白草四音の日記3

  • 125/03/07(金) 22:51:17
  • 2二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:52:44

    ☆☆月☆日

    今日はMVの撮影だった。
    明日もあるけど。
    プロデューサーは燐羽とS.T.Sの打ち合わせがあったしソロ曲のレッスンも見なきゃいけないから、ボクを現場に送ってスタッフの人と撮影の打ち合わせをしたらすぐに学園に戻ってしまった。
    MV撮影の打ち合わせは何回もしてるから、撮影自体はボク一人でも順調だった。
    ...寂しかったけど。
    でもプロデューサーが迎えに来てくれて嬉しかった。
    今日はタクシーで帰る予定だったから『迎えに行きます』って連絡が来た時は嬉しすぎて声が出てしまった。
    撮影したデータは共有してもらってたから学園にいる時も合間合間で確認してたらしい。
    だから学園へ帰る最中はずっと褒めてくれた。
    でも「明日も来てくれる?」って聞いたら明日は厳しいらしい。
    ...その分沢山甘えちゃった。
    可愛い、って沢山言ってもらえた。

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:53:14

    ☆☆月¥日

    今日も撮影。
    ...順調過ぎて今日の撮影分がすぐに終わって前倒しで追加の撮影もしてしまった。
    けど、その追加の撮影が心苦しい。
    MVはある少女目線で進むから、ボクの登場するシーンは少ない。
    だからその分、少女役の子に皺寄せが行く。
    なのにその子は次から次に撮影を成功させてた。
    ...カッコいい子だ。
    でも、つい可愛がってしまう。
    ...クールな子だけど揶揄うと良い反応するから。
    将来の夢とかどんな役がしたいとか休憩中に色々聞けた。
    このまま劇団員を目指して将来は悪役をやりたいらしい。
    英雄やヒーローの宿敵。
    討たれるべき存在。
    その在り方が良いらしい。
    ...中々、わかってるじゃないか。

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:53:50

    待ってました!期待

  • 5二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:53:55

    「悪役カッコいいよね」と言うと驚かれた。
    悪役しかやりたくないって言うのは主人公役をやれないからだろ、って周りの子に言われてるらしい。
    ...馬鹿じゃないのか。
    悪役がいるから主人公がいるんだ。
    ...悪役が主役と言っていい。
    物語が魅力的なのは悪役が居てこそなのに。
    そんなことを言うと凄い喜んでた。
    その子たちが悪役の魅力に気づく前に劇団の悪役を独り占めしちゃおう、と二人で悪巧みなんかもしながら撮影を続けた。

    昨日はあまり仲良くなれなかったけど今日は仲良くなれて嬉しいな。
    ......それに。
    色々と話してるうちに自然とボクも子役時代を思いだした。
    ...あまり良い思い出じゃなかったハズなのに、今日は違った。
    ...きっとあの女の子のおかげだ。
    次の撮影の時はまた話そうと約束した。

  • 6二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:54:39

    ☆☆月%日

    今日はプロデューサーの部屋に行った。
    「私の部屋に行きませんか」って聞かれた時は凄い焦った。
    ...レッスン終わりで汗もかいてる状態の時にそんなことを急に言われても困る。
    「ユニット曲のデモを確認して欲しい」とプロデューサーの家に着いてから言われた時は少しイラッとした。
    ......紛らわしいことをしないで欲しい。
    たしかに『いつユニットの曲を作るんだろう』って思ってたけど。
    情報を小出しにするな。
    それに順番も逆だ。
    ユニットの曲を聴いて欲しいから家に行きませんか、ってひとまとめにして言って欲しい。
    ...そう言われても結局ボクは期待しそうだ。
    ......だってプロデューサーの部屋だし。

    あの人と出会って丁度半年経った。
    流石にボクもわかってる。
    ああいうのは素でやってるってことぐらい。
    でも、やっぱり思う。
    ...今日のは絶対わかってやってるよね?

  • 7二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:55:23

    ...今日は午前の間にユニット曲の振り付けを動きながら考えてたけど振り付けのアイデアが中々まとまりきらなかった。
    午後はプロデューサーに振り付けを見てもらう予定だったから相談しながら考えようと思ってた。
    ...なのに相談してすぐ「私の部屋に行きせんか」だ。
    ...本当に焦った。
    ......でも、凄く期待した。
    もしかしたら...、って凄い期待した。
    汗を少しかいたしシャワーだけ浴びさせて欲しい、ってお願いして、そのあとプロデューサーの車で一緒に家に向かった。
    ...ユニットの曲を聴いて欲しい、って着いて聞かされた時は凄く不機嫌になった。
    ...要は振り付けに悩んでるなら楽曲側からインスピレーションを受けよう、という話だった。
    不貞腐れてたけどデモを聞いたら振り付けのイメージが次から次へと湧いてきて楽しくなった。
    そのイメージが楽曲の解釈を広げてくれる。
    プロデューサーはそれを楽曲にすぐに反映させてくれるし。
    プロデューサーが元々考えていた楽曲とボクの想像していた楽曲像が大体一致してるのが理由だと思うけど今日だけで結構進んだ。

  • 8二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:56:08

    ...だから。
    ご褒美、というか。
    ...作業してるプロデューサーに悪戯をして『構って』ってアピールした。
    構ってもらってるうちに結構良い雰囲気になったのに逃げられた。
    「明日はいよいよ取材ですね」と仕事の話を持ち出してくるし。
    「タバコを吸わせてください」ってベランダに行くし。
    そんな風に逃げるクセに少し不機嫌になったボクに可愛いって言ってくる。

    ...意気地なし。

    ...可愛いの、穿いてきたのに。

    でも、タバコを吸うプロデューサーの色気が良かったな。
    ...えっちだった。
    ジロジロ見てたら燐羽と同じことをしてるって言われた。
    ...やっぱり燐羽もグッときたんだ
    あれは目に焼きけないと損だ。
    残り香を感じた時なんてドキドキした。
    今日みたいにプロデューサーの家に行く機会も何度かあるだろうし楽しみだな。

  • 9二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:56:38

    ☆☆月○日

    今日は予定通り取材があった。
    インタビューがメインだけど写真の撮影も少しあった。
    取材を受けなくてもいい、とすら言っていたプロデューサーがここならと決めただけあって、かなりしっかりしてる記者の人だった。
    質問は的確でボクへのリサーチも万全。
    事前に貰った質問事項を答えるだけかな、と思っていたけど話の広げ方が上手だ。
    つい話したくなる、というか。
    あの記者の人と話してる間は喋るのが上手になった気がしたし。
    FINALEの時のことは勿論、今後の展望だったり色々話した。
    プロデューサーにも取材したい、と言ってた。
    ...断固として断ってたけど。

  • 10二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:56:59

    ボクとしては取材を受けて欲しい。
    ...凄い人だ、って沢山の人に知って欲しいから。
    あの人は本当に凄いプロデューサーだ。

    アイドル個人個人の強みに合わせた指導をしてくれるし歩幅も合わせてくれる。
    だから極月のアイドルの能力がボーカル偏重だったのも変わりつつある。
    ボーカルが強みなアイドルはより伸ばしつつ他の能力も育てて、ダンスや表現力に本来の才能があったアイドルにはそれに合わせた指導をしてる。
    それらをこなしつつボクや燐羽の楽曲も作って衣装も作る。
    営業も取材も収録も全部管理してる。
    ...なのに誇らない。
    N.I.Aが終わってからプロデューサーへの取材も沢山来てたけど全部断ってた。
    「"プロデューサー"とは裏方ですから」と取り合わない。
    「私の努力は貴女たちが認めてくれますから」
    「それだけで十分です」
    それで済ませてた。
    ...絶対十分じゃない。
    だからボクは取材を受けて欲しくて心の中で記者の人を応援してた。
    ...結局ダメだったけど。

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:57:49

    あと記者の人がプロデューサーがタバコを吸うってどうしてか知ってて喫煙所に誘ってた。
    理事長とは旧知の仲って言ってたし理事長から聞いたのかもしれない。
    ...あの人がタバコを吸うことを理事長が知ってたかどうかはわからないけど。
    プロデューサーが「極月学園に喫煙所はありません」って言うと記者の人は凄い落ち込んでた。
    ...でもまあ多分フリみたいなモノだと思う。
    あれだけリサーチをしてる人ならそれぐらい知ってるハズだし。
    渋い見た目の人だけど茶目っ気もある人だと思った。

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:58:47

    ☆☆月+日

    ...燐羽のレッスンを邪魔しちゃったかもしれない。
    ボクの自主レッスンの休憩中に、燐羽とプロデューサーにユニットの曲で相談に行ったけど燐羽が静かだった。
    集中してるんだと思ってあまり話しかけなかったけど大丈夫だったかな?
    会いに行く前にプロデューサーに連絡してタイミングを見てから向かった方が良かったよね...。
    長引かせると悪いしすぐに切り上げたから燐羽とあまり話せなかった。
    ...寂しい。

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:59:18

    ☆☆月<日

    ...なんていうか燐羽がおかしい。
    朝の打ち合わせの時から変だった。
    体調を崩したのかと心配だったから聞いてみたけど違うみたいだし。
    ユニット曲で使うターンの練習の時はいつも通りの燐羽だったけど、休憩に入ると口数が減ってたしレッスンが終わった時も変だった。
    いつもなら雑談とかするのに今日はすぐに帰ろうとしたし、ユニットの曲のことでプロデューサーの家に誘ったけど断られた。
    「明日は撮影だし今日は休みたい」って。
    ...理由が理由だから強く言えなかったけどやっぱり様子が変だった。
    ......燐羽らしく、ない。
    プロデューサーの家に着いてからも楽曲の作業を進めながら燐羽の話をしてたけど、あの人も今日の燐羽に違和感をずっと感じてたみたいで心配してた。
    明日の様子を見る、ということで燐羽の話は一旦まとまったけど大丈夫かな...。
    楽曲もひとまず候補の4つが形になってボクが振り付けをしてみて擦り合わせることになった。
    ...とりあえず明日はこのデモ音源でレッスンだ。

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:59:58

    ☆☆月「日

    今日はユニット曲の振り付けを一人で練習してた。
    考えていた振り付けを昨日のデモ音源に合わせてやってみるといい感じだ。
    それに完成させるデモも決まった。
    3番。
    流しながら踊っているとゾクゾクした。
    きっと凄い曲になる。
    すぐにプロデューサーに連絡すると『だと思いました』と返ってきた。
    元々作ってくれてた楽曲に一番近い印象のデモだしこのまま楽曲は任せよう。
    プロデューサーが想定してた楽曲の流れを汲んでいるから衣装も当初の予定通りの案で進めるらしい。

    ...それと燐羽のことだけど。
    予定通り燐羽はPVの撮影でプロデューサーと一緒に961プロのスタジオに行ってる。
    プロデューサーに燐羽の様子を聞いてみたけど特におかしいことはなかったらしい。
    ...昨日のはボクの気のせい?

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:00:22

    ☆☆月☆〜日

    ...気のせいじゃ、ない。
    燐羽から距離を置かれてる。
    ...多分だけど、燐羽はボクとプロデューサーが付き合ってるって気づいたんだ。
    ...だから身を引こうとしてる。
    ......自分の気持ちを無理矢理押さえ込んで。

    ...そう、思ってしまう。

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:01:22

    ☆☆月☆☆日

    今日はMVの撮影。
    でも、これでボクの撮影は一旦終わりらしい。
    ひとまず映像に落として形を見たいと言ってた。
    ...でも、あの女の子が監督にごねてた。
    『まだ撮影あるって言ってください』って。
    監督が勢いに負けてた。
    もうすぐMVの撮影が終わるのはほぼ決定だからずっとボクのそばに引っ付いてた。
    凄く懐かれた。
    ...可愛い。
    少し早めに迎えに来たプロデューサーを威嚇してたし。
    ...思わず笑ってしまった。
    『お姉さんを盗る気ですか』って言ってた。
    プロデューサーはプロデューサーであの子に張り合うし。
    ...最近は燐羽のことで悩んでたけど、そんな二人を見てると元気になれた。
    最終的には二人とも仲良くなってたし。

  • 17二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:01:44

    ☆☆月☆¥日

    ...明日は燐羽とのデート。
    昨日元気になれたのに告白のことを考えるとまた不安になる。
    ...レッスンも何処か身が入らなかった。
    いつもは楽曲に集中出来るのに今日は集中が途切れることが多くてプロデューサーに迷惑をかけてしまった。
    そんな有様のボクをプロデューサーは励ましてくれた。
    ボクの心はあの人に筒抜けだ。
    ...全部気づいてくれる。
    燐羽に距離を置かれてるんじゃないか、って。
    またプロデューサーへの恋を諦めようとしてるんじゃないか、って。
    不安で落ち着かない。
    ......すごく怖い。
    でも、あの人はもつれてしまったボクの気持ちを一つ一つ解き解してくれる。
    ...敵わないな、と思った。
    「大丈夫ですよ」と言ってくれた。
    「伝えたいことをただ伝えればいいんです」
    そう言って、ボクを応援してくれた。
    いつもの優しい顔をして。
    ボクだけが映るあの人の目を見て改めて思った。

    そこに燐羽の姿もあって欲しい、って。

    燐羽にもプロデューサーと結ばれて欲しい。
    ...だから。
    頑張ろう。

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:02:40

    ☆☆月☆%日

    燐羽もボクの恋人になった。

    今までの不安が嘘みたいに消えて幸せで胸が暖かい。
    ...でも、幸せすぎて淋しい。
    燐羽もプロデューサーもいない一人きりの部屋。
    二人と付き合えたのに部屋に帰ると、独りを実感する。
    ...贅沢な悩みだ。

    こんなに幸せな気持ちになるとは思わなかった。

    デートもすごく楽しかった。

    最初に案内された部屋とかホテルの部屋とか、すごい豪華だった。
    ...施設も自由に使っていい、とパスまで貰ってしまったし。
    ホテルの部屋は疲れたりしたら使わせてもらおう、と燐羽と話して早速アパレルを見に行った。
    ...でもすごい高かった。
    試着なんか無理だ。
    それに多分今のボクじゃ着こなせない気がする。
    ...いつかは着てみたいけど。
    逃げるように燐羽と二人で雑貨屋に入って、ぬいぐるみをお迎えしちゃった。

    何か気に入る小物があればいいな、ぐらいに思っていたのに黒いキツネのぬいぐるみに一目惚れしてしまった。

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:03:08

    ...だって、プロデューサーに似てる。

    切れ長の目をしてて少し意地悪そうな顔つきをしてるぬいぐるみ。

    キツネの口元に指を沿わせて口角を少し上げて、そのまま眉を少し下げてみた。

    ...ますますプロデューサーに似てきた。

    ...こんな風に困った顔を見たくなってしまうところもプロデューサーにそっくりだ。

    そんなことを考えながら一通り遊んでいたら、お会計を済ませてた。
    ......いつのまに、と思った。
    それに燐羽もネコのぬいぐるみをお迎えしてた。
    「この子が可愛くて仕方がない」と言いながら、ぎゅう、と抱きしめてた。
    ボクも真似してぬいぐるみを抱きしめると「可愛い...」と言って写真を撮られた。
    ...可愛い、可愛い、と言ってる燐羽が一番可愛い。
    結局そのまま二人でぬいぐるみを抱きしめながらカフェに行って休憩した。

    燐羽のソロ曲とか。
    学園の他のアイドルの子の話とか。
    プロデューサーの話とか。
    色々話した。

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:04:27

    そうしてるうちに時間も近づいて来たからスパに行った。
    本当にすごく気持ちよかった。
    自分でも気づかなかった疲労が、すーっと抜けた。
    全身が楽になったけど肩が特に軽い。
    あんなに軽く感じたのは久しぶりだから、少し感動した。
    スパの経験はそう多くないけど、あそこのスパは間違いなく一流だと思った。

    燐羽もボクも力が抜けるぐらいぼんやりしてたから少し休んでから昼食を食べた。
    でも、まだぼんやりしてたからホテルの部屋でそのままゆっくり落ち着いてから前に約束したお揃いのピアスを探しにアクセサリーのお店に行った。
    お店が広いし品揃えも良いし手分けして探そう、と提案した。
    ...ピアスとは別で、燐羽とお揃いのモノを探したかったのもあるけど。

    ピアスを探しながら他のアクセサリーも見てたけどいまいちピンとこなくて困ってた。
    リングなんかはピアスと違って指を見る度に存在を感じられて良さそうだし、ブレスレットも燐羽の細くて綺麗な腕に似合いそう。

    どうしようか、と悩んでいたらチョーカーがボクの視界に入った。

    これだ、と思った。

    ...それと同時に、ボクの嗜好がわかった。

    ボクは見たいんだ。
    ...大好きな人がボクのモノだと周りに主張している姿が。
    ピアスもチョーカーも着けた側はその存在を自分の目で感じられない。
    誰かの視界に入って漸く意味を持つ。
    プロデューサーのピアスだってそうだ。
    他の人にボクのモノだと見せびらかしたい、という欲が根底にある。
    ...このチョーカーに惹かれたのだって、きっとそれが理由だ。

    ...そのまま思い浮かべてしまった。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:06:11

    燐羽が朝起きて鏡を見て真っ先に目に映る世界。

    きっとメイクをしたり髪を整えたり制服の襟を正したりで忙しい。

    その世界の最後に、準備が終わった燐羽が"ボクのモノ"になるために自分から首にチョーカーを静かにつける。

    そうして鏡の世界をあとにする。

    ボクのモノになることが燐羽の一日の始まりになるんだ、と想像してしまった。

    ...良い。
    すごく、良い。

    チョーカーにしよう、とすぐに思った。

    探しているとペアのシンプルな黒いチョーカーを見つけた。
    太くて邪魔になるわけでも細くて物足りなくなるわけでもない、丁度いい幅感。

    ペンダントトップがあるものでも、レースで飾られているものでもなくて、何の飾り気もないあの黒いチョーカーに惹かれた。

    太くて邪魔になるわけでも細くて物足りなくなるわけでもない、丁度良い幅感。
    バックルで長さの調節がし易いのも嬉しい。
    目立たないバックルだけどデザインが凝ってて、バックルを後ろにするか前にするかでニュアンスを変える遊び心もある。
    ...でも、やっぱりチョーカーの色だ。
    何も混じり気もない、純粋な黒。
    その黒に魅力を感じた。

    誰も邪魔出来ない、ボクたちの色。

    それに"極月学園"らしくてきっとボクたちに似合う。

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:06:49

    燐羽にバレないように会計を済ませて、本題のピアスを探しにまた店内を見て回った。
    ...こっちはこっちで難儀した。

    可愛いモノもカッコいいモノも沢山あって悩んでいると燐羽が「良いピアスを見つけた」とボクを呼びに来た。

    暗い紫のストーンがついた黒いピアスだった。

    燐羽を感じさせる紫のストーン。
    そのストーンが。

    縛りつけるように。

    自由を奪うように。

    閉じ込めるように。

    逃がさないように。

    黒いピアスから伸びる意匠に囲われていた。

    『燐羽をボクのモノにしたい』という所有欲がそのまま形になったみたいだ。

    「これにしよう」とすぐ声に出た。
    燐羽もこのピアスを気に入ったみたいで「じゃあお会計しましょう」と嬉しそうな顔をしていた。

    お店の人が気を遣ってくれたのかそういうサービスなのかわからないけど、ピアスを片方ずつ小さなケースに分けてくれたみたいで燐羽から片方を渡された。
    「しばらくは飾っておきましょう」と楽しそうな顔をしていた。
    ピアッサーも手元にないし耳にピアスを空けるまでは見て楽しもう、と二人で話した。

    お店をあとにして他のお店に行ってからもずっと嬉しそうな顔をして「つけるのが楽しみね、四音」とボクの名前を呼んでいた。

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:08:46

    その顔が可愛いかった。

    好き、とどうしても言いたくなった。

    このまま友達同士の関係でも十分幸せだ。
    きっと毎日楽しい。
    ...でも、友達の関係じゃ満足できない。

    「話したいことがあるから外に行こう」と燐羽を誘った。

    見つけた中庭の片隅の休憩スペースで、告白をした。

    ...でも、ボクはどうかしてた。
    言いたいことがたくさんあるのに何から話していいかわからない。
    どう伝えていいか、わからない。
    その混濁し始めた思考回路のまま「プロデューサーから告白された」と切り出してしまった。

    「おめでとう」と祝福してくれた燐羽の笑顔を見て、泣きそうになった。

    こんな辛そうな笑顔をさせたいんじゃない。

    燐羽に好きだと伝えたかったのに。
    幸せそうな笑顔が見たかったのに。


    ...心底、自分に嫌気が差した。

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:10:58

    告白を飾り立てることも。

    言葉を美化することも。

    不安を隠すことも。

    する必要なんてなかった。


    漸く、そのことに気付いた。

    ...プロデューサーが言ってくれた通りだ。

    『伝えたいことをただ伝えればいいんです』


    _____ボクの恋人になってくれる?

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:11:31

    自然とボクの口から溢れていた言葉。


    ___不恰好で。

    ___拙くて。

    ___見栄えもしない。

    ___平凡な告白だ。

    思い描いていたような告白じゃない。

    ...それでもボクの本心から溢れた言葉。

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:12:18

    赤い顔をした燐羽が「うん」と涙を滲ませた声で一言だけ答えてくれた。

    そのまま、何かが決壊したように燐羽が言葉を返す。


    「私もあなたが好きなの」

    「あなたもプロデューサーもずっと好きなの」

    「どっちの恋も諦めようと思ってた」

    「この気持ちは間違ってるんだって」

    「ずっと苦しかった」

    「だから、すごく嬉しい」


    _____四音のモノになりたい。



    堰が切れたように言葉を紡ぐ燐羽の告白に今度はボクが「うん」と返して、ボクたちは晴れて恋人になった。

    単純じゃないボクたちの恋が実った。

    きっとボクたちだけが知る秘密の恋の味。

  • 27二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:12:43

    その幸せに浸った頭を少し落ち着かせてからホテルの部屋へ向かって、女の子二人には広く感じるダブルベッドで一緒に横になりながら想いを伝えあった。
    プロデューサーも一緒だよ?と笑っていると燐羽から首にキスをされた。

    顔が真っ赤になって反射的にボクも燐羽の首にキスをすると、また燐羽にキスをされた。

    耳元で聞こえるキスの音。
    「好きよ」と囁く燐羽の声。
    密着した身体から感じる燐羽の体温。
    ...自然と甘い声が漏れた。

    甘い声を漏らしながら燐羽の名前を呼ぶとボクを煽るように首元を見せながら「私にもして?」と誘われた。

    指を絡ませ合いながら何度もキスをされた。

    「好き」と言い合いながら何度もキスをした。

    冷静になった頃にはボクも燐羽もキスマークをつけるところが残ってないぐらいたくさん痕がついてて「恥ずかしい」と二人で照れた。

  • 28二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:13:06

    プロデューサーにもこんな風に恋人らしいことをしたい、と燐羽に話すと「したらいいじゃない」と笑われた。
    ...燐羽はわかってない。
    プロデューサーはそんなこと、してくれない。
    良い雰囲気になって『今ならキス出来るかもしれない』と思って迫ったり甘えたりしても、プロデューサーはいつも簡単に躱してくる。
    ...燐羽もプロデューサーと恋人になったんだ。
    きっとボクみたいに悶々するに決まってる。

    だから燐羽と約束した。
    二人でプロデューサーをその気にさせよう、って。
    ......次のデートは三人で行こう、ってプロデューサーが言ってた。
    ...大胆なこととかしてみよう、かな。
    ...キス、以上のこともしたいから。

    そう話すと燐羽の顔が真っ赤になってた。
    ...つられてボクも顔が真っ赤になった。

    変になった空気を塗り替えようと頭を回すと燐羽へのプレゼントがあったことを思い出した。

  • 29二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:13:54

    ...キスで忘れていた。

    「貰ってくれる?」とあの黒いチョーカーを見せるとすぐに背中を向けて、嬉しそうな声で「着けて」と言われた。
    着けてあげると弾んだ声で喜んでくれた。
    ボクにもつけて、と燐羽に背中を向けると焦らすように指先で首をすーっとなぞってからゆっくりつけられた。
    ...燐羽は凄く意地悪だと思った。
    ......そんな燐羽も好きだけど。

    チョーカーを着け合ったあとは話をしながら帰る時間まで過ごして、学園に戻って来てからもしばらく話してた。

    明日一緒にプロデューサーに報告しよう、と最後に約束をしてから部屋に帰って、今こうして日記を書いてる。

  • 30二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:14:35

    日記を書いていて改めて実感した。


    ____燐羽と恋人になったんだ、って。


    枕元に置いたぬいぐるみも。

    ぱかっ、と箱を開ければ姿を見せるピアスも。

    首にあるチョーカーの感覚も。

    全部、燐羽と恋人になった証だ。

    ...それに鏡にも目を向ければボクの首に赤い痕がたくさんついてるのが見える。


    ......すごいことを、しちゃった。
    ...でも、そうだよね。

    ...恋人だからキスしても、いいんだ。

    ...だからプロデューサーともキスしたい。

    ぎゅっ、と抱きしめられながら。
    あの人の体温を感じながら。
    あの人の匂いに包まれながら。


    ____唇にキスしたい。

  • 31二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:14:59

    ...でも、多分キスマークのことで怒られるだろうな。

    ......それとも嫉妬するかな?

  • 32二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:15:25

    ☆☆月☆○日

    ...やっぱりプロデューサーに怒られた。
    営業に支障があるとかアイドルとしての自覚がとか色々怒られた。
    ボクなんかは収録もまだあるのにどうするんだ、と至極真っ当な説教だった。
    けど、色々言ったあとはボクと燐羽が付き合えたことを凄く喜んでくれた。
    「良かったですね」とボクたちを祝福してくれた。
    年明けまでは大会で忙しいから今すぐは無理だけど3人でのデートの時間を作れるように頑張る、って言ってくれた。
    でも、拗ねてた。
    キスマークとかお揃いのチョーカーとか色々。
    ...キス、してあげよっか?と燐羽と二人で迫ると「本当ですか」って弾んだ声で言ってた。
    ......すぐに訂正して強がってたけど。
    燐羽と一緒にそのことを揶揄うとまた怒られた。

    でも、嬉しい。


    ____プロデューサーもキス、したいんだ。


    ...それがわかっただけでも嬉しい。

    それだけでレッスンを頑張れた。

  • 33二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:15:55

    ☆☆月☆+日

    今日はプロデューサーの部屋でユニットの楽曲制作をした。
    でも楽曲自体はボクと燐羽がデートしてる間に頑張って進めてくれたからほぼ完成してた。
    もう少し仕上げてから改めてボクたちにデモを渡すって言ってた。
    確認をして、それでおしまい。
    だから余った時間は沢山構ってもらえた。
    耳も触って貰えたけど首のキスマークを見たプロデューサーに拗ねられた。
    その流れのまま「キスしたい」って誘ったけど断られた。
    ......出来ると思ったのに。
    雰囲気を作ったのはプロデューサーなのに。
    ...プロデューサーは強情だ。
    久々の戯れ合いもしたけど最後は躱された。
    ......抱きついたり身体を当ててみたりしたのに。
    見つめあってたあの時間の意味は何なんだ。
    ...逃げるなんて卑怯だ。
    ......絶対キスする雰囲気だったのに。

    プロデューサーの意地悪。

  • 34二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:16:16

    日記も書き終わったしそろそろ寝ようと思ってたら燐羽から連絡が来た。
    『明日プロデューサーに告白したい』って。
    好き、ってちゃんと言いたいらしい。
    朝の打ち合わせは少し遅れて来て欲しい、ってお願いされた。

    プロデューサーが待っている活動室。

    寮を出て最初に向かうあの場所が、燐羽にとって大切な思い出の場所になる。
    ...それに、あそこはボクにとってもプロデューサーから告白された大切な場所だ。

    今度は二人の大切な思い出の場所になる。

    嬉しいな。

    きっと明日は良い一日になる。

  • 35二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:16:47

    ☆☆月☆<日

    燐羽が嬉しそうだった。
    活動室に予定通り遅れて向かうと、見てるだけで幸せになる顔をしてた。
    レッスンの時とか、用もないのに「プロデューサー」とあの人に話しかけて『燐羽さん』って自分の名前を呼ばれるのを待ってた。
    最初だけ何のことかわかってなかったプロデューサーだけど、すぐに気づいて燐羽のことを名前で呼んでた。
    「何でもない」って上擦った声で返す燐羽がすごく可愛いかった。
    名前を呼ばれて嬉しくてたまらないって一目でわかる。
    なのに、顔が緩みそうになるのを必死に我慢してた。
    それを揶揄うように何度も名前を呼ぶプロデューサーと恥ずかしがる燐羽を見て幸せになった。

    燐羽もプロデューサーと恋人になれたんだ、と改めて思った。

  • 36二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:17:07

    ...それと、安心した。

    前みたいに一歩引くような感じだったらどうしようって少し心配だったけど、燐羽はプロデューサーに可愛がってもらおうと積極的だ。

    ...だからプロデューサー、頑張ってね?

    二人も恋人がいるんだよ?

    同じぐらい愛して欲しいけど、同じような愛じゃダメだよ?

    ボクにはボクだけの愛を。

    燐羽には燐羽だけの愛を。

    二人とも、プロデューサーの一番にしてね。



    ____ボクたちをたくさん幸せにしてね。

  • 37二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:18:21

    ☆☆月☆「日

    燐羽もボクもパフォーマンスの調子が良い。
    ボクとプロデューサーが恋人になって、燐羽もプロデューサーと恋人になった。
    好きな人と結ばれて、沢山甘えられる。
    だから調子が良い。
    浮かれてる、とは思う。
    でも、仕方がない。
    ...プロデューサーがボクたちを可愛がるから。
    優しい声でボクたちの名前を呼ぶあの人が悪い。
    ...ただ。
    ボクのパフォーマンスが良かったのはそれだけが理由じゃない気がする。
    不思議な感覚があった。
    ...不気味、と言った方が正しいかもしれない。
    レッスン中ずっとゾワゾワしていた。

  • 38二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:20:14

    ..."彼女"だ。

    FINALEで自覚した、ボクの魔性。

    誰も彼も破滅させる、運命の女。

    ...その彼女を感じる。
    『身体を頂戴?』とボクのことを嗤っていた。

    ...彼女は"ボク"を喰うつもりだ。



    ______飼い慣らしてやる。

  • 39二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:20:53

    ☆☆月☆〒日

    今日はレッスンをしてからプロデューサーの家でユニット曲の最終確認。
    「デモが完成しただけ」と言ってたけど、そんな言葉で済ませられる完成度じゃない。
    引き摺るようなドロドロとした重さがある低音。
    風のように上下する音階。
    レトロな曲調に混ざる不協和音。
    誰かが自分の後を追いかけてる足音のようなハイハット。
    "邪悪"を感じる笑い声のコーラス。
    不快感と不安感の狭間にいるノイズ。
    ...全部、凄い。
    ...あの曲は"夜"だ。
    一瞬で曲の世界に呑まれた。
    凄い曲になるどころじゃなかった。

    ...今まで考えていた振り付けだと見劣りする気がする。
    ...いや。
    確実に曲に負ける。
    ...新しく作らないと。

  • 40二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:21:23

    すぐに学園に戻って振り付けをプロデューサーに見て貰いながら新しい振り付けを考えた。
    曲に合わせて踊る度にアイデアが止まらなくてプロデューサーを遅くまで付き合わせてしまったけど、この曲に負けない良い振り付けを考えられた。
    ...勝てる振り付けじゃないからまだブラッシュアップは必要だけど。

    でも、この曲をステージで演りたい。


    _____きっとゾクゾクする。

  • 41二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:21:50

    ☆☆月☆^日

    今日はユニットの練習。
    早速振り付けを燐羽に確認して貰った。
    振り付けを変えて正解だった。
    曲の世界をより表現出来てる気がするし、前の振り付けと比べても新しく考えた振り付けの方が馴染んでる。

    笑い声のコーラスには身震いで合わせる。
    アイソレは使いすぎない。
    ハイハットは最後の音だけをヒットで拾う。
    嗤う表情をする時は指先を沿わせて視線を誘導。
    尺は贅沢に余らせる。
    聴く人を揶揄うつもりで余裕を見せる。
    靡く髪に表情をさせる。

    ...ああ。

    ____"彼女"を感じる。


    プロデューサーも燐羽も驚いていた。
    まるで別人に見えた、って。
    何かに取り憑かれたみたいだった、って。
    ..."彼女"が褒められたみたいで癪だった。

  • 42二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:22:26

    ...いや、ユニットの話だ。

    プロデューサーが燐羽にもデモを聞いて貰って印象を聞いてた。
    妖しくてレトロな曲調の中に重さを感じる、って言ってた。
    時折混じるノイズにも言及してた。
    「不快感はないのに不安を感じる」
    ボクと同じような感想。
    プロデューサーは笑っていた。
    ...邪悪に。
    この曲を演るボクと燐羽が同じ所感を抱いたことに確信めいた何かを感じたのかもしれない。
    そのまま燐羽と話してたけど燐羽が呆れてた。
    ...多分、また物騒なことをプロデューサーが言ったんだろうな。

    あとはユニット曲のボーカルレッスンもした。
    今まで経験のない歌い方に難儀した。

    ハスキーで攻撃的な甘さの声で歌ってください、なんて。

    ...嗄声で喉を痛めないように気を遣わないといけないし。
    でも、プロデューサーの期待に応えたい。
    ボクなら出来る、って思ってくれてるから。
    ボクのことを認めてくれてるあの人の信頼に応えたい。
    ......褒めて貰いたいのもあるけど。

    それと明日はプロデューサーがいない?らしい。
    SATELITEの会合に連れて行かれる、って言ってた。
    本当は行く必要なんてないのに理事長に拉致された、らしい。

    だから、明日は自主レッスン。
    ...寂しいな。

  • 43二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:24:13

    ☆☆月¥〜日

    プロデューサーがすごくカッコよかった。
    いつもカッコいいけど、今日は特に。

    オールブラックのスーツ。
    セットした髪。
    シルバーのラウンドの眼鏡。

    ...全部、カッコよかった。

    スーツであそこまで印象が変わるとは思わなかったし"極月学園"のプロデューサーって感じだ。
    髪だって『髪質が柔らかいからセットしてもすぐ崩れるんですよ』とか言っていつもはセットしてないのに、ちゃんとサマになってた。

    ...でも、一番はあの眼鏡だ。

    似合ってる、というのも勿論あるけど色気が溢れ出てた。
    離れた所から見てただけなのにプロデューサーがふと脱力した時の色気とかすごくドキドキした。
    周りの子が言っていたけど、今日のプロデューサーはビジュアルが優秀してた。


    アンティークな色味のシルバーに、ヴィンテージ調で細いフレームのラウンドの眼鏡。

    ...あの眼鏡がとにかく、良い。

  • 44二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:24:41

    プロデューサーの切れ長で鋭い目つき。

    こっちを見た時にドキっとして心を掴まれる。

    でも、すぐに優しさの色が滲み出すあの目。

    ...あの眼鏡越しに見るその目がたまらない。

    ......すごく、良い。

    ...なんていうか、ボクの"女"の部分じゃなくて"雌"の部分を刺激される。


    ......正直、イジメられたい。

    ...耳とか、たくさん責めて欲しい。

    焦らされたり。

    弄ばれたり。

    耳元で囁かれたり。


    ...言葉責め、されたり。

    そういうのを、あのビジュアルのプロデューサーにされたい。


    ......雌に、されたい。

  • 45二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:25:07

    ......話が逸れた。

    とにかく、それだけ今日のプロデューサーはカッコよかった。

    大人の雰囲気、ってああいうのを言うんだと思う。
    なのに普段通り。
    話しやすくて優しいボクたちのプロデューサー。
    だから、他の子たちに人気でずっと話しかけられてた。
    普段からプロデューサーにレッスンとかを見てもらってる子は勿論話しかけに行ってたし、あまりプロデューサーが関わってない上級生の人も二度見して驚いてた。
    ...結局、その人も話しかけに行ってたし。
    ...プロデューサーは絶対に調子に乗ってた。
    困った顔をしてたけどみんなに持て囃されて内心絶対喜んでたでしょ、と思う。
    ...だって、いつまで経ってもボクと燐羽の方に来なかったし。

    見てても嫉妬するだけだし活動室に行って燐羽と愚痴を言いながらプロデューサーを待ってた。
    ...燐羽もボクも結構イライラしてた。
    あの人は私と四音の恋人って他のアイドルに教えたい、とか。
    プロデューサーもカッコいいって褒められたいならボクたちの方に来ればいいのに、とか。
    そんなことを二人で話してるとプロデューサーがやっと来た。
    ボクと燐羽がずっと睨んで"嫉妬してた"って必死にアピールしてるのに全然気づかない。
    ...困った顔をしているだけ。
    ...余計、イライラした。

  • 46二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:25:46

    ...だから、その。
    ......たくさんキス、しちゃった。

    ...悪いプロデューサーにお仕置き。

    燐羽と一緒にプロデューサーをめちゃくちゃにしちゃった。

    プロデューサーが悪いんだ。

    ボクと燐羽を放っておくなんて。

    恋人を放っておいて、他の女の子に構うなんて。

    ...そんなの、ダメに決まってる。



    ____だから、お仕置き。


    「座って」と声をかけた。
    プロデューサーは何も言わず、すぐにソファに座った。
    ...あの人の顔を見て思わず唾を飲んだ。

  • 47二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:28:59

    カッコよくて。

    優しくて。

    大好きな人が。

    申し訳なさそうにボクの顔色を伺ってた。

    まるで悪いことをしてしまった子どもみたいに。

    ようやく自分の立場を理解したような顔。

    許しを乞うような可愛い顔。

    ご主人様に叱られちゃった仔犬みたいな顔。

    ...ゾクゾクした。

    こんな顔、するんだ。

    嗜虐心が刺激された。

    _____ボクの理性に、火がついた。

    「お仕置きするから」と声に出した。

    プロデューサーと向かい合うように片足に跨ってそのまま首にキスをした。

    肌に唇をつけて、ちゅう、と吸い上げて唇を離すと赤い痕がくっきりとついた。

  • 48二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:30:01

    ...ボクのモノだ、って誰が見ても一目でわかる痕だ。
    ...すごく興奮した。

    ____パチパチと舞い始める、理性の火花。

    プロデューサーはボクがしたことにすごく驚いていたけど、そんなの知らない。

    ...プロデューサーが悪いんだ。
    でも、ボクだけがしても意味がない。

    「燐羽もしよう」と誘って、またプロデューサーの首にキスをした。

    すぐに燐羽が来て、空いている片足に跨った。
    赤い顔をしてた。
    けど、キスは遠慮するような感じだった。
    もどかしそうなキス。
    まだ理性が残っているキスだ。
    でも、自分がつけたキスマークを見てまたキスをしてた。
    ボクもプロデューサーにキスをしながら、視界に映るあの燐羽の顔を見てすぐに思った。
    ...燐羽も興奮してる、って。
    ......ジャケットだって脱がせてたのは燐羽だし。

    そのあとも二人でずっとプロデューサーの首にキスをしてた。
    けど、プロデューサーの「もうつける場所なんて残ってないですよ」という言葉に、この時間の終わりを予感した。

    でも、燐羽があの人のシャツのボタンを外して言った。

    「まだあるわよ」

    そうしてまた、夢中でプロデューサーを貪った。

  • 49二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:31:18

    ボクが落ちないように腰に沿わせているあの人の手。

    声を漏らさないようにしていても時折り漏れるあの人の声。

    プロデューサー、と甘い声で呼ぶと撫でてくれるあの人の手。

    好き、と想いを伝えると答えてくれるあの人の声。

    触って、とおねだりすればボクの耳をイジメてくれるあの人の手。

    四音さん、とボクを名前を呼ぶあの人の声。


    _____理性を薪に勢いよく、火花が飛び出した。


    興奮なのか、緊張なのか、汗ばみ始めたプロデューサーの肌を味わうように舌を這わせた。

    舌先で混ざり合うボクの唾液とプロデューサーの汗。

    キスだけじゃ足りなくて甘噛みをすると少し痛みを湛えたようなあの人の声が聞こえる。


    "傷をつけた"という背徳感。

    _____火花がすぐに散り始める、ボクの理性。

    回らない頭で何度もキスをしているうちに気づいた。

  • 50二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:31:40

    ______燐羽が喘いでいることに。

  • 51二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:32:48

    燐羽が腰を振ってた。

    いじらしく、股を擦り付けていた。

    嬌って、いた。

    何度も果てて、身体を震わせていた。

    果てるたびにプロデューサーに頭を撫でられて、そのたびに甘い声を漏らしていた。

    蕩けた目でプロデューサーを見つめて、また腰を振る。


    そして、また気づく。

    プロデューサーの太ももが。


    ____ボクの"イイところ"に当たってる。


    跨った最初の時からこうだったのか。
    燐羽にアテられて無意識にこうなっていたのか。
    それとも、あの瞬間こうなったのか。

    答えはわからない。

    ...それに、どうでもいい。

    ____火花は最後の一雫がとうに落ちてる。

  • 52二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:34:34

    理性なんて線香花火のように散ってしまった。

    ぐっ、と体重を乗せて、その"イイところ"を押し当てた。

    ぐりぐり、とゆっくり刺激した。

    快感の波が脳を襲った。


    思わず漏れる喘ぎ声を閉じ込めるようにプロデューサーの首にキスをした。

    ボクと燐羽がプロデューサーにしている事。
    ボクと燐羽がプロデューサーでシている事。

    今までと比べようもない"背徳感"。

    その背徳の味を知って、果てた。

    びくっ、と身体を一瞬震わせてあの人に身体を預けた。

    そして、ボクも撫でられた。
    ...燐羽と同じように。

    果てるたびに撫でられた。

    ......プロデューサーにはバレてる。
    ボクが何を、してたのか。
    プロデューサーで気持ちよくなってることも。
    ...頭が茹だった。

  • 53二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:35:14

    でも、そんな頭じゃ何も考えられなくて。

    「プロデューサー」と甘えて、またゆっくりと股を押し当てた。

    何度も何度も果てて、頭がおかしくなりそうだった。
    股で感じるあの刺激で果てているのか、耳をイジメられて果てているのかわからない。


    プロデューサーの声も。
    燐羽の声も。
    ボクの声も。
    舌を離すと糸を引く唾液も。
    あの人の胸元を覆う赤い痕も。
    あの人に触られてる耳から感じる快楽も。
    あの人の照れた赤い顔も。
    あの人の耳についているお揃いのピアスも。

    全部に興奮した。

    そのまま興奮に身を任せて、プロデューサーの唇にキスをしようとしたら、燐羽が「え」と声を漏らして入口の方を見ていた。

    ボクも目を向けた。

    ......撫子が赤い顔でこの情事を覗いていた。

    ......見られて、いた。

    ...全部。

    ...最悪、だ。

  • 54二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:35:55

    プロデューサーも気づいて三人で撫子を見た。
    撫子は申し訳なさそうにノックをして活動室に入ってきた。

    ...続きをどうぞ、と言っていた。

    聞き間違いかと「え」とボクも声が出た。

    もういっそのこと此処で見てもいいか、と赤い顔で撫子が続けて言った。

    ......え、と思った。
    ...聞き間違いじゃ、なかった。

    プロデューサーが「もうお終いですよ」と言うとごねていたし...。

    ...次もまた来る、と言い残して出て行った。

    ...撫子が出て行って流石にボクたちも冷静になった。

  • 55二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:36:31

    プロデューサーなんか、すごかった。
    胸元はボクと燐羽の唾液でぐちゃぐちゃだしキスマークも甘噛みした時の跡もたくさんついてる。
    ...それに、その。
    目線を下に動かすと太ももの辺りに大きなシミが出来てた。
    ......燐羽のだ。

    ...ボクのもちゃんとシミになってた。
    ......燐羽と比べると小さいし薄いけど。
    ......燐羽にもバレた、かな。

    そんなことを考えていたらプロデューサーがタオルで胸元とか首を拭きながら赤い顔で言った。

    「こういうの良くないです」

    燐羽と自然と目が合って、声に出た。

    またしたい、って。

    そういうとプロデューサーは頭を抱えてた。
    でも、ユニットのライブが終わったら考えてくれるらしい。
    ...プロデューサーって押しに弱いんだ。
    ......良いことを知れたな。

    ...早く続きがしたい。

    ________これ以上のことを、シたい。

  • 56二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:37:13

    ...そのあとは、まあ、怒られた。
    健全じゃない、とか。
    こんなに痕をつけて、とか。
    撫子に見られた、とか。
    ...色々怒られた。

    ...プロデューサーだって感じてたクセに。

    言わなかったけど。

    一通り怒られた後、このままじゃいられないから着替えることになった。
    ...ボクも燐羽も服がぐしょぐしょだから。

    ...でも、燐羽が立てなかった。
    ......その、腰が抜けて。

    だから、三人で寮に行った。
    プロデューサーがボクを部屋まで送って、そのまま燐羽を部屋まで送ってくれた。

    ...恥ずかしいし待たせてしまうのも申し訳ないし手早く着替えようとして気付いた。

    ......ショーツが凄く湿ってた。

    ...ボクでこれか、と思った。
    .......タイツを履いていて良かった、と思った。

    ...うん。

  • 57二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:38:39

    燐羽はまだ午後のレッスンが残ってたけど、流石にプロデューサーが止めて部屋で休ませてた。
    ...まあ、足がガクガクしてたし仕方がない。
    明日に響かないといいな、と思う。
    ボクの自主レッスンはもう終わってたし、着替えたあとはプロデューサーとゆっくりしてた。

    ...でも、ボクだけまた怒られた。
    ...燐羽スゴかったね、と言ってしまったから。
    プロデューサーがボクのことをすごい目で見て「貴女もですよね?」と言って怒ってた。

    ...ちゃんと、バレてた。

  • 58二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:39:10

    けど、ボクにだって言いたいことがある。

    果てる度に撫でるのはどうなんだ。
    それはプロデューサーが悪い。
    また撫でられたくて、シていたところもある。
    それに、ボクの耳だってイジメてた。
    ......あれはもう、そういうことじゃないか。
    ...耳でも何回か果てたハズだ。

    そんなことを言った。
    ...流石に全部は言ってないし言葉も選んだけど。

    そういうとプロデューサーは口篭ってた。

    「...それは、そうですね」

    勝った、と思った。

    でも小言を言われた。
    あまり私の理性をいじめないでください、って。

    ...それは、たしかに。

    負けた、と思った。



    ...うん。

  • 59二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:40:41

    でも、思ったことがある。

    ...あれだけしてもプロデューサーって"その気"にならないの?
    我慢してる、というのはわかる。
    けど、ソレって理性で抑え込めるモノなの?
    ...ボクと燐羽は無理、だったよ?
    ボクも燐羽も一線を越えた。
    今日、あれだけのことをした。
    ...我慢なんて出来ない。
    あれ以下じゃ満足なんて、出来ない。

    ...だから、うん。

    プロデューサーが"その気"になるまで誘惑しよう、と思う。

    あとは、その。
    ...燐羽が、えっちだった。
    ......やっぱりボクの、せい?
    ボクが始めたお仕置きのせい?
    でも、それはプロデューサーが悪い。
    ...他の女の子を構うから。
    ......それにボクだってシてた。
    ....話すのは恥ずかしいけど、気にするようなら伝えようと思う。
    ...慰めになるかはわからないけど。

    ...明日は最後の収録があるし、今日はもう寝よう。
    ...だから。
    ......撫子からのメッセージには気づかないフリをしよう。

    ...ボクは寝るんだ。

  • 60二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:41:43

    ...部屋まで来るのは反則じゃないか。
    インターホン越しに聞こえた声に降参してしまった。
    ...詳しく聞かせないと方々に話します、はもう脅しだ。
    結局、洗いざらい話すハメになった...。
    ...本当に撫子のあの情熱はなんなんだ。
    ...やっと帰ってくれた。
    ...1時間も経ってるし。

    ......昼間の情事をまた思い出すハメになった。



    沸々と身体に昼間の熱がまた篭ってきたのをはっきりと感じる。
    続きをシたい、と疼き出す。

    枕元のぬいぐるみに自然と意識が向いた。

    鋭い目つきをした黒いキツネのぬいぐるみ。

    眠りにつく前にいつも抱きしめるぬいぐるみ。


    プロデューサーに似ているから、とお迎えしたぬいぐるみ。



    ____プロデューサー、に似ているぬいぐるみ。

  • 61二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:42:14

    ...いや、ソレはよくない。

    ......頭に過ったことは忘れよう。

    ......寝よう。

  • 62二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:42:55

    ☆☆月¥☆日

    ...結局、昨日は遅くまで起きてて少し寝坊してしまった。
    でも、プロデューサーがモーニングコールをしてくれた。
    ...アレはすごく良かった。
    ......最初は夢かと思って甘えてしまった。
    まだ意識と身体が繋がってなくて暖かい泥の中にいるような気がしてた。
    ...だから、仕方ない。
    「会いたい」と眠気が抜け切れてない声で甘えてしまった。
    でも、夢じゃなくて。
    プロデューサーが部屋まで来てくれた。
    メイクもしてくれた。
    現場まで車で送ってくれたし。
    それに、昨日つけた痕だって隠してなかった。
    そもそも隠すつもりはないらしい。
    「こうなってしまったものは仕方ありませんから」と笑っていた。
    見せびらかすつもりらしい。
    ...流石に現場では隠していたけど。

    まあ、そんなプロデューサーに満足した。

  • 63二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:43:20

    ...ボクと燐羽のモノだ、ってあの人の身体に教えた甲斐がある。
    収録が終わって学園に帰ると、今朝言っていた言葉のままプロデューサーは痕を隠してなかった。
    昨日あれだけ騒いでいた他の女の子たちが静かだった。
    ...ちょっとだけ気分が良かった。

    これでもうボクのモノに言い寄れない、なんて思ったりもした。

    でも、その独占欲に浸る暇もなかった。
    ...他のアイドルの子たちに話しかけられたから。
    ボクに気づいてすぐに寄ってきた。
    ...根掘り葉掘り聞かれた。

    ボクがつけたのか。
    燐羽がつけたのか。
    ...それとも、二人一緒に?
    やっと関係が進んだの?
    どこまでしたの?

    ...とにかく色々聞かれた。
    ......あの子たちが全員撫子に見えた。
    というか、撫子もその場にいたし。
    昨日全部ボクに聞いたハズなのに、何も知りませんでしたという顔をして色々と聞いてきた。

    ...良い性格をしている。

  • 64二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:43:54

    でも昨日聞いたよね、なんて言ってしまったらボクの口からじゃなくて、撫子も聞かれることになる。
    まだボクが聞かれるのは言葉をボクが選べるから良いけど撫子が話すのはダメだ。
    ...撫子はきっと全部話す。
    最初はまだ言葉を選んでくれるだろうけど、詰められたら洗いざらい話しすに決まってる。
    ...それに多分、話すうちに調子に乗りそうだ。
    だから、まあ撫子なりに気を遣ってくれていたのだと思う。

    ......その割には随分楽しそうだったけど。

    あと燐羽のことを聞かれた。
    ...どうやら今日は一日中燐羽がプロデューサーに甘えてたらしい。
    頭をたくさん撫でられていたのを見たって言ってた。
    昨日のことを引き摺っているかな、と思ったけど杞憂に終わったみたいで良かった。

    嫉妬しないの?とも聞かれたけど嫉妬はあまりしてない。
    ...恋人みたいで羨ましい、とは思うけど。
    でもやっぱり、嬉しい気持ちの方が大きい。
    あの二人が恋人になったんだ、と実感が湧く。
    燐羽がプロデューサーに素直に甘えていることが嬉しい。
    ...燐羽があの人への恋心を必死に諦めようとしていたのを知っているから。

    幸せそうな燐羽の話を聞いて胸が暖かくなった。

  • 65二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:44:42

    ☆☆月¥¥日

    今日は燐羽が寝坊した。
    ...昨夜は遅くまで起きてたのかもしれない。
    ...まあ、うん。

    燐羽がまだ来てないからと油断して、耳を触られてるところを見られた。
    ...甘い声を出しているところを見られた。
    あまりにも見てくるから燐羽にも触られたくなった。
    「燐羽も」と燐羽の手を取ってボクの耳に近づけた。

    プロデューサーと違う、女の子の手。

    柔らかくて、細い、綺麗な手。


    最初は遠慮がちな触り方だったけど、すぐ責めるような触り方になった。

    ...プロデューサーがボクの弱いところを燐羽に教えたから。

    耳の縁の内側が弱いですよ、って燐羽を唆してた。

    いつも触ってる右耳を燐羽に取られたプロデューサーが、左耳を触った。
    ...責められたことのない、左の耳。
    刺激に耐性なんかついてない。
    ...だからなのか左耳の感度が高い。

    漏らしていた甘い声に、嬌声が混ざる。

    ___耳を触られて、果てたことを思いだした。

  • 66二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:45:55

    ...まずい、と思った。

    あの記憶が。
    あの体験が。
    ボクの理性を揺らし始めた。

    焦らすようにゆっくりと触る燐羽の手が。
    耳の形を確かめるように責めるあの人の手が。

    ___ボクの雌を疼かせる。

    そのまま絶頂に似た開放感を静かに感じた。

    ...これはまずい。
    本当に、まずい。
    このままだと、身体にクセづいてしまう。
    ...あの小さな何かを経験してしまった。
    頭ではわかっているのに。
    頭の中で理性が警鐘を鳴らしているのに。

    もっとイジメて、と二人におねだりをしていた。

    ...意地悪しないで、と求めてしまった。

    ...プロデューサーは男の目をして、感じるボクを見て笑ってた。

    いつもの優しい笑い方じゃなくて。
    たまにする意地悪な笑い方じゃなくて。

    初めて見る邪悪な笑み。

  • 67二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:46:23

    ...ゾクゾク、した。

    ......プロデューサーのモノになった気がした。

    ...気持ち、よかった。

    二人が満足するまで責められたあとは、プロデューサーに撫でられる燐羽を眺めてた。
    ...燐羽のご褒美、らしい。

    恋人みたいで羨ましかった。
    ああいうのボクもされたい。
    ...耳を触られるのは感じすぎてもうダメだし。

  • 68二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:49:10

    ☆☆月¥%日

    今日はユニット曲の練習。
    調子が相変わらず良い。
    踊っていると全身の細胞が逆立つようなゾクゾクが止まらなかった。
    指先一つまで支配する感覚。
    なのに、ひとりでに動き出すボクの身体。
    ...あの感覚にはある種の気持ち良さがある。

    誰にも出来ないことが出来る、という万能感。
    空間がボクで塗り潰されていく、という優越感。

    ガラスミラーに映るボクの顔は、嗤っていた。

    ...ただ。
    わからない。
    ......アレがボクなのか"彼女"なのか。

    急にあんなに動けるようになったのも気になる。
    ボクが成長した、ならそれでいい。
    ...でも今日は『身体を寄越せ』と言われている気がした。
    ...ボクの身体にも"彼女"に従えと言われている気がする。

    曲の振り付けを変えてからは"彼女"をより濃く感じる気がする。

    でも。

    お前の好きにはさせない。

    ボクの身体もお前もボクのモノだ。

  • 69二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:49:30

    ...これだけ言って『昨日沢山耳を触られて調子が良かった』というオチだったらどうしよう。

    ...それはそれでボクらしくていいかもしれない。

  • 70二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:50:34

    ☆☆月¥○日

    今日はボーカルレッスン。
    この曲はエッジボイスとブレスでの表情が特に映えるから今日はそれをメインにレッスンした。
    嗄声を出すことにもかなり慣れてきたしその声に表情を含ませることも出来るようになってきた。
    吐息を混ぜながら蠱惑的なニュアンスも入れて歌うといい感じだ。
    プロデューサーにも褒めて貰えたし嬉しかった。
    「聴いていてゾクゾクしました」と言ってくれた。
    そう言ってSATELITEの優勝ライブの演出を急いで作り直してた。
    ...電話越しの相手の人に物凄く怒られてたけど大丈夫だったのかな。
    ...プロデューサー本人は凄い笑顔だったし意外と大丈夫なのかもしれない。

    ...いや、でも。
    ...プロデューサーって少し変だから。

    ...深く考えない方が良さそう。

  • 71二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:50:52

    それとS.T.S期間中燐羽は地方への遠征をするらしい。
    燐羽が凄く嬉しそうな顔でボクに教えてくれた。
    燐羽のファンとの交流会をするらしい。
    待ってくれた人たちと会いたい、という燐羽の気持ちをプロデューサーが汲んでその場を設けてくれたらしい。
    「あの人ってホントにズルい」
    「もう十分好きなのにもっと好きになる」
    「困った人よね」
    そう言って笑う燐羽が可愛かった。
    ...現地へ前乗りするって言ってたけどそれもきっと楽しみなんだろうな。
    流石にホテルの部屋は別って言ってたけど。
    ...それでも羨ましい。

  • 72二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:51:40

    ☆☆月¥「日

    今日は燐羽のソロ曲の練習を見た。

    燐羽の調子が凄く良い。
    洗練されていて、燐羽の色々な世界を感じた。

    儚くて優しさを秘めた温かい世界。
    苦しさと葛藤を秘めた冷たい世界。

    ...燐羽のソロ曲は、燐羽自身の心がテーマだ。


    ...きっと燐羽の世界は複雑なんだと思う。



    だからS.T.Sのライブがもっと楽しみになった。


    その燐羽の世界をボクたちはきっと知ることが出来るから。





    ____燐羽の心を。

  • 73二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:51:59

    ☆☆月%☆日

    明日から燐羽のS.T.Sが始まる。
    N.I.Aで燐羽と一緒だった初星のアイドルも出るらしい。
    ...初星のアイドルがS.T.Sに出るのは悪手だ。
    S.T.Sの直後にH.I.Fがあるから。
    本来ならH.I.Fに向けた最終調整で使いたい期間のハズ。
    それをわかった上でS.T.Sに出るということは、それが出来るだけの余裕があるか、S.T.SもH.I.Fも勝つだけの自信があるかのどっちかだ。
    プライドも実力もトップレベルのアイドルたちが出場する。
    ...きっと厳しい大会になる。

    でも、燐羽なら大丈夫だ。
    今まで待っていたファンもいるし、プロデューサーだっている。
    そして何より燐羽本人が少しも臆していない。
    真っ直ぐ前を見てる。
    アイドルを辞めたがっていた燐羽はもういない。
    ちゃんと、アイドルの燐羽がいる。
    ずっと隣で見てきたからわかる。

    きっと成りたいアイドルが見つかったんだ。


    _____燐羽、頑張ってね。

  • 74二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 23:59:46

    以上です。

    投稿がまた遅くなってしまいました...。

    次の投稿ですが、こちらも遅くなると思います。
    燐羽視点のライブと四音視点のライブを同時に上げられたら、と考えているので私の我儘に付き合わせてしまう形になるのですが...。

    ご理解いただけたら、と思います。

  • 75二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:49:24

    心の底からこれの更新を待ってた。本当に素晴らしい作品をありがとう……
    この二人は似てるというより似てきた、というのが適切な言葉に思えてる。好きな人に触られるだけですぐ反応するところとか、こすりつけてるシーンもそう。それでいて2人の独自の魅力も際立って、とても素晴らしい作品でした。次もずっと待ってます。

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