SSその人は強かった(2)

  • 1◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:43:13

    その人は強かった

    近づけば近接戦闘

    離れれば狙撃

    戦闘での隙なんてない

    そんな人でも病気にだけは勝てかなかった

    勝ったら名前を教えてあげると言われたのに

    私はその人から直接聞くことはできなかった

    それでも

    今は追い続けてきた背中が目前にある

    あとはひたすらに手を伸ばすだけでいい

  • 2◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:44:30

    ここだけイオリが名も知らぬ強者と出会っていた世界線「その人は強かった」の続き…を思いついたので駄文を書いていきます、前スレは誤字脱字が酷いため修正版も貼っておきます。

    その人は強かった | Writening1スレ目まとめ# https://bbs.animanch.com/board/4054843/ その人は強かった 近づけば近接戦闘 離れれば狙撃 戦闘での隙なんてない それでも……… そんな人でも病気にだけは勝てなかった 勝ったら名前を…writening.net
  • 3◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:44:51
  • 4◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:48:25

    なお、トリップを付けている理由については乗っ取り対策です、ご了承ください

  • 5◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:50:28

    訓練用の動く人形を銃で殴り、ストックの突起でなぎ倒し、隣の人形を蹴り飛ばして距離を取り、狙いを定め射撃する。

    イオリ「ッ!」

    素早くコッキングを行い、2発、3発と人形を穿つ。

    イオリ「………9秒13…か、速さと精度は先代に追いついてきたな…だが…」

    本気の委員長と戦ったあの日以来、動きは良くなってるし、技だってモノにした。
    それでもまだ何かが足りない、北風カガリにはあって、今の自分にはない何かがある、そんな気がしてならない。

    ヒナ「イオリ、またこんな時間までやってるの?」
    イオリ「委員長…すみません………なんというか…その…」
    ヒナ「………はぁ、次の休みは開けておきなさい」
    イオリ「委員長?」
    ヒナ「北風カガリや私以外の他の強者とも会って、話してみれば何かしら掴めるはずよ」
    イオリ「…ありがとうございます、委員長」
    ヒナ「ほら、片付けて帰るわよ」

  • 6◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:52:27

    ヒナ委員長に言われたとおり、休日の今日は予定を入れていない、というよりもヒナ委員長と共にアビドス高校へと行くことが予定ではあるのだが…

    イオリ「暁の……ホルス…」
    ヒナ「そう、それが彼女の異名、と言ってもそう呼ばれていたのは昔のことね」
    イオリ「………弱くなったんですか?」
    ヒナ「そんなことはないわ、今でも強者のままよ………ただ…まぁ…会えばわかるはずよ………それより…」

    アビドス高校へと近付いて行くにつれて、爆発音と銃声も近付いてくる…いや、私たちが近付いていると言うべきか。

    イオリ「…派手にやってますね」
    ヒナ「ほんと、アビドス高校は相変わらず人気者ね、悪い意味で…」

    ヘルメット団と思しき不良生徒たちが、アビドス生達と戦っているのが見えた。

    イオリ「どうします?」
    ヒナ「待つのも面倒ね、早めに終わらせましょ」

  • 7◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:54:19

    委員長がマシンガン…終幕:デストロイヤーを構えるのと同時に、私もクラックショットを構え、ヘルメット団へと突撃する。

    イオリ「覚悟しろ、規則違反者共め!」
    ヘルメット団「う、後ろから新手!?」
    ヘルメット団「クソッ!対応しろ!」

    攻撃される前にこちらにすぐ気付く辺り、それなりの手練なのだろう、だが…

    イオリ「遅い」

    まずは正面の敵に一発撃ち込み、怯んだところで近くの敵を巻き込むようにして蹴り飛ばしつつコッキング。
    排出され中を舞う空薬莢をストックで打ち、こちらに銃口を向けてきた敵の右手にぶつける。

    ヘルメット団「痛っ!普通に撃てよ!」
    イオリ「弾を撃つだけが銃じゃない、白兵戦なら鈍器にもなるんだよっ!」

    地面を蹴って急接近し、その勢いのまま鳩尾に銃身を叩き込み突き飛ばし、身を翻して後方から迫っていた別の敵に回し蹴りをお見舞いする。

    ヘルメット団「スナイパーが…前線に………出る…なよ…」
    イオリ「狙撃だけじゃスナイパーはやっていけないんだよ、破壊と混沌のゲヘナでは特にな」

  • 8◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:55:59

    今の敵が最後だったのか、銃声が止み、アビドス生がこちらへと歩いてくる…アイツは確か…シロコとか言ったか?

    シロコ「ん、加勢ありがと」
    イオリ「借りを返しただけだ…少しばかりだがな」
    シロコ「………借り?」
    イオリ「ゲヘナ風紀委員会のアビドスへの侵攻だ」
    シロコ「それはホシノ先輩の救出で返してもらってる」
    イオリ「あれはヒナ委員長が単独で片付けたからな…私個人の分は別だろう?」

    それに、先生に頼まれたからというのもあるし…足を舐めるどころかしゃぶられたし…

    イオリ「………」
    シロコ「大丈夫?顔が赤いけど」
    イオリ「い、いやっ!?な、なんでもない!」

    足のことは聞かれたくないし言いたくないし、話を変えないと…

  • 9◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:57:20

    イオリ「そ、それよりだな…その…小鳥遊ホシノはいるか?」
    ホシノ「うへぇ〜、おじさんに何か御用かな〜?」
    シロコ「ん、ホシノ先輩、来るのが遅い、もう終わった」
    ホシノ「いやぁ〜、このくらいならみんなでも相手できるしさぁ〜、寝てても良いかなって」

    なるほど…委員長が言っていたのはこういうことか…

    イオリ「………強いな、アンタ」

    本当に寝ていたのなら真新しい傷(ほんの少しの掠り傷程度だが)はできないし、砂埃で服が汚れるはずもない。おそらくは、奇襲しようとしていた別働隊の相手をしていたのだろう。

    ホシノ「うへ?そうかなぁ?」

    返事はとぼけているが自分の間合いに収めつつも、私の間合いからは即座に離脱できるよう一定の距離を保ちながら遮蔽の近くに立っている。
    それに表情は油断しきっているように見えて、目では私の動きを追っている…いつでも戦闘に移れるだろうし………正直、私が勝てるかどうか…

    シロコ「ん、ホシノ先輩はぐうたらで寝坊助でサボり魔だけど、強い」
    ホシノ「シロコちゃん酷いよ〜!」
    イオリ「………」

    強者っていうのはどいつもこいつもクセが強い…

  • 10◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:58:34

    書き溜めは以上です、あとは気長にお待ちいただけますと幸いです、スレの保守協力、よろしくお願いします。

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 22:14:44

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 00:12:39

    あの強者概念が再び…次は誰と戦うのか

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 07:45:00

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 10:11:49

    >>12

    普通にホシノでしょ、そこにプラスで対策委員会全員とか、クロコとか?

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 18:48:11

    保守

  • 16◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:44:58

    ホシノ「ふぅん?ヒナちゃんの紹介で来たわけだ」
    ヒナ「そうね、イオリの特訓に付き合ってほしいのだけど、良いかしら?」
    ホシノ「うへぇ〜…めんどくさいなぁ〜…」
    ヒナ「勿論タダでとは言わない、対絶対強者の訓練、その仮想敵として正式に依頼を出すわ、当然、報酬も払う………このくらいの額で良いかしら?」

    委員長が小切手を手渡し、それをアビドス生達が覗き込むように全員で見る。

    ホシノ「う、うへぇ………マジ?」
    シロコ「ん、これは受けるべき」
    セリカ「そうよ!この額なら受けて損はないはず!」
    アヤネ「それに正式な依頼ですから買収ってことにもなりませんし」
    ノノミ「これだけあれば次の支払いは余裕ですね」

    四人は肯定的だが本人は乗り気じゃない…か…

    ホシノ「………はぁ、仕方ない、じゃあ………やろっか、校庭でいいよね?」
    イオリ「あぁ、よろしく頼む」

  • 17◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:46:48

    校庭に場所を移し、互いに構える。

    ホシノ「じゃ、いつでもいいよ〜、好きに始めちゃって〜」
    イオリ「………ふーっ…ッ!」

    まずは小手調べに距離を取って射撃する、相手の得物は近接特化のショットガン、肉弾戦は後回しにする……………つもりだったが…

    ホシノ「いや〜、まいったまいった〜、流石、ヒナちゃんが見込んだ後輩ちゃんだねぇ、おじさんじゃあ勝てないや」

    なんのことはない、一方的に勝ててしまった…というよりはまともに戦っていない、手を抜いてさっさと終わらせた…と言ったところか。

    イオリ「………手、抜いてただろ?」
    ホシノ「うへ?そんなことはないよちょっと身体が温まってない状態だったから、今出せる範囲でやっただけだよ?」
    イオリ「それを手加減って言うんだよ」

    間違いなくこの人は強いはずだ、それこそ今の発言だってどう考えても嘘だ。

    ホシノ「………ねぇ、後輩ちゃんはどうして強くなろうって思ったの?」
    イオリ「名前を聞きたかったから、だな、それがどうかしたのか?」
    ホシノ「今は名前を知ってるよね?まだ強くなる理由ってあるの?」
    イオリ「それは…」

    返事を返そうとして口籠る、言われてみれば確かにそうだ、私がこれ以上強くなる必要なんてあるのか?
    確かに憧れはしているが…別に無理に強くなる必要なんてない、治安維持程度なら今でも十分やっていける程度の実力はある。

    これ以上の力を求めていったい何の意味がある?

    ホシノ「理由無き強さは身を滅ぼすよ?………そうだね、戦う理由を見つけたら……………………その時は本気で相手してあげる」

  • 18◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:47:33

    自室に戻った私はお風呂に入り、服を着替え、食事をし、武器の手入れをしながら考え事をする。
    これが私の日常であり、これも彼女(強者)から受け継いだこと………当時を思い出す為の、目標を、憧れを、再確認する為のルーティン。

    イオリ「…戦う理由………か、考えたこともなかった」

    あの人が強かったから、そこに憧れた、ただそれだけだった、治安維持だって強くなるのに都合がいいからやっているだけ、別の方法でも良かった。

    イオリ「……」

    わからない、本当に…何で戦ってるのか…

    イオリ「………墓参り、行くか」

    あの人に聞いてみたら何かわかるかもしれない。

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 19:55:06

    無理に強くなる必要が無いってのは確かにそう、卒業したら風紀委員会じゃなくなるし目的を失ってしまうよね。

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:01:20

    ホシノはユメ先輩を、イオリは師匠であるカガリを失っている、それでいて二人とも強い、なんかここの二人って通じ会えそうな気がする。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:09:06

    この概念好き

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:15:31

    >>9

    ここの描写好き、何が好きかって寝ぼけてるフリしてるホシノが、実はめちゃくちゃイオリのこと警戒してるってことを描写してるところが好き。

    戦わずして「強者」であることを教えてくれる、こういうのほんと大好き。

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 22:39:55

  • 24二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 08:01:23

  • 25二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:27:38

    弟子は師に似るという、つまり師匠も足舐めされてた可能性があるということ。
    ここで問題です、北風カガリの足を舐めたのは誰でしょうか?

  • 26二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:51:49

    >>25

    連邦生徒会長

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 15:03:09

    会長…何やってんだよ…会長!

  • 28◆hZ/EUkOIhyD.25/04/01(火) 19:16:12

    翌日、墓参りのために少し早めに切り上げて、夕方に来てみたんだが…

    イオリ「………誰だ?」

    墓の前に杖を持った女がいた、女もこちらに気付いたようでにこやかな笑みを浮かべているが……………コイツに気を許してはいけない、そんな気がする…

    女「……………なるほど、君がカガリの弟子か」
    イオリ「……………」
    女「そう警戒しなくてもいいじゃないか、私は………そうだねぇ……彼女の友人と言ったところかな?…あぁ、そうだね、私は友人だよ」
    イオリ「そんな発言をするやつが友人なわけがないだろ」

    流石にツッコまずにはいられなかった………が、返事をしてもらえたのが嬉しいのか、不敵な笑みを浮かべていた。

    女「では野生の旅人としよう、その方が面白いだろう?イオリちゃん」
    イオリ「………ここで何をしていた?」
    女「ただの墓参りだよ、私の作品をことごとく壊していった彼女と、久しぶりに会いたくなっただけさ」
    イオリ「悪いな、先代はアンタに会いたくないって言ってる」
    女「あぁ〜…確かに言いそうだねぇ………私はこんなにも求めているというのに…」

    なんかキモいな、コイツ。

    女「彼女がいてくれればその分だけ作品の弱点を見つけられる、改良ができる…もっと…もっと…もー………っと…刺激的な作品を作れるというのに…
    あぁ、つまらないものだね、彼女がいない人生というのは」
    イオリ「……………同情するよ」
    女「わかってくれるのかい?」
    イオリ「お前じゃねぇよ」
    女「酷いなぁ…イオリちゃん…でもいいよぉ………そういうところ、あの子に似てきている…
    まぁ、それはそうと、今は墓に手を合わせたらどうだい?」
    イオリ「………そのつもりだ」

  • 29◆hZ/EUkOIhyD.25/04/01(火) 19:17:43

    彗星蘭の花束が添えられた墓の前で手を合わせ、彼女に問う。
    なぜ私を育てようと思ったのか?なぜあの時普通に名前を教えてくれなかったのか?なぜ私を追い返さなかったのか?と…

    イオリ「………そういえば日記に書いてたか?」

    確か「私の生きた証を、力を、あの子は受け継いでくれると思うから」と書いていた。
    なら、なぜ私を選んだのか。

    あの人は自分の小屋に近付いてくる人間を片っ端から追い返していた、それが原因でラーズグリーズの伝承が本当だったと誤認されていたくらいだ。

    なのに、私のことは追い返さなかった。

    イオリ「………はぁ、本当に…一番知りたいことだけはいつも教えてくれないよな」

    たたき起こせるなら問いただしてやりたいくらいだ。

    女「………イオリちゃん、少し手合わせしてみないかい?」
    イオリ「戦えるのかよ、アンタ」
    女「勿論、これでも彼女の友人だからねぇ」

    女が杖を突くと、グリップとトリガーが飛び出し、持ち手がストック代わりなのか肩に当てた………アレって銃なのかよ。

    イオリ「少し移動しよう、墓を壊したくない」

  • 30二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 20:08:02

    誰ぇ?

  • 31二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 02:44:55

    新キャラきたな

  • 32二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 09:22:28

    この李白の目をもってしても展開が読めない

  • 33二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 18:15:10

  • 34◆hZ/EUkOIhyD.25/04/02(水) 19:47:49

    この丘には何もない、だだっ広いだけの草原で、町側から丘を越えたあたり、海が見える場所に小屋と墓があるだけだ。
    だから町側の草原には本当に何もない………何も無いからこそ、戦うのにはちょうど良かった。

    女「さぁ、始めようか、イオリちゃん」
    イオリ「あぁ、そうだな………始め───────」

    その瞬間、私は気付いた、いや…思考を誘導されていたというべきか?なんでわからなかったんだ?

    イオリ「……………なんで私の名前を知っている?」

    それに、コイツの容姿を上手く認識できない、別にフードを被っているわけじゃないし、映像のようにモザイクがかかっているということもない。
    表情はわかるのに、特徴を掴めない………なんなんだ?コイツ…

    女「彼女の友人だよ、イオリちゃん…あぁ、そうだねぇ………君にはこう言った方が良いかな?
    勝てたら教えてあげる」
    イオリ「……………全部洗いざらい話させてやるよ」

    それだけ言って、最初からトドメを刺すつもりで突撃した。
    いつもなら小手調べに軽い攻撃を加えるが、相手は認識を歪めてくるような奴だ、実力を推し量ろうとしたところでそれさえ歪めてくる可能性があった。

    女「酷いなぁ…イオリちゃん………そういうところまで似なくても良いのに」
    イオリ「舌、噛むぞ?」

    まずは左ストレートを放ち脇腹を穿つ、次にクラックショットの銃身を下顎に突きつけ引き金を引いた………が…

  • 35◆hZ/EUkOIhyD.25/04/02(水) 19:49:53

    女「甘い」
    イオリ「ッ!」

    上体を逸らし、攻撃を躱された、それどころか杖型の銃を腹に押し付けられ、引き金を引かれる。

    女「至近距離から散弾を撃ち込まれるのは初めてかな?」
    イオリ「ごふっ……それ………ショットガンかよ」
    女「小口径な.410さ、これくらいの大きさでないと杖に収まらない……………まぁ、それでも太さとしては10mmはあるがね」

    そう言いながら杖型散弾銃を折り曲げ、弾を込め直す、どうやら単発らしい。

    イオリ「なら、こいつはどうだ?」

    距離を取り、左胸、首元、額に向けて速射する。

  • 36二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 23:02:38

    こいつ強いぞ

  • 37二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 08:56:13

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 09:13:34

    進み具合いからして書き溜めをちまちま出してんだろう?なぁそうだよなぁ?全部出せよ、ほら、ほら!

  • 39二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 13:32:24

    うわぁめっちゃ懐かしいスレだ

  • 40二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 13:37:43

    連投すまない
    もしかしてコイツ某失脚さんでは???

  • 41二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 13:48:06

    >>40

    失脚?カヤとチェリノ以外に誰かいたっけ?

  • 42二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 15:54:22

    雷帝、あるいはゲマトリア

  • 43◆hZ/EUkOIhyD.25/04/03(木) 16:31:07

    >>38

    前回の反省を活かして大きく溜めてます、end手前までは溜めてます、でも1日に数レスしか更新しません。

    理由としましては自分自身が追い込まれて焦りで書けなくなるから、です、申し訳ないですが気長にお待ち下さい。

  • 44◆hZ/EUkOIhyD.25/04/03(木) 19:36:17

    女「良い動きだ、でも洞察力が惜しいなぁ…イオリちゃん?」

    その場で身を翻し、コートで弾かれた、というかあのコート硬くないか?何でできてんだよ。

    女「これも私の発明品でねぇ、友人が褒めてくれた数少ない品だよ」
    イオリ「他は怒られのか?」
    女「キヴォトスが壊れるからやめてと言われたよ。
    むしろ、キヴォトスを滅ぼそうとする者達に対抗するためだっていうのに………失礼だよねぇ?」
    イオリ「……………お前、まさか雷帝なのか?」
    女「それは勝って確かめることだね」

    女が懐から銃を取り出し、片手で照準してくる、狙いは甘く致命傷にはなり得ない………いや…それが油断になる、躱した方が───

    イオリ「!?」
    女「いい判断をするじゃないか」

    私の後ろで小さな爆発が起きた、おそらくは弾が爆発したんだんだろうが…拳銃用の炸裂弾とはな、これまた珍妙なものを………だが…

    イオリ「見切った」

    杖型散弾銃の攻撃を躱し、拳銃を蹴り飛ばす。

    女「なるほど…散弾を躱して拳銃も無力化したか………では守り(コート)どうする?」
    イオリ「名前を知っていても私の種族までは知らないのか?こうするんだよっ!」

    尻尾を撓らせ、コートの下から潜り込むようにして突き刺した。

    女「あっ………ぐっ………やるじゃないか…イオリちゃん……私の負けだ」

  • 45◆hZ/EUkOIhyD.25/04/03(木) 19:36:55

    イオリ「ふぅ………まだやれるだろ?」
    女「まぁね………だが…この武器は護身用に過ぎない、その護身用でやれる限界を超えられた時点で勝ち目はなくなる、だから事実上の敗北さ」

    その場に座った女の隣に腰掛けて、質問を投げかける。

    イオリ「で、アンタは何者なんだ?」
    女「気がはやいなぁイオリちゃんは………まぁ、お察しのとおり、かつて雷帝と呼ばれていた者さ」

    あっさりと告げられたが………コイツがかつてゲヘナ最大の問題児と呼ばれた存在か…

    イオリ「アンタにはいくつも聞きたいことがあるんだが…そうだな、なんでサラマンダーなんて作ったんだ?ゲヘナが焼野原になりかけたそうじゃないか」
    雷帝「あぁそれはだね、北風カガリへの………誕生日プレゼントなんだ」

    私の頭の中が「?」で埋め尽くされていく………いや、本当にどういうことだよ。

    イオリ「アレのどこがどう誕生日プレゼントなんだ?」
    雷帝「考えてみたまえ、北風カガリ…いや、快晴の暴風と呼ばれる程の強者だぞ?バースデーケーキに刺す蠟燭が、ただの蠟燭では吹き飛んでしまうだろう?
    だから蠟燭の代わりに溶岩を使ったんだ、実際、サラマンダーの中には特大ケーキが入っている………当時の給食部に作らせた自走するケーキがな」
    イオリ「………普通のケーキと普通の蠟燭でいいだろ」
    雷帝「それではロマンにかけるではないかっ!」

    コイツ馬鹿だ、学力とかじゃなく性格が馬鹿なんだ………そのくせ無駄に高い技術力があるから余計な事ばかりしていたんだろう、多分。

  • 46二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 20:48:25

    雷帝=暴君ってのが公式での情報だけど、未だに本人は出てきてないし、実際のところは何もわからない。
    実は雷帝=悪ってのがミスリードで、ブルアカよろしく勘違いとかなんだとかで悪に見えてるだけのトンチキな可能性もあるんだよね。

    ただ、ゲヘナバカライテイは初めて見た()

  • 47二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 23:54:29

    うーんこの

  • 48二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 00:52:01

    雷帝もアホの子か?

  • 49二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 09:01:19

    ほし

  • 50二次元好きの匿名さん25/04/04(金) 10:12:29

    >>46

    歴代の議長がこんなのしかいない可能性があるのか…ゲヘナバカ種と命名するか?

  • 51◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:23:57

    雷帝「それよりも、君は随分と迷っているようだね?おおかた、何故自分が戦っているのか、それがわからない………と言ったところか?」
    イオリ「ッ!」
    雷帝「今の君はあの時の彼女と同じ目をしている、だからわかるんだ……………言っただろう?私は彼女の友人だと…」

    それから、雷帝は北風カガリとの思い出を聞かせてくれた。
    二人が初めて会ったのは、ゲヘナの病院だったらしい。

    雷帝「私の父はエンジニアで、母は医者だった………それで、幼い頃の私は母の病院にある保育所に預けられてはよく脱走して、病院内を探索していた」
    イオリ「当時から問題児だったのかよ」
    雷帝「そう褒めるな「褒めてねぇよ」

    ほんとこいつの感性はどうなっているんだか…というか、マコト議長も性格が馬鹿だし………ゲヘナの生徒会長はこういう奴しかいないのだろうか?

  • 52◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:24:15

    雷帝「ある日、いつものように脱走したんだがな?「するな」
    雷帝「その日は保育所付近を見て回ることにしたんだ、いつもなら可能な限り距離を置くことで捕まらないようにしていたんだが……
    行動パターンを解析されて遠くに行くと逆に捕まってしまう、だから近場にしたんだ、ついでに認識を歪める装置を作ったからその試運転もした」
    イオリ「………未だに顔を上手く認識できないのはそれか?」
    雷帝「あぁ、そうだ、私の最初の発明品でな?使っている間は顔と声の特徴がわからなくなる」

    なんでそんなものを未だに使っているのかと思ったが、カイザーコーポレーションを始めとする色々な組織からの勧誘が鬱陶しいらしく、絡まれないようにするために使っているらしい………まぁ、こんな馬鹿でも腕は確かみたいだしな、しかも武力的にも普通に強いし。

    雷帝「まぁそれはいいとして、灯台下暗しと言うように保育所周辺には大人達がほとんどいなかった、いたとしても保育所の中、おかげで気楽に探索ができたんだ」
    イオリ「当時の大人達には同情する…」
    雷帝「それで、保育所の近くにあった個室の扉が開いていてな?そこに、黒髪の少女がベッドの上で退屈そうに外を眺めていただ…から、声をかけてみたんだ。
    「お元気ですかー!」って、耳元で叫ぶ感じで、そしたら殴られた………それが北風カガリとの対面さ」
    イオリ「そりゃあ誰だって殴るだろ…私だって殴る」
    雷帝「そうか…殴るのか……まぁいいさ、それから彼女に尋ねた「どうして退屈そうにしているのか?」と」

  • 53◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:24:55

    ─────
    ──────────
    ───────────────
    雷帝「どうして退屈そうにしているの?」
    少女「………弱いから、外に出たら、タヒんでしまうから」
    雷帝「そうかな?こんなに強く殴れるのに?」

    その問いに、彼女は答えなかった…いや、きょとんとした表情のまま私を見つめていた、言っている意味がわからない、と言わんばかりに……………ある意味、それが答えだったのだろう。
    だから私はこう続けたんだ。

    雷帝「一緒に外へ行こう、大丈夫、身体を鍛えれば誰も文句は言わないから」
    少女「………」

    私は少女の手を引いて、外へと連れ出した…まぁ、外と言っても病院の廊下なんだが………数は少ないとはいえ、そこにも大人はいるし、認識疎外の道具の効果が及ぶのは私一人、彼女には効果が及ばない……………すぐに見つかったさ。

    「か、カガリちゃん!?駄目だよ部屋から出たら!えーっと…そっちの子は……誰?と、とにかくカガリちゃんの手を離して!ほら!」
    雷帝「へぇ、カガリって言うんだね、で?どうしたい?部屋に戻る?それとも………ちょっと悪い子になってみる?」
    カガリ「なる」

    即答だった、だからお姫様抱っこをして、大人達の手を搔い潜って……病院さえ抜け出して、少し離れたゲヘナの旧校舎まで行ったんだ。
    そこにはピアノが置いてあってな?もうボロボロで、演奏なんてできなかった。

    だから、その場で修理した………完全に、とはいかなかったがな、それでも演奏をするには十分だった。
    それに、当時の私はピアノを習っていたからな、彼女の思い出くらいになればいいと思って、一曲弾いて見せたんだが…

    カガリ「……………」

    彼女は何も言わず、聴き入っていた、それがなんだか嬉しくて………脱走後の探索は、彼女を連れ出して、ピアノを弾くことが日課になったんだ。

  • 54◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:25:41

    ただ、彼女の身体が弱いことは変えられないし、だからと言って過保護過ぎる大人達に縛り付けられているのもなんだか可哀想に思えた。
    そこで、彼女を鍛えて、大人達を黙らせようと思ったんだが…

    カガリ「ふっ………はっ!…………せい!」

    訓練用の人形を銃で殴り、ストックで抉り、蹴り飛ばして距離を取ると…

    カガリ「今ッ!」

    急所を一瞬で撃ち抜いていた、その間僅か12秒、たった12秒で5つの人形が攻撃を受けていた。
    私はとんでもない化け物を世に放ったのかもしれないと戦慄した……だが同時に、彼女に負けたくないとも思ったんだ、それは悪魔としての本質か、それとも別のものかはわからない。
    それで、彼女に少しばかりいじわるをしたんだ……それが間違いだった。

  • 55◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:25:57

    カガリ「ねぇ、そろそろ名前教えてよ」
    雷帝「雷帝、じゃだめ?」
    カガリ「だめー」
    雷帝「そうだなぁ…じゃあ、勝ったら教えてあげる」

    そんなことを言ったばかりに、彼女はさらに強くなって、12歳になる頃には最強と呼ばれる程の存在になってしまった。

    雷帝「ごふっ……つ、強く…なりすぎだ……君は………」
    カガリ「だって教えてほしいんだもん、本名」
    雷帝「は………ははは……そのためだけに…ここまで?」
    カガリ「そうだよ?」
    雷帝「………名前を聞いた後はどうする?その力を…何に使う?」
    カガリ「それは…」
    雷帝「………条件を加えよう、北風カガリ、その力の意味を……戦う理由を見つけたら、名前を教える、それまではァ!?」
    カガリ「噓つき!」

    思いっきり蹴り飛ばされた。

    ───────────────
    ──────────
    ─────

    雷帝「と、まぁそんなことがあったわけだ…イオリちゃん、君はどうかね?」
    イオリ「どう…と言われてもな…」
    雷帝「では質問を大きく変えようか、何故君はスナイパーでありながら接近戦を頻繫に行う?」
    イオリ「それは…その方が効率がいいからだ」
    雷帝「普通に撃つだけではダメなのかね?」

  • 56◆hZ/EUkOIhyD.25/04/04(金) 19:26:28

    私だって普通に撃った方が良いのでは?と思ったことはある、それこそ狙撃に特化して、一方的に撃って、どうしようもない時に近接で相手すればいいと思っていた。

    ただ、7.92x57mmモーゼル弾を一発撃った程度で制圧可能な人間など、銃撃戦が日常生活の一部であるキヴォトスにはあまりおらず、比較的戦闘に慣れていない市民ですら頭に最低でも2、3発は撃ち込まないと倒れないらしい。

    なら弾の威力を上げれば良いという単純な話でもない、確かに高威力な20mm弾などであればほぼ一撃で気絶する。
    例え腕や足などに当たって脳震盪を起こさなかったとしても、大半の人間は痛みで動けなくなる。

    だが、相手がそれなりの強者であれば痛みに耐えてまで動ける。
    それに20mmを使う銃は装弾数が少なく連射も効かないため大勢を相手するのは難しく、振り回すには銃本体があまりにも大き過ぎる。

    ましてや所構わず爆弾や榴弾で吹っ飛ばして、燃える物があったらすぐに火を着けるゲヘナの住民(蛮族)を相手に一箇所に留まる方が危険だった。

    そこで、北風カガリは比較的頑丈かつ、近接では鈍器にもなるボルトアクションを好み、ボルトアクション特有の連射力の低さと、装弾数の少なさを補いつつ、一箇所に留まらないようにあえて近接戦闘を主体とした我流の武術体型をたった2年で組み上げた。

    ………考えれば考えるほど化け物だな、あの人は。

    当然ながら私はそれを受け継いでいるし、スナイパーなのに近接戦闘をするのもそれが理由だった、今もその武術に、私は心を惹かれて……………あぁ、そうか…そういうことだったんだ。

    イオリ「残したいんだ、あの人が生きた証(武術)を」

    あの人は最初からこうなることを見抜いていたんだ。

    雷帝「理由は、見つかったようだね?」
    イオリ「……あぁ、まぁな……ありがと」

    礼を言って立ち上がり、歩き出す。
    理由を見つけた以上、やることはただ一つ……小鳥遊ホシノへの挑戦だ。

    雷帝「………カガリ、見ているか?君の弟子は立派に育っているよ」

  • 57二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 01:33:57

    ほしゅ

  • 58二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 08:05:26

    ついにホシノ戦か

  • 59二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 12:21:34

    ゲヘナの住民(蛮族)は草…いやモブ生徒もあんなだったし間違いではないけど

  • 60◆hZ/EUkOIhyD.25/04/05(土) 19:34:03

    対決のためにアビドス廃校対策委員会に連絡を入れると、時刻と座標だけが送られてきた。
    委員長からは「そう、やるのね、イオリ………あの時の私みたいに情けなんてないと思いなさい」と言われた。

    イオリ「………ここか」

    たどり着いた場所はアビドス砂漠の只中にある、放棄されたカイザーPMCの基地。
    雲が晴れ、月明かりが照らし出すその場所に桃色の髪の少女が立っているのを視認する。
    あの時とは違い、髪を後ろで結び、ショットガン、盾、防護ベスト、拳銃、グレネードにスモークや閃光弾などの各種投擲武器を装備していた。

    ホシノ「お?来たね?後輩ちゃん、戦う理由、見つけることはできたかな?」
    イオリ「………ああ」
    ホシノ「それじゃあ聞かせてもらえる?何がために、強くあり続けるのかさ」

    一呼吸おいて、返事を返す。

    イオリ「………私は…………………私は北風カガリの生きた証を残すために…あの人が作り上げたものを残すために戦う。
    そこに秩序だとか、正義だとか、正直そんな綺麗事はない………
    ただひたすらに強くあり続ける、受け継いだ者として、それが役目だから、そうする」

    再び雲が月明かりを遮るなか、眼前の少女が不敵に笑った。

    ホシノ「………そっか、じゃあ………私も本気で相手しないと失礼だね……………構えなよ、イオリちゃん」

    小鳥遊ホシノの存在感が一気に増したのを感じる…
    この感じ………怪物の…絶対強者のソレだ、油断したら一瞬で持っていかれるだろう………だが…

    イオリ「あぁ、始めよう」

    勝つのは私だ。

  • 61二次元好きの匿名さん25/04/05(土) 19:40:01

    保守しにきたらちょうど更新来てた

    後輩ちゃんからイオリちゃんに呼び方変わってるの良い…好き…(語彙力)

  • 62二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 01:52:38

    更新ありがたや

  • 63二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 09:58:15

  • 64二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 12:07:25

    ここの雷帝って何の目的でシェマタ作ったんだ?花火?

  • 65◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 20:26:19

    月明かりがもう一度差し込む、それを合図に銃声が鳴り響いた。

    イオリ「ッ!」

    最初に撃ったのは小鳥遊ホシノだった、放ってきたのは炸裂弾、おそらくは12ゲージのフラグショットだろう。
    大したダメージはない、だが目眩ましには十分だった。

    ホシノ「次」
    イオリ「クソッ!」

    委員長以上の重装備でありながら、委員長と同等の速度で突っ込んでくる………その姿はまるで砂漠の怪鳥(ホルス)を連想させる………なるほど、強い。

    だがこちらも近接は得意分野であり、相手の間合いはこちらの間合いでもある。
    それに相手は格上、長期戦は無理だろう、ならば急所に叩き込み、短期決戦に持ち込む方が勝機はある。

    イオリ「………捉えた」
    ホシノ「ぐッ!」

    太もも、それも大腿に蹴りを入れ、機動力を削ぐ………普通の人間ならしばらくは立てないし、大動脈も通っているここを刃物で斬られれば出血多量でタヒぬ確率は高い。
    だが相手は委員長と同じ………北風カガリと同じ絶対強者、大腿を蹴られておきながらまだその足で立っている、それどころかこちらに対応しようと身を翻してくる。

    イオリ「オマケだッ!」

    それでも、ほんの少しの隙ができたことに変わりはない、このまま押し込む!

    イオリ「!?」
    ホシノ「いや〜、盾が無かったら危なかった〜………想像以上に強いね、イオリちゃん」
    イオリ「そいつはどうも…」

    腹に弾丸を叩き込もうとしたが、背負っていた折り畳み式の盾を展開して防がれた………だがその展開までの速度が速すぎる…やはり一筋縄ではいかないか…

  • 66二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:47:04

    やっぱりおじさんは強いね

  • 67◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:49:11

    ホシノ「じゃあ〜今度はおじさんの番だねぇ」

    展開していた盾を再び背負い、ショッガンを連射してくる…だが、飛んでくるのは散弾ではなかった。

    イオリ「コイツは…スラッグ弾か!」

    散弾をばら撒くだけかと思ったが、拡散性を犠牲にして精度と一撃の破壊力に特化させたスラッグ弾を持っているなら中距離以上でもそれなりに戦える。
    元々、間合いの外からちまちまやるつもりは無かったが、手段が減るのは普通に痛い…

    ホシノ「逃げてばかりじゃ意味ないよ?」
    イオリ「………」
    ホシノ「………うへ?ごめんごめん、逃げてるわけじゃなさそうだね?“観察“してるのかな?なら観察している間に仕留めちゃうよ?」

    小鳥遊ホシノの射撃速度が早くなり、私の被弾が増えた………いや、これは…エネルギー弾が来るッ!

    ホシノ「逃さないよ」
    イオリ「ッ!」

  • 68◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:49:43

    ホシノ「……………ふぅ、こんなもんかな?大丈夫?イオリちゃん、おじさんちょっとやり過ぎ─────ッ!」

    爆炎と煙から飛び出すようにして小鳥遊ホシノを蹴り飛ばす…………が、当然耐えるよな。

    ホシノ「う、うへぇ………これを耐えてきたのはイオリちゃんで三人目だよ?」
    イオリ「確かに直撃だったら不味かったが………コレのおかげでどうにか耐えられた」

    そう言って、カイザーPMCのロゴが入った盾を投げ捨て………ボロボロの腕章を左腕に通した。

    イオリ「結局、コレに頼ることになるとはな………まだまだ弱いというべきか、もっと強くなれると言うべきか」
    ホシノ「う、うへぇ…」
    イオリ「力を貸してくれ、先代」

    私がそう呟くと同時に、突風が私の背中を押した。

    追い風を背にしながら、小鳥遊ホシノへと突撃する、相手は弾が尽きたのか拳銃で応戦しつつショットガンに弾を込めている。
    だが人間というのは同時に複数のことを対処できるわけもなく、私の攻撃に対する回避が遅れていた。

    ホシノ「な、何?さっきと動きが違う?まるで…誰かが乗り移ったみたいに…ッ!」
    イオリ「それ、もらうぞ?」

    隙だらけの小鳥遊ホシノに手を伸ばし、その拳銃を奪い取るように見せかけて、胸元に下げているグレネードのピンに手をかけた。

    ホシノ「ちょっ、フェイントにしてもそれはまずいって!」
    イオリ「卑怯な手段も戦術の一つ、だからな………吹っ飛べ」

  • 69◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:50:31

    勢いよくピン抜き、その反動を利用して回し蹴りを脇腹に叩き込み、距離を取る。
    だが流石はキヴォトスにおける絶対強者の一角、アビドスの頂点に君臨する怪物と言ったところか。

    蹴り飛ばされながらも、ピンの抜けたグレネードだけを放り出し、ダメージを抑え込んでいた。

    ホシノ「ゲホッ…これ………ちょっとまずいかも…」
    イオリ「休んでる暇はないぞ?」

    だからこそ追撃を忘れはしない。
    もう一度距離を詰め、ショットガンを蹴り上げ、ガードを崩す。

    ホシノ「ちょ…本当に容赦ないねぇ!」

    盾を展開してきたがこちらの方が速い………首元に一発撃ち込むくらいはできる、あとはそのまま…

    イオリ「ッ!」

    そう思ったのだが、弾がありえない軌道で曲がった、まるで何かが見えない盾で弾いたような…
    いや、本当に何かがいる………こいつは……………緑の髪の………生徒…?

    ホシノ「………そっか、そこにいるんですね………………………なら…なおのこと負けられない……勝たせてもらうよ、イオリちゃん」

  • 70◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:51:04

    月が沈み始め、周囲が次第に明るくなりだした。
    同時に小鳥遊ホシノが更に速度をあげてくる、ただ、その身体が悲鳴をあげているのも感じられる。

    暁に舞う砂漠の怪鳥が、肉体の限界を超える程に力を解放し、縦横無尽に飛び回りながら、獲物(私)を追い詰めてくる。

    イオリ「くッ…この…ッ!」

    散弾による猛攻の中に紛れ、閃光弾が飛んでくる…回避は………間に合わないな。

    ホシノ「いくよ」

    視覚と聴覚を奪われた私に炸裂弾が次々と撃ち込まれ、機動力まで奪われる。
    咄嗟に目を塞いだおかげですぐに視界は戻ってきた。
    だからと言って、小鳥遊ホシノがもう一度放ったエネルギー弾をもう一度防ぐことも、回避することもできなかった。

  • 71◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:51:43

    イオリ「………ん………あれ?」

    目を覚ますと、眼の前に壁………じゃなくて顔があった、膝枕だ。

    ホシノ「おはよう、イオリちゃん………今何を考えたのかな?」
    イオリ「いや…何も………それより……負けたんだよな…私…」

    最後の一撃を避けられれば…防ぐことができていれば勝てた………なんて、情けない負け惜しみをするつもりはないし、口にするつもりもない。
    ただ負けた、本当に…それだけなのだから。

    だが、小鳥遊ホシノは首を振った。

    ホシノ「そんなことはないよ、イオリちゃんの動きが変わったあの時、首元に一撃入れられそうになったでしょ?
    あれを防いだのは私じゃないし、それによって生じた隙にイオリちゃんが最大火力を叩き込んできたら私は負けてた」

    それは謙遜ではなかった、確かに委員長と定期的に戦っているおかげで必殺の一撃を準備して放つまでの速度は上がっている。
    私が最強格を、絶対強者を仕留める為に必要な技………北風カガリが持っていない奥の手…

    あの人ならこの技が無くとも相手を削りきれる、その場にあるものを使って補って、何もかもをなぎ倒すことができる。

    イオリ「………嫌味じゃなく、やっぱり私の負けだ、小鳥遊ホシノ」

    小鳥遊ホシノには勝てたかもしれないが、それでもあの人にはまだ勝てない、それだけは変えられない。

  • 72◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:52:11

    ホシノ「そっか…………そ、それよりさ………えーっと………ごめん」

    小鳥遊ホシノが謝ってきた………が、なんだ?何かあったか?

    ホシノ「……………武器…壊しちゃった」
    イオリ「………」

    そう言って差し出されたのは、銃身が折れたクラックショットだった。

    ホシノ「ほんとごめんっ!多分最後の一撃が故障の原因だろうから………ほんとに………ごめんっ!」
    イオリ「………いや、長い間無茶苦茶な使い方をしてきたんだ、むしろよく保った方だろう」

    実際、この銃は北風カガリが幼い頃からずっと使ってきた武器、いわば彼女の半身だ、手入れをする度にいつ壊れてもおかしくないと思っていた。

    ホシノ「………形見、なんだよね、ヒナちゃんから聞いてるよ」
    イオリ「まぁ………な…」

    フレームだけなら交換でどうにかなるとしても………内部の損傷次第では修復できない可能性もある………だが…

    イオリ「………アイツなら直せるか?」

    ゲヘナ最大の問題児にしてゲヘナで一の技術者、雷帝なら直せるかもしれない。
    問題はどうやって連絡を取るか…

    雷帝「見ていたよ二人とも、やはり最強格と準最強の戦闘は本当に凄まじいな」

    何の心配もいらなかったらしい………というかいつからいたんだ?

  • 73◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:53:02

    雷帝「なりゅほりょ、しゅまりなおしぇるはぼうか、か?ふろんだ」

    ダメ元で頼んでみたらあっさりと可能だと言われた………ただ、名前を呼んだら小鳥遊ホシノが雷帝を殴ったために顔が酷いことになっている気がするが…認識阻害か何かで詳細はわからない。

    雷帝「しょもしょも、ほれをふふったのらわたひだ、はいほのたんひょうびふれへんとはよ」
    イオリ「………聞きにくいからどうにかできないか?それ」
    雷帝「ん?普通に喋った方がいいか?顔の状態がコレだからな、合わせてみたんだが」
    ホシノ「………もっと殴られとく?」
    雷帝「いや結構、遠慮させてもらうよ………イオリちゃん、しばらくこの銃は預からせてもらう、その間はこの銃を使いたまえ」

    渡されたのは手提げバッグ………のような見た目の変形する銃だった、ベースはFMG-9だろうか?

    雷帝「これは歳の離れた友人が作ってくれたものでね、Bluetooth機能や電子決済にも対応しているロマン溢れる素晴らしい銃だ、勿論自爆機能もある」
    イオリ「………試し撃ちするか」
    ホシノ「うへ?じゃあ的を用意しないとね」
    雷帝「ま、まて、なぜ私を縛る?あ、ちょ…は、話をしよう、な?な?」

    小鳥遊ホシノが即席で用意してくれた的を狙い、引き金を引く。

    イオリ「ふざけすぎなんだよお前はっ!」
    雷帝「あっあっ、ああああああああああああ!!!!!」

  • 74◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:53:29

    数日後、北風カガリが余生を過ごしたあの小屋へ、銃を受け取るために来ていた。

    イオリ「もう直ったのか?」
    雷帝「言っただろう?これを作ったのは私だと…予備のパーツなら今もある」

    差し出されたクラックショットにはところどころに古傷は残っているものの、銃身などの破損箇所だけは新品のものに交換されていた。

    雷帝「ただし、まだ完全に修理ができたというわけでもない。
    試射を繰り返して修理前の使用感に戻しつつ、同時に銃身内部を慣らしていく、それで修理が終わる」
    イオリ「そこまでやるものなのか?」
    雷帝「君は近接を主体にしているがために忘れているが、本来コレは狙撃銃だ、命中精度は他の銃以上に求められて当然だろう?」
    イオリ「………そうだったな、これ、狙撃銃なんだよな」

    スコープはついていないし、光学照準器もない、むしろ近接戦闘用にスパイクが取り付けられているが、これでも狙撃銃だし、私の本職は狙撃手だ。

    雷帝「では、あの的を狙って撃ってみてくれ、この場で調整する」

    その場に屈み、頬を当て、狙いを定める。
    あの人がやっていたように、あの人の技を残していくために、あの人を忘れないために…

    イオリ「快晴は、暴風と共に………待っていろ、必ず追いつくから」

    銃声と共に、風が吹いた。

    〜fin〜

  • 75◆hZ/EUkOIhyD.25/04/06(日) 23:58:27

    ということで、SS「その人は強かった」の続編は終了となります。
    もし思いついたらまたこんな形で急に書いてスレ立ててると思いますので、その時はまた読んでいただけますと幸いです。

    スレの残りはどうにかして消費したいですが、今回は後日談などが思いつかないので没になったシーンを適当に投げておきます。

  • 76◆hZ/EUkOIhyD.25/04/07(月) 00:02:01

    >>45 雷帝への質問での没シーン


    雷帝「失脚の理由?あぁ、それは私の研究に難癖を付けた連中によるものだよ。

    まったく…人を楽しませることの何が悪いというのか、まぁ………ちょっと荒野が増えたりはするが…」

    イオリ「一番の原因って絶対にそこだろ、ほんとになにやってんだよ」

    雷帝「いやいや………役にも立っているのだぞ?水に生命を与える研究により、ゲヘナの温泉の効能が飛躍的に向上しているからな?

    なのに暴君だのなんだの好き放題言いがかりをつけてきて…はぁ…あと少しでカガリの病気を治療………とまではいかないが、抑制する薬が開発できたというのに………そうすれば、もう少し生きていられただろう」


    その言葉に嘘はなく、とても悔しそうにしていた、問題ばかりおこすが本当に根はいい人間なのだろう………

    いや、やっぱり問題の規模がデカすぎるからいい奴ではないな。

  • 77◆hZ/EUkOIhyD.25/04/07(月) 00:03:46

    >>56 上手く組み込めなかった過去回想


    イオリ「………なんで狙撃しないで突撃するの?」

    カガリ「ん〜…そうだねぇ………今日もこうして特訓してたわけだけどさ、イオリちゃん、頭に何発撃ち込まれた?」

    イオリ「………?」

    カガリ「数えてないでしょ?当然だね、数えるのが面倒になるほど撃ち込んだところで耐える人は耐えちゃうから、単なる狙撃じゃ意味がない。

    そもそも銃撃戦が日常生活の一部として組み込まれているこの場所(キヴォトス)では弾丸なんて拳の延長線でしかない」


    彼女は自身の握り拳を私に見せながら話を続ける。


    カガリ「拳一発で気絶するのはよほど貧弱な人間か、拳の方がよほど強烈だった場合に限られる…

    例えば………こんな風にッ!」


    構えた拳を訓練用の人形へと叩き込むと、人形が粉々に弾け飛んだ。


    イオリ「………」

    カガリ「正直ね、私の場合は殴った方が早い………ただ、飛び道具もほしいから、構造が比較的簡素で壊れにくく、近接戦闘では鈍器として使えるボルトアクションライフルが好ましいんだよ」


    つまり、遠くからちまちま撃つより白兵戦をしていた方が倒せるということ…だが…


    イオリ「………ならもっと威力のある弾を使えばいい」

    カガリ「鋭いねぇ、でもそういう威力のある弾、そしてそれを放つために使う銃はどんなものかな?」


    もっと威力のある弾の方が…と思ったが、そう単純なことではないらしい………問題は銃の方…


    イオリ「………おっきい?」

    カガリ「せいかーい♪よくわかったねぇイオリちゃ〜ん♪」

    イオリ「うわっ、急に抱きつくな、頭無でるな!」


    抱きついてくるなりわしゃわしゃと頭を撫でてくる…正直、未だにこの人のこういうところは慣れない。

  • 78◆hZ/EUkOIhyD.25/04/07(月) 00:12:15

    没シーンは以上の2つとなります、雷帝の研究成果、もとい遺産についてですが、ここの雷帝は模範的な頭ゲヘナなので「何を言っている?この方が良いに決まっているじゃないか!」と依頼主そっちのけで突っ走る傾向にあります。

    シェマタについても多分花火か何かを作ってくれと頼まれたんだと思いますが、それだけだと理由としては物足りないので

    「砂嵐をどうにかしたい?なるほど………つまり砂嵐を吹き飛ばす何があれば良いのだな!任せておけ!できたぞ!対砂嵐列車砲シェマタだ!どうだこの見た目!このデカさ!そして列車砲という絶妙な取り回しの悪さ!ロマンを感じるだろうッ!」

    とかそんな理由だと思います。

  • 79◆hZ/EUkOIhyD.25/04/07(月) 00:16:07

    それではまた、どこかでお会いしましょう。

  • 80二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 06:31:04

    すげぇ

  • 81二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 08:14:26

    お疲れ様でした

  • 82二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 12:12:22

    ブルアカ本編の要素や、ホシノの異名を回収してたりするの芸術点が高い。
    特に戦場をカイザーPMCの基地跡地にしてたり、夜間戦闘にすることでヒナvsホシノの再現をしてくるのが好き。。

オススメ

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