟の判断が相まって奇跡的に生存。
コロニーの被害を最小限に留めた功績で恩赦を受けて釈放され、現在はニャアンと一緒にジャンク屋をしつつ、刑務作業として愛機のブルキャノンと共にサイド6の治安維持活動に努めている。
日系とベトナム系のハーフであり、名前のジュンは漢字の『盾』、ファンボイはベトナム語で『反逆者』を意味している。 - 3二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:27:46
ブルキャノン
連邦MSの中でも一際発達したキャノン系の技術と01ガンダムをベースとした連邦としてのガンダムの技術を複合して新たに設計された最新鋭の重武装MS。
モチーフはブルG。
ジオン製のガンダムに対抗すべく連邦の技術力を注ぎ込み作り出されており、上層部は次期量産化も視野に入れた上での実践データ回収の為の試験機を特務潜入隊のジュン・ファンボイにこの機体を託した。
キャノン系とガンダム系を複合した新型の重装甲に加え凶悪さを感じさせるガンダムヘッドを搭載しており、従来のキャノン系よりも威圧感を出しつつも白と青のカラーリングによってどことなくヒロイックな雰囲気をも醸し出す。
主な武装はライフルブレード(高出力ビームサーベル内蔵型ビームライフル)、ビームサーベル、ヘヴィシールド(実体刃フレーム、二連装バズーカ内蔵シールド)、両肩部ビームキャノン砲、胸部両脇多連装ミサイルポッド。
高火力の射撃兵装による射撃戦は勿論、重武装重装甲でありながら背中のパワードブースターによる加速によって高い機動力を発揮し、搭乗者のジュンは射撃兵装で敵を翻弄しつつブレードまたはビームサーベルのビーム刃と盾の実体刃を駆使した二刀流で仕留める戦法を最も得意としている。
後述のエル・サルバトーレ・コアとの戦闘でニャアンを庇った際にフレーム以外の機器系統がイカれてしまい、現在は平和公園のオブジェとしてサイド6の人々から親しまれている。
…が、実はジュンと演歌のおっちゃんが市長からの許可を貰って万が一の時の為に夜な夜な修理しており、緊急事態の際には出撃可能なところまで修復済。ジャンク屋が金銭的危機に陥った時などにクラバに参加したりしてる。現在更なる強化改修を考案しているがジュンに戦って欲しくないニャアンからの猛反対で修復止まりになっている。 - 4二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:28:19
ブルキャノンの武装詳細
・ライフルブレード
連邦軍が次期MS用主力装備試験のために開発した遠近両用武装。
銃身の短いブルパップライフルとなっており、薄く縦に長い銃身がそのまま高出力ビームサーベルの放出口として兼用出来るようになっており、ライフルから瞬時にビームサーベルに転用出来る仕組みになっている。
従来のビームライフルより小型で使用しない時には右腰部分にマウント可能。
・ビームサーベル
左腰に取り付けられているビームサーベル。
01ガンダムに用いられていたのと同じ規格であり、充分な威力と安定性を併せ持つ。ライフルブレードを右腰にマウントした状態で居合のように引き抜いて使うのが基本的な使用法。
威力だけならばライフルブレードよりも劣るがエネルギーの持続力はこちらの方が高い為状況によって使い分ける事が可能。
・ヘヴィシールド
ブルキャノン専用の重武装シールド。
流線的なシールドフレームがヒート機構付実体刃となっておりそのまま近接武器として使用可能、シールド内部には小型の二連装バーズカが内蔵されている。
バズーカによる誘爆事故を防ぐ為ブルキャノンの装備の中でも一際頑健な作りとなっており、ビームコーティングも施されている為単純にシールドとして極めて高性能。
武装に関しては本来ビーム無効の相手に対する緊急時の装備だったが、ジュンはこれと他近接武器による二刀流戦術を好んで用いる為使用頻度は高く、相手の射撃の瞬間にシールドを投擲して相手の射撃を弾きつつ相手のコクピットに突き刺すなどの奥の手としても用いられる事も少なくはない。
・両肩部ビームキャノン
両肩に設置された伸縮式ビームキャノン。
接近戦時の被弾面積を減らす為に伸縮機能があるが、戦艦主砲並みの破壊力は健在。
ブルキャノンの武装の中では最も射程が長く、遠距離狙撃に適しているが、ジュンは接近戦での鍔迫り合い時に奇襲で至近距離から相手を撃ち抜くような使い方を好む。
・胸部両脇多連装ミサイルポッド
胸部両脇に設置された小型化ミサイルポッド。
戦闘ヘリや戦車などを相手に用いる事を前提とした装備だが、ジュンはMS戦でも広範囲の目眩しやニュータイプのオールレンジ攻撃迎撃または錯乱などの為にも重宝している。 - 5二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:29:07
この時空における本編キャラ達
ニャアン
(本編では扱わないのかもしれないが)合法的な機械パーツの配送を通じてジュンに出会う。
初めは難民の自分にやたら接してくる兄ちゃんを不思議に思う程度であったが、合法の販売ルートの提供や困った時に相談に乗ってくれるジュンに次第に心を開いていき、本編後半では兄ちゃんのジャンク屋でのお手伝いを始め、違法パーツの販売などからは足を洗った。
本編後は改札の前で車椅子に乗ったジュンと再会して笑い泣き、エル・サルバトーレ襲撃で半壊したジャンク屋の立て直しを手伝いつつ、本格的にジャンク屋のお手伝いに転職する事になった。
尚、クラバなんてまともな奴がやることじゃないという考えは一貫しており、お金が必要でこっそり修繕したブルキャノンでジュンがクラバに参加した時は夫のキャバクラ通いを知った妻レベルでジュンを締め上げており、この時ばかりはジュンも頭が上がらなかった。
マチュ&シュウジ
連邦軍の任務で破壊対象だった赤いガンダムと最新型のガンダムのパイロットだったが、終盤までそんな事を知らずに仲良くなってしまった二人組。なんならジュンも交戦中の無線を接触して聴くまで正体に気付いておらず、気付いた時にはトドメを刺す寸前であり大慌てで攻撃を逸らした程に世話を焼いていた。
本編後は2人にブルキャノン修繕の為のパーツ集めを手伝って貰っており、後々それがニャアンにバレて3人+修繕案通した演歌のおっちゃん+設計図を流した看守のおっちゃん共々仲良く怒られた。
本編での試練を乗り越えて現在はサイド6名物の恋仲になっており、ジオン公認でジークアクスと赤いガンダムの試験パイロットになった。
エグザベ
本編中1番スパイのジュンと交戦している、ある意味兄ちゃんのライバル。
機動力と反応速度に特化したXカスタムを操り、火力と馬力を極めたブルキャノンを相手にさながらサイコザクVSフルアーマーガンダムのようなタヒ闘を何度も繰り返した。
お互い互角の実力でタヒ闘を繰り返した結果それぞれの技量が飛躍的に上がり、この経験値のおかげでジュンはエル・サルバトーレ戦での戦タヒを免れているため、ある意味命の恩人である。
本編後はコロニー6で互いに正体を知らぬまま生身で出会い、なんやかんや仲良くなる。 - 6二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:29:39
このスレのオリキャラ
演歌の軍警
サイド6軍警の繁華街派出所部長。
巡査長時代に不審な難民の情報を聞いてニャアンを追跡していた際にジュンに遭遇。
最初はニャアンが違法デバイスのやり取りをしていると疑い逮捕しようとするがジュンに依頼してたのは合法の作業用デバイスであり、更にはニャアンが持ってきたのは北島○郎演歌集のCDだった為、結局2人が逮捕される事はなく、なんならジュンと2人で兄弟船をデュエットして仲良くなった。
後述のエル・サルバトーレ襲撃の際に瀕タヒになったジュンを救護施設まで届けてくれた張本人であり、ジュンが服役中も何かとニャアンに気をかけている。
普段はMS部隊の欠員補充で指揮官仕様の軍警ザクで交通治安維持に努めている。
看守
ジュンがいる刑務所を管理する看守。
元々は機動隊隊員だったが過去に負傷をして現在の勤務地に転属となった。
後述のエル・サルバトーレ襲撃の緊急事態に避難誘導員が足りず現場に駆り出されており、目の前でジュンのブルキャノンが身を挺してニャアンを守るのを見ていた事や演歌の軍警から事情を聞いた事によって刑務所内のジュンに何かと気を使ってくれており、出所後も度々演歌の軍警と共にジャンク屋に顔を出している。 - 7二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:30:13
連邦軍特務隊指揮官
ジュンが所属する特務隊の指揮官。
某国名門貴族の血を引いており、優れたMS操縦技術と戦略兵器開発技術によって軍の上層部から高く評価されて連邦軍の最新主力兵器開発にも関わる特務隊指揮の全権を与えられた。
連邦上層部に対して高い忠誠心を見せてこそいるものの、格下の存在は全て駒、スペースノイドは人間ですら無い害獣だと考えるような清々しい程の選民思想の持ち主。
ジャンク屋の手伝いをしていたニャアンを見た際にも彼女を蔑み、理不尽な理由で手を出そうとした所をブチギレたジュンにぶん殴られた。この段階でジュンに逆恨みしており次の作戦でプロパガンダに利用してそのまま抹サツする事を考えているなど、中々に執念深い。
搭乗機体はジオン製のMAキケロガを模したミリタリーグリーンの外装を纏ったエル・サルバトーレ。外装を解除した状態の黒金のキャノンタイプガンダムはエル・サルバトーレ・コアと呼ばれている。
ジークアクス及びに赤いガンダム破壊作戦では自ら設計したエル・サルバトーレでジュンのブルキャノンとジオン偽装ブルキャノン三機と出撃。圧倒的な機体性能と操縦技術、更にはブルキャノン達の連携で次第にジークアクス達を追い詰めるが、サイド6への被害を微塵も考えない横柄なやり方を見かねたジュンが反乱。更には連邦側の計略を見抜いたシャリア・ブルの指示で助太刀に来た エグザベ君の参戦により形勢は逆転。
怒り狂った指揮官は破壊された外装をパージして出現したエル・サルバトーレ・コアを操りコロニー内部に突入。見せしめとしてたまたま居合わせたニャアンに一斉射撃を浴びさせるが間に入ったジュンのブルキャノンのシールド投擲でバリア兼キャノン砲を破壊され、他三機のガンダムの一斉攻撃を受けて敗走。コロニー外へ逃げ出すもののそこを待ち構えていたシャリア・ブルのキケロガに無力化され、軍警へ引き渡された。 - 8二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:30:54
ベイン
難民居住区に住む初老の男性。
幼い頃に漂着したニャアンの面倒を見ており、彼女が1人で生きられるように面倒を見てくれていた育ての親。仕事柄どうしてもコロニーから離れる事が多い為ニャアンが早く独り立ち出来るように育て上げたものの彼女のどんくささや生きる為とはいえ違法な稼ぎ方に手を染めざるを得ない状況をずっと不安に思う中ジュンの元で真っ当に生きているニャアンと再会して心底安心していた。
しかしその正体はジュンと同じく連邦軍のスパイ。処刑人であるジュンとは異なり隠密活動から暗サツまでこなす、スパイとしてはジュンよりも上澄みの実力者である。
今回サイド6に戻って来たのはブルキャノンの戦闘データを回収する為であり、その為にニャアンを利用しようとしてスパイとしての責務と育ての親としての罪悪感に苛まれていた。
愛機である独自のMA、カボ・マンダラットは鉄錆色のヤドカリのような独特の形状をしており、その機体の特徴からベイン自身も鉄錆の爪の異名を持ち恐れられている。
ブルキャノンとの決闘の後、尚もスパイとして情報収集に徹するも土壇場でジュンとニャアンが危機に陥った際に身を挺して庇って致命傷を負うもののソドンでの治療が間に合って一命をとりとめ、今は軍警内病院でお世話になり、ジュンとニャアンの弁明により罪は比較的軽微なものとなって気軽に面会も可能な状態になっている。 - 9二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:33:58
リリー・チョコレート
連邦軍特務隊の女性隊員であり、4機あるブルキャノン試験機の正式パイロットの1人。試験機のパイロットの中では唯一のニュータイプである。
天真爛漫な性格をしており、黒が混じったふわふわの銀髪とルビーのような赤い瞳が特徴的な小柄の美人。大好きな人達に見せるころころと子供のように笑う無邪気さと、自分の家族を奪ったスペースノイドに見せる冷たく容赦のない悪辣さの2つを兼ね備えており、相手によって態度が物凄く違う二面性がある。特に幼い頃からの初恋でずっと想い続け、それでいて今になってスペースノイドのニャアンを大切に想うようになってしまったジュンに対しては愛憎混じった凄まじい感情を抱いており、スペースノイドでありながらジュンに心から愛されているニャアンの事を嫌悪し、ニャアンの事を『妹もどきちゃん』と呼んでいる。
ジュンとは幼馴染であり学校が同じだった為コロニー落としがあった当日も修学旅行でジュンと共に被災を免れ、ジオンへの強い憎しみを抱くジュン、ディル、フィンの4人で連邦軍へと志願して努力の末に試作型ブルキャノン4号機を託された。
かつてジュンと共にジークアクス及び赤いガンダム撃墜任務に挑むが突如連邦に反旗を翻したジュンの行動に戸惑う。その直後彼がスペースノイドの少女を庇っており、ニュータイプ能力によってその想いが本物である事を知ると半狂乱になってハイパーバズーカの集中砲火でジュンを半ゴロしにするがトドメの直前で庇いに入ったXカスタムによって4号機を撃墜される。その後は撃墜された4号機を乗り捨てて他のメンバーと共にベインの手引きでサイド6を脱出、そして指揮官引き渡しに伴いジュンと再会する事となる。 - 10二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:34:43
ジオニックガンダム・Xカスタム
エグザベ君用に調整されたジオン製量産型ガンダムのカスタム機。ジークアクス捜索にあたりサイド6付近に出没する青いガンダムに対抗するべくシャリア・ブルが既存の量産型ガンダムを エグザベ用に調整するように指示を出して作らせた事実上の エグザベ君専用機体。
形状はRX-78-2に類似しており、装甲はジオン風のミリタリーグリーン。
名称のXは エグザベ君の頭文字から取られたものである。
新型のジークアクスがオーバーヒートを起こす程の彼の反応速度に対応出来るように徹底した機体反応速度とそれに追従する機動性、関節回りの強化が施されている。
最大の特徴は通常のMS操作とサイコミュコントロールが併用されている操縦機構が採用されており、長時間の連続稼働を維持しつつニュータイプ能力による反応速度を引き出せるように工夫されており、サイコミュは徹底して機動補助の為に用いられている為ビットなどのオールレンジ武装は搭載されていない。
主な武装はビームサーベル2本、ビームライフル、ビームピストル2丁、小型シールド。機動力に重点を置いている為武装は標準的に纏められているが、 エグザベ君による万全なサイコミュコントロールでの高速立体軌道によって敵を翻弄しながら繰り出されるこれらの武装は驚異的な攻撃性を発揮し、ジュンが操るブルキャノンと互角の戦いを演じる。 - 11二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:39:37
前回のあらすじ
イズマ・コロニーに拘留されていた指揮官の引き渡しに伴いジュンの元へかつて彼と同じブルキャノンのパイロットであり、ジークアクス討伐作戦に参加した幼馴染のリリー・チョコレートがやって来た。
連邦に戻るように迫るリリーに対してジュンはサイド6に残る事を伝えるが、リリーはニュータイプ能力によってジュンとニャアンの心の内を暴き、2人が幸せになれる事は決してないと告げる。焦りと疑念が混じり、ついにそれは悪夢にうなされたジュンが誤ってニャアンを妹の名前で呼ぶという最悪の形で爆発してしまい、ジュンとニャアンは互いに絶望し、ニャアンはジュンの元から逃げ、ジュンはそれを追えずに立ち尽くす。
そんな中、引き渡しの場でも怪しい動きがあり… - 12二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:40:55
始まりました5スレ目
だいぶ地獄を突き抜けていきますが、合間に面白いネタあったら絶賛募集中です(地獄を抜けたら日常回挟みたい) - 13二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:43:48
- 14二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:00:36
平和公園前
夕陽も沈み、誰もいなくなった平和公園。たった1人、動く屍のような重い足取りのジュンだけがそこにいて、平和公園で一時的なオブジェクトとして佇むブルキャノンの足元まで歩み寄り、力無く背中を預けて座り込む。
ジュン「………よう…相棒…聞いてくれよ…俺さ…ニャアンと喧嘩しちまったよ…いや違うな…喧嘩っつーか…なるべくしてなったっつーか…ははっ、何してんだろうな俺。なんでお前のとこに来たんだろうな。さっさとニャアンを追えよって……いや、追う資格ねぇっつったの俺自身だわ…」
力無く笑いながら、ジュンは言葉を続ける。
ジュン「俺がさぁ…これまでニャアンにした事って…ただの世話焼きだよな…仕事斡旋するのも、技術教えるのも、寝床とか飯とかも…こんなの別に俺じゃなくてもいいんだよな…ましてや、妹の影を重ねて家族ごっこしてるようなカスがそんな事してるって何様だよな…」
嗤いながら、言葉を吐き出す。
ジュン「……あー、そうか…そうだよな…ニャアンにはそもそも色んな人の縁があるじゃねぇか…マチュにシュウジに、ポメラニアンズの皆んなに…は、はは…まるで逆じゃねぇか…俺があの子の世話見てたんじゃねぇ…
俺があの子に…縋ってただけじゃねぇか…」
俯きながら、涙を流すジュンの足元に、ハロのジュンが転がってくる。
シュウジ「………そんなことはない、と、ブルキャノンが言ってるよ、ファン兄ちゃん」 - 15二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:14:32
居住区神社
ニャアン(ハロ)「コッチコッチ!!」
マチュ「あー…やっぱニャアンが逃げるならここだよねー」
マチュは苦笑しながら、いつか自分の鞄をひったくって逃げたニャアンが逃げ込んだ小さな祠と鳥居があるだけの小さな神社の階段を上り、こっそりと鳥居の側に近寄り、その後ろに体育座りで蹲るニャアンを覗き込むようにして見つける。
マチュ「みーつけた」
ニャアン「……」蹲ってる
マチュ「…ファン兄ちゃんと、喧嘩したの?」
ニャアン「………違う」
マチュ「じゃあなんで、ジャンク屋に帰らないの?」
ニャアン「…あんなの喧嘩じゃない…私…私…が…!!
酷い事…言った…!!!!もう…もうジュンに合わせる顔がない…!!!!ジュンだってもう、私のことなんか…!!!!」
涙でぐちゃぐちゃになったニャアンの顔を見て、マチュはニャアンの方を優しく抱きしめる。
マチュ「…とりあえず、一回思いっきり泣いちゃおっか。思いっきり泣いて、すっきりしたら話してね。私もシュウジも、力になるからさ」
ニャアン「…っ!!」
ニャアンは、一回りも小さなマチュの胸を借りて、わんわんと泣きじゃくった。
小さな神社に、少女の鳴き声が響き渡る…
- 16二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:24:19
2人とも揃ってあんなの喧嘩じゃなくて自分が一方的に悪いんだ…ってなるのが辛み
- 17二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:15:50
最近は個人的に連邦幼馴染編作る時をイメージしてガンダム系に限らず音楽探したりするのが好きだけれど今の所後々の展開を考えるとageキオ編opのリアル聞いてると凄くやる気が湧きます(合いそうな音楽とかあったらそーゆーのも知りたいです)
- 18二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:24:00
乙です
いつも勝手に脳内ロボアニイメソン流しながら楽しんでるよ
個人的にはFLOWのモメントとGLAYのデストピア - 19二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 02:28:10
この主人公には2000年代ロボットアニメとか特撮ソングが熱いと思うんだ、龍騎のRevolutionとか
- 20二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 06:20:00
- 21二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 07:10:05
シュウジが「歌はいいね」っていってる幻聴くらいしか聞こえん
- 22二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:24:43
イズマ・コロニー商業港前コロニー外宙域
ジュンがシュウジと、ニャアンがマチュと出会った丁度その頃、長い手続きを終えてようやく連邦艦隊が商業港の出口から出航を始めていた。軍警ザク達が油断無く艦隊に睨みを利かせているのと同時に、艦隊の周囲には連邦軍正式採用の軽キャノンやガンキャノンが多数直衛として甲板上に待機している。
ラゴウチ「くっそー…みすみすあんな危険人物をまた野に放たないといけねぇのかよ…」
アラガ「こればっかりは、ファンボイの言う中将閣下とやらの采配を信じるしかねぇな………ん?」
ふと、連邦軍旗艦に睨みを利かせていたアラガは、その直衛のMSの中に見知った形のガンダムフェイスの機体がいる事に気付く。
アラガ「おいラゴウチ、旗艦の真ん中に立ってるMS…あれもしかしてブルキャノンか?」
ラゴウチ「へ?…あっホントだ。色は少し違うけれど…唯一あの戦いで無事だった試作2号機って奴ですかね?」
彼らのよく知るジュンの機体…試作1号機とは異なり白の部分は薄らと灰色、青い部分はより暗い藍色でカラーリングされた試作2号機は、ヒロイックな1号機に比べると落ち着いた雰囲気と、どことなくより軍事兵器としての深みを持った印象を醸し出している。
そして、そのコクピットから軍警察達の方を見据えるフィンは、どこか辛そうな表情で俯き、先日士官長達と行われた会議の内容を思い出していた。
フィン『っ…!!は、話が違います!!サイド6に被害が出るような作戦にはならないと…ジュンも悪いようにはしないって、言ってたじゃないですか!!』
士官長『それはあくまでジュン・ファンボイが君達の交渉に応じた場合のプランです。彼に連邦に戻る意思がないのであれば、ここで始末してしまった方が喜ばれる幹部様達も多いでしょう?』
ディル『………』
フィン『冗談じゃない!!そんな作戦、中将閣下がお許しになる筈が…!!』
リリー『ねぇ。フィン。中将閣下が、じゃなくてさ。
君が本当にしたい事を、聞かせて?』
フィン『っ…!!!!』
士官長『……あくまで作戦の根幹となるのはリリー大尉とディル中尉です。君はそこまで持っていくための牽制役。それほどの無理を強いるつもりは…』
フィン『………了解…しました…』
フィンの瞳には、暗い光が宿っていた… - 23二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:50:08
同刻、平和公園
シュウジ「…そっか…それでニャアンの事を、妹さんの名前で呼んじゃったんだね」
ジュン「……最悪だろ…?俺はずっとニャアンの事なんて見てなかったんだ…妹の代わりとしてしか、アイツを見てなかった…リリーの言う通りだったんだよ、俺は…」
シュウジ「そんなの、アイツが言ってた事に引っ張られてそうなっちゃっただけだよ。ファン兄ちゃんが悪いわけじゃ…」
ジュン「そうだとしても…俺はやっちゃいけない事をしたんだ…ニャアンを…妹の名前で呼ぶなんて…あの子が1番悲しむ事だ…そんな事した俺に…あの子の側にいる資格なんて…あの子には…お前達みたいに純粋にあの子を想ってくれる人達さえいればいいんだ…」
シュウジ「……僕も、やった事あるよ。マチュが悲しむ事。それで、マチュを泣かせた事もある」
ジュン「…悪いけどな、多分泣かせる重さが違うと思うぞ。俺は…」
シュウジ「僕は意図的にゼクノヴァ起こしてマチュを狙うMS部隊と近隣のコロニー諸共消し飛ぼうかと考えた事がある」
ジュン「それはやったらマチュ泣かすどころの話じゃねぇな!!!?」
流石のジュンもしれっと初耳のトンデモ情報を聞いて思わず涙が引っ込み突っ込まざるを得なかった。
シュウジ「結局マチュが無事だったからしなくてすんだけど…あの後泣きながら怒るマチュに30発ぐらいビンタされたよ…」
ジュン「あー…そういやあったな、いつだったかジャンク屋に来たオメーの顔面がアンパ○マン並みに腫れ上がっててマチュが全然オメーに口きかねー日が…」
シュウジ「…本気で愛しててもさ。傷つけちゃう事ってあるよ。でも、それでも今までの想う気持ちがなかった事になる訳じゃないし…今だって想う気持ちはあるって、あの時のマチュは泣きながら言ってくれた。きっとニャアンも同じだよ」
ジュン「…シュウジ…」
シュウジ「だからさ、一度ニャアンと………」
ジュン「…?どうした、シュウジ」
シュウジ(…なんだ…?この胸騒ぎ…)
- 24二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 09:06:51
同刻、居住区神社
マチュ「…そっかぁ…ファン兄ちゃんに、色々言っちゃったんだね…」
ニャアン「……頭では分かってるの…ジュンが家族を…妹さんの事を忘れられないのなんて、当たり前の事だって…私だって、離れ離れになった家族の事を忘れられない…私と同じなのに…あんな一方的に責め立てて…今までずっと守ってくれたのに…あんな事言う資格なんてないのに…!!」
ぐすぐすと泣きながらどうにか言葉を紡ぐニャアンの頭を、マチュは優しく撫でる。
マチュ「…怖かったんだよね?ファン兄ちゃんが自分の事を見てなかったら嫌だって、リリーさんの言う通りだったらどうしようって」
ニャアン「…あの人の…言う通りだった…私なんか…妹の代わりで…ううん、そんなんじゃない…それに気付いてたのに気付いてないフリして…ずっとジュンに依存してた…それなのに逆上して…!!」
マチュ「……たまーにさ。男の人の優しさってムゴいよね。女の人を気遣って、何も言わず優しくて…勝手にいなくなるみたいに、離れて行ったり、嘘がバレたり。私もシュウジに似たような事されて泣いたっけなー」
ニャアン「……アンタらみたいなバカップルが喧嘩するの…?」
マチュ「するする!!シュウジってば勝手にゼクノヴァして私の前からいなくなったりしようとしたり」
ニャアン「それは喧嘩の範疇超えてない!?」
思わず突っ込むニャアンを見て、マチュはにひひと笑う。
マチュ「でもね。私はそれでもシュウジが好き。キラキラなところも、ダメなところも、全部好き……ニャアンは、どう?」
ニャアン「………私…は…」
ニャアンが答えようとしたその時、
コロニーに浮かぶ作り物の夜空の一部が、爆ぜた。
マチュ「っ!?」
ニャアン「な………何…?」
- 25二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 13:25:38
…時刻は、コロニー外壁爆発の少し前に遡る。
引き続き出航する連邦軍艦隊を警戒する演歌達軍警察のザク達は、張り詰めた空気になりながらも特に何事も無く艦隊を見送っていた。
アラガ「…間も無く、連邦艦隊はイズマ・コロニー管轄範囲外を抜けます」
ラゴウチ「ふーっ…特に何事もなく終わりそうっすね」
演歌「完全に圏外に離れるまで気を抜くんじゃねぇぞ?今まであった事を考えたら、気を抜いてる余裕なんて俺達にはねぇんだからな」
???「……了解。ジークジオン」
演歌「………あ?」
突然、聞き慣れない声音を無線から聞き取った演歌は、自分達の横にいる一体の軍警ザクの姿を見る。
どこから用意したのか、超遠距離狙撃用の大型ビームライフルを換装した、見覚えのない軍警ザクの姿を。
ラゴウチ「な…なんだお前?ここは俺達の持ち場だぞ?」
アラガ「っ、ま、待て!!お前その装備セーフティーが…!?」
アラガが慌てて近寄ろうとした次の瞬間、大型ビームライフルの銃口から眩い閃光とビームが放たれ、真っ直ぐと放たれたそれは連邦艦隊の端の船の尾翼を掠めて遥か彼方へと消えていく…
連邦艦隊旗艦ブリッジ
中将「っ…!?何事だ!!」
オペレーター「び、ビームライフルによる狙撃です!!発射したのは…軍警ザクの一機のようです!!」
幹部A「何だと!?」
幹部B「な、何を考えているのだ!?」
士官長「まぁ、せっかく捕まえた指揮官殿を手放すぐらいならばここで落としてしまうのも手といえば手ですかねぇ?」
幹部A「冗談ではない!!総員迎撃準備!!標的は後方の軍警ザク群!!」
幹部B「直衛のMS部隊にも迎撃命令伝達後ミノフスキー粒子散布!!士官長、ブルキャノン試作2号機を遊撃に出せ!!場合によっては『例の機体』もすぐに出せるように手配するんだ!!」
士官長「ええ、勿論ですとも…」
薄ら笑いを浮かべて踵を返す士官長を見て、指揮官は怪訝そうに眉を顰める…
- 26二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 14:53:28
…凄まじい閃光と共に宇宙の闇を突き抜けて連邦艦の尾翼を掠めたビームを見て、演歌達は呆気に取られてしまうが、一同は即座にこの凶行に及んだ軍警ザクを組み伏せる。
演歌「こっ…の大馬鹿野郎!!!!どこの所属だてめぇ!!ラゴウチ、アラガ、そのまま抑えろ!!」
死に物狂いでライフルを持つザクを2人が抑え込んでいる間に、演歌は指揮官ザクを操りライフル持ちザクの装甲の隙間に作業用アームを差し込んで外部から強制的にコクピットを開けさせるが…
演歌「…な…なんだこりゃ…?」
…コクピットの中には、誰もいなかった。その代わりにコクピット中央には無数のコードが伸びて操縦系の至る所に接続されている奇妙な機械の箱が置かれており、そこから機械的な音声が流れている。
機械音声『こちらジオン特務隊1号機、標的への攻撃を開始、引き続き狙撃を開始する。こちらジオン特務隊…』
演歌「喋る…機械…?な、なんだってまたこんなもんが軍警のザクに…?」
ラゴウチ「っ!!総隊長危ない!!」
機械に気を取られていた演歌は背後からのビームキャノンによる一斉射撃に気付かなかったが、すんでのところでアラガとラゴウチがタックルで突き飛ばした事によって3人は難を逃れる…が…避けた事によって背後の商業港やそのすぐ横の外壁にビームが被弾し爆発を引き起こす。
アラガ「こ、コロニーが!!」
演歌「おいやめろ!!今のは俺達の意思じゃない!!聞こえてんのか!?……くそっ、ダメだ、もうミノフスキー粒子が散布されてやがる!!」
振り向くと、既にかなりの数の軽キャノンが布陣を組んで銃器を構え、演歌達への攻撃を開始している。
演歌「くそっ…!!各員シールドを展開しつつ攻撃を防げ!!絶対に攻撃をするな!!なんとか接触回線に持ち込んで誤解を解…」
ラゴウチ「っ、そ、総隊長!!ブルキャノンが!!」
演歌「っ!!」
…それは、ジュンの操る試作1号機と肩を並べて戦う軍警達だからこそ分かる絶望的な状況であった。
灰色と藍色の暗いカラーリングの禍々しいガンダムフェイスを携えた、正真正銘の連邦のブルキャノンが、ライフルブレードを展開した状態での高速機動で3人に襲いかかる…
- 27二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 15:07:58
同刻、平和公園
警報『緊急避難警報!!現在商業港付近の宙域にて戦闘発生!!直ちに各地区の指定避難エリアへ移動を、或いは被害箇所から離れたエリアへの移動をして下さい!!繰り返します、緊急避難警報!!直ちに…』
ジュン「……何が起きてるのかは分かんねぇが…どうにもへこたれてる場合じゃねぇな」
シュウジ「っ、ファン兄ちゃん、僕とマチュも…!!」
ジュン「オメーらは民間人の避難誘導をしてくれ。一応オメーらの機体で連邦にケンカ売ると色々ややこしい事になりかねねぇが…まぁ、マジのマジにヤバくなってきたら応援頼むぜ」
シュウジ「…分かった。気をつけてファン兄ちゃん」
ジュン「おう」
ジュンは先程までの気力を失った顔が嘘のように引き締まった顔と気迫を纏ってブルキャノンに飛び乗り、それに呼応するように赤いツインアイが煌めく。
ジュン「ジュン・ファンボイ。ブルキャノン出るぜ!!」
同刻、居住区神社
マチュ「警報…!!ニャアン、先に避難エリアに逃げて!!私はシュウジと一緒にジークアクスで…!!……ニャアン…?」
ニャアン「……ブルキャノン…」
ニャアンは、コロニーによって作られた夜空を飛び、爆発して破損し、修復機能が働き始めている壁から宇宙へと飛び出していくブルキャノンを見つめていた。
マチュ「ファン兄ちゃん…!!」
ニャアン「……マチュ…」
マチュ「…?ど、どうしたのニャアン?」
ニャアン「お願い…ジュンの事を助けて…何か…
何か嫌な予感がする…!!!!」
言いようのない不安に締め付けられそうな胸を抑えながら、ニャアンは空を駆ける青い光を見守っていた…
- 28二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 15:42:10
盛り上がってまいりました
- 29二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 16:47:40
先に撃たれたことで口実はできる
マチュたちの1年前に大活躍した先輩たちの映画で聞いたフレーズですね⋯ - 30二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:10:07
イズマ・コロニー商業港前宙域
謎の機械を積まれた無人ザクの狙撃により始まってしまったサイド6軍警察達と連邦軍MS部隊による戦闘…だが、最初の一斉射撃を除くとそれは1対3のMS戦、しかも単騎なのは連邦軍の方で、その機体以外の連邦軍MSは皆静止して戦いを監視するだけであった…それは当然の事であった。何せ、軍警ザク3機相手に切り結んでいるのは、かつてジュンと肩を並べて戦った男の…フィンの操る、ブルキャノン試作2号機なのだから。
フィン「………」
フィンはフルアーマータイプとは思えぬブルキャノンの機動力を活かした高速機動で縦横無尽に飛び回り、3機の軍警ザクの懐まで一気に飛び込む。それを見た3人が慌てて飛び退いた直後に振り抜かれたライフルブレードの刃は無人ザクを斬り伏せ、粉微塵に爆散させる。
演歌「無人ザクが…!!」
アラガ「総隊長!!迎撃指示を!!」
ラゴウチ「こいつ相手に手加減なんて出来る余裕ねぇっすよ!!」
演歌「ちぃっ…!!アラガ、ラゴウチ!!援護射撃しろ!!俺が白兵戦でなんとか接触回線を試みる!!」
ヒートホークを構える演歌ザクが突っ込むと同時にアラガとラゴウチは左右に散開してザクマシンガンを連射。しかしブルキャノン試作2号機は軽快な動きでそれを避けつつ、両肩部キャノン砲の偏差撃ちで二機のザクマシンガンを撃ち抜く。
ラゴウチ「ぐあっ!?」
アラガ「クソッ…ファンボイのブルキャノンと同じか!!フルアーマーの癖になんて速さだ…!!」
演歌「だが隙は出来たぜ!!」
演歌はヒートホークで切り結び、盾を構える試作2号機と鍔迫り合いになりながら接触回線で必死に呼びかける。
演歌「聞こえるか連邦軍!!こちらからの射撃はサイド6軍警察の意思ではない!!攻撃部隊を直ちに退かせてくれ!!…アンタMS部隊の隊長だろ!?頼むよ!!」
フィン「………ごめんね…
君らを消し炭にでもしないと、彼が来ないみたいだからさ。だから、消えてくれよ」
ぞっとする程冷たい声音に演歌が怯えた僅かな隙に、フィンは演歌ザクのコクピットを蹴り上げる。
演歌「がっ…!!」
フィン「…じゃあね」
フィンの操るブルキャノンのツインアイが禍々しく輝き、演歌ザクへと凶刃を振り下ろす… - 31二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:23:07
蹴り上げられて大きく姿勢を崩した演歌ザクに向けて試作2号機がブレードを振り下ろそうとしたその時、
コロニーにできた風穴から2本のキャノンビームが試作2号機目掛けて放たれる。
フィン「っ…!!」
フィンはすんでのところでこれを避け、ビームを放った青い閃光…ライフルブレードとヘヴィシールドの二刀流の構えをとってこちらに接近する青いガンダムの姿を、睨みつける。
フィン「来たか…ジュン!!」
ジュン「試作2号機…フィンか!!」
二体のブルキャノンが、ライフルブレードの刃を展開して真正面から鍔迫り合う。
ジュン「アラガさん、ラゴウチさん!!今のうちにおっちゃんを頼む!!」
ラゴウチ「ファンボイ…!!ったく遅いぜ!!」
ジュン「わりぃわりぃ!!状況は!?」
アラガ「意図的に何者かが無人の軍警ザクを使って連邦を撃ちやがった!!俺達はどうにかして連邦に停戦信号を届ける!!だから…!!」
ジュン「コロさず無力化だろ!!流石にそろそろ慣れて来たぜ!!」
演歌「へっ、百点満点だぜ!!悪いが頼んだ!!」
3体の軍警ザクは切り結ぶ二体のブルキャノンから距離を取り、軍警用シールドを構えつつ無線操作に専念を始める。
フィン「…殺さずに無力化…か…公爵家の処刑人とは思えない台詞だね、ジュン!!」
ジュン「わりぃが今は刑務所勤めでな!!処刑人は廃業したんだよ!!」
フィン「そんな簡単に出来るわけないだろ!!!!」
鍔迫り合いを解いて、二体のブルキャノンは互いにフルスロットルで宙を駆ける。
連邦MS A「き、来たぞ!!裏切り者の1号機だ!!」
連邦MS B「ここで奴を落とせば…!!」
ジュン「退きやがれよ四つ目ののっぺらぼうどもが!!!!」
ジュンの操るブルキャノンはこちらへ銃口を向ける軽キャノンを見るや否や、フィンの機体と間合いをとり続けながらも全火器によるフルバースト射撃でこれらを迎撃、全て頭部や火器に当てる事でコロさずに無力化する。
ラゴウチ「は…はええ…」
アラガ「これが…フルアーマータイプ同士の戦いって奴なのか…!!」
- 32二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:38:04
二体のブルキャノンによるフルアーマータイプ同士の戦いは、熾烈を極めた。近接戦主体で接近するジュンに対して間合いを取りながら射撃兵装で迎撃するフィン。二体の速力は全く互角の為、一見すると本来の重武装射撃戦機体としてブルキャノンのスペックを活かしているフィンに分があるように見えるが…
ジュン「おおおおおおっ!!!!」
フィン「くっ…!!」
ジュンは銃剣と盾の二刀流を巧みに使いこなしながら射撃を防ぎつつ、着実に間合いを詰めている。一方のフィンは、『とある理由』からブルキャノンの重火器を完全には活かし切れておらず、徐々に間合いを詰められていた。
ジュン「落ち着いたぜフィン!!」
フィン「くっそ!!!!」
フィンは再びライフルブレードを構えて鍔迫り合いに持ち込む。
フィン「っ…随分早い到着だったじゃないかジュン!!」
ジュン「非番だったんだがたまたまブルキャノンの前にいてよぉ!!テメェよくも俺の休日潰しやがったな!?」
フィン「休日!!そうかい悪かったね!!コロニーの生活を楽しんでいるようで何よりだよジュン…永遠に篭って出てこなければいいものを!!!!」
ジュン「っ…!?フィン…?」
鍔迫り合いながら、フィンはこれまで見せた事のない憎しみに満ちた表情で叫ぶ。
フィン「僕ぁさぁ!!君がコロニーで静かに暮らしてくれるって言うならそれで良いと思ってた…思い込んでた!!でもさぁ…やっぱ憎いんだよ…
皆んなを裏切ったお前がああああ!!!!」
絶叫しながら、泣きじゃくるように試作2号機のツインアイが光る…
- 33二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:55:46
滅茶苦茶にブレードを振り回す試作2号機を操りながら、フィンは叫び続ける。
フィン「君がいなくなってから全部滅茶苦茶になった!!指揮官を捕えられた責務は僕達にあるって幹部どもは後ろ指刺してごちゃごちゃ抜かす!!中将閣下は君に寛容だからそれがますます幹部どもの馬鹿さ加減に拍車をかける!!あの白衣のロン毛は実験だの功績だので君の操るブルキャノンに執着してクソみたいな作戦を立てる!!…それに…リリーもずっっっと君の話ばかりだ!!もう地球にいないのにさぁ!?ジュン、ジュン、ジュンって!!うるっせぇんだよどいつもこいつも!!何も言わないディルもまるでリリーを止めようとしないし…どいつもこいつも…!!!!」
ジュン「………フィン…」
始めて聞く、友人の本音。普段のフィンからは考えられない罵詈雑言を聞いたジュンは、驚いていた。無論、ショックもあるが、不思議と彼はフィンの暴言をまっすぐ受け止めていた。
フィン「君が滅茶苦茶にしたんだよ!!君の顔なんか見たくもない!!だから宇宙の片隅にでも引き篭もって…!!」
ジュン「フィン。
ごめんな。俺のせいで、沢山迷惑掛けたんだよな」
フィン「っ!!!!」
ジュンは、尚も攻撃を続けるフィンに対して、ブレードの一撃を盾でいなしながらもただただ素直に謝った。たった今最愛の少女に素直に謝れなかった為なのか、驚くほどに素直に謝れた。
フィン「ふざ…けるなよ…!!僕が…僕がどれだけお前のせいで苦労して…!!」
ジュン「お前は優しよフィン。そんな憎い俺を相手にしながらずっと、射撃も加減してたよな。後ろのコロニーに当たらないように、威力を半減させてた」
フィン「う…あ…黙れええええ!!!!」
ジュン「…悪いな…後でもっとちゃんと謝らせてくれ!!」
泣き叫ぶフィンをまっすぐ見据えて、ブルキャノンは切り掛かる2号機のコクピットに蹴りを叩き込んで吹き飛ばす…
- 34二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 18:07:56
機体設定
ブルキャノン試作2号機
フィン中尉に託されたブルキャノン。
武装、機体性能は全く同じだがカラーリングがジュンの試作1号機と異なり、白の部分は灰色、蒼の部分は深い藍色と、全体的に暗めの色合いになっており、より兵器的な印象を持たせている。
近接戦を得意とするジュンと比べてフィンはフルアーマータイプならではの重火器射撃を活かす戦い方を得意とするため、ある意味ではジュンよりも本来のブルキャノンの戦い方を活かす事を得意としているとも言える。 - 35二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 18:58:59
…一瞬、蹴り飛ばされた衝撃で意識を失ったフィンが次に意識を覚醒させると、彼は今もブルキャノンのコクピットにおり、目の前にはライフルブレードの銃口をこちらに向けたブルキャノン試作1号機の姿が映っていた。
フィン「……そっ…かぁ…負けたのか…僕ぁ…」
ジュン「おう…最後に戦った時に比べたらよ、滅茶苦茶強くなってたぜ、フィン」
フィン「イヤミ?…は、言わないんだよなぁ、君は…むかつくなぁ…嫌だなぁ…」
ジュン「…本当にごめんな、フィン」
フィン「…違うよ…むかつくのは僕自身さ…君に当たったって何か変わるわけないって分かってたのに…僕ぁ…嫌な奴だよ…こんなんじゃさ…リリーに見向きもされなくて当然だよね…」
ジュン「…俺達3人がよ。連邦でチーム組めてたのはお前のおかげなんだぜ?俺は喧嘩っ早いし、ディルは無口だし、リリーも引っ込み事案だったし…お前が俺達を上手い事纏めてくれてたから、なんとかやってこれたんだ…いつもありがとよ、フィン」
フィン「………君は変わらないなぁ………あ、変わらないで思い出した。
君女の子に着せる服の趣味も変わってないよね」
ジュン「えっそれ今言わなきゃダメ???」
フィン「いや僕としてはさ?共に河川敷でアレな本拾った友としては言わなきゃなーって思って。昔っから君の制服好きには気圧されてたけど…まさかマジで現実の女の子に着せるようなプレイをやるとは…」
ジュン「おぉいやめろボケナス通信記録に残るだろうが!!!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐジュンの無線音声を聞きながら、フィンはつきものが取れたような明るい笑顔でけらけらと笑っていた…
- 36二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:11:28
同刻、連邦軍旗艦ブリッジ
オペレーター「…ブルキャノン試作2号機、停止しました…シグナルは機能してますが、無力化されているようです!!」
幹部 A「ええい…!!同型のブルキャノンでも太刀打ち出来ぬか!!」
幹部 B「蒼い騎士め…我々を裏切ってスペースノイドに楯突くなどと…!!」
指揮官「…違うな。奴は初めから伯父上に支える騎士ではあったが、お前達に尻尾を振った事は無い。一度でもお前達が奴を手懐けられた試しがあるか?」
幹部 A「い…いえ、そのような事は…」
幹部 B「失礼致しました…」
中将「……驚いたな。君が彼を庇うような言い方をするなんて」
指揮官「癪ではありますが奴は我がエル・サルバトーレを打ち倒すだけの力の持ち主ではあります。それを裏切り者の記号のみで見るような輩が四の五のぬかすのは、カンに触る」
士官長「…そこまで気にする事もないとは思いますがね。
どうせ蒼い騎士の伝説は、今宵にて終幕ですから」
中将「………」
幹部 A「っ…士官長…あの2機を出すのか!?」
幹部 B「うち1機はリリー大尉用に調整中と聞いていたが…間に合ったのかね!!」
士官長「ええ、ええ。充分な力を発揮してくれますよ。蒼い騎士など、容易に葬ってくれるでしょう…リリー大尉、ディル中尉、準備は?」
ディル『出撃準備は出来ております』
リリー『右に同じだよ♪』
オペレーター「では、発進どうぞ!!」
リリー「あはっ、あはは。
待っててね、
ジュン」
- 37二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:27:44
- 38二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:34:36
同刻、商業港前宙域
ジュン「テメェフィン…どさくさでいらん事通信に残しやがって…後で覚えとけよ…!!」
フィン「あはは、ごめんごめん………っ!!」
突然、先程まで笑っていたフィンは表情を凍らせ、息を詰まらせる。無線越しに違和感に気付いたジュンは、試作2号機の目線の先を見て、2機の重武装MSがこちらへ接近している事に気付いた。
ジュン「…なんだ…?あの機体…」
どちらの機体も、本体の形状は全く同じように見えた。黒、赤、白を基軸としたカラーリングとキャノンタイプのバイザーフェイスはどこかかつての01ガンダムを思わせる出立ちだが、それにしてはあまりにも装甲が重厚であり、両肩にキャノン砲を携えたその姿は寧ろその形はジュンにとっての愛機に類似していた。
ジュン「っ…こいつら…ブルキャノンの後継機か!?」
片方の機体は両腕にヘヴィシールドのようなフレーム刃を備えた盾を一つずつ携えており、もう片方はライフルブレードとは異なる大型ライフルとフレーム刃を持たない重厚な盾を携えている。
フィン「っ…ブルキャノンⅡ!!逃げるだジュン!!あの機体は…!!」
ジュン「リリーとディルだろ!?どうにか説得するから、お前は巻き込まれない所に下がってろ!!」
飛び立つブルキャノンに向かって、フィンは必死で呼びかける。
フィン「っ、違うんだジュン!!
あの機体は、君を倒すためだけに作られた機体なんだ!!!!
勝てる訳がない!!!!」
- 39二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:57:01
宇宙空間ではよく映えるブルキャノン試作1号機の青い機体の輝きが、リリーとディルの機体カメラに映る。
リリー「あはっ、みーつけた。ディル」
ディル「了解した。これより連携戦闘を開始する」
ディルは短く答えると肩のキャノン砲と右手に持つライフルを構え、ブルキャノン目掛けて引き金を引く。
ジュン「っ!!」
三門の砲門が煌めくのを見たジュンは即座に急上昇して砲撃を飛び上がるようにして避けるが…
回避されたビームは全く勢いを緩める事なくコロニーの外壁に直撃し、近距離から撃たれた筈の軽キャノンの砲撃の何倍もの爆発を引き起こす。
ジュン「っ、なんだこの威力!?」
リリー「あはっ、よそ見禁止だよ!!!!」
ジュン「ちいっ!!」
リリーの操るダブルシールドの機体がいつの間にかジュンのブルキャノンの懐に飛び込み、右のシールド刃で殴りつけるように斬りかかり、ジュンは咄嗟にそれを盾で受け止めて鍔迫り合いに持ち込む。
ジュン「リリー…!!」
リリー「ねぇジュン!!あの後妹もどきちゃんとは仲良くやれてる!?」
ジュン「っ…!!!!」
リリー「……あはっ、あはははは!!そんっなに早く振られちゃったんだぁ!?私が来ても来なくても変わらなかったかもね!?」
ジュン「……ああ…そうだな…」
リリー「………ねぇ…
なのになんで今もずっとあの子の事想ってるの…???」
ジュン「……なんだよ…心読むのはオメーの得意技だろ?読んでみろよ、リリー」
リリー「っ…!!!!」
ブルキャノンⅡは、鍔迫り合いからタックルでブルキャノンを吹き飛ばして両腕のシールドを振り上げ…内蔵された銃口から伸びた極太のビームサーベル2本を、ブルキャノン目掛けて振り下ろす…
- 40二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:14:47
ジュン「うおっ!?」
ブルキャノンは咄嗟に展開したライフルブレードと盾で振り下ろされた極太のビームサーベルを受け止める。盾の方はどうにか止め切れているが、ライフルブレードのサーベルはブルキャノンⅡの極太サーベルによって徐々に力負けして出力が弱まりつつある。
ジュン「ぐ…ぬ…うらぁ!!」
鍔迫り合い続ければ確実に押し負けると判断したジュンは至近距離からの両肩部ビームキャノン砲撃を放つ…が…
ビームがブルキャノンⅡに直撃する直前にブルキャノンⅡのキャノン砲砲身から放たれたエネルギー波のようなものに阻まれ、かき消された。
ジュン「何っ!?」
リリー「あはっ!!ジュンの得意技だもんねぇ今の至近距離撃ちは!!」
謎のエネルギー波にビームを阻まれて鍔迫り合いを解除し切れなかったジュンは、咄嗟に下へ飛ぶ事でギリギリの所で鍔迫り合いを解除しつつ全力で間合いを取る。
ジュン「今のは…エル・サルバトーレと同じキャノンバリアか!!」
ビームが効かないならと間合いを取りながら実弾のシールドバズーカを構えて狙い撃とうとするが、
今度は側面から再びディルの操るブルキャノンⅡの方からビーム砲撃が、まるで機関銃のような連射で放たれる。
ジュン「うおっ!?」
ジグザグ飛行で掃射を避けながらディルの機体を見ると、ビームライフルにシールドを連結して、シールドに内蔵された銃口から機銃連射をしてることが分かる。
ディル「…実弾を使いキャノンを破壊する暇など与えん」
ジュン「くそっ…やり辛ぇな!!」
近接戦特化のリリーと、射撃戦特化のディル。同型でありながら異なる戦術で攻める2機のブルキャノンの連携が、次第にジュンを追い詰める…
- 41二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:27:53
同刻、連邦軍旗艦ブリッジ
幹部 A「おお…!!あの蒼い騎士を追い詰めている!!」
幹部 B「困難だとされていたエル・サルバトーレのキャノンバリアの小型安定化をここまで早く…見事なものだ、士官長!!」
士官長「お褒めに預かり光栄です」
指揮官「………」
士官長「おや?お気に召しませんか指揮官殿」
指揮官「前にも言ったが、元々私はブルキャノンⅡの設計案が気に入らん。元々一機で戦局を変えるために作ったブルキャノンをわざわざ2機に分割して役割分担など、本末転倒だ。片側がやられたらどうする。そもそも、二体に分けてでも未だに奴を落とせないのはどういう事だ」
士官長「ええ、ええ、最もな意見です。ですからこそ、指揮官殿が捕まっている間に独自性を加えさせて頂きましたよ、指揮官殿にすら出来なかった事をね」
指揮官「…何…?」
指揮官「その独自性を発揮すれば、試作1号機など敵ではありません…ほら、そろそろ使いますよ」
指揮官は眉を顰めながら、今もなお戦い続ける3機の様子を見守る…
- 42二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:43:00
突破口を切り開けずに防戦一方になりながら2機の連携をかわし続けるブルキャノンと、それを追う2機のブルキャノンⅡ。ただでさえスペックで上を行く2機が、互いの死角を補うように連携する事で、いよいよジュンには反撃の目がなくなっており、リリーの両盾のビームマシンガンとディルの連結ビームマシンガンの連射を避けるだけで手一杯になっていく。
ジュン「くそっマヴ戦術の真似事か!!ジオン軍でもねぇのによくやるぜ!!」
リリー「ねぇジュン!!いい加減に気付きなよ!!こんな宇宙の端で引き篭ってるからジュンはどんどん弱くなってるんだよ!?一緒に帰ろうよ、ねぇ!?」
ジュン「うるせぇ!!大体テメェ心読めるんだから俺が24時間365日NOと叫んでる事ぐらい察しろ!!!!」
リリー「……あは…あははは…そっ…かぁ…分かったよジュン………
両手両足吹き飛ばしてでも地球に連れ戻してやる!!!!!」
リリーが絶叫した瞬間、リリーのブルキャノンⅡの胸部分から無数の小型ミサイルが発射される。
ジュン(ホーミングミサイルか!!)
ジュンはそれを迎え撃つ為に自身もミサイルを撃ち込むが…
リリーの放ったミサイルは1発1発が意思を持つようにジュンのミサイルを避け、そのままジュン目掛けて更に加速する。
ジュン「なっ…!?」
慌ててジュンはライフルブレードで切り落とそうとするが、ミサイルはその直前で爆発し、爆風に巻き込まれたブルキャノンは大きく吹き飛ぶ。
ジュン「うおおおおおっ!!!?」
どうにか姿勢を整えたジュンは…
ミサイルが生き物のように円を描いてリリーのブルキャノンの背後で佇む様子を見て、思わず息を呑む。
リリー「ねぇ…見てよジュン…君がいなくなって…頑張って頑張って頑張って…こんな事も出来るようになったんだよ!!!!」
ジュン「っ…サイコミュ兵装か!!!!」
- 43二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:54:41
背後を浮遊するミサイルが再びジュン目掛けて放たれる瞬間、隣にいたディルのブルキャノンⅡがその直前に両腕部から4発のミサイルを放つ。弾速は早いが、リリーのミサイルよりも直線的に飛んでくる。
ジュン「ちっ!!」
ジュンはライフルでこれを撃ち落とすが…
それと同時に撃ち落とされたミサイルから広範囲に煙のようなものが広がり、それがジュンのブルキャノンを包むと、次第にブルキャノンの関節の動きが鈍くなっていく。
ジュン「っ!!ポリマー弾ミサイルか!!」
リリー「気付いても遅いよ!!」
四方八方から迫るミサイルを避けれる機動力が、今のブルキャノンにはない。そう判断したジュンは、瞬間的にブースターによる加速で上昇してミサイルの位置を一点に絞り、回避されるよりも早くライフルを放ち、誘爆によって纏めて一気にミサイルを撃ち落とす。
リリー「しっぶといなぁもう!!」
リリーが叫ぶと、リリーのブルキャノンⅡの両盾のビームサーベルが更に巨大に…それこそ、MSの全長並に伸びて、更に尋常ではない速力で斬りかかる。
ジュン「おおおおおお!!!!」
ジュンはブースターの放出による勢いでポリマーを吹き剥がし、フル出力のサーベルブレードと盾を構えてリリーのブルキャノンへと突っ込み、その衝撃で周囲に凄まじい閃光が広がる…
- 44二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:05:23
痴話喧嘩しながらの死闘
うーん実にガンダム - 45二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:08:24
…閃光が収まり、2機は互いに後方へ飛び退く。そこには無傷のブルキャノンⅡと、超巨大ビームサーベルの高熱によって装甲から煙を燻らせているブルキャノンの姿があった。
ジュン「ぜぇ…ぜぇ…」
リリー「…ねぇ…いい加減気付いてよ…連邦で私達と一緒にいるジュンだったら、私達なんかに負けたりしないよ?スペースノイドの飼い犬なんかになってるから、そんな旧型で必死こいて戦うしか出来なくなってるんだよ?…そんなていたらくでさぁ…本当に大好きな女の子の盾になれるなんて思ってるの?」
ジュン「へっ…俺ぁ今更ニャアンになんか顔向け出来ねぇけどよ…盾になれってんなら喜んでなってやるぜ…?」
リリー「………じゃあ、なってみてよ、今すぐにさ。ねぇ、ディル?」
ディル「…了解した。βメガキャノンを使う」
ジュン「あ…?」
ディルのブルキャノンⅡのキャノン砲が伸び、シールドと連結したロングレンジライフルに更に連結する。
合計五門のビーム砲が一斉に輝き出したのを見て、キャノンタイプを極めたからこその経験からジュンは青ざめる。この攻撃は、まともに受けられるものではない、と。
それと同時に、最悪の事態に気付く。
逃げ回っていたジュンの背後には、いつの間にかイズマ・コロニーがある事に。
ディル「…盾なんだろう?受けてみろよ」
ジュン「こっ……のクソ野郎が!!!!」
ジュンの絶叫が響くのと同時に、ディルは引き金を引いた…
- 46二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:25:07
ブルキャノンⅡから放たれた、βメガキャノンと呼ばれた超巨大ビーム砲撃は、ジュンのブルキャノンとイズマ・コロニーを目掛けて突き進む。
ジュン(こんなもん直撃したら…風穴開くどころじゃ済まねぇ!!!!)
ジュンは咄嗟に盾…だけではなく、ライフルブレード、両肩部キャノン砲、両脇部多連装ミサイルの一斉放射をビーム目掛けて放ち、受け止める前に少しでも威力を落とす。
最新鋭ビーム兵器のフル放射の威力はそれでも殆ど落ちないが、それでも直撃の瞬間に僅かにビームの速度が落ちる。
ジュン「っおおおおおおおお!!!!!!」
その僅かな隙を見逃さず、ジュンは盾を構えてビームに突っ込み、ブルキャノンの全身でビームを受け止める。
ディル「まさか…本気で止めるつもりか…?」
リリー「っ…なんで!?なんでスペースノイドを誰よりも恨んでた君が…そんなにも命を賭けて…!!」
困惑、嫉妬、恐怖が混ざったようなリリーの叫びに耳を貸さず、コクピットの至る所から響く警告音すらも無視して、ジュンは真正面からビームを受け止め…そして…
ビームが消え切った時、リリー達の目の前には機体中から煙を吹き出し、無傷のコロニーを背に佇む青いガンダムの姿があった…
ジュン「っ…てっめぇらこの野郎………今のはマジでタヒ…」
満身創痍のジュンが二体のブルキャノンⅡを睨もうとしたその瞬間、
ディルのブルキャノンⅡの胸部から放たれたミサイルが起爆し、それと同時に超高圧電流がコクピット内を襲う。
ジュン「がああああああ!!!?」
リリー「…おかしい…おかしいよジュン…そっか、そっかおかしいんだ?今のジュンはおかしいんだよね?ねぇ、そうだよね、ディル?地球に帰れば元に…戻る…よね…?」
ディル「……ああ、きっと戻る」
ディルは、パイロットが意識を失いがくりと機能停止するブルキャノンを睨みながら、震える声のリリーの問いに、静かに答える…
- 47二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:26:28
ジュン兄もジュン兄で大概酷い振り方してるからマジで恋愛偏差値低い…事例が特殊過ぎるからなんとも言えぬけれど…
- 48二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:53:28
ブルキャノンⅡ・αタイプ
ブルキャノンの後継機として開発された連邦軍最新鋭のフルアーマータイプMSシリーズの中の一機であり、その中でも独自強化されたエースパイロット用の近接特化型。
カラーリングは連邦軍正式MS開発機関で用いられる黒と赤で、頭部は索敵範囲の広いキャノンタイプを採用されている。
ブルキャノンの近接戦闘武装の運用法及びにジュン・ファンボイの近接戦闘データを元に近、中距離での戦闘能力を極限まで引き上げる為の機動力強化が施されており、武装もそれに適応したものへと変化している。
また、搭乗者のリリーのニュータイプ能力と彼女に合わせて急遽導入されたサイコミュ配送も相まって機体性能数値以上の凄まじい戦闘能力を発揮するに至り、βタイプとの連携でブルキャノンをも圧倒する。
武装一覧
・ブリッツシールド×2
ヘヴィシールドをより近接戦闘用に特化させた近接戦闘用シールド。フレームのヒートエッジに加え、高出力ビームブレード内蔵ビームバレルガン(ライフル、マシンガン、ショットガンを切り替えらるビーム兵器)を内蔵し、両腕に装備した二刀流によってより白兵戦と近距離射撃に有利な装備へと最適化された。
・両肩部キャノン砲
独自改良された両肩部キャノン砲。
エル・サルバトーレ・コアのものと同じ出力調整により、ビーム兵器を無効化するエネルギーフィールドを機体に纏わせる事が出来る。αタイプのキャノン砲はエネルギーフィールドの維持に重点を置いており、他のブルキャノンシリーズに比べてエネルギー持続力が高い。
・スティンガービット
既存の胸部両脇多連装ミサイルの代わりにリリー専用調整が施されたサイコミュ装備。
一言で言うなれば超高性能の小型ファンネルミサイルのようなものであり、小型ミサイルサイズでありながら1発1発を既存のビットのように自在に操ることが出来、起爆タイミングもリリー次第で調整可能。
・αブレード
ブリッツシールド内蔵のビームバレルガンとキャノン砲を連結して起動させる超大型ビームブレード。キャノン砲に用いるビームエネルギーをシールドブレードに回す事でMS一機並みの巨大かつ凄まじい威力のビームブレードを展開する。その威力は並のMSどころか大型戦艦を叩き切るレベルであり、まともに受け切るのはほぼ不可能。更にはビーム発生の余剰エネルギーを推力に回す事で機動力も跳ね上がる事が出来る。 - 49二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:55:19
ブルキャノンⅡ・βタイプ
ブルキャノンの後継機として開発された連邦軍最新鋭のフルアーマータイプMSであり、その中でも対フルアーマータイプを前提とした重武装遠距離戦闘型。
カラーリングはαタイプと同様。
キャノンタイプ特有の遠距離砲撃能力の強化と対フルアーマータイプ及びMA戦闘を前提とした特殊装備を多数搭載している。
搭乗者のディルの繰り出す正確無比な狙撃に加えて近接戦闘型のαタイプとの連携によってブルキャノン試作1号機を圧倒し、破壊寸前まで追い込んだ。
武装一覧
・ロングレンジライフルブレード
長距離射撃用に改造されたライフルブレード。
既存のライフルブレードよりも長い射程距離と高い威力を誇り、後述のユナイトシールドとの連結モードによって散弾型、長距離狙撃型、連射型などの弾種が選べる。
・ユナイトシールド
遠距離戦特化改造が施されたヘヴィシールド。二連装バズーカに変わってビームキャノンが内蔵されており、ロングレンジライフルブレードと連結する事で弾種を変更出来る。ビーム弾数増加の為の改造に伴い、シールドエッジはオミットされている。
・両肩部キャノン砲
独自改良された両肩部キャノン砲。
エル・サルバトーレ・コアのものと同じ出力調整により、ビーム兵器を無効化するエネルギーフィールドを機体に纏わせる事が出来る。
βタイプのものは射撃能力に秀でており、破壊力、連射力の面でも他キャノンタイプとは一線を画する。
・スパークランチャー
胸部両脇多連装ミサイルの代わりに取り付けられたミサイル兵装。起爆と同時に着弾箇所にピンポイントで高圧電流を流して相手の機体を一瞬ショートさせて動きを封じる事が出来るスパークミサイルを発射可能。
・ポリマー弾ミサイル
両腕部に搭載されたミサイル発射装置。爆風と共にMSの関節に吸着して動きを鈍らせるポリマー弾を発射する。
・βメガキャノン
ロングレンジライフル、ユナイトシールド、両肩部キャノン砲を連結して起動させる超遠距離射撃用ビーム兵器。
合計五門のビーム砲のエネルギーを一点に連結して解き放つ事で過剰なまでの射程距離と、戦艦を縦に貫ける程の破壊力を秘めた遠距離射撃を可能にする。また、両肩部キャノン砲の出力調整によって高火力状態でありながらワイドレンジの拡散弾やバルカン並の超乱射なども可能になる。 - 50二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:26:58
あんなに一緒だったのに
夕暮れはもう違う色 - 51二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:32:44
コロニーの造られた夕陽色なので多分マジで色が違う夕焼けを見る事になってる…(多分煙を燻らせて力無く機能停止するブルキャノンの顔がアップになってからエンディング入る)
- 52二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:48:28
OP空想はよくやるけどED空想はあんましないかもしれない…?
- 53二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 23:07:52
初代「傷」スレで再会シーンに流れた(幻覚)プラズマが印象強すぎてなぁ…
- 54二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 23:20:46
この物語はハッピーエンドだからな
やっぱ最後は一期OPが流れて締めなきゃ! - 55二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 23:26:27
- 56二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 00:23:50
- 57二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:07:12
- 58二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:36:55
- 59二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 08:07:05
ソドンが接近したら奪還または撃沈狙われるしな…
- 60二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 12:45:35
本編(映画)で実証されてるからね、いい曲よね
- 61二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 14:14:56
- 62二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:24:26
イズマ・コロニー商業港前宙域
βメガキャノンを真正面から受け止め満身創痍の状態で至近距離からスパークミサイルを直撃させられた結果完全に沈黙するブルキャノン。全くの無傷でブルキャノンを無力化した事を確認し、リリーとディルのブルキャノンⅡはブルキャノンへと近付く。
ディル「……リリー。当初の作戦通りブルキャノンは無力化した。ジュンを連れて帰ろう」
リリー「作戦通り…???うん、そうだよね?ちゃんとその通りになったよね?これできっと…きっとジュンも分かってくれるよね???」
ディル「…ああ、きっと分かってくれる」
錯乱したように震え、ぶつぶつと言葉を発するリリーに対して短く答えたディルがブルキャノンの腕を掴もうとする。
リリー「………っ!?ディル!!目ぇ瞑って!!」
ディル「っ!?」
ディルは突然叫ぶリリーの声に従い、目を瞑りつつブルキャノンⅡの盾をカメラ前に構え、リリーも同じように盾で目を守る構えを取る。
その直後、2機とブルキャノンの間に投げられた閃光弾から激しい光が放たれ、周囲を白い光で包み込む。
ディル「っ…閃光弾だと!?」
リリー「っ…!!」
リリーは、この隙をついて自分達を狙う敵への意識を感じ取る為に殺気に近い気配を探る事に専念してスティンガービットを展開する。だからこそ、気付かなかった。
殺気を一切放たずに、閃光に紛れてただただブルキャノンを捕まえて商業港へと投げ込んだジークアクスと赤いガンダムの気配には、閃光が収まっても気付けなかった。
シュウジ「…ニャアンの予感が、当たったね」
マチュ「閃光弾投げる側になるとは思わなかった…っていうか大丈夫かな!?思いっきりジオンの機体で乱入しちゃったけど!!」
シュウジ「バレなきゃセーフ…と、シャリアさんが言ってた」
マチュ「あー…そーゆーとこあるのねあの人…」 - 63二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:36:01
ディル「…やられたか…」
閃光が収まって前を見たディルは、目の前からブルキャノンがいなくなった事に気付き忌々しげに呟く。
リリー「………」
ディル「…最低限の目的は達成した。これ以上留まると軍警察の増援が来る恐れがある。一度旗艦に戻って…」
リリー「ねぇ。ディル?
もういっそあのコロニー全部メチャクチャにしてジュンの帰る場所が地球だけになれば、ジュンはいなくならないかなぁ…???」
リリーのブルキャノンのバイザーが、まるでコクピットの中で目を見開き、嗤っているのか悲しんでいるのか怒っているのかすら最早自分ですら分からないような酷い顔をしているリリー自身の顔のように、禍々しく輝き、両盾から再びビームサーベルが伸びる。
ディル「…それ…は…」
リリー「ディルは…私の事分かってくれるよね…?私の事見捨てないよね…?」
ディル「………ああ。俺はリリーを見捨てない。それだけは、絶対だ」
リリー「……………ごめんね、ディル」
小さく呟いてから、リリーのブルキャノンⅡは商業港へ向かって突っ込もうとする。
フィン「待ってリリー!!!!」
しかし、その目の前にフィンのブルキャノンⅡが立ち塞がる。
リリー「っ…フィン…!?」
フィン「リリー、撤退だ!!旗艦から停戦命令が出た!!!!」
- 64二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:52:18
…少し前、連邦軍旗艦ブリッジ
オペレーター「ブルキャノン試作1号機、商業港に後退しています!!そのすぐ近くに識別反応にジャミングをかけている機体が2機!!」
幹部A「えぇい、随伴機か何かが撤退の手助けをしたか!!後一歩で試作1号機も回収出来たものを…!!」
幹部 B「ですが結果としては素晴らしい成果を残しましたな。あの2機が相手となれば蒼い騎士も最早敵ではない…正式量産機にはブルキャノンⅡのデータをより細かく採用する必要がありそうだ。見事だよ士官超」
士官長「お褒めに預かり光栄です……おや、中将殿。あまり機嫌が宜しくないようですが、如何いたしましたか?」
皮肉めいた笑みを浮かべる士官長に向けて、中将は短く答える。
中将「……三つだ」
指揮官「…私は二つですが、まぁ三つめも察しておりますよ、伯父上」
士官長「…?何かです?」
中将「今の勝負における、ブルキャノンⅡのつまらんところさ」
士官長「………つまらん…?一体何を…」
ぴくりと眉を顰めて士官長が聞き返そうとした時、突然ブリッジに馬鹿でかい演歌の声音が響く。
演歌「オォイ聞こえてるか連邦軍!!!!こちら軍警MS警備隊総隊長!!こちらに攻撃の意思はない!!直ちに攻撃をやめてくれ!!!!聞こえてんのかおい!!!?」
幹部A「なっ…あのザクいつの間にか船の腹にへばりついていたのだ!?…やたらマイクの質がいいな…?」
幹部 B「何をしている!!MS隊は直ちに奴を撃ち落と…」
中将「やめろ」
短く、しかし凄みのある声音で中将が呟くとブリッジの一同は皆押し黙り、中将の声だけが響く。
中将「…軍警総隊長殿。そちらに攻撃のない意思は理解した。今から停戦信号を発信する…すまなかったね」
演歌「へっ…流石にファン坊が言うだけの器だ、物分かりいいぜ」
士官長「………」
- 65二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:54:44
- 66二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:58:31
同刻、商業港前宙域
リリー「てっ…たい…?帰るの…?なんで…?まだジュンを取り戻してないのに!?」
フィン「今コロニーに突っ込んだら本当に二度とジュンに会えなくなる!!それでもいいのかい!?」
リリー「っ!!!!…それは…嫌だよ…そんなの嫌だ…」
ディル「…リリー、今は退こう。この戦闘後処理の為に旗艦も暫くこの宙域に留まる筈だ。そこでまた、ジュンを説得しよう」
リリー「……うん…」
スティンガービットを収納したリリーのブルキャノンⅡは踵を返し、ディルとフィンもそれに続く。
ディル「……すまない、フィン」
フィン「…いーよ、君もリリーも…ジュンだって、友達なんだからさ」
…同刻、商業港
連邦軍MS部隊が撤退したその頃、商業港には満身創痍のブルキャノンに肩を貸すジークアクスと赤いガンダムの姿があり、2機はゆっくりとブルキャノンを触らせ、外部操作でコクピットを開く。
マチュ「ファン兄ちゃん…って熱っ!?」
シュウジ「この高熱…ビームを真正面から受け止めた…?」
看守「おぉい急患はどこだ!?」
マチュ「あっ看守さん!!囚人さん達の避難終わったの!?」
看守「おう…って嘘だろ…!?急患ってこいつかよ…!!おいファン坊!!しっかりしろ、おい!!」
ジュンは、コクピットから差し込む光と、声をかける3人の姿をぼんやりと眺める。
ジュン(…うるっせぇなぁ……あぁ…そういや俺元々寝てる時起こされるの嫌いだったっけ…でも…あの子に会ってからは…起きるの…が…)
ぶつり、と、ジュンの意識が途切れた…
- 67二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:06:08
ジュン「………ん…?」
ふとジュンが目を覚ますと、彼はソファの上で寝そべっていた。ジャンク屋の古びたソファよりも新しく、それでいてどこか懐かしいソファに触れながら、ジュンはゆっくりと起き上がる。
ジュン「…このソファ…俺が住んでた…」
???「あっ…やっと起きた」
少女の声の方を振り向くと、そこには褐色の肌と長い黒髪、そして、
綺麗な青い瞳が特徴的な白い制服姿の、
よく見知った少女の姿があった。
ジュン「…ニャアン…?」
???「…?
どうしたのお兄ちゃん、急に猫の鳴き真似なんかして…」
ジュン「へ…?……あ、あはは、ホントだ、何言ってんだろうな俺?」
???「ふふっ、変な夢でも見たの?」
ジュン「夢…あっ、そっか、夢か…そうだよな、
サウ」
ジュンは、大切な妹に向かって満面の笑みを浮かべる…
- 68二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:08:36
あかん逝くな!帰って来い!
- 69二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:13:31
- 70二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:27:30
ほぼほぼやってる事ムウさん(MSの盾で大型戦艦主砲並みのビーム受け切る)な上に零距離でスパークミサイルぶち込まれたのでそりゃまぁタヒにかける。(中身はヤバいが)やっぱり硬いぜ、ブルキャノン
- 71二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:33:10
三途の川まで行ってもた…
- 72二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:48:16
イズマ・コロニー中央病院
大規模な爆発事故がありながらも奇跡的に民間人への被害が出ずに夜を超え、避難警報が解除された早朝の居住区を、ニャアンは必死で走っていた。すれ違う配達員が何事かと振り向く程に必死の表情で走るニャアンは息を切らして中央病院に駆け込み、その中の一室のドアを思い切り開ける。
そこには、点滴チューブをつけてベットに横たわり目を伏せるジュンと、彼の横に座るシュウジとマチュ、悔しげに俯く演歌と看守、それから主治医と思われる男の姿があった。
ニャアン「っ…!!!!」
マチュ「ニャアン!!」
シュウジ「今は、寝てるみたい…なんだけど…」
ニャアン「無事…なの…!?」
主治医「…肉体的には、命に別状はありません。記録にある通りのダメージを受けていながらここまで無事なのは流石はブルキャノンです…ただ…」
ニャアン「…?」
主治医「…かれこれ意識を失ってから半日以上…意識を取り戻す気配がありません…というよりまるで…
意識を取り戻す事を本人が拒んでいるような…」
ニャアン「っ…!!!!」
ニャアンの脳裏には、自分に罵詈雑言を吐かれて絶望の表情を浮かべるジュンの顔がよぎり、気付く。
ニャアン(…私の…せいだ…私が…あんな事…!!)
より深い絶望に、ニャアンは言葉を失う…
- 73二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 22:02:52
???「なんだジュン、こんな昼まで寝てたのか?」
優しげな男性の声を聞いて振り向くと、そこにはジュンと似た少し癖っ毛のある黒い短髪が特徴的なメガネをかけた、今のジュンが着てるのと似たシャツとジーンズ姿の日本人男性の姿があった。男性はリビングのテーブルに新聞を置いてジュンの方を見て笑っている。
ジュン「父さん…いいだろ別に?今日は大学休みなんだからさ」
父「いかんなー、そーやって昼寝癖が着くと将来結婚したら奥さんに嫌な顔されるぞー?」
ジュン「俺ぁ結婚する気なんてねーからいーんだよーだ、な、サウ」
サウ「もう…リリーさんが見たら呆れられちゃうよ…?」
ジュン「なんでそこでリリーの名前が出てくんだよ?」
???「あなたの周りの女の子がリリーちゃんくらいしかいないからでしょ?」
そう言ってキッチンから出てきたのは、ジュンやサウと同じ肌の色と黒い長髪が特徴的な朗らかそうか女性は、落ち着いた色合いの洋服にエプロン姿で鍋を持っている。
母さん「何度も言ってるけど母さん、リリーはガキの頃からの付き合いってだけで…あー、説明するのも面倒だな、何回言ったよコレ」
サウ「ほらお兄ちゃん、ご飯食べよ?」
ジュン「へいへい」
気だるそうにしながらも、ジュンは嬉しそうに笑いながら家族達と食卓を囲む…
- 74二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:07:41
戦争さえ無ければマジでただただ気さくで、家族の前では表情を偽ったりする事もなく面倒臭がったりもするけれど家族を大切にする普通の兄ちゃんとして普通の人生を送ってたんだろうなっ…ていうのをニャアンが知ったら尚のこと辛い事になりそう…
- 75二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:28:54
あぁ⋯そりゃリリーも歪むわ⋯ってなるのも察せておつらぁい⋯⋯
- 76二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:40:54
戦いの為に宇宙(そら)に行かなければジュンはニャアンに出会う事はきっとなかったけれど、逆にいうと戦いがあったせいでリリーは家族に加えて初恋の人も遠くに行ってしまったのでマジでスペースノイドを憎む理由しかない…戦争なかったらジュンの日常を一緒に過ごすただちょっと勘がいいだけのころころ笑う普通の女の子だっただろうね…
- 77二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:14:10
- 78二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 06:54:42
???「演歌が聞こえたら俺が来た合図だ」
- 79二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 07:37:22
- 80二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 14:11:51
- 81二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 19:18:49
イズマ・コロニー中央病院
点滴に繋がれてベッドに横たわるジュンと、それを取り囲む一同。一見するとただ寝ているだけのように見えなくもないが、彼の生命活動に発生している事態は極めて深刻であった。
マチュ「意識を取り戻すのを拒んでいるようって…どういう事!?」
主治医「恐らく、潜在的な無意識における問題です。原因は分かりませんが精神的に衰弱した状態で生命の危機に瀕した結果それが表の意識へと出てしまい、目覚めるのをやめようとしてるような…」
シュウジ「…ファン兄ちゃんは、起きられるの?」
主治医「…というよりも…起きない場合下手をしたら衰弱して二度と…」
ニャアン「っ!!!!」
演歌「ってめぇニャアンちゃんの前で縁起でもねぇ事言うんじゃねぇぞ!!!!」主治医の胸ぐら掴み
看守「おい落ち着け!!…なぁ先生、なんとかファン坊を起こす事は出来ないのか!?」
主治医「…可能性があるとすれば…呼びかける事です。臨死体験をした人が家族などに呼びかけられて意識を取り戻したケースは幾つかあります」
演歌「それを先に言えって!!おいファン坊!!起きろよ!!いつまで寝てんだおい!!」
マチュ「ファン兄ちゃん!!」
シュウジ「ファン兄ちゃん!!」
看守「ファン坊!!……くそっ、起きる気配がねぇな……ニャアンちゃんも呼びかけてくれ!!」
ニャアン「あ…」
ニャアンがジュンの方へ歩み寄ろうとした、その時、彼女の脳裏にあの夕暮れの部屋の光景と、彼が発した言葉が脳裏によぎる。
『サウ!!!!』
ニャアン「っ…」
演歌「…ニャアンちゃん…?」
ニャアンは、怯え、後退り…部屋から飛び出してしまった。
看守「お、おい!?」
マチュ「私が追いかける!!皆んなはファン兄ちゃんをお願い!!」
演歌「お願いって…一体何が…」
シュウジ「………実は…」 - 82二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 19:31:33
…その頃、ジュンは家族と食卓を囲んで談笑していた。いつも食べる食事に、いつも見える景色、そしていつも食卓を囲む家族。当たり前の平和の中に、ジュンはいた。
ジュン「そういえばサウ、この前言ってた春大会の舞台の主役選抜ってどうなったんだ?」
サウ「あ…主役なれたよ、一応」
ジュン「マジか!!いやー、これは最優秀賞はサウの学校で間違い無しだな!!」
サウ「お、大袈裟だって…」
父「ホントジュンの妹想いっぷりは小さい頃から変わらないなぁ」
母「サウが彼氏さんなんて連れてきたら大変な事になりそうねぇ…あっ、そうだサウ。あなたディル君とフィン君にも高校に来てもらって舞台設備作るの手伝ってもらうのよね?」
ジュン「えっ聞いてないぞサウ!?」
サウ「だってお兄ちゃんあの2人が私と仲良くするとうるさくなるし…」
ジュン「なるわ!!フィンはともかくディルと付き合うなんて事になったらマジで怒るからな!?」
サウ「フィンさんはいいんだ…」
ジュン「う、うーん…
いやまぁあいつもブチ切れてブルキャノン試作2号機で俺コロしにしたり来たけどさ…」
サウ「…ぶるきゃのん?」
ジュン「へ?……あれ、俺何言ってんだ?」
母「ふふっ、寝ぼけてるの?」
父「さっきまでねぼすけさんだったからなぁ」
ジュン「あー…そう…かな…うん、そうだ。変な夢見てたからだな、うん」
サウ「………」
- 83二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:23:52
イズマ・コロニー中央病院
看守「………そんな事が…あったのか…」
演歌「そんなもん…そんなもんあの2人に悪いところなんてねぇだろ!?仕方ねえじゃねぇか!!そっくりだってんなら妹ちゃんの影を見ちまうのも、ニャアンちゃんが自分自身を見て欲しいのも…どうこうできるもんじゃねぇ…いや、誰かがその本音を見ていいもんじゃねぇ!!」
シュウジ「でも、彼女にはそれが見えた…見え過ぎたせいで…それでいてファン兄ちゃんを本気で想っていたせいで…2人に1番突き刺さる言い方をしてしまったんだよ」
看守「…大丈夫なのか?ニャアンちゃんはあの子に任せちまって」
シュウジ「うん、同じ女の子同士だもの。マチュに任せるべきだと…僕自身が思ってる」
演歌「…そっか…じゃあ俺達はあの子達が戻ってくるまで呼びかけてやろうじゃねぇの!!いっそ枕元でサブちゃん流すか!!」
シュウジ「それは迷惑だからやめよう、でも最終手段ね」
同刻、平和公園
ニャアン「…」本来ならブルキャノンが展示されている場所に蹲っている。
マチュ「…ブルキャノンなら今軍警さんのところで修理中だよー、公園に戻るのは当分先だって、市長さんが言ってた…ファン兄ちゃんと同じで、ボロボロだったよ、あの子も」
ニャアン「っ…」びくりと怯えたように震える。
マチュ「…MSは装甲とか中の機械とか取っ替えれば修理出来るけど、人を治すのはすっごく難しいんだよね。治せる手段があるなら、試そうよ」
ニャアン「…嫌だ…ジュンの名前なんて呼びたくない…」
マチュ「…妹さんの名前で呼ばれるかもしれないから?」
ニャアン「っ……ジュン…だって…呼ばれたくない…あんな酷い事言った奴に…名前なんて呼ばれたい訳ない…声すら聞きたくないに決まってる…!!」
マチュ「…ニャアン知ってる?ファン兄ちゃんが初めてニャアンにジュンって呼ばれた日にはね?すっっっごい上機嫌だったんだよ、あの人」
ニャアン「……妹に名前を呼ばれて…嬉しかったんでしょ?」
マチュ「んーん、違う。
最愛の人に名前を呼ばれる事ってすっげぇ幸せなんだなって、笑ってた」
ニャアン「…!!!!」
マチュ「…戻ろ、ファン兄ちゃんの所に」
- 84二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:33:38
ジュン「……」ソファに腰掛けながら台所で洗い物する両親をぼんやりと眺めてる
サウ「…ねぇ、お兄ちゃん」
ジュン「うん?どうしたサウ?」
サウ「今日は何か、大切な事がある日じゃなかったっけ。誰かを待たせてたり、行かないといけない場所があるんじゃないの?」
ジュン「へ?ど、どうしたよ急に」
サウ「本当にここにいていいの?帰る場所が、あるんじゃないの?」
ジュン「いや、帰るも何もここは俺の家だし…それに…そんな場所があったとしても…もういいよ…なんか…疲れてるみたいでさ…もうずっとここで…」
サウ「っ…本当に…?
誰かが呼ぶ声とか、聞こえない?」
ジュン「な、なんだよ急にニュータイプみたいな…ニュータイプ…?」
先程から知らない言葉を発する自分自身に戸惑い首を傾げるジュンを見て、サウは先程の焦った様子から気を撮り直したような優しく笑う。
サウ「…ねぇ、お兄ちゃん。私、さっきお兄ちゃんが言ってた夢の話を聞きたいな」
ジュン「どうしたよ急に?なんか今日のサウ変だぞ?」
父「お、その話父さんも聞きたいな」
母「ふふっ、私も聞いていい?」
ジュン「2人も?まぁいいけどさ…えーと、どこから話すかな…」
不思議そうにしながらも『夢』の世界の話を始めるジュンの事を、家族達は優しく見守る…
- 85二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:32:39
“家”へ帰れ、ジュン
- 86二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:44:43
…『夢』の中の俺は…連邦軍の軍人だった。
父さんと母さん…それからサウは、ジオン公国っていうところの奴らが落とした大きなコロニーの爆発に巻き込まれて…俺はそれが許せなくて、リリー達と一緒に軍人になった。戦争はジオンの奴らが勝ったけど、それでも俺はずっと奴らを憎み続けて、ブルキャノンに乗って、連邦に…中将閣下に楯突く奴らを始末する処刑人として、地球を守る為に戦ってきた。その功績が認められて、公爵家の蒼い騎士なんて呼ばれるようにもなったんだぜ?
それから何年かした時に、俺はイズマ・コロニーってとこに潜伏しながら処刑人を続けて欲しいって依頼を受けたんだ。勿論ジオンを潰す為ならスパイでもなんでもやるさ。
でも…周りにいるのは皆んなスペースノイド。ジオンの奴らと同じだ。だから俺は馴染もうなんて思いもしなかった。武装提供もある訳だし、仮住まいのジャンク屋してても鬱陶しいことしかねぇ、看板もたたもうかな、なんて思ってた。
でもある日、いつも閉じてたシャッターをノックされたんだ。あまりにもしつこく叩くもんだから追い払ってやろうと思ってさ、シャッターを開けたんだ。
ジュン『うるっせぇな…店は閉じてるって見て分からねぇの……か…』
少年『……』泣きながら動かないハロを抱きしめてる
ジュン『……シャッター叩いてたのは、お前か?』
少年『あの、ハロ、治してください…』ぐすぐすと泣いてる
ジュン『……金は払えんのか?』
少年『これ…持ってるお金全部…』明らかに修理には足りない小銭
ジュン『…金がねぇならとっとと帰…』
少年『友達…なんです…でも…僕が難民だから…誰も治してくれなくて…ここしか…なくて…!!』
ジュン『………』
…あんまりにもぐずぐず泣くから、これ以上泣かれてもめんどくせぇと思ってさ、とりあえず見てみたのよ。そしたら壊れてる部品が見つかったから、替えの部品を交換すりゃすぐ治るのは分かったんだ。ただその部品が中々取り扱ってない奴で、通販とかでも中々ねぇなーって調べてたら偶然在庫が一つだけあって、しかも今日すぐ届くって話だから頼んだんだ。
…それで…俺はあの子に出会ったんだ… - 87二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:47:17
- 88二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:55:32
…初めて見た時には、目を疑ったよ。肌の色に髪の長さ、顔立ちまで…サウみたいだった。後から聞いたら、生きていればサウも同い年で…俺の記憶のサウの面影が、その子にはあった…あったにはあったんだけど…
ニャアン『…』グラサン姿でかなりびくびくしてる
ジュン『だ…大丈夫か?なんかえらくびくびくしてるけど…』
ニャアン『こ、コンニチワオイソギデスカ』
ジュン『へ?』
ニャアン『あっ違うこれ裏の時の合言葉だった今回はいらないんだ…』
ジュン(…聞かなかった事にするか…)
子供『あ、あの、ハロの部品…』
ニャアン『あ、は、はいコレ』
ジュン『おう………?なんかこれ規格違くねぇか…?』
ニャアン『えっ』
子供『な、治らないの…?』
ジュン『あー…いや、対応電力は同じだし一回試してみるか…もしダメだったら俺がメモする部材もう一度持ってきてくれ。念の為姉ちゃんは待機……ええと、名前は?』
ニャアン『……ニャアン』
ジュン『…見た目に反してえらく可愛い名前だな…?』
…正直あの見た目であのかよわい感じは可愛いなコイツってなったよね。なんか久々に面白いものみた感じがしてさ、ついつい笑っちゃいそうになったんだけど…来てる制服が偽物だって分かって、笑えなかったんだ。ああ、この子も難民なんだ、運び屋として働いてるんだ、妹と同い年の子が、こんななんだって思ったら…なんか…辛くてさ…特に何も言わず、あの子と子供は、俺がハロ修理してるのを見守ってたっけ…
- 89二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:07:40
ジュン『…よし、後は電源を…っと』ぽちっ
ハロ『ナオッタデー!!』
少年『わ…な、治った!!ありがとうお兄さん!!あの、これ、お金…』
ジュン『…いらねーよ。代わりに今度は親呼んで金になる仕事でも寄越せや』
子供『う、うん!!』
…俺は何言ってるんだろうって、自分でも思ったよ。そんな事言ったらスペースノイドとの面倒な繋がりが出来るじゃねぇかって…でも、すぐに分かったんだ。その子供と、ニャアンが話しているのを見てさ。
子供『お姉ちゃんもありがとう!!僕の友達を助けてくれて!!』
ニャアン『あ…う、うん…良かったね…』
…嬉しそうな子供の笑顔と、はにかんで笑うニャアンの顔見てたらさ…ああ、こいつらもこの世界に生きてるんだ、全てが俺が憎む家族の仇なんかじゃなくて、スペースノイドだって1人1人の生き様があるんだって…当たり前の事に気付けたんだ。それを、ニャアンが気付かせてくれたんだ…本人にはそんなつもり、微塵もないんだろうけどさ。
ジュン『……ありがとな、ニャアン』
ニャアン『…?ええと、追加の部品は大丈夫って事?』
ジュン『おう…あっそうだ!!今回お世話になったからさ、お礼といっちゃなんだけど今度デートしない?飯奢るよ?』
ニャアン『デ…!?か、からかわないで…』
ジュン『えーダメ!?あ、でもそれはそれとしてまた部材の搬入とかお願いしたいからさ、そん時はよろしくな!!』
ニャアン『…それは、まぁ』
子供『お兄ちゃん、お姉ちゃんの事好きなの?』
ジュン『おう!!一目惚れって奴かな!!』
…よく言うよなぁ。
一目惚れなんかよりもずっと、
強く、深く、好きになったのにさ…
- 90二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:03:31
ジュン「…それからも、何かと理由作って部材を届けて貰うのを頼んだりしてさ。その度にデートに誘いまくって、何十回も誘ってようやく初めてのデートに行ける事になった時には俺全身打撲の車椅子状態だったからデートどころじゃなくて…あ、でも平和公園に行って一緒にブルキャノン眺めたのはなんかホッとしたなぁ」
サウ「…それ以降も、ニャアンさんとはずっと一緒にいたの?」
ジュン「いたいた、めっちゃいた!!一緒にボランティアしたり、MSで二人羽織したり、ハロ交換なんかもしたり…難民居住区でもデートしたり…それから………ああ……畜生……何だよ…何で今更…俺にはそんな資格ねぇのによ…」
俯いて涙を流すジュンの手に、サウは自分の掌を重ねて優しく問いかける。
サウ「…ねぇ、お兄ちゃん。きっと大丈夫だよ。お兄ちゃんが願ってる事に、きっと資格なんていらない。お兄ちゃんが心の底から願うようにした方が、伝えたい事を伝えた方が、きっといいよ」
ジュン「…そりゃあ…無理だ…今更俺の事なんて、あの子は…」
ジュン!!!!
ジュン「っ…!!」
…リビングの入り口の扉の向こうから、声が聞こえる…
サウ「……良かった…
やっと、聞こえたんだね。
お兄ちゃんを呼ぶ声、あの子の声が」
- 91二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:39:07
このテの精神世界の中で現実では死んだはずの家族と平和に過ごしてるのに俺は弱いぞー!
そして自分の居場所がここじゃないことに気づいて自分の意志で現実に戻ろうとするのにはもっと弱いぞー!!(某鬼滅とかでもかなりグサッと来た) - 92二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 07:36:56
良いよね、鬼滅の家族愛…
- 93二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 09:57:28
かりそめの世界にひびが入った…
- 94二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 12:11:33
- 95二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 15:58:12
フィンならまぁ妹託してもええか…?と悩むぐらいにはフィンの事信頼してるんだ…(ディルも信頼してるにはしてるんだろうけどこっちが妹の彼氏になったら多分三日間はゴネるかなんなら寝込む)
- 96二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 19:12:51
イズマ・コロニー中央病院
ジュンの元へその声が響く少し前…
看守「くそっ…やっぱり俺達が呼びかけても全然反応しねぇな…」
演歌「ちっくしょう…!!ちょっと待ってろ!!こうなったら修理中のザクのスピーカー持ってきて最大音量ぶちかましてやる!!」
シュウジ「それはやり過ぎ………あ」
シュウジが何かに気付いたように振り向くと、俯くニャアンの手を掴むマチュが病室に駆け込んできた。
マチュ「ごめんお待たせ!!連れてきたよ!!」
シュウジ「ん、流石マチュ」なでなで
マチュ「えへへー♪」
看守「お、おお、ニャアンちゃん!!」
演歌「だ…大丈夫なのか…?」
不安そうにする演歌達に対してニャアンはこくりと頷き、ジュンの枕元に座り、震える手でジュンの手を取り、ぽつぽつと呟く。
ニャアン「……やっぱり…ジュンは…最低だよ…私の事を妹さんの名前で呼んで…そんなの寝ぼけてたって取り繕えばいいのに言えなくて…私にあんな事言われたのに怒らないで自分を追い詰めて…挙げ句の果てにまた誰かの盾になって…!!!!」
ニャアンは、ぼろぼろと涙を流しながら叫ぶ
ニャアン「っ…私…貴方に何も話せてない!!
いつも思ってる事…ずっとずっと思ってた事、話せてない!!
なのに…なのに勝手にいなくならないでよ!!…戻って来てよ…
ジュン!!」
その叫びが響いたその時、今まで少しも動かなかったジュンの瞼がぴくりと動き…彼のいる世界のリビングの入り口からも、彼の元へその声が届く… - 97二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 19:14:01
- 98二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 19:28:08
ジュン「………」
呆然としながらリビングの扉を見つめるジュンを見て、サウは優しく声をかける。
サウ「ほら、お兄ちゃん。あの子が呼んでる…あんなに一生懸命呼んでる子を無視して家に篭ってたら、本当に怒られちゃうよ?」
ジュン「……でも…さ…」
サウ「ん?」
ジュン「俺…俺怖いんだよ…あの子といる日々が幸せで…幸せ過ぎて…皆んなを失った悲しみや憎しみが薄れてったら…皆んなの事を忘れていく事になるんじゃないかなって…皆んなに恨まれるんじゃないかって…そんな事になるなら…俺は…!!」
震えながら俯き涙を流すジュンの背中を、父はポンと叩く。
父「バッカだなぁ。どうして父さん達がジュンを恨むんだよ…ずっと、想っててくれたろ?」
母「その想いで貴方が苦しむなら、私達はその方が辛いわよ…もっと、今を生きる貴方自身を大切にして?貴方の隣の人を、想ってあげて?」
ジュン「父…さん…母さん…!!」
父「ほらバシッと気合い入れて行ってこい!!」
父に背中を押されて、ジュンはよろめきながらもリビングのドアの前に立ち、ドアノブに手をかける。
サウ「…私達は、まだここにいるから。だから、たまに思い出してくれればいい。今のお兄ちゃんの人生を、一生懸命に生きて」
ジュン「……ありがとな、サウ」
サウ「っ…お兄ちゃん!!」
サウの明るい叫び声を聞いてジュンが振り返ると、
そこには優しく微笑む父と母、そして、
幼い頃の…ジュンと最後に言葉を交わした頃の姿のサウが、涙を流しながらもジュンに笑顔を向けていた。
サウ「…行ってらっしゃい!!」
ジュン「っ…ああ…行ってきます」
ジュンは涙を拭い、満面の笑顔を返してから、ドアノブに手をかけ、外へと駆け出す…
- 99二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 19:39:21
イズマ・コロニー中央病院
ジュン「………ん…」
ニャアン「っ!!ジュ、ジュン…!?」
主治医「これは…!!」
ジュン「あー…へへっ…今度は間違いようがねぇや……ていうかさ…よくよく考えたらひでぇよニャアン。あんな夢見てる時にお兄ちゃん呼びされたらそりゃあついつい呼んじゃうっていうか…いやそういう呼び方もやぶさかではグェッ!!!?」
寝起き早々でへらへらと冗談を並べるジュンに向かって、ニャアンは泣きながら抱きつく。若干勢いが強過ぎて諸々の戦闘で満身創痍な彼には少々刺激が物理的に強かったのだが、そんな事気にも止めずにニャアンはジュンを強く強く抱き締める。
ジュン「にゃ、ニャアンさんギブギブ!!マジでタヒぬ!!も、もーちょいハグはソフトに…」
ニャアン「うるさい…!!人の…人の気も知らないで…!!」
ジュン「……ん、ごめんな……あれっ、なんでぇみんなもいたのか。よっ」
演歌「よっ…じゃねぇよ馬鹿野郎!!本気で心配かけさせやがってよぉ!!」半泣き
看守「全くしぶとい野郎だなぁおめぇは…」
マチュ「よ、良かったぁ…」
シュウジ「ん…一安心、だね……あ、そうだ、ねぇニャアン」肩トントン
ニャアン「…?」
シュウジ「今も色々あると思うけど、とりあえずジュン兄ちゃんに一言…これは、ニャアンが言った方がいいかなって」
ニャアン「………ジュン」
ジュン「ん?」
ニャアン「…おかえり」
ジュン「……おう、ただいま」
ジュンは、夢の世界と同じぐらいの満面の笑顔を浮かべて、答えた…
- 100二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:01:27
ジュンが目を覚ましてから数分後、彼は主治医と簡単な受け答えをして意識や体調への異常がないかなどの確認をした。
主治医「…信じられない、戦闘における肉体への僅かな負担以外全くもって正常だ。さっきまで全く目覚める気配が無かったのに…驚異的な生命力ですね…」
マチュ「生命力っていうか…」ちらっ
シュウジ「呼びかけが良かったんじゃないかな?」ちらっ
ニャアン「…何?」むすっとしながらもずっとジュンの隣にいる。
シュウマチュ「「別にー?」」
ジュン「たはは…あっ、そうだ皆んなちょっといいか?俺、ちょっとニャアンと2人きりで話したくてさ。少し外してくれない?」
主治医「い、いけませんよ。貴方は先程まで死の淵にいた状態なんです。暫く経過観察を…」
演歌「はいはいなんかあったら俺らがすぐ駆けつけるからよー、先生は俺らと向こうで茶でもしようや」がしっ
看守「ニャアンちゃんこれナースコールな、こっちは任せときな」がしっ
半ば無理矢理主治医を引っ張る形で一同は医務室を離れ、部屋にはジュンとニャアンだけが残る。
ニャアン「っ…あ、あの…あの、時は…」
ジュン「…正直さ。リリーの言う事に間違いはなかったよ」
ニャアン「っ…」
ジュン「俺は妹の…サウの姿を君に重ねて…戻って来ない妹の事を思い出していた。家族の事を忘れたくなくて…家族を忘れるのが怖くて…ずっとずっと、そうしてた」
ニャアン「………」
ジュン「…ただ、なぁ…思い返すとサウってニャアンより全然しっかりしてる子だったわ」
ニャアン「………へ?」
ジュン「おつかいで頼んだもの間違える事はないし、小さい頃から舞台でセリフ覚えられるぐらいにはハキハキしてるし、当然闇バイトなんかしてないし…なんかサウの方が間違いなくなんでも出来る子だったわ」
ニャアン「………12歳ぐらいの子より私が何も出来ないって言いたいの?」むすーっ
ジュン「いやだってニャアンは間違った商品持ってくるし気弱で人の影に隠れるし闇バイトもするし、真逆じゃん……でもさ、
俺はそんな妹と真逆の君が、大好きなんだ。
妹と似てるからじゃなくて、この宇宙の片隅で出会って一緒に過ごした君を、愛しているんだ。
だから…凄く怒らせちまったけど…傷つけちまったけど…まだ、君のそばにいたいんだ…」
- 101二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:16:33
…自身を真っ直ぐ見つめて想いを伝えるジュンの目を見て、ニャアンは俯いてから震える唇から言葉を紡いでいく。
ニャアン「……ジュンに…妹さんの名前で呼ばれた時…この人は私を見てないんだって思って…それが怖くて…逃げて…追いかけてくれた貴方に酷い事言った…」
ジュン「…おう」
ニャアン「本当に…本当に傷ついたんだよ…?自分でもなんであんなに酷い事が言えたんだろうって思えるぐらい…滅茶苦茶な事言ってた…本当になんであんなに傷ついたのか分からなくて…でも…またボロボロになって眠る貴方を見てて…分かったの…」
ジュン「…何が、分かったんだ?」
ニャアン「私…貴方の優しさに甘えてた…ずっと…ずっと私に気持ちをまっすぐぶつけてた貴方に対して…恥ずかしがったりして…ちゃんと想いを伝えてなかった…ニュータイプじゃないんだから…そんなの伝えなきゃ分かんないのに…」
ジュン「ニャアン…?」
ジュンが不思議そうに顔を覗き込もうとする前に、ニャアンはもう一度顔を上げて、真っ直ぐジュンを見つめて、はっきりと伝える。
ニャアン「…私…は…私は!!
貴方を、愛しています!!
この宇宙の片隅で私を見つけてくれた、貴方を…
だから…これからも…側にいて、欲しいです…」
これまでずっと、言葉にしていなかった、シンプルな感情を、ニャアンは泣きながら伝える。こんな事言う資格があるとは思えない、あんな酷い事言って何を今更、頭の中でぐるぐると渦巻く感情を抑えながら、ニャアンは叫んだ。
ジュン「……ニャアン」
ニャアン「な…に…?」
ジュン「……今…さ…
すっげぇ嬉しい…!!!!」
ニャアン「っ…!!!!」
同じように、泣きながら笑うジュンの笑顔を見た瞬間、ニャアンは再びジュンに抱きついた。やはり加減が出来ずジュンの身体には痛みが響くが、それ以上の幸せがジュンの心を満たしていた…
- 102二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:30:06
同刻、医務室前
ジュン(ハロ)「ジュンハブジカ!?ニャアンハブジカ!?」
ニャアン(ハロ)「シンパイ!シンパイ!」
シュウジ「ん、2人は大丈夫だよ」
マチュ「よくよく考えたらこの子らが2人の事伝えてくれたから私らも事情知れたんだよね。お手柄だよ、2人とも」
看守「どうでい演歌?2人は上手くやってそうか?」
演歌「あーちょい待て…くそっ見えねぇな…」
マチュ「そーゆー所あるから2人とも奥さんに色々言われるんじゃないですかー」ジト目
演歌「バッカお前こんな機会今しかねぇだろ!?」
看守「逆に嬢ちゃんは見たくないのかよ、2人がいー感じになってるところ」
マチュ「そりゃあ……見たい」
シュウジ「僕もちょっと見たい」
市長「いいですねぇ、私も見たいものです」
あっはっはっと笑う5人+ハロ2体
市長以外「「「「市長!!!?」」」」
市長「や、どうも。ジュン・ファンボイ君はここかな?」
演歌「は、はい。ついさっき目覚めて…おいファン坊見舞いだ!!市長が来られた!!」
ジュン「えー!?もうちょいイチャついてたいんだけどいてっ!!ごめんごめん叩かないで!!」
程なくして一同は市長を含め全員医務室の中で会合する事になった。
市長「やぁ、無事目を覚ましてくれて何よりだ…そして、まずは礼を言わないとね。君は二度もこのコロニーを守る為に身を挺してくれた。本当にありがとう」
ジュン「いやまぁ、一度目はほぼほぼニャアン守る為だったんですけどね、あはは…」
市長「……そんな君に、また一つ頼み事をしないと言えなくてね…いいかい、落ち着いて聞いてくれ」
ジュン「…?」
市長「…君が眠っている間に色々あってね…結論から言うと…
連邦軍とイズマ・コロニーの代表者同士でクランバトルをやる事になった。君にはイズマ・コロニー側で試合に出てもらう」
ジュン「本当に何があった!!!?」ニャアンの方向きながら叫ぶ
ニャアン「し、知らない知らない」本当に知らない
- 103二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:06:39
- 104二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:30:11
時刻は、ジュンが目覚める6時間前まで遡る…
イズマ・コロニー商業港前で発生した戦闘行為に関して、コロニー側の代表達と連邦側の代表達による緊急リモート会議は極めて白熱…というよりも、非常に危険な状態までヒートアップしていた。
イズマ幹部1「だから何度も言っているだろう!!最初の狙撃は何者かによって無人操作されたザクによるものだと!!」
連邦幹部1「その証拠となるザクは我々が破壊してしまったから提示出来ません?馬鹿馬鹿しい言い訳も大概にしたまえ!!」
イズマ幹部2「実際に破壊しただろうが!!ザクだけじゃない、コロニーの外壁にバカスカ風穴開けおって!!ファンボイ君とブルキャノンがいなければ今頃もっと被害が出ていたんだぞ!?」
連邦幹部2「よくもまぁ盗人猛々しい事をぬかす!!あれは元々連邦のものだ!!それを使った攻撃でこちらのMS隊にどれだけの被害が…!!」
中将「いい加減にしないか!!!!」
中将の鋭い怒声が響くと連邦だけでなくイズマ側の幹部達も思わず押し黙る。
中将「…我々がしなければならない事は、責任の追求ではない。この不慮の事態から生じたお互いの被害の復興の為の連携、そして互いに戦いの意思はない事を示す事にある。まずはコロニーに住む人々の心の平穏を取り戻す為に我々がここで手を取り合わねば、最悪の場合一年戦争の二の舞だ。そんな事は誰も望んでいない…市長殿、お見苦しいところをお見せして申し訳ない」
市長「いえ。寛大な処置に感謝致します」
指揮官「…お言葉ですが伯父上。戦争を望む者がいなくとも、手を取り合う事に納得している者は、伯父上とそちらの市長のみかと。このような上っ面だけの停戦協定など、意味がありません」
イズマ幹部A「な、何を言うか貴様!!」
指揮官「なら貴様はこの停戦協定に全て納得するのか?自分達の住処に風穴をあけた連邦の全てを許せると言うのか?」
イズマ幹部A「それ…は…」
指揮官「まぁ、こんなものですよ伯父上。なぁなぁの協定で取り繕っても綻びがいずれ出る…そうなる前に、いっそ決着をつけるというのもよいのでは?」
イズマ幹部B「貴様、またこのコロニーに弓を引くような真似を…」
士官長「あのぉ、いいですか?」
市長「…何かな?」
士官長「いやぁ、今日はアレやってないのかなと思って、ほら、名物でしょ?クランバトル」
- 105二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:33:52
- 106二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:40:52
市長「クランバトル…ですか?…流石に今日はやらないでしょうな、軍警察が外壁工事をしてる上に、今は連邦艦隊も周辺に滞在している。命知らずのジャンク屋達でもこんな日には…」
士官長「アレは中々シンプルでいいですよねぇ。頭をかち割った方が勝ち、割られたら負け。決闘…なんて言うと中世の古臭い貴族やら騎士みたいやらで馬鹿馬鹿しい気もしますが…しかし、それが逆にシンプルでいい。物事の決着をつけるという一点では、物凄くわかりやすい」
連邦幹部A「……いや、いやいや待て待て士官長!!流石にそれは極論じゃないか!?」
士官長「その通りこれは極論です…ですが、どうやったって我々の間には遺恨が残る。責任の取り方は長引けば長引くほど違いに恨み合い、いがみ合い、結局因縁は強くなる…ならもうスパッと1発でケリをつけるのもいいんじゃあないですか?勿論、勝ち負けの差はありますが…」
イズマ幹部B「し…しかし戦力の差がある!!そちらの最新鋭機体の性能はこの戦いで明らかになっている!!ブルキャノンが修理中の今では…」
士官長「勿論待ちますよ、修理されるまで…それから…
今そちらの市長様がお作りされてる新型が完成するまで、ね」
市長「…!!」
イズマ幹部A「し…新型?何の話だ?」
市長「…どこで、その話を?」
士官長「こんな仕事してますと、色々、ね」
中将「………どうだろう、市長。彼の提案は…」
市長「………」
- 107二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:55:59
回想終わり
マチュ「………で…結局…」
シュウジ「その提案を、受けちゃったと」
市長「いやぁ、あはは…」
演歌「あははじゃないっすよ市長!?」
看守「負けた方が損害賠償負担のクラバかぁ…しかも連邦の奴らとんでもねぇオマケの条件つけやがって…」
ニャアン「…もし、こっちが負けたら…」
ジュン「…現在拘束中の統一機構のスパイどもを釈放かぁ…あー、金だけならともかく確かにそれはマズいな…」
市長「彼らは既にこちらのコロニーの機密情報をいくつか盗み出している。それを持たれたまま向こうに帰られると非常に困るんだよね…」
演歌「つーかちょっと待ってください!!新型!?俺らそんな話聞いてないんですが!?しかも軍警察本庁の地下で使ってたんっすか!?」
市長「なんやかんやあそこの地下が1番整備しやすくて…」
ニャアン「…ジュン、この話知ってた?」
ジュン「いやそれに関しては全く…」
市長「…ジュン・ファンボイ。重ね重ねで申し訳ないが…もう一度、このコロニーを助けてくれないか?」
ジュン「そりゃあ…絶賛服役中ですし…それに…この子がいるこのコロニーの存続に関わるような事なら、全力で挑みますよ、俺は」
ニャアン「で…でも…大丈夫なの?だってジュンがブルキャノンで戦っても勝てないような相手なんだよね…?」
ジュン「その辺はほら、俺がメッチャ頑張って…」
ニャアン「それでまた無茶して大怪我したら…本当に怒るよ」
ジュン「う…うーん…せめて例の強化案が通ればなぁ…」
ニャアン「…?強化案?」
市長「ああ、あれね。
既に君のハロから貰ったデータを組み込んで完成してるよ。現在修理中のブルキャノンに組み込み中さ」
ジュン「仕事早っ!!!!」
ニャアン「…???」
- 108二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:57:38
最初は指揮官や中将への妬みなどで研究に明け暮れる陰気な技術者の予定でしたが書いてるうちにまぁまぁメンタル強者になりました、そもそも読心してくるリリーの装備調整出来るのでまぁだいぶハート強め
- 109二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 23:15:44
何気に(恐らく)これまでずっと想いを伝えなかったニャアンが想いを声に出して伝えたので2人にとってかなり大きな転機かもしれない…
- 110二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 06:17:26
この宇宙世紀もこういう流れもの?な感じの特殊装備とか色々流通してそうだな…なんならジュン兄もジャンク屋やってる時に変な装備とか流れ着いたりしてそう
- 111二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 08:18:48
イズマ・コロニーと連邦による組織内代表にのるクランバトルで一連の事態の賠償責任の決着を決めるという異例の采配は瞬く間にサイド6内に広がり、そこに住まう人々を驚かせた。あまりにも政策として思考放棄が過ぎると憤る者といれば逆に思い切って決着をつけるにはいいかもしれないと賛成する者もおり、世論は大きく揺れ動いており、また、イズマ・コロニー側の代表の1人が元連邦軍のジュン・ファンボイであるという事にも賛否両論の意見が見られた。
そして、そんな意見の数々はコロニー内でリリー達の足取りを探っていたエグザベ達の耳にもすぐに届き、無線を通してサイド6宙域端に待機するソドンへの連絡によってシャリアの耳にも届いていた。
シャリア「…そうですか。そんな事が…」
ラシット「中佐の感が当たりましたね。『例の件』での協力要請の為に昨日あのままイズマ・コロニーに立ち寄っていたら、巻き込まれていたところです…そうなっていたら余計ややこしい事に…」
エグザベ「…自分の責任です。もっと早く連邦軍のスパイの足取りをつかめていれば、こんな事には…」
シャリア「あまり自分を責め過ぎないように。君の悪い癖ですよ?」
コモリ「…もしもこのクランバトルでイズマ・コロニー側が敗北した場合は現在軍警察で拘束中の統一機構のスパイが解放されます。そうなるとジオンにとっても危険な情報が連邦側に流れる事になってしまう…私達からも、イズマ・コロニーに協力要請をした方が良いのでは…?」
ラシット「それが後でバレたら尚のこと厄介な事になる。無闇に干渉は出来ん」
エグザベ「しかし、相手はあのファンボイ君…いえ、ブルキャノンを撃ち破る程の機体を所持しています!!ジオンが関われない以上ジークアクスも赤いガンダムも貸し出せない…せめてパイロットだけでも…!!」
シャリア「大丈夫です、きっと今の彼なら負けませんよ」
コモリ「それも…勘、ですか?」
シャリア「ええ、そんなところです」
エグザベ「しかし、彼が大丈夫でもマヴ戦になる以上…!!」
シャリア「ああ、少し言い間違いました。
彼らならきっと、
大丈夫ですよ」 - 112二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 08:34:41
同刻、連邦旗艦の一室
士官長「…如何でしたか中将閣下?正直私自身は一端の技術屋ですので、腹芸への自信などからっきしなのですが」
中将「…充分だったよ。ブルキャノンⅡの性能試験戦闘の取り付けの手並み、見事だった。
これで、狙撃による偽装工作の件は不問にしよう。ただし…二度とあのような真似はしないように」
士官長「……しかし、分かりませんな。あの戦いにおけるブルキャノンⅡの戦績のどこに不満があったのですか?完璧な勝利をお見せした筈ですが…」
中将「不満ではないさ。個人的につまらんと思う事が3つあっただけの事…まず1つ。αタイプ…アレにはサイコミュ兵装が装備されているね?」
士官長「ええ、彼女の素質には目を見張るものがありましたから。使える素質を有効活用するのは当然の話です」
中将「無論そうだ。だが本来ブルキャノンはサイコミュ無しでそれらの機体に立ち向かう為に作り出されたMSだ。本来の理念からかけ離れている」
士官長「理念では敵など撃てませんよ」
中将「2つ。βタイプの方だが、あの機体の特殊装備の数々は完全に対フルアーマー戦闘用の装備だった…まるで、初めからブルキャノンを倒す為だけに作られたような装備だったね」
士官長「…αタイプの支援を考えた結果そういう装備になっただけの話です」
中将「そこが3つ目だよ。あの2機は2機一組が前提の戦闘スタイルをとるが…あれでは全くもってジオンのマヴ戦術の真似事だ。それなのに対戦相手はブルキャノン単騎…2対2前提のマヴ戦術を、果たして完璧に活かせたというのかね?」
士官長「…成る程、それで態々クランバトルという形で再戦を…しかし宜しいのですか?それでは今度はブルキャノンどころかサイド6の最新型まで破壊してしまう事になると思いますが?」
中将「どうかな?
私が騎士に選んだ男を、甘く見ない方がいい」
士官長「………」
- 113二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 10:47:16
同刻、軍警察本庁エレベーター内
ジュン「…刑務の為に出所後も何度か本庁には顔出してたけど…まさかこんな地下行き専用のエレベーターがあるとはなぁ」
演歌「俺も初めて知ったわ…めっちゃ長いなこのエレベーター…」
看守「以前ベインさん取り調べた時に地下とかなんとか言ってたのはこれの事だったのか…」
市長「以前統一機構の事件の時にも地下からブルキャノンの武装を渡しただろう?新型とブルキャノンの強化改修は限られた関係者のみで管理されたこの地下ガレージで行っていてね。一般の整備用トンネルにも繋がっているから場合によっては地上から部材を渡すよりも早いのさ」
ジュン「なーる、通りであの時の手配が早かった訳だ。アラガさん達も地下に部品が届くのがやたら早かったって驚いてたっけ」
ニャアン「ジュン、もう身体は平気なの…?どこか痛くない…?」
ジュン「おう、元気元気!!」
マチュ「あのー…私らもついてきちゃって大丈夫でしたか?」
シュウジ「一応ジオン所属なんだけど、地下の諸々って見ちゃって平気そう?」
市長「ジオンそのものはともかく、ソドン所属の君達には何かとお世話になってるからね、サービスさ……それよりも、ジュン・ファンボイ。君の方こそ本当に大丈夫かい?」
ジュン「いや、ニャアンにも言いましたけど怪我の方はもうすっかり平気ですって」
市長「そうじゃない。鹵獲したブルキャノンならばともかく、今回強化改修した新たなブルキャノンは、明確にイズマ・コロニーのMSだ。頼んでおいてなんだが、それに乗って連邦と戦うとなるといくら刑務とは言えより一層裏切り者として連邦の者達は君を指差すかもしれない…そうなれば、下手をしたら本当に地球に二度と帰る事は…」
ジュン「裏切り者呼ばわりはもう慣れたもんですよ。それに…帰れなくたって、地球での記憶が…家族との記憶がなくなる訳じゃない。それを手放さず、今守りたいものを守りますよ、俺は」
ニャアン「……」
市長「……うん、中将との会合の話を持ってきた時に見えた迷いはもうないみたいだね。安心したよ」
ジュン「あれっあの時の事バレてた!?たははっ恥ずかしー」
市長「伊達に歳を取ってる訳じゃないからね…うん、今の君になら託せるよ。
このコロニーを守る為の、新たな盾を」
エレベーターの扉が開くと、そこには強化改修を施されて主人を待つ青いガンダムの姿があった…
- 114二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 11:12:06
地下ガレージに佇むブルキャノンの姿は、遠目に見ると然程変化があるようには感じられなかった。これまで通りの青と白を基調とした重装甲に凶悪さとヒロイックさを兼ね備えたガンダムフェイスは健在だ。
しかし、装甲の細かい部分が元々のものに比べて少し流線的になっており、加速における抵抗を減らす為の工夫が施されているとジュンには分かった。
そして、目に見えて大きな変化は2つ。
1つは左腕に携えるヘヴィシールドの武装が大きく変化している。内蔵火器は二連装バズーカは軽量かつ弾速の速い二連装カノン砲に変更され、フレームエッジの切先の反対側には小型のジェットブースターが取り付けられている。
そしてもう1つの変化は背中のブースターだ。ブースターも装甲同様に流線的なデザインになり、両肩のキャノン砲と連結するような機構が施されている。
マチュ「わぁ…すっごい強そう!!」
シュウジ「これが…新しいブルキャノン…」
市長「基礎フレームは無事だったが、装甲も痛んでいたからそこも治してあるよ。近接戦闘に秀でた君により適した形にね…どうかな、ジュン。君の目から見て今のブルキャノンは」
ジュン「…最高ですよ。これに乗って負ける方が嘘だろってぐらい、完璧です…あの、今のこいつって、正式な名前ってあるんですか?」
市長「名前?…いや、あくまでブルキャノンの強化改修案として作った武装だから、強いて言うなら改修型としか…」
ジュン「なら、俺につけさせて下さい。こいつの名前は…
ブラウリッター。
ブルキャノン・ブラウリッターが、いいです」
演歌「ブラウリッターって…お前それ連邦時代のオメェの仇名じゃねぇか!?」
看守「……いいのか?」
ジュン「ああ、この名前がいいんだ。地球での思い出も、家族の記憶も、連邦での怒りも、最愛の人を守りたいのも、全部俺だから。全部ひっくるめて、俺は俺でありたいから。だから、こいつに乗ってる時は、蒼い騎士だった俺を忘れないようにしたいから…いいですかね、市長」
市長「…ブルキャノン・ブラウリッター。いい名前じゃないか」
市長の許可を得て、ジュンは満足そうに新たな装いとなった相棒の顔を見上げて笑う…
- 115二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:31:24
プチ余談
Q、ブラウリッターの強化修繕いくらなんでも早過ぎないか?
A、実はそもそも市長が既に装甲、武装、ブースターは作っており、後はジュンが見直しした近接戦闘の為に最適化した関節可動補助さえ組み込めばいつでもブラウリッター状態に出来る状態でした。
ジュンがリリーから言われたことを忘れようと必死の徹夜作業で完成したデータをジュン(ハロ)がデータを送っており、丁度ブルキャノンが負傷した状態で戻ってきたのでもう修理ついでにやってしまおう!!のノリで完成したのがこちらの機体なのです
ニャアン「……そーゆー事も報告欲しかったんだけど…強化改修の工事とかで事故とか何かあったらどうするの」ジト目
ジュン「すいません山よりも高く海よりも深く反省してます」土下座 - 116二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 14:24:30
- 117二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 14:58:47
- 118二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 15:06:29
- 119二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:09:15
軍警察本庁地下ガレージ
ブルキャノン・ブラウリッター。
新たなる力と名を手に入れた相棒との対面に嬉しそうな笑みを浮かべるジュンだったが、その隣でニャアンがあっと声をあげる。
ニャアン「あ、あの、市長さん。ブルキャノンが治ったのはともかく…やるのってクラバなんですよね…?」
演歌「あっ、そうだそうだ!!まずブルキャノンとファン坊が出るとして…その相方になる新型ってのは…というか、新型のパイロットは一体誰が!?」
市長「ああ、新型そのものに関してはほら、ブルキャノンの隣にいるよ」
市長が合図すると、ブルキャノンの隣の格納箇所に明かりが灯り、そこに佇む新型の姿を晒す。目を凝らす看守は暫くその機体を眺めてから思わず驚嘆の声をあげる
看守「ガンダムタイプ…っていうか…この形…ジークアクスか!?」
シュウジ「…いや、違う。ジークアクスじゃない」
看守が見間違えるように、形状そのものはジークアクスに類似している部分が多かったが、カラーリングは黒と紫を基調としており、よくよく見るとジークアクスよりも装甲が一際細く容赦容赦が丸みを帯びており、より身軽そうな印象を与える。左腰に取り付けられた細身の刀身のヒート機構の剣…ヒートシミターしか武装が見られない事も、その機体が軽量型なのだと印象付ける要素になっているようだ。
そして何よりも特徴的なのは、背中のスラスターに左右2枚ずつ、腰に4枚ずつ取り付けられた縦に長い六角形の水晶のような刃を持ち中央に黒いブースターのようなものが取り付けられた奇妙な形状の板が取り付けられている点にあるだろう。
マチュ「…綺麗…」
マチュが思わず呟いた言葉が、そのMSを見た者達が真っ先に思った事を代弁していた。特に同じMSでありながら隣に並ぶブルキャノンの重厚かつヒロイックな印象と比べると美麗かつ女性的なその機体はまさに真逆の存在であると感じるだろう。
ジュン「こいつが…イズマ・コロニーのガンダム…」
市長「その通り。とは言ってもフレームと装甲構造はこのコロニー内で1番戦闘データが多く取れたジークアクスを参考にさせて貰ったから形状はそちらに極めて似てるけれどね」
シュウジ「あー…ジオン公認になるまで結構戦ったもんね。軍警ザク」
マチュ「あはは…なんかすいません…」
ジュン「それで…こいつのパイロットは?」
市長「…うん…そこが1番の問題なんだよ」
ニャアン「…?」 - 120二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:10:01
市長「このガンダムは、とあるたった一つの目的の為の能力を極限まで高める事を目的として作られたんだ」
ジュン「目的…というのは?」
市長「それは…ブルキャノン…いや、ブルキャノン・ブラウリッターに乗ったジュン・ファンボイの支援活動だ。この機体の能力の全てはその為だけに備え付けられたものだと言っても過言ではない」
看守「…えらくピンポイントな能力だな…」
演歌「なんでまた、そんな支援特化みたいな機体を…?」
市長「必要だと思ったからだよ。ブルキャノンは改修前から一騎当千の力を誇るが…それでも乗り手が人間であり、ブルキャノンが平気である以上、1人では限界がある。その限界を補う為の措置が必要だと判断して、君が服役する事になってからこまめにデータを集めつつ機体構築に着手し始めた」
ニャアン「そんな前から…」
市長「ただ、支援特化を極める為にとある一つの問題が生じた。この機体には機体そのものと専用兵装を操る為に極めて特殊な擬似サイコミュコントロールを採用していてね」
ジュン「擬似サイコミュって…指揮官のエル・サルバトーレにも使ってた…」
市長「そう、元としたのはまさにそのシステムだ。それを構築する補助AIを『ブルキャノンに乗るジュン・ファンボイの補助』を最優先目的にする事で本来不可能な専用兵装のコントロールも可能にした…はずだったんだが…」
ニャアン「…だが…?」
市長「…あまりにも特殊な最優先目的を遂行する為に、補助機能でありながらパイロットに特殊な適性を求めるようになってしまったんだ。適性が一定以下だと兵装どころか本体も機能しない…」
マチュ「えぇ…なんかダメなところもジークアクスみたい…」
シュウジ「このガンダムを起動出来た人は、軍警の中にいるの?」
市長「いない。何せ軍警察のMSパイロット達の適正値の平均値は25%を下回る有様だ。ニュータイプの君達ですら40%で最低限の起動が出来る程度…
そんな中でたった1人、適合率98.9%という驚異的な数値を叩き出した人物がいた」
ジュン「っ!?誰なんですかそいつは!?」
市長「……
今、君の隣にいるよ」
ニャアン「………え…?」
その場にいる全員が、誰よりも驚いているニャアンを見て絶句する…
- 121二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:11:51
- 122二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:15:16
この直後絶叫が響きそう…
- 123二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:47:57
赤いガンダムよりもゼクノヴァ起こしそうな見た目してない?この新ガンダム
- 124二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 19:04:12
演歌「…待て…待て待て待て待て市長さんよ!!まさか…ニャアンちゃんが!?嘘だろ!?」
看守「いや…仮にそうだったとしてもいつ適合率の検査なんて…」
ニャアン「……もしかして…以前本庁に行った時にやった身体測定と一緒にやったやつ…?」
市長「それは第二試験だね。第一試験でも君は高い適性を発揮していたよ」
マチュ「え、2回も試験してたの!?いつ!?」
シュウジ「…もしかして…この前のプチモビの大会?」
市長「その通り。席の前後で測れる適正値が異なるから、2度測らせて貰う必要があってね。どちらの試験でも君とこの新型の相性は抜群だと証明されたよ」
ジュン「ま…待って下さい!!そりゃあ、俺は元々連邦軍のMSパイロットです!!刑務でもあるしMSに乗って戦う事に迷いはありません!!でも、この子は!!」
ニャアン「市長さん。
この子と一緒なら、ジュンの助けになれますか?」
市長「…ああ、ブルキャノンと肩を並べて戦う事において、この機体の右に出るものはないと約束出来るよ」
ジュン「ばっ…馬鹿野郎何考えたんだ!!!!」
ジュンはこれまでにない剣幕でニャアンの肩を掴んで怒鳴る。
ジュン「プチモビで瓦礫撤去するのとは訳が違うんだぞ!?MSでやるのは…下手をしたら命のやり取りだ!!ニャアン自身まともな奴がやる事じゃないって言ってたじゃねぇか!!戦いだって怖いだろ!?」
ニャアン「怖いよ!!今だってまともな事なんて思ってない!!…だから…いつも本当に怖いんだよ…?ジュンがブルキャノンに乗って飛んで行くのを見ると…いつもいつも…本当に帰ってきてくれるのか不安で…」
ハッとしてジュンは思わずニャアンの肩から手を離すが、ニャアンはその手をとってジュンを見つめる。
ニャアン「…だから…私にも貴方を守らせて…?出来る事なら…その上で私を守って。そうしてくれれば、きっと怖くないなら…」
ジュン「………」
強い意志の籠ったニャアンの瞳を見て、ジュンは思わず押し黙り、一同は固唾を飲んでジュンの答えを待つ…
- 125二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 19:23:26
震える手で自身の手を取るニャアンと目を合わせるジュンは、ぽつぽつと呟く。
ジュン「…MS戦はな、素人がやる事じゃねぇ」
ニャアン「…うん」
ジュン「それがクラバに出て連邦最新鋭機体とやり合うなんて…正気の沙汰を疑う極みだ。どこぞの大馬鹿ニュータイプだって、もうちょいマシな条件で初クラバしてたしな」
ニャアン「…分かってる」
ジュン「……それでもやるってんなら!!戦闘中は絶対に俺の指示に従え!!少しでも指示を無視したら……えぇと…めっちゃ怒るからな!?」
ニャアン「っ…!!うん!!」
演歌「…あーあー…根負けしちまったかぁ…」
看守「こりゃあ将来一生逆らえねぇダメ男待ったなしだな…というかなんだよめっちゃ怒るって。もっとキツい脅しかけとけよ」
ジュン「いやだってこれ以上の脅しなくない?」
マチュ「っていうかちょっと待って!?大馬鹿ニュータイプって私!?」
ニャアン「それは正直妥当だと思う」
市長「……すまないね。こんな事を頼んでしまって」
ジュン「…市長…本当にこのガンダムになら、ニャアンの命を託していいんですね?中途半端なもんだったら…俺はアンタの命を奪いかねない」
市長「ああ、それは保証する。私の命にかけてね」
ジュン「…そこまで言われたら…なんも言えないなぁ…わっかりましたよ!!信じます!!恩赦ついでに報酬弾んで下さいね!?」
ニャアン「…あの、この子の名前は?」
市長「うん?あー…実はこっちもまだ決めてなくて…なにせ機密中の機密である新型だからね。下手に名前残しておくとデータ盗まれた時に検索かけ易くなったりするから…」
シュウジ「なら、ニャアンが決めたら?」
ニャアンは暫く悩む様子を見せるが、やがて決心したように頷いて呟く。
ニャアン「…決めた。この子の名前。
オイランゼン…ガンダム・オイランゼン」
ジュン「オイランゼン…?」
ニャアン「小さい頃に教えて貰った、私の祖先の暮らした国の言葉で…『隣人』って、意味」
市長「…そうか…君は、隣で戦ってくれるんだね。君にとっての隣人と共に」
頷くニャアンに応えるように、照明の光を受けて名を与えられた新型…ガンダム・オイランゼンの瞳は優しく輝いた…
- 126二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 20:48:54
二人で「戦う」刻が来たか…
- 127二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 20:51:44
市長「…さて、パイロットとして戦う事を決めて貰ったからにはニャアンちゃんにはこの新型…ガンダム・オイランゼンの操作方法を、ファンボイ君にはオイランゼンとブルキャノンの連携パターンの基礎を叩き込んで貰おう。
何せ本番のクランバトルは3日後に控えているからね」
ニャアン「はい!!………み、3日後!?」
ジュン「いくら何でも早過ぎませんか!?ニャアンが今出来るのってプチモビの操作とMSの片腕動かすぐらいですよ!?」
市長「いやぁ…中将さんは準備が出来るまで待つって言ってくれたんだけど、他の幹部さん達がそんな悠長に待ってたら艦内の物資が尽きるわ!!って文句言いまくったらしくて…限界まで粘って3日になったらしいんだよね…」
看守「まぁここから地球まで行ったり来たりするのもタダじゃねぇからなぁ…」
演歌「それにしたって3日で戦えるまで鍛えないといけないのはキツくないか!?」
マチュ「そう?3日もあればある程度はいけると思うけど…」
シュウジ「うん、僕もそう思う」
ジュン「オメーらは特殊過ぎんだよ……いや、いっそこの直感コンビどもに頼るか…マチュ、シュウジ。オメーらニャアンにMS操作の基礎叩き込んでくれねぇか?擬似サイコミュ操作の機体なら、サイコミュ操作と感覚は似てる筈だからな。俺はその間に連携パターンを頭に叩き込むからよ」
マチュ「任せて!!絶対勝たせるからさ!!ね、シュウジ……シュウジ?」
シュウジ「…このガンダムは…無口だね」
マチュ「へー、珍しいね」
演歌「フツー喋らんのよ、MSは」
看守「本当に大丈夫なんだろうな…って、俺達は信じるしかねぇか…」
市長「少しでも情報漏洩は避けたい。訓練はコクピット内のシュミレートでやってもらう事になる…イズマ・コロニーの未来は君に託された、しっかり頼むよ」
ニャアン「は、はい」かちこち
ジュン「おー?びびってるー?」
ニャアン「びびってない!!」
かくして、急遽新型MS…ガンダム・オイランゼンのパイロットとなったニャアンは3日後に控えたクランバトルの為に急遽特訓をする事になるのであった…
- 128二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 20:55:18
身を挺して守ったり、傷付いた身体を補ったりはしてきたけれど、文字通りに隣に並んで戦うのはこれが初めてかもしれない…
- 129二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:27:15
かくして、3日後に控えたクランバトルに備えてニャアンは急遽地下ガレージに佇むガンダム・オイランゼンに内蔵されたシュミレーションシステムを使ってサイコミュ操作の先達であるマチュとニャアンからMS操作方法を叩き込まれる事になった…の、だが…
マチュ「ちーがーうって!!そこはグッと行ってあとはもうズバーンと決めるの!!」
ニャアン「そ、そんな曖昧な指示じゃ分からない…!!」
シュウジ「ニャアン、もっとガンダムの声を聞こう。君がコクピットに乗ってる間はその子も少し話してくれるみたいだし」
ニャアン「皆んなが皆んなガンダムの声なんて聞ける訳…!!……あ、撃墜された…」
マチュ「あちゃー…」
シュウジ「ニャアン、ダメだよ。もっとマチュの話聞かないと…」
ニャアン「私!?今の私に問題があったの!?」
コクピットを解放した状態で乗り込みシュミレートするニャアンは左右からかなり抽象的な事しか言ってこないマチュとシュウジに振り回されてシュミレートどころではなかった。
市長「うーーーむ…これはイズマ・コロニー託すのちょっと無謀だったかな…」遠い目
看守「匙投げんといて下さいよ!!…いやまぁ気持ちは分かりますが…」遠い目
演歌「しょうがねぇなぁ…とりあえずは基本的な機動から回避運動だろ?ほれ、ニャアンちゃんちょいと見せてみ。サイコミュは無理にしても基礎的な操作の説明だけなら俺が…」
と、言って演歌が近付き、オイランゼンのレバーを握った途端、
まるで高圧電流でも受けたかのような激痛が演歌の身体中を貫き、痛みのあまり演歌は吹っ飛んで整備用の高台から危うく落ちそうなる。
演歌「いっでぇ!!!?何何何!!!?」
市長「あ、言い忘れてたけどその機体の擬似サイコミュは適合率の高いパイロットが乗っている状態で他の者が操縦しようとすると乗り手の精神バイタルにリンクして操縦を奪おうとするものの五感にダメージを与える機能があるから気をつけてね」
演歌「先に言えすっとこどっこい!!!!危うく高台から落ちて労災貰う所でしたよ!?」
マチュ「あー…だからなんか体が痺れてたんだ…」しびび
シュウジ「ねー」しびびび
看守「オメェらはニュータイプだから耐性があるのね…」
- 130二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:29:12
- 131二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:32:12
セキュリティ殺意高すぎません?
- 132二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:37:19
ジュン「おーい、何賑やかなことしてんだよ皆んな」
ニャアン「あ、ジュン…2人の教え方がその…酷くて…」
ジュン「あー…成る程(察し)」
マチュ「酷い!!こんなにも身を粉にして教えてるのに!!」嘘泣きしつつシュウジに抱きつき
シュウジ「よしよし」なでなで
ジュン「しょーがねーなー…どれ、俺も連携の内容履修にひと段落ついたし操作教えてやるよ、貸してみ?」
演歌「あっ、おい馬鹿!!そんな不用意に触れたら!!」
ジュンは演歌の叫びに気付かずレバーに触れる…
が、特に何ともない様子でレバーを操作してシュミレートをニャアンに教え始める。
ジュン「あー、やっぱガンダムタイプだけど…サイコミュ無しのジークアクスに操作感は似てんのか?ブルキャノンとは雰囲気違うな…」
ニャアン「あ…あれ…?ジュン、何ともないの?」
ジュン「へ?いや、特に…寧ろ何が?」
看守「…市長…これは?」
市長「あー…成る程…このセキュリティはあくまでニャアンちゃんの精神バイタルにリンクして作用するものだから…
ニャアンちゃんが心の底から全部許してる相手だと全く機能しない訳か」
ジュンニャアン以外「「「…へー」」」にやにや
ニャアン「〜っ!!!!」
ジュン「へ?ど、どうしたニャアンうおっ何々!?」ニャアンに腕掴まれてコクピットに引き摺り込まれそのままコクピット閉じられた。
シュウジ「あっ引きこもった」
マチュ「ごめんごめんからかい過ぎたって!!ねぇ開けててて外からも痺れががが」しびびび
市長「いやぁ…青いねぇ…」にこにこ
- 133二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 22:38:50
- 134二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 06:38:42
- 135二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 07:10:13
ナントカは盲目・・・ってなw
- 136二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 07:37:03
各々のホワイトデーも描写したいところ…!!
- 137二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 13:34:10
- 138二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:16:21
- 139二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:37:21
軍警察本庁地下ガレージ
ニャアンがシュミレートによる訓練を初めてから既に半日程の時間が経過し、外の景色は既に人口の夕焼けで彩られている。結局は唯一ニャアンの精神バイタルに連動したセキュリティをすり抜けられるジュンがつきっきりで教える事になっていた。
ニャアン「う…飛び回りながら剣を振ったり攻撃をいなしたりするの難しい…」もたつきながらも結構基本的な機動と回避は出来るようになった
ジュン「そんな難しく考える事ないって。どんなに動き回ってても剣を振るうのは攻撃と防御の時だけだから基本的には移動と回避に専念、ある程度の間合いに入ってから武器を降ることを考えればいい。ほら、この前2人乗りした時盾を構えたみたいにさ」ニャアンの横で指示してる
ニャアン「…こう?」
ジュン「そうそう!!しっかり出来てるぜ!!」
マチュ「…なーんか…私達が教える時より素直に聞いてない…?」じとーっ
ニャアン「だってマチュ達と違ってちゃんと口で説明してくれるし…」
シュウジ「失敬な。ちゃんとアドバイスしたよ」
演歌「ガンダムの声を聞けはフツーのアドバイスじゃねぇのよ」
看守「3日でどれだけ出来るようになるか分からんが…この様子ならジュンだけで大丈夫そうじゃねぇか?」
ジュン「あー…いや、こいつの特殊兵装に関しては正直俺じゃ教えられる事がねぇ。マチュ、シュウジ。それに関しては本当にお前達からアドバイスを頼むよ。多分明日からになるけどな」
シュウジ「ん、分かった」
マチュ「でも今日は教えられる事なしかー…じゃ、あとはお二人でごゆっくりー」にまにま
ニャアン「い、言い方!!」
にやにやしつつマチュ達はエレベーターに乗って上の階へ戻る…が…扉が開くと…
そこにはカメラとマイクを構えた大量のジャーナリスト達が待ち構えて一斉にドア前まで詰め寄ってきた。
アナウンサー1「すいませんサイド6ニュースの者です!!皆さんは今回のクランバトルに関係している方々ですか!?」
アナウンサー2「新型MSがこの地下にあるという噂は本当なのでしょうか!?」
アナウンサー3「ジュン・ファンボイ氏もこの地下にいるという噂が!!」
マチュ「あー…えーと…ノーコメントで!!」閉じるボタンぽちっ
再び地下
ジュン「…あれ?お前ら帰ったんじゃないの?」
マチュ「出れる状態じゃなかったー…」ぐでー - 140二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:49:22
市長「いやぁ面目ない…どこから漏れたのか既にこちら側からの代表がファンボイ君のブルキャノンとイズマ・コロニーの新型MSだと噂されててね…なんならここで開発研究してる事もマスコミに知れ渡っちゃったみたい、たはは」
演歌「たははじゃないですよ市長!!」
看守「…連邦の奴らがこっちの邪魔の為に情報リークした…とかですかね…」
市長「まー、知られちゃったものは仕方ないさ。幸い機体の能力までは知れ渡ってないみたいだけれどうっかりここにいる誰かが付けられたりパイロットの2人に何かあったら困るから、君らは暫くここに泊まってもらう形でよろしくね。奥に居住エリアがあるから、後、アマテさんの方はお母さんに事情説明してるから大丈夫だよ」
マチュ「………そうですか」むすーっ
ニャアン「…お母さんには彼氏の家に泊まるって言おうと思ってた、って顔してる」呆れ顔
ジュン「ブレねぇなぁお前は…」
シュウジ「…お腹すいた…」ぐううう
市長「そう言うと思ってほら、看守さんの奥さんからおにぎり沢山用意して貰ったよ」
看守「あいついつの間に…」
一同は2体のガンダムの足元で輪になっておにぎりを頬張る。
ジュン「しかしアレだな、俺もブルキャノンもマスコミに追われて有名人だ、あっはっは」
ニャアン「笑い事じゃないよもう…」
市長「市民達の多くは君の貢献を信頼しているけれど…中にはやはり元連邦軍人である君を疑う者達もいる。特にジャーナリストの方々は今回の件で特に君を訝しんでいる…すまないね」
ジュン「いいですって。軍人なんて憎まれてナンボですから。これがフツーです…というか…」
シュウジ「むぐむぐむぐむぐ」
マチュ「もー、急いで食べ過ぎだよ」
ジュン「…俺の周りの軍人…というか軍属が変なやつばっかですから…フツーの対応されると逆に落ち着くというか…」
ニャアン「変な感覚麻痺の仕方してる…」
- 141二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 20:37:24
その日の夜
皆が居住区で寝静まった頃、ジュンがブルキャノンのコクピット内で新装備の操作方法の再確認をしていると、コンコンと控えめなノックでコクピットを叩かれた事に気付く。
ジュン「…?」
ジュンがコクピットを開くと、ニャアンが少し呆れた様子でこちらを見ていた。
ニャアン「…やっぱりここにいた。もう夜中だよ?」
ジュン「いやぁ…改修されたこいつを見てたらテンション上がっちまってつい…」
ニャアン「……また寝不足になって私の事妹さんの名前で呼んだりしたら傷付いちゃうなー」棒読み
ジュン「オォイそれはシャレにならんって分かった分かったすぐ寝るよ!!」慌ててコクピットから飛び降りる。
ニャアン「…」
ニャアンは飛び降りて来たジュンの服の裾をつまみ、彼を引き寄せる。
ジュン「…ニャアン?」
ニャアン「ちょっと、こっち座って」
ジュンは戸惑いながらもニャアンに引っ張られるがままにブルキャノンの足元まで降り、2人でその足甲に腰掛ける。
ジュン「どしたよ?」
ニャアン「…寝付けなくて、ちょっとお話したい。寝不足にならない程度に」
ジュン「あはは、そゆことね。いいぜ、何話そうか?」
ニャアン「…じゃあ…
昔のジュンの話を聞きたい。それから、リリーさんの話も」
ジュン「…リリーの、話を?」
ニャアン「…対戦相手の1人、リリーさんだって聞いたから。リリーさんは、私よりもジュンの事知ってると思ったから…負けたく、ないから。知りたい。リリーさんの事も、リリーさんが知ってるジュンの事も…それで、ちゃんと話し合いたい」
ジュン「…そっか…って言っても何話せばいいんだぁ…?軍属の頃の話なんてそんな面白いものでもないしなぁ…」
ニャアン「もっと前でもいいよ、出会った時の事とか」
ジュン「そんなに前まで遡るんか!?えーっとなぁ…」
語り始めるジュンと、そんな彼に寄り添い言葉を聞くニャアン。2人の様子を二体のガンダムが見守っている…
- 142二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:16:15
家族を奪った戦争を憎んではいるけれど強化改修された愛機にテンションが上がるのはとても男の子
- 143二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 22:20:34
…リリー・チョコレートはいつも同じ夢を見る。過去の記憶の夢だ。
コロニーが落ちる前の、崩壊する前の小さな港。人が増え過ぎた都市部から離れたところにあるこの小さな寂れた港だけが、幼い頃のリリーが心を落ち着けられる場所であり…1人で泣ける場所であった。
同い年の子供は銀と黒が混じった自分の髪型を不気味がり、大人達はしどろもどろにしか喋れない自分を目に見えて煙たがる。表面上は謝ったり取り繕ったりしているが、不思議と人が隠す感情に敏感だったリリーにはその本音が分かった為にかえって苦しかった。フィンやディル、両親といった優しい人もいるにはいたが、彼女にとっては自分に気を遣う優しさすらも苦痛だった。優しさは誰1人普通には接してくれないという孤独感を強くするだけだった。
リリー「………」
穏やかな水面を眺めながらもういっそ海に身を投げてみたら心は苦しくならないだろうか、などと考えていた時だった。
???「なぁオメー、スコップ持ってないか?」
いきなり背後から声をかけられたリリーがびくりと飛び跳ねて慌てて背後を見ると、そこには自分と同い年ぐらいの、少し癖っ毛の黒髪と浅黒い肌が特徴的な少年がいた。
リリー「な、な、何…?」
???「スコップだよスコップ。妹がさ、真珠が綺麗でいいなーって言うから、海辺で貝を見つけて真珠取ろうと思ったんだ。真珠って買ったら高いからさ。俺天才だろ?」
リリー「え…ええと…この辺で貝はとれないよ?港だから、砂場もないし…なんなら普通の砂場の貝でも真珠はとりにくいと思う…よ…?」
???「マジか!?くそーっ…天才的発想だと思ったのに…」凹んでる
リリー「あ、えと、ごめん、なさい…」
???「…?なんで謝るんだ?」
リリー「だって、折角真珠探そうって意気込んでたのに、余計な事言って、落ち込ませて…だから、その…」
???「んー…?…あ、俺が落ち込んでるから悪いなーって思ったのか!?ばっかだなー、男は一度や2度の失敗じゃへこたれないんだぜ!!」
???「怒って…ない…ホントだ…怒ってる心の色じゃない…」
???「…?なぁなぁ、お前名前は?」
リリー「り、リリー…リリー・チョコレート」
ジュン「俺はジュン!!ジュン・ファンボイ!!
よろしくな、リリー!!」
初めて彼の手を取った時、リリーの心にはほのかな温かさが溢れていた… - 144二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 22:22:34
- 145二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 22:27:41
- 146二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 22:35:46
- 147二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 23:11:51
多分このペースだとブルキャノン・ブラウリッターとガンダム・オイランゼンを本格的に動かせられるようになるのは次スレになりそう(ちょいとジュン達の過去編に足突っ込んでる)
- 148二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 06:25:38
Season5決定ヤッター!
- 149二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 07:36:54
なんなら本編放送してても場合によっては物語進めてるかもしれません(本編とは完全別次元)
- 150二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 13:16:37
寧ろ本編というクソデカ燃料があれば更に空想が捗る可能性も…
- 151二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 19:06:39
連邦軍旗艦の一室
リリー「…ん…」
連邦軍旗艦に用意された無機質かつ殺風景な部屋で、リリーは目を覚ます。彼女にとって何よりも暖かな夢からの目覚めはいつも名残惜しいものであり、ジュンと刃を交えても彼を変えられなかった今は特に喪失感が酷く、目覚めてからも彼女は暫くベッドに腰掛けて動かないでいたが、部屋の前に来た気配がジュンの次ぐらいに覚えのあるものだと気付いた時にはパッと明るい笑顔を浮かべて扉を開ける。
リリー「んー?どうしたの、ディル」
ディル「…相変わらず呼び鈴を押す前に気付くのは分かるんだが、急に扉を開けられると驚く」
リリー「えー?それ普通は私の台詞じゃないかな?」
ころころと笑うリリーの顔を見るディルは、彼女の目元にクマがある事に気付く。
ディル「…寝付けないか」
リリー「んーん、さっきちょっと寝れたよ。小さい頃のジュンの夢も見た」
ディル「……幼い頃のジュンか。思い出しただけで腹が立つ」
リリー「あははっ、ディルはいっつもジュンとケンカしてたもんねー」
ディル「奴の無鉄砲さに問題があるんだ。妹に真珠をプレゼントするとか言って俺達を巻き込んで忍び込んだビーチが特別自然保護地区だと分かった時には何度ぶん殴ってやろうと思ったことか」
リリー「あれは大変だったよねぇ。実際殴り合いになった2人をフィンが慌てて止めて、私は何が何だか分かんなくてわんわん泣いて…」
ディル「結局見つかったが…管理人のご老人が優しい人で良かった。綺麗な貝殻も貰ったよな」
リリー「そうそう!!……あのおじいさんも…コロニー落としに巻き込まれたのかな…」
ディル「………」
リリー「ねぇディル、ジュンは分かってくれるよね…?約束を守ってくれるよね…?」
ディル「…ああ、あいつは必ず戻ってくる。あの時だって…あの命懸けの初陣の時だって、奴は約束を守ったからな」 - 152二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:34:55
…それは、一年戦争末期におけるジオン降陸部隊と中将閣下派閥による攻防戦での一幕だった。
当時から指揮官は既に中将閣下の住まう古城地下にてブルキャノンの開発計画を進めていたが、その情報を傍受したジオン軍が開発を阻止する為に攻撃を仕掛けてきたのだ。
中将閣下の指揮の下で、ベインを始めとする猛者達が奮闘し古城を囲むように敷かれた防衛戦は守られて来ていたが、ジオン軍はこれを突破する為に残存勢力を一点に集中して、最も守りの薄い渓谷エリアからの突破を狙う。満遍なく防衛網を張っていた事から戦力結集に気付くのに遅れた連邦側の上官達は渓谷の守りを固める為に当時新兵として渓谷付近で待機をしていたジュンの小隊へ無線で指示を出す事になった。
上官1「この渓谷を突破されればそこからジオン軍が最終防衛ラインに雪崩れ込んでしまう。君達小隊はMSで出撃し、これを迎撃するのだ」
上官2「渓谷より先の山脈地区には我々のMS狙撃部隊が控えている。君達は敵の注意を引いてくれ」
フィン「ま…待ってください!!敵のザクの数は20機以上だと聞いています!!僕達新兵だけでは…とても…」
フィンが訴えても何も答えを返さない上官達を見てて、リリーは悟った。自分達は囮なのだ。本陣からの救援が来るまでに出来る限り相手を消耗させて撃破されるのが役目なのだ。軍隊に入る限りこういうことはあるとは考えていたが、こんなにも早いのかと震えが止まらなかった。
そんな時に声を上げたのはジュンだった。
ジュン「…無線の先にいらっしゃる指揮官殿、僭越ながら新型MS開発に携わる貴殿に、戦いに出る前に頼みたいことがあるのですが宜しいでしょうか」
上官1「な、なんだ貴様!?指揮官殿に向かって頼み事だと!?」
上官の1人が怒鳴るが、指揮官は無言で彼を遮り、ジュンに向き直る。
指揮官「…聞くだけ聞いてやろう」
ジュン「貴方から整備兵に指示を出して自分のMSに調整を施して頂きたい。それと、囮役のやり方に関しては全て私に任せて頂きたいのですが、宜しいですか?」
上官2「やり方…?何を言って…」
指揮官「……いいだろう。至急整備兵達を呼び出せ。貴様の要望通りの調整を施すように命じてやる」
リリー「……ジュン…?」 - 153二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:46:24
フィン「お、囮役を1人でやる!?何馬鹿な事言ってるんだよジュン!!」
無線連絡を終えた後、普段のオドオドした雰囲気とは打って変わって、フィンは物凄い剣幕でジュンに詰め寄るが、ジュンは極めて落ち着いた様子で答える。
ジュン「何も全部1人でやり切る訳じゃねぇよ。俺が敵MS部隊の最前線で陽動、リリーとフィンは渓谷上段から援護射撃、その更に後方からディルが狙撃って感じで隊列を分けて囮をやるってだけの話じゃねぇか」
ディル「…だが、最前線の貴様が1番リスクが高いのは事実だ」
ジュン「だーかーら、万が一俺がやられたらリリーとフィンが2人がかりで陽動を…」
リリー「い…嫌だよ…」
リリーは震えながらジュンの軍服の裾を摘む。
ジュン「ん?どうしたリリー」
リリー「戦争で…パパもママもいなくなって…故郷の皆んなもいなくなって…それなのにジュンまでいなくなったら嫌…!!」
ジュン「お、おい泣くなよ。別に何もくだばりに行く訳じゃ…あーもー分かった分かった、ほらリリー」
リリー「…?」
ジュンは年下の妹をあやすように笑いながら小指を出して、自分と小指を結ぶようにリリーに促す。
ジュン「約束だよ、約束。
俺はちゃんと帰ってくる。だから、リリーも俺がちゃんと帰ってこれるように頑張ってくれ…頼むよ」
リリー「……嘘ついたら…苦いコーヒー沢山飲ませる…」
ジュン「へへっ、大好物だぜそれ。生きて帰って飲まないとな」
ジュンは笑いながら、リリーは泣きながら小指を結ぶ…だが、リリーには分かっていた。ジュンの心は、笑っていない。命を賭ける覚悟と、ジオンへの怒りだけが、彼を突き動かしていると…
- 154二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 21:08:10
…数時間後、渓谷中部…
…戦力を結集させたジオン軍降陸部隊は主力となる20機のザクを前列に立てその後方に戦車や歩兵が続く形で隊列を組み、渓谷を進軍していた。
ザク1「やはり情報にあった通りここの守りは手薄ですね」
隊長ザク「元々は渓谷そのものが敵を阻む自然の城壁だったようだがMSの前ではちょっとした壁程度だ。ここを抜けられて慌てふためく連邦どもの顔は見ものだろうな」
ザク2「ははっ、違いありませ…」
突然、渓谷の上から2本のビームが降り注ぎ、後方の戦車達はその着弾によって生じた爆発によって吹き飛ばされる。
ザク2「なっ…戦車達が!!」
隊長ザク「ビーム砲だと!?連邦の奴らめ、厄介な武器を…」
ザク1「た、隊長!!あれを!!」
…渓谷の上にいたのは、後のブルキャノンと似たような青と白の配色が特徴的な1機のガンキャノンだった。
両肩の砲門からは煙を上らせ、左手に二枚重ねの盾を、右手にビームサーベルを携えてザクの群れを見下ろしている。
隊長「な…なんだあのガンキャノンは…?まさか、単騎で…」
ジュン「…ジオンの奴らでもよぉ…ビームで吹き飛ばしちまったら心が痛むかと思ったが…安心したぜ…
テメェらには怒りしか湧かねぇみてぇでよぉ!!!!」
ジュンは凶悪な笑みを浮かべながら渓谷を飛び降り、ザクの群れへと斬りかかる…
- 155二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 21:15:33
プチ余談
ジュン専用ガンキャノン
渓谷でザク部隊を迎え撃つ為に急遽指揮官がジュンの為に調整したガンキャノン。
スラスターのリミッターを外す事で通常のガンキャノンを上回る機動力を会得、ライフルはどうせ肩にキャノン砲がついているからいらないというジュンの意見より外され、代わりにビームサーベルと二枚重ねのシールドを装備し、ガンキャノンの馬力を活かした力強い白兵戦を可能としている。
陽動役として目立つ為に通常のガンキャノンとは真逆の青と白に急遽塗り直したがジュンはこのカラーリングを気に入っており、後のブルキャノン試作1号機もこのカラーリングになった。 - 156二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 21:59:10
軍警察本庁地下ガレージ
ジュン「…っていうのが俺の初陣でな。いやー、今思い返しても結構無茶振りされてたよな、あっはっは」
ニャアン「…笑えないよ…連邦の新兵って、そんな危ない事ばっかりさせられるの?」
ジュン「どうなんだろうなぁ…俺らは元々中将閣下の配下で鍛えられてたけど、俺の初陣の前だったら新兵が訓練する暇すらねぇかもしれないし…」
ニャアン「それにしたって…酷いよ…そもそもブルキャノン貰ってスパイになったのも軍属になってから2年足らずでしょ?無茶振りだよ…」
ジュン「まー、それに関しては良かったかもな、ニャアンに会えたし」ニコッ
ニャアン「それとこれとは……うん…」俯きながらジュンに肩寄せてる
演歌(流石にアレを茶化すのはやめるか)
看守(だな、下手したら一週間は口聞いて貰えなくなりそうだし、ニャアンちゃんも俺のカミさんも) - 157二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 22:38:29
一応訓練はある程度してからの初陣だからマシ…なのだろうか…(サンボルの少年兵達とかがあんまりにも悲惨なのであれに比べればだいぶ良いかもしれない)
- 158二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 23:16:31
- 159二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 07:36:56
指揮官目線だとジュンがいきなり裏切ったのは割と意味不明で困惑してたかもしれない…
- 160二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 12:28:57
地球内勤務だけだったのが盲点すぎた…
- 161二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 18:01:10
軍警察本庁地下ガレージ
連邦軍旗艦にてリリーとディルが彼らの初陣の記憶を思い返していたその頃、奇しくもジュンとリリーの過去を知りたいと望んだニャアンもまた、ジュンの口から同じ話を聞いていた。
ニャアン「…今ここにジュンがいて、リリーさん達もいるって事は、初陣は無事に生き延びたんだよね」
ジュン「おうよ!!初陣から俺は強かったんだぜぇ?迫り来るザクを青く塗ったガンキャノンでちぎっては投げちぎっては投げ…」
ニャアン「……ジュン」
からからと笑いながら話すジュンを見て、ニャアンはどこか寂しそうな、辛そうな表情でジュンの手を取る。
ジュン「……どうした?」
ニャアン「…喋るのが辛い事は、喋らなくていいから」
ジュン「………俺…そんな顔してた?」
ニャアン「…最近、ちょっとだけ分かるようになったから。ジュンが空元気してる時の顔」
ジュン「…そっ…かぁ………うん…そうだな…でも…これも溜め込んどいて前みたいになるのも嫌だしなぁ……聞いて…くれるか?」
弱々しく呟くジュンの目を見て、ニャアンは手を取ったままこくりと頷く。
ジュン「…ありがとな…俺はさ…本気でジオンが憎かったんだ。アイツらが全てを奪った。アイツらを根絶やしにするまで俺は前に進めない。アイツらは人間じゃない。本気でそう思ってた。
だから俺は…
数えきれない数の命を…奪ったんだ…」 - 162二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 19:10:16
…ジュン達はその初陣が終わるまで知る事は無かったのだが、4人のいる渓谷よりも更に上の山脈からの狙撃部隊に言い渡された命令は『陽動役の4機が全滅するまで待機』であった。乱戦になり確実に敵のザクが確実に消耗し切った所を一斉に狙撃で潰す。それが上官達のとった作戦であり、本来ならば4人は完全に使い捨ての駒として扱われる筈だったのだ。狙撃者達は無慈悲に4人が沈むのを待っていたのだが、結果的に彼らは後悔する事になる。
それは、ガンキャノン単騎で敵に突っ込んだジュンの鬼気迫る戦いぶりが、味方でありながらあまりにも恐ろしかった為だ。
ジュン「おおおおおお!!!!」
渓谷から飛び降りると同時にキャノン砲をザク達の群がる中心あたりに撃ち込み、その爆風を避ける為、或いは爆風に怯んでいる内に着地、目の前にいたザクをビームサーベルの一撃で切り裂く。
ザク1「う、うわ…!?」
パイロットが煙を吹く危機系統に悲鳴を上げて怯むと同時に、ジュンのガンキャノンは爆発寸前のザクを蹴り飛ばして後方にいた2対のザクにぶつけ、その直後の爆発で三機を同時に始末する。
指揮官ザク「っ、よくも!!」
残りのザク達は一斉にザクマシンガンで応戦するが、ガンキャノンは盾を構えたまま重装甲を活かして突進、目の前にタックルをかましてから首を跳ね飛ばし、そのザクを射線上に蹴り飛ばして他のザクの射撃の手を止めさせる。
指揮官ザク「こいつっ、仲間を盾に!!」
ジュン「撃ってみろよ仲間ごとよぉ!!!!」
まるでジュンの凶悪な笑みを反映するように禍々しく輝くバイザー下の四眼にザク達を映すガンキャノンは手当たり次第にザク達を斬り伏せ、それに戸惑う隙をついてリリー達も援護射撃で確実にザクへダメージを与えていく。
連携も見事ではあったが、やはり狙撃者達、そして彼らを指揮する上官の目を引いたのは、青いガンキャノンの獰猛な戦いぶりであった。
上官A「あ…あれで初のMS戦なのか…?」
上官B「野蛮…どころではないぞ…獰猛が過ぎる…」
上官達ですら怯える中、指揮官だけは興味深そうに彼の獰猛さを観察し続けていた…
- 163二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 19:27:31
20対4から始まった圧倒的不利の渓谷での戦いはジュンの猛攻により既に8対4まで迫り、ザク達はかなり押されていた。いくら連邦のMSと旧式のザクとの戦いとはいえ、尋常ではない気迫で斬り込むジュンのブルキャノンの猛攻は止まらず、隊長格のザクは決断を下す。
隊長ザク「っ…各員に通達!!お前達は後方の支援射撃を行うキャノンタイプ達を牽制しろ!!この青いガンキャノンは俺が仕留める!!」
ザク2「し、しかし!!奴は間違いなくエース級です!!隊長1人では…!!」
隊長ザク「だからこそだ!!奴を抑えている内にお前達が後方の奴らを片付けてくれれば奴も援護を受けられなくなる!!それにこれ以上お前達に被害を出す訳にはいかん!!」
ザク2「っ…ご武運を!!」
隊長ザクは右手で腰のヒートホーク、左手で長柄を引き抜き、それらを組み合わせて槍程の長さのヒートホークを構えてジュンのガンキャノンに対峙し、それ以外のザクは左右に飛び退いて上の3人への攻撃を開始する。
ジュン「っ野郎!!」
隊長ザク「貴様の相手は俺だ!!」
隊長ザクは長柄のヒートホークを大振りで叩きつけるように放ち、ジュンは飛び退いてそれを避ける。
ジュン「てめぇが隊長機か!!」
ガンキャノンは飛び退きながらキャノン砲で隊長ザクを撃つが、隊長ザクは素早く横に飛び退いて避けつつ柄を手元で回転させ、遠心力を加えた反撃でジュンに斬りかかる。
ジュン「ちいっ!!」
ガンキャノンは盾でこれを受け止め、激しい鍔迫り合いに持ち込み、ジュンはサブモニターで後方を見る。3人は合計七機と射撃戦の真っ最中で追い込まれつつあったが、リリーだけはジュンがこちらを見ている事に気付いた。
リリー「っ…ジュン!?」
ジュン「リリーッ!!」
ジュンは叫び、盾で斧を受け止めたまま、突然リリー達の方へ向けてビームサーベルを投げる…
- 164二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 19:37:08
一瞬、リリーはジュンの行動を見て固まった。鍔迫り合いの最中にビームサーベルを投げた、どうして?思考も停止しかけるが、彼女はすんでの所でジュンの意図に気付き、4人の中で最も狙撃能力に長けたディルに向かって叫ぶ。
リリー「ディル!!ジュンが投げたビームサーベルを撃って!!」
ディル「っ!!」
ディルのガンキャノンは素早くライフルを構え、一撃でビームサーベルを撃ち抜く。
その結果、ビーム同士の誘爆による大爆発がザク達の頭上で引き起こされ、渓谷が揺れる程の爆風に怯み、或いは閃光に目をやられてしまい攻撃の手が止まる。
リリー「フィン!!」
フィン「分かってる!!」
この最大の好機を、フィンのガンキャノンは完全にものにした。怯むザク達へ向かって肩部キャノン、ライフル、脚部に追加装着したミサイルポッドのフルバーストを叩き込み、それらを一斉に蹂躙する。
隊長ザク「なっ…」
ジュン「おおおおおおおお!!!!」
部下達の全滅に気を取られた一瞬の隙をついてジュンのガンキャノンは盾を振り抜いて隊長ザクを大きくのけ反らせ、盾の裏に隠した2本目のサーベルの一閃で隊長ザクの首と斧を持つ右手を跳ね飛ばし、切り付けられた隊長ザクはのけ反ったまま地面に倒れる…
- 165二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:09:19
…遂に、ジュンが率いるMS小隊は20機のザクを全て打ち倒した。その半数以上をジュンのガンキャノンが斬り伏せ、隊長ザクさえも討ち取った事を、狙撃者達と共にいた上官達と指揮官も、確かにこの目で見ていた。
上官1「し…信じられん…囮どころか全てやり切りおった…」
上官2「あの青いガンキャノンの新兵…恐ろしい程の気迫でしたな…ガンキャノンであのような滅茶苦茶な白兵戦を…」
指揮官「ガンキャノンだからこそ、だ。軽キャノンの装甲ではあそこまで無茶は出来なかった。奴は重装甲MSでの戦い方をよく分かっている」
指揮官が青いガンキャノンを見つめていると、彼の足元に倒れていた隊長ザクがスラスターをふかせて起き上がり、ジュンの機体に捨て身の突進を放ち、残った左腕でガンキャノンに掴み掛かる。
ジュン「こいつっ…!!まだ動けたか!!」
隊長ザク「…ねない…」
ジュン(…接触回線…?激突の衝撃で勝手に入って…)
隊長ザク「まだ死なないんだ…!!娘の…マリアの元に絶対に生きて帰るんだ!!!!」
ジュン「………」
その言葉を聞いた次の瞬間、
ジュンの怒りが、頂点に達した。
ジュン「……ふざけてんじゃねぇぞ…
この戦争引き起こした害獣ごときが一丁前に人間の真似事してんじゃねぇ!!!!!!」
ジュンはザクの掴みを盾で振り払って再び押し倒し…マシンガンを防いで赤熱した盾の先端をザクのコクピットに突き刺し、中身のパイロット諸共押し潰す。
隊長ザク「ぐ…げっ…がっ…!!!!」
中途半端に赤熱した盾の先端は的確にパイロットを腹から押し潰し…彼は超高熱に焼かれる熱さと、盾の重さに潰される苦しさ、それらがゆっくりと迫る恐怖を味わいながら、やがて息絶えた。
雄叫びを上げるように駆動音を上げて盾を引き抜くガンキャノンを、周囲にいる仲間達から上官まで…リリーですら、怯えて見ていた。しかし、そんな中1人だけ…指揮官だけは、目を輝かせて呟いた。
指揮官「…見つけた…
奴ならば…
あの新型を託せる…!!」
- 166二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:15:57
- 167二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:22:32
色んな意味で相手が悪かったねぇ⋯
コロニー落としの生存者がジオン星人に慈悲の心なんかくれてやるわけもなく - 168二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:30:24
軍警察本庁地下ガレージ
ニャアン「………」
…壮絶、としか表現のしようのないジュンの初陣の話を聞いたニャアンは、じっとジュンを見つめている。ジュンは、その目を見るのが怖くて、俯きながら自嘲気味に笑う。
ジュン「…俺さ…ジオンの奴らを…いや…スペースノイドですら…俺達の空の上にいる奴ら全てが敵に見えたんだ…そいつらを全部消しちまえば…俺達の地球は平和になるんだって信じてた…だからさ…数えきれないぐらいの敵を倒して…そいつらの今際の際の言葉なんて…聞くに絶えない戯言だって思ってた…」
ニャアン「…うん」
ジュン「でも…さぁ…同じ…なんだよな…生まれた場所が違うだけで…アイツらも人間なんだよ…俺はさ…ずっとそれに気付けなくてさ…」
ニャアン「……うん」
ジュン「それに気付けた時…俺分かったんだよ…俺も奴らと何も変わらないって…怒りに任せて…命を奪って…アイツらにも…家族はいたんだよな…俺が…俺がそいつらの家族から…奪って…」
ニャアン「ジュン」
短く名前を呼ばれて肩を振るわせたジュンを、ニャアンはそっと抱きしめる。俯いたままのジュンの頭を抱き抱えるようにしつつ、優しく抱きしめる。
ジュン「……軽蔑、しないのか?」
ニャアン「しないよ」
ジュン「…怖く、ないのか?」
ニャアン「怖くないよ」
ジュン「…俺…は…」
ニャアン「…ずっと、抱えてたんだね」
ジュン「……うん」
ニャアン「…ジュンも、不安と後悔で押し潰されそうだったんだね」
ジュン「…っ…うん…!!」
ニャアン「……聞けて、良かった。少しでも、ジュンが抱えてるもの知れて…私に出来ることなんて、聞くぐらいだけれど…今まで我慢してたんだよね?
だから…沢山泣いていいよ」
ジュン「っ…!!!!」
ジュンは、これまで堪えてきたものが耐えられなくなったように、それでも、声を押しころして、泣いた。ニャアンは目を伏せて彼を抱きしめ、頭を撫で続けた。
2体のガンダムは、そんな2人を見守り続けていた…
- 169二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:32:58
- 170二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:36:28
スペースノイドへの怒りに加えてキャノンタイプで白兵戦に強いっていうジュンの戦闘スタイルも丁度ブルキャノンにマッチしててこいつだ…!!ってなったのもあります
- 171二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 21:16:14
…これまでずっと隠してきた後悔を告白し、ニャアンの胸を借りて泣いたジュンだったが、暫くして押しころすような泣き声も止まり、彼は乱暴に腕でぐしぐしと目元を擦ってから、ニャアンに笑顔を…いつものへらへらした様子とは異なる、どこか優しい雰囲気の笑顔を向ける。
ジュン「…ありがとな、ニャアン。すっきりした」
ニャアン「ん」
ジュン「…すっきりは…したんだけどなぁ…」
ニャアン「…?」
ひと段落したと思ったところで、ジュンは再び表情を曇らせて俯く。
ジュン「…今思い返してて思い出したよ…そうだ、確かに俺リリーに言ってたわ。必ず帰るって。約束守るって……完璧に忘れて…というか…多分約束した自覚すらなかったな…とにかくリリーを宥める為に言ってたんだろうな当時の俺…」
ニャアン「……女誑し」ジト目
ジュン「うぐ…申し開きもございません…」
ニャアン「…もしも本当にジュンが地球に帰りたいなら、それも全然良いと思う。私は止めない。私がリリーさんみたいになる可能性は高いけど」
ジュン「それどちらにしても積んでないか!?」
ニャアン「……ごめん、嘘ついた。私もジュンと離れたくない」
ジュン「俺だって離れたくない…けど…」
ニャアン「…リリーさんが、今も心配なんだね」
ジュン「…あんなんでも幼馴染だしなぁ…だから、ちゃんと、話し合いたい…」
ニャアン「…分かった。じゃあその話し合い、私も参加する」
ジュン「なんでまたニャアンまで…」
ニャアン「…この前こてんぱんに言い負かされたから、ちょっと根に持ってる」
ジュン「ははっ、正直者め…いっちょ頑張ってリリーの事驚かせてやるか!!」
ニャアン「うん」
2人は、ガンダム達の足元で屈託のない笑みを浮かべ合う…
- 172二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 22:10:47
同刻、連邦軍旗艦一室
中将「…そうか。君は私とは逆の意見か」
連邦軍旗艦の一室…他の部屋に比べて豪華な装飾が施された中将の私室で、中央机のソファで対面する指揮官と共にワインを飲み交わしながら会話していた。指揮官はワインをあおってから中将に返事を返す。
指揮官「ええ。此度の決闘…スペースノイドの言うところの、クランバトル、でしたか。蒼い騎士…ジュン・ファンボイは勝てませんよ」
中将「何故そう思う?彼は君がブルキャノン試作機のパイロットの4人の中でも実力に関しては誰よりも君自身が評価していた男じゃないか」
指揮官「確かに今も尚技術力は試作機のパイロットの中でもトップクラスでしょう。ですが今の奴にはこれまでの奴を最強たらしめる重要な要素が欠けてしまっている。あれでは対ブルキャノンに特化したブルキャノンⅡには太刀打ち出来ないでしょう」
中将「重要な要素、とは?」
指揮官「…怒りですよ。スペースノイドを心の底から憎む心、それが奴の試作1号機にスペックを上回る爆発力を与え、想定以上の成果をもたらしてきた。それが欠けたジュン・ファンボイなど…最早牙の抜けた獣です。ましてやイズマ・コロニーで難民のガキに入れ込んでいる有様は…思い出しただけで腹が立ちます」
中将「はは、君は派手に殴られたとも言っていたからね」
指揮官「……」
中将「…しかし、その牙の抜けた獣に君のエル・サルバトーレが敗れたのは何故だい?」
指揮官「それは……悔しいですが経験値の差でしょう。土壇場での判断力はやはり場数を踏んだ奴の方が一枚上手だったのではないかと」
中将「それもあるだろう。しかし、私にはもう一つ理由があると思う」
指揮官「…?どういう事ですか?」
中将「シンプルな理由さ。
怒り以外にも、彼を強くするものがあったのさ」
指揮官「…怒り以上に戦闘能力を引き上げる感情は、ないと思いますが…」
中将「そうかい?…そうかもね……あ、話は変わるが、そのジャンク屋で彼と働いていた少女というのはどんな子だったんだい?」
指揮官「あの難民のガキですか?黒髪で、肌色は奴に似てて、目は黄色……あ、何故か偽の学生服を着てましたね」
中将「………彼の趣味…かな?」
指揮官「………さぁ…?」
- 173二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 22:16:56
- 174二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 22:28:49
指揮官「………いやまぁ流石に趣味で妹と同い年の少女に偽装制服なんて着せないでしょう。歳の差的に考えたらそこそこ業の深い癖をしてる事になりますし、というかそんな癖を持った奴に負けたとは考えたくありません」
中将「あははっ、それはそうか」
その頃地下
ジュン「……」
ニャアン「…?どうしたのジュン、オイランゼンを見上げて」
ジュン「いや、あの機体の腰の水晶の板がニャアンのスカートみたいだなぁって」
ニャアン「……ジュンってホント制服好きだよね」
ジュン「おう」メッチャ高速で肯定
ニャアン(…やっぱりこの制服暫く取っておこう)後々も定期的に制服を着る事でニャアンはジュンモチベーション管理する事になる事を2人はまだ知らない
機構スパイ戦の通信会話内容聞いたら指揮官宇宙猫になりそうw
- 175二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 22:44:20
- 176二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 22:50:50
物語の展開(今の所のだけれども)的にはだいぶ先になるけれどこっちの兄妹の物語もピックアップしたいですね…同じ兄だからこそもっとジュン兄と話もして欲しい…
- 177二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 23:15:44
ジュン兄は多分ニャアンが大人になった後も土下座して制服着てもらったりしてるだろうという確信がある
ニャアンも恥ずかしがりながら「今回だけだからね」って言い続けた結果やめ時無くしてそう
数年後おでん屋屋台男組
演歌「いよいよオメーの制服好きも業が深くなってきたな」
看守「二十歳過ぎの子に制服着せてイチャつくのはもう文句無しにプレイなのよ、後ろ指さされてもええんかお前」
ジュン「構わないねぇ!!!!だって幾つになっても制服姿のニャアン可愛いんだもん!!!!」
シュウジ「過去の因縁と数々の危機を乗り越えた結果変な方向にメンタル強くなってる…」
エグザベ「ここまで突き抜けると最早尊敬出来るよ…」
※尚この数年後どころかそれぞれようやく落ち着く年になるまで制服の諸々は続き、落ち着いた後もたまに昔を懐かしんだり冗談で着てもらったりしてる模様
- 178二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 23:38:35
看守「まあ制服着た娘が可愛いのは否定しねぇ。ウチの娘もあのお嬢様学校の制服がすっかりサマになりやがったからなぁ」
演歌「入学早々演歌同好会ぶち上げて、マチュちゃんやジオンの中佐殿と演歌歌ってる動画で宣伝したんだってな。ウチの義親父が大爆笑してたぜ」
エグザベ「アマテさんよりアグレッシブですね…」
演歌「ウチの下はまだ先だなぁ。そもそも制服あるような学校に通えるかわかりゃしねぇ」
看守「なんだいおめぇの嫁さんは進学にこだわってねぇのか?」
演歌「自分がお嬢様学校で苦労したから娘には好きにやらせるんだとよ。もし同じ学校入ったら演歌同好会は確実だなw」
看守「今じゃおめぇん家校外部室扱いだもんな。お陰で助かっちゃいるが」
演歌「戸建て買ってカラオケルーム改造した時防音徹底したからな。収録でも配信でもなんでもござれだぜw」
- 179二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 23:48:43
- 180二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 00:13:57
最初に買った時に徹底してたせいで一時奥さんに実家帰られちゃったんですけどね…戻ってきたらモノスピ買ったのがバレてまた実家にとんぼ返り。
但し連邦艦強襲の武功で「大手柄のおまわりさんがカミさんに愛想尽かされてるじゃ格好がつかねぇや」「お前にも思うところはあるだろうけどね、今回ばかりは帰っておやりよ」と義父母の説得で無事元鞘して今に至る。
なお看守娘の校外部活動の承認願いに演歌軍警のカミさんがOGとして連署して、学校としてもカラオケボックスで変なのと関わるより安全だし、何よりOGの実家が実家なので…と即承認した模様。
そしてその演歌熱に中てられてる演歌娘…(娘には好きにやらせるの精神で否定はしない)
- 181二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 07:04:23
朝保守
- 182二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 07:36:44
- 183二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 14:42:38
- 184二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 19:21:06
この2人の親子?喧嘩は基本ブルキャノンVSカボ・マンダラット戦の時のテンションで行われるのでほぼほぼサンダーボルト、喧嘩の内容はクソほど平和的になったけど
- 185二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 19:53:57
ちょい早めに次スレ作りましたが、こちらのスレも続いてますので次回日常会に参考にしたい小ネタとかありましたら募集中です
追伸、連邦幼馴染編テーマとして最近はGレコのopのBRAZING聴くのが楽しいです、1番をリリー、2番をニャアンとして考えつつ最後のサビに進むまでがジュンの決意って感じでとても楽しい
- 186二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 21:55:45
立て乙です
- 187二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 22:12:53
次スレが後日から多分本格的にブラウリッターとオイランゼンの初陣なので、多分ホワイトデー小ネタは多分こっちに書きます
- 188二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 22:31:23
新スレ立て乙です
イズマ市経済局スポーツ振興部長「は!? クランバトルの公営事業化!?」
市長「そう。今回の連邦とのクラバ、ウチでスポーツクジみたいなこと出来ないかなって」
部長「いやいやいやいや、無理でしょ無理。ウチでやってるのはスポーツ振興目的のサッカーやバスケのクジだけですよ? どう考えてもスポーツとは言えないクラバにどうやって売り出せるって言うんですか」
市長「MS持ち出してるプロレスと考えれば、どーにかできないかねぇ」
部長「昨年の軍警白書でクラバ絡みで起きてる事件が激増してるってブチギレ寸前の論調だったじゃないですか。それに確認できてるだけで何人事故タヒ出てると思ってるんですか」
市長「そうか…でも残念だねぇ。これで収益が得られれば、振興部の例の案件とかアノ計画とかも」
部長「!?…い、一応、サイド6の公営事業法では『フットボール・バスケットボール(中略)”その他”』に対して適用される、とはなってますが、それに基づくイズマの公営事業条例でも、最後に『市長がこれを特に認めた場合』という一文はないではないです」
市長「だよねぇ。条例改正してないし」
部長「ただ、既に難民スラムで裏社会の胴元が仕切っているクラバに手を突っ込むのはやっぱり危険ですよ」
市長「あー…そこについては今回限りということで、一応話は付けてある」
部長「手回し早すぎませんか!?」
市長「あと、議会の主要会派には”万が一の敗戦時に補修費用を補填する保険”ということで根回し済み」
部長「ちょっとまってくださいウチの案件の予算は!?」
市長「ツッコむのそこ?」 - 189二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 22:36:31
- 190二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 22:38:57
正義の怒り(背負い投げ)を市長に叩き込むオカン…!!
- 191二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 23:47:10
それはそうと、3/15から映画を見ると新設定資料集が貰える観プレが始まります。
4月からのTV放送前に、もう一回限られたハコに行かなきゃならない気配… - 192二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 08:38:03
保守
- 193二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 11:10:35
- 194二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 14:45:25
- 195二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 14:53:22
ホワイトデーおまけ
ニャアン「……」ジト目で腕組みしつつ正座中のジュンを見下ろしてる
ジュン「……」サンタクロースの袋レベルに膨らんだお菓子の入った袋の横で正座しつつ目逸らししてる
ニャアン「…なんでこんなにお菓子買ってきたの?」
ジュン「いやその…今日がホワイトデーだからニャアンにお返ししようとして繁華街に出て…そしたら色んな店でお菓子の売り出しやってて…どれと美味そうだし、店の人達もこれが1番って勧めるから…全部買いました…」
ニャアン「…ジャンク屋の稼ぎだけだと家計が厳しいっていつも言ってるよね?」
ジュン「あい…」弱々しい返事
ニャアン「全くもう…2人で食べ切れる量じゃないよ?買ってる途中で分かったでしょ?」
ジュン「だってさ…ニャアンがどういうお菓子を喜んでくれるか分からなくて…とにかく沢山食べて貰えたら…喜んで貰えるかなって…」しゅんとしてる
ニャアン「………そう」方向性はアレだが想って貰えたのは嬉しくて口元隠してる
ニャアン「…でも流石に食べきれないから、難民街の子供達に配りに行こ?多分皆んなに行き渡るぐらいあるし。そしたら許してあげる」
ジュン「!!勿論行くって!!よーし張り切って配るぜ!!」立ち直り早い - 196二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 18:53:50
同じクソボケなのにどうして…ドウシテ…
- 197二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 19:11:16
そのうち毎年12月24日になると難民街の子供達のためにサンタになってそうこの2人
- 198二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 20:57:03
シュウジもマチュにお返ししたいから、でお菓子作りに挑戦してそう
或いは一緒に作るか - 199二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 22:02:51
ジュン兄は料理なんてした事ないからせめて買うか…して今回のやらかしをしたタイプ
シュウジは買うより使ったほうがマチュ喜ぶかな…で作るタイプ
エグザベ君はそんなシュウジに巻き込まれて何故か料理教室の臨時先生をやって奥様にモテまくってコモリさんに嫉妬されて頭突きスイカバーされるタイプ
エグザベ「なんか…僕だけ物理的ダメージデカくない…?」
ジュン「スパークミサイル喰らうのに比べりゃかすり傷だってそんなもん」
シュウジ「僕以外の男のガンダム乗りの物理的ダメージがデカ過ぎる…」
- 200二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 22:13:39
200ならみんなのホワイトデーはうまくいく
相手が居ない? きっといつかいい出会いがあるさ!