- 1二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 17:50:22
- 2二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 17:57:33
【注意事項-CAUTION-】
※作品の構造上、初星学園のキャラが敗北する展開がございます(重要)
※原作には存在しない設定や一部異なる設定や解釈があります。
※楽曲コミュ、プロデュースコミュは今回時間がなく書けませんでした……。 - 3二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 18:00:27
- 4二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 18:01:45
- 5二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 18:03:40
投下予定は、本日9時半以降を予定しています。
また、今回は2日に分けて投稿予定です。 - 6二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 18:05:02
待ってたで!!
- 7二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 18:56:12
前スレ見てた!面白かったので続き書いてくれて嬉しい!
- 8二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 20:00:07
保守
- 9二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:17:29
待ってた
- 10二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:31:40
では、もうそろそろ投下いたします。
3話までは前スレに落としたものとほぼ流れは同じです。スミマセン……。 - 11二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:32:55
-第一話-
四音「……ついに来ましたね、N.I.A。
ファン投票ランキングを導入した大型アイドルオーディション」
*「今回は例年以上に参加者が多いようです。
なんでも、初星学園のアイドルが片っ端からエントリーしてきたとか」
四音「初星学園……アイドル養成校でも最大手ですね。
たしか、100プロと連携していると」
*「はい。
黒井理事長いわく、生徒の数だけ多いアイドル養成校、とのことですが。
実際には、数多くの実力者を輩出しており、業界を牽引する存在です。
おそらく、今回のN.I.Aは極月学園と初星学園の全面対決という形になるでしょう」
四音「……それで、プロデューサー。
今回の私達の目標は?」
*「もちろん、四音さんの優勝です」 - 12二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:33:43
四音「迷いがありませんね。
……ふふっ、さすがです、そうこなくては」
*「理事長は、極月学園による上位独占のため様々な策を用意してるとのことですが。
今回、僕らは理事長の作戦から独立して動くことになりました」
四音「というと……盤外戦術は使わない、と?」
*「はい。正面から初星学園のアイドルと殴りあいます。
その方が今の四音さんには合っていると思いますし、何より。
ライバルとはやはり正面から殴り合いたい」
四音「ライバル……。
たしか、私と近いタイプのライバルが欲しい、という話でしたね」
*「はい。
強者を想定した戦い方を学ぶのも重要です。
しかし、同格の相手との戦い方も必ず心得ておかねばならない。
格上と戦う機会よりも、同格と戦う機会のほうが多いはずですから」 - 13二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:34:21
-第二話-
四音「私のファン投票ランキングは――しっかりと、上がっていますね」
*「最初のミニライブを極月学園周辺にしたので、吸収率は高めですね。
スタートダッシュとしてはこれ以上になく順調です」
四音「それで、次はどうしますか?
しばらくは、地固めに回りますか?」
*「いえ、さっそく仕掛けに行きましょう。
次のミニライブはエリアAで行います」
四音「エリアA――まさか、初星学園のホームグラウンド!?
いきなり敵の本陣に向かうと……!?」
*「はい。
地の利がないので、ファン投票数自体はそれほどでしょう。
しかし、このタイミングで仕掛けに行くことに意味があります」
四音「……宣戦布告」 - 14二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:34:49
*「そうです。
まずは、相手に白草四音という存在を知ってもらいます。
白草四音のライバルと『なりうる存在』――。
それは必ず、次のミニライブが終わり次第行動を変えてきます。
行動を変えた相手をマークし、各個交戦していく――というのが今回の立ち回りですね」
四音「なるほど、極めて大胆ですが、面白い作戦です。
やはり、直接対決こそ勝負の花。
……俄然、やる気が出てきました」
*「地の利がない状況で四音さんがどう評価されるか、というのも重要なデータです。
全力で殴り込みに行ってください」 - 15二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:35:35
エリアA。
ミニステージに四音が立っている。
「あれ、あんなアイドル初星学園にいたっけ?」
「いや、校章が違う……。あれって、たしか極月学園じゃ?」
「極月学園ってあんまりいい噂聞かないけど……」
四音(……これ以上になくアウェー。
やはり、ホームグラウンドであるGエリアとは全く違う反応。
だけど――)
四音「――♪」
四音のミニライブが始まる。
先ほどまで怪訝な顔をしていた人たちも、少しずつ様子が変わる。
「……すごい。こんなアイドルがいたのか」
「初星学園のアイドルしか見たことなかったけど……へぇ」
「たしかに……歌はいいな」
四音(……Gエリアに比べると数は少ないけど、反応はいい。
絶賛はされなくとも――印象にさえ残れば)
??「……へぇ、そう。なかなか面白いことしてくれるじゃない」 - 16二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:36:54
*「お疲れ様です、四音さん。いいライブでした」
四音「ランキングに動きは?」
*「やはりというべきか、それほど大きな動きはありません。
しかし、ネットでは話題になっていますね」
四音「『極月学園、さっそく襲来! 今年は一味違う!?』
『大胆不敵なカチコミ! 黒船到来か!』
……なるほど。とりあえず記事になったのは大きいですね」
*「注目度も高まったので、さっそく公式SNSを更新しています。
短めのライブ切り抜き動画を多数公開しました。
直接ファン投票数は稼げなくとも、これで今後の導線になるはずです」
四音「抜かりなし、と。……ちなみに、なぜ私のアカウントは使わないのです?」
*「それについてなんですが……。あの、その……四音さん。
――以前、暴露系チャンネルを経営されてましたか?」
四音「えぇ。理事長に教えてもらって。
といっても、ほとんど動かしてはいませんでしたが」
*「あぁ、本当だったか……。
実はチャンネルの運営が四音さんであるという疑惑がかかってまして。
今の四音さんの路線だと、イメージを損なう可能性があります。
……なので、先んじて関連アカウントを通報して削除させてもらいました」
四音「……え」 - 17二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:37:07
*「今後は、公式SNSを通してのみ情報を発信します。
悪しからず」
四音「と、登録者1000人もまだ行ってなかったのに……!」
*「こ、こちらのチャンネルでさらに増やしましょう。
これからいくらでも数は伸ばせますので……。
ともあれ、これで動き方を変えるアイドルが出るはずです。
今後はそちらを注視しましょう」 - 18二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:38:21
-第三話-
プロデューサーの部屋。
けたたましく鳴るスマートフォン。
*「――なんだ、まだ、朝の4時」
*「……はい、こちら」
月花「四音がN.I.Aに出ているそうだな。SNSで見たぞ」
*「……なんで僕の電話番号を知ってるんです?」
月花「理事長から聞いた。
聞けば今年は初星学園の生徒も大量に来ているとか。
なので、私も行くことにした」
*「は? あ、あの、行くとは?」
月花「当然、N.I.Aだ。楽しみにしている」
*「……あの、N.I.Aってどういうオーディションか知ってますか?」 - 19二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:39:42
月花「次代を担うアイドルたちのオーディション。
私はまだ18歳だ。問題ないだろう」
*「現役トップアイドルが出るものではありません。
それと、以前の対決からそれほど時間も経っていません。
今から対決するのは、四音さんのためにもならないというか……」
月花「強者と戦うことこそ、成長だろう。ならば、何の問題もない」
*(このままでは、N.I.Aの全体の目的が白草月花討伐に変わってしまう……!)
月花「そういうわけなので、今からチケットを買う」
*「月花さんは、強くなった四音さんと戦いたい。違いますか?」
月花「そうだ。だから今から向かう」
*「だとすればタイミングが悪い。
四音さんが本当に強くなるのはN.I.Aの後です。
ライバルとぶつかり、研磨された四音さんこそ真に戦うべき相手では?」
月花「……なるほど」
*「なので、今は我慢する時です」
月花「――では、結果が出たら教えろ」
スマートフォンに通話終了の画面が表示される。
*「……朝からどっと疲れたな」 - 20二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:40:57
四音「プロデューサー、おはようござ――。
……なんですか、朝からそんな疲れた顔して」
*「……いえ、大丈夫です。
僕は四音さんを尊敬します」
四音「は、はぁ? なんですか、突然。
まぁ、悪い気はしないですけど……」
*「ひとまず、ブリーフィングにしましょう。
それでファン投票ランキングなんですが。
さっそく動きがありました。
大きく動いたのは11人。この内、2人は極月学園。
そして、残りの9人が初星学園です。
極月学園の二人は――元初星学園の賀陽燐羽。
そして、撫子さんですね」
四音「元初星学園……以前話した『傭兵』とやらですか」
*「十中八九そうでしょう。
燐羽さんと、撫子さんは黒井理事長の方針(ロジック)で動いているはずです」
四音「枚数的にはこちらが不利――ですね。
私一人が優勝する分には関係ありませんが」 - 21二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:41:18
*「燐羽さんは、初星学園中等部トップの『SyngUp!』のリーダー。
そして、撫子さんも極月学園でも上位のアイドル。
この二人を攻略するのは、いくら初星学園といえどかなり困難でしょう」
四音「……撫子は、詰めが甘いところが。
いえ、あの子もやる時は……多分」
*(改めて、この勢力図に月花さんが加わらなくてよかった……)
*「おそらく、この9人の中に四音さんのライバルとなりうる存在がいるはずです。
今後は、極月学園、初星学園、両方の影響力が低い中立地帯が動きます。
四音さんには、そちらで立ち回ってもらいます。
激戦が予想されますが――変わらず四音さんの魅力を、届けてください」
四音「……ボクの魅力、か」
*「何か、引っかかることが?」 - 22二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:42:19
四音「いや――エリアAでの話です。
もちろん、あのエリアが初星学園の影響が強いことはわかります。
……それでも、ボクのパフォーマンスがそれほど数字として伸びなかったのは。
正直、思うところがありまして」
*「本来、あの場所で少しでも上がっただけすごいことではありますが……。
アイドルとは、それ自体がストーリーなのです」
四音「……ストーリー、ですか?」
*「アイドルが何を思い、何を目指し、どう進むか。
ただ、パフォーマンスという『結果』のみならず。
そのパフォーマンスに至るまでの『過程』も武器とするのがアイドルです。
点ではなく、線にしてこそ、アイドルの価値はより深いものとなる。
エリアAでの四音さんは、線を引くための点を打つ行為です」 - 23二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:42:41
四音「線を引くための……」
*「今は、ただ一つの点に過ぎません。
しかし、ここからN.I.Aでの戦いを進めるごとに、意味を持ちます。
四音さんは、特に物語性が強いアイドルです。
ひたむきに、貪欲に戦う姿こそ、輝きとなる。
思いっきりライバルとぶつかってください。
おそらく、それが自然と四音さんを輝かせます」
四音「……ふふっ、そういうことなら。
いいでしょう。この私、白草四音の力を。
初星学園の連中に思い知らせて差し上げます」 - 24二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:43:15
-第四話-
ランニングコースを走る四音。
四音「はっ、はっ、はっ……!」
四音(――あの時、ボクは。
たしかに月花姉さまに勝つことが出来た。
人生で初めて、ボクは『届いた』。
なら、今のボクは――白草月花を上回るアイドルなのか?
……明確に、それは違う)
四音(パフォーマンスの質は遥かに向こうのほうが上。
ボーカルも、ダンスも、ビジュアルも……。
未だ、アレには敵わない。
今、もし『白草月花』がボクの前に現れたら。
……ボクはきっと、勝つことが出来ない) - 25二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:43:53
四音(――結局、ボクは今もアレの影を追っている。
今のボクに必要なものは?
アレに追いつくために、何が足りない?
いや、追いつくだけではきっと足りない。
アレを引き離すだけの、何かを――)
佑芽「えっほ、えっほ」
四音「……え?」
佑芽「おぉー、さすがお姉ちゃんが言ってたランニングコース!
いい感じに負荷かかってる感じする~!!」
四音(さ、さっきまでこの道には誰も……!?
ここの道は合流できる道もない。
まさか後ろから、追いついて……!?)
佑芽「えっと……あと、時間的に5周くらいはできそう!
よぅしっ! やるぞ~!」
四音(ご、五周!?
ボクですら、ここは四周で止めていたのに……!)
佑芽「うーん、風が気持ちいいー♪」
四音「は、はやっ……!?」 - 26二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:45:06
佑芽「次は一緒にお姉ちゃんとも走れたらなぁ……。
……あれ?」
四音「……一緒に走る相手、探しているのですか?」
佑芽「あ、はい……。
えっと、あなたは……?」
四音「たしか、五周でしたね。
付き合ってあげます」
佑芽「えっ、えっと……ありがとう、ございます?」
四音(見たところ、体力には自信がありそうだが……。
とはいえ、ペース配分は素人と見た。
フォームも、それほど洗練されてはいない。
どうせ、今の速さもそう長くは持たないはず――)
佑芽「あっ、そうだった!
今日、生徒会に集まらないといけないんだっけ。
もうちょっとペースあげなきゃ!」
四音(はぁ――!? これ以上ペースを!?)
佑芽「すみません、あたしちょっと急ぎます!」
四音(くっ、ちょ、調子に乗るな……!
ボクがその程度追いつけないなどと思うなよ……!) - 27二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:45:59
佑芽「これくらいのペースでいけば間に合うかな……。
……え?」
四音「はぁ……はぁ……奇遇ですね、私も急ぎの用事を思い出しました」
佑芽「えぇっ!?
あ、あの、大丈夫ですか?」
四音「……私の、心配なんか、より。走りに集中したほう、が。
いいんじゃ、ないです、か」
佑芽「そ、それもそうかも。
遅れたら、副会長に怒られちゃう!」
四音(くっ、くそっ……負けるものか。
こんな……メチャクチャなやつに……!
負けるものか――!) - 28二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:46:45
*「おや、今日はいつもより早いですね、四音さ……。
えっ?」
四音「はぁ……はぁ……」
*「今、バスタオルをお持ちします。
……スポーツドリンクも必要そうですね。
ちなみに、何が?」
四音「少々、負けられない戦いがあっただけです」
*「……四音さんは時々、恐竜並のIQになりますね」
四音「何かいいましたか?」
*「いえ、何も」
四音「……まったく。
それで、投票数ランキングに動きは?」
*「燐羽さんと、撫子さんがかなり初星学園を抑え込んでいます。
特に燐羽さんが、凄まじい伸び方をしていますね」
四音「傭兵――と呼ばれるのも伊達ではありませんね。
古巣の相手とはいえ、容赦なし、ですか。
初星学園で注目すべきアイドルついては?」
*「――そうですね、僕的に気になるのは花海姉妹です」 - 29二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:47:39
四音「……ランキング的には、極端に高い、といった感じではありませんね」
*「たしかに両者とも、現時点での順位はほどほどです。
しかし、現状での順位は、それほど当てになりません。
僕たちのように『仕掛け』に回れば序盤は緩やかになりますから」
四音「それでは、その二人は『仕掛け』に回った、と?」
*「もちろん、『仕掛け』はしているでしょう。
しかし、それよりもアイドルとしての『性質』が気にかかるところです。
……特に、二人の順位が極めて近い。
見てみたところ、アイドルとしてのタイプは正反対だというのに。
互いに、影響を受け合っている、と考える他ないでしょう」
四音(――姉妹、か)
四音「……なっ。
こ、この花海佑芽というアイドル……!」
*「おや、もしやご存知で?」
四音「さ、さっき、ランニングコースにいた化け物――!?」 - 30二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:49:12
-第5話-
四音「――『QUARTET』。
いよいよ、N.I.Aも折り返しを迎える。
ここを乗り切らねば、優勝はない」
*「……はい。
今年は、例年以上に激戦となっています。
『FINALE』ではないとはいえ油断はできません。
少しのほころびも、勝負を左右する要素となりかねない。
おそらく、我々も本格的に初星学園と交戦することになるでしょう」
四音(初星学園――注視するべきアイドルとして、上がっていたのは『花海姉妹』。
これまでのオーディションで全体の人数が減った今。
初星学園のアイドルとは確実に衝突する。
果たして、誰が出るものか……)
*「ここでの勝利は、『FINALE』に進む。
それ以上の大きな意味を持つと僕は考えています。
アイドル『白草四音』として、さらなる輝きを手にするために。
全力で戦ってきてください」
四音「ふふ……必ずや吉報を携えて。
行ってきます、プロデューサー」 - 31二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:50:09
オーディション会場、通路
四音(……空気が張り詰めている。
やはり、一次とはモノが違う、ということか。
とはいえ、アレの持つプレッシャーに比べれば。
これくらいは――)
佑芽「わーっ!?
か、会場ってどこだっけ~!?」
四音(花海、佑芽――!)
佑芽「あのー。すみませーん!
オ、オーディションの会場って……!」
四音「……えぇ。
こちらで合ってますよ」
佑芽「あっ、本当ですかぁ!? えへへ、良かったぁ……。
さっき、あたし別の部屋間違って入りそうになっちゃって……」
四音「それはそれは……大変でしたね」
佑芽「ドア開けたら、中の人、びっくりしてました!
あ、でもあたしも、同じくらいびっくりしましたけど!」
四音(……会場の空気に飲まれている様子はない。
危機感がないのか、あるいは――) - 32二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:50:38
佑芽「あれ……もしかして。
あなたってこの間のランニングコースの……?」
四音「……えぇ。またこうして会えるとは思いませんでした。
花海佑芽さん」
佑芽「わーっ! こんな事あるんですね!
えっと……」
四音「白草四音。四音で構いません」
佑芽「はいっ! 四音さん!
……ん? あれ。白草四音って名前、どっかで聞いたような」
四音「……へぇ」
四音(エリアAでのライブ――当然、向こうは知っているはず)
佑芽「たしか――そう! すっごいメイドさん!」
四音「……は?」 - 33二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:52:17
佑芽「以前、友達から聞きました!
白草四音っていうすっごいメイドさんがメイド喫茶にいるって……!」
四音「じ、事実無根です!
誰ですか、そんな話を広げたのは!?」
佑芽「あ、あれ!?
違ったかな!? す、すみません……!」
四音「……その話はもういいです。
オーディション前に話す事でもありませんから」
佑芽「そ、そうですね!
オーディション、そろそろですもんね!」
四音(……まったく、調子が狂わされる)
佑芽「――今回のオーディション。
あたし、すっごく楽しみにしてるんです」
四音「……楽しみ?」
佑芽「はい! あたし、あこがれの人がいるんです。
ずっと、ずっと追いかけ続けて、まだ一度も勝てたことはないけれど。
その人と、『FINALE』で戦おうって約束してます。
ここで勝ったら、いよいよなんだなって」
四音(……そのキラキラした目、虫唾が走る。
だが、彼女もボクと同じ。敗北の苦さを軸に立つもの) - 34二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:52:32
四音「私にも、勝ちたい相手がいます。
遠い遠い、その先に。『それ』は、忌々しく立っている。
だから。
――花海佑芽。私はあなたに勝ちます。
私がその先に向かうために」
佑芽「……ッ!
そう――そうですよね!
四音さん! あたし、負けません!
このオーディション、あたしが勝ちますから!」
四音(――花海佑芽、彼女こそ私の『倒すべき』ライバル) - 35二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:54:00
本日の投下はこれで以上です。
残り5話は明日夕方の予定です。見て頂きありがとうございました! - 36二次元好きの匿名さん25/03/25(火) 21:57:35
- 37二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 02:42:23
保守
- 38二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 05:49:24
保守
- 39二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 12:58:32
保守
- 40二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 14:14:06
本日、夕方6時頃から投下予定です
- 41二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:00:20
では、続きをそろそろ投下いたしますー
- 42二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:01:13
-第六話-
控室。
佑芽「ま、負けたあぁああああっ!」
四音「はぁ……はぁ……」
四音(な、なんだ……!?
なんなんだ、このアイドル……ッ!?
実力は、確かにボクが勝っていた――しかし。
圧倒的存在感、驚異的なスタミナ。
あの『爆発的』なパフォーマンス……!
底が知れない……!
ほんの少しでも、仕上がりが遅れていたら。
……負けていたのは)
佑芽「――あの。すごかったです!
ありがとうございました!」 - 43二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:01:36
四音「れ、礼?
なぜ、そんな……。悔しくはないのですか?」
佑芽「もちろん、めっちゃくちゃ悔しいです!
本当は今にも、全力で叫び出したいくらい!
……でも。
あなたのすごさを認めないと。
あたしは、お姉ちゃんに勝てない。
あたしが考えてた以上にアイドルの世界は広いんだぞって。
そう、教えてもらった気分で。
すごく、いい経験をさせてもらったと思うんです。
だから……ありがとうございました」
四音(違う……。
彼女はボクとは違う。
なんなんだ、このアイドルに『勝ち続ける』姉というのは……!?) - 44二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:02:18
控室に突如入ってくる咲季。
咲季「佑芽!
励ましに来てあげたわ!」
佑芽「あっ、お、お姉ちゃん!
……ぐ、ぬぬ。今は会いたくなかったのに」
咲季「バカね。何年姉妹やってると――。
……あなた」
四音と咲季の目が合う。
四音「――なるほど」
咲季「そう。あなたが『あの』白草四音」
佑芽「あっ、お姉ちゃんも知ってるの?」
咲季「えぇ。……エリアA。
初っ端、初星学園の真正面でライブしてたヤツよ」
佑芽「あーっ! そ、そういえば話題になってたかも!」 - 45二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:02:41
四音「……お噂になっていたとは、実に光栄です」
咲季「白々しいわね。
……あれはそっちの『宣戦布告』。そうでしょう?」
四音「……えぇ。効果の程はいささか不安でしたが。
その反応を見るに、たしかに効果はあったようで安心しました」
咲季「なら、今度はこっちから宣戦布告させてもらうわ。
――白草四音! 私と勝負なさい!
佑芽の仇を取ってやるんだから!」
四音「仇――。ふふ、なるほど。面白い。
いいでしょう。その勝負、受けて立ちます。
――花海咲季。
『FINALE』の舞台で、この白草四音が相手となりましょう」 - 46二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:03:06
-第7話-
四音「――確信に至りました。
花海咲季、彼女が私のライバルです」
*「花海咲季。
花海姉妹の姉の方ですね。たしか、初星学園を首席で入学したと。
初星学園に入学して以降も成績は上位。
内部進学組に比べると活動歴の少なさから、ファン数そのものは多いというわけではありませんが。
それでも、彼女のパフォーマンスは最上位に位置する。
そして、彼女は『常に』妹である花海佑芽より高い成績をキープしている。
……四音さんから見て、花海咲季がライバル。
つまり、『自分と近いタイプのアイドル』だと、そう考えているのですね?」
四音「えぇ。間違いなく。
彼女には――花海佑芽にはない、『恐怖』がありました」
*「――恐怖」 - 47二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:03:25
四音「……圧倒的才能に対する、恐怖の目。
彼女が控室に入った時に、花海佑芽を見て。
そこから、私に目線を合わせた時。
『一体、誰が花海佑芽を倒せたのか』と。
ほんの一瞬ですが、その恐怖が宿ったのを見逃しませんでした。
――あれは、地に足をつけて走り続けた者だけが持つ恐怖の色。
走り続けても、追いつけない。その存在を知っている者の目です。
私も最初は、花海佑芽が花海咲季が『挑戦者』だと見ていました。
――ですが、おそらく実際は逆。
花海咲季が花海佑芽という強大な才能に向かう『挑戦者』。
ボクがアレに対して持つ恐怖と、悔しさと同じものが。
花海咲季にはありました」
*「……なるほど」
四音「NIAの勝利者となるには。
花海咲季を倒さなければならない。
……プロデューサー、作戦を」 - 48二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:03:42
*「わかりました。
まずは花海咲季を最後の障害。もといライバル、と設定するにあたり。
彼女のアイドルとしての性質をお話しておきます。
いくつか彼女のライブを拝見させてもらいました。
彼女はボーカル、ダンス、ビジュアル。
その全てにおいて高い成績を誇ります。
アイドルとしての性質は非常に、四音さんと近いといえます」
四音「……そうでしょうね」
*「さらに四音さんの見立て通りとした場合。
彼女は、才能に依存せず、尋常でない努力を重ねてきた秀才型。
正直、ライバルとして仮定した場合、最も強大なパターンです」
四音「その理由は?」
*「このタイプは最終日まで着実に能力値を伸ばし続けます。
さらに、このタイプは本番を想定し、コンディションを徹底管理する。
飛び抜けた才能を持つ者はある意味で、脆い一面もあります。
最適なコンディションを出す条件があったり。
本人の体調や精神状態に左右される一面もある。
しかし、努力型はそういったコンディションの管理は徹底しています。
『最低でも』90%以上のパフォーマンスを必ず叩き出すと考えて良い」
四音「……その点にいたるまで、ボクと同じ、と」 - 49二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:04:03
*「はい。
違うタイプであれば、攻略法もありますが。
同じタイプ同士の戦いとなると、決定的な違いは生まれにくい。
現状、我々は初星学園に対する『挑戦者』として注目されつつあります。
しかし、おそらく彼女はその差もあっという間に埋めて来るはず。
最後の違いがあるとすれば、それは『誇り』です」
四音「……誇り」
*「基礎力の差、そして己とライブに対する理解度。
その違いは、アイドルとしての『誇り』と僕は形容しています。
この戦いは、アイドル白草四音と花海咲季の誇りと誇りのぶつかり合い。
そういうことになるでしょう」
四音「――正面衝突と」
*「はい。今後の予定は中立地帯をメインにミニライブをします。
それといくつか、予定にはないサプライズゲリラライブを。
場数を踏み、よりファンとのつながりを強化。
またニュースサイトで特集記事を発注します」
四音「……珍しい。公式SNS以外も動かすんですね。
内容はどうするんです?」
*「NIA優勝に最も近い二人。
白草四音と、花海咲季。この二人のアイドルの特集です」 - 50二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:05:03
四音「なっ、花海咲季も――!?」
*「はい。お二人が戦うにあたり、話題性を最大化します。
勝負とは、自分と相手の二者で成立するもの。
たしかに、相手を特集することは相手のファン数に貢献します。
一方で、その相手と戦うというイメージが抱ければ。
こちらのファン数も競うように高まります。
ファンも勝負事が大好きですから。
こちらから、二人のマッチアップをセッティングしてしまうわけです」
四音「……ハードルを上げる行為でもありますね」
*「ギラギラした舞台の方が、白草四音にはふさわしい。
特に、ことライバルとの戦いにおいては。
おそらく、彼女ほど四音さんに近い存在はいない。
であるならば、四音さんが全力でぶつかれる舞台を作る。
それがプロデューサーとして成すべきことだと判断しました。
それに、彼女と戦うことは四音さんも心待ちにされているみたいですから」
四音「……ふふ、バレていましたか。
彼女と戦うことはボクにとっても学びがあるような気がするんです。
ボクは、もっともっと、強くなりたい。
もっともっと、高く飛びたい。
――だから花海咲季。彼女を必ず倒す」 - 51二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:05:25
――初星学園にて。
校内を走る咲季。
咲季(……油断なんかしない。
あのアイドルは、強い。私が持てる全力でぶつからないと)
ことね「わーっ、すっげ。
あの白草四音とかいうアイドル。連日ミニライブするとか言ってる。
すっげぇ過密スケジュールだけど倒れないかぁ……?」
咲季「四音……!?
ちょっと、ことね。それ見せなさい!」
ことね「わわっ!
そ、そんながっつかんでも見せたげるから!」
咲季「……なるほどね」
ことね「加えてシークレットライブもやるとさ。
これ、体力的に持つと思う、咲季?」
咲季「かなり攻めてるけど、これなら十分持つわ。
少なくとも、私なら」
ことね「はー、やっぱ運動部やってると違うかぁ。
あ、そうそう。咲季の記事もあった――って咲季?」 - 52二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:05:39
咲季「学園長に話してくるわ」
ことね「が、学園長に? ……えっと、何を?」
咲季「ミニライブの申請よ。
ちょっとギリギリだけど今からなら間に合うわ」
ことね「えっ、ちょっ、まさか張り合う気!?」
咲季「相手が全力で来るんなら、こっちも全力応えなきゃ。
でしょう?」
ことね「……はぁ。やれやれ、咲季らしいや。
でも、無理はすんなよ?」
咲季(……私は必ず勝たないといけない。
佑芽のためにも。
――そして私自身の、アイドルとしての誇りのためにも)
咲季「……白草四音、必ずあなたを倒す」 - 53二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:07:04
-第8話-
*「今回、我々が参加するオーディションは『FINALE』。
ついに、この時が来ましたね、四音さん」
四音「……えぇ、プロデューサー。
聞いておきたいことがあるのですが。
現状での花海咲季とボクのランキングはどうなってますか?」
*「ピッタリと隣り合うように。
向こうも終盤にミニライブを畳み掛けてきたので。
互いに、抜いては抜かれ。抜かれては抜いて。
今もって、互いの間に決定的な差はありません。
――よって、その差が生まれるとすれば。
間違いなく、この『FINALE』でしょう」
四音「ここに至るまで、ボクと同じ、と」
*「今の彼女は、間違いなくN.I.Aの最強の敵。
僕の見立てではおそらくその強さは。
『CRESCENT』における白草月花に打ち勝った白草四音。
それに並ぶ――いや、それ以上のパフォーマンスでしょう」
四音「……っ!
なるほど……。あの時の『奇跡』を起こしたボク」 - 54二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:07:25
*「今後、再び来る白草月花を相手にするに当たり。
あの時の『奇跡』を起こした白草四音は通じません。
よって、我々はあの花海咲季を必ず超えねばならない」
四音「……かつての『奇跡』さえも打ち破る、新たな『奇跡』が必要だと」
*「不安ですか?」
四音「いえ。
むしろこれ以上にない――ボクにふさわしい相手だと再認識できました。
アイドル白草四音として、ここで止まるわけには行かない。
プロデューサー、行ってきます」
*「四音さん」
四音「なんでしょう」
*「勝ちましょう、必ず」
四音「……えぇ。必ず」 - 55二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:07:52
オーディション会場通路
四音(……会場の熱気がここからでも伝わってくる。
こんなステージは初めてだ)
咲季「来たわね。――白草四音」
四音が振り返ると、そこには咲季の姿が。
四音「……花海咲季」
咲季「やっと、あなたと直接戦える。
ずっとこの時を待っていたわ」
四音「同感です。
やはり、あなたとはステージで直接ケリをつける他にない」
咲季「――あなたには絶対に負けない。
私は、いつだって最高のお姉ちゃん花海咲季じゃないといけないから」
四音「……何を言うかと思えば。
ボクもいつだって、ギラギラした白草四音でなければならない。
この『FINALE』――」
四音「勝つのはボクだ――!」
咲季「勝つのは私よ――!」 - 56二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:09:24
-第9話-
――割れんばかりの歓声が上がる。
二つのアイドル強豪校同士のぶつかり合い。
どちらが、勝つか。
二人のアイドル同士のぶつかり合い。
どちらが、勝つか。
誇りと意地。
互いに決して譲ることはない。
ただ、その先の栄光のために。
ただ、そこにいる観客に届けるために。
ボクたちは、歌い、踊る。
……ボクは強いアイドルなど、嫌いだ。
そこに至れない自分が嫌になるから。
だから、一番がいい。
誰も追いつけないほど、遠い所に立つのがいい。
……そのはずなのに、今ボクは。
目の前の現象を。この舞台の熱を。
この舞台の呼吸をずっと感じていたい。
そう思ってしまっている。
指先に、声の端に力がこもる。
もっと、輝きを。
一人では幕を下ろせないこの舞台に、最高の輝きを――! - 57二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:11:00
控室に入ってくる四音。
*「四音さん――」
四音「……プロデューサー。ボクたちの勝ちです」
*「はい。
最高の――最高の舞台でした。やりましたね、四音さん!
――さぁ」
四音「……なんです、その手は?」
*「ハイタッチ、のつもりだったのですが」
四音「……考えてみれば。
誰かとハイタッチなんてしたこと、なかったかもしれない」
*「……あぁ、なるほど」
四音「何を一人で納得してるんですか。非常に心外です。まったく。
……こんな感じですか?」
控室に響く快音。
*「はい。いい感じです。
改めて、やりましたね。四音さん」
四音「……えぇ」 - 58二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:11:26
控室に突如咲季が入ってくる。
咲季「白草四音! ……いる!?」
四音「……花海咲季」
咲季「いた。……まずは、そうね。
優勝、おめでとう。素晴らしいライブだったわ。
初星学園の外にこんなすごいアイドルがいるなんて知らなかった。
あなたと戦えたことは、私にとって誇りよ。
オーディションでのあの勝負。
多分、きっとこれからずっと忘れられないものになると思う」
四音「……そうですね。
私も、『FINALE』で戦う相手があなたで良かった」
咲季「……私は。
私はここでの戦いをここだけのものにしたくないの。
だから――」
四音「また、戦いましょう。
――きっと、あなたはここで満足などしないでしょうから」 - 59二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:12:27
咲季「……っ!」
四音「ボクも勝ちたい人がいる。
それは、どこにいても影のようにつきまとう。
その影がある限り……諦めたくとも諦められない。
きっと、あなたもそうだろう、そう考えていますが。
違いますか?」
咲季「……そう、よくわかってるじゃない。
えぇ、そうよ。その通り。
私はね、とーっても、諦めが悪いの!
こんなところで勝ち逃げなんて絶対許さない。
今度は絶対倒してやるんだから!
首を洗って待ってなさい、白草四音!
あなたは、必ずこの花海咲季が倒すわ!」
四音「ふふっ、できるものならやってみるといいでしょう。
何度だって血祭りにしてあげます」
咲季「……ふふ、何よそれ。
なら私はその余裕、必ずぶっ潰してあげる。
……あ、そうそう。一つだけ訂正したいことがあるわ」
四音「……訂正?」
咲季「――佑芽は影なんかじゃない。私にとっての光よ」 - 60二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:12:56
咲季が控室を出ていく。
四音(……まったく、姉妹揃って虫唾が走る)
*「きっと、これから彼女とは幾度となく戦うことになるでしょう。
どうやら、厄介なアイドルを敵にしてしまったのかもしれません」
四音「……嬉しそうな顔をしながら何を言ってるんですか」
四音(きっと……ボクも今日のステージは忘れることはない)
四音「行きましょう、プロデューサー。
ボクらの凱旋に」 - 61二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:13:49
-第10話-
誰もいなくなった屋外ステージにて一人佇む四音の姿。
*「……やはり、ここにいましたか」
四音「プロデューサー」
*「あと、一時間でステージの解体が始まるそうです」
四音「移動したほうがいい、と?」
*「いえ、後一時間はここにいられる、ということです」
四音「……あのですね。
そんな真面目な顔で言うと、冗談に見えませんよ?
もう少ししたら、私も移動するつもりです。
なのでそれまで待っていてください」
*「……会場の熱がまだ残ってるような感じがしますね」
四音「それは――気のせいでしょう。
ここは屋外ステージなのですから。
この暑さは、きっとここ最近の猛暑によるものでしょう」
*「とても、いいライブでした。
目を閉じれば、あの熱狂が蘇るようです」
四音「……少し、不思議な気持ちがあるんです」 - 62二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:14:49
*「不思議な気持ち?」
四音「ボクにとって、この舞台は勝利のための戦いだった。
ボクがボクを超えるための、道筋に過ぎない。
勝利した今ボクは嬉しい、それ以外にないはずなのに。
……少し、寂しい。そんな気持ちがあります」
*「四音さんは。
もし、白草月花を真に超えたその時が来たとして。
――アイドルを、続けようと思いますか?」
四音「月花姉さまを超えた、その時――」
しばし、沈黙が流れる。
四音「……勝ったままのボクでありたい。
だから、アイドルとしてはそこで身を引く。
少し前のボクならそう答えたかもしれません。
でも、確かに。今のボクなら――続ける、そう答える」
四音(……そう、か) - 63二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:15:07
四音(……そう、か)
*「でしたら……ずっとずっと、その先のプロデュースも、
考えておかないと、ですね」
四音(アイドルという生き方が。
ボクが思う以上に、ボクの心に絡みついている。
――ボクはアイドルであることを、楽しく思っていた)
*「では、四音さん次のステージへと行きましょう。
……おそらく、『彼女』は待っている」
四音「そうですね。
……『アレ』は待つことは嫌いですから。
きっと、今頃しびれを切らしていることでしょう。
プロデューサー」
*「なんでしょう」
四音「ボクがここに立っているのは。
間違いなく、プロデューサーがいたからです。
だから、ボクがトップアイドルになるその時も。
……ボクの隣にいてくださいね」 - 64二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:16:56
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A+
表現力-A+
ダンス力-A+
観客意識-A+
対抗心-SS
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ボーカル、ダンス、ビジュアル。その全てが一級品。
彼女の躍進は今なお止まることを知らない。
『感動のライブだった!』
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次の舞台は、極月学園最大のイベント【THE-MOON】。
勝者は『オーバートップ』の名誉を授かる。
……その舞台には必ず白草月花が立っている。
『オーバートップ』をこれまでに2度獲得した彼女に挑む。
それは、間違いなく人生最大の挑戦となることだろう。
次の彼女の強さがどれほどになっているのか。
正直、計り知れないところがある。
そうだとしても、僕は白草四音のプロデューサーとして、
白草月花を打ち破るプロデュースをしよう。――四音さんに、必ず勝利を。
---- - 65二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:17:47
To be continue…
- 66二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:19:00
これにて投稿は以上になります、お疲れ様でした~。
- 67二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:24:04
今回、正直な話めちゃくちゃ難産でした……。
前スレにて3話分まで書いたものの、そこから4話以降はいくつかパターンがあり、最終的には今回の形に落ち着きました。
一旦、極月Pシリーズはこれでメインとなる部分はおしまいですが、なんか今後浮かんだらイベントコミュみたいなのを適当にでっち上げるかもしれません。 - 68二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 18:37:23
1人の例外もなく格好良いな
また待ってます - 69二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 00:22:33
ありがとうございます!
原作とはかなり違う展開にならざるを得ないので本当に難しかったですが、それぞれがしっかりとぶつかる格好良さはなんとしても表現したかったので、そう言ってもらえると本当に嬉しいです……!