- 1二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:38:02
皆さんの素晴らしい創作に触れ自分も初SS描かせて頂きます。描いてる途中ですが、少しずつ上げて行きたく思います。
学Pが燐羽様と最初はお互いを知らないまま出会っていてそこから距離が近くなってく妄想です。
上手くストーリー運びが出来るかわかりませんが、
至らない点や表現などご意見あれば、どうぞご指摘頂ければと思います。よろしくお願いします。
初星学園から離れた商店街の中にある草臥れた喫茶店。
天川の街には簡素で清潔感のある洒落たカフェが立ち並んでいるが、少し離れた商店街にあるその店は少し独特な雰囲気だった。どこかの国のアンティーク家具が並び、席毎には天井から吊るされるランプが燻んだ赤茶色の店内を照らす空間が懐かしさと安らぎを与えてくれた。
外は赤レンガの壁で入口に置かれたショーケースと日焼けして掠れたメニュー、丁寧に装飾された木製の扉を開け中に入ると鐘が鳴る。手前には細い通路とキッチンに面したカウンター席四席。奥の空間は中央にパーテーションを隔てが二人掛け二席、四方の壁側に対面四人掛けのソファー席が三席。
その日俺は担当の仕事の一休みと気分転換を兼ねた散歩の途中に行き着いた。時間帯は夕時、コーヒー一杯程度の滞在時間の為に。
閉店時間までにはまだ少しあるが、この時間だからか客足もまばらだ。カウンターには新聞を読む初老男性が一人、奥には仕事終わりの会社員、買い物帰りと思われるご婦人、女学生一人。少なくとも初星学園の生徒ではない。
通路から右奥端の席に彼女はいた。背を向けているので顔はわからないが両サイドを束ねた紫髪と綺麗に着こなされた黒い制服、姿勢の良い後ろ姿が目を引く。極月学園の制服。
少し気にはなるが別にいておかしい話でもないし、自分には関わりのない事だと手前の空いた席に腰を下ろす。
オーダーを通し待ち時間にやる事を少し整理し手帳にメモをし、間も無くコーヒーが届く。少しの間何も考えずにコーヒーを楽しみ目を閉じる。
静かな店内にはスピーカーから微かに聴こえるクラシック音楽と古時計の秒針の音に耳を澄ましていると、席を立つ音で現実に引き戻される。
目を開けると紫髪の女学生の背中は通路を抜け会計へ向かうところだった。
燐とした歩き姿が美しくその中から滲む様な憂いの帯びたその背中がとても絵になっていた。
「美しい」
その時の光景が目に焼き付いて離れない。 - 2二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:43:16
なんかもう文字からもいい匂いしてきた
- 3二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 21:44:13
たのしみにまちます
- 4二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:27:31
期待
- 5二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:32:18
文字多くなったので出来るだけ読みやすくして行きます。
N.I.A.(Next Idol Audition)の開催スケジュールがが発表され各校の広報合戦が始まった。
当然我々プロデューサー科の面々も普段にも増して忙しくなり、俺の日常はプロデュースの為の時間に注がれていた。
俺の担当ー月村手毬
アイドルに対する熱い想いとを魅力を引き立てられる様に、彼女との綿密なイメージ戦略のミーティングを終え少し安心していた。
一時はどのように月村さんとの意思疎通を図ろうかと考え悩んだ時期もあったが、最近は少し素直になったからだ。
"凛とした美しい美貌とメディア露出を控えた神秘的孤高の狼の様な存在"と絶対的なステージ上での歌声を披露して
P「この調子で知名度を上げてゆければ…」
俺は確信に近い期待を持ってしまった。もしもの為の予備プランを一つ用意したことで大丈夫だろうと考えてしまった。
次の日
P「元Syng Up!リーダー賀陽燐羽さんや秦谷美鈴さんを超えるアイドルになる、か楽しみだな。」
手毬「プロデューサー、SNS始めたんだけとさ…」 - 6二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:20:32
俺は彼女の読めない行動に手を焼きながらも、彼女から打ち明けて貰ったアイドルに対しての想いを、全力を出せる様に手を尽くした。
先日は営業先での極月学園の生徒とのトラブルがネットに上がってしまった。
プラン変更に伴う印象操作も行った。
たまたま一般の方に撮影されていた極月生徒側からの一方的な挑発行為と侮辱発言を初星生徒が受けていて、それを月村さんが庇いに入った記録部分を強調してPRに利用させて貰った。
残念ながら、口の悪さが公になってしまったが、同校の生徒への仲間想いであると解釈されたためプラスになった。
一通り軌道修正が済み、いくつか仕事も手に出来たので良かった。だが、もう気持ちの油断による過ちはしないと固く心に誓ったのだった。
いくつかのオーデションを終え
手毬「美鈴も燐羽もどんどんランキングを伸ばして来てるね」
P「ええ、陽賀燐羽さんは元より秦谷美鈴さんも頭角を表しランキングを上げて上位に出て来ています。
このままいけば、間違いなく彼女達とのまっこう勝負になります。これから先は更に忙しくハードなスケジュールになります。練習も大切ですがくれぐれも無理はしないで下さい。休める時は休んで下さいね。」
手毬「い、言われなくても分かってますよ…ありがとうっ。」
ここのところ胃がやられそうな多忙な日々だったが少しだけ落ちついた。まだ、今日中に片付ける事はあるが、もうどれくらいぶりになるのか、俺は久しぶりにあの店が行きたくなった。
「今からならまだ間に合うな」 - 7二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:36:18
期待
- 8二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:30:45
初星学園の前の大通りに沿って歩く。
学生の街だけあり、通りには学生が楽しめる店舗が立ち並んでいる。
しばらく歩くと向かいへ渡る横断歩道の前からアーケード状の商店街入口になっている。
徒歩約15分程。ここまで来ると途端に学生を見なくなる。たいていの学生は学園近くの寮住みで、入り用な物も大通りのスーパーなどで事足りるからだ。
俺だって普段は来ない場所だ、この前が気まぐれだっただけで。
喫茶店は商店街の終わりにある。
横は公園だった。
何故か扉を開ける手が震えたが、構わず木製の扉を開ける。鐘が鳴る。
店員さんに空いてる席へご自由にと言われたのでカウンター席の通路を通り抜け奥の席へ向かう。
少し足早になるのを自覚しながらもしかしたら、と俺は店内の彼女を探した。
しかし、今日はいないようだ。
何を期待してるのかと肩を落とす自分を心の中で嘲笑った。
前に来た時と同じ席、通路からすぐ手前の二人掛け席へ通路と向き合える席に座っていた。
オーダーを済ませて未だざわつく心を鎮めようとする。先日はゆったり過ごせた空間も音楽も何故か耳に入って来なかった。俺は一体何を期待しているのだろうか。
その時だった。入口が空き鐘が鳴った。
俺はすぐにそちらへ目をやる。
店員の挨拶と共に期待が外れた事を知る。
「いらっしゃいませー、いつものですね」
初老の男性が入口脇にある雑誌棚から新聞を手に取りカウンターに座った。
しばらく時間を費やしたが時間も時間だどうやら今日は来ないようだと悟り、
少しだけ残していた分を一気に飲み干し店を出た。 - 9二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:37:35
とても良い。ぜひ続きを待ちたい
- 10二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 02:32:59
店を出る時だった。
アーケードの端と言うのもあり、外から瞬きの様な稲光と、数秒後には耳を劈く破裂音と雨が降り出して来た。
P「しまった、傘を持ってないな」
どれくらいで止みそうかと空の様子を伺う為俺はアーケードのギリギリまで出て外を見た。
隣は公園だ。一軒家くらいの正方形幅。
手前にシーソーや鉄棒、ブランコ等遊具が等間隔で並び、奥には屋根のあるベンチがある。
P「ん?人?」
激しい雨で視界が悪いが人が座っていた。
P「賀陽燐羽さん?」
特徴的な黒の制服が辺りと混ざって見えにくいが紫色のサイドで束ねられた髪はわかった。
俺は思考より先に行動に出ていた。
「あんた何やってるんだこの土砂降りの中!!」
つい、とは言え、普段張ることの無い声と少し棘ついた言葉を発してしまったことをすぐに後悔した。
明らかに敵意の視線で彼女は言った。
燐羽「誰?あなた?別にあなたに関係ないでしょ、雨宿りよ。雨宿り。」
突き放す様に言い放った。
それはそうだ、彼女は雨が降る前にいたのならそうなる。
P「あ、いや、すみません」
全くの正論に何も言えなくなった俺に対して彼女は少し冷静になったのか
燐羽「まぁ、土砂降りの雨の中こんな場所にいたらおかしいわよね、ごめんなさいね気を遣わせてしまって」
「雨も治って来たみたいだし帰るわね」
飄々と帰って行く彼女の後ろ姿を何も言えず
俺は呆然と見送ることしか出来なかった。
見上げると嘘の様に雨雲は消えて空は何も無かった様に夕焼け空になっていた。 - 11二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 03:02:33
雷止めたぁ……
- 12二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 05:03:45
十王邦夫「最終オーディションの運営に辺り主催校の主要人物と打ち合わせをする必要があってのぉ、まぁ打ち合わせとは体のただの時期役員候補の顔合わせのようなものだ。
もう君が行くと伝えてあるからちょっと極月学園に行ってくれんかのぉ」
「あーあと、うちの孫も連れてってやっておくれ、これ学園長命令な。」
ワッハッハッハ!!…
極月学園へ向かう送迎車の中で俺は頭を抱えていた
星南「ねぇ、先輩いきなりで本当に悪いわね、お爺様ったら一度言い出したら聞かないのよ。全く」
P「し、しかし、どうして星南さんも一緒なんです?」
星南「あら、お爺様から聞かなかったかしら?時期役員候補の顔合わせだからよ。
元Syng Up!月村手毬さんの担当でここまで成果を上げているのだから能力として十分に認められているわよあなた」
P「時期役員候補とは?」
星南「もう。私の口から言わせるなんて、恥ずかしいじゃない…十王家のよ」
P「あ、あ、あなたに担当は?」
星南「そうね、ふさわい方が現れたらお願いしたいわね!」
「今はことね!!千奈、美鈴、佑芽をプロデューサーとして私が担当しているわ!!」
P「それで自身もアイドルとして活動されてるのはほんとに凄いですね、」
星南「そうね、確かに両立するのは大変ね、でも、だからと言ってみんなの前で醜態は晒せないもの!!一番星として、ね」
P「なんて言うか、改めて星南さんの能力の高さと人徳の高さを思い知りましたよ、
正直言ってことねさんに対する熱量から少し贔屓目が強いかと思っていまし…星南「その通りよ!!先輩!!ことねはね、凄いのよ!!あの可愛さは素晴らしいことよ!!
いいわ、、今から先輩にも教えて上げるわね!!」
運転手「着きました極月学園です。」 - 13二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 05:11:37
- 14二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 07:10:14
- 15二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:10:11
- 16二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:47:13
- 17二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 14:51:05
保守
- 18二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:41:55
応援ありがとうございます!
- 19二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:44:05
皆様読んで頂きましてありがとうございます!
コメント、保守も感謝です!
また続けて行きます! - 20二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 17:47:22
極月学園校舎内
P「まさか黒井社長があんな砕けた方だとは、思いもよらなかったな。」
極月学園の事務所から黒井社長の部屋まで通して貰った俺と星南さんは挨拶を済ませた。
黒井「ほぉー、君が噂のP君だねー!!いやー、中々に色々やってくれてるようだねー、話が非っ常ーに耳に入ってくるよ!!実に素晴らしい!!
どうだ、この際このままうちに移籍しないかぃ?
君程の人物ならだーい歓迎だよー!!!
ファーハハハ!!」
俺は引き抜きを受けかけていた。
隣の星南さんの表情は崩すことなく社交場のそれだが、明らかに不愉快な空気を漂わせていた。
極月学園廊下
星南「わかっているわよね、先輩?」
クィっと
俺の少し後ろを黙って歩いていた星南さんが不意に背広の端を引っ張り呼びかける
P「はい?」
星南「黒井社長からの引き抜きの話よ。」
P「それは勿論、特に移る理由もありませんからね」
星南「そ。それなら良いわ。」
不安そうだった空気が少し柔らかくなった。
廊下から玄関へ出て学園の正面入り口近くの広場まで来た。
星南「ここで待ってて頂戴。車を呼ぶわ。」
と言うと電話をかけて少し離れて行った。
「あら、あなた…」
手持ち無沙汰になった俺に誰かが話かけて来た - 21二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:16:12
極月学園の正面入り口前の広場はフランスの王宮の庭の様な噴水と周りに等間隔にベンチが置かれていた。
その一つに腰を下ろそうとした時
燐羽「あら、あなたは?」
振り向き、咄嗟に名前を呼びそうになったところで思い止まった。こっちは知っていても向こうは俺のことを知らないからだ。
俺の装いを全身を見回すと
燐羽「どうしてここへ?」
何か確かめる様な視線と共に尋ねる。
P「あ、あぁ実は、」
その目に見つめられて何故か言い淀む
「先輩、その子は知り合い?」
その時星南さんが戻って来た。
星南「あら、賀陽燐羽さん、ね?」
燐羽「十王星南会長ね」
「じゃあ、背広のあなたは初星学園の関係者ってことね。」
P「結論に至った彼女にすかさず名刺を手に取り改めて名乗り上げる。」
初星学園プロデューサー科一年P
現在の担当:月村手毬
それを聞いた彼女の凛々と輝く青紫の瞳孔が開くがすぐに戻り一呼吸入れて言う
燐羽「そ、あなたがあの子の担当だったのね」
そう言った彼女の口元は少し緩んでいた。
燐羽「それじゃあ、ねー十王会長、Pーさん」
去ろうとするすれ違い様に
「今日、あの店にいるわ」
とだけ耳打ちして彼女は行った。 - 22二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:13:01
わくわくします!
- 23二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 20:38:59
学園に戻った俺はすぐに学園長と十王社長に黒井社長と話し合った内容を伝えた。
「そう言えば星南さんが手掛けてらっしゃる彼女達。N.I.Aでの人気を集め、
倉本千奈さんはメディア全般で、花海佑芽さんはスポーツ関連企業に、秦谷美鈴さんは寝具メーカーからCMや各種コラボ商品などの話が既に出ているそうですね、さすがと言うばかりです。」
「藤田ことねさんが今のところファン数は集まりながらも一つ跳ね切ってない感じと言ったところでしょうか…」
「なら君なら如何に対応するかね?」
自分のデスクに戻って来た俺はN.I.A以降間違いなく軌道に乗るであろうアイドル達をリストアップしてみる。
注目株は既にスポンサー契約やCMオファー等話が進み飛躍的に投票数を伸ばしていた。
月村さんの今後の課題をピックアップし、
今出来るプランと仮チャートを作りシュミレーションしてみる。だが、トップに向かうには難しい。
月村さん自身の努力量は桁外れだ。
最近はトレーニングメニューとカロリーコントロールも適切で着実にスタミナも上がっている。
しかし、やはり現状SyngUp勢他二人は強い、何か打てる手は無いだろうか。
時計を見ると夕時、
「今日はいるわ…」
彼女のあの言葉が脳裏に浮かぶ。
しかし、現実悠々とお茶をしてる場合ではない。
では無いのに、俺は、 - 24二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:04:32
結局俺はあのまま結論の出ない無意味な時間を過ごして後悔するより目先の誘惑を優先してしまった。
夕時少し前。いつもより、少し早い時間。
大通りを抜け横断歩道から見上げた空には青と赤が薄いグラデーションに重なっていた。
初めてかもしれないまだ営業中の商店街の風景を眺め目的地へと向かう。
優雅さを演じるのはただ気持ちを落ち着けたかっただけだ
いつものように木製の扉を開ける。鐘が鳴り、店員にいつものように声掛けをされる。
だが、今日は違った。
連れが先にいると告げられる。
右端奥の席。全身から汗が滲み、
一気に心臓の鼓動が速くなる。
周りに聴こえるのではないかというくらいに。
「あら、良かった。来ないかと思ったわ」
P「すみませんお待たせしてしまい、」
ファッション雑誌を興味なさげに眺めながら言葉だけこちらに向けた。
燐羽「さぁ座って、まずは注文を済ませましょ、あなたいつも何頼むの?」
P「ホットコーヒーですね」
燐羽「そ。じゃあ私もそれにするわ」
店員を呼びオーダーを通す。
おしぼりで白く細い指を拭いながら話し始める
燐羽「この間の雨の日、声を掛けてくれてありがとう、冷たくしてしまってごめんなさいね」
P「いや、あの時は俺も咄嗟に叫んでしまってすみません。」
燐羽「ふ、どうして、あなたが謝るの?私の心配してくれたのでしょう?ならどうどうと胸張りなさい」
彼女が手を拭い終わる頃にコーヒーが届いた - 25二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:06:34
このレスは削除されています
- 26二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:17:05
分厚い木製テーブルの端に据え置かれた銀のピッチャーを手に取り
燐羽「あなたミルクとお砂糖は?」
P「いや、ブラックで結構です。ありがとう」
燐羽「そ、じゃあ私はお砂糖いれちゃおっと」
二つの角砂糖をつまみカップに落とす。
スプーンで溶かしながら一口啜る。
その様を眺めてるだけで良いと思う程魅力的だった。
少しの沈黙の間にスピーカーからのクラシック音楽と周りの環境音が聞こえた。
しばらくして
ソーサーにカップを置き彼女が話始めた。
「あの子は無茶してない?」 - 27二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 01:43:29
とても良質なSSの匂いがしますね…
- 28二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 04:13:11
それはまるで夢の様で、自分達二人以外の時間が止まってるように感じた。
カップの縁を艶やかに指でなぞりながら話す
綺麗に手入れされた指は爪先まで美しかった
燐羽「手毬は無理してないかしら」
P「恐らくあなたがご存知の通りだと思いますよ」
燐羽「そう。あなたが手毬と極月のトラブルの火消ししてくれたのよね、ありがとう」
P「ええ、彼女の行動に常に目を光らせていますから。まぁあの時は流石に大変でしたが、」
燐羽「ふふ、そう。」
ふと考える様に間を置く
燐羽「あの子はまだ私に憧れてるの?」
P「ええ、熱く熱弁していましたよ中等部時代のあなたの話を尊敬するアイドルのあなたを」
カップに向いていた視線をはっとした様に、こちらに向けた彼女の目は少し潤んでいた。
ぎゅっと締め付けられるようなその瞳をずっと見つめていたい。なんて思ってしまった。
しかし心配する間も無く
凛々しく目に力が宿る
それは何かを決した様に感じた。
燐羽「少し話を聞いて頂戴。」
どうぞ、と告げ俺は黙って話を聴く