- 1二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:58:21
- 2二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:58:48
「アヤベさん、冗談でも怖いですよ…?」
話しかけても聞いていないのか、彼女は近づいてくる。
赤子ほどの大きさの、彼女が好きそうなふわふわなクマのぬいぐるみを前に突き出しながらじりじりと。
怖い。「彼女」がではない。持っている「クマのぬいぐるみ」が怖いと感じた。
得も言われぬ恐怖を感じ、距離を取ろうと後ずさるが、すぐさま部屋の扉に阻まれる。
構わず彼女はにじり寄ってくる。そもそも「彼女」なのかも怪しい「それ」はついにカレンチャンを追い詰める。
身体が動かない。声も出せない。クマがすぐ顔の前まで近づいて―――――― - 3二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:59:10
「――レンさん、カレンさん!」
自分を呼ぶ声でハッと目を覚ます。
よく知る天井と、心配そうなアドマイヤベガの顔が視界に入ってくる。
「アヤベさん…?」
ゆっくりと身体を起こす。時計は月曜の朝6時過ぎを指している。
辺りを見渡すと、いつもの寮の部屋である。窓の外は薄く明るくなってきているところだった。 - 4二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:59:28
「夢…?」
先程まで見ていたものを思いだす。どうやら悪い夢を見ていたようだ。
しかし妙にリアルで、まだ夢の中にいるのではないかと思ってしまう。
「ちょっと、大丈夫?」
アドマイヤベガが尋ねてくる。相当うなされていたようで心配そうに顔を覗き込む。
夢で出た「彼女」と違い、こちらは本物であると直感で分かるとほっと安堵の息をつく。
「大丈夫ですアヤベさん。心配かけちゃってごめんなさい」
「そう?ならいいけれど…」 - 5二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 03:59:50
先に行って待っているわね、と言って彼女は下の食堂に行った。
ベッドから降りて身支度をする。パジャマを脱いで制服に袖を通す。
ふと自分の机の上を見やると、あの「クマのぬいぐるみ」が置いてあった。
そこで思い出した。
この前の休日に、ファンであるという人から貰ったぬいぐるみである。
自分の耳飾りとお揃いのリボンを付けた可愛らしいぬいぐるみだが、夢の後のせいか少々気味の悪さを感じる。
あの時感じた恐怖感は確かにこのぬいぐるみから感じたものだ。
しかし仮にもファンから貰ったものであるので棄てるのも忍びない。
不安に思いながらも、とりあえず待っているであろうアドマイヤベガの所に向かうため部屋を出た。 - 6二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:14:47
待って♡
オチ……オチはどこ!? - 7二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:15:34
これで落ちていたとしたらこちらの読解力不足です、すまない
- 8二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:27:24
住人が居なくなり、部屋には静寂が訪れていた。
キィ、と音を立て、扉が開かれるまでは。
部屋に入ってきた人物は、マチカネフクキタルによく似たウマ娘である。
「よく似た」というのは、本来の彼女とは少々雰囲気が違う様子であったからだ。
そのウマ娘は部屋を見渡し、カレンチャンの机の上に鎮座しているクマのぬいぐるみを持ち上げると、背中の縫い目をハサミで切り出した。
そして、中から綿と「大量の髪の毛」がでてきた。
「なんとも、稚拙な『呪い』よな」
フクキタルに似たウマ娘はそれを袋に詰め、早々に部屋を後にする。
また部屋に静寂が訪れた。 - 9二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:31:11
終
ライブ感で書くと詰めの甘さが目立つねぇ… - 10二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 04:48:51
乙
ファンからのプレゼントは何か仕込まれているとよく聞くが…ウマ娘世界だとオカルト方面での仕込みも少なくないんだろうな - 11二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 06:17:29
乙です!
- 12二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 06:55:32
シラオキ様ありがとう
- 13二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 07:37:49
乙
- 14二次元好きの匿名さん25/03/27(木) 16:20:31
さすがはシラオキ様だ