- 1なぎさの周りを曇らせ隊25/03/08(土) 13:02:15
誰か供給してくれませんか、ナギサ様の周囲が曇っている様子を。失敗しててもいいし成功してもいい!
1スレ目
【閲覧注意】ここだけナギサ様があはは…のあとにショックで自◯未遂をした世界線|あにまん掲示板誰か供給してくれませんか、ナギサ様の周囲が曇っている様子を。失敗しててもいいし成功してもいい!私の想定としては、セーフティーハウスに入りそのまま部屋へ入る許可を誰にも出さず、入った何日目かに、「私がミ…bbs.animanch.com2スレ目
【閲覧注意】ここだけナギサ様があはは…のあとにショックで自◯未遂をした世界線 2|あにまん掲示板誰か供給してくれませんか、ナギサ様の周囲が曇っている様子を。失敗しててもいいし成功してもいい!私の想定としては、セーフティーハウスに入りそのまま部屋へ入る許可を誰にも出さず、入った何日目かに、「私がミ…bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:28:02
立て乙
- 3二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:32:54
とりあえず保守
- 4二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:41:41
保守
- 5二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 13:51:06
ルート分岐はありますか?
- 6二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 14:07:41
保守
- 7二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 14:44:52
縦乙
- 8二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 14:46:41
たて乙
- 9◆2rKpMml/3qqF25/03/08(土) 14:50:56
一応、やってみたいけど本編の状況的にもうならないと思われるいくつかパターンを考えてはいるのでそれはIFとして書こうかなとは考えているものがあります。
一部公開すると、
・ナギサが自殺未遂の後、回復したときに先生に依存したとしたら
とか。あと純粋にBADルートも書くかもしれない。
ただ、多分一旦今書いているやつを終わらせてからになる以上、結構遅くなると思います。
他の人が書いてくれてもいいんだぜ。
- 10二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 15:01:17
SSできるあにまん民は希少種なんだよー(絶望)
- 11二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 16:01:20
過去や今までの人生を全部捨てて、キヴォトスの外で新しい生活を始めるルートも見たいな
- 12二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 16:57:34
前スレの「先生は子供らしさを押し付ける」ってのを見てなるほどなぁってなった
- 13二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 18:38:34
これまではそれで上手くいってたしそうしなければキヴォトスが滅ぶ案件だったけど今回はキヴォトスが滅ぶかどうかは別としてナギサが責任を最後の拠り所にしてたのを取り上げる形になっちゃったのがね…
- 14◆2rKpMml/3qqF25/03/08(土) 18:45:32
前スレ192から
――――――
ナギサが全ての仕事を背負うということは、ナギサの身体に過剰な負担をかけると同時に先生の請け負う仕事が減るという点において先生に自由を与えていた。つまりはその分他の所に手が回るようになっていた。そんな先生は救護騎士団のもとにやってきていた。ハスミとツルギは未だ眠っていた、状態としては怪我をしているものの命に別状はなく、経過も良好だとハナエが言っていた。
「……。」
そうしているとハスミが起き上がり、周りを見回す。先生を見つけると寝起きで朦朧とした状態で意識を失う前のことを思い出す。
「……先生。ここは……一体何が……。」
”ハスミ、良かった……。”
起き上がったハスミが特に問題の無さそうな様子であったことに安堵する。
「……はい、危ないところでしたが……何とか。ツルギやほかのみんなは……。」
そうしてハスミはさらに見知った顔を探す。
すると、ツルギが目を覚ましたようなのでそちらを向き、向かう。ツルギは周りをしばらくきょろきょろと見回した後、口を開いてあわあわとしだした。
「ぎゃああああぁぁぁっ!?せ、先生!?どうしてここに!?」
「あっ、ツルギさん!って、もう動けるんですか!?さすがは正義実現委員会の委員長さんですね!」 - 15ナギサの周りを曇らせ隊25/03/08(土) 23:01:44
保守
- 16二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 06:55:07
ナギサを救うための方法は何だろうか…
- 17◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 09:56:15
セナも救急医学部として現在はトリニティの救護騎士団の方に臨時配置されているらしく、多少違う設備などについて共有してもらいながら処置をしているらしいという話だった。
「それはともかく、ご無事で何よりです。先生。」
”セナのおかげだよ。”
「いえ、大人の治療は初めてでしたが、どうにかなって何よりです。」
「先生……。」
と、治療されていたチナツが動こうとすると
「チナツ、まだ動いてはダメです。横になってなさい。先輩命令です。」
という風にセナに制止されていた。
風紀委員会の面々も正義実現委員会と同様、アリウスの精鋭たちと戦い、それなりに消耗していた。そのために、同じく治療を受けていたのだった。
「私、今は風紀委員会所属ですが……。」
「今から救急医学部に戻ってきてもいいのですよ?質の良い死た……いえ、負傷者たちに好きなだけ触れますし。」
「いえ、私は別に……丁重にお断りしておきますね……。」
と、絶賛ブラック職場となっている救急医学部への再勧誘をチナツは拒否した。勧誘の文句が物騒すぎたんだ。
「先生……。」
「アコちゃんまだ動いちゃ、ぐっ……!」
”アコもイオリも、怪我はともかく無事でよかった……。”
そうして現状の情報交換を風紀委員会の面々と始める。
「委員長がいなくなってしまい……。部屋にもおらず、連絡もつかなくて……。先生、委員長を頼めませんか……。」
”うん、任せて。”
一つ一つ解決できることをこなすことが重要だ。
- 18◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 09:56:58
――――――
セーフハウスに行く。
「先生、ナギサさんが連れていかれるとき私はとっさに動けませんでした。私は、いつものように即決できなかったのです。」
”ミネ……。”
「患者が助かるにもかかわらず、自らの治療を拒否して命を絶とうとするのなら私は間違いなくそれを止めます。ですが、その患者を見捨てることでより多くの命が助かるとしたら、そして患者自身もそれを望んでいるのだとしたらどうすればよかったのでしょうか。」
ミネは普段の彼女の様子とは少し違って落ち込んでいるような様子だった。
「先生はトリアージというものを知っていますか。非常に多数の負傷者が出た際にその負傷の度合いによって、タグをつけて治療順を選別するのです。優先順位の1位は赤色、緊急治療の必要な人、2位は黄色、治療の必要はありますが大気のできる人、3位は緑色、入院の必要のない患者、そして4位は黒色、治療の適応がない人です。つまりはその場でどれだけ治療をしても助けられない人を私たちは見捨てる必要があるのです。そのような人に数少ない医療設備をつぎ込むこと自体がより多くの死傷者を生み出すからです。ナギサ様を見捨てれば、より多くの人が助かるかもしれない。彼女はこの事態にある程度収拾をつけてしまえる。そう思ってしまったのです。その結果、ナギサ様は……。」
”ミネ、君は一つ間違えているよ。”
「先生、それは一体……。」
”ナギサは、まだ助けることができる。……一人で全部背負い込もうとする彼女を過労から解放しなきゃいけない。そうでしょ?”
「先生、つまりは私に彼女を直接救護しろと?」
”ミネにはミネにしかできないことがある。そして、私はその出来ない部分をミネに頼る。”
「先生は厳しいですね?」
”その方が今は多分いいでしょ?”
- 19◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 12:57:08
――――――
補習授業部たちのところへ向かう
「先生、アズサちゃんが……。」
「……。」
「……。」
「アズサちゃんが一人で戦っています。まだ、一人でずっと……。」
”……うん。”
「居場所が違うんだ、っ……てそれで私何もわからなく……。こんな大変なことになってしまって……もう、私みたいな普通の学生にできることなんて……。どうすれば、アズサちゃんを……だって、私は……。」
自分の無力さを嘆くヒフミ。しかしそれでも、
「……。」
「それでも、放っておくわけにはいかないでしょ!?」
「コハルちゃん……。」
「立ち位置なんて関係ない!わ、私は知ってる……!ひとりでいることとか、置いていかれることとか、それがすごく悲しいって!だから、アズサをひとりにはさせられない……!」
「はい、ひとりだけで全部背負おうとするなんて寂しいですからね。」
”ここまでずっと、ヒフミが引っ張ってきてくれた。”
「……。」
困惑するヒフミに先生は続ける。
”みんなの努力は勿論だけど、ヒフミがここまで頑張ってきてくれたから。たとえ平凡でも、自分たちの目指すものを諦めなかったから。”
「私は頑張った。でもその陰で、あんたがたくさんの面倒なこととか、部長として色んな事をしてくれたのも……そのおかげで頑張れたのも、ちゃんと知ってる。」
「そうですよ。ヒフミちゃんが諦めずにいてくれたから、私も今こうしてここにいられるんです。」
「コハルちゃん、ハナコちゃん……。」
”だから大丈夫。どうしても分からないときは、私もいるから。今はダメだとしても。一緒に悩んで、相談して、解決しよう。”
「……。……はい、ありがとうございます。私もちゃんと学びました。諦めません。いつまでも悩みません。私は、私にできることを……!……アズサちゃんを助けに行きます。」
”……ヒフミはいつもそうだったもんね。私も同じようにヒフミを手伝うよ。……それにあとで、ヒフミには私も少し頼らせてもらうからね。”
「先生!?」
- 20◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 12:57:31
- 21二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:07:35
- 22二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:19:05
伝えておかなきゃならない事はまだ残ってたかあ……
- 23二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:25:59
「言いたいことは、伝えないといけない」
つまりヒフミは言伝なんか他人に頼まない人ということで、おいハナコどう思うよ? - 24二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:26:18
- 25二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:32:42
いやあ、ここから更に酷いことになりそうでワクワクしてきたぞ
というかテロ仕掛られたっていう緊急事態でセイアとミカが動けないからナギサがやるしかないっていう、なんかもう感情とか信頼とか関係なしでどうしようもない事態なんだよね
まず物理的にナギサの代わりにまとめられる人が居ないと何言っても無理だから詰んでない? - 26二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 13:34:10
- 27◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 13:37:58
――――――
「みんなを集めて、話して……繋がって、そして理解する。トリニティとゲヘナの生徒たちが徐々に……。アリウスの憎しみがこもったユスティナ聖徒会が、トリニティとゲヘナに進撃してきている今。誰かに助けを求めて、求めあって……そうして少しずつ、寄り添おうとしている。そんな中、単身アリウススクワッドを防ごうとするアズサは……。古聖堂。楽園の名前が掲揚されながら、今は廃墟となったあの場所へ。アズサ、アリウススクワッド。そして先生もまた、そこへと向かう。しかし、先生。良き結末を迎えるためのタイムリミットは近いよ。君が手を伸ばさなければいけない存在はこんなにも多くいるのだから。助け合いからはみ出た存在もね。」
――――――
「……。」
「……。」
沈黙するアリウススクワッドの面々。
「アズサ……。」
怒りで顔を紅潮させながらアズサに向かって、サオリは告げる。
「よくも、よくも姫を……。絶対に許さない……!」
「私はサオリを止めてみせる。たとえサオリを刺し違えてでも。」
その言葉がさらにサオリの逆鱗に触れた。
「お前にそんなことができるか!私たちの怒りに、憎しみに、恨みに!耐えられるとでも思うのか!!」
「……私は、人殺しになる。」
双方が怒りに染まる。或いは、どちらも苦しみの中にいた。
サオリはミメシスを召喚し、叫ぶ。
「アズサぁっ!」
「……たとえもう、あの世界にもう戻れないとしても。」
一人のつぶやきが虚空に消えた。
- 28◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:10:02
どれだけの時間が経ったのだろうか。
「くっ……。」
「……何故だ、アズサ。何故そこまで足掻く。そこに何の意味がある?何を証明しようとしている?思い出せ、全ては――」
「……たとえ虚しくても、足掻くと決めた。」
「そこに、何の意味がある!!!」
さらに弾丸の雨がアズサを襲う。
「ぐっ……!!」
倒れ伏そうとするアズサを後ろから、少女が抱きとめる。
「……!?」
「……。」
「ヒフ、ミ……?」
突然の来訪者に、闘っていた者たちは驚く。
「増員、ですね……数は4、いえ、後ろにそれ以上……。」
「あれは……。」
補習授業部のメンバーたちが迷子の手を取りに来た。
「……なんだ、お前は?」
「普通の、トリニティの生徒です。」
「ヒフミ、ダメだ……どうしてこんなところに……。ここはヒフミみたいな、普通の人が来るべきところじゃ……。」
拒絶はもはや遠ざける方法にはならない。
「……。……はい、確かに私は普通で平凡です。先日見せてくれたガスマスクの姿が、本当のアズサちゃんなのだと。そのことも理解しました。そんなアズサちゃんは本当なら、私なんかには手の届かない世界に生きているのだと……そう言いたいのも分かりました。」
「ヒフミ……?」
「でも!!!アズサちゃんは一つ、大きな間違いをしています!!!」
大きく声を張り上げる。
「……!?」
「今ここで、私の本当の姿をお見せします!!!私の正体、それは……。」
マジックペンで数字が書かれた紙袋を被ると、叫ぶ。
「『覆面水着団』のリーダー、ファウストです!!」
- 29◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:14:52
「……え?」
思っていた斜め上の解答に困惑する。
「見てください、この恐ろしさ!アズサちゃんと並んだって、全然見劣りしないほど不気味でしょう!こっちの方が恐ろしくて怖いと言う人だっているはずです!」
「ひ、ヒフミ……?」
アリウススクワッドたちはその様子を見ながら沈黙する。
「……。」
「……!?」
「……。」
流石のアズサも困惑して、これに対して疑問を呈しようとする。
「ヒフミ、一体何を――」
「だからっ!!」
少し間をおいて、深呼吸をして告げる。
「だから私たちは、違う世界にいるなんてことはありません!」
「……。」
「同じです!隣にだっていられます!」
「だから世界が違うだなんて、一緒にいられないだなんて……そんなことを言わないでください!拒絶されても、すぐそばに行ってみせます!私は……!……私は、アズサちゃんのすぐそばにいます!こうやって、すぐ触れられるところに……!」
「ヒフミ……。でも、私のためにそんな嘘を言ってくれたところで……」
そう言いかけたとき。
「誰が嘘だって!?」
強く声が張り上げられ、数字が書かれた覆面姿の珍妙な格好をした者たちが現れる。
「いや~。なんだか大事なところみたいだね?」
「あの覆面、まさか……!?」
訳知り顔でハナコがつぶやく。
「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道が如く魔境を行く……。」
「ん、それが私たちのモットー。」
「普段はアイドルとして活動していますが、夜になると悪人を副業をしてるグループなんです♧」
「別にそれ私たちのモットーじゃないから!?あと変な設定つけないで!」
「覆面水着団のリーダーであるファウストさんのご命令で、集合しました!」
突然がやがやと、意味の分からないことを言い出す集団が現れた。
- 30◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:15:16
「……!?」
「え、えっ!?」
「じ、実在したんですね……?」
勿論、困惑している補習授業部。
「あいつらは……。」
「……分からない。詳細なデータは無し。」
「覆面水着団……噂に過ぎないと思っていましたが、本当にいたんですねえ……。」
「……リーダー、あいつらヘラヘラしてるけど注意した方が良さそう。少なくとも舐めてかかると痛い目に遭う。
「……。」
突然現れたイレギュラーに対し、困惑しつつも冷静に実力を測ろうとするアリウスたち。
「なーに、うちのリーダーを泣かせようとしてるのかな~?ねぇ、そこの君たち?どこの誰なのか知らないけど、知らないよ?うちのファウストさんは怒ると怖いんだから。」
「何せファウストちゃんは最終的に、カイザーコーポレーションの幹部を倒しちゃったようなものなんですよ♧」
「ブラックマーケットの銀行だって襲える。朝飯前みたいに。」
「それにこの間だって、カイザーPMCを砲撃で吹っ飛ばしたんだからね!」
「そうだよ、恐ろしいんだよ~?生きて動く災いといっても過言じゃないし、暗黒街を支配するボスみたいなものなんだから。」
「うん、それがファウスト。」
次々に事実を基にした過剰演出を加えた内容を吹聴する。
「「「「ファウスト!ファウスト!!ファウスト!!!」」」」
全員に茶化され、さすがに気恥ずかしくなったファウストは紙袋を脱いだ。
「……。」
「ああっ、ファウストちゃんが紙袋を脱いでしまいました!?」
「あ~、流石に恥ずかしかったのかなー……?」
「せ、せっかく乗ってあげたのに!」
「私は何も恥ずかしくないけど。」
「シロコ先輩も、堂々としてないで早く取って!」
「ん……。」
そうして全員覆面を脱いだ。
「ま、まあとにかく、あらためて……。対策委員会、今度はヒフミちゃんのことを助けに来ました!!」
「ありがとうございます。対策委員会のみなさん……。」
- 31◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:15:47
- 32◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:17:11
――――――
これより少し前のことだ。ヒナの部屋にやってきた先生はノックした後、入った。
「っ、先生……。無事だった、のね……良かった……。どうやってここを……?まあ、先生には今更か……。」
”ヒナ……。”
「私は……もう……。ごめん、先生……私には、もう無理。私はもうダメ……だから……ガッカリさせて、悪いのだけれど。今は、帰ってほしい……私はもう、引退したと思ってもらって……。」
”……ヒナ。違うよ、私はここに、お礼を言いに来た。”
「お、お礼……?どうして……。先生を助けに来たことについてなら、気にしなくて良い……。それは当然私がやるべきことで、それにあの時私は……。」
”ううん。いつも頑張ってくれてありがとうって。もう頑張りすぎなくっても良いって、早く言ってあげたかった。”
「……っ!」
”ヒナは、ずっと頑張ってたから。”
「……。」
”それを言いたかった。だから休んでて、あとは私が何とかする。”
「ま、待って、何とかって……。でも、私は……。私……。……。私は……小鳥遊ホシノみたいには、なれない……。」
”……ホシノ?”
「私はあのアビドスの副会長みたいな……強い人じゃない……。アビドスの生徒会長……その遺体を発見したのは、小鳥遊ホシノだった。すごく、ものすごく大切な人だったはずなのに……。あれだけの苦しみを味わっておきながら、彼女はまだアビドスで戦ってる……私には、そんなことできない……。私は、そこまで強くない……あの瞬間私は、もう……。」
”ヒナ……。”
「私だって頑張った!!いつも頑張って、どうにかしようとして……。分かってもらえなくても、それでも……。けど私は、大事なところで……。先生は、ズルい……私はあの瞬間、ダメで……なのに、そんなことを言って……。私だって、小鳥遊ホシノや補習授業部みたいに……。先生に構ってほしかった、褒められたかった!!」
先生の悪癖。助けを求める人を優先して助ける。それは、ある種助けを求めるまで、耐えれてしまう子に対してはひどく残酷ではあった。
- 33◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:17:22
- 34二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 14:24:38
これ、指揮系統的に直下の正実の最強戦力が非常事態なのに勝手に動いてるから、上司のティーパーティーは胃が痛いよな…
- 35◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:31:27
――――――
風紀委員長が戦場に現れた。
「委員長……!」
「……待たせてごめん、アコ。みんなも無事で良かった。」
「いえ……はいっ!!」
「準備はできてるわね。先生の指示を待とう。」
「包囲、されてしまいましたねぇ……。」
「これはちょっと厳しいんじゃない、リーダー?」
「知ったことか。無限に増殖する『ユスティナ聖徒会』の前には等しく無意味。……むしろ好都合だ。アズサだけでなく、この場の全員に知らせてやれ。この世界の真実を……殺意と憎しみに満ちたこの世界で、あらゆる努力は無駄なのだと。足掻こうと何の意味もない、全ては無駄なのだということを!!」
「……。」
ヒフミが先生の方を向いたため、先生は黙って頷く。
「ヒフミ……。」
「アズサちゃん、私は今すごく怒ってます。すっごくです。」
「……。」
「ですが……それ以上に、無事でよかったです。すっごく怒ってましたが、よく考えればそれはアズサちゃんのせいではありません。ですから、私はもう怒っていません。」
「ヒフミ……。」
「ですが、あの方々についてはまだ怒っています。殺意ですとか、憎しみですとか……それが、この世界の真実ですとか……それを強要して、全ては虚しいのだと言い続けていましたが……。それでも、私は……!」
- 36◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:35:19
声を振り絞る。戦場に響くように、誰よりも強く強く。
「アズサちゃんが人殺しになるのは嫌です……。そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!私には、好きなものがあります!平凡で、大した個性も無い私ですが……自分の好きなものについては、絶対に譲れません!友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰めあって……!苦しいことがあっても……誰しも最後は、笑顔になれるような!そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!」
空に光が差す。祝福の光が大地を満たす。
「誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!私たちの描くお話は、私たちで決めるんです!」
拳を握りしめ、宣言する。
「終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!」
空の雲が消え去る。
「私たちの物語……私たちの、青春の物語を!!」
あんなにも恐ろしい空が、美しく晴れやかで明るい青空に一変し、辺りは光を完全に取り戻した。
「あ、雨雲が……。」
「気象の操作……?いや、これは……。」
「き、奇跡、ですか……?」
「っ、奇跡なんて無い!何これ……!まさか、戒律が……?」
”ここに宣言する。私たちが新しいエデン条約機構。”
「なっ……!?」
思わず怒りで顔を赤く染めながらサオリは先生を睨みつける。
- 37◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 14:36:00
――――――
「まさか……、これはエデン条約……先生、君は……。元々は、連邦生徒会長が作るはずだった条約……。そしてその連邦生徒会長が設立した連邦捜査機関『シャーレ』……。まさか、『シャーレ』が連邦生徒会長を代行すると?いや、そう解釈できるように捻じ曲げた……?アリウスと、同じ……。条約の主体であるゲヘナ、トリニティ、正義実現委員会、そして風紀委員会が集まって……かつて古聖堂があった廃墟で……。条約の発起人である連邦生徒会長の代わりに、先生が……楽園の名を冠する条約を、再現した……?……。契約を曲解し、歪曲し、望み通りの結果を捏造する……『大人』のやり方には、『大人』のやり方で、か……。」
――――――
ユスティナの統制がおかしくなり、アリウスにとって戦場は混乱を極めた。
「ハッピーエンドだと!?ふざけるな!そんな言葉で、世界が変わるとでも!?それだけでこの憎しみが、不信の世界が変わるとでも言うつもりか!?何を夢のような話を……!」
”生徒たちの夢を……その実現を助けるのは、大人の義務だから。”
「……っ!」
”私は生徒たちが願う夢を信じて、それを支える。生徒たち自身が心から願う夢を。”
そうしてテロを収束させるための戦いが始まった。
――――――
「ETOとETOの衝突……楽園を信じる者と、否定する者たち……。……そうか。『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』。『YES』か『NO』かを強いられる、この暴力的で不可能な証明要求……。しかし、先生の答えは、『それにこたえる必要はない』……と。強引にどちらかを取るのではなく……信じることによって、証明される楽園……。……その発想はなかったよ。いや、むしろ楽園というものは、そうやってずっと私たちのそばに存在していた……。そう言っていたのかもしれないね?ひどい話だ……そのようなものは証明でも何でもない。しかし、先生。まだ勝負は終わっていない。そうだろう?証明はまだ終わってはいない。たとえこの戦いを勝とうと、君は一番の強大な敵である自分の生徒を相手どらないといけないのだから。」
- 38◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 15:02:46
――――――
古聖堂の地下までアリウススクワッドを追い詰めた結果、再びアズサとサオリとの闘いが行われる。
しかし、コンディションは最悪なうえ、武器であったミメシスがいなくなり、相手は協力する仲間が増えたことでサオリには厳しい状況が続き、敗北へと向かっていた。しかし、驚くべきはそのような状況でもアズサの圧勝には傾かなかったところであろう。
「う、くっ……!」
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
「アズ、サ……。」
”アズサ!”
「先生……。」
「……。私たちの負けだよ、アズサ。」
欠けたマスクをつけたまま、アツコは告げる。
「だ、ダメだ、姫!喋ると、彼女が――」
「大丈夫、もう全部終わりだから。」
「それにどちらにせよ、彼女は私を生かしておくつもりは無かったはず。だから、良いの。」
「……?」
「もうやめよう、サオリ。」
「……やめる?アリウスに帰るということか?帰ったところで私たちは殺されるだけ……。」
「だから、逃げよう一緒に。」
「いつからか持っていたこの憎しみは私たちのものじゃない。この憎しみを私たちは習った。それからずっと、私たちのものだと思いこんでいた。……アズサはきっと、それに気づいたんでしょう?アズサは色々なことを学び、様々な経験を得た……。良い大人に出会えたんだね、アズサ。そして、自分のいるべき場所を見つけた……。だから、サオリ。……逃げよう。」
「逃げるだなんて、そんな……。」
その時、地下全体を揺らす地響きが起こった。
- 39◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 15:03:20
「素晴らしい……。知性と品格、礼儀と信念、そして培ってきた経験と知恵……。やはり、そなたならば……。私の『崇高』を理解してくれるに違いない……!」
マエストロの傑作が姿を現し、それに先生は大人のカードを出さざるを得ない。
「おお、おおおおっ……!そうか、あれが例の『カード』……!人生を、時間を対価として得られる力……その根源も限界も、私たちですら把握できない不可解なもの……!!嗚呼、ゴルゴンダならあれをどう呼称しただろう……何か高次的な表現を教えてくれたのであろうか……。見せてくれたまえ、先生。そなたが払ってきた代価を……。そうして手に入れたものの輝きを……!私の作品に全力で答えてくれたまえ!」
先生は大人のカードを使い、ヒエロニムスを打ち倒した。
人知れず、双頭のデッサン人形は歓喜に打ちひしがれていたが、それはそれとしてことは進んだ。
そうして倒した後に地下聖堂を探したもののアリウスたちを見つけることはできないままに、先生は次の計画に移ることになった。
- 40◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 15:37:52
――――――
”ここに集まった人たちにはナギサの説得をしてほしいんだ。”
補習授業部や、サクラコ、ミネ、ツルギ、ミカ、フィリウス分派の幹部などの面々が先生によって集められた。
”ここにいるみんなのうち、知らない人もいるかもしれないから先に伝えておこうと思う。ナギサは、ちょっと前に首を吊っているのが見つかってからしばらくその療養を秘密裏にしていた。”
「!?」
「え、えっ!?」
この場でその事実を知らなかったのはコハルとヒフミだけであったため、その二人はひどく困惑して驚いた様子だった。とても信じられないだろう。ヒフミにいたってはかかわりがあった分受け入れるのが難しいのが当然だろう。
他のメンバーも知っていても、悲痛な面持ちを浮かべずにはいられなかった。ここにいるのはナギサのことを慕う、或いは親しく思う、大事に思っている人たちだけなのだから。
「……それについては、私も言いたいことがあります。」
そう、ハナコは告げた。
「私はその原因の一端を担っていると言えます。この場にいる全員より。」
全員の視線が一点に集まる。
「どういうことですか!?ハナコちゃん!?」
「そ、そうよ!ハナコ!あんたは別に何かできるほど関わっては……。」
- 41◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 15:38:07
「……ナギサさんがミカさんに襲撃される前に、襲撃した日。私たちは保護のためにナギサさんを先にさらうために襲いました。その際に、私は……。ナギサさんが補習授業部の、ヒフミちゃんやコハルちゃん、アズサちゃんをあわや退学に追い詰めようとしていたことを知って、怒りに身を任せて、ナギサさんの状況を知ろうとしないままに、補習授業部に入れたトリニティの裏切り者、エデン条約を破壊しようとするのが私だったのかと問うナギサ様にこう言いました。『私たちのリーダーからの伝言です。あはは……えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ』と。遺書などには書かれていませんでしたが、先ほど確認したところうなされていたときに関連する内容が含まれていたことから、私はこの場で一番この状況を招いた原因になったと言えます。……こんなことを言うのは、とても自分勝手なのは分かっています。ですが、ナギサさんがこのまま自分を犠牲にしてしまえば私は一生後悔すると思うんです。だから、どうか……皆さんには私の身勝手な贖罪を、ナギサさんを助けるのを手伝ってほしいんです。」
「ハナコちゃん……?」
「ヒフミちゃん、あとでそのことについてはいくらでも罰を受けます。今はナギサさんを助けてほしいんです。」
「わかった、ハナコ。ただ、勘違いするな。そもそも、このような状況に至ったのは私たちアリウスの行動のせいでもある。」
「私も同意する。お前が一番の原因かと言われれば、怪しいものがある。周りを見ろ、ここにいるのはナギサに対して後ろめたいものがある連中でもあるんだ。先生が何も知らない状態で引き留めた一部を除いて、今まで助けられなかった後ろめたさがあるんだ。誰が悪かったかの犯人捜しは結局、堂々巡りするだけだ。今は作戦を共有して、ナギサ様をどうにかするほうが先だろう。」
ツルギの一声によって、ざわついていた一同が収まる。
”ありがとう、ツルギ。一度、ナギサには眠ってもらう。そうしてから、病室でみんなには――”
そうして極めて単純で安直で、作戦と呼ぶのもおこがましいような作戦を伝えるとそれぞれ配置について、作戦の舞台へと突入した。
- 42二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:07:38
- 43二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:20:02
- 44二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:45:39
- 45二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:03:02
- 46二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:09:20
トラウマはここだけではないから……
- 47二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 19:00:00
- 48◆2rKpMml/3qqF25/03/09(日) 21:34:48
――――――
「すみません。紅茶がなくなったので新しい紅茶を入れてきてください。それとカフェイン錠も。」
「ナギサ様、そろそろ休むべきかと。」
「いえ、まだ大丈夫です。それよりも頼んだものを。」
「……分かりました。」
執務作業を進める、何かがおかしい。本来配置されている部隊から著しく場所が移動している……。送られてくるはずの定期連絡も少ない。本来、今の時間帯にはもっと来ているはずなのに。もしやこれは……。
ノックの音が鳴る。
「お紅茶の用意ができました。」
「入りなさい。」
「はい。」
そうしてカートに紅茶のポットとカップ、そしてそれには不似合いな錠剤が5粒ついてくる。救護騎士団に権限を使って取り寄せているこのカフェイン錠剤、本来なら、用量は1日3錠までだが、いまはこれくらいは摂取しないといけないだろう。あと数日だけ持てばいい。
紅茶を持ってきた従者に少し飲ませた後に自分のカップに紅茶を注ぎ、銀の匙に乗せた砂糖を入れてかき混ぜてからそれを飲む。温かいことは分かるが、味はよくわからなくなってきた。糖分は頭を回すために入れているだけだ。どのみち味なんてどうでもいい。カフェイン錠も紅茶で流し込む。
従者はそれを確認すると空のカートだけ持っていった。
それを確認しながら、件の書類を確認する。
「もしや、勝手に運用されている……?指揮を私の権限を無視して動かせるのは……先生はいけますね。ミカさんは多分そんなことをできないでしょうし、セイアさんは起きたわけでないのなら今は無理なはず。 ツルギさんや、ハスミさんが復帰していればそっちの指示に従うのでもいいでしょう。ただ、報告はしてもらわないと困りますね。確認してもらいましょうか。」