駄菓子屋……ですか?

  • 1122/03/22(火) 20:54:45

    トレーニング前、放課後をどんな風に過ごしていたか担当ウマ娘であるメジロアルダンに尋ねられ答える。

    「ああ。子供の頃はよく通ってたよ。100円玉を握りしめて行ってね。その中で何を買おうか悩むのが楽しかったんだ」

    興味が惹かれるのか、嫋やかに微笑みながらアルダンは耳を傾けてくれている。
    心なしか尻尾の振りもいつもより大きい気がする。

    「今のアルダンのように寄り道をして、とは行かなかったけどね。ほら、小学生の頃ってお金持っていっちゃダメだし」

    以前、劇場で観劇をした際子供の頃の話をする機会があったがそれ以降もたまにではあるがこうして話している。
    少しばかり恥ずかしいが話を聞くアルダンはいつも楽しそうにしてくれているので良しとしよう。
    話を続けているとアルダンが何やらそわそわし始めた。

    「……もしかして駄菓子屋行ってみたくなった?」
    「あら。ふふふっ、気付いていらっしゃいましたか。そんなに分かりやすかったでしょうか?」
    「まあ、どこかそわそわしていたからね」
    「ええ、幼少の頃はそういった経験をしてこなかったものですから。それに、語っているトレーナーさんの表情がとても素敵でしたので」
    「……今日は軽めのトレーニングで時間もあるだろうし、その後でいいなら行ってみようか」
    「……よろしいのですか?」
    「このままだと気になってアルダンが調子を落としちゃうかもしれないからね」
    「もう……では是非♪ふふっ、楽しみです♪」

    こうして今日の寄り道が決定した。
    ……この日のアルダンのトレーニングの調子が絶好調だったのは言うまでもない。

  • 2122/03/22(火) 20:55:06

    トレーニングの後、着替えを済ませたアルダンと共に近場の駄菓子屋へと向かった。
    店に着くまでのアルダンは今にもスキップしてしまいそうな……いや、実際に時折していた。
    それほどまでに楽しみだったらしい。
    程なくして到着し、店内に入る。

    「これが全てお菓子なのですか?」

    所狭しと並べられた駄菓子に対してアルダンは宝石でも見つけたかのようにキラキラと瞳を輝かせている。

    「駄菓子じゃないものもあるけど大体はそうだね」
    「まあ!こんなにも種類があると目移りしてしまいますね」

    興味深そうに駄菓子を見つめるアルダンを眺めながら、そういえばと100円玉を1つ手渡す。

    「じゃあ、アルダン。これが今日のお小遣いね」
    「トレーナーさん?」
    「言ったでしょ?握りしめた100円の中で何を買うのか悩むのが楽しかったって」
    「なるほど。ふふふっ、承知いたしました♪」

    意図を汲み取ってくれたのか楽し気に微笑む。
    そうまで楽しそうにしてくれるとこちらまで嬉しくなる。
    ……仕方ないといった感じにお小遣いをくれていたあの時の母親は、この表情に負けていたのだろうか。
    そうしてアルダンは早速気になった駄菓子を手に取り始める。

  • 3122/03/22(火) 20:55:34

    「トレーナーさん?これは?」
    「それはゼリーだね、上を切り取って吸いながら食べるんだよ」
    「まあ!この中にゼリーが入っているのですか?」

    「こちらは?」
    「それはこざくら餅。餅飴ってお菓子なんだけどなんと言ったらいいんだろうな……食べてみた方が早いかもしれない」
    「なるほど……それではこちらは購入するといたしましょう♪」

    数分程駄菓子の説明をしながら買い物を進めているとふとアルダンの手が止まる。

    「あの」
    「ん?」
    「私ばかり選んでいますがトレーナーさんは何か買われないのですか?」

    アルダンに言われ、久しく駄菓子を食べてない事を思いだす。

    「……そうだね、折角だし俺も買っていこうか」

    そうして自分も思い出の駄菓子たちを探す。
    どうやらアルダンに当てられ、自分まで童心に帰ってしまったようだ。
    アルダンはたっぷり30分ほど時間を使い、初めての駄菓子屋を楽しんでいた。

  • 4122/03/22(火) 20:55:48

    トレーナー室に戻ってきて互いに買った駄菓子を広げる。

    「アルダンが選んだお菓子は……これまたカラフルだね」
    「ええ、どれも大変魅力的で。眺めているだけでも楽しくて、素敵な場所でした」

    アルダンの選んだ駄菓子は金平糖やこざくら餅、クッピーラムネなど。
    予想を裏切らない可愛らしいラインナップだ。

    「トレーナーさんの方は……ふふふっ、ご飯が進みそうな色をしていますね」
    「うっ……」

    対する俺の方は色とりどりなアルダンのチョイスに対して端的に言ってしまえば茶色に染まっていた。
    茶一色として役満扱いになってくれないだろうか。

    「いや、アルダン。これは比較的高いスーパーBIGチョコをメインに据えて安価なうまい棒やポテトフライでかさましする完璧な布陣なんだ。世が世なら名トレーナーだよ」

    何を言っているんだろうか、俺は。
    ただ100円という縛りがある中で選び抜いた自信のあるラインナップだったのは確かだ。
    するとアルダンは目を瞬かせた後、抑えきれないかのように笑い始めた。

    「ふふっ、トレーナーさんのそういうところ、大変可愛らしいと思いますよ?ふふふっ♪」

    年下の、それも教え子でもある女の子に可愛らしいと言われるのは非常に複雑な気分である。

  • 5122/03/22(火) 20:56:03

    「いや、見た目とかそんな事はいいんだよ。駄菓子の本領は食べる事なんだから」

    からかわれた事に対して若干照れながらも返す。

    「ふふっ、そうですね。それでは早速いただくとしましょう♪」

    興味深そうにこざくら餅をちまちまと食べるアルダンは、いつもの落ち着いた雰囲気とは裏腹に少し幼く見えた。

    購入したのは100円分という事もありあっと言う間になくなる。

    「どうだった?初めての駄菓子は」
    「どれも大変美味しかったです♪」

    少し心配だったがどうやらお嬢様であるアルダンの口にも合っていたらしく安心する。

    「ですが他にも気になっていたものがありまして……少々尾を引いてしまいますね」
    「それもまた駄菓子屋の醍醐味だよ。今日買えなかったものはまた行った時にしよう」
    「はい!また♪」

    こうしてアルダンの寄り道に新たな行先が追加された。

  • 6122/03/22(火) 20:56:15

    みたいな話が読みたいので誰か書いてください。

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 20:56:53

    既に

    >>1が書いただろう?

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 20:57:41

    丁度読みたかった
    書いてくれてありがとう

  • 9二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 20:58:08

    アルダンと駄菓子屋とは……
    まだいたのか…こんな天才が…

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 20:58:15

    初手スキップするアルダンで死にました

  • 11二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 20:58:25

    参考文献が足りないな もうちょっと書いてみ

  • 12122/03/22(火) 20:58:52

    アルダンのヒミツが2つとも色に関連したもの、という事でアルダンは白基調の病室で過ごす事が多かったからこそ色鮮やかなものに焦がれてそうだよねという解釈と。
    単純に駄菓子に目を輝かせてるお嬢様からしか摂取出来ない栄養がある、という話がしたかっただけでした。
    なので駄菓子屋に行ったらアルダンはカラフルなものに目が行きそうだなぁ……とか思いながら書いてみました。
    ありがとうございました。

  • 13二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:00:20

    アルダンでSSを書いてはいるがこういう日常系のものではないので失礼する。(とても良いものでしたありがとうございます)

  • 14二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:00:33

    >>12

    君よく天才って言われない?

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:01:46

    『アルダンのヒミツが2つとも色に関連したもの、という事でアルダンは白基調の病室で過ごす事が多かったからこそ色鮮やかなものに焦がれてそうだよねという解釈と。』
    ↑端的に言って素晴らしい解釈だよね

  • 16二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:03:15

    すごいな…まるでアルダン博士だ

  • 17二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:03:31

    >>12

    本当に美しいよ

  • 18二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:04:39

    >>12

    細かい所まで見てから書いてるのほんと尊敬する

  • 19二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:06:25

    駄菓子屋でブタメンとベビースターラーメンでかさ増しカップ麺が100円で食えたっけな。昔懐かしく、今となっては消費税とか諸々で不可能だろうな。
    ヨーグルトみたいなやつも好きだった

  • 20122/03/22(火) 21:08:01

    アニバーサリーでヒミツが追加された時「これヒミツ①も実は庶民的なものに興味を示してる訳じゃなくない?」と思い、最近SSが書ける事が判明した為文章にする事が出来て良かったです。
    トレアルは良いものです……

  • 21二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:09:55

    いいものを見た
    駄菓子屋のばーちゃんに「彼女.さんかい?」ってからかわれるのも良いと思います
    今後も応援してる

  • 22二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:10:41

    あー、特売チラシ(庶民的)じゃなくてカラフルチラシ(色鮮やかさが好き)ってことなのね
    うわーすごいな…目から鱗ってこういうことか…

  • 23二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 01:34:23

    こういう解釈自然にできる人尊敬する

  • 24二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 12:05:21

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 20:08:30

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:05:16

    素晴らしい解釈だと思います

  • 27二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 06:16:31

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 06:51:19

    >>22

    20の庶民的って

    どう言うことなんかなって思ったけどそう言うことね

    あの一コマ見た時、チラシカラフルだもんねーって納得してたから逆にわからなかった

  • 29二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 07:06:55

    「トレーナーさん?一つ良いでしょうか?」
    「なんだい?」
    「お菓子を見ていると、〇〇太郎という名前のお菓子が沢山有るのですが同じメーカーの物なのでしょうか?」
    「さぁ、メーカーは違う筈だけど…?」

    って感じで駄菓子あるあるを二人でするみたいな?

  • 30二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 18:45:01

    駄菓子屋でアルダンが興味持ちそうな駄菓子を探すシチュとかよさそう

  • 31二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 01:15:07

    今どき駄菓子屋なんて全然ないし、箱入り娘だろうが一般家庭の子だろうが駄菓子屋入ったことないのは共通とかありそうなのが世知辛いね
    だがしかしとかのんのんびよりに出てくるような典型的な駄菓子屋にはちょっと憧れがある

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