- 1二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 20:02:22
- 2二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 20:05:27
ちょっと前スレが変な挙動で落ちてしまったので立て直ししてます
(最後の書き込みが25/03/29(土) 05:46:44なのに13時半頃にはスレ落ち、書き込み不可になってた)
【クロス】シャーレの用務員 モリタ・イチロー (四)|あにまん掲示板シャーレに就職している謎めいたトレンチコートの用務員がいる世界。ナラクのソウルが抜けた4部キドとする。(全スレからの流れの都合でSSが連投されていますが、基本的にはネタ雑談重点ですのでごあんしんくださ…bbs.animanch.com初代
【クロス】シャーレの用務員 モリタ・イチロー|あにまん掲示板シャーレに就職している謎めいたトレンチコートの用務員がいる世界。尚ナラクのソウルは既に抜けておりサツバツナイトになっているモノとするbbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 20:52:00
とりあえず診断メーカーで遊びながらスレ埋め中
千鳥ミチル=サン、おまえはニンジャになった
◇ニンジャネーム:クレイジードミネイター
【カラテ】1
【ニューロン】6
【ワザマエ】4
【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】1
【精神力】6
【脚力】2
【回避】6
【交渉】4
【名声】1
【万札】0
【DKK】0
生い立ちは『○電子戦争退役軍人』。知識スキルは『◉知識:スポーツ』。初期装備は『オーガニックスシ』。初期サイバネは『戦闘用バイオサイバネ(ローンあり)』だ。
背景タイプ『反抗心や嫌悪』:君は渋々命令に従ってはいるが、ソウカイヤに対して反抗心や嫌悪感を抱いている。あるいは単純に組織や上下関係が嫌いであり、隙あらば飛び出してやろうと考えている。ツッパった生意気な態度のせいで君は何度か痛い目にあっているが、決して信念を曲げようとはしない。 - 4二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:07:26
あまりにもノーカラテすぎる...
- 5二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:15:58
精神力の高さはだいぶ欺瞞だと思うが、それよりここ2カ月で不穏さが爆上がりしたスキル『◉知識:スポーツ』が……
- 6二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:44:47
やってみた
久田イズナ=サン、おまえはニンジャになった
◇ニンジャネーム:イエローボム
【カラテ】1
【ニューロン】4
【ワザマエ】3
【ジツ】2(カナシバリ・ジツLv2)
【体力】1
【精神力】4
【脚力】2
【回避】4
【交渉】3
【名声】1
【万札】0
【DKK】0
生い立ちは『○危険生物ハンター』。知識スキルは『◉知識:ビークル』。初期装備は『家族の写真』。初期サイバネは『サイバネアイ(ローンあり)』だ。
背景タイプ『秘密や陰謀』:君は自分の正体や本心を隠しながらソウカイヤに仕えている。それは極端な二面性かもしれないし、復讐の時を待っているのかもしれないし、組織内の反乱分子に属しているのかもしれない。あるいはザイバツ、アマクダリ、NSPDなどから送り込まれたスパイなのかもしれない。 - 7二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 21:58:14
サイバネアイ2連続か……ミサキ診断したいような気が引けるような
msk「アアアア!ダメだ!」仰け反って絶叫、いきなり自分の眼球を摘出した。サイバネアイだ!「もう我慢できない!」コップにイン!
sor「ダメだ!精密機器だぞ!」
msk「バニタス!知ったこっちゃない!明日は要らないんだよ!」 - 8二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 22:37:54
ちゃうわミチルは目じゃなかったわ。仲間外れはよくないからね
大野ツクヨ=サン、おまえはニンジャになった
◇ニンジャネーム:キルリーパー
【カラテ】1
【ニューロン】3
【ワザマエ】1
【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】1
【精神力】3
【脚力】2
【回避】3
【交渉】1
【名声】1
【万札】0
【DKK】0
生い立ちは『○元ハッカーカルト』。知識スキルは『◉知識:サラリマンの流儀』。初期装備は『カタナ』。初期サイバネは『戦闘用バイオサイバネ(ローンあり)』だ。
背景タイプ『秘密や陰謀』:君は自分の正体や本心を隠しながらソウカイヤに仕えている。それは極端な二面性かもしれないし、復讐の時を待っているのかもしれないし、組織内の反乱分子に属しているのかもしれない。あるいはザイバツ、アマクダリ、NSPDなどから送り込まれたスパイなのかもしれない。
……サラリマン?昼飯の流儀な? しかも全員ローンありだぁ……(女子高生収容所の気配) - 9二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 22:58:12
全体的にカラテがよわすぎる,..
下手すればヨタモノにも負けるぞ - 10二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 22:58:26
保守重点
- 11二次元好きの匿名さん25/03/29(土) 23:02:44
じゃあ比較対象やってみよう。サイバーパンク重点ってことでネルで
美甘ネル=サン、おまえはニンジャになった
◇ニンジャネーム:ゴールデンウォーカー
【カラテ】2
【ニューロン】6
【ワザマエ】5
【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】2
【精神力】6
【脚力】3
【回避】6
【交渉】5
【名声】1
【万札】0
【DKK】0
生い立ちは『○テッポダマ』。知識スキルは『◉知識:スポーツ』。初期装備は『オーガニックスシ』。初期サイバネは『クロームハート(ローンあり)』だ。
背景タイプ『反抗心や嫌悪』:君は渋々命令に従ってはいるが、ソウカイヤに対して反抗心や嫌悪感を抱いている。あるいは単純に組織や上下関係が嫌いであり、隙あらば飛び出してやろうと考えている。ツッパった生意気な態度のせいで君は何度か痛い目にあっているが、決して信念を曲げようとはしない。
お、割とそれっぽい - 12二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 01:18:47
カンナ・コノカとトコシマのデッカーコンビの絡みが見たいなあ……と思ったけど第4部時系列だと退職済みだったわ
ムギコ=サンも割といい絡みかたしそうではある(タキとサメとボンサイのノイズが酷いけど) - 13二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 07:46:28
戒野ミサキ=サン、おまえはニンジャになった
◇ニンジャネーム:ウインドスリケン
【カラテ】5
【ニューロン】6
【ワザマエ】5
【ジツ】3(カナシバリ・ジツLv3)
【体力】5
【精神力】6
【脚力】3
【回避】6
【交渉】5
【名声】1
【万札】0
【DKK】0
生い立ちは『○生粋のソウカイヤクザ』。知識スキルは『◉知識:オカルト』。初期装備は『オーガニックスシ』。初期サイバネは『無し』だ。
背景タイプ『違和感や外部存在』:本人が気づいているかどうかに関わらず、君はソウカイヤや裏社会に全く馴染めておらず、場違いですらある。しかし粛清を受けたり、今すぐ逃げ出すほどではない。あるいはヨロシサン、オムラ、INWなどから派遣された出向ニンジャ、もしくは傭兵ニンジャかもしれない。
よかったサイバネアイじゃなかった。しかも結構強い
けど、生い立ち『○生粋のソウカイヤクザ』って……
- 14二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 11:56:36
じゃあぼちぼちSS投下再開
(このSSは)
前スレ(三のほう)100あたりから参照
いきなり長すぎた。自分も書いてみたいって人は、まず試しに起承忍殺各1レスくらいでかくべきとおもう
(今の状況)
・舞台はゲヘナ
・なんか違法薬物で治安が終わっている
・原因はネコ・フリークス生徒のニンジャ、ブリストルグラス
・イオリとアルが頑張ってた
・Wasshoi!判定でブリストルグラス=サンが判定に失敗、サツバツナイト=サンがPOPしました
・どうにかせよ - 15二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 12:00:06
「イヤーッ!」
ブリストルグラスはニンジャ第六感で致命の一撃を察し、連続側転でタタミ10枚の距離を取る。0コンマ5秒後、彼女がいた地点の床が空対地カワラ割りで粉砕! 飛び降りてきた影は前転着地で衝撃を殺し、床、瓦礫、柱を蹴って跳躍!空中で7回転半してキャットタワーめいた鉄骨の残骸に着地し、アイサツした
「ドーモ、サツバツナイトです」
ジェットブラックの装束、口元を覆う鋼鉄メンポに刻まれた禍々しい「殺」「伐」のカンジ、首に巻かれたボロ布の端から橙色の火の子が散る。読者の皆さまには今さら説明の必要はあるまい、彼こそはシャーレ用務員イチロー・モリタ……本名フジキド・ケンジ! かつて貪婪の都ネオサイタマを震撼せしめ、「死神」と呼ばれた復讐鬼である!
「ど……ドーモ、ブリストルグラスです」
ただならぬ殺気に気圧されながらも、ブリストルグラスは合掌し、アイサツを返す。ニンジャのイクサにおいてアイサツは神聖不可侵の行為、古事記にも書かれている。それはキヴォトスでも変わることはない
「やはり生徒か。ダイアライシス=サンは一足先にサンズ・リバーを渡った。オヌシのアンパン・ドーピング遊びもここまでだ」
「そうなの……困ったな。代わりを探さないと」
「なるほど、壊れたオモチャのようだ。電池を抜いて妄言を止めるとしよう」
殺意と狂気、イマジナリ・カラテが交錯する。崩落した地下倉庫はさながら、ジゴクに垂直落下するエレベーターだ
(な、何これ……この声……フジキド=サン? ニンジャ……ニンジャナンデ?)
イオリは激痛を堪えて身体を動かし、状況を把握しようとする。
これが、ニンジャか……便利屋事務所で合った時のフジキドの姿を思い出す。これが彼の本性か?何があればこうも変わるのか? ……そうだ、アルは――
「生徒で、ニンジャ! ドローンが壊れた時にヘイローが変形してたわ! 攻撃を受け流す良くわからない能力! 銃!殴る蹴る!物をぶつけるのは効かない!何か越しだと少し通る! 刃物、火、電気も少しは効くけどここじゃ限界! 爆発物は……たぶん火と熱の方が……それから……それから他には――」
「――2人とも、よくやった」
まくし立てるアルをサツバツナイトは遮り、労う。イオリにもだ。アルは力尽き、柱の根元に崩れ落ちて、血と安堵の混じりあった息を吐いた
- 16二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 18:55:48
念のため保守
- 17二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 00:10:14
「へえ、優しい。がっかりさせないように褒めるなんて、そんなつまらない情報で――」
「これで9割だ。目が覚めたか。それとも気付かぬほどマタ・タビが回ったか?」
サツバツナイトの眼光がブリストルグラスを見据えた。見返す彼女の眼には、僅かだが確かに恐怖が――「イヤーッ!」BLAM!BLAM!機先を制する射撃!狙いは動けないイオリとアルだ! だが、
「イヤーッ!」
サツバツナイトが射線にインターラプトし、ブレーサーで銃弾を防ぐ。「イヤーッ!」追撃!BLAM!BLAM! だが当たらぬ! 2人を狙う銃弾のみを的確に防ぎながら、サツバツナイトは漆黒の風と化して駆け、ワン・インチ距離に迫る!
「イ、イヤーッ!」
「イヤーッ!」
ブリストルグラスのトビゲリが首を狙うが、所詮はヤバレカバレ! 床を這うほどに姿勢を低くし、伸びきった脚をくぐりながら極め、勢いを利用して床に叩きつける。暗黒カラテ、変形リバース・イポン背負い!
「ンアーッ!」
「……これで、10割。知人の弁を借りるならば――『だいたいわかった』」
ウインドミルで追撃を防ぎつつ跳ね起きるブリストルグラスを、サツバツナイトは無慈悲に見下ろす。……一瞬の攻防。無敵だったはずのニンジャが……信じられぬ光景だ。彼は何をした? ようやく上体を起こした不自然な姿勢の、ニンジャ動体視力を持たないイオリには見えないのも無理からぬことだ。だが、
(何だ……今の?)
狙撃手である彼女の眼は捉えていた。サツバツナイトが「何か」をオマモリ・タリスマンにしまうのを。そして手の中で崩れて消える鋼鉄の星、スリケンを
「何が、分かったって? 実際私の膝は無事のようだけど」
「これ以上は無駄ということだ。来るがいい、ブリストルグラス=サン」
「増上慢!イヤーッ!」
銃をリロードし、近接カラテを仕掛けるブリストルグラス。ニュービーと言えど、生徒の強靭な肉体から繰り出されるカラテは実際油断ならぬ。ケリ・キックが金属バネめいた唸りを上げ、大口径ハンドガンが隙を突いた致命の一撃を狙う! だがサツバツナイトはそのすべてを捌き、防ぐ。積み重ね、研ぎ澄まされたカラテは付け焼刃を寄せ付けぬ! そして腰を沈めた姿勢から、銃を弾いて開いた胴へとヒサツ・ワザ! ポン・パンチだ!
「イヤーッ!」
- 18二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 07:29:51
保守
- 19二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 12:36:56
保守
何とか完結まではもたせたい - 20二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 13:28:31
おお…復活していたのか!
もうダメなものとばかり - 21二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 18:36:16
- 22二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 21:39:13
- 23二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 23:50:23
ここの掲示板のシステムあんまりわかってないんだけど、他にもあるんかなこういうケース
さてエイプリルフールに備えて、久々にスレイヤリーでも読んでおくか……明日の朝はさぞ生徒たちがカワイイに見えるだろう - 24二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 05:31:37
今年は昼頃に来るらしい
備えよう - 25二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 06:36:37
そっち(アズレン)かよ!かわいいね!
- 26二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:39:32
正実モブ=チャンカワイイヤッター!
……で忍殺は遅くなりそう?また自販機ニンジャのせい? - 27二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 19:36:50
ま さ か の 右 に 傾 く
後でプラスの方でアイドルとかしてこないだろうな…… - 28二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:55:05
- 29二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 00:18:22
サツバツナイトの拳が己の鳩尾にめり込む様を見下ろして、ブリストルグラスはほくそ笑んだ。弾かれた弾切れの銃をそのまま放り、チョップを振り下ろす
(「分かった」? ほら、効かないじゃない! ブザマに息を乱して……このまま首を腕ごと――引き戻しきれず不自然に捩じれたままの――?)
「スゥーッ!ハァーッ!」
己のウカツを悟るが、もはや手遅れ! 振り下ろされたチョップがサツバツナイトの手首に触れ――
「イヤーッ!」
「ンアーッ⁉」
チャド―奥義・サツキ!断頭チョップが静止する! 腕を伝わる異様な手応えに身悶えし、手を引くブリストルグラス。その両肩へと、カラテをみなぎらせたサツバツナイトの拳が叩き込まれる! 本命のダブル・ポン・パンチだ!
「イヤーッ!」
「ンアーッ⁉」
低い破裂音とともにブリストルグラスが弾き飛ばされ、タタミ5枚分後ずさってようやく止まる。外傷こそないが確かに打撃は通った!ゴウランガ!サツバツナイトはいったい何をしたというのか⁉
「な、ナンデ? 私のムテキが……」
「説明する義理はない。分かるまでせいぜい耐えてみるがいい。イヤーッ!」
「イ、イヤーッ!」
とっさにガードした腕が掌底の連撃で弾かれる。無防備な胸に、胴に、腹に、セイケン・ツキの連打!連打!連打!間断なく打ち込まれるカラテ! ブリストルグラスは必死に衝撃を逃し、銃撃とチョップを繰り出す隙を探すが、荒れ狂うカラテの暴風の前には無力!
「……起きれそう?」
「あ……うん……」
呆然とするイオリを、アルが支える。2人とも這うのがやっとの有様だが、痛みを感じる余裕はなかった。それ程の未知だ。((いったいどうやって……))訝しむが、ニンジャのカラテを初めて目にする2人には、サツバツナイトが何をしたのかを知る術はない。――だが読者諸兄には説明せねばなるまい
ブリストルグラスが使うのはムテキ・アティチュードの亜種だ。体内を満たす均一・高密度の血中カラテで、衝撃のみをバイオヤナギめいて受け流す。彼女に触れたものは力の作用・反作用を失い、静止する感覚を得る。実際、アルとイオリの銃弾は皮膚を貫くことも弾かれることもなく、その体表を滑るように逸れていた。加えて常時発動し、身体の硬直もカラテ・シャウトの必要もない
ではサツバツナイトは如何にして? 言うまでもない。カラテだ
- 30二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 07:34:47
- 31二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 11:55:38
- 32二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 12:38:10
カードゲーム詳しくないんだけど、このマカロン的なもの使うシリーズって実際あるの? 家庭麻雀でうまい棒を点棒代わりにする的な?
で、これ流行ったら放課後スイーツ部がこうなるだろうな
古くから伝わる大人の遊戯…麻雀
今宵も威信を賭けた男たちの戦いが幕を開ける…が、しかし、誰も麻雀のルールを知らなかったのである…!!
麻雀のルールを知っているほどにクスっとくる場面が多いので、読む度に新たな発見があるかも?
"役"を知らぬ男たち…最後にアガるのは誰だ!?
10巻177幕にて! — ギャグマンガ日和 公式 (gagmanga_biyori) 2020年10月22日 - 33二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:15:26
- 34二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 23:23:01
保守重点
- 35二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 00:03:26
「イヤーッ!」ヤバレカバレのサミング。サツバツナイトは瞼に触れる距離まで待って蚊を払うように裏拳で弾く
――1つ。このムテキは反動ごと衝撃を殺す。解除しなければ己のカラテも無効、すなわちカウンターは有効だ!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」反撃のポン・パンチ!爆発的なカラテ衝撃に後ずさるブリストルグラス
――2つ。エスケープメント・ジツとは異なり、衝撃の全ては殺せない。銃撃、爆発、質量……その程度であれば生徒の強靭な肉体に通じない程度には減衰できる。だがこのカラテには!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」サツバツナイトの連打!連打!打ち込まれるカラテの波紋が、ブリストルグラスの身体を伝い、ぶつかり合い、深海のメイルシュトロームめいて更なる無軌道な力を生む!
――3つ。このムテキの要諦は鏡の如く凪いだ血中カラテだ。だがサツバツナイトの連撃、体内で乱反射するカラテ衝撃がそれを許さぬ! 太古の暗殺術チャドー奥義・アラシノケン、その応用だ!
しかも、おお!読者諸氏よ、ニンジャ視力を凝らしていただきたい!サツバツナイトの拳は全てブリストルグラスの表面、ワン・ペーパー距離で奥ゆかしく停止!ムテキの力場に囚われることなく、カラテ衝撃のみを間断なく打ち込み続ける!ワザマエ!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イ、イヤーッ!」「イヤーッ!」「イ……グワーッ!』「イヤーッ!」『グワーッ!』「イヤーッ!」『グワーッ!』「イヤーッ!」『グワーッ!』「イヤーッ!」『グワーッ!』「イヤーッ!」『グワーッ!』
ブリストルグラスは遂に、折れた柱に押し付けられた。受け流した衝撃がコンクリートを砕き、生じた亀裂に身体が埋め込まれていく
サツバツナイトの連撃が止まる。だが千々に乱れたムテキが逆に彼女自身を拘束、逃れる術はなし。インガオホー!
- 36二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 00:57:39
『バカな……私は、生徒で、ニンジャなのに……こんな理不尽!』
「ノーカラテ、ノーニンジャ。カラテが理不尽を殺し、理不尽を通す。ハイクを詠め、ブリストルグラス=サン」
『ヤメロー!』
命乞いを拒絶するようにサツバツナイトは反転!その背に、踏み込む足にカラテを漲らせ――
「ニンジャ、殺すべし!」
「――なっ!?」
「ちょ!ちょっと待ってそれはダメ――」
「イヤーッ!」
『グワーッ!』
イオリとアルが制止する間もなく、サツバツナイトはその背をブリストルグラスに叩きつけた! 暗黒カラテ、ボディチェック!
ブリストルグラスの身体は砕けた柱ごとピンボールめいて吹き飛び、壁に激突! 砕けた石礫と粉塵が爆炎めいて舞う!そこにうっすらと人影が浮かび……次の瞬間!
『サヨナラ!』爆発四散!
ゲヘナ自治区をネコと毒霧に沈めんとした狂気のニンジャ、その最期であった
「本当に……爆発四散しちゃった。嘘でしょ……こんなことになるなんて……わ、私、なんてことを……」
一部始終を見ながら、アルは顔面蒼白で腰を抜かし、嗚咽をもらしていた
確かに自分は戦ったし、微力どころか実際役に立ったのかすら分からないがサツバツナイトのイクサも助けた。自分の死と、相手の死を覚悟した瞬間も、確かにあった
だが……今、目の前で起きたことは、覚悟などという言葉ではとても――
「……たぶん、大丈夫」
「へ?」
呆けた声を漏らすアル。イオリも、どこか夢遊病めいた声色で、しかし確信を持って続ける
「距離がズレてた。……爆発の方が……少しだけ遠い」
視線の先、ザンシンを終えたサツバツナイトは――否、いつの間にかトレンチコート姿に変わったフジキドは、壁際へと向かい……瓦礫の中からミネサをすくい上げた。ヘイローがないが、微かに呼吸の動きが見てとれた。気絶しているだけのようだ。マントも制服もズタズタに裂け、白い肌が見える。……特に背中に、酷く擦りむいたような傷がある。だが命に関わる程ではない
「…………」
アルは無言のままそれを眺め、緊張の糸が切れたのだろう、失神した
そしてイオリは、あるものを見ていた。ブリストルグラスが最期に叩きつけられた壁の、薄いコンクリートが剥がれ落ちた先の岩壁に……人の形に焼け焦げた痕があった
(そうか……あれが)
限界だった。イオリの意識もそこで途切れた
- 37二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 08:18:51
ニンジャマスターカイの設定酷いな(褒めてる)
……ところでブルアカには流行のカードゲームと、幼女化薬作れるヤツと、引き延ばしでやるホビーを作りそうな部(だいぼうけん!時空)がいたな - 38二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 13:31:13
- 39二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 20:48:40
デスポーレン=サン殺すべし……昼間に喉鼻辛い
- 40二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 00:43:05
イクサは終わった。そして次のイクサが始まっていた。蜘蛛の巣めいて「外して保持」のテープが張られた廃墟群の合間を風紀委員会と救急医学部が駆け回り、負傷者をトヨスのバイオサンマ水揚げ港めいて乱雑に救急車に積み込んでいく。負傷者を生み出した張本人、ムツキとツインテイルズ、オー・オーは、路肩の事故車をベッド代わりにのびていた
地下の大穴前では、アコが降下部隊を指揮する。複数の風紀委員たちが安定した鉄骨を探し、ハーケン代わりにロープを結び伝っていく。……入れ替わりに穴を上る色付きの風には気付くことなく
『地下1階の負傷者全員を確保。気絶していますが軽傷です。――あ、イオリたちを視認しました』
「了解。救急車を回すね。……あ、ごめん後は任せた」
シッテムの箱――アロナたちに通信を任せ、先生はフジキドを迎えた。見とがめる者はいない。ニンジャ野伏力のなせる業だ
「……ありがとうございます」
「礼はまだ早い」
フジキドはオマモリ・タリスマンから小さな無菌パックを取り出し、先生に渡した。中身は小指ほどの髪の束だ
「ニンジャであった時のものだ。分析結果次第では」
「させませんよ」
「……そうでないことを祈るとしよう」
否定はしない。代わりにフジキドは視線だけで、暗く細い路地へと先生の意識を促す。……闇の中、ちょうど目の高さに、白いひび割れが浮いていた
「ドーモ……ダイ・ニンジャです」
「これはこれは、カイデンネームでのアイサツとは誠に恐縮です。ドーモ、私のことは『黒服』とお呼びください」
「覗き見か? 趣味が悪いぞ」
「心外ですね、事象の観察は、今回は正当な報酬のはず。ご提供した『ヘイローを破壊する爆弾』――不完全なものですが、それをどう使うのか、を」
クックック、と含み笑いのノイズが混じる。その先はあえて語らない
「守るべき生徒がニンジャになったら?」 まずこの懸念への対処を迫られた先生に、今回は黒服から接触してきた。数度のやり取りを経て、先生経由でフジキドが入手した忌まわしき爆弾は、神秘とニンジャソウルの性質の検証に使われた。過程で誰に対して、いかなる実験が行われたか……そこまではフジキドは先生に知らせていない
推論――ニンジャソウルと神秘は存在のレイヤーを異にする。生徒はソウル憑依ではニンジャにならない。今回起きたのは恐らく、ソウルの「寄生」による神秘の暴走だ
- 41二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 06:42:13
驚愕のニンジャしんじつ…
- 42二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 07:17:27
- 43二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 08:21:21
- 44二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 12:43:04
◇◇◇明日な◇◇◇
(今日はノミカイ・インシデントなので更新はありません)
(単発ネタレスもしないとは言ってない) - 45二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 20:19:55
保守ついでに
後付けになるけど時系列がAoMシーズン2以降なので、シトカのヒャッキ・ヤギョでようやく生徒にディセンションできるくらいになった、って感じ
(普通に以前からニンジャ化有りだと見た目似てるテラー化のインパクトが薄まるので)
神性には手が出せないというより、今回は別の神話体系に組み込まれて名前が変わる(例:シヴァ神⇒大黒天)はずが、設定すり合わせが全然なってないのでカルト判定、否定された(例:……やめておこう)
なので今回が最初のケース、あくまで推定でしかない、という設定にしてる(例えばシヴァ神の神秘持ち生徒にダイコク・ニンジャが憑いた場合どうなるかまでは保証しない)
- 46二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 01:03:13
保守
- 47二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 05:57:45
- 48二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 07:17:18
言うてもフジキドはモータル相手にいきなりはヤバいカラテ鍛練させないだろ。どこかのポンコツ豊満c.v.アズサならともかく
⇒あ、でもゴッドハンド=サン回で……(あれをモータル扱いでいいかは別として)
⇒念のため読み返そう(実況付き)、ってこの回シヨン開始直後だったんかい
⇒レイ「イヤーッ!」クローン野球ボール「「「グワーッ!」」」(タワーディフェンスめいたフラッシュ作画脳内再生)(今ココ)
- 49二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 13:12:18
下手な各校最強格よりも先にリアルニンジャ化しそうだなスミレ
- 50二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 15:11:35
「既に神秘と深く結びついている物理肉体には直接干渉できないため、神秘を歪めてニンジャとしての性質をエミュレート……故にカラテによってより親和性があるソウルを弱め、相対的に神秘を強めれば除去できるやも。――あくまで推論ですがね。実に興味深い」
「……オヌシのような輩を1人、知っている」
沈黙。殺気と、恐らくは恐怖で闇がゆらいだのが先生にも分かった
「……INWのリー先生ですね、ご高名はかねがね。…………いえ、心得ています。少なくとも今は、私は、生徒の皆様には手を出しませんよ。ニンジャソウルは手に余ります。何より『死神』と事を構えるのは少々懲りておりますので。では、またいずれ……」
そう言い残して黒服は溶けるように消えた。含み笑いの残響はすでになかった
「先生、オヌシも厄介な者に憑かれているようだな」
「まったくです」
遠ざかっていた喧騒が戻ってくる。……大穴の周辺が一際騒がしくなった。救助班が最下層の3人まで到達したのだろう、セナとチナツが医療キットを背負い、命綱をロープに繋ぐのが見える
「行くがいい。生徒たちが待っている」
「フジキド=サンは?」
「彼女たちにとってのセンセイはオヌシだ。私ではない」
プラナの通信を受けた、重傷者用の設備を持つ救急車を追って、先生は歩き出す。フジキドはその背に、努めて静かに声をかける
「ソウル憑依によるニンジャ化にも例外はある。今回が例外でない保証も、次も同じようにソウルを切り離せる確証もない。そして一度ニンジャとなれば戻す手段は、ない。力に呑まれて狂い、殺し、殺されるか……あるいは例外的に、ソウルを御すことができるか。いずれにせよその時が、私の出番だ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 51二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 21:19:48
先生とはまた違った責任を負う覚悟してるんだなフジキド
- 52二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 21:35:19
――3日後。便利屋68事務所
「社長……今回は私のせいで」
「え~?いいのいいのそんなことはウフフ、不運も笑ってカバーし合って切り抜けるのが私たちアウトローじゃないウフフフ」
「アルちゃん、気持ちは分かるけどいい加減ちゃんと返事したげなよ。ハルカちゃん床に埋まっちゃうよ?」
見渡す限り爪とぎ痕の室内。恐縮するカヨコ。無言で五体投地するハルカ。徘徊する野良猫。そして……アル。猫の毛塗れのデスクチェア上に正座し、膝に人懐こい子猫を1匹乗せ、連邦生徒会名義の小為替をうやうやしく捧げてクルクルと回っている。包帯と湿布に包まれた痛々しいはずの顔は、マタ・タビ中毒者以上にだらしなくにやついていた
事態は驚くほど早く収束した。
マタ・タビは元々、無差別にまくような薬物ではない。元凶が消え、雨も降ったことで効果はすぐに失われた。特定できれば所詮は素人、流通ルートも容易に判明。ブリストルグラスの企みがいかに実現性のない、狂気の産物であったか……
懸賞金は風紀委員会、救急医学部が辞退したため、全てアルとムツキが受け取った。ツインテイルズとオー・オーはその1割を貰い、逃げるように旅立った。最大の懸念は、アルの怪我を見たハルカが錯乱、暴走することだったが……余りのショックに気絶したため、ある意味で事なきを得た
「ウフフ……ウフフ……」
そしてこの有様だ。アルは社長の面目躍如に酔っていた
「ねえ、アルちゃん? ムツキちゃんから有能社長に、一つだけ言わせてもらうけど……」
「ええ!何でも言ってごらんなさい!ウフフ……」
「……次あんな無茶したら、退職しちゃうからね」
「……」
空気が凍った。デスクチェアの回転がゆっくりと止まり、3人の視線が、表情だけはいつも通りの笑顔のムツキに集まる
「お返事は~?」
「……ごめんなさい」
アルはバツが悪そうに、膝の子猫をどかす
「ま、まあともかく! これで資金難は解消、事務所も直して本業再開よ! なにせ私たち今絶好調だから!」「アルさま!次こそは私お役に立ちます!」「まだ調子乗ってる……」「あ、アルちゃん、事務所直すついでに玄関の変な機械全部取ってね」「え?だ、だめ? 不動産管理仲介部がセット割対象だって……」「え~かわいくなーい」
傾いた「一日一悪」のショドーの下、すぐいなくなるだろう猫に囲まれ、いつもの4人が笑っていた
- 53二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 21:44:28
- 54二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 21:47:23
残念、まだあと1~2レスある。便利屋だぞオメェ
- 55二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 23:27:44
……2日後
KRAAAASH!
「……………」
鉄球が叩き込まれる昨日までの事務所を前に、アルは白目を剥いていた。手の紙片は立退き通知だ
老朽化してヒビの多いビルは結局、マタ・タビの臭いが抜けなかった。町中の野良猫が集まり、騒音や異臭に苦情が殺到、あっさりと解体が決まり、実行された
「あの……社長、本当にごめん」
「ほらほらカヨコちゃん、アルちゃんも、不動産屋行くよ~ 立退料貰えたし頭金はあるんでしょ?」
「わ、私、テントと寝袋取ってきます!質屋から」
ショッギョ・ムッジョ……だがこれもゲヘナではチャメシ・インシデント。子猫が1匹、名残惜しそうにアルにすり寄ってから、路地裏に姿を消した
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はい、これでよし。傷は残らなさそうですね。先生も心配してました」
「……あのヘンタイ」
風紀委員会本部。下着姿のイオリが手足を曲げ伸ばして、チナツが替えた包帯の具合を確かめる。ヒナは2週間は休ませるつもりだったが、本人の希望で今日から復帰だ。実際、人手は足りない。チナツもこの後、救急医学部の支援に戻る
ミネサや他の生徒の身柄は、治療と経過観察を兼ねてセナが預かっている。ブッダにも一片の慈悲があったか、彼女たちはニンジャ・リアリティ・ショックにより事件の記憶を失っていた。ブリストルグラスと直接対峙したイオリたち以外に真相を知る者はなく、情報統制は容易だった。染色体のクロオビ化も確認されず、心身共に異常なし。間もなく、今度こそ日常に戻れるだろう。猫に嫌われることもなくなったらしい
「イオリ、便利屋との任務はどうだった?」
ヒナが書類から顔を上げ、声を掛けた
「あー……まあ、悪いヤツじゃなかった、かな? ……性質の悪いヤツらではあるけど」
制服の袖に手を通しながら、イオリは微笑と苦笑の混じった表情になる
「まあ? いろいろ努力はしてるみたいだし? 次からはまず話くらい聞いてやっても――」
『出動要請! 市街地で爆発、現場には便利屋68が――』
「アイツらーッ! もう許さないからな!」
「……イオリは元気ね」
片手に銃、片手で足に絡むスカートを引き上げながら飛び出したイオリを、ヒナは優しい目で見送って……最近機嫌がいいアコの煎れた、いつもより美味しくないコーヒーに眉をしかめた
(「トゥー・アーリィ・フォー・エクスプロッシヴ・パンチライン」 終わり)
- 56二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 00:09:13
このレスは削除されています
- 57二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 00:23:30
◇青◇ ニンジャ名鑑#xxxx 【ブリストルグラス】 ◇春◇
ゲヘナ生徒・長谷地ミネサにネコ・ニンジャクランのソウルが憑依。完全な憑依ではなく、神秘を変質させ空崎ヒナに匹敵する身体能力を得たが、カラテは未熟で精神も極めて不安定。衝撃を受け流す特殊ムテキ・アティチュードの使い手
ニンジャネームは「エノコログサ属(bristle grass)」、つまり植物の方のネコジャラシ。装束はいわゆるキャットスーツで、制服と下着の間に生成されてます。最後に背中をケガしてるのはニンジャソウルが抜けたときのもの。インターラプター=サンの最期が元ネタ(無印漫画版がイメージしやすい)
生徒の名前は、猫が重要なクトゥルフ神話のうち、『ブバスティスの猫の女神』(バステト神)と「ウルタールの猫」の登場人物『メネス』から拝借。「ゲヘナじゃなくてアビドスじゃねーか」とか言わない
サブタイトルはご存じスカラムーシュ=サン回のパロディ
直訳すると「爆発オチにはまだ早い」 ……なにぶんモモイ並みの英語力なのでご勘弁を
(ちょっと名鑑の書き方が原作に寄せすぎてたので修正・再投稿してます) - 58二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 06:03:41
オツカレサマドスエ
- 59二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 12:04:10
(おまけ)スレイト・オブ・キヴォトス
タブレット端末のシッテムの箱の画面には、今日もキヴォトス各地の生徒たちの様々な営みがライブカメラめいて映し出されています。今映っている光景は……(アロナ弁)
【某日、ゲヘナ学園風紀委員会委員長室:空崎ヒナ、天雨アコ】
「はい……はい、分かりました。約2分後に第26小隊が行くので押収物を預けて、あなたたちはそのまま警備を続けてください」
いつもは迎賓館めいて瀟洒な室内。今はそこかしこにディスプレイと通信用UNIXが置かれ、256色のLANケーブルがカーペットの上を這っている。ドアは施錠され、外側に「機密情報保持のため立入禁止な」の張り紙。唯一、ヒナの机はきれいに整えられ……しかしそこにヒナの姿はない
通信が途切れ、しばしの静寂。ソファーに腰掛け、各部隊の指揮と報告の整理・分析を続けるアコは、かすかな身じろぎを感じて視線を下げる
「ん……ふあ……」
生まれたての子猫めいてぐったりとしたヒナが、アコに膝枕され朦朧としている
タイミングが悪かった。本来マタ・タビ程度でどうにかなるヒナではないが、万魔殿の横槍その他による過労で抵抗力がなく、無力ではないため多幸感もなく、ただ重度の倦怠感が彼女を蝕んでいる。なお幸いにも万魔殿はイブキ以外中毒で倒れ、嫌がらせは絶えた
(ヒナ委員長の存在は最大の抑止力、誰にも知られるわけにはいきません……それに)
ヒナを撫で、髪をすくアコ。ヒナが薄く目を開け、アコを見上げる
「アコ……お水、欲しい……」
「はい、どうぞ、ヒナ委員長」
経口保水ゼリーを口元に寄せる。ヒナは小さな舌を伸ばし、チューブから絞り出されたゼリーをチロチロと舐める。「んっ……」満足げに緩んだ口元から時折、小さな吐息の音がする
(ンアアアアアアアアア!カワイイ!カワイイ過ぎますヒナ委員長!ンンーッ庇護欲が!庇護欲が無限に倍増!私今体温いくらあるんでしょうか!か、髪!委員長の髪!アイエエエ!あちょっと痛い太ももに角が刺さる、でもこれもヒナ委員長の愛と信頼の証イタッ!で、でもちょっと癖になりそうなンアーッもぞもぞする委員長カワイイ!アーイイ!遥かにイイーッ!)
アドレナリン過剰分泌により、アコのタイプ速度は通常時の3倍に達していたが、ヒナのことを考える割合も増えたため業務効率はさほど変わらなかった - 60二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 19:04:50
SS1つ終わってニューロンが疲れたので、頭を使わなくていいネタ書き込みたい
頭を使わないと言えば……
そうだね、アイアンアトラス=サンだね - 61二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 20:02:57
- 62二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 20:43:21
となるとコミタ役は……かわいそうなフウカ
- 63二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 22:35:53
BRATATATATATATA!
「ん、ボーナスゲット!」
”い、いきなり何やってるの⁉”
「ん、それはもちろん、ボーナスマンは撃ったらカネを落とすから。知ってる?」 - 64二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 05:42:42
退廃的薬物前後の誘惑に勝ったのはさすが忠犬といったところか
- 65二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 12:27:05
ユウカ「悲しみも怒りも因数分解してやるわ!」
アイアンアトラス「すっげえ、お前今日からUNIXマンな!」
わあすっごく低知のうっぽい - 66二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 20:39:18
「オウ、ドーモUNIXマン! オンセン行こうぜ!」
「アイエッ⁉」
「スゴイ」「遠赤外線が2倍」「ウラン」「溶けるほどリラックス」「つい掘ってしまう」煽情的なインターネット広告に釣られてアイアンアトラスと無軌道学生コミタがやってきたのはゲヘナ学園にある至高の温泉!――の源泉(推定)。実は風紀委員会が温泉開発部のヤツらを捕まえるための罠!
……だったはずなのに!
「今回はヒナ委員長サマでも文句は言わせないぞ? ちゃーんと二束三文で土地を買ったし万魔殿の許可も取ったし環境アセスメントも済んでるんだからなあハーッハッハッハッ!」
「ぐぬぬ……」
「私たちの負けね、アコ」
「オーイ何してんだよ入らねえの? おっコッチは熱そうだなオンセン卵やろうぜ!」
ホントに出た! 今夜はオンセンパーティーだ! でも実はここには、ギャング団がこっそり隠したオタカラが!
「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」
「すげえな!ボーナスマンも湧いてくるぜこのオンセン!」
先生も生徒もニンジャも全裸で大乱闘!弾むメグの豊満なバスト!湯気がいつもより白くコンプライアンス重点!
【アイアン・アトラス・ホットスプリング!】 - 67二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 20:42:04
青少年のなんかが危ない!
- 68二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 22:56:30
イロハ「いい加減愛想が尽きたので、アイアンアトラス=サンを擁立してマコト先輩を追放しましょう」
【アイアン・アトラス・エレクション!】
英単語1つでネタにできる汎用性よ - 69二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 05:58:12
「お前プレジデントマンな!」
休暇取ったプレジデントとの珍道中 - 70二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 07:25:41
「オウ、勇者マンじゃねえか」
「パンパカパーン!アイアンアトラス=サンがパーティーに加入しました!」
(頭を抱えるケイ) - 71二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 12:26:50
- 72二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 19:36:45
導入部はゲーセンでネルと低レベルな争いしてるんだろうな
- 73二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 21:37:28
さてそろそろ次のSS準備するか
三題噺形式とかで募集しようかと思ったけど、うち何か百鬼夜行勢来なくて書きにくいし…… - 74二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 00:53:58
◇◇◇予告◇◇◇
忍
倫
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
鋭角に切り抜かれた青白い光と、切り残された闇のコントラスト。オバケ・パビリオンめいた叡智の聖堂、四方を囲む液晶のステンドグラスには、緑、白、黄、そして赤……目には見えない電子の奔流が生み出す星々が絶え間なく瞬く。未踏の命題を求める巡礼者の足を洗う潮騒は、床を伝わるHDDと空冷ファンの微細振動か――
「……言いたいことがあるなら直接言いなさい。いつまでも小さな子供みたいに」
苛立ちを隠さない少女の声。何かを察したもう一人の少女が、非礼と知りながら耳をそばだてるが、通信相手の声はノイズにかき消されて意味のある音とは判別できない
「……何ですか? データファイルを送った? そもそも貴方今いったいどこに……何ですか今の音?え?何を頼むって?ちょっと待ちな…………はあ、まったく」
「リオ様ですね?」
華奢な身体を車椅子に沈めた少女――特異現象捜査部部長・明星ヒマリは、憮然として、メイド服の少女・飛鳥馬トキを見た。車椅子から投影されたホロモニタにはデータファイル受信の進捗が、ウサギとカエルが小包を運ぶアニメーションで表示されている
「その通りですよ、トキ。急ぎの用ですが遠くにいて帰れないから、と……全然聞き取れませんでしたが、冷凍ピザがどうの、と訳の分からないことを……まあ一方的にモモトークを送りつけてこなかっただけ、多少成長したようなので良しとしましょう」
キャバーン!受信完了。速やかに、だが念入りに悪性プログラムがないことを確かめ、ヒマリは中身のレポートと添付されたいくつかの画像に目を通す。送り主、調月リオの人となりを表す、極めて合理的で無駄のない情報の羅列と、そして――
ヒマリの口の端がわずかに緩む
「……こういう時は『お土産は何がいい?』くらい書くものですよ、リオ。――トキ、セミナーに……いえ、ユウカとノアを呼んでください。戻っているならチーちゃんも」
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#1
(近日投稿開始) - 75二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 06:35:23
- 76二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 15:00:41
ほす
- 77二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 20:21:23
サヨナラ!(ガチャ爆発四散)
- 78二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 20:37:01
青封筒に包まれてあれ
- 79二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 21:53:56
- 80二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 05:27:54
平坦であった…
- 81二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 12:30:57
- 82二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 20:24:28
- 83二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 20:32:19
- 84二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 22:02:29
- 85二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 04:10:00
保守
今日明日は用事あるからSSは早くて明日夜かな - 86二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 12:31:13
失礼、逆だった。あれは本人ギャグキャラなのに右だと思って傾き過ぎて1周回ってるんだ。自覚させて左に傾けないと
- 87二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 19:35:43
特に意味ないけど何となく思い付いた
0101010101
🐇🐇🐇明日な🐇🐇🐇 - 88二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 23:14:27
◇◇◇カラテの高まりを感じる◇◇◇
――風の音がする
いつもの砂じゃない、少しだけ湿度のある重い風
最後に聞いたのはいつだった? この時間にアビドス砂漠の外にいて、風の音を聞いたことは、あまりないから
砂のない道路。人工的に、計画的に作られた、広くはない街。みんなでやったボードゲームみたい。人の動きも似てる。スタートがあって、ゴールがあって、決まりきったいつもの道から時々気まぐれに遠回りして、コンビニもなかったね、って笑って……
じゃあ私が今いるのは、いつもの通り? それとも寄り道?
……ちょっと首筋がぞわぞわする。耳鳴りも。久しぶりで緊張してる?
ん、でもちょうどいい緊張感。リラックスしすぎは良くない
もう少ししたら風が強くなる。発砲や爆破の音が聞こえにくいし、ここの警備はミレニアムの警備ドローンが多いから風に流されて制御が難しくなる。誤差だけど、逃げるときはそういうの大事
……久しぶり、なのかな? 今回は夜にこっそり忍び込むだけ。当番の人にちょっと金庫を開けてもらうだけ。もらうのは現金でも金塊でも証券でも帳簿でもないし、元々は……
(――――)
……ん、やっぱり久しぶり。たぶん先生に怒られるから。そんな気がする。やるけど
……現金輸送車が出ていった。行員が通用口から出ていく。もうすぐ警備員も交代する。警備に隙ができる
「ん、銀行を襲う」
下調べ通り。予定通り。計画通り。問題ない、今日中に終わらせる
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#1 - 89二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 05:29:23
- 90二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 11:09:30
ん、その語尾でヌンチャックが混線した
シロコ「ん、ネギトロ丼が美味しい」
ワカモ「ハーイ、シロコ=サン。今月襲撃し足りないの、いい学校ない?」
シロコ「ん、黙ってワカモ=サン」
グリーンヒマリ『ウワーッハハハハハ!ウワーッハハハハハ!』
ニヤニヤ教授「ムッハハハハ!私悪いもんね!」
- 91二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 18:28:18
ん、保守。夜には投稿する
- 92二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 20:01:15
昨日からツーリングに来てる
理由は3つ。最近少し夢見がよくなくて気分転換したくなったこと、新調したサイクルウェアを試したかったこと、あと3連休で天気もよかったこと……ん、理由4つかも
せっかくだから普段行かない、日帰りだと行けないところにしようと思って、思いついたのがここだった。他の自治区やシャーレ、連邦生徒会に行くときに鉄道で通り過ぎるだけで、降りたことはない駅の、来たこともほとんどない街
アビドス自治区から遠いけど、アビドスの土地だった。本当ならアビドスの分校があって、少ないけどアビドス生徒がいたはず……実際は、生徒そのものが少ない。というより用のない人は来ないから、街の小ささ以上に人が少ない
普段着と最低限の日用品、修理道具、予備の弾薬、飲み物と携行食を詰める。あとコンパスも……要らないと思うけど御守り。ホシノ先輩が安心するから
荷物をロードバイクに積んで、朝に家を出て、ハイランダー鉄道学園が線路沿いに敷いた管理用道路を走った。……ん、気持ちよかった。快晴、適度に涼しい向かい風。新しいウェアも通気性がちょうどよくて、火照った身体と汗で少し冷えた肌、全身の筋肉が思った通りのリズムと力加減で動いてるのを感じさせてくれた
……でも、少しだけペダルが重い気がした。自転車におかしなところはなかった。ひょっとして少し太……ん、たぶん成長期。無理せず鉄道で帰ることも考える
明るいうちに街に着いた。短期出張サラリマン向けの宿泊施設にチェックインして、コンビニに行く。何気なく特に近道でもない裏路地を通って
……ん、そこからが予想外
その裏路地で、賞金首の爆弾魔を見つけた。パニックを起こして殴りかかってきたのを捕まえて、市役所を通じてヴァルキューレに引き渡した。ボーナスマン。ん、儲けた
でも手続きがすごく長引いた。通信システムに障害が起きてたみたい。何度も窓口に呼び出されて、私も係の人も少し疲れた
そして市役所を出た私に、ひとりの生徒が声をかけてきた。アビドス生徒じゃないのは当然だけど、ミレニアムでもハイランダーでもない、場違いなトリニティの生徒だった。顔も知らない
「アビドス高等学校の、砂狼シロコさんですよね?」
呼び出しを聞いてたみたい。念押しして、人通りのない路地まで私を引っ張ってきてから、彼女は小声で言った
「……銀行強盗を、手伝ってくれませんか?」
- 93二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 21:48:34
ハック&スラッシュのスラッシャー役でも探してたのかな
- 94二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 00:18:45
ジュースの蓋を開けて、ひと口。わざとらしいくらいの動作で、少女にも飲むよう促す
彼女は遠慮しながら、紅茶のペットボトルを開けた。根っからの箱入り娘じゃないみたい。リスみたいに両手で持ってるのがかわいい。本人も小動物みたい
「……さっきの話」
「あ、はい! あの私、トリニティ総合学園1年で――」
「ん、言っちゃダメ。私も聞かない。まだ受けるか決めてない」
「あぅ……ご、ごめんなさい」
涙をこらえて小さくなる。本当に小動物みたい。できるだけ優しく……ん、私はお姉さん。先輩らしく――でも先輩はあんまり参考にならないから先生を……
整理した
彼女はトリニティ自治区にある老舗のお店(何の店かは聞かない)のお嬢さんだった。ん、お行儀の良さが自然なので嘘は言ってないと思う
狙ってるのは、この街に1つだけある銀行の金庫室。お金が欲しい訳じゃない。担保として保管されているものの中に、実家の土地建物や屋号、商標、営業権といった権利一切の書類があるらしい
どういう経緯でここに流れ着いたのかは、彼女にも分からない。誰かが知らない間に借金の担保にしたのか、盗まれたのか……
「幸い管理用のコードが分かったのと、ミレニアムにつてがあったので、ここまで追いかけて来れたんです。でも……来てはみたけど、今は他とまとめて管理されてるみたいで、特定もせずいきなり『私のものです、お金は払うので返して下さい』なんて言えなくて途方に暮れて……」
「まず実物を見つけて、それから交渉を?」
「はい……」
小さな肩が震えている。勇気を出して、相当無理をしてきたみたい。触れたら破裂しそう
「初等部から寮に入ってて、もう覚えてないことも多いけど……それでも大事な思い出が詰まってるんです! それがあと少しで、訳も分からないまま消えてしまうなんて!」
――思い出、か
……うん
「どうして私に?」
「あ、あの……言っていいのか分からないんですが、ここに来る前にトリニティのある先輩から紹介されて……あ!ご、強盗まで頼っていいなんてことは全然!」
「……ん、分かった」
たぶん、彼女だろう
本当は聞かなくてよかった。心の中ではもう決めている。ただ、それですぐに実行するほど素人じゃないだけ
「1日待って。私の知ってる通りか調べてみる」
ん、頑張る。思い出は大事。……だって、私には……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 95二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 01:12:51
鋭角に切り抜かれた青白い光と、切り残された闇のコントラスト。オバケ・パビリオンめいた叡智の聖堂、その四方を囲む液晶のステンドグラスには、緑、白、黄、そして赤……目には見えない電子の奔流が生み出す星々が絶え間なく瞬く。未踏の命題を求める巡礼者の足を洗う潮騒は、床を伝わるHDDと空冷ファンの微細振動か――
キヴォトス三大校の一角、ミレニアム・サイエンス・スクール
「真理」を冠する部活動「ヴェリタス」、その部室は今、一時的にせよ本来の主を迎え、粛々とBEEP音の讃美歌を奏でている
「……言いたいことがあるなら直接言いなさい。いつまでも小さな子供みたいに」
苛立ちを隠さない少女の声。何かを察したもう一人の少女が、非礼と知りながら耳をそばだてるが、通信相手の声はノイズにかき消されて意味のある音とは判別できない
「……何ですか? データファイルを送った? そもそも貴方今いったいどこに……何ですか今の聞き覚えのある音?え?何を頼むって?ちょっと待ちな…………はあ、まったく」
「リオ様ですね?」
華奢な身体を車椅子に沈めた少女――特異現象捜査部部長・明星ヒマリは、途切れた音声通信に憮然として、メイド服の少女・飛鳥馬トキを見た。車椅子から投影されたホロモニタにはデータファイル受信の進捗が、ウサギとカエルが小包を運ぶアニメーションで表示されている
「その通りですよ、トキ。急ぎの用ですが遠くにいて帰れないから、と……全然聞き取れませんでしたが、冷凍ピザがどうの、と訳の分からないことを……まあ一方的にモモトークを送りつけてこなかっただけ、多少成長したようなので良しとしましょう」
キャバァーン!受信完了。速やかに、だが念入りに悪性プログラムがないことを確かめ、ヒマリは中身のレポートと添付されたいくつかの画像に目を通す。送り主、調月リオの人となりを表す、極めて合理的で無駄のない情報の羅列と、そして――
ヒマリの口の端がわずかに緩む
「……こういう時は『お土産は何がいい?』くらい書くものですよ、リオ。――トキ、セミナーに……いえ、ユウカとノアを呼んでください。戻っているならチーちゃんも」
……30分後
赤い天ノ川に断ち割られたブルーライトの天球儀の下に、1と0、セミナーとヴェリタスの代表4人が集められた
リオからのファイルの末尾は、こうだ。「ニンジャを探せ」
- 96二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 05:55:03
- 97二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 09:03:11
ハッカーニンジャvsヒマリ本気モードとかヴェリタス総出+リオとか燃えるけど、生徒側にコトダマ空間認識者がいないっていうのがネックで
最悪先生からヴェルヴェット・ソニックをキメてもらうことに……でもコンプライアンスが
- 98二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 17:34:43
「ザッケンナコラー! 早く寄越せコラー!」
「アイエエエ……わ、私ただのバイトで」
「分かってんだよコラー!お前でダメなら責任者出せッコラー!」
D.U.郊外、連邦捜査部「シャーレ」。昼下がり、居住区1階のコンビニで柄の悪い生徒が、アルバイトの中学生ソラに絡んでいる。――その背後に人影
「この店で酒を買おうとはよい度胸だ。向学心に免じて、ビネガー醸造所での研修を紹介してやろう」
「アイエッ⁉ ゴメンナサイ! こ、これお願いしますレジ袋とレシートいいです!」
「あ、アリガトウゴザイマシター!」
申し訳程度の手榴弾を買ってそそくさと退店する不良に、ソラはマニュアル通りアイサツした。……視線を店内に戻すと、1人の大人がレジ台に、「妖怪MAX」複数本とケミカルな包装のエナジーバーが入ったかごを置いた
「オネガイシマス。請求はいつも通りで」
「ア、ハイ。……これ、先生大丈夫ですか?」
「流石に限界だろう。これ以上長引くならば無理にでも休ませるが」
「お、お手柔らかに……」
シャーレ用務員、イチロー・モリタ……本名フジキド・ケンジ。事情は知らないが少し前から臨時雇で働いている。悪い人ではないし、先生から信頼されているのも分かっているが、ソラはまだ彼が苦手だった。……単純に、怖いのだ
と、彼が店の外、ビルの入り口を見た。ソラもつられて見る
「あ、セミナーの……確かノアさん」
「……シツレイ、オフィスに戻る。会計を」
――同日、日没後
「私はここに来るのは初めてだが、この道でよいのか? 学校に向かう道ではないようだが」
「いいんです。今はこっちの方が近いので」
運転席のフジキドが問い、助手席の先生が答える。休日で人もまばらなオフィス街……否、普段でも多くないようだ。ビルの特に上層部は大半が空き物件で、ネオンの切れた看板と、黄色い砂の堆積が侘しさをいやます
「……私が気になるか、ノア=サン」
「はい」
「私がニンジャだからか?」
「いえ、フジキド=サンが一緒に来ていることがです。私はあなたが、リオ会長やヒマリ部長の言っていたニンジャだと思ったのですが……」
「確かに、ただの書類仕事や護衛であれば私は不要だ。だが案ずるな、別の用件がある」
後部座席で小首を傾げるノア。――その時、先生が前方を指さした
「あ、やっぱりいた!」
薄暮に浮かぶ赤いノーレン。柴関ラーメンの屋台だ
- 99二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 22:20:57
- 100二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 00:31:02
「エーラッシェー! 何だ先生じゃねえか。そっちのお二人さんは初めてかい?」
「やあ大将、お久しぶりです」
「お、景気がいいか聞かねえだけ人ができてきたな?」
ノーレンを上げて店主の柴大将が声をかける。言葉とは裏腹に、客の入りはよさそうで、固まって座れる席を探す。だが、
「ああ、いいんです大将。今日は――」
「おうそうかい。どうする? 注文は話の後でいいかい?」
「そだね~、そうしよっか」
暗がりの即席テーブルから、欠伸をかみ殺すような声がした。生徒が4人……胸元には空色のネクタイと色違いの学生証。ピンクの髪の小柄な生徒――アビドス廃校対策委員会長・小鳥遊ホシノが、ヒラヒラと手を振っている
「で、どしたの先生? 徹夜でラーメンの禁断症状?」
「休日にごめん、ホシノと……アヤネ、ちょっと時間いいかな?」
「え? ――あ、はい!分かりました!」
同書記・奥空アヤネが席を立ち、車のキーを手に取った
アビドス高校、無人のはずの校舎に灯りが点いた。砂で曇った窓から洩れる、ボンボリ・スタンドめいた淡い光が、途切れとぎれの陸上競技トラックを朧気に浮かび上がらせる
「『アビドス・データセンター』? ドゥアト渓谷の、ミレニアムの租借地になってる、あの街ですか?」
「うへ~何で今さら。おじさん契約書の中身なんて覚えてないよ~?」
「それを確かめに来たんだ。ごめんね」
今はもう使われていない生徒会室の奥。アヤネが重要書類の納められた金庫を開けて目録を取り出した。紙質の劣化から大まかな当たりを付け、時折砂を払いながらページをめくって、借地契約書のありかを探す
「ごめんね~お客さんをこんなところで待たせて。どうせなら隣で待っててくれても」
「いえ、気にしないで下さい。このポスターとか、見てて飽きませんよ? 風情がありますよね」
ホシノの勧めをノアはやんわりと断った。――彼女は一度見聞きしたものを全て記憶できる。余計な書類等を見ないように気を遣っているのだ、と先生が諭す
「あの街は、運営も治安維持も実質ミレニアムみたいなもので、私たちもあまり行く機会がないんですが……」
「契約したのも生徒会だからね~」
「生徒会? 梔子ユメさんですか?」
「もう少し前。BCP……事業継続計画って言うのかな? 災害とかに備えて重要なデータのバックアップを遠い場所に取っておくの。――お、はっけ~ん」
- 101二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 05:44:50
180cmで日頃トレンチコートのオジサンは怖いよなソラ。
- 102二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:40:54
書いてて思うけど「サイバーパンクは背景が一番大事」って本当だな
ゲヘナの治安の悪さが一番書きやすくて、他だとネオサイタマ成分が物足りない。かといって無理に足すと違和感出る
……いっそトリニティのカタコンベを丸ごとアンダーガイオンにしてやろうか - 103二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 20:23:14
あと2時間以内はキツいので保守
12時間だったら楽なのに - 104二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 00:06:26
「……大丈夫そうですね。契約自体へのカイザーグループの関与はなし、賃借料への先取得権行使だけです」
ノアは自身の記憶と、アヤネはノアが持参したミレニアム側の写しと、契約書を照合し終えた。アビドス生徒会末期の契約、どんな罠があるか分からない。後の外交問題を避けるために必要な手間だ
「あそこは何か隠せる地形じゃないから、カイザーも興味なかったんだろうね~」
ホシノが書類を覗く
「条件もずいぶん良心的ですね。基本は治外法権ですがセンター中枢以外はアビドスも事後通告で出動できる、と」
「余裕だよね~。すぐ過去になるものに、これだけ投資できるんだから。まあ、それがミレニアムの強さだろうね。昔の話なんておじさん整理するだけで手一杯だよ?」
「実際役に立ちましたよ? この前の『虚妄のサンクトゥム』の復興で」
「ホシノ先輩、書類は後で手伝いますから」
「うへ……ごめんねアヤネちゃん」
対策委員会室の床には過去の書類が散乱していた。ホシノが契約書をボール箱から引っ張り出そうとして、圧力で箱が分解したのだ。ホシノ1人で片付けられる量ではなかった
ノアは床を見ないように、タブレットを操作して1つの書類を呼び出す
「ではこちらを。セミナーはセンター中枢を除き、アビドス生徒会及びその権限の一部を代行する対策委員会による行動への制限を一時解除……有償により同地区の治安維持を委託します。期間は1週間、自動更新ですが一方からの解除の意思表示があれば更新停止。危険負担等の詳細はこちらに。報酬は――」
「……うへ~」
「ゼ、ゼロがいっぱい……」
「ユウカちゃんが頑張ってくれましたから」
微笑むノア。アビドスの金銭事情から、露骨でない程度に額を盛ろうと頭を抱える親友の後ろ姿を、鮮明に覚えている。それだけの価値もある
アヤネが席を譲り、ホシノがサインしたのを、後ろから先生が覗いた
「じゃあ今日は休もうか。準備もあるし……まずは大将のラーメンだね」
4人の腹が盛大に鳴った
ズルッ!ズルズルッ!ズルズルッ!
「おおっ!いい食べっぷり!こりゃあ作った甲斐があるってもんだ!」
「……ゴチソウサマデシタ」
フジキドは空になった鉢を置いた。対面に座る黒見セリカと十六夜ノノミのラーメンはまだ半分残っている
「気に入ったら贔屓にしてよね。私たまにバイトしてるから」
「そうしよう。実際、美味いラーメンだった」
- 105二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 05:21:40
ソニキ戦を思い出すいい啜りっぷりだ
- 106二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 12:28:03
保守
- 107二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 19:48:09
このレスは削除されています
- 108二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 23:32:45
(……ヌードルか)
フジキドは空のラーメン鉢を見る。食事の回数、出会ったシェフは数知れぬが、ヌードルにはしばしば一抹の感傷がよぎる。……キョートで出逢い、手にかけたソバシェフの記憶が
「ハハッ、やっぱりお袋の味や故郷の味には敵わねえか。まあ味変にでもしてくれや」
「いや、そうでは……それにお代は先生が」
「遠慮すんなって、マーケティングってヤツだ」
「……ではいただこう。ドーモ」
柴大将が差し出す替え玉券を、フジキドは受け取る。ノノミが興味深そうに聞いた
「ネオサイタマから来られたんですよね? 故郷の味ってどんなのですか?」
「うむ、まずは……やはりスシだな」
午後10時。待ち人来たらず
屋台はラーメン1杯分の材料を残してこの日の商売を終えた。最後の客、先生たち4人分の食器を、柴大将が片付けている
「どこまでツーリングに行ったんでしょう、シロコちゃん?」
「モモトークは送ったけど、この通信障害じゃ無理だったかも」
セリカが携帯端末を確かめるが、返信はない
彼女たちが――そしてフジキドが待っていたのは、対策委員会最後の1人、砂狼シロコだ。自転車が好きな彼女は、自治区のパトロールを兼ねてツーリングに行ったはずだ。休日とはいえ居場所は共有するよう念押ししていたのだが
「で、その通信障害の話ですよね?」
「はい。では改めて――」
一つだけ残された即席テーブル。アヤネに促され、取り囲む対策委員会4人に見えるように、ノアはいくつかの写真が表示されたタブレットを中央に置いた
撮影地点はD.U.からミレニアム方面に向かう郊外……何の変哲もない幹線道路だ、あくまで地上は
「な、何これ⁉」
「ガス爆発や気化爆弾、地雷じゃないですね。もしかしてこれ、ずっと続いてるんですか?」
「残念ながら、ずっとです」
「うへ~修理費用すごそう」
契約に先だって説明を受けたアヤネ以外の3人が目を剥く
片側車線を封鎖し、舗装を剥がした穴から、ミレニアムの生徒たちがドローンを地下へと送り込んでいる。1人はヴェリタスの小鈎ハレだ。――読者諸兄であれば、これがいかに異例かが理解できるだろう。そして地下では、1本1本が丸太めいた送電線や通信用ケーブルの束がことごとく、内側から爆ぜ、焼けただれて火花を散らしていた。暗い洞道の先、見通す限り果てしなく――
「これが今回依頼した、敵です」
(#2に続く)
- 109二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 23:55:10
- 110二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 06:17:21
- 111二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 06:18:44
所要のため本日は投稿ありませんドスエ
- 112二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 08:09:53
- 113二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 15:27:54
- 114二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:11:09
セナ「新鮮な負傷sh……4体ですね」
- 115二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 23:05:59
- 116二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 06:03:35
ハルナがメイヴェン見たら本当に残念がりそうだな
- 117二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 07:32:18
- 118二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 12:41:46
絶賛/爆破でハッキリしてるところはいいとして、判定微妙なラインがどこだろうか
スシ・ソバは実際再現してるヘッズ多いからセーフ寄りに見えてしまうが - 119二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 20:17:07
- 120二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:32:18
キヴォトス人特にゲヘナなら違法カキノタネ普通に食いそうだし、やっぱり底辺層とはいえ7色に光るドンブリ・ポン社が標準のネオサイタマやばい
とwiki見ながら思い出すシヨン5話にも出た激安四連トーフ「カルテット」……赤冬プリン敗けてないか?
- 121二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 00:14:03
ハスミ「アアーあまーい」
- 122二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 05:46:39
- 123二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 12:14:58
- 124二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 13:49:53
保守重点
- 125二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 20:41:12
◇◇◇夜な◇◇◇
- 126二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 22:48:19
ブンブブブンブ、ブンブンブブンブ。ブンブブブンブ、ブンブンブブンブ――
「確実……私の勝利は確率的に確実……」
ブラウン管を埋め尽くす、目まぐるしく転がる1280万色の12面ダイス。16bit調の陶器めいた軽快な電子音がドラムロールめいて多重再生され、一瞬、暗転
『ダメ!』
「アーーーーッ!」
無慈悲な判定失敗! 3Dポリゴン秘書の「良くないです」宣告とともに、積みあがる債務超過スコア。残りターン1年で逆転勝利は絶望的であった
「あーダメもう無理! 破産よは・さ・ん!」
「あーあやっちゃいましたねユウカ先輩」
「おおユウカよ、破産してしまうとはなさけない。ですがアリス、ユウカの代わりに……ユウカ?」
意気込んでコントローラを握る天童アリスの肩に、早瀬ユウカの頭が乗った。そのまま力なく崩れる身体を、アリスと観戦していた花岡ユズが支える
夕暮れ時のゲーム開発部部室。ドヒョウ・リングめいた円形カーペットで4人対戦レトロゲームに興じる7人……1人脱落して6人。寝落ちしたユウカを、アリスがまな板上のマグロめいてソファーに横たえ、双子姉妹の才羽モモイとミドリがアイマスクとヘッドホンを着けた
「お疲れだね。プレイもユウカらしくなかった」
「まあワザとだな。おし、次いくぞ次!」
空いたコントローラを、美甘ネルが拾う。――席を立とうとした黒崎コユキを引き戻しながら
「逃がさねえぞ? わざわざチビどもも付き合わせてるんだからな」
「……にはは、やだなあ先輩、逃げるなんて」
「いいから座れ。今回だけはマジで、やらかしたら愛想尽かされるぞ。……リオが、ヒマリに、連絡を寄こした。意味、分かるよな?」
声と視線の迫力に、コユキは無言で座りなおす。代わりに次のゲームを選ばせてやろうとしたところで、ネルのUNIX端末が鳴った
「あーっネル先輩そう言って自分だけ!私はこんなところに監禁しておいて!」
「うっせえ!廊下に出るだけだ! オイおでこ!一番のク〇ゲーやらせとけ! ……ん?アスナか?」
『あ、リーダー! 先にお風呂入ったから次どーぞ!』
「こんな時間にか?」
『そうだよ?』
それっきりで通話は切れた。端末画面の時刻は17時前、早すぎる。……だが相手は一之瀬アスナ、超常的な勘の持ち主だ
(……さて、どういう意味だ?)
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#2
- 127二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 06:07:35
- 128二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 06:12:19
- 129二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 07:19:21
- 130二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 13:09:37
アッハイ
- 131二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 18:53:51
ちょっと遅くなりそうなので保守
- 132二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 22:52:56
本マグロの平均体重は100〜150kg…
ユウカの体jアバーッ!? - 133二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:58:46
連休2日目、朝。アビドス駅。まばらな雲と乾いた風。いつもよりまばらなダイヤ。各自バッグを手に、駅前に集合した生徒たちを、遠足めいて弛緩したアトモスフィアが包んでいる。だが荷物の中身は各々の弾薬であり、行き先に待つかもしれないのは正体はおろか意図すら不明の相手だ。ただ、これが彼女たちの日常であった
「手榴弾は私が持ちますよ。他に荷物ありませんから」
「ありがとねノアちゃん。じゃあ飲み物とおやつは先生にお願いしようかな」
「ホシノ先輩、自分の着替え忘れてますよ?」
共通の荷物を分担するホシノ、ノノミ、セリカ、そしてノア。先生はシャーレとの連絡を試みるために、駅事務所のUNIXを借りに行っている
アヤネはこの場にいない。フジキドもだ。別に確認することがあるため、終わり次第合流する予定だった。合流と言えば後の1人も……
――キッ
一同の後ろ、駅のロータリーでロードバイクのブレーキ音がした
「「「……あ」」」
「……ん、みんな、おはよう」
見慣れた顔、記憶している特徴。探していたアビドス高校最後の1人、砂狼シロコだ。
「シロコ先輩……今までどこに?」
「ん、ドゥアト渓谷まで。みんなに大切な話があって……」
シロコはバイクから降り、歩道に寄せた。そして真剣な顔で3人に告げる
「……あそこの銀行、5人でなら襲える」
「……へー」
「詳しくは列車で話す。通信障害が直ったらどうなるか分からないから、みんな、すぐに覆面を――」
「……あのね、シロコちゃん」
子犬めいた純粋な眼差しで熱を込めて語るシロコを前に、ホシノは気まずそうに視線を逸らす。その先にはノア
「えーと……聞かなかったことにしますね」
「シロコちゃん、待っててあげるから着替えてきてください。今からそのドゥアト渓谷に行きますから」
「ん、ノノミもやる気。じゃあ覆面は紙袋を」
「だからやめてって」
堂々巡りのやり取りは、先生が戻ってきたことで終わった。ノアの表情はずっと引きつっていた
「ん、心当たりない」
「そっか。まあ何もなくてよかったよ」
1時間後、列車内。他に乗客のいない車両のボックス席。いつものアビドス高校制服に着替え、手短に状況説明を受けたシロコは、先生に買ってもらったサンドイッチを頬張りながら端的に答えた
手がかりの1つ……連邦生徒会データベースへの不正アクセスという当ては外れたようだ
- 134二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 05:55:36
保守
- 135二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 12:04:41
ミレニアムの機密に近付きすぎたウカツな>>132=サンは、チヒロ=サンにニューロンを焼かれてオタッシャしました
チヒロ「ではファ○クします」
- 136二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 19:47:33
アイエエエ!シュポガキ?シュポガキナンデ?
- 137二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 21:27:43
軽く安堵の息を吐く先生の顔を、ノアが覗き込んだ
「なんだ、そんなことですか。私にだけ教えてくれないので変だと思いました」
「いや、まあ」
「いいですよ、気にしませんから。きっとヒマリ先輩がミレニアム以外も含めてハッキングしたんでしょう。私が――セミナーが知ると不都合だったんですね」
ノアはいつもの温和な笑顔のまま、わずかに年相応に悪戯っぽく目を細めた。先生は目を逸らす。シロコとの合流と熱意が予想外でつい確認を焦ったが……彼女が帰るまで待つべきだったか
リオとヒマリの連名によるミレニアムからの要請は、端的に言えば犯人の確保だ。大規模断線直後のシロコに関する不正アクセス等、事件に関する参考情報の他、根拠は不明だが「N案件」――ニンジャが関わっているとの情報もあった。ただ先生は、行間に奇妙なニュアンスを感じていた。どこか遠慮がちな、内外への情報をコントロールしようとする歯切れの悪さを
「で先生、結局その不正アクセスってどういうこと?」
「うーん……」
首を傾げる先生。ただの陽動、人違い、まだ接触していないだけ、シロコが気付かなかった、……解は少ないが、どれも腑に落ちない気がする
最も可能性が高いのは――
「やっぱり、彼女かな……?」
「ん、たぶん「シロコ」のほう」
シロコが事も無げに言う。その意味を聞き返す者はこの場にはいない。直接面識のないノアも、ユウカから事情は聞いている
このキヴォトスに、「砂狼シロコ」は2人いるのだ
ここにいる方のシロコは、素性や嗜好はともかく普通の生徒だ。色々と特殊な事情のあるもう1人の「シロコ」のほうが、狙われる理由はあるだろう
「だけどなあ……」
「そちらのシロコさんは、そもそも連邦生徒会のデータベースに載ってないんですよね。混同しないように本名を出していないみたいですし。――私が知ってる範囲で、ですが」
「知らない人は存在自体知らないし、知ってる人ならハッキングする必要なんてないんだよね……」
推理は滞る。連動するように列車が信号待ちで止まる。目的地まではまだ遠い。ノノミが配るおやつとお茶を、5人はどこか上の空で受け取った
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 138二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 05:30:31
- 139二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 11:52:19
保守。帰ったらPVでモーター理念重点する
- 140二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 14:10:19
初代スレでモーターミレニアム云々と妄言を吐いた者だが、マジでやるとは思わねえじゃんよ
- 141二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:20:10
- 142二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 23:04:19
―――
「……キヴォトス全域で発生している通信障害について、連邦生徒会は……の異常に……本日正午時点で...の75%を復旧……明日朝から昼にかけて……」
窓のない室内、途切れとぎれのニュース番組がUNIXから流れるが、それを聞くものはいない
――――
ヘンタイアニメ喫茶の個室よりはましという程度の、タタミ3枚分の小さな部屋だ。固定デスクとリクライニングチェア、白く殺風景な内装が慣れない者には圧迫感を与える。備え付けUNIXと通信セキュリティだけは標準以上……出張で1泊だけするサラリマン向けの貸しオフィスである
仕切られた部屋の一角、店の売りである個室シャワーの磨りガラスめいた壁を通して、水音と3色の光が室内へ……LED光の中に佇む灰色の髪と白い裸体のシルエットが、薄い湯気で揺らめく
「……」
――――
温めの湯がシロコの額を打ち、頤から胸の間、腹へ、あるいは髪を伝って背から尻へと流れ、内腿から足先へとほてった体温を洗い流していく。目を閉じ、身じろぎもせず、ただ水と時間だけが過ぎていく……
昨夜から昼過ぎまで銀行の様子を伺っていたが、記憶との違いはなかった
この街ではビジネスで現金を使う機会がほぼない。出張所が多く、決済は本店で行われるからだ。必然的に銀行に金目のものがない。取引は少ないが時間外取引に対応するため、店舗が閉まるのが遅い。警備はミレニアム製ドローン等が主。……結果、どこか警備が間延びしていて、特に夜には隙ができる
「ん」
小さな自嘲の笑み。……あの時は、こんな銀行すら見境なく襲った。実際、ろくに返済の足しにならなかった
違うのは自分だ。アドバンテージは「前回」の経験。一方で条件は厳しい。行員を脅して手当たり次第に金品を奪ったり、自分だけで金庫に侵入できればいい訳ではない
しかも悪いことに、今この街には、先生とアビドスのみんながいる。自分の都合でも、みんなのためにも、顔を合わせたくはなかった
――キュッ
シャワーを止め、アメニティのタオルで髪の水分を取る。素肌の水滴は、空調に吹かれて乾くに任せる
ライディングウェアは荷物に詰めた。自転車は市外に隠している。終われば自分は速やかに消えて、後は彼女次第だ
「ん」
シロコは小さく頷いて、壁にかけた服――喪服めいた黒いドレスと、「2」の刺繍がある青いバラクラバに手を伸ばした
部屋の外で、日が沈んだ
- 143二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 05:43:04
- 144二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 07:35:00