【SS注意】【トレウマ注意】【モブウマ注意】桜の木の下には

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:36:28

    トレセン学園には、スクールカーストが存在する。
    脚の速いウマ娘か? いいや、違う。
    たくさんGⅠを勝ったウマ娘か? そうではない。
    トレセン学園の設立目的であるトゥインクルシリーズの振興、このトゥインクルシリーズはよりよいウマ娘の遺伝子を後世に遺す目的で開始された。
    トレセン学園のスクールカーストは、4段階。
    ふつうのウマ娘、トレーナーのいるウマ娘、トレーナーに抱かれたウマ娘、トレーナーの子供を身籠ったウマ娘、である。
    ここでは遺伝子を遺すことが最重要で、賞金なんていうものは持参金の多寡でしかない。
    一般的にトレーナーに抱かれたウマ娘は、さらに抱かれるために制服を着るのをやめてトレーナーの好みの服を着ようとする。
    時には、それが水着やウェディング・ドレスになったりもする。
    制服を着なくなったということは、スクールカーストが1ランク上がったことを意味するのだ。
    そして遺伝子を遺すと言っても、誰のものでも良いわけではない。
    戦前からあるこのトレセン学園では、戦前は良家の男子のみがトレーナーとなっていた。
    だから、トレーナー以外に抱かれることは、己の価値を下げるという意味でしかない。
    新憲法の下、男・女・ウマ娘が自由と平等を謳歌する時代になっても、その伝統は連綿と受け継がれている。

  • 2二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:36:50

    朝、教室がザワリと静かにさざめいた。
    1人の娘が、制服を着ずに、下着にワイシャツで教室に入ってきたのだ。
    驚愕の表情で固まるクラスメイト。

    実際のところ、トレーナーと結ばれる確率はそれほど高くない。
    無理に関係を持っても、早晩破綻することは幾多の敗れ去った先輩たちが身をもって教えてくれている。
    肉体だけでなく、精神もつながることが重要なのだと。
    肉体がつながれば、そのうち精神もつながると安易に考える娘も多いのだが。

    その娘は、世の中の幸福を全部集めたかのように幸せそうで。
    時折、愛おしそうにダボダボのシャツを嗅ぐ。
    もし、あのシャツがトレーナーのものだとしたら、おそらくそのトレーナーの趣味。
    若い2人が放課後まで待つことなどできないだろうから、遅くても昼休みには早退だろう。

    ……羨ましい。
    机に突っ伏して狸寝入りをしながら、彼女の様子を窺う。
    他のトレーナー持ちの娘も、とりあえず様子見のよう。

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:37:16

    彼女は、何人ものクラスメイトに取り囲まれて根掘り葉掘り聞かれている。
    なれそめ、昨日の様子、なまなましい情事のことまで。
    それを聞いているのは、トレーナーさえ持っていない娘たち。

    それは当然のことで、あと少しで手が届く娘たちは、わざわざそういうことを聞いたりはしない。
    そんなことをしなくても容易に想像がつくのだから。
    だが、トレセン学園でトレーナーを持てる確率はよくて1/4だという。

    実際、このクラスでトレーナーを持っているのは1割程度。
    まだ中等部なので、そこは将来に期待が持てるものの、半数以上はいわゆる「地方落ち」をするのだろう。
    中等部のうちにピークアウトしてしまった娘は、高等部に進めないという噂も聞く。

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:37:40

    聞くともなしに彼女の猥談を聞く。
    下腹部が、疼く。
    ……会いたいな、トレーナーさん。

    顔を反対側に向けると、満開の桜の景色が飛び込んでくる。
    一般に、桜の木の下には死体が埋まっているという。そうでなければ、あんなに綺麗に咲くはずがないと。
    だが、トレセン学園の桜には別の伝説がある。
    トレセン学園の桜の木の下には、数多の童貞と処女が埋まっていると。

    それが本当かはわからない。
    ウマ娘異常嫌悪者や人権団体が流したデマかもしれない。
    だが、その話は一定の説得力を持って、学園内に流布している。

  • 5二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:38:14

    自分のトレーナーさんは、こちらに手を出す気配は今のところない。
    身体を要求する代わりに、G1を勝たせてくれるという評判のチームトレーナーについたのに、拍子抜け。
    入るときは、あんなに覚悟して入ったのに。

    チームの先輩方はG1ウマ娘なので、やはりトレーナーとの絆が足りないのだろうか。
    グラウンドをぐるりと見まわしてから、1本の木に目を止める。
    それは、伝説の木。

    並木道の入り口から3本目の右側の桜の下で、満開の時に結ばれたトレーナーとウマ娘は、一生を添い遂げることができるという。
    おそらく、学園内で一番「そういうモノ」を吸っている木。
    きっと、御利益もすごいだろう。

    ……そうだ、今日はトレーナーさんを連れてあの木の下に行こう。
    先輩たちには悪いけれど。
    身も心もつながるのだ。

    ――放課後になったら、勝負下着に着替えないと。

  • 6二次元好きの匿名さん25/03/22(土) 19:38:27

    これで終わりです。
    ありがとうございました。

    至らない点もあると思いますが、よろしくお願いいたします。

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