- 1125/03/10(月) 00:12:20
- 2125/03/10(月) 00:13:50
初代スレ
ここだけ病弱コハル|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す季節の変わり目でも風邪で熱を出す筋肉つかないし体力もほとんどないので前線張るのはムリ日焼けで黒くなるんじゃなくて赤くなるくらい肌も弱いそれでも憧れは止められないので正実には入るし…bbs.animanch.comその2
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- 3125/03/10(月) 00:14:49
【注意事項】
・原作批判、またはそれに繋がりかねないレスはお控えください。原作シナリオに言いたいことがある場合は別スレたててね!
・所詮二次創作であり落書きです。内容を間に受けないでください。展開に多少の粗があっても大目に見てね! - 4125/03/10(月) 00:20:13
ひぃんお待たせしてごめんね、筆が死ぬほど重くてこんな時間になっちゃったよー
初見の人はちんぷんかんぷんだと思うから、興味があったら過去スレ追ってみてねーではいくよー
【Caution】
今回名無しのキャラがちょっと酷い目に合うよー
自身の職務を果たそうとしただけなんだけどね……流石に相手が悪かったねー
そういうの苦手な人は「あ、これ駄目だわ」と思ったらブラウザバックしてねー - 5125/03/10(月) 00:21:53
――その日、トリニティは朝からある噂で持ちきりだった。通学路で、教室で、部室で。およそ人が集まるところでは、ざわめきが絶えることはなかった。それだけセンセーショナルな話だったのだ。
「ねぇ、知ってる? あの話――」
「掲示板に載ってたやつでしょ? テストの内容変更。 会場にゲヘナを選ぶなんて、ティーパーティーも強気だよね〜」
「なんかさ……テスト受けに行った子たち、まだ帰ってきてないらしいよ」
「え、マジ? なんかあったのかな。ゲヘナだし、何が起きてもおかしくないよね」
ざわざわざわ。
トリニティにて、こういった噂話が出回るのは早い。昨夜に発表されたこの突然の……そして異例の変更は、翌朝にはもうトリニティ生の大半が知る事実となっていた。
しかし、彼女たちにとっては、この話は「可哀想だね……」で終わるだけの話で、それ以外の何物でもなかった。成績の悪い者たちが、テストを受けにゲヘナに行かされる羽目になった。それだけ。その者たちが帰ってきていないという話も出回っているが、まあ何かあったんだろうなで終わっていた。皆頑丈なキヴォトス人、大抵なにかあっても死ぬことはない上、所詮は赤の他人。大半のトリニティ生にとって対岸の火事でしかなかったのである。この噂も、センセーショナルではあるが、今日のお昼ごろには語り尽くされて収束する程度のものであった。 - 6125/03/10(月) 00:23:02
それが一変したのは、少し経ってから。とある匿名アカウントによる、モモッターへの1件の写真付き投稿だった。
『温泉開発部がゲヘナ中央部をふっ飛ばしたらしい。なんか戦場跡地みたいになってんだけどwww風紀委員も昨日の夜から今までてんやわんやだしwww15エリアの77番街とかもうひでぇ有様www』
――この投稿に対し、とあるトリニティ生が引用リプライを送ったのだ。『ここ、補習授業部の試験会場じゃない?』と。
あーこれに巻き込まれたのか、そりゃ帰ってこれないよねーというのほほんとした反応が大半を示す中、一部からとあるコメントが書かれた。
『補習授業部って、確か体の具合が悪い子混ざってなかった?』『正義実現委員のあの子、補習授業部に入れられてた気がする』『あの子帰ってきてる?』『てか流石に行ってないよね、ゲヘナだもんね』『いくらなんでも行かないだろwww……あれ、じゃあティーパーティーはなんでゲヘナを会場指定したんだろ』
『友達が騒いでたんだけどさ、今連絡つかないらしいよ、その子』『…………それ不味くね?』
ここに来て、鎮静化していた噂話に一気に火がついた。正義実現委員会の体が悪い子が、直前になっての試験会場変更でゲヘナに向かい、そのまま消息不明。……あれ、これ流石に不味いのでは? と。センセーショナルを飛び越えて過熱した噂は、トリニティ中を席巻した。
そしてこの話は、最初から対岸の火事では居られなかった者たちにとって、直接動き出すには十分な理由となったのである。 - 7125/03/10(月) 00:23:59
「――会えないってどういうことよっ!!?」
たった今、ティーパーティーがいるとされるテラス、そこに通じる扉の前で押し問答を繰り広げている少女たちも、その一部であった。
「さっきから言っているでしょう! この先はティーパーティー代表の方々がおわす場所、由緒正しき者しか入ることを許されません!」
「何が"由緒正しき"〜、よ! その由緒正しいアンタラのトップが、こんな巫山戯たこと仕出かしたんでしょうが!!」
扉の警備、門番として立っていた、ティーパーティー所属の生徒。それに噛みつくような勢いで気炎を吐く、金髪で小柄の「ちっちゃいって言うな!」……少々可愛らしい背丈の生徒。その後ろには、喧騒をそっちのけに自身の携帯をのぞき続けるの少女と、隣で一緒になって画面を見ている黒髪獣人の少女がいる。更にその脇に、パックのイチゴ牛乳に突き刺したストローを口に加えつつ、黙って様子を見守る少女もいた。
彼女たち4人こそ、トリニティの部活の一つ、放課後スイーツ部。今朝の噂を知り、掲示板の告知を知って対岸の火事では居られなかった者たちであり、友人の危機に立ち上がった者たちでもある。
「テストの直前、それも夜中に突然あんな改定をして、しかも会場がゲヘナですって!? どんな頭してたらそんなイカれたことできるのよ!!」
「イカれたとはなんて失礼なことを! ナギサ様は普段のご多忙もさることながら、エデン条約を控えて更にお心を砕かれているんですよ!? この改定も、きっと必要なことだったのです!」
「そのためならアタシの友達が死んでもいいっていうの!? 知ってんのよ、アンタラが指定した会場、温泉開発部が爆破したって! ……朝からあの子と連絡がつかないの! きっと何かあったのよ……連絡も取れなくなるような何かが……っ、この件を仕組んだ本人なら、桐藤ナギサなら何か知ってんでしょ!? 会わせなさいよ!!」
「それは……っ、できません! ナギサ様はこのトリニティのトップ、その上今とてもお忙しいのです、どこの馬の骨ともわからぬ方とアポもなしでお会いすることはありません! 私の目が黒いうちは、ここを通すことはありませんよ!」
「! この……! ふざけんな!!」 - 8125/03/10(月) 00:24:55
「――ヨシミ、ストップ」
門番に掴みかかろうとした金髪の少女――ヨシミを、横で見ていた少女――ナツが、ストローから口を離し、片手で制した。肩で息をするヨシミを遠ざけるように間に割って入り、門番を見つめる。その視線は、どこか冷たい。
「……なんですか、いい加減にしないと正義実現委員会を呼びますよ」
「ヨシミの非礼を詫びよう、申し訳なかったね。――ところで貴方は砂糖って知ってる?」
「……は?」
唐突な質問に、門番が凍り付く。何を言ってるんだコイツは、という表情に一切ひるむことなく、ナツは言葉を重ねた。
「お砂糖だよ、お砂糖。クッキー、スコーン、マフィンにペストリー(※ケーキ)……アフタヌーンティーの伝統があるティーパーティー所属の生徒なら、とても馴染み深いスイーツたち。それらの原材料に欠かせない、お砂糖。最近は無添加を謳う物も増えたけど……防腐作用の兼ね合いもあるし、やっぱり砂糖を使うものが定番だよね。……違う?」
「……ち、違いませんが……それが、なんだというのですか?」
「……そんな、貴方にとって馴染み深いスイーツたち。その原材料である砂糖……今回の被害者である私たちの友人は、私たちにとっては砂糖も同然の存在なのだよ。決して主体になるわけではなく、なんなら取り除かれることすらある。それでも、大多数のスイーツに使われて、味を整え、甘みを与え、腐敗すら防止する。当たり前のように存在する、いわばスイーツたちにとっての空気……」
バンッ! とナツはその手を門番の顔のすぐ横に叩きつけた。一部の乙女にとって憧れのシチュエーション、壁ドン……しかし何故だろう、門番は今別の意味でトキメキを感じていた、主に身の危険という意味で。 - 9125/03/10(月) 00:25:41
「そんな砂糖が、行方不明になってしまったんだ……これは由々しき事態、早急に取り戻さなければならない。貴方も、砂糖のないお茶請けは嫌だろう? 故にこうして、私たちは此処に来た。すべての糸口を握っているだろう、桐藤ナギサ"様"にお会いしに。アポ無しなのは申し訳ないけれど、最早そんなことを言っている場合ではなくてね。あの子の状態を考えれば尚更に。――さあ、どうかナギサ"様"に会わせてくれないだろうか?」
敬称を強調しつつ、独特な理論でもって門番に迫るナツ。オブラートに包まれてこそいるが……常の彼女らしからぬ、攻撃的な雰囲気。
それに飲まれかけた門番は、ブンブンと首を振って気を取り直すと、ナツを押しやって離れさせた。
「だ、だから! 何を言っても無駄です! お会いになることはないと言っているでしょう!」
「……石頭が。……アイリ、どう? 連絡はついた?」
話を振られたアイリは、目の前のやり取りも目に入らないとばかりに弄っていた携帯を、力なく握りしめた。
「……ダメ、繋がらない……不在着信ばっかりで……きっと何かあったんだ……どうしよう、コハルちゃんが……」
「〜〜ッ、なんでよ……! なんでコハルがこんな目に遭わなきゃいけないのよぉ……!」
目に涙を貯め始めたアイリを見て、不安が頂点に達したのか、ヨシミが世の不条理を嘆き出す。それをずっと黙って見ていた、最後の一人がついに動いた。 - 10125/03/10(月) 00:27:34
「……ナツ。――もう、いいでしょ?」
「……うん、仕方ないね。これだけ言葉を尽くしても、にべもなかったのだから。――となれば、最早取れる手は一つ」
「やっぱり時間の無駄だった。だから言ったじゃん、この方が手っ取り早いって……」
「な、何を……」
門番の狼狽える声に、黒髪の獣人……カズサは言葉ではなく、銃口で応えた。彼女の愛銃、マビノギオン――ブレン軽機関銃が、門番に突きつけられる。
「死ぬほど痛い目見たくなければ、今すぐ桐藤ナギサを連れてきて。――説明責任くらい、果たすべきじゃない?」
「な、なんて野蛮な! 言葉でダメなら暴力などと……淑女としてありえません!」
「生憎淑女とは縁遠くてね……言っておくけど、今過去最高に苛ついてるから。死にたくなかったら早く連れてきなよ。それか、私たちを桐藤ナギサのところまで案内するか。さあ、どっち?」
その目は本気だった。瞬きが一切なく、見開かれた目は黒目だけが細く鋭く絞られている。特徴的な猫耳も、ピンと外側に向けて張っていた。獣人、それも猫科の獣人によく見られる威嚇行動。標的を絞った証。本気で対象に敵意を向けている証明でもある。
「……どうやら気狂いの類のようですね。ここは高貴なるティーパーティーの方々がおわす場所、警備は私以外にもいるのですよ。……! ほら、噂をすれば!」
喜色満面でスイーツ部の背後を指し示す門番。それに合わせて振り返ると、その先には、とても特徴的な姿をした人物がこちらに向かってくるのが見えた。
「……黒い制服……正義実現委員会……」
「あ、あの大きな人は……もしかして、羽川ハスミさん?」
「羽川ハスミって……正実の副委員長じゃない! よくコハルが話してた!」
トリニティの生徒の中でも一際大きな体格。それに見合った大きな翼。正義実現委員会の証たる黒い制服に身を包んだ少女は、ゆっくりとこちらに向けて歩みを進めてくる。 - 11125/03/10(月) 00:28:34
「運がありませんでしたね、貴方方。この狼藉は、しっかりと報告させていただきます。――ハスミ副委員長、こちらに!」
「ちょ、ちょっとナツ! どうすんのよ、正実の副委員長がいるなんて……」
「……んー」
ヨシミに縋られるナツ。その目は、訝しげにハスミを見ていた。
「……事情が事情だし、たぶん話せば分かってくれると思うけど……なんか、様子がおかしいような……?」
首を傾げるナツを尻目に、その巨躯はドンドンと近づいてきて……やがて、スイーツ部と門番の前で立ち止まった。その目元は、陰になってよく見えない。
「ハスミ副委員長、聞いてください! この方々、アポイントメントもなしにナギサ様に「……ですか」……はい?」
門番が饒舌に話しだしたのを遮るかのように、ハスミが何かを口にした。それと同時、突然カズサがヨシミとアイリを抱えて大きく後ろに下がった。
「わ、カズサちゃん!?」
「ちょ、いきなり何すんのよカズサ! ……カズサ?」
カズサは応えない。否、応えられなかった。
その目は、先ほどまでの攻撃的な様相が嘘のように、恐怖に彩られていた。まるで、天敵と偶然遭遇してしまった獣の如く。
自発的に退避してきたナツが、その隣で盾に手をかけながら呟く。
「……本能的に逃げたくなったんでしょ。わかるよ、獣人じゃない私でも。だって今のハスミさんは間違いなく――」
――すんごい怒ってるから。
困惑する門番。その顔に、7.62ミリの銃口が真正面から突きつけられた。 - 12125/03/10(月) 00:29:38
一般生徒は立ち入りを禁じられている、ティーパーティーのテラス。そこへと繋がる門が、突如吹き飛ばされた。
木くずが飛び散り、門だった残骸が一帯に散らばる。それと共に、まともに銃弾を食らった門番もまた、同じように床に叩きつけられていた。肺から空気がすべて抜け、息が詰まる。
「う……ぐ、ゲホッゲホッ! ……ハ、ハスミ副委員長……どうして……グェッ!?」
ズンッ! と、勢いよく門番の胸が踏みつけられる。同時に、再びM1917エンフィールドの銃口が向けられた。
「――もう一度だけ聞きます。桐藤ナギサは、何処ですか?」
余計な感情を全てそぎ落としたかのような冷たい瞳が、哀れな門番の少女を見つめていた。 - 13125/03/10(月) 00:30:35
夢なら覚めて欲しかった。
受け入れたくなかった。信じたくなかった。
それでも、現実は変わらなかった。
朝から流れる噂の数々。動揺する後輩たち。呆然とするマシロ。荒れるイチカ。こんな時に限ってツルギは連絡がつかず、否定しようにも、掲示板に載っている試験内容の変更や、ネットに流れる温泉開発部の蛮行は、覆せぬ状況証拠となって私に突きつけられていた。
そして、連絡のつかない、大切な……愛おしい後輩。いくつも送った彼女へのメッセージに、一切の反応はなく。それこそが、彼女に何かが起きたことを如実に示していた。
……これが。これが、お前のやり方なのか。虚弱なあの子を強引に補習授業に放り込んで、試験直前になって強引にゲヘナに向かわせて……そして……
これが、正義だと言うつもりなのか。ティーパーティーにとっては、これが正義だと。……なら私達は、今まで、何のために。何をしてきたというのか。何を守ってきたというのか。
――話を。話を聞こう。聞きに行かなければ。桐藤ナギサから全てを。この意味不明な試験の変更も、あの子の安否も。それが……それが、納得できるものでなければ……私は……
私は、生涯あの女を赦さない。 - 14125/03/10(月) 00:35:06
今回はここまで。ホントはこの先の展開まで書き切るつもりだったんだけど、この1週間残業まみれで忙しかったのと展開的に筆が重くてこの有様……
あと最近野生に帰って狩猟生活してるのもあゲフンゲフン。
そんなこんなで次回はまた遅くなりそうだよー
ちなコハルが目覚めるのはまだ先だけど、どっかの鬼がかってる青髪メイドみたく起きないわけじゃないからそこは安心していいよー - 15二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:35:48
原作では正実は蚊帳の外にされてた分こっちは台風になっちゃった……
正実によるティーパーティー降ろしのクーデターとか誰が止めるんだよ! 誰が見張りを見張るんだよ! - 16二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:42:26
正実で止めれそうなツルギがいなくて、ツルギ以外に止めれそうなイチカが荒れてるからだれも止める人間がいねぇ
たぶんツルギにはウイ先輩が情報流してるんだと思うけど - 17二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:51:04
茶会モブ「許可の無い者を通すわけにはいかない」
カズサ「キョカノナイモノヲトオスワケニハwwイッヒッヒwwおーい怒るこたないだろ~」
どうしてもこの手の問答はイレイザーが頭をよぎってしまう - 18二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 01:02:20
コハルの愛され具合を見てるとどうしても北欧神話のバルドルを連想してしまう
- 19二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 01:09:04
小さくてか弱いのに正義感が強くて優しくて頭がいい子
こんなの守護りたくなるに決まってる、生徒たちって思春期の女子だもの - 20二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 01:38:55
始まったか、トリニティ動乱が…
- 21二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 07:32:07
もしかしてこのコハルA Trekkie's Taleの神秘を歪んだ形で獲得した感じ?
- 22二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 07:56:18
もしかして茶会モブ、補習授業部が帰ってきてないと分かってても何処の誰が居たのか知らないのか?
それこそ最初の反応みたいにまぁ、心配ないやろって感じに
流石に正義実現委員会の身体が弱い子が帰ってきてないとなったら正義実現委員会の副委員長に少しは警戒覚えたと思うんだ……真面目だったばかりに - 23二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 08:01:37
門番です…
誰も通さないよう言われてたので無理に通ろうとする生徒を止めてたら正義実現委員会の委員長にしこたま銃弾撃ち込まれて尋問されたとです
…門番です…門番です…門番です… - 24125/03/10(月) 10:40:26
A Trekkie's Taleってなんぞやと思って調べてみたら……ああ、うん……いつかは言われると思ってたよー、メアリー・スー……
確かにそう言われたら、いやもう全くもって……おっしゃる通りです……! としか返せないよーひぃん
ただこの話を書くにあたって、原作では影も形もなかったキャラたちを書きたい! という気持ちがあって、彼女たちにフォーカスを当てるためにコハルの交友関係を広げたっていうのがあるから、ぶっちゃけ半分以上作者のエゴだよー
どいつもこいつも重たいのは、その方が物語が面白くなると思ったからだよーやっぱり作者のエゴだよー
ただ忘れないでほしいのは、この話はあくまでも単なる二次創作と銘打った落書きであって、なんの影響力もないこと。ぶっちゃけ気に入らなければすっぱり忘れて原作読んだほうが万倍いいと思うよーそのほうが人生楽しいよー
おまけに遅筆だしね、本当暇で時間をなげうっていい人だけ読めばいいと思うよーそんな奇特な人が1人でもいてくれたら嬉しいよー
以上釈明終わり。以後この手のレスには反応しないのでそのつもりでいてねー荒れるようならそれなりの対応は取ると言っておくよー
ちなみに疑問に答えると、そんな神秘ではございません
- 25二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 10:43:29
門番ちゃん真面目に仕事してたのにカワイソス。まぁ正実の子が行方不明なのとその件で副委員長が狼藉かます程ブチ切れてたのを想像できなかったのが悪いが。
- 26二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 12:14:18
第三者の介入があるっぽいしナギサも身内相手でも情報漏らしたりしないだろうし、茶会モブは一般人が知れる範囲のことしか知らないのかもしれない
- 27二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 16:10:34
- 28二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 16:15:26
マシロは美食研の頃からずっと本調子が出ない出てない雰囲気ありますね。
全てが終わって夏のイベントで復活してくれればいいけれど。
(そもそも、こんな波乱万丈の後に海に行こうという雰囲気になれるかという諸説もありますが) - 29二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:03:10
コハルの人脈って正義実現委員会、補習授業部、放課後スイーツ部、トリニティ自警団、シスターフッド、救護騎士団、図書委員会、美食研究会、ゲーム開発部だっけか、エグ
- 30二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:13:11
友達が一杯居てもろくに一緒に遊べないんですけどね!
世界は狂ってる - 31二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:32:12
- 32二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:35:17
- 33二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:55:25
- 34二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 20:04:01
- 35二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 00:17:16
- 36二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 08:11:36
- 37二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 08:15:09
水着ミメシスがそっと渡してきたキャンディー
それは某魔法学校の校長の好物でお馴染みのレモンキャンディーだった
レモンは健康に良いからね - 38二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 16:00:22
- 39二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 16:30:52
コハルの水着、原作と同じでも良いけど、病弱故に違ったりしても良いな。
原作のビキニスタイルじゃなくて、肉の少なさを隠すために布面積多めのワンピースタイプの水着で、身体を冷やしたり体調崩したりしないように羽織り物を上から着てたり、直射日光をふせぐために日傘を差してたり、砂で火傷しないようにサンダルを履いてたりしてほしい。
メモロビとかは、コハルがちょっと疲れて木陰で休んでたところ、先生が見つけて「すわコハルが倒れたのか」と驚愕して寄り添ったら勘違いだってことに気づいて、そのことをコハルにからかわれたりしててほしい。 - 40二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 19:15:39
狩猟生活・・・。
あーあいつかぁ・・・(遠い目) - 41二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 19:27:34
じゃあ通常衣装のメモロビはパジャマ姿で病室のベッドから上半身を起こしてるコハルとか?
- 42125/03/11(火) 20:35:04
- 43二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 20:46:47
- 44二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 00:57:32
⭐︎
- 45二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 01:43:15
コハル、EXPOに行けるとしたら正実全員がコハルの護衛になるだろうな…コハルの楽しみを邪魔する奴はサーチ&デストロイぐらいの心意気で
そしてセイアはEXPOが中止になったらナギサに殺されるぐらいの心意気
セイアが心配もあるがコハルと一緒に行動出来るチャンスを逃したくなかったナギサ
セイアがEXPOになった時は夢に出そうな表情(血涙流し歯ぎしりレベル)で言うんだ
「もし、万が一コハルさんが泣く事になったとしましょう………私は下手人とセイアさんを葬った後に自刃します」
それに対してミカが言うんだ
「葬ったら駄目だよナギちゃん……そうしたらそこで終わるじゃんそんな事する奴は終わらせたら駄目」
セイアは言うんだ
「想いが重い」 - 46二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 02:02:05
むしろセイアにも原作以上に過保護になるかも知れない
- 47二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 02:03:37
コハルを膝下から離すのが怖いのか、ちゃんと信じて送り出してあげるべきなのかと苦悩しまくるナギちゃんよォ……
- 48二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 08:12:30
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- 49二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 08:14:12
ゲーム開発部と知り合いだから、EXPOでゲーム開発部のブース周辺にいそうだけど……
コハル、あそこで起きた乱闘に巻き込まれそう。 - 50二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 08:50:23
- 51二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 10:51:38
そういった知識は救護騎士団よりあるだろうから、より効果的で無理なく行えるトレーニング案出してくれそう。
- 52二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 11:02:25
コハルが乱闘騒ぎに巻き込まれたとか聞いたらナギちゃん胃が口から出ちゃう
……そういう心配も考慮してツルギと「何もトラブルは起きなかった。万事平穏」と口裏併せするわるわるフォックス?
病院のリハビリぐらい最初は軽めのトレーニングから手ほどきしそうだよねスミレは
「あなたといずれ42.195kmを並走できる日を楽しみにしています」とか本気で言ってそうだけど - 53二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 19:31:35
コハルの保護者ってハスミで合ってる?
- 54二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 01:04:51
ほ
- 55二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 01:36:42
- 56二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 08:45:12
保守
- 57二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 10:40:19
- 58二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 12:28:03
それどころかみんなの体操も怪しいかもしれない
- 59二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 16:00:59
なんとなくEXPO行ったらセイアに護衛が付いたように、コハルにも1人ぐらいC&Cが付いたりしてそう。
ゲ開と繋がりあるし、遠縁の繋がりでトキが傍に付いてたりしてほしい。
(コハル⇔ゲ開⇔(白亜イベ)⇔トキ) - 60125/03/13(木) 20:56:27
- 61二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 21:00:29
ホットパンツよりも線がきちんと谷……真ん中を途切れずに通ってるんだなって……
ここのコハルの線ってスカーカバータトゥー的なのだったりして
手術痕隠す意味合いとか - 62二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 06:41:15
既に内乱起きかけてるけどストッパーであるツルギは今どこにいるのか
- 63二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 14:17:11
- 64二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 16:32:27
- 65二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 22:15:38
Hosyu
- 66二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 22:38:02
分かる、元気だ!良かった!ってなるし
エ駄死発言なんか
大声上げてる!ってなる
いや、それをしてるコハルが本来の姿なのは分かるんだよ?分かるんだけどさ
こう、クロコがシロコみたいな行動してたら嬉しくならない?
- 67二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 07:58:40
ここのコハルと関係者が原作時空に行った話とか見てみたくはある
一応保守 - 68二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 15:23:44
原作コハルがお姉ちゃんみたいにこっちのコハルを甲斐甲斐しくお世話する時空・・・?
- 69125/03/15(土) 17:11:44
ひぃん昨日は更新できなくてごめんよー鯖が不安定すぎて様子見してたよー
最近あにまんの調子悪いねー心配だよー
さっきも本格的に鯖落ちしてたし、ちょっとしばらく様子見させてもらうよー大丈夫そうなら今夜投稿するよー - 70125/03/15(土) 20:00:06
ひぃん安定したっぽいので投稿するよー
【Caution】
今回の話はハスミファンの人には解釈違いかもしれないよー、読んでて「ダメだこりゃ!」ってなった人はブラウザバックして忘れてねー - 71125/03/15(土) 20:01:06
夢なら覚めて欲しかった。
受け入れたくなかった。信じたくなかった。
現実が、あまりにも悪夢が過ぎて。
いやもしかしたら本当に夢なのかもしれない。だってそうだろう? 単純にありえないのだ。
だって、正義実現委員会が。それも、あの真面目でお堅く、トリニティのために身を粉にして働いてきたあの副委員長が――
「――じ、銃を……銃を捨ててください! ハスミ副委員長!」
「……」
――私達ティーパーティーに、牙を剥くなどと。 - 72125/03/15(土) 20:01:53
先刻響いた異様な轟音。続いたいくつかの銃声。それに驚いて駆けつけた私達が目にしたのは、信じがたい光景だった。
砕け散った門。周囲に散らばるその残骸。警備を任せていた門番は倒れ伏し、それを踏みつけて、銃口から煙を吹き上げている愛銃を向けた――正義実現委員会特有の黒い制服を着た人影。あまりにも意味不明な状況過ぎて思考が停止した。
「な、え……は……? ハスミ、副委員長? こ、これは一体……?」
一緒に来ていた警備の子が、震える手で下手人を指し示す。遅ればせながら意識を取り戻した私は、そこで改めて下手人の顔を見て卒倒しかけた。
羽川ハスミ。このトリニティ最大の治安維持機構である正義実現委員会の副委員長。ティーパーティーからの信任も厚いはずの人物が、ティーパーティーの人員に無体を働いていた。
「……ちょうどいいところに来ましたね」
ハスミ副委員長はこちらを一瞥した後、そんなことをつぶやいた。足蹴にしていた門番から足を離した後、つま先で引っかけて転がして、横に除ける……ってえぇ!?
あまりにもハスミ副委員長らしからぬ挙動に、私は目を剥いた。それが悪かったのか、はたまた流石は正義実現委員会のナンバー2と言うべきか。
気がつけばその巨躯は、私の懐にまで入り込んでいた。……え? は、はや――
「グゥ゙ッ!?」
「あぅっ!?」
鳩尾にハスミ副委員長の愛銃のストックが打ち込まれ、肺から空気がすべて抜ける。私がもんどり打って倒れる間に、その勢いを殺すことなく副委員長は愛銃を手元で回転させ、銃身でもう1人の警備を打ち据えた。いいところに入ったのか、崩れ落ちる警備。なんと鮮やかな制圧術か。これで本職は狙撃兵だというのだから詐欺にもほどがある。 - 73125/03/15(土) 20:03:14
一瞬で私達二人を制圧したハスミ副委員長は、倒れる私の胸ぐらを掴み上げ、自分の眼前までリフトアップする。覚束ない意識の中、垣間見えたハスミ副委員長の顔は、まるで能面のように無表情で。
「無駄に血を流したいわけではありませんので、ちょうどよかった。貴方方が吐いてくれればそれで済みます。――桐藤ナギサは、どこにいますか?」
されどその目は、猛禽のごとく鋭く尖り、溢れんばかりの怒りで満ちていた。
「な、ナギサ様? それは…………い、言えなぁ゙っ」
グシャッ。
守秘義務もあり口をつぐんだ私に待っていたのは、地面との熱烈なキスだった。
床に顔から叩きつけられ、激痛が走る。
「――よく聞こえませんでした。もう一度、お願いできますか?」
「あ、が……」
普通に聞こえなかったから聞き返したかのような、平静な口調。それが、あまりにもこの状況に似つかわしくなくて。恐怖した私は、痛みもありまともに喋ることができなかった。ややあって、チッと舌打ちが鳴る。
「どいつもこいつも……仕方がありません。やはり自分の足で探すとしましょう。ご迷惑をおかけしました」
とてもそうは思っていないのがよくわかる声色でハスミ副委員長が一言謝罪した後、私から手を離す。ゲホッゲホッ、うぇ……い、息が……。
投げ出され、喉を押さえて咳き込む私を一瞥すらせず、彼女は奥へ進もうとする。だ……ダメだ、その先には、ティーパーティーしか……。 - 74125/03/15(土) 20:05:32
「――構えろ!」
複数の金属音。見るとそこには、このテラスの警備たちが集まり、ハスミ副委員長を取り囲むように銃を構えていた。援軍!? よ、よかった、私たち以外も気づいて来てくれたんだ……。
「ハスミ副委員長……どうしてこんな真似を……自分が何をしているのか、わかっているのですか!?」
「このような狼藉、ティーパーティーが許すはずがありません! ……今なら見逃します。この場から立ち去りなさい!」
「――じ、銃を……銃を捨ててください! ハスミ副委員長!」
「……」
武装解除を促されるハスミ副委員長。しかし彼女は無言のまま、その場に佇んでいる。その目元は陰になってよく見えない。
「……貴方は今まで、このトリニティのため、ティーパーティーのために正義を実行してくれました。代表の方々からの信任も厚い、素晴らしい方だと、そう思っていたのに。まさか正義を裏切ってこんな蛮行に走るとは、残念です……」
「――正義?」
ギョロッと、ハスミ副委員長の目が警備の囲いを見つめた。
「……正義、ですって? それを、裏切った? 私が? ……私の……私の正義を、裏切ったのは……貴方方ティーパーティーだと言うのに……」
「は……ハスミ、副委員長?」
空気が変わる。まるで嵐の前触れのように、はたまた火山の噴火の予兆のように。大気が震える。床に小さくヒビが走る。 - 75125/03/15(土) 20:06:25
「狼藉。狼藉、ですか。……よくもまぁ。先に狼藉を働いたのは、貴方方のトップではないですか。それであの子が、コハルがどれだけ苦しんだと思って。――それを棚に上げて! 恥を知りなさい、貴方達!!」
最早可視化できる形で、怒りが渦巻き……爆発した。怒号とともに、ハスミ副委員長からビリビリと威圧感が発され、思わず何人かが足をすくむ。
……コハル? もしかして、下江コハルのことだろうか? 正義実現委員会の。本来加入できるような身ではなかったが、ナギサ様の鶴の一声により加入した、訳あり少女。確か今は補習授業部に……あっ。
ようやく私は思い出した。今朝、確かに噂になっていた。昨夜の急な試験内容変更、それにより補習授業部がゲヘナに向かったと。そしてそのまま、トリニティに帰ってきていないという話も。温泉開発部の発破に巻き込まれたのではないかとの話も出ていた。……そういうことか、それならハスミ副委員長がこの暴挙に出るのも頷ける。ここまでの怒りを顕にするのも。
「……無駄に犠牲を出したくありませんでしたが、気が変わりました。貴方達全員、明日の朝日は拝めないものと思いなさい……!」
「お……お待ち下さい、ハスミ副委員長! お怒りは最もですが、な、ナギサ様にも、きっと正当な理由が……」
「その正当な理由を聞かせろと言っているのです! あの子の状態を知っておきながら、強引な理由付けで、補習授業部などと意味不明な部活に放り込み、合宿に強制参加させて! あまつさえ試験直前になってあのような巫山戯た変更を……! しかも、会場が"あの"ゲヘナですって!? 気でも狂ったのですか、あの女は!?」
「そ、それは……その……」
言葉を濁して、それきり警備は沈黙する。 - 76125/03/15(土) 20:08:24
「……貴方方では話になりません。今すぐ桐藤ナギサの下へ案内しなさい。私の理性が、まだ残っているうちに。……ティーパーティーのことです、現状把握くらいは済んでいるでしょう。コハルの行方も、あの女なら知っている可能性が高い。――さもなければ……私は、私の正義を遂行するまで。これが最後通告です」
……ハスミ副委員長の怒りはもっともだ。自身の後輩を、それも虚弱な子を、不明瞭な理由でこれだけ非道な目に合わせているのだ。しかも当人は行方知れずとくれば、こうして殴り込みに来るのもわかってしまう。正直今考えてみれば、ハスミ副委員長に限らず正義実現委員会全員で詰めかけても不思議ではない事態だ。それをハスミ副委員長単騎で来ている辺り、まだ理性が働いたのだろう。正義実現委員会全体でなく、自分だけの責任にするつもりか。
でも……でも、今ナギサ様に会わせることは……
「ナギサ様には……会わせられませ、あぐっ!?」
苦い顔で言葉を発した警備の子が、突如吹き飛んだ。遅れて聞こえてくる銃声。
今しがた火を吹いた愛銃を流れるようにコッキングし、別の警備に向けながら、ハスミ副委員長が冷たく吐き捨てる。……か、構える瞬間がまるで見えなかった……。
「……そうですか。ならば、そこをどいてもらいましょうか。直接赴きます。抵抗するならば、先ほど言った通りです。明日の朝日は拝めないものと思いなさい……!」
「ひっ……ち、違うんです! ナギサ様は……っ、ナギサ様は、今この場にはいらっしゃりません!」
「ちょ、ちょっと! それは守秘義務違反に……!」
ハスミ副委員長の剣幕に押され、とうとう警備が言ってしまった。思わず天を仰ぐ。横で別の警備の子が止めているが、もう後の祭りだ。
「――は? 桐藤ナギサが、いない? ……まさか、今そう言いましたか?」
「な、ナギサ様は……昨夜、親衛隊を引き連れて急に何処かに移動されて……今はどこにいるのか、我々にも……」
そう。昨夜、ナギサ様は親衛隊を引き連れて、このテラスから移動されたのだ。まるで夜逃げでもするかのように。予定にない行動だったのでとても驚いたのを覚えている。今ナギサ様がどこにおられるのかは、ティーパーティーとは言え末端でしかない、私たちテラスの警備には分からない。 - 77125/03/15(土) 20:09:34
「桐藤ナギサが、いない。……そうですか。逃げたのですね。説明責任も果たさず、自らの行いの始末をつけることもなく。……ふ、ふふ。ふふふふ……」
乾いた笑い声を上げるハスミ副委員長。その目からは、もう理性の光が失われていた。
「――巫山戯るなぁっ!!!」
空間が軋むかと思うくらいの怒号。ハスミ副委員長が足を振り上げ、強烈な勢いで床に叩きつけた。比喩ではなく地面が揺れた。床に亀裂が走り、陥没する。思わず私は近くにいた別の警備の子にしがみついた。何でもいいから縋りたくて。
「こんなっ! こんな真似をしておいてっ! 本人はのうのうと逃げ出すなどとっ! どこまで人をバカにすれば気が済むのですか、お前たち(ティーパーティー)は!! 巫山戯るのも大概にしなさい!!!」
「ひぃっ……! ご、ごめんなさい、ごめんなさい! でも、何も知らないんです! ナギサ様がこんな行動に出た理由も、私達には……ひ、必要な、きっと必要な行動ではあったと……」
「生きるだけで精一杯な子をゲヘナに連れ込む理由が、どこにあるのですか!! 都合のいい政治の道具ではないのですよ!? それを、こんな――いや、まさか、最初から? 一度は委員会加入を断られているあの子を後押ししてきたのは、このためだったのですか? 最初から、政治の道具として利用するために……あの子を、コハルをなんだと思って……!」
ブツブツと呟くハスミ副委員長。バサッと大きな翼が広がり、ますます怒りのボルテージが上がっていく。はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。ここまで怒りを顕にした人を初めて見た。 - 78125/03/15(土) 20:10:49
「フーッ! フーッ! ……ふぅ。わかりました。最早、ティーパーティーに正義はなくなってしまったのですね。弱者を虐げ、利用し、その責任を取るつもりもない。……ならば、そんな連中が掲げる正義など、何の意味もありません。私は、私の正義を為すとしましょう。――そこを、どきなさい。桐藤ナギサを追います。少しくらい、手がかりは残っているでしょうから」
真っ直ぐ私達を見つめる、怒り狂ったハスミ副委員長。……正直逃げたい。この場から逃げ出したい。何もかも投げ捨てて逃げられたらどれほどいいだろう。痛い思いもしなくて済む。でも、でも……
「だ……ダメ、です。……こ、ここ、この先は……ティーパーティーの許可なく通ることは、許されません……これは、昔から決められたルール……それを、それを覆すことは……私たちには、できません……! そ、そそ、それが……私達栄えあるテラス警備員としての、使命……正義、ですから……!」
ハスミ副委員長の歩みを妨げるように、両手を広げて前に立つ。恐怖でガクガクと足を小鹿のように震わせながら。さぞ無様な姿だろう。親衛隊に見られたら笑われていたに違いない。
私達はテラスの警備員。所詮末端で、重要事項を知らされることもない。親衛隊ほど腕はたたないし、軽んじられることも多い。……でも、それでも。私だって、私たちだってティーパーティーなのだ。その代表に忠誠を誓った身なのだ。
故に、敵わないとわかっていても、道理が向こうにあるとわかっていても、それでも。――それでも、譲れないものがある。 - 79125/03/15(土) 20:12:04
「……正義、ですか。なるほど、素晴らしい覚悟です。出会いが違ったなら、正義実現委員会に誘っていたかもしれません。敵ながら天晴と言っておきましょう」
今まで怒りに支配されていたハスミ副委員長は、その時初めて怒りを含まない、感嘆とした声を上げた。ほ、褒められた……?
「ですが、こうなっては仕方がありません。貴方も含めて、全員しばらく眠っていてもらいましょう。一応言っておきますが、抵抗しなければ明日の朝日は拝めます」
威圧感を剥き出しにして、こちらに迫りくるハスミ副委員長。怖い。怖いけど……私の足は、ついに踏みとどまってその場を離れることはなかった。
「……つくづく残念です。――しばらく寝ていなさい!」
ハスミ副委員長が愛銃を向けてくる。数秒もたたず、銃弾が吐き出されるだろう。せめて今度は痛くありませんように! 私は思わず目を閉じた。 - 80125/03/15(土) 20:12:48
銃声ではなく、別の音が響いた。何か堅いものを無理やり突き破ったかのような、重厚な破砕音。……何が起きたの?
恐る恐る閉じていた目を開くと、ハスミ副委員長は私ではなく、別の方向に目を向けていた。その目は先ほどとは別の意味で険しい。その口が、何かを呟いている。
「……今更……」
彼女の視線の先を見る。もうもうと漂う土煙。ところどころに散らばった壁の残骸。その中から、コツコツと足音を響かせて、人影が現れる。
「連絡もつかなかったくせに……今更何のようですか! ――ツルギィ!!」
「――お前を止めに来た、ハスミ」
土煙を羽ばたきで吹き飛ばし、だらりと両手に愛銃(ブラッド&ガンパウダー)を下げながら、正義実現委員会委員長は静かに副委員長を見つめた。 - 81125/03/15(土) 20:16:18
今回はここまで! この話のハスミについて、色々と意見はあると思うけど、もともと感情を逆なでされると自制や歯止めが効かなくなる子だと1は思ってるよー(万魔殿とのやり取りの後とかね)
違和感を覚えたら1の描写力が皆無なせいなので、遠慮せず石を投げていいよーハスミは叩いちゃダメだよー
次回、両雄激突。 - 82二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:19:47
このまま殺し合えばベアトリーチェとしては万々歳
というか同じ集団の長ですら一致団結できないのであれば、調印式で詰みそうですね
お疲れ様でした - 83二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:57:56
ナギサ様、極限まで追い詰められると首を差し出すタイプの王様だと思うからこのハスミと会わせてはいけない…
そんなハスミを止める側なのは当然よな ツルギ - 84二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:58:54
誰が何の目的でこの混沌を引き起こしてるのやら…一体何人の思惑が絡んでいるのやら…
現状だけ見ればトリニティの混乱が目的に思える状況で交友関係が広く身体の弱いコハルがトリニティ…いやキヴォトスの有力校のアキレス腱であることを利用した撹乱に見える - 85125/03/15(土) 22:11:25
- 86二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:26:27
ここのコハルは悪い言い方をするならば火種だな
あるいは核地雷
そういや英国のトンデモ兵器に鳥の体温で作動する核地雷「ブルーピーコック」というものがあったな…
コハルの体温は保たなければならない - 87二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:45:54
1人は後輩のため、もう1人は幼馴染みのために銃を向ける
…悲しいかな、戦争はこれが原因で起きる - 88二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:48:03
暴走列車状態のハスミを止めるためにツルギが駆けつけたのは良いけど問題はまだ山積みなんだよなぁ…
親衛隊を引き連れてナギサはどこ行ったん? - 89二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:42:47
どちらも正義なのに、戦争は起こってしまうんだよな…
- 90二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 11:39:01
- 91二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 19:53:32
もう駄目だねこのトリニティ
- 92二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 19:54:38
メンタル極限のナギサ様、親衛隊とはいえどこまで信頼しているんだろう……
- 93二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 20:14:47
これ、ヒナからしてもわりとメンタルやばい内容じゃない?
トリニティのティーパーティーがかってにゲヘナを試験会場にしたあげく
ジュンコが死ぬ気で助けようとした病弱な生徒が温泉開発部の爆破のせいで行方不明
血の跡が残ってるし何かしってそうな美食研究会はトリニティにいってる - 94二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 20:25:51
そういう所で混乱せず、冷徹に「あの美食も温泉も事態収拾に動いてる」と読むだけの信頼はあるか否や
- 95二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 20:36:50
現状ナギサの正気度がどうなってるのか分からないのがもどかしい…今の情報だけだと何がしたいのかさっぱり分からん
そもそもナギサの意思なのかすら不明なんだよね - 96二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:21:42
ほしゅ
- 97二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:37:18
- 98二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:38:44
ここでツルギが来たか…
今までどこに居てここからどうするつもりなのか - 99二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:39:19
- 100二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:41:13
- 101二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:49:02
- 102二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:51:01
ここで最終編のコハル籠城戦をひとつまみ
- 103二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 02:57:50
一応保守
- 104二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 04:36:28
・・・すげえ。説得力が違うぞ。
- 105二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 12:27:39
- 106二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 20:24:20
保守
- 107二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 23:53:31
☆
- 108二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 08:05:11
補習
- 109二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 08:55:08
- 110二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 09:08:07
- 111二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 18:06:14
ツルギはどこへ行ってたのか?
冷静に判断できるとしてシスターフッドから事情説明を受けていたのか、あるいはゲヘナ側の騒ぎでヒナと密会していたか
どちらの場合でも短気でゲヘナ嫌いのハスミに行き場所を言えないのは確実だし - 112二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 23:15:28
朝まで
- 113二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 07:36:59
朝の保守
- 114二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 07:37:40
このレスは削除されています
- 115二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 16:02:48
本編以上に内ゲバが酷いな、このトリニティ。
- 116二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 22:14:13
ナギサ様本編以上に自棄になってるな
エデン条約成功でも失敗してもティーパーティーやめそう
でもここでやめてたらミカが助けられないかも - 117二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 05:12:36
ハスミはナギサからエデン条約を破綻させそうな人と疑われてるので、この行動はまずいぞ
まあ、コハルを人質に取ったのはナギちゃんなんですけどね - 118二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 14:21:06
- 119125/03/20(木) 14:22:22
またコテハンつけ忘れたよー、別スレ覗いてレスするとつけ忘れちゃうんだよね……
- 120二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 21:26:36
のんびり待ってるから主さんのペースで更新してね
- 121二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 06:38:30
保守
- 122二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 14:20:07
本編から外れるって話ですけど、そりゃもう第三次試験対策とか言ってる場合じゃないよな・・・。
第三次というか大惨事なんですけど。 - 123二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 14:31:49
シスターフッドのピアノを弾いた日に、休憩中にヒナタのドジによって服が濡れたコハル
知り合いに頼んで着替を持ってきてもらうことに
服を持っていくとそこにはマリーのシスター服を着たコハルが聖女のように告解を聞いていた
誰が一番脳が破壊されるだろうか - 124二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 14:44:12
- 125二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:23:42
答え出ちゃってる…
- 126二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:25:39
流石に…とは思ったがここのハナコはコハルって時点で一番脳破壊されるよなぁ
- 127二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:30:11
破壊されるのは脳か性癖か
- 128二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:30:41
両方
- 129二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 22:33:04
でもよぉ、ハスミがみてもシスターフッドにコハルが取られたって暴走しそうじゃない?
- 130二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 07:53:13
まぁそれもありそうではあるか…?
- 131二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 14:33:16
暴走というかちょっと引くぐらいメチャクチャなショック受けそう。
「コハ・・・コハルが・・・シスター、フッドに・・・」
「ハスミ先輩…ケーキを前にして一口も手を付けてない…何があったんでしょうか…」
「あー…あんまり気にしなくていいっすよ」 - 132二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 23:33:07
保守
- 133二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 04:57:06
食欲に現れるレベルでショックを受けるのか・・・。
- 134二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 11:36:07
コハルの一日体験コース
救護騎士団コハルやティーパーティーコハルを見せられて更に脳みそが腸捻転する二人 - 135二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 17:06:08
図書委員会でウイやシミコと一緒におしゃべりするコハル
スイーツ部で一緒にスイーツを食べるコハル
美食研究会でジュンコと一緒に美味しいものを食べに行くコハル - 136二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 17:40:42
- 137二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 17:42:01
そしてその2人を膝枕するコハル
- 138二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 23:15:25
事前に「あれ食べよう、これ食べてみたい」って話をしてたけど、コハルが病弱ゆえに食べられるものがなくて、意を決して栄養学と料理を学んで『コハルが食べやすい私の手作り美食』を作るジュンコは見たい……。ジュンコハ尊し…
- 139二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 23:56:00
- 140二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 01:54:14
ジュンコハはいいぞぉ
- 141二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 08:07:56
ジュンコハに目覚めそうだ…
- 142二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 12:19:03
コハルって食事制限とかあったりするのだろうか?それとも調子いい時は普通に何食べてもいいのかな?
- 143二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 15:36:45
てかたとえ食べちゃダメなものあったとしても、このコハルは付き合いのために、不自然にならない程度に無理して食べそうだし、後で体調崩しても無理ない程度に誤魔化したりはしてそう。
- 144二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 18:57:19
「コハルちゃん……」
自然と、名前を呼んでしまう。返事が返ってこないことなど、一目見れば分かるというのに。
石造りの古い様式の中に、近代的な機械がいくつも置かれたアンバランスな部屋。その中央、医療ベッドの上に寝かされたコハルちゃんは、ダメージが大きかったせいか、機械に繋がれたまま未だに眠り続けている。ここに運び込まれてから、ずっと。
その姿は、健康とはほど遠い、正に病人そのもので。もともと普段から健康とはとても言い難い姿を見ていたが、今の姿はこうして見ているだけでも、輪をかけて忸怩たる思いが溢れてやるせない。
「……もうすぐ、今後についての会議が設けられます。本当なら、コハルちゃんの意見も聞きたかったのですが……」
私たちをここまで運び込んだシスターフッド……その頭領、歌住サクラコ。そして、彼女たちに情報提供した張本人、図書委員会……その委員長、古関ウイ。彼女たちから、今後について話がしたいと言われたのだ。
シスターフッドのサクラコさんならともかく、図書委員会のウイさんまで関わっているとは……殆ど外部との接触がない、あの古書館の魔術師殿が一枚噛んでいるとは素直に驚きだった。あの人については如何せん、人嫌いを極めているのか古書館からほとんど出てこず、情報がとんとないため分からないことのほうが多い。一体どういう繋がりがあって今回の件に絡んだのか。シスターフッドと図書委員会はその部活の性質上、シスターフッド保有の古書関係について関わりがあるが……。 - 145二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 18:58:37
「まあ先ず間違いなくコハルちゃんが関わりを持っていたと予想していますが……本当に凄いですね、貴方は」
コハルちゃん自身は特に凄いと思うこともなく、ただ友達だと言うのだろうが。あの引きこもりと接触を持って、その上友達になるのがどれだけ難易度が高いことか。そのコミュニケーション力が、誇らしいとともに複雑な気分になる。なんだか私が、コハルちゃんにとっては『友達』という十把一絡げの存在でしかない気がして。……何を言っているんだろうか、私は。あれだけのことをしておいて、ただの友達では不満だと?
頭を振って、一瞬感じた後ろ暗い気持ちを心の奥底に押し込めて、私は彼女に語りかけた。
「とにかく、コハルちゃん。貴方や、補習授業部の皆が路頭に迷うことがないよう、最善を尽くします。なので……今は安心して、体を休めてください」
……数瞬逡巡して、一つ深呼吸したあと、恐る恐るその顔に触れる。――冷たい。人の平均体温より低い体温をしているコハルちゃんは、こうして容体が安定しても尚冷たく感じた。
「……またコハルちゃんと喋れるようになるのを、楽しみにしていますね」
どうにかそれだけ言ってから、ぱっと手を離す。なんだかいけないことをした気がして、少し胸が高鳴る。ただ少しの間触れただけだと言うのに……なぜかコハルちゃんについては、どうしても一挙一動するのに覚悟がいる。やはりおかしくなってしまっているのだろう、私は。あの教室で、手を差し伸べられた日から、ずっと。
踵を返してその場を去ろうとして、ふと私は動きを止めた。コハルちゃんの表情が、変化した気がして。
「……?」
よく観察して、先ほどとは違う点に気づく。寝ているコハルちゃん。その口角が、わずかに上がっていた。笑っていたのだ。
「――いい夢を、見れているのでしょうか」
思わず小さく笑って、今度こそその場を後にする。シスターフッドに図書委員会。トリニティでも歴史の長い部活の長たちとの、今後についての会議。何を考えているのかはまだ不明瞭だが……もう誰かにとって、都合のいいようにはさせない。もうこれ以上、誰にも。
静まり返った病室。唯一そこに眠る少女は、まだ目を覚まさないまま、微睡みに浸り続けていた。幸せそうに、笑みを浮かべて。 - 146125/03/24(月) 18:59:36
どこかの病室。窓から差し込む夕焼けが、オレンジ色に部屋を染め上げる中、ベッドに横たわる少女が1人。
普段なら寝ているか、本を読むか、窓の外を眺めているかの3択だが、その日は違った。ベッドに体を深く沈ませながらも顔を横に向け、一心不乱に何かを見つめている。その視線の先には、小さなテレビが一つ。とある学生のお手柄を報じている最中だった。
『――私1人の成果ではありません。ツルギ……友人がフォローしてくれたからこそ、こうして犯人達を捕らえることができました』
『1年生二人で大規模な犯罪集団を取り押さえるなどと、正義実現委員会始まって以来の快挙ですよ! ……怖くはありませんでしたか?』
クロノスのアナウンサーが、感心したようにそう告げてマイクを向ける。
『恐怖はあまり感じませんでした。先も言ったように、友人が傍にいてくれたのもありますが……何より、これを野放しにしていては、何の罪もない人たちが理不尽な目に遭い続けていたでしょうから。到底看過できることではありません。』
堂々とした、とても1年生とは思えない貫禄でもってインタビューに答える生徒。
『力なき者を守る。それが、私が抱いた正義ですから』
自信に満ちた様子で、そうはっきりと口にした。その誇らしげな姿から、何故だが目が離せなくて。
「……正義」 - 147125/03/24(月) 19:01:10
その日は、珍しく朝から調子が良かった。薬を使わずとも体は軽く、ふらついたりもしない。オマケに今朝入れたお茶に茶柱が立っていた。これは、今日はいい1日になりそうだと、そう思ってしまっても可笑しくはないだろう。つい最近望みが絶たれたばかりだから、その反動かしら。ほら、悪いことと良いことは天秤のように釣り合うってやつ。
せっかく体の調子もいいし、たまたまカリキュラムも空けてあるし、久方ぶりに1人で外を出歩くのもいいかもしれない。そう思った私は、いつもより少なめに調整した薬を飲み、ルンルン気分で朝から家を出た。そんな、珍しい1日の話。
その日の天気は雲一つない快晴だった。透き通るような青と、いくつかの巨大な光輪が広がる空。遠くには、このキヴォトスで一番高い建造物がそびえ立っているのが、ここからでもよく見える。サンクトゥムタワー。キヴォトスの行政機能に深く関わっている……とされる建物。連邦生徒会が管理しており、キヴォトス全体を管理する中枢部であるとは言われているけど……どう見ても普通の建物ではないのよね。なんでか根本が地面についてないし、衛星のように大きな板が浮かんでたりするし、なんか中央部が謎に光ってるし。さしずめ、巨大なオーパーツ(※キヴォトスで見つかる不思議な物品のこと。だいたい欠片だったりする)といったところだろうか。連邦生徒会が詳細を明らかにしていないからよく分からないが。まあ、今のところ制御できているようだし、不思議な巨塔だけど問題はないのだろう。例えば連邦生徒会長がどこかに行ってしまって行方知れずになったーだとか、そういうよほどのイレギュラーでもなければ。 - 148125/03/24(月) 19:01:45
そんな益体のない事を考えながら、不思議建造物から視線を切った私は、ゆっくりとした足取りで目的地に向かう。まだ春先とは思えない程日差しが眩しいが、日傘のおかげで肌が焼けることもない。普通の人はこんな日差し程度で肌を気にすることはないのだろうなと思うと、少し羨ましいけれど……もって生まれたものだから仕方がない。幸い……ではないけれど、もっと子供の頃は病院生活だったから、これで揶揄われたりすることもなかったし。なんなら人との接触自体少なかったしね。今よりも体調が不安定で、ほとんど動けなくて……正直何のために生きているのかわからなくて、辛かった時期でもある。―ーまあ今はあの頃に比べればある程度安定して、普通の人と同じように学校に行けるようになったから、毎日が楽しい。こうして体調が良ければ1人で外出すら出来るようになったのだ。1日中ベッドで過ごすしかできないことに比べれば、日傘が必要なことなんてそう気にすることでもないだろう。
……ただ、やっぱりこの前のことは堪えちゃう。この体だから、無理な望みだと始めから分かっていたけれど……はぁ。
憂鬱な気分が胸中に立ち込めて、思わずため息をつく。快晴の天気とは裏腹にどんよりとした気分になってしまった。せっかく外出できたというのに、これじゃいけない。
でも、こればかりはため息をついても仕方ないと思うんだ。はっきりと、望みが絶たれてしまったのだから。それも、憧れの人直々に。 - 149125/03/24(月) 19:02:52
『……気持ちは、とても嬉しく思います』
トリニティの生徒全てと比較してもかなり大柄な部類に入る彼女は、手元の飲み物を一口含んだ後、苦々しい顔でそう言った。
『しかし……やはり、貴方の体では難しい、と言わざるを得ません。正義実現委員会はその職務上、どうしても荒事が多くなります。後詰め専門でと考えても、肉体仕事が多いので、体への負担が……態々来ていただいたのに申し訳ないですが……』
『…………そう、ですか』
わかってはいた。わかってはいたのだ。私の体では、断れるだろうと。むしろその方が当然だ。天下の正義実現委員会が、こんな病人を受け入れないのは当たり前の話だ。
『いえ、そうですよね。無理を言ってしまい申し訳ありませんでした』
『ごめんなさいコハルさん。本当に、気持ちは嬉しく思っているんです。貴方が見たというインタビューは若気の至りではありますが……それが、貴方が正義を志す切っ掛けになったというのは、とても励みになりました。どうかその気持ちを、これからもずっと抱いていただければと』
『――はい。今日はありがとうございました、ハスミ先輩。せめて、今後の活躍を応援だけはしていますね』
――それでも。憧れの人自身に否定されるのは、やっぱり応えるなぁ……。 - 150125/03/24(月) 19:04:13
(あの時、ちゃんと笑えてたかな? 私)
思わず頬をムニムニと弄る。今更遅いのはわかってるけど、つい気になって触ってしまった。人よりも血色の薄い肌は、日ごろから気にしてこまめに水分を取っているためか、もっちりしている……気がする。
「……よし!」
パチン、と軽く頬を両手で叩いて、気持ちを切り替える。もう終わった話だ、いつまでもそれに囚われていては前に進めない。今日はせっかく体調もいいのだから、心もそれに合わせなきゃ。でないと外出を楽しめない。
「……と。いつの間にか着いてたわね。話に聞いてたのはここかな?」
暗い気持ちを振り切るためにも独り言を発し、歩みを止めてそれを眺める。私の目の前には、つい先日できたばかりのショッピングモールがそびえ立っていた。
日傘を畳んで中に入ると、様々なテナントがところ狭しと並んでいる。お洒落な服屋さんや帽子屋さん等、トリニティの中流階層向けの店が立ち並ぶ通路がいくつか。1階には食材店や、レストランなどの食事処がこれまた数多く揃っている。極めて普通の、大型ショッピングモールだ。
「確か、ここの1階に……あ、あった」
モール内の案内板を観て、目当ての店を見つけ、そこに向かう。エスカレーターを通って1Fに降り、人の波に逆らわず流されるように進み(かき分けるほどの体力はない、というか使いたくない)、少し遠回りになったもののようやく目的地にたどり着く。
今回の外出の目的地。その看板には、大きなアイスクリーム型のプレートと共に店名が掲げられていた。放課後スイーツ部の皆が話していた、スイーツショップだ。 - 151125/03/24(月) 19:05:05
「本当は皆も誘いたかったけど……」
苦笑いを浮かべてしまう。せっかく外出できるのだから、友達と……放課後スイーツ部の皆と一緒に来てみたかったけれど、残念ながら今日はカズサが落としてしまったテストの補習が設けられており、皆そっちに付き合っているのだ。下手に連絡する前に思い出せてよかった。勉強は大事だものね、邪魔しないようにしないと。
さて、確か皆が言っていたのは……あれか。店のカウンター上部の電光掲示板に映るメニュー表。それとは別に、一際目立つように映されている、隣の一面広告。見るだけで美味しそうな、大きな苺が載った薄ピンクのソフトクリーム。
「あ、すみません。苺のソフトクリーム一つお願いします」
まだ開店間もないというのに形成されていた列に並ぶことしばし。順番が来た私は店員さんにそう注文した。
「……ふぅ。ごちそうさまでした」
思ったより大きめだったソフトクリームを全て食べ終えた私は、両手を合わせた後ベンチの上で一息ついた。放課後スイーツ部の皆が口を揃えて美味しいと言っていたからまず間違いはないと思っていたけど、普段からゼリー飲料が食事の大半な、貧相な私の舌でも美味しいと思える品だった。こうして食べに来た甲斐もあったと思う。元来少食な私には、たかがソフトクリームといえどこれだけでお腹いっぱいになったけど。せっかく来たし、フードコートでお昼を済ませる予定だったんだけど……もう今日はこれでいいかな……。
さて、目的は果たしたわけだが、これで帰るというのも少々味気ない。せっかくの外出なのだ、体力的に他に行くのは厳しいけれど、このショッピングモール内を回ってみるのはありだろう。あまりお洒落には詳しくないが、見るだけでも楽しいはずだ。
そう思った私は、ベンチから立ち上がって一路エスカレーターに向かった。うん、やっぱり体が動くって素晴らしい。 - 152125/03/24(月) 19:05:48
2階もまた、1階に負けず劣らず盛況だった。人の流れに載ってお店を見て回る。流石は大型ショッピングモール、服屋さんだけでもどこでも着られるカジュアルな服から、これ何処で着るの? と聞きたくなるような奇抜なものまで、様々な服が店頭に並んでいた。
「流石にあの水着は強気すぎると思うけど……まだ季節じゃないし……」
先ほど見かけたあまりにも奇抜な衣装を思い出して、つい赤面する。よほど自信があるのか、それとも季節の先取りか、店頭の目立つ位置に飾られていたそれは、水着だった。――牛柄模様のほぼ紐という、水着にカテゴライズしていいのか甚だ疑問な品だったが。前面はかろうじて局部を隠せる程度の布面積しかない、凄まじく鋭角なレオタード。背中は紐しかなく、色々と隠す気がない、いっそ潔いくらい大胆な代物だった。一言で言って、すごくえっち。見た瞬間思わず叫びそうになったくらいだ。心臓がバクバクし始めたから深呼吸して無理やり落ち着かせたが。あ、あんなの本の中でも着てる人いないって……なんか牛の角と耳のカチューシャとか、カウベルの付いたチョーカーとセットになってたし、本当に遊泳用だろうか。
ま、まああんな風にこれ見よがしに置いてあった以上、需要はあるのだろう。海にもプールにも行ったことがないから生憎分からないが、案外ああいうのを着る人は多いのかもしれない。……海、一度でいいから見に行ってみたかったけど、辞めておいたほうがいいのかも。あんな水着を着てる人がいっぱいいる光景を見かけたら、興奮で心臓が止まる気しかしない。いくらなんでもそんな死に方は避けたい。 - 153125/03/24(月) 19:06:44
「……あ」
形容しがたい気分になりつつ、それを誤魔化すように店頭を眺めていると、ふと目につく服があった。私が今着ている、トリニティの白い標準制服。それを、黒を基調に染め上げたような色合い。
「これ、正義実現委員会の……」
思わず足を止めてしまう。店頭のハンガーに掛けられていたのは、正義実現委員会の人間のみが着ることを許される、黒い制服。いわばトリニティのエリートの証。正義の象徴。――このトリニティに入学して、私が一番着たかった服。
そのまま視線を横に滑らせると、黒い制服の横に小さなPOPが置かれていた。……『かの有名な正義実現委員会、それを象徴する黒い制服。そのレプリカを、特別に許可を頂いて販売する運びとなりました。売り切れ御免!』……レプリカか。まあコスプレみたいなものかな。ゲヘナの風紀委員会や、他にも存在する特別な仕様の制服は、一度は着てみたいって思う一般生徒も多いらしいし、正義実現委員会のものがあってもおかしくはない。
「……」
私の足は、ここにきて始めて人の流れに逆らい、床に縫いつけられたかのように立ち止まっていた。怪訝そうにジロジロと通行人に見られるが、今の私には気にならない。……偽物だとはわかっている。わかっている、けれど。
――いつの間にか、私は自然とハンガーを手に取っていた。 - 154125/03/24(月) 19:07:23
そのまま店舗の試着室に向かおうとした矢先。ドンッと横から衝撃が走る。
「キャッ!?」
「うわっ!?」
残念なことに非力な私の体幹ではその衝撃を受け止めきれず、無様に尻もちをつく。い、痛た……お尻打った……な、何事?
「ご、ごめんなさい。よそ見をしてしまって……大丈夫ですか? お怪我は?」
「い、いえ。大丈夫です。そう言う貴方の方は?」
どうやら誰かにぶつかられたようだ。相手の方が責任を感じたのか、丁寧に対応される。幸いこちらはお尻を打ったくらいで別状はなく、差し出された手を断ろうとして……相手の姿に思わず息を呑んだ。
「綺麗……」
「……はい? あ、ありがとう、ございます?」
困惑する相手。うん、そりゃぶつかった人間からいきなり褒められたら困惑もするわよね、ごめんなさい。でも本当に綺麗な人だったのだ。
キャップを目深に被った、女の人。おかげで目元はよく見えないが、眩しく見えるくらいよく手入れされた亜麻色の髪が腰まで伸びており、表情が見えずとも、どこか浮き世離れしたような印象を彼女につけている。身につけている服も至って一般的でカジュアルなものだが、本人の纏う雰囲気が、それを一気に高貴なものに仕立て上げていた。アクセサリーも、首に下げられたネックレスくらいで無駄にゴテゴテ着飾っておらず、自然体というか、なんというか……一般層っぽくお洒落してみた上流階級のお嬢様、というのが一番の表現だろうか。 - 155125/03/24(月) 19:09:25
「あ、あのー……」
「……は! ご、ごめんなさい! 変なところで立ち止まってた私が悪いのに、その上見惚れちゃって……」
「み、見惚れ……い、いえ。その……立てますか?」
「あ、大丈夫で……っ!」
「危ない!」
うわやっちゃった。これ完璧に変な人じゃない! 慌てて立ち上がろうとして、急に座ったり立ったりを繰り返した形になったせいか、ふらっとよろめく。それを見た彼女がもう片方の手も差し出してしっかり支えてくれた。ああ、ほんとにもう、この体は……。
「本当に大丈夫ですか?」
「だ……大丈夫です。ちょっとふらついただけで……ごめんなさい、ありがとうございます」
「……悪いことは言いませんから、少し横になったほうがよろしいのでは? 顔色もあまり良くは……」
もともと血色が良くはないのでそのせいだと思います。心配させてごめんなさいほんとに……。ありがたいが、気遣いを断ろうとして、その瞬間彼女がハッとなって後ろを振り向く。 - 156125/03/24(月) 19:10:24
「ナ……お嬢様、どちらにいるのですかー?」
「お嬢様ー!」
人の波の後方で、何やら呼びかけている人影が複数。あれは……あの特徴的な制服は、まさかティーパーティー? 由緒正しい家柄のお嬢様たちが、なんでこんなショッピングモールに?
「いけない……こんなところまで追ってくるなんて……」
苦々しくそう呟く彼女。……ティーパーティーに追われてる? なんで? ……今のところ状況が良くわからないけど……
「――こっち!」
「え? ちょ、ちょっと……」
事情はわからないけれど、悪人には見えないし。何より、困っているなら放っておけないから。私は彼女の手を引いて店内に連れ込んだ。 - 157125/03/24(月) 19:10:53
「今ここに入ったような……」
トリニティでもっとも気高い淑女たち。そんなティーパーティーの人間である私が、まさかこんな庶民の店に来ることになるとは思わなかったが……まあこれも任務のため。仕方がないと割り切るべきだろう。意外にお転婆であそばれたお嬢様を保護すれば、それで済む。
チラリと見えた人影。お嬢様のような姿が、この店の試着室に消えていくのを私の目は見逃さなかった。ふふん、年貢の納めどきですよナギ――おっといけない。お嬢様。こんなところで真名を呼んだら騒ぎになってしまいますからね。
「さあお嬢様、帰りますよ。庶民の生態観察もこれっきりに……」
試着室のカーテンを堂々と開け放つ。……今思えば、変な自信を根拠にせずに一度確認していればこの悲劇は免れたのだが、当時の私は憧れだったティーパーティーの末席に加わったばかりで舞い上がっており……まあ割とアホだったのだ。
カーテンの向こうには、お嬢様とは似ても似つかない小柄な少女が居た。上半身裸で。
「え?」
「――あ」
まだただの裸なら、同性だしそこまで問題ではなかったかもしれない。しかし、彼女の体には……胸部から腹部、スカートとの境目まで一直線に伸びる、一本の線があった。肉の盛り上がった……明らかに、手術痕が。
「――きゃあっ!?」
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!?」
胸を両手で隠してしゃがみ込む彼女を尻目に、気が動転した私は慌てて謝りながらカーテンを閉める。間違いなく見てはいけないものを見てしまった。それも物凄くセンシティブなものを。ティーパーティーとして、淑女たらねばならない私が。ど……どうしようどうしようどうしよう!?
「し……失礼しましたー!!」
パニックになった私は、そう叫ぶと脱兎の勢いで店舗から飛び出した。後ほど、合流した先輩方に死ぬほど怒られたのは言うまでもない。うぅ……ごめんなさい、見ず知らずの庶民の方……。 - 158125/03/24(月) 19:11:37
「――もう、行ったかな」
咄嗟だったとはいえ、お嬢様には結構きついものを見せてしまったかもしれない。変に後を引かないといいんだけど。……まあとりあえず、上手いこと追手は撒けたようだ。これでしばらくは大丈夫だろう。思わずホッと息をつく。
「……もう出てきても大丈夫ですよ。一度見失った以上、しばらくこのお店の近辺は探されないはずですから」
そう、カーテンの内側に隠れていた彼女に促す。ティーパーティーに追われていた謎の貴人(たぶんそうだよね?)は、何故か目元が隠れていてもわかるくらい表情が暗かった。あれ、どうしたんだろう?
「……よろしかったのですか? 触れていいかわからないのですが……それ、手術痕……ですよね? それを盾にするような……」
「あ……ごめんなさい、気持ち悪かったですよね?」
結構大きな跡だし、気にする人は結構いるだろう。そう思ってあまり見せないようにしていたし、場所も場所だからそもそも見えないものだったんだけど、こうして見せてしまった以上は気持ち悪がられても無理はない。そう思っての発言だったんだけど……
「そんな事はありません!」
「うわ!?」
大きな声を出した彼女はその勢いのままに私の手を両手でガシッと包みこんだ。あ……結構暖かい。体温高いのかな……いや、私の体温が低すぎるのかも。 - 159125/03/24(月) 19:12:30
「けっして気持ちが悪いとか、そのような気持ちは抱いておりません。人の体を論うなどと低俗な所業は、私、家名に誓って行うことはありません。……ありがとうございました。おかげで助かりました」
そう言ってしっかりと頭を下げる彼女。そ、そんなにすることじゃないんだけどな……なんだか居た堪れなくなって、ブンブンと首を振る。
「いえそんな、頭を上げてください。事情は分かりませんが……なんだか困ってそうだったので、少しおせっかいを焼いただけですから……クシュッ!」
なんだか肌寒いと思ったら、まだ服を着てなかった。これはまずい、早く着替えないと風邪を引いてしまう。慌てて下着から身につけていく。
「あ、ごめんなさい。気が利かなくて……」
「い……いえ大丈夫です。気にしないでください」
安心させるために笑いかけながら、元の制服に着替え終わる。……明日風邪引かないといいな。普通は低い確率だけど、この体のことだから……。
「……その、蒸し返すようで申し訳ないのですが。先ほどの様子を見るに、お体が悪いのですか?」
「え? あー、その……人よりちょっとだけ。……こ、これでも手術を受けて、昔よりはだいぶマシになったので。ほんとに気にしないでください」
「手術……ではさっきの手術痕は……」
「あ、それの跡です」
内蔵がことごとく、特に心臓が駄目になってしまい、このままでは遠からず死に至るとお医者さんの判断を受け、手術でだいたいの内臓を総とっかえしたのだ。めちゃくちゃ大がかりな手術でかなり大変だった。リハビリキツかったし、おっきな跡も残ったし。まあでもその甲斐あって、高校生活を送る分にはなんとか保つだろうと言われて嬉しかった。体への負担が大きすぎてもう二度と使えない手段だが。つまり、私はそう遠からず……いや、それだけでも十分だ。今更高望みしてどうするというのか。 - 160125/03/24(月) 19:13:18
「……」
「ん? どうしま――」
した、と言い切る前に、何故か彼女に抱きしめられる。……え? 何? 急にどゆこと!?
「……ごめんなさい、急に。今の気持ちを……私の語彙では、言い表せそうにありません。ですので、行動で示させてもらいました」
貴方は、強い人ですね。
そう言って、彼女は私の目を見つめた。今まで帽子に隠されていた、柔らかなハシバミ色の瞳と視線が交錯する。……そんなこと、生まれて初めて言われた気がする。
「…………。え、えーと。……とりあえず、ここから出ませんか? ずっと試着室にいるわけにも……」
「え? あ……ああ、そうですね。すみません、我を忘れてしまいまして」
なんだか頬が熱くなって、それを誤魔化すように私は彼女に声をかけた。彼女も我に返ったようで、顔を赤らめながら私を離した。
「そ……それでは私は外に出ていますので。お先に」
「あ、はい」
なんだか不思議な空気を味わいながら、退室した彼女の背を視線でなぞる。……な、なんだったんだろうか、さっきの気持ちは。
と、とりあえず私も出よう。そう考えて荷物を取ろうとして、壁に掛けてあったハンガーの存在を思い出す。
「……」
つい手に取ってしまった、憧れの正義実現委員会の黒い制服。……少し逡巡した私は、結局それに袖を通すことなく、手にとって試着室を出た。 - 161125/03/24(月) 19:13:52
「あら、その制服は……着ないのですか? 私とぶつかる着前に手に取っていましたが」
外に出たすぐ横で、亜麻色の貴人が声をかけてくる。
「いいんです。私には、似合わないものだから。……少し、寒く感じてきました。暖かいところに移動しませんか? よければ色々とお話したいですし」
「え、ええ。そうですね、巻き込んでしまった以上、説明責任は果たさなくては……その、私。実は、あまりこのようなところに詳しくなくて……申し訳ありませんが、案内願えますか?」
「お安い御用ですよ」
と言っても私もそこまで詳しくないんだけど。……フードコートなら暖かいかな? そう安直に思った私は、彼女の手を引いて移動を始めた。――ティーパーティーに追われていた、不思議な雰囲気の貴人さん。これが、全てが狂う切っ掛けとなるなんて、この時の私は思ってもいなかった。
私たちの背後で、店頭に戻された黒い制服が、寂しげに揺れていた。 - 162125/03/24(月) 19:19:17
今回はここまでー!
俺は!!!! (意思が)弱いっ!!!!! ドンッ!
えー、筆が本当に進まなくて、そのうちコハルが無性に書きたくなって……気がついたら過去回想突入してましたほんとごめんなさい。
実はこの回想はもう少し先の予定だったんだけど……うん、我慢できませんでした。俺は!!!! 弱(再放送)
ひぃんハスミとツルギの決着は遅々として進んでないけれど、この回想終わったらちゃんと着地させるから安心してねー……いつになるか現状分からんけど(おい)
そしてこの回想こそ、結構重要な分岐点だったり。……亜麻色の貴人さん、一体何物なんだ(棒)
また書け次第投稿するよー - 163二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 19:27:06
本当に、何を思ってコハルを補習授業部に入れたんだろうね
- 164二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 19:46:37
まさかの話になるけど…ここのエデン条約って俺たちが知ってるものと同一か?
ナギサが全てを捨ててまで得ようとしてるとなると何かとんでもないもののような気がしてきた - 165二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 23:38:42
一体何がナギサを狂わせたのか
- 166二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 23:57:10
てかこのコハル、本当に年々弱くなっていってるんだな。今だったらこんな一人歩きさせてたら死んじゃいません・・・?
- 167二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 00:05:51
今回の回想は間違いないなくコハルとキリちゃんが邂逅した時のだよね
この回想が重要な分岐点…一体どういうことだってばよ… - 168二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 00:10:48
ここのコハルの線って手術痕隠してるんじゃ?的なレスしたんだよ
顔覆ったよね、当たって欲しくなかった!
だって!だって!胸から腹部そしてスカートの裾までって事はこの後に首から胸部までの手術あるかもしれないんでしょ!?
カモフラージュなら範囲広げるだろうからそんな手術はない!なのかもだけど!
引き込まれる文章力だからこそ!
マジで辛い!! - 169二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 07:21:41
キヴォトスだからできた手術なんだろうな
- 170二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 16:02:30
ほ
- 171二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 16:18:29
……あれ コハル、正義実現委員会のコスプレをしてるだけの一般生徒説あったりする?
- 172二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 23:37:08
☆
- 173二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 00:57:30
実は正義実現委員会に正式に所属はしてない病弱コハルもあり
- 174二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 01:00:29
遂に二人の過去が明かされるのか
- 175二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 01:04:56
逆に、なんであの病弱っ子が正実に所属してんじゃぁー!って悲鳴を上げてるナ……様もいそう
コハルの意を汲んだ結果だろうとはいえ無茶もありえる職務を与えてる正実なんて信じられるか、って態度にもつながる - 176二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 08:16:30
補習
- 177二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 11:52:04
- 178二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 13:44:44
このレスは削除されています
- 179二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 13:45:17
いや、でもハスミの発言からして正実への所属を後押ししたのナギサだよね?
- 180二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 21:39:33
どうなんだろうか…謎は深まるばかり…
- 181二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 21:50:35
流石にコスプレだと正義的にどうよな所出てくるから、ドアラやらトラッキーやつば九郎的なマスコットとして採用された説を挙げたい。
- 182二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 21:51:18
ただの一般生徒だったなら、何の権限もねえくせに正実が殴り込みかけるしトップ同士の殴り合いは発生するしで「もう書くの辞めちまえ」レベルのヤバい存在にならんか?
- 183二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 21:53:29
多分正実に所属はしてるよ…所属経緯はこれからわかるだろうし…
- 184125/03/26(水) 22:08:15
流石に一般生徒ではなくちゃんと正義実現委員会所属だよーじゃないと流石にハスミも殴り込まないよー
まさかそこに疑問を抱かれるとは考えてなかったよーひぃん - 185二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 22:10:19
いやまあ、でしょうね
じゃないとコハルがトリニティを崩壊させる悪女にしかならない - 186125/03/26(水) 22:23:31
……そんなに悪女に見える? 描写ミスったかな……遅筆な上に意図的にナギサ視点を伏せてるのもあるけれど……
ひぃんなんだか今後の展開に自信がなくなってきたよー皆が望むものとは違うものをお出しする可能性が高いけれど、所詮落書きでしかないから大目に見てほしいよー
コイツに任せてられねえ自分なりに書く!って人がいたら喜んで見に行くよー - 187二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 22:31:27
コハルが一般生徒で正実じゃなかったら
トリニティがコハルが起点となって滅びたら
が起こった場合は将来的に歴史で悪女と呼ばれてしまう……みたいなのは起こるかもねー
実際現実でもそういうのあるらしいからあんま気にしなくて良いと思うよー
- 188二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 22:35:18
正実所属って前提を疑う要素はないと思うけど…
今やってる回想が病弱だけど正実に所属できた理由の部分だろうしね - 189二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 22:38:15
とりあえず自分は元からここのナギサはコハルに脳焼かれてると思ってたが
業火で焼かれた疑惑出てきてワクワクすっぞ!
激重感情持ってるならそりゃ色々おかしくなるわな - 190二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 06:51:24
ほ
- 191二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 09:12:25
そろそろ次スレだね
キリちゃん一体何があってこうなったんですかねぇ - 192二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 17:42:10
神(スレ主)のみぞ知る…
- 193二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 18:00:16
あー続きが気になって夜しか寝れない…
- 194二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 18:34:22
ショッピングモールでたまたま出会った亜麻色の貴人(仮)からキリちゃん呼びになるほど仲良くなれるコハルコミュ強すぎる
- 195二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:10:20
次スレ待機!
- 196二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 08:13:41
待機
- 197二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 15:30:44
待機
- 198125/03/28(金) 20:21:22ここだけ病弱コハルその11|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す……どころか心臓発作を起こすくらい虚弱で病弱なコハルが主人公のエデン条約編再構成小説スレ体は弱くて脆いけど、原作同様正義感は強いし代わりに学力が上がってる。現在過去回想。亜麻色の…bbs.animanch.com
お待たせしました次スレだよーただまだ投稿はできないのでほんとにスレ立てただけだよーごめんねー
- 199二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 20:21:58
ありがとー
皆様が健康でありますように… - 200二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 20:39:29
立て乙うめうめ