[閲覧注意?]また会ったわね

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:38:02

    皆さんの素晴らしい創作に触れ自分も初SS描かせて頂きます。描いてる途中ですが、少しずつ上げて行きたく思います。
    学Pが燐羽様と最初はお互いを知らないまま出会っていてそこから距離が近くなってく妄想です。
    上手くストーリー運びが出来るかわかりませんが、
    至らない点や表現などご意見あれば、どうぞご指摘頂ければと思います。よろしくお願いします。

    初星学園から離れた商店街の中にある草臥れた喫茶店。
    天川の街には簡素で清潔感のある洒落たカフェが立ち並んでいるが、少し離れた商店街にあるその店は少し独特な雰囲気だった。どこかの国のアンティーク家具が並び、席毎には天井から吊るされるランプが燻んだ赤茶色の店内を照らす空間が懐かしさと安らぎを与えてくれた。

    外は赤レンガの壁で入口に置かれたショーケースと日焼けして掠れたメニュー、丁寧に装飾された木製の扉を開け中に入ると鐘が鳴る。手前には細い通路とキッチンに面したカウンター席四席。奥の空間は中央にパーテーションを隔てが二人掛け二席、四方の壁側に対面四人掛けのソファー席が三席。

    その日俺は担当の仕事の一休みと気分転換を兼ねた散歩の途中に行き着いた。時間帯は夕時、コーヒー一杯程度の滞在時間の為に。

    閉店時間までにはまだ少しあるが、この時間だからか客足もまばらだ。カウンターには新聞を読む初老男性が一人、奥には仕事終わりの会社員、買い物帰りと思われるご婦人、女学生一人。少なくとも初星学園の生徒ではない。

    通路から右奥端の席に彼女はいた。背を向けているので顔はわからないが両サイドを束ねた紫髪と綺麗に着こなされた黒い制服、姿勢の良い後ろ姿が目を引く。極月学園の制服。
    少し気にはなるが別にいておかしい話でもないし、自分には関わりのない事だと手前の空いた席に腰を下ろす。

    オーダーを通し待ち時間にやる事を少し整理し手帳にメモをし、間も無くコーヒーが届く。少しの間何も考えずにコーヒーを楽しみ目を閉じる。
    静かな店内にはスピーカーから微かに聴こえるクラシック音楽と古時計の秒針の音に耳を澄ましていると、席を立つ音で現実に引き戻される。
    目を開けると紫髪の女学生の背中は通路を抜け会計へ向かうところだった。
    燐とした歩き姿が美しくその中から滲む様な憂いの帯びたその背中がとても絵になっていた。
    「美しい」
    その時の光景が目に焼き付いて離れない。

  • 2二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:43:16

    なんかもう文字からもいい匂いしてきた

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:44:13

    たのしみにまちます

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:27:31

    期待

  • 5二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:32:18

    文字多くなったので出来るだけ読みやすくして行きます。

    N.I.A.(Next Idol Audition)の開催スケジュールがが発表され各校の広報合戦が始まった。
    当然我々プロデューサー科の面々も普段にも増して忙しくなり、俺の日常はプロデュースの為の時間に注がれていた。

    俺の担当ー月村手毬
    アイドルに対する熱い想いとを魅力を引き立てられる様に、彼女との綿密なイメージ戦略のミーティングを終え少し安心していた。
    一時はどのように月村さんとの意思疎通を図ろうかと考え悩んだ時期もあったが、最近は少し素直になったからだ。
    "凛とした美しい美貌とメディア露出を控えた神秘的孤高の狼の様な存在"と絶対的なステージ上での歌声を披露して
    P「この調子で知名度を上げてゆければ…」
    俺は確信に近い期待を持ってしまった。もしもの為の予備プランを一つ用意したことで大丈夫だろうと考えてしまった。

    次の日
    P「元Syng Up!リーダー賀陽燐羽さんや秦谷美鈴さんを超えるアイドルになる、か楽しみだな。」
    手毬「プロデューサー、SNS始めたんだけとさ…」

  • 6二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:20:32

    俺は彼女の読めない行動に手を焼きながらも、彼女から打ち明けて貰ったアイドルに対しての想いを、全力を出せる様に手を尽くした。

    先日は営業先での極月学園の生徒とのトラブルがネットに上がってしまった。
    プラン変更に伴う印象操作も行った。
    たまたま一般の方に撮影されていた極月生徒側からの一方的な挑発行為と侮辱発言を初星生徒が受けていて、それを月村さんが庇いに入った記録部分を強調してPRに利用させて貰った。
    残念ながら、口の悪さが公になってしまったが、同校の生徒への仲間想いであると解釈されたためプラスになった。

    一通り軌道修正が済み、いくつか仕事も手に出来たので良かった。だが、もう気持ちの油断による過ちはしないと固く心に誓ったのだった。

    いくつかのオーデションを終え

    手毬「美鈴も燐羽もどんどんランキングを伸ばして来てるね」
    P「ええ、陽賀燐羽さんは元より秦谷美鈴さんも頭角を表しランキングを上げて上位に出て来ています。
    このままいけば、間違いなく彼女達とのまっこう勝負になります。これから先は更に忙しくハードなスケジュールになります。練習も大切ですがくれぐれも無理はしないで下さい。休める時は休んで下さいね。」
    手毬「い、言われなくても分かってますよ…ありがとうっ。」

    ここのところ胃がやられそうな多忙な日々だったが少しだけ落ちついた。まだ、今日中に片付ける事はあるが、もうどれくらいぶりになるのか、俺は久しぶりにあの店が行きたくなった。

    「今からならまだ間に合うな」

  • 7二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:36:18

    期待

  • 8二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:30:45

    初星学園の前の大通りに沿って歩く。
    学生の街だけあり、通りには学生が楽しめる店舗が立ち並んでいる。
    しばらく歩くと向かいへ渡る横断歩道の前からアーケード状の商店街入口になっている。
    徒歩約15分程。ここまで来ると途端に学生を見なくなる。たいていの学生は学園近くの寮住みで、入り用な物も大通りのスーパーなどで事足りるからだ。

    俺だって普段は来ない場所だ、この前が気まぐれだっただけで。
    喫茶店は商店街の終わりにある。
    横は公園だった。

    何故か扉を開ける手が震えたが、構わず木製の扉を開ける。鐘が鳴る。
    店員さんに空いてる席へご自由にと言われたのでカウンター席の通路を通り抜け奥の席へ向かう。
    少し足早になるのを自覚しながらもしかしたら、と俺は店内の彼女を探した。

    しかし、今日はいないようだ。
    何を期待してるのかと肩を落とす自分を心の中で嘲笑った。

    前に来た時と同じ席、通路からすぐ手前の二人掛け席へ通路と向き合える席に座っていた。
    オーダーを済ませて未だざわつく心を鎮めようとする。先日はゆったり過ごせた空間も音楽も何故か耳に入って来なかった。俺は一体何を期待しているのだろうか。
    その時だった。入口が空き鐘が鳴った。
    俺はすぐにそちらへ目をやる。

    店員の挨拶と共に期待が外れた事を知る。
    「いらっしゃいませー、いつものですね」

    初老の男性が入口脇にある雑誌棚から新聞を手に取りカウンターに座った。

    しばらく時間を費やしたが時間も時間だどうやら今日は来ないようだと悟り、
    少しだけ残していた分を一気に飲み干し店を出た。

  • 9二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:37:35

    とても良い。ぜひ続きを待ちたい

  • 10二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 02:32:59

    店を出る時だった。
    アーケードの端と言うのもあり、外から瞬きの様な稲光と、数秒後には耳を劈く破裂音と雨が降り出して来た。

    P「しまった、傘を持ってないな」
    どれくらいで止みそうかと空の様子を伺う為俺はアーケードのギリギリまで出て外を見た。
    隣は公園だ。一軒家くらいの正方形幅。
    手前にシーソーや鉄棒、ブランコ等遊具が等間隔で並び、奥には屋根のあるベンチがある。
    P「ん?人?」
    激しい雨で視界が悪いが人が座っていた。
    P「賀陽燐羽さん?」
    特徴的な黒の制服が辺りと混ざって見えにくいが紫色のサイドで束ねられた髪はわかった。

    俺は思考より先に行動に出ていた。
    「あんた何やってるんだこの土砂降りの中!!」
    つい、とは言え、普段張ることの無い声と少し棘ついた言葉を発してしまったことをすぐに後悔した。
    明らかに敵意の視線で彼女は言った。
    燐羽「誰?あなた?別にあなたに関係ないでしょ、雨宿りよ。雨宿り。」
    突き放す様に言い放った。
    それはそうだ、彼女は雨が降る前にいたのならそうなる。
    P「あ、いや、すみません」
    全くの正論に何も言えなくなった俺に対して彼女は少し冷静になったのか
    燐羽「まぁ、土砂降りの雨の中こんな場所にいたらおかしいわよね、ごめんなさいね気を遣わせてしまって」
    「雨も治って来たみたいだし帰るわね」

    飄々と帰って行く彼女の後ろ姿を何も言えず
    俺は呆然と見送ることしか出来なかった。

    見上げると嘘の様に雨雲は消えて空は何も無かった様に夕焼け空になっていた。

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 03:02:33

    雷止めたぁ……

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 05:03:45

    十王邦夫「最終オーディションの運営に辺り主催校の主要人物と打ち合わせをする必要があってのぉ、まぁ打ち合わせとは体のただの時期役員候補の顔合わせのようなものだ。
    もう君が行くと伝えてあるからちょっと極月学園に行ってくれんかのぉ」
    「あーあと、うちの孫も連れてってやっておくれ、これ学園長命令な。」
    ワッハッハッハ!!…

    極月学園へ向かう送迎車の中で俺は頭を抱えていた
    星南「ねぇ、先輩いきなりで本当に悪いわね、お爺様ったら一度言い出したら聞かないのよ。全く」
    P「し、しかし、どうして星南さんも一緒なんです?」
    星南「あら、お爺様から聞かなかったかしら?時期役員候補の顔合わせだからよ。
    元Syng Up!月村手毬さんの担当でここまで成果を上げているのだから能力として十分に認められているわよあなた」

    P「時期役員候補とは?」
    星南「もう。私の口から言わせるなんて、恥ずかしいじゃない…十王家のよ」
    P「あ、あ、あなたに担当は?」
    星南「そうね、ふさわい方が現れたらお願いしたいわね!」
    「今はことね!!千奈、美鈴、佑芽をプロデューサーとして私が担当しているわ!!」
    P「それで自身もアイドルとして活動されてるのはほんとに凄いですね、」
    星南「そうね、確かに両立するのは大変ね、でも、だからと言ってみんなの前で醜態は晒せないもの!!一番星として、ね」
    P「なんて言うか、改めて星南さんの能力の高さと人徳の高さを思い知りましたよ、
    正直言ってことねさんに対する熱量から少し贔屓目が強いかと思っていまし…星南「その通りよ!!先輩!!ことねはね、凄いのよ!!あの可愛さは素晴らしいことよ!!
    いいわ、、今から先輩にも教えて上げるわね!!」
    運転手「着きました極月学園です。」

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 05:11:37

    少し落ちますが今日中のなるべく早くには描き終わりたく思います。
    誤字や打ちミス等申し訳ないです

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 07:10:14

    >>13

    夜遅くまでおつかれさまです!

    楽しく読ませていただいております!

    ゆっくりで大丈夫ですので、無理のない範囲でお願いします!

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:10:11

    >>14

    お気遣いありがとうございます!

    無理なくさせて頂きます!

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:47:13

    >>13

    頑張ってください 応援してます

  • 17二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 14:51:05

    保守

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:41:55

    >>16

    応援ありがとうございます!

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:44:05

    皆様読んで頂きましてありがとうございます!
    コメント、保守も感謝です!
    また続けて行きます!

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:47:22

    極月学園校舎内

    P「まさか黒井社長があんな砕けた方だとは、思いもよらなかったな。」
    極月学園の事務所から黒井社長の部屋まで通して貰った俺と星南さんは挨拶を済ませた。
    黒井「ほぉー、君が噂のP君だねー!!いやー、中々に色々やってくれてるようだねー、話が非っ常ーに耳に入ってくるよ!!実に素晴らしい!!
    どうだ、この際このままうちに移籍しないかぃ?
    君程の人物ならだーい歓迎だよー!!!
    ファーハハハ!!」
    俺は引き抜きを受けかけていた。
    隣の星南さんの表情は崩すことなく社交場のそれだが、明らかに不愉快な空気を漂わせていた。

    極月学園廊下
    星南「わかっているわよね、先輩?」
    クィっと
    俺の少し後ろを黙って歩いていた星南さんが不意に背広の端を引っ張り呼びかける
    P「はい?」
    星南「黒井社長からの引き抜きの話よ。」
    P「それは勿論、特に移る理由もありませんからね」
    星南「そ。それなら良いわ。」
    不安そうだった空気が少し柔らかくなった。
    廊下から玄関へ出て学園の正面入り口近くの広場まで来た。
    星南「ここで待ってて頂戴。車を呼ぶわ。」
    と言うと電話をかけて少し離れて行った。

    「あら、あなた…」
    手持ち無沙汰になった俺に誰かが話かけて来た

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:16:12

    極月学園の正面入り口前の広場はフランスの王宮の庭の様な噴水と周りに等間隔にベンチが置かれていた。

    その一つに腰を下ろそうとした時
    燐羽「あら、あなたは?」
    振り向き、咄嗟に名前を呼びそうになったところで思い止まった。こっちは知っていても向こうは俺のことを知らないからだ。

    俺の装いを全身を見回すと
    燐羽「どうしてここへ?」
    何か確かめる様な視線と共に尋ねる。
    P「あ、あぁ実は、」
    その目に見つめられて何故か言い淀む
    「先輩、その子は知り合い?」
    その時星南さんが戻って来た。
    星南「あら、賀陽燐羽さん、ね?」
    燐羽「十王星南会長ね」
    「じゃあ、背広のあなたは初星学園の関係者ってことね。」
    P「結論に至った彼女にすかさず名刺を手に取り改めて名乗り上げる。」
    初星学園プロデューサー科一年P
    現在の担当:月村手毬
    それを聞いた彼女の凛々と輝く青紫の瞳孔が開くがすぐに戻り一呼吸入れて言う
    燐羽「そ、あなたがあの子の担当だったのね」
    そう言った彼女の口元は少し緩んでいた。
    燐羽「それじゃあ、ねー十王会長、Pーさん」
    去ろうとするすれ違い様に
    「今日、あの店にいるわ」
    とだけ耳打ちして彼女は行った。

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:13:01

    わくわくします!

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:38:59

    学園に戻った俺はすぐに学園長と十王社長に黒井社長と話し合った内容を伝えた。
    「そう言えば星南さんが手掛けてらっしゃる彼女達。N.I.Aでの人気を集め、
    倉本千奈さんはメディア全般で、花海佑芽さんはスポーツ関連企業に、秦谷美鈴さんは寝具メーカーからCMや各種コラボ商品などの話が既に出ているそうですね、さすがと言うばかりです。」
    「藤田ことねさんが今のところファン数は集まりながらも一つ跳ね切ってない感じと言ったところでしょうか…」
    「なら君なら如何に対応するかね?」

    自分のデスクに戻って来た俺はN.I.A以降間違いなく軌道に乗るであろうアイドル達をリストアップしてみる。
    注目株は既にスポンサー契約やCMオファー等話が進み飛躍的に投票数を伸ばしていた。

    月村さんの今後の課題をピックアップし、
    今出来るプランと仮チャートを作りシュミレーションしてみる。だが、トップに向かうには難しい。

    月村さん自身の努力量は桁外れだ。
    最近はトレーニングメニューとカロリーコントロールも適切で着実にスタミナも上がっている。
    しかし、やはり現状SyngUp勢他二人は強い、何か打てる手は無いだろうか。

    時計を見ると夕時、
    「今日はいるわ…」
    彼女のあの言葉が脳裏に浮かぶ。
    しかし、現実悠々とお茶をしてる場合ではない。
    では無いのに、俺は、

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:04:32

    結局俺はあのまま結論の出ない無意味な時間を過ごして後悔するより目先の誘惑を優先してしまった。
    夕時少し前。いつもより、少し早い時間。
    大通りを抜け横断歩道から見上げた空には青と赤が薄いグラデーションに重なっていた。
    初めてかもしれないまだ営業中の商店街の風景を眺め目的地へと向かう。
    優雅さを演じるのはただ気持ちを落ち着けたかっただけだ

    いつものように木製の扉を開ける。鐘が鳴り、店員にいつものように声掛けをされる。
    だが、今日は違った。
    連れが先にいると告げられる。

    右端奥の席。全身から汗が滲み、
    一気に心臓の鼓動が速くなる。
    周りに聴こえるのではないかというくらいに。

    「あら、良かった。来ないかと思ったわ」
    P「すみませんお待たせしてしまい、」
    ファッション雑誌を興味なさげに眺めながら言葉だけこちらに向けた。
    燐羽「さぁ座って、まずは注文を済ませましょ、あなたいつも何頼むの?」
    P「ホットコーヒーですね」
    燐羽「そ。じゃあ私もそれにするわ」
    店員を呼びオーダーを通す。

    おしぼりで白く細い指を拭いながら話し始める

    燐羽「この間の雨の日、声を掛けてくれてありがとう、冷たくしてしまってごめんなさいね」
    P「いや、あの時は俺も咄嗟に叫んでしまってすみません。」
    燐羽「ふ、どうして、あなたが謝るの?私の心配してくれたのでしょう?ならどうどうと胸張りなさい」
    彼女が手を拭い終わる頃にコーヒーが届いた

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:06:34

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:17:05

    分厚い木製テーブルの端に据え置かれた銀のピッチャーを手に取り
    燐羽「あなたミルクとお砂糖は?」
    P「いや、ブラックで結構です。ありがとう」
    燐羽「そ、じゃあ私はお砂糖いれちゃおっと」
    二つの角砂糖をつまみカップに落とす。
    スプーンで溶かしながら一口啜る。
    その様を眺めてるだけで良いと思う程魅力的だった。
    少しの沈黙の間にスピーカーからのクラシック音楽と周りの環境音が聞こえた。
    しばらくして
    ソーサーにカップを置き彼女が話始めた。
    「あの子は無茶してない?」

  • 27二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 01:43:29

    とても良質なSSの匂いがしますね…

  • 28二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 04:13:11

    それはまるで夢の様で、自分達二人以外の時間が止まってるように感じた。
    カップの縁を艶やかに指でなぞりながら話す
    綺麗に手入れされた指は爪先まで美しかった
    燐羽「手毬は無理してないかしら」
    P「恐らくあなたがご存知の通りだと思いますよ」
    燐羽「そう。あなたが手毬と極月のトラブルの火消ししてくれたのよね、ありがとう」
    P「ええ、彼女の行動に常に目を光らせていますから。まぁあの時は流石に大変でしたが、」
    燐羽「ふふ、そう。」
    ふと考える様に間を置く
    燐羽「あの子はまだ私に憧れてるの?」
    P「ええ、熱く熱弁していましたよ中等部時代のあなたの話を尊敬するアイドルのあなたを」
    カップに向いていた視線をはっとした様に、こちらに向けた彼女の目は少し潤んでいた。
    ぎゅっと締め付けられるようなその瞳をずっと見つめていたい。なんて思ってしまった。
    しかし心配する間も無く
    凛々しく目に力が宿る
    それは何かを決した様に感じた。
    燐羽「少し話を聞いて頂戴。」
    どうぞ、と告げ俺は黙って話を聴く

  • 29二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 11:40:22

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 17:41:20

    燐羽「まず、私達SyngUp!について何があったかは承知してるでしょうから、省くわね。
    手毬は勘違いしているかもしれないけど、私達は決して手毬を恨んでも嫌ってもいない。
    確かに昔のあの子は酷かったわ。歌は下手だし、甘えん坊だし、食いしん坊だし、すぐ泣くし、それで許されると思ってたんだから凄いわよね、美鈴は美鈴であんなだからいっつもあの子を甘やかすのよ。
    だけどね、大体意見の合わない美鈴も私も手毬の食い下がらない根性と諦めない気持ちは認めていたわ。出来なくても出来るまでやり続ける力。それぞれスタンスは違ったけど
    それがあの子には人一倍あった。私はですって?
    そうね、あなたはどう思う?

    私の姉、賀陽継が私をアイドルにした。
    だけど、そこで止まってしまったのよ。
    中等部トップだったって?
    それはアイドルとしてやるべき事を理解していただけよ。

    それが済めば私の中で終わりだったわ。
    手毬や美鈴、ファンのあの子達との約束。
    それを果たすのが私の最後の務め、
    のはずだった。
    だけど手毬が暴れちゃってね、本当に仕方の無い子。けど、あの子内心打たれ弱いでしょ?
    私より未来の可能性はずっとある。
    私に憎悪が向けばある程度はその後の処理はは楽になる。
    勿論約束を守れないなんて私にとって死ぬほど嫌な葛藤はあったわ。それでも、当時の私に他の選択肢は考えつかなかった

  • 31二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 18:25:58

    保守、コメありがとうございます!
    後少しですが、基本ストーリーのイメージを崩さない様慎重に言葉を考えていますが解釈違いって方は申し訳ありません!

    というか、喫茶店でイチャイチャするだけの話を書くつもりがなぜこうなってしまった、

  • 32二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 18:37:56

    雰囲気いいので引き続き楽しみにしております!

  • 33二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:11:10

    このレスは削除されています

  • 34二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 19:17:03

    「私達が手毬をセンターに決めたのは、引き立てる為ではなく単純に役割を決めただけ。
    あの子が一番全力じゃない?
    技術や要領の良さも必要だけど心動かされるでしょ。
    でも、ずっと全力だからばてない様結果的に私達がサポートする形になった。」

    少し呼吸を整える様に、彼女は手をつけてなかった冷水のグラスを口に運ぶ。
    喉と唇を潤す。口元から溢れた雫をハンカチで自然に拭う
    彼女の中で話を整理するように続けた
    「問題が起きて、解散が決まり、私はもう別の道を考えていたわ。十王社長の取り計らいで高等部へ進学する事にはなった。けど、周りとの温度差は当然出て来る。美鈴が何度か私に会いに来たけど、美鈴はあくまで手毬の為だったから話は平行線だったわ。
    中途半端に迷ってた時期に"たまたま"黒井さんと会って話したわ。
    そして、求めてるモノが一致して極月学園へ移った。
    契約上の役割を果たしていたわ。向こうの期待の子達を鍛えて、自分自身も必要な分動いた
    けど、不思議ね。終活と思って離れたのに、逆に意識しちゃうのね。本当中途半端な自分に嫌気がさしたわ。
    嫌われ役になんていくらでもなって構わない
    でも、そんな沸々と込み上げて来るもう一人の自分。無性に誰かに話を聞いて欲しくなったわ。
    あなたと出会ったあの雷の日に」

  • 35二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:07:56

    あなたは今、言葉の一言一言から頭の中で私の意図を組み立てている。時系列を辿りながら。
    私はそんな彼に不意に問いかける
    燐羽「次は私と手毬との決戦ね。どう?どっちが勝てるかしら?」
    P「!?そ、それは、当日にならないとなんとも」
    歯切れの悪い彼に対して
    私は何故か少し彼に意地悪したくなっていた。
    嫉妬していたのよ手毬にちょっとだけ
    燐羽「あら、ふふ担当のくせに弱気なのね、
    せめてハッタリでも虚勢でも張れば良かったのに」
    燐羽「実際投票数自体は程互角でしょ、案外信用していないのかしら?あ、な、た」
    恐らく普段あまり表情に感情が乗らないタイプなんだろうけど、少し青ざめた彼の表情に少しドキドキしている私がいた。
    流石に癇に障ったのか、ムッとしたように彼は言い返す
    P「確かに、あなたの言う通り自信があるわけではありませんでした。しかし、それは自分自身の力の至らなさ。彼女自身は日々成長されています。それはもはやあなたの知る月村手毬さんではないでしょう。」
    口調は丁寧ながら声は震えていた。本当に自分の力不足を悔いる様に。
    でも、あなたが思う以上にあなたは手毬に力を注いでいるわ。あの子が懐いているのが紛れもなう証拠よ。
    そして私は言う
    「当日あの子に喧嘩を売りに行くわ」
    きっとそれがあの子の決め手になる
    そんな気がしたのよ。何故かね

  • 36二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:10:37

    >>31

    物語には魂の形が現れますからね、

    文からすごい柔らかい、ペトリコールみたいな匂いがしてきてすごい好きです!

  • 37二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:12:38

    このレスは削除されています

  • 38二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:14:20

    >>36

    ありがとうございます!

    その言葉初めて知りました!

    空気感感じていただけて嬉しいです!

  • 39二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:24:45

    気づけばそれなりの時間が経っていた。
    俺は突きつけられた彼女の言葉を引きずっていた。
    話が終わりその後はお互い静かにカップの中身を淡々と胃に流すだけで、無味な時間だった。
    閉店間際になり客は俺たち二人、店員が空いた席を片付けている。
    そろそろ店を出ようかと言う空気になった。
    「ねぇ、まだあるかしら、時間」
    伝票を手に立ち上がる俺の背中に彼女が問いかける。
    あまりに唐突で心臓が飛び跳ねそうになった。
    彼女は淡々と身支度を整えて立ち上がる。
    まっすぐな視線をこちらに向ける。

    先程の刺々しさも、哀しさとも全く違う。
    どこか心に決めた様なまっすぐな視線に俺は戸惑った。
    「どちらでも良いわ、お店の人の迷惑になるから先に出ましょ」
    と言いながら俺の手から伝票を抜き取るとスタスタと通路へ向かって行った。
    いつも、俺は彼女の背中を見つめているな
    わかってはいたがその言葉を自ら突きつける

    ずっと遠く眺める事で満たされていた、
    自分には関係ないだろうと思い込んでいた。

    だから、今彼女から歩み寄って貰う事に実感がわいていなかった。
    少し経って俺は彼女を追う。

  • 40二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:55:40

    星南「今日もとても素晴らしい一日だったわ!」
    私はこのN.I.A期間中、日々のカリキュラムとトレーニングと別にプロデューサーとしても動いていた。
    忙しい生徒会メンバー達との軽い顔合わせ程度の定例報告会が済み迎えの車で帰宅する。

    送迎車に乗り大通りを抜けていく。

    星南「千奈、佑芽は当初の目標を大きく上回ったわ。美鈴も何かに火がついた様に実力を発揮し始めて彼女はトップランクに着くのは間違いないわ。だけど、ことね…私はあなたをどうすれば…導けるのかしら…」
    「そうだ、先輩、先輩に相談すれば良いのよね!」

    ふと、私は窓の外に目を向けた。
    なぜ今向けてしまったのだろう。
    私の胸が途端に苦しくなった。
    今まで明るい気持ちが何故か落ち込んみそうになった。

    大通りから商店街の前を通る横断歩道で車が停車した。私は窓の外に目を向けたのはその時だった。

    あれは!!先輩…
    最初は運命かと思え心が踊った。その一瞬で私の心が曇るのを感じた。
    「…賀陽燐羽…さん?」

  • 41二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:47:26

    いいよぉ!!これ!もっと、もっと燐羽を!!

  • 42二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:22:14

    このレスは削除されています

  • 43二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:29:17

    楽しみにしてるでぇ

  • 44二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:33:41

    「それで、どこに行きましょうか?」
    彼女は改めて問う。
    「恥ずかしながら、営業先以外にこの辺り詳しくないんですよ、」
    俺は苦い顔で答える
    燐羽「あなた、アイドルのプロデューサーのくせに女性のエスコートも出来ないの?全く情っけないわねぇ」
    「まぁでも、付き合ってくれるのよね。じゃあ、行きましょう」
    スルりと腕を伸ばして俺の腕の隙間に絡めた。

    一度商店街の入り口まで戻り、学園と反対に向かう。
    少し行くと大きな川がありそこを橋が渡っている。手前は十字路になり川沿の歩道はランニングコースにもなっていた。

    橋の手前。川沿の歩道は高さ1M程の下り階段がありシンメトリーに埋め込まれた
    石畳の散歩道にベンチが並んでいる

    夕陽も沈み、夜の張が降り
    対岸にあるライトアップされた
    遊園地の光が星座みたいに輝いていた。

    そこへ向かい
    無邪気な少女の様に彼女は階段を跳ね降り
    手すりを掴み対岸の夜景を楽しむ。

    遅れて階段を降りきった俺に
    燐羽は振り返る
    背後の光により表情がよく見えない
    少しずつ擦寄り燐羽の手が俺の背中を抱きしめていた

  • 45二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:53:06

    美しい…

  • 46二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 04:55:23

    私にとって初めての気持ちだった。
    今までずっと一人で大丈夫って思ってたから。
    だけど、本当は一人は寂しくて
    どうしようもなかった。
    私の中で抑えていた感情が溢れて来た。
    Pに抱きつき胸に顔を埋めていた。
    振り向いた時に顔を見られて無ければ良いのだけど。私は彼の慣れない手つきで肩を抱かれていた

    燐羽「ねぇ、お願いがあるの、
    私が手毬に負けたら、私のあの子達を
    手毬に引き取って貰いたい。」
    確かにそれも本音。だけど、違う。
    本当に言いたい事は…本当に言いたい事は…
    P「わかりました。必ず、
    責任を持ってお約束します。」

    「代わりに、俺からもお願いがあります。
    もし、あなたの気が変わってまた、
    初星学園に戻って来たなら…
    その時は…」
    思わぬ言葉に意表を突かれ
    私は感情を抑えながら籠る声で答える
    「な、なによ?」
    一瞬の緊張が全身を昂らせた。
    「あ、あなたをプロデュースさせてくれませんか?」

    「は?」
    私は思ってたのとはあまりにも違う答えに顔が綻んだ
    「…おばか」

  • 47二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 09:37:53

    かわいい

  • 48二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:12:17

    ほんとこのいい雰囲気好き好き

  • 49二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:45:42

    このレスは削除されています

  • 50二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:53:04

    川沿歩道から階段下にある石畳の散歩道。
    対岸でライトアップされた遊園地の爛々と輝く光と
    ベンチの傍に置かれた街路灯の仄かな橙色の光が
    抱き合う二人を包んでいた。
    その光景はまるで絵画の様に美しかった。
    車道に面した高台から
    私はそれを目にしてしまった。
    全身の血が引いた様に身体が冷たくなり、
    今にも足から崩れてしまいそうになっていた。
    途端に全ての感覚を失ってるんじゃないかと疑うくらい周りの景色も音も匂いも感じなくなった。
    ただ、頬を伝う生暖かい感覚は理解出来た。
    ああ、私は今泣いてるのね。


    車内から腕を組み歩く二人を見てしまった
    私は車を停めて貰い二人の後を追った。
    運転手はやめた方が良いと私に諭した。
    私の本能も良くない事だと告げる。
    が感情はそれを無視した。
    どうせ追っても碌なことにならないのは
    目に見えてる。そんな事はわかってる。
    けど、どうしても確かめたかった。
    何故か、二人を許せなかった。
    恐らくこれが嫉妬なのだろうと
    私は初めて理解した。
    そして、そんな自分も許せなかった。

  • 51二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:55:34

    コメント等ありがとうございます!
    削除増えてるのは投稿してから気づいて
    手直ししてる為なので気になる方すみません!

  • 52二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:06:44

    距離2、3m程。
    すぐそこに二人がいる。何か後ろめたい気持ちが溢れ、私は息を殺し、足音を消し後退りする。
    少し手前で待ってくれていた車になんとか乗り込む。

    ほんの数10mの距離を歩いただけにも
    関わらず普段のトレーニングより余程疲れを感じる
    私は車を動かして貰う。運転手は何も聞かなかった。
    多分酷い顔をしている自分を映すだろう窓は見ないようにした。
    心の奥底から黒いモヤモヤが私の中に込み上げて来る。でも、私はそれをどうしていいのかわからず
    気を抜けばすぐに涙が止まらなくなるのは間違い無かった。

    私はどうにか力を振り絞り頭を働かせる
    やっと思いつき行動に移す。

    「先輩、ことねのプロデュースについて相談させて貰いたいのだけど、明日時間はあるかしら」
    何とか平静を装いながら文章を考える
    普段先輩に気兼ねなく連絡出来たはずなのに、
    今は文字を打つ手が小刻みに震える。

    ちゃんと返事は返って来るの?
    もし返って来ないとしたら、なぜ?
    なぜ、先輩は賀陽燐羽と面識があるの?
    そういえば、極月学園で一緒にいたということは
    もっと前から二人は知り合いだったの?

    考えるほど、良くないことばかり脳内に広がる。
    一体、私はどうしてしまったのだろう、
    胸が、苦しい、

  • 53二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 19:13:03

    「世界で一番!!宇宙でいっばーん可愛いー
    ことねちゃんだよー!!!
    せ・な、せんぱーい、ほら、早く起きてー!!」
    ことねの音声をAIに記録させて作った
    目覚ましが起床時間を告げる。試作段階とはいえ、ことね抱き枕を抱えながらも私は一睡も出来なかった。
    昨夜は押しつぶされそうな不安に耐えられず
    泣き尽くしてしまった為、目が腫れ、くまが出来てしまい目の周りを念入りにケアし朝のルーティンに赴く。
    幸い先輩から昨日のうちに返信はあった。
    今日放課後に会えることになった。
    安堵と不安が混じった気持ちを殺して
    一番星として、私は学園へ向かった。

    Pあの後はすぐに彼女とは解散した。
    別れ際に彼女は、
    「あの店に行く事はもう無いと思うわ。
    だから、あなたと会うことも無いでしょう。
    それと、今日私と話した事も知り合いであることも手毬には内緒にしていてね。」
    と初対面さながらに淡白に告げた
    せめて途中まで見送りにと思ったが、
    切り出す前に彼女は知らぬ素振りで帰路へと消えていった。微かに身体に残る彼女の温もりを感じ
    少し落ち着こうとする。
    何気なくポケットからスマートフォンを手に取ると星南さんからメールが来ていた。

    「先輩、明日なのだけどことねのプロデュースについて相談させて貰いたいのだけど」
    すぐに頭が冷静になり、昼に考えていた事の
    脳内整理を始める
    手毬さんに関して、燐羽さんのファンを手毬託したいと頼まれた事で大きく可能性が出て来た。
    しかし、そう、星南さんが担当する
    ことねさんの件がまだ解決していなかった。

  • 54二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:30:18

    手毬「プロデューサー!!見て下さい!!私の表、凄く伸びてる!!これって私の魅力が凄すぎるってこと!!?」
    事務所で明らかに増え出した表を確認して理解した。
    P「ええ、そうですよ、あなたの熱量が沢山の方々に届き出したんですよ」
    「きっとこの調子なら賀陽燐羽さんを見返しせるでしょう」
    頻繁に呼び慣れていたはずの名前が他所他所しく感じた。
    もう、会えないと断言された事で心のどこかに空白が出来たみたいに。
    手毬「ふん、プロデューサーが私の事そんな褒めるなんて、珍しいね、何か変なものでも食べたんですか、(嬉しい!!私のこときっと本気で好きなんだ!これってもう付き合ってる、よね!)」

  • 55二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 20:54:09

    放課後ー生徒会室ー
    ノックをし、返事らしき声があり入室する。
    静かな生徒会室には窓を背にする様コの字に机が並べられ丁度真ん中の席に星南さんが一人座ってた
    だが、西側の窓から差し込む夕陽が彼女に影を作り顔が見えない。
    違和感があった。入った瞬間空気の重さを感じる
    いつもの溌剌とした元気がまるで無い。
    P「何かありましたか?」
    星南さんは微動だにせず手を顔の前で組み一点を見つめていた。
    P「星南さん…?」
    近づくにつれて星南さんの顔が伺える様になるゾクっと背筋が冷たくなった。星南さんの顔が死人の様に真っ青だったからだ。
    駆け寄り、身体を揺すりながら名前を大きな声でゆっくり呼びかける
    「星南さん!どうしたんですか!星南さん!」
    ようやく、彼女は気を取り直したが溢れる程の涙を目に浮かべ、すぐに頬から滴り落ちた
    星南さんは何も言葉が出せず喉を鳴らし俺の胸に縋りついた。

    涙がボタボタと床に落ちる。俺は何も言わず優しく肩を抱き、彼女が落ち着くのを待った。

  • 56二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:29:18

    気がつくと私は眠っていたみたい。
    ここは、生徒会室、机に伏せて眠っていた、
    ブランケットがかけられた状態で。
    沈みかけた空がぼんやり暗くなって来ている情報を整理してる途中で声をかけられる。
    「落ち着きましたか星南さん」
    「…先輩?」
    目を擦りながら寝起きのまま問う。
    学園長と十王社長には連日の疲れで学園で寝てしまい帰りが遅くなると伝えて起きました。

    ようやく頭が覚めてきて、またえもいわれぬ恐ろしさが込み上げて来る
    居ても立っても居られずに先輩を抱きしめる
    「いやよ、先輩は私のものよ!絶対、誰にも渡したりしないわ!」
    こんなの論理も何もないただの子供の我儘だ。
    さすがの私だってそれくらいわかるわ。
    でも、私は、気づいてしまったのよ。
    あなたの事が好き。離したくない。
    たとえ元同門の可愛い後輩だとしても!
    震える身体が彼を離さないように強く背中を抱きしめる
    ただ自分の、一方的な不安を振り払おうとするように。あぁ、私ってこんなに弱かったのね

  • 57二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:08:43

    応えるように彼の男性的な胸が腕が力強くでも優しく私を包み彼の香りは安心させた。
    埋めていた顔を彼の方へ見上げる。

    黒目がちでキツネの様な釣り上がり凛々と
    輝いた瞳に吸い込まれるように見つめる。
    私は瞼を閉じいつでも心の準備をした。
    本当は少し怖くて緊張で身体がこわばっていた。
    彼の薄い唇が触れた瞬間全身の力が抜けた。
    自然と身体を委ねる様になり、私は求めるように下を出す。彼はそれに応える。
    全身の昂りが体温を上げていた。
    自分でもどうかしているのに疼きが堪えられなかった。
    しばらくすると、彼は唇を離す。
    肩を優しく離すとゆっくり諌めるように私に語る。
    「あなたはとても美しく、凛々しく、気高く、誰に対しても優しく思い遣りのある方だ。」
    優しい目で私を傷つけないように続ける
    「あなたが孤高でストイックで沢山の重圧を物ともせずにあるのは素晴らしい」
    「だけど、一つあなたは自分の弱さを認めて、
    もっと自分を曝け出してもいいのではありませんか?」
    私はまた涙を流して力が抜ける様にへたり込んだ

  • 58二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:34:29

    落ち着きを取り戻した
    私は改めて彼を担当Pに指名した。
    それと同時にことねの件も相談した。
    P「あなた浮世離れしてる節がある。藤田ことねさんは現実的に物事を見ているので、まずさしっかり順序立て説明すること、リスクとそれに見合う価値を明確に提示する必要があります。」

    俺は先日リストアップした中から藤田ことねさんのプロフィールと現在の投票数、実績、ポテンシャルを見る。
    「今からなら彼女の能力なら達成出来る実績を提示する。ここを最低ラインとし達成可能なら学園からの援助は問題ないでしょう。
    その場合のリスク一覧がこちらです。
    SS+〜EまでありA+以上から援助が降り現在の負担額も減らせます。
    頭に叩き込んでください。
    少なくとも、千奈さん、佑芽さん、美鈴さんとは勝手は全く違いますから」

  • 59二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:45:13

    QUARTET当日。
    本番前の楽屋にて
    月村さんが決意を改めるように、
    SyngUp!の解散理由を話してくれていた。
    その途中事前に言っていた様に
    燐羽さんが現れて月村さんを挑発した。
    月村さんのボルテージを上げる為としてまでは、
    恐らく彼女のイメージ通りだったのだろうな。
    まさか、あんなことになるとはな、

    俺は商店街のいつもの
    喫茶店でいつもの席でコーヒーを飲んでいる
    彼女のいない喫茶店。
    なんだかんだで常連になってしまっていた。

    月村さんと燐羽さんの喧嘩(?)がネットに上がり、星南さんには偉そうな事言ってしまったが、俺自身正直、月村さんをどうしてよいかわからなくなり、少しやけにもなっていた。
    一応燐羽様ファンは今回月村さんに着いてくれたみたいでFINALEへの確実な出場権が手に入った。
    など考えていると
    知人に依頼していた件がたった今
    探している人物が見つかったと
    連絡が入りすぐに向かうことにする。
    藤田ことねさんのお父様だ。
    星南さんに効果があるかわからないが、
    一応藤田ことねさんマニュアルを渡して俺が留守の間の彼女プロデュースの足しにしておいた。

  • 60二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 01:32:50

    月村さんは、優勝確定候補の秦谷美鈴さんをもFINALEで下し、見事。優勝に輝いた。
    そして、俺も導いたプロデューサーとして学園内の評価が上がっていた。

    祭りの後よろしく、賑やかだった学園も天川の街中も日常の落ち着きを取り戻していた。

    N.I.Aで優勝したことにより
    学外での仕事は確かに増え忙しくはなった。
    だけど、隙間があれば俺のルーティンに組み込れた夕時の商店街の喫茶店。

    星南さんは自分のセーフティを外してからより自信に溢れ、大人の落ち着きを持ち始めさらに魅力的になった。あからさまな誘惑はもう無いにしても常に俺を囲んでことね包囲網を企んでいる。

    学園から通りへ向かう門を目指す俺は
    一人の女学生とすれ違った。
    制服は初星学園のものだが、見た事のある紫髪と
    以前どこか、記憶に知る香りが鼻腔をついた。
    俺は反射的に振り返り彼女の背中を拝む
    サイドで束ねた紫髪に声を漏らした
    「燐…羽…」
    俺の知る
    彼女の切れ長の目に青紫色の凛々と輝く瞳、
    薄くみずみずしい唇。
    サイドで止めた蝶の髪留め。
    美しい姿勢を崩さず彼女は振り返り
    言った。
    「また、あったわね」

  • 61二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 01:41:39

    以上になります!
    お読み頂きました皆様ありがとうございました!
    最初はなるべく短く、読みやすく
    キャラ会話多くを考えてたのですが
    結局長くなってしまったので
    足し引きを見直さなきゃなってなりました!
    燐羽様もですがPの日常とあまり見えない部分の物語を描きたかったのがありました!
    お時間割いて下さいました皆ありがとうございました!
    以降は皆様の妄想スレになればと思います!
    また何か描いてみようかと思います!

  • 62二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 01:50:06

    お疲れさまでした。雰囲気良くて楽しめました。会長は強く生きて…!

  • 63二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 01:59:15

    >>62

    ありがとうございます!

    会長ルートにENDにするかめちゃくちゃ迷いました!

  • 64二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 03:57:29

    燐羽……!!

  • 65二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 08:03:55

    おまけ1
    後日

    燐羽はこちらを見るなり駆け寄って腕に抱きついてきた。
    燐羽「久しぶり、ね。」
    P「どうしてここに?」
    燐羽「あら、あなた出かけるの?じゃ、私もついて行っちゃおっ〜と」
    腕に身体を押し付ける。柔らかな胸が当たり心臓が高鳴る
    「あなた達、人様の往来で何をやってるの!?」
    厳格で品のあるよく通る声で注意される
    星南「あら、先輩。それに賀陽燐羽さん。
    戻ってきたのね、おかえりなさい。」
    胸の前で腕を組み燐羽に対して含みのある微笑みかける星南さんはこちらに詰め寄るように歩き出し
    もう片方の腕に抱きつき力強く引っ張る
    星南「さぁ、先輩!今日もいつもみたいに一緒に話合いましょ!ことねの為に」
    ことねさんはだしに使われている
    燐羽「あら、会長。あなた私とPが抱き合うの見てたとき青ざめるような、うぶな子猫ちゃんだってたくせに今はえらく余裕じゃない?何かあった?」
    燐羽も負けじと引っ張ろうとする。
    星南「あ、あなた気づいてたの、」
    狼狽えるように答える
    燐羽「当然でしょ?あんなすぐそばにいたんだもの?」「あなたの方が早く手をつけてそうだったから、わざわざ会長に時間を上げたのに、まさか今まで何もなかったなんてないわよね?」
    星南「あ、あったわよ一応。」
    燐羽「ふふ、あらその様子じゃそこまで行ってないみたいね。
    今日からPは私のPだから覚えておいて頂戴ね」
    燐羽は少し優位な目で会長に微笑み返した
    星南さんは笑顔のまま睨み返す
    そして二人は同じタイミングで言った
    「あなたには絶対渡さないから」

  • 66二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 10:35:30

    燐羽……!!!!!

  • 67二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 10:36:25

    不足気味だった燐羽成分が補給されていくのを感じる…

  • 68二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 12:27:42

    おまけ2 ある日
    「悪いわね引越しの手伝いさせちゃって。」
    彼女は寮に入らず商店街近くのアパートに引っ越した。
    理由は寮より安かったのと移籍した時の契約金や実績報酬でそれなりに蓄えたので一人暮らししたかったそうだ。
    燐羽「いらっしゃい、さぁ遠慮せず中へ入って」
    白い無地のシャツと白く適度に引き締まったた長いふとももが見える学園のレッスン用ハーフパンツ姿でで迎えた。
    手伝いと言っても組みて式の簡易家具を組むだけでテーブル、本棚、ラック、衣装棚物が少なく殆ど手間も掛からず午前中にはだいたい終わった。
    燐羽「ねぇ、お昼どうしましょうか?何か頼む、それともお外出かける?」
    P「燐羽さんの手料理が食べたいなぁ、なんて」
    燐羽「残念、今食材がないのよ。じゃ、こうしましょう、お昼はお出掛けして、お買い物して夜は作って上げるわね。」
    P「無茶言ってすみません」

    燐羽「いいわよ、引越しの手伝いに付き合ってくれたのだものそれくらい構わないわ、じゃ行きましょ」
    というとそのままのかっこで俺の腕を引き外へ出た

  • 69二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 12:41:20

    手鞠から見ると付き合ってると思ってた自分のプロデューサーを燐羽に掻っ攫われてるんだよな
    いやでもまだ気づいてすらないかもしれないか

  • 70二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 14:22:24

    乙です。とても楽しく読ませていただきました!
    燐羽様とPの距離感が好きです!

  • 71二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 15:28:29

    "手毬の教育方針会議"食堂にて参加者
    花海咲季、藤田ことね、秦谷美鈴、賀陽燐羽
    議題「月村手毬の叱り方」
    咲「手毬は私の作ったげてる食事さえ食べていれば健康面はばっっちしよ!!あとは、あの子らしくそのままで入ればいいと思うわ!!」
    美鈴「ふふ、まりちゃんらしく甘えん坊さんのままでいいんです」
    燐羽「美鈴、それじゃ話にならないでしょ、」
    ことね「あーんた達が、そんなだから手毬が自立出来ないんでしょ!ちゃんと治した方が良い事はハッキリ言ってあげた方が手毬のためだって!!」
    美鈴「藤田ことねさん。あなたにまりちゃんの何がわかるって言うんですか」
    ことね「わかるよ!合宿とかで一緒の部屋になると服脱ぎっぱなしだし寝る時なんて手足冷たいって手握って来たり足くっつけて来たりするんだぞ!あいつ!!赤ちゃんかよ!」
    美鈴「…っ!?」キッ
    燐羽「ことね、今の発言よくないわよ」
    美鈴「藤田ことねさん、あなた、許しません」
    ことね「なーんでよ!!意味わっかんないんですけど!!」
    燐羽「美鈴には地雷よ」
    咲季「まぁ、まぁ、ねぇ燐羽あなたはどう考えているのよ
    燐羽「そうねぇ…」
    走って来る手毬
    手毬「りんはぁ〜!!ドアで指挟んだ!!痛いの治してぇ〜!!」
    燐羽「はいはい、よしよし、ほら手当しに保健室まで行くわよ。ちょっと行って来るわね」
    ことね「もしかしてあいつが一っち番甘いんじゃねぇの」

  • 72二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 15:45:08

    最高すぎて泣いた

  • 73二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 17:48:07

    >>71

    抜けてましたが。おまけ3でした!

  • 74二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:20:13

    おまけ4 日常 ある夏の日
    燐羽の部屋は東に面した角部屋で、向かいは空きの為、朝になると日差しがモロに当たる
    空調はあるが壊れていて取り替えて貰うまでの間、着けてもしばらくすると動かなかったりした。
    「暑いわ。」
    外から見えないレースのカーテン越しに
    窓を全開にして扇風機頼りだった。
    「一体いつの時代の生活なのよ」
    スポーティーなランニングシャツと運動用のハーフパンツで身体から流れた汗がキラキラ胸元に滑り落ちる。
    俺はコンビニで買って来たドリンクを差し出し、そっけなく感謝した彼女はそれを受け取る。来る途中に貰った買い出しメモから冷却シート、氷を冷凍室に収める。
    後ろから甘い香りと湿っぽい熱気がワイシャツ越しに抱きついてくる。
    「ありがとう、」チュッ
    彼女の唇の温度が頬に残った。
    「やめて下さい、まだ朝ですよ」
    甘いシャンプーの香りと汗の少し湿った不快ではない混ざり合った香りが俺の理性を破ろうとする。
    「えー、私はいつでも良いのだけど」
    燐羽はじゃれつく猫の様に言った

  • 75二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:33:04

    大いなるイッチに感謝を

  • 76二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:15:41

    燐羽に脳を焼かれるんじゃ〜〜〜^ ^

  • 77二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 23:05:24

    せっかくなのでこのまま短編を続けてみたいと思います。

  • 78二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 00:13:07

    生活感の描写がめちゃくちゃ好きだ、イキイキしてる

  • 79二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 00:25:06

    其の5 日常 川
    学園から少し北の山道を登ると渓流が流れる河原があった。大雨で氾濫しない限りは基本的に浅く入って問題ないとはされている。
    樹木に囲まれた夜の闇は大きな月と満天の星空が眩しいくらい明るく照らしてくれた。
    川辺を宝石の輝きみたく
    蛍の光が線を描いて踊っていた。

    燐羽は昼間ここで水着撮影をした。
    スタッフとの軽い雑談で蛍が見れると知り
    すぐにこっちに詰め寄り
    脅すように俺に向かって言った
    「今夜、蛍見るわよ、ここで」
    なんてロマンのカケラも無かった。
    だが、今は二人でただこの時間を過ごしている。
    キャンプ用の折り畳み式チェアを二つ持って来て並んで座った。
    言葉なんて野暮だと言わんばかりに
    何も言わず自然にお互い指を絡めていた。
    少し肌寒かったが触れ合う体温で
    いつしか気にならなくなってていた。

  • 80二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 02:49:59

    其の6 日常 風邪
    「あなたが風邪ひくなんてね。」
    「あぁ、いちいち身体起こそうとしなくて良いから寝てなさいちょっとキッチンと食材使うわね。」…
    頭がフワフワしていた。燐羽は一人がごちながらテキパキ調理している…
    「今のうちにお部屋を掃除しちゃいましょう。どうせよからぬ物あるんでしょ、全部捨てちゃうから」…
    「体温はどうかしら?あら、まだ、熱ありそうね」…
    「みっともないわね、プロデューサーが担当アイドルに看病されて。あなたプロ意識あるの?張り合い無いわねぇ」…
    「ねぇ、大丈夫?」
    霞む目の前にベッドに腰掛けながらポンポンと身体を叩いていた。…
    「ごめんなさい、あなたが無理してるのに気づいてあげられなくて、」
    彼女が震えてるのはわかったでも何か声を上げたくても声がでない。
    燐羽の顔が目の前来る
    「んぷっ」
    燐羽が口付けをして舌を入れて来た。
    咳き込みそうに咽せる。
    口の中を洗うように舐めまわす感覚を味わう
    移るから止めろと言いたくても声も身体も動かなかったそのまま気を失った。
    気づくと朝になっていた。
    夢かとベッドを見ると燐羽が隣で眠っていた。手で額に触れる。体温が熱かった

  • 81二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:53:12

    文豪様…ありがたや……

  • 82二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 11:10:39

    其の7 日常 
    「縁日に行きましょ」
    商店街の入り口にある鯛焼き屋で買った鯛焼きを燐羽は今まさに猫みたいに咥えて聞き返す俺に頷いた。
    人齧りしてから上目遣いになり
    燐羽「ねぇ、いいでしょ、?」
    美しい二重瞼が目の輪郭がよく見える
    その目で見られると、なんとも言えない気持ちになった。
    丁度の期間に地域の催事行事の仕事があったので引き受けることにして、スケジュールを押さえ、燐羽に伝えた。
    燐羽「さすがね、頼りになるわ」
    言葉の起伏は少ないが喜んで腕に抱きつた

    ー当日ー
    想像以上の賑わいに屋台は混み合っていた。
    「実はね人混みって好きじゃないのよ」
    当日に何を言い出すんだと驚く俺の胸に掌を当てて
    「あなたと行きたかったの」
    だけ言うとエスコートしろと言わんばかりに手を差し出した。

    赤提灯が至るところに掲げられ、どこからか祭囃子の音頭が流れている。
    高揚感に駆られてなのか、
    出店を巡る彼女は意外にもはしゃぎ、
    俺の手を引っ張っては楽しんでいた。
    「次はあっちに行ってみましょう」と
    射的、金魚釣り、型抜き勝負を挑まれ勝ったら喜び、負けては負けず嫌いを露わにしていた。
    縁日が終わり、帰ろうとする中、燐羽は振り返らず寂しそうにその場で足を止めた。
    そんな彼女の手を繋ぎ俺達は帰路に向かった。

  • 83二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:06:26

    其の8 日常 風邪2
    彼の布団は太陽の匂いと落ち着く彼の匂いがした。ふかふかしてて寝心地が良かった。
    それを満喫したかったんだけど、どうやら風邪が移っちゃったみたい。彼の布団の中でまどろみを感じるのは悪く無い気分だけど、身体のダルさが思考を鈍らせた。

    私は彼に跨ってキスをして舌まで入れてしまった
    そんな大胆な自分に今更恥ずかしくなった。ほっぺのキスだって最近初めてしたばかりと言うのに。私ったら。熱のせいなのかどうなのか顔が熱ってる。
    P「学園には休みの連絡をしておきました。今日はどうか安静にしてて下さい。俺は流石に出なくちゃいけないので、何かあればすぐ連絡して下さい。食事は用意してあるので、食べれそうならレンジで温めて召し上がって下さい。もう、こんな無茶しないで下さいね、お願いですから」
    彼はそう言って私の額に手をやり自然の流れに乱れた髪を梳かし私の頬の輪郭を指でなぞった。彼の手が離れると急に寂しくてたまらなくなった。
    ねぇ…行かないで、側にいて…
    言いかけて堪える目を瞑ると寝入ってしまった。
    あなたの帰って来た音で目覚める。一日寝ていたのかと心の中で溢す。枕元の時計に目を滑らす。まだ昼前だった。
    「早いですが、あなたが心配で帰って来てしまいました。」
    彼の声が私を安心させた。心の中から喜びを噛み締めた。
    あぁ、私は今なんて幸せなんだろうか

  • 84二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:51:26

    ああ…心が洗われるようだ……

  • 85二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:59:40

    其の9 日常 浴室
    元気になった私は彼の家のシャワーを借りる。ゆったりとした広さ。彼の脱衣場に鼓動が高まる。
    入ると正面に洗面台と収納ラック、洗面台上にドライヤー、鏡横の棚には物少なく、黒のカップに入った歯ブラシ、歯磨き粉と洗顔料、整髪料とシェーバーが立ててある。横に洗濯籠と洗濯機が並ぶ、
    右手のスライドドアの向こうがバスルーム。
    半身鏡で自分のボサボサの髪が目に映る。

    バスルーム横に背丈くらいの銀色の簡易ラック。
    上段からタオル棚、下に収納ケースがあり
    備品分けられざっくり名前が書かれていた
    彼の性格を物語っていて可笑しくなった。
    仕方ないとはいえ、改めて着替えを持って来てない為、同じ下着を着けるしかない自分が恥ずかしくなった。

    浴室で身体を清め洗い流す。彼の使う浴室に身体が火照る。何も起こらないのはわかってるし、可愛い下着もつけてないからどのみち不可能だと邪念を払う。
    借りた浴室を綺麗にして、濡れた身体をタオルで拭う。無意識にタオルの匂いを鼻に近づけた。

    髪を乾かし、櫛で丁寧に手入れした。
    服や下着は昨日のままなのが気持ちをげんなりさせた。
    いつでも大丈夫なように準備はしておこう。
    私は心に誓いリビングへ戻った

  • 86二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:41:35

    >>1

    スレ主です。本編(?)がまぁまぁ長くて.

    (文章も多くて)、

    P燐メインで楽しみたいって方は今続けている

    短編の方が読みやすいかもしれません。

    もしよろしければ、どうぞです

    ↑↓

  • 87二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 19:58:47

    其の10 日常 清夏
    「遊園地に連れて行きなさい」
    レッスンが終わり、私の着替え待ちしていたPに対して唐突に強く命令口調で言った。
    たまたま廊下で話すことねと篠澤さんの会話が耳に入った。
    ことね「えぇ〜良いなぁ〜!!担当Pに遊園地連れてってもらったんだ!!それってほぼデートじゃん!!めっちゃ羨ましい!!」
    広「うん、ご褒美。いつもは冷たいけど。
    連れて行って欲しいって言ったら、連れてってくれた。ふふ、楽しかった、よ」
    燐羽「(素敵な話を聞いたわ)」
    ー食堂ー
    燐羽「ねぇ、紫雲さんちょっと良いかしら?」
    リーリヤと話す清夏
    清夏「あれ?燐羽っちがあたしに用?」
    燐羽「ええ、そうよ。葛城さん、紫雲さんを少し借りるわね」
    リーリヤ「え、あ、はい。どうぞ、です。」(かっこいいなぁ)

    清夏「あ、燐羽っち、あたしの事は清夏でいいからねー、あたしも燐羽っちって呼んでるし」
    燐羽「ええわかったわ、清夏。今度のお休みって予定あるかしら?」
    清夏「どしたん!?いきなり!?」
    少しいい淀みながらか細い声になる
    燐羽「その、可愛い服が欲しくて、私はそういうの疎いから、その、あなたなら詳しいかなって思って見てもらいたくて…」
    清夏は何か察して微笑む。
    清夏「はっは〜ん、そう言うことね〜。あんたらいっつも商店街しか行ってないもんね〜」
    燐羽「どうしてそれを!」
    清夏「いや、目立つってさすがにあんなベタベタしてたら!むしろ、気づいてないとか思ってたん!?まぁ、いいよ!よぉし、じゃあ燐羽っちのこといっぱい可愛くして上げるね〜!!」

  • 88二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 23:49:04

    其の11 日常 喧嘩
    機嫌の悪い私を彼はどうにかしようとしている。
    先日の遊園地。アトラクションを楽しみ、
    朝から手作りしたランチを広場で採り。
    私は楽しかった。だけど、最後に入ったおばけ屋敷が全てを許せなくした。
    ずっとビクビクと彼の腕にしがみつき、ようやく出口を抜けた時、私の青白い顔を見るなり笑顔で彼は言った。
    「燐羽さんにも怖い物ってあるんですね」
    そこからの帰りの空気は最悪だった。
    私が一言も口を聞かないまま、解散してしまった為だ。気まずさを引き摺り数日が経つ。
    あの日頑張っておめかしして、準備した事が馬鹿らしくなっていた。矢先にPから着信がある
    「なに?」不機嫌に問う?
    モゴモゴする彼に余計に苛立つ
    「なに?さっさと、用件だけ手短に言って頂戴。」語気が強まる。近くに居るから、会いたいとの事だった。
    「私が今からあなたに会う必要なんてある?」
    こんな些細なことで怒ってる自分の器の小さい事を嘆いた。本当はもうどうだってよかった。でもどうして仲直りすれば良いのかわかなかった。
    不意に今までの日々が浮かんだ。丁度良い機会なのかも
    「わかったわ、公園で会いましょう、すぐ行くわ」とだけ告げ一方的に切った。
    ばつの悪そうな彼がそわそわした様子で待っていた。
    「待たせたわね、で?なに。」
    さっさと終わらせてと言わん風に言ってしまった。
    「先日は本当に申し訳ありませんでした。」
    「別に私は謝罪の言葉なんて求めてないんだけど?なに、それだけの為に呼び出したの?なら、もう帰るわね」一方的に会話を打ち切りくびきを返すして自宅へ向かう。彼は私の手を掴み、振り向かせる。
    私は睨みつけた。それを意も介さずに
    「可愛かったんですよ」
    撃たれたみたいに心臓が止まそうになった。
    「は?」間の抜けた声をだす
    恥ずかしそうに仰向けに鼻を掻きながら、
    「怖がってる姿が凄く…」語尾が弱まる
    一気に鼓動が早くなり、私は顔が熱くなった
    「お、おばか…」私は彼に抱きついた

  • 89二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 04:51:33

    すきだあああ

  • 90二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 12:46:12

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:21:56

    コメ、保守感謝です!

  • 92二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:23:45

    其の12 日常 出張
    彼は出張中だった。
    食事風景の写真を添えたメールが来た、見てすぐに閉じる。
    数日会わないだけで
    彼のいない日常の物足りなさを感じる。
    「掃除でもしたげようかしら」
    今日は特に何もない。午前中は日課を済ませて、一度シャワーを浴び、彼の家に向かった。風邪の時みたく何か困ったらいつでも来て良いと予備の鍵を預かっていた。
    相変わらず部屋自体の物は少なかったが、散らかってるのを見ると生活の余裕の無さが伺えた。
    洗濯機の中の物を外に干し、無造作に取り込まれた衣類を綺麗にたたんで収納する。
    掃除機をかけ、次出すゴミをまとめると少し休む。
    買って来たお菓子と飲み物を袋から取り出して、リビングのソファーに座り齧りながら適当にチャンネルを回す。再放送のドラマが流れたが、切り替えて好奇心のまま録画されてる番組リストを見る。
    「エッチなのとか観てるのかしら?」
    表示されたリストを観て血の気が引く。
    十王星南の特集が一面に広がる。
    振り返りすぐ部屋を見渡す。デスクに目をやると各アイドルの資料がまとめられたファイルが並んでいる。
    十王星南のだけが抜かれて無かった。
    「出張って会長と?」
    変な勘繰りをする。
    引き出しを漁ると各担当の日記が見つかる。
    その中の一冊を手に取る。既にノートは終わっていたが、少し覗いてみた。それは十王星南とのプロデュース日記。出来事の日時とメモが記されていた。
    ふと目に入った文字にショックで眩暈がした。"遊園地に星南さんと営業"
    「わたしより先に会長と遊園地に行ってた」仕事なんだから別に問題無いはずなのに、
    急に不安で胸が張り裂けそうになった

  • 93二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:59:42

    其の13 日常 外泊
    Pから"明日帰ると"連絡があった。
    まぁ私から聞いたのだけど、
    "じゃあお夕飯の支度しておくわね。"
    と返した。
    "そんな悪いですよ"と返して来たが、
    "構わないわ、待ってるわね"と返す。
    家主の居ない部屋で泊まった。
    どうせ一人きりなら少しでもPを感じてたい気分だったから。

    昨日のうちに下拵えだけ済ませた。
    放課後夕食の支度に向かうと程なくしてPが返って来た。
    燐羽「あら、おかえりなさい。おつかれさまね」
    P「ただいま、わざわざすみません」
    「別に良いわよ。」
    私は振り向かず背中で答える。
    Tシャツとハーフパンツというラフなかっこ。この方が楽だ。献立は、少し安かった牛肉で甘辛お肉炒めと、湯豆腐、サバの塩焼きにした。
    内心穏やかじゃないが平静を装って探りを入れる。
    「どこまで行ったの?」
    「県外ですよ、新規ルートで新しい街お越しの取り組みに是非協力さて貰えないかという話で」
    「へぇ〜、誰と行ったの?手毬?」
    先に可能性を狭める
    一瞬の間があり
    「…いえ…」「会長?」「はい、」
    「へぇ。さすが一番星ね」
    「あの、燐羽さん」「なに?」
    「怒ってます?」
    冷静になろうと深呼吸するが、どうやら頭に血が上ってるみたいだ。
    今何か口にすると言ってはいけない事ばかり出て来そうだった。なんとか堪える。
    「ねぇ、今日ここに泊まっても良いかしら?」

  • 94二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 20:30:35

    燐羽SSが読めて俺は幸せだ…!

  • 95二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:01:39

    このレスは削除されています

  • 96二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:05:51

    ちょっと誤字多かった為、消しました!

  • 97二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:08:48

    其の14 日常 無言
    今日泊まっても良いかしら?
    彼女の華奢な後ろ姿の料理姿が愛おしくて仕方がなかった。
    後ろから抱きしめて後ろ髪に顔を埋めた。
    彼女は動揺を露わに
    「ちょっと、火を扱ってるから危ないわよ」
    と慌てた。彼女の甘い香りに安らぎを覚える
    しばらく無言で抱きしめていると彼女の鼓動がはやくはなるのを感じた。
    火を止め、抱かれている腕に手を添えた。
    その手はガクガクと小刻みに震えている。
    「さぁ、食事にしましょ、冷めてしまうわ」
    少しの沈黙があり俺の手を解いた。
    「ねぇ…」振り返くと俺の手を取り自らの背中を抱きしめさせた。
    彼女の手が俺の頭を掴むと目を閉じ唇を重ねた。
    チュッっと甘くみずみずしい音が跳ねる。
    そのままを固定するように力が入る。
    俺は抱きしめる。目を少し目を開けた彼女の瞳は蕩けたように潤んでいた。
    そのまま顔を俺の胸に埋めると無言で抱き合った。

  • 98二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 00:00:17

    たまらん

  • 99二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 00:16:16

    其の15 日常 営業
    最近しばしば目立つ地方での街、村お越しの一つの音楽フェスに出演した。
    山間の少し離れた場所、交通網が弱い為車での移動だった。
    燐羽「あんな僻地なのに人が沢山いて驚いたわ、私の子達も観に来てくれていし嬉しかったわね」
    少し多めに出張日数を確保してアイドルの健康管理の為と申請して帰りに温泉街に宿を取った。
    P「えぇ、意外と知らないだけで意外とあるみたいなんですよ、前に会長との出張理由を聞いて来た時もその視察の一環だったんです。」
    会長の名前を出した瞬間ミラーから燐羽の眉が険しくなるのを捉え俺はしまったと思った。
    「へぇ、そうだったの」興味を無くしたように返事をして、それ以降話は広がらなかった

    イベント最終日は早めに撤収作業が行われ、関係者一同に挨拶を済ませて早めに宿に迎ったが着いたのは日没だった。
    山間の斜面に沿って宿の光が階段の様に光っている。
    その一つに俺たちはチェックインを済ませた
    部屋に通され和室に荷物を並べる。まだちょっと不機嫌そうだったらが無言で俺の腕を掴むと強引に外へ連れ出された。
    宿場町には様々な謳い文句の湯があり。
    燐羽が興味を持つ場所に従う。
    宿浴衣を纏い足湯に浸かりなが生姜湯を啜る燐羽に俺は見惚れた。
    気づくと眉を顰め「なによ」と睨み鼻を摘んで来た

    食事は外で済ませ、宿に戻る。流石に部屋は別の為、ドリンクを買いラウンジ型の展望スペースで夜景を眺めた。
    彼女の横顔からは景色を喜んでるように目はキラキラと輝いていた。その様子を眺めながら機嫌が収まってくれたら良いなと信じたかったが
    こちらに気づくと睨まれ鼻を摘まれた。

  • 100二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 09:27:21

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 12:04:54

    長文多めにも関わらず100番まで
    皆様見ていただきありがとうございます!
    コメントもありがとうございます!
    出来るだけP燐のキュンキュン出来る文章を
    描ける様に励んでいます。
    これからもよろしければ、
    ご覧いただけると嬉しいです!

  • 102二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 12:07:38

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 12:11:40

    いつのまにか秋になり少し肌寒くなっていた。
    学園の行事が重なり練習や話し合い、
    仕事が立て込み帰りが遅くなる事が増えた。
    自ずと彼も手がける担当達との時間に費やされている。しばらく、会う時が取れないまま
    ある日私は夢を見た。
    そこはPの家。お風呂上がり、下ろしたフワフワの髪にパジャマ姿の私がおやすみと言ってキスをして一緒にベッドに入る。Pの腕を身体に巻き付けて私は向こうを向く。それが落ちついた。
    目を覚ますと、軽く伸びをしてカーテンを広げる。日差しを浴び一日が始まる。

    学園に行きみんなと挨拶をして授業を受け、取り止めのない会話を弾ませる。体育祭や学園祭の為の打ち合わせや練習をする。

    気付けば陽は落ちていて、帰りに食材を買い自分の為のご飯を作りお風呂に入って良い時間になると寝た。
    ここのところ会えるのが当たり前になってしまっていたから離れてしまうのは心の距離まで離れてしまいそうで怖かった。
    仕事だからそんなの仕方ない事なのは理解してる。
    メールも極力味気なく済ませた。
    余計に会いたくなってしまうのを堪えるために。
    久しぶりに会える約束が出来た。それだけで心が躍った。大変な日々を頑張れる気持ちになれた。彼に苛立ったり、口を聞きたくなくなる時もあるけど、素直になれない自分に「あぁ」と嘆いた。

    遊園地でフリーマーケットがあるらしくそのチケットを彼が貰って来てくれた。
    ピクニックバスケットに作ったランチを入れ待ち合わせへ向かう。それからはご機嫌に過ごせた。
    広場でシートを敷き、陽気な秋空に彩りを加えた紅葉を味わう。ランチを食べ、タンブラーに淹れてきたコーヒーを二人楽しんだ。
    「ねぇ、膝枕してあげるわ」
    思いついた様に私は膝を軽く叩く
    彼は恥ずかしいと拒む
    「なに?私の膝枕が嫌だって言うの?」
    私は凄む。彼は仕方がないとばかり目を瞑り折れた。私の膝に頭を置きそれを優しく撫でた。
    彼は目を閉じるといつの間にか寝息を立てていた。
    目を落とし「お疲れ様」と労う。
    それからまた淡い青色の秋空を私は見上げた

  • 104二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 19:53:41

    燐羽が怪我をしたと聞き彼女の元へ急いで向かう。
    聞くに軽い捻挫で1週間自宅療養だそうだ。合鍵を開けて入る「大丈夫ですか燐羽さん」
    彼女は左足首を固定されて布団の上で横になっている。入って来た俺を見上げる
    燐羽「ええ、さっき報告した通りよ、不注意だったわ」
    P「その状態だと買い物とかは難しそうですね」
    燐羽「数日はそうみたい、お願いしてもいいかしら」
    「あと、それと…」恥ずかしそうに言い淀む
    「今日は自分でお風呂入れそうにないから、
    タオルで背中だけ拭いてくれないかしら?」
    いきなりで身体がこわばった。
    浴室で濡らしたタオルで彼女のまくった背中を拭く。首筋から肩甲骨の周りを丁寧に拭う
    きめ細やかな肌と魅力的な曲線に脈が早くなる。
    細い肩に手を肌を置き傷つけないよう気をつける。腰回りまで拭き終えて声を掛ける
    ぽつりと「ありがとう…」と彼女は言う。
    「前と下は自分で拭くわ」と言うとタオルを受け取り拭いはじめる。
    「ねぇ、いいのよ…別に」塩らしく投げかける。「もっと私に触れても…」燐羽はつけ加えた。理性が崩れそうになる。
    答えを待つ沈黙。どこか不安そうで、期待する様に
    本能のまま今すぐにも思いをぶつけてしまいたい衝動に駆られる、反面、大切にしたいからこそ手を出したくない葛藤が襲う。しかし、彼女が望んでいるのに無碍にするのはそれは俺のエゴだろう。自分の中の自分が攻め気悶える。やはり、それは出来ないと告げ、沈黙の気まずい雰囲気が流れてしまった。
    悲しそうな背中の彼女を見る事が出来なかった。

  • 105二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:11:22

    とりあえず200までは読むわ

  • 106二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:37:40

    初めからダメなのはわかっていた。
    そんなのは普段のあの人を知ってるから分かりきっていた。
    でも、やっぱり否定されたみたいに心が痛んだ。
    その後彼から
    "必要なものがあれば連絡下さい"とあった。
    なんだか、急に怖くなってしまった。
    怪我をして動けない事も重なり余計不安が強くなってしまったのもあるだろう。
    少し自暴自棄になりそうになる。
    私は彼を受け入れ、彼にプロデュースして貰うべく初星学園に戻って来た。また高みに挑戦出来るなら再びアイドルとして頑張ってみたくなった。
    アイドルへの熱意も日々の鍛錬も怠ってるつもりはない。だけど、それは私にとって彼への想いにも繋がっていた。
    彼にとってもきっとそうだろう、だから私に手を出さない。アイドルとして、また大切な存在として。
    二律背反した考えが私を苦しめる。
    いっ時の感情やその場の勢いで選ぶにはリスクが高すぎた。どれだけ私が抱きつこうとも、彼は最小限の愛情表現で答えてくれた。
    私はそれが嬉しかった。嬉しくてもっと先の喜びを求めてしまった。
    あの一瞬の止まった時間の間に彼はそこまで考えて判断してくれたのだろう。それが彼の優しさだったのだろう。
    余りある時間の中思考が巡る。
    ただ、止まったままの今の自分にとって、
    それが良い考えに向くことは難しいと感じながら。

  • 107二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:48:24

    >>103 其の16 日常 秋空

    >>104 其の17 日常 怪我

    >>106其の18 日常 怪我2

    タイトルつけ忘れていました!

  • 108二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 21:29:08

    其の19 日常 言い訳
    私は彼と顔を合わせるのが怖くなってしまった。廊下とリビングの間の扉を閉めてそこにお願いした物を置いて貰った。
    「燐羽さんここに置いて置きますね」と影が告げそれ以上何も言わず帰って行った。
    二日目からは自分でお風呂に入った。簡単な事は出来たが、まだ階段の登り降りは出来なかった。
    四日目以降は軽く立ち歩きの練習を始め、1週間目には足首の包帯は外して貰った。
    トレーナーにはリハビリメニューを組んで貰った。
    Pからの連絡には体調が悪いから今は無理と通してしまっている。
    普段通りのつもりだが、気を遣われている感じ、元気が無いのを周りに気付かれているみたい。
    既に後悔の念が私を埋めていた。立ち直り方がわからない暗闇の中に沈んでいた。
    自宅に帰るとPが待っていた。
    P「連絡はしたんですが」
    燐羽「なにかよう?私今体調がすぐれないのよ、悪いけど帰って頂戴。」
    力なく告げる。
    多分私は酷い顔をしていたと思う。
    彼は何も言わずに私を優しく抱きしめた。
    途端に「あ゛ぁ゛」っと声が出る。
    涙が溢れて止まらなくなる。自分の中の何かが崩壊した様に柄にもなく声を出して泣いている。声にならない声でただ泣きつく私を彼は黙って抱き止めてくれた。
    でも、やっぱり好きだから仕方ないんだ。と
    誰も聞く事のない言い訳を自分に言っていた

  • 109二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 21:36:54

    栄養補給

  • 110二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 23:54:06

    生き甲斐だから助かる

  • 111二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 03:20:02

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  • 112二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 03:25:10

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  • 113二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 03:26:26

    其の20 日常 その後
    泣き疲れた私はPの胸に身体を委ね彼は私を落ち着けるみたいに頭を撫でる。
    私は自分の中のモヤモヤとした疑問についてPに問いかけてみた。
    燐羽「ねぇ?もし、私がアイドルとして、あなたか、あの子達のどちらかを選ぶとしたらあなたは怒るかしら?」
    意地悪で言ったわけじゃないけど、結果的にそんな風になってしまった。
    P「それが不義理になるなら、怒るかどうかだと一応怒る立場にはあります。ただ、前提としてそれはあり得ません。あなたは、どんな些細な約束でも必ず守る人です。そんな無責任な選択はしない。そうならない為、俺はそんな燐羽さんを守りたい。あなたが大切に守る理念を守りたいんです。」
    燐羽「っ、そんなこと、言わないでよ…」
    今のはPに対してではなく、
    自分の動揺した気持ちを諌める言葉だった。
    嬉しくてまたキツく抱きつく。
    "あなたをもっと好きになっちゃうじゃない"

    ひとしきり感情を発散させ、冷静になった瞬間安心したのか、眠気に襲われて彼の身体に寄りかかっていた。
    一瞬ふわっと身体浮くのを感じた。
    彼にどうやら抱き抱えられているみたいだ。
    私は布団に寝かされた。私が安心出来るように手を繋いでいてくれている。
    不意に彼から口づけをされたらしい
    微睡の中私は彼に
    「….おばか」とつぶやいていた

  • 114二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 12:37:44

    供給感謝

  • 115二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 17:22:53

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  • 116二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 17:27:02

    其の0 幕間劇 暗殺者
    (本筋と無関係の描いてみたかっただけの話です)

    私の名前はリンハ。家業は暗殺者。
    今回は依頼の為とある要人達が集うカクテルパーティに忍び込んでいる。
    大理石で出来た床の大広間。部屋の端にはギリシャ神話に出てくるみたいな円柱の柱が等間隔に並んでいた。高い天井には絢爛なシャンデリアが吊り下げられていて、
    フロア中央には赤い絨毯が直線に敷かれ奥には左右アーチ状に別れた階段と間に噴水がある。そのまま階段を上がると孫娘セナの大きな肖像画があり
    ぴかぴかとスポットライトに照らされていた。
    その前に立つ男。
    クニオ・ジューオウ
    今回のターゲット。彼は今宵の催しについての
    挨拶を行なっていた。傍にはSP達
    私は正面入り口側の柱にもたれ彼と周りの数多くの人や環境の様子に細心の注意を払う。
    私の装いは薄い紫のルージュ、サングラスを掛け、バイオレットの髪を耳から後ろで編み束ねそれを白い蝶のピンで止めている。髪と同じバイオレットカラーのドレスと靴、レースのパーティグローブ、ハンドバックを持ち
    そして蝶のアクセサリーを胸前で止めている
    蝶のアクセサリーの羽に鱗粉の様な毒が塗っていて、私が彼に接種する際予め毒に触れた手で彼の手や口にするだろうモノに触ると言うプラン。
    ヒロ・シノサワによって作られた
    体組織に分解されやすい為証拠は残りにくく、
    例えバレても入手経路も特定するのも難しい代物だ。その間に私は安全圏まで撤収すれば良い。

    ふと、目の前に現れた、
    黒髪でキツネのような切れ長な黒い瞳。黒縁のメガネをかけたギャルソンからパーティードリンクを提案される。
    軽く言葉を添えロゼを受け取り、一口つける。
    彼は挨拶を済ませて去っていく。
    私は彼に気を取られている一瞬にターゲットを見失ったことに気付く。サングラス越しなのに不安になり動揺を誰かに気取られない様にさりげなく目線を走らせた。が見当たらない。冷静を装うがアドレナリンが高まるのを感じる。いつのまにか目の前に先程のドリンクを配っていた彼が立っていた。
    私に顔を近づけると彼が耳元で囁いた。
    「いけませんね。お嬢様、お戯はおやめくださいませ」
    告げるといつのまにかいなくなっていた
    胸の蝶のアクセサリーが無くなっているのに気づいたが、
    それ以上に私の胸はドキドキしていた。

  • 117二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 17:38:15

    その21 日常 ぎこちない
    「ねぇ!すっごいでしょ!私のおねえちゃん!」
    目覚めると湿っぽい空気が身体を重くした。
    雨が跳ねる音が聞こえる。
    賀陽継のH.I.Fを手毬と美鈴と見に行った日の夢を観た。
    顔を洗いながらあの頃の自分を思い出していた。
    元同じグループとはいえ、
    手毬や美鈴に次は決して負けはしない事を誓う。
    最近どこか、前まであった不安がなくなった気がする。それはPが言ってくれた一言が大きいのは明らかだった。
    肌の手入れをしながらつぶやく
    「そうだったわね。」
    私にとっての約束は信念に近い。Pの優しさに甘えてしまいそうになっていた。だけど、彼は私より私を理解し、重んじてくれていた。だから、私も彼に答えたいって思ったの
    …鏡を見ると自分の顔が赤くなっていた。
    気持ちを切り替え学園へ向かう。
    Pとの面談時間に直近のスケジュール確認と今後のプランについてMTをした。
    Pはいつもと何も変わらなかった。
    でも、私が何かぎこちなくなってしまった。
    前まで出来たアプローチどころか目を合わせるのも緊張してしまう。
    P「大丈夫ですか?燐羽さん?」
    燐羽「な、な、な、なによっ?」
    顔が赤いようですが、
    「べ、別になんともないわよ!おばか」
    私は理不尽に怒った。

  • 118二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 19:56:57

    其の22 日常 久しぶりに
    最近、何故か燐羽から距離を置かれていた。
    あの日彼女の泣きつく姿を見て心臓が苦しかった。
    やはり、俺は間違えてしまったのか?
    急に後悔が押し寄せて来る。だけど、彼女の強い信念を俺は侵したくなかった。
    その後、会うたびに避けられるように前までみたいに迫って来る様子はまるで無かった。彼女との距離を見直すべきなのかと自分に問う。
    何気なく夏の河原で観た蛍の夜を思い出す。
    言葉もなくただ共有し合い分かり合えた気がした、
    幻想的なあの夜をまた二人で…そんな事を考える。
    彼女に連絡をしてみる。久しぶりに喫茶店で彼女と会う。右奥の席。燐羽を奥にして対面で座る。
    相変わらず彼女は目を合わせてくれない。
    燐羽「話って、なにかしら、」よそよそしく尋ねた
    P「いえ、最近あなたの調子が悪そうに思いまして、その大丈夫かなと」
    燐羽「は?なにをいってるの、大丈夫に決まっているわ。もう、いいかしら」切り上げ席を立とうとする。
    そこで切り出してみた「良かったらキャンプに行ってみませんか?」
    燐羽「キャンプ?」戸惑ったように考えている。
    P「ええ、いつかの夏の日みたいに。まぁキャンプ場なので整地されていますが」
    次の日が何も無かったので放課後に向かったが十分日没までに着けた。
    学園からそれほど離れた距離ではない場所に位置するキャンプスポット。近くにコテージもあり、必要な道具は借りる事が出来た。必要最低限の備えと片付けに必要な用意を持って行った。
    割と人がいたのであまり自然感は無かったが隣と距離は離れていたので気にはならなそうだ。
    燐羽に手伝って貰いテントを組み、椅子を置き火をつける場所を確保した。食事はレトルトだったが味は良かった。
    側に立ち入り禁止の川が流れ、燐羽は椅子に肘を掛けて眺めていた。周りの灯りがチカチカ光っている。俺はコーヒーを淹れ、砂糖を溶かして彼女に手渡す。自然の中でだいぶ落ちついたみたいだった。
    燐羽「知らなかったわ。こんな世界があるのね」関心するようように微笑む
    燐羽「連れて来てくれてありがとう」
    立ちながらコーヒーを啜り彼女に話かける
    P「俺はてっきり、あなたに嫌われたかと思いました。」燐羽かぶりをふる。「いいえ、違うわ」
    「でももう、落ち着いた。」
    特に会話する事は無かったが灯りを消して、一緒のシュラフに包まり久しぶりに抱き合い共に夜を過ごした。

  • 119二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 20:46:51

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  • 120二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 21:15:50

    安息地を見つけた気持ち

  • 121二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 01:13:36

    燐羽のssが読める幸せ

  • 122二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 01:30:15

    その23 日常 ミス
    燐羽「珍しいわね、あなたがミスするなんて」
    P「本当に申し訳ありません、」
    山間の営業先からの帰路の途中、雪が降りだしルートを間違えた為帰宅予定時間から大幅に遅れてしまった。俺のミスだった。
    燐羽「もう、日が暮れそうよ…」燐羽は窓の外に顔を向ける。
    P「…急遽宿をとる事にします。すみません、道を見失ってしまい。」
    燐羽「仕方ないわよ、雪が降って無理するのは良くないわ」
    P「一度近くで宿が無いか調べてみます。」
    燐羽(彼の珍しく慌てる姿は見ていて気持ちいいけど、本人は必死よね。)
    P「どうにか宿の取れる場所を見つけました。今から向かいます。」

    燐羽「街に着けて良かったわね」
    P「自宅へお送り出来なくて申し訳ありません、」
    燐羽「過ぎた事はいいわ。さ、早く中に入りましょ」
    小さな街に行き着いた。宿場町らしく、入口に鹿の剥製が置いてある旅館の和室。急な予約の為一部屋しかなかった。
    燐羽「私は嬉しいわ」P「でしょうね」
    彼女はご機嫌に鼻歌を歌っていた
    食事は用意出来ないらしく、外に開いてる店の地図を貰った。木造民家が立ち並ぶ幅の狭い道、街灯に照らされ炉端に小さい雪の塊が見える。歩道は少しシャーベット状になっている。
    P「足元気をつけてくださいね、近くに定食屋があるそうです。まだ営業中らしいのでそこで食事にしましょう」
    燐羽「わかったわ」と腕に抱きつく
    少し開けた道が現れる。道の駅の様な道路傍の商店が見え、暗闇の中一つだけ灯りが灯っている様だ。
    俺達は中に入る。年配ご夫婦で営まれていて珍しい若い客に喜び出迎えて貰った。食事を終え、お土産に駄菓子とみかんを貰った。
    燐羽「気のいい人達だったわね。あら?雪よ」夜の蛍光灯の光に雪がちらつく
    P「強くなると、やっかいそうです。早く帰りましょ」と手を差し出す。彼女は握り返す。
    部屋に戻ると布団が敷かれていた。
    風呂の準備はないが、タオルなどアメニティは借りれることが出来た。燐羽は奥の間の椅子に腰掛け、障子を開けて外を見る。手入れされていない殺風景な庭のあちこちに既に雪が積もっていた。
    燐羽「ロマンも何もないわね」愚痴る
    P「まぁまぁ女将さんは俺達をカップルだと思ってるみたいでした」
    「見る目あるわね」と燐羽は嬉しそうに小走りで向かってき腕を組んで来た。
    燐羽「さぁお風呂行きましょ」

  • 123二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 02:30:27

    其の24 日常 見た夢
    銭湯みたいだったわ。私が出ると彼は広間で待っててくれた。隣に遊戯場って古いゲーム機が端に置かれた場所を見つけ入ってみると卓球台があった
    燐羽「ねぇ、やってみましょう」
    P「燐羽さん出来るんですか?」とか舐めた口を聞いた彼を叩きのめしたわ。それから広間のソファーで少し休む。
    燐羽「せっかくお風呂に入ったのに汗をかいてしまったわね」見渡すと家族連れが多かった。
    燐羽「いいわね、」
    彼が自販機から飲み物を買って来てくれた。
    P「どうぞ」
    燐羽「あら、ありがとう」手に取り一口つけ
    燐羽「ねぇ、部屋へ戻りましょう」と促した。
    燐羽はまた外のシンシンと降る雪を眺めていた
    燐羽「ねぇ?雪女っているじゃない?あの話あなた知ってる?」彼女は外を見ている。俺は端に置かれたテーブルで仕事をしている。
    P「たしか、雪女に猟師仲間が殺され、それを見た男に対し誰にも言うな、言えばお前も同じ目にするってやつですか?」
    燐羽「そう、そのあとある日、男はお雪という綺麗な女性と出会うの。そして、彼とお雪は結ばれる。子供にも恵まれて…」
    燐羽はこちらを振り向き歩みよる後ろに抱きつく。燐羽のいつもの脳をくすぐる甘い香り。宿浴衣の薄布のため彼女の胸の感触が近い。
    燐羽「男は忘れつつあったその話をある日最愛の妻に話てしまう。ネタバレするとお雪は雪女だったの」
    P「それで?」
    燐羽「お終いよ。子供がいたから殺されはしなかった。でも約束を破った事でその姿は二度とみせなかった」妙に部屋が寒くなった気がした。
    P「燐羽さん、何故いきなりそんな話しを?」
    燐羽「どうしてからしら、あなたなら察してくれるんじゃないかしら?」
    燐羽が俺の浴衣の中に手を滑らせて来る。燐羽もはだけているように肌の感触が近くなった
    P「どうしたんです?あなたらしくない」
    だが少しずつ俺の身体を弄りだした燐羽の体温が冷たくなった気がする。耳元で囁く
    「ねぇ、あなたはどっち?」

    「あなた!!」P「!!?」
    燐羽「ちょっとあなたどうしたのよ一体」
    P「ここは今日泊まった宿で俺はサイドテーブルで仕事をしていて、」
    燐羽が言うにいきなりうつ伏せになった俺がぶつぶつ話し出したらしい。
    最初は寝言かと思ったが、様子がおかしかったので呼び起こしてくれたそうだ。

  • 124二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 02:33:49

    もう1話続きますが今日はここまでにします!

  • 125二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 07:52:40

    死守

  • 126二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 12:37:09

    このレスは削除されています

  • 127二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 12:39:47

    其の25 日常 続
    燐羽は心配そうに背中を摩ってくれている。
    呼吸が浅いことに気づき、俺は一度深呼吸する。
    燐羽の甘い香りが脳を刺激する。少しはだけた彼女の浴衣にほんの一瞬理性が飛んだ。
    俺は燐羽を押し倒して跨る。大の字になった燐羽は抵抗もせず、何も言わず俺の目を見つめている。俺は彼女の肌が露わになった胸の間に顔を埋めると彼女の匂いが一層強まる。胸の間の汗を一筋舐めた
    「ん、」と吐息を漏らす。
    彼女の燐羽の心音が聴こえ、俺の呼吸は早くなる。
    燐羽は俺の頭を抱えると撫でながら話しはじめた、
    燐羽「あなたの意思で望むなら私は何もいわないし、寧ろ私は嬉しいわ。だけど、それは本当にあなたの意思なのかしら?
    それじゃ、この前の私と同じよ?
    私の信念を尊重してくれた、あなただから私は改めて自分と向き合えたわ。だから、わかるの、きっと迷ってるのねあなたも」
    燐羽は俺の頭をなでながら、優しく宥める。
    燐羽「でも、いいわあなたが望むなら私は求めたいの」
    彼女の滑らかな肌をなぞっていく。
    手を肩から腕に滑らせ、顔を鎖骨から首筋に走らせる。彼女は少しずつ震え始め、呼吸が早くなりすこし汗ばんでいる。
    左手を彼女の袖から服の中に潜らせ、背中に回して抱きつき右手を彼女肩のラインをなぞる。
    鼻は彼女の耳を掠めて正面にやり見つめ合う状態
    燐羽が目を閉じ唇を結び顔を前に出す。
    俺も答える様に唇をゆっくり重ねる。
    唇が触れた瞬間何故か凄く甘く感じた。
    舌で唇を舐めて、ふっくらと柔らかい下唇を吸う蕩ける様な瞳で彼女抱きつき、俺の下唇をつまみ吸い付いてくる。お互い鼓動は早く、身体に熱を帯びていた。右手で髪を梳かし頬を撫でそこから進展はない。彼女はまた黙って様子を伺う様に見つめる。
    燐羽「それで、あなたはどうするつもりなのかしら?」口を開いた。(意気地なし…)
    しばらく間があり、燐羽は冷めたようにむくっと起き上がり「下着が汚れちゃったわ。また、お風呂に入ってくるわね」と言うと振り返ることなく彼女は消えていく
    P「俺達はどこまで行ってもこの関係なんだろうか…」
    布団に並んで寝た。燐羽に手を出したが、
    「そう言う気分じゃないの、もう寝るわ」と
    逆を向いてしまい応えてはもらえなかった。
    やるせない虚無感が沸き起こった。
    気になった事を思い出す
    そういえば、あの雪女の話しはなんだったのか

  • 128二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 21:23:52

    このレスは削除されています

  • 129二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 21:48:32

    其の26 日常 思い出
    出先で担当アイドルとの同部屋はよくなかった。学園長と十王社長に事情は説明した。
    一応理解はして貰えたが、しかし業務に支障がない程度の形式的な三日間自宅謹慎になる。
    仕事のやり取りはメールか電話。PCでのオンライン交信はよしとされ権限可能の範囲で自宅で仕事をする。
    一日目
    担当から
    手毬"プロデューサー!りんはと浮気したんですか!?"
    星南"次は私として欲しいわね!!"
    と連絡が来ていた。しかし、燐羽からは無かった。
    月村さんと燐羽をその期間は星南さんがみてくれる事になった。
    星南さんから「先輩!!これは貸しよ⭐︎」っと返信が来た。
    スケジュールリストを見比べて、今入って来ているそれぞれの仕事を確認する。
    星南さん自身は殆ど彼女に任せている為、月村さん、燐羽に注視する。引き受けた内容を業務連絡として二人に送る。
    午前中に一旦ある分を処理した。
    時間を持て余した俺は何か今出来る事を考える。ネットやTVの録画映像からプランを考えるがいまいち浮かばないので外に出た。
    時間があると余計な思考が脳内に響きだす。燐羽が浮かんでしまう。
    P「仕事の事を考えて埋めよう」

    何気なく散歩していると商店街を抜けた横の公園に来ていた。
    丁度、小学生や小さな子供達が遊んでいるのを母親達が見守りなが世間話に花を咲かせていた。
    俺は辺りを見渡した。
    P「なんか、懐かしいな」
    燐羽を初めて観たすぐそこの喫茶店。彼女に会えるかもって通ってたのが数ヶ月前だなんて、
    P「あの時は顔すら知らなかったのにな」
    公園の入り口の塀に軽く腰を掛けて、ホットの缶コーヒーを啜る。冬の冷えた風と灰色の様な空は気分をげんなりさせる。
    放課後になり星南さんからプロデュース報告を受ける。内容を聴くに彼女の能力もそれなりに育って来ていた。最後に「またね」と告げ切れる
    そろそろ燐羽も帰宅するのだろうか?
    会いたい気持ちと失望させてしまったのではないかと言う疑心暗鬼で今会うのは複雑な気持ちだった。
    俺はブルブル肩を震わせながら、コーヒーを啜った
    「もう、アイスコーヒーになってる」

  • 130二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 22:52:58

    其の27 日常 夕食
    二日目
    手毬"いつまで休んでるんですか!さっさと戻って来て仕事して下さい!"
    星南"おはよう先輩!今日もあなたの後輩は頑張るわね!"
    朝の仕事メールを開く。自分のやる事を済ますと何もやる気がせずにベッドに横たわると目を閉じた。
    留守の間に掃除してくれたり、夕飯作ってくれた彼女をまどろみの中で浮かべる。
    一緒に布団で休んだ彼女の事を浮かべてしまうとなぜか胸が痛くなる。
    「別に今生の別れでもないのに。」
    枕元の時計を見たが昼過ぎ、特に買い出しも必要なく、気分が滅入るばかりだ。軽くトレーニングをして、汗を流す。夕食の支度をする。一日が終わる
    三日目
    手毬"明日、戻ってくるんですよね!変わった所見せつけてやりますよ!"
    星南"手毬も燐羽もいい感じよ、安心して戻って来て頂戴!"燐羽からは無い。
    忙しくしていたからか、寂しいと言う気持ちを味わったことが無かった事に気付く。
    たまには、小説の中の登場人物を思い浮かべて物語に現を抜かすのも悪く無いと適当に本を手に取ってみる。
    薄い短編集。すぐに読み終わった。日が暮れそうな時間。夕食の支度でもしよう思った時。
    家のチャイムが鳴る。ドアを覗くと燐羽がいた。
    P「どうして、急に?」呆気にとられた。
    燐羽「どうだった?この三日間」
    燐羽「私がいなくて寂しかった?」
    P「何か失ったみたいでした」
    燐羽「そう。あなた酷い顔しているわ。
    お夕飯作ってあげる。少し休んでいなさい。」
    そう言ってキッチンに向かって行った。
    燐羽を見て安心してしまった俺は深く眠りに入ってしまう。
    「眠り過ぎよ、仕方のない子ね」
    目覚めるとベッドに腰掛けていた。俺の額から頬を撫でる。
    「さぁ一緒に食べましょう」手を握る。
    ようやく、頭が冴えてベッドを降りるとダイニングの席に着き。一緒に食事を摂る。
    P「なんだか久しぶりですね」
    燐羽「そうね、さぁ早くお食べなさい」

  • 131二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 23:48:27

    其の27.5 日常 夕食2

    燐羽「あなたも寂しさに気づいたのね」
    私は彼が眠るまで手を握ってあげた。
    私にそうしてくれたみたいに優しく額から頬を撫でてあげた。

    私はシャワーを借り、髪を乾かし、持ってきたパジャマに着替えた。眠っている彼にキスをしてベッドの隣りに潜り込む。彼の腕を私の身体に持って来る。
    「やっぱりあなたの横は落ちつくわね」

  • 132二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 23:54:36

    こういうのでいいんだよおじさん「こういうのでいいんだよ」

  • 133二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 08:06:59

  • 134二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 13:31:29

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  • 135二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 14:04:50

    其の28 日常 クリスマス
    クリスマスが近付き街にはイルミネーションの色味豊かな光が溢れている。
    燐羽「綺麗ね。ねぇ、クリスマスはどうしましょうかしら?」
    P「もう決定ですか、」
    燐羽「あら、嫌なの?私と過ごすの」睨んで問いかける
    P「いや。そんなことは」
    燐羽「よしよし、素直で良い子ね。」頭を撫でられられる。
    クリスマスイブ
    放課後燐羽が家に来た。ケーキを手に持つ
    燐羽「はいこれ、ことねがケーキ売ってたから買って来てあげたわ。」
    P「ありがとうございます」
    燐羽「じゃ、行きましょう」
    遊園地のナイトイベント。大勢の人で溢れていたブースには配色されたキャンドルが、飾られた切り絵を照らし、異国の物語の中にいるみたいに色とりどりの幻想的な風景が辺り一面に浮かび上がっている。燐羽は普段見せない無邪気な少女のように瞳を煌めかせている。
    燐羽「素敵ね」繋いだ手を振り上げて喜ぶ
    P「そう言って貰えて良かったです」
    イベントを堪能し空いたベンチに座る。ライトアップされた園内を眺め肩を寄せ合う
    燐羽「ねぇ…観覧車に乗りたいわ…いいかしら?」
    P「勿論、行きましょうか」
    観覧車が高度を上げるにつれ、下の遊園地や天川の街の光が海の様に広がっていく。燐羽は一切外を観ずに青ざめた顔でじっとしている事に気付く。
    P「燐羽さん?」
    燐羽「ダメなのよ、高い所。何も言わないで。あなたとなら大丈夫かなって思ったのよ」
    対面していた席を燐羽の隣りに移る。安心したように燐羽の頭が肩に寄りかかる。そのまま正面の窓から景色を眺めた。観覧車を降り身体も冷えてきたので帰ることにした。
    食事はパーティーフードを頼んで、済ませた。部屋を薄暗くして小さなキャンドルを灯し、ソファーで二人並んで映画を観る。特別なことでもなんでもない、いつでも出来ることだが、それでも満たされる毛布に包まり肩を寄り添わせながら、温もりを感じあう。燐羽は味わうように溢す
    燐羽「素敵な一日だったわ、ありがとうあなた」チュッ

  • 136二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 19:08:09

    其の29 日常 プラネタリウム
    ナレーションの仕事が入った。
    市営プラネタリウムからの依頼。
    燐羽の声を売りにした仕事にぴったりだった。
    燐羽「どんな物か一度観ておきたいわ。
    ねぇ、連れてって頂戴」
    車で少し大きな街まで出た。
    家族向けの科学館にある施設の一つでプラネタリウムのエリアでは星空をテーマにしたレストランもある。
    入り口は近代的な建物で剥き出しの鉄骨に一面ガラス張りのドーム状の建物。
    エスカレーターで地下に降りると黒い壁と紺の絨毯が敷かれた受付がある。
    買ったチケットを燐羽に渡して光を遮断する分厚い暗幕のゲートを潜る。
    中は広々としたドーム型の天井に、ソファーシートが階段に並んでいた。
    長期休暇の時期もあり人で賑わっている。
    俺達は席に着く。しばらくして、朗読会の読み聞かせの様な澄んだ心地良い女性のナレーションが始まった。途端に部屋が闇に包まれるとパッと目の前一面に星空が広がった。
    肘掛けに置いた手を俺の元に重ね
    ぎゅっと力が入る。燐羽は既に感動していた。
    テーマは冬の大三角についてのエピソードだった。
    穏やかな口調と自然な抑揚が話しの世界に溶け込ませた。
    45分程度の公演だったがすぐに終わってしまった。ずっと聴いていたいと思える良い声だった。
    燐羽は泣いていたのか目が赤かった。
    それを指摘すると
    「ほっときなさいよ、おばか」と
    俺は鼻を摘ままれる

  • 137二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 20:55:51

    燐羽「私はあなたと夜の散歩道を歩いてる時、
    背後から私達は眠らさせてどこかに連れ去られたみたいだった。
    私はどこかの病院だろうベッドに寝かされて点滴を受けていた。服は病衣に着替えさせられていた。身体に乱暴された後は無くて荷物も全て横の籠にいれられていたの。だから、私の身体やお金目当てでないのはわかったわ。
    見渡すと私一人。部屋は廃病院らしく壁紙が剥がれたような病室。だけど、何故か医療器具は綺麗で清潔だったわ。頭が冴えて来て、あなたがいない事を理解してから急に不安になったの。
    どこのだれかもわからない人に着替えさせられて点滴までされた訳だもの。病室の出入り口を開けるのが怖かった。でも、誰か来るかもって怖かったから恐る恐る扉を開けて外を伺ってみたわ。出ると一般的な病院の、だけど真っ暗でボロボロの廊下だった。
    近くにナースステーションだった場所を見つけて入ってみる。誰もいないみたいだけど、怖くて心細くて泣きたかったわ。
    部屋の隅に別の部屋があったわ。
    電気なんて通って無さそうな施設なのに、
    液晶モニターがそこにはあった。
    何故かそれは稼働していて、そこは手術台に寝かされているあなたを映している。
    今にも背中で誰かわからない人に
    身体を開かれそうになっている状態のあなた
    それを観た瞬間、恐ろしさのあまり泣き叫びながらあなたの名前をモニターに向かって呼んでいたの」
    P「そう言う小説か何か読んだんです?」
    燐羽「いいえ、夢の話しよ、もし私にそんな事になったらあなたはどうするのかしら?」

  • 138二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 21:34:07

    ↑其の30 日常 恐怖
    その31 日常 迷子
    不意にそんな話しをしたのを思い出した。
    燐羽「全く、不用心だったわ。」
    宿泊先のホテルから少しコンビニに行こうと探していたら道に迷ってしまった。
    スマホを部屋に置いてきてしまったから彼と連絡取る術がない。
    「困ったわね。こう言う時取るべき行動の知識とかないわ」
    とにかく、記憶を頼りに目印を見つけてみようかしら、それとも交番に行こうかしら。

    P「燐羽さんが合流時間になっても現れない。」彼女に何度も連絡するが出ない。
    と言う事は、連絡手段を持たずに外出したのか、
    P「どこに?」
    連絡手段を持たずに外出するとなると、軽く出かけてすぐ戻るつもりだった。
    P「おそらくコンビニだろう。」
    この近くのコンビニは少し離れている。土地勘がなければ迷ってもおかしくない。
    P「ただ、どの方向に行ったのかがわからないな」この場合彼女が取りそうな行動は?
    1.記憶の目印を辿って帰り道を探す。
    A:だけどこの場合、分かればよいがもしかすると余計にわからなくなる可能性がある。
    2.俺が見つけるのを待ってその場に止まる
    A:確かに俺が直ぐに見つけられるなら、入れ違いなる事は減る。が、俺が辿り着けない場合もある。
    3.どこか交番でこのホテルの場所を尋ねる。A:これが一番可能性が高い。交番の場所なら人に聞けば済むだろう。俺は近くの交番を調べる。ホテルの人にもし燐羽からの電話があれば交番に迎えに行ったと伝えて貰うよう言っておく。
    交番は西と東で二つあった。
    コンビニが東側なので東側の可能性を考えて俺は先にそっちに行くことにした。
    読みは正しかったらしい。
    ちょうど、そこの交番に電話を借りてホテルに連絡してる所だった。俺は警官にお礼とお詫びを告げて燐羽を迎えた。
    燐羽「さすがあなたね、頼りになるわ」
    燐羽は嬉しそうだった
    P「もしかしたら、事件に巻き込まれる可能性だってあるんですから気をつけて下さい。
    次からはせめて、一言かけて下さい。でも、無事で本当に良かった」
    燐羽「えぇ、気をつけるわ。ごめんなさいね。それと見つけてくれてありがとう」

  • 139二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 23:24:18

    今日もよく眠れる

  • 140二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 02:31:45

    其の32 日常 真夜中
    「あら、あなた。おかえりなさい」
    P「ただいま。」
    燐羽「今日もお疲れ様ね。もうすぐお夕飯の支度が出来るけど、お風呂も沸いてるわよ?」
    P「あぁいつもありがとう」
    燐羽はボーダーの長袖シャツと口広なズボン姿、ふわふわの髪を下ろして料理している。
    俺はその姿に自分を抑えられなくなってくる。そして、俺は彼女を襲った。彼女の身体を弄り犯した。一瞬視界が白くなる。
    穏やかな風と暖かな日差しの下、緑に囲まれた公園にいた。目の前にはポニーテールでワンピース姿の燐羽が赤ん坊を抱えている。
    燐羽「ねぇ、あなた。ほら、可愛いでしょ?
    あなたの赤ちゃんよ」
    俺はその赤ん坊の顔を覗く。
    赤ん坊はゆっくりこちらに顔を上げる。
    燐羽だった
    「あなた、私との約束を破ったわね」
    P「!!?」
    それは夢だった。
    真夜中。自分の家のベッド。隣りに燐羽が寝ている。
    燐羽「んん、どうしたの?大丈夫?」
    俺が飛ぶ様に起き上がっため、彼女を起こしてしまった。
    P「いえ、大丈夫です。すみません、起こしてしまって。」
    燐羽「本当に?あなた、すごい汗よ?」
    すぐに様子を察した燐羽が起き上がり額に手を置く。
    あの日雪女の話しを唐突にし始めた燐羽。
    結局夢なのかわからないままだが、あの話しが脳内から離れない。
    「約束を破った事でその姿は二度と見せなかった。」
    「あなたなら察してくれるんじゃないかしら?」
    燐羽「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
    心配そうに覗き込む。燐羽が包み込むよう抱きしめ背中を摩ってくれる。
    燐羽「落ち着くまで、一緒にいてあげるわ」

  • 141二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 02:57:03

    其の32.5 日常 真夜中2
    燐羽「大丈夫よ、私はもうどんな時もあなたから離れないわ。」
    Pがどんな答えを出しても私は受け入れるつもり。
    半ば一緒に暮らしているけど、
    一線を越えるどころが未だ何もないまま。
    寂しけど、でも良いのよ…
    P「ありがとう、もう落ち着きました。朝も早いですし休みましょう」
    燐羽「ええ、そうね」
    そう言いつつも燐羽は俺を抱きしめてしばらく撫でてくれた。

  • 142二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 12:16:56

    保守!

  • 143二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 13:06:16

    其の33 日常 盗み聞き
    私は適当な理由を考えながらPに会おうと彼のデスクへ向かっている。
    プロデューサー科Pデスク
    「ねぇ、先輩そろそろあの話しの返事、聞かせてくれないかしら?」
    P「そうですね、俺も答えを出そうと思います」
    たまたまドアの前の話し声を聞く。
    燐羽(会長…?)

    星南「何度も言っているけれど、あなたには是非十王家に来て欲しいの、だってあなたは私のものよ!」
    燐羽(ふふ、会長まだそんな事言ってたのね)
    だけど、Pは少し悩んでるみたいな間があった。
    燐羽(どうしてはっきり断らないのよ?)
    P「…すみません、星南さん、もう少しだけお待ちいただけませんか?」
    星南「勿論、あなたがこの学園を卒業するまでに貰えれば良いわ!ただ、私も卒業する事になるから出来るならそれまでにしてくれたら嬉しいわね」
    燐羽(そんな、彼が会長と…?)
    私は一緒目の前が真っ白になった。
    彼がそんな話しを悩むなんて思いもしなかったから。
    燐羽「どうして?」
    私は急に怖くなってその場を離れた。
    急に涙が溢れそうになる。
    信じてた物に裏切られた気持ちになった。
    彼が私から離れてしまうの?
    会長の話しから前々から二人は何か話している様だった。
    そして、内容から察するに二人が一緒になること?
    私は急に突き放されたように、再び孤独に襲われてしまう。
    燐羽(もしかして、会長とは先にもう済ませてるとか?)
    幾度の夜を共にしても、彼は私に手を出さなかった。
    悪い考えばかり頭に浮かぶ
    燐羽「まさか、そんなはず。…ないわよね?」

  • 144二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 14:00:50

    其の34 日常 怒り
    吐き気を催した。胃が締め付けられ、胸が苦しくてたまらなかった。
    人気のない場所を見つけて座り込む。
    燐羽「どうしてよ」
    彼への怒りが沸いてくる。
    燐羽「私の何が不満なの?」
    そもそも私達は付き合ってない、だから分かれるも何も無かった。
    燐羽「そうよね。今が変な関係だったのよね。」
    私の心が氷みたいに冷たくなった気がした
    授業を終え、放課後、彼の家の私の物を片付け、合鍵をポストに投げ入れ、自宅に帰った。
    狭くて物の少ない飾りっ気の無い私の部屋。私はまた涙を流す。気持ちを振り払うと家事を始めた。
    程なく彼からメールが来る。
    P"荷物も鍵もどうしたんですか?"
    燐羽"どうもないわ。自分の物を持って帰っただけよ。もう、そっちには行かないわ。あと、業務連絡以外してこないで"
    突き離して咎めるみたいに打った。
    その場に座り込んで目を閉じた。
    今は何も目にも、耳にもしたくない。
    瞼の裏に会長とPが裸で抱き合う映像が浮かんだ。
    燐羽「最っ低、」

  • 145二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 14:54:43

    其の35 日常 優柔不断
    俺は迷っていた。
    今のままの燐羽と関係を続けるのか、プロデューサーとアイドルとした線引きをしっかり弁えるのか、そんな煮え切らない思いを溜め込んでいる時に星南さんから話しがあった。
    星南「私はもっとプロデューサーの勉強がしたいの、よければ色々教えてくれないかしら?」
    今後の彼女自身の方針について相談にのった。
    星南「末は引退を視野に入れているわ。だから今のうちからその後の為に勉強しておきたいの。勿論、現役中は全力でするわ。甘い考えと言われない様しっかり応援してくれるみんなの為に応えるつもりよ?だけど、私は十王家の人間でもある。お祖父様やお父様がいて下さってはいるけれど、私も携われるよう努めたいとも考えているの。その時、隣にあなたがいてくれたら私は嬉しいわね」
    P「星南さん、」
    星南「今すぐに、とは言わないわ。しばらくは待つつもり。あなたと燐羽の間柄は心得ているわ。それでも、よ」

    その後、星南さんとは細かくやり取りをした。プロデュースについて彼女からの相談に乗っていた。
    それからさっき燐羽からのメールを受けた。
    P「燐羽はおそらくその話を聞いたんだ」
    胃がムカムカした。
    やはり、今のままだと燐羽の足手纏いになりかねない。燐羽が去った部屋は元に戻っただけなのに何故か冷え冷えと感じられた。
    彼女の形跡の無い場所が広く感じる。
    なのに、彼女の甘い匂いだけは残っている
    喪失感と共に実感の湧かない不思議な気持ち
    彼女に思いを伝えようにも、
    半端な気持ちのまま燐羽にかける言葉は今の俺にはなかった。
    ベッドに座り込み、髪をかき乱した。
    俺ははっきりしない自分に苛々する。

  • 146二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 15:46:25

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  • 147二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 15:49:34

    其の36 日常 ある日の話
    私は彼といた時間を思い出して、
    文字通り涙が枯れる泣き続けた。
    疲れてしまい、虚脱感が返って冷静さを取り戻させた。不意にある日、広と話した内容を思い出す。
    広「ねぇねぇ、燐羽って、怒りっぽい?」
    燐羽「さぁ、どうかしら、まぁ怒りっぽいんじゃないかしら、どうして?」
    広「手毬が言ってた、燐羽はかっこいいって手毬は燐羽に憧れてるって、手毬はよく怒ってるだか燐羽もかな?って」
    燐羽「あのねぇ、その部分だけじゃ怒りっぽい私を手毬が真似してるみたいじゃない。あの子は昔からのあんな感じよ」
    広「ふふ、やっぱりそうなんだ。」
    燐羽「ええ、もういいかしら」
    広「ねぇ、燐羽。怒りをコントロールって可能なの知ってる?」
    燐羽「さぁ、最近よく耳にするアンガーマネージメントってやつかしら?」
    広「確かにそれもそう。だけど、それは対策方法の一つ。脳は怒りを感じると二つの指示を出す。一つは攻撃的な行動。もう一つはそれを抑える行動。それを理解すれば良い。」
    燐羽「あなたねぇ、簡単に言うけどそんな簡単には出来ないわよ、実際。」
    広「それを理解する方法は色々ある。一番わかりやすいのは、認知的再評価。なぜ、怒ってるかの原因を考えてみる。怒りに対して、その状況を新な視点で考えてみる。」

    他は難しくてわからなかった。けど、私は怒ってしまった理由をもう一度考えてみる。

  • 148二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 19:00:09

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  • 149二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 19:06:33

    其の37 日常 誤解
    感情を整理していく。
    私達はずっと一緒に過ごしたけど私は彼から求められなかった事に今更酷く傷ついてしまった。にも関わず、会長へ靡くかも知れない話を立ち聞きし、激しく腹を立てた。
    その二つが大きな理由だ。

    彼との日々、今までの彼が掛けてくれた言葉、行動は全て私を思い遣ってくれていたのを思い出す。
    だから、きっと今回もそうなんだろう。
    燐羽「Pはずっと私との約束を思ってくれていたわ。」
    私を裏切る事なんてないと思う。
    燐羽「ずっと、私を思ってくれていた。いつだって我儘に付き合ってくれた。必要なら注意もしてくれた。苦しい時は優しく抱きしめてくれた。」思い出が蘇る。涙が頬を伝う。
    燐羽「トップアイドルとして私をプロデュースする為、一線は超えないでいてくれた。」
    そう、彼は今私との関係に思い悩んでいるのね
    プロデューサーとアイドルとしての関係性を保つ為に十王星南とのなんらかの交渉に応じたのでしょう。

    そこで私の背筋が凍りつく。
    燐羽「今のPが私から拒否されたら、彼はどうすの?」
    無意識に口にする。
    彼は私との越えたくても越えられない壁に悩んでいた。そこで会長からの誘惑と私からの拒否されたら?
    会長とのやり取りが今日の昼間だった。
    その時の聞いた会話を思い出す。
    彼は迷っていた。会長に待ってくれと言っていた。
    それから私からの連絡を受けた彼はどうするの?
    いっ時の感情に流されて彼を突き放して一方的に離れてしまったことを悔やんだ。
    私はいつもそう。一方的に拒絶してちゃんと彼と話し合えていなかった。子供みたいな自分を恥じた。

    私は彼の元へ急いで駆ける

  • 150二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:24:51

    其の38 日常 
    私は走りながら彼の家に向かう。
    電話を掛けた。だけど、話し中で出なかった。
    泣きだしたかった。焦りで普段のペースで呼吸出来ず息が乱れて来る。構わず走る。
    彼の寮から学園へ向かう道に私はPの背中を見つけた。
    燐羽「待って!P!」
    私はそのまま彼の背中に抱きついた。
    燐羽「行っては駄目よ。行かないで。」
    P「燐羽、さん」
    燐羽「会長のところ行こうとしてたんでしょ?」
    P「やっぱり聞いてたんですね」
    燐羽「取り乱して悪かったわ。でも、会長のところには行かないで。」
    P「しかし…」
    燐羽「きっとあなたは、私をトップアイドルに導き、また、アイドルとして活動をしてく上で支えてくれる、あの子達にその景色を見せて上げると言う約束。それにはあなたと私の今の関係はよく無い事だと退こうとしている」
    P「…」
    燐羽「きっとあなたはこう考えてるんじゃないかしら、私に手を出すことは私の約束を破ることになるんじゃないかってね。そうなれば、私の足を引っ張るんじゃないかって。どう?違う?」
    P「ええ、そうです」
    私はPを振り向かせた。
    「パシッ」そして、頬を叩いた。
    私の感情は昂まり涙が溢れる
    彼の背広の肩を掴み私は顔を落とす
    燐羽「おばか、、どうして、、あなたは、、一言でも、、相談してくれなかっ、、たのよ」
    P「しかし、り…燐羽「私に迷惑になるんじゃ無いかって?そんなわけ、あるはずないじゃない。確かに拗ねるとあなたを一歩的に拒絶したのは悪かったわ。でも、私はいつもあなたの事を待っていた、ずっと言って欲しかったのよ、好きだって」
    それは口に出さずに堪えてた言葉

  • 151二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:47:27

    其の39 日常 和解
    薄暗い夜の空。
    寮から学園へ向かう人気の無い赤煉瓦の歩道。
    街灯の灯りが二人の影を伸ばした。
    「私はあなたに好きって言って欲しかったのよ」
    Pは私の手を解くと両手を前にして、強く握った。
    P「わかりました、燐羽さん、いや、燐羽」
    私は顔を上げた。
    薄暗い夜の闇に街灯の灯りが彼の顔を照らして見つめ合っていた。
    P「俺は燐羽が、ずっと好きだった。ずっと」
    Pはそれだけ言って私を抱きしめた。
    私は喜びや悲しみや他の色んな感情が爆発して
    涙だか鼻水だかでぐしょぐしょの顔を彼の胸に押し当てた。
    P「一度、俺の家に行こう。」
    私は黙って頷き彼の手を強く握りしめた。

    二人の影はプロデューサー科の寮へ消えた。
    近くにライトを落とした車があり二人を捉えていた。
    星南「ふふ、仕方ないわね、先輩も燐羽も。
    でも、先輩は私のお義兄様になることは決まったから、まぁ良しとしましょう。さぁ、車を出して頂戴。」
    エンジンが掛かり車は走り去っていった。

  • 152二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 01:29:59

    其の40 日常 義妹
    燐羽はご機嫌に料理をしてくれている。
    俺は会長に会う約束を破ってしまった事を謝る為に電話を掛けた。
    P「あ、星南さん、先程はすみません、約束の時間をすっぽかしてしまいまして、あの少しお話ししたいのですが、今ってよろしいでしょうか?」
    星南「あぁ、学園前で燐羽とお熱だった話かしら?それなら別に構わないわ。それより、お義兄様、お義兄様は今後十王家の人間になるから覚えておいて頂戴ね。必要な書類や印鑑は既にこちらで用意済みよ」
    P「え!?、ちょっ、どう言う意味ですか!?」
    星南「あら?この間言ったじゃない、一つ貸しよって。それでは、おやすみなさい。お義兄様」
    動揺のあまり何も頭が働かなかった。

    燐羽が何かあったのかと心配そうに近づく
    燐羽「あなた、どうかしたの?」
    不安そうだった。
    P「星南さんが俺の事をお義兄様って呼んでたんです。俺は十王家の人間になったのだと」
    燐羽「は?何よそれ?」
    P「わかりません、ただ一つ星南さんには貸しがあり、まさか、こんな事になるなんて」
    燐羽「は?会長に貸し?何よそれ?いつ?私そんな話し知らないんだけど?」
    一瞬黙っていようかと思ったがやめた。
    P「俺たちが雪の日に同じ部屋で宿に泊まって俺が謹慎を受けている時に、星南さんに燐羽と月村さんのプロデュースをお願いしたんです。その時の貸しです。」
    燐羽「そんな大胆な事しでかすの?ていうか、そんな無茶って通るの?」
    P「す、既に必要書類や印鑑は揃えたと言われました、」
    燐羽「えぇ…」引いていた
    燐羽「まぁ、一度お夕飯にしましょ?」
    「ねぇ、このお芋美味しわよ?食べてみて」
    燐羽はとても幸せそうだった。

  • 153二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:33:09

    其の41 日常 ロッジ
    最近お互い忙しかったため、燐羽が家に来るのは久しぶりだった。
    夕飯を一緒にする。花海咲季さんから教えて貰ったと言うペースト状の豆料理と野菜と合い挽き肉をトルティーヤで包んで食べる。
    燐羽「ねぇ、またどこかへお出掛けに行きたいわ。連れて行ってくれないかしら」
    P「そうですね、」
    燐羽の頬についたペースト豆を指で取って燐羽の口前にやると燐羽はそれを猫みたいに舐める。
    P「星空でも観に行きましょう」

    前に行ったプラネタリウムで学んだ話から、
    実際観に行ってみようと言う話になり。
    登山者用のロッジを借りた。登山者用といっても近くにパーキングもあるので、険しい山を登ると言う不自由は無かった。
    昼過ぎには到着し、管理棟で鍵を受け取り、持って来た食材や貸し出し品以外の物を中に入れる。俺は納屋に積まれた薪をリビングの暖炉に焚べる。
    中は広々とした縦に長い空間。真ん中にテーブル、右手にロフトへ行くハシゴ、真下にカウンターキッチンと食器棚、左手に手洗い場とシャワー室、入口左手にソファーとテーブル、左手脇に暖炉が屋根へ続いている。
    俺が暖炉を焚き、天体望遠鏡を外で調整してる間に燐羽はシャワーを浴び夕飯の仕込みを済ませた。俺も終わってからシャワーを浴び、軽く仮眠を取る為布団を敷きアラームを掛けて眠る。燐羽も俺の布団に潜り込んで来たのを温もりで感じる。
    アラームで目覚め、食事を摂ると外に用意した椅子に座って星を見てみる。正直必要ないくらい満点の星が肉眼で見えた。キャンピングチェアを並べて毛布にくるまり眺める。
    星座表を広げて空で照らし合わせた。
    寒くなり中に入ることにした。
    暖炉の火は意外と広い部屋を暖かくしていた。
    俺はリビングのソファー、燐羽の膝枕の上で耳かきをしてもらう。
    繊細な手つきで気持ちよい
    P「どうしていきなり耳かきを?」
    燐羽「千奈が莉波先輩にして貰ったって言っての。それで思いついたのよ」
    俺は少しうとうとしていて、燐羽がその頭を撫でてくれる。
    燐羽「これじゃいつもと変わらないわね」
    P「不満でしたか?」
    燐羽「いいえ、星空もこのロッジも素敵よ。」
    火を消して。暖炉の残火の暖かさで後は同じ布団に潜り二人の温度で夜を過ごした

  • 154二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 14:26:33

    このレスは削除されています

  • 155二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 14:34:16

    二部の後半は描いていて苦しかったですが、
    なんとか描ききれました。
    まだ200までは続けてみようと思います。
    よろしければ、お付き合いいただけたら嬉しいです

  • 156二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 15:37:59

    其の42 日常 メイド服
    ある日の午後。本来休日だったが、
    午前中に済ませる事があり学園に行き仕事を済ませ帰宅した。

    燐羽「あら、あなた。お帰りなさい」
    俺が帰宅すると燐羽がメイド服で出迎えた。
    上下黒の襟付きロングシャツと足首を隠すロングスカート
    シャツは白いレースの襟と袖。その上に白いフリルのエプロン姿。白いレースのメイド帽いわゆるヴィクトリアンメイドと言う出立。
    燐羽「前の学園祭で着たものよ。型落ち品とか衣装整理するからって貰っちゃったわ。どう?似合ってるかしら?」全身を見せびらかすように一周した。スカートがはためく。
    P「殺傷力が高すぎる」
    燐羽「は?どう言う意味よそれ?」
    P「いや、単純に可愛すぎます」
    燐羽「ふふ、嬉しいわ。」チュッ
    抱きつきキスされる。
    燐羽「気分がのっちゃったから、お菓子を焼いてみたの、ねぇ、こちらへいらっしゃい。ほら、早く」
    急かす燐羽に手を引かれ席に座らされる。
    燐羽「はいどうぞ、ご主人さま」
    テーブルの上にスコーンとジャムとクリームが並べられる。
    燐羽「適当にレシピ調べて作ってみただけだから詳しい作法は知らないけれど、これがスコーンの食べ方なんですって」
    まずプレーンのまま堪能する
    P「サクサク、ホクホクで美味しいです」
    燐羽「ふふ、それは良かったわ。待ってて今お紅茶入れて上げるわね、一緒にお茶にしましょう」
    燐羽「美味しいわね、こう言う格好で雰囲気味わうのも楽しいわ」
    燐羽はソーサーとカップを持ち上げて、上品な仕草でカップに口をつけて言った。
    確かにこう言う雰囲気も楽しいものだなと思った、
    P「燐羽、」
    燐羽「なぁに?」
    P「可愛いですよ」
    燐羽「お、、おばか、、」

  • 157二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:01:32

    っしゅ

  • 158二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:20:52

    其の43 日常 添い寝
    俺は自宅のデスクで今日中にまとめて置きたい仕事の準備をしていた。

    燐羽は風呂から上がり、乾かした髪を梳かしながら話している。
    燐羽「…って話しを会長にされたのよ」
    P「星南さんらしいですね」
    などと相槌を打ちながらも仕事に専念する。
    燐羽「ねぇ?そろそろ休みましょう?」
    P「すみません。今日中に終えときたい作業が残ってるので、先に休んでいて下さい」
    燐羽「そう、いつも私達の為にありがとう。あまり無理しないで頂戴ね」
    俺の髪を撫でる
    燐羽「おやすみなさい」
    P「おやすみなさい」
    日が変わる頃にようやく終わり。風呂を済ませて寝床に入る。
    その動作で燐羽が目を覚ます。
    P「すみません、起こしてしまいましたか、」
    燐羽「いいえ、、お疲れ様。」
    燐羽は眠そうに手を広げた
    俺はそれに応えて抱き合う。
    甘い香りが脳に刺さる。
    顔を燐羽の胸に埋め、髪を指で梳かす。
    彼女の服の中に手を入れひんやりした何も身につけていない背中を撫でた、
    彼女は俺の頭を抱えゆっくり撫でる。
    いつのまにか俺達は眠りに着く。

  • 159二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:11:37

    其の43.5 日常 添い寝2 
    燐羽「ほら?あなた起きなさい、朝よ、ほら早くっておばか、服引っ張らないでよ、ちょっと何抱きついてるのよ、きゃっ」
    目覚めると俺は燐羽をベッドに引きずり込んでいた
    燐羽「いい加減にしなさい」
    パシッ
    頬を叩き起こされた俺は朝から説教を受けた
    燐羽「朝っぱらから何してくれるのよ、全く」

  • 160二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 02:59:19

    >>155

    いつもコメ、保守ありがとうございます

    ストーリーの流れを楽しんでいただけてる方の為に具体的な明言控えましたが、ストーリー上最後の回に掛けて曇らせが必要だったのもあり平和回の甘々を楽しみにして下さってた方には申し訳ないなとお詫びしたいと思います。

    この後は甘々で埋めるつもりなので安心していただけるかと思います。

    自分自身描いていて辛かったので念のために

  • 161二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 07:53:35

    ナイス

  • 162二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 15:33:08

    >>160

    面白かった

  • 163二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:09:56

    >>162

    ありがとうございます!

  • 164二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:11:27

    日々の一幕 1

    ある時、俺は燐羽から壁際に追い詰められていた
    燐羽「あなたまた、会長と会ってたのね」
    脅すような口調で咎められる
    P「会長は今や、義妹なのでもう良いではないですか」
    燐羽「あの女は自分の欲しい物の為ならなんだってするわ。あなたも知ってるじゃない。きっと今だってあなたの事狙っているわよ、」
    燐羽「きゃっ」
    燐羽の足と腰を抱えて上げて赤ん坊をあやすように揺らした
    燐羽「ちょっといきなり何するのよ、恥ずかしいじゃない、」
    腕の中で弱く抵抗する
    燐羽「嫌なのよ、私以外の女と仲良くしてるのが、」

  • 165二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:35:43

    日々の一幕 2
    いつも抱き合って寝てるのに、
    外で手を繋ぐのは何故か緊張する。
    燐羽「たまには散歩もいいわね」
    広い緑地公園の歩道を散歩してるだけなのに変な気分。以前は自然に腕に抱きついてたのに、
    妙なお互いの間のある歩幅
    "でも、こっちから声を掛けるのが緊張する、"
    P「なんだか手が寂しいですね」
    と言うとPは私の手を繋いでくれた
    嬉しくなってそのまま腕に絡みついた

  • 166二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 19:03:41

    このレスは削除されています

  • 167二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 19:04:23

    日々の一幕 3
    いつもは強がりで口調の厳しい燐羽
    燐羽「私はあなたの事を周りからかっこいいって言ってもらいたいし、モテて欲しいわ。
    だから美意識は怠らないでね。でも、絶対他の女には渡さない」

    燐羽「全く何しているのよあなた、もっとしっかりしてくれないかしら。ほんとに仕方ないわねぇ、私が手伝ってあげる」

    燐羽「ふふ、こっちにいらっしゃい?さぁ、私の膝に横になりなさい。頭を撫でて上げるわ」

    燐羽「今日はお泊まり出来ないの?は?なんで?どうしても駄目なの?そう、仕方ないわね、…寂しいから、もう少し一緒にいましょう?」

    燐羽「怖い夢を見てしまって、目が覚めてしまったの。手を繋いでいて頂戴。」

    P「どちらも可愛いですよね」
    燐羽「もう、」

  • 168二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 23:38:59

    三部 離島での話 1
    私達は船に乗って離島に向かっている。
    水平線の向こうに夕陽が沈んで行くのが見える
    船の展望デッキの上。手すりに捕まり、
    肌にまとわりつく潮風を受けながら、
    私は反射した夕陽の色と少しずつ暗くなる
    青色の海を眺めていた。
    船内からPがやって来た。
    P「燐羽、身体冷えますよ、中に入りませんか?」
    燐羽「ええ、」風で髪が靡く
    私はPに振り向くと、彼の手を取り後について行く。
    本島から3時間程の距離の場所にある離島は
    それほど大きくは無いが、観光地ではあり島全体の至る所に美術館や芸術家の作品で埋め尽くされた島。

    私達はお互いに行き来し過ぎた。
    それはお互いわかっていたわ。
    会長からも度々、注意されていた。
    彼がなんとか世間には上手く取り計らってくれてたけど、やっぱり駄目だったみたい。
    断定出来るには、至らないけど憶測が広がりそうだった。炎上するかもって程度だったけどね。
    私とPとの熱愛疑惑って
    それで一度ほとぼりが冷めるまでって会長が今回のお忍びプランを提案してくたれた。

    私としてもやはりこの現実はいずれ受け止めなくてはいけないのは理解していたから、それが今になっただけだった。
    手毬「プロデューサー!!やっぱりりんはとそう言う仲だったんだ!!変態!!」

    手毬は怒っていたわ。
    手毬はプロデューサーと付き合ってる気分だったみたいで諌めるのは大変だったけど、美鈴はご機嫌だったわね。
    この期間は私は勿論、彼も今は何も出来ないからまた会長の奴隷になるのでしょうね。

    そんな期間の話

  • 169二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 00:18:55

    離島での話2
    P「夜一緒に歩いているのを撮られた画像がらSNSに載ってしまったんです。本当に申し訳ありませんでした。」
    燐羽「まぁ、いつかこうなるのはわかっていたことよ。私も覚悟はとっくにしていたわ。」
    P「ただ、星南さんがこうなった場合に事前にすぐに動けるように準備してくださっていたんです。だから、船も身を潜める場所もすぐに用意してもらえました。」
    燐羽「そう、会長が…」
    P「今回で星南さんには尚更頭が上がらなくなってしまいましたね。」彼は笑う
    私は話を変える
    燐羽「ねぇ?これから行く島って?」
    船の外を見る。辺りはすっかり暗くなっていた。遠く先に灯台の光が見えていた。

    P「ええ、一部では有名なスポットですが、娯楽施設は殆どない島です。まぁ鑑賞ツアーとしては充実していますよ。」
    程なく船は船着場に着き。私達は荷物を下ろす。
    しばらく滞在するので、ランドリーの利用も考慮した荷造りだ。
    船着場はガラス張りで島の内部が透けていたが暗くてよくわからない。
    Pが説明してくれる。
    P「元々、地元の若い方々が本島に仕事に出るため、釣りやサーファーの方がシーズンに訪れる時使われる小さな民宿や、飲食店。漁師の方々が細々と暮らす小さな島でしたが、いつの間にか建築家や芸術家の方々がゆっくりした時間が流れる島を気に入りそこで、作品を生み出し始め次第に反響を呼び観光地になったそうです。今は多少大きな観光場所になって来ているみたいです、勿論、十王家の土地もあるので我々が泊まる場所はそこです。」
    燐羽「ほんと、呆れるわね、まぁそのおかげで命拾いしたわけだから、感謝しないといけないわね。」

    私達は島の家々と高台に連れて明るく照らされているホテルが集う場所へ向かう。

  • 170二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 00:56:12

    離島での話 3
    ホテルで鍵を受け客室へと案内して貰う。
    Pは十王家の人間と会ってVIP対応されたが
    彼はどうにか拒み、空いている一般客室に変えて貰った。

    燐羽「外が綺麗ね」
    大きな部屋には夜景を一望出来る窓、大きな二つベッド。
    燐羽「ねぇ、あなた大丈夫なの?今更だけど、一生奴隷よねこんな待遇って」
    彼は苦笑いに汗を浮かべていた。
    P「一応今後の勉強の為でもと言う話しだったので沢山刺激を受けて立派なアイドルになってください。おねがいします。」
    燐羽「まぁ、私もあなたと一緒なわけだからもう、結果出すしかないわけだけどね」
    燐羽「暗い話しはやめましょう。この期間は何も考えず楽しみましょうよ」
    Pは黙って微笑んだ
    私はシャワーを浴びる。白いカーテンを挟み浴槽がある。
    頭を乾かし出て来ると。彼は仕事しようとしていた。私はローブ姿で抱きつく。
    燐羽「あなた、こんな時まで仕事しているの?全く真面目ね」
    P「いつでも把握出来る様にはしておきたいので」
    まぁ、学園に戻った時の彼の地獄を考えると仕方ないなと頷いた。
    燐羽「ねぇ、シャワー空いたわ。入って来たら?潮風でベタべタじゃない?」
    P「そうですね。行って来ます、」
    彼の背中を見送り私はベッドに寝そべる。
    私はここで彼とどこまで行けるのか目を閉じて想像してみる。
    出来るなら愛し合いたい。
    だけど、そうなればもうアイドルは出来なくなるかも、そんな事を考えてる内に旅の疲れもあり眠ってしまった。Pが私を抱えて布団に入れてくれる感覚を感じたがまたすぐに眠りについた。

  • 171二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 01:07:31

    良ssに感謝を

  • 172二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 03:05:19

    私はいつもの時間に目を覚ます。
    ホテルの館内と道を確認しながら、外に出て走れそうなコースを探しながら散歩して帰る。
    朝食の時間になりルームサービスのベルが鳴る。部屋に運んでもらい食事を摂る。
    Pと島の地図や船で対岸の街の地図を眺めてどこに行って何をするか話した。
    P「ただ、今日は星南さんと少し話をする必要がありそうなので、すみませんが燐羽、ひと段落着くまで…いえ、今日は忙しいかもしれません。」
    燐羽「そう…わかったわ。今日は大人しく一人で過ごすわ」
    寂しかったけど私は内心浮かれながら、彼とどこを回るか考えた。ラウンジに行き、ドリンクを頼んで地図とパンフレットを照らし合わせた。
    ルームメイキングの時間に合流する
    燐羽「どう?忙しそう?」
    P「いえ、燐羽が気にする事では…」
    私は睨む。彼は咳払いすると説明を始めた
    P「今後こうならない対策を星南さんと話していました。なった場合の対応についても。燐羽が看板アイドルの一人になるのは間違いないので」
    P(星南"覚えて置いて頂戴、一度火がついた乙女心はそう簡単には治まらないの。あなたが思うほど簡単な話ではないのよ")
    燐羽「そう。わかったわ。私は少し散歩しに行くわ。」
    数日前
    P(星南"お義兄さまいいかしら?あなた達が撮影されたのは燐羽の家の近くだったの、それはつまり燐羽の家が特定されてるかもしれないわ")
    P"!?"
    (星南"そう。だから、どのみは燐羽の身の安全を保証する必要があるのよ。あなたの家でも良いのかもしれないけれど、あなたにも何かあると困るわ。まぁお義兄さまさえ良ければいつでも十王家に来ても良いのよ。部屋ならあるしね、ふふ、まぁ半分冗談はともかく。あなた達に行って貰う理由は十分にあるのよ。とはいえ、流石に間違い起こされちゃうとこちらとしてはどうしようもないから、その辺りの良識はお義兄さまに任せるわね。と言うわけで、引き続き周辺の安全性は注意しておくわ。じゃあ、またね")
    燐羽
    私は坂道を下り、海に向かって道なりに進む。近くにオリーブ農園があった。道中に佇む景色に馴染んでないオブジェを眺めながら海まで歩く。
    燐羽「昨日は暗くて分からなかったけど、本当に素朴な島なのね。素朴なのに不自然なメッキが貼ってるみたい。そのままの方が素敵に思うわ。」
    私は雲ひとつない真っ青な空と海が見える砂浜まで来て砂浜に腰を下ろす。

  • 173二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 11:49:57

    このスレが永遠続きますように

  • 174二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 13:40:20

    離島での話 5
    私は砂浜の砂を手で握り、滑らせる様に手から離すと砂はサラサラと風に消える。
    昨日までのザワザワした世界が嘘の様に静かで、辺りには波の跳ねる音とどこから聴こえる鳥の声が耳に入るだけだった。

    砂を払い立ち上がる。周りを見渡すと昨日降りた船着場が見える。私はまた道なりに辿る、船着場の横には芝生の広場があり真ん中にアート作品のモニュメントがあった。その周りに寝転がる人や、絵を描いてる人、アフリカの打楽器を叩く路上パフォーマンスしてる人がいた。
    アフリカのリズムらしい馴染みの無いリズムが奇妙な景色を余計、不思議な世界に感じさせた。

    船着場の待合室には貸し出し自転車が並んでいる。前にはバス停もあった。
    燐羽「意外と、交通網もあるのね。」
    私はポケットにしまっていたパンフレットを取り出して何か面白そうなモノはないか見てみる。
    銭湯があるらしい。
    燐羽「へぇ、ホテルで退屈したらPと来ようかしら。」
    周りは瓦屋根の民家の中に椰子の木が生え、凸凹して奇抜な彩りの奇妙な外観の建物だった。不意に近くのカーブミラーに映る私が目に入った。菫色のワンピースとパンプス姿の私。
    私は素朴なのかしら?自分に対して疑問を向ける。

    また、船着場に戻るとたまたまPが迎えに来ていた。見つけた途端に嬉しくなり私は彼の腕に駆け寄った
    P「ここに居たんですね、」
    燐羽「あら、探させてしまったかしら?」
    P「いいえ、ここに居なければ連絡しようかと思っていたところでした。」
    燐羽「もう、用事はいいの?」
    P「ええ、せっかくなのでこのまま見回りましょうか?」
    私は抱いた腕に力を入れる
    燐羽「ええ、そうしましょう」

  • 175二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 17:57:48

    離島での話 6
    雨雲が昨日の真っ青なら空を嘘みたいに隠していた空の様子から一日中みたいね。
    今日は朝から体調の悪さを感じた。
    Pは枕元にお薬やお水や必要なものを枕元のサイドテーブルに用意してくれた。
    燐羽「今日は天気もよくないし、少し休ませて貰うわ」
    Pは額を手で撫でてくれた。私はその手を握る。
    P「ゆっくり休んで下さい。」
    そう言うと、彼は窓際のテーブルにPCを開きキーボードを叩き始めた。
    何度か目が覚める度に、彼は席にいたりいなかったりした。気付けば夜。
    数日は続く体調の悪さに備えて食事で不足しそうな栄養をしっかり蓄えた。
    P
    燐羽さんの戻ってからのプロデュースを改めていた。彼女はステージパフォーマンスの評価は言わずもがな、声真似の能力は応用させると様々な場面で活かせるはずだと。
    実際、ナレーションの仕事は増えていた。
    プラネタリウム以降、企業広告や、地方CMなど舞い込んでいた。仮に顔出しが無理でも声を活かせるのは強みだった。俺は、何か狙えそうな情報は無いかと、イベント情報や黎明期な物を漁る。星南さんからの報告と合わせて連絡を取り合い、一度、互いに方針確認をした。
    夜になり入浴を済ませ休んでいる燐羽の手を握る。起きていたのか握り返して来る。
    彼女の額を撫でた。俺もシャワーを浴び寝床に着く。
    朝になり外は今日も雨だった。
    ルームサービスの食事を済ませた後、
    休んでいる燐羽を起こさない様に外に出る。
    バーラウンジに出かけてドリンクを頼む。
    窓際の展望スペースで外の雨を眺めてコーヒーを啜る。
    スマートフォンでニュースを流し読み、しばらく時間を潰した。シーズンでは無いらしくそこまで人は居ないラウンジを一度見回す。
    まるで何者かになった様な現実味のない自分を勘違いしない様戒める。所詮与えられたモノでしかない仮初の時間と空間に現を抜かせる程俺はまだ何もしていない。まして、強制的に家族に組み込まれたとしても殆ど赤の他人の尻拭いまでされてる様じゃまだまだだ。
    等と自責と頭に血が昇りそうな気持ちを落ち着けた。
    残った分を飲み干して、席を立つ
    P「さぁ、戻ろう」

  • 176二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 18:02:14

    離島での話 7
    数日身体を休めてだいぶ調子は落ち着いた。
    余裕が出来た事で、彼と一緒の空間にいて寝て過ごしてしまった後悔が溢れ出す。
    燐羽「まぁどのみち、雨だったからホテルで過ごすしか無かったわけだけど。けど、今日は晴れてるみたいね。」
    私はスポーツウェアに着替えて走りに行く。
    部屋に帰りシャワーを浴び、朝のケアをしていると彼が目覚めた。
    P「もう大丈夫ですか?」
    私は彼に抱きつく
    燐羽「ええ、心配かけたわね。色々ありがとう」
    Pはそんなことはないとかぶりを振る
    P「今日は晴れましたし、出かけましょうか」
    燐羽「ええ、もちろんよ」
    食事を済ませ、支度をするとホテルを出る。坂道の途中のオリーブ農園を眺めながら、遠くに広がる海が見渡せた
    燐羽「ねぇ、この前見回ってた時に気になる場所があったの。一緒に行きたいの」
    P「勿論。」
    地図を見ながらバスに乗って目的地で降りた。
    燐羽「有名な絵画を基に作られた美術館なんですって」
    無機質なコンクリートのゲートがあり、
    その横には花壇に植えられた色味豊かな花々と池のある庭園があった。周りの風景に対してそこだけまるで別の世界から切り取られた様な、絵画の様な景色だった。私の心にある何かがざわついた。
    館内に入ると、木漏れ日の様に所々吹き抜けになった天井から光が差していた。一面剥き出しのコンクリートで中は涼しい。
    どこを観ても絵になる景色。だけど、冷たくて、生気の無い妙な外界と隔絶された空間だった。
    休憩スペースがあり立ち寄る
    燐羽「まるで洞窟から海を観てるみたい、」
    ガラス張りのカフェから海が広がっていた
    P「なんて言うか凄い場所ですね、景色に色味が殆どない」
    彼の一言で私が感じていた何かに気づく。
    まるで灰色の世界
    私達は異世界から帰って来た様な安心感を覚えてた。太陽の光は常にあったのにね。
    燐羽「少し疲れたわ、宿に戻りたい」
    P「ええ、そうしましょう。いつのまにか陽も傾いて来ているようですし、」

  • 177二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 19:30:32

    離島での話8
    星南「そう、そう言うわけだからお義兄さま、またね(せなちゃ〜ん、早くこっちに来てよぉ〜!ことね、寂しぃ〜)
    ご、ごめんなさい、ことねが待ってるから切るわね、」プッ
    P「あれは藤田ことねさんではないだろうな」深いことは考えないようにした。
    燐羽「会長?」爪を研ぎながら
    P「ええ、一日の報告です」
    爪にふっと息を吹きかける
    燐羽「そう。ねぇ、明日からビュッフェに行きましょう。さすがに毎回ルームサービスは悪いわ」
    P「そうですね」と言うとロビーに繋いだ
    燐羽「ねぇ、あなた…」
    燐羽は不意に目の前に立つと何か言いたげに手を開いている。その手を合わせる。
    燐羽「いえ、やっぱりいいわ…」
    P「なんです?いつも俺が言い淀むと詰め寄るじゃないですか?」
    燐羽「言いたく無いとかじゃなくて、なんて言えば良いのかわからないのよ」
    燐羽の頬に口づけする
    燐羽「きゃっ、ちょっと、いきなり何よ、」
    P「別に無理に話さなくても良いですよ」
    燐羽「もう、、」燐羽は拗ねた
    燐羽は肩に手を置き目を見つめると
    「ねぇ…P、私をだい…」言い終わる前に俺は彼女の頭を口を抑えるように抱きしめた
    P「ダメですよ、そんな事言っちゃ」
    燐羽「おばか、」小さくこぼした

  • 178二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 22:28:54

    離島での話 8.5 その夜
    さっきから、身体の疼きが収まら無い。
    眠っているPの布団に潜り込んだ私は彼に抱かれる形に腕を持ってきた。
    私は寝ているPにキスすると、どんどん身体が熱くなる。彼の手を掴み私の身体に触れさせる。
    頬、首、鎖骨。ローブの中に手を入れて
    脇、胸、腹。
    「あっ、」と声が出そうになるのを押し殺す。
    どくどくと鼓動が早くなる。
    身体が震えてくる。彼の分厚い手を撫でる。
    もう一度私の胸に持って来る。
    呼吸が乱れる。
    もっと弄んで欲しいのにいざってなると、
    これ以上は怖く何も出来ない。
    結局いつもの様に私の背中に手を回して胸に顔を埋める。熱くなった身体を押し付けて、しばらくそのまま眠くなるまでそうしていた。求める身体と裏腹に何も出来ない自分に涙が流れた。
    燐羽「好きなのにどうして、」

  • 179二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 23:05:37

    離島での話 9
    結局よく眠れず朝を迎えた。
    私は下着が濡れてしまったのもあり、
    シャワーを浴びてから着替えて走りに行く。帰ってまたシャワーを浴びる。彼の分厚い手が身体に触れた感触を思い出すと再びジンジンと身体の芯が疼いた。
    朝の身支度を済ませて、まだ寝ているPを起こす
    燐羽「いつまで寝ているのよ、早く起きなさい、
    ほら、朝食へ行くわよ」
    彼を揺らす。
    彼が私の腕を掴む。その瞬間に心臓が止まりそうに
    なった。私は腰が抜けたみたいにその場に座り込む。その間にPは身体を起こした。
    P「燐羽、どうしました?」
    私は座り込みながら言う。
    燐羽「なんでもないわよ、おばか、、朝ごはんの時間よ」
    朝食を終えた私達は、船で対岸の街に行ってみる事にする。
    そこは海の見える坂の街。急な斜面に家々が立ち並ぶ街。
    私達は乗船し、座席が並ぶ船内に移動する。壁にかけられたスクリーンには映画が流れていた。
    私は一度自販機で飲み物を買い展望デッキのシートに腰掛ける。彼は電話中だった。
    船から見える代わり映えの無い海をただ虚に眺めている。
    P「ここに居たんですね、」
    燐羽「あら、もういいの?」
    振り向いた瞬間彼の手が肩に掛かろうとして、私は咄嗟に避けてしまう。
    少し取り乱した様子に彼は心配そうに見つめる
    P「どうしました?」
    燐羽「いえ、なんでもない。大丈夫よ、」
    と体勢を整える。
    そうしてる間に船内アナウンスが間も無く到着を知らせた。
    船を降りると目の前には高々と続く坂道に家が階段線に立ち並び、道は迷路のようだった
    燐羽「凄い街ね」

  • 180二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 07:54:43

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 14:43:02

    離島での話 10
    船を降る。坂の麓には海と平行に伸びたアーケード商店街があった。
    観光場所らしく島に比べると人通りはとても多い。海川側の細い路地から商店街に入ると、休憩場所を探す為何気なく右手に沿って歩いた。商店街の終わり近くに赤煉瓦の壁にガラス張りの窓の喫茶店がありそこに入る。開けると焙煎された豆の香りが漂っていた。広いテーブル席に案内されオーダーを通す。燐羽がドリンクと別にホットケーキを注文する。忙しそうな店内は普段から旅行者が訪れる場所の様だ。注文が届く
    燐羽「喫茶店のバターの香りが効いたホットケーキ好きなのよ。量は食べられないけどね。」と言ってナイフとフォークで二人分に分けて皿に乗せる。
    しばらく、空間を楽しむと俺は燐羽に話題を振る。
    P「燐羽は昨日言葉に出来ない迷いがあると言っていましたが、それはアイドル活動についてですか?」
    燐羽は食べながら頷く
    「ええ。」
    俺は少し考えてから雑談混じりに話出す
    P「燐羽は、メアリーの部屋って知っていますか?
    燐羽「いいえ、知らないわ」
    P「まぁ、俺も詳しくないのでこれが正しい話の振り方かわかりませんが。ある白黒しか存在しない部屋で生まれずっと部屋を出た事の無いメアリーは、そこでこの世にある色の全てまた、人が色を認識する構造の全てを研究し、それらを知識として理解しました」
    燐羽は手を止めそれで?と目で促す
    P「そのメアリーが白黒の部屋から出て本物の赤や青を見た時、新たな学びはあるでしょうか?ないでしょうか?」
    燐羽「どうしてそんな話を?」
    P「なんとなくです、」
    燐羽「そうね、例え知識として知っていても実際に観たり、体験することは違うわ。」
    P「そうですね、俺もそう思います。まぁ、あなたとは条件は違いますが」
    燐羽「そう、なんとなく言いたい事はわかったわ。」
    そんなやり取りをして店を後にする
    坂の道の麓に線路がある。踏切を越えて階段を登り始めた。古い家屋がびっしり坂に面して立ち並ぶ。道は至る所に張り巡らされていて迷路の様だ。
    燐羽「観た事のない場所ね。ワクワクするわ」
    縦、横、斜め、湾曲した道が交差して視界の道以外先が見えない。
    燐羽「次に何があるのかわからない道。まるで私達みたいね」
    燐羽は俺の前に立ちずっと先に進んでいる。
    いつもの燐羽なら抱きついて来るはずだが、
    なぜか今日はずっと距離があった。

  • 182二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 20:03:48

    離島での話11
    階段を登るとそのまま民家があり石垣の上に猫が眠っていた。
    私はそっと近づくと気配に気づき目を覚ました。だが、微動だにせず猫はまた眠りにつく
    燐羽「逃げようともしないわね」
    人慣れしてるのかまるで無関心だ。階段を登り近づく彼を見下ろす。背後には広い空に白い雲、青々とした海、遠くに見える船、とさっきまでいたアーケード商店街の屋根が小さく見える。私達は坂の上から舗装された山道になり展望台に向かっていた。
    燐羽「ほら、もうすぐよ、頑張りなさい。」
    頂上近くのお寺の近くに石の台座がある。
    そこから山の下の一面見渡せる。
    気持ちいい気候の空と木影には涼しい風が肌をかすめた。
    燐羽「ねぇ、私はトップアイドルになれるかしら?」
    彼に振り向く。Pは黙っていてくれた。
    燐羽「賀陽継は未だにいるのかもしれない、アイドルをやめようとしたのもそれがあったかもしれないわ。ねぇ、私はアイドルとしてやれると思う?」
    P「俺はずっと前から言っていますよ、あなたは既に素敵なアイドルだと。そして、これからもトップアイドルとしてやれる素質は十分あると」
    彼はまっすぐな目で質問にだけ答えた。
    燐羽「そう、ありがとう。あなたはいつも私を褒めてくれたわ、嬉しくて甘えてしまうほど。でも、どこか自信の無い私を否定して欲しい自分もいる。やっぱり、アイドルなんて辞めて、早くあなたのお嫁さんになりたいなって。簡単な話じゃないのよ、応援してくれる人達や仕事を与えて貰らえることに当然感謝はしている。けれど、私の魅力がなんなのか見失いそうにもなる。今の私は作り物なのかありのままなのかわからなくなる時がある、不意にそれが襲って来た時とても不安で、怖くなるの」
    私は海へ振り向いた。何か答えを求めるみたいに。後ろから彼は黙って腰に腕を巻いた。
    私は手を添える。
    P「あなたは魅力的です、あなたが思う以上に。大丈夫。俺が"賀陽燐羽"として必ずトップアイドルにしてみせます。だから、安心して下さい。」
    私は彼の言葉に安心した。ずっと縛られていた物を解き放ってくれたみたいで、そして私を認めてくれた事が嬉しかった。
    燐羽「ありがとう。私は、あなたとずっと一緒にいたい。」
    同じ景色のはずなのに一段と世界が美しく見えた気がした

  • 183二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 21:55:42

    離島での話 11.5
    その日宿に戻って以降私は運動量を増やした。
    朝は走り、ホテルのプールで空いてる時間は泳いだりトレーニングを始めた。
    終わると、彼とお茶をして彼に抱きしめて貰う。

    P「お疲れ様です、燐羽」
    燐羽「手を前に出して」
    ベッドの背もたれに背中をつけた彼の胸に私の身体も足を伸ばして背を寄せる。彼の手をお腹の前で重ねる。Pは私の後ろ髪に顔を埋めた。
    私は彼の手で自分の両胸に触らせる。
    少し揉まれて嬉しくなった。
    燐羽「ねぇ、もっと触っていいのよ?」
    P「ダメですよ。もし、あなたがトップアイドルになり引退したその後もこうしていられるなら続きをしましょう」
    燐羽「何よ、ちょっと揉んだ癖に。でも、本当ね?約束よ?わかっているとは思うけど、私の約束を破るなんで絶対許さないんだから。」

    彼が仕事を終えた時は私が膝枕してあげた。
    燐羽「お疲れ様ね。」頭を撫でる
    P「太ももの柔らかさとほんのり冷たさが心地よいです」
    燐羽「恥ずかしいから、わざわざ言葉にしないで頂戴、」
    彼はお腹の方に顔を向け太ももに寄せ身体を丸めた。息が肌をかすめる。
    燐羽「ちょっと息が当たってくすぐったいわよ」彼の髪をぐしゃぐしゃとかき乱した。
    彼が黙って背中に手を入れて来ると背中が冷たくなった
    燐羽「きゃっ、ちょっと手冷たいじゃない。温めてあげるから手を出しなさい」

  • 184二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 07:08:12

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 15:48:00

    離島での話12 (前)
    星南"あなた達の事だけど、少し炎上しかけていたけどファンの間では割と肯定のようでね。むしろ、二人の仲を応援する人達は多いみたいなのよ。だから、そろそろ戻って来ても良いかもしれないわ。あなたが良ければすぐにでも手配するわよ"
    P「と言うことらしいですが、」
    燐羽「そうね、もう十分羽を休ませて貰ったし、そろそろ戻っても良いんじゃないかしら?何より、私達の仲を認めて貰えたのは嬉しいわね。」燐羽は朝の用意をしている。
    星南"では、明日の午前中にはそちらに船を向かわせるわ。もう一日、楽しんでおきなさい。では、ね」
    P「あ、星南さん、」
    星南"何かしら?お義兄さま。"
    P「先日のことねさんの声がしたのは?」
    星南"ああ、そのことね!!ずっと試行錯誤していた抱き枕にAIおやすみ、おはようことねボイスを合わせたのが完成したのよ!!"
    P「…」
    燐羽「どうかしたの?」
    P「いえ、なんでも」
    明日帰る様荷物をまとめた。
    燐羽はしゃがんでる俺の髪を撫でながら
    燐羽「今日はずっと一緒にいましょう?」
    と言うので一日共に過ごす
    俺は眠気が強くなりさっき目覚めたばかりなのにまた少し寝転がる。
    燐羽も身体をくっつけてくる。
    周りの認知もあるとの事で張り詰めていた思いが少し緩んだ。燐羽が口づけして来たのに俺も応える。気づくとそのまま昼前まで寝てしまった。
    目が覚めると燐羽は出掛けても大丈夫な準備をしていた。こちらに気づくとベッドに腰掛け頭を撫でた。
    燐羽「眠いなら寝ていなさい。」
    彼女の目を見てると何とも言えない気分になった。手を引っ張ると前屈みになった燐羽に口づけをした。
    燐羽「ん、」甘い香りが脳に刺さった。燐羽は目を閉じている。
    P「どこか行きたいんですか?」
    燐羽はもうっと言いながら乱れた髪をまた整え一瞬考える様に視線を動かした。
    燐羽「無理しなくていいのよ?」
    P「今日はあなたとずっと過ごす約束ですからね」
    燐羽「そう、嬉しいわ」

  • 186二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 19:57:42

    離島での話12 (後)
    その日私達は二人で行っていない場所を探索した。
    途中のベンチで休んだり、海の見える古民家のカフェでお茶をした。席数は少なく目の前の海を眺めながら、ゆったりくつろぐことが出来た。
    燐羽「このレモンのシフォンケーキ美味しいわ。ねぇ、食べてみて、ほら、口開けなさい、アーンしてあげる。帰ったら作ってみたいわ」
    P「ええ、美味しいですね。是非作ってください。俺のアイスも食べてみます?」
    燐羽「いただくわ、食べさせて頂戴」
    燐羽「良いお店だったわ、また来ましょ。」
    日が暮れて来てそういえば銭湯があるのを思い出す。
    燐羽「そういえば、近くに銭湯があったの、ねぇ、行きましょう?」
    P「ええ、行きましょう」
    椰子の木が生えて凸凹した変わった外観の銭湯は内装もなんとも言い難かった。二人は外に出て合流してホテルへ向かう。
    燐羽「なんだか、そわそわして落ち着かなかったわ。」
    P「ええ、そうでしたね」
    夕陽が沈みかけた海側に立つ彼の笑みに影が出来る。
    その横顔に私は今日がこの土地での彼との最後の時間だと名残惜しさや切なさが溢れてきた。
    私は砂浜へ行こうと彼の手を引いた。
    夕陽が海に沈み星達が夜を照らそうとしていた。
    私は彼に背伸びをして抱きつき口づけをした。それに彼も応えてくれる。何度か繰り返した。
    P「せっかく湯に入ったのにまたシャワー浴びなくちゃいけませんね」
    燐羽「一緒に入ったって私は良いのよ」
    私は彼をまっすぐ見つめた
    部屋の浴槽は二人が入れるくらいの広さだった。
    湯を張り、二人で入った。私は彼の背中を、彼は私の背中を洗って、頭も洗いあった。
    彼の手が私の頭をマッサージしてくれると全身の力が抜けるように気持ち良かった。
    燐羽「気持ちいいわ、ヘッドスパの人にもなれそうね。」
    彼は笑っていた。
    お互い洗い流し浴槽に浸かり彼に背中を向けて座る。彼の筋肉質な身体を感じると身体が熱ってくる。彼の手が私を抱きしめる。私は手を強く握る。
    後ろを振り向くと口づけをした。のぼせる様に顔が熱くなったと思うと、私湯船の中に顔を滑らせらていた。私はのぼせてしまっていた。
    気づくと、彼は私の身体と頭を拭き、ローブを着せベッドに寝かせてくれた。
    心配そうに見つめる彼に私はみっともなさや恥ずかしさやらで布団で顔を隠した。

  • 187二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 00:11:38

  • 188二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 07:42:06

    しゅ

  • 189二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 11:05:40

    このレスは削除されています

  • 190二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 11:40:55

    修正してまたあげ直します!

  • 191二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:16:15

    このレスは削除されています

  • 192二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:18:47

    離島での話13 最後
    私は寝ている彼の布団に潜り込んだ。
    私は彼の分厚い手を取り私の身体に触らせる。
    これからの自分を想像した。
    私はPと結ばれたい。でも、その前にトップアイドルになる。その為には自分のすべき事をまず頑張らなくちゃ。
    燐羽「私は弱いわ。いえ、あなたと一緒に過ごす内に弱さを知れたのよ、」
    何度、抱き合おうと、口づけしようと、今は決して彼とそれ以上にならないわかっている。でも、その甘いひとときに私は何度も救われ、励まして貰った。
    燐羽「私はもっと上を目指すわ。そして、必ずあなたの夢を見せて上げる。その後は、約束通り私をお嫁さんにしてね」チュッ
    私は彼の手を背中に回す
    P「まだ起きていたんですか」
    腕に力が入った
    燐羽「あら、ごめんなさい。起こしちゃったかしら、」
    内心は嬉しかった。
    P「明日は早いので夜更かしはおすすめしませんよ。」
    燐羽「ええ。ねぇ、P。私の胸の中に頭を埋めてくれないかしら」
    彼は黙って私の胸に頭を潜らせる。
    彼の頭を抱え、額を当てた。私の地肌に息が掛かる
    今この時だけは、少しでも不安な私の身体を求めて欲しかった。
    燐羽「私はトップアイドルになる。その為に改めて頑張るわ。そして、私は寮に戻る事にする。」
    さっき考えた事を彼に告げた。
    彼の身体が強張るのを感じる。
    私ははだけたローブから露わになる乳房を彼の口元にやると、彼は咥え先端を優しく舐めた。
    何とも言えない気持ちになり、しがみつく様に頭に抱きつく。
    燐羽「卒業して、仕事が忙しくなってお互いが会える時間が少なくなったとしても、私はあなたといつか必ず一緒になりたいわ。だから、あなたも私との約束守りなさいよ」
    P「もちろんですよ、」
    彼は私の胸に吸い付いては優しく舐めている。
    燐羽「ふふ、赤ちゃんみたいね」
    私は頭を撫でる。満足したのか、彼はいつしか眠りに落ちていた。
    私は半端に残った昂りはあった。それ以上に彼に求められたことの喜びが大きくて幸せだった。
    燐羽「いつかまた、こんな時間を過ごしましょう」

  • 193二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:30:47

    これにて締めにしたいと思います。
    読み返すと書きたい事が沢山ありますが、
    長くなるので、伝えたい事のみにします。
    長い間、長い文章にお付き合い下さいまして皆様、本当にありがとうございました!文章描く自体が初めてで勝手わからぬまま描かせていただきましたが、優しく見守って、支えて貰えました。
    コメントも嬉しかったです!
    ありがとうございました!

  • 194二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:35:58

    とても素敵な世界をありがとうございました!

  • 195二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:39:56

    ただひたすらに感謝

  • 196二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:19:35

    乙。また気が向いたら書いてほしい

  • 197二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:28:43

    次回作に期待しとるで!!

  • 198二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:48:26

    本当にありがとうございます

  • 199二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:50:46

    1さんお疲れ様です
    ほのぼのP燐楽しませていただきました、ありがとうございました!

  • 200二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:52:46

    お疲れ様でした!

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