何かあった未来のイブキ(17)がやってきたがPart3

  • 1二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 00:59:50
  • 2125/03/27(木) 01:04:17

    初スレ建てになるため、もし何か問題ありそうなら改めてどなたかPart3スレを建てていただけたらと思います。

  • 3二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 01:45:21

    建て乙です、たぶんこのままだと深夜の内にスレが落ちますね

  • 4二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 01:46:06

    保守しとくで

  • 5二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 01:49:38

    とりあえず10辺りまで伸ばすか

  • 6二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 01:51:22

    と思ったが取りあえずスレ落ちまで10時間に伸びたからいいか

    しかし前スレ199、誰かしらの意図で繋がったっぽいね
    誰なんだ

  • 7二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:02:06

    うめ

  • 8二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:03:43

    うめ

  • 9二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:19:51

    「窓」って言われると、色彩が頭をよぎるな…
    よく覚えてないけど、あれも確かキヴォトスの外から窓を通ってやってきたみたいな話なかったっけか?
    だから元凶は色彩経由で反転した誰かだとは思うんだが、誰かはサッパリわからん

  • 10二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:01:46

    埋め

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 08:39:44

    念の為の保守

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 09:30:10

    ホシノ抜きアビドス
    ハイランダー&ネフティスを交えつつ(暫定)ゲヘナと協力
    制空取れてないので他機を感知せず

    ゲヘナ万魔殿
    致命的なタイミングの悪さとシロコ*テラーによってアビドスと敵対
    イブキとイロハが人質状態でアビドス方面に進軍中
    ミレミアム製ドローンによる領空侵犯を受ける

    シロコ*テラー
    おそらく迎撃準備中

    RABBIT小隊withミカ
    砂漠のどっかにいるであろうRABBIT5をミレニアム製ドローンと共に捜索中

    ホシノ&イブキ(17)
    一緒にご飯

    ???
    アビドス砂漠に窓を接続

    これゲヘナ視点だと最悪ゲヘナvsアビドスwithハイランダー・ネフティス&ミレミアム&RABBIT小隊withディーパーティーに見えるという地獄の状態でついでに近くに未来イブキもいるという

    万魔殿部隊がアビドス市街地にある戦車長の愛車がしっかりカモフラージュして停車してるのを見てなんとか情報の交錯に気づかないかな

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 10:31:24

    さて現イブキと未来イブキの邂逅もそろそろ秒読みかぁ……物騒な展開しか予想外できないが。

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 10:43:08

    (前スレまでss書かせて頂いてた者です、自分で立てず申し訳ない…。良ければまた今日にでも続き上げます。)

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 10:56:37

    >>14

    まってます

  • 16二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 14:44:48

    「これは酷いわね…」

    午前11:45 シャーレ執務室。
    中天に登った太陽が窓から明るい光を差し込み部屋を照らす。本来なら明るく清潔な印象を与えるはずのその部屋の中はしかし、死屍累々とでも言うべき状況が現出している。
    先日から泊まり込み現在は机に突っ伏して仮眠している先生を筆頭に、約10名の生徒達が書類に埋もれながら突っ伏し横臥し座りながら睡眠しと惨憺たる有様であった。
    これだけ女生徒が集まっていれば世の男達の言うところの「良い匂い」がしそうなものではあるが、今ここにあるのは疲れ草臥れ激務に討ち倒された哀れな亡者達の疲労の臭いだった。
    その中に立ち入り彼女…扇喜アオイは呆れて嘆息する。
    ある学校の生徒から「友達が当番に行ったきり帰って来ないからどうにかしてほしい」と連絡を受け、ついにあの大人が生徒を毒牙に掛けるに至ったかと血相を変えてシャーレへと向かった。
    しかし着いてみると状況は言葉より雄弁に事情を物語っており、帰ってこないと連絡のあった青いジャケットでミント色の髪留めを付けたトリニティ生から事情を聞くに至り全ての疑問が氷解した。
    どうやらこの状態が一週間か少し前から続いていたのだが、七神リンが内々に進めるべく連邦生徒会内でこの件についての情報を封鎖し自身で全てを処理していたらしい。
    そもそも生徒からの連絡を受けた経緯も突っ伏して眠っているリンの横で鳴る固定電話を取ったためだった。
    「先生もリン先輩も後で膝詰めでお説教ね」
    アオイはかつて空が赤く染まった時にリンを責めた自身の事を思い起こす。あの時は荒唐無稽な話過ぎたとはいえ何も考えずリンを責めたアオイ自身にも大きな瑕疵がある。
    しかし今回はゲヘナが大きく動き中央として座視出来ない事態だ。アオイも前回の失敗から学び何が起きても協力出来るよう用意を怠らず危急に備えている。
    しかし、こういう大事なことをリンも先生も何も教えてくれはしない。私は頼るに値しない存在ということなのか?
    そんなわずかな怒りを抱きつつ、幸せそうに眠る先生の額に思いっきりデコピンを放った。

  • 17二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 14:46:22

    “ふごっ!?”
    そんな声を上げて飛び起きる、アオイが信頼し職務とこじつけ時折会いに来るシャーレの先生。
    髪もボサボサ、服もヨレヨレ。…うわデコピンした指に皮脂ついてる。
    体臭も濃厚な彼のシャツに人差し指を押し付け汚れを取ると、“えっ!?なに無言の圧力!?コワイ!!”と騒ぐ先生。少し面白い。
    「なにじゃないでしょう?毎日毎夜女生徒を連れ込んで何をしてるのかしら?」
    “えっ!誤解だよ!?昨日出先から帰ってきたばかりだよ!?”
    詳細はリンを問い詰め聞いている。
    ゲヘナの動員に対応するため四方八方を飛び回っていたところ今度はミレニアムの大規模ドローン飛行による実験を名目とした各校上空の領空侵犯、さらにはそれに同調しウソかマコトか「その実験に協力する」と申し出てアビドス砂漠に大規模兵力を向けたゲヘナ万魔殿。…まあ、おそらくミレニアムの飛行にかこつけての事だろうが。
    それらの処理が山積しオーバーフローを起こしている。この惨状はそれに対する処置なのだ。
    「貴方一人で解決出来ないからこの子達に協力を仰いでいるということね?」
    “……うん、少し無理してるなって自分でも思ってる”
    先生とは連邦捜査部シャーレの特権において超法規的措置を用い各校の生徒達の問題を解決する機関唯一の人員、という認識におそらく齟齬はなくまた権能もそうであると証明している。
    しかし所詮は独り。生徒の力をどれだけ借りても最終的には一人ぼっち。
    どう足掻いてもその力の及ぶ範囲は限界がある。ゲヘナ、ミレニアム、アビドス。そしておそらくここに絡んでくるもう数勢力。千散に乱れた状況はたとえ十数本の猫の手を借りようと事足りることはないだろう。
    もっと根本的な解決策が必要になる。何か根本をひっくり返す何かが。
    そしてその最短ルートをおそらくこの大人は知っていて、何か考え画策し裏で忙しなく動いている。
    「(私も巻き込んでくれていいのに…)」
    “アオイ?”
    「……シャツに誰かのリップ付いてるわよ、薄いやつ。」
    “エッ!!??いや違ッ…アッ!!昨日忍術研究会の子達にもみくちゃにされたからほら!!”
    「忍術……百鬼夜行にまで行ってるの?」

  • 18二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 14:49:19

    本当に何を考えて動いているんだろうこの大人は。彼の脳内地図がまるで読めないのが少し悔しい。そんな悔しさから核心を聞く事にする。
    折角タイミングが合って話が出来るのだから今聞いておかないと、リンを説教した後この件を補佐する仕事分担が決め難くなる。
    「それで?いろんな場所を飛び回ってこの事態をどうするのかしらシャーレの先生は。」
    “うん、上手くいけばもう数日で一応の目処はつくと思う。”
    飛び出してきたのは意外な目標日数。仕事の出来ない人間が口にする「根拠は無いけど納期はここ」と定めるアレではないだろうか?
    いやまさかこの人に限って…
    “まあ根拠は何も無いんだけどね”
    なんの根拠も無かった。折角だしもう一発ほど先生の額ではなく肩口にデコピンを放つ。
    「…別にいいけど、それならそれでこっちにも情報を頂戴。リン先輩がこんな事してるってうっすら感じてはいたけど初めて知った。」
    “え?リンちゃんアオイ達に何も話してなかったの?”
    「……」
    嘘のような話だが完全に一人で抱え込んでサポートをしていたらしい。
    あの人はいい加減他人に説明して頼る事を覚えないと先日のクーデター騒ぎの時のような破局を迎える。苦難を背負い込みながら心配させまいと周囲に壁を作るのはもはや拒絶を通り越して無言の攻撃だ。放置すべき悪癖ではない。
    「…なんて言ったかしら。そう、因数分解しないといけないわよね。」
    独り言ちて後、先生にもいずれお説教と告げ少し泣かせてから再び死屍累々を乗り越える。
    少しずつ生徒達は大人としての力を身に付け巣立ちの準備を整えて行く。この死屍累々はそのための通過儀礼とも言えなくもない。
    果たしてアオイが大人になったらどんな姿になっているのだろうか。キヴォトスはどうなっているのだろうか。
    「いっそ将来……」
    アオイはあり得る未来として先生の隣で教鞭を取る自身を想像し微笑みつつ、シャーレビルの廊下を歩き一階に向かうエレベーターに乗り込む。
    ガラス張りのエレベーターから見るキヴォトスは、いずれ来るであろう輝かしい未来を思い描けるような煌びやかな繁栄の中にあった。

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 14:50:54

    訂正、忍術研究会→忍術研究部

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 16:52:07

    繁栄は簡単に瓦解する
    ただしほぼ必ず生き残りが出る

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 21:38:22

    どうなるんだ

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:27:20

    イブキには報われて欲しい

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 00:28:05

    とりあえず未来イブキが、未来に戻った後も、平和に暮らせるハッピーエンドをユメ見てる

  • 24二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 03:07:15

    ー幕間ー
    ゲヘナブラックマーケットにて。

    時は遡る。

    「お金が無い…」
    当然だが未来からやって来た丹花イブキは現代の通貨を持ち得ない。
    未来では物々交換とブラックマーケットが私的に発行し流通させていた独自通貨を用いた取引が主流だった。
    イブキは身体中にそれらを忍ばせ危急に備えており現状車一台分を買うだけの資金があったが使えないのでは意味がない。彼女が持ち合わせているのは今ではトイレットペーパー以下に成り果てた件の紙切れと、こちらで得た数百円のクレジットだけだった。
    子ウサギ公園を夜逃げ同然に逃げ出しゲヘナ外縁部のブラックマーケットに辿り着き、その状況を振り返った時に初めて発したのが先の言葉である。
    「どうしよう…日雇いでもした方がいいのかな…?」
    陽の差さない暗い路地。血がへばりつき銃弾の弾痕著しい壁面に手を添えなぞり歩き考える。
    やるとなると用心棒や荒事専門の戦闘員などだろうか。技術は持ってるし何でもござれだ。それがダメなら窃盗か、資本主義が根付く今の世界なら強盗という手もある。
    「…砂狼さん達元気かな」
    ふと脳裏を過ぎる旧アビドス高校の人々。現役時代は裏社会の大物と繋がっていたと豪語するあの人達なら的確な助言をくれただろうか。

    「お前の無事を心配した方がいいんじゃねえかぁ?」

    思考の海からイブキを引き揚げたのはくぐもった無遠慮で甲高い声。歩を止め周囲を見回す。
    長く薄暗く高い壁が圧迫感を与えるゲヘナの路地裏。前方に数人のフルフェイスヘルメットを被った少女がいる。さっきの声は後ろから掛かったなと思い振り向くと、そこには同じくヘルメットを被った少女達。
    何の用事だろうか?
    「誰…?」
    「誰とは笑わせるな。お前こないだ風紀委員と一緒に暴れた奴だろ?」
    「…………ああ〜」
    ヘルメットに貼り付いたステッカーが先日の任務で切り刻んだ連中と同じモノだと今さら気付く。
    もしかして仲間の仇討ちかな?
    そう聞くとヘルメットの少女は語気を突然荒げ激昂しイブキに食ってかかった。
    「よく分かってんじゃねえか!こっちはあの一件で友達を傷付けられてんだよ!!情報屋の情報通りこっちまでノコノコ来てくれて助かったぜ!!」

  • 25二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 03:08:53

    イブキはなるほどと納得する。たしかに仇討ちは大事だ。
    適者生存・優勝劣敗の世界を生きる人々にとって、仇を討つということは損じた利益と尊厳を最大限贖わせる行為に他ならない。もしもイブキが教官や参謀長を傷付けられたならこの身を賭して復讐を決行するだろう。だから彼女達の想いも痛いほど理解出来る。
    「そっか、ごめんね。謝るよ。」
    だからまず返すのは彼女達に対する形式上の謝罪。そもそも誰の命も奪っていないのだし復讐も何もない。笑顔でこれ以上は恨みっこなしだと誇示する厄介事を避ける魔法のスマイルをしていると、どうやらそれは逆効果だったらしい。
    「ふざけんじゃねえ!!」
    「わわっ」
    マズルフラッシュが瞬きヘルメットの少女が下げた銃から銃口初速905m/sの速度で弾が吐き出され、轟音を残して裏路地の壁や道に新しい争いの記念碑として複数の穴を穿つ。

    しかしそれは数ステップで躱された。
    銃の安定性を無視した慣れない持ち方。フルフェイス越しでも分かる馬鹿正直にイブキの顔だけを狙った目線。おそらく戦闘慣れしていない。戦うのを他人に任せるタイプかこのグループ自体が捨て駒にすらならない残り滓の雑魚揃いなのだろう。
    乱れた感情と震える手元で小さい的を狙った射撃なんて、サキとホシノにスパルタで戦闘術を叩き込まれたイブキには容易に軌道が読める。「避けろ」と言っているようなものだ。
    「ねえやめよう?そっちが悪い事をしたから私達が出張ったんだよ?こんなの意味ないよ。」
    「黙れ!!!」
    「あーもう」
    さらなる射撃を行おうとするヘルメットの少女。イブキはブーツのつま先で足元の小石を宙に蹴り上げると一つステップを踏んで凄まじい速度で右脚を振り抜き、引き金に掛かるヘルメットの少女の指へと小石を叩き付けた。

    破裂音。
    ついで絶叫。
    他の少女達が彼女を見ると、なんと引き金に掛かっていた彼女の指があらぬ方向へ曲がって力無く垂れ下がっている。あまりに強い衝撃とヘイローの加護が相殺した結果、内部でダメージが弾け指の骨が粉々に砕けたのだ。
    濁った絶叫を上げる少女とは対照的にイブキは高い声を上げて自身のヘイローを確認するよう手で空を切りつつ飛び跳ねた。
    「痛ッッッッッッッたい!引き金押し込んで一発もらっちゃったじゃん!もー!!死んでないよね私!?なんでこれは命中するかな!?」

  • 26二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 03:10:30

    イブキを取り囲んでいた少女達に僅かな恐怖が細波のように伝播する。
    おかしい、風紀委員でもないこの女がなぜこんなに強い?情報屋は「箔付けで参加した他所の新人」と言ってはいなかったか?
    その動揺を切り裂くようにイブキは言う。なるべく落ち着いて、平坦に、抑揚なく。
    「じゃあこうしようよ。」
    その目は先ほどまでの笑顔とは異なっていた。
    「私が今から動くからそれを上手に捌けたらあなた達の勝ち。」
    獲物を前にした獣が遊びをやめてこれから獲物を切り裂く歓喜に震えるような…
    「あなた達が負けたら有り金全部と情報屋の事教えてよ」

    「もし私に勝てたらあなた達の死に顔を似顔絵で描いてあげる」

    瞬間、前方と後方から閃光と轟音が瞬きダンスを踊る。
    交錯する射線。射線上に居る双方に銃弾が当たるが固いプレートに当たる音が響く。
    キヴォトスでは銃の攻撃はそこまで痛痒を要するものではない。たとえば服の下にボディアーマーなどを仕込めばこういう味方への被害を想定しない戦い方が可能になる。
    イブキは壁を蹴って一息に宙に舞うと、後方射線の一角を形成する少女の首筋一点に上方から大量の銃弾を重ねて叩き込む。無防備ならアーマーを仕込もうと意味はない。
    ヘルメットから吐瀉物が漏れ出て崩れ落ちる彼女を支えようとした仲間の横に降り立ち、抜き放ったサーベルで銃を叩き斬り手足にそれぞれ1回ずつ剣先を通す。死んじゃうから大きい脈は切ったらダメ。
    くぐもった仲間の絶叫に怯える先程指を砕いた少女を睨み、竦んだ瞬間に担ぎ上げ残った対面の射線からの肉盾として利用する。
    潰れたカエルのような声が断続的に聴こえるが自身が招いた状況なのだから我慢してほしい。
    少女達の中に突っ込みぶつかる直前、肉盾を放り投げ壁を二度蹴って身を翻し跳躍。一回転後に彼女達の後ろ、その足下に降り立ち先頭に立っていた少女の無防備なスカートの中に銃口を突っ込み乱射。先程と比ではない悲鳴に似た絶叫を発し刺激臭のする黄色い液体が流れ出す。……少しやり過ぎかと思いつつヘイローも消えてないし大丈夫だろうと判断する。
    完全に戦意を喪失した残り二人のうち一人の腕をサーベルで壁に縫い付けマガジンを再装填する。

  • 27二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 03:11:32

    「肩って何発打ち込めば千切れるかな?」
    「がッッ…あヒッ……!!」
    肩口に銃口を押し付け目一杯乱射。
    「ああああああがああああああああぎやあああああああいやああああああああああああああああアアアアアアアア!!!!!!!!」
    程よい所で止める。
    ヘルメットのバイザーが割れて白目を剥いて気絶した少女を転がすとサーベルで刺した部分に簡単な止血を施す。
    肩は脱臼程度で済んだかな。ちょっとやり過ぎたし後で救急車呼ばないと。

    さてずいぶん静かだが残るは…と、イブキが振り向くと最後の一人は泡を吹いて気絶し先程の少女よろしく粗相をしていた。恐怖を与えすぎたのかもしれない。
    この時代のブラックマーケットの連中は驚くほど貧弱だし心も身体も痛みに弱い。イブキの時代には確実に殺すため子供を使ったブービートラップすらあったものだが、その図太さとは比べるまでもない。 
    嘆息しつつ気絶した少女の懐を弄り財布を引き出すと、文明人として守るべき秘密を次々引き出していく。
    「札は無し。ああそっか、電子決済メインの人が多いんだっけこの時代。学生証…うわ元トリニティ生?意外。あ、クレカ。ん?ええ…?親名義?あ、キャッシュカードも──」
    呟きつつスマホも拝借して記録されていた情報屋とやらの居場所を見つけ出しメモを取る。
    上手くいけばこいつ経由でカイザーに渡りをつけて質のいい良い密売ルートを見つけられるかもしれない。そして砂漠を渡る車を手に入れアビドスで拠点を構築し元の世界に戻る方法を探る。

    全てにおいて予測と見切り発車で動いているが、立ち止まったら飛んでくる銃弾は避けれない。
    動き続けなければ生きていけない。

    イブキは残る数人に応急処置を済ませ全員分の財布の中身を抜き取ると、スマホを手に取りゲヘナ救急医学部への連絡を済ませる。
    「ありがとね。」
    倒れ伏す少女達…の財布に礼を告げると、彼女は先の見えない路地の暗がりに進んで消えた。


    幕間、閉

  • 28二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 07:23:21

    うーん、強い

  • 29二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 07:57:53

    なるほどカツアゲかぁ

  • 30二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 10:24:42

    まあ襲って来た方が悪いしね、仕方ないね
    ドラクエで例えれば雑魚モンスターだと思ってたらモシャスで化けてた幹部クラスだったってオチか

  • 31二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 10:33:41

    キヴォトス人なら銃弾の十や二十は食らっても問題ないはずなのに、たった一発食らっただけで死んでないか心配するのって、未来だとヘイロー破壊爆弾を銃弾化したようなやつが出回ってるってことなのかな

  • 32名無しの先生25/03/28(金) 10:43:22

    >>31

    カヨコが主人公の同人誌で、そんな感じの奴が出ていたなそういや

  • 33二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 16:58:26

    保険ほしゅ

  • 34二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 17:02:02

    >>32

    何それ気になる

  • 35二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 20:11:15

    未来ホシノ譲りの人体破壊術かな

  • 36二次元好きの匿名さん25/03/28(金) 20:46:03

    イブキ(17)の戦術はサキ教官から叩き込まれたSRT式のCQB・CQC戦術をベースに参謀長から言葉で教わったティーパーティー実働部隊の戦術、ホシノから実践形式で教わった凶悪極まりない人体破壊術や環境利用闘法、その他にも外で拾った各校の戦術教本やBDで得た戦術を組み合わせたものなんだけど、細かな癖とかにゲヘナ式の動きが若干残ってたりするんだよね
    一般モブ生徒レベルだと色々混ざり過ぎてて初見殺しもいい所な戦術だけど未来ホシノや野良メイドぐらいの手練れなら「特殊部隊のやり方みたいだ」とすぐ分かっちゃうんだ

  • 37二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 01:17:13

    何かあった未来の戦力比ってどうなってるんだろう?
    一般モブ生徒一人当たりですら、過去キヴォトスと比べて1:5とかになってそうだけど
    (ただの喧嘩とガチ生存競争の意識差で)

  • 38二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 07:05:26

    念の為ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 09:58:44

    「おお〜すごい切れ味だねえ」
    バラバラになった木組みの椅子を見て小鳥遊ホシノは感心し先程まで猛威を振るっていた一振りの刃物に賛辞を送る。
    イブキはそれを受け取りサーベルを鞘に収めつつ、釈然としない表情を浮かべ二日目の夜を迎えようとしていた。

    その日の朝、目覚めて朝食を摂り準備を整えるとさっそく谷底からの脱出路捜索が始まった。
    イブキ達のいる谷間は地中に埋もれたかつての都市の一角にあり、それを構成する岩塊はアビドス最盛期の摩天楼に上から砂が堆積し何層かを押し潰し圧縮した廃ビル群。
    昨夜彼女達が野営用の機材を求められたのは、ひとえに侵入出来たビルのフロアに企業や飲食店の残骸が潰れず残っていたからである。
    そんな廃商業ビル群が目測幅150〜200メートルに渡って砂漠の渓谷を構成しており、そこから抜け出るにはビル内部を登っていくのが正攻法に思われる。
    しかし先に述べたように幾層もが押し潰された廃ビルは資材確保時に侵入出来た「比較的無事」なフロア以外は指一本ナイフ一本差し込めない有様であり、当然ながら文明の利器たるエレベーターなど使えるわけもなく階段ですら使用に耐えうる状態ではなかった。
    では岩塊を垂直に登って行くのはどうか?
    所謂登山である。高峰を征く登山家たちは機材を用いて前人未到の頂を目指す術を持っているものだ。
    …勿論これも現実的ではない。
    イブキやホシノは登山家でもないし登山の道具などここには無い。道具なしでここを登ろうなんて無謀に過ぎる。
    「おじさん無くてもぴょーんて行ける時あるよ?」
    とはホシノの言だが、何を言ってるのか理解できない。化け物か?化け物だった。
    なるほどキヴォトスの人間は「神秘」と呼ぶに相応しい力を有している。しかしそこまでの事が出来るものなのか?だったら彼女一人で抜け出て救援を呼ぶことも可能ではないか?
    そう問うと
    「まあ調子がいい時だけだけどね〜」
    と返された。なんだこの人は本当に。

  • 40二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 09:59:20

    結果としては収穫と呼べるものは無かった。
    タイムリミットが刻一刻と近付くが有効な手が見つからない。
    そんな焦燥感と徒労感の中で本日の焚き火を用意するためサーベルを持ち出した時のホシノの言葉が先のそれである。危機感のないのんびりとした口調。
    この人は今の状況を理解しているのだろうか?
    「…少しは焦ったらどうなんですか?」
    「え〜?焦る必要あるかなぁ?」
    あまりに能天気な返答に開いた口が塞がらない。イブキの知るホシノなら次の算段を即座に出せないイブキに対して面白くなさそうにショットガンの弾を一発叩き込んでくるはずだ。
    「分からないんですか?水と食料は残り少ない。なのにここから動けない。救援の呼びようも無いし脱出の術も見つからない。あなたはビルを飛んで行けると豪語してますけどそんなの絶対無理じゃないですか」
    思わず語気を強めて捲し立てる。
    こんな所で立ち止まってはいられない。しかし立ち止まった原因が目の前で呑気に焚き火を起こしまた食事を作り始めている。
    「ええ〜?私は楽しいけどなぁ。修学旅行どころかキャンプファイアーなんて贅沢だと思わない?」
    「……」
    反論する気力も無くなり黙したままホシノの対面に座り込む。何を言っても無駄だこの人には。
    言語は通じるのに言葉が通じないという奇妙さだけが未来ホシノとの共通点だった。

  • 41二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 16:50:59

  • 42二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 19:32:08

    ホシノがこれだけ落ち着いてるの既に救援要請だしてるからかな?
    しかし潜った修羅場は負けてない筈なのに精神的に未来イブキの方が余裕ないのは守るものがあるかないかの違いか……

  • 43二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 20:11:55

    信頼できる人がいるかいないかの差じゃないかな
    未来から来てるのは自分だけでこの世界の人達には何も言わずに離れたから今のイブキは本当に1人だけだし
    例え未来でこんな状態になってても救援に向かう余裕はどこにもないから1人でなんとかしないといけないと考えてそう

  • 44二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:39:32

    >>40


    その後の食事も相変わらず無言で進んだ。

    残る食料は少ない。切りつめて1日分浮かせたメニューは質素だが、過不足ない栄養価を維持できていると理性の瞳を濁らせて信じたい所だ。


    「そういえばウサギちゃんは随分急いでるんだね〜。何処かに向かってたみたいだし何かあるの?」

    焚き火に木片を注ぎ足しつつホシノが言う。

    重ねて言うがホシノはそれを妨害した張本人だ。よくもぬけぬけと言えたものだと思う。

    先ほど声を荒げたように今急いているのはこの瞬間にも胃袋に納めている食料と、谷間の陰が無ければ体力と共に倍以上の速度で減っていたであろう水が枯渇しつつあるためだ。

    それらの前提条件を丸ごと無視しての質問。この人は嫌がらせか、さもなければストレステストでも課しているのかと勘繰ってしまう。

    「その前にひとついいですか…」

    「うん?」

    そのようにホシノへの不平不満が砂漠の砂のように積もり吹き荒ぶイブキだが、とりあえずまず一番に言ってやらねばならない事がある。

    「その呼び方やめてもらえますか。」

    「ウサギちゃん?」

    「そうです。」

    イブキはウサギではない。確かに先日までRABBIT5の拝命を喜んでいたが今は違う。

    迷惑を掛けてしまった部隊を指す言葉で呼ばれたく無かったし、呼ばれ方も揶揄されるようで嫌だった。

    「私には丹花イブキって名前があるんです。」

    「イブキ?」

    聞くとホシノは口元に手を当てて何かを考え始めた。しまった。もしかして知己だったか?

    アビドスとゲヘナは隣接した校区である。交流がある可能性もあるし『今の』イブキの名を聞いた事もあるかもしれない。

  • 45二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:40:01

    イブキが疑い固唾を飲んで見つめているのに気付くと、ホシノは相好を崩しにへらと笑った。
    「ううん、記憶にない名前かなぁ〜おじさんったら女子高生を取っ替え引っ替え膝に乗せたりハーレムさんだから」
    「はあ……?」
    「じゃあイブキちゃんだ。よろしくねイブキちゃん。」
    差し出されるホシノの右手。
    さっきのサーベルで腕を叩き落とすかもしれないとかそういう類の危機意識を本当に持っていないのかこの人は?
    そう聞くと「うへっ!?そうなの!?」と手を伸ばしたまま素っ頓狂な声をホシノは上げた。
    本当にまるで修学旅行に来て見知らぬ人と話しているようだ。
    ホシノの手を握り返す。
    柔らかいが、何故かとても力強く暖かい手のひら。未来のこの人の手も、もしかしてこんな感じなのだろうか?
    「うへへ、名前も分かったし難しい話は一回置いといておじさんと恋バナしよっかイブキちゃん」
    「しません、寝ます」

    そんなぁ〜、とホシノの悲しげな声が響き砂漠の夜は再び静寂と闇に沈む。
    彼女達の耳に自らを探す者の足音が聞こえるまで、未だ僅かな時を要する。

  • 46二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 01:08:18

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 03:05:16

    未来世界の限界っぷり、地球防衛軍6思い出しますね

  • 48二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 09:44:20

    やけに恋バナにこだわるねホシノ
    話をしたいのなら他の話題でも良いのにやっぱり他人の恋愛事情とか気になるのかな?

  • 49二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 14:21:42

    果たしてホシノには聞き覚えがあるのかどうか

  • 50二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 21:03:12

    「わーお⭐︎」
    「凄いですねこれは」
    「綺麗です…」
    「………これジャミングで全部落としたらどうなるかな?」
    「やめろよ!?ほんとにやめろよ!?」

    アビドス砂漠を見渡せるような位置に突き出た廃ビルの高層部。そこでは臨時編成RABBIT小隊の面々がミレニアム製ドローンの活躍を見守っていた。
    ミカが膝に置いたタブレットにはアビドス砂漠の地図が表示されている。そこには数えきれないほどの光点が表示され、砂漠の3割を覆い尽くして縦横無尽に動き回っていた。
    地図の横に開かれたいくつかのタブにはそれらが集積したデータが肉眼の視認能力を遥かに越えるスピードで瞬き流れて行く。
    アビドス砂漠を調査する小型ドローン群・約560機。
    それらは人間を遥かに超える神の如き視点で砂漠を見つめ、荒野に逃げたウサギを探す。

    「……これは収集した情報を解析するだけで何ヶ月も掛かるんじゃないのか?」
    [問題ないわ。ドローンを並列に繋げて解析処理を調査と同時に行っているから。]
    画面上に乱舞する意味不明な文字列を見つつサキが独語すると、AIドローンがその疑問に答えた。
    数百機の高性能ドローンを用いるとはいえアビドス砂漠はあまりに広い。そんな中からたった一人の人間を探すとなると当然ピンポイントで見つけられるわけもない。
    何処を通ったのか?痕跡はないか?砂嵐の有無による地理変化は?予測ルートは何通りか?などなど……
    特定を行うために吐き出されるあらゆる調査結果の分量は膨大の一言に尽きる。
    必要か不必要かすら分からない不明瞭で胡乱な情報の中から、まさしく砂漠の中で一粒の宝石を見つけ出すような労力が必要になるのではないか。サキにはそう思われた。
    しかしAIドローン(便宜上彼女と呼ぶが)は彼女曰く量子だの重ね合わせだの光方式だのとよく分からない説明を長々と喋りつつその素晴らしさを力説する。半分以上は分からないが、つまり早くて強いという事だろうと分かった。
    ならばきっと大丈夫なのだろう。

  • 51二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 21:04:38

    「でも…やっぱりこれだけしかカバー出来ないんですね…」
    ミユがおそるおそる言う。
    それにはサキも同感だった。どうせなら全域を一気に調べられないのだろうか。
    [あのドローン達は私を中継基地として動いてるの。つまり私のカバーできる活動限界がこの範囲。そっちに私本人が機材を持って行ければこんな手間は掛けなくていいのだけれど…]
    「ん…?そっちに機材を?お前があのドローンの所に飛んで行くっていう意味か?それはやめてくれ、外の状況は知ってるだろ」
    [あっ……え、ええ。そう、ね。]
    「??」
    つっかえつつ同意すると彼女はモエの所に飛んで行った。
    大丈夫かあのAI…と少し不安になるが、致し方ない事だろうと外を見やる。昨日から途切れ途切れに砂嵐が巻き起こり、廃ビルを覆い隠してはまた晴れるを繰り返す。この調子では電波状況か何かに影響が出てもおかしくはない。
    だが、とりあえず確実にイブキへ一歩一歩近付いている。
    自分を教官と呼ぶ彼女に色々言いたい事はあるが、とりあえず見付けたら首根っこを捕まえて教えたい事が一つある。
    その時の事を想像して空を見つめ悪い笑顔を浮かべつつ、サキは今一度分析結果を聞くため外をみるのもそこそこにモエ達の方に歩み寄った。

    だから彼女には見えなかった。
    砂嵐の向こう、砂漠を踏破して押し寄せる一団──
    ゲヘナ万魔殿の軍勢が。

  • 52二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 21:07:20

    ホシノ的には脱出よりもイブキの素性を探っておくほうが優先順位高いのかも
    焦らずとも解決する見立てのようだし

  • 53二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 21:18:09

    推定元凶の人の開け閉めで起きる砂嵐でアンジャッシュが……

    ミレニアムのビッグシスターとかいう隠し事とか演技が本当に苦手な奴

  • 54二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 03:42:52

    保守

スレッドは3/31 13:42頃に落ちます

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