- 1二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 01:26:13
- 2二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 01:27:05
TTGのGの部分
- 3二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 01:48:34
「おいおいおいおい。グリーン・ティーだって? ビールとボルヴィックの違いがわからねぇお前がどういう風の吹き回しだ? いつものダイナーはどうしたよ」
「ああ。確かにあの店はお前の汚いブーツの底みてぇなステーキは出さないし、ザブトンを重ねたみてぇなハンバーガーも出さない」
「ザブトン? ザブトンってなんだ?」
「ジャパニーズ・トラディショナル・カルチャーだよ兄弟。とにかくお前も行ってみな。工芸品みてぇな砂糖菓子とグリーン・ティーをマスターが出してくれるんだ。お前もこう言うだろうさ。『ケッコウナオテマエデー』」
「読めたぜ。おおかた、そのマスターとやらがお前のタイプなんだろ。しょうがねぇな。猛アタックして撃沈するお前のハラキリを見せてもらうとするか」
こんなやり取りする客が来るの? - 4二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 02:14:37
「ヘイヘイヘイヘイ。なんだこりゃ。鳥だって物足りないって騒ぐぜ」
「ワビ・サビだよ兄弟。お前はゴテゴテの資本主義的食生活に慣れ切っちまってるんだ。さあ、このネリキリを見ろよ。まずは目で楽しむんだ。ジャパニーズ・フォー・シーズンズさ。キュートなタンポポだろ?」
「ようようようよう。キュートだって? お前の口からその言葉が飛び出す時は、決まってブスの女を口説く時だった。今はそうじゃねぇのかい?」
「Shut up!」
「Oh……」
「オーライ、兄弟。それ以上汚ぇ言葉を口にしてみな。通信教育で習ったおれのナギナタが火を噴くぜ」
「あのでかいサムライ・ソードか? ありゃあ火は噴かねぇだろ」 - 5二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 02:34:23
すっかりアメリカが染み込んで、くたびれたワイシャツを身につけながら。
ロサンゼルスの町外れに隠れた名店があると聞いて、調子の悪い車を走らせる。
大きなケヤキの一枚板に書かれたのは『green grass』の筆。
その力強さと迫力に、妙な感心を覚えた。
扉をくぐり、目に入った光景は懐かしさそのもので。
朝日に照らされた小上がりに、これまた闘志を感じる『不退転』の掛け軸。
どうしても故郷を感じずにはいられなかった。
心を打たれつつ、ぐるりと店内を見回すと。
店主らしき、栗毛の女性と目が合った。
すると、彼女は何かに気づいたような表情を見せてから、こちらへと歩み寄ってきた。
「いらっしゃいませ」
ふわりとした笑顔と聞こえたのは、久しく耳にしていなかった言葉。
驚きのあまり返答ができないでいると。
「あら。間違えてしまいましたか……」
耳を伏せた姿に思わず。
上手く言えたかわからないけれど、すみません、と口にした。
「ああ、よかった! 日本の方でいらっしゃいますよね」
しばしの間、談笑する。
曰く、かつてはレースを走っていたという。
グランプリ三連覇を果たすなど、大活躍を見せていたようだ。
「そして、小さなお店を開くという夢を、当時のトレーナーさんと叶えたんです」 - 6二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 02:35:50
腰の前に組まれた手に注意を向けると、薬指には確かな輝きがあった。
「……まあ、すみません。お話ばかりしてしまって。ご注文はどうなさいますか?」
お品書きを指差され、目を通す。
直感のままに“抹茶ラテ”を頼んだ。
彼女は耳を立ててから、かしこまりました、と言って下がっていった。
「お抹茶は私が点てているんですよ」
しばらくして、彼女がカップを運んできた。
「抹茶ラテは“和”にあたるのか悩んではいるのですが、少しでもふるさとを感じていただければ」
じっと、顔を見つめられて。
その目ですべてを見透かしたように、彼女は語る。
「お疲れのように見えますから、少しでもゆっくりなさってくださいね」
微笑みながら、彼女は戻っていく。
その後ろ姿を眺めながら、カップに口をつけた。
ミルクのまろやかさと抹茶の苦味。
海の向こうに思いを馳せざるを得ない、そんな深みがあった。 - 7二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 02:42:44
いいね…凄くいい
もっと見たいわ! - 8二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 07:52:34
好きな概念なので上げる
- 9二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 07:54:27
俺こういう全てが終わったあとの後日談みたいなのんびりとした日常大好き!!
- 10二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:23:09
いい……
もっとください - 11二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:31:09
なんだこれは…もっとくださいお願いしますorz
- 12二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:33:02
- 13二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:33:26
ただグリーングラスだと別の人になっちゃう…
- 14二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:34:43
いい…めちゃくちゃいい…
- 15二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:52:47
カリフォルニアロールを食べに来た客が「なんだこの店……?」ってなってから「コレもまたジャパンなんだ。映画で見たのとはまた違うがいいジャパンだ……」って通ってのちに日本に行って「あっちのカフェの方があのスシバーより日本、それもいわゆる『フルキヨキ』なのか……」って帰国後また通うのが似合う……またカルフォルニアロールについても「俺たちに入りやすいドアを用意してくれてたのか……」ってなるお店になるな。
- 16二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:57:37
なによりアメリカのエミュうまいな
- 17二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:08:50
なんかアメリカに住んで長い日本人の客と典型的メリケンの常連客がいるって世界観が瞬時に固まってる…
こういうの見ると真似して書いてみたくなる… - 18二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:11:54
メリケンエミュを学ぶんだったらアメリカ映画が1番ですぜ
- 19二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:21:51
「おいおいマジかよなんてこったこんなことってあるか詐欺だよ詐欺」
「どうした兄弟。リーマン・ショックの時の方がまだ明るい顔してたぜ」
「そりゃそうさ恐慌なら損をするのはおれだけじゃねぇ」
「オーライオーライ、お前の好きな方のボルヴィックを奢ってやる。だからリラックスしな」
「これが落ち着いてられっかよ。おれは見ちまったんだ」
「何を?」
「マスターの左手薬指だよ!」
「……オーケー兄弟、ボルヴィックはなしだ。ペプシかコークにしとこう。で、なんだって?」
「だから、結婚指輪をしてたんだよ!」
「はあ……。あのな、兄弟。お前が筋金入りのスケベだってことは知ってる。頭じゃなくてイチモツでものを考えることもな。ヘイヘイヘイヘイ。いくらケツと尻尾を追いかけてたって言っても、さすがにそりゃあんまりだろ。マスターはずっと指輪してたじゃねぇか。そもそも、あの日本人の旦那をいったいなんだと思ってたんだ?」
「ちくしょう……なんでこうなっちまったんだ……」
「おい、聞けよ」
「こうなったら突撃だ! カミカゼだ! おれのサムライ・スピリットをマスターに見せてやる! フータイテン! Don't look back!!!」
「こりゃダメだ。……後で謝りにいかねぇとな。ようやくワビ・サビがわかってきたってのに」 - 20二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:29:07
フタイテンじゃなくてフータイテンなのがポイント高い
- 21二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 11:17:21
野生のアメリカ人
- 22二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 11:24:54
昔のアメリカではお茶は砂糖を入れるのが主流だったけど、最近は無糖も増えてるらしい