- 1二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:10:34
「ふぅ………」
相変わらず仕事に追われる夜、今頃は別室でアコも忙しそうにしていることだろう。そしてこんな夜こそ
「チャンス、ね」
いそいそと取り出すのはインスタントコーヒーの瓶、アコに見られたらショックを受けるだろうから普段は隠しているんだけど……正直、こっちの方が美味しいんだもん。
「今日は……うん、クッキーがあるわね」
それもチョコチップ。チョコ多めだと互いの良さを引き立て合ってさらに嬉しい。
なんてお菓子を探している間にお湯も沸いた、今日は甘めのお菓子だし思いきって熱いお湯をそのままに淹れて苦味を強めてみる。上手くいくかしら?
「ん……」
未だ沸騰しているソレを口に含んでみるとやっぱり苦味は強めで、すぐさまクッキーを口に放り込んで咀嚼する。
「ふふ……」
途端に広がる苦味と甘みのハーモニー、実に素晴らしい。次はクッキーを口の中で溶けるまで味わい尽くして、甘ったるくなってしまった口に……
「これも、悪くないわね」
強めの苦味が口の中をサッパリさせてくれる。カフェインを摂取した事で眠気も抜けてきたし、甘いものを食べたから元気だって出てきた。
「面倒だけど、終わらせないともっと面倒だものね」
一人でこっそり行う夜中のお茶会。最近の私の仕事を支えてくれているのは、先生から教わったコレだった。
「……でも、私はともかく先生はコレを繰り返して大丈夫なのかしら」
ふと気になったので、今度チナツ辺りを派遣して様子見してきてもらおう。なんて考えながらも、私の身体は片付けを済ませて再び仕事に向かっていくのだった。 - 2二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:11:03
こんな話がもっと見たいです!よろしくお願いします!
- 3二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:16:44
俺も見たいから続きをおくれ
- 4二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:17:47
当店
- 5二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:20:46
もう出したんですが!?
- 6二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:21:34
辻してええんか?
- 7二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:22:39
ええんやで
- 8二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:40:41
夜中にちょっとしたお茶タイムするのいいよね
- 9二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:53:18
よっしゃ!書くか!
……明日やるか…… - 10二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:53:34
今やれ
- 11二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 21:54:03
お腹減ったの人?
- 12二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 22:04:40
別人やで
- 13二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 22:08:14
ヒナちゃんにはこういう時間が必要だと思いました
- 14二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 22:24:53
「……そろそろいい時間ね」
アコを先に帰らせてからヒナは業務をいつもより手早く終わらせた。それでももう夜中と言っていい時間だろう。
彼女は机の中に仕舞っていた紙袋を取り出した。
「ふふっ、これはちょっとしたご褒美ね」
ちょっとお高めのショートブレッドをヒナは取り出した。先生が紅茶に浸して食べると絶品だとおすすめしていた。
「紅茶はあれにしようかしらね」
棚の奥には万魔殿から拝借していた贈答用の紅茶がある。
先生の話を聞いてから今夜は紅茶の気分だった。
「紅茶よし、お菓子よし、ね」
ヒナはショートブレッドを半分に割った。先生のおすすめ通りまずはそのまま食べてみる。
「んっ…。これは美味しいわね」
強いバターの味が口いっぱいに広がる。シンプルな材料だからこそ味に違いが出るのだ。時間のない時に食べている栄養補助食品とは比べ物にならない。
「あれと材料は変わらないはずなのにね……」
もう半分を紅茶に浸した。そして小さな口でかじりつく
「なるほど、ね」
彼女の表情がふっと緩んだ。紅茶の芳醇な香りがバターの濃厚な風味と混ざり合い、口の中で絶妙なハーモニーを奏でる。
先生の言葉通り、その組み合わせはシンプルながらも深い満足感を与えてくれた。
「確かに絶品ね」
ヒナは小さく呟いた。普段は多事にかまけて味わう余裕のない日々だが、こうして一人の時間を丁寧に味わうと心までほぐれていくようだった。
ショートブレッドを食べ終え、紅茶を飲み干すと、ヒナは軽く目を閉じて一息ついた。
「先生には感謝しないとね」
机の上を片付けてヒナは業務を再開した。最初の書類は美食研究会の起こした爆破事件だった。
(そういえばあのショートブレッドのお店は美食研究会が宣伝していたわね)
「それはそれ、これはこれよね」
ヒナはいつも通りの判断を下した。 - 15二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 22:29:14
9じゃないけど書いてみるぜ
「はぁ、疲れた...。」
夜の1時、問題児たちも寝静まる夜更け。私はマコトに任された...もとい押し付けられた書類仕事のせいで、今日もこの時間まで起きていた。
漸く仕事が終わり一息。普通なら一刻も早く寝る準備をするのでしょうけど、最近はむしろこの時間を楽しみにしている私が居る。...深夜の『一人お茶会タイム』なんてメルヘンチックな時間を、あの風紀委員長が楽しみにしている...なんて噂が流れたら笑われそうだけど。
まあ、笑いたければ笑えばいい。誰に聞かせるでもない強がりを頭の中で唱えながら、今日のプランを練る。...と、言ってももう何を食べるかは決まっているのだけど。
「今日はこれね。...あんころ餅。」
以前百鬼夜行に行ったときに味わった、お餅を餡子で包んだ、えっと、『和菓子』...だったかしら。初めて食べたのだけれど、餡子の滑らかな舌触りと上品な甘み、そして噛んだ時の程よい弾力感にすっかり心を奪われてしまった。
今日のこれは...偶然出先で出張販売しているところを見つけたので手に入れることが出来た。...ちょうどいい場所で暴れてくれた不良には少しばかりの感謝をしておいた。
竹の皮を使った包装を剥がすと、中からあんころ餅が現れた。餡子の甘い香りと、竹の皮の独特な香りが相まって、何とも不思議な匂いを醸し出している。...ゲヘナじゃ絶対に堪能することが出来ない香り。この香り、キライじゃない。心が落ち着くような、日々の喧騒を忘れるような、そんな匂い。いつのまにか、自然と頬も緩んでいた。
「ふふふ。...そう、こんな香りだったわね。」
そう独り言ちて、私は爪楊枝に手を伸ばした。
(続きます) - 16二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 22:57:26
井の字を書くかのように、あんころ餅を9等分する。爪楊枝によって切れ目が入っていく様子は、なぜか見入ってしまう。滑らかな表面が分割され、分断されていく。なんというか、うまく説明できないのだけれど、心が休まる。
不思議な話。私はまだ一口も食べていないのに、もう安息感を感じている。これが『和菓子』の持つ魔法なのかしら、なんて考えながら、1切れのあんころ餅を口に運ぶ。
「いただきます。」
口に入れた瞬間広がる優しい甘み。餡子の滑らかなくちどけ。ゆっくりと、ゆっくりと咀嚼を始めると、中に入っているお餅を感じ始める。私は目を閉じ、ゆっくりと咀嚼を続ける。口の中で餡子がお餅に混ざっていくのを感じる。餡子の甘さと、お米から来るお餅の甘さ...。別のベクトルの優しい甘みが交差し、私の味覚を、脳を刺激する。
「...美味しいわ。」
感嘆のため息を吐くように私の口から声が漏れる。喜んでいるのは私の脳だけではないようで、腕も足も、羽さえからも力が抜けていっているのを感じる。「このお菓子が大好き」と言うことを全身で感じ、全身で表現してるみたい。
そんな多幸感の中、ふと思い出す。
「忘れてた。あんころ餅とだったら、コーヒーと紅茶じゃダメよね。」
(続きます)
- 17二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:14:02
食器棚を開き、百鬼夜行で買ったお土産をコトリ、と机の上に置く。湯呑と急須...だったわね。どちらとも、百鬼夜行の伝統的な緑茶を楽しむために必要なもの。...緑茶をコーヒーカップに入れるのは風情がない、なんて言われて買わされたものだったけど。
お茶っ葉の缶を取り出し、ふたを外す。むわっとした少し渋めの匂いを感じながらも、急須の中に適量茶葉を入れる。後はお湯を入れるだけ。...魔法瓶を買っておいてよかったわ。すぐにお茶を楽しめるから。
急須にお湯を入れ、少し待つ。茶葉がお湯の中で揺蕩い、その体からお茶成分を出す。私はどちらかと言うと濃いお茶の方が好き。コーヒーのものとは違う、どことなく渋さを孕んだ苦みと香りが心が温めてくれるから。
「そろそろいいかしら、ね。」
出来上がった緑茶を湯呑に注いでいく。こぽこぽと可愛らしい音が立ち、湯気が見え始める。湯呑の半分くらいまで注いだのを確認すると、急須を置いた。
湯気の量が少し減ったのを確認してから、私は湯呑を口に運ぶ。...もしかしたら、まだ少し熱いかも?と思ったが、そのまま緑茶を飲む。
途端、口の中に広がるじんわりとした苦み。そう、これだ。この苦みが好き。主張しすぎることもなく、かといって感じなさすぎることもない上品な苦み。舌の上に残った餡子の甘みが洗い流されるのを感じる。こうやってお茶で口の中をリセットすることで、またあんころ餅の甘みを一から味わうことが出来る。...ちょっとした永久機関ね。
「ふぅ...。」
湯呑を机の上に置き、天井を仰ぐ。ため息に乗って、疲労が全部飛んで行ってしまったような気がした。これだか、ら深夜のお茶会はやめられない。私の中ではもうすっかりライフワークの一部になってしまった。
さあ、まだまだお茶会は始まったばかり。残り8切れのあんころ餅と熱々のお茶が、私を待っている。
- 1815・16・1725/03/16(日) 23:15:42
終わりです!
地元のあんころ餅をヒナに食べて貰いました!
また思いついたら書かせてもらうかもしれないです! - 19二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:22:31
あんころ餅っていうのかこれ
美味しそうやね
ヒナちゃんが気に入るのも納得 - 20二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:35:02
餅を餡子で包むってのが美味しそうよね
ちゃんとした餡子じゃないと途中で崩れちゃいそうだから口触りも良さそう - 21二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:42:43
(お腹空いたわね…)
ゲヘナ生はいつでも問題を起こす。それがたとえヒナが久々に自宅で寝ている時にでも。
「はぁ、今から後始末ね」
不良たちの鎮圧を終えて、ヒナはトボトボ風紀委員会の本部に向かった。家で休める日なんてあまりなかったのに仕方ない。
「この時間にやっている場所なんて……」
ヒナは24時間営業のバーガーショップの明かりを見つけた。煌々と夜の通りを照らしていた。
「そのカロリーは体に悪いわよ」
自分に言い聞かせたが、腹の虫がグゥ〜と鳴った。
ヒナはフラフラとバーガーショップに入っていく。
アップルパイとカフェオレを自分の机に置いた。
(…軽く食べるだけにしよう)
重たいものを食べたら眠ってしまいそうなほど疲れていた。けれど後始末の書類を書くにはなにか食べなければやってられない。
ヒナはカフェオレを一口飲んだ。
カフェオレの温かい甘さがヒナの疲れた体にじんわりと染み渡った。ほのかに香るコーヒーの苦味が、眠気を抑えつつ彼女を落ち着かせてくれる。アップルパイのパイ生地の香りが漂い、空腹をさらに刺激した。
「こんな脂っこいものがいい匂いに感じるなんてね」
ヒナはアップルパイを一口かじった。
サクサクのパイ生地と甘酸っぱいリンゴのフィリング、そして油の香りがする。それすらも疲れ切った心と体に小さな幸せをもたらした。
「ジャンクフードも悪くないわね」
アップルパイを食べ終えてから書類を広げた。ヒナはもう一口カフェオレを飲んだ。
「後始末さえ終われば、少しは眠れるかしら」
ヒナはペンを手に取った。カフェオレを片手に書類に向き合い始めた。 - 22二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 06:59:17
個人的にインスタントのお茶と安いお茶請けでちょっとした幸せを感じて息抜きして欲しい生徒No. 1
そんなヒナちゃんのこの概念は良いものだ……