- 1二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:20:12
魔法が使えるファンタジーな世界にて、見習い錬金術師のリーリヤがおりました。
彼女には錬金術の才能はありませんでしたが人一倍に努力ができる娘でした。
そんなある日、カフェの席で読書に浸っているとリーリヤはふと考えました。
(どうしたらセンパイに私の気持ちが届くのだろう?)
リーリヤには三つ年上の男性がいました。錬金術師の先輩で錬金術の右も左もわからないリーリヤに手を差し伸べ、術を教え、心の支えとなり共に歩んだ。
そんな日々を過ごしている内にリーリヤが先輩に抱く気持ちは尊敬は敬愛へと変わっていった。
いつしかリーリヤは自分の気持ちを先輩に伝えようとアプローチを仕掛けたが未だに伝わっていない。
どうすればいいのか。ただそんな事をひたすらに考えていると空いている隣の席に二人の同学年の女子が座る
モブ1「ねぇねぇ、知ってる?ウチの隣クラスの〇〇がさー、〇〇先輩に媚薬を盛ったんだって」
モブ2「マジ!?アイツ前から好きな先輩を媚薬で落とすのは負けた気がしてイヤだって言ってなかったけ?」
モブ1「それがさぁ、なかなか好意に気付いて貰えなかったから我慢ならずにやっちゃったって」
モブ2「マジかwそんでアイツらどうなったん?付き合った?」
モブ1「〇〇先輩が責任とって付き合ったらしいよ」
マジか!とゲラゲラと笑いながら雑談をする女子たち。そんな会話を耳にしてリーリヤは一つの考えに至った。
(よし、媚薬を作ろう)
読んでいた本を閉じ、リーリヤは決意した。媚薬を使ってセンパイに私の気持ちを伝えるんだ!と……… - 2二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:26:36
いいねぇ
- 3二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:28:22
- 4二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:36:51
プロデューサーに媚薬盛りそうなやつ
- 5二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:49:50
アイドルの能力=魔法の能力なら普通に何の面白みもなく調合成功させそうな奴来たな…カッコつけようとしてやらかしそうだけど
- 6二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:01:27
手毬「リーリヤ何しているの?」
近寄りがたい雰囲気を漂わせながら、リーリヤと同学年の見習い錬金術師。自称クールの月村手毬が声を細めて語りかけて来た。
リーリヤ「あ、月村さん。少し探し物をしてまして」
手毬「探し物?何を探しているの?教えてくれるなら私も一緒に探して上げるから」
リーリヤ「わぁ!ありがとうございます。やっぱり月村さんは優しいですね」
手毬「か、勘違いしないで!ただ暇だから付き合って上げるだけだから!それでリーリヤは何を探しているの?」
リーリヤ「実は媚薬のレシピを探していまして」
手毬「媚薬?何それ?新たな劇物か何か?」
リーリヤ「いえ、毒ではないんですけど。どうやら、それを好きな人に贈ればその人と結ばれる薬みたいです」
手毬「好きな人と結ばれる……」
リーリヤの言葉を聞いて手毬は何かに思いふけると、笑みをこぼしてやる気に満ちた目になった。
手毬「よし、リーリヤ一緒に探そう!その媚薬っていう薬のレシピを!」
リーリヤ「はい!よろしくお願いしますね月村さん」
月村手毬が仲間になった - 7二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:29:17
手毬とリーリヤが一緒になって媚薬のレシピを探し始めて一時間が経過しようとした。
図書館にある錬金術の本をあらかた調べた。けれど媚薬に関するレシピがあるどころか媚薬の『び』の文字も存在していなかった。
手毬「リーリヤ、そっちは見つかった?」
リーリヤ「いいえ、こっちも見つからないです」
二人は最後に残った本を閉じて、本を積み上げた。
手毬「はぁ、探したけどここにはないみたいだね」
リーリヤ「そうみたいです。どうしたらいいんでしょうか?」
手毬「……それなら他の人にあたってみる?もしかしたら媚薬のレシピを知っているかもしれないし」
リーリヤ「それは良い考えですね」
手毬「それじゃあ、dice1d14=13 (13) に聞いてみる?」
リーリヤ「そうですね。でもその前にこの本を元の場所に直さないと」
リーリヤはそう言うと調べ上げた本の山を見る。テーブルの上に大量の本積み重なれ、手毬とリーリヤお互いの姿が見えなくなっていた。それを見た手毬は疲労の顔と共に深いため息をついた
- 8二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:31:25
本当に知ってそうな奴来たな……
- 9二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:31:58
こういう昔話チックな語り好き
- 10二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:32:02
Syng up!はSyng up!と惹かれ合う。
- 11二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:32:03
- 12二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:35:05
乙。期待のスレやこれは
- 13二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 00:35:48
あに燐来たな
- 14二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 02:21:17
リーリヤのアトリエ
- 15二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 07:54:08
保守
- 16二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 12:28:13
気長に待ちます
- 17二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:08:43
本の片付けを終えて、燐羽が住んでいる寮の部屋に来た手毬とリーリヤの二人。外は既に満点の星空が見える夜となっていた。
手毬「燐羽居る?ちょっと相談があるんだけど……」
扉をノックしながら手毬は言う。しかし、扉の先から返事はない
手毬「燐羽居るんでしょ返事して。燐羽、燐羽!」
リーリヤ「ちょっと月村さん!?そんなに扉を強くノックしないでください。もしかしたら賀陽さんはいないかもしれないですか」
手毬「いや、絶対に燐羽は部屋に居るから。私が尋ねる時も必ず部屋に居たし」
自信満々に答えながら何回かも強く部屋の扉を叩く手毬。けれどなかなか返事が来ない。そろそろと、リーリヤは手毬に声を通うようとすると、ガチャッ!と扉が開いた。
手毬「あ!?りんh」
手毬が燐羽に声を掛けようとしたが、部屋から出て来たのは燐羽とは違うおどおどとした同学年の女子。乱れた制服で何度も手毬に謝りながら急ぎ足で部屋から出ていった。
燐羽「はぁ、せっかく盛り上がっていたのにあなたはいつも最悪なタイミングで来るわね」
手毬「燐羽!」
訳の分からない状況に困惑をしている手毬に悪態をつきながら肌着姿で賀陽燐羽が部屋から出て来た - 18二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:11:46
燐羽「それで二人して私に何のよう?」
燐羽の部屋に入った手毬とリーリヤはクッションの上に座った。
手毬「実は燐羽にアレを尋ねようと思って」
燐羽「アレ?よく分からないけど、しょうもない事だったら今すぐに帰ってもらうけど」
手毬「………燐羽は媚薬の作り方は知ってる?」
燐羽「は?」
媚薬の作り方を尋ねた手毬に対して燐羽は呆気を取られたような返事をする。けれど頭の中で理解したのか盛大に笑い始めた。
手毬「笑うところじゃないでしょ!」
燐羽「あ、ごめんごめん。まさかあんぽんたんな手毬からそんな事を言うとは思わずつい、フフフッ」
手毬「私はあんぽんたんなんかじゃないから!!」
顔を真っ赤にして手毬は怒るも燐羽の笑いは止まらない。そしていつの間にか燐羽が手毬をからかい手毬が燐羽に怒るという戦いが勃発し話が脱線し初めていた。けれどその話を横で聞いていたリーリヤは話を元に戻そうと動いた。
リーリヤ「あの!賀陽さんは媚薬のレシピをご存知なんですか?」
燐羽「知っているわよ。媚薬のレシピもその効力も、ね」
リーリヤ「その作り方を教えてもらって良いですか?」
リーリヤの真剣な眼差しに笑っていた燐羽も真面目な顔つきになった。
燐羽「そんな真剣な目されちゃ、茶化す訳にもいかないわね。誰に使うか分からないけど、特別にレシピを教えて上げる」
リーリヤ「それじゃあ」
燐羽「ただし、私のお願いを聞いてくれるならね?」 - 19二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:14:40
- 20二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:16:01
ワインを飲んで育ったさそりの尾
- 21二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:17:51
- 22二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:18:03
迷いの森のキノコ
- 23二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:30:25
効果対象の髪の毛
- 24二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 13:30:58
賢者の石
- 25二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 15:19:03
- 26二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 16:34:31
いいんじゃない?期待
- 27二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 17:39:14
それっぽい感じになったな
- 28二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 17:55:23
酩酊と毒で弱らせる感じか
- 29二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:00:11
流そうと思ったけどやっぱツッコませてくれ
燐羽様>>17でナニしてんねん
- 30二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:10:51
当然の様に喰ってる燐羽様ほんとすき
- 31二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 18:59:40
燐羽「一度しか言わないから耳の穴かっぽじって良く聞いくことね。媚薬のレシピはハツミワインで育った蠍の尾、迷い森にあるオドルダケ、そして最後に媚薬を飲ませたい対象の髪の毛以上よ」
リーリヤ「………蠍の尾とオドルダケ、髪の毛」
口頭で伝えた媚薬のレシピを一文一句聞き逃さずリーリヤはメモを取った。
リーリヤ「ありがとうございます賀陽さん、助かりました」
燐羽「別にお礼はいいわよ。それより約束通り私のお願い聞いてくれる?」
リーリヤ「はい、約束はちゃんと守ります」
燐羽「そ。なら……」
そう燐羽は言葉を溜め、魅惑的な仕草で髪を遊びながらリーリヤを舐め回すように見ると蠱惑的な笑みを浮かべた。
燐羽「なら、花海咲季さんに伝言を伝えてくれる?『次週の夜、私の部屋で二人っきりで食事してくれる?』って」
リーリヤ「え、花海さんにですか?」
燐羽「ええ、そうよ。彼女にそう伝えてくれる?……不満そうな顔をしているけど、私があなたたちにした対価に見合うほどに充分な約束よ」
伝言だけなのに不満を持つリーリヤにさっきまでの表情から打って変わって穏やかな表情で諭した。 - 32二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 19:00:12
すると、重音で時計の鐘が鳴る。
燐羽「さ、そろそろ時間よ。明日は早いんだからあなたたちも部屋に戻りなさい」
リーリヤ「あ、はい。そうします」
手毬「それじゃあね、燐羽」
燐羽「待って。手毬は残りなさい。あなたにはさっきの件と他に話たい事が沢山あるんだから」
手毬「え、でも……」
燐羽「残りなさい」
手毬「……うん」
腰を上げて燐羽の部屋から出ていこうとする手毬だったが、燐羽の怒りを孕んだ笑みによる制止によって手毬は叱られて子犬のような表情で部屋に残る事になった。
リーリヤ「それでは失礼しました」
燐羽「あ、少し待ってくれる?」
手毬を残して退室するリーリヤにまたも燐羽は制止して、リーリヤの頬にキスをした。
燐羽「マーキング。あなたは可愛いんだから私以外に食べられないようにしていなさい。それじゃあね」
唐突な燐羽からのキスにリーリヤは一時期困惑し、何が起こったのか理解した途端に一気に顔を赤らめた
その日の夜はリーリヤはあまり眠れなかったという - 33二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 19:15:10
やりたい放題すぎる…
- 34二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 19:21:10
そのマーキングほんとのマーキングだったりしないよね、、、?センパイと触れ合えなくなったりしてないよね、、?
- 35二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 21:29:13
翌日。晴れた天気の朝、リーリヤは朝というのにも関わらず欠伸をしていた。
手毬「おはようリーリヤ」
リーリヤ「月村さんおはようございます」
リーリヤは眠たい目を擦りながら歩いているとげっそりとしている手毬と挨拶を交わす。
リーリヤ「何だか元気なさそうですけど、あの後何かありましたか?」
手毬「うぅぅ、聞いてよリーリヤ!」
手毬は泣きそうな声でリーリヤにそう言うと、リーリヤが退室した後の事を話始めた。それはとても言葉に出来ないような想像を絶する事であった。
手毬「それで邪魔されたお返しにって……」
リーリヤ「それは大変でしたね」
辛さを語る手毬にリーリヤは頷きながら慰めた。すると不意に欠伸が出てきてしまった。
手毬「……リーリヤ眠たそうだね。なんかあった?」
「えっと……」と昨日を振り返るとあった出来事の恥ずかしさのあまりに顔を赤らめて言葉がつっかえた。
リーリヤ「え、いや、ナニモナカッタヨ」
手毬「怪しい……」
手毬に怪しまれながらもリーリヤはそれを誤魔化して、今日も勉学に勤しむのだった - 36二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 21:31:32
手毬「リーリヤ、今日はレシピの素材集めに行くでしょ」
勉学を終えて、リーリヤは教本を片付けていると手毬が声を掛ける。
リーリヤ「そうですね。レシピも教えて貰いましたし、今日からは本格的に集めていきたいんですが、センパイの髪の毛以外はどうやって集めれば良いか分からないんですよね」
メモを見ながらあまり目にしない素材にリーリヤは頭を悩ませていた。オドルダケは滅多に市場に出ないとされる幻のキノコである為、市場で買おうとしても学生では払えきれない値段であり、迷いの森に採取行こうとしても学生であるリーリヤたちでは通行が許可されていない。それに加えハツミワインで育った蠍の尾に至ってはそもそも蠍自体が他国にしかいない希少生物であった。
リーリヤ「蠍もオドルダケも希少となると今の私たちではどうしても……」
手毬「無理だって言いたいんでしょ」
リーリヤの言葉を遮り手毬は言う。けれど手毬の顔はリーリヤと違い自信に満ちた表情であった。
リーリヤ「月村さん?何だか自信がありそうな顔ですけど」
手毬「気付いた?実は蠍が手に入るかもしれないんだ」
リーリヤ「え!?それは本当ですか月村さん!!」
手毬「それがどうやらdice1d14=7 (7) が蠍を持っているんだって」
(手毬・リーリヤ・燐羽なら+1)
- 37二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 21:32:14
- 38二次元好きの匿名さん25/03/17(月) 21:32:17
まりちゃんが真っ当に相棒ポジやってる…珍しい。
- 39二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 01:08:28
清夏「それで私の所に来たんだ」
明るめなギャルの第一印象を受ける紫雲清夏と共にリーリヤたちは廊下を歩きながら雑談をしていた。
リーリヤ「まさか清夏ちゃんが蠍を飼っているだなんて知らなかったよ」
清夏「まあね。私の部屋に置くとリーリヤが怖がっちゃうから生物の先生に頼んで生物室に置いて貰ったんだ」
リーリヤ「もう清夏ちゃん。私は蠍ぐらいで怖がったりはしないよ」
ぷくうとリーリヤは頬を膨らませて軽く怒ると清夏はごめんごめんと軽く謝った。
清夏「あ、着いたよ」
雑談をしているとあっという間に生物室についた。「失礼します」と会釈しながら清夏が入ると続けてリーリヤ、手毬と入った。 - 40二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 01:09:14
リーリヤ「……ここが生物室」
初めて入る部屋にリーリヤは圧巻を受けた。部屋のそこら中に自然的な装飾が施されているケースが並びその中には多種多様な生物たちが暮らしていた
手毬「きゃあああ!!へへ、蛇が!」
いきなり大声を上げ、手毬は勢いよくリーリヤに抱きついた。力強く抱きしめられ苦しい思いをしながらリーリヤは手毬が指差している所を見ると、人の腕より太い蛇が床を這いずっていた。
清夏「あはは、大丈夫だよ手毬っち。こんな大きさしているけどこの子は大人しいよ。ほら!」
手毬「分かったから!それを私に近づけさせないで!!」
リーリヤ「月村さん、そんな強くすると苦しいです」
そう言うと清夏は臆することなく慣れた手付きで蛇を抱えてみせた。けれど手毬が落ち着く事は無くリーリヤを抱きしめる力は強くなった。仕方がなく清夏は蛇を元いたケースの中に入れた。
手毬「リーリヤごめんね」
リーリヤ「ゲホッ、大丈夫です。気にしてませんよ」
手毬は我と帰りと抱きしめていたリーリヤを離した。手毬が力強く抱きしめたあまりリーリヤは少しばかり咳き込んだが大した怪我にはならなかったが、清夏が蠍を持って来るまで手毬はリーリヤに謝り続けていた。 - 41二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 01:10:05
清夏「おっまたせ!これがご注文の蠍だよ」
リーリヤ「わぁ!」
手毬「ひっ!?」
清夏が持ってきたケースの中には木屑が底一面に敷き詰められ、その上に黒いハサミと鋭い尻尾を持った蠍がいた。
清夏「えへへ、カッコいいでしょ」
リーリヤ「カッコいいです」
手毬「え?カッコいい?え?え?」
清夏の言葉に同意しながら目を輝かせて頷くリーリヤ。その裏腹で手毬は戸惑いを隠しきれない。
清夏「あ、そうだ。この蠍に触ってみる?」
手毬「無理無理無理無理」
清夏が蠍を摘み手の上に置くとリーリヤが反応するよりも先に手毬の拒否反応が出た。その反応が面白くてクスッと清夏は笑った
清夏「実はこの蠍、私のお爺ちゃんとお婆ちゃんが旅行のお土産としてくれたんだ」
手毬「は?蠍を。何で?普通はお土産はお菓子とかでしょ」
全く持って的確な手毬のツッコミに清夏は笑いながら頷いた。
清夏「私も最初はさ、手毬っちと同じ事を思ったよ。何でお菓子じゃなくて蠍なんだ!って」
昔を思い出しながら清夏は語る。
清夏「私も最初の頃は怖くて触らないって思っていたんだけど、でも育てていく内にさ、愛着ってもんが着き始めて。そしたらいつ間にか触れるようになっちゃてて」
清夏は手の上に乗っている蠍を再びケースに戻した。
清夏「だからさ、手毬っちも飼ってみれば触れるようになるかもよ」
手毬「いや無理だから!絶対に触りたいと思わないから!」
清夏の言葉に感化されることもなく手毬はそう宣言した。
リーリヤ「そう言えば清夏ちゃん。もし良ければ何だけど清夏みゃんの蠍を貰ってもいいかな?」
清夏「別に良いよ。何なら子供の奴いる?実はウチの蠍たちが子供作っちゃてさ、ちょっと飼育が大変なんだよね」
リーリヤ「本当!?ありがとう清夏ちゃん」
清夏「私とリーリヤの仲なんだからさお礼なんていらないよ。ちょっと待て空きのケースを持ってくるから」
そう言って清夏は空きのケースを探しに行った。その間手毬は周りの生物をビビりながらこの部屋に二度と来るかと心に決めたのだった - 42二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 01:11:06
リーリヤと手毬は蠍の子供をゲットした
- 43二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 07:19:57
蠍座の女しゅみたんがサソリ持ちとは
- 44二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 12:30:03
その蠍ワイン漬けにされるけど本当にいいのか
- 45二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 15:45:49
尾も切られるしな…自切する蠍とかなんかな?
- 46二次元好きの匿名さん25/03/18(火) 22:19:42
蛇だって酒漬けにされたりするし蠍も似たようなもんやろ(暴言)
- 47二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 00:22:31
リーリヤ「これとこれも入れてと……」
清夏「ふぁ〜、あれリーリヤどこか出かけるの?」
晴天の朝。清夏から蠍を貰って数日が経過した今日この頃、リーリヤは私服姿でポーチに道具などを詰めていた。するとさっきまで寝ていたのか寝癖をつけたまま清夏が起きてきた。そして清夏はリーリヤの服が外服であることに気づくと欠伸しながらリーリヤに尋ねた。
リーリヤ「清夏ちゃんおはよう。実はこれから月村さんと一緒にハツミ村に行くことになって、その準備をしていたんだ」
清夏「うん、おはようリーリヤ。へぇ、手毬っちと一緒にハツミ村に行くんだ。リーリヤも成長したね」
リーリヤの成長に清夏はしみじみと感銘をうけながら洗面台に歯を磨きに行った。
リーリヤ「よし、準備ができたってもうこんな時間!?それじゃあ清夏ちゃん行ってきます!」
清夏「ふぃってふぁしゃーい(いってらっしゃい)」
元気よく部屋から飛び出したリーリヤを清夏は歯を磨きながら送っていった。 - 48二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 00:23:06
賑わいを見せる露店の通り道を駆けて、馬車が集まる場所に辿り着くと手毬の姿を探してリーリヤは辺りを見渡す。するとリーリヤに向かって大きく手を振る手毬を見つけると、その元にリーリヤは向かった
リーリヤ「はぁはぁはぁ、お待たせさせてしまってごめんなさい月村さん」
手毬「もう遅すぎ、心配して損したじゃない」
リーリヤ「え?」
手毬「ッ!?なんでもない!それよりも早く乗らないと、もうすぐ出発するんだって」
リーリヤ「そ、そうですね」
思いもよらない言葉にリーリヤは唖然としていると、そろそろ出発する声を聞いて急いでリーリヤたちは馬車に乗り込んだ。
リーリヤ「わぁ!凄い景色ですね」
草原から森へ、そして湖へと代わる代わる自然の景色。それをリーリヤは馬車から顔を覗かせていた。
手毬「リーリヤ、あまり馬車から頭を出さないで子どもじゃないんだから」
リーリヤ「すみません」
手毬に叱られるとリーリヤはしゅんと落ち込んだ表情で謝る。まるでそれは子を叱る親のようでリーリヤと手毬以外に乗っていた他の乗客たちはクスりと笑っていた - 49二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 00:23:40
揺れ動く馬車の中でゆっくりと時間が過ぎていく。景色は湖から森へと変わり、そして若緑色で広がる小麦畑に移り変わった。
御者「ハツミ村に着きましたので荷物は忘れずに降りて下さい」
馬車が止まり御者が乗客にそう声掛けをするとぞろぞろと後ろの方から順に馬車から降りていった。
リーリヤ「ここがハツミ村なんですね」
手毬「初めて来たけど、ここだいぶ変わっているね」
馬車から降りた二人は初めてくるハツミ村を眺めた。入り口らしき場所には見上げる高さに「ハツミ村にようこそ」と書かれた看板の隣に星のような不気味なキャラクターが描かれており、ここから見える中央の場所に看板と同じキャラクターの銅像が建てられていた。
リーリヤ「ハツミ村に来たのは良いですけど、ハツミワインはどこで売っているんでしょうか」
手毬「村の中に入ったら分かるかも」
そう言って二人はハツミ村に入り、蠍の尾に必要なハツミワインを探して始めた。
手毬「あ、もしかしてアレじゃない?」
そう言って手毬が指を差した方向には『ハツミ直売店』と書かれた看板が建てられていた。
店員「いらっしゃいませ」
中に入るとベルの音がなり中にいた店員がリーリヤと手毬に向かって会釈をした。中の商品棚にはずらりとワインのボトルが並んでおり、どうやら手毬の勘は当たっていたらしい。
リーリヤ「あのすみません。ハツミワインはありますか?」
リーリヤが店員にそう聞くと、店員は「あー」と申し訳なさそうな顔をして、
店員「すみません。大変申し訳ないのですが、ハツミワインの方は現在酒造を中止しておりまして」
リーリヤ「……そうなんですか。あの不躾な質問なんですけどどうしてハツミワインの酒造を中止にしたんですか?」
店員「それは……」
諦めきれず酒造中止の理由を聞こうとするリーリヤに店員は歯切れの悪く答えようとすると、ベルがなった。 - 50二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 01:16:13
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- 51二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 01:17:51
男性「いやー想像以上に被害が出て参ったよ」
店員「ちょっとアナタ。帰ってくる時は裏からっていつも」
扉が開き、堅いの良い男性が入って来るとそれに気づいた店員は何度目かも分からない注意をした。
男性「あ、すまない。……それでお嬢ちゃんたちは?」
店員「それがハツミワインを買いに来て下さった方たちよ」
男性「そうか。それは大変すまない事をしたな」
男性の問いに店員は答えると申し訳なさそうな顔でリーリヤたちに謝罪した。
手毬「被害って言っていたけど、何かあったのですか?」
男性「それが実はな……」
そう言うと男性は事の顛末を話し始めた。
どうやらハツミワインを造るために育てていたぶどう畑が最近になって『ボア』と呼ばれるイノシシの魔物に荒らされてしまっているようであった。その所為でハツミワインを造る事が出来ずに酒造を中止せざるおえないという話しであった。
男性「本当だったら魔物避けの薬を買いたいんだが、修繕のために金が掛かっちまってな、その所為で薬が買えないんだよな」
リーリヤ「それはとても大変でしたね」
男性の苦痛な悩みを聞いてリーリヤは労いの言葉をかけた。
手毬「ねぇ、魔物避けの薬っていうのを私たちで作らない?」
リーリヤ「え!?月村さん!」
男性「いや、お嬢ちゃんたちにそこまでしてもらうつもりは!」
手毬「でも無いから困っていますよね?なら私たちが作ります。なんて言ったて私たちは錬金術師ですから」
魔物避けの薬製造の話しを持ちかけて手毬は自信たっぷりにキメ顔を決めた。
男性「でもな、客人のお嬢ちゃんたちにタダで手伝ってもらうってのはなぁ」
手毬「それなら出来た報酬としてハツミワインを下さい。私たちもハツミワインが無いのは私たちも困りますから」
男性「その案ならすまないがお願いしてもらえるか?」
手毬の提案に男性は渋るも手毬の一言でリーリヤたちはハツミワインを報酬に魔物避けの薬を作ること受け持つ事が決まった - 52二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 02:25:13
ファンタジー×学マス、そしてリーリヤ&手毬が主人公。どちゃくそ好みです。
- 53二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 07:19:18
目的のブツのためにお使いクエストをこなしていくこの王道ファンタジー感、たまんねぇな!
- 54二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 12:42:23
- 55二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 12:42:53
手毬話ガンガン進めてくれるから相棒枠として優秀だな
- 56二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 21:12:08
店から出てる近くの森の中に入るリーリヤと手毬。
リーリヤ「あの!月村さん本当に約束して良かったんでしょうか?まだ私たちは魔物避けの薬の作り方を習ってないですよ」
二人は森の中を散索しているとリーリヤは不安そうな顔で手毬に疑問を問いかける。何故ならリーリヤたちは魔物避けの薬を学校では学んでいないからだ。
手毬「それなら心配しないで、作り方は私が知っているから」
リーリヤ「それでも作れるか自信が……」
自信満々な顔で答える手毬に対してリーリヤは未だに自信なさげに不安そうな顔をしている。
手毬「…………。ねぇ、リーリヤは何で媚薬を作ろうとしているの?」
リーリヤ「えっと、センパイに私の気持ちを伝える為です」
手毬「媚薬の作り方を学校で習った事もないのに?」
リーリヤ「ッ!?それは……」
手毬の鋭い問いかけにリーリヤは言葉を留める。
手毬「そういうところだよリーリヤ。目的があってもいざという時に自信がなさ過ぎ」
リーリヤ「ごめんなさい。でも作れないかもしれなくて不安で」
手毬「別に謝らなくて良いよ。ただ目的があって素材を知っているなら習ってなくても作れないことなんてないよ。だって私たちは錬金術師なんだから」
揺らぎら無い信念でそう告げる手毬。それは錬金術師である自分への確固たる自信。それはリーリヤが錬金術師として欠けていたピースの1つであった。
リーリヤ「そうですよね月村さん。私たちは錬金術師ですから素材さえ知っていれば何でも作れますよね!」
手毬「その勢いだよリーリヤ。それじゃあ魔物避けの薬の素材を集めに行くよ」
リーリヤ「はい!」
手毬の言葉を受け勇気を貰い勢いづくリーリヤ。そのまま二人は素材集めに張り切って行った。 - 57二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 21:13:08
リーリヤ「ふぅー、素材はこれぐらいで充分かな?」
手毬「うん、これだけあれば充分だよ」
素材集めを始めてから1時間が経過した。魔物避けの薬の素材である、独特的な臭みのあるクサイキノミと花の魔物のから取れる花粉にスライムの魔物から取れるゲル、そして大葉と蔓が大量に集められていた。
リーリヤ「素材は揃いましたけど、道具とそもそも錬金が」
手毬「それなら道具は私が持っているよ。けど水がないと」
リーリヤ「水なら探している時にたまたま近くで川を見つけたので、そっちに移動しましょう」
二人は川辺の方に移動した。手毬はポーチから皮袋を取り出すと皮袋に手を入れて次々と道具を取り出した。
リーリヤ「………凄いですねその皮袋」
手毬「ふふ、凄いでしょ。実はみs、同室の子に貰ったんだ」
そんなたわいもない会話を挟みながら二人は錬金術の準備をする
リーリヤ「よし、準備が出来た。月村さんそろそろ始めましょうか」
手毬「そうだね。それじゃあ私が作るからリーリヤは私の動き見て一緒に作って」
リーリヤ「はい、よろしくお願いします」 - 58二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 21:13:37
そう言うと手毬はすり鉢と擦り棒をリーリヤの分を合わせて二つを用意し、集めてきたクサイキノミを擦り潰し始めた。
手毬「まずはクサイキノミをこうやってしっかりと擦り潰す。そして擦り潰したらここに花粉を入れて今度は混ぜるように潰していく」
リーリヤ「ふむふむ」
手際良く作りながら教える手毬を横目に見ながらリーリヤも手毬と同じように作る。
手毬「こうして潰したら準備しておいた鍋の中にスライムのゲルと一緒に入れてかき混ぜる」
リーリヤ「なるほど」
沸騰しているお湯の中にさっき混ぜて擦り潰し物を入れるとお湯は変な異臭を放ち不気味な紫色に変わった。手毬はそれをかき混ぜる。リーリヤもそれに習うようにお湯の中に入れて混ぜた。
それを数分間混ぜ続けると紫色から赤紫色へと変わり粘り気が出てきた。そして更にそれを数分間混ぜると異臭は完全に無くなりまるでスライムのように固く弾力を持ち始めた。
手毬「こんな風になったら小分けして一口サイズに丸めて大葉で丸めたコレを包んで余った部分を蔓で縛ると……完成!」
リーリヤ「これが魔物避けの薬」
手毬と違い少し形が悪いが完成した魔物避けの薬をリーリヤは眺める。
手毬「よし、リーリヤこれを素材がある分まで作ろう!」
リーリヤ「そうですね月村さん」
そう言って手毬とリーリヤは黙々と魔物避けの薬を作っていった。 - 59二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 21:14:11
夕暮れとなり辺りが少し暗くなる。『ハツミ直売店』の店員はかけられてある時計を見てそろそろ店仕舞いしようとすると店の扉に掛けてあるベルが鳴る
店員「いらっしゃませ、ってハツミワインを買いに来て下さったお客さんたち」
扉が開いて店内に入ってきたのは大きな箱を持ったリーリヤと手毬だった。
リーリヤ「すいません、全部作っていたら遅くなりました」
店員「いえいえ、私たちの為に作ってくださったのに謝罪はしないで下さい。それよりこんないっぱいに貰っちゃて頂いていいんですか?」
手毬「遠慮しないでください。その為にいっぱい作りましたから」
店員「本当に良いんですか。ありがとうございます。これで旦那が喜びます。あ、ちょっと待ってくださいね」
どさ、とリーリヤたちは持ってきた箱をカウンターに置くとその箱の中には大量の魔物避けの薬があった。店員は申し訳なさそうにそれを受け取りお礼をすると店員は箱を持って奥の部屋に行った。そして数分もしない内に店で出会った男性を連れてワインのボトルを持ってきた。
男性「恩にきるよお嬢ちゃんたち。あんたらのお陰でハツミワインを酒造できるよ。ありがとう」
リーリヤ「いえいえ、こちらこそハツミワインを下さってありがとうございます」
男性「別に良いってことよ。それに俺はそちらのお嬢ちゃんとの約束を果たしただけだしな」
手毬「まぁ、約束を果たしてもらわないと私たちも薬を作った意味がないからね」
時計の鐘がなり、リーリヤと手毬が戻る時間が迫っていた。
リーリヤ「それでは私たちは寮に戻らないと行けないですから、これで失礼しますね。ありがとうございました」
手毬「ありがとうございました」
店員「私たちの方もありがとうございました。帰りは気をつけて下さいね」
男性「本当にありがとうな。いつでもウチに来てくれよ。サービスしてやるからな」
リーリヤと手毬を再度店員たちにお礼をしながら店を出ると、帰りの馬車に乗って帰路についた。
リーリヤたちはハツミワインを手に入れた。 - 60二次元好きの匿名さん25/03/19(水) 23:19:39
保守
- 61二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 07:16:47
保守
- 62二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 16:17:47
ほ
- 63二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 23:19:22
キノコ探索編期待
- 64二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 00:57:31
翌日。今日もリーリヤは学校に通い勉学に努めていた。一昨日手に入れたハツミワインは餌に混ぜて清夏から貰った蠍にあげていた。これで媚薬レシピの一つである『ハツミワインで育った蠍の尾』は難なく達成出来そうであった。しかし問題は未だに残っていた。
(迷いの森にあるオドルタケをどうやって取ればいいんだろう)
迷いの森は入ってきた人間を永遠の迷いに誘う事で名所だ。更に魔物の巣窟と呼ばれるほどに多くの魔物が住み着いている為、学生の身であるリーリヤには通行許可がおりない為、その点が一番リーリヤの頭を悩ませる難点であった。
(都合よく迷いの森に行けないかな)
ふとそんな事をリーリヤは考えるも、そんな都合の良いことは起きなよねっと考えて切り捨てた。
あさり先生「はーい、皆さん席について下さい。はいそこ!ちゃんと自分の席に戻って」
リーリヤが深く考えているといつの間にかクラス担任である赤縁メガネがトレードマークのあさり先生が教壇に立って席に座るように促していた。
あさり先生「はい、皆さん席に座りましたね。それでは授業を始めますが、その前に私から皆さんにお知らせがあります」
モブ「はい!もしかして先生の結婚の話ですか?」
あさり先生「私的にはそっちの方が嬉しいんだけど違います。と言うかまだ先生には付き合っている相手は居ません」
えぇ〜と落胆な声で教室内がざわめき始める。それをあさり先生「静かに静かに!」と制止するように呼びかけた
あさり先生「ごほん、気を取り直して話を続けます。皆さんにお知らせというのは、今から一週間後、皆さんには迷いの森で特別課外授業を行って貰います」
あさり先生の言葉で一瞬クラス内が静寂に包まれると、火山が噴火する勢いで困惑の声がクラス内に広がった。
(迷いの森……行けるんだ)
心配と不安でクラス内の雰囲気を支配しているなら一人だけ迷いの森に行けることに驚きと興奮で目を輝かせるリーリヤであった。 - 65二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 07:23:35
迷いの森とかいうファンタジーもの定番スポット
燃えるよね(テンション的な意味で) - 66二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 13:03:56
先輩「それで授業内容をあんまり聞いていなかったんですか?」
リーリヤ「すみませんセンパイ」
そう言ってしょんぼりとするリーリヤを先輩は慰める。
今二人がいるのはリーリヤの先輩が個人的に借りている研究施設であり、時折りリーリヤはここに来ては先輩に相談と錬金術の練習をしていた。そして今日は迷いの森に行ける事が決まり浮かれ聞いていなかった部分を教えて貰うために来たのだったり
先輩「それでどこが分からないんですか?」
リーリヤ「はい、ここの《簡易錬金術》ってところなんですけど」
先輩「あー、これですか」
リーリヤは持ってきていた教科書のページを開き《簡易錬金術》の内容が書かれているページを先輩に見せた。すると先輩は少し頭を抱えて「ちょっと待って」と言って立ち上がった後、奥の箱から何かを取り出してリーリヤの方に戻ってきた。
リーリヤ「センパイこれは何ですか?」
リーリヤは不思議そうな顔でテーブルの上に置いたのを見た。それは豪華な装飾を施されたガラスの筒に一際は輝く青白い鉱石が入った代物であった。 - 67二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 13:04:39
先輩「これは簡易錬金装置と言われていて、葛城さんがさっき言った《簡易錬金術》はこちらの装置を使う事で使える術です」
先輩は簡易錬金装置を持ってそう説明すると、続いて持ってきたキノコを手に取り、それを装置の前に近づけた。
先輩「そしてこれの装置を使う《簡易錬金術》なんですけど、これに関しては結構簡単でして、用意したキノコと粉状の鉱石を入れるだけです。あと少し危ないですから離れていて下さい」
そう言うと装置に近づけていたキノコは吸い込まれるように綺麗になくなった。そして続けて粉状の鉱石も装置に近づけてはすぐになくなる。すると装置の宝石が青白い色から燃えるような赤色へと変化した。先輩はそれを確認すると何もない所に装置を向ける。するとキノコと粉状の鉱石を入れた場所にガラスを隔てて火の玉が浮かび物凄い勢いで放たれた。
リーリヤ「……これが《簡易錬金術》ですか」
一通りの実践を見てリーリヤはそう呟く。火の玉が当たった所を見ると表面は少し焦げ落ちて凹んでいた。
先輩「はい、こうやってある物質と鉱石をこの装置に取り込ませる事で摩訶不思議なエネルギーを放つ。これが《簡易錬金術》です。巷では"魔法"なんてよく言われたりしますね」
そう言って先輩は持っていた装置をテーブルの上に置く。さっきまで赤い色だった宝石が元の青白いに戻っていた。
先輩「さて、それではここから小難しい基礎知識になりますが、葛城さん分からない所があれば気軽に質問して下さいね」
リーリヤ「はい、よろしくお願いします」
そうしてリーリヤと先輩の長いお勉強タイムが始まるのであった。 - 68二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 13:35:52
……こーれ媚薬本当に要るのか時間の問題では??
- 69二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 18:19:20
リーリヤは覚悟を決めたら一直線だからな
ついでに手毬ともども媚薬がどういう薬か全く分かってないし - 70二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 18:21:33
いらなくなったらまりちゃんに間違えて飲んでもらえばいいさ
- 71二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 01:03:37
リーリヤ「属性?オーバーフロー?難しくて全然分かりません」
先輩から《簡易錬金術》の基礎知識を学んで小一時間。内容を聞けば聞くほどリーリヤの頭の中は混乱していた。
先輩「まぁ、無理もありませんね。《簡易錬金術》基礎知識は他と比べて覚えておかない事がたくさんありますから」
先輩は開いていた教科書を閉じて、リーリヤにそうフォローする。
先輩「取り敢えず《簡易錬金術》で覚えておく事は、物質の属性による発生するエネルギーの変化と鉱石・宝石の純度が高ければ高いほど放出するエネルギーが高くなるが、純度75%以上からオーバーフローという爆発する現象が起きるという事だけを覚えてもらえればいいと思います」
リーリヤ「うぅ、覚えきれるでしょうか」
先輩「葛城さんならきっと覚えられますよ」
頭を抱えるリーリヤを励ましながら先輩は壁にかけてある時計を見る。
先輩「そろそろ時間なので葛城さんはご自身の部屋に戻って下さい。私は少し部屋を掃除してから部屋に戻りますので」
リーリヤ「あ、先輩!私も手伝います」
先輩「いえ良いですよ。葛城さんは勉強に集中して疲れたと思いますので早く部屋に戻って休んで下さい」
リーリヤ「いえ、センパイにはいっぱい迷惑をかけているので、そのお詫びとして手伝わせて下さい」
先輩「そこまで言うなら、葛城さんよろしくお願いします」
リーリヤの勢いに押され、先輩とリーリヤは一緒に部屋を掃除することになった。そうして二人で掃除することであっという間に終わった。
先輩「葛城さんのお陰で早く終わりました。手伝ってくれてありがとうございます」
リーリヤ「いえいえ、お礼を言うのは私の方ですから。それじゃあ私は先に部屋に戻りますね。センパイ今日はありがとうございました」
先輩「はい、葛城さんお疲れ様でした」
そうして二人は別れてそれぞれの部屋に戻った。
リーリヤ「ふぅ、何とかセンパイの髪の毛が取れた。気づかれなかったよね?」
そう一息ついてリーリヤはポケットから掃除の時に先輩の髪の毛を取り出した。勉強を教えて貰うついでとはいえ、やってることは変態チックだなと思いながら、それをハンカチで挟んで机の引き出しの中に入れた。
リーリヤは先輩の髪の毛を手に入れた。 - 72二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 01:04:29
特別課外授業の当日。リーリヤは昨日までの一週間を振り返った。特別課外授業に向けての勉強や準備が行われていた。授業では魔物の種類やその対処法。錬金の素材となる植物や鉱物の知識や錬金方法。そしていざという時の為の自衛手段である《簡易錬金術》について学び、分からないところがあれば先輩に聞きに行ったりしていた。その間でも一人でオドルタケの事を調べたり手毬に手伝って貰いながら必要となりそうな道具を用意した。
リーリヤ「よし!」
リーリヤはそれらをポーチに詰め込み特別課外授業に赴いた。
あさり先生「それでは皆さん!3人1組のペアを作って下さい!」
迷いの森入り口付近で点呼を取ったあと、あさり先生はペアを作るように促した。するとぞろぞろとクラスの人が移動し、ペアを作り始めた
dice1d3=3 (3) 「リーリヤ!」
1.手毬
2.燐羽
3.清夏
- 73二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 01:05:10
清夏「やっほーリーリヤ!ペアがまだ決まってないなら一緒に組もう」
明るい声で清夏がリーリヤに小走りで近づいた。
リーリヤ「清夏ちゃん良いの?」
清夏「良いって、私がリーリヤと組みたいからね」
リーリヤ「わぁ、ありがとう清夏ちゃん」
清夏「よし、ならあと一人は・・・」
dice1d2=1 (1) 「すみません」
リーリヤ「あなたは?」
1.四音
2.撫子
- 74二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 01:05:59
四音「申し遅れました。私は白草 四音と申します。以後お見知りおきを」
リーリヤ「あ、どうもご丁寧に」
育ちの良さが現れている白草 四音は品の良い自己紹介でリーリヤたちに挨拶をした。
「それで白草さんは一体何のようで」
四音「お恥ずかしい話ながらペア決めで余ってしまったので、私をあなたたちのペアに組んで貰いたく、お話をしに来まして」
そう言って四音は周りに視線を移しながら言う。リーリヤたちが周りを見ると既にリーリヤたちを除いてほぼ全員が3人1ペアを作っている状況であった。
四音「ペアを組んで下さいますか?」
リーリヤ「分かりました。それじゃあよろしくお願いします白草さん」
四音「まぁ!ありがとうございます葛城 リーリヤさん
四音からのお願いを周りの状況から判断してからは断れる事はできずにリーリヤたちは四音とペアを組むことになった。
四音「それじゃあ、これからよろしくお願いしますね」
そう言って四音は微笑んだ。 - 75二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 01:08:30
あさり先生「皆さん!3人1ペアを作りましたね。それでは各ペアにそれぞれこのポーチを渡しますね」
そう言ってあさり先生は1ペアにポーチを1つずつ渡す。
ポーチは結構な重さがあり、開けて見ると青白い宝石と緑の宝石が別々に入ったガラスの筒が4つに複数の玉。
あさり先生「今、先生が渡したポーチの中には《簡易錬金術》に使う装置を3つ、それを使用する為の小さな鉱石の塊を30個ほど、そして最後に帰還時に使うテレポートの装置です。これを5秒間立ち止まって使う事でココに戻れるので無くさないようにして下さいね」
先生「それでは次に特別課外授業における課題を・・・」
あさり先生の説明が終わると変わって他の先生が前に出て話を始める。課題や注意事項、そして期限の説明。それら全て聞き終えると入る時間となったのか次々と人が立ち、迷いの森の中へと入って行った。
清夏「それじゃあ、私たちも行こっか」
そう言ってリーリヤたちも迷いの森の中へと入って行った。 - 76二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 09:42:49
四音かぁ…
絶対何かやらかすな - 77二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 16:10:11
迷いの森で四音にハメられそう(偏見)
- 78二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 16:15:29
まあ最悪まりちゃん召喚すれば自滅するから問題ない。極月の二軍三軍キラーの名は伊達じゃない。
- 79二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 16:20:15
いざとなったら四音の髪を現地調達して飲ませるしかないな
- 80二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 23:44:08
草木が生い茂り、木々の一本一本の幹が太く、奥の視界を遮っている。リーリヤたちは先生から渡された課題シートの紙を見ながら素材を集めていく。ある時は木の上になっている木の実を。ある時は寝ている魔物から気付かれず素材を取ったりと、緊張感を味わいながら進めていた。そしてリーリヤは清夏のあとについて行きながら一人でオドルタケを探していた。
清夏「よし、なんとか倒した。リーリヤそっちはどう?」
リーリヤ「こっちもなんとか倒したよ」
清夏は《簡易錬金術》や道具で猪の姿をした魔物『ボア』を倒すと、それとなく同じ時に狼の姿をした魔物『ヴルム』と戦っていたリーリヤに声をかけた。互いに魔物を倒しあった事を伝えると、倒した魔物に近づき、錬金術の素材となる物を削いで回収していく。
そしてそれをただ傍観していた四音はリーリヤ達が回収した素材を取りに行った。
リーリヤ「すみません白草さん。荷物持ちをさせてしまって」
四音「謝らないで下さい。何せこれは私が提案した事ですから」
リーリヤと清夏が素材を取りに行き、四音がリーリヤ達が取った素材を持つ。これは迷いの森に入る以前に戦いと採取が苦手だという理由で四音が提案してきた内容であった。勿論、リーリヤと清夏に異論はなく、素材そしてテレポート装置を含め四音に持って貰うこととなった。 - 81二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 23:44:54
リーリヤ「清夏ちゃん、鉱石の残量は大丈夫?無いなら私の鉱石を幾らか渡すけど」
清夏「平気平気、どうせこれ以上大して使わないだろうし。それよりリーリヤの方はお目やてのキノコ見つかった?」
リーリヤ「ううん、まだ見つかってない」
四音が荷物を持ってくれるとは言え、自衛手段である《簡易錬金術》を発動する装置とそれを発動させる為の鉱石はリーリヤと清夏が5個ずつ持つ事になった。そしてその鉱石を消費した清夏にリーリヤは心配してそう聞く。けれど清夏は平気な顔してそれを断った。
四音「二人で何のお話をされているんですか?」
清夏「実はリーリヤがオドルタケ?って言うのを探しているんだって」
四音「まぁ!滅多に市場に出ないとされるオドルタケをですか」
四音は驚いた表情になると、何かを思い出したかのようにそう言えば……と呟く。
四音「私、噂を小耳で挟んだんですけどオドルタケは迷い森の最奥に沢山生えてあるらしいです」
リーリヤ「最奥ですか、そこまで行って大丈夫かな?」
清夏「テレポートの装置もあるし、いざと言う時は帰れるから大丈夫しょ!」
四音「ふふ、それでは最奥まで向かいましょうか」 - 82二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 23:46:13
リーリヤたちは僅かに舗装された道を歩き、遠くまで進んだのからかリーリヤ達以外の人の気配は消え去り、鳥の囀りと魔物の遠吠えが響いていた。するとリーリヤたちは異変を感じた
清夏「うん?なんか変な匂いしない」
リーリヤ「確かに少し獣臭みたいな匂いがするね」
四音「気のせいではありませんか」
辺りから僅かながら匂う獣臭。さっきまでは匂わなかったそれにリーリヤと清夏は気にするも、どうやら四音には気付かないようであった。
リーリヤ「ん?清夏ちゃんと白草さん、ちょっと止まって下さい」
何かを察知し清夏が止まりリーリヤ達を制止させると前の茂みがガサガサ揺れ動く。すると何かの唸り声が響き、ゆっくりとした足取りで狼の姿をした魔物『ヴルム』が茂みから顔を出す。けれど一匹だけではない。ガサガサともう一匹、もう一匹と続々と『ヴルム』が集団で姿を現した。
リーリヤ「流石にこの数は無理がありますね。すみません白草さん、少し手伝ってくれませんか?」
四音「は?嫌ですけど」
リーリヤ「え?」
清夏「ッ!?リーリヤ危ない!!」
リーリヤは四音の優しい声とは思えないほどに低い声で拒絶に衝撃を受けたと同時に清夏が身を挺して押し倒した。
すると、リーリヤが居た所に火の玉が高速で放たれて前に居た『ヴルム』に激突し、悲鳴なような唸り声を上げて焼死した。
清夏「大丈夫リーリヤ!?」
リーリヤ「うん、清夏ちゃんのお陰で何とか」
四音「あら残念。あと少し早くに狙っていたら当たっていたのに」
清夏がリーリヤの安否を確認し、ほっとすると、そんな状況を遠目で見ていた四音はこの場の状況では思えないような悠々で楽しそうな声で笑みを浮かべていた。 - 83二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:02:54
リーリヤ「どうしてこんな事を」
四音「さぁ?私はあなた達にちょっかいを出せと指示されただけですから。でもまぁ、私自身は出る杭は打つつもりで行いましたけどね」
リーリヤ「そんな…….」
短いながらも信用していた気持ちを裏切られて少なからずショックを受けるリーリヤ。そんなリーリヤの心情を他所に四音はポーチから瓶を取り出し、リーリヤたちと間ところに取り出し瓶の液体を撒き散らした。するとさっきまで臭っていた獣臭がした
四音「そうだ。最後ですから特別に教えておきますけど、魔物招集の薬には油が使われていて火に引火しやすいんですよ」
そう言って《簡易錬金術》の装置に素材を入れて魔物招集の薬を撒いた地面に向けた。すると火の玉が放出されリーリヤたちの退路を断つように火が広がった。
四音「それではご機嫌よう。リーリヤさん清夏さん。もう会う事はないでしょうけどね」
リーリヤ「待って下さい白草さん!」
炎の壁を盾にしながら四音はリーリヤ達を残して来ていた道を戻った。
清夏「絶対絶滅だね。あたし達」
リーリヤ「……そうだね。でも諦めたくはないから。ここを切り抜けてもう一度白草さんに会って話さないと」
そして残され退路を絶たれたリーリヤたちは素早く身を起こして、唸る『ヴルム』の集団に向けて《簡易錬金術》の装置を向けた。 - 84二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:28:44
相変わらず最悪だなぁ四音
- 85二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 09:10:05
保守
- 86二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 17:14:32
清夏さん、そこは絶体絶命というやつでは(小声)
- 87二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 22:40:36
絶対生き延びて白草家を絶滅させてやるという覚悟の現れかもしれない
- 88二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 00:01:51
今追いついたわ
タイトルに反して今んとこ王道の青春学園ファンタジーじゃないですか? - 89二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 01:02:20
リーリヤたちを残し一人で来た道を戻る四音は道中リーリヤ達の分の素材をバックから取り出しその場で捨てた。何せ、道中魔物に襲われはぐれてしまった二人の分の素材を持って居たって怪しまれるだけだ。
(このまま戻って嘘の説明をしても良いですけど、まだ時間もありますし、少しでも課題の素材を集めて成績のポイントを集めておくのも悪くはないですね)
出る杭を打ち終え、今後の事を考える四音であったが強欲にも彼女はその場でテレポート装置は使わず、ポイント稼ぎの為に素材を集めることとした。
すると変な異臭が四音の鼻を通る。魔物招集の薬を何処かで溢してしまったのかとポーチの中を確認をしたが、何一つ溢してはいなかった。では一体何なのかと先に進む。進むにつれ獣臭は徐々に強くなり、辺りは静寂に包まれ始める。
四音「この音は一体……」
何かを砕くような音が小さく聞こえ始めた。それが気になり四音は音がする方に近づくと目の前の光景を見て背筋が凍った
2メートル以上もある一等身の不気味な怪物が『ヴルム』を手で捕まえて貪るように喰らい付いていた。
四音は自然と小刻みに震え出す。この場から離れようと静かに後に下がった。
パキッ
四音「ッ!?」
小枝を踏みつけてしまい、四音は怪物の一つ目と目が合ってしまった。
怪物の轟く咆哮。四音は恐怖でその場から全速力走り去ると怪物はそれを追い始めた - 90二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 01:03:20
リーリヤ「これで、終わりです!」
そう言ってリーリヤはヴルムを倒す。事前に手毬と準備していた道具と清夏の協力もあり、難なくヴルムの集団を退く事が出来た。
清夏「ヴルムは何とかなったけど、まだ戻る道が炎で包まれているから行けないしどうしようか」
リーリヤ「いったん、奥に進もう。もしかしたら解決する糸口があるかもしれない」
清夏「確かに、戻る手段がなければ前に進むしかないもんね」
そうしてリーリヤと清夏は奥へと進む。するとひんやりとした冷たい風が肌に伝わり、茂みの奥には透き通るように綺麗な湖があった。
リーリヤ「良かった。これで消火出来そう」
清夏「あ、でもあたし大量の水を汲んで保存できる物を持って来てないんだよね」
リーリヤ「大丈夫だよ。丁度近くにスライムの魔物もいるし、ゲルから水袋を錬金すればいいから」
そう言ってリーリヤはサクサクと持って来たバックから道具を出して錬金の準備に入る。清夏はそれを手伝うように湖で静かに休んでいるスライムの魔物からゲルを取りに行った。
そしてリーリヤは清夏が取って来たゲルを受け取り、それで複数個の水袋を作った。その後その水袋に湖の水を入れた
リーリヤ「よし、消火の準備は出来た。清夏ちゃんそろそろ戻ろう」
清夏「OK!……その前にコレを上げる。リーリヤの役に立つと思って拾ったんだ」
リーリヤ「………これって私が探していたオドルタケ。ありがとう清夏ちゃん」
清夏「え、そうなの!?てっきり回復薬の素材に使うキノコだと思って。でも、リーリヤが喜んでいるならそれで良いか」
思わぬ収穫に嬉しい気持ちを抑えてリーリヤは清夏から貰ったオドルタケをポーチに入れた。そしてリーリヤは気持ちを切り替えて真剣な表情で四音を追いかけて炎が燃え広がる道に戻った。 - 91二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 01:10:18
リーリヤの主人公適正とまりちゃんの2号ライダー的仲間ポジ適正が高すぎるから2人だけでも話が回るの強すぎる。清夏・四音も良い味出るし。
- 92二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 07:27:29
リーリヤも手毬も話を動かす上ですごくやりやすいんだよね。どっちも目的意識がはっきりしてて脱線しにくい
- 93二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 09:19:34
こんなに王道なのに目的は媚薬を盛ることなんだよな
- 94二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 18:37:50
媚薬から始まる王道もあるってことやな(強弁)
- 95二次元好きの匿名さん25/03/24(月) 22:15:32
それは本当に王道なのかな?明らかに異端な気がする…
- 96二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 00:45:04
寝る前
- 97二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 01:02:19
リーリヤ達が戻る頃にはかなりの面積までに炎が燃え広がっていた。リーリヤと清夏はバックからさっき作ったばかりの水袋を手に取り、燃える炎に向かって投げた。すると投げられた水袋は炎の熱によって表面が燃え散り、中に入ってあった水が盛大に広がり炎を覆った。たちまち炎は消火され、リーリヤたちはバックから次々と水袋を出しては投げていき四音が進んだ道を行く。そして最後の水袋を投げた頃には燃えていた場所は全て鎮火していた。
リーリヤ「これで白草さんを追いk」
追いかけられる。そうリーリヤが言うとした瞬間に轟轟と響く魔物の咆哮。リーリヤと清夏はその場で立ち止まり身体が震えた。
清夏「なんなの今さっきのは、怖くて震えたんだけど」
リーリヤ「白草さんが戻った道の方から聞こえたよ」
清夏「……これはだいぶ慎重に行かないとね」
魔物の咆哮に影響と夕暮れの薄暗さで、ここから一段と周りに気をつけながら四音を探すこととなった。
警戒をしながら道を戻っていると、すると道端に無惨に捨てられている素材がたくさんあった。そしてどれも序盤にリーリヤと清夏が力を合わせて手に入れた物でばかりであった。
清夏「どうしてこんな所に素材が、まさか四音ちゃんが!?」
リーリヤ「分からないけど、その可能性はありそうだね」
そうして捨てられていた素材を一通り集めてバックに詰める。その後再び慎重に戻り道を進んでいると、近くから爆発音と共に魔物の咆哮が響いた。
清夏「なになに爆発?凄い物騒なんだけど」
リーリヤ「……清夏ちゃん、ちょっと見てくるね!」
清夏「ちょ、ちょっと待ってよ!リーリヤ!リーリヤ!!」
清夏の制止を聞く事もなく、リーリヤは無我夢中で爆発音がした方へと走った。 - 98二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 01:04:52
夕暮れとなり辺りは薄暗くなり、昼方より周りの視界が悪くなった森の中で四音は荒んだ獣道を全速力で駆けていた。
四音が走る後ろには一つ目をした体長が2Mもある一等身の不気味な怪物が四音を追いかけるように駆けていた。
(クソッ!いつまで付いてくるんだ!!)
そう思いながら四音は《簡易錬金術》の装置に素材を入れた後、怪物の方に向け、《簡易錬金術》で作られたエネルギーが放たれる。放たれたエネルギーは怪物の身体に直撃するも、怪物に取ってはかすり傷程度にしか過ぎず失速する気配もない。
四音はひたすらに走るが、前は壁に囲まれていた。怪物は四音に追いつく。四音がどういう状況なのか分かったのか、ゲラゲラと嘲笑うような唸り声をならす。ジリジリと四音と怪物の距離は縮まると、四音は《簡易錬金術》の装置にあさり先生に配られた鉱石の玉とは違う赤みを帯びた玉を入れて、怪物に向けてエネルギーが放たれ、着弾後に音をたてて爆発する。
流石の怪物は呻き声を上げ、後ろによろけて足から崩れて落ちる。ボロボロなった怪物の体に四音は追い討ちをかけるように何発もの《簡易錬金術》のエネルギーを放ち続けた。
「あははは、見たか怪物め!ボクがお前なんかに負けるはずがない!」
高笑いしながら瀕死の怪物を攻撃し続ける。さっき装置に入れた鉱石の玉は四音の奥の手として1つだけ持ってきた物であった。
言うなれば四音にとっては最初で最後の最大火力の一撃。
それを使い優位を取っている四音はこの怪物に自分が負けるわけないと思っていた。だが・・・・
カサカサと揺れる茂みから現れたのは一匹の鹿。それを見た怪物は瀕死の状態にも関わらず、大きい口を開けて目にも止まらぬ早さで鹿を喰らった。
その不気味な悪さに四音は気味が悪いと思いながら、装置に素材を入れて怪物に向かった。するとその瞬間、怪物の身体がみるみると再生始めた
四音「うそ……でしょ」
四音が受け入れられない事実に困惑していると、身体の再生を終えた怪物は近くに落ちていた太い丸太を四音に向かって振るった。
もの凄い勢いで振るわれた丸太に当たり四音は数メートル吹き飛び、背中から木に衝突する。息は咽せる脳か揺れる。身体が痛く、意識が薄れ始めてきた。
四音は自分の運命を悟る。何も成せないまま、ゆっくりと目を閉じた。
「白草さん!!」
薄れ行く意識の中、誰かに名前を呼ばれた気がした - 99二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 07:31:09
間に合うか……!?
- 100二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 16:52:20
ほ
- 101二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 22:08:47
媚薬から始まる錬金学園~先輩を堕とすために私は今日も頑張ります~
- 102二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 01:39:19
ちょっかいかけたのは誰の指示なんだろう
- 103二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 02:19:48
保守
- 104二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 07:24:39
割と実際にありそうなタイトル
- 105二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 17:20:22
保守
- 106二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 00:07:03
ほす
- 107二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 00:14:46
直球なタイトルに対してかなり綺麗なリーリヤSS。
丸です - 108二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 07:16:51
保守
- 109二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 07:26:14
実際に連載されたら多分タイトルで誤解を生んで読者数が伸び悩むタイプと見た
- 110二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 15:27:34
保守
- 111二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 23:29:11
保守
- 112二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:39:03
夜が訪れた。迷いの森の中に少数ある洞窟の中でランプの明かりに照らされながら四音はゆっくりと目を開けた。
清夏「あ、リーリヤ!四音ちゃんが目を覚ましたよ」
リーリヤ「本当!!………よかった」
四音は聞き覚えのある声に動揺した。何せ彼女らは四音が潰したであろうと思っていたリーリヤと清夏であったからだ。
彼女たちはあの場から切り抜けて、それを仕掛けた自分をを助けたのだと四音はすぐさま理解した。そして四音はゆっくりと痛む身体を起こす
四音「どうして私を助けたんですか?」
リーリヤ「……白草さんとお話ししたかったからです」
四音「あなたとお話し?はっ、そんな事の為だけに私を助けるだなんて馬鹿な人ですね」
四音はリーリヤを鼻で笑い、呆れる。何せリーリヤ達に危害を加えた四音を助ける理由が四音と話しがしたいという、あまりにも馬鹿げているからだ。けれどリーリヤは茶化すこともなく真剣な眼差しで四音を見る。
リーリヤ「確かに私は馬鹿かもしれません。でも知りたいんです。どうして私たちを消しかける必要があったのか」
四音「ほんと呆れる。あの時に言ったでしょ。私は出る杭は打つって」
リーリヤ「はい、ですから何故四音さんは自分の手を汚してまで出る杭は打とうとするのか。それが知りたいんです」
四音「それは………いえ、これ以上私があなたにお話しする事はありませんわ。それよりテレポート装置は使わないの?早くこの狭い部屋から出たいのだけど」
清夏「あー、テレポート装置は……」
この場を早く終わらせようと四音の問いに少し困った顔をしながら清夏は歯切れを悪くする。 - 113二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:39:41
清夏「実はテレポート装置、何処にもないんだよね」
四音「は?嘘でしょ。私のポーチの中に入って…… 」
四音は置かれていた自身のポーチを手に取り中身を確認する。清夏が言うようにポーチの中には持っていたはずのテレポート装置はなかった。
清夏「四音ちゃんを助けるついでに散らばった道具とか全部拾ってきたつもりだったんだけどね」
四音「……なんで、そんなに平然としてられるの?貴方がテレポート装置を拾わなかったからここから出られないでしょうが!」
リーリヤ「白草さんやめて下さい!白草さん!!」
激情した四音に清夏が突っかかられる。それを見たリーリヤはすぐさま四音を止めようと身体を使って四音を抑えた。
清夏「……ごめん。私がポーチの中身を全部拾っていれば」
四音「そうよ!あなたが全部拾ってればこんな事には」
リーリヤ「白草さん落ち着いてください!清夏ちゃんは白草さんを運ぶのを手伝ってくれたんです!だからこれ以上清夏ちゃんを責めないで下さい」
リーリヤのその言葉で四音は何か言いたげな顔をしながらも言葉を飲み込んだ。落ち着きを取り戻した四音の身体をリーリヤは離す。そして重い空気で沈黙が始まる。そんな沈黙を破ったのはリーリヤのお腹が鳴った音であった。
リーリヤ「すみません。昼から何も食べていないのでお腹が空いてしまって」
清夏「ふふ、それならお菓子食べる?皆んなで食べれる様に沢山お菓子を持ってきてたんだ」
四音「はぁ、ほんとあなたたちは気楽でいいですね」
清夏がポーチからお菓子を取り出しリーリヤと四音に渡す。リーリヤは感謝をしながらお菓子を受け取り、四音は突っぱねるようお菓子の受け渡しを拒否した。
リーリヤと清夏はお菓子を食べて、四音はくだらないとリーリヤたちと顔を合わせないように後ろを向けて横になった。
そうして沢山のアクシデントに巻き込まれながらリーリヤ達は始めて野外で夜を明けた。 - 114二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:42:01
すみません、めっちゃ書くの遅くなりました🙇
- 115二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 07:26:32
ええんやで。その分毎度楽しませていただいています
- 116二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 12:12:35
待ってた
- 117二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 19:17:10
ほす
- 118二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 00:36:52
保守
- 119二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 08:27:34
ほ
- 120二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 15:53:33
はじめての野外(意味違)
- 121二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 22:47:56
保守
- 122二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 02:46:59
念保
- 123二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 09:40:38
ほす
- 124二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 17:53:44
保守
- 125二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 23:17:40
ほしゅ
- 126二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 07:30:29
これはきっと一緒にキャンプして絆を育むやつだ
俺は詳しいんだ - 127二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 14:51:22
捕手
- 128二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 22:03:31
投手
- 129二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 01:12:37
内野手
- 130二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 07:31:08
握手
- 131二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 15:16:22
保守
- 132二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:16:42
リアルの今日は雨模様だが、リーリヤ達は野外でうまくやれているだろうか
- 133二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 00:55:25
スレ主文書くのうまいな
- 134二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 07:29:49
今回のイベントでまたリーリヤのみりきが一つ……
- 135二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 17:10:35
保守
- 136二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:05:30
ほ
- 137二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 07:31:53
スレ主さん、元気にしてるだろうか
- 138二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 14:11:31
保守
- 139二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 21:55:34
寝る前に
- 140二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 06:08:32
ほ
- 141二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 07:45:10
保守
- 142二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 15:51:22
補習
- 143二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 22:12:57
生きてると信じて
- 144二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 02:26:15
信じて待つさ
- 145二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 10:45:57
待つ保守
- 146二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 10:46:07
ほ
- 147二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 20:16:50
し
- 148二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 22:59:34
生きててくれ
- 149二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 03:07:42
ゅ
- 150二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 12:23:05
保守
- 151二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 19:58:34
ほ
- 152二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:13:11
ここまで読ませていただいているから気長にお待ちしております
- 153二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 07:35:10
同じく、気長に待ってるで
- 154二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 16:07:55
待機
- 155二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 21:54:50
ほ
- 156二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 07:33:34
し
ゅ