- 1二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:03:00
- 2二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:04:22
また飯テロか
- 3二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:09:46
サオリ「(仕方ない、今日のところは――)」
――ツカツカツカツ
サオリ「(客か。こんな時間だというのに、先生も大変だ)」
サッ カクレ
カッカッカッカッ
?「……ん。留守?」
ポチポチ
?「――もしもし、先生? 頼まれてた住民推移のデータ持って来たんだけど……。トリニティに? うん。うん。わかった。じゃあ、書類ロッカーに入れておくね。ん、お疲れさま」
ピッ
サオリ「(急な呼び出しか何かで泊まりになったんだろうか)」
?「……」フゥ
?「だってさ。残念だったね」
サオリ「!」 - 4二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:14:27
- 5二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:20:22
サオリ「……すまない。余計な面倒は未然に防ぐ主義でね」
クロコ「そう」
サオリ「……」
クロコ「……」
サオリ「……それじゃ」
クロコ「待って」
サオリ「まだ何か?」
ゴソゴソ
――スッ
サオリ「その覆面は!」 - 6二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:23:02
- 7二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:27:57
サオリ「私たちは敵として、一度顔を合わせている。確かにお前たちにとっては風のように通り過ぎた出来事かもしれないが、私は」
クロコ「ん。私もね。いろいろあるんだ。少なくとも”私”は、あなたに会ったことがない」
サオリ「……言われて見れば、背格好は似ていない。ならばなぜ、という疑問はあるが」
クロコ「これは”私”が私からもらったもの。自分のは――失くしちゃったから」
サオリ「そうか。……お前も、抱えているものがあるんだな」
クロコ「それで、お野菜がどうしたの?」
サオリ「あ、ああ。今日は青果市場の護衛バイトをしていたんだが、仕事終わりに現物支給だと言って、これを渡されたんだ。雇い主には鉛玉で礼を言ったんだが、いかんせん料理などしたことがなくてな。使い方を先生に聞こうと」
クロコ「それなら……。着いてきて」
コツコツコツ
サオリ「……?」 - 8二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:30:35
深夜の飯テロスレだッ!!
- 9二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:32:57
-----
厨房
クロコ「なにを貰って来たの? 見せて」
サオリ「おい、あまり長居する気は……」
クロコ「早く」
サオリ「……」 - 10二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:33:17
ガサッ
クロコ「たまねぎ、じゃがいも……新じゃがだね。あとはカビの生えた人参と、トマト……は、しわしわになってる」
サオリ「自分でも売れ残りだというのはわかる。ただ、どうせなら食える状態にして食いたくてな。しばらく野菜を摂取出来ていなかったから、捨てるのは惜しい」
クロコ「……」
サオリ「こんな腐りかけのモノを食って生活している人間は初めてか? いるんだよ、こんな奴も」ハッ
クロコ「……ちょっと待ってて」
カツカツ
サオリ「おい、どこへ」
クロコ「下のコンビニ。そこにいて。一歩も動いちゃダメだから」
カツカツカツ――
サオリ「……自由な奴だな」 - 11二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:38:29
先生を撃てなかったシロコと撃ってしまったサオリ
- 12二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:40:24
――……。
ガサッ
サオリ「憐みならうけとらないぞ」
クロコ「違う。ん……。あとは」
ガサガサ ガタンッ
ガチャガチャ
サオリ「……何をしている?」
クロコ「私も今日ご飯食べてない。だから、あなたの食材と私の食材で、ごはんを作ろうと思って」
サオリ「作る?」
クロコ「うん。シャーレの厨房はたまに使わせてもらってるから問題ない。調味料とかは勝手に使って良いとも言われてる。食材は今買ってきたし、私が前に仕込んだものも残ってる」
サオリ「私は良いとは一言も言ってないがな。私の食材を使うことは前提か?」
クロコ「それ脱ぎなよ。大丈夫。この時間は滅多に人来ないから」
サオリ「人の話を聞かない奴だな。……まあ、面識がないのなら、いいか」
ヌギッ
サオリ「――ふぅ。で、何を作るって?」 - 13二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:45:01
料理って食えたもんじゃない食材をどう食えるようにするかって面があると思う
- 14二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:45:54
- 15二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 00:54:59
クロコ「材料はこんな感じ。あなたの野菜と、今さっき下で買ってきたのと、ここにもともとあるもの。先生にはこの写真送っておくから、使った分はあとで割り勘ね」
サオリ「……私はここの食材すら使って料理をするなど、一言も良しと言ってないんだが。勝手に割り勘と言われても、私には金はないぞ」
クロコ「月末までに準備してくれればいい。それに、ここにしかないものもある。例えばこの白い瓶……」
サオリ「なんだこれは――ココナッツのオイルか何かか?」クンクン
クロコ「それはお酒」
サオリ「なっ――」
クロコ「先生は巧妙に隠したつもりでも、私なら見つけられる。まあ、これは私だから許されることだから……真似しないでね」ウソ
サオリ「大人の世界、か。そういえば、マダムのヤツも……」 - 16二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:09:57
クロコ「まずは人参の……このダメになった部分はどうしようもないから切り落とす」トン
サオリ「……さすがに、カビが生えて溶けた部分は使えないか」
クロコ「でもそれ以外は使える。これ、ピーラーで皮を剥いといて」
サオリ「ぴーらーとはなんだ?」
クロコ「……これ。そんなんじゃお嫁に行けないよ」
サオリ「行く気もない。一言余計な奴だ」
クロコ「こういう風にすれば皮が剥けるから……。そうそう、上手。で、玉ねぎは細めのくし切り。じゃがいもはよく洗って乱切りにして……」トントントン
サオリ「ふむふむ、それが、くし切り。それが乱切り……。人参はこんなものか?」シャッシャッシャッ
クロコ「うん。ほら、こんなに使える部分が残る。そしたら、人参もジャガイモと同じように、くるくる回しながら斜めに乱切り。あとはニンニク2かけ向いて。それは手でね」トントントン
サオリ「ん、わかった」ムキムキ - 17二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:20:10
- 18二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:30:57
クロコ「ある程度香りが立ったら、ニンニクが焦げる前に……そこのお肉入れちゃって」
サオリ「これはお前がさっき買ってきたやつか。肉など……。久しぶりだな」ジュワァァァ
クロコ「私も大概サバイバルしてるけど、そこまでじゃないよ。あなたはどういう生き方をしてるの?」ジャッジャッ
サオリ「罪と罰、ってやつだよ。金を稼いでも、まともなところで買い物ができる身分じゃない。そもそも裏の稼業はロクな雇い主も少ないから、今日のように現金を得られない場合も、ある。腹立ちまぎれに鉛玉をぶちこんでも、弾代がかさむだけだと最近思い始めたところだ」
クロコ「裏稼業……というと、便利屋の関係者? この世界の便利屋はあなたも関わってるんだ」
サオリ「便利屋? いや、知らないな……。いや、もしかしたら奴らか? それに、この世界、とはなんだ」
クロコ「お肉の色が変わって来たね。そしたら、さっきの野菜、全部ここに入れちゃって」
サオリ「……お前と話していると、なんだか懐かしい気分になるな」フッ
ゴロゴロゴロ……
ジュワァァア - 19二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:40:24
これは良いスレに出会えた。
お気に入りに登録して待機する。 - 20二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:46:05
- 21二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:52:06
- 22二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 01:59:54
ヴィィィィイイイン
クロコ「しっかりミキサーする。皮は硬くなってるから完全に細切れになるまで」
サオリ「なるほどな。形が崩れていても、そもそも形を失くしてしまえばいいと」ジュッジュッ
クロコ「失くなったものは帰って来ない。なら、新しい形にするしかないから」
サオリ「はっ。含蓄のある言葉だな」
クロコ「でもね。このぐらいだったら、そのまま天日干しにしてよく乾かして、オリーブオイルとニンニクで漬けこむと保存食になる。そのままパスタと和えたりするだけで立派な料理になるから、憶えておくと便利だよ」ヴィィィィイイイン
サオリ「……保存食か。あまり考えたこともない。与えられる食糧が全てだったから」ジュッジュッ
クロコ「――ん。これでココナッツトマトペーストが出来た」 - 23二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 02:19:19
- 24二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 02:23:17
そうか、過去形か…
色々と良かったなサオリ - 25二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 02:37:15
このレスは削除されています
- 26二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 02:44:08
クロコ「そしたら味付けなんだけど……。これはあまり参考にしないで。レモン汁とお塩で代用できるから、そっちで覚えるといいかも」トロトロ
サオリ「それはなんだ? 見たところ、レモンのつけ汁……に思えるが」
クロコ「ん。塩レモンだよ。前に来た時、レモンが余ったから作って置いておいたら、良い感じに漬かってたから。これを15mlで様子見て、それから身……4欠片ぐらいを、みじん切りにして入れる」トントン ポチャポチャ
サオリ「それも保存食になるのか?」
クロコ「常温でも、最低半年は保つんじゃないかな。材料も簡単だよ。レモンの重量の15%の塩を入れて置いておくだけだから」
サオリ「塩味ならば使い勝手がよさそうだ。塩があれば、適当な草でも花でも、煮て食える」
クロコ「……否定はしないけど、それだと将来の旦那様がきっと苦労する」
サオリ「さっきからなんでお前は私をそういう目で見てるんだ?」
クロコ「ん。女子高生はみんなこういう話が大好きなはずだから」 - 27二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 02:45:55
- 28二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:05:56
- 29二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:27:00
クロコ「えっと……まず600Wで6分……次に200Wで……」ピッピッピ
サオリ「あまり、深入りをするものではないと理解しているんだが」
クロコ「あ、お鍋を弱中火にしといて。吹きこぼれちゃうから。つまみを反時計回りにすれば弱まる。つまみって知ってる?」
サオリ「馬鹿にするやり方が雑だな。それぐらいできる。そう、理解しているんだが……なあ。砂狼シロコ、と言ったな。お前は、誰だ? 先ほどの覆面は、あの時の――覆面水着団のものだろう」
クロコ「知ってるんだ、覆面水着団。ふふ。懐かしい。これで、いっぱいいろんなことした」
サオリ「ああ。私たちの計画の、そのさなかに唐突に現れた。私の部――いや、後輩の、友だちが一員なんだ。ファウストと言ったか、確か」
クロコ「ファウスト……。ヒフミだね。うん。あれは分岐点の一つ。あの時、ブラックマーケットで彼女に会えない世界も……きっとあったかもね」
サオリ「先ほどから言っている、その”世界”とはなんだ。まさかお前は、違う世界から来たとでも?」
クロコ「……覆面は、ただあなたと同じ。顔を隠す仲間ってことだったんだけど、まさか知ってるとはね。こっちの世界は、そうか。そうだよね……。”正解”しているから」
サオリ「……」 - 30二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:40:40
――……。
チーン
クロコ「……すごい。もう炊けた。これ、私も欲しいな。先生に買ったところ聞こう」
サオリ「……」
クロコ「お皿によそって……カレーはどう?」
サオリ「どう、だろうか。わたしにはわからない」
クロコ「大丈夫。今日で作り方は覚えたでしょ? きっと未来の旦那様も褒めてくれるはず」
パカッ
フワァ
クロコ「――ん。いい匂い。味は……うん、いい感じ。明日が一番美味しいけど、出来立ての味はそれはそれで、美味しいはず」
サオリ「……なあ」
クロコ「なに? お腹空いた? もう完成だよ」オサラ ヨソイー
サオリ「お前、好きな人は居るか?」
クロコ「……」
サオリ「……いや、すまない。ちょっとした雑談を、な……」 - 31二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:44:34
- 32二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:47:01
クロコ「ん。ロビーで座って食べよう。片付けは後でもいいし。飲み物は水しかないけど、それでいい?」
サオリ「――あ、ああ」
カチャカチャ
コツコツコツ - 33二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 03:51:40
- 34二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 04:07:30
クロコ「――ん。ん! いい感じ。サオリの持って来た人参も普通に人参だし、トマトは酸味とうま味をちゃんと出してくれてる。やっぱり、使えるものは美味しく食べなきゃ」モグモグ
サオリ「……」モグモグ
クロコ「甘い香りに、この塩気。ん……。みじん切りにしたレモンが時折、爆ぜるみたいに香りを出すね。ココナッツミルクのまろやかさと相まって、さわやかなんだけど決してあっさりじゃない、満足感がある」ムフー
サオリ「……ああ、美味い。美味いよ」モグモグ
クロコ「……ほんと?」
サオリ「? 本当だ。美味いぞ。いくらでも食えそうだ」
クロコ「おかわりはたくさんあるから、おかわりもあるけど……。美味しいなら、美味しい顔しなきゃ」
サオリ「すまん。あまり、表情を出すのは慣れていなくて」
クロコ「わりと表情豊かだと思う、サオリは」
サオリ「喜怒哀楽の怒と哀の表情は豊かかもな。それ以外の感情など、ほとんど感じたことがない。そういうお前は――」
クロコ「?」
サオリ「――いや、なんでもない」 - 35二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 04:31:49
サオリ「(あまりに表情がなさすぎる。好きな人が、死んだ……? 果たしてそれは……。虚無。すべては虚しい、か。そうか、お前も――)」
クロコ「ん、この酸味はトマトだけじゃない。適当につくった塩レモンも手伝ってくれてるんだ、きっと。カレーはやっぱりすごい。全部包んでくれる。市販のルーもいいけど、いろいろ遊べる分、私はカレー粉使った方が好き。サオリは?」
サオリ「カレーを食べたのは……、とはいえ比較するほどの回数はない。うん……。記憶では数回。ああ、ミサキなんかはスプーンを咥えたまま泣いていたっけな。こんなに美味しいものがあったんだって。私はとにかく腹に詰め込めればなんでもよかったけど」ハハッ
クロコ「いい思い出なんだね」
サオリ「いや、地獄の記憶だよ」
クロコ「自嘲じゃない笑顔、今日初めて見たから」
サオリ「――え?」 - 36二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 04:55:16
クロコ「アリウススクワッドの話はほとんど知らないけど……。ミカが”ああなった”原因だっていうのはなんとなく知ってる」
サオリ「ああなった? お前、ミカも知っているのか」
クロコ「あなたたちは成功したよ。トリニティへの報復にね」
サオリ「……は?」
クロコ「サオリは今の生活に満足してる? それとも、トリニティへのクーデターに成功した未来をまだ見たりするのかな」
サオリ「いや、いや……。それはない。今の未来は、在るべきものとして飲み下した。すべてはそう、虚し――」
クロコ「成功したらね、アツコは死ぬ」
サオリ「――」ガタンッ
クロコ「もちろん、ゲヘナとトリニティの関係は最悪になって、戦争が起きる。いっぱい死人が出て……。聖園ミカが完全に壊れて、もうどうしようもなくなった。そんな世界で、あなたも、そう遠くないうちに死ぬ。アリウススクワッドで一番脆いのは誰だと思う? アツコとあなたがいなくなったら、真っ先にダメになりそうな子は」
サオリ「……ミ、サキか?」
クロコ「私は見たわけじゃなくて、聞いた話だけど、その通り。ミサキもあなたたちの後を追って”そうなった”。もう一人、ヒヨリの消息はそのあと、一切聞かなかったな」 - 37二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 05:18:58
サオリ「別世界……。本当に、お前はそこから来たのか? あらゆる事象が上手くいき、崩壊した世界から」
クロコ「これは遠因の一つ。私の好きな人が死ぬ、遠因の。――ちょっと前に迷惑かけたと思う。サオリにも」
サオリ「……」
クロコ「原因は違くとも、結果は似てたんだよ。”私たち”と。もしかしたらヒヨリが私のようになった世界も――あったのかもね」
サオリ「……」
クロコ「だから、あなたがカレーを食べて涙を流したミサキを思い出して笑えたっていうのは……。うん。ほんとに、似てたんだなって。私も、たくさんの幸せを憶えてる」
サオリ「お前の。お前の好きな人というのは」
クロコ「みんなだよ。みんな……。そこの違いは、友だちとしての好きか、すべてを捧げたいと希う好きか。それだけ。ま、全部失くしちゃったけど」 - 38二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 05:20:03
サオリ「……」アゼン
クロコ「でもね。わかってるんだ。私はこの世界に来るべきして来た。私が居ないと、こっちの世界はきっと、ダメだった。だから、今は落ち着けてる。必要があったんだって。”本当”にたどり着くためには”偽物”が必要で、”あっちの世界のシロコ”になる必要があったんだって」
サオリ「私は……。私は、”こっちの世界のシロコ”とやらは知らない。会ったことは――覆面水着団としては、あるんだろうが、砂狼シロコとして話したのは、お前が初めて。だから、私にとってはお前が”本当”だ」
クロコ「大丈夫。”失くなったものは帰って来ない。なら、新しい形にするしかないから”」
サオリ「……美味いよ。このトマトのカレーは」パクパク
クロコ「ふふふ。ありがと。今度、スクワッドのみんなにも作ってみたら? きっと喜ぶよ。ミサキ、カレーが好きなんでしょ?」
サオリ「いや、たぶん好きというより、普段が劣悪だったからで……。それに、今時期は熱いものを食べると、くしゃみが止まらなくなるんだ、アイツは。ひどい花粉症でな」
クロコ「ふぅん。大変なんだね」
サオリ「――良い話を聞かせてもらった。私の今の立ち位置にも意味があると。そう、そうだな。地に足が付いた気分だ」 - 39二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 05:38:08
クロコ「もしかしたら全部嘘かもしれないとは思わないの?」
サオリ「私は人を信じやすい性質なんだ。ついこないだまで洗脳されていたぐらいには」
クロコ「そう」
サオリ「真実であろうがなかろうが、顔を見ていれば、おのずと説得力を感じる。私にはそれだけで十分。私は目に見えるものだけを信じるんだよ」
クロコ「……目に見えるものだけ、か」
サオリ「どうした?」パクパク
クロコ「いや。……美味しいね」パクパク
サオリ「ああ、美味い。お前のように、もっと語彙のある言葉で誉めそやしたいが無理だ。美味い。それしか言えん」パクパク
クロコ「一番うれしい言葉だよ。でも、これは私とあなたの合作。材料も、調理も、二人でやったもの。だから、その言葉は半分だけもらっておくね」
サオリ「いい夜だ。ああ。いい夜だ。クソのような依頼も、たまにはいいものを報酬にくれる」
クロコ「材料費も半分もらうからね」
サオリ「ぐっ……。ツケておけ。月末だな。ああそうだ、今は携帯の充電がないから、私の連絡先は先生に聞いてくれ。私からも後で連絡しておく」パクパク
クロコ「ん。わかった」 - 40二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 05:39:16
- 41二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:08:03
グシュッ
ハーッ グシュ
ミサキ「うぐ……ずずっ。ゲホッ、ゲホッ。あ”ー。せっかく眠れたのに起こすのさ……」
ヒヨリ「ああ……すみません、すみません……。ですが、姫ちゃんが……」
アツコ「こんな時間にこんな匂い嗅がされたら我慢できないよ。シャーレの方からだし……。どうせなら、ご相伴に預からせてもらおう。きっとお夜食を食べてるんだよ、先生」
ミサキ「いい匂い……? はっグシュッ。ずびっ。鼻が死んでてなにもわかんないんだけど。グシュッ。あ”ーディッシュ欲しい……」
ヒヨリ「た、たぶんカレーの匂いで……。ですがどうせ分けてなんかくれません……。目の前で美味しそうに食べる先生を、指をくわえて見ることしかできないんです。苦しくて、辛い思いをするぐらいなら、せめて風上に行きましょうと言ったのに……」
ミサキ「カレーか……グシュん!」
アツコ「大丈夫だよ。先生ならきっと分けてくれる。たまたまこっちの方に寝床を確保したのは、きっとこのためだったんだ!」
ミサキ「そういうのもうやめたのかと思ってた。はックシュン! 目がかゆい……。う”ー」
ヒヨリ「辛いですか……?」
ミサキ「辛いよ。苦しいね。花粉症は……はっグシュッ。あ”ぁぁ! もうイライラする……。でも、ま」 - 42二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:08:38
- 43二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:08:57
~Fin~
- 44二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:09:15
終わりでーす。
今夜もどうもありがとうございました。 - 45二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:15:39
そうか、そうか!
言われて気付いた。
これで一本書けそうやんね。書いて。
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一応過去に書いたのまとめ(貼り忘れてた)
夜食シャーレとしては4本目だったり!
前はトリニティで書いてました。
行き当たりばったり即席SSなので荒いですが、どうかよろしゅう
no title | Writening■こんな時間なのにお腹が空きました…… https://bbs.animanch.com/board/4577484/ ■うう……寒いしお腹減った…… https://bbs.animanch.com/board/4583520/ ■うう……こんな時間なのに空腹で目が覚めた…… https://bb…writening.netよかったなあっていう感情持ってもらえるのうれしい
いやキャラありきなんだけど
わたしはよかったなあって思えるSS書きたい人
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ちなマリブ(酒)なくてもええで
私はココナッツ臭強めたかったから使ったけどね!
あと塩レモンなかったらポッカレモンと塩で同じ感じになるんでないかな?
カレーはどう作ってもうまいから、試してがってん
ではではー
- 46二次元好きの匿名さん25/03/23(日) 06:27:32
起きがけに良いものを読ませてもらったよ