SSその人は強かった(2)

  • 1◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:43:13

    その人は強かった

    近づけば近接戦闘

    離れれば狙撃

    戦闘での隙なんてない

    そんな人でも病気にだけは勝てかなかった

    勝ったら名前を教えてあげると言われたのに

    私はその人から直接聞くことはできなかった

    それでも

    今は追い続けてきた背中が目前にある

    あとはひたすらに手を伸ばすだけでいい

  • 2◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:44:30

    ここだけイオリが名も知らぬ強者と出会っていた世界線「その人は強かった」の続き…を思いついたので駄文を書いていきます、前スレは誤字脱字が酷いため修正版も貼っておきます。

    その人は強かった | Writening1スレ目まとめ# https://bbs.animanch.com/board/4054843/ その人は強かった 近づけば近接戦闘 離れれば狙撃 戦闘での隙なんてない それでも……… そんな人でも病気にだけは勝てなかった 勝ったら名前を…writening.net
  • 3◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:44:51
  • 4◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:48:25

    なお、トリップを付けている理由については乗っ取り対策です、ご了承ください

  • 5◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:50:28

    訓練用の動く人形を銃で殴り、ストックの突起でなぎ倒し、隣の人形を蹴り飛ばして距離を取り、狙いを定め射撃する。

    イオリ「ッ!」

    素早くコッキングを行い、2発、3発と人形を穿つ。

    イオリ「………9秒13…か、速さと精度は先代に追いついてきたな…だが…」

    本気の委員長と戦ったあの日以来、動きは良くなってるし、技だってモノにした。
    それでもまだ何かが足りない、北風カガリにはあって、今の自分にはない何かがある、そんな気がしてならない。

    ヒナ「イオリ、またこんな時間までやってるの?」
    イオリ「委員長…すみません………なんというか…その…」
    ヒナ「………はぁ、次の休みは開けておきなさい」
    イオリ「委員長?」
    ヒナ「北風カガリや私以外の他の強者とも会って、話してみれば何かしら掴めるはずよ」
    イオリ「…ありがとうございます、委員長」
    ヒナ「ほら、片付けて帰るわよ」

  • 6◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:52:27

    ヒナ委員長に言われたとおり、休日の今日は予定を入れていない、というよりもヒナ委員長と共にアビドス高校へと行くことが予定ではあるのだが…

    イオリ「暁の……ホルス…」
    ヒナ「そう、それが彼女の異名、と言ってもそう呼ばれていたのは昔のことね」
    イオリ「………弱くなったんですか?」
    ヒナ「そんなことはないわ、今でも強者のままよ………ただ…まぁ…会えばわかるはずよ………それより…」

    アビドス高校へと近付いて行くにつれて、爆発音と銃声も近付いてくる…いや、私たちが近付いていると言うべきか。

    イオリ「…派手にやってますね」
    ヒナ「ほんと、アビドス高校は相変わらず人気者ね、悪い意味で…」

    ヘルメット団と思しき不良生徒たちが、アビドス生達と戦っているのが見えた。

    イオリ「どうします?」
    ヒナ「待つのも面倒ね、早めに終わらせましょ」

  • 7◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:54:19

    委員長がマシンガン…終幕:デストロイヤーを構えるのと同時に、私もクラックショットを構え、ヘルメット団へと突撃する。

    イオリ「覚悟しろ、規則違反者共め!」
    ヘルメット団「う、後ろから新手!?」
    ヘルメット団「クソッ!対応しろ!」

    攻撃される前にこちらにすぐ気付く辺り、それなりの手練なのだろう、だが…

    イオリ「遅い」

    まずは正面の敵に一発撃ち込み、怯んだところで近くの敵を巻き込むようにして蹴り飛ばしつつコッキング。
    排出され中を舞う空薬莢をストックで打ち、こちらに銃口を向けてきた敵の右手にぶつける。

    ヘルメット団「痛っ!普通に撃てよ!」
    イオリ「弾を撃つだけが銃じゃない、白兵戦なら鈍器にもなるんだよっ!」

    地面を蹴って急接近し、その勢いのまま鳩尾に銃身を叩き込み突き飛ばし、身を翻して後方から迫っていた別の敵に回し蹴りをお見舞いする。

    ヘルメット団「スナイパーが…前線に………出る…なよ…」
    イオリ「狙撃だけじゃスナイパーはやっていけないんだよ、破壊と混沌のゲヘナでは特にな」

  • 8◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:55:59

    今の敵が最後だったのか、銃声が止み、アビドス生がこちらへと歩いてくる…アイツは確か…シロコとか言ったか?

    シロコ「ん、加勢ありがと」
    イオリ「借りを返しただけだ…少しばかりだがな」
    シロコ「………借り?」
    イオリ「ゲヘナ風紀委員会のアビドスへの侵攻だ」
    シロコ「それはホシノ先輩の救出で返してもらってる」
    イオリ「あれはヒナ委員長が単独で片付けたからな…私個人の分は別だろう?」

    それに、先生に頼まれたからというのもあるし…足を舐めるどころかしゃぶられたし…

    イオリ「………」
    シロコ「大丈夫?顔が赤いけど」
    イオリ「い、いやっ!?な、なんでもない!」

    足のことは聞かれたくないし言いたくないし、話を変えないと…

  • 9◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:57:20

    イオリ「そ、それよりだな…その…小鳥遊ホシノはいるか?」
    ホシノ「うへぇ〜、おじさんに何か御用かな〜?」
    シロコ「ん、ホシノ先輩、来るのが遅い、もう終わった」
    ホシノ「いやぁ〜、このくらいならみんなでも相手できるしさぁ〜、寝てても良いかなって」

    なるほど…委員長が言っていたのはこういうことか…

    イオリ「………強いな、アンタ」

    本当に寝ていたのなら真新しい傷(ほんの少しの掠り傷程度だが)はできないし、砂埃で服が汚れるはずもない。おそらくは、奇襲しようとしていた別働隊の相手をしていたのだろう。

    ホシノ「うへ?そうかなぁ?」

    返事はとぼけているが自分の間合いに収めつつも、私の間合いからは即座に離脱できるよう一定の距離を保ちながら遮蔽の近くに立っている。
    それに表情は油断しきっているように見えて、目では私の動きを追っている…いつでも戦闘に移れるだろうし………正直、私が勝てるかどうか…

    シロコ「ん、ホシノ先輩はぐうたらで寝坊助でサボり魔だけど、強い」
    ホシノ「シロコちゃん酷いよ〜!」
    イオリ「………」

    強者っていうのはどいつもこいつもクセが強い…

  • 10◆hZ/EUkOIhyD.25/03/30(日) 21:58:34

    書き溜めは以上です、あとは気長にお待ちいただけますと幸いです、スレの保守協力、よろしくお願いします。

  • 11二次元好きの匿名さん25/03/30(日) 22:14:44

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 00:12:39

    あの強者概念が再び…次は誰と戦うのか

  • 13二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 07:45:00

  • 14二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 10:11:49

    >>12

    普通にホシノでしょ、そこにプラスで対策委員会全員とか、クロコとか?

  • 15二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 18:48:11

    保守

  • 16◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:44:58

    ホシノ「ふぅん?ヒナちゃんの紹介で来たわけだ」
    ヒナ「そうね、イオリの特訓に付き合ってほしいのだけど、良いかしら?」
    ホシノ「うへぇ〜…めんどくさいなぁ〜…」
    ヒナ「勿論タダでとは言わない、対絶対強者の訓練、その仮想敵として正式に依頼を出すわ、当然、報酬も払う………このくらいの額で良いかしら?」

    委員長が小切手を手渡し、それをアビドス生達が覗き込むように全員で見る。

    ホシノ「う、うへぇ………マジ?」
    シロコ「ん、これは受けるべき」
    セリカ「そうよ!この額なら受けて損はないはず!」
    アヤネ「それに正式な依頼ですから買収ってことにもなりませんし」
    ノノミ「これだけあれば次の支払いは余裕ですね」

    四人は肯定的だが本人は乗り気じゃない…か…

    ホシノ「………はぁ、仕方ない、じゃあ………やろっか、校庭でいいよね?」
    イオリ「あぁ、よろしく頼む」

  • 17◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:46:48

    校庭に場所を移し、互いに構える。

    ホシノ「じゃ、いつでもいいよ〜、好きに始めちゃって〜」
    イオリ「………ふーっ…ッ!」

    まずは小手調べに距離を取って射撃する、相手の得物は近接特化のショットガン、肉弾戦は後回しにする……………つもりだったが…

    ホシノ「いや〜、まいったまいった〜、流石、ヒナちゃんが見込んだ後輩ちゃんだねぇ、おじさんじゃあ勝てないや」

    なんのことはない、一方的に勝ててしまった…というよりはまともに戦っていない、手を抜いてさっさと終わらせた…と言ったところか。

    イオリ「………手、抜いてただろ?」
    ホシノ「うへ?そんなことはないよちょっと身体が温まってない状態だったから、今出せる範囲でやっただけだよ?」
    イオリ「それを手加減って言うんだよ」

    間違いなくこの人は強いはずだ、それこそ今の発言だってどう考えても嘘だ。

    ホシノ「………ねぇ、後輩ちゃんはどうして強くなろうって思ったの?」
    イオリ「名前を聞きたかったから、だな、それがどうかしたのか?」
    ホシノ「今は名前を知ってるよね?まだ強くなる理由ってあるの?」
    イオリ「それは…」

    返事を返そうとして口籠る、言われてみれば確かにそうだ、私がこれ以上強くなる必要なんてあるのか?
    確かに憧れはしているが…別に無理に強くなる必要なんてない、治安維持程度なら今でも十分やっていける程度の実力はある。

    これ以上の力を求めていったい何の意味がある?

    ホシノ「理由無き強さは身を滅ぼすよ?………そうだね、戦う理由を見つけたら……………………その時は本気で相手してあげる」

  • 18◆hZ/EUkOIhyD.25/03/31(月) 19:47:33

    自室に戻った私はお風呂に入り、服を着替え、食事をし、武器の手入れをしながら考え事をする。
    これが私の日常であり、これも彼女(強者)から受け継いだこと………当時を思い出す為の、目標を、憧れを、再確認する為のルーティン。

    イオリ「…戦う理由………か、考えたこともなかった」

    あの人が強かったから、そこに憧れた、ただそれだけだった、治安維持だって強くなるのに都合がいいからやっているだけ、別の方法でも良かった。

    イオリ「……」

    わからない、本当に…何で戦ってるのか…

    イオリ「………墓参り、行くか」

    あの人に聞いてみたら何かわかるかもしれない。

  • 19二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 19:55:06

    無理に強くなる必要が無いってのは確かにそう、卒業したら風紀委員会じゃなくなるし目的を失ってしまうよね。

  • 20二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:01:20

    ホシノはユメ先輩を、イオリは師匠であるカガリを失っている、それでいて二人とも強い、なんかここの二人って通じ会えそうな気がする。

  • 21二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:09:06

    この概念好き

  • 22二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 20:15:31

    >>9

    ここの描写好き、何が好きかって寝ぼけてるフリしてるホシノが、実はめちゃくちゃイオリのこと警戒してるってことを描写してるところが好き。

    戦わずして「強者」であることを教えてくれる、こういうのほんと大好き。

  • 23二次元好きの匿名さん25/03/31(月) 22:39:55

  • 24二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 08:01:23

  • 25二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:27:38

    弟子は師に似るという、つまり師匠も足舐めされてた可能性があるということ。
    ここで問題です、北風カガリの足を舐めたのは誰でしょうか?

  • 26二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 12:51:49

    >>25

    連邦生徒会長

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 15:03:09

    会長…何やってんだよ…会長!

  • 28◆hZ/EUkOIhyD.25/04/01(火) 19:16:12

    翌日、墓参りのために少し早めに切り上げて、夕方に来てみたんだが…

    イオリ「………誰だ?」

    墓の前に杖を持った女がいた、女もこちらに気付いたようでにこやかな笑みを浮かべているが……………コイツに気を許してはいけない、そんな気がする…

    女「……………なるほど、君がカガリの弟子か」
    イオリ「……………」
    女「そう警戒しなくてもいいじゃないか、私は………そうだねぇ……彼女の友人と言ったところかな?…あぁ、そうだね、私は友人だよ」
    イオリ「そんな発言をするやつが友人なわけがないだろ」

    流石にツッコまずにはいられなかった………が、返事をしてもらえたのが嬉しいのか、不敵な笑みを浮かべていた。

    女「では野生の旅人としよう、その方が面白いだろう?イオリちゃん」
    イオリ「………ここで何をしていた?」
    女「ただの墓参りだよ、私の作品をことごとく壊していった彼女と、久しぶりに会いたくなっただけさ」
    イオリ「悪いな、先代はアンタに会いたくないって言ってる」
    女「あぁ〜…確かに言いそうだねぇ………私はこんなにも求めているというのに…」

    なんかキモいな、コイツ。

    女「彼女がいてくれればその分だけ作品の弱点を見つけられる、改良ができる…もっと…もっと…もー………っと…刺激的な作品を作れるというのに…
    あぁ、つまらないものだね、彼女がいない人生というのは」
    イオリ「……………同情するよ」
    女「わかってくれるのかい?」
    イオリ「お前じゃねぇよ」
    女「酷いなぁ…イオリちゃん…でもいいよぉ………そういうところ、あの子に似てきている…
    まぁ、それはそうと、今は墓に手を合わせたらどうだい?」
    イオリ「………そのつもりだ」

  • 29◆hZ/EUkOIhyD.25/04/01(火) 19:17:43

    彗星蘭の花束が添えられた墓の前で手を合わせ、彼女に問う。
    なぜ私を育てようと思ったのか?なぜあの時普通に名前を教えてくれなかったのか?なぜ私を追い返さなかったのか?と…

    イオリ「………そういえば日記に書いてたか?」

    確か「私の生きた証を、力を、あの子は受け継いでくれると思うから」と書いていた。
    なら、なぜ私を選んだのか。

    あの人は自分の小屋に近付いてくる人間を片っ端から追い返していた、それが原因でラーズグリーズの伝承が本当だったと誤認されていたくらいだ。

    なのに、私のことは追い返さなかった。

    イオリ「………はぁ、本当に…一番知りたいことだけはいつも教えてくれないよな」

    たたき起こせるなら問いただしてやりたいくらいだ。

    女「………イオリちゃん、少し手合わせしてみないかい?」
    イオリ「戦えるのかよ、アンタ」
    女「勿論、これでも彼女の友人だからねぇ」

    女が杖を突くと、グリップとトリガーが飛び出し、持ち手がストック代わりなのか肩に当てた………アレって銃なのかよ。

    イオリ「少し移動しよう、墓を壊したくない」

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