レイ「どうすりゃいいんだ…」

1二次元好きの匿名さん25/03/21(金) 19:12:46

本拠地、ミレニアムスタジアムで迎えたゲヘナ戦
先発才羽（モ）が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は１００敗ねﾇｯ」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年の首位打者野正は独りベンチで泣いていた
KBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のミレニアムで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」野正は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、野正ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」野正は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、野正はふと気付いた

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した野正が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにミレニアムの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする野正の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「レイ、守備練習です、早く行きますよ」声の方に振り返った野正は目を疑った
「ス・・・スミレ先輩？」「なんだレイ、居眠りでもしてたのか？」
「ネ・・・ネル先輩？」「どうしたのレイちゃん、かってにリーダーを引退させちゃって」
「アスナ先輩・・・」　内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：一之瀬　２番：飛鳥馬　３番：乙花　４番：天童　５番：美甘　６番：野正　７番：室笠　８番：和泉元　９番：角楯
暫時、唖然としていた野正だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
各務からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する野正、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている野正が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った