- 1二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:48:39
会議から戻ってくると、トレーナー室からメロディーが漏れ出ていた。
どうやら、担当で愛バの面々がダンスの練習中らしい。
「トレーニングが休みの日なのに、精が出ることだ」と思いながら扉を開くと。
ヴィルシーナ。
ダイワスカーレット。
アーモンドアイ。
いずれ劣らぬ負けず嫌いのメンバーが、何も身に着けずにダンスを踊っていた。
押し退けられたイスやテーブルが、奥の方に見える。
3人の視線が、こちらを向いた。
「……なに、しているの?」
エッチだとかセクシーだとか考える前に、困惑が口をついて出た。
こちらが手近なパイプ椅子に腰かけると、彼女たちもダンスをやめる。
アイが、ラジカセを止めた。
「最初は、私とスカーレットさんとアイさんで普通に練習していたのですが」
「アイから、折角だから勝負しようってことになって」
「で、ダンスをミスしたら1枚脱ぐってことにしたの!」 - 2二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:49:08
頭を抱える。
経緯はわかった。
この負けず嫌いの娘たちだ。どうせ、逃げるみたいな気になって「やらない」とは言えなかったのだろう。
女子校特有のノリというやつか。
「でも、全員が裸になったところでなかなか勝負が決まらなくて」
「そうだ! アンタ見てよ! 第三者から見ればミスは見つけやすいでしょ?」
「それじゃ、音楽流すわね」
「待って待って待って」
こちらの意見を聞かずに、彼女たちのダンスが始まってしまう。
今度のイベントで踊る予定の、新曲。
髪がなびき、身体が躍動し、心が跳ねだす。
「どうですか?」
「どーよ!」
「どう?」 - 3二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:49:37
だが、それはそれ、これはこれ。
トレーナーとしては心を鬼にせねばなるまい。
3人を見回すと、言葉を告げる。
「全然ダメ」
「えっ?」
「なんでよ?」
「うそっ?」
三者三様の驚きよう。
仕草も、口に手を当てたり、訝し気な顔をしたり、目を見開いたり。
立ち上がって、踊る真似をしながら説明。
「全員、ほかのメンバーの動きに気を取られすぎ。そういう勝負をしていたから仕方ないけど、そのせいでダンスがおろそかになってる。止めるべき動きが慣性で動いているし、体幹もふらふらしていて、見られたもんじゃない。それに――」 - 4二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:49:59
ここからは、個別指導のお時間。
アイの目の前に行くと、彼女の腰をむんずと掴み上げる。
「きゃっ♪」
「大きく動きすぎて、最初の位置から2歩もずれている。本当は同じ位置で終わらないといけないのに。センター抜擢で張り切っているのは良いけど、動きにムラがあり過ぎ」
終わるべき場所にアイを下ろす。
「ここ。覚えておいて」
「……うん」 - 5二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:50:19
次に、スカーレットの正面に立つと。
彼女のわきの下に手を通してその身体を掴んで、上に持ち上げる。
「あんっ♪」
「ジャンプが高すぎる。この高さまでジャンプしていると、次の振り付けに遅れるから、周りとワンテンポずれてダメ」
少し低めのところに彼女を据える。
「このへん。そうすればジャンプのあとがスムーズになる。」
「……ええ」 - 6二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:50:36
その後に、シーナのところへ。
彼女の太ももの付け根を握ると、そのまま押し広げる。
「あぁん♪」
「シーナは逆にパフォーマンスが小さくまとまり過ぎている。特に足を広げるところ。左右の時も前後の時も小さすぎて、ダイナミックさが足りない」
十分に広げたところで、その股の間に拳を2つ、差し込む。
「最低、これくらいは広げないと、悪目立ちしちゃう。わかった?」
「……はい」 - 7二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:50:57
「良い娘たちだ」
全員の頭を一撫でしてから、先ほどの位置に戻る。
それから、メトロノームを取り出した。
「みんな、基本的な振り付けは覚えているみたいだから、音楽なしで行くよ。メトロノームのリズムに合わせて踊ってみて。ただし、テンポは曲の半分。『止める』ことを意識してやってみて」
規則正しく拍子を刻むそれ。
「それじゃ行くよ。3、2、1、ハイ!」
手拍子でスタートの合図。
それから、3時間ほど踊っていただろうか。
部屋中に充満する、若い女の子の汗のにおい。
疲労のせいで雑念が消えて、ダンスに集中できてきた。 - 8二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:51:18
その時だった。
ドアをノックする音が響いたと思うと、そのまま開けられる。
顔を出したのは、ライトハローさん。
「トレーナーさん、今度のイベントの資料をお持ちし――」
「ああ、そこの棚の上に置いておいてください」
ちらり、と視線を向けると、ドアを開けたままの体勢で固まってしまっているライトハローさん。
……はて、なにかしただろうか。
そう考えたところで、何も着ないで踊っている3人が目についた。
……あ。
「トレーナーさんが、教え子を裸にして倒錯的なプレイをしていますー!」
「ライトハローさん、待って! 誤解だから! お前らもなんか言ってくれ!」 - 9二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:51:42
その言葉に、顔を見合わせるシーナとスカーレットとアイ。
そして、3人の顔がニヤリと嗤った。
「よよよ……、トレーナーさんに私もスカーレットさんもアイさんも、身も心も汚されてしまいました」
「ええ……。アタシもシーナさんもアイも、もうトレーナーなしでは生きられない身体にされてしまって」
「うう……。わたしもシーナさんもスカーレットさんも、身も心もトレーナーに捧げさせられてしまったの」
泣き崩れるシーナ。
へたりこむスカーレット。
うずくまるアイ。
……こんなときだけ、チームワークが良い。
「トレーナーさんの、バカ、えっち、変態! 好きだったのにー!」
泣き叫んで、駆け出していくライトハローさん。
慌てて部屋の外に出て止めようとするも、ウマ娘の脚力で走られてはあっという間に向こうの彼方。
――自分が変態トレーナーだという誤解が広まる、5秒前。 - 10二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 20:51:58
これで終わりです。
ありがとうございました。
至らない点もあると思いますが、よろしくお願いいたします。 - 11二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 03:11:19
ありがとうございます
もしや三人のうち誰かは、もともとこの展開を狙っていたのでは… - 12二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 08:05:08
ほしゅ
- 13二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 12:27:49
ほしゅ
- 14二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 12:56:25
- 15二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 13:13:34
ToLoveる的なバカ展開
- 16二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:01:07
- 17二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 21:01:44
- 18二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:03:47
ありがとうございます。トレーナーなので鍛えているのです。多分。
- 19二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 07:46:45
- 20二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 08:00:05
こう言うの好き
トレーナーはもっと突っ込んで良いんだぜ? - 21二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 08:46:45
- 22二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 14:22:17
そのうち既成事実作られてそう
- 23二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 18:40:42