- 1◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:43:55
- 2◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:44:28
【前スレ】
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:44:58
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:45:31
- 5◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:46:12
(※埋め荒らし食らいましたので建て直しです!)
- 6◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:46:27
(※>>10まで保守します!)
- 7◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:46:44
(※保)
- 8◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:46:55
(※守)
- 9◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:47:09
(※終)
- 10◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 19:47:23
(※了!)
- 11マルタ◆KPwoT407kA25/03/25(火) 19:48:38
(立て乙です)
【ヴァルハラテック自地区内にて】
ふぃぃ…やっぱギプスのない生活ってのは快適でいいねぇ〜! - 12アリソン◆PPyRfvMZl625/03/25(火) 20:21:49
前スレ>>163
「これで気に入ってんだよ、手に馴染んだカスタムだ、余計な改修はされたくない」
【飴玉の様な赤色の塗装は、損傷を受けてところどころが剥がれ落ちている、それすらも愛おしそうに鋼鉄の肌を撫でる彼女の腕もまた、鋼の色に艶めいていた】
【疲労の滲む枯れた声、続けて小さく咳込む、メンテナンスが必要なのはアリソンの身体もそうだろう】
【サイバネの手入れ、十分な休息と、栄養が必要だ】
「……随分と親切にしてくれるじゃねェか、媚びたってアタシのことは飼えねぇぞ?
まぁ、格安でレンタルさせてくれるってんならキャンディの不在を埋める程度には役立ててやる」
【機体のレンタル、成程、それはきっとデータ収集の為の実戦テストも兼ねているのだろうが】
【いずれにせよ、ここから帰るのに彼女らの助けが欲しいのも事実、潰れたタバコケースから何とか無事な一本を見つけ出すと、愛機の座席に深々と腰を落ち着けた】
【ひとまず、今にも噛み付かんばかりの獰猛な気配は仕舞い込んで】
「エスコート、よろしく?」
- 13◆KPwoT407kA25/03/26(水) 00:46:05
- 14アリソン◆PPyRfvMZl625/03/26(水) 09:33:11
- 15アカネ◆fDey8JUvvk25/03/26(水) 09:40:43
……はあ?
【アカネは思わず顔を顰める】
【通信が途絶した人自連所属企業のとある工廠の調査依頼……そんなものが人自連の不特定多数に向けて告知されていた】
こういう時こそ足並みを揃えるべきでしょうに。
【至極真っ当なことを口にするが、それができたら苦労はしないのが人間の性である】 - 16◆KPwoT407kA25/03/26(水) 11:02:08
- 17アリソン◆PPyRfvMZl625/03/26(水) 11:50:11
【電源が落ち、暗転したモニターから伝わるものは無い、座席越しの緩やかな振動だけが彼女に機体が輸送機に積み込まれて移動する姿を想像させた】
【煙草に火を灯す、暗闇に漂う紫色の煙、移動の間の貴重な一本を早々に終わらせてしまわぬ様にゆっくりと呼吸をする】
【これからすべきことは山ほどある、ホンルゥへの依頼終了報告、及び彼らに提供された試作兵器の実戦データ、肉体のメンテナンス、それ以外にも】
【束の間の微睡みだ、決して広いとは言えないコックピットで、目いっぱいに脚を伸ばして瞼を閉じる】
「ふぁ……」
【アリソンはそうして一時の眠りに落ち、目が覚める頃には────────────────】
(※はーい!ではヴァルハラテック自治区に到着したところから描写よろしくお頼みもうします!)
- 18ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/03/26(水) 17:51:17
「んーぅ…」
【セーフハウス兼ガレージで端末を弄っている。ばら撒き依頼の数々を指で流して、ため息をついた】
「どうしよーーね?」
【愛機に語りかけるようにウルヴィは呟く。デスペラードの独立傭兵だからと言って、依頼の連絡がここまで無いのはあまりない。企業に属していない都合の良い駒というのは、それだけで一定の価値があるものだ。きな臭いインベイドの群れへと突っ込ませて様子を見たり、表立ってはできない企業同士の“嫌がらせ”や“茶番”に至るまで】
「はぁ」
【ばら撒き依頼にも大したものはなく、そもそも生活に窮しているわけでもない。つまるところ無理に依頼を引き受ける理由はないのだが、退屈というものだ。何か来ないかと一縷の望みをかけて、少女は更新ボタンを連打していた】 - 19二次元好きの匿名さん25/03/26(水) 21:12:39
「………K.I社の海中コロニー計画?また奇特な構想だな。何の為にそんな所にコロニーを建設するんだか」
「ほら、新型のインベイド。絨毯爆撃してくる個体群への対策らしい。水中で活動してるのは今はまだ採掘兵級が精々だからな」
「果たして上手く行くのかねぇ?結局デスペラードにも依頼してるんだろう、何か裏があるんじゃないか?────水中戦に適応したインベイドとか」 - 20◆KPwoT407kA25/03/26(水) 22:12:06
【ヴァルハラテック自地区内研究所。そこのメンテナンスプラントにてこちらに用意出来る最大限の設備で望み通りのメンテナンスを受けることができるだろう】
【それを終えた後、1人の研究者が現れる】
…もっとババアが出てくるかと思った?残念ながら『ワーグナーモデル』に載せてる子達より一回りくらい歳食ってるだけのしがないエンジニアだよ
【紛うことなき、通信で聞いた声の主だ】
私はミカエラ・オルソン。手短に行こっか
元々のBFはなるべく元通りに修繕するとして…レンタルしてもらいたいのは商品化予定の完全自社製BF…そのマスプロダクトモデルだよ
要望があるならどういった方向性のカスタムをご所望か受け付けるよ?パイロットの望みに応えられる性能を与える。それこそが研究者の至福だからね
- 21ミハエル◆j28rRKKOSY25/03/27(木) 03:52:36
前スレ>>164
【ヴァルハラテック自治区内のとある修理工場、真新しい履帯を装備し各部の装甲も傷一つ無い新品となった愛機に頬擦りしている青年の姿がそこにあった、】
「やっぱり新しいパーツってのは良いもんだなぁ!、ウィルヘルミナ!」
【しばらく機体に抱きついた後、工場を後にすると自治区内を歩き回りながら周囲の会話に耳を澄ます、物を送りたい人や何処かに行きたいという話題まで、仕事の種を探して道を歩き酒場や店を巡る】
「良さげな依頼は無い……か、どれも小銭稼ぎにしかならなそうだしなぁ」
【自治区の半分を歩き回った後、疲れた足と空きっ腹を抱えて入った店でぼやく、リュックから出した端末を見るがそこにもめぼしい依頼が無い事を確認すると、丁度運ばれて来たステーキにナイフを入れる】
「まあそのうち仕事が見つかるだろ、明日は明日の風が吹くってやつだ」
- 22アリソン◆PPyRfvMZl625/03/27(木) 12:04:25
【住み慣れた愛機のコックピットに一時の別れ、最低限の整備を終えた鋼の左腕をギプスで固定し、研究所の白い廊下に備え付けられたベンチに腰を下ろす】
【ニコチン切れの些か不機嫌そうな頃合い、“煙草は無いが代わりに”と渡された棒キャンディーを咥えた歯の間からちらつかせて】
【頬杖を突き眼下から睨み付ける様な視線】
「アリソン・キャラドール、傭兵だ、この体になって15年は戦ってる」
【交戦記録は既に見聞きしているのだろう、わざわざ名乗らずとも良い筈なのに名乗ったのは、うら若きエンジニアと長い間戦場の最前線に飛び続けている傭兵の間にある一線を明確にする為でもあり】
・・・
【そうした言葉の端からわざと覗かせる敵愾心によって、“自分は如何なる理由や立場があろうとも子供を戦場に立たせる人間は嫌いだし、信用しない”という牽制をする為でもあった】
「話が早いのは助かるな、プロフェッサー・ミカエラ。
一つ、余計な武装はいらねぇ、白兵戦向けの武器と最低限の火器があれば良い……今回の任務じゃあ先方の頼みだったからガラじゃねぇ大砲担いだが、本当はああいうのは得意じゃないんだ
二つ、多少バランスが崩れても良いから、粒子タンクを増設するなり単独航続可能時間を確保しろ、動きたい時に如何に身軽に動けるかが傭兵のキモだからな」
- 23二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 18:55:24
混ざれるかね…今から…
- 24◆PPyRfvMZl625/03/27(木) 19:04:12
(※今からも何も、まだまだ始まったばかりのスレでございますのでお気楽に!よろしければ↓の裏スレにもどうぞ!)
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界【の裏スレ】|あにまん掲示板夢のエネルギーをただのご飯にしちまう異星人!ここぞとばかりに人類の覇権を握ろうとする大企業!惑星(※地球じゃないよ)がヤベェ!!……な「ここ3ロボSF」スレの裏スレ、設定スレです【出来れば読んでいただ…bbs.animanch.com - 25二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 19:07:27
ありがとうございまぅ…
- 26二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 22:34:32
このレスは削除されています
- 27アンドモアUNKNOWN0-125/03/28(金) 07:30:35
「拾ってなおしゃ~金になる~」
【大破したBFを拾う四つ足のパイロットはふと口ずさむ】 【スカベンジャーである
ドーザーはその内容をよく見る。そんな仕事好きでやるやつはとてもよくない】 「今なんかいたな...
スキャン...一体か、当面はSF-R系列か...遊んでやるよ...」
【懸架してあるブーケを左腕に装備し、ブーストトルの為にエンジンを温める】
【出来たましくなる接近警報】
「ブーケトスしてやるよぉぉ‼」
【クイックターンで後方へ振り返り、怖くてきたデスペラードのSHINONOMEの胴にブーケをぶち当てる】
「泣くなよぉ!同じデスペラードのくせよぉぉぉ!」
【ブーケをもろにくらったSHINONOMEのパイロットは断末魔を叫ぶがアンドモア重視は最多にも似た知覚を興奮剤以上の物はないのだ】 - 28UNKNOWN0-125/03/28(金) 10:08:06
誤字確認をちゃんとしてから上げ直したのに誤字がある…なんで…
- 29One987DELL25/03/28(金) 10:36:13
よくありますよね…確認してOKだと思ったら誤字があったってのは…
- 30アンドモアUNKNOWN0-125/03/28(金) 15:20:48
【ブーケで切り飛ばしたデスペラードであったものも一緒に回収する】
「ふんふんふん〜楽しいねぇ〜スカベンジャーはぁ!」
【後ろに引いているコンテナが満載になった】
「あー…もーしもしー聞こえてるー?今から帰るよ〜いいのも拾えたしさーぁ。」
【オペレーターに帰投連絡をする】
「アンドモア、本日はどうなさいますか?」
【オペレーターは確認をする。】
「いやー今日は大丈夫だよぉ、サプライズを楽しませてもらったしさぁあ。」
「わかりました、では帰投後に回収したものをファクトリーの倉庫まで搬入お願いしますね。」
「あれぇ?今はみんな出払ってるの?」
「いえ、休息中なので搬入まではやってもらおうかと。」
「リョーかいっ。んじゃスレイブスプートニク、安全に気をつけて帰りまーす。」
【オペレーターとの通信を終え、アンドモアは帰路につく】 - 31◆KPwoT407kA25/03/28(金) 16:47:22
白兵装備とそこそこの火器、それと稼働時間優先ね…オッケーオッケー
じゃあキャンディボールちゃんの武装傾向も踏襲してって…粒子タンクね、とりあえず機動のジャマにならない程度に増設しとくけど物足りなかったら適宜相談してねー増設しちゃうから
【カタカタとモニターに情報が書き込まれていく】
あ、そうだ…素体に使うR/W-N01【ヴァルキリー】の簡単な解説をさせてもらうとこないだからウチから発進させてってる新型BFのデータを下に“普通の傭兵に売れる程度”まで性能のデチューンとコストカットを施した量産モデルだよ。パイロットシートは神経接続のレスポンスを人並みにまで抑えた接続式、もしくは非接続式の双方に対応してある。
試作型はうちでのバックアップ体制を前提として稼働時間については全く考慮には入れてなかったんだけども…市販品はコストカットの賜物でそこら辺も改善されてる。んでんでカスタマイズ性もバツグンに絶好調で…あ、とりま装甲を薄くして機動力優先でオッケーかな?
- 32ヴァンガード25/03/28(金) 19:39:13
「撃ぇ!」
男が操縦桿の引き金を引くと、240mmレールキャノンから、けたたましい射出音が鳴り、数秒後に大地を揺らす轟音と爆煙が前方のインベイドの群れを包む。爆煙が晴れるとインベイドだったものの残骸を望遠で観測した。
「目標に命中、次弾装填。弾種、粒子炸裂弾」
モニターパネルのUIに装填された弾種が表示され、粒子炸裂弾である事を確認する。
残骸の奥からゾロゾロとインベイドが蠢いているのが見える。
「撃ぇ!」
再度射出音の数秒後に轟音が聞こえるが、今回はそこに青白い花火のような爆発が見える。あまりに眩しい閃光にサンライズは自動で遮光を行った。閃光が止んだ後、男は少し暗い画面でインベイドのいた場所のクレーターに降り注ぐキラキラと光る粒子を無邪気な少年の顔で見ていた
[粒子残量40%]
ヴァンガードはサンライズからのシステムメッセージで我に返る。
「ヴァンガード、帰投する。」
ゆっくりと反転して無限軌道で大地を踏みしめながらサンライズは人自連のコロニーへ向かった。
男は帰りたくなかった。また白衣を着た連中に自分の居場所から引きずり出されるからである。だがこの居場所はその白衣を着た連中の所に帰らないと安全であり続けれないのだ。 - 333225/03/28(金) 19:40:35
大変勝手ながらヴァンガードをエミュってみましたが…UNKNOWN0-1さん的には大丈夫でしたでしょうか?
- 34アリソン◆PPyRfvMZl625/03/28(金) 20:47:49
「ああ、致命的にならない部分、要らねぇ装甲は剥がして良い。
どうせ一定以上の大型インベイドの攻撃を食らえば、生半可な装甲なんざ無意味だからな」
【まるで我が子を自慢するかの様な、或いはこのままレンタルと言わず機体を購入までさせたい営業マンの様な】
【嬉々とした流麗な語り口に、カリ、カリ、と飴玉を砕く小さな咀嚼音を響かせながら、自分に必要な情報だけに聴覚を傾ける】
【────────それにしても】
(研究者って連中は何処でもこうなのかねぇ、まあ、コイツらにとっては機械が“子供”みたいなモンに思えているのか……)
- 35アンドモアUNKNOW0-125/03/28(金) 21:08:12
【視界の端で閃光を捉え、轟音を聞く】
「今の音…レールキャノンか…アンジー、対インベイド用ストラクチャー使用は今日か?」
【アンドモアはオペレーターに聞く】
「いえ、そのような連絡は…どうかなさいましたか?」
「いや、さっき粒子炸裂弾の閃光が見えた。あんなもんを撃てるのはストラクチャーくらいしかないと思ったが…オーガフレームで粒子炸裂弾を投射できる砲身は装備できるか?」
「アンドモア、貴方は以前その事に言及していたと思いますが。あんなものはオーガでも持てないと。」
「あぁアンジー、やっぱりそうだよな。だがストラクチャーみたいに景気よく粒子をばらまいてるいないんだ。一体なんだあれ?」
「とにかく先程の爆発でインベイドが寄ってきています。早期離脱を」
「了解。」
【アンドモアは足早にその場を去った】
- 36ヴァンガード25/03/29(土) 22:32:34
男は帰路の途中、2時方向の稜線に土煙を見た。すぐさま望遠で確認する。瞬間、サンライズは大きく揺れた。
『许多敌人性反应,在近接兵装的排除。』
OS側も肉薄される、ましてやインベイドに張り付かれるとこを想定させるわけがないので、桜空特有のアラートメッセージが読み上げられた。
「なっ......」
近接兵装など搭載されていないサンライズを駆る為に調整されている男にとって、近接戦闘は全くといっていいほど、未知の世界であった。
「あっ.....あぁ...あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
そしてそのことは男を発狂させるには十分すぎる負荷であった。
その時男は何を思ったのか、左装備の150mmナパームを進行方向に放ち、炸裂させた。瞬く間にサンライズはまとわりつく粘性の炎につつまれた。外装にかじりついていたインベイドも当然炎に巻かれ、剝がれ落ちた。
「くたばれ...っ!!」
男は燃えているインベイドに38mmを叩き込む。操縦桿を握る手の震えは止まらない。男の精神は死神を迎え入れたのか、恐怖が電気信号として全身をはい回る。
『残弾なし、パージします。』
38mmを固定していたボルトの破砕音で意識が帰ってきた。辺りを見渡す。焼死したインベイドが転がっていた。
- 37ミハエル◆j28rRKKOSY25/03/29(土) 23:57:12
「これは……クロノスからの指名?」
【コクピットで出発の準備をしている最中に届いた一通のメール、差出人を確認すればこの世界最大の企業からのもの、背中に寒い物を感じながらもそれを開く】
「空中投下される品をピックアップして目的地に届けるか、なんでそのまま運ばないとか自前の輸送隊にやらせないのかって疑問はあるが……」
【依頼の報酬欄にはかなりの額の数字が踊る、それに目的地はクロノスのコロニーでも有数の規模を誇る、そんな場所なら探している情報もあるだろう、そう頭の中で自分を説得すると怪しげな依頼に返信し機体に火を入れる】
「仕事の開始だな、行こうぜ相棒!」 - 38ランセル◆hFOUpFQqt.25/03/30(日) 08:02:01
ふぃ〜…これで最後、依頼達成か
【四肢をもがれ、人の形を失ったBFの中に一機佇む灰色のBF】
費用は最低限で進んで…
君らも生きてる、結果は上々!
【周囲のBFは一つ残らず大破しているものの、その全機から生体反応がレーダーのグリッド上に響き点滅を繰り返す】
さてさてと、次はどう誰を助けようかな
【動き出した灰色のBF。アリオールがもう一つの姿となり荒野を駆け出した】 - 39王龍影25/03/30(日) 21:49:52
「不能送出我的超人的话什么样的事情⁈」(私のチャオレンが出せないってどうゆう事⁈)
「姐さん怒鳴んないで下さいよ。」
ハンガーで言い争いをしている。
「悪いがチャオレンは出せない、龍影。」
男は会話に割って入った。
「整備長⁈なんで出せないの⁈アウトサイドにインベイドがくるかもしれないって監視班から...」
「サンライズが中破した、機体各部に熱摩耗あり。大規模な修復になるだろうから先に人員を確保している。そんな時にスパイスまみれのチャオレンは出せれない。今は待機。わかったか?龍影。」
説教に似た説得を整備長にされた龍影は黙り込むしかなかった。 - 40ミハエル◆j28rRKKOSY25/03/31(月) 13:11:10
【森林地帯の一角、指定された地点の上空を飛ぶ輸送ヘリが眼下の機体を確認するとコンテナの蓋を開き中身を投下する】
「あれが例のブツか、随分と小さいな」
【人間の頭程度の大きさのケースが小さなパラシュートを付けてゆっくり降りて来る、BFの手の平に落ちてきたそれをコクピットに放り込む】
「周囲に熱源は無し……と、このまま邪魔が入らなければ3日ってところか」
【地響きと共にウィルヘルミナは森の奥へと消えていった】
- 41ライ25/04/01(火) 11:58:23
カビ臭いがホコリの無いガレージには獣が立っていた。その獣は時折身体を震わせ、呼吸でもしているかのようであった。その獣の胸腔部が開き、男が1人出てくる。
周りの者達は見守っている。
「教祖よりお言葉です。天の遣いに仇なす不届き者に代行として罰を与えよと。(訳:「企業の連中のちょっかいが鬱陶しい。ある程度削ってくれ。」という依頼。)」
見守っていた達は歓喜した。嬉々として装填された武器をクレーンで吊り、その獣の手の高さまで運んだ。
ミャリ
そんな有機的で金属質な音を出して掴んだ物は30mm突撃砲。旧時代の武器であるが天罰を下すのには十分な威力だ。
ゆっくりと持上げ、2本伸びている背中の腕の1本に掴ませる。
カロン
冷えた金属同士が優しく触れ合う音を鳴らしたものは高周波ブレード。これまた旧時代のものであるが異端を切り伏せるのには十分なものだ。
「ラーイ!ラーイ!ラーイラーイライライ…セットォ!」
シュミン…パシュー
整備士の誘導によって取り付けられたそれは今では使用している方が珍しい化石燃料を推進剤に使う一対のデュアルエンジンだ。
「コリジョン…チェック。リンケージ…チェック。ニューロン…チェック。FCS…チェック。システムバグ…チェック。オールグリーン。ファイテングスタンド、OK。」
胸腔部を閉じ、中で男は操作する。
キャットウォークが左右に分かれ、道を開ける。
ガシュン
獣は大地を踏みしめ、扉まで歩く。
ゆっくりとガレージの扉が開く。
『主の導きありて我ら空を想う!』
獣を見送る人らは笑顔で、寸分の狂いもなく発音した。
「██████」
獣は呼応するように軋むように鳴く。
「星の加護があらんことを」
獣の中にいる男はそう呟いた。
デュアルエンジンは口を細め排炎を青白くする。
バァー
ブザーが鳴ると同時に男は両手を操縦桿から離す。
白黒い煙を吐きながら獣は荒れた錆色と黒青い2色しかない外で飛びたった。 - 42エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/01(火) 15:39:07
《敵機接近中、敵影表示》
「うわぁ……相ッ変わらず、グロテスクだなぁ。僕の美的センスとは噛み合わないね」
鋭い金属質な音を置き去りにして飛行する白銀のBF。そのコックピット内で、エイダンは些かうんざりした眼差しを、画面端に投影された獣じみた容貌のBFに向けた。
「全く、上も酷いよ。日頃は机から離れるなと小言を言うくせに、突然あんな肉の塊を焼いてこいなんてさ」
《Mr.リー、今の貴方は我が社のパイロットで、任務中です。私語は慎んでください》
「……はーい」
オペレーターの注意に不貞腐れた返事をして、操縦桿を握り込む。錆びついた瓦礫が生える荒野と、灰色の曇り空を背負う獣へ掌を向ける。
「……それじゃあ、ご覧に入れようか。盲目的な信仰を打ち払う、光の柱を」
両手を合わせ、手の中央を塞ぐ穴を開く。
そのまま操縦桿を押し込めば、辺りを黄金色に照らす巨大な光線が、一つの柱となって目の前の獣を突き破らんと迫った。
- 43ライ25/04/01(火) 16:26:08
「レーダーに感あり…やつが目標か。」
背中に張り付いている有機的な腕が動き、高周波ブレードを右肩付近に持っていく。
グチャッ
皮膚の無い筋組織で金属を握る生々しい音を立てて柄を握る。
ジャギン
抜き払い、鈍い赤銀色に刀身が光る。
《CAUTION》
正面から煌びやかな光柱が迫り来る
「██████」
獣が吼え、フリクタルが震える。
瞬間、視界が白く潰れた。
しかし男は獣を理解しているため回避など行わなかった。
その光柱の中でまだ獣は形を留めている。
メギッガゴン
軋み、融ろけ出ながらフリクタルはその光柱に含まれるコア粒子を貪り、分厚くなる。
光柱が消え、光が収まると、背部の装甲が無くなり素体が剥き出しになりながらも、正面装甲が重騎士のような分厚さになった獣がそこにいた。
左腕は誘爆した突撃砲のせいでグチャグチャと潰れているものの、高温に晒されていたはずの腰部推進器はまだ健在であった。
推進器はロケット燃料を使って火を噴く。獣は融けて蛮刀に成り果てた発振しない高周波ブレードを構え突っ込む。
『主の導きありて我ら空を想う!』
オープン回線で男は叫ぶ。
- 44エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/01(火) 16:58:54
「想い、仰ぎ見るだけで満足なのかい。つまらないな、君たちは」
相手の遠距離武器は潰した。
装甲は分厚くなったようだが、インベイドの肉を纏っている姿を視認した時点で想定していたため、驚きはしない。
オープン回線を通じて撒き散らされる叫びに独り言を呟きながら、牙を剥き出しにして突撃してくる獣を引きつける。
《TARGET LOCK》
「ただ上に焦がれるだけで、目指そうとしない。なら、それらしく地に伏せていたまえ」
《FIRE》
腰部に携帯していた2つのポットが分離されると同時、中に仕舞われていた多弾道ミサイルが火を噴いた。科学の導きに従い、殻を破った無数の弾道が四方八方から猛スピードで獣に殺到する。
一方はブレードを握る手を、一方は腰に備えられた推進器を、一方は獣の顔面を焼き潰し、打ち砕かんと無機質な殺意を帯びて迫った。
《パイロット、念のため回避を》
「わかってるさ。もうしてる」
- 45ライ25/04/01(火) 17:29:38
「ミサイル…面倒な…!」
フレアを撒くも追尾は切れない。恐らく画像認識誘導なのだろう。
オートマニューバを切り、マニュアルマニューバを行う。
アフターバーナーを使い機体を無茶苦茶に振り回し、動き続けるもまだ振り切れない。
「これも天の遣いの為だ。許してくれ。」
男は謝りながらオーガフレームの背面装甲を開け、カラカラとグレネードサイズの部品を捨てる。
その部品は爆発し、青白く光る。
背部兵装腕を動かすために搭載していた小型粒子タンクを投棄し、ミサイル用のデコイにした。
ミサイルは狙い通りに青白い爆発に吸い込まれる。
『星の加護は常に我と共にある!』
男はギラついた笑顔を見せながら叫び、再度目標へ向かう。
『我、天の遣いに仇なす異端を代行として罰を下す!」
獣の目は笑っている。
鈍い赤銀色の刃が迫る。
- 46エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/01(火) 18:47:58
「へぇ、上手いな。信仰に病んでいても、戦うための脳味噌は別か」
《SHIELD DEPLOYMENT》
狂信の熱が多分に込められた刃が首を断とうと迫り来る。そんな光景を前にしても、エイダンは冷淡な態度を崩さずに、冷静な手つきで前方へシールドを展開させる。
事前の操作によって強度を引き上げられていたシールドは、鋭利な牙を自らの身に食い込ませ、獣を一時的にその場へとどめる。
その間に温めていた背部のブースターを点火させ、急発進。
強烈なGをものともせず、窓ガラスを引っ掻くような音を置き去りにして、骨格が剥き出しになった背面に回り込んだ。
掌を合わせ、蓋を開ける。
《CHARGING COMPLETED》
「これで駄目だったら鬼ごっこだなぁ」
《FIRE》
軽薄な口調で後の展開に備えつつ、素早く操縦桿を押し込む。再び世に現れた光の柱が、今度はより近い距離から、獣とその主を貫かんと圧を放った。
- 47ライ25/04/01(火) 18:55:34
- 48エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/01(火) 19:31:49
《敵機の消失を確認。周囲に敵影無し。帰投してください》
「了解。……ところで、お疲れさまの言葉は無いの?」
眼前で見事に弾けた火花が散るまでを眺めながら、無機質な指示を出すオペレーターへ茶々を入れる。
ヘッドホンから聞こえた軽薄な声に、オペレーターはわずかに眉を跳ねさせた。
《私語は謹んでください、パイロット》
「もう今更だよ〜。どうせ叱られるのは僕なんだしさ、ね?」
親に菓子をねだるような調子の頼みに、オペレーターはため息をつく。
そして、ここで断って仕事が長引くのも面倒だと考えて、口を開いた。
《……はぁ。お疲れさまでした、Mr.リー》
「うん、ありがとう」
投げやりな労りの声に満足げな笑顔を浮かべ、エイダンは再びブースターを点火させる。青白い軌跡を後に引きながら、白銀のBFは、色鮮やかな街並みが並ぶ巣へと帰っていった。
[END]
- 49ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/01(火) 22:04:29
―――― 一方その頃 民自連のとある都市の格納庫で ――――
《ケイ、哨戒任務を終えた報酬が振り込まれていますよ》
「あ、ホントだ……! 良かった、これでしばらく食べていける……」
ハンガーの中。白と蒼の鋭角状シルエットの機体の足元で、一人の少年……ケイが手元の端末で報酬が振り込まれていることを確認していた。
腕時計のような形状の端末は緑にチカチカと点滅しており、大きく『SUI』という文字が表示されている。
《今回の哨戒任務の6時間の間に、ケイが取った食事の回数は0です。速やかな食物の摂取を――――》
「分かってる、分かってるよ……なにも食べてないから腹ペコなんだ……」
電子音による平坦な声に対してどことなく辟易とした声色を放つ少年は黒髪を指でかき、一度自身の機体……BF『AOKAZE(蒼風)』を見上げる。
「まぁ、戦闘がないのは平和な証拠だよな」
《否定。この地域では戦闘がないだけです。他の箇所では多数のBFによる戦闘、及び対インベイド戦闘が発生しています》
《スイは、ケイの可能な限りの介入を要請しています》
そう言われて、ケイはなんとなく。顔をしかめるしかなかった。
……こいつ、俺が機械とでも思っているのかな? という声を、なんとか抑えたのだった。
「ご飯食べに行くぞ」
《肯定。以前の連続戦闘時の気絶を、スイは忘れていません》
お前がコックピットハッチをロックして俺を戦場に監禁してたからだろ。という声は抑えることができなかった。
―――― RP END ―――― - 50ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 11:49:53
―――― 人自連 青天市街 ――――
「んー……今日のご飯をどうするべきか……」
《メニューはケイ自身が決めるべきです》
今日の食事をどうするか。という部分に悩まない人間など存在しない。 腹の鳴る音を収めるために暖簾をくぐったケイは、早速自分の食事を頼む際の難関に直面していた。
……地下水道の奥まった一室で暮らしていた頃のケイなら、白米を躊躇なく頼んでいただろうが。
「地上のご飯って美味しいから悩むんだよなぁ」
人と物が溢れる地上の多種多様なメニューに、齢18歳の青年の心は鷲掴みにされているし。当分その状態が続くことは想像にかたくない。
傭兵としては至って簡単な哨戒任務を終えたケイは日銭という問題をクリアしているがため、悩む余地すらあった。
といっても、食事を終えればケイは日課の訓練に戻るつもりでもあったのだが。
「さて、それじゃあこのメニューにしようかな」(意を決してメニューを頼み、ケイは食事を始めた) - 51二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 11:54:03
このレスは削除されています
- 52龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 11:57:01
「那么,虽然我的超人不能出击,为什么想点办法在o~那个外侧的SINONOME队是了可是最后也~这里在外侧没有兴趣!」(なんで私のチャオレンが出撃出来ないのよォ〜そりゃアウトサイドのSINONOME隊で対象出来たんだから良いんだけどさぁ!結局はココもアウトサイドに興味なんてないのよ!)
酒を飲みながら喚いている。
「お客さん、そんなに飲んだら義体でもすっ転んでしまいますよ?」
店主は気にかける。
「什么!喝醉不好?!」(なによぉ!酔っちゃダメなの?)
龍影はぶつくさ言う
「酔い潰れた姉ちゃんなんか重たくて運べないからだよ。」
店主は文句を垂れた。
「わーってるんにょぉー」
龍影はもう出来上がっている
そんな時に見かけない少年が視界に写ったため手を振り、声をかける。
「おう!少年、おねーさんと飲まないかい?ほーら!こっち来てさぁ!アッハッハッハッハッ」
上機嫌だ。
- 53ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 12:02:35
「?? ???」(聞いたことがない言語に戸惑っているケイ)
《ケイ、落ち着いてください。これから彼女の言葉を翻訳します。最後の発言を端的に言えば、一緒に飲め。とのこと》
どういうこと!?とケイは困惑しながらも自分が移動して。彼女の真正面に座ることにした。
一緒に飲む、という行為を彼が容認したことが女性から見てもわかる。
「ど、どうも……?」
人と話す、という行為自体があまり無いがためか、話の切り口に迷い始めたケイ。
チャオレン、アウトサイド、SINONOME……僅かに聞けた単語から、彼女もBFに乗る関係者なのだろう。と僅かな推測ができた程度だ。
《ケイ、それではただの会話デッキ初級編です。このままではコミュ障待ったなしですよ》
「ちょ、翠(スイ)!! 今喋るな!?!」
時計型端末から電子音声が聞こえたのを、はっきりと聞き取れるだろう。
- 54龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 12:12:22
「对话接口搭载的BF辅助装置…而且是那个的初期型…」(対話インターフェース搭載のBF補助ユニット…しかもその初期型…)
出来上がっていたはずの龍影は酒が抜けた表情に戻り、ボソボソと独り言を言ったが、すぐに調子が戻った。
「あぁ!ごめんごめん!私は王龍影。ここ人自連でBF傭兵をやってるのよ。よろしくね、少年。」
にこやかな笑顔で話し、右手を出して握手を求めた。
- 55二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 12:19:39
このレスは削除されています
- 56ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 12:24:19
「は、はい。ケイ・サヤギリです。よろしくお願いします。えーと……王さん?」
と、握手を求められたことを察して、応じる。
ケイの手は男性らしい部分があまりなく、筋肉らしい筋肉は見えない。普通、という言葉が合うだろう。
《私は独立型戦闘支援コンピュータ・『SUI』 ケイによる愛称は[翠](スイ)です。よろしくお願いします、王龍影》
電子音声が再度聞こえた瞬間、ケイは頭を抱えてうなだれる羽目になる。
彼女が喋ると毎回、多くの人の奇異の目線にさらされるのだ。
自分が異物であることを、自覚させられるようであまり好みではない。なので人前であまり喋るな、という約束だったのだが……それが守られた試しは殆どない。
《彼女はBF(バディフレーム)を用いる傭兵です。ケイ、貴方も……》
「そういう話をして良いのかもわからないだろ……」
この世間知らずのポンコツコンピュータが!!と言いたい気持ちを抑えるケイの表情は、龍影から見ても滑稽に映るはずだ。 - 57二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 12:29:53
このレスは削除されています
- 58龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 12:33:30
- 59ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 12:37:02
「な、なるほど……では、えっと……王、さん。」
つまり一瞬で、自分がBF乗りであることを理解されてしまった。ということを察したケイは観念したように椅子に座る。
敬語が抜けないのは、彼の礼儀正しさがゆえだろう。
……もしケイの育ちを知れば、奇跡のような性格と思われるに違いない。(本人にその自覚は全く無いが)
座ったまま、なぜか繋がれたままの手についてケイはなにも言わないことにした。そういう時もある……そういう人もいるのだ。
《……王龍影。私のような支援ユニットが搭載されていた月風は極めて少数です。該当者に会ったことがあるのですか?》
「あ……! そうです! 以前逆巻重工の人と話したら、俺の機体みたいにコンピュータがついてる月風は殆どないって……」
戦場で自分と同じ系列の機体に会ったことがないからか、ケイはどこか期待混じりに王へ声をかけていくだろう。
- 60龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 12:50:39
「昔つるんでた男が乗ってたんだけど、二足歩行のインベイドにぐしゃっとね…それにドーザーのスパイスで1番安いアーヴィングフレームがその時にロストした月風のデッドコピーだから、ちょっとでも金持ってるデスペラードのスパイスはみんなこれ使うからよく会う事になるわよ。」
ほんの少しだけ顔に影が落ちたが、すぐに上機嫌な顔になった。
「ご飯食べに来たってのに湿っぽくしてごめんねー。あ、そこの男の子は席こっちに移したのよーそうそう、ありがとう。」
ケイの頼んだ料理を運んだ店員を自分の座っているテーブルに運ぶよう伝える。
「ほら、食べながら色々話そっか。」
そう言いながらものすごくスムーズに龍影はケイが注文した料理を取り皿に取っていく。
- 61ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 12:59:51
「そうなんですか……スイ、アーヴィング・フレームについては」
《はい。情報収集を行います。 念の為ケイに伝えますが……スパイスとはデスペラードのワンオフ機群の総称です》
分かっている。と答えるのが精一杯だったのだろう。
その素体に、己の機体の元である月風が使われている……という事実は、ほんの少しだけケイの表情を曇らせた。
その中でもあえて明るく振る舞ってくれる王の、なんと気丈なことだろう。
「ありがとうございます。色々食べながら、話していきましょう」
《ケイの乗る蒼風ならば月風のデッドコピーには劣りません。現在、逆巻重工が開発しているらしきBF 廉月(レンゲツ)はそうした問題への対処の一環と思われます》
取り皿に盛られていく料理に少し心を踊らせながら、ケイは王という女性傭兵に対する人格的評価を大幅に上方修正していった。
- 62龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 13:08:57
- 63ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 13:16:21
「え、義体……?」
《人体を機械……サイバネティック、バイオテック限らず置き換える技術を用いている総称です》
フレッシュミート
《なお、ケイの人体義体化率は0.00%。完全なる生肉とだけ言っておきます》
自分の顎に手を伸ばし撫でてくる王の言葉に疑問を持つが、それはすぐにスイが訂正してくれた。
彼女の声がどこか誇らしげなのは気の所為だろう。たぶん、きっと。
「月風はずっとシミュレータで乗ってきましたから。蒼風も元は月風ですし、あとはシミュレータで3日籠もればすぐです」
王の疑問に対する答えとしては余りにも中身のない力業だったが。ケイにとってはそれが当たり前であり……。
「俺にとって、蒼風は手足も同然ですから」
撫でられた顎を引き、王を見据える目はどこか力強い。
- 64オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/02(水) 13:26:17
人自連所属企業が一つ、“エレクト重鋼”。
東方大陸の中央部。安定陸塊が広がり鉄鉱石を豊富に産出する荒野に拠点を構える軍事企業はBFだけでなく固定型の兵器も数多く揃えた要塞の如き軍事力を誇っていた。
───三週間までは、である。
「オルフェリア・ソロネよりオペレーターへ報告。対大型インベイド防壁に損傷はない。攻城戦の末の陥落ではないだろう────それから、インベイドを人自連勢力圏に素通りさせている」
人自連に対する裏切りとも言える行為を働きながらも、“エレクト重鋼”からK.I社への併合申請は届いていない。
そうなると益々奇妙である。
そして奇妙であるが故に、彼女が派遣されたのだ。
「了解。殲滅する」
旧式試作機“ソロネ”────インベイド侵攻初期に開発・配備された“スカッド・ソルジャー”に複数の強襲型の生体器官を搭載した機体は、しかし改造元からは想像出来ない程の仕様に仕上がっている。
コア粒子を取り込んだ各部の推進機構が火を噴く。瞬間的に超音速に達した機体が規格外大型実体剣を振るった。
要塞内部の管制システムが即応し、機関銃に要塞砲と選り取り見取りの火器が弾幕を浴びせる。遅い。鋼鉄の天使は既に城壁を飛び越えている。
人間には到底不可能な反応速度で、要塞内部のBFが反応する。アズマ工業の“SHINSEI”二機。最新鋭の量産型を渡された屈指の精鋭。
唯二の最新鋭機が“ソロネ”へと照準を構えて、その隙に懐に入ったオルフェリアが一撃でコクピットを貫いて一機目を沈黙させる。
二機目がアサルトライフルの斉射を行うのを、剣で貫いた機体を盾に耐え凌ぐ。そのまま加速。城壁と同型機に圧潰されて二機目も沈黙した。
『サクラ隊長、ルオン副隊長、討ち死に!』
『仇を討て!仇を討て!』 - 65龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 13:28:26
- 66ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 13:39:49
「それは……なんと言いますか……」
《端的に言えば。私とケイの最大、最終目標に共感してくれたのが 人自連に帰属している逆巻重工だからです》
何も知らない少年だからこそ、帰属の判断基準は、スイと同じだった。
《インベイドの殲滅。インベイドの脅威に対する人類の守護。それこそが私の存在意義》
《そして私は、己の存在意義を消滅させるために戦いたい……その思いに、彼が応えてくれた》
電子的な音声に感情などないはずなのだが、その声はどこか……熱っぽい。
《何より、デスペラードであるということは。法に庇護されず、法からも排斥される。無限の孤独を意味します》
《私のように誰からも顧みられない孤独を、ケイに味わってほしくない――――それが理由です》
「……全部スイが言っちゃったけど、そんな感じです。こいつ、数年間ずっと蒼風の中でスリープモードだったみたいで」
きっと孤独すぎて、プログラムがバグったんじゃないかな?なんて冗談で。
「そのまま俺が蒼風を動かしちゃって、後ろ盾もなしに依頼をこなしてるうち、逆巻重工のほうからコンタクトがあったのが理由ですね」
《何より、スパイスの中にはインベイド技術が入っています。金属系インベイドならばともかく、生体系インベイドなど……自爆プログラムを起動させたい代物です》
こんな感じの理由です。とケイは締めくくり。王さんが頼んでくれたおかわりを待ちながら、彼女の容姿をあまり良く見てなかったな……と観察する。
- 67ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 13:40:35
- 68オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/02(水) 13:43:22
(反応が速いな)
『“祝福”よ、我らに力を!』
動揺もせずにアサルトライフルの弾幕が背後全方位から殺到するのを飛翔によって上に逃れる。宙返りの要領で減速せずに綺麗な円を描いて陣形の背後に着地し、機体を縦に切り裂く。
二次元的機動を前提とした陣形の一切は“ソロネ”の前では無意味である。全て殺した。
「コレが原因か」
そして、背後から超高速で忍び寄る無音の必殺者を掴んでいる。
小型に分類されるであろうそのインベイドは、蜂類を想起させるフォルムをしていた。高速での飛行に特化した四枚の翅、そして体長の三分の一を占める極めて細い針─────否。生殖器官。
BFの装甲を貫くのに必要な最小限の威力を有する針の硬度と長さ。適当に四肢を切り裂いた機体のコクピットを強引に掴み出せば何が起きたかは明らかであった。
「寄生蜂型。随分と厭な方向に進化してくれたものだな」
ウネウネと、女性パイロットの脳髄を食い荒らしたハリガネムシのような幼虫が八体。
四肢は既に捕食されており、その代わりに幼虫達が機体の制御に必要な各種機器に配線の如く繋がっている。
恐らくは、パイロットの知識を“再利用”して簡易な構造の幼虫数匹だけで巨大なBFを戦力に取り込んでいるのだろう。
パイロットの指令を幼虫が受け取って人間を超える反応速度で応える様子はある種の共生なのかもしれないが、しかし譫言を呟く姿から察するに健全とは到底言い難い。
“ソロネ”はその二種の“サンプル”を採取してから、再び推進機構を発動させた。
「オルフェリア・ソローネ、帰還する」
K.I社が人自連とデスペラードに対して同じ人類勢力として忠告をするのか、或いは彼らを苦境に陥れる為に情報を隠匿するのか。
命令に従うだけのオルフェリアにとっては、現時点でそれらは考慮に値しない項目であった。
- 69龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 13:58:34
「スパイスの生体組織…確かにアーヴィングフレームの脚部は7割が有機素材。インベイド嫌いの子がそんなの入れたくないって駄々をこねちゃうなら仕方ないわね。」
龍影は昔の男が乗る機体の贋作をいくつも墜としてきた為、その亡霊の1つとして月風乗りの少年も敵として葬り、忘れたいと言う考えがじわじわと滲んできた。
「それに逆巻からのコンタクト…ご指名のコンストラクターだったなんて。ごめんなさいね、変な事聞いちゃって」
思考を無理やり切り替えるために運ばれて間もない料理を取り分ける。
「また質問になっちゃうんだけど貴方はインベイドとの戦闘以外は経験してるの?」
月風は対インベイドに特化しすぎているのを理解している龍影は、今の企業抗争の形をわかっていないであろう少年に確認をした。【人は殺せるのか。】と。
- 70ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 14:00:20
- 71ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 14:10:09
「……」
そんな王の内心など知ることもなく、質問に対してどう答えるべきか、と悩む部分もあったが。
「あります。撃墜したことも」
嘘はつかないことにした。人を殺した感触は、忘れられないものだったが……それでも、殺した。
《インベイド殲滅における障害は可能な限り排除する方針です……最も、ケイは人命を最大限配慮する方法を選びましたが》
「あと、コンストラクターってほど専属じゃあないですよ。あそこが勝手に、こう……予備パーツ作るから使ってくれって……」
《我々は対インベイドならば依頼を拒みません。K.I、デスペラード、人自連。どこからも依頼を受ける覚悟です》
思い出すだけで思わず引くほどの熱量でスポンサードされた経験が、勝手に顔を引き攣らせていた。
- 72ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 14:15:31
- 73龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 14:18:15
- 74龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 14:20:45
- 75ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 14:28:18
「ケイ・サヤギリです。同じく傭兵ですよ」
《独立型戦闘支援コンピュータ SUIです。 スイと呼んでください》
やはりこいつは珍しいみたいだ、とスイの入っている時計型デバイスを少し見て思ったのがケイだ。
王さんがいるなら大丈夫だろう。ケイはミハエルが近づくことを許可した。
《そのとおりです。ケイは高出力ビームサーベルでコックピットを焼き切りました》
「……はい。肝に命じます」
まるで噛み切れないなにかを飲み込むように、杏仁豆腐を口の中に入れて喉を鳴らす。背負うという重みを知る故だろうか。
ケイの少年としてあどけなさと、戦士としての顔。2つの側面は離れすぎず、同居していることがわかる。
- 76ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 14:38:34
- 77ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 14:42:56
- 78龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 14:45:37
- 79ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 15:07:00
- 80ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 15:30:37
- 81ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 15:39:00
- 82龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 15:41:05
- 83龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 15:43:57
- 84ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 15:53:50
- 85ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 15:58:25
「まぁ、そうなっちゃいますよねははは。でも、俺の場合結構切実でして。その……」
《ケイは8歳の頃からBFの戦闘シミュレーターにて、月風での戦闘訓練を続けていました。その影響で、彼の操縦スキルの殆どは月風のマニュアル操縦系統に依存しています》
さらりと、なにか重いことが言われた気もするが。ケイはなんとも思っていないように話をつなぐ。
「おかげで俺、蒼風以外のBFがまともに動かせないんですよ……地上にでて、BFならなんかできるだろ!って思って作業用のに乗ってみたら……俺、バイトしてる14歳の女の子より操縦が下手で……もう自信をなくすところでした」
「おお、すげぇ……」
《SHINONOMEの下半身をタンク脚に換装し、その他多数の改造が施されています。 総合性能ではノーマルのSHINSEIも凌ぐでしょう》
「SHINSEIって言えば、月風の前線引退を決定づけた名機だろ? とんでもないじゃないか!!」
少年にとって、SHINSEIという機体が一つの基準になっていることを如実に示すような言葉が出てくる。
肩に王の手が這われている感触にどこか安心感を覚えながら、写真に見入っているだろう。
- 86二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 16:09:47
このレスは削除されています
- 87龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 16:13:16
- 88ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 16:30:02
「……ブースターユニットがでかいな……」
《いえ、この大きさはチャオレンが全高5.6mなのが影響しているでしょう。蒼風より大きい機体は極めて少数です》
「でも運動性とかも良さそうだよなぁ…… これくらい小さいと、インベイドのビーム砲とかも避けやすそうだ」
写真を交互に見て、素直に感想を言うのは少年らしい美徳なのか。語るのが兵器の性能語りなのを嘆くべきなのか。
「あ、そうだ。俺の蒼風も見せなきゃ!!」
そう言って、ケイは自身の機体映像をスイに頼んで見せる。
一般的な月風とほぼ変わらない見た目の中で、背部から青い推進光を放つ推進機関とウイングユニットが一際目立っている。
ビームライフルは肩に懸架している状態。
腕の小指側側面に固定した無反動滑空砲を構え、膝立ちの狙撃姿勢を取っている姿だ。
- 89二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 16:40:52
このレスは削除されています
- 90ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 16:42:35
- 91龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 16:58:01
「なるほど、ちゃんと帰って来て説明するための機体なのね…大型武器よりも30mm突撃砲でも積んでみたら?アウトサイドの連中がこの前、粒子を使わない旧世代の無煙火薬を使う30mmケースレス弾について話してたし、結構太い供給元がいるみたいよ?価格も無煙火薬なら粒子火薬より安く済むし…」
ミハエルがインベイドを舐めていないことを龍影はわかっているのだが、どうしてもエースを簡単に葬るあの二足歩行が忘れることが出来ない彼女にとっては対インベイド武装の厚さがないウィルヘルムに不安を覚えるのである。
ケイが見せてくれた蒼風の写真を見て思い出してしまったのか、龍影の頬を涙が伝う。
「えっ…あれ?何でだろ…」
涙を拭ってもまだ溢れ出る事に龍影は困惑した。
アーヴィングで見慣れたとはいえ、結局は紛い物である。月風そのものである蒼風は彼女の思い出にいる彼の愛機と重なったのだ。
「ごめんなさい…外の空気吸ってくる…ちょっと席外すね…」
そう言って龍影は店の外に出たのであった。
- 92ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 17:14:45
「航続距離かぁ……あまり考えたことがなかったなぁ」
《蒼風の設計思想上、仕方のないことです》
やはり他の人のBFを見ると、自分には思いつかない思考が介在する。
これはとても有意義なことだ、とケイには思えていた。
「……? 王さん?」
《おそらくかつて僚機だったというパイロットの月風と、ケイの蒼風を重ねたのだと思います》
丁寧にミハイルにアドバイスを重ねていた彼女が店の外へと出ていってしまったのを見やり、戸惑うケイに対して説明を重ねるスイ。
《ケイにも触れてほしくない部分があるように、彼女にもその部分があったということです。ケイがカウンセリングをしても、効果は少ない可能性が高いでしょうね。クソボケなので》
戦闘を支援するプログラムが生活を支援している光景はとても……ユニークだ。
- 93ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 17:18:01
- 94ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 17:31:09
「ミハエルさん、すみません。俺ちょっと王さん追いかけてきます」
がたっ、と椅子から立ち上がり。ひと声かけてから王の行った先に追いかけることを決断するケイ。
「あと、悩むときはシミュレーターで試運転してからのほうが良いですよ!!」
と言い残して、店の外に走り出していく。
- 95ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 17:47:15
「タンク部分を大型化すれば……いやそれだと本末転倒に……ならスパイクシールドの代わりに強力な近接武装で正面から……!」
【ある程度頭の中で出来上がった機体像を2人と共有しようと意識を戻すがテーブルには自分1人、傍には伝票と料理を持って困惑しているウェイトレスが立ち尽くすのみだ】
「あーなるほど、なんとなく予想はつくな」
【先程までの話題と王の話していた過去、立ち去った2人、それらを繋げばなんとなくだが状況は見えて来た、ウェイトレスのポケットに代金を入れて料理を受け取ると食事を始める】
「まあ俺よりかは君の方が適任だろうな、ケイ君、頑張れよ」 - 96ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 17:59:30
- 97龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 18:07:22
- 98ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 18:12:09
- 99龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 18:48:37
- 100ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 18:54:32
- 101龍影◆9BZ6kXGcio25/04/02(水) 19:05:49
- 102ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/02(水) 19:12:51
- 103オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/02(水) 19:44:12
「“エレクト重鋼”が新型種の餌食になった、か」
「肯定します。暫定名称、寄生蜂級の手によって既に人類勢力としては壊滅している状態と呼んで差し支えない状況に陥っていました」
【K.I社が管理するコア鉱石の採掘施設。その一つにして“エレクト重鋼”の要塞拠点と最も近くに接していた高原採掘場の一室にて、二人の影が言葉を交わしていた】
【片や施設の最高責任者。片や派遣された腕利きのパイロット。身分こそ異なるが、しかしこの場では凡そ対等に意見を交換する立場であった】
「オルフェリア卿。貴公の目から見て、此度の新種は戦略的に対策を施すべき種か?」
「…………さあ?」
【オルフェリアは、特段の興味もなさそうな無表情で首を傾げた。実際、彼女の興味関心は此度の案件にも注がれていなかった】
「私には対応出来ましたが、新兵には辛いのでは?亜音速での不意打ちに対応出来なければ機体諸共敵に吸収される恐れがありますので」
「敵に回るまでの期間と、治療の可能性については?」
「本社の研究室にに“サンプル”を回していますので今後研究の結果が出るかと。少なくとも三週間以下だとは思いますが」
「…………人自連に塩を送るか、それとも力を削ぎ落とすのに使うか。私の一存では決定出来ない案件だ、本社の判断を待とう」
「了解しました。それでは自室に戻らせて頂きますね」
【異論を挟む事もなく、オルフェリアは執務室から踵を返して退出していった────】 - 104ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/02(水) 19:44:24
- 105オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/02(水) 19:53:15
【銃声が連続した。金属破片が鋭く人体の重要器官を破壊して、弾けた血潮が水音を奏でる】
「あぁ、失礼。今、本社から指示が下りまして」
【腰のベルトから抜いた拳銃を仕舞いながら、感情の読めない美貌のまま頬に付いた鮮血を拭う】
「“多少ならば意図的に人自連に情報を流すのも見逃すが、今回は漏れる訳には行かない”だそうで。申し訳ありません。直ぐに次の最高責任者が赴任しますので御安心を」
【今度こそ踵を返しながら、オルフェリアは今後の展望に思索を巡らせた】
(…………夕食はハンバーグにしようかな)
- 106ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 01:10:53疑わない少年(ケイと王龍影)R-18(G)パート
⚠️注意事項⚠️
・ベッドシーン(または過激なゴアシーン)が苦手な方は閲覧しないでください!
・本文章はエロ(グロ)を多分に含み、場合によってはキャラ崩壊が起きます。
・行為のシーンは必ずしも閲覧者の望み通りに行かない場合があります。
龍影◆9BZ6kXGcio:
心地よい夜風を感じながら龍影は今日初めてあった少年を抱え自宅に向かう。
龍影は少年を抱えたまま、とうとう自宅につく。家の扉を開け中に入り、少年をそこで下ろした。
「少し待っててね。」龍影はそういうと奥の部屋へ消えていった。
ケイ◆ECPjTIh3Iw:
「は、はい……」 初めてあったばかりの、見知らぬ女性の自宅……というものに。ケイはえも知れぬ緊張を抱いていた。
そもそも、なぜ抱きかかえられたのか。なぜこの形になったのか……ぐるぐると頭の中で思考が周り。
つい助けを求めようと時計型端末に視線をやると。
普段は緑の蛍光色に輝いているそれが真っ暗になっている。
「……あいつ! 蒼風の方にいきやがった!!」
それはSUI……
スイとケイが呼ぶ戦闘支援コンピュータが、BFの中に自身を転送している証だった。
つまるところ完全な二人きり。 …00m.in(テレグラフのものはRP相手の許可を得て貼り付けています。内容はR-18作品ですので、苦手な人は決して開かないようお願いします)
王龍影を追いかけた夜の、その翌日の朝から少し。
ちょっとした料理にも舌鼓を打つ少年は、昨日の騒動の発端となった居酒屋で時間を楽しんでいた。
《……昨日はお楽しみだったようですね》
「うん、まぁ、そうだな」
どことなく咎めているようなスイの電子音声に、ケイは事も無げに答えていた。
何かをやりきったような。けどどこかやり残しを持っているような、少しもの思いにふけっているような顔と声色で。
若干の飲み残しがある手持ちのミネラルウォーターを勿体なさそうに飲んでいた。
《次からは、気をつけてください。クソボケ》
「そうだな……」
二度目の返事は、どこかおざなりで。
「次は、ちゃんと唇狙うよ」
《――――理解、不能です》
ケイと皆に呼ばれる少年は、変わっていないようで、どこか少し。変わっているようだった。
世界に、己を合わせるような。あるいはその逆をしているような……そんな変わり方をしていた。
スイは、自分が目を離している隙に何があったのか。問い詰めたかったが……離れていたのは自分なのだから。問い詰めることもできなかった。
- 107シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 08:17:54
『本作戦は近日行われる、大規模インベイド掃討作戦に先んじ、それを妨害してくるデスペラード、「サイファーカルト」の戦力減衰を目的とすた教団関連施設の制圧だ。しかし、あの連中は施設防衛のBFにすらデスペラード内では高級機扱いのスパイス、アーヴィングを使用している。やつの敏捷性は君たちキルケーも理解しているだろうが、起動前に破壊、起動後も奴らの索敵外からの狙撃を持って破壊する。まぁいつも通りの内容だな。期待しているよ。キルケーの諸君。』
上官とはいえ男の気色が悪い舐め回す様な視線を向けられたシャロンはブリーフィングの内容を「見敵必殺」の4文字にまとめ、部隊員に改めて伝えた。
「今回は訳の分からない連中のアーヴィング(月光)の全機完全破壊が任務。そして貴女達ワルキューレ(強化外装装備の通常歩兵。対人部隊)には逃げ出してくるであろう武装した信仰者たちの掃討をお願い。…っ…はぁ…ごめんなさいね?こんな役ばかりさせてしまって。」
シャロンは凛と話していたが彼女らワルキューレの仕事を説明した後、すまなそうな顔をした。
[問題ありません!我々ワルキューレはキルケーの負担を減らす為にいますので!]
ワルキューレの部隊長はしっかりと、落ち着いて、確かな声量でシャロンへ伝えた。
「ありがとう…仕事は見敵必殺よ。各員、出撃用意!」
格納庫の金属製合板の床を加圧服の靴で蹴り、軽快な音を鳴らす。 - 108シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 08:47:17
コックピットに入りシャロンは愛機、スマトロン・リップに自身のインプラントケーブルを接続させる。
《SYSTEM CHECK……ALLGREEN.》
イラッとする男の電子音声で報告を受けたあと、座席の後ろにあるマシンのファンが回る。
「スマトロン・リップ、スタンディング。」
ハンガーラッチに架かっているジュリエットを掴み、背中のサブアームに取り付ける。
『シャロンさん、アーヴィングにソニックナイフだけでは分が悪いので57の装備、お願いします。』
と部隊員に言われたのを思い出し、57mm自動拳銃「パラディン」を左太腿のジョイントにつけたホルスターにしまう。
他キルケー達も準備が出来たようだ。
〈全機輸送機への格納良し!出せ!〉
キルケーのDPS(兵員輸送機)は飛び立った。
作戦というものは実行がとても簡単だ。
DPS側面の扉を開け、57mmのPDWを下方の施設、アーヴィングに撃つ。あらかた片付いた為、ラペリングで降下、残敵掃討へ移る。ワルキューレ達もとても人間とは思えない跳躍でバリケードを乗り越え、隠れている信仰者を撃つ。のそのそと格納庫から出てきた最後のアーヴィングをシャロンはパラディンを抜き、撃つ。
砲弾が装甲を抜いた音を立てた後、アーヴィングが崩れる。
目視で敵は見えなかった。シャロンはすぐさまラプターでスキャンをかける。
〈残敵無し…10時!機影1!BFの所属照会無し!Enemy!〉
シャロンはジュリエットを装備し、不明機に向け放った。
- 109ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 09:06:36
アラートとほぼ同時に弾頭が着弾した。
「███--」
獣は粒子の吸収を行えず、苦悶の声…のようなものをあげる。
「まさか…実包?!コーポの癖にぃ…!」
男は無煙火薬弾頭を企業のBFが使用していることに驚愕した。
《WARNING》
システムメッセージが表示されると着弾箇所にレッドスコアを確認した。それは推進器を掴む腕の関節であった。
獣はバランスを崩し、高度を落とす。地面におりてすぐに遮蔽物に隠れ、ログの着弾地点から敵の位置を割り出した。男は驚愕する。
「18km?!さっき救難を出していたサテライトから抜いたのか?!まぐれなんかじゃない…本物かよ…!」
どこが嬉しそうだ。
「サーフマニューバで肉薄…デコイは使えないと見て良さそうだな…良いだろう…」
そう言って男は推進器を使い、地面を這い滑るように移動を再開した。
- 110シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 09:33:31
「ヒット。目標は健在…ちっ…遮蔽に隠れた。待機する。」
スマトロン・リップは膝をつき、機体左側を頑丈な礼拝堂に預け、狙撃姿勢を取る。
ライフルコントローラーを構え、狙う。
滑るように遮蔽物から出てきた不明機を高解像度で見る。
禍々しい濃い緑の装甲、薄桃色をした関節部。私を忌々しい義体にした獣だった。
「くたばれクソがァ!」
発砲。
弾は獣に吸い込まれて行ったが突然、獣の像がズレた。
いや、シャロンの視界左側にブースト移動したのだ。
スコープを覗いていたシャロンは、左側に消えた獣を追いかけ、コントローラーを構え直すのにかかった時間はほんの2秒。一般的なBF相手なら問題はない。しかし、狩猟においてその2秒は致命的であった
「しまっ…ーー」
獣は爆発のようなロケットエンジンの音を鳴らし近づく。
シャロンはすぐさまライフルコントローラーをしまい、腰のソニックナイフを抜き放つ。
[隊長!]
キルケーの1人がその獣を感知して57mmPDWを構え、撃つ。
歯切れの良い連続した発砲音を奏でるも獣は推進器をラムジェットに切替え、はね回る。
「マズっ…」
シャロンが指示を出す前に
そのキルケーは30mmの射程に入ったのか、掃射を受け一瞬で置物になる。蜂の巣になったコックピットブロック弾痕からは血と油圧部品から漏れ出た油の混合液が流れ出る。
- 111ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 10:00:48
- 112シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 10:33:23
- 113ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 10:56:26
ブチブチと肉々しい、ナマモノな音が聞こえる。
背部の腕が引きちぎられた。レッドスコアが表示された為獣は跳躍し距離を取りながら振り返る。
「嘘だろ?!9機目?!一体どこにいたんだ!」
そこには返り血で紅い斑模様のペイントが入ったスレイガンがミチミチと脈打つ腕を2本握っていた。
「墜ちろよぉ!」
男は30mmをそのスレイガンに向けて掃射する。途端視界が何故かズレ、弾は当たらない。
両膝関節にレッドスコアが表示される。周りにいるソルジャーのカスタムが持っている実包弾で撃たれたのだろう。フリクタルが息をしていない。
「お前ら揃いもそろって実包かよ!くそぉ!状況悪化の為に離脱する!RTB!」
現状打破は不可能と判断し男はロケットエンジンを点火し空へ飛ぶ。
- 114シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 11:31:32
白煙と轟音を撒き散らし離脱する獣はすぐに射程外に行った。
〈…状況終了。被害報告…〉
[キルケー2より、キルケーリーダーへ。うちのラムダが…機体は完全破壊。パイロットは…ブラボーへ…ラムダを見るな…]
蜂の巣になり膝から崩れ落ちているソルジャーカスタム、「ニュクス」のラムダ機は完全に沈黙している。
[隊長!ラムダが!ラムダがぁ!]
ブラボーと呼ばれた女性パイロットは転げ落ちるように「ニュクス」のコックピットブロックから降りて、ラムダ機へ向かう。
[キルケー3よりブラボー!命令だ止まれ!]
自分の小隊長の静止を無視し走る。
外部コンソールを触りコックピットハッチを開ける。中には燻銀色の金属片とピンク色の肉、紅い鮮血が紺色のボロボロな座席に張り付いて、「だったもの」が零れる。
[あっあっあぁぁぁぁ!]
ブラボーは顔を覆い、泣き崩れる。
〈ブラボー…済まない…〉
その姿を見てシャロンは謝ることしか出来なかった。
[こちらワルキューレ、被害はない。だが、妊婦も銃を向けてきたせいで1人吐いてる。]
ワルキューレからも報告を受ける。精神的負担が高い任務だった様だ。
〈キルケー1、把握した。〉
シャロンは被害を把握した為、信号弾を撃つ。
信号弾を確認したDPSが迎えに来る。
向けられた照明はスマトロン・リップとニュクスを白く照らした。
ーENDー
- 115オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 12:17:18
【ツ────と、細い刃が肉を切り分ける。ナイフが滑るようにハンバーグを切断し、フォークが切断された肉の片割れを突き刺して口元に運ぶ】
【筋が硬い。噛んでも噛んでも噛み切れない。素材が痩せている。肉汁の一滴も溢れてこない。自然の産物ではない。プラスチックを噛むような味ばかりが広がる】
「合成食料か。成程、この採掘場も随分と切迫した状況のようだ」
【ハッ、と鼻を鳴らして軍用保存食を巧妙に旨そうなハンバーグに偽装する嫌がらせを行ったシェフが嘲りの色を浮かべた】
「“コロニー”生まれのお嬢様、エースパイロット様はコレがお気に召さなかったか?俺達とは舌の造りが違って事かよ」
「安全に栄養を補給出来るのなら虫も肉も別に変わらないと認識しているが」
「…………何言ってんだ、テメェ」
「私はメンタル由来の不調とは無縁だ。味は評価の対象にはならん」
【改めて今日のタスクを整理する。次の最高責任者が赴任するまでこの採掘場を防衛する事。現時点でレーダーに他勢力の反応は現れていない】
【さっさと合成食料を平らげてから、オルフェリアは両手を膝に乗せて背筋を正しながら沈黙した───暇、なんて概念は認識しているかも怪しい。命令に従って待機するという単一の行為を何時間も何日も連続して続けられる】
【鋼鉄の天使は異論を挟まず、疑問を覚えず、躊躇を持たず、全ての命令を実行するのみだ】 - 116レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 13:01:35
「────────────組織が肥大化すれば、末端までは管理が行き届かなくなる、いつの世も理は変わらん」
【カタン、と、音を立てて彼女と向かい合った席が揺れ動く】
【ステンレスのプレートには、パサパサとした身質に火を通しただけの焼き魚、長期保存の効く固いパンと、ドギツい蛍光色の栄養飲料が入った瓶飲料と……彼自身が持ち込んだのであろうミネラルウォーターのボトルを乗せて、レイナード・ハルト少佐は如何にも神経質な声色と共に着席した】
【本部から遠く離れた、ここは彼の任地ではない筈だが】
「長期任務ご苦労だな、オルフェリア、調子はどうだ……と言ってもどうせ貴様は角ばった返答しかせんのだろうが。
外は砂埃が酷くて敵わん、まともな防塵設備も無い」
【パンを噛み千切ればボロボロと屑が落ちる、苛立った仕草でそれらをフォークで拾い集めながら、突けばすぐに身が崩れてしまう白身の魚を器用に掬い取って口へと運ぶ】
【……途端に眉間に皺が寄った、塩気が全くと言って良い程効いていない、中まで火を通すことにだけ注力されて表面は焦げの臭いがキツく、その上臭み消しの処理もされていないから只管に生臭いと来た】
「……チッ、その上この食事だ、食えば食う程精神的健康を害するばかり……!
こんなことで兵士のモチベーションが保てるか、命を懸けるに値せん、いい加減にしろ……ッ!」
- 117オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 13:21:46
「ご挨拶申し上げます、レイナード・ハルト少佐。私は平常通りのバイタル値を保っていますが」
【眼前の席に座った、上官と呼べるであろう立場の人間を前にして些かの身動ぎもせずにオルフェリアは答えた】
【彼女自身は生存に必要最低限の行為を実行出来るのならば味は問わないが、同時に自身の素質が一般的には得難いのだろうとも理解している】
「………あぁ、魚ですか。最寄りの港が陥落したので遠方から取り寄せるしかなく、塩を使うのも勿体ないので運んだ後に寄生虫や腐敗を殺す為に中まで火を通すのだとか
部分的には精鋭の活躍で押し返せても、総合的には東方大陸戦線は後退を余儀なくされています」
【港を陥落させた新型の大型インベイドを排除したのもオルフェリアだ。河川を通じて内地まで浸透を果たす小型種は侵攻初期にも確認されたが、今度の個体は海底から港の真下まで掘り進んでいた】
【未知の進化を遂げるインベイドと、人類の技術の進歩。その熾烈なる競争は少なくとも東方大陸ではインベイドがリードしているようだった】
「────それで、何か新しい命令でしょうか?」
- 118シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 14:55:51
回収に来たDPSに詰め込めるか確認する。
【申し訳ない、シャロンさん。ウチらのじゃラムダ機は回収出来ないよ。】
キルケーで運用しているDPSはBFが"立って"乗る事を前提にしている設定のため、自立が出来ない機体は載せることが出来ない。
[そんな!私は…私はラムダを置いていけない!わかった、私は基地まで行軍する。そうすればラムダが乗れる場所が]
ブラボーが言い終わる前にワルキューレの1人がミダゾラムを投薬し鎮静化する。
〈ワルキューレの方にブラボーを乗せてくれ。機体はこちらで回収する。手間をかけるな。〉
[問題ありませんよシャロン。これも仕事ですから。]
ブラボーを抱きかかえてワルキューレはDPSに乗る。
〈キルケー1よりブラボー。オートスタンディング。RTB〉
無人となったブラボー機に指示を出す。
[copy]
女性の電子音声が答え、ニュクスは立ち上がりDPSに向かう。乗ったのを確認してからシャロンは、
〈…キルケー1より各員へ。ラムダ機の回収は不可能。機体内の残存粒子による焼却を行う。タイミングはテイクオフ4秒。〉
重々しく連絡をする。皆は無言で頷く。
〈"全機"格納よし!出せ!〉
DPSが飛び立つ。
しばらくすると青白い光が後方から抜けてきた。
殆どの者は泣くのを堪える。
- 119オープン回線◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 15:01:08
『………………ジ、ズ…………ジッ……………』
『現在、オープン回線を通じて諸君に連絡をさせて頂いている。我々K.I社“東方大陸”司令部は緊急招集を行いたい』
『場所はK.I社の『G-3コロニー』だ。一個機甲師団が突如として全て消滅した。到底看過出来ない緊急事態だ』
『偵察兵によれば防衛設備は“何故か”無傷のまま、しかし都市内部にはインベイドが氾濫している状況である。我々としても一刻も早く真相を突き止め、事態を収拾させたい』
『報酬は弾もう。金だけではない。我々K.I社の生産する量産機の“正規部品”も正当な報酬として諸君に譲渡すると約束しよう』
『集合地点は『G-3コロニー』最外縁部。作戦開始は本日18:00からを予定している─────諸君の参戦と奮戦を期待する』 - 120レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 15:18:26
【薬品臭い栄養飲料は質の悪い食事の味を誤魔化すにはかえって逆効果だった、しかめっ面でミネラルウォーターの蓋を回しながら】
【機械的なオルフェリアの返答には、呆れた様な視線を一瞥で返す】
【優秀な兵士であることには違いない、命令には忠実で、BF運用の手腕も確か、だがそうしたコミュニケーション能力の欠如はいざという時に他者との致命的な齟齬を生みかねない】
「……貴様はもう少し、言葉の裏にある情緒を読み取れる様にならなければいかんな。
休日には何をしている、戦前の映像作品や、文学などを読むのも良いだろう……息抜きになるぞ」
【少なくとも、今日は何か命令を下す為に訪れた訳では無いのだ、個人的に彼女の様子を見に来ただけ】
【案の定あまり人間関係を上手くやり込めているとは言えない様で、最も、それは彼女ばかりに責任がある訳でもなさそうだが】
「いや、命令ではない、命令ではないが少し報告することはあるな、オルフェリア、貴様を────────────」
【────────鳴り響く緊急放送が、言葉を遮る、未だ半分ほどが残されている食事のプレートを置き、レイナードは無言のまま立ち上がった】
【厄運だ、常備していた胃薬の錠剤を口へと放り込み、水で飲み下しながらつかつかと食堂の外へと】
「────────────貴様と“ソロネ”をな、軍の広告塔として祭り上げようという動きが一部である。
華々しい戦果を軍の成果として喧伝したいそうだ、有り体に言えばプロパガンダだな」
- 121ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 15:32:35
「主よ…私の身体をお使い下さい…」
男はハリガネムシのような生物を飲み込んだ。
「では、参りましょう」
新しい鎧(NEXT)を身にまとい、男はG-3へ向かう。
途中、天の遣いを見かけたが敵意が向けられる事は1度もなかった。
これも主の導きなのだろう。
大地の浄化は近い。 - 122オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 15:40:08
「………息抜き、ですか。ピアノなどは嗜んでおりますが、詰まる息もないので息抜きと言えるかは微妙かと」
【B系列の“コロニー”────つまりは上流階級に生まれた身として、お嬢様と言っても差し支えないだけの教養は身に付けている】
【実際、そういった習い事はBFの操縦において指先の動作や並列思考といった面で大きな助けとなっていた】
【────異形の精神だ。オルフェリア・ソローネという人間は生まれつき自律精神が欠如していて、それ故に精神的疲労とは全く無縁の人生を過ごしていたから】
「少佐は、私に広告塔になって欲しくないので?軍の士気が上がれば人類の勝利とインベイドの掃討にも近付くとは思いますが」
- 123◆Fd5AlHEdkk25/04/03(木) 16:01:49
【A-1コロニー クロノス・インダストリー本社ビル内 食堂】
「……」
「それで、上から要請された無縁炸薬弾の件ですが、やはり粒子未使用となると……Dr.?」
【香辛料をふんだんに効かせた合挽肉を新鮮な千切りキャベツやトマトと合え、サッパリとした二種のソースで味つけされたタコスをいつものように咀嚼しながら、生真面目な部下の言葉に耳を傾けていたエイダンは、突如感じた内ポケットの震えに眉を顰めた】
【震えの原因である携帯 (何とガラケー型) の蓋を開き、表示されたメッセージの表題に、内心で深いため息をついて立ち上がる】
「残念ながら、僕の昼休憩はここまでみたいだ。後は君たちで詰めてくれる?」
「!わかりました。どの滑走路を開けさせますか?」
「Gコース。できるだけ急がせて」
「了解しました」
【先に席を立った部下を横目に、一口分だけ残ったタコスをボトルの緑茶で流し込み、いつもより早足で食堂を後にする】
(この忙しい時になんて間の悪い。どこから蟲を入れたか知らないけど、僕の食事を乱しんだ。思いっきり燃やさせてもらわなきゃ気が済まないね)
【口の端についた生地の欠片を拭い取りながら、いつも身に纏っている軽薄な雰囲気を真剣なモノに変えて、愛機が待つドックへと急いだ】
- 124龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 16:25:27
「え?インベイド掃討?G-3の?私はパスかな…チャオレンだと連続稼働短いしさ。」
龍影はヒラヒラと手を振る
「例の少年、参加するみたいだぞ。」
整備長はわざと聞こえるように言った。
「ウーヤァを外して増槽に変更!それと近接装備。実体剣の方!アクスでもいい!出して!チャオレンに持たせる!」
龍影はすぐに指示を飛ばした。
「恋だな…ありゃ。」
整備長は呟いた。
「ですねぇ…あの1回で落とした少年は逸材ッスよ…」
隣の整備員もつぶやく。 - 125レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 16:26:22
・・・・
「貴様はなりたいのか」
【すっかり凝り固まった皺の寄った、苦労性の現れる男の顔つき】
【美しく整っていて、それでも何の情緒も湛えていないオルフェリアとはまるで反対にいる、それはどこまで行っても人間的な感情だった】
「仮にそれでインベイドを掃滅せしめたとして、貴様はその後どうする、一生軍部で過ごすつもりか。
……これまで以上の激務になるぞ、ピアノを弾く暇も無いくらいに」
【深く溜息を吐いて、手元の通信端末を操作する、近隣の基地から動ける者を掻き集めてG-3への救援とするのだ】
「部隊を動かす、俺はG-3に向かう、その責務があるからな。
貴様は好きにすれば良い、この基地を守る者も必要だろう、インベイドの動きが陽動ではないとも言い切れんしな」
- 126ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 16:26:53
(人自連都市 蒼風用個人格納庫)
《S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C》
《I accept your lament Computer Program.》
《人類の大規模救援要請をキャッチしました》
《人類は助けを求めています。》
《S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C。 S.C.S.S.C》
《私は人の嘆きを受け取り、己の存在意義を消滅させるべく戦うことを願うプログラム》
《インベイドが大規模侵攻を開始しました》
《ケイ・サヤギリ。準備はよろしいですか?》
「ああ、大丈夫だ」
機能的な、そして無機質なコックピットの中で、黒青い瞳が開く。
視線は凪ぎのまま、鮮やかに計器を操作している。
- 127ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 16:28:48
《人自連からの緊急依頼は現在発行されていません。ですが。》
《ですが、私は貴方に本侵攻の迎撃を要請します》
スイの要請に、ケイの答えは決まっていた。
「その答えはYESだ。スイ」
《では行きましょう。 一人と一機で。舞踏を初めましょう。死神を踊り落とす、愚者の舞踏を》
スイの電子音声は高揚しているように、謳うように言葉を紡ぐ。
インベイドは死神の軍勢だ。死神と踊ることは、愚者の行いに等しい。
―――だからこそ、誰かが踊りきり。死神を棺桶に叩き込み続けるべきなのだと。ケイは決めていた。
(格納庫が開き、蒼風はコア推進機関を全開にして、突如としてG-3コロニーへ向かい飛翔する)
(人自連が緊急で依頼を発行する場合、スイは気を利かせて即座にこちらも受けるだろうが……K.Iの依頼を、飛翔しながら受諾もしていた)
- 128オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 16:48:01
「────────ふむ、」
【去ってゆく背中を見詰めながら、オルフェリアは首を傾げた】
「もしも貴方が私にそう命令するのなら、実行するのも構わないのですが」
【命令に応えて任務を執行する機械仕掛けの天使も、求められるがままの偶像の英雄も、オルフェリアにとっては変わらない】
【極彩色のグミめいた携帯食を一粒口に放り込む。薬品が急速に脳を覚醒させて、オルフェリアは立ち上がった】
「同行します。死に急ぐ新兵が嫌いなのでしょう?レイナード少佐。貴方の胃痛の種を減らして差し上げますよ」
- 129逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 17:08:44
(人自連某都市 逆巻重工本社)
「さーて皆。今私たちがすべきことはなにか、分かっているよね?」
金髪を獅子のようにたらし、揺らし。その目を爛々に輝かせながら。
齢20になるかという女性が映像ボードを叩き、会議室にいる重役たちに視線を送る。
誰もがその目を輝かせていた。 誰もが、『やるならやらねば、誰もがやらぬなら我がやる!』と叫びたくなるのを抑えるような口元だった。
「私達逆巻重工は、全傭兵たちに対して。人自連を通してG-3コロニー防衛への緊急参加依頼を発行する」
「もし人自連が却下するなら、私達、逆巻重工が独自で依頼を出す」
その豊満な胸を張り。我に一切の瑕疵なしと言わんばかりの声だった。
誰かが。その首を大きく縦に振った。 いや、全員がそうした。
「報酬は達成時に金、飯。そして前払いで私達の誇る月風のパーツと、装備」
それじゃ足りないだろ!! と誰かが叫んだ。
「――――じゃあ、人類を守ったという名誉を追加で」
誇りは人を奮い立たせる。恐怖に立ち向かう礎になる。 と誰かが頷いた。
「人類の盾を守るのが私達だ。さぁ、仕事を始めようじゃないか!!」
全員が、やってやろうじゃないか!と叫んだ。
――――俺達は、名もなき英雄たちに守られた子どもだったのだから!!
(逆巻重工が自社を挙げて支援活動を開始しました) - 130ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/03(木) 17:12:23
「輸送機への固定完了。」
修復の終わったサンライズはG-3へ向かう大型輸送機へ乗り込んだ。
粒子炸裂弾は他のBFが参加することを考慮し見送った。そのおかげで継戦時間の延長に繋がったから多めにみよう…
「相乗り失礼。」
チャオレン…?翼がない…
「あぁ、長時間の活動するには外すしか無かったの。」
王はそういうと、機体は床の固定装置を踏む。
「固定完了。」
他に乗る機体が居ないことを確認し、輸送機はゆっくりとハッチをしめる。 - 131マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 17:15:17
「─────“正規品”の譲渡とは、随分と大盤振る舞いじゃないですか。本社から睨まれますぜ、司令長官殿」
「非常時と平時との区別も付かない無智が伏魔殿で生き延びられるものか。残念な事にウチの上層部は性根は産業廃棄物よりも有害だが優秀である事には間違いない。必要経費で落ちるだろう────貴様を呼んだのは、こんな下らない世間話の為ではないぞ。マキシマ准将」
「へいへい。にしても“先払い”ならコッチの本気度も伝わる、良い采配ですな」
【報酬を“成功後払い”にする事で任務中に死ぬようなパイロットに払う報酬を切り詰め、腕利きのパイロットとコネクションを繋ぐ】
【K.I社の常套手段として悪名高いシステムだったが、今回の緊急招集には適応されていない】
「にしても“クリーミャの悪魔”が報告すら出来ずに戦死とはねェ…………北方戦線から戦い抜いた猛者がこんなにアッサリ死ぬなんて、長官殿は予想出来ましたかな?」
「旧西方列強連合領と東方大陸、それから植民大陸を繋ぐ交通の要衝を確実に守る為に派遣した将軍が彼だった。可能性の想定はしていたが今日そうなるとは予想していなかったよ……………本題に戻ろうか」
「報酬の受け渡しについてですな。集合予定地点を物資集積所として既に周辺の無事な“コロニー”からの“徴収”をしてるんでしょう?」
「そうだ。お前にはその物質集積地の警護と報酬の受け渡しの監視をして欲しい────侵略者を崇拝するイカれた連中への対策と、非常時と平時の区別すら付かん無智な社員への対策だ」
「この期に及んで物資の出し渋りをする大馬鹿共を黙らせろって事ですかい。任せて下さいよ、あの人の敵討ちは必ず遂行させます」 - 132ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 17:29:34
〔あぁ!素晴らしい!まさに大地の浄化だ!〕
男は無邪気な子供のようにG-3を見た。
大地を埋め尽くすインベイドの"波"がそこにあった。大小様々なインベイドが折り重なり、蠢いている。
:俺はここで向かい撃てばいい!
:全ては主(母星)の為に!
男の思考はもう人のソレであるのか不安になるほど崩れていた。 - 133マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 17:39:01
【『G-3コロニー』最外縁部】
【“コロニー”を囲う様に幾重にも用意された対インベイド防壁は“コロニー”の市民達の“自発的献身”によって常に完璧な状態を維持していた。それは都市が陥落した後であっても変わっていない】
【そして幾重にも築き上げられた防壁の外側からであっても、『G-3コロニー』に聳える巨大な“塔”の威容は明らかであった─────約333m。全てがコア粒子砲の砲身。超巨大建造物-メガストラクチャー-の名に相応しい最新鋭の巨大兵器】
【そんな都市防衛砲すら沈黙していた。都市防衛砲自体が一個の独立した防衛拠点として振る舞える様な構造であったが、通信を行っても応答は無い】
【K.I社の最新鋭量産機“スレイガン”のカスタム機に乗った一人のパイロットが、そんな風景を見渡せる集合予定地点でパイロット達を待っていた】
「参戦予定の者はコッチに来い!ウチの“正規品”を味わえば二度と“非正規品”じゃ満足出来なくなるだろうがな!」
【マキシマ陸軍准将だ】 - 134ライ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 17:53:43
その参戦予定陣地の端っこに、一機のBFが轟音を立てて落ちた……いや、着地した。
コア粒子推進機関の特有の青白い光を走らせながら落下する直前に減速したのだ。
《Cv-k7改『蒼風』と独立型戦闘支援コンピュータ『SUI』です。マキシマ准将、参戦を要請します》
「スイ!! ……えー、ケイ・サヤギリです。 依頼を受けてきました。今から降りてそちらに向かいます」
いつものように、スイをたしなめる若い声。そのうえ急いで通信相手を変える。
「ところで、コア粒子を補給する場所ってどこにあるかわかりますか? 全速力で飛んだので、もう粒子がすっからかんで」
補給担当の周波数を見つけて、聞いたのか。そのまま指示に従ったようだ。
蒼風は本当にあの悪名高きほぼマニュアル機なのか疑わしい滑らかさで歩行し、補給場所に駐機した。
ワイヤーと足掛けを使う方式のタラップを使って降りたケイはいつものように、そのままマキシマ准将の下へと歩いていく。
- 135シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 17:58:52
[キルケー1、出撃です。G-3復旧の為に付近のコロニーから"援助を求める"との事。]
部屋でワルキューレの1人と行為を終え、ピロートークを楽しんでいた時にクソッタレな上司からの伝達を受ける。
「了解。ほら、貴女も起きて。出るわよ。」
そう言って余韻を感じさせる事無くベッドから起き上がったシャロンは何も羽織らずにそのままパイロットロッカーへ向かう。ここの施設には男が誰もいないからだ。義体であれど2つの果実は大きく、歩く度に揺れる。
[キルケー1、面倒だからと何も着ないのは]
目のやり場に困ったのか一言いう。
「チェリー、貴女は部屋にいる子を起こしてちょうだい。」
答えずに指示を出す。
[…わかりました。キルケー1、次回からやめてくださいよ?]
シャロンは手を振ってロッカーへ入っていった。
戦闘体へ換装した彼女はすぐに格納庫へ向かう。
既に格納庫は出撃へ向けセットアップを行っていた。
[シャロン、また隊員と遊んでたわね?]
ワルキューレの部隊長から小言を言われる。
「終わって帰ってきたら相手してあげるわ。」
シャロンは彼女のうなじをなぞる。
[…!と、とにかく。いつも通りに行きましょう。]
部隊長は顔を赤らめるも直ぐに普段の顔になった。
キルケーは皆DPSに乗りコロニーへ向かう。インベイド討伐ではなく、"平和的交渉"をしに。
- 136ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 17:59:03
- 137マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 18:04:59
- 138龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 18:09:50
- 139ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/03(木) 18:12:47
【コンテナに大量の物資を満載したウィルヘルミナがG3コロニーへの道を走る】
「足回りを改善して正解だったな、速度も前より出るし安定してる」
【先程轟音を響かせて頭上を飛んでいった輸送機は人自連の機体だろうか、向かう方角は同じだ】
「あの機種はBFを乗せられるタイプか、相乗りしてれば……飛び立たないか」
【目的地まではまだ距離がある、自動操縦をセットしてシートを倒す、目が覚めた頃には作戦が始まっているだろう】 - 140マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 18:17:05
「ええい!聞こえているぞ、“金龍”!最新鋭量産機たる“スレイガン”のセンサーを舐めるな!」
【“スレイガン”に乗りながら、マキシム准将は額に青筋を浮かべながら怒鳴った】
「コレでも師を慕う気持ちはある!バルトス少将の敵討ちだ!この惑星に巣食う害虫を薪に盛大な葬火を上げてやる!」
「────その結果として俺が昇進するのなら万々歳だ!誰にとっても幸せの大団円だろう?というか貴様とて親のコネで俺に次ぐ大佐になってるだろうが!」
「おお!良く分からんが誘導に従った上で生身で俺の“スレイガン”の前に立つ勇気があるのなら味方だな!中々に豪胆じゃないか!」
【意図的に通じぬ言葉で勇気を表明したのだと思い込んで、マキシム准将は深く頷いた】
「よおうし来た!どのパーツが入り用だ?コア粒子もたっぷり揃っているぞ!」
- 141モア◆T8hADm6O9k25/04/03(木) 18:19:53
「ドーザーの諸君!好機だ!アレを聞いているだろう!スカベンジャーするためにも我々もG-3へ向かう!インベイドも企業とかのスクラップ…たからの山だぁ!」
アンドモアは熱弁した。
「無茶言うなー!G-3陥落だぞー!やってらんねーぞ!」
ヤジも飛ぶ。
「うっせぇ!ブーケトス(回転ノコを当て)るぞ!」
一喝する
「横暴だー!」
ヤジは止まない。
「よーし。終わってから行くぞ!」
アンドモアは転向した。
「異議なーし!」
ドーザー、本作戦参加せず。 - 142ライ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 18:20:58
「ありがとうございます。マキシム准将!」
《マキシム准将……スレイガンを操るBFパイロットたちを評価する非公式ランキングでも、上位に位置するパイロットです》
ケイはパイロットスーツの上にいつもの白いパーカーを羽織りながら敬礼で答える。
月風を知る人。月風の歴史を語る人物ならば、初期からケイの好感を得るには十分だった。
《そして、彼に一目を置かれるという時点で。ケイの実力は一定のBFパイロットを凌ぐものと証明されたのです》
電子音声が、むふーという擬音を出しかねないほどの自慢げな声に聞こえるだろう。
もっとも、当人たるケイは
(やっぱり月風系って操縦大変なんだ……こっちのほうが簡単に感じる俺っておかしいのかな?)
と、自分の常識がまたも揺らぐ感覚に襲われていたのだが。
- 143ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 18:24:08
おっ なんか来たな
「あちらの方は王 龍影。 我々の出身国に居た〇〇民族の生き残りかと」
あぁ、だから聞き取れるっちゃ聞き取れるけど若干訛ってたのか。
……というかその出自的にさ、彼女って敵なんじゃないの?
「大佐、少し考えてください。今の所はそうではありませんので。事を荒げるのであればそもそも我々がここまで盛大に迎える事は無いです」
あっそうなの だったら了解
【そして着崩したパイロットスーツの青年は、ムシャムシャと肉を食べ終える】
これでも准将殿が思ってるよりは功績を立ててるんですー!
ねーメビちゃん?
「そうですね。金龍ちゃん」
【すごい抑揚のない声で主人と相槌を打つ】
- 144龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 18:25:53
- 145ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 18:42:50
- 146マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 18:45:34
「フハハ!畏まらんで良い!今回の件はウチが助けを求めて応じて貰ってる立場だからな!」
【“スレイガン”に乗っていなければ肩でも組みそうな勢いでマキシム准将は笑い、そして機嫌良く腕を回した】
「そこのAIも実に見る目があるじゃないか!そう、俺こそは東方大陸随一の重装兵-ジャガーノート-級キラーよ!ガハハハハ!」
【躊躇いなく虎穴を攻めて虎子を得る胆力。一歩間違えれば無謀となるが、そのラインの見極めが抜群に上手いのがマキシムである】
「ええいッ!それは確かに認めてやらんでもない!貴様の“サンダータイガー”の殲滅力は少なくとも俺より上だ」
【悔しそうにしながら素直に認めて、しかし片手で遠ざけるような仕草をわざわざ“スレイガン”で行いながらマキシム准将は怒鳴った】
「だが近距離よりは遠距離の方が殲滅に向いておるだろうが!食事と補給を終えたら後衛にさっさと移っておけ!機体コストの元を取るまでは絶対に死なせてやらんぞ!」
「全て揃えてある!好きに取って行け!持ち帰りも自由だ!」
【豪快に笑いながら、マキシムは後方の物質集積所を親指で肩越しに指し示した】
- 147ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 18:50:43
- 148マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 18:58:09
- 149レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 19:00:16
【輸送機のプロペラが回る轟音が響き渡る】
【吊り下げられたコンテナに搭載された機影は、K.I社のスレイガン、及びその旗下にあるスカッド・ソルジャーの十数機】
「────────────遅参の謝辞は略式でご容赦願います、准将閣下」
【先頭に立ち、コンテナより下降するスレイガンの塗装色が紺色に染まっている、それはオープン通信にて響く神経質な声の主のパーソナルカラーだ】
「レイナード・ハルト少佐です、着陣いたしました。
生憎と出先でしたので小官の権限で動かせる兵力には限りがあり、近隣の基地より留守に必要な手数を残して掻き集めた余剰兵力です、スカッド・ソルジャー14機、ローン・ソルジャー6機、指揮下に」
- 150龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 19:02:24
- 151オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 19:06:19
- 152ライ◆.4YTxDiDm.25/04/03(木) 19:09:19
:母星に送る…贈るお来るおくるおくる…
コア、送る
完全に男の意識は消滅し、ユリウスと一体化した。 - 153二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 19:09:42
このレスは削除されています
- 154マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 19:10:45
- 155ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/03(木) 19:13:30
【漆黒の機体が轟音と共に接近し、コロニー外縁部へと着陸する】
「…ここでいい?」
『はい。作戦領域への到着を確認しました。以後は我が社のBFパイロット達の判断に従い、作戦を遂行して下さい』
【クロノス社男性の投げやりな通信切断にため息をついて、機体のセンサーアイの光を泳がせる】
《クロノスのひとー?どの回線使えばいい?》
【若々しい…を通り越して幼さを感じさせる声が、広域回線で呼びかける。こういう場合、現地までオペレータを担当したものが回線への接続まで行うはずだが、手が回っていなかったのだろうか】 - 156ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 19:14:36
「大佐、偵察機が一機撃墜されました」
【整備士と混じって油塗れになっている金龍に、メビはコックピット内のCPUの微調整をしながら伝える】
えーマジ? ちょっと開戦早くない?
「いえ、おそらく先ほどのは示威行為かと。そうでなければここを真っ先に攻撃しているはずです」
そういう事なら、俺はもう少しサスペンション弄るよ
それっぽい時間になったら言ってくれ
シャワー浴びて、新しいスーツに着替えて、そしたら出陣だ - 157二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 19:14:59
このレスは削除されています
- 158シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 19:18:14
- 159マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 19:27:07
「通信兵!急ぎ回線を教えろ!何の為に連れてきたと思っている!最低限の仕事は熟せ!」
【広域回線からの通信を受け取ると同時に激昂して内部回線で怒鳴る。そもそも今回はK.I社が他の組織に協力“して貰う”立場なのだ。それを弁えずに平時の言動を変えない社員の何と多い事か!】
【旧西方列強連合領と東方大陸、それから植民大陸を繋ぐ交通の要衝を守る為の拠点────その陥落を許し続ければ要衝すら陥落するかもしれないのだ】
【大動脈を握られているかの如き状況を、末端社員が果たして理解しているのか。マキシムは頭が痛くなる気分だった────だが自らが動かねば示しが付かない。マキシムは広域回線に繋いだ】
『K.I社のマキシムだ。我が社の社員がすまなかったな。気分を害してしまっただろう、申し訳ない』
「素晴らしい手柄だ、キルケー部隊!サイファーカルトを撃破するのに必要な装備を急ぎ配備する、何が必要か俺に教えてくれ!」
- 160二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 19:27:41
このレスは削除されています
- 161エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/03(木) 19:28:25
【キィーン……と鋭い金属音が上空から接近する。注射針を連想させる細長いBFが一騎、白銀の線を描くようにして飛来した】
《K.I社所属 エイダン・リー。要請に従い到着したよ。これより、マキシム新将の指揮下に入る》
【いつも通りの軽薄かつ平坦な……しかし、僅かに剣呑な調子が入り混じった声で淡々と告げつつ、今回集まったパイロット達を見回した】
(逆巻重工の傑作機『蒼風』、虎息子……少佐とソロネは驚かないけど、いつもなら食ってかかりにくる顔もいるね。こんな時じゃなければ観察したい機体と交流を深めたい人間が目白押しだ)
【内心で湧き立つ好奇心を鎮めつつ、冷静に周囲の機体や人間に関する情報を脳内で改める。いざという時、できるだけ連携を取れるようにしなければならないからだ】
「了解、情報提供感謝するよ……と、もう切られたか」
【まあ、彼女の男嫌いは十分に把握しているため、不自然とは思わない。今はそんなことより、提供されたカルトについて考えるべきだろう】
《マキシム新将、僕は件のカルトとは交戦経験がある。相手をしようか?その場合、実包兵装があれば拝借したいんだが、構わないかな?連中、コア粒子由来のエネルギー攻撃を無効化してくるからね》
【広域回線を通じて周囲のパイロットにも情報を提供しつつ尋ねる】
- 162シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 19:30:40
- 163ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 19:32:00
「あ……!」
彼女の笑顔とふる手に気づいたケイは、整備班との会話を中断して手を振り返す。
この地域での知己に乏しいケイは、顔見知りの他者がいるということそのものが心強く。百の味方以上に嬉しいものだった。
そのまま近寄り、声をかけようと距離を詰めて。
だからこそ……その上にかかる影に気づくのもケイが早かった。
「あれは……!!」
スカッド・ソルジャーに大関節上の翼が2つ接続された天使にも堕天使にも見える姿。
生物的意匠が数多く施された異形の機体。それが空に影を作っていた。
《KBF-06-Assault 機体名:“ソロネ”……パイロット、オルフェリア・ソローネ》
《クロノス社の有する、最強の暴力装置の一つです》
時計型デバイスから聞こえるスイの言葉は、この時になり恐ろしさすら孕む、見定めるような色を含むだった。
そのまま、スレイガンに幾つかの改造が施された機体も降り立つのを見るケイ。
《そして彼はレイナード・ハルト。彼もまた、この大陸における勝率を保持するものです》
《彼とマキシム准将、そしてオルフェリアの3人の生存は、今次大戦の勝率のうち、10%を左右する因子です》
スイの冷徹な言葉は、ケイにこの戦いの大きさを知らせるに十分だった。
- 164マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 19:37:18
- 165龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 19:38:01
- 166ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/03(木) 19:40:38
- 167ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 19:46:28
『オーライ! オーライ! そこでストーップ!』
『何やってる急げそこのボンクラ!』
『とっとと撤収!』
『巻き込まれたら保険は降りんぞ!』
『周辺、異常無しッ!』
【熱く、厚く、威圧感を放つ機体が、ガレージラックから解き放たれようとする】
「システム……オールグリーン」
【コックピットで目を青く光らせ、機体との同期を終わらせる】
了解、オールグリーンね
【手袋とパーカーをしっかりと装着し、操縦桿を力強く握る】
「いつでもどうぞ。大佐」
そしたら……サンダータイガー、出るぞ! - 168ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 19:46:31
- 169龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 19:53:47
- 170マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 19:55:49
- 171ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 20:16:12
「守備位置までのナビゲートを開始します」
おっしゃ、ここに来ての初搭乗にして、ここ一番の初登場を決めてやろうぜ
【足のホバー機構でゆっくりと浮かぶと、内蔵のスタビライザーで姿勢を制御する】
【ローン・ソルジャーの10倍はあろう総重量である事を忘れさせるように、機体が全くの無音で滑らかに移動し始める】
こりゃまた……派手な花火を皆に見せつけられる絶好の場所じゃねぇか
准将殿も分かってらっしゃるぜ
そしたらコイツらをここに……防衛戦
【両肩に担いでいたガンコンテナを床に設置し、展開する】
【その中から、大隊を壊滅させるのにすら過剰である数の重火器が並んでいた】
防衛戦だし、普段から使ってない武器をジャンジャカ使えるチャンス……
待ってろよお前たち、今から日の目を見せてやるからなぁ……
そして初期装備は……レールガンと追尾ミサイルで決定っと
【コンテナからアームが現れ、背中のバックパックへレールガンとミサイルポッド2つをマウントさせる】
んじゃメビ、待ってる間にちょっと駄弁ろうぜ
「承知しました、金龍様」 - 172ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 20:18:20
- 173レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 20:22:54
・・・
「最低限です准将閣下」
【昇進は望まない、レイナードは心の平穏をこそ求むる、過度な権力はそうした願いの輝きを鈍らせる】
【かつては真っ当な情熱を胸に秘めていた者が、権力を手にしたことによって腐り果てていった姿を、よく知っているからだ】
【どれだけ使える連中かと問われれば、短い溜息と共に端的に応えてゆく】
「最低限、命令に従うこと、功を逸り余計な動きをしないこと、隊を組織し纏まって行動、その程度は最低限出来る人員です」
【兵士に求められる資質、それらは最低限備えている人間をこの目で判断し連れて来た】
【彼らはこの戦場に集った華々しいスターの様な傭兵達とは違う、兎角、地盤を固める、故に無くてはならない存在だ】
(結局来たか、オルフェリア、知っていたさ)
・・・
【────────────そして、スターはもう一人】
【天使の名を関するスカッド・ソルジャーの改修機を、睨み付けて】
「……らしい働きをしろ、それで十分だ、無駄話はしない」
- 174龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 20:28:52
- 175オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 20:34:53
「あぁ。私なりにその言葉を解釈させて、従わせて頂こう」
【コクピットの中で肩を竦めながら、他称“最強の暴力装置の一つ”は無表情で応えた】
【華々しい個人戦力などあくまでK.I社の有する暴力装置に一つに過ぎないのだ。〈熱線砲“ソドム”〉を代表とする最新鋭の兵器群、レイナード少佐が引き連れているような正規の訓練を積んだ大勢の兵士】
【─────クロノス・インダストリーは、単一の企業としては最も大きな勢力圏と実力を備える組織である】
- 176逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 20:35:17
(G-3コロニー奪還戦の傭兵たちの集まる中で、逆巻重工の支援ブース
)
「ビーム兵器を無効化する生体インベイド技術ぅ――――!?!?」
逆巻カンナは、月風のパーツを求めるもの好きや腕部シールド(当然内蔵の速射砲や滑空砲もセット)。
そして無反動滑空砲を求める傭兵たちの説明に応対するのも忘れて、エイダン・リーから流された情報に怒号を上げていた。
「ふっっっざけんなサイファーカルトォ!!! ビーム兵器を無効化するとか最悪じゃない!!
今までのBF開発のパワーバランスが一変するわよ!!?」
なんてものを作りやがったのだ!という憤懣と憤りの中でカンナは冷静になることを試みていたが、それも難しかった。
ビーム兵器技術に関してまず先行していたのはK.I社だ。
あそこの技術力は現状どの企業でも先行し切ることは難しい。過去も昔もだ。
なにせ対インベイド戦争の中での緊急技術交流……という形で過去の逆巻重工はビーム兵器技術を手に入れるために、先代CEO直々に当時試作機だった月風の腕部や脚部に使用する関節パーツデータ……それも鋭角的高機動に必須な……を提供したのだ。
それだけの札を切ってやっと、逆巻重工は月風に搭載可能なビーム兵器と高出力サーベルの技術を得るに至った。
……先人たちの努力を、無に帰されるに等しい。 そしてなにより、高機動近接機である月風そのものも。
「……対策を練るわよ! 近接武装でフラクタル装甲を抜けるものを!!」
彼らは、傭兵たちを捌きながら同時に、新しい技術を磨くことも並行して行う試練に直面していた。 - 177エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/03(木) 20:35:22
《ありがとう。それじゃあ、ライフルを一丁借りるよ》
【端的に礼を返し、滑るような動きで機体を実砲兵装が並べられている場所まで移動させる】
【背後に収納していたビームサーベルを取り出し、代わりとして手近にあったリニアライフルを仕舞った】
《協力しよう。本社で上から散々鍛えられているからね》
【仕舞い、取り出し、構える。この一連の動きを繰り返し、取り回しを確認しながら、招集された場へ向かう】
【なお、鍛えられている理由の七割はエイダンの独断専行に対する諸々が原因である】
《先ずは状況の整理をしたいな。現時点でわかっていることは?》
【そんな裏の事情をおくびにも出さず、エイダンは要請時に伝えられた情報について更なる詳細をまとめた】
- 178シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 20:42:27
- 179ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 20:45:38
「メモリはありがたくいただきます……けど、その近接兵装は龍影さんが持っていてください」
《メモリデータ読み込み、コピー……ペースト……完了しました。これで蒼風も近接武装を振れます》
熟慮の末、ケイはその提案を一部採用して、一部を却下した。
時計型端末にUSBを差し込み、読み込む……そしてそのまま、彼女の手に握らせる。
嫌な予感がしたのだ。 この好意を全て受け取った時、取り返しのつかない事が起きるという予感が。
かつて垂直カタパルトで射出され、落下した先で世話になった居住地が破壊された時。
荒っぽいながらに世話を焼いてくれた傭兵が死ぬ直前に、気を抜いていた時。
ケイは、誰かが死ぬのが嫌だった。 誰かが死ぬのが嫌だから踊り続けると決めていた。
「メモリ、ありがとうございます。近接武装はK.I社のブースを探して見繕います――――」
怪物にならなければ誰かを守れないなら。怪物になるべきは己だと思った。
「だから。龍影さんが死んだら。俺は死にます。覚えててください」
誰かを守るために怪物になれないなら。
今すぐ死ぬべきだは己だ。ケイ・サヤギリ。
- 180マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 20:49:22
「なるほど!良いだろう、少なくとも“最低限”使える連中だという事だな!」
【突き詰めて理解したマキシム准将は僅かな間思案を巡らせて、それからレイナード少佐の機体を見てから深々と頷いた】
「では連れてきた連中の指揮権は少佐殿に一任するとしよう!生憎と俺は前線で戦況の確認をしなければならんので手が空いておらん!貴官の方が上手く使い熟せるだろうさ!」
【後方司令部だけでは傭兵も含めた混合軍を組織的に運用するのは難しいだろう。何せ統一された規格ではない。臨機応変で端的な指示が必要となり────マキシム准将は、それが可能なだけの能力を備えている】
「“G-3コロニー”が外壁で交戦せずに陥落した!俺は当初、実弾兵器への防御に優れたBFを駆るカルトの連中が暴れたかと思ったが─────サイファーカルトの装甲はあくまでビーム兵器用だった。
故に何が起こって突如として陥落したのか分からなくなった!」
【数千人単位のアサルトライフルを携帯する機械化兵が都市内に詰めていた筈なのだ。本来ならば数の暴力で押し切れる可能性だってある数である】
「俺が許可した!直ぐにでも座標地点に向けて攻撃行われるだろう、退避を徹底しろよ!」
【驚くべき即断即決で攻撃許可を出して、マキシム准将は笑った】
「人類の裏切り者は殺すに限る!」
- 181龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 20:53:06
- 182ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 20:53:40
- 183シャロン◆8meUu6AaJY25/04/03(木) 20:56:42
- 184ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 21:01:02
- 185エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/03(木) 21:03:11
- 186龍影◆9BZ6kXGcio25/04/03(木) 21:07:29
- 187マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 21:08:27
「開拓大陸の方で蔓延っている“裏切り病”がコッチまで来た可能性か…………全く、ゾッとしないな。そうなると“コロニー”の武装を逆に使われる可能性もあるか」
【暫し考えてから、マキシム准将は納得したように頷いた】
「感謝する、エイダン部長。俺も少し覚悟が出来たよ。バルトス少将を裏切った者がいたのなら、後悔させてやらねば」
「あぁ!吉報を期待している!」
【大変喜ばしげに頷いてから、マキシム准将は自機である“スレイガン”の機体状況を確認した】
【バイタルは正常。故障している箇所はない。いつでも出撃が可能だろう────広域回線を繋いで、将軍は良く徹る声を大きく響かせた】
『“G-3コロニー“奪還作戦の概要を教えよう!都市内部にはインベイド共がウジャウジャの台所の黒い虫みてェに湧いていやがる!全部ブッ潰せ!』
『侵攻ルートは自由!攻撃方法も自由!コロニーをブッ壊しちまっても今回は特別に許す!奪還できるなら手段は問わない!』
『見敵必殺!見敵必殺だ!』
- 188ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 21:17:57
さてさてさーてぇ......派手に行こうぜ!
一番槍はこの俺や!
「ターゲット、ロック。いつでも撃てます」
レールガン発射!
【BBBBBLLLLLAAAAAMMMMM!!!!!】
【メビがしかと定め、インベイド3匹を貫く!】 - 189ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 21:17:58
唇を離した後、守るように腕に抱きながら。
「俺も手伝いますよ」
お邪魔虫に好いた女性の色気づいた顔をからかわられているというのは、やはりケイでも我慢はならなかったようだ。
光がない、まさに黒と青しかない目が整備班を射抜いていた。
《単純明快な作戦ですね。素晴らしい》
時計型端末に光が戻り、スイがマキシム准将の心強い判断を称賛する。
コロニーの内部は蠱毒の巣だろう。その中で施設への被害を気にしながらは、やはりどうにも難しい。
ケイならばできるかもしれない。だが過程の犠牲は大きすぎる。
インベイド殲滅という大義に、失って良い戦力は一つとして存在しない。
《例外達の全力こそが、人類を強くする変数》
ケイというコンピュータは、人類を愛していた。
- 190マキシム◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 21:31:06
『突撃、』
【──────────────ズドンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!と地盤が弾ける音がした】
【空が崩れ落ちた。違う。突如として地面に巨大な奈落が形成されて、マキシムと通信部がその奈落に呑み込まれたのだ】
【巨大極まりない───腕だけで強襲型インベイドに匹敵する質量の一対の腕が、遥か地下から最外縁部の岩盤を抉じ開けた】
『──────ォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』
【酷く巨大な、“超大型”と呼んでも差し支えのない怪獣が、地の底から宙に浮かんだマキシム達を睥睨していた】
【鰐めいて裂けた無数の牙が立ち並ぶ顎門、強靭な四肢がその質量を支え、背中からは鋭い爪を持った四肢よりも巨大な翼脚が生えている】
【鮮血の如き紅色の閃光が、怪獣の顎門で凝集して─────────マキシム准将を含めた総戦力の約“一割”がプラズマ砲を前にして文字通りの消滅を果たした】
【無数の突撃兵級が高速で奈落の壁を這い上がって後方陣地に突撃する。射撃兵級が奈落の底から弾幕を地表に浴びせる。重装兵級が奈落の底から浮かび上がりながらビームを乱発する。騎兵級が奈落の壁を攀じ登る怪獣の背中に乗って地上に到達する】
【中には強襲級や投射級と装填手級も少数ながら見受けられる。通信部による管制もないまま、戦場は一斉に乱戦状態に陥った】
【超大型インベイド、“ゴモラ”】
【未知の進化を遂げたインベイドは、既存の兵站路予想を無意味にする異端の戦場を作り上げた】 - 191マキシム(故)◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 21:38:55
- 192ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/03(木) 21:47:23
「ああ…」
【眼前の光景への諦観と、一つの納得。何故コロニーが…コロニーの壁が綺麗なまま墜とされたのか。ウルヴィはさして賢くは無い方だと自認しているが…こんなのは見れば分かる。下から制圧されたのだ】
《…っとと、どうするの、これ》
【如何なる達人でも情報の無い“初見殺し”には対応できない。自らが巻き込まれなかった事に安堵しつつ、インベイドの猛攻を回避しながら、ウルヴィはクロノスの通信回線に呼びかけた】
【指揮を回復させるまではしてくれなくとも、パニックになってる連中を退けてくれればまだマシになるのだが…】
- 193二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 21:52:21
- 194レイナード◆PPyRfvMZl625/04/03(木) 21:52:51
「5機編成で4部隊を組む、統括は俺だ、良いか、インベイドには基本的に中距離で対峙、無駄に接近するな────────────」
【自身の指揮下に入った即席の兵団に編成指示を与える、相互通信の確認、及び初期隊列の確認に】
【故に、マキシムのスレイガンが発つよりも一歩、遅れて発進をすることになる】
【────────奇しくも、それが幸運だった様だ】
「ッ、何だ、准将閣下ッッ!!!」
【轟音、地響き、一瞬世界が音を立てて崩れていく様な錯覚、突如として地中より現れ出た異星体は、瞬く間に先陣を切った勇敢な戦士達を呑み込み、藻屑と変えた】
【……ブチ、と頭の奥で何かが弾けた様な音が】
(指揮系統が乱れる!この場に於ける最高責任者は……ゴルドラ大佐が……、ッ!
・・・・・・・・・・
いいや無理だッ!あの前線大好きなコネ大佐に、兵士としての働きならともかく指揮官としての働きが出来る訳が無いッ!!)
【ギシギシと悲鳴を上げる胃の腑、懐から取り出した小瓶をひっくり返し、錠剤を口の中に放り込みながら】
【苛立ちと共にコンソールを拳が叩く、通信回線が開いた】
「────────────こちらはレイナード・ハルト少佐だッッッ!!!戦死なされたマキシム准将閣下に代わり臨時指揮を執るッッッ!!!
総員、無闇に突撃をする莫迦にはなるなクソがッッッ!!!敵戦力の詳細が不明なうちに、こちらの戦力を減らすんじゃないぞォッッッ!!!
弾幕を張れェェェェェェェェェッッッ!!!!!!」
- 195ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/03(木) 21:55:49
「マジかよ……」
【目的地までもうしばらくというところで不意に空へと伸びる光が視界に表れる、撃ったのは人類かインベイドか、いずれにせよ得体の知れない何かがあの場所にはあるという事だろう】
「自動操縦解除、アクセル全開だ」
- 196オルフェリア◆OXAm1h6odk25/04/03(木) 21:55:58
『やっ、やめっ!助けてっ!』
【人自連の“ARATAME”が殺到する突撃兵級にアサルトライフルを乱射して、しかし背後から襲い掛かってきた突撃兵級に引き倒されて解体される】
【遠距離からの射撃で十分処理可能な突撃兵級ではあるが、近距離で津波の如く押し寄せてくるとなれば一機二機では到底太刀打ち出来る代物ではない。持ち込むべきでない乱戦に、インベイドに持ち込まれている】
【奈落の底からは射撃兵級が結晶体の弾幕を浴びせかけている。装甲任せに突撃すれば突っ切れる火力だが、奈落の底に落下すれば大きなダメージは免れない。その状態では待ち構える騎兵級に耐えられないだろう】
【─────────滞空しながら、鋼鉄の天使はその地獄絵図を前に通信回線を開いた】
『〈熱線砲“ソドム”〉を制圧しに行く。元々対インベイド用の巨大兵器だ。同行する機体はいるか?』
【奈落から溢れるインベイドを放置すれば三大陸を繋ぐ要衝が危ないが、一方で現時点で殲滅し尽くすに足る火力もない】
【故に、オルフェリアは酷く冷静にその提案をしていた】 - 197ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/03(木) 21:59:03
「な、ぁ……!?!」
レイナード少佐達の所属する戦団の前。マキシム准将達より更に前で。
最も重要な司令部と通信施設が集積された拠点が、そして最も大事な指揮官が。
新種による地盤沈下とプラズマ砲によって破壊される光景を、よりにもよってケイは都市攻略の最先鋒を見込まれた故に最も鮮明に見る羽目になった。
混乱、動揺。死の一瞬が後方で起きている事実に、動揺していた。
《インベイドの新種を確認。高速通信で相互通信リンクを確立可能な全機体に予測データを配布します》
《なお情報確度は現在5%。急所予測確度は1%です》
その中でも『スイ』は冷静に、冷徹に。
ケイがメインカメラを思わず向けてくれていたから僥倖だという理由で超大型インベイドの解析を初めながら各機へと通信リンクを確立していく。
――――前方のG-3コロニー内部から、まだインベイドはやってきていない。少なくとも、ケイの視界ではそうだった。
《ケイ。対インベイド戦争とは、不測の事態との戦いの歴史です。》
《前に進み、ソロネと共に行くか。乱戦に突入した後方の援護に向かうか》
《貴方が決めてください》
- 198ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/03(木) 21:59:12
俺は残って子守りだ......良いからとっとと行け 時間稼ぎは得意だ
【怒りを、メビになだめてもらいながら、必死に飲み込む】 - 199エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/03(木) 22:00:27
《モチベーションの糧になったようで何よりだ。お互い気張って───ッッ!?》
【 ''いこうか'' と続けられようとした言葉は、突如として響いた轟音に遮られた】
【視界が異様に開けた瞬間、エイダンは周囲の把握も後回しにしてブラスターを点火して上昇】
【その直後、横を赤黒く光る巨大な光線が散らばる瓦礫と人を飲み込んで蒸発した】
《TARGET LOCK》
《「FIRE」》
【即座に繋がった回線から飛び込んできた、聞き慣れた怒号。平時より数倍激しいそれに呼応するようにして、エイダンは躊躇いなく虎の子の多弾道ミサイル、その一つを切った】
【殻を破った無数の弾道が無機質な殺意を露わにして、戸惑いながらも生きようとする戦士達の足掻きを無に返さんとするインベイド達を弾けさせた】
- 200シャロン25/04/03(木) 22:01:09
〈馬鹿な⁈なんで貴様らがいるのよーー〉
シャロンが遮蔽物から乗り出して目にしたのは”BFを食べるBF”であった。
禍々しい緑色の装備がーー