「たとえメジロの名を捨ててでも、私は貴方とともに」

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:07:07

    「今日はもやしの大安売りだったので買い込んで来ましたわ!」
    「流石に買い過ぎじゃないか……?」
    「安くて美味しくて栄養価が高いのですから、文句言わないで下さいまし!」
    「はいはい……まぁ、もやしは好きだから連日続くのは構わないが……」
    私とトレーナーさん……いえ、○○さんは同棲生活を送っています。
    それも、お互いにトレセン学園と実家を離れ、誰も知らない土地で。
    「醤油、味噌、塩と胡椒……ありとあらゆる調味料で違った味を楽しめるもやしこそ、至高の食材ですわ……!」
    「俺達のような貧乏人の強い味方だもんな」
    ○○さんは相変わらず、私の言葉に一つ一つ笑顔で相槌を打って下さいます。
    それだけでなく私の方が○○さんより力が強いことを知っていながらも、必ず荷物の半分以上を持って下さいます。
    貴方はいつも「男の意地みたいなものだ」と言いますけれど、私にはお見通しですわ。
    本当は少しでも私の体に負担がかからないように、気を遣ってくれていることを。
    「ただいま……」
    「ただいま帰りましたわ!」
    誰もいない部屋に向けて帰宅の挨拶を言いながら、私と○○さんは購入した物を下ろしていきます。
    そこは実家と比べてあまりにも狭く、お世辞にも豪華とは言えない部屋ですけれど。
    今の私にとっては、どんな豪邸よりも温かく住み心地の良い部屋と言えますわ。
    「さて、今夜の献立は」
    「もやしづくし一択ですわ!」
    「だろうな。味付けは?」
    「確か、野菜炒めの素が少し残っていたはず……」
    「う~ん、それはもやしがなくなる直前まで取っておきたいな。今日はシンプルに醤油でいこう」
    「分かりました。では、今日も一緒に作りましょう?」
    「ああ」
    私と○○さんは横に並んで、部屋と同様に狭い炊事場でお夕飯作りをしていきます。
    この作業と時間は、私にとって幸せを感じられる一時の一つですわ。
    何故なら○○さんと過ごしているという実感が、これでもかとばかりに湧いて来ますから。

  • 2二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:07:25

    「いただきます」
    「いただきます!」
    「……うん、美味いな」
    「炒めたもやしに醤油を振りかけて、ご飯と一緒に食べる……箸が止まりませんわ……!」
    実家で過ごしていた頃や、トレセン学園で過ごしていた頃とは、比べ物にならないほど質素な食事。
    ですが、私にとってはどんな高級料理よりも美味しくて、満足感を得られる食事なのです。
    これも全て○○さんがいてくれるから。あの日、一心同体を誓い合った時から、私と○○さんは決して離れられない関係ですから。
    「……なぁ、マックイーン」
    「はふはふ……何ですの?」
    「ありがとう」
    「……ふふ、もう耳にタコが出来るほど聞きましたわよ?」
    私は結局、メジロの名を背負うウマ娘として……結果を残せませんでした。
    ○○さんも責任を感じて、自らトレーナーを辞めてしまいました。
    もちろん私は大反対しましたが、○○さんは……私の目を見て、こう言って下さったのです。
    『マックイーンを勝たせてやれなかったのは俺の責任だ。マックイーンの未来を潰した俺なんかが、呑気にトレーナーを続けて良いはずがない。こんなやり方でしか責任を取れず、本当にすまない』
    私も○○さんも、お互いに自分に原因があると譲りませんでした。
    そして、しばしの言い争いをした後……私はある提案をしたのです。
    「それでもだよ。俺と一緒に来てくれて……メジロを捨ててでも、俺を選んでくれて……感謝し切れない」
    「私の方こそ。○○さんに見捨てられたら、どうしようかと……」
    「見捨てるはずないだろう。マックイーンが許してくれるのなら、受け入れてくれるのなら、俺は君の為に……君だけの為に生きたいと、心から思ったんだ」
    「……○○さん」
    私は自らメジロの名を捨て、○○さんは自らトレーナーとしての職を捨て、私達は二人で遠くに行きました。
    お婆様にも説明しようかと思いましたが、合わせる顔がないと考え、結局二人で逃げて来てしまいました。
    ですが、後悔していません。あの時、勇気を出して逃げ出したからこそ……
    こうしてささやかながらも、幸せを感じられる日々を手に入れることが出来たのですから。
    「……愛していますわ、○○さん」
    「俺の方こそ……愛してるよ、マックイーン」

  • 3二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:09:39

    某スレで業務用スーパーの強みを常連のように話すマックイーンのレスを見て書かずにはいられなかったんだ
    本当は過去との決別や単純に短い髪の毛の方が金銭的にも時間的にも手入れが簡単になるという理由でマックイーンが髪をバッサリ切る話も入れたかったけど無理だったんだ

  • 4二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:11:40

    めっちゃええやん……

  • 5二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:11:52

    メジロ家よりトレーナーをとるマックイーンは美しいが、それはそれとして元トレーナーは働けよ!

  • 6122/03/22(火) 06:12:36

    >>5

    ごめん描写し忘れた

    元トレーナーは普通に働いてる

    このssは休日をイメージした

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:21:21

    マックは落ちぶれても割と適応しそうなの分かる

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 06:42:07
  • 9二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 07:04:40

    このレスは削除されています

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 07:17:38

    おばあさまは察して探さずにいてくれてそう

  • 11二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 07:25:47

    トレーナーと一心同体となったマックEーンのその後か…

  • 12二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 17:23:14

    >>11

    俺たちが生んだマックEーンもこうして救われてたらいいんだけどな…

  • 13二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 17:26:01

    お嬢様駆け落ちボロ安アパート4畳半夕暮れ概念いいよね

  • 14二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 05:14:45

    いいよね

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 05:19:23

    >>10

    見つけた上で不干渉でもイイぞ

  • 16二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 08:59:45

    >>15

    他のメジロたちもマックとトレーナーを見かけても見逃してくれるんだ

    それに気づいたマックとトレーナーは寂しさを感じつつも感謝するんだ

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