もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart19

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:03:47

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの19スレ目です。

    アグネス・ギーベンラートが宇宙という大海に放り込んだ小石の波紋。それは彼女と同時代を生きる無数の人々の営みと共鳴し合い、プラント政変と言う大きなうねりを引き起こしました。

    彼女を含め、この事態を予想していなかった人々は押し寄せる大波を乗り越えることにひたすら精一杯です。

    最悪の中の最善を目指して、アグネスとアスランはこれまで秘密にしていたミーアの秘密とラクス・クライン暗殺未遂事件を最高評議会議員たちに打ち明けたのでした。

    その結果は基地と出るか凶と出るか?

    プラントとミネルバが不毛な内輪もめに勢力をとられている間も地上の争乱が止むわけではありません。

    アグネス達にとって未だ知りえぬデュランダル議長の思惑、戦争の行方、ロゴスとの戦いはどう進んでいくのか。

    おつきあいをいただければ。

  • 2二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:07:19

    頑張れアグネス
    それ行けアグネス

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:07:55

    たておつ

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:10:16
  • 5二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:11:23
  • 6二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:12:43
  • 7二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:15:05
  • 8二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:16:47
  • 9二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:19:09
  • 10二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:21:04
  • 11二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 00:22:28
  • 12二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 01:10:01

    マジカルカナーバと揶揄されるぐらい非現実的かつ最良の外交成果を出したのに色々なことよく知らなくてナチュラルに譲歩しすぎだと不信任突きつけるプラントの一般市民やアグネスから見たら無能に見えるのよね

    プラントが60億人以上虐殺したようなものなのに地球連合に独立を認めさせた
    ザフトなんてテロリストみたいなもんなのに地球連合に存続を認めさせたおかげで外交努力だけで大戦が終了した
    クライン派の罪など(フリーダム譲渡)はクルーゼさんに押し付けた
    色々やらかしたアスランにとってかなり有利な状況にしつつ色々面倒なザラ関連はプラントにとっても都合の良い筋書きにしておいた
    色々と面倒事の種になるラクスとアスランは追放
    ここまでやっても暫定政権ごと総辞職に追い込まれる
    (プラントがユニウス条約で兵器に保有制限を課せられたから)
    兵器の保有制限をされただけで無事にプラントが独立している
    普通なら今までのやりすぎた大量虐殺とかで色々と責任を取らないといけないのに外交で勝利しているという

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 01:24:18

    <<アスラン「大人しくしてくれ。怪我人なんだぞ、君は!」
    むしろお前は何故これだけデスマーチを繰り返して怪我の頻度も少なければ怪我してもすぐ回復するんだよアスラン・ザラ

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 06:28:32

    >>13

    スパコじゃない優秀だけど普通なコーディネイターなはずのアスラン

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 09:20:52

    この鉄火場でエザリアがアグネスを品定めしてたらどうしよう…

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 17:23:03

    >>13

    アスランだからさ…

  • 17二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 22:31:27

    >>15

    イザークの嫁アグネス…?

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/20(木) 22:32:44

    ギャンは元はイザークの機体だったってまさか

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 01:57:36

    メイリンと一緒に医務室に帰還すると看護兵二人が気遣わしそうに迎えてくれる。

    看護兵「どこが痛みますか?」
    アグネス「いえ…。鎮痛剤が効いているみたいで特に痛みはありません」
    看護兵「では、まず脈拍、呼吸、体温、血圧を測定しましょうね」

    え…。なんか勝手に医務室の通常モードに成り掛けているわ!困る、これが彼女達の戦争なのだと理解してはいるけれど。ここが正念場なのよ!戦況を確認しないと。

    アグネス「メイリン!デバイス画面をオープンに。看護兵さん、医務室の通信をブリッジに固定してください」
    メイリン「はい」、看護兵「バイタルチャックが終わってからです!」

    私の頼みをメイリンは聞いてくれたが、頭から角を突き出しそうになっている看護兵さんには無視されてしまう。

    仕方ない。我が身は看護兵二人に委ねつつ、視線はデバイス画面に注いでおく。ちょうどミネルバと月軌道艦隊のナスカ級3隻が二手に分かれたところだわ。

    内ミネルバは囮を買って出る。マリクさんは舵を切り、横隊となった相手艦隊4隻のミサイル射程ギリギリの位置に艦の進路を変更する。戦闘力と防御力が高く足も速いミネルバが敵を受け止めるのだ。

    その間、ミネルバに比べ足の遅いナスカ級3隻は、後背を省みることなくザフト軍事ステーションまで前進する。軍事ステーションは議会派に転じたジュール隊が押さえてくれているから一先ず安全だ。

    アグネス「(そして、ミネルバは敵の無力化後、その足自慢を活かし先発組に追いつく、と)」

    もしもミネルバに不測の事態が起これば、ナスカ級の3人の艦長の内、最先任者が全体の指揮を引き継ぐことになっている。『不測の事態≒ミネルバ轟沈、私は戦死』であるから、そんな事態は勿論、起こって欲しくはない。

    でも、私達の生死にかかわらず、『それでも世界は廻る』。私の両親や親類を含むプラント国民の明日の事を案じる気持ちぐらい私にもある。

    アグネス「(その場合はザフト軍事ステーションで協議が持たれるはず。イザーク先輩が『総大将』になることもあり得るだろう。何にしろ、もたもたしている時間はないわ)」

    看護兵「医務室の通信、ブリッジに固定しましたよ」
    アグネス「ありがとうございます!」

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 02:02:24

    私のバイタルチャックの間にメイリンは業務用デバイスをあれこれ弄って、ブリッジの光学モニターとレーダーモニターと画面を同期させてくれていた。

    それを見るに、敵艦4隻は発進シークエンスを開始している。手早く展開していくモビルスーツ群はザクとグフの混成隊、合わせて60機ほど。主力はM68キャットゥス500mm無反動砲を装備したグフ30機か。

    メイリン「敵のナスカ級、艦載機が多いですね」
    アグネス「ええ。そうね。1隻辺り12機積んできた計算になる。普通のナスカ級は6機だからギチギチに詰め込んできたのね」

    ただ、グフは元々、手足を付け外しできる設計になっている。積み方次第ではそれなりの数を収めることが出来たはず。それにナスカ級にしても、月で私が母艦としたカーナヴォンは最新型で12機を運用していた。そもそもミネルバ自体が過積載をよく行っているのだから、人様の事をとやかくは言えない。

    アグネス「さはさりながら、今の戦況、敵から見れば各個撃破のチャンスね。相手は4隻のナスカ級を中陣として両翼にモビルスーツ隊を配置。私達を翼包囲して袋叩きにする積もりよ」
    メイリン「所謂、『鶴翼の陣』ですね」

    一方、我らがミネルバモビルスーツ隊も発進シークエンスを粛々と進めている。先頭になって発艦するのは、アスランが乗り込むフォースインパルスとルナマリアが搭乗するガイア、続いてショーンとデイルのグフ2機。

    この4機が今のミネルバの主力だ。それに加えてガナーザクファントム3機が発進し、編隊を組む。ミネルバ本体に関して言えば、甲板にはガズウート隊6機が布陣、格納庫ではバクゥハウンド隊3機がブレイズウィザードで待機中。守る分にはそれなりに鉄壁と言えるだろう。

    ただ、これで敵勢を突破するのは無理がある。相手が全力出来たら、こちらにも戦死者が出かねない。『戦友』を全機全艦、不殺撃破してあげることなど、夢のまた夢。

    アグネス「(無理やり積んできた補機のグフがまだ2機ある。いよいよとなったら…)」

    メイリンにチラリとアイサインを送る。一応、パイロットスーツに着替えておきたい。だが、彼女は綺麗な形の眉を顰めて難色を示す。アスランと姉のルナマリアに私を託されているのだから当然か。

    おまけに医務室の奥から鬼のような顔をした軍医殿が現れ、ノシノシ近づいてくる。年貢の納め時、大人しくしておくべきなのか。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 02:16:31

    私が軍医殿に怯んでいる間にミネルバは相手旗艦と通信を繋いでいる。

    タリア「本官はザフト軍月軌道艦隊司令長官、特務隊長タリア・グラディスです。前方に立塞がる友軍に告ぐ。我々は9名のプラント最高評議会議員、国防委員会と60人議会の命令を受け行動しています。
    その命令は『デュランダル議長の強権的かつ不法・不当な措置から最高評議会ビルと首都アプリリウスを守護するため必要な措置を講ぜよ』と言うものです。
    現在、貴官が議長から受けているであろう命令は不法なもので効力を有していません。どうか道をお空けなさい」

    業務用デバイスから発せられるグラディス提督の声、敵艦にも間違いなく届いているだろう。さて、これで相手が引き下がってくれれば言うことはないのだが―。

    一拍後、画面の向こうで相手艦隊旗艦から返信が返される。回線の先に姿を現した方は―。

    グラスゴー「事前通告を送ってくださったことに感謝する。グラディス提督。本官はエターナル追跡捜索艦隊司令官グラスゴー。本日は任務を急遽改め、最高評議会議長ギルバート・デュランダル閣下より『反乱部隊ならびにテロリストから首都・アプリリウスを防衛するため、必要な措置を実行せよ』と命を受け作戦行動中である」

    モニター画面に映る恰幅よく温厚そうな白服士官、彼と私は―いや、私達は意外と深い縁がある。

    メイリン「グラスゴー隊…。やりにくいですね。月での戦いで私達を乗せて下さったナスカ級カーナヴォンの派遣元。戦死した仲間の直接の仲間です…」
    アグネス「ええ…。最悪-」

    画面の向こうの温和そうな紳士を真直ぐに見つめる。うーん。陰謀の共犯者には見えないわね。本当にエターナルの追跡任務に当たっていたところを呼び戻されたらしいわ。

    アグネス「(エターナル追跡捜索とか、やっぱり議長はラクスを―。いやどうでも良い。そもそもグラスゴー隊長は知らないと思う)」

    話から推測するに、彼エターナル捜索と言う特殊任務に従事し、命令系統が一時的に国防委員会から離れ、議長直轄に近似した形になっていたらしい。

    それを利用して議長は下命し、グラスゴー隊は良く分からないままここに来た感じかな。

    お互いに戸惑いながらも、グラスゴー隊長は律儀に副官に合図を送る。すると向こうのナスカ級ブリッジで彼の黒服の副官は立ち上がり、私達に通告を発し始める。

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 02:32:51

    副官「これより議長官邸より通達された文章を読み上げる。グラディス提督旗下の兵士たちはよく聞くように。
    『私はプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルです。一部の迷走した最高評議会議員等に扇動されたザフト兵に通達します。最高評議会議長の名と権能を以て命じます。直ちに原隊に復帰し、または通常任務に戻りなさい。
    君達は一部の最高評議会議員及び60人議会議員、そして各自の上官の言葉を正しいものと信じて誠心誠意活動してきた。そのことを私は理解している。しかし、それは誤りだったのだ。彼らは不確かな状況に基づいて判断を謝り、悪気が無かったとはいえ祖国に深刻な悪影響を与えている」

    メイリン「何度も同じことを言い続けて自分の見解を浸透しようしているんですね」
    アグネス「まあ、人は信じたいものを信じるからね。議長を信じる大衆と何割かのザフト兵とって、『教祖様』がだんまりを決め込むことほど耐え難いものはないでしょう」

    故に彼が自身の見解-もとい曲解した真実-を発し続けることはある程度の有効性を持つ。

    副官「『さて、もしこの命令を受けて猶、君たちが抵抗するのであれば、それは結果として人類の敵対者たるロゴスを利するところとなる。それなのに敢えてプラントを内紛状態に陥れようとする企てに協力するというなら、諸君たちは人類の敵ということだ。私は君たちがそうと知りながら行動しているとは思いたくない』」

    のしのし歩いてきた軍医殿はその言葉を聞き、ふむと首を傾げる。

    軍医「人類の敵?議長と敵対したら―。確かにロゴスは倒すべきだが…」
    看護兵「『結果的に内通罪と同じ』と言う意味でしょうか?」

    軍医殿と看護兵は議長の唐突なメッセージに首を傾げている。だが、これはこれで議長にとっては存外有効な言い回しかも知れない。

    アグネス「(『嘘をつくなら大きな嘘を付け』『真実の中に嘘を混ぜろ』、この声明はその両方を満たしている)」

    何より、軍医殿と看護兵さんが議長の声明を冷静に聞けているのは、この空間が医務室と言う『アジール』であることが大きい。戦場に居ながらも一歩引いた距離なのだ。

    戦闘状態の張り詰めた精神状態の艦内、緊張の極限のモビルスーツパイロットにとって自国の国家元首から『人類の敵』と名指しされることは本来、耐え難い。

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 02:48:51

    私達、月軌道艦隊がそのプレッシャーに耐えられているのは、これまで積み重ねてきた複合的な要因あってのもの。それでも、皆、内心は不安だろう。一方、FAITH組やメイリン達ブリッジ組に至ってはもう何だか吹っ切れてしまったと言うのが実態かも知れない。

    いずれにしろプラント全体、ザフト全軍の中では、異常なのは私達の方なのだ。

    副官「『君たち扇動されたザフト兵は正しいことをしていると信じてここまで来た。しかし、私の言葉を聞いて、今やそれが間違いであると気が付いた。
    ならば―、今までの行きがかりや仲間意識に縛られて反抗的な態度を取ることは賢明ではない。反逆者の汚名を歴史に残すようではご家族が悲しまれる。今からでも決して遅くはない。直ちに抵抗を止め、正しき軍旗の下に復帰しなさい。君達のご両親もごきょうだいも国民全体もそれを心から祈っている。無論、国家元首たる最高評議会議長である私自身も。今ならこの件で君たちを不問に出来る。速やかに現在の位置から通常任務に戻りなさい』。議長の声明は以上だ。グラディス提督以下の月軌道艦隊の戦友達、よく考えられよ」

    副官殿からの声明文通告が終わると不思議な静寂が訪れる。グラスゴー隊旗艦ブリッジもミネルバブリッジも医務室も―。この感情は何と形容すればよいのだろう。

    一つにはやはり家族の心配がある。議長は親切面して『家族、親きょうだい』に言及している。これは脅しだわ。

    そう言えば、今回の事態に直面して、娘が国家元首から反逆者と言われて、パパとママはどう思っているだろう?

    ママ『アグネスが…、アグネスが何で…。そんなはずありません!あの子がそんな…グラディス提督も…。そんなの何かの間違いです!絶対そんな!馬鹿なことを!』

    うーん。ちょっとイメージしてみたけれど…、絶対言わないわね。パパもママも。

    それはそれ、これはこれの精神で、今頃、政界・官界サバイバルの準備で大忙しだろう。家を守らないと、まず自分たちが生き残らないといけないから。例え今回、勝ち組になれなくても将来復活の目を残さなければいけない。

    アグネス「(最悪、家を継ぐ子供は今から頑張るか、遺伝子を辿ってプラントのコーディネイターの中で血筋が近い子を見つけて養子にしても良いのだから。ここぞという時、立ち回りに失敗した娘の事など一顧だにしないわ…)」

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 03:12:06

    そもそもの話、この声明では私達、月軌道艦隊の上層部やパイロット達は刺さらない。
    皆、アプリリウスの内情を知っているのだから。政局は今が正念場だ。どっちにも転がり得る。勝手に勝ち目がないと絶望して自滅するのは愚かしい。それこそ家族に迷惑がかかると言うものだわ。

    メイリン「グラスゴー隊はどうなんでしょうか?」
    アグネス「対立する命令を受け、訳が分からなくなっている、と言うのが正直なところじゃない?数万の大規模デモに怖気づいている可能性もあるわね」

    車椅子の傍のメイリンを見上げ、一度視線を交わす。その意を察したのだろう。今度は大人しくパイロットスーツを広げ始めてくれる。
    デバイス越しで聞くにブリッジではジェセック評議員の説得も始まっている。しかし私が思うに、効果があるかは微妙だ。シュライバー国防委員長も顔を出すかもしれないけれど、多分同じこと。

    彼らは細かい事情を知らず、また私達も伝える時間もない。そんな中、これ以上グラスゴー隊にプレッシャーを加えれば逆に暴発しかねない。
    アグネス「(それならいっそ―。『一戦すれば、彼らの面目も立つか?』)」

    頭に浮かんだ物騒な考えを次の瞬間に打ち消す。そんな軽挙は強く戒めるべきだ。片八百長の積もりで両方に死傷者を出すことほど愚かなことはない。
    グラスゴー隊長には賢明な判断を期待したい―何が賢明かは分からない―が、合法性ならこちらに分があるはず。

    アグネス「軍医殿、私も格納庫に。器具の再調整があれば今の内にお願いします。看護兵さんもお手伝いください」
    軍医「いや、しかし…」

    しかしも何もない。ミネルバと百戦錬磨のパイロット隊なら彼らに勝つだけなら勝てる。でも、あの数、全機を不殺は無理だ。私としても体は傷だらけ。本当は休んでいたい。他の隊なら間違いなくそうしたわ。でも―。

    アグネス「月でカーナヴォンは私達の母艦でした。沈んで行った乗組員は概念的な『戦友』ではありません。直接巡り合った仲です。彼らの母艦隊と乗り込んでいる戦友たちを死なせては、私は彼らに合わせる顔がありません」

    ああ、重ね重ね…。いっそここで出てくるのがウィラード隊長なら良かったのに。そんな考えは間違っていると分かっているけれどね。

    軍医「…待ちなさい。器具を再調整する。首と胸部と腹部のコルセットを調整しなければ。衝撃に耐えられるように。左大腿部のギブスも」

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 11:49:48

    うーん、ブラックナイツの半分がこっちに来てることも考えるとまだまだやばいのがなぁ

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 11:52:02

    <<メイリン「何度も同じことを言い続けて自分の見解を浸透しようしているんですね」
    兵庫県民の俺の傷を抉るのやめてもろて……

  • 27二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 21:04:53

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 02:09:47

    看護兵「メイリンさん、新しいパイロットスーツを持ってきて。多分、そのサイズじゃ着ぶくれして入らないわ」
    メイリン「はい。アグネスさん、ちょっと待っててください」
    アグネス「お願いね」

    傷付いた体を固定器具と保護具で固め、包帯でグルグル巻きにしてもらう。メイリンがスーツを持ってきてくれるなら今の内に整備班にも声を掛けておこう。

    アグネス「看護兵さん、艦内電話をお願いします」
    看護兵「はい。どうぞ」

    半ば呆れ半ば尊敬と言った表情の彼女から子機を受け取り、格納庫に繋げる。3コール目に受話器が取られ、慣れ親しんだ男子の声が鼓膜を優しく揺らす。

    ヴィーノ「はい?」
    アグネス「ヴィーノ?!お疲れ。忙しいところ悪いけど、グフの出撃準備を整えて!私も出るかも」
    ヴィーノ「…了解。組み立て自体はもう終わっているよ。コックピットモニターの視野確保の調整も済んだ。アグネス達はむち打ちで首の自由が聞かないから」
    アグネス「?」

    話が早くて大助かりだわ。でも、用意が良いのね。

    アグネス「準備してくれていたの?」
    ヴィーノ「うん。こういう時のために…。それとシンも出るって言ってきて。だから、そっちもそうなるかもって」
    アグネス「シンも出撃する?あいつ、身体大丈夫なの!?」

    私以上に医官に制止されていたはず。男子用の拡張医務室ではどんな遣り取りが行われたのやら。きっとパイロットスーツの下は私以上にグルグル巻きになっているわね。

    少し細めの体形のシンが雪ダルマみたいに膨れて、パイロットスーツに袖を通している様を思うと何だか可笑しくなる。赤いパイロットスーツを着れば本当に達磨様だわ。

    アグネス「(クックックっ…)」
    ちょっと笑いを堪えて居ると電話口のヴィーノが心配げに声を掛けてくる。

    ヴィーノ「俺にしてみればアグネスも大丈夫か聞きたいよ?シンも…。一応、ハイネ先輩かシンかで男子の方の軍医殿に聞いて、シンの方が少し怪我の程度が軽いからって」

  • 29二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 02:21:25

    なるほど。考えることは皆、同じね。『戦友を自分たちの手で殺めることは耐えがたい。何とかしなくては!』

    ハイネ先輩は止められちゃった、と。幸か不幸か補機は2機しか積めなかった。私が乗る機体が残っていたのなら、これを天の配材と受け止めるべきね。

    とは言え、電話先の気のいい同窓生には心配をかけたことは詫びるべきだろう。

    アグネス「心配かけてごめん。でも、相手は先に逝った仲間の戦友。いいえ、そうでなかったとしても!同軍合い討つ事態が避けられないなら、何とか戦死者だけは出したくないわ」
    ヴィーノ「当然さ。でも…アグネス、その…。貴女は、本当は俺が思っていたよりもずっと優しい人だったんだね。アカデミーの頃は誤解していたかも。ごめん!変なこと言って」

    何やらヴィーノが申し訳なさそうな声で謝り出した。確かに―自分でも随分、甘っちょろくなったと自覚している。でも、それはそれ、これはこれ。

    アグネス「良いわよ。時間がないから切るわ。シンが来たら待たせておいて。2機編隊を組む」
    ヴィーノ「ああ、分かった」

    ちょうどそのタイミングでメイリンがパイロットスーツを持って入室する。ほぼ同時にミネルバの舵が左に切られる。

    メイリン「おおっ…」
    看護兵「始まったの!戦闘が?!」
    看護兵「向こうはやる気なのですか!?」

    傍の看護兵が少し慌てだしたので、彼女達を右手で制しながら、広げたままのデバイスを覗き込む。

    グラスゴー隊、4隻のナスカ級からビーム8本が発射されている。主砲の120cm単装高エネルギー収束火線砲によるものだ。この軌道から考えて―。

    アグネス「威嚇射撃ですね。見当違いな方向にワザと討っています。マリクさんは反射的に舵を切りましたが、向こうも当てる気は端からない」
    看護兵「良かったわ!」、看護兵「でもこのままという訳にも…」

    看護兵とメイリンは心配げな表情を浮かべつつも、手元はキビキビ動きだす。医療器具やら何やらで着ぶくれした私の体に器用にパイロットスーツを着せてくれる。ありがたい、おかげで私は別の作業に取り掛かれる。

    右手をデバイスに伸ばして画面を切り替える。今の内にブリッジとアスラン宛てに送る作戦計画を早打ちしなくてはいけない。突然、戦場に出て来られても味方を戸惑わせるだけだろう。どんな顔をされるかわかってはいるが、やはり報連相は基本だわ。

  • 30二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 02:44:46

    メイリンは着替えを手伝い終わると、それを少し感心したように眺め、暫し後、重要な質問を私に投げかける。

    メイリン「議長はこれからどうするんでしょうか?3分の2の最高評議会議員と60人議会全員を敵に回して―。ミーアさんを使う気なのは良いとして、それだけ?」

    ふむ。『私達がどうするか』ではなく『議長がどうなのか』ね。もっともな疑問、実は私も気になっていたのだ。

    議長はこの一晩の政変で今まで何をして来たのか?今からどんな手を打とうとしているのか?出撃前に整理しておかないと不味い。

    アグネス「私が推測するに。本当に推測しかできないけどね。多分、議長は最高評議会議員8名からユニウスセブン落下テロの再調査の話が出た時に、政局の潮目が変わったことを敏感に察知したはずよ」

    自分の落下テロ関与の証拠が出てくる可能性だけじゃない。彼らが再調査を求めたと言う事は、詰まる所、自分を疑っているのと同義だ。過半数の最高評議会議員に疑惑の目を向けられては、議長と言えでも己の理想通りの戦争指導や政策実施は不可能となる。

    だから―『先手を打たなければいけない』、彼はそう思ったはず。

    メイリン「議長は頭が良い人です」
    アグネス「ええ、良すぎるくらいに」

    そう答えて、デバイスのキーを最後に叩き、ブリッジとアスランに作戦案を送信する。そろそろシンも着替えが終わる頃かな。ただ、もう少しだけ待って欲しい。頭を整理したい。

    アグネス「メイリン、ここでいう『先手を打つ』と言うのはね。つまり『【反デュランダル派(と彼が見なした)】の最高評議会議員を拘束するということ。そして代わりの最高評議会議員を60人議会議員から出させるということね。
    無論、自分の息の掛かった議員が選ばれるように仕向けたうえ。拘束した議員は適当な理由を付けて弾劾、監視下に置く。これで最高評議会はこれまで通りに運営できる―少なくとも外形上は。」

    思うに今夜の政変の序盤戦はこうして始まったのではないか?確認するようにメイリンを見上げると、それを受け、彼女が続きを加えようとする。

  • 31二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 03:18:35

    メイリン「議長は最初に―議長官邸に向かっていたライトナー評議員を議長警備隊で拘束するつもりでした。しかし、ビルにいる評議員にその方法は使えない。警備隊が居ますし、反デュランダル派に国防委員会も名を連ねていました。市街戦やビルの籠城戦に発展する可能性も。やはりプロの力が要る。そこで議長は子飼いのザフト将兵に動員準備を命じた、と」

    ところを得たりね。

    アグネス「そう【子飼いのザフト将兵にも動員準備を命じた】、これが議長の失策の一つ目ね。その中の主力はジュール隊、でもジュール隊長ご自身は議長に恩義を感じつつもその動向を訝しんでいたわ。そのためジュール隊長経由で情報は反デュランダル派に筒抜けになった。それだけでなく―最高評議会メンバーは議長の余りに強権的な対応に驚愕した。彼自身の振舞いが彼らの黒幕疑惑を確信に変えてしまったのよ」
    メイリン「自滅-ということですか?」

    ちょっと辛辣な質問を受け、ちょっと考え首を振る。

    アグネス「どの道、ユニウスセブン落下テロの疑念が最高評議会議員の会話の端に上るようになってしまった時点で、あのメンバーでの政権運営は不可能だったはず。次の日になっても状況は良くならない。時間がたつほど悪化して言ったはず」

    それなら彼はどうするべきだったのか?答えはやはり単純だ。

    アグネス「後ろ暗いことをやっては駄目ね。前大戦のニュートロンジャマー投下はプラントなりの大義と合理性があったわ。ジェネシスでさえもプラント本国-民間人居住区-に核を打ち始めたのは連合から。もし相互確証破壊なら撃つでしょう。国民全てが標的にされたのだから」

    今回のテロはそれとも違う。あのテロによる人道危機と環境破壊はどう言い繕っても正当化できない。直接の協力、故意の見逃しどちらであっても罪は免れない。ギルバート・デュランダルは、人としても国家指導者としてもレッドラインを踏み越えていた。その襤褸が出ただけの事なのだ。

    そう伝えるとメイリンは身もふたもない言葉を返してくる。

    メイリン「結局、政治家でも悪いことはしちゃ駄目ってことですね」
    アグネス「まあ、そうね…」

    少し違う。世界には確かに正論や正義がそのままでは通らない場面がある。政治家や高級官僚、高級軍人等は国家と国民の利益のために『グレー』な選択肢を取る必要も時には迫られるだろう。

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