【SEED子世代SS閲覧注意】人口問題を解決しちまったぜ2

  • 1125/03/30(日) 11:46:21

    ディアミリ息子「……と思ったら実はまったく解決してなかったんだけどな!!
    なのに俺達のルーツを利用して人口問題を煽ろうとする奴が出てきたぜ!」

    ※種シリーズ子世代コラ画像を使用したifSSスレです。
    ※他子世代スレの設定は一切踏襲していません。このスレのみで閲覧いただけます。
    ※本編カプは固定ですが、その他本編では結ばれなかった組み合わせの子世代キャラが出てきます。
    必ず1スレ目の注意事項をお読みの上、地雷かどうか判断してからの閲覧推奨です。
    ※話の都合上、オーブの警備はザルです。
    ※ダイスはほぼありません。

  • 2125/03/30(日) 11:47:26
  • 3125/03/30(日) 11:49:21

    ※子世代スレって何だよ

    種シリーズのキャラの子どもを想像したコラ画像やSSから始まったロボカテ概念。

    くどいようですか、今回のSSは他の子世代スレの設定を一切踏襲していません。

    子世代総合現スレは↓

    【集団幻覚・一応閲注】SEED子世代画像・雑談スレ Part3|あにまん掲示板地味に需要がありそうだったので画像貼り付け、雑談等にどうぞスレ画はトンチキメカを作ってくれそうなハインライン娘さんbbs.animanch.com
  • 4125/03/30(日) 11:52:56

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 1/6】
    ディアリオ・エルスマン

    生物学上ディアッカ・エルスマンとミリアリア・ハウの息子。
    ハーフコーディネイター。
    ザフト軍人MSパイロット。16歳(成人)。

    後述の、アルミリオ・ノイマン(ノイミリ)とは正真正銘同じ母親から産まれた『異父二卵性双生児』。
    父親の爽やかな男らしさと母親の愛嬌を受け継いだ、フェブラリウス市きっての快男児兼重度のブラコン。
    今回双子のアルミリオがとんでもないことをやらかしたので、それを何とかするために頑張る。
    イザホ・ジュール(イザシホ)とは幼馴染。

  • 5125/03/30(日) 11:55:03

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 2/6】
    アルミリオ・ノイマン

    生物学上アーノルド・ノイマンとミリアリア・ハウの息子。
    ナチュラル。
    来月からオーブ軍人。16歳(未成年)。

    ディアッカ・エルスマンの息子であるディアリオ(ディアミリ)とは正真正銘同じ母親から産まれた『異父二卵性双生児』。
    父親の操舵能力と母親の現場判断能力を受け継いだ、オーブ軍期待のルーキー兼ド天然。
    今回のピーチ姫枠。
    アスハ家のカズラ(アスカガ)とは幼馴染。

  • 6125/03/30(日) 11:57:59

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 3/6】
    イザホ・ジュール

    イザーク・ジュールとシホ・ハーネンフースの娘。
    第三世代コーディネイター。
    ザフト軍人MSパイロット。17歳(成人)。

    ディアリオとは幼馴染で、ザフトの同じ隊に所属している。
    ディアリオに恋心を抱いているが、上手く成就できるか不安でお悩み中。
    わりと父親似の性格をしている。

  • 7125/03/30(日) 12:01:31

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 4/6】

    カズラ・ザラ・アスハ 

    アスラン・ザラとカガリ・ユラ・アスハの娘。
    ハーフコーディネイター。民間人。
    15歳(コーディネイターの遺伝子を持っているがオーブ国民のため未成年)。

    アルミリオ(ノイミリ)とは幼馴染で、母親同士がよく交流するため自然と一緒に遊ぶようになった。
    アルミリオに淡い恋心を抱いている。
    両親のことはとてもよく尊敬している。

  • 8125/03/30(日) 12:03:09

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 5/6】
    レミー

    ハーフコーディネイター。
    民間人。20歳(成人)。

    一応秘密裏に大戦を生き延びたレイ・ザ・バレルとミーア・キャンベルの息子。
    本名・出自・その他あらゆる情報が一切不明の新人男性アイドルとしてSNS上で活動している。
    まだオリジナル曲を発表したことはなく、いつもミーアやラクスのカバー曲をライブ配信していた。

  • 9125/03/30(日) 12:05:27

    【このSSに登場する主な子世代キャラ 6/6】


    アズリナ・アズラエル


    ナチュラル。

    民間人。29歳(成人)。


    今回の悪役。

    元ブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルの娘。


    ロゴス後継団体・企業グループ『ブルー清浄なるモために』の経営者。

    父親からビジネスマンとしての一面を強く受け継いでおり、コーディネイターさえも金儲けに利用する強かな性格を持つ。

    今回、未成年を言葉巧みにかどわかし怪しげなビデオに出演させようとしている。

    ちなみにdice1d2=1 (1)

    (1.独身 2.妻子持ち)

  • 10125/03/30(日) 12:07:45

    とまあ前スレは双子が喧嘩別れしたところで終わりましたが、
    次の投下分でフォローが入るのでご安心ください。
    よく考えたらさっきキャラ紹介のところにピーチ姫って書いたけど立場的にはルイージですね。

    次はまた夜の20時か21時頃には投下できそうです。
    前スレイラストありがとうございました!

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 18:58:12

    スレ建て乙
    みんな両親の名前を合体させたようなネーミングなのにアズラエルの娘だけ名字から受け継いでて草

  • 12125/03/30(日) 20:10:45

    「ム」から始まる女性名が全然思いつかなかったとかそんな感じでアズラエル娘には野比のび太方式の名前になってもらいました

    また投下しています、
    喧嘩別れのまま日をまたぐのもなんだかなぁなのできっちりフォロー入るところまでは進めたいです

  • 13125/03/30(日) 20:13:31

    1スレ目198の続きです

    --


    イザホはあの後、アズリナを会場で発見したということのみを警備係へ報告した。

    要するに、アルミリオの存在を抜いて話を作ったということだ。

    これは、ディアリオがどうしてもとイザホへ頼んだからだ。


    ディアリオ「……悪かったな」


    イザホ「貸しにしておくわ。

    細かい部分を言わなかっただけで嘘をついたわけでもないけど」


    カズラとは合流できなかったが、特に誘拐されているということはなく、

    無事イベントスタッフと共にいる姿が確認された。

  • 14125/03/30(日) 20:16:05

    【オロファト イベント会場】
    イベントは、ブルーコスモス関係者が複数人確認され、
    警備上の問題が生じたということでオープニング後に中断された。
    人がまばらになった広場の中で、2人並んでため息をつく。

    イザホ「あの時アズリナ・アズラエルを引き留められなかったのはまずかったわね」

    ディアリオ「けど周りに興奮した民間人が多すぎたから騒ぎにはできなかったし、無理やりあの女の腕をつかむわけにもいかなかった。
    だろ?」

    イザホ「まあ、そうね。
    ……ねえディアリオ、やっぱりアルミリオ君が彼女について行ってしまったことも、
    ちゃんとしかるべき所に報告するべきよ」

  • 15125/03/30(日) 20:18:43

    イザホ「気持ちは分かるわよ。

    下手なことを伝えてアルミリオ君に変な疑惑が付いたら、オーブ軍に入隊できなくなってしまうかもしれないって」


    ディアリオ「何でこのタイミングで、こんなことが……」


    イザホ「このタイミングだからこそ、かもね。

    ……かつて貴方達の出生が話題になった時は、貴方達はまだお腹の中で、

    当たり前だけど姿も名前も公表されていなかったわ」

  • 16125/03/30(日) 20:23:50

    イザホ「だから今まではよっぽど手間をかけて調べるか、それか生まれを知るほど近い人物でないと、
    貴方達が世間を騒がせた双子ということを知らなかった。
    けれど最近は、ディアリオやアルミリオ君が入隊決定時に提出した身上調書を見て、あああの時の双子かって知った人も増えただろうし、
    残念だけどそこからアズリナ・アズラエルにも情報が漏れたのかも。
    もっとも、彼女くらいの資産家なら情報を得るルートはいくらでもあるでしょうけど」

    ディアリオ「くっ……言われてみりゃ確かに、
    俺から話さずとも俺ら双子のことを聞いてくる奴はザフトに入ってから何人かいたしな。
    どっからどう噂が広まってるかなんて分からねえもんか」ハァ

  • 17125/03/30(日) 20:27:39

    イザホ「加えて今はもう、アルミリオ君は赤ちゃんではなく自分で言葉を話せるまで成長したわ。

    話題として扱うには良いタイミング、いえ、こうなってもおかしくはないタイミングだったのよ」


    ディアリオ「……だからこそ、できれば大事にせず、俺達だけであいつを連れ戻したい。

    あいつは入隊が決まった時、本当に嬉しそうにしてたんだ」

  • 18125/03/30(日) 20:30:55

    でも、私達はザフトなんだから。とイザホが言葉を続ける。

    イザホ「私達には私達のやるべきことがある。
    こっそり追いかけてアルミリオ君を連れ戻すなんてとてもできない。
    この件は、多分……まずはオーブの警察。
    それからアズリナ・アズラエルが尻尾を出すのを待っているターミナル辺りに話が行くんじゃないかしら。
    当たり前だけどいわゆる『外国』で、特に身内の捜査なんて、混ぜてもらうことも無理ね」キッパリ

  • 19125/03/30(日) 20:33:39

    イザホ「ね?
    アルミリオ君を連れ戻したいならちゃんと報告して、警察やターミナルに任せたほうがいいんじゃないかしら」

    ディアリオ「いや、でも、それは……」

    ディアリオは弱弱しく首を横に振った。

    ディアリオ「アルミリオがあいつについて行ったのはなんかの間違いで……ひょっこり帰ってくるかもしれないし……」シュン

  • 20125/03/30(日) 20:37:15

    イザホ「そうは言っても、私達にできることなんて。

    ……けどこの場合警察やターミナルに任せても、すぐにはアルミリオ君を連れ戻せないかもしれないわね……」ボソッ


    ディアリオ「えっ?」


    ディアリオはイザホのつぶやきを聞き逃さず、詰め寄った。


    ディアリオ「警察でもアルミリオを連れ戻せないかもしれない? なんでだよ?

    さっき辺りを捜索している時にも俺は、これって未成年誘拐になるんじゃないか、って言ったよな?」

  • 21125/03/30(日) 20:39:12

    イザホ「いいえ、さっきは『逮捕だ逮捕!』『未成年誘拐であいつをしょっぴけ!!』って泣いて暴れながら頭から湯気出してたわよ」


    ディアリオ「……ま、まあそれはいいとして。

    警察も他の組織も、あいつを捕まえに動けないっていうのかよ。

    要注意人物かなんかなんだろ?」


    イザホ「そうね、まず第一に、彼女は『なにも罪を犯していない』のよ」

  • 22125/03/30(日) 20:40:52

    イザホ「彼女は確かに、ブルーコスモスと繋がっている疑惑があって各国政府から要注意人物とされているわ。
    でも、それだけよ。
    犯罪者でもなければ、犯罪歴も無い。
    今日だって、ただ広場に居てアルミリオ君に話しかけただけ」

    ディアリオ「アルミリオと一緒に、妙な動画を作るつもりだって……!」

    イザホ「世界を混乱させる動画を作るかもしれないけど、まだ、作っていないもの。
    そこを責めてもただの世間話でしたとシラを切られるわ」

  • 23125/03/30(日) 20:42:52

    ディアリオ「でも、アルミリオの肩や顔をベタベタと触ってたぜ」

    イザホ「知り合いでもない未成年の体を許可なく触ったって点については……
    もちろん良くないことだけどアルミリオ君がこの場にいないし、カメラにも映っていなかったら証拠が無いわ」ハァ

    アズリナの捨て台詞を思い出し、イザホが眉間にしわを寄せる。

    イザホ「……それと、ここは大西洋連邦人である彼女にとってもいわゆる外国なのよ。
    よほどはっきりとした証拠を提示できなければ、ただ話を聞くために呼び出すことさえ難しいでしょうね」

  • 24125/03/30(日) 20:47:35

    この辺ごちゃごちゃ書いてますが要するに言いたいのは、正規の方法じゃアズラエル娘を追えないぜ!ってことです。

    ちゃんと調べれば何らかの法や条例に引っかかるとかでアズラエル娘を呼び出すことくらいはできるのかもしれませんが、

    この段階ではさしものイザホ(イザシホ)もMSパイロットであり警察ではないので、そこまで思いつかないということで……

    --


    ディアリオ「最終的には、甘口カレーしか食えないような子どもを連れて行ったのにか?」


    イザホ「未成年とは言えアルミリオ君はオーブ軍に入隊予定の、分別が付く年齢だし、今回は自分で彼女について行くと宣言していたもの。

    そういう訳だから、アルミリオ君を連れ戻すにはせめてアズリナが何らかの罪を犯したという確証をターミナルが得るまで……

    何年間かは待たないと、いけないかもしれないわね」

  • 25125/03/30(日) 20:51:36

    ディアリオ「そ、そんなの待てるかよ!?
    あいつのオーブ軍入りはどうなるんだ!」

    イザホ「でもアルミリオ君自身の意思で、彼女について行ってしまったのだし。
    別れ際のアルミリオ君の言葉をよく覚えているでしょう」

    ディアリオはアルミリオの去り際の言葉を思い出すたびに、分かりやすく落ち込んだ。

  • 26125/03/30(日) 20:55:37

    一気に顔から生気が抜け、しょぼくれて地面を向く。


    ディアリオ「……俺のことが嫌いだから、俺を見返すために……って」シュン


    イザホ「アルミリオ君が彼女の提案を了承しちゃった以上、

    動画に対するプライバシーの侵害を申し立てるのも厳しいし」ムムム

  • 27125/03/30(日) 20:56:55

    イザホが腕を組みながら思案しているのを邪魔するように、ディアリオが口を尖らせ肩に寄りかかる。

    ディアリオ「なんだよあいつ、そんな風に思ってたんなら今までにちゃんと言えよ」

    イザホ(落ち込みのあまり愚痴り始めたわ)ンモー

    ディアリオ「つか、あんな癇癪起こすからあいつはまだガキなんだよ、やっぱ俺が守ってやらねえと」

  • 28125/03/30(日) 21:00:31

    イザホ「……はぁ、もう。アルミリオ君も言っていたじゃない。
    そうやっていつも勝手に決めつけられるのが嫌だった、って。
    アルミリオ君の意見を聞かなかったのは、貴方のほうなんじゃないの?」

    ディアリオ「そっ……ぐぅ、言い返せねえ」ガックシ

    ディアリオは顔にぎゅっと力を入れながら、地面を拳で殴った。
    やれやれ、とイザホが肩をすくめる。

  • 29125/03/30(日) 21:03:10

    イザホ「今の貴方に言ったら混乱させるかもとは思うけど、そう落ち込まれてても困るから言うわ。

    アルミリオ君の行動については、一つ不可解な点があるの。

    そこをはっきりさせられればすぐアズリナの捜査に踏み込んでもらえるかも」


    ディアリオ「……不可解な点?」


    イザホ「そう、さっきの動画が、

    ……ああ、あのタブレットはアルミリオ君が持って行っちゃったのね。

    どういう訳か例の動画は検索しても見つからないし、あれをもう一度見れたら話が早いんだけど……」

  • 30125/03/30(日) 21:06:49

    オー…イ…

    イザホ「あら?
    今何か聞こえなかった?」

    ディアリオ「そうか?
    言われてみれば、遠くから声が近づいてきているような」キョロキョロ

  • 31125/03/30(日) 21:09:58

    カズラ「おーーーーーーーーーい!!!!」



    ディアリオ「うわっ!?」


    唐突に、ディアリオとイザホへ向かってカズラが猛烈な勢いで走ってくる。

  • 32125/03/30(日) 21:13:16

    その勢いのまま、カズラはディアリオの背中を平手で叩こうとした。

    ディアリオ「おおっと」ヒョイッ

    カズラ「避けるな!!」

    挨拶の一撃を空振ったカズラが、これまた勢いよく振り返ってディアリオの眼前にタブレットPCを押し付ける。

    カズラ「これ! アルミリオが大変なんだ、2人ともこの動画を見てくれ!!」

  • 33125/03/30(日) 21:13:58

    イザホ「これって……!」


    ディアリオ「俺達が見たのと同じ動画か!?」



    カズラ「……って、2人も見たのか?

    それで、今アルミリオはどこに?」

  • 34125/03/30(日) 21:17:09

    カズラ「私はこのタブレットを渡してきた女を舞台裏まで引っ張ったんだがすぐに逃げられて、
    探している内にイベントが始まって下手に動けなくなっていたんだ。
    それで、ようやくイベントの後処理も終わったから、アルミリオを探そうとしたらお前達を見つけて……」

    ディアリオ「なるほどな、じゃあアルミリオの持っていたタブレットも同じ女から渡されたのか?
    とりあえず、カズラには俺達があったことを話してもいいか。実は……」

    カクカクシカジカ

  • 35125/03/30(日) 21:20:55

    ・ ・ ・

    カズラ「なんだって!?
    じゃあ、アルミリオはそのアズリナ・アズラエルとかいう奴について行ってしまったのか!?」

    イザホ「何でアズリナはカズラちゃんにもこの動画を見せたのかしら……?
    いいえ、その点は今はまだ分からないから一旦置いといて、アルミリオ君の話に集中したほうがいいわね。
    ……あら、この動画、よく見ると……」

  • 36125/03/30(日) 21:22:43

    ディアリオ「動画投稿サイトに投稿されたものだけど、限定公開ってなってるな。
    それに投稿時間は今朝で、再生回数も5回とかだ」

    カズラ「ということは、ええと、つまり」

    イザホ「良かった。
    複数投稿されているのでなければ、少なくともこのサイトを通してでは、
    この動画はごく限られた人しか見ていないということよ」ホッ

  • 37125/03/30(日) 21:24:38

    イザホ「それはつまり、プライバシーの侵害やブルーコスモスという危険組織の名を名乗ったという点で、

    相手を責めるのは難しいということでもあるのだけれど。

    身内間で楽しむものをたまたま私達が横から見ちゃっただけ、って主張されるだろうから」


    カズラ「でも、他にもこの動画を見た人がいないなら安心だ!」

  • 38125/03/30(日) 21:25:57

    イザホがタブレットの中身を確認するが、動画自体は捨てアカウントから投稿されており、

    そのほかの情報の抜き取りもできないようだ。


    ディアリオ「あの時、動画の内容に気を取られて俺達さえ限定公開ってことに気がつかなかったんだ。

    もしかしたらアルミリオも、ショックで気づいていないままかもしれないな……」ハァ

  • 39125/03/30(日) 21:30:42

    イザホ「そう、そこよ。その点が気になっているの」

    イザホが、動画の再生バーを再生時間の終わり頃までスワイプする。

    イザホ「このブルーコスモスのロゴを、アルミリオ君も見たのよ。
    そしてひどくショックを受けた」

  • 40125/03/30(日) 21:33:17

    イザホ「しかもアズリナはこの動画の内容を知っている前提で話をしていたし、
    あの時ディアリオはアズリナをブルーコスモスだとみなした発言をしていたわ。
    私だって、ブルー清浄なるモためにがブルーコスモスと繋がっている疑惑があると説明していたし」

    カズラ「モ……?」

    ディアリオ「つまり、それがどうした?」

  • 41125/03/30(日) 21:41:37

    イザホ「アズリナがカズラちゃんにこの動画を渡したという事実をあの時のアルミリオ君が知らないにしても。
    この悪意ある動画を見てショックを受けていたのに、
    動画を作ったかもしれない彼女について行くのはおかしいと思わない?」

    カズラ「なるほど。
    すごいなお前、名探偵かよ」

    イザホ「そ、それほどでも……そこで私は、もしかするとアルミリオ君は一時的な催眠状態にあったんじゃないかと仮説を立てたの」

  • 42125/03/30(日) 21:47:28

    カズラ「催眠状態だって?」


    イザホ「あの時、大音量で曲が流れていた中で話を聞こうと、アルミリオ君は通常よりもアズリナの声に集中していたはずよ。

    加えて、直前にショッキングな動画を見て動揺していた。

    だから、アルミリオ君が催眠状態で騙されていたのだとすれば……アルミリオ君が未成年という事実も加味して、警察は彼をすぐに捜索してくれる、かも」

  • 43125/03/30(日) 21:52:02

    カズラ「かも?」


    イザホ「いえその、自分で言っておきながら荒唐無稽かしらと思って」


    ディアリオ「それじゃ、アルミリオが俺に対してあんなことを言ったのも……催眠されてたから、ってんならいいけどさぁ」シュン

  • 44125/03/30(日) 21:54:28

    カズラ「落ち込んでる場合じゃないだろ、しゃっきりしろよ」

    ディアリオ「……だけど俺には、あの時のアルミリオの声は、
    ちゃんとアルミリオの意思で言ったように聞こえたんだ」

    カズラ「アルミリオの意思で? つまり、催眠だとか何とかは関係ないってことか?」

  • 45125/03/30(日) 21:57:53

    ディアリオ「ああ。
    あの時のアルミリオは確かに、多少気が大きくなっていたとは思う。
    けどすっかり操られているような状態とは言えなかった」

    きっぱりそう言うものだから、イザホもディアリオの言葉に頷いた。

    イザホ「誰よりもアルミリオ君のことを知るディアリオがそう言うなら、きっとそうなのね。
    ということはつまり、やはりアルミリオ君は自分の意思で彼女について行った、と話がフリダシに戻るのだけれど」

  • 46125/03/30(日) 22:03:40

    イザホ「これ以上の議論は無意味よ。
    色々言ったけど、私は今からでもアルミリオ君のこと、ちゃんと警察に報告すべきだと思うわ。
    たとえ状況が厳しくとも、今後アズリナを追うためのの一助となる情報は全て提供するのが、私達平和の礎である軍人の義務でしょう」

    ディアリオ「…………」ショボン

    イザホ「アルミリオ君だって、あの時は『嫌いだ』なんて言ってつい彼女について行ってしまったけど。
    今頃、後悔しているかもしれないし。
    きっと、いつか、戻ってきてくれるわよ。家族だもの」

  • 47125/03/30(日) 22:06:35

    カズラ「いや、でも待ってくれ。

    催眠状態じゃないにしても、私もアルミリオがあの女について行ったことは、何か変だと思う」


    イザホ「え?」


    カズラ「だって、アルミリオは動揺していたとしても、

    ブルーコスモスかもしれない女について行くような奴じゃあない」

  • 48125/03/30(日) 22:10:28

    カズラ「もしアルミリオに特別な考えがあって、それを警察に話すことで台無しになるんだとしたら困る。

    だからもう少しだけ待って欲しい、せめて、アルミリオがどういう理由であいつについて行ったのかがはっきり分かるまでは」


    イザホ「分かるまでって……そんなの、アルミリオ君本人がいないんだから分からないわよ」

  • 49125/03/30(日) 22:15:37

    イザホ「アルミリオ君がアズリナについて行ったのには、特別な考えがあるからかもしれないって?
    何か、見落としていることがあったかしら」ウーン

    ディアリオ「俺だって、何か理由があったって思いたいけどよ……」シュン

    カズラ「私はこんなことで、万が一にでもアルミリオが犯罪者扱いされたら嫌だ!
    あいつは軍に入るのが夢だったんだ、もしその夢に傷が付いたら」

  • 50125/03/30(日) 22:19:43

    イザホ「別に、いきなり犯罪者扱いはされないわよ」


    カズラ「けっ、けど。

    おいディアリオ、思いつかないのか?

    なんでもいい、双子のテレパシーとかないのかよ!?」

  • 51125/03/30(日) 22:22:36

    ディアリオ「双子のテレパシーって、バカ言うなよ。
    カガリさんはテレパシー使えるのかよ?
    ……けどまあ、藁にも縋る気持ちで一応念を送ってみるか」ムムム

    ディアリオはテレパシーなんてできっこないと思いつつも、
    目を閉じて一生懸命アルミリオのことを考えた。

    ディアリオ(なんだよ、本当はコンパスに行きたくなかったのか?
    だったら早くそう言えって、……そんなに言い出しにくかったのかよ?)ムムム

  • 52125/03/30(日) 22:26:39

    まぶたの裏に、別れ際のアルミリオの顔が思い浮かぶ。

    ディアリオ(つかあいつ、マジでガキっぽい顔してるよな。
    あんなに睨んでもまったく迫力ねえし。
    オーブ軍に入っても上手くやれんのか、心配だわ)ムムム

    想像上のアルミリオが、頬を膨らませる。

    ディアリオ(……とかなんとかばっか俺が言ってるから、あいつは嫌気がさしたんだろうな。
    でも、だけど、今まで上手くやってきたじゃないか)

  • 53125/03/30(日) 22:28:31

    そうだ、とディアリオは今までの楽しい記憶を次々と思い出した。

    ディアリオ(去年……俺がアカデミーを卒業した時も、アルミリオはプラントへ駆けつけに来てくれたっけ)

    ザフトアカデミーじゃ親以外のナチュラルは目立つと言っても全く気にせず、
    アルミリオは皆の目の前で俺に抱きついて来たな、とディアリオはほほ笑んだ。

    ディアリオ(その時あいつは言っていたな。
    『俺がオーブ軍人になったら、一番最初の敬礼はディアリオに送るよ』って)

  • 54125/03/30(日) 22:31:21

    ディアリオ(……アルミリオ自身が、いや俺ら以外の全人類が双子の仲は終わりだと言ったって、俺は確信できる)


    ディアリオ(あいつは俺を嫌っていない、嫌うはずがない!

    双子だからそれが分かる。

    やっぱりあいつは俺を嫌ってあの女について行った訳じゃない。

    何か理由があって、あの時俺が嫌いだなんて嘘をついたんだ!)

  • 55125/03/30(日) 22:36:20

    ディアリオ(けど、なんでだ?

    それが分からなきゃ、何も前進しないぜ。

    あ~もう、神様仏様ご先祖様、誰でもいいから力を貸してくれ!)



    『……タブレット……』



    ディアリオ(ん?

    今、何か聞こえたような?)

  • 56125/03/30(日) 22:40:33

    『……ポエム……お姫サマが来たタイミング……』


    ハッと、ディアリオは目を見開いた。
    何を見落としていたか、気づいたからだ。

    ディアリオ「……あの、恥ずかしいポエム!」

  • 57125/03/30(日) 22:41:20

    カズラ「はぁ?」

    ディアリオ「お前の机の上にあったポエムだよ!
    あの誘拐だとか助けてとか何とか書いてたやつ!」

    カズラ「誘拐?
    ……あっ! お、お、お前、アレを見たのかぁ!?」カーッ

    イザホ「そういえば、あれって結局何のメモだったの?」

  • 58125/03/30(日) 22:42:43

    カズラ「あ、あれはその、アイデアの走り書きというか、

    考えをまとめたものというか……」ゴニョゴニョ


    ディアリオ「とにかくアルミリオも、その恥ずかしいポエムを読んだんだ!

    それに、あの女がカズラにタブレットを見せているところも目撃している」

  • 59125/03/30(日) 22:43:58

    ディアリオ「けど、俺達がカズラの無事を確認できたのはイベントの中断後、
    つまりアルミリオがいなくなってからだろ」

    つまり、それは。
    ディアリオの言いたいことに気が付いたイザホとカズラも、目を見開く。

    ディアリオ「あいつ、カズラがあの女に誘拐されたと思って、助けるためにわざとついて行ったんだ!
    そうに違いない、それならあいつの行動が全て納得できる!」

  • 60125/03/30(日) 22:45:12

    とまあ話なげえよと思わんばかりの会話シーンもキリがいいので、本日はここまで
    明日もまた夜19時か20時頃には投下できそうです。

  • 61二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 00:51:26

    中々大変な状況だけど
    恥ずかしいポエムが直球で笑ってしまった

  • 62二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 08:00:29

    誤解(?)が解けたようでなにより
    今まで丁寧な前振りがあったから「あいつは俺を嫌っていない、嫌うはずがない!」がスーッと効く

  • 63125/03/31(月) 08:53:47

    コメントとハートありがとうございます!
    今更ですが今回特にミステリー要素はないので、今まで出てきたフラグはまったく覚えていただく必要はないです!

    今夜はまた19時過ぎくらいには投下できそうです、
    書き貯め分をかなり修正しながら投下してますがちゃんと結末までは続けます

  • 64二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 11:56:40

    双子の絆であんなに一緒だったのに回避してるのいいな…

  • 65125/03/31(月) 12:55:38

    お昼あげ
    この後も終始あんなに一緒だったので夕暮れがまだ同じ色系双子でお送りします
    今のところで全体の30%くらいかな?

  • 66125/03/31(月) 19:10:03

    あと10分後くらいにまた投下していきます
    この後再び喧嘩シーンがありますが、今度はどっちかと言うと痴話げんかみたいなもんです

  • 67125/03/31(月) 19:21:22

    59の続きです

    --


    カズラが誘拐されたと思い、アルミリオはアズラエルについて行った。

    ディアリオの答えを聞き、イザホは震える手で口元を覆う。


    イザホ「そんな、冷静に考えれば得策ではないと分かるはずなのに……」


    ディアリオ「だけどあの時、あいつは冷静じゃなかった。

    イザホの言う通り本当に軽い催眠状態にあって、

    操られて無いにせよ落ち着いて考えられなかったのかもしれない。

    それでアルミリオは、アズラエルに友好的なフリをするために、あえて俺に向かってあんな暴言を吐いたんだ」

  • 68125/03/31(月) 19:24:47

    ディアリオ「俺なら必ず、あの言葉は嘘だって分かると、

    きっとあいつも信じていたんだよ」


    ようやく、真実にたどり着いた。

    それにしてもさっき目を閉じていた時に聞こえた声は、何だったんだろう?

    とディアリオが首をかしげる。

  • 69125/03/31(月) 19:29:20

    イザホ「嫌いという部分は嘘かもしれないけど、
    コンパスのくだりとか誕生日の思い出については妙にリアリティがあったわよ」

    ディアリオ「……そうだな」

    ディアリオが、悔しそうに首を振る。

    ディアリオ「きっとその辺は嘘の中に混ぜた本心なのかもしれない。
    今まで、アルミリオの抑えていた気持ちがはずみで口から出て……」

  • 70125/03/31(月) 19:33:34

    ディアリオ「俺、アルミリオにあんなこと言われて、
    それにさっきイザホからもアルミリオ君の意見を聞かなかったのは俺の方だって指摘されて、
    これでもかなりショックだったんだぜ。
    ようやく、自分の行いを自覚したっつーか」

    ディアリオは、真正面からイザホと目を合わせた。

    ディアリオ「だから、俺はアルミリオを助けに行く」

    イザホ「え?」

  • 71125/03/31(月) 19:40:26

    イザホ「今、何て言ったの?」


    ディアリオ「俺は、今すぐにでもアルミリオを助けに行く。

    もちろん、アルミリオが自分からあの女について行ったなんてことを警察に知らせたりもしねえ。

    これまで俺の一方的な気持ちがあいつを苦しめていたんだとしたら、これから俺はあいつの夢を守る!

    俺だけの手でアルミリオを連れ帰って、無事にオーブ軍に入れてみせるぜ!」


    ディアリオ「……もし、アルミリオが乱暴でもされていたら、俺はブルーコスモスごとあの女を滅ぼしてやる」

  • 72125/03/31(月) 19:47:05

    カズラ「それって、つまり」

    これからディアリオは、勝手にアルミリオを助けに行くということだ。

    イザホ「そんなの、ザフト軍人として許される行動ではないわ!
    私達には任務があるのよ、それを放っぽりだして単独行動する気?
    看過できない、私は止めるわよ」

    ディアリオ「頼む、見逃してくれ。
    止められたって行くしかねえんだ、今お前と争いたくはない」

  • 73125/03/31(月) 19:51:11

    ディアリオ「俺はあいつの夢を守るためなら全てを賭けたって、
    人倫に悖る方法でさえとってみせる。
    あいつのためにそこまでできるのは、この世で俺だけだ」

    ディアリオが、自身の胸元を拳で叩いた。

    ディアリオ「だから俺が行くしかないだろ」

  • 74125/03/31(月) 19:58:03

    カズラ「わ、私も一緒に行く!」


    両拳を握りながら、カズラがディアリオの隣に立った。


    イザホ「カズラちゃんまでそんなこと言わないで、

    貴方もアズリナに誘拐されるかもしれなかったのよ?」

  • 75125/03/31(月) 20:03:26

    イザホ「まあカズラちゃんが見逃された理由は、予想だけはある程度できるけど……」ブツブツ

    カズラ「?」

    イザホ「……とにかく! 駄目よ!」

    カズラ「アルミリオが私を助けるために自分の夢をなげうってまでアズリナ・アズラエルと共に行ったというのなら、
    私が助けに行かないでどうする!」

  • 76125/03/31(月) 20:10:53

    イザホ「だからって、私は貴方達を止めない訳には……!」

    ディアリオ「なあ、マジで頼むよ。
    俺のことは何も気にしなくていいから、見逃してくれさえすりゃいいからさ。
    お前はなんだかんだでいつも、俺の頼みを聞いてくれるだろ?」

    イザホ「そんなことないわよ、どうして私がこんな状況でも、
    貴方の頼みを聞くと思うわけ?」

  • 77125/03/31(月) 20:14:17

    ディアリオ「だってお前、俺のこと好きじゃん」


    イザホ「!?」


    カズラ「!!」

  • 78125/03/31(月) 20:19:30

    イザホ「この……!」


    イザホが思いっきり、片手の平を掲げる。


    イザホ「大馬鹿者ーっ!!」バチーン


    その勢いを保ったまま、イザホの手がディアリオの頬を打ち据えた。

  • 79125/03/31(月) 20:20:37

    カズラ「ディアリオ―――っ!!」

    コーディネイターの本気の力で殴られ、ディアリオの体が宙で一回転する。

    イザホ「もう知らない!!
    単独行動でもなんでも、好きにすればいいわ!!」プンプン

    頭から湯気を立てながら、イザホはディアリオに背を向けその場から去ろうとした。

  • 80125/03/31(月) 20:23:32

    だが、数歩離れた位置でイザホが立ち止まる。
    振り返らないまま、イザホはディアリオに言い残した。

    イザホ「……明日の朝までよ。
    それまでは何とか誤魔化せる、けどそれ以上は本当に知らないから」

    そして今度こそ、イザホは去っていった。
    残されたカズラが、頬を腫らし動けなくなっているディアリオの背中を支える。

  • 81125/03/31(月) 20:27:21

    カズラ「大丈夫か? ディアリオ。
    でも今のはお前が悪いぞ」

    ディアリオ「前が見えねェ」ヒリヒリ

    カズラ「はぁ……にしても結局、双子のテレパシーは使えなかったのか?
    どうやって探そうか」

    頭脳担当のイザホを失い、特に手掛かりもないままアズリナを追うことになったズッコケ2人組は、
    当てもないままとりあえず次の行き先を考えることにした。
    今は昼過ぎ、夜になれば海に出ることもできないから急ぐ必要がある。

  • 82125/03/31(月) 20:28:37

    レミー「……あ、あのーっ!」ガサッ


    ディアリオ「うわっ、何だ!?」ビクッ


    その時、急に隣の茂みから人が飛び出たため、ディアリオは思わず飛び上がった。


    レミー「さっきアナタ達の話聞いちゃったんだけど、アタシ、力になれるかも!

    お願い、アタシにも協力させて!」

  • 83125/03/31(月) 20:29:29

    とまあキリがいいところなので休憩、
    多分10時過ぎにあとちょっとだけ投下していきます
    投下できなくてもとりあえず保守目的で書き込みだけは残しておきます

  • 84二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:39:13

    レミー…オネエ様じゃったか…!(謎の心強さ)

  • 85二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:57:12

    レミー氏、この感じでCV関俊彦なのかな

  • 86125/03/31(月) 22:04:27

    ちなみにレミー(レイミア)の画像はチラッと首元が見えていますが、ザフトレッドっぽい色のアイドル衣装ということにしてください
    ちょっと今日の投下が難しくなったので、続きはまた明日の夜行います
    多分20時頃には投下できるはず……

  • 87二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 22:41:36

    20代男性CV:関俊彦のミーア衣装(色違い)…?

  • 88二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 07:59:06

    保守

  • 89125/04/01(火) 08:32:55

    保守とコメントありがとうございます!
    朝一番の謎規制辛い
    今夜はまた19時半か20時頃から投下できそうです

  • 90二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 11:22:18

    ディアリオ君のセリフのところどころに、ナイフ持ってた頃のミリアリア的な尖りっぷりを感じる

  • 91125/04/01(火) 12:51:25

    お昼あげ
    そういえば、完結まで投下した後スレの残りが余ってたらどうしよう……
    その時は完全アドリブギャグ小話でも入れようかな

  • 92125/04/01(火) 19:27:22

    19時半頃からまたぼちぼち投下していきます。
    この後、ちょっとだけアルミリオ(ノイミリ)パートが挟まります。

  • 93125/04/01(火) 19:30:22

    82の続きです
    --

    【10年前】

    まだ幼かった頃、ディアリオとアルミリオは祖父に見守られながら、
    プラントの公園でかけっこ競争をしていた。

    アルミリオ「……かてない、なんかいやっても、かてないよ」

    ディアリオ「そんなことないって、もう一回やろうぜ」

    何度繰り返しても発育の早いディアリオには勝てず、
    やがて不貞腐れたアルミリオはその場に丸くうずくまった。

  • 94125/04/01(火) 19:34:45

    ディアリオ「ははは、かわいいかわいい」サスサス

    アルミリオ「むぅ……」

    すねたアルミリオの背中をディアリオが撫でるものだから、
    幼いアルミリオはますます口を尖らせた。

    アルミリオ「なにやってもかてないから、ディアリオとあそんでても、つまんない」

    ディアリオ「次やったら勝てるかもしれないじゃないか。
    それに、アルミリオが俺より絶対勝っていること、あるよ」

  • 95125/04/01(火) 19:38:11

    アルミリオ「……?
    ぼくが、ディアリオにかっていること?」

    ディアリオ「うん。
    俺よりアルミリオのほうが、父さん達や母さんに大事にされてる」

    ふにゃ、とアルミリオが肩ごと首をかしげる。

    アルミリオ「だいじにされてる?」

  • 96125/04/01(火) 19:42:33

    ディアリオ「アルミリオにはまだ分かんないかな。
    俺よりアルミリオのほうが、熱出た時とか皆がつきっきりで横にいるし、
    勉強だって長い時間教えてもらってるだろ」

    アルミリオ「うん。なんで?」

    ディアリオ「なんでだろうな」ニコッ

    ディアリオは、顔を上げたアルミリオに笑顔を向けた。

  • 97125/04/01(火) 19:46:27

    ディアリオ「だから、家族の中ではアルミリオが一番好かれている。俺が二番」

    アルミリオ「ぼくが、いちばん?」

    ディアリオ「うん。アルミリオがいちばん」

    ううん、とアルミリオが首を横に振る。

    アルミリオ「でもぼくは、ディアリオのことがいちばんすきだよ」

  • 98125/04/01(火) 19:49:21

    ディアリオ「へっ?」

    アルミリオ「ぼくはディアリオがいちばんすき。
    だから、ディアリオもいちばん。
    おなかすいた、じーちゃんにおかしもらお」スタスタ

    ディアリオ「えっ、あっ。
    ちょっと待てよアルミリオ、俺もお菓子もらうー!」ダッ

  • 99125/04/01(火) 19:54:38

    【現在 オーブ海上】


    ディアリオとイザホが広場で言い合いをしていた一方その頃。

    アズリナについて行ったアルミリオは、目隠しをされた状態で小型船に乗せられていた。

    視界は遮られているが、身体は縛られていない。


    アズリナ「すみませんね、わたくし達の拠点は位置を秘密にしているので」

  • 100125/04/01(火) 19:59:31

    オーブ本島から離れた、どこかの小島に連れていかれるのだろうと予測はできる。
    だが波の音ばかりで、今のところ他に得られそうな情報はない。
    仕方がなく、アルミリオは船の壁にもたれかかって考え事を始めた。

    アルミリオ(ディアリオは気づいてくれたかな。
    俺がカズラを助けるため、アズリナを信頼したフリをする必要があったから……嫌いだ、と嘘をついたことに。
    いや、ディアリオなら絶対に気づく。
    俺にはそれが分かる)

  • 101125/04/01(火) 20:06:10

    アルミリオ(……でも、かなりひどい言い方をしてしまった。
    それでいて嘘だったと気づいて欲しいだなんて、俺は浅ましいな)ハハ

    それに、全部が全部嘘ではなかった、とアルミリオは自分の言動を振り返る。

    アルミリオ(コンパスに行きたくない、っていうのはいつか、言わなきゃならないと思っていた。
    けどずっと昔の誕生日のことまで持ち出して、あんな傷つける言い方をするべきじゃなかったのに)

  • 102125/04/01(火) 20:12:34

    アルミリオ(今なら心から思える。

    自分のやりたい事をするより、ディアリオを傷つける方がもっと嫌だ)


    アルミリオ(謝らないと。

    そもそも、俺はなんて……大それた行動をしてしまったんだ)ハァ

  • 103125/04/01(火) 20:16:59

    アルミリオ(あの時は動画を見て動揺していたし、周りの音楽やアズリナ・アズラエルの声を聴いていたら何故だか頭がボーっとして……
    結果的にこんな、1人で悪い人について行くなんて大胆な行動までしてしまった。
    もしかして、テレビでよく見る催眠術にでもかかっていたんだろうか?
    それともやっぱり心の底で、あいつを見返したい、俺は子どもじゃないってところを見せたいって思ってたからかな)

    とにかく、ここまで来た以上腹をくくるしかない、とアルミリオは気を引き締めた。

  • 104125/04/01(火) 20:21:28

    アルミリオ(カズラを無事に助け出す。
    それから、できればあの動画を元データを探して消す。
    全世界に公開されているのだとしたら、早く消したい……怖いな)

    もし何もかも上手くいかず、アズリナの元から帰れなくなってしまったら。
    そう考えると、アルミリオの背筋が凍る。

  • 105125/04/01(火) 20:27:42

    アルミリオ(怖気づいちゃダメだ。
    俺がオーブ軍に入るのは、軍人になりたかったからじゃない。
    大切な人達を守りたかったからだ。
    ここで友達を助けられないで、皆を守る存在になれるもんか)

    それに、ディアリオにはザフトでの任務がある、とアルミリオはディアリオの顔を思い浮かべた。

    アルミリオ(俺が、やらないと)

  • 106125/04/01(火) 20:30:17

    アルミリオ(これはディアリオにだってできない、俺だけができることなんだ。
    ……きっと昔、誘拐されたカズラを見つけたのだって……)

    いや、そうやってすぐあいつと自分を比較するな、とアルミリオは小さく首を振った。

    アルミリオ(父さんやアスランさんだってすごく複雑な経緯でオーブ軍に入っている、
    今ここで色々あったって、軍にはいつか戻れるさ。
    なんていうのは、能天気過ぎかな?)

  • 107125/04/01(火) 20:34:28

    アズリナ「到着しましたよ、さあこちらへ」


    アズリナの周りにいるボディーガードに目隠しを外され、アルミリオはきょろきょろと辺りを見回した。

    無人島の上に建てられた、やや荒廃した大きな建物が目の前にそびえ立っている。


    アルミリオ「これは……軍の、施設ですか?」

  • 108125/04/01(火) 20:38:43

    【小島 アズリナの所有する建物】

    アズリナ「何十年も前に廃棄された基地の一部が残っていたので、利用させていただいているんですよ。
    一応この土地は買い上げているので、合法利用ですよ」

    アルミリオがぽかんと口を開け見回しているのを見て、アズリナが片眉を上げる。

    アズリナ「そんなに珍しいものでもないでしょう?
    特に貴方はすでに、軍の施設など見飽きているのでは」

  • 109125/04/01(火) 20:42:36

    アルミリオ「いや、えっと、その。
    貴方みたいな人はもっとお屋敷のような場所を拠点にしているのかと思っていたから……」

    アズリナ「は?」

    あっ、とアルミリオが顔を真っ赤にする。

    アルミリオ(しまった、いきなりヘンなことを言ってしまった。
    怪しまれないようにしないといけないのに)

  • 110125/04/01(火) 20:47:37

    大人相手に嘘をつき続けるのがこんなに難しいとは思っていなかった、
    とアルミリオが冷や汗をかく。

    アズリナ「ここは荷物置き場みたいなもので、貴方の想像するような屋敷もいくつか所有していますよ」フッ

    アルミリオ「そ、そうですか。
    ここにあるのはみんな、本来軍が持っているようなものですよね」

    建物の中には、アズリナの企業のメンバーらしき複数の人が何らかの作業をしている。

  • 111125/04/01(火) 20:52:19

    アルミリオ「彼らは、何の作業を?」

    アズリナ「ふっ、貴方がそんなことを気にする必要はありません。
    新しい動画の作成に集中すればいいんですよ」

    見渡せる範囲には、カズラはいない。

    アルミリオ(いきなり『カズラはどこだ?』なんて聞いたら、怪しまれて行動を制限されるかもしれない)

  • 112125/04/01(火) 20:53:35

    アルミリオ(まずは彼女からさらなる信頼を得て、ある程度の自由を得られるようにしないと)

    しかしどうすれば、と考えている内にアズリナがああそうだと振り返った。

    アズリナ「貴方、まだ国籍選択はしていませんよね?」

    アルミリオ「え? あ、はぁ……」

  • 113125/04/01(火) 20:59:13

    アルミリオ(確かに俺は両親から受け継いで、オーブと大西洋連邦、両方の国籍を持っている。
    この人、そんなことも知っているのか?)

    アズリナ「オーブでは、成人年齢が引き下げられてからは……重国籍者の国籍選択は22歳まででしたっけね。
    まだ期間の余裕はあるようですが」

    オーブ国籍を離脱しません?と、アズリナはあまりにも気軽に聞いてくる。

  • 114125/04/01(火) 21:06:57

    アズリナ「貴方が大西洋連邦人となれば、こちらとしても貴方の置き場所を用意しやすいですし。
    貴方専用の立派な屋敷を買ってあげてもいいですよ」

    アルミリオ「そ、それは、その」

    急な提案に、アルミリオは戸惑いを隠せない。

    アズリナ「まあ、そういう話は追々にしましょうか。
    移動ばかりで少しくたびれましたし」

  • 115125/04/01(火) 21:11:30

    アルミリオ(……祖国を捨てないか、とまるでお菓子を進めてくるかのような口調で言ってくるものだから恐ろしいな。
    それにこちらが考えているよりもずっと、俺の事を知っている。
    それだけの資金力、人を動かす力を持っているということか。
    こんな相手に俺は、友好的なフリを続けられるのか?)

    アルミリオは、周りの人物に話しかけ始めたアズリナの優雅な横顔を見つめた。

    アズリナ「ああ、そういえばお昼を食べ損ねたんですよね。
    何かすぐ食べられるものはありますか?」

  • 116125/04/01(火) 21:13:50

    アズリナに昼食の有無を尋ねられた作業員が、首を横に振る。


    アズリナ「……えぇ? 調理しないといけないものしかないんですか?」


    アルミリオ(!! これだ!)


    アルミリオ「あ、あの。

    私で良ければ調理いたしましょうか?」

  • 117125/04/01(火) 21:18:30

    アズリナ「は、貴方が?」


    アルミリオ「こう見えても、料理をするのは好きなんです。

    はは、安心してください。

    材料はここにある物を使いますし、私が何も持っていないことは先ほど身体検査をされた時に分かったでしょう?

    何も混ぜたりしませんよ」

  • 118125/04/01(火) 21:22:18

    アズリナ「そうですね。
    すぐに次の予定を始められる訳でもありませんし、頼みましょうか」

    アルミリオ「母さん直伝の料理の腕、楽しみにしてくださいね」ニコッ


    【オーブ 広場】
    一方、ディアリオとカズラはオーブの広場にて、突如現れたレミーの話を聞いていた。

  • 119125/04/01(火) 21:27:36

    レミー「アタシ、レミー。

    さっきのステージ見てくれた?

    1曲だけで終わるなんてツイてないわ、でも楽しかったー!」キャッ


    ディアリオ「で? 話って?」ジロジロ


    レミー「やだ、そんな変な目で見ないで。

    別にずっと横で隠れていたワケじゃないのよ、ちょっと通りがかっただけ」

  • 120125/04/01(火) 21:33:31

    レミー「聞いた感じ、双子さん? を探したいのかしら?
    アナタの双子さんって多分アタシ、イベント前に会ったわ。
    何か情報をあげられると思うのだけれど」

    ディアリオ「なに? アルミリオに会ったのか?」サッ

    ディアリオはとっさに、私用の携帯端末の待ち受け画像を見せた。

    ディアリオ「このぽやっとした感じの子だけど」

  • 121125/04/01(火) 21:36:26

    レミー「ひっ、双子のキョウダイを待ち受けにしてるの? やば……」ヒェ

    カズラ「しーっ、言ってやるな。
    一応『ライン超え』ギリギリのブラコンだから」

    顔をひきつらせながら、レミーが画面を覗く。

    レミー「そうね、この子に間違いないみたい。
    アナタに似てるから、双子ってきっとあの子のことねって覚えていたの」

  • 122125/04/01(火) 21:38:29

    レミー「もしかしてこの子、アズリナって女の人について行ったんじゃない?」


    ディアリオ「!!

    そうなんだ、どうしてそれを!?」


    レミー「だってアタシ、イベントが始まる前に舞台袖で、

    アズリナさんからこの子にタブレットPCを渡すよう頼まれたんだもの」

  • 123125/04/01(火) 21:39:24

    かなり中途半端ですが、キリのいいところがまだ先なので本日はいったんここまで
    明日もまた夜に投下していきます

  • 124二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 21:48:35


    やっぱり双方向ブラコンじゃないですかー!

  • 125二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:31:37

    アズラエルに死亡フラグが…

  • 126125/04/02(水) 07:53:28

    朝あげ
    今日もまた19時過ぎには投下できるかな?
    うまく行けば今週中か来週頭くらいには結末までたどり着けそうです

  • 127二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 11:07:52

    双子はどっちが兄とかないのかな。
    ノイミリ息子は同い年なのに子供扱いされてるって不服だろうけど、ディアミリ息子から見れば本当に人種の差のせいでゴリゴリに成長の違いがあったからずっと兄ムーブしてたんだろうな。

  • 128125/04/02(水) 12:47:02

    お昼あげ
    双子はどっちが兄でどっちが弟かは特に決めてません(双子なのと、英語を話していたら会話で兄・弟はあまり区別されないので)
    書き貯めしていた最初期だけアルミリオ(ノイミリ)を弟としていたので、どっかで消し忘れて弟って書いてるかもしれませんが……

  • 129125/04/02(水) 12:53:23

    せっかくなので本筋とは関係ありませんけど決めておきましょうか

    記録上はディアリオ(ディアミリ)が

    dice1d2=2 (2)

    (1.第一子 2.第二子)

  • 130二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 15:36:50

    これはこれでドラマ性を感じるダイス結果

  • 131125/04/02(水) 19:23:39

    双子なので普段どちらが上とかは気にしてないでしょうが、口には出さずともたまーに「俺の方が数秒早く産まれたのに」くらいのことは考えているかもしれませんね
    またぼちぼち投下していきます、レミー(レイミア)との会話の続きからです

  • 132125/04/02(水) 19:25:43

    122の続きです

    --

    レミー「あっ、丁度アナタが持っているようなタブレットと同じものね」


    レミーが、カズラの持っているタブレットを指さす。


    ディアリオ「……アンタも、あの動画を見たんだな」


    レミー「ええ、見たわ。

    あれ、なんで分かるの?」ドキッ

  • 133125/04/02(水) 19:29:25

    ディアリオ「初対面で俺らを兄弟と言わず、双子と当てられる奴はいないからな。
    どこかで情報を仕入れてきたってことだろ」

    レミー「あっなるほど、ふーん」

    レミーが大げさに、手を両頬に沿えながら困ったそぶりを見せる。

    レミー「にしてもびっくりー、あの動画の内容って何割が本当?
    アズリナさんがブルーコスモスのメンバーだったとしたら、どうしようアタシ」ヒャー

  • 134125/04/02(水) 19:35:26

    ディアリオ「0割に決まってんだろ。ん?
    『アズリナさん』、ってアンタ、あのアズラエルと知り合いなのか?」

    レミー「知り合いっていうかー、あの人イベントの出資者だったから。
    それにアタシをこのイベントに推してくれた人でもあるの」

    きゃいきゃいと笑いながら、レミーが自身の携帯端末で過去の配信動画を2人に見せる。
    そこそこ、人気のようだ。

  • 135125/04/02(水) 19:40:08

    レミー「ほらアタシって、今まで動画配信をメインに活動してきて、
    歌もカバーばかりでオリジナル曲すら出してなかったでしょ?」

    カズラ「すまない、見たことがない」キッパリ

    レミー「なのにアズリナさんはちっぽけなアタシを見つけてくれて、
    イベントにも出させてくれてすっごーくいい人だと思ってたのに。
    ブルーコスモスの人だったんだとしたら、アタシも仲間と思われちゃうかも」

  • 136125/04/02(水) 19:46:15

    レミー「だからアタシ、アズリナさんの居る場所までアナタ達を案内するわ!
    軍人さんに協力したら、アタシもブルーコスモスの仲間だって思われないわよね?」

    ディアリオ「あの女の向かった先を、知っているのか?」

    レミー「ええ、アズリナさんからお名刺を貰ったもの。
    ここに、彼女のオーブで拠点としている住所が書かれているわ」

    レミーが、指に挟んだ名刺を2人に見せる。

  • 137125/04/02(水) 19:51:21

    カズラ「この住所、ヤラファス島じゃあないな。
    さほど遠くはないだろうが、どこかの小島のようだ」

    ディアリオ「この住所は、あくまで奴の拠点ってだけだろ?
    この場所に向かったという保証はないし、国外に出てる可能性もある、けど……」

    さっきの今だ。
    それに、いくらビジネスになるからといって、アルミリオ一人のためだけに非正規のルートで入出国するコストを払うだろうか。

  • 138125/04/02(水) 19:57:57

    ディアリオ「パスポートが手元にない人間を秘密裏に国外へ動かすとしたら、何人かまとめてになると思うんだよな。
    わざわざパスポートを取りにノイマン家へ人を送るなんてリスク、アズラエルはしねえだろうし。
    だから準備に時間がかかるか、それとも国内で全て完結させる気か。
    どっちにせよまだオーブ国内にいるはず、だとしたら他に手掛かりも無いし、
    ……ってイザホがここに居ればこう言うだろうな」

    カズラ「とにかくこの住所へ、私達も向かうんだな。よし」

    カズラがレミーから名刺を受け取ろうとしたが、
    レミーはひょいと名刺を届かない位置まで持ち上げてしまう。

  • 139125/04/02(水) 20:04:00

    レミー「名刺を取り上げちゃだーめ、さっきも言ったでしょ?
    アタシが案内するわ。
    だから、一緒に行きましょう。
    それにアタシがいたほうが、アズリナさんの居る場所にすんなり入れるだろうし」

    ディアリオ「分かった、それなら案内頼むぜ」

    ディアリオとカズラがあっさり頷いたものだから、ついて行くと言ったレミー本人が目を丸くする。

  • 140125/04/02(水) 20:10:06

    レミー「……話しかけたアタシが言うのもなんだけど、
    初対面の相手をすぐに信じてくれるのね」

    ディアリオ「自力であの女の居場所を調べたって、時間切れになるだけだからな。
    アテがあるなら、頼るしかないだけだ。
    それに」

    ディアリオが、顎で無人となったイベントステージを示す。

  • 141125/04/02(水) 20:14:36

    ディアリオ「アンタの歌、ゴタゴタしててちゃんと聞けなかったけど結構気に入ったからさ。

    信じてみるよ」


    レミー「あはっ。そんなこと言われたら、張り切って案内しなくちゃね!

    ファンは裏切れないもの。

    ところで、どんなところが気に入った?」

  • 142125/04/02(水) 20:17:01

    ディアリオ「どんなとこって言われても、
    俺この世にある全ての歌に俺とアルミリオを重ねて聴くからなぁ……」ヘヘッ

    レミー「ひっ」ドンビキ

    ディアリオ「さて、まずは移動手段の確保だな。
    どうやってこの島まで行く? 遠くは無くとも、陸路で繋がってる距離じゃなさそうだし」

    カズラ「それなら、私に考えがある」

  • 143125/04/02(水) 20:23:54

    カズラ「ここの近くに、私の家が所有している小型ボートがあるんだが……」


    【オーブ海上】

    カズラ「おい、もっとスピード出せるんじゃないか?」ブロロロロ

    ディアリオ「んなこと言ったってよ、こんなガチの海で運転するなんて初めてだし。
    つか速度出せるタイプのボートじゃねえよこれ」ブロロロロ

    ディアリオとカズラ、そしてレミーはアスハ家所有のエンジン付きゴムボートをこっそり拝借し、
    アズリナの名刺に書かれた住所を目指して海上を走っていた。

  • 144125/04/02(水) 20:33:10

    ディアリオ「本物の海は暗いし流れが速いし、ひっくり返らないようにするので精一杯なんだよ。

    あーあ、アーノルド父さんがここにいればなぁ」ハァ


    レミー「ねえねえ、双子の子の写真、他にも見せてよ」


    ディアリオ「あ?

    カメラロールなら好きに見ていいよ、ほら」ポイ

  • 145125/04/02(水) 20:39:27

    ディアリオの私用端末を受け取り、カズラとレミーが画面をのぞき込む。

    レミー「きゃあ! ちっちゃい頃の写真がある、かわいーっ!
    バクゥとラゴゥの服着せられてるー!」キャッキャッ

    カズラ「そういや、ここからアルミリオにメッセージは送れないのか?」

    ディアリオ「とっくに一言だけ送ったよ。
    返信は無し、つかあいつ視力落としたくないとかで日頃からほとんどメッセージ読まないしな」

  • 146125/04/02(水) 20:44:55

    レミー「視力……?
    ああ、双子の子はナチュラルなんだっけ」

    ディアリオ「ちょい画面貸してみな。
    ああほら、やっぱり既読も付いてねえ」

    1時間ほど前にディアリオが送った『おいこら』というメッセージには、既読の印は付いていない。
    ちなみにその前は今朝、再会する前に送られてきた『俺の方が大胸筋でかいけどな』というメッセージで止まっている。

  • 147125/04/02(水) 20:48:43

    カズラ「普段何の話してるんだよ」フフッ


    レミー「ずっと昔から、仲が良いのね」


    ディアリオ「ああ。

    地球と宇宙で引き離されて育ったけれど、誰よりも近い存在なんだ」

  • 148125/04/02(水) 20:53:20

    レミー「離れ離れで育てられたから、一緒に居ることにこだわってるの?」

    うん? と、カズラが首をかしげる。
    さっき出会ったばかりのレミーが何故、そのようなことを聞くのかが不思議だったからだ。

    だがディアリオはボートの操縦に気を取られているのか、気にせず返事をする。

    ディアリオ「それは……」

  • 149125/04/02(水) 20:56:37

    当たり前だろ、と言いかけてディアリオの言葉が詰まる。

    レミー「?」

    ディアリオ「……いや。
    そんな具体的に何で、って考えたことなかったけど。
    改めて考えてみりゃ、一緒に居たい理由は単に、今まで離れて育てられたからってだけじゃないんだ」

  • 150125/04/02(水) 21:01:07

    ディアリオ「プラントで嫌なことがあった時にはいつも、
    アルミリオが側に居てくれればと思っていたから」

    もちろんそれは、自分より劣った存在が側に居て欲しいという欲求からではなかった。

    レミー「ふーん、アナタいじめられっ子だったの?」

    ディアリオ「まあ、なんつーか、プラントに住むハーフコーディネイターには色々あんだよ」

  • 151125/04/02(水) 21:06:49

    ディアリオ「あいつが側に居ると、強くなれるような気がするんだ。
    ……何があったって、アルミリオだけは俺の味方でいてくれるって信じてるからさ」

    レミー「なんたって、双子だものね」

    ディアリオ「ああ。それはアルミリオだって、同じように感じていると思う」

    だけど、とディアリオが表情を曇らせる。

  • 152125/04/02(水) 21:12:29

    ディアリオ「けど側に居れないことよりも、
    今みたいに居場所すら分からねえで、連絡のつかない状況にいるほうが辛いな。
    今までこんなこと、無かったのに」

    カズラ「それをアルミリオに伝えてやれよ」

    ディアリオ「ああ、そうだな」

    ディアリオの頭に、別れ際のアルミリオの言葉がよぎる。

  • 153125/04/02(水) 21:18:07

    アルミリオはディアリオを嫌っていないとしても、色々と我慢させていたようだとようやく気付けた。

    だから、もう一度ゆっくり話し合う必要がある。


    ディアリオ(ぶっちゃけ俺、やっぱ一緒にコンパスで肩を並べたいよ。

    けどあいつの気持ちも大切にしたい。

    早くまた、会って話さねえと)

  • 154125/04/02(水) 21:24:04

    ディアリオ(こんなことで、また離れ離れになるなんて絶対に駄目だ。
    なんかこう、うまく言えないけど、たとえ物理的に離れても心が離れちゃ駄目っていうか、
    話せないほど遠くへ行かせる訳にはいかないんだ。
    それをあいつに伝えなきゃあな……)

    レミー「あ!
    目的地の島が見えてきたわよ!」

    レミーの指さす先に、木々の茂った小さな島が見えてきた。
    天井の高い倉庫のような建造物と、それに付属する小さな屋舎があるだけで、いずれも壁の劣化が目立っている。

  • 155125/04/02(水) 21:34:19

    【小島 古びた建物】

    カズラ「この建物は?」

    レミー「さぁ、アタシもそこまでは分からないわ」

    ディアリオ「これは……何かの倉庫か?」キョロキョロ

    遺棄された建物なのか、海は壁のすぐ横まで浸食しているため、ボートを接岸してそのまま侵入できそうだ。
    大きく穴の開いた壁から、3人が建物の中へと入りこむ。

  • 156125/04/02(水) 21:39:22

    カズラ「ここに、アルミリオとアズリナ・アズラエルがいるといいんだが」

    レミー「もしアズリナさんを見つけたら、アタシが対応してあげるからそのスキに彼を助けてあげて。
    だからまずは、どこに居るのかを探さないと。
    でもアタシも建物の構造とか知らないのよねー」

    初めて来た建物の中で、民間人2人と手分けして捜索するのは難しい。
    ディアリオ達は揃って、アルミリオを探すことになった。

  • 157125/04/02(水) 21:45:18

    カズラ「屋内には、アズリナの仲間らしき人物がちらほらいるようだな」

    人数は少ないが、建物内には作業服姿の人物が歩いている。

    レミー「アタシが『アズリナさんに呼ばれて来たんです』って話に行ったら、彼の居場所を聞けないかな?」

    ディアリオ「いきなりアルミリオについて聞いたら、怪しまれるかもしれない。
    対応を間違えて時間をロスするほうが惜しい。
    自力でアズラエルを見つけるか、それかどうしようもない場面以外は見つからずに行こう」コソコソ

  • 158125/04/02(水) 21:49:13

    やがて、3人はやや開けた場所にたどり着く。

    カズラ「お、おい。
    あそこに積まれているのって、モビルスーツか?」

    驚いたカズラが思わず大きな声を出そうとしたので、ディアリオが慌てて口をふさぐ。
    カズラの指さす先には、確かに古いモビルスーツや戦闘機があった。
    だが。

  • 159125/04/02(水) 21:51:11

    とまあ中盤戦もそこそこなところで時間が来たので本日はここまで
    明日は投下できるかどうか怪しいところですが、だらだら長引かせたくはないのでなるべくまた19時過ぎか20時頃には投下したいです

  • 160二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:05:58


    そういえばこのスレ主あのノイマン胸でっかスレのスレ主でもあるんだっけ

  • 161二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 07:39:11

    保守

  • 162125/04/03(木) 08:03:55

    保守ありがとうございます!
    助かります!
    朝一番にスレ主が保守できなくてすみません
    今日もまた20時くらいには投下したいです

  • 163二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 09:51:51

    つまりこのスレのノイミリ君の胸も…?

  • 164125/04/03(木) 12:23:36

    お昼あげ
    このSSのアルミリオ(ノイミリ)の胸は、各々お好きなボリウッド俳優を想像してください
    その人と同じくらいです

  • 165二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 17:25:06

    でかい(確信)

  • 166125/04/03(木) 19:44:58

    ちょっと遅れて……今夜の投下は8時過ぎになりそうです
    なるべく多めに投下したいところ

  • 167125/04/03(木) 20:04:56

    なんとか用事を済ませてこれたので続きを投下していきます
    よく分からない場所に到達したところからですね

  • 168125/04/03(木) 20:07:28

    158の続きです
    --

    ディアリオ「どれもボロボロだし、無造作に積み重ねられている。
    言っちゃ悪いが、ここにあるものは兵器じゃなくてガラクタだな」

    ブルー清浄なるモためにが撃墜されたブルーコスモス兵器のうち、
    まともにパーツが残っていた残骸をこまめに回収したものの、
    修理のアテも廃棄もできずここに貯めているのではないかとディアリオは推測した。

    ディアリオ「ブルー清浄なるモためにの施設の割には、ザフトのモビルスーツも混ざっているようだけどな」

  • 169125/04/03(木) 20:11:01

    カズラ「軍でもない組織が勝手に兵器等を所有するのは、犯罪だ」

    ディアリオ「けどたまたまガラクタが、所有する建物に引っかかって溜まっただけと言い訳されりゃ罪には問えない。
    そもそも強制捜査される段階になれば証拠を残さないだろう。
    ……って、イザホなら言うだろうな」

    カズラ「脱法兵器か。
    訴えてやりたいが、今はアルミリオが優先だな。
    ここを突っ切って、あっちの廊下へ進もう」

  • 170125/04/03(木) 20:13:37

    カズラ「何人か作業員らしき者はいるが、少ないな。
    これなら見つからずに済みそうだ」コソコソ

    ディアリオ「……ここにいる奴らは、皆ナチュラルだな」

    レミー「えっ、そうなの?」

    ディアリオがはっきり頷くものだから、レミーがぽかんと口を開ける。

  • 171125/04/03(木) 20:17:44

    ディアリオ「ハーフコーディネイターでさえビジネスに利用する、とかなんとか言っておきながら、

    実際に信用しているのはナチュラルだけってことなのかもな。

    だから俺じゃなくてアルミリオを攫ったんだろうが……」


    レミー「ふぅん」

  • 172125/04/03(木) 20:22:41

    カズラ「じゃあなんでアズリナは最初に、私に声をかけたんだろうな?」


    ディアリオ「ああ、それは」


    ディアリオが何かを言いかけて、おっと、と口を閉じる。


    カズラ「うん?

    今、何を言おうとしたんだ?」

  • 173125/04/03(木) 20:26:05

    ディアリオ「いや……まあ、今となってはそれはどーでもいいじゃねえか。
    実際、カズラは攫われずにここにいるんだしよ」

    カズラ「……?
    それもそうだな。
    話なら後でもできる、今日中に皆で帰れるといいが」

    数人、作業員らしき人物がいる場所を突っ切り、3人は扉の並んだ狭い廊下へとたどり着いた。

  • 174125/04/03(木) 20:30:58

    廊下は一見無人だが、いくつか扉がある。

    部屋の中に人がいるかもしれない。


    ディアリオ「ここから部屋の中の様子は分からないな。

    騒ぎにはしたくないが、仕方がない。

    レミーに部屋の様子を確認してもらってから……」


    レミー「アタシの出番ね!」ガチャ

  • 175125/04/03(木) 20:36:32

    ディアリオ「ちょっ、おい、いきなり扉を開けるなよ。

    まずはノックとか……!」


    レミー「誰もいないみたいよ?」フフッ


    身を隠す暇もなくレミーが扉を開けたものだからディアリオ達は慌てたが、

    部屋の中は無人のようだ。

  • 176125/04/03(木) 20:38:52

    レミーが手まねきするので、ディアリオとカズラが部屋の中に入る。

    カズラ「何もないな」

    ディアリオ「ここは、さっきのガラクタ兵器を置くためだけの施設なのか?」

    レミー「…………」ガチャリ

    部屋の中を観察していると、ふいに背後から扉の閉まる音がした。

  • 177125/04/03(木) 20:43:58

    カズラ「なにっ?」


    慌てて振り返ると、そこにレミーの姿はない。


    ディアリオ「しまった、油断したか!」


    カズラ「レミー! 君が扉を閉めたのか!?」ダッ

  • 178125/04/03(木) 20:45:27

    急いでカズラがドアノブを回すが、外側から鍵をかけられたようで扉を開けられない。
    しかも内側にはカギを操作できるバーが無い。
    つまり、扉の向こうに居るレミーに、2人は部屋の中へ閉じ込められたと理解する。

    カズラ「なぜこんなことを……!」ドンドン

    ディアリオ「ちょっとしたおふざけ、って感じじゃないよな。
    アンタ、最初からアズラエルの手先だったのか?」

    何か罠があるかもしれない、とカズラの肩を掴みながらディアリオが扉を睨みつける。

  • 179125/04/03(木) 20:50:52

    レミー「そうよ、私はアズリナさんの協力者」

    外側から扉に背をつけているのか、レミーの声がはっきりと聞こえてくる。

    レミー「この島にアズリナさん達はいないし、アナタ達にはほとぼりが冷めるまでここにいてもらうわ。
    ごめんなさい、でもアズリナさんのビジネスは邪魔させない」

    だってアタシにお金をくれるんだもの、とレミーが言い訳をする。

  • 180125/04/03(木) 20:56:36

    カズラ「お金?
    君も、ブルー清浄なるモためにかブルーコスモスなのか?」

    レミー「それは違うわ。
    アタシはただ、アズリナさんの言う通りにイベントへ出たり、
    こうやって協力すればお金を貰えるから手助けしてるだけ。
    ただのSNSストリーマーに過ぎないアタシがアイドルデビューするためには、どうしてもスポンサーが必要なのよ」

    ふふふ、と焦燥感のある笑いが扉の向こうから聞こえてくる。

  • 181125/04/03(木) 21:02:34

    レミー「アズリナさんからお金を貰えれば、オリジナル曲を出せる。
    ようやく、ようやくお母さんの夢を受け継ぐことができる」

    ディアリオ「……アンタの母親も、アイドルを目指していたのか?」

    レミー「どうかしら。
    お母さんは、とっくの昔に過去を捨てていたから。
    でもアイドルになれたかもしれない未来を、アタシを育てるために全部使ってくれたのよ」

  • 182125/04/03(木) 21:05:55

    レミー「だからアタシには、こうするしかないの。
    悪いとは思うわ、でも、ね」

    カズラ「けど、そんなことで……ん?」

    レミーの低い笑い声に交じり、電話の呼び出し音も聞こえてきた。
    どうやらレミーが、誰かと通話しようとしているようだ。

  • 183125/04/03(木) 21:10:38

    次スレ今日建てるかどうか微妙なところ
    --

    レミー「あっ、アズリナさんですか? レミーです。
    はい、邪魔者達はゴミ捨て場の島に閉じ込めておきました」ピッ

    ディアリオ「なんだ?
    アズラエルと通話しているのか?」

    レミー「えっ? スピーカー通話に?
    はい……今、スピーカーを扉にくっ付けました」

    レミーの通話相手である、アズリナの声が扉越しにディアリオ達にも伝わり始めた。
    アズリナはごきげんよう、と至って何事もなかったかのように穏やかな挨拶を述べている。

  • 184125/04/03(木) 21:17:10

    アズリナ「もののついで程度に頼んだことですが、まさか本当に閉じ込められるとは。

    ザフトと言っても、所詮16歳の判断力ということですかねぇ」


    ディアリオ「てめえ、今度こそこりゃガチの犯罪だぞ!

    こっちには未成年もいるんだ、ここを出たらとっ捕まえるからな!」

  • 185125/04/03(木) 21:19:20

    アズリナ「なあに、わたくしは何もしていません。
    そこにいる方が行ったことですし」

    レミー「えっ?」

    アズリナ「ですからわたくしを訴えたければご自由に……おや?
    未成年、とは?」

    ああ、とアズリナが納得したような声を出す。

  • 186125/04/03(木) 21:23:05

    今日はこのスレいっぱいまで投下して、ぼちぼち次スレ建てるだけ建てておこうかな
    --
    アズリナ「なんだ、カズラさんもそこにいるのですか。
    だったらカズラさんだけこちらに……いや……まあいいか。
    どうせついて来たらラッキー程度のオマケとしか考えてませんでしたし」

    カズラ「なっ!?」

    私がオマケ!?と、カズラが目を見開いて自身の顔を指さす。
    あちゃー、とディアリオがため息をつく。

  • 187125/04/03(木) 21:25:15

    カズラ「な、なんだ!
    人をオマケだなんて、失礼だろっ!」

    ディアリオ「……ハナからアルミリオの利用がメインの目的で、
    アズラエルにとってカズラは居ても居なくてもどっちでもいい、くらいだったってことだろ」ハァ

    その辺はイザホにも予想はついていただろう、と言われカズラが顔を赤くする。

    カズラ「はぁ? なんでだよ。
    自分で言うのも変だが、私はこれでもカガリ・ユラ・アスハの娘だぞ?
    それに!」

  • 188125/04/03(木) 21:26:30

    カズラ「……それに、ブルーコスモスのかつての政敵、パトリック・ザラという男の孫でもあるのに。

    アズリナ・アズラエルにとっては私より、アルミリオのほうが価値があるというのか!?」


    アズリナ「だって、話題性が全然違うじゃありませんか」


    でしょ?と通話の向こうのアズリナが、近くにいるらしい誰かに声をかける。


    アズリナ「パトリック・ザラが亡くなったのって、何年前だと思っているんですか。

    もう20年以上前ですよ、今更当時の有名人の孫、しかも亡くなった後に産まれた小娘を出したってねぇ……」

  • 189125/04/03(木) 21:31:23

    アズリナ「加えて、カズラさんはボディーガードも多かったですからね。
    一応声をかけるだけかけてみて、反応が悪かったから後は放置したんですよ。
    切り捨てるべきものの判断は迅速に、これ、ビジネス界じゃ常識なのですケド?」

    カズラ「こっ……このーっ!」

    カズラは勢いよく扉を殴った。
    そこまでしっかりした作りではないのか多少揺れはしたものの、レミーが向こう側から抑えているので開きそうもない。
    いてて、とカズラが拳を引っ込める。

  • 190125/04/03(木) 21:33:22

    対して、アルミリオは話題性もバッチリだとアズリナが笑う。


    アズリナ「あの時の双子が就職する年まで育ったというのが良いですねぇ。

    それに丁度、昨今プラントでは人口問題が進み続けて毎日大混乱していますし。

    そこのハーフコーディネイターの方には、理解しやすい話でしょう?」

  • 191125/04/03(木) 21:37:49

    190で「そこのハーフコーディネイター」って書いたけどでよく考えたらここハーフコーディネイターしかおらんやんけ!
    すみません、ディアリオ(ディアミリ)のことです……
    --

    ディアリオ「ハッ、けどその話題性で金儲けしようって目論見も、間もなく潰えるぜ」

    何故なら俺達がアルミリオを助けるからだ、とディアリオがはっきり宣言する。

    ディアリオ「俺達だけじゃない。
    アルミリオに何かあってみろ、俺の家族や、友達や、仲間全員でお前を……!」

    アズリナ「ああ、彼には『大人しくしてもらっています』けど、傷はつけていませんよ」

  • 192125/04/03(木) 21:42:55

    ディアリオ「お前をブッこ……なんだって? 大人しく?」

    アズリナ「残念なことに、彼がわたくしに非協力的であると分かりましたから。
    っていうか何です? 彼の料理。
    食べた作業員が次々と倒れていったんですけど」

    わたくしも危ういところでした、と言うアズリナにディアリオの顔が引きつる。

  • 193125/04/03(木) 21:50:38

    カズラ「り、料理?」キョトン


    突如現れた場違いな単語に、カズラの怒りが薄れた。


    ディアリオ「アルミリオのやつ、また無自覚に激マズな料理を作ったのか……。

    母さん譲りの料理の『逆』才能、ややこしい時に発揮しやがって」ボソッ


    元々、アルミリオはカズラを助けるためにアズリナについて行ったのだ。

    遅かれ早かれ非協力的なのはバレていたたろうが、まさかこんな形で見破られる(?)とは。

  • 194125/04/03(木) 21:54:02

    いや、そんなことを言っている場合じゃない、と勢いを削がれたディアリオが拳を握り直す。

    ディアリオ「おい、大人しくして貰ってるってどういうことだ?
    アルミリオを縛り付けてんじゃないだろうな。
    非協力的だと思うんなら、早くアルミリオを解放しろよ!」

    最初から、アルミリオは怪しげなビデオに出演する気などなかった。
    だから俺たちが助けるか、アルミリオが自由になればそれで終わりなのにとディアリオは考えていた。
    しかし、アズリナの笑い声がディアリオの考えを吹き飛ばす。

    アズリナ「別に彼自身が動画に出演せずとも、
    彼の声と表情のデータをAIに学習させてそれらしい内容をでっちあげることもできますからねえ」

  • 195125/04/03(木) 21:55:25

    もちろんその場合も、アルミリオを解放できないとアズリナは語る。

    ディアリオ「そ、それこそ明確な犯罪だろ!」

    アズリナ「いいえ、今のはわたくしの独り言ですから。
    現時点でわたくしは何もしていませんよ」

  • 196125/04/03(木) 21:59:59

    ディアリオ「ああ言えばこう言う……!」チッ

    カズラ「けっ、けど、今私達はお前の考えを聞いてしまったぞ!
    だから、もしアルミリオにまつわる変な動画が出たら、
    私はそれがAIで作られたでっちあげ動画だと反論を出す!
    そうすればお前は損をするだけだ!」

    アズリナ「ああ、そうですか。
    じゃあ動画作るのは止めときましょうかね」サラッ

  • 197125/04/03(木) 22:02:27

    はぁ?とディアリオとカズラが揃って眉をひそめた。
    アズリナは誘拐(?)までしておいて、やっぱ止めようかな、とあまりにもあっさり言ってのけたからだ。

    アズリナ「別にアルミリオさんのことだって、
    オーブでの用事ついでに手を付けただけの『暇つぶし』ですから」

    ディアリオ「…………!」

    アズリナ「けど……んー……いや反論が沸き上がればそれはそれで金の流れを作れるか?
    どうせ最終的には尻尾切りをするわけだしな……」ブツブツ

  • 198125/04/03(木) 22:07:09

    アズリナ「まっ、せっかく来てもらったんですしアルミリオさんはもうしばらくここに居てもらいましょうか。

    動画は一部の人間へ公開するだけでも金になりますし、

    また暇な時に別の使い道を思いつくかもしれませんしね」


    ディアリオ「ヒト一人の人生弄んでおいて、何が暇つぶしだっ!!」

  • 199125/04/03(木) 22:07:39

    とまあスレも限界なので本日はここまで、
    次スレの用意をしますので少々お待ちを

  • 200125/04/03(木) 22:08:48

オススメ

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