先生、抱いて欲しいの

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:34:07

    先生はモモトークの通知音で目を覚ました。

    いつの間にか眠ってしまったらしい。頭がぼんやりとしてうまく思考がまとまらなかった。二徹目ぐらいで倒れてしまうなんて先生にしては珍しい。 なぜかトリニティでの騒動がシャーレに飛び火して炎上してしまった光景が思い浮かぶ。 "変な夢だ……" 先生はモモトークを確認するとリオからだった。

    『今から行ってもいいかしら?』

    『先生に頼みたいことがあるの』

    リオからのメッセージに先生は特に疑問も持たず「いいよ」と返信した。


    リオはすぐに来た。いつもよりも緊張しているようだった。

    先生は不思議そうに首をかしげる。

    「ええ、先生にお願いがあって……」

    「先生、抱いて欲しいの」

    "な、なにを……?"

    >>5よ」

  • 2二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:15

    ヒマリ

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:18

    大志

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:32

  • 5二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:32

  • 6二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:33

  • 7二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:35:47

    大志

  • 8二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:36:07

    ド直球!

  • 9二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:37:07

    はー待て待て、今のところ抱きしめるの可能性が高いぞ?

  • 10二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:38:28

    エ駄死にいくなよ?…フリじゃねぇぞ?

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:48:11

    "いやダメだよ!"

    「なぜ?親しい間柄なら抱くことはあるでしょう?」


    リオは小首を傾げた。私と先生はそういう関係なのではなくてとでも言いたげな表情をしている。


    "えっ……?"

    「モモイがミドリを抱いているところやノアがユウカを抱いている場面を見たことがあるわ」

    "キヴォトスそんなにドロドロしていたっけ?"

    "うら若い生徒が先生にそんなこと言っちゃダメだよ"

    "悩みがあるなら聞くよ"

    「……私を抱いてくれない人がいるのが悩みかしら。抱かれることは健康に善いはずなのだけど」


    健康、という言葉で先生は少し引っかかった。二徹目の頭をフルに活用して答えにたどり着く。


    "抱擁ってこと?"

    「ええ、そうよ。それ以外になにがあるのかしら?スキンシップだけでオキシトシンなどが分泌されるの。合理的じゃないかしら?」


    リオは心底不思議そうな顔をしていた。


    シャーレの一室で先生はリオを抱きしめた。

    "これでいい?"

    「……思ったよりも効果は薄そうね」


    リオは残念そうに言った。先生としては生徒を抱きしめるなど気が気でない行為である。

    クロノスに知られたら熱愛発覚など言われてシャーレが炎上してしまうかもしれない。


    >>15の状況で検証してみるのもいいかもしれないわね」


    合理的でしょうと言わんばかりの笑顔だった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:49:14

    夜の寝室

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:51:19

    キヴォトス中にネット配信

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:51:31

    ウサギ公園

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:52:22

    なぜ!?

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:52:58

    全裸

  • 171525/03/15(土) 20:55:15

    やべ。ネット配信が安価踏んでると空見しちゃって踏んじゃった。
    すまねぇ

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:56:47

    再安価か

    1個下(この場合 >>16 か)にするか

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 20:59:27

    >>18

    一個下にしましょう(願望)

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:02:44

    もう書き始めちゃったから許せ


    "『なぜ!?』ってどういう状況なのかな"

    「今回はハグの検証のために宣言をしてお互いに緊張状態で行った。けれど、ハグやスキンシップは唐突に行われるものでしょう?」

    "……そうかな?"

    「だからこれから先生が『なぜ!?』と思うであろうタイミングでハグすることにするわね。先生と私の肌さみしい感じも解消できて合理的でしょう?」

    "そうかも……"

    「抜き打ちテストのパラドックスかもしれないけれど、そのタイミングで現れるわね」


    確定申告の時期が来た。

    「これ、どうなっているです?」

    "これなんだけど、ダメ?"

    「それはダメです。先生の趣味ですよね?」

    ユウカはぶつくさ文句を言いながらも楽しげに手伝いに来てくれた。

    リオがハグに来たタイミングは>>24だった。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:07:28

    ksk

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:07:58

    仕事に集中し始めた時

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:08:05

    着替え中

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:08:15

    シャワー中

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:08:34

    入浴中

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:08:46

    これは「なぜ!?」

  • 27二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:25:40

    「先生、ちょっと臭いですよ……」

    "確定申告やら業務やらで忙しかったからね"

    「シャワー浴びてきてくださいね。その間進めているので」

    ユウカのような女の子に言われると少し心が傷つく。

    先生は大人しくシャワー室に向かった。服を脱ぎ、お湯を浴びる。体が蘇るような感覚になった。

    その時、シャワー室のドアが開いた。

    "ユウカ……?"

    先生が振り返るとリオがいた。流石に全裸ではなくスクール水着を着ていた。ただ、色んな場所がキツそうだった。

    "なぜ!?"

    「私は『なぜ!?』というタイミングで来ると言ったはずよ。ハグの検証をしましょう」

    "ユウカがすぐ近くにいるから!"

    「ええ、バレないように入ってきたわ。先生が騒がなければユウカにはバレないわね。私もユウカにはここにいることがバレたくないわ」

    リオは気がついていないようだが、ただの脅しである。

    彼女は手を広げた。先生のハグを待っている。

    先生はタオルを腰に巻いてリオを抱きしめた。

    「んっ……」

    リオは少し甘い声を出した。その声は流しっぱなしのシャワーの音にかき消されて先生ぐらいにしか聞こえないだろう。

    「これは、少し刺激的すぎたかしら?」

    リオは潤んだ目で先生を見上げる。シャワーのせいかリオの頬は赤くなっていた。

    「ドキドキするわね。ハグによるリラックスとはほど遠いわ。でも、なんというかもっと……」

    『いつまでシャワーしているんです?溺れたんですか?』


    ユウカの声がした。

    幸いなことに、入り口から声をかけただけのようなのでリオの存在には気がついていないようだった。

    "すぐ出るよ!"

    先生でユウカが遠ざかって言ったようだ。先生とリオはすぐにシャワー室を出た。


    ユウカのおかげで確定申告の書類は揃い、久々に先生は自宅に帰ることが出来た。

    リオが現れたのは>>31のタイミングだった。

  • 28二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:30:05

    ksk

  • 29二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:30:42

    自宅の洗面台の鏡を見た時

  • 30二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:31:34

    自宅の玄関を開けた時

  • 31二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:32:03

    ドラマの濡れ場観てるとき

  • 32二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:33:29

    気まずい

  • 33二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:34:24

    そもどうやってそういう絶妙なタイミングを察知してるんだ

  • 34二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:51:29

    久々に帰ることが出来た自宅は他人の家のようだった。

    けれど疲れ果てた頭と体では半額弁当を食べながらぼーっとすることしか出来なかった。

    無音が寂しい。キーンという耳鳴りがする。

    先生はテレビをつけてチャンネルをいくつか変えた後、全く追ってないドラマを見ることにした。

    知らない人物が知らない会話をしているが無音よりもマシだった。冷めきった唐揚げはあまり美味しくなかった。


    ピンポーン。

    自宅のチャイムが鳴った。こんな時間に訪れてくる人間はなんだろうか。

    「先生、お邪魔するわね。遅いから差し入れも持ってきたわ」

    リオがいた。手提げ袋には半額弁当が入っているようだ。唐揚げのようである

    "寂しかったところ。入って"

    「ええ……」

    リオは入ってから先生の自宅をキョロキョロと見回した。つけっぱなしのテレビやら棚やら不思議なものはない。

    "珍しいものはないと思うけど……"

    「初めて先生の自宅を訪れたのですもの。記念すべき日になるわね」

    "それでもなぜってタイミングではないね"

    「……変ね」

    リオがなぜ疑問に思ったのか先生は聞き逃した。

    リオをギュッと抱きしめる。その瞬間に……。

    『あ……んっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ〜〜♡ん……っ♡』

    テレビのドラマが濡れ場になった。わざとらしい喘ぎ声が静寂を破った。

    "なぜ!?"

    「なるほど。こういう『なぜ!?』もあるのね」

    気まずくなった2人はハグをやめることにした。テレビを消しても沈黙は続く。

    "唐揚げ弁当と唐揚げ弁当が被ってしまったね"

    「ええ……」

    その後は遅くなったのでリオを家に泊めた。


    次にリオが来たのは>>37をしている時だった。

  • 35二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:54:19

    料理

  • 36二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:55:38

    女装

  • 37二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:55:58

    リオへのプロポーズの準備

  • 38二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:56:39

    なぜ!?

  • 39二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:57:13

    何があったんだよ!

  • 40二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 21:58:04

    なんという急展開

  • 41二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:17:10

    これがアニメだとすると1クールくらい時間飛んでる

  • 42二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:26:11

    人は長く顔を合わせる人間に好意を持つという。

    先生は何度も何度も『なぜ!?』というタイミングで現れてハグをしてくるリオに好意を持ってしまった。

    だからリオにプロポーズの準備をする。急に先生からプロポーズされていい気分になる生徒などいないだろう。

    先生はきっぱりとフラれる覚悟を決めていた。


    "先生と生徒が恋愛するのは間違っているよ"

    "フッた相手にハグをしにくるなんてありえないよね"

    "だから合理的だ"


    無意識に言った『合理』という言葉に苦笑いをした。リオの口癖がうつってしまったようだ。

    さて、フラれたら居酒屋でおでんでも食べようと思ったその時だった。

    後ろからリオに抱きつかれた。


    "なぜ!?"

    「ええ、今が『なぜ!?』というタイミングだと送られて来たのよ。珍しく無言で抱きつけと注釈までついていたわ」

    "リオ、大事な話があるんだ……もう、こういう関係を終わりにしたい"

    「……。そうなのね。もう十分にデータは取れていたの。先生に抱いてもらう必要はないわね」

    "……やめてくれるんだね?"

    「ええ、初恋は叶わないという話は本当みたいね……」


    先生は自分のことを見透かされたのかと思ったが、初恋という単語が引っかかった。


    "初恋……?"

    「ええ、恋愛感情なんて合理的ではないもの。そんな物にかまけるなんて無駄だと思っていたはずなのにね」


    モモトークの通知音がした。先生の端末だった。相手はセイアのようだ。

    >>44と書かれていた。

  • 43二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:29:29

    ksk

  • 44二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:31:31

    抱けー!抱けー!!!

  • 45二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:45:13

    "なぜ!?"

    先生は混乱した。突如としてセイアからそんなことを言われるなど予想してない。

    けれど、その言葉は先生の背中を押した。今にも泣き出しそうなリオを抱きしめる。

    「なぜっ!?」

    リオは先生に体重を預けた。

    「私はフラれたのよ。なんで抱きしめるのよ」

    彼女は消えるような声で言った。

    「おかしいわよ……同情なの……?なんで?」

    彼女が泣いていることはすぐにわかった。

    「……それでも安らいでしまうわ」


    セイアは自室で独り言を言っていた。

    「抜き打ちテストのパラドックスとは、未来が関わるパラドックスのことだ」

    「『未来の予測できない時に起こる』と『いつまでに起きるかという期限は決まっている』は後者の制限によって矛盾が生じる」

    「今回のことは厳密には違うね。でも未来の『なぜ!?』というタイミングを知るために私を使うなんてね」

    「おっと、そろそろ先生とリオから>>48の連絡が来る頃だ」

  • 46二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:50:11

    ksk

  • 47二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:55:56

    取り敢えず婚約者から

  • 48二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:56:09

    お付き合い

  • 49二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 22:56:14

    このレスは削除されています

  • 50二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:05:02
  • 51二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:09:42

    うおおおお!!

  • 52二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:16:31

    「健全なお付き合いから始めるそうだ。ピュアすぎないかい?」
    「もうほとんど裸の付き合いやらしているというのに……」
    セイアの独り言はそこで終わった。

    先生はモモトークの通知音で目を覚ました。
    いつの間にか疲れて眠ってしまったらしい。ブランケットが肩にかかっていた。
    リオがやったのだろうとなんとなく先生は思った。
    『今から行ってもいいかしら?』
    『先生に頼みたいことがあるの』
    リオからのメッセージに先生は特に疑問も持たず「いいよ」と返信した。

    リオはすぐにやってきた。隣の部屋にいたようだ。そしていつもよりも緊張しているようだった。
    先生は不思議そうに首をかしげる。
    「ええ、先生にお願いがあって……」
    「先生、抱いて欲しいの」
    「今度はそういう意味で。お互いを深く知るには合理的よね?」


    おわり

  • 53二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:17:39

    良いSSをありがとう…!
    最高でした!

  • 54二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:25:09

    おまけ 普通に書いたやつ
    「先生、抱いてほしいの」
    リオの放った言葉は二徹目の先生の脳には大きな爆弾だった。
    キヴォトスでは!!という幻聴が聞こえたが、先生は振り払うことにした。
    "自分を大事にしなきゃダメだよ"
    "生徒に手を出すのはキヴォトスでも犯罪だよ"
    "リオ、思い詰めているなら話してみて"
    色んな言葉が浮かんだが、どれも違うような気がした。全生徒の味方である先生にとっては荷が重い。
    けれどなぜかシャーレを中心とした一帯が火の海になるイメージが離れなかった。シャーレの炎上など御免こうむる。
    「それでどうかしら? 先生に頼むのだからこれぐらいの謝礼を……」
    "お金を渡されてもダメなものはダメだよ"
    「これには合理的な理由があるのよ。オキシトシンという物質を知っているかしら。幸せホルモンと呼ばれていて、人との会話や触れ合いで脳下垂体を介して血中に放出されるの。抗ストレス作用や摂食抑制作用を持つわ」
    「私は隠遁生活で孤独を抱えていた。だからそれを解消する必要があったの。人肌が恋しいという感情は非合理的でしょう?」
    リオは目を伏せた。
    「だから作ったのよ、ロボットの犬を。これなら世話をする必要もないわ」
    リオが連れてきたロボットの犬は先生の足元でじゃれついていた。本物の犬のような人懐っこい仕草をしていた。
    "この犬を抱いて欲しいってことだね!"
    「ええ。それ以外に意味は、あっ……」
    リオは手に持った端末を軽く振った。彼女は赤面し、耳まで赤くなっている。
    「違うのよ!」
    リオの叫びは二徹目の先生の頭に響いた。

  • 55二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:26:00

    "くくっ、たまらん……!"
    "ここがいいのか? ここか? ……ここなんだな?"
    "もっと可愛い顔を見せて? ふふ、気持ちよさそうで可愛いね"
    先生は無邪気にロボット犬と戯れていた。撫で、抱きしめ、頬を擦り寄せる。
    疲れ切った体には、この癒しが何よりの薬だった。
    "はぁ、はぁ……よかったよ、リオ”
    しかし、から元気であり息は切れている。
    「ふふ、先生が随分と夢中だったことは伝わったわ」
    先生の脳波や心拍数はリオの手元の端末に届いていた。先生のストレスは解消されている。
    "そういえばなぜこんなことを?"
    「セイアがこのロボット犬を欲しがっていたの。ティーパーティーへの贈り物には気を使う必要があるでしょう?」
    "……学園間で色々あるからね"
    「先生のおかげで数値で示すことができたわ。このデータを元にさらに改善することができるわ」
    リオは満足そうだった。
    "役に立ててよかった"
    先生はリオの穏やかな表情を見て心からそう思った。
    だが、限界だった。二徹の身体で激しく動き回り、全力でロボット犬と戯れた末の結末。
    "……あ、ヤバ……"
    先生はぐらりと揺れ、そのまま床に崩れ落ちた。
    「先生?」
    リオの声は届いていなかった。

  • 56二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:26:34

    先生が床に崩れ落ちた。
    リオは一瞬だけ目を丸くしたものの、すぐに冷静さを取り戻す。装置のデータを確認すると、心拍数が急上昇した後に安定しつつある。過労と緊張の緩和による意識の喪失。ただの気絶だ。
    リオは先生の腕をそっと持ち上げ、肩に担ぐようにして立ち上がる。仮眠室へ運ぶ彼女の後を、ロボット犬がトコトコとついてきた。
    仮眠室にたどり着くと、リオは先生をベッドに横たえ、ブランケットをかける。寝息はすでに規則正しく、深い眠りについていた。
    「これでいいわ。休息が一番の治療よ」
    そう呟き、リオはベッドの横に腰を下ろした。ロボット犬が近づき、彼女の膝に前足を乗せる。
    「あなたまで甘えてくるの?」
    リオは軽く笑い、ロボット犬の頭を撫でた。その感触は冷たく機械的だが、どこか心が落ち着く。
    ふと、先生の寝顔に目をやる。疲れた表情が少しずつ和らいでいた。
    「オキシトシンの効果は確かにデータで証明されてるけど……」
    リオは手を伸ばし、ためらいがちに先生の手を握る。温かい。ロボット犬の冷たい感触とは違う、人肌のぬくもりだった。
    「これが…生身の触れ合いなのね」
    胸の奥に、初めて感じるぬくもりが広がった。孤独を埋めるために作ったロボット犬では決して得られなかったものだ。リオの手は自然と先生の髪をそっと撫で、疲れた顔を労わるように動く。
    「非合理的だわ。でも…悪くない」
    微かに熱を帯びた頬を隠すように目を伏せ、非合理的な考えを振り払おうとした。
    「それでも……人肌に触れるのは、合理的なデータ収集かもしれないわ」
    そう言いながら、リオの指は先生の手を優しく包む。ぎゅっと握るわけではない。けれど、離れる気もなかった。指先に伝わるぬくもりが、確かめるようにじんわりと広がっていく。気づけば、彼女の腕はそっと先生の背に回っていた。まるで壊れものに触れるように、慎重に、そして名残惜しそうに。
    「……十分よ」
    そう呟いたものの、リオの手はまだ先生の背中に添えられたままだった。服越しに伝わる体温が心地よく、しばらく動けない。ゆっくりと指を動かし、確かめるように先生の背中を辿る。それに合理性はなく、ただ心が求めた動きだった。
    「先生が眠ってる間に、データ整理を済ませておくわ」
    離れたはずなのに、リオの指先にはまだ先生の温もりが残っていた。リオは立ち上がり、ロボット犬を連れて仮眠室を出た。

  • 57二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:27:37

    "くくっ、たまらん……!"
    "ここがいいのか? ここか? ……ここなんだな?"
    "もっと可愛い顔を見せて? ふふ、気持ちよさそうで可愛いね"
    "はぁ、はぁ……よかったよ、リオ”
    『ふふ、先生が随分と夢中だったことは伝わったわ』
    "そういえばなぜこんなことを?"
    『セッ』
    リオは涼しい顔で音声データを途中で止める。ロボット犬の検証データを出そうとして誤ったのだ。
    ここで焦るようなら、リオはミレニアムサイエンススクールの生徒会長をしていない。
    たとえここがティーパーティーのメンバー、百合園セイアの前であってもだ。
    「あら、ごめんなさい」
    セイアは眉をひそめた。
    突然の出来事に、ティーカップを持つ手が一瞬止まる。取り巻きのトリニティの生徒たちもざわめきを見せるが、セイアは視線だけでそれを制した。
    (……待て。これは、どう聞いても……いや、しかし……ッ!)
    (だが、リオがこんな迂闊なミスをするだろうか? 何か意図が……?)
    彼女の理性的な思考と、単純な驚きが交錯する中で、リオの次の言葉が放たれた。
    「これは先生に抱いてもらった時の音声データが、誤って再生されてしまったようね」
    「何をやっているんだ、君はァ!」
    セイアの声はよく響いた。
    「あっ、違うの。誤解よ……」
    「いや、これ、どう聞いても情事中の音声じゃないか!」
    当然ながら、トリニティの生徒たちは黙っているはずもなく――シャーレは炎上した。

    おまけ おわり

  • 58二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:41:14

    何やってんだお前ェ!!
    良いSSをありがとうございました!

オススメ

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