- 1二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:31:30
「先生! これは一体どういうことですか!?」
アリスの自慢げな報告を聞いたユウカは一体どういうことかとアリスを連れてシャーレの執務室へと駆け込んだ。
“えっ、唐突に何?”
「ユウカにアリス…?」
先生と本日の当番のトキが互いに手を止めて駆け込んできた二人に目を向ける。
といってもトキはほんの少し手を止めた後にまたお菓子を食べる作業を再開するのだった。
「トキ…シャーレの当番は自由時間じゃないのよ?」
「本日私が割り振られた分の業務は終了しました。後は自由にしてもいいと先生からも許可をいただいています」
“後はもう私一人で出来る量だから大丈夫だよ。ところでどうしたの?”
当番をサボっていたように見えたトキに気を取られて当初の目的をすっかり忘れていたユウカ、そうだったと思い出して先生へと問いかける。
「アリスが先生の娘になったと言ってたんですか一体どういうことですか?」 - 2二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 20:33:00
“喋っちゃったの…? しばらくは秘密にするってリオやヒマリとも決めてたのに…”
「すいません…アリスはつい嬉しくてユウカに話してしまいました」
「アリスが先生の娘…? それにリオ会長とヒマリ部長も関わってるのですか?」
軽く叱るような先生、それに罰の悪そうにしてるアリス。
それを見てユウカはこれは真実だと確信し、トキの方は驚きで今度こそお菓子を食べていた手が完全に止まった。
“ほら、アリスって今はヴェリタスの子たちが作ってくれた学籍しか身分がないでしょ? 在学中はそれでも何とかなるかもしれないけど、卒業したらそうもいかなくなる。先の将来を考えたらもっと確かな身元があった方がアリスためになるかなってリオやヒマリと相談して決めたんだ”
「それでアリスを養子に取ったと?」
「はい! アリスはこれから先生をパパと呼びます! パパ活です!」
“パパ活じゃないよ!? それにもうしばらく内緒にするから今まで通り先生って呼ぼうね? 大体アリスは何処からそういう知識を仕入れてくるの…?”
「ミドリが貸してくれた漫画に書いてました!」
後でミドリとは話をしないといけないと先生とユウカは互いに誓うのだった。 - 3二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:10:20
「とりあえず事情は分かりました。私もしばらく黙ってた方がいいですよね?」
“そうしてくれると助かるかな。トキも頼める?”
「はい、私の口はオリハルコンよりも硬いと自負しています」
果たしてその例えはどうなのだろうかとは思いながらもリオも関わっているのなら忠誠心の高いトキなら問題ないかと彼女を信じることにした。
「……父親だけでいいのでしょうか?」
“ユウカ?”
「アリスは父親だけでいいの? 母親も欲しいとは思わない?」
「アリスはよく分からないです」
“別に無理して母親も揃える必要はないんじゃないかな?”
「いいえ、出来れば両親は揃っていた方がいいわ」
「ユ、ユウカが何だか怖いです…」
何処か鬼気迫るようは勢いのユウカに対して先生とアリスは思わずたじろいでしまった。
その姿を冷静に見つめていたトキはふと言葉を漏らす。
「会長は母親について何かおっしゃっていませんでしたか?」
“リオ? ……何か言いかけてたけど、ヒマリと言い合いになって結局何でもないって話になったかな”
「それだけ分かれば十分です」 - 4二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:30:55
- 5二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:45:56
トキの理解力が高い
- 6二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:50:03
一体何が始まるんです?
- 7二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:51:07
大惨事正妻戦争だ
- 8二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:51:09
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- 9二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:53:13
アリスの母になれても先生の妻になれそうな女は(ミレニアムには)いないな……
- 10二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:55:33
セミナー所属のわた)ユウカさんなんてどうでしょう?
- 11二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:56:46
ミドリはなんでパパ活なんてものが詳しく描かれた本を持ってたんだ…?
- 12二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:57:51
正直ユウカの事はエッチな目で見てるけど、なんだかんだでちゃんと年下で子ども要素をちゃんと出してくれてるからなぁ
- 13二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:02:49
ミレニアムで子供の面倒なら安牌は チヒロ ユウカ ノア 意外にもエンジニア部だと思う。他は?うんまぁ察してくれ。
- 14二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:04:01
育てるならともかく一時的な預かりとしてはゲ開もヴェリタスも悪くないから……
- 15二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:05:46
ノアでいけ
- 16二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:07:45
- 17二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:09:55
- 18二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:10:35
ネルパイとアカネあたりも適正は高いとおもう
- 19二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:12:47
ネルめっちゃ母ちゃん!って感じする
男子中学生の息子がいてもおかしくない - 20二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 06:37:30
母親適正高い娘ほどなんか忙しそうで構ってあげられない気がする
- 21二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 06:40:36
- 22二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 06:43:20
あれを理解出来る生徒はいないだろ
- 23125/03/09(日) 08:17:59
“アリスの母親ってことはつまり、その人は私の奥さんになるわけで……そして私には恋人すらいないからすぐには無理だよ”
仕事が忙しくて婚活なんてする暇もないしね、と少し寂しそうに先生が言うのをユウカは見逃さなかった。
「で、でしたらその…ですね…先生やアリスとそれなりに長い付き合いがあって、ある程度資産があって、尚且つ若い女性がいるんですよ」
“(……そんな都合のいい相手なんていたかな?)”
記憶の中を必死になって探り、それに該当しそうな相手に目星をつけようとしたが、それらしい相手には思い至らなかった。
そもそも彼はキヴォトスに来てから生徒以外の女性とあまり関わったことがないのだから仕方ない。
「そ、その…私とか…」
「でしたらこのパーフェクトメイドのトキが先生のメイド兼アリスの母親になりましょう」
ユウカの言葉を押しのけるかのようなトキの立候補。
彼女もまさかここでトキに割り込まれるとは思っていなかったのか、固まってしまい二の句が告げない。
中々計算通り、完璧〜♪とはならないのが他人の心というものだった。
“……いやダメだよ、気持ちは嬉しいけどトキはまだ16歳なんだよ? 留年してるとはいってもアリスと同学年なんだよ?”
「むぅ」
膨れっ面の彼女には悪いが、世話係とかならまだしも形だけとはいえ母親になるには若過ぎるだろう。
アリスが大好きだからといってその歳でいきなり一児の母になるのは色々と拙いというのが先生の見解だ。 - 24125/03/09(日) 08:24:02
「そういえば、アリスって何歳なんでしょうか? ケイに聞いたら分かるんでしょうか?」
アリスのふとした疑問に答えられるものはいなかった。
果たしてそれは無名の司祭たちに製造されてからの年数で考えるのか、それともTCSやって天童アリスとなってからの年月で考えるのか。
以前のケイであれば迷わず前者だろうが、現在の彼女ではどちらを選べばいいか判断に困ってしまうかもしれない。
どちらにせよ15歳ではないのは明らかではあるのだが。
「それでユウカは何言いかけたの?」
「えっ、それは…」
「ふふっ、ユウカちゃんもアリスちゃんのお母さんに立候補したかったんですよ」
新たなる参入者に一同は目を見開く。
ユウカと同じセミナーの生塩ノアがいつの間にかそこにいた。
「ノア!? どうしてここに?」
“いつからいたの…?”
「ユウカちゃんの質問には『ユウカちゃんが血相変えてアリスちゃんを連れて何処かに行こうとしていたので気になったから』、先生の質問には『ユウカちゃんがお菓子を食べてるトキさんを咎めていた辺りから』と答えましょうか」
つまり彼女はこのほぼほぼ現状を把握していた。
「えっと、ユウカ……ノアの言ってることは?」
「はい、私もアリスの母親に立候補したかったです…」
羞恥に堪えて全身を震わせ若干涙を浮かべながらも本心を半分露わにするユウカにノアは可愛いと思いつつも、もう半分の本心も露わにした方が先生に伝わり易いのではと若干呆れてしまう。
もうそんなんだったらごめんなさいユウカちゃんしてしまうぞと。 - 25二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 11:14:10
ごめんなさいユウカちゃんしてしまう とは
そこのところ詳しく!!!! - 26125/03/09(日) 15:25:46
「でしたら私もアリスちゃんのお母さんに立候補しましょう」
“……アリスは皆から愛されてるね”
「はい! アリスは嬉しいです! アリスも皆が大好きです!」
クソボケ先生も純粋なアリスも16歳トリオの水面下で火花を散らす争いに気がつくことはない、ただ先生の方は話が妙な方向にシフトして行ってることに危機感を抱いていた。
やはり学生の皆の将来を狭めるようなことはしたくないと。
「それでアリスちゃんは誰がお母さんになって欲しいですか?」
「えっ、えーっと……」
ノアの質問に対してアリスは考え込んでしまった。
「先生、アリスのお母さんは一人じゃないとダメなんですか?」
“どういうことかな?”
「アリスは皆が大好きです。皆がいたからアリスは今ここにいます。そんな皆から一人だけしか選べないのは寂しいです」
各々の考えで動いていた四人はアリスの言葉にハッと目が覚める思いだった。
四人ともアリス自身の気持ちを考えず、特にユウカ、トキ、ノアは半分は私欲でアリスの母親になろうとしていたこともあって自分たちの行動を深く反省した。
そしてそれを盗聴していたコタマはアリスの純粋な気持ちに涙を流してチヒロたちに心配されいた。 - 27二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 15:28:33
まあガチで身寄りの無い後輩をダシに意中の男への下心を混ぜたりしてたらね…
- 28二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:11:43
コタマが相変わらず盗聴してて草
- 29二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:16:14
かぐや様は告らせたいで主人公の父親がたまには父親らしい事もしないとなって言った後その事をパパ活って呼んでたからそれじゃないかなーと
- 30二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:03:05
“ごめんね、もっとアリスのことを考えるべきだった”
「そうよね、アリスの気持ちが最優先よね」
「……気軽に母親になろうというのは流石に考えなしの行動でした」
「私も少し悪ノリが過ぎていたと反省します」
「何故皆はアリスに謝っているのですか?」
アリスは四人からの謝罪に戸惑っていた。
彼女が何故謝られたのかを理解するのにはもっと年月がかかるのかもしれない。
“じゃあ、アリス。改めて聞くけど君はどうしたい?”
「さっきも言いましたけど、アリスにはよく分かりません。でも、誰か一人だけにお母さんになってもらうよりも皆にお母さんになってもらいたいです! 皆いつか卒業して離れ離れになってしまうかもしれませんけど、家族になったらずっと一緒にいられます!」
今のアリスに必要だったものは確かな身元だけではない。
もっと深い、卒業しても繋がり続けられるための家族という形だった。 - 31二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:04:21
“ははっ、だったら秘密にしておくっていうのは無しにするべきかな?”
「そうですね、秘密にしてたら家族になれませんから」
「アリス、その家族にはリオ会長やネル先輩たちも入っていますか?」
「勿論です!」
「なんだか嬉しいですね。心が暖かくなるといいますか」
先程までの女の争いは何処へやら。
子は鎹などという言葉があるが、アリスは正しく皆を繋ぎ止めてくれる存在なのかもしれない。
その後、先生たちはアリスの希望を叶えるべくアリスと関わったミレニアムの生徒たちにアリスが先生の養子になった件やアリスの想いを話して回ることにした。
嬉しいことに皆がアリスの味方として付いてくれる。
━━━後にそれがミレニアムの外に漏れて一波乱あるのだが、それはまた別のお話。 - 32二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:05:32
“アリス、良かったね”
「全く、私が検査で不在の時に勝手なことを…」
ケイも自分がいない時に話を進めたことには怒っているものの、アリスに新しい家族が出来ることに反対はしなかった。
「ケイはお母さんというより妹ですね」
「わ、私はアリスの従者で…」
“いいじゃないか、妹でもアリスのことを手助け出来るよ?”
「……それなら妹でもいいです」
「先生!」
“なんだいアリス?”
「アリスは皆が大好きです!」
〜fin~ - 33二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:14:33
おまけ
珍しくリオに用があったヒマリは彼女の執務室に行くとそこに誰かが啜り泣く音が。
何事かと思い覗いて見ると━━。
「あら、泣いているのですかリオ?」
「ッ!? な…泣いてなんていないわ…」
「目が真っ赤ですよ?」
「……目にゴミが入っただけよ」
普段の理知的な二人からは想像も出来ないような子どものようなやり取り。
「アリスのことですか?」
図星だったのか、リオは少し目線を逸らした。
本当に大きな妹のようだ。
「全く、アリスの家族になるのでしたらもっとしっかりしなさい」
「……私はキヴォトスを守るためにアリスを破壊しようとしたわ。なのに、私と家族になりたいって…私にそんな資格なんて…」
「まだそんなこと言ってるのですか! もうその話は終わったでしょう!?」
もうアリスとの和解はとっくに済んでる筈なのに、過去のことをほじくり返してネチネチと、本当にこの女は面倒だなとヒマリは心底思う。 - 34二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:15:39
「資格云々は置いておいて、アリスと家族になるのは嫌ですか?」
「アリスを守るためなら…いえ、そういうことじゃないのよね?」
「そうですね、あなたの大好きな合理性とは真逆の感情で話してもらえます?」
「……嬉しかったわ。他の色々なことを差し引いても」
意外だったと言わんばかりにヒマリは目を丸くする。
頭の硬い合理性バカの女が素直に感情を出したのだ
「ならそれでいいでしょうに」
「いいの?」
「いいんですよ。これからアリスとは長い付き合いになるんですから」
私たちもね、とまでは小っ恥ずかしくて言えないヒマリだった。 - 35二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 17:23:02
わっp…いやハッピーエンドだな。
- 36二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:20:00
素直じゃないのはヒマリもやん
- 37二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:41:01
ほっこりできた これで今日も頑張れる