- 1二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 19:56:47
- 2二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 19:57:17
- 3二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 19:57:38
- 4125/03/30(日) 20:04:54
―――どうしようもない
何回も話して、会話して、理解してみようと、理解さえできると思えた
でも結局神の言ってる言葉は理解出来なかった
それは人の神の違いなのか、それとも価値の尺度の違いなのか、染み付いたこの時間の感覚は何も答えない
「やっぱり…こうなるんすね」
「それはエミコ……お前の選択だろ?」
冷たい金属の感触を握り、確かめて
目の前にいる『敵』を見据えた - 5二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 20:08:00
朝起きれなくてすまない
- 6125/03/30(日) 20:18:37
覚悟なんて曖昧なものを決め、足を軽くし走る!走る!
まるで一種のアニメーションの冗談のように近くにある机達が悲鳴をあげる
それに対して神はあまり興味を示さないように応える
「はい」と
瞬間吹き荒れる風のような何が体を劈くように切り裂く
――傷はない、ただ塊のようなものをぶつけられる感触がする
「んんん!!」
踏ん張るように足に力を込めるがそれも長くは持たない
奴はただ左手を私にかざして一言呟いただけだ
つまり「分かってるんだ?」
神には……勝てない
絶望思想になりかけるが、神には勝てないだけだ
まだもうちょっと力を込めて頑張れば勝てないけどなにか掴めるかもしれない
「はァ――あんまり好きじゃないんだけどね」
左手をかざしたまま神は右手になにか……いや銃を持つ
構えた、今これに固定されるように踏ん張っては蜂の巣になるのは想像にかたくない
「うぎゃぁぁぁぁああああ!?」
銃を撃たれる前に自分からぶっ飛ばされるように力を抜いた
左右感覚がぐちゃぐちゃになって上下さえも分からない、今分かってるのはどうやら遠く上空にぶっ飛ばさているということだけ
状況の確認は終わった
思考は防御へとシストする……つまり受け身だ!
「へぶぅ!?」
……上空からの受け身は上手く出来なかったが舌を噛みちぎらかったと考えれば御の字だろう - 7125/03/30(日) 20:32:32
銃口がみえた
「ーーーーー!!!!!」
ゴロゴロと惨めに転がる
「ぃ」
少し遅かった、少しだけ銃弾を食らった…弱い身体ではない、でもこんなにも痛みを感じる
撃たれたところを触って確認する…血は出てない
大丈夫、大丈夫、まだ大丈夫
痛みを誤魔化すように自己暗示をし、目を前の脅威を対処する
「おー叫ばなくなってる」
本当に……軽々しい神だ
現実に身体を持っていけたらこんな銃など多分何発も食らっても痛くはない……はずだがこんなにも痛みを感じるのには理由がある
簡単だ、ここは神が作った世界、銃弾1発も向こうの比ではない火力だと言うことだ
「本当に馬鹿らしい火力っす」
忌々しげに言葉を吐き捨てる、実際そんなことしてる暇などないのだがそんなことに思考を割かないと痛みでどうかしそうだ
「それはそっちもおあいこでしょ?本当に馬鹿らしい程の体だね」
―――痛み関係なしにこの神に毒を吐き散らしそうになったがここは抑えた
こっちはやっすいピストル1本、向こうは火力が馬鹿みたいなサブマシンガン
武器性能では圧倒的にこっちが不利、そして向こうはさらに謎の力を使う
―――だけどこの体なら隙さえみえたなら勝機はあるはずだ
「―――ふぅ」
息を吐き、思考を切り替えていく
まだまだここからだ - 8125/03/30(日) 20:44:16
ここは雑に広がったような教室
机などはこれまた雑にバラバラに積み上がってるものであり、窓は青いペンキで塗ったような外しかない
相手を出し抜くためにはどうすべきか?
まず一直線に突き進んでも、相手は風のようなものを起こし、私を固定し銃で撃つだろう
これではさっきの二の舞だ
では近くにある机などを使って隙を作るのは?
これもダメだ風でどうせ吹き飛ぶ、神がそこを考慮してないわけがない
よってこれもダメだ
ではどうするか?
答えは簡単、神は風を使って周りを吹き荒らす
なら風を無効にできるものさえ使えれば意味は無い
ではでは風を無効にするものとは?
―――それは
「決まったっす」「―――へぇ」
銃弾を避けながら考えを決めた私とそれを察知したのか笑う神
上を見る……行けそうだ
まだ憶測を超えないが、確かめて行けるならこの方法で行くしかない
静かに選択をし…まずは椅子を掴んだ - 9125/03/30(日) 20:58:30
投げられた椅子は上空を駆け、神へと身を焦がしようにぶち当たりにいく
それを「邪魔」と一線する
手をかざし、暴風のようなものが吹き荒れる
椅子は虚しくも神へは届かずひゃげるように地に落ちた
「で?」
「ここからっす!!」
銃をポッケに突っ込み、走り出す
椅子、机、とにかくなんでも神の方に投げる
「はぁ……」
落胆するように神はゆらゆらと手をかざしものを吹き飛ばす
―――神は今、私を注視してない
この瞬間、私を目を離したこの瞬間にここまで着けた……私の勝ちだ
最初に話したがここは雑に広がった教室のようなものだ
そして教室にあるものと言えば……だ
神は気づいたようだが遅い、頭上を覆う影をみて嗤い応えるように叫んだ
「―――そう来たか!」「黒板っすぅううううう!!!!」
10m以上はある黒板を机を踏み台にし持ち上げながらのジャンプ
押し潰すように神へとダイブした - 10125/03/30(日) 21:16:39
地響きのような音がした
神の姿は見えない…この質量で押し潰すことに成功したのか?
「はは…勝ったんすか?私」
思わず少し笑ってしまう…嬉しい、嬉しいはずなのに、胸が痛む…何故だろう?とんでもなく悪い悪党を倒したのに―――
黒板を持ち上げた時に傷んだ体がギャーギャーと騒ぎ出してるはずなのに全く感覚がない
「虚しいっす」
思わず漏れたそれは…本心だった
確かに神はどうしようもなかった、やったことは悪で、度が過ぎてる程の邪悪
でもそれでも最初の…あの、あの優しい言葉が忘れない
「少し混乱してるか?まぁそうだな…座ってみなよ、君随分と疲れた顔してる」
昔の言葉を思い出す……本当に昔の言葉だ
いつの間にか忘れてもおかしくないはずなのに、何故か覚えたままずっと長い年月を過ごした
「なんで―――」
また同じ問いをする答える人を失った問いを
何度も神は答えた…何度も、それでも問いをし続けたのはそれでも信じたかったのか?認めたくなかったのか?
どちらとも一緒だ、私はこのまま…ここで―――
「馬鹿な話だな」 - 11125/03/30(日) 21:31:40
「かっ…ぁ」
苦しい、何があった?
首が締まって、締まって何もなにも何が?
何があ―――
「酷く馬鹿な生命だ…何度も抗って、それで得た答えがそれか」
「か………み?」
「そうだよ、お前が最後まで信じてしまってた神だ」
今更気づく、私、首を締められてる
「今更バタバタと動かしても意味が無いんだよ」
ぁ…駄目だ、ダメだ、だめだ、これは―――
「それじゃ、貰おうか…『願い』を」
「なんで…」「その問いをする前に、お前は自分の頭の悪さと罪を自覚するんだな」
体にだんだん力が無くなる、バタバタと生存本能に従って動いてる手足がゆっくり、死ぬように動かなくなる
「やめて―――」
「知るか、お前は虫の願いを聞くのか?」
無くなる、失くなる、亡くなる、私の身体が
―――願いが
ゆっくり、じっくり、飲み込むように、溶かすように、咀嚼するように
「誰か……助けて」
「受け入れろよ、これがお前の運命だ」
視界が暗転しそうになる、カチカチとチカチカと視点が、目が眩みそうに―――
"エミコ!!"
弾けて崩れゆく視界の中、最後に聞こえた声は――― - 12125/03/30(日) 21:42:53
━━━━━━━━━━━━━━━
遅かった
ドサリと重いものを落とすような音がした
「ようこそ、この世界の終着点へ」
目の前の敵は嗤いながら
「存分に謳歌してくれ!この願いと欲の合唱祭を!!」
と嬉しそうに笑い、哂い、嗤った - 13125/03/30(日) 23:01:18
今日はここまでにします
落ちないように頑張ります - 14二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 07:31:06
このレスは削除されています
- 15二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 12:18:01
少し早いけど保守する
- 16二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 19:21:08
このレスは削除されています
- 17125/03/31(月) 20:31:26
"が―――んぅ"
思わず飛びかかりそうになる鼓動を抑え、息を整える
手にある冷たい感触がびっしりとしがみつくように主張する
まだ―――まだダメだ
状況をよく見ろ、まだ何か拾えるものがあるならそれを拾え
戻るなら…拾えるものを全て拾ってからにしろ!
自分を叱咤し、目の前を見据える
「意外だね…もっと動揺して突撃してきたりすると思った」
"そうできればしたいんだけどね"
相手は謎の風のような力と念力を使う
―――あとなにか知らないが銃持ってる、前は使ってなかったことを察するに奥手…のようなものなのか?
まだ相手の手札を全て見た訳では無いから断言は出来ないがあの銃に気おつけるのに越したことはないだろう…そもそも越すもなにも銃受けたら死ぬけど - 18125/03/31(月) 20:46:25
「まぁこっちはとり終えたし…そっちの『願い』も貰うね」
―――来る!!
銃か?風か?念力か?
あらゆる可能性を考えた…はずだった
神は銃でも、風でも、念力を使うまでもなく…ただ一直線に突進した
そう突進だ、ただの一直線の突進……これなら銃を使った方が確実だと思うだろう
その突進が弾丸のようなスピードでなければ、だが
"ーーーーッ!!!!!"
無意識だ、無意識にただ死が目の前に接近した感覚に沿って横に飛んだ
ゴロゴロと情けない格好だが、何とか避けられた
"いまッ―――!!"「捕まえた」
ガシッと異様な腕力で足を捉えられる
ぁと感情が追いつく前に私は上空へと飛翔されていた
"ぁぁぁぁああああ!!!!???"
グルングルと目が回る、回る
上、下、右、左、そのどれもが感覚を失い吐き気をもようす浮遊感がただぶつかる
まるでジェットコースターのようだと薄い意識がぼんやりと思った
瞬間、ガシャンと硬いものが背中にぶつかる音ともに痛み―――意識を一瞬失った
"ごぼ"
上下感覚をぶっ飛ばされた吐き気の押しつけは体に相当効くらしい
無事、口から吐瀉物が出る
手で抑えようとして、今更ながらにそんな状況では無いことを悟る
神は―――
「上だよ、先生」 - 19125/03/31(月) 21:43:28
息をする暇も、思考する暇も、何も無かった
ただ脳は直情的に避けることだけを意識していた
行動出来たのは一瞬、首を傾げただけ
頭があった場所に拳が突き刺さったことを認識出来たのは直後だった
"ーーー神!!"
思わず、叫ぶ
神はこちらが悲鳴をあげそうになるほど楽しそうに笑って叫びに応えた
バキッンとものが砕ける音がする
"足場が…いや教室ごと!?"
弾けるように、開くように、教室が悲しみの合唱をする
一か八か―――そんな考えの暇すらない
窓へ飛び出す!
"うおおおおぉ!!??"
青、青―――鉄柱!?
外は青に塗られたような場所と乱雑に刺さってる鉄柱と信号……まさに夢のような幻想的な場所だった
そんな感傷は一瞬にして地に落ちる
"ぐぼわぁ"
―――何とか受け身はとれたが、教室?は3階かぐらいの高さだった
そこから落ちてよくなんとかなってて我ながら驚く
"夢だからか…バフのようなものにでもかかってる感じがするな"
普段動けない瞬間も動ける……そんな普段なら錯覚と断言してそうな行動が今では出来た
"だからと言って……だが"
振り向く、そこに居るのが当たり前のように、世界にとって当然のように……壊れた教室を踏み台にして神は立っていた - 20125/03/31(月) 21:56:35
"馬鹿げた体だ……"
「使ってた本人はそんなに使いこなせてなかったけどね」
ニヤニヤと嗤いこちらを見つめる神
―――使ってた本人というのはエミコのことを言うのだろう、エミコって本気出せばあんなこと出来たのか…と少しだけゾッとするが
「今は寝てるさ、そんな心配しなくてもいい」
"―――言いたいことが分かってるのか?"
「あぁ、こんななりでも一応神様を名乗らせて貰ってる者だからね」
"なら「でもね、その質問に答えるほど私はいい神様じゃないんだよ、それぐらい私と先生の付き合いだろ?分かれよ」
"怒ってるの?神様ってのはなかなか沸点の低いやつだね"
「なに、同じ問いを繰り返す馬鹿な奴が居たんでね、それと同じことを繰り返すのはこっちも嫌な思いをするんだよ」
同じ問い…これもエミコのことか?
正直願いやなんだか言われてもあんまりピンとこないが…神は答える気はないらしい
「それじゃ、客が来る前に…貰うよ」
"それが何かは知らないけど…渡さないよ"
何も言わず、神は近くの鉄柱を持った
まさか、なんて言葉は飲み込みすぐに逃げる準備をする
「それ!!」
軽々しい声と共に絶望が降ってきた - 21125/03/31(月) 22:13:34
"うおおおおぉ!!??"
走る!走る!右へ!左へ!
砲弾のように降ってくる鉄柱、それを避けるために走る
幸いまだ傷もなにも受けてないが―――
"体が!きっっつい!!"
息も絶え絶えで走る!足を止めたら死ぬ、冗談抜きに死ぬ!
走るしか生存の道はないのならば走るしかないが足が悲鳴を上げ続けてついに足が棒のような錯覚も感じてくる
まだ……まだ大丈夫なわけない!!
「どこまで耐えられるかな?」
もう厳しい…酸素が足りない、呼吸が浅くなる、脳がブレる
視線が慌ただしくなる、揺れる、揺れた
「限界だね」
フッと目の前に現れる神まるで瞬間移動でもしたようだ
みた瞬間、感じたのは絶望や諦めなんて言うものではなく…安心感だった
足が辛くて、酸素が足りなくて、視界もまともに使えない…これで楽になる
鬼ごっこで鬼に捕まって諦める感覚のような
もう疲れて動けないことに理由をつけようとした
でも記憶が、『私』が、そんな弱い私を許さなかった
"まだ捕まる訳にはいかない!"
足は壊れた訳じゃない、酸素は足りないだけでない訳じゃない、視界はまとめに使えないだけで見えない訳じゃない、私が辛いだけで終わるなんて…そんな甘い終わりを許す訳にはいかない! - 22125/03/31(月) 22:27:16
- 23125/03/31(月) 22:28:39
今日の更新はここまでにします
物語が最々終版のシーンです
最後まで見てくれる人が居てくれたら嬉しいです - 24二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 06:01:44
このレスは削除されています
- 25二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:41:58
ホシュノ
- 26125/04/01(火) 19:24:48
「仕切り直しでもしようか」
そう軽い手を叩く音ともにグルンッと視界が暗転…いや『回転』する
そこは、まさに夢のような夢と言えばいい空間が広がっていた
いや…具体的には、雲の上に立っていた
白銀の世界、寒いそうな雰囲気さえある普通の光景それが雲の上という足場と下…地上が見えないという事実によって夢という非現実に書き換えられる
「夢というのは不思議なものだ…そこにあると確定されてはいるが光景は固定されていない不安定な常識」
「だからこそと言ってもいい夢は固定概念というものに囚われてしまえば情景が固まり、固定されてしまう」
「つまりだ……夢は固定概念さえ捨て、未知なる瞬間を求める場所としてはうってつけなんだよ」
―――やばいよく分からない、セイアがドヤ顔でこの情景の説明っぽいやつをしてると思うのだが全く分からない!
"つまり…夢だとなんでも出来るってわけだね?"
「―――おおよそあってる、その認識で構わない」
「だが…1つ訂正するとするならば、ここは『夢』であって『夢』ではない非なる空間ということだ」
"―――え?" - 27125/04/01(火) 19:39:37
「ここは夢と似ているだけの全く別の空間だ」
"なん…だって?"
「で?」
ハッと気づく頃には遅かった
雲が…いや足場が壊れてた
"神―――!!"「話が長いんだよ…最近の人間はそういうものなのか?」
ちょっと分かってしまう言葉を吐いた神の拳によって足場が崩れる
"落ち―――"「落ちない」
落ちる、そう考えた瞬間セイアの声が響く
瞬間そこに接着剤が貼り付けられたかのように足が『空』に固定された
"どうなってのこれ!?"
はァとため息をつきセイアはやれやれといった手つきで話す
「固定概念を捨てろと言っただろう?ここは自由だ、固定概念を捨て去っていってくれ先生」
"そう言われても――!?"
神が雲を着火剤として爆発するようにこちらへ突進してくる
不味い死―――いやまだだ!
"動け足!!"
固定されていた足が動く、接触直前ギリギリに横に凪ぐように避けれた
"お…ちてない……生きてる"
「だんだん分かってきたようだね、夢の歩き方を」
ハァハァと肩で息をしながら当然のように空を歩くセイアを見上げ質問する
"ところで…ここから神をどうするの?"
それを聞いて、待ってたと言わんばかりに笑いセイアは答えた
「どうすればいいんだろうね?」 - 28125/04/01(火) 19:59:17
"なんでさ!?"
さすがに突っ込んでしまう
「いや…それは夢とは非なる空間ということにも繋がっててね」
「実は私は少し前に一足先に現実へ通っててね」
なっ…と驚いてしまう言葉を飲み込む、話の腰を折ってはダメだ聞き続けよう
「そこで私は気付いた、『先生の身体がない』とね」
"私の…?"
疑問をついつい挟んでしまう
「少し長くなりそうだね……簡潔にまとめよう」
顎に手を当て少し考え直したような顔をし話を始める
「この空間についてわかったことは2つある、1つこの空間はなんでも出来る夢と似ている、2つこの空間は人を取り込む…神隠しの正体がこれだ、人がこの空間に取り込まれて行方不明になったから神隠しと名付けられたと私はみてる」
そう、この空間について説明するセイア
「私はヒーローよ変身を待つほどそこまで寛大じゃないんだけだね」
ぼっと立っていた私そこへ神が瞬間移動でもしたように後ろに立った
"あ、"
反応することも出来ない、せいぜい出来たのは死を悟って言葉を少し放つだけ
「すまないが、まだ少し待ってくれないかい?」
神の拳が私の胸部を貫く……そう思った時
セイアが私の手を握り、私をぶん投げた - 29125/04/01(火) 20:13:34
"ああああああああぁぁぁ!?"
また!と言いたい言葉を飲み込み上下感覚をぶっ飛ばす浮遊に身を置く
"そうか!!これも"
"固定!!"
意識し、イメージを形にするために言葉を灯す
ぶっ飛んだ浮遊は急停止し"ぐぇ!?"と内蔵を殴られる感覚を覚えながらなんとか止まった
"セイアは!?"
逆さの状態で止まってしまった滑稽な自分を無視しセイアの方向をみる
セイアは―――
「やっぱり主とは厳しいか!」
「ほらほら!頑張ってくれ!」
瞬間移動のように移動を繰り返す神とそれに必死に避け、避けた場所にクッションのように雲を配置したりしながら神への攻撃に対応するセイアだった
"不味い"
完全にセイアが後手にまわり、神が圧倒してる
このままだと結果は火を見るよりも明らかだ
セイアを助けたいが……どうする?
何かできることを考えなくては―――そもそも夢とは言ったがここはそれとは似て非なるものだ
なんでも出来るとは考えにくい、そもそもなんでも出来るのならば私よりこの空間に詳しいだろうエミコが負けた理由が分からない
つまりこの空間には何か制限があると見てもいいだろう……だがそれが分かってどうする?
このままでは―――せっかく来てくれたセイアを見殺しにしてしまう! - 30125/04/01(火) 20:28:03
いや考える場合じゃない!!!
"セイアああああああああぁぁぁ!!!"
「先生!?」
空を走りながら突っ込む私にセイアは驚く
「先生!神の狙いは私じゃない!」
にたっと笑い神がこちらへ突っ込んでくる
―――いや構わない
よく見ろ、時間はスローにならないが行動はよく捉えられるはずだ
目を、眼を開けて神を視た
突っ込む神に合わせるように、前に転がり込む!
「―――マジか」
驚く神の声を聞きながらなんとかセイアのところまで進む!
"セイア!!"
「先生……よくその場でそれを」"今ははいい!ここはちょっと動きずらい!アレやって!アレ!"
「―――わかった」
一瞬考えたセイアはアレの正体がわかったらしい
パンッと手を叩きまた空間が回転する
次に目の前に広がったのは―――
どんよりとした、機械的な地下だった
「すまない、最近来たことがある場所でパッと思いついたのがこれだった」
"少し聞きたいことが増えたけどありがとう!セイア!" - 31二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 21:33:13
このレスは削除されています
- 32二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 07:11:57
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 07:15:30
応援してる
- 34125/04/02(水) 13:10:08
"ここからどうする!?"
「まずは逃げる!」
即決、会話したいことも共有したいこともあるが神から逃げないとそれもまともに出来ない
「またか!」
走って2人で逃げる私たちに苛立ちをぶつけるように壁に拳を叩きつける神
それだけで……だ
それだけで壁が壊れた
「ここも長く持たない!すまないがもう1回チェンジだ!」「いいやそれはここで終わりだ!」
場所を変えようとしたセイア、その瞬間に合わせるように空間が2度、回転する
"ぐげぇ……頭がクラクラする"
回転に巻き込まれ、目を開けた先は―――
壁に窓が張り付くように、絵画が張り付いている…椅子がそこら中に転がっているがその形すらもボヤけてて不安定な感じがする……
一言で言うと不可解な白く広い部屋だった
"神の趣味なの!?こういう部屋!"
「違うが」
少し苦い顔をして話す神だが、理由が分からない
今までと少し違う顔だ……少し名残惜しさを感じるような
「先生!伏せてくれ!」
声に無意識に身体が反応する
伏せた瞬間、パンッと軽い音が連続して2、3発放つ
「効かないよ」
うんざりとした神は、防ぐとか避けるとかそんな体を守る行動すらとらなかった、ただ突っ立ってるだけ
「効かない……か」
セイアの重苦しい声と共にまた戦闘の足音がたてられる - 35125/04/02(水) 13:25:33
「先生!いちいち情報共有してる暇はない!とりあえず色々捨ておいて話すよ!」
セイアの必死の声に応えるように神は右手を掲げ
「ここの支配権は私なんでね、さすがにここまで客人に暴れられると示しってものがつかないんだよ」
右手―――サブ、マシンガン!
銃口がこちらへ向く……アロナバリアはない
が、イメージしろ
アロナバリアはないがアロナバリアを作り出すことは出来るはずだ
「先生!」
必死に叫ぶセイアを安心させるように笑う
"目に物を見せてやらなくちゃな"
夏の温度が染み付くようにべっとりと張り付いて離れない、私は私を信じれるか?という自問自答のようだ
それに答えるのは1つ、YESとだけ
神は何も言わない、処刑する罪人のように立っている私に向けて銃は無慈悲にも人の命を奪う音をした
はずだった
「なっ!?」
銃が悲鳴をあげるように捻られる光景を見て驚く神を前にやっとと息を吐き笑う
"やっと目に物を見せれたな" - 36125/04/02(水) 13:34:34
"セイア!"
驚く神を前に今だと叫ぶ
セイアは無言でその言葉に応えるようにパンッと軽い音が何発も加わる
「無駄なことを……!」
苛立つ神に「それはどうかな?」とニヤリと笑い応えるセイア
セイアは近くにあった椅子を掴み、神に向けてぶん投げる
苛立つように舌打ちをし、神は椅子を謎の風でぶっ飛ばす
重い音と共に椅子は落ちるが、それを意に介さないように神は問う
「何回も…何回も……面白いが同じ味は飽きる」
「先生…君たちは何度繰り返すだ?」
"勝つまで"
考えることすら無意味だ、ただ勝つまでこうやって逃げて、何度も突破口を開くように隙を見つけるように試す
それが私に出来ることなら、それをするという選択肢しか道はなかった - 37125/04/02(水) 13:36:29
- 38二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 13:53:14
このレスは削除されています
- 39125/04/02(水) 13:55:04
―――そういえば、だ
さっきからセイアが話そうとする度、神は言葉を遮るように攻撃を仕掛けてきてる
ポツリと、本当に些細そうで全く些細では無いことに気付く
もしかして……もしかしてだけど
"神……結構焦ってる?"
「……」
答えは無言、沈黙であった
"わ、わかりやすい……めっちゃわかりやすい"
思わず呟いてしまった言葉、それが失言だと気付くのは遅かった
神は無言のまま椅子を手に掴み、強引に、無造作に投げ、投げ続けた
"うわああああああああああぁぁぁ!?ごめん!!"
少し謝りながら逃げる、逃げる、逃げる!
右へ、左へ、少し後ろに戻りながら砲弾のように投げられる椅子を避けながら
銃は意味が無いと思ったのだろうか、銃はさっきの1件以来出さず椅子を投げるのに留まる
「私を忘れないで欲しいね!」
神に注視されてなかったセイアここぞと言わんばかりに壁に飾ってある絵画をまるでフリスビーのように投げた
「ものを大切に扱うことも出来ないのか、ティーパーティーの人間ってやつは」
頭が痛い、と言わんばかりにこめかみに右手を当て左手で投げられていた絵画を風で飛ばす
「本当に!馬鹿みたいに!無敵だな君は!」
セイアはさすがに何をしても無駄なことになってしまう神に苛立ちを覚えてる様子で怒っていたが手はとめない
絵画を投げまくってた
私のことは煽るだけで戦闘力がないと見切りをつけたのか、神はセイアの方を見て
「まずは君からだ」と呟いた - 40二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 17:38:31
このレスは削除されています
- 41125/04/02(水) 19:48:57
戦闘中ですがちょっと書きたい話があってそれ書いていいですか?
この戦闘とは全く無関係のやつです - 42二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:52:27
スレ主のやりたいようにすればいいと思いますよ。
- 43125/04/02(水) 19:54:27
ありがとうございます
- 441 実はこうなってた!25/04/02(水) 20:12:35
今……私には怪しい男がついてる
少し状況を説明しよう
いつものように保健室で目が覚めるとシャーレ?という訳の分からないところに所属している先生という名前の男(←初めて男の人見た!)が居た
何やら混乱している様子で、あわあわしていたがとてつもなく怪しい、多分神の使徒だと思う
前々からあの神の手にみんなを使われ困らされていたが今日は手法を変えて男を送り出したのか……このループは数年以上経った気がしたが意外とまだ神のバリエーションはあるらしい
怪しい男のは"いやーエミコが居て助かったよ"とのほほんした空気を醸し出してるが、そのうち何かを使って攻撃するに違いない
あの男の攻撃方法はまだ分からない……とりあえず準備室で迎え撃つことは決定事項だが、攻撃方法が分からないのが少々怖い
「こっちも案内人をするの久しぶりっすから嬉しいっす!」
案内人は確かに久しぶりだ、まぁこの男に案内するのは地獄の準備室なのだが
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
一見乱雑にものを置かれ何もないようにカモフラージュされている準備室…銃を見つけ、相手の油断したところを撃てばまだ勝ち目はある
「あ!面白いやつあるっす!」
この声に気付いたのか振り向く先生とやら
銃を向け、無言でこめかみに一発……ここが誤算だった
銃は『貫通』した、そう貫通である…私はその時にようやく彼が銃弾に耐性のないキヴォトスの人間では無いことを悟ったがもう遅かった
最後に困惑した表情のまま彼は重い音を立て崩れ去った
「なん……で?」
分かっていながらも問いをしてしまう、先生の額から血が出てくる…赤い、赤い血が
致命傷なのは確実で、もうどうしようもない現状だった
ただあったのは困惑とあーぁやらかしたなと冷ややかな目で状況を俯瞰していた私だけ
それだけだった - 451 25/04/02(水) 20:16:48
補足
3回目のループのエミコ初対面からの準備室
それのエミコ目線です
本人は拘束のつもりでしたが、キヴォトスの人では無い先生は即死という不幸な事件でした - 46125/04/02(水) 22:15:23
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「本当にしくじった…これはまずい」
神は雑に持った絵画をこれまでのお返しだと言わんばかりに投げつける
銃弾では無駄ならここにあるものなら効くかもと思ったがどうやら現状はそこまで甘くなく、さらにそれのせいで自分を追い込む事態になってしまったことに焦りを覚える
先生に情報を伝えようにも避けるのに必死だと伝えられるものも伝えられない
「せめて接触できなら…!」
せめて先生の近く行ければいいがそれも神が投げる絵画によって阻まれる
「絵画を投げるのやめときゃ良かった」なんて言う暇もない
思考は回避に必死で状況打破の答えなど出てはくれない
隙を縫って銃弾を撃ち込もうとするがそれも効かない
「無駄な抵抗はやめてみたら?」
たまに笑いながら煽るようにそう言う神にイラッとくる
さすがに私でも堪忍袋の緒というものがあるがブチ切れても意味の無い状況……つまり最悪ということだ
―――そういえば先生の姿がさっきから見えない
一体彼は何を……そう考えた時
"セイアああああああああぁぁぁ!"
後ろで叫ぶ先生と目が合った - 47125/04/02(水) 22:31:38
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"セイアああああああああぁぁぁ"
叫ぶ、これで少しでも神が私に注視してくれたなら嬉しいんだけどどうやらそうはいかないらしい
が
「は?」
私の行動は神にとってはとんでもないことらしい
私の手にはライターがあった
この行動への道を思い返す
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―――疑問に思ってたことがあった、なんで絵画は壊れないのだろうと
セイアが投げつけて、神がぶっ飛ばしても、それでも絵画が壊れたりはしてなかった
何故か?夢だからと全て断じるのは簡単だ
だが神がそんな意味の無いことするか?それはないと……そう思う
ならば何かこの絵画は理由があると思い絵に注目してみた
"これ…同じ人物?"
それは誰かの思い出と思わしきものだった
同じ人が登場してるのはそれだけその人が記憶に残ってるのだろうか?
"そうだ……夢、記憶"
繋がる、夢と記憶という言葉
忙しすぎて忘れていたが、夢は記憶を反芻するものだ
"ならこの絵画は……神隠しの?"
誰かは知らないが、神隠しの被害にあった誰かの記憶なんだと結論付ける
"なら……この絵画を"
神は誰かを絶望させるために記憶を使って攻撃するならその記憶であるこの絵画を壊したりする行動をすれば……もしかしたらこっちに注意が向いてセイアの攻撃が止まってこっちにくるかもしれない
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「待てよ」"やっぱり…この絵画は重要なんだね" - 48125/04/02(水) 22:52:30
焦った様子の神をニヤリと笑う
どうやら予想は的中したらしい
"この絵画もしかして何か大切なことでも描いてるの?"
「……」
"沈黙は肯定だよ、神"
身動ぎも出来ない、ただ時間だけがすぎていく
これは人質のようなものだ、もし燃やしてしまったら神は即座に私をこの空間から追い出すだろう
そうなればこっちは時間を戻したとしても意味がない
今更な夏の温度が自我を主張するようにジンジンと皮膚を刺す
沈黙を崩したのは神だった
「仕方ないな」
諦めたように、冷めたように、冷たく、冷酷で透明な言葉だった
身動ぎしても遅い
瞬間移動のように目の前に現れた神に私は反応が出来なかった
「――はぁ」とため息をつく神はどこか少しもうし訳なさそうな顔で……
神の拳が振り抜かれる、その1秒の先に「先生!」と飛び出したセイアが私を庇うように私を押し出した - 49125/04/02(水) 23:11:19
ぐちゃりと肉を潰したような気持ち悪い音となんとも言えない骨が折れたような音ががした
"せい"「邪魔」
セイアを心配するように先に神は拳をぶつけたセイアに対して突き上げるように腹に拳を突き刺した
「う」
セイアは言葉も吐くことすら出来ずただ上にぶっ飛ばされた
―――今までの攻防はなんだったのか?
部屋が悲鳴を上げる声を聞きながら絶望という言葉が侵食するように、足音を立てた
"今までは…?"
ただ、疑問をつく
それに神はただ単純にシンプルに答える
「遊びだけど?」
足の力が抜けてくる
何とか出来る……そう見えていた
無敵だったけど攻撃は出来ていたし、余裕のなさそうな瞬間もあった
でもそんなのはただ見せかけの希望で、実際はただの余興だった
硬いものが壊れるぐちゃなんて音を聞く振り向くと真っ赤なセイアが転がってた
セイアが転がってたんだ
「本当に馬鹿なヤツだな、人間みんなこうなのか?」
淡々と語る神の声は透明でなんの色も持たなかっただからこそだろうか
無色透明なその声で、全て写すくせに色を持たない透明な声が
今はとんでもなく頭を冷やしていった
神に飛びかかるなんてことを思考する沸騰した頭が絶望という水をぶっかけられ、冷静になる
その冷静な思考はただ冷静に言った
"この絵画、そんなに大事なのか?" - 50125/04/02(水) 23:13:30
今日の更新はここで終わります
更新と保守頑張ります - 51二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 01:04:30
ズタボロだねセイア…
- 52二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 05:40:10
このレスは削除されています
- 53125/04/03(木) 11:01:29
「あぁ…そうだよ」
答えは簡潔で、まるでその情報を与えることぐらいははした金にもならないと言った様子だった
"なんで?"
「答える義務が私にあると思うのか?」
全く面白くないように、神は答える
ため息をつき、面白くなさそうに話した
「先生」
「自殺をしろ」
簡潔に、簡単に、それで言って絶望的な程にまで神は一言命じた
"なんで…"
無気力な私に視線を合わせるように、しゃがみ神は話し始める
「何となく分かってた、先生…お前はもしかしたらここでループした可能性があるってな」
まんで推理を披露する探偵のように、されど淡々と話す
「あの外皮に配置した包囲網を1人で突破したとは考えにくい、だからと言って協力者のエミコはもう居ない…ならまぁ結論は1つだ」
「ここで巻き戻ったらまた先生はシャーレから、私は黒い空間からだ」
「こんな終いはお互いにとって面白くない」
まるでゲームマスターのように、あんまりにも軽々しい口で話す
「だから、先生…君の手で決めてくれ」
「私に殺されるか、ここで死ぬか」
嗤ったりそんなことはしなかった…本当に面白くない結末だと思ってるのだろう、ただ無感情なまま神は話す
「そうすれば……またそこに転がってる彼女と一緒に勝てるかもよ?」 - 54125/04/03(木) 11:19:48
最悪だ
本当に最悪だ、今まで見せられたものが余興で、しかももしかしたら勝てるなんて煽られるなんて
勝てるわけないなんて分かってる、でもこのまま、このまま繰り返すだけじゃダメだ
何か…何かあったはずなんだ
何か少しでも掴める手綱があったはずなんだ
繰り返すのはいいがこのまま繰り返すだけなんてみっともなさすぎる
エミコは倒れた、セイアは血まみれだ、それでもと思うなら
何か―――
"あ"「あ?」
不意にでた言葉、それが何を意味するなんて全く分からない
ただ…このままだとダメだという反骨心に沿ってただ呟いた
"「神は神であることが神たる所以であり、故にその玉座かは引き摺り堕ろすことが」"
「2番か!」
言葉に反応する神は今の時には絶望的なほど遅い
反応してしまった時点で負けなのだ
人は…人とは何か絶望した時、諦めたそうになった時ほど何か希望というものを探してしまう生き物である
それは死であったり、それは夢であったり…今回はその反応だった
最善では無いが最悪は引かなかった
「そう…言う……ことか」
血を吐くように呟いた声に気付く、振り向くとセイアが倒れながら必死に息をしていた
"セイア!"「そうはさせるか!」
セイアの方へと走る私に向け、瞬間移動で目の前に現れ拳を叩き込もうとする神
もうそれが神が追い詰められてたという証明だと言うことが神にはわかってただろうか?
"まだだ…まだ!"
まだ最悪は引いてない、まだコンテニューには速い
まだ絶望するには速すぎた
最善策は閃かないし、こっから打破する秘策も思いつかないけど
諦めたくはなかった - 55125/04/03(木) 14:23:26
拳が振り抜かれるのは確定事項、もう既に防ぐ術は無い
なら思考のレールを変更する
"ぐ…"
鉄球が豪速球で飛んできたような硬く、刺さるような拳がヒットする
振り抜かれた拳の威力でそのまま上空へとぶっ飛ばされるが
"こ…てい"
最初からぶっ飛ばされるのと認識していれば覚悟はできる、そして覚悟したものにはその次の瞬間の対策という蜜が与えられる
「な!?」
驚く神をそのままに固定を解除、ストンと重力に引っ張られて落ちる
痛い…痛いが死ぬわけでも死んでる訳でもない、まだ足は動けるし口からは血が出てるけど貧血になってる訳じゃない
まだ動けるなら可能性がある
驚いて固まってた神を通り過ぎ、セイアの元へ走る
あと10m、近いはずなのにとんでもなく遠く感じる
「せん、」
言葉を発しようとしたセイアに呼応するように神の方向へと向くと
神がピストルを向けていた
意識される前に撃てばいいと考えていたと思っていたのか?
だがそれもセイアの言葉で意味がない
「ダメ元だ」
銃撃されるその1歩手前で"アロナ!"叫ぶ
それしか生存の道は無いと示されたのならそれに縋るしかないだろう
金属がひゃげる音と共にピストルは壊れる
チッと苛立ちを抑えるように舌打ちをする神を横目に
"セイア!"
「先生……」
なんとかセイアを抱きかかえた - 56125/04/03(木) 19:33:12
抱きかかえたセイアは熱く、命の熱を感じた
―――まだ生きてる
「先生…神は」
喋ろうとするセイアを制ししようとするが逆に制される
「言わせて…くれ」
息も上手く出来そうな感じはしない、今にも死にかけで瀕死という言葉が合う
命の灯りは死んでしまいそうで、怖く、思わず強く抱き締めてしまう
「心配しなくても…大丈夫だ」
私の様子を見て、情報よりも先に不安を解いた方がいいと考えたんだろうか、セイアは優しく母のように語りかけるように話す
「ここでは死なない、死は許されない」
"セイアそれって…"
セイアはただ笑った、優しく…もうそれでさっきの解をしたと言わんばかりに
「先生…神は、かみは」
ゆっくりと意識もだんだん眩んできてるのかゆっくりと話す
最後の一息にのせるように
「『神は神じゃない』」
そう言い残し、瞼を閉じた - 57125/04/03(木) 19:51:52
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最悪な状況というのはこういうことを言うのだろうか?
セイアは黙らせることに成功したようだがあの様子だと逆効果だ
目の前の男はセイアを床へ置きユラユラと揺れるように立ち上がる
"神…君は"
「みなまで言うなよ、なんて考えているのか分からないが、まぁ大方予想はつく」
もう既に私の『カラクリ』は解けてる
だいたいループの願いと要らん情報を遺した2番目のやつのせいだろう
だとするとここももう危ない、消えかかってた不安定な椅子が不安だが…まぁいいだろう
「君の好きな、ラスボス戦だろ?」
「笑えよ」
こんなちっぽけな話ししか出来ない自分に苛立ちを覚えそうだ
全くもって私は完璧じゃないらしい
ただ…倒れるのはまだ速い
まだ『準備』が出来てない
まだ願いを叶えるためには『準備』が出来てない
空間を仕切り、記憶を反芻、投影するその準備が
"そろそろ行くよ"
まるで覚悟の決まったヒーローのような顔しやがって、その傲慢さが本当に気に食わない
「本当に、馬鹿な話だな」
誰にも聞こえないような声で呟いた - 58125/04/03(木) 20:03:46
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神は神ではない
それは何か?
冷静なほどクリアになってくる思考がその問いに答えた
結論から先に言うと神は神という存在そのものではなく、神の名を騙る別のナニカということだ
このこと自体はなんとなく察していたが、これをもう1つの事象と紐付けると見えるものがある
神隠しだ
神隠しの条件、それは良く分からないが願いと言った神と日記、それを考えると願いが何らかのトリガーになってることは明白だ
で、だエミコは神に願った
そうしてここで望んだ体を手に入れた
でもだ…神が神ではないとしたらなら
いやもっと簡潔に言うとだ
エミコが願ったのは『神』であってこの神を騙るナニカじゃない
"お前の名を暴けば、その神の座から堕ろせる!"
あのメモの内容はそう言うことだったのだ
神という願いの精神に巣食って願いを叶えるという名の元、神隠しを起こす全く別のナニカ
それが
"お前の正体だ!"「探偵気取りかよ、君はさぁ!」 - 59125/04/03(木) 20:22:20
名を暴く、そうすれば神という座から堕ろせれる
"名前は!"「言うわけないだろ!」
瞬間移動からの鉄拳だがこれもパターンを掴めれば何とか対応できる
瞬間移動からの鉄拳は少しラグがある
瞬間移動に合わせるように飛び、神からの攻撃を避ける、避ける避ける避ける!!
"まっだ!まだ行ける!「さっさと倒れてくれ」
名前、記憶の回廊であるここならば神の記憶もあるはずだ、だとすると神の名があるのは
"絵画だ!"
この無数ある中から神の名がある絵画を見つける……そうすれば勝てるはず!
「そう簡単に事を運ばせるほど甘くないんでね」
フッと目の前から消える
うし―――"いや上か!"
ご名答とばかりに拳をぶつけようとする
避けれない今1発喰らえれば絶対に気絶する
と思うがそこまで神は多分考えてるならばここは
"わざと喰らう!"
「ぐ」
拳は額を擦るように流れる
部屋が悲鳴を上げるが、ここは頑丈らしい、まだ耐えてる
「厄介な……厄介な敵だ」
"殺してみろよ"
「殺してやりたいね、その顔を穿って」
殺すとループを発動されて神が不利になる…神は私をぶっ飛ばして別空間に隔離するか、私に宿ってるループを取り除くしか勝ち目はない
―――戦況は有利だが、まだ神のことは分からないことが多い、油断は禁物だ
ここでループする選択もあるが、セイア関連のことが分からない……次、セイアは来るのか?
まだそこも不透明だ
だが……勝ち目が見えた
ニヤリと笑い
"反撃開始だ"
とここからの最終決戦に狼煙を上げたのだった - 60二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 20:24:40
このレスは削除されています
- 61125/04/03(木) 20:44:37
神について、分かりづらいかもなので補足
1.神という存在に願ったものを取り込む神隠しがある
2.神と今先生と対峙している『神』は全く別の存在である
3.『神』は神に願ったものを神隠しして、夢の空間のようなもので願いを叶える
4.『神』は相手を絶望させるクソッタレな奴であり、神隠しにあったものは色々起こされる
5.『神』は神という名前とは別の名前があり、それを知られると『神』の神というテクスチャが剥がれる
『神』についてはそんな感じです、少しややこしいね
まぁオレオレ詐欺のような感じだと思えればだいたい合ってます
という訳で最安価
- 62二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 21:13:57
絵画を盾にしながら名前を探す
- 63125/04/04(金) 00:45:41
路線変更します
安価消してこのまま独自に突っ走ります
安価してくれた人ごめんなさい!
明日の更新まて! - 64二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 07:42:53
このレスは削除されています
- 65二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 12:18:23
早めのほ
- 66二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 19:02:11
神隠しが実質オレオレ詐欺なの草
- 67125/04/04(金) 19:43:05
とは言ったもののだ
"ぐああああああああああぁぁぁ!?"
基本的に身体能力が化け物の神相手に逃げながら名を探すという無理ゲーは厳しい
今も何回もされている空中浮遊をしているところだ
"こっ……定!"
必死に脳に形を教え込むように叫びながら体を固定する
空中で蜘蛛の糸に引っかかった虫みたいに急停止した私を見ながら
「さすがに慣れたか」
と余裕な感じを醸し出してる神にさすがに怒りたいが、怒ったとしても状況は変わらない
固定を解除し、着地寸前でまた固定、こでやっと地上に足を付けられるのだが
"見逃すわけないよねぇ!?"
フリスビーのようにぶん投げられる絵画を必死に横飛びで避ける
こんな調子だと絵画をみる時間もない
さっき投げれた絵画も誰かと誰かが仲良く喋ってるだけの絵画だ
"このままじゃ"
焦る、焦ってしまうこのまま神の妨害でまともに見れないまま体力勝負で負けるのはダメだ
だと言って何をすればいいのか問われると何も答えられないのが不味いのだが
「そろそろ諦めたら?」
さっきから全く同じ質問をしやがって……
"いいや諦めないね"
まだ余裕だと言わんばかりにニヤリと笑って答える
「威勢はいいな」
その諦めない表情に少し思うところがあるのか苦い表情をする神
鼻をかすめるこの劣悪な空気、最底辺な戦いはまだ終わってない
勝ち目を探すなら……目を凝らすしかない - 68125/04/04(金) 20:06:44
避ける私と、それを追うように駆ける神
一方的なワンサイドゲームだが、たった1つのチャンスで全てが瓦解する
"これも……違う!"
必死に絵画を、名を探しながら神の攻撃を避ける
"これは……エミコ!?"
上から降ってくる椅子を転がって避けるようにしながら見つけた絵画はエミコと緑髪の誰かがヘッドホンを探してる様子の絵
多分……日記にあった舎弟のミトとの買い物のシーンだろう
"微笑ましいけど今は関係ない!"
他にも誰かが花火大会に行って遊んでる一コマを切り取ったような絵画
なにかの武器の絵画
カーテンが開いた部屋とカーテンを開けたと思わしき誰かの絵画
誰かを突き飛ばしてしまった絵画
誰かの記憶を、思い出を見る度にこの子達を神隠しから救いたい気持ちが募る
だが現実はそんな上手くいかない
「そろそろ終いに……!」
"まだァ!"
走る、回避する、固定でなんとか受け切る
探す、探す、探す探すさがーーー!!!
"あっ……" - 69125/04/04(金) 20:07:08
気づいた時には部屋の隅にまで行ってしまった
「本当に、長い…永い戦いだったな」
決着をつけれそうになった神はご満悦の様子で笑いを堪えていた様子だった
「今までねちっこくネズミのように逃げやがって……これで終わりだ」
私に神は右手をかざす
「ここから飛ばされたらもうこの空間に戻ってこれない」
楽しく、笑ってる
「今まで頑張ってたが……結局は無駄だったな?」
まるで全ての犯行を明かす真犯人のようだとぼんやりとした頭で思い浮かべる
「グッバイ、先生、無限の1日で気が狂った君を見るのが楽しみだよ」
"なぁ"
「ん?」
終わりという予定調和を刺すように言葉を発する
夏の体温が体の中で膨張するような感覚に襲われる
けどきっとこの感覚はただ私が終わるからと言う訳では無いだろう
たった一言呟いた
"いい名前じゃないか、イノリ" - 701 回想 イノリ25/04/04(金) 20:42:27
いつの話だろうか?
もう忘れてしまった
ただ最初は求められたことが嬉しかった……はずだ
もうどんなに生きたのかも、何があったのかも知らない
私には分からない
ここに幸福はない
ここに絶望はない
ここに死はない
ここに記憶はない
ここに願いはない
ここに彼女はない
ならば私は……何故ここにいるのだろうか? - 711 回想 イノリ25/04/04(金) 20:50:22
当たり前に過ぎ去った時間は私という存在は風化させてくる
擦れて消えてゆく私に私は感傷を持たなかった
「そうなる運命なんだ、そうしかならない」
そう受け入れて、諦めて死んだ
眠りにつくように、私だけ覚えていた過去を抱いて死にゆく
その間際で声がした
「助けて」
泣きじゃくるような、嗚咽を零すような、救いを求めてた声がした
目が眩む……あぁ
その声で目覚めた私はきっとガラクタの欲張りなのだろう
「助けましょう、助けましょう、私はあなたが望んだ『神』ですから」
慈しむように、後悔を包むように、抱き締めるように答えた
答えてしまったんだ - 721 回想 イノリ25/04/04(金) 20:53:31
それが夏の記憶
初めて『神』として立ってしまった
6月6日の話だった - 731 回想 イノリ25/04/04(金) 21:01:01
「なんだ……これ」
初めて目覚めた自分の力に困惑した
どうやら私は神隠しの能力を得たらしい
後ろを振り向くと少女が居た
すやすやと寝ていたがとんでもなく憔悴してたのか彼女は目にはクマがいっぱいだった
どうやらこの子をここに連れ込んだのは私が……やったことらしい?
「助けて」
その声を応えた
それだけだ、私にはこんな力はなかった
けど彼女の安心したような寝顔をみて
安心した心があった
困惑から始まったこの願いを止まり方を今も知りたいと思ってた - 741 回想 イノリ25/04/04(金) 21:08:32
取り込む、神隠し
何となくだが理解していた
だがこんな力……私は望んでない
だとするとなんで……なんて、分かっていた
私じゃない、私じゃないなら、彼女だ
目の前の寝ている彼女を見た
どうやら起きるのはまだ遠いらしい
願われたことで……何か変わったのだろうか?
分からないが、知りたくもなかった
「どうしよう」
恐怖があった
自分の知らないところで何か自分が変わってるのだ、それなら恐怖は当然だろう
―――でも居心地の悪さは感じず、むしろこのまま『変化』に身を任せた方がいいんじゃないかと思ってしまう
真っ暗なこの空間でただ生きてるという証明のように淡く見える輪郭がある彼女はまだ寝たままだ
━━━━━━━━━━━━━━━
数日ぐらい経った気がする
まだ少女は寝たままで起きないと思うとそれも怖く感じた
何もどうしたらいいのか分からない
ただ体は蝶の蛹のように『変化』は確実に、じっくりとしている感覚があった - 751 回想 イノリ25/04/04(金) 21:20:00
変化は突然だった
何か開く音ともに体が悲鳴を上げる
「―――あ」
痛みは一瞬で瞬時に解けた
代わりに変化は空間に起こった
今までの黒をめくるように黒が白に変化する
―――あっという間だった、今まで過ごしてた黒の空間は白に塗り変わってしまった
それと呼応するように……だろうか
体はいつの間にか変わっていた
よく見た―――人の形に
それと同時に脳に、何ができるか?の情報を差し込まれる
まるで別人になった気分だった
自分が……全くの別人に成り代わったような
でもその理由も目の前の少女を見ると何となく分かってしまった
「はは…」
笑う、笑ってしまう
手に入れた力とか、そんなものではなく
私は私という存在では世界に居られないと否定されたことへのあまりにも軽い事実についてだ
誰かを騙らないと私は死ぬのか
「馬鹿な話だ」
呟いた言葉はきっとあの声に応えてしまった後悔だった - 761 回想 イノリ25/04/04(金) 23:02:09
この力を手に入れてもやることなんてそんなになかった
力を上手く使うために、空間を区切り彼女の記憶をベースに新たな空間を作った程度だろうか
「暇だ…」
退屈しのぎに力を使っても面白みがない
単純に人が居ないのだ
このままでは生きる屍…彼女を保護してるだけだ
「何かなぁ……」
暇つぶしに芸術と評して椅子を形作ったり、彼女の記憶を本にしたりしたが……暇は解消されず、酷くなる一方だった
そんな時
硬く、硬く音がした
それが私の道を決める音だということを知りたくはなかった - 77二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 07:57:35
このレスは削除されています
- 78二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 13:05:37
このレスは削除されています
- 791 回想 『神』25/04/05(土) 15:31:11
ここに落ちてきた彼女は最初の彼女と同じ学校に居た子らしかった
「あなたは……?」
久しぶりと言うにはあまりにも長い時間への問い
私は何か?
息を呑む…この子には私をなんて伝えればいいのか
いやそんな解が分かりきってる自問自答なんて最初から必要なかった
「そうだね…君が望んだ神様だよ」
平然のように『私』を語る
「望んだんだろ?私に……ね」
全く…とんだ詐欺師でペテン師で虚言しか吐かないダメ人間だ
━━━━━━━━━━━━━━━
彼女との会話は楽しかった、彼女が望んだ願いを叶えられるここはまさに彼女にとっては夢の世界なんだろう
胸が痛む感傷も楽しみで薄れた
―――そんな日も何日は経たなかった
「帰りたい」
「え?」
いつもあったらしい記憶の帰り道、振り向き彼女はそう告げた
「な、なんで……?」
まだ一緒に居たい一心で引き止めた
今見ればとても幼稚すぎる考えだが、昔の慣れない神の私はこう話すしか出来なかった
「だって…テストあるし」
昔の私にとっては予想外の答え、当たり前なのだろうがそんな発想なんてなかった私は驚いていた - 801 回想 『神』25/04/05(土) 15:36:55
「い、嫌だ」
まだ一緒に居たい…そんな願いが私の中にはあった
酷く暇なあの空間でを思い出しただけで怖気が走る
嫌だった、嫌だった
手を掴もうとする私を拒絶するように手を振り払った彼女は
怯えてたように見えた - 811 回想 『神』25/04/05(土) 16:05:20
「あははは」
笑いながら彼女を追いかける
炎天下にあった懐かしい帰り道は既に恐怖の夜に犯されてた
笑う私と逃げる彼女
彼女を捕らえたらなにをしよう、なにをしようか?
もう既に私は私というものを捨てたらしい
昔ではしなそうなことさえも簡単にしてしまった
暗闇の中過ごした時間が長かった私にとっては彼女との時間とは刺激に満ち溢れ、麻薬のように依存してしまったと今では断言出来る
―――結局その麻薬は克服出来ないままなのが救いようがない
「はっ!」
彼女を捕まえうとしたした瞬時に彼女はその瞬間を待ってたと言わんばかりに瞬間移動してしまった
「厄介だな〜」
ゆるゆると楽しく笑う私に彼女はただ無言で……それが私と彼女が違う生物であることを示しているようで好きではなかった
笑う私と逃げ惑う彼女
決着など分かりきってしまう話であり話す程でもない
肩で息を吐く彼女と、楽しく笑っていた私
「鬼ごっこまたしよう!」
無邪気に笑った私に彼女はなにを思ったのか
疲れきってしまった彼女は何かを答えようとしたようだが舌が上手く働かない現状に絶望したようだった
ただもうその言葉を発することさえも疲れたのか
バタンと、重く倒れてしまった - 821 回想 『神』25/04/05(土) 16:23:15
目を覚まさない彼女を私は昔私が元居た空間に案内してた
―――これが私の道を変える間違いだと気付いていなかった
そこは記憶の回廊として神隠しにあった人や私の記憶を本にした場所だった
後にこれはまた別の少女の影響で本から絵画へと変わるのだが…この時の私は知らない
「すっからかんだな」
ここに居る人など私と最初の彼女、そして遊んでた
そう、確か……名前を聞いてたはずだ
はずだったんだ
もう思い出せない、だからただ今は2番目と呼んでる
その方が……忘れない
起きた彼女にここを紹介した私は滑稽だった
「あんたの記憶もあるの?」
馬鹿みたいに彼女を信頼してた私はただ答えた
「そうだね」
そのまま私の本を紹介してしまった私、それが間違いなんだと叫ぼうと思ったことは何度目だろうか
でもただ……そのまま名を知られて消えてしまった方がよかったと今は思ってた - 831 回想 『神』25/04/05(土) 16:41:25
「へぇ…あんたのね」
本を持って走り去る彼女と追いかける私
掴もうとしても瞬間移動ですり抜けてしまった
この時にやっとしくじったと私は知った
「どうしよう……名を知られたら」
知られたら、どうなる?
分からない、ただこの『神の皮』が剥がれ落ちるとは何となく分かっていた
さっきの遊びとは違う生死の鬼ごっこが始まった
無茶で不利な鬼ごっこ
瞬間移動は距離自体は短いが、タイミングを握られると辛い
捕まえようとしてもすり抜けるように瞬間移動、さらに距離をとるように瞬間移動
が、負荷は溜まっていく
染みる体温と揺れる視界の中で彼女はよくやったと思う
「おい……ついた……」
必死の形相の私と対照的に笑ってる彼女
なんでそんなに笑ってたのかが不明で不愉快だった
「分からないって顔だね」
やめてくれ
「あんた、神なんて大層なこと言ってたけど」
やめてほしい
「本当はただの■■■だ」
それっきりだ、それっきり、願いを奪われて寝た彼女とはそれっきり話をしてない
「何してるんだ」
本当に、私はなにをしてるんだ? - 84二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 22:07:45
コテハンがイノリから神になってるの細かい
- 85二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 05:41:55
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- 86二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 12:46:20
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- 871 回想 『神』25/04/06(日) 19:39:18
道を決めた原因を2番目とするならば
この道を固めたのは3番目だろう
私の初めての■■だとそう願いたい - 881 回想 『神』25/04/06(日) 19:48:19
「はぁ……」
ため息をつく、なんでも出来るこの空間ならば暇などないと話したいが、私には『神』としての縛り……と言えばいいのだろうか?そういうの枷があった
「誰か来てくれたらなぁ……」
それを話すには神隠しの条件と私の出来ることについて話さなければならない
「使いにくいよ、ほんと」
神隠しは『神』に強く願ったものを取り込む
そしてそんな『神』である私の出来ることは…… - 891 回想 『神』25/04/06(日) 20:32:50
願いの実現と願いの回収と願い受け渡し……それと空間操作
この4つだけだ
願いの実現
これは簡単だ神に願った者をここに連れ込んでその願いを実現する力
次に願いの回収
これも単純だ、神へ願った者の願いを私の力として取り込む……まぁ発動条件が相手を数秒間の間触らないといけないのが面倒臭いのだが
しかも基本的にここにきた人間は神に願った願いを失うと眠る、これでは私にとって回収のメリットが少なすぎる
1番目や2番目のようにただ寝てる人間を増やすだけだ…それは■■■
まぁ例外なのはここに来て欲しいと誰かが願うくらいだが…意味の無い話だ、そんな願いをするということはここに知ってることになるのだから
閑話休題
厄介なその3つ目、願いの受け渡し
願った者の願いを私が回収し、その願いを別の人に渡す…というもの、これも使い道がない
ここに来る人間は願いを叶えるためにきたのにわざわざそれを私に頼んで別の人間に渡すなんて状況などないに等しいだろう
最後に4つ目の空間操作
特段話すことは無い、記憶を元に本を作り出したり、記憶にある場所を再現するのに色々便利だが便利なだけだ、これが初期装備であると考えると中々……もっと神なのだからあるんじゃないか?と文句を言いたい話だ - 901 回想 『神』25/04/06(日) 20:38:39
「暇だーーーー!!!」
2番目の悲劇を避けるために色々試行錯誤してるが、それも飽きてしまった
最近わかったのだが私はとんでもない飽き性のようだ
「教室ならもっとやる気でると思ったんだけどなぁ……」
ブツブツと呟き机にべったりとくっついてた
そんな時だった
「いて!」
陽気そうな声が後ろでした
後の3番目との出会いだった - 911 回想 『神』25/04/06(日) 20:43:28
「ハーーーハッハァーーーー!!そうか!!ここが私の野望を叶える場所か!!」
3番目はとんでもない子だった
今までと同じ制服だったが明らかに改造している
しかも
「我が相棒よ!この世界は何が出来るのだ!!??」
めっちゃ五月蝿く、馴れ馴れしい相棒呼びのヤバい奴だった
この時、私は
「え、えぇ……」
かっこよく試行錯誤した悪役っぽい感じに決めようとしたのをバッキバキにぶっ壊されて素で困惑してしまった
だけどこんな3番目だからこそ
―――■■になれたのかもしれない - 921 回想 『神』25/04/06(日) 21:29:41
━━━━━━━━━━━━━━━
3番目……彼女との会話は未知に溢れ楽しかった
彼女はもの作りを願いにしてたらしく
「ふふふ……出来たぞ!!」
毎日のようにものを作っては私に見せつけてきた
「こ、今回はなに作ったんだ……?」
この12回目の発明の時には既に……彼女の作った兵器の才能を知っていた
「よくぞ聞いてくれたな我が相棒よ!!これはスーパーハイテクグレネードランチャー!」
そういうや否や、背中からなにかのボタンがあるバックを出し
「ポチッとな」
そのボタンを押した途端に……バックはグレネードランチャーになった
(凄いけど毎回のネーミングセンスが酷い……)
私の心情を知らずに
「この威力を喝采せよ!!!」
振り向くことさえせず、グレネードランチャーを遠くの山へ向けて撃った
放った爆弾の威力は凄まじく、山を火炎に燃やし尽くした程……改めて考えてもおかしい火力である
「ハーーーッハッハァーーーー!!!どうだ!我が相棒よ!!この火力!この機能美!この素晴らしい名前!」
「名前には同意しかねるけど、すごいと思うよ、ほんと」
「そうだろう!そうだろう!私の考えついた兵器は!!」
(思いついた兵器を実現する力か……)
「今回の発明の凄いところはな!!」
キラキラとした目で説明し始める彼女を横目に、相棒としての毎日も悪くないななんて、考えてた
「はいはい、聞いてあげますよ」
神様よりも神様っぽい力を持った彼女の毎日は爆発と血と涙と汗にまみれた情熱の日々だった
―――長く、永く続いたが、それも終わりが見えてしまった - 931 回想 『神』25/04/06(日) 21:51:21
終わりは突然だった
いつものように彼女が居る実験室に入りながら彼女のインスピレーションを待ってた時だった
「あ、無くなった」
それは彼女にしては簡潔で、勢いがなく、それ故に彼女の終わりを示してたようだった
「ど、どうしたんだ……?」
この日々を楽しく思ってしまった私にとって彼女のその言葉は死刑宣告のように重く、苦しかった
振り向き私を見つめた彼女はなにか大切なことを言うそうで……それを聞いたらもう、戻れないような気がして思わず
「待って!待って……くれ」
―――引き止めるような言葉を発してしまった
彼女はそんな様子の私に対して軽々しく笑い
「そう不安がるな我が相棒よ」
いつものように、けどいつもよりも優しく語りかけてくる
それが怖かった、彼女が消えてしまいそうで
初めての…心が通じあってた■■を失うようで
ただ彼女はいつもの荒々しさを潜め朗らかに、優しく、明るく
「ちょっとした話をしようか」
話を始めた - 94二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 07:28:14
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- 95二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 14:57:06
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- 96二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 21:36:58
予想しよう明日にはこのスレは落ちてる♠
- 97二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 06:41:16
神妙な雰囲気じゃん
- 98二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 15:07:20
(スレが落ちるのは)まだ早い♠
- 991回想 『神』25/04/08(火) 23:04:04
「なに、そんな死ぬことじゃないさ」
軽く、優しく笑いながら話す彼女の声は芯が灯ってて温もりを感じた
「なら…なんでそんな顔するのさ……」
弱々しい言葉で引き留めようと、留めさせようとする私の姿は彼女にはどう見えていたんだろうか?
「なに、ただ願いが叶ったんだよ」
「言うとすれば…願いの限界か」
疑問、言葉は簡潔で意味を咀嚼することさえも難しいが
年月がその言葉をゆっくりと飲み込んだ
「願いの限界……」
「そう、願いの限界…私のインスピレーションでこの力は使えるけど…どうやらここは居心地が良すぎたらしいな」
古い友人に親しみを込めるような声で話す彼女の声を私は聞きたくなかった
その声一つ一つが彼女の余命を縮めてるようで
「もう…私の考えられる全てを、考えきったらしい」
有難くがるように笑って話す彼女が……とても明るかった
眩しくて、目が開けられないほどに
「どうやら願いを叶えきって願い自体が無くなるとここから消えるらしいな!」
嫌だった
その思いを分かってるように、こちらを見つめ
「――だが!ここに居る我が相棒を置いてここから去るのは少々目覚めが悪い!」
「え……」
ニカッと太陽に笑う彼女はただ一言
「だから、この願いを受け取って欲しい!」
そうまるで秘密の作戦を話す子供のように無邪気に笑ったのだった - 1001回想 『神』25/04/08(火) 23:14:20
「願いを……受け取る?」
思いがけない発想を受け取った私は困惑したが、すぐに理解に至る
―――ここはこの空間を管理してる神だからそこ、かもしれない
「願いを受け取った人は、眠る……もしかして」
パチンと指を鳴らし、彼女は答える
「そう!私が起きてると直にここから消えるかもだが!願いを無くした場合の……そうだな、仮死状態とも言うべき状態だと、私は多分消えることはない!」
ドヤ顔で話す彼女に私は一言
「いいの……?」
オドオドした様子で、聞いた
「いいさ!我が野望のいい協力者であり相棒なのだから!」
即答で、彼女はそう答える
―――それが彼女らしいな、なんて今更ながら思った
「なら……手を握らせて」
「うむ!相棒の頼みならば!」
ふと、最後に思ったところがあるように彼女は話す
「その黒い髪と白いメッシュ……意外といいな!!私がいつか目覚めたら真似しよう!」
それが彼女との最後の会話だった
嵐のように現れて、嵐のように消え去った彼女だった
―――チュートリアルはここで終わりだ - 1011回想 『神』25/04/08(火) 23:22:56
願いとは絶望で産まれるものである
その絶望が大なり小なり…絶望と願いは結びついてる
―――4番目と五番目は、どうやら繋がりがあったらしい
誰にも触れられたくないと願って暴風のような力を手に入れた彼女
たった1人に触れたいと願って見えない手の念力を手に入れた彼女
対象的なようで意外と共通点があった奴らだった
ただもう誰にも触れないで欲しいと願った彼女の願いを叶え、寝させた
その1人が存在しない世界には居たくないと願った彼女の願いを叶え、寝させた
願いをとるほど、とるほど、神に
『慣れる』
『熟れる』
『成れる』
『なれた』 - 1021回想 『神』25/04/08(火) 23:29:35
ふと鏡をみた
ただそこには白い髪の神が居た
「この顔も……もう見慣れたな」
3番目までは上手くいかなかったが、4番目から上手く行き始めたなと今ままでの経歴を考える
そういえば、誰かが黒い髪が好きだと話してた…そんな気がした
―――思い出せない
このままで私は果たして正しい道を行けてるのだろうかと思ったが
「そもそも最初から間違いだったな」
そう思い直して、嗤った
醜く全て嘲笑うような顔だった
酷い顔だな、なんて昔なら思ったのだろうか - 1031回想 『神』25/04/08(火) 23:39:46
久々に、面白い少女に出会った
なんでも彼女は同じ日が何日も繰り返したらいいと思ったらしい
―――何故かどこか共感してしまう誰かが居たが、私では無いと否定した
そんなことを置いて、私は慣れた感じで嗤う
「退屈しのぎにはちょうどいい」
何度も同じ日が続いたら、なんて願った人間がその同じ日が繰り返されることで苦痛に歪むと思うと乾いた心が愉悦で潤う
「堪らないね」
変わらない1日に心が折れそうになってる六番目をみて満たされる心を感じながら
いつ
それは自分の願いですよ
と種明かししようと考えて心が高鳴った - 1041回想 『神』25/04/08(火) 23:43:42
腐る
この先に光はない
腐る
この先には何も無い
腐る
この先には救いはない
腐る
この先には道はない
腐った
もうどこにも行けない - 1051回想 『神』25/04/08(火) 23:45:18
遠くへ、遠くへ、遠くへ、遠くへ、遠くまでに
■きたかった - 106125/04/08(火) 23:56:12
名を明かした瞬間であった
バリッと裂けるような引き裂くような音と共に空間が引き裂かれてゆく
白い部屋を犯.すように黒が侵食する
"―――!!!"
驚く私と対照的に『神』は……いやイノリはどこか嬉しそうだった
まるでこれをどこかで待ち望んでように
"とりあえずセイアを!"
このまま黒に飲み込まれるとどうなるかは分からない
だが、セイアと離れたまま飲み込まれるのは不味い…これ以上離れることはしたくない!
棒になってる足へ激痛を伴わせるように足を動かす
"いっ……"
ただ足が痛いというだけでセイアを見殺しにはしない
したくはない
崩れそうになる足を無理やり動かし、セイアの元へと着く
―――イノリはただ棒立ちで、何もしてこなかった
それが少し不気味だったが、イノリを確認する余裕も無い
項垂れて動かないセイアをお姫様抱っこのような形で担ぐ
それが限界だった
足元に裂けた黒に避けることも出来ずに飲み込まれた - 107125/04/08(火) 23:59:29
- 108125/04/09(水) 00:11:42
"―――う"
落ちる
"――うおおお"
落ちる
"うおおおおおおおおおおおお!!"
落ちる!
落下の浮遊感、それと共に味わう風の感覚
足場がない不安定さ、それて1面を埋め立てするような黒、黒!
"何か―――!"
何か、黒の中に何か……!!
その声に応えるように小さな光が下に灯った
"そこかああああああああぁぁぁ!!!"
なりふり構ってられない、セイアを抱っこしたままあの光へと突っ込まなければこの先には行けない
ガシッとしっかり掴み、目を開け滲む黒の中にある薄く夏の匂いのする光を視る
―――私は全てを理解することは出来ない
名を呼んだことがトリガーとなってこうなったとぐらいか
だけれども、そんな全て理解出来ない私でも今、1つだけ分かることは
この夢を醒ますためにはこの光に突っ込まなければならないということだけだ - 109125/04/09(水) 00:25:47
腑抜けた足、茹だった全身の体温計、溶けた脳
されどこの手だけは離さないと、離すまいと、強く握った
「―――!」
脳の処理は言葉を破棄しただ次なる行動だけを示した
夏の匂い、全てを飲み込む闇の中で天体のように光ったもの
引き込ませる
空間は死に絶え、ただ燃えるように弱く強くそれは光を放つ
だがその全て理解する必要の意味も意義もなにもない
ただ概念だけを殴るように突き刺さったこの光景の光を忘れることは無いだろう
今の私にはあの『扉』しか目に入らない
落下は止まらない、神ではない人間風情には少し軌道を変える程度が限度だろう
だがそれだけでいい、その少しだけで、一瞬だけで
"ーーー"
通ることが出来るのだから - 110125/04/09(水) 00:32:58
"ふぁッ!!?"
ガンガンと頭を鳴らす頭痛と共に目が覚める
―――見慣れないが、見たことがある天井が見えた
だが何故だろうか……思い出せない
どこで見たかは思い出せず、ただ『見た』という情報だけが脳を叩く
"不思議な……デジャブだな"
不思議な感覚と共に頭の痛みを抱える
何故か思い出せない…とんでもない目にあった気がするが思い出せない
だがこのモヤモヤはすぐに頭の痛みによって消えたのだった - 111二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 07:54:07
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- 112125/04/09(水) 15:08:44
そんな時だった
―――隣のカーテンで仕切られたところから声がした
「むにゃむにゃ…それはチョコじゃなくてアスファルトっす〜」
聞いたことのあるような、泣きそうになる程懐かしいような
声だった - 113二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 00:13:24
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- 114二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 00:37:24
お、生きてたか
というか蘇生した?
何といえば正解なんだろうね - 115二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 10:13:16
アスファルト食っとる場合か
- 116125/04/10(木) 18:22:20
声を聞いた瞬間の激情をなんと言えばいいのだろうか
"エミコ!!"
声に出した名が誰のことか分からぬままカーテンに飛び出すようにカーテンの方へダイブする
が
まず、この衝撃展開で忘れていたがここはベットの上だということと身体が上手く動かないことをまず私はしっかり認識した方が良かったのだろう
濁流のように押し寄せた激情に身を任せたダイブは体の痛みで鈍り、無事ベットから転げ落ちたのだった
"ぐべぇ!?"
ガッシャンという明らかに自分が悪い音と痛みを感じながら地べたに這いつくばってる大人が居た
―――私だった - 117125/04/10(木) 18:50:11
"ふぅーーー"
深呼吸をすること10秒、体はロボットみたいなカキカキ動きしか出来ない程何故か疲弊してるが多分大丈夫だと言い聞かせ何とか立ち上がった
―――立ち上がることで見えるものがあるとすればそれはこの場所の再確認だ
"もしかしてここ…保健室?"
今更すぎる事態ではあるがここが保健室であるということを脳が認識する
香る少しツンとしたアルコールの匂いがこの場所を保健室だと主張していた
―――いや、今はそんなことはいい!
さっきは失敗してしまったが念願のエミコと会えるのだ!まず聞くことは……等と色々考えていたその時
シャーーッとカーテンが開く爽快な音と一緒に
「さっきの音……なんすか……?」
凄く困惑した様子でおよおよとカーテンを開きながらエミコがこちらを見つめていた - 118125/04/10(木) 18:56:30
この時の感覚をどう表現したらいいのだろうか
ただそれは前世の恋人を見つけた感覚というには遠く、古い友人と会ったというには長くような
不思議な感覚だった
だけど……初めから最初の一言だけは決めていたような気がする
"無事で……良かった"
目から出る涙の感覚の理由を知らずに、ただそう呟いた - 119125/04/10(木) 19:09:36
━━━━━━━━━━━━━━━
「それで何故か感極まった先生はそのままエミコと抱きつこうとして」
やれやれとため息をつきながら
「近くで寝てたエミコが襲われてると勘違いしたヒトミとミトに殴られて扉までぶっ飛ばされたにも関わらず」
「騒ぎを感じた私にも抱きついて」
呆れと滲むような嬉しそうな声と共に
「今に至ると……」
彼女、百合園セイアは床で正座している私を見下ろしながら私が話した今までの経緯を事細かに説明した
"はい……"
「……」
じーと見つめる視線に気付かずただ俯きしょぼりしている私にセイアは
「反省の色はあるようだし、今回のことは私から彼女たちに説明しとくよ」
そう言い
「だから顔を上げたまえ……先生がそんな顔をしているとあまり私の心が良くない」
しょぼくれた私を許してくれたのだった - 120125/04/10(木) 19:23:57
「それにしても記憶がないか……何故、私だけ……やはり神がなにか……」
さっきまでの話をまとめ、思考するようにブツブツと呟き始めるセイア
それに対して私は
「どうしよう……」
と何やらもう既に色々と終わっていたこの話にどう突っ込もうかなと思考するのだった
━━━━━━━━━━━━━━━
学校から2人の生徒の制圧を要請されて来てみれば
いつの間にか寝てたらしく、その間にこの学校の古くからある伝説として恐れられていた『神隠し』
それと神隠しで友達のなくしていた生徒の問題が解決してた……なんて話を聞いてしまうと
"私……いる?"
なんて、自己肯定感も低くなってしまうのだ
しかもいつの間にやら私自身も『神隠し』にあってららしいし……
色々な生徒を見てきたがこればっかりはどうも腑に落ちないことが多すぎるが
解決してしまったのだ……
ゲームをプレイしようと思ってたらそのゲームがもうエンディング迎えてた感覚に近いのだろうか
―――色々不明なことが多いが、この話は既に解決してしまったのだ
何かこれ以上触れるにも無粋だろう
とにかく今回の頑張ってくれたセイアには何かあげようかなと考えながらシャーレに戻る準備をするのだった - 121二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 19:25:07
ハピエンですわ!!
- 122125/04/10(木) 19:30:01
- 123二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 01:59:07
はい
- 124二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 07:00:49
早いけど保守しますか