探偵の、心を救うミステリー 解決編【屁理屈推理合戦】

  • 1125/04/01(火) 21:00:54

    当スレは屁理屈推理合戦《アクマ 〜禁断の鉄道〜》の解決編です。


    前スレをご覧でない方は>>2からご覧ください。


    それでは、最後までよろしくお願いいたします。

  • 2125/04/01(火) 21:02:53

    ↓前スレ↓

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  • 3125/04/01(火) 21:03:26

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 4馳河 御影25/04/01(火) 21:05:24

    また刃が折れた。
    それは焼け焦げた大地に突き刺さり、光を失っていく。

    その次を振るっても。

    またその次を振るっても。

    私の青き真実は、赤き真実の前に砕けていく。

    『人間の自傷衝動を増幅する寄生虫が存在した』

    『男に線路へ入るよう促す命令文が、空に雲で書かれていた』

    『線路付近から漂う特定の匂いが男を行動させた』

    ……振るう度、一抹の諦念を感じる。それは杞憂でもない。
    薄氷みたいな刃で大木を斬ろうとしてるみたいだ。

    【そんなものは存在しない】

    青き刃が柄から折れた。私自身、それを信じてないからだ。

    すとんと尻もちをつく。
    眼下には、見渡す限り真実の墓場が広がっていた。

  • 5馳河 御影25/04/01(火) 21:07:51

    もう何時間……いや何十時間……いや、何百時間……
    ここで、こうやって戦っているんだろう。
    一体どうして、何のために。誰と戦っているんだっけ?

    「しっかり、しろ……っ」

    青き真実を、手の中で錬成してみる。もう何千回と繰り返した試みだ。

    まだ可能性は残ってる。

    『男は、人としての尊厳を捨てていなかった』
    『彼の死を謀り、実行させた何者かがいる』
    『彼は自殺していない』

    それが、私の突き通したい推理。
    これを補強する要素は尽きていない。
    真実は無限じゃない。永遠に繰り返せば、いつか勝てる。

    だから……

    「う!?」

    杖代わりにしようとした剣が折れた。私は硬い地面に倒れ込む。
    なん、で……?

  • 6聖杯の魔女25/04/01(火) 21:09:27

    人の身で”永遠”に太刀打ちなど出来るものですか。
    その前にあなたが発狂して電車へ身を投げたくなるでしょう。

    今のは、いよいよ探偵としての限界が訪れた証。
    真実に寄り添わぬ者が真実を扱うことなど出来ません。
    『このままダラダラ続けてれば勝てるかも』……
    なーんて、情けない思考にでも至ったんじゃありませんか?

    推理はカプセルトイじゃないんです。
    【ガチャガチャ回し続ければいつか当たりが出るなんてことはない】。

  • 7聖杯の魔女25/04/01(火) 21:13:48

    まあ……そもそも。例のゲーム盤には、明確な解が既に存在しています。

    【男は狂っていた。そのため誰も近付きたがらなかった】
    【誰も止めないがゆえに男はホームドアを越え、電車に轢かれた】

    これが全てですよ。
    別解を必死に求める御影さんの姿は見苦しいとしか言いようがありません。

    本当に発狂する前に、何とか駄々をやめてもらえないものでしょうかね……
    あなたは蒙昧で意地汚く強情です。だが叡智を注ぐ器としてはこれ以上ない逸材。
    自ら割れて壊れてしまうなんて、勿体ないじゃないですか。

  • 8馳河 御影25/04/01(火) 21:23:20

    だったら……何だって言うんですか?
    真実を受け入れる用意なんて、とっくのとうに出来てます。
    ……だけど。

    【私は探偵、馳河御影】。

    【あくまでも真実を突き詰める、ただそれだけです】。

    【私が私であるために……そして】

    【誰かの心を救う、真の名探偵になるために】……!

  • 9聖杯の魔女25/04/01(火) 21:28:39

    …………

    この…………!

    【探偵はただ謎を解けばいいだけの存在です】!

    【それ以上のことを、誰も望んでいるわけがない】!

    【身上も心情も信条も……本のページ数を稼ぐためだけの情報でしかない】!

    【こんなやり取り自体が時間の無駄だと何故気付かない……】!?

  • 10馳河 御影25/04/01(火) 21:34:41

    『違うっ』……!!

    『"全ては人間の意志と智恵"』。

    『お父さんが、短い一生で私に教えてくれたこと』。

    『人間の心の価値が、真実に劣るなんてことはない』!

    『私はあの人の墓標。生きた証なんだ』……!!

    『あなたが、あくまでも真実を歪めるというのなら』……

    『私は探偵として! 絶対ここから退くわけにはいかないんです』っ!!

  • 11聖杯の魔女25/04/01(火) 21:37:57

    ……………………。


    ………………いいでしょう。


    それならば。
    最後の選択を、あなたに強いるまでです。

  • 12聖杯の魔女25/04/01(火) 21:41:48

    【3択をあなたに提示します】。

    【真実は、3つの内どれかである。この聖杯の魔女の存在に掛けて誓いましょう】。

    【あなたは1つを選びなさい】。

    【しかし選択は一度きりだ】!

    【もし外したなら、このゲーム盤は永久に廃棄します】……!!

  • 13馳河 御影25/04/01(火) 21:42:40

    ……3択? それって、まさか……

  • 14聖杯の魔女25/04/01(火) 21:47:06

    そう。【あなたは再び選ぶんですよ】。
    探偵としての運命を決めた、あの時のように。

    さぁさ。その目を開いてご覧なさい。

    【運命を分かつ、3つの選択肢を】……!!

  • 15聖杯の魔女25/04/01(火) 21:49:16

    A. 『男は狂って自殺した』 と認める



    B. 『悪魔による犯行』だと認める



    C. 『それ以外の答えがある』と示す

  • 16聖杯の魔女25/04/01(火) 21:56:55

    A. 『男は狂って自殺した』 と認める

    ……元はと言えば、あなたの仰った推理ですよ。
    初心に立ち返るのは勇気が要るでしょう。
    しかし、世間は誰もがその真実を信じている。

    そう。【実の娘である憂木真理流その人でさえもね】……!

    あなたがしているのは所詮、一人相撲に過ぎないということ。
    この真実が真実だろうが真実でなかろうが、誰も困りません。

    最も受け入れやすい選択肢だと思いますよ?
    【これを選んでいただいた場合、あなたを普段の日常に帰しましょう】。

  • 17聖杯の魔女25/04/01(火) 22:04:21

    B. 『悪魔による犯行』だと認める

    俺イチオシの選択肢をご紹介します。
    この際、悪魔はいたと認めておしまいなさい。
    誰も傷付かなくて済む……最高の選択肢じゃないですか。

    屁理屈推理合戦は、悲惨な死亡事件も美しい幻想に彩ることが出来るのです。
    真理流さんにも言ってあげたらどうですか?
    "誰も悪くなんてない。悪魔の存在を一緒に信じよう"って……ね。

    【俺はあなたの選択を尊重します】。
    【もしこの選択肢を選んでいただけるなら、もう付き纏うのはやめましょう】。

    ええ、【聖杯の魔女は二度とあなたの前には現れないという意味】です。
    幻想を受容した探偵として……石英さんとはまた違う道が開けるかもしれませんよ?
    いかがでしょう? 御影さん。

  • 18聖杯の魔女25/04/01(火) 22:11:36

    C. 『それ以外の答えがある』と示す

    ……最後まで付き合ってあげますよ。
    ええ、【何百時間でも】。【何億時間でも】。【何無量大数時間でも】!
    あなたが発狂するか、別解なるものを示せるまで時空は進まない!
    もちろん、そんなものが存在すればですがね……!

    しかし気を付けることだ。この選択肢を選べば最後。
    いくら泣いて喚いても、あなたを決して逃がしません。

    ここまで解けなかった謎が……時間を掛ければ解けるとでも?
    【あなたの仰った通り、解けるまで無限の時間を過ごしてもらう】……!
    当然、その覚悟でここまで来たんでしょう!?

    探偵よ。

    あなたの選択を……見せていただきましょうか。

  • 19馳河 御影25/04/01(火) 22:14:17

    ……っ。

    またか。
    また、選ばなきゃ……いけないのか。

    こんな……私の人生、全てを変える選択を……

  • 20馳河 御影25/04/01(火) 22:20:20

    正直……微塵も、答えが見えてこない。
    どれだけ時間を掛けたって、そうかもしれない。
    多分、この事件には……私が知りもしない情報が眠ってるんだろう。

    ボタンを掛け違えている限り、解けるわけがない。
    あいつは絶対の自信で選択を迫ってる……3つ以外の隠し手なんて、ないんだ。

    ……選ばないってことは、最初の推理を認めるってこと。

    ……優しい嘘にすがるってことは、探偵を捨てるってこと。

    ……諦めないってことは、無間地獄に飛び込むってこと。

    どれを、選べばいいって、言うの……?

  • 21125/04/01(火) 22:39:21

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 22125/04/01(火) 22:45:55

    【最終推理】

    この後、解決編が始まります。
    参加者の皆様もご一緒に、A・B・Cのいずれが真実であるのかをお示しください。

    このゲーム盤に隠された真相。
    それはあなたが禁忌の鉄道を降りた際、ようやく露わになることでしょう。

  • 23二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:48:21

    C

  • 24125/04/01(火) 22:51:09

    そして、もう1つだけ重要な真実をお伝えしておきます。



    【ここからの原稿が間に合っておりません】。



    そうです。

    【解決編の解決編を、明日の17~19時頃から開始いたします】。


    あなたの推理が、どうかこの謎の正中を射抜いていますように。

    あと正直スマンかった。


    スレにはまだまだ余裕があります。こっちもぜひ使ってやってください。

    聖杯の屁理屈推理合戦 実況・考察スレ|あにまん掲示板人間様の皆様、お疲れ様でございます。ここはゲーム盤の外側。思うことを自由に書き込んでください。念のため以下のルールを規定いたします。1.【このスレッドへの書き込みはゲーム盤の進行に関係しない】2.【こ…bbs.animanch.com

    明日、またお会いしましょう。

    本日もありがとうございました。


  • 25二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:54:57

    …………おやすみ!!

  • 26二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 22:56:48

    2スレ同時進行しつつ一人三役するのは大変だもんなあ
    お疲れさまです

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/01(火) 23:02:47

    見切り発車だったんかい!!
    …いや、まあぶっちゃけ金とっていいだろってクラスのシナリオとギミックを楽しませてもらってるんで文句なんて全然ないです、ハイ
    今日はみんなゆっくり寝よう

  • 28二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 06:22:05

    このレスは削除されています

  • 29二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 12:30:09

    いつまででも付き合ってもらおう、C

  • 30125/04/02(水) 16:22:45

    皆様、お疲れ様でございます。
    もう間もなく、17時台より解決編の解決編を開始いたします。

    それまでに、良ければあなたの答えと推理を御書き連ねください。

    ① 真相はA・B・Cのどれなのか
    ② 何故、男=優木誠は死亡したのか
    ③ 事件の背景にあった真実とは何か

    チェス盤をひっくり返す時です。

    どうぞよろしくお願いいたします。

  • 31125/04/02(水) 16:23:47



  • 32二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 18:35:34

    C!
    『男は以前から幻聴に悩まされていた。事件当日も幻聴に襲われており、結果的に線路に立ち入る事になったが、男は死を意図して行動したわけではなかった。身体的に不自由な男はホームを這う形になり、一見狂人の錯乱にしか見えない行動を止める民衆はいなかった。制止されなかった結果として男は死亡するに至ったが、これは事故である』!

  • 33二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 18:55:27

    『男は狂いたくて自殺した』
    『男には悪魔の声が聞こえていた』
    『しかし治療により聞こえなくなっていた』
    『正常な精神になっていたのである』
    『男は悪魔の声を聞きたかった』
    『このまま生きていけば聞こえない』
    『故に自殺することにした。自ら記した小説の方法を用いて』

    『狂っていれば死んでいない』
    『悪魔がいるのならば死ぬ必要は無い』
    『選択肢Aと選択肢Bの存在を否定します』

  • 34二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 18:56:05

    『男は探偵だった』
    『男は電車の待ち時間という空いた時間に過去に解かなかった謎を解いた』
    『謎の答えは過去の行動の結果が悲劇の原因というものだった』
    『その事実に混乱し絶望した男は衝動的に自殺した』
    ①C 男はもともと狂っていた 狂っていた男が己の行為に絶望して自殺した。
    ②男の過去の行動の結果が悲劇の原因だと気づいたから
    ③男も屁理屈推理合戦の探偵だった

  • 35二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:04:19

    ① C
    ② 『優木誠は、自分が考えた謎の中の男と同じ行動を取ったために死亡した。自分が考えた謎が再現可能か、確かめるためだった。電車との衝突だけは回避するつもりだったが、実際には衝突してしまった』
    ③ 『優木誠は小説の巻数を重ねるたびに追い詰められ、病んでいった。家族を養わなくてはならないが、自分の考える謎に自信がなくなったのだ。その心理の背景には、最近活躍するようになった御影の存在があった。誠は御影と話をしようと思い、娘に大学に連れて行くように頼み、新宿駅にやって来た。そこでふいに、自分が考えた謎を試してみて、再現できたら御影にそれを話そうと、実行に移したのだった』

  • 36二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:13:15

    ①C
    ②男は確かに狂っていたし自殺的行動により死亡した。だが、それは誰かを救うためだった。
    ③男は、改善していたはずの幻覚が再発し、誰かが線路上に居るように見えた。その誰かの命を救おうと思い、自らホームドアの下側から体を線路の上に出し、轢かれることで電車を止めた。幻覚なので実在するどの人物も直接的には男の死に関わっていない。

  • 37二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:13:35

    『男にはどうしても電車を遅延させなければならない理由Xが存在した。それは男の予期せぬ要因Xによって発生したものであり、混乱の中、男に取れる手段は残されていなかった』
    『結果的に死亡したとしても、男の行動は死を目的としたものではなかった』
    『男の死は自己犠牲であり自殺でも悪魔の仕業でもない』

  • 38二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 19:21:06

    『《アクマ ~顕現編~》と題される事件あるいは類する事件は本来9月3日に起きるはずだった。聖杯教団員は当日事件現場となった駅にいなかったが、別の駅で待ち構えていた。何らかの手段でそれを察知した男は、阻止するべく行動を起こした。何らかの手段については説明拒否』

  • 39二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 20:01:23

    『男の幻聴とは屁理屈推理合戦のことだった』
    『男は駅のホームで屁理屈推理合戦を久しぶりに仕掛けられた』
    『その答えはこのまま電車が進めば人が死ぬというものであった』
    『男は人の命を救うため著書の方法で電車をとめた』
    『しかしその推理は不正解で電車を止めなくても死者は出なかった』
    『そのため男は無意味にしんだ』

  • 40125/04/02(水) 20:06:37

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 41逵溽炊縺ョ鬲泌・ウ25/04/02(水) 20:08:50

    【御影ちゃんっ!!

    この真実で、パパの全てを暴いてくれ】……っ!!

  • 42聖杯の魔女25/04/02(水) 20:09:41

    何!?

    これは……まさか!?

  • 43馳河 御影25/04/02(水) 20:12:49

    …………

    赤き、真実………

    これは……先輩、から?

  • 44馳河 御影25/04/02(水) 20:14:20

    ……これは。

    そういう……ことだったんですね。

  • 45馳河 御影25/04/02(水) 20:15:04

    しっかり、受け取りました。

    今度こそ私の番です。

    【この欺瞞に満ちたゲーム盤を……完全に覆してみせる】……!

  • 46馳河 御影25/04/02(水) 20:17:34

    準備は、いいですか……? 聖杯の魔女。


    私の方から言い直しますよ。

    【泣いて謝っても、もう絶対逃がしません】っ!!


    しっかり見ててくださいよ。

    これで……終わらせます!!


  • 47馳河 御影25/04/02(水) 20:20:53

    まやかしは消え去れ!

    私が選ぶのは……B!!

    『これは悪魔による犯行です】っ……!!!

  • 48聖杯の魔女25/04/02(水) 20:22:34

    馬鹿な!?
    魔法の存在を、認めると言うんですか……!?

  • 49馳河 御影25/04/02(水) 20:24:08

    ええ。『聖杯の魔女。悪魔の正体はあなたです】……!

    【この3択は、進退窮まったあなたの罠。
    ここまで足掻いた私をCの選択肢へ誘導し、封殺することが目的】。

    まさかBを選ぶとは思わなかったでしょ?
    【私が絶対絶対絶対選ばないよう、必死に細工していましたから】ね!

    ここを文字通り、あなたの墓場にしてあげる。
    あなたを裁く権利を持つのは、あのゲーム盤にいた私だけだから……!

    まずはその位から降りてきなさいっ! 【禁忌を犯した魔女もどき】……!!

  • 50馳河 御影25/04/02(水) 20:28:27

    私が叫ぶと、大地を裂いて赤い鎖が現れた。
    光速で星空へと伸びていく鎖は、何かへ絡み付くや否や縮まっていく。
    数瞬も経たずして……そいつは私の前へと墜ちてきた。

    凄まじい衝撃。硬い地面にクレーターが生まれる。
    その中心に、そいつはいた。

    「ぐっ……何だこれは。俺をここまで堕としたというのか!?
    それに、この姿は……!?」

    「小綺麗なイメージなんて必要ないでしょ。悪魔なんだから」

    ドス黒い器から瘴気が漏れ出ている。ゴボゴボと不浄な音が聞こえる。
    もうこいつにゲームの主導権はない。幻想は私の手中にある。

    私は完成した青き真実の刃を魔女に向け、言った。
    時折脈打つように赤く光る薙刀。私だけが使える殺人的な裁きの道具だ。

    「『バカなことしましたね。魔女の身でありながら殺人をしでかすばかりか……
    それを屁理屈推理合戦として私に提出するだなんて】」

    「何のことやら。それを推理と言い張るつもりですか?」

    「なら言ってみせてください。”俺は優木誠を殺す行動はしてません”って。
    あなたに掛けられた嫌疑ですよ? やってないなら言えるでしょ、赤で」

    「……」

    復唱が返ってこない。当然だ。
    【優木さんを騙して線路上に導き、殺した存在。それがこいつ】なんだから。

  • 51馳河 御影25/04/02(水) 20:32:03

    「御影さん。忘れたわけではないでしょう?
    まずもって【男を線路に移動させた者はいません】。
    【男を脅迫したり自殺を強要した人物など存在しない】。
    【男はこの日、娘以外のいかなる人物とも会話を交わしていない】ですし、
    【その他あらゆる人物も男の死に関係していない】。そう言ったじゃないですか」

    「ああそうですね。じゃあ”人物の定義には魔女も含む”で復唱どうぞ」

    「……」

    「次に”魔女の時空で言葉を交わすことも会話に換算する”と言ってください」

    「……!」

    「”男がその言葉を聞いて自発的に線路へ移動した場合も、移動させた扱いになる”んですか?」

    「……!!」

    「『この謎は超常的存在であるあなたが彼に交信を試み、
    その内容で意図的に事故へ遭わせたことで成立しました。
    つまり、人間には成し得ぬ事件です】」

  • 52馳河 御影25/04/02(水) 20:34:50

    魔女の醜い姿が振動した。奴は間違いなく焦っている。
    次の屁理屈を模索している。でも、もうムダだ。

    「『それは屁理屈推理合戦において、禁忌中の禁忌。最低のアンフェアです。
    だからあなたは論点をズラすことでゲーム盤を何とか成立させようとした。
    “男を誰も止められなかったのは何故?”というチープな出題にすり替えた】」

    赤い鎖が、魔女を……いや、悪魔をより強く締め付ける。
    私が言葉を紡ぐ度、青き真実はより光を増していく。
    この威力。すでに超高層ビルだって一撃で叩き斬れるだろう。でも足りない。

    「『あなたにとって、これは認めたくない真実なんかじゃない。
    魔女として決して認めてはいけない……禁忌の真実だったんです。
    ゲーム盤の存在自体を否定したのはそのため。辿り着かれたら最後、こうなるから】」

    参加者を欺き、探偵を翻弄する。それがこのゲーム。
    でもゲームを欺いた奴に、ゲームマスターの資格なんかない。

    「あなたを今から蹂躙します。私が暴いた、この真実で」

  • 53馳河 御影25/04/02(水) 20:38:44

    「……まず、この真相を紐解くには前提を明らかにする必要があります。
    それは【この世界では魔女が人間と交信することがある】ということ。
    【その人間は”聖杯”と呼ばれていた】。でもそんなの魔女の匙加減です。
    【魔女はどんな人間とも交信出来るし、交信しないことも出来る】。
    実際、【飽きた相手とは交信をやめて捨てることもある】。
    例の”神父”の件から言っても、それは明らか。魔女どころか、ただの尻軽女ってワケです」

    「この……!」

    「赤き真実以外の反論は認めません。文句があるならいつでもどーぞ?
    【聖杯教団も認知していなかった”聖杯”があちこちにいる】はずです。
    【そんな中の1人が優木誠さんでした。実力のある推理作家です】。
    精神を病む前、彼はいくつものミステリーを世に放ってきました。でも……
    ある時を境に断筆。【それが事件の1年前であり、あなたが彼を捨てたタイミングです】」

  • 54馳河 御影25/04/02(水) 20:41:59

    許せない。そうだ……こいつが全ての元凶だ。
    聖杯記念教会は、魔女に捨てられた男によって誕生した。

    元・教団幹部の星神幻蔵が、娘の実優を殺したのも。

    汐留さんが血塗られた助手としての道を辿ることになったのも。

    お父さんが真実を歪め、苦しみながら生きることになったのも。

    【全部……こいつの退屈しのぎとかいう、ふざけた理由】。

    それを私は、自分が存在するせいだなんて思い込まされてた。
    心底バカバカしくて下らない。もう、何もかも終わらせてやる……!!

    「どうして誰も聞かなかったんですか? 私なら絶対に聞きました。
    【優木さんが心を病んだ理由は、魔女の離反によってミステリーのネタが供給されなくなったから】です!
    【先輩の認識は逆。幻も声も聞こえなくなったから、彼は壊れてしまった】んですよっ!」

  • 55馳河 御影25/04/02(水) 20:44:22

    「【真に有害なのはあなたの存在です、聖杯の魔女】。反論は?」

    「ぐ……っ!」

    「”誰かの死を希い、その甘く昏い蜜に群がって生きる”。
    “そんな私こそ最も死すべき知的蹂躙者だ”……彼はそう娘に言い残した。
    彼は殺人事件がなければ生きられなくなっていた。あなたのせいで。
    私も危うく、そうなるところでした」

    人の死に動揺せず、機械的着実に推理へ取り掛かってくれる人材。
    それが魔女に……知的蹂躙者にとって、理想の探偵像なのかもしれない。
    でも私たちは人間だ。同じ人間の死に心痛まない理由はない。

    それすら奪い去っていく、この悪魔を許せる理由もないっ……!

    「行きますよ! 優木さんを捨て、あなたは誰に食指を伸ばしたのか?
    そんなの考えるまでもない。【この私、悧巧でかわいい馳河御影】です!」

  • 56馳河 御影25/04/02(水) 20:45:12

    神父からお父さんへ。お父さんから優木さんへ。そして今度は私。
    私が”知的蹂躙者”なら……こいつは”知的寄生虫”とでも呼ぶべきだ。

    「9ヵ月前の事件を皮切りに、私は破竹の勢いで頭角を現しました。
    当然あちこちで話題になったし怪しまれもした。公安にマークまでされた!
    一番注目されたのは核爆発を予言した時です。
    【そのニュースはきっと、先輩を通して優木さんにも伝わった】はず……!
    【優木さんは私を”聖杯”だと確信し、直接会って話そうとした】んです!」

    「そんなことを示す根拠がどこにあると言うんです!?」

    「あなたが否定しないことが最大の根拠ですよっ!
    さっき私に撃ち込まれた、先輩の魔弾がそれを教えてくれました……!」

    「!? やはり……!!」

    「きっと【優木さんは私に自分の経験を伝えようとしてくれた】んです。
    人の死に慣れ、誰の心にも寄り添えない探偵になってはいけないと!
    『あなたはそれが気に入らなかった。だから途上で彼を殺したんです】!」

  • 57馳河 御影25/04/02(水) 20:47:42

    「私が許せないのは……あなたが、彼の遺作のトリックを利用したこと。
    『優木さんが書いた愛と救いのミステリーを、あなたは塗り替えてしまった!
    自分本位な欺瞞と絶望のミステリーに】……!」

    「遺作? あの未完成な書き割りに、それほどの価値はない……!」

    「あります! 優木さんがあなたに頼らず書いた、優しいお話ですから……!
    狂ってるのはミステリーにトリック以外の何も求めない、私たち知的蹂躙者。
    だけど、それももう終わりです!」

    「……」

    「『ホームで1人待たされた優木さんの前に、あなたは突然現れた。
    そして嘯いた。真理流さんが線路に落ち、危ない状況だと】……!
    彼を確実に、絶対に動かすための嘘なら……! それしかないっ!」

    その方法なら、いくらでも言いようはある。
    聖杯教団を手駒のように扱い、真理流さんを襲わせたとでも言えば……
    優しいお父さんだったら居ても立ってもいられないはずだ。

  • 58馳河 御影25/04/02(水) 20:48:42

    「『彼は車椅子を放棄してホームを這い、線路に向かった。
    実際には誰も線路に落ちてなんかいません。周囲はただ怪しんだでしょう。
    ……誰も止めない中、優木さんはホームドアの下から身をはみ出させた。
    そして線路内の真理流さんを探しつつ、電車に跳ねられ亡くなった】んです」

    「……っ!!」

    「あなたはこの事実を事件ごと覆い隠そうとした。その苦慮が見て取れます。
    【闇の叡智が参加出来ないよう、人除けした状態で私に挑みました】よね。
    しかも私が青き真実を出した瞬間にリザインした。まるで逃げるかのように。
    十数人もの死者が出たあの日にそれが起こったのも、偶然とは思えない」

    ギシギシと赤き鎖が揺れる。たとえ天体を吊ろうとも決して千切れない鎖。
    それは今まさに、聖杯の怪物を砕き割らんばかり締め上げていた。
    残虐な真実が雄叫びを上げている。その禁忌ばかりは許さないと。

    「ぐ……だがそれで全てを暴き切ったつもりですか!?
    【俺が行動に出たのは、優木誠があなたに接触しようとしたからではない】!
    もっと! やむにやまれぬ事情があったんですよ!」

  • 59馳河 御影25/04/02(水) 20:53:15

    「それが何なんですか? あなたがこんなことしていい理由になるんですか?
    屁理屈推理合戦を貶めたことを……正当化出来るんですか?」

    「知ったことか……! 【全ての真実を知らぬ者に、俺は断罪出来ません】!」

    「そんなの簡単です。
    【私と真理流さんが出会い、友達になることを阻止したかった】んでしょ」

    「ぐがあああああっ!?」

    聖杯に亀裂が走った。血のような色をした鎖が、奴を苛み続ける。
    当然そのくらい推理済みだ。名探偵を……舐めるな。

    「『優木さんが真理流さんと一緒に大学へ向かったのには理由があります。
    彼が伝えたかった思いは、真理流さんに対してもそうだった。
    ミステリーは攻撃や断罪のためじゃなく、誰かを愛し救うために使えるはず。
    友達の少ない私たち2人を引き合わせることでそれを伝えたかった】んです」

    「それだけでは……まだ……!」

    「あなたにとっては別の意味があったんでしょうね。
    【私が探偵の素質を持つ一方で、真理流さんには魔女の素質がある】。
    【魔女は探偵以上に、赤き真実を自在に操れます】。
    そういうヤツが探偵の近くにいると……今日の昼間みたいなことになる」

    「!」

    「あの謎は、真理流さんと闇の叡智が解いたようなものです。
    偽者さんも言ってましたよ? “これはまあ焦るわけだ”って……あれ、あなたのことでしょ。
    【別の魔女に介入され、ゲームが成立しなくなることをあなたは怖れた】んです」

  • 60馳河 御影25/04/02(水) 20:56:12

    「で、結局それは現実になっちゃいましたね。
    真理流さんの妨害がなければ、《胎動編》は闇に葬られたままだった。
    さっきもまさか、時空を超えて赤き真実を飛ばしてくるなんて……

    【彼女は人でありながら本物の魔女です。癪だけどまあまあ良い人だし。
    もう嘘吐きで掟破りで素行の悪いあなたなんて、この世に要りません】」

    私は研ぎ澄まされた右手のグレイブを空にかざす。
    濡れたように灯る青き刃は、絶対零度よりも冷たく光っている。
    それでいて……太陽よりも激しい灼熱を帯びている。

    この真実には、銀河系1つを消し飛ばすほどの威力がある。
    私はそれを高く掲げた。

  • 61馳河 御影25/04/02(水) 21:02:47

    「……これで終わりです。何か言い遺したいことは?」

    「ふ、ふっ」

    「!」

    「ふふふっ……なるほど。人間、250日も磨き続ければ……
    こうもなるってわけですか」

    「……」

    「俺を蹂躙するあなたの眼は、実に愉快でしたよ。
    まさか、これで本当に今まで通りの日常に戻れるとでも?
    そんな……馬鹿な話はない」

    「ええ。きっと私はこれから先、ずっとこうです」

    「残念ですね……知的蹂躙者としてのあなたの完成を……
    最後まで、この手で成し遂げられないとは……!」

    「それ、どこが手なんですか? まあ知りませんけど」

  • 62馳河 御影25/04/02(水) 21:09:42

    「自分で言いましたよね? 私、ちゃんと覚えてますよ。
    【この選択肢を選べば、聖杯の魔女は二度と私の前に現れない】って。
    ミスリードの割には中々……律儀なこと言ってくれるじゃないですか」


    「……まあまあ楽しかったですよ。あなたとのオママゴトは。
    しかしこれから先どうするつもりです? 俺との提携を打ち切って……
    今後巻き起こるであろう凶悪事件の数々に対抗出来るとでも?
    【”人にして魔女”というのであれば、あの人も条件は同じ】ですよ」


    「少なくとも、あなたと一緒になんて御免です。
    私は名探偵。性格はどうあれ、助手が1人いれば不足はありません」


    「……!」


    「あなたには色々と教わりましたね。
    この世には常に、真実を歪めようとする引力が働いていること。
    そして……探偵が真実に向き合わなければ、どうなるのか。
    知りたいとは思いませんでしたけど。ただ、知っておいて良かった」


    「これで、終わりと……」


    「『さよなら。聖杯の悪魔】」

  • 63馳河 御影25/04/02(水) 21:20:12

    停止した時空が歪む。赤と青の鮮やかな光が爆発する。

    塵になって消えていく謎の世界の中心で……

    私は、そっと目を閉じた。

  • 64125/04/02(水) 21:21:19

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 65馳河 御影25/04/02(水) 21:23:40

    「……ちゃん」

    ふと。涼しい風が、頬を掠めた。春にしてはちょっと……寒いな。
    明日も明後日も雨だっていうし、いつお花見に行けばいいんだろう。
    あ……お兄さんそれどころじゃないんだっけ。
    管轄で、大規模テロなんて起こったら当然か。

    じゃあいいや。お花見くらい散り際でも行けるし。
    それより……お腹、空いた。

    「御影ちゃん! 起きて御影ちゃんっ!」

    「う……」

    相変わらず頭痛が酷い。身体も汗でベタベタする。
    全部の欲求が悲鳴を上げている状態で、私は幻想から覚めた。

    「はぁ。いま何時ですか」

    「……御影ちゃんっ……!」

    「むぐ!?」

    質問したのに、返ってきたのは抱擁だった。
    先輩は私の首に緒を埋めるや、さめざめと泣き始める。
    ……うぅ。何か、こういうの。すごく、慣れそうにない……。

  • 66馳河 御影25/04/02(水) 21:24:59

    「身体は大丈夫? SAN値とかなくなってない? 病院行く?」

    「……ええい! 病人扱いしないでくださいっ!」

    何? サンチって。私は真理流さんをぐいっと押し返す。
    ちょっと良い匂いがしたけど、ホント。そういうの照れ臭くてイヤなの。
    彼女はメガネから溢れそうなくらいの涙を溜めて、私を見つめた。

    「解いたんだね。本当に」

    「た、探偵ですから。このくらい当然です」

    「……ありがとう」

    顔が熱い。何だかめちゃくちゃ恥ずかしい。どうしてだろ?
    犯人以外の生存者がいたことなんかあったっけ。おまけに感謝なんて。
    感情が乱れる。離れてほしい。1人になりたい。

    私がわざわざ背を向けたってのに……先輩は離れてくれなかった。
    後ろからまたも抱き締められて、何か。もっとめちゃくちゃになる。

    「だ、だからいいですってば。もう」

    「君が良くても僕は良くない。だからやめない」

    「意地悪……やっぱ魔女なんか嫌いです」

    「僕は……やっぱ好きだな。探偵のこと」

    うるさい。もういい。疲れた。眠い。喉乾いた。お腹空いた。

  • 67馳河 御影25/04/02(水) 21:26:21

    「……真理流さん。私、救えましたか」

    「ん。まあ、だいぶ」

    「何ですかそれっ……! こっちがどんなに、頑張ったとっ」

    「分かってるよ。1人で、よく頑張ったね」

    「当然です! 私……これくらい余裕なんだから……っ!」

    バカバカバカ。自分が何を言ってるのか、全然分からない。
    感情が暴走して止まらない。前が見えない。
    どうにも出来なくて、ただしがみ付いていた。背中を撫でられながら。

    「僕のホントの名前、真理って言うんだ。これからはそう呼んで」

    「拒否します」

    「へ?」

    「真理流の方が、かわいいので」

    「お……おう」

    何が真実かとか正しいかとか、正解とか外れとか。
    そんなの……赤にも青にも規定されたくない。それくらい、自分で決めたい。

    静かな都会の夜空の下で、私たちはしばらくそうしていた。

  • 68馳河 御影25/04/02(水) 21:28:36

    ふと、真理流さんが空を見上げた。

    「……そうだ。御影ちゃん」

    「今度は何ですか」

    「お誕生日、おめでと」

    頭に手を置かれた。ズルい。
    私よりチビのクセにお姉さん気取りしないでほしい。

    妹でも器でも墓でも何でもない。
    私はたった今、20歳になった大人の女性。馳河御影だ。


    「どっか飯でも食べに行く? 」


    「ぁぅ……う゛っ……!」


    「お疲れ様。名探偵」


    666個の事件が終わり、787,087人もの命が潰えた。

    その代わり。
    私の友人が1人だけ増えた。

  • 69125/04/02(水) 21:30:01

    【魔女は時空を司り、謎と真実を行使可能な存在である】
    【魔女は人間の意識を別次元へと引き上げ、交信を試みることが出来る】
    【聖杯の魔女はかつて優木誠と交信し、謎掛けを行っていた】
    【優木はその謎をミステリー小説として売り出していた】
    【しかし、聖杯の魔女は彼に飽きて御影に乗り換えることにした】
    【題材を得られなくなった優木は苦しみ、精神を病むこととなった】

    【優木は魔女の凄惨な死を追い求めることに疲れ、自らを反省する】
    【そんな時、探偵として活躍する御影について真理流から情報を得る】
    【かつての”聖杯”として御影に助言すべく、父娘は大学に向かった】
    【真理流は仕事の電話で優木を離れた。その間、魔女が優木に再接触】
    【魔女は彼の小説を引用し、真理流が線路に落ちたと嘯く】
    【現実へ帰された優木は急いでホームを這い、ホームドアに辿り着く】
    【彼はホームドアの下から半身を乗り出すも、真理流はどこにもいなかった】
    【周囲は優木を気味悪がり、誰も止めなかった。故に彼は轢かれてしまった】

  • 70125/04/02(水) 21:30:39

    【聖杯の魔女の目的は2つ】
    【1つは、優木の説得によって御影が変節するのを止めること】
    【もう1つは、彼が連れていく真理流と御影が出会うのを止めること】
    【真理流は幼い頃からミステリーに触れ、謎の構築に長けていた】
    【そんな彼女には魔女の素養があり、聖杯の魔女は強く警戒した】
    【もしも真理流が覚醒した場合、聖杯の魔女を脅かす可能性があった】
    【そのため、魔女は御影がホームにいる現場で事件を発生させた】
    【御影は優木が狂人だったという推理を披露し、真理流との確執を生んだ】
    【屁理屈推理合戦の原則を破るこの行為は、魔女によって隠蔽された】

    【その後、真理流は心ない報道と嫌がらせに遭う。母親は耐えかねて自殺】
    【塞ぎ込んだ真理流は御影を問いただし復讐するため、彼女を尾けた】
    【真理流の目的は屁理屈推理合戦を挑み、反省と謝罪を促すことだった】
    【しかし御影は闇の叡智と結託。僅か30分足らずで謎を解いてしまう】
    【焦った真理流は睡眠薬を使用し、御影を拉致することにした】

    【一方、”聖杯教団”の残党は凄惨なテロ計画を立てていた】
    【その目的は御影に屁理屈推理合戦を挑むこと。ただそれだけだった】
    【執行部リーダーの牽引により、100名以上の教団員が参加する】
    【その日、御影が新宿駅に現れることは判明していた】
    【彼女の発見に合わせ、計画が開始。乗客666人が死亡する】
    【御影と闇の叡智は真理流の力を借り、何とか事件の真相を解明した】

  • 71125/04/02(水) 21:31:15

    【自分のせいで大勢が意味もなく死んだことに御影は衝撃を受ける】
    【しかし真理流から新たな真実を得て奮起。聖杯の魔女に挑戦する】
    【御影の目的は真理流の心を救うため、優木の自殺の理由を探ること】
    【だが、魔女は”狂人の自殺”で閉じているゲーム盤の再開を拒否】
    【一切の復唱要求を禁じ、御影をあしらおうとする】
    【そんな時、真理流の魔女としての能力が発現。御影を援護する】
    【真理流は”真理の魔女”となり、魔女の時空を移動。御影を発見する】

    【真理の魔女は父の遺作を屁理屈推理合戦の形式で出題。ヒントとする】

    【真理流の出題において、ポイントとなる情報は3点ある】
    【① 歩けない人間でもホームドアを越え、轢かれる行為が出来たこと】
    【② その人は狂気ではなく、誰かのためにその行動を取ったこと】
    【③ そうなる契機とは、誰かが遠隔的にその情報を彼へ伝えたこと】

    【更に、真理流との会話から得ることの出来る重要な情報は3点ある】
    【① 優木誠は幻覚や幻聴を聞いていた時期がある】
    【② 2人は当日、誰かに会うため大学へ向かっていた】
    【③ “自殺”と”事故”の境界線は曖昧である】

  • 72125/04/02(水) 21:31:37

    【真理流は御影の戦いを見て奮起。御影のいる時空へ赤き真実を撃ち込む】
    【それを見た御影は最終推理を展開。”魔法による犯行”が真相だと暴く】
    【違反を暴かれた聖杯の魔女はゲームマスターの地位を失い、堕落する】
    【御影は魔女の動機を全て暴き、青き真実で魔女を討つことに成功した】

    【聖杯の魔女は死亡した】
    【聖杯教団の執行部リーダーはまだ逮捕されていない】

    【御影は20歳の誕生日を迎えた】
    【御影と真理流は和解し、友達になった】

  • 73125/04/02(水) 21:34:19

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 74125/04/02(水) 21:42:37

    《エピローグ》

  • 75125/04/02(水) 21:43:58

    「いやぁ……にしても良かった。実のとこ心配してたんだぜ?
    御影に1人旅なんか出来んのかってなー」

    グラスを傾けながら、葉一はしみじみと漏らした。
    久しぶりの一杯だった。

    めちゃくちゃになった所轄内の収拾もそう。
    全国的に指名手配された“聖杯教団”の捜索もそう。
    苛立っている公安から従妹を守るため、あれこれ根回しするのもそう。
    色々てんこ盛りの1週間だった。いつものことながら。

    「いやいや。ちょっと忘れてない? 僕、睡眠薬盛って拉致ったんだよ。
    本来おしおきされても文句は言えないと思うけどな」

    「ま、大学生なんだし。そういうこともあるだろ」

    「お気楽な刑事さんだなぁ……評判通りだ」

  • 76125/04/02(水) 21:45:19

    向かいの席で、真理流が苦笑する。片手にはレモンサワー。
    綺麗な店内にはジャズが流れているものの、パーカー姿は変わらない。
    彼女は氷をくるくると回しつつ言った。

    「まず年端も行かぬ箱入り娘を1人で旅に出すってのが間違ってるんだよ。
    なんで付いてってあげなかったの? 危ないじゃんか」

    「さすがに2泊3日も外せねーよ。こっちは刑事やってんだ。
    そもそもなぁ……19歳の従妹と旅行って普通か? 本当に普通か?」

    「……”こいつおまわりさんです”ってカンジだね」

    法的な問題はない。かも、しれないが。
    2人はまたも、しみじみとグラスを傾けた。

  • 77125/04/02(水) 21:48:28

    「ところでちゃんと食ってるか? 遠慮なんかするなよな」

    「いやいや、そっちこそ。今日は僕が奢るって言ったじゃん」

    「こっち社会人だぜ。21の子に出させるわけには」

    「いーのいーの。せめてものお返し。それ以上のコトしてもらったからさ。
    ……睡眠薬なんか入ってないよ?」

    にかっと笑う真理流に、葉一も顔を綻ばせるのだった。
    実際のところは言えない。
    僕、多分あなたの倍は年収あるよ。とは。

    昨夜着手した原稿もいい調子だし……馳河家に還元しなければ。
    そんな気持ちで飲んでいた。

    「しかしなぁ。これ、どうするよ」

    「……ちょっと、多いね」

  • 78125/04/02(水) 21:49:10

    テーブルからこぼれ落ちそうな皿の数々。しかも主食ばっかり。
    パスタにピザ、ミートボール、ハンバーグ、まだ来ていないのも山ほどある。
    葉一ががっついているが、そう簡単には無くなりそうにない。

    「だからお前も食ってくれよな。まさか、服の汚れが心配か? 上着貸すぜ」

    「あー……いやぁ……その……」

    赤いなぁ。思い出すなぁ。

    冷や汗を隠せない真理流。
    何となく選んだイタリアンだったけれど、1週間前の事件は未だ鮮烈だ。
    今は目の前の光景に後悔している。何せあれも肉、これも肉なのだから。

    葉一と来たら、アレの片付けを主導する立場だったはず。
    よく食えるな……と思いながら、真理流はトマトソースをかき混ぜるのだった。

  • 79125/04/02(水) 21:50:51

    「そもそもの話、注文した奴が責任持つのがスジってもんじゃない?」

    「んぐ、間違いないな」

    「ま、まあ……僕もいただくとするよ。今後は苦手とか言ってらんないしね」

    「?」

    真理流はカチャリとフォークを持つ。アラビアータの皿を引き寄せながら。
    668件目が終わったのはついさっきのこと。
    本人は”良かったぁディナーに行ける”などと喜んでいたが、やはり絶対おかしい。

    一度曲がった感性は元に戻らないということだろうか。
    それとも元々、そういう性格なのだろうか。

  • 80125/04/02(水) 21:53:21

    「起こしたら? 絶対、後で文句言うよ」

    「起こすと絡まれるぞ。寝るだけ寝かしとこうぜ」

    「なんでいきなりワインから飲むんだよぉ……!?」

    葉一の隣で、そいつは爆睡している。
    時々葉一にぶつかりながら、ムニャムニャと寝息を立てている。

    「すー……」

    「お腹空いてたんじゃなかったのか? 御影ちゃんっ!
    君が寝てたら意味ないだろ! さっさと起きて、片付けろぉ!」

    「んぅ……」

    「ダメだなこりゃ。こういうトコも叔父さんに似たか」

    溜め息をつきながら、葉一はハンバーグへかぶり付いた。
    完全無欠かのように謳われる石英だが、それはもう酒には弱かったのだ。

  • 81125/04/02(水) 21:55:09

    「ふくしょーよーきゅー……わたしは……りこー……」

    「何言ってんだこいつ」

    「【褒めてほしい】んじゃない?」

    さりげなく魔女の権能を使いながら、真理流は御影そっちのけで食事を始めた。
    テーブルを空けなければ次が乗せられない。デザートのティラミスは食べたい。

    「てか今日の現場で確信したわ。葉一さん、実はモテたいでしょ」

    「はぁ? 逆に、刑事やっててモテたくない男なんかいんのかよ?
    こっちはもう30の大台だぜ。なり振り構ってらんないんだよ」

    「いっひっひ。知らないだろーけど、ネットじゃそこそこ有名人だよ。お兄さん」

    「何だそりゃ。からかってんのかぁ?」

    「ホントホント! 新宿警察の名物刑事。非公式ファンクラブだってあるよ。
    実は僕も会員なんだー。一度会ってみたいと思ってたの」

    「……マジか」

    シリアルナンバー入りのプラスチック会員証が真理流の手で踊っている。
    なにゆえネットの玩具にされているのかはともかく、葉一の目は輝いた。

  • 82125/04/02(水) 21:55:52

    「ね、最初に立ち会った事件のこととか覚えてる? 良かったら話聞かせてよ」

    「当然、全部覚えてるぞ。警察学校の頃の先輩がおっかなくてなー。
    初日に2人で爆弾魔に閉じ込められた時は死ぬかと思ったぜ……って、おい」

    かくんと倒れた御影の頭が、葉一の肩に乗る。
    そのまま頬をすりすり擦り付けながら、名探偵は呟いた。

    「えへへ。お兄さん……」

    「こいつ、マジで1人じゃ危ないな。大学の飲みとか大丈夫なのか」

    「それは問題ない。そもそも誘われないから。
    ま……今後は僕が面倒見てあげる。長い付き合いになりそうだね」

    「ありがたいぜ。あ、お前の仕事の話も聞いていいか?」

    「もっちろん! 葉一さん、どんなミステリーが好き?
    昔は探偵が憧れだったんでしょ? 知らないとは言わせないよー」

    「おにー……さーん………」

    自ら最大の敵を呼び込んだとも知らず、御影は幸せな寝息を立てていた。
    新しい季節に期待などせずとも……ただ、ひとえに波乱な平和を楽しみながら。

  • 83125/04/02(水) 21:56:09

    【アクマ ~禁忌の鉄道~ 完】

  • 84125/04/02(水) 21:56:24

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 85125/04/02(水) 22:04:52

    【以上を持ちまして、本ゲーム盤は完結となります】。

    数日間に渡っての辛抱強いお付き合い、誠にありがとうございました。

    ご参加くださる方が居なければ何をどうやっても意味がありません。
    ムービーゲーではありますが、皆様こそが主役でした。

    以下、感想等ございましたらご自由にどうぞ。
    感想・考察スレの方で雑多な振り返りも行う予定です。
    良ければ覗いてみてください。

    この度もありがとうございました!

  • 86二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:06:40

    乙でした!
    そして聖杯の悪魔様さようなら…

  • 87二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:07:12

    お疲れさまでした!最高でした

  • 88二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:07:27
  • 89二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:08:25

    身を削ってまでの更新、本当にお疲れ様でした!
    聖杯砕かれちゃった…

  • 90二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:08:27

    皆さんお疲れさまです。
    楽しかったです。

  • 91二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 22:10:09

    前振りの仕込みやら別盤展開やらすごい凝っててすごい面白かった(語彙力)

  • 92二次元好きの匿名さん25/04/02(水) 23:04:03

    お疲れさまでした
    いやはや相変わらずの文章量、SSスレかな?
    赤青入り混じった表現とか会話主体の文章とか、中二病の後遺症を患ってる自分にはぶっ刺さってます
    《アクマ ~胎動編~》から足掛け1週間の長丁場、ずっと楽しませてもらいました。
    疲れたでしょうからしばらく休んでください。気長に次回作も待ってます
    (聖杯の魔女様の姿で出てくるかはわからないけれど…)

  • 93二次元好きの匿名さん25/04/03(木) 07:55:07

    今回も超大作をありがとうございました
    聖杯の魔女が死んじゃったわけだけど教団の人は何を思うのか

オススメ

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