- 1ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:53:54
- 2ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:54:57
前スレ
https://bbs.animanch.com/board/4784623/?res=190
【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:55:25
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:55:39
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)】
h ttps://x.gd/mv4zw
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
h ttps://x.gd/#google_vignette - 5ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:56:54
保
- 6ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:57:07
守
- 7ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:57:47
レ
- 8ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:58:09
┃
- 9ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:58:25
ザ
- 10ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 19:58:37
丨
- 11ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/06(日) 21:38:51
前199
「そこまで言われると、断るのも悪く思えちゃうじゃないですか……」
【少し苦笑を漏らす。対価を払うと言うことは、払う側にとっても大切なことなのかもしれない。まだ納得はできないが、そういう見方もあると思うことにした】
「わかりました。では………、この金額でお願いします」
【悩んだのち、今作戦で自分が使用した弾薬費分を頂くことにした。弾丸自体は安価な物を使用していたこともあり、それと言って高くはない。だがランセルが提示できるのはこの程度だった】 - 12ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 21:46:13
『げほ、ごほっ、がぼっ……!』
「シャロンさん……っ!!」
『シャロンでいいさ末っ子……なぁ、済まないけど。頭撫でていいかい?』
弟の頭を撫でないで死ぬ姉なんて、家族不孝ものだろ?と言った。
とうとう叫びすぎて、シャロンは血を吐いたのに。死期が近いのに。シャロンは全てをケイに使うつもりだった。
ケイはゆっくりと近づいて。心音を聞くような姿勢を取ったところを、シャロンが撫でた。
死期の近い人特有の、冷たい手。
『ああ、綺麗な髪してるじゃないか……サラサラで……ちゃんとシャワー浴びてるんだね……こんな若くて……』
「シャロンもまだ若いですよ」
『龍影って人に聞いたよ。ケイは18だっていうじゃないか。なのにこんな戦争に飛び込まされて……』
やっぱこの時代って酷いもんだ。という言葉が、ケイに突き刺さった。何十、何百と聞いた言葉だ。
ありがとね。という言葉とともに手が一度降りる。ケイは椅子に座り直して。
『ああ、でも……これが一番上等なのかもね。こんなたくさんの家族に見守られて逝けるなんて幸せだ』
「……心残りはありますか?」
意を決して、ケイは聞いた。 ひゅう、ひゅうと。その息が細くなっている。
『ある。いっぱいある……腐る程』
それが、死を恐れさせる時もあれば。死に覚悟を決めさせる時もある。
彼女の場合どっちなのか、ケイには分からなかったから。賭けだった。
『子どもを産みたかったよ……私はK.I社だからね。なんでかわかる?』
ケイは首を横に振った。 語らせるのが、ケイの役目なのだから。 - 13ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 21:58:53
「むぅ…」
【漸く受け取ってくれるかと思ったウルヴィは、次の瞬間に不満そうな鳴き声を漏らす。安すぎる、と言いたげに】
「じゃあそれは、行きの依頼料。帰りは──」
【子供のような屁理屈で、BFのパイロットでも簡単には稼げない額を上乗せとして提示する。半年は使う弾なんて選ばないで済む…いや、そもそも依頼を受ける必要すらなくなるだろう。もっともウルヴィはこれでも安く見積もったつもりだ】
「受け取って、欲しい」
【またも痙攣し暴れる右腕を話し中だから黙れと言いたげに左手で押さえつけながら、ある種傲慢とも言える押し付けをする。ここで断れば納得はできずとも、渋々ウルヴィは常識的な依頼料まで金額を下げるだろう】
- 14ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 22:03:48
誤字:シャロン× ファルマ◯
『遺伝子を継がせるのさ。それも仕事なんだよ』
ファルマの言葉に、ケイは医務室内を見渡す。
K.I社所属の負傷者が頷いているから、その通りなのだろうと知った。
『はは、やっぱり知らなかったか……とんだ末っ子だね』
「すみませんね、物知らずで!!」
こういう時は、笑わせるのが一番いい。
ケイの狙い通りに、ファルマは嬉しそうに笑った。
『だからねぇ……ケイ……私の夢を託していいかい?』
「はい。なんでも」
姿勢を正し、震えた手を取って。その冷たさを己に刻む。
彼女はケイについて行った。その果てで死んだ。 狂奔に走らせたのはケイだ。
その責任があった。
- 15ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 22:10:26
『あんたの子どもを、たくさん産みな』
『たくさんの女を抱いて、その腹を膨らませるんだ。一人二人じゃ満足しちゃ駄目だよ』
とんでもない言葉だった。 決意を持って聞いたのに、思わず目を見開いた。
それが善とされる世界でファルマは生きてきたのだ。 それが善いことだとされる世界で生きてきたのだ。
『アンタがK.I社所属だったら、私もそうする。いや、これから生きれるなら是非ともそうしたかったね……』
『アンタの子は、きっと良いBF乗りになるから』
ファルマはそういった。義弟と呼ぶ相手に大事な部分を差し出すことの選択を、ケイは軽いと思えなかった。
だんだん、ファルマの目の焦点が合わなくなってきている。 - 16ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/06(日) 22:11:23
- 17ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 22:21:47
- 18ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 22:23:14
- 19ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/06(日) 22:29:06
- 20エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/06(日) 22:43:42
- 21ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 22:50:21
- 22ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 22:59:02
- 23龍影25/04/06(日) 23:02:10
- 24二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:07:06
このレスは削除されています
- 25ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 23:09:25
- 26ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/06(日) 23:10:01
…
【ハニヤは口を噤んでいた】
【友軍の戦死を悼んでいる?違う】
【報酬が話より削られた?違う、寧ろ合成級撃破の首級記録を手土産にガッポリせしめてやった。これでしばらくPMC運営も安泰だろう】
【沈黙の理由、それは…】
(あ゛ああ゛あああ゛あこんな事なら端っから戦いに行く必要なかったに゛ゃぁぁぁ゛ぁぁあ゛!!!!!)
【自分が生きているのかも死んでいるのかも分からなくなる極限状況。それが長時間に渡り続いた事が引き金となり生物としての本能を刺激してしまったのか】
【緊張の糸が途切れるのと同時に、今ハニヤは悶々としていた】
(最悪自分で慰めりゃどうにでもなるけども…なんでもうくたばるって時にそんな下世話な話始めやがるに゛ゃ…!余計意識するだろうがにゃ…!!!!!!) - 27エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/06(日) 23:10:21
- 28ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 23:15:49
- 29龍影25/04/06(日) 23:17:18
- 30ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/06(日) 23:20:07
- 31ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 23:21:17
- 32エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/06(日) 23:21:33
- 33ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/06(日) 23:28:43
- 34龍影25/04/06(日) 23:29:51
- 35ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/06(日) 23:33:30
- 36ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 23:37:43
『ああ、それじゃ、それじゃ、安心だ……もう、勝てるね』
シャロンが笑った。ケイに対する姉としての気丈さではなく。20代半ばの女性としての笑みだった。
『20年後には、インベイド共は絶滅さ……だから……』
その張り付いた笑顔に、ファルマは済まないと小さく口を動かした。
きっと彼女も、空を駆ける蒼風に何かを見てしまったのだろう。託したくなってしまったのだろう。
『金龍、アンタもね。そのヘラヘラした笑い方を改めたほうが良いよ。謙虚になりな……うちのケイを見習って……』
ケイは、後ろを見た。金龍がいた。
不味いと思った……自分だけでいいはずなのに、沢山の人が、ファルマの死を知ってか知らずか看取ることになる。
今全てを決めなくてはいけないと、ケイは察した。
「ファルマ。皆が見てる。 皆が貴方を知ってる」
「貴方を忘れる人なんて誰ひとりいない。 俺が、絶対忘れない。俺が忘れても、スイが覚える」
「……教えてくれ。 貴方の人生はどうだった?」
祈るように言った。神父のように。あるいは僧侶のように。
- 37エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/06(日) 23:38:13
- 38ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/06(日) 23:46:19
- 39龍影25/04/06(日) 23:48:40
- 40ミハエル ◆Ja4KRR/zQ225/04/06(日) 23:49:17
- 41龍影25/04/06(日) 23:55:19
- 42ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/06(日) 23:56:20
『ああ、いいね……最後の一口が、企業の御曹司の食うやつか……』
『……しあわせだ。 無駄じゃなかった。 』
『 蒼風の、パイロット…… さ』
「ああ」
手を、より強く握りしめた。エイダンに、無理やり奪ってでも良いから、口に入れてあげてくれと頼んだ。
時間がない。
『私は…… 頑張れたかな……? 遺せたかな?』
なにかを。
「遺したよ。俺が引き継ぐ」
彼女の願いを。 祈りを。怒りを。憎しみを。
インベイドを倒して。 ここが少しはマシな世界のためになれたかを。
ケイは、見届ける権利と義務を背負った。
『ぁぁ……よかった……』
「……ファルマ!! まだ目ぇ開けてろ!!」
ケイが、言い忘れてしまったことに気づいて。叫んだ。
「俺の夢だ!! 俺の夢を言う!!!」
『……』
「姉なんだろ! 俺の夢も聞いてから逝け!!」
まだ、間に合う。間に合え。刺激を与える。
- 43二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:56:41
このレスは削除されています
- 44ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/06(日) 23:58:01
- 45ミハエル ◆Ja4KRR/zQ225/04/07(月) 00:03:07
- 46ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 00:03:07
「俺の夢は!!!!」
英雄はいる。英雄がたくさんいるから、この世界はつつがなく回る。
「この世界から! インベイドを消し去って、平和にすることだ!!」
「皆生きてる!! 皆、龍影もエイダンも金龍もミハエルさんも、ハニヤって子も皆皆皆!!幸せに暮らしてるつまらない世界だ!!」
青臭い理想論が、ケイの夢だった。
そんなの、叶うはずがない。
「だから……っ俺が――――アンタの分ま、で」
英雄だけでは。この世界は救われない。
「戦って……幸せに、なるから――――」
そこまで言って。気付いた。
ファルマの手から、完全に熱が消えていた。 龍影とケイの手を握りながら。
ノロウ
祝うように。 ファルマは眠っていた。
その冷たい手に、涙がこぼれた。
「――――ぁ」
ここにいる者たちはみな、BF乗りだ。 だから分かる。
……ケイの、なにかが。異音を立てて。壊れた。
BFが崩れる瞬間の、不吉な音を。 - 47ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:04:32
- 48エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 00:06:46
- 49ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 00:10:40
- 50龍影25/04/07(月) 00:13:56
- 51ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:18:41
- 52ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 00:20:18
果汁が垂れたその口元は、救われたような穏やかなもの。
「――――」
役目を果たしきったケイは。龍影に抱かれながらファルマの腕を組む。
宗教のことはよくわからないからこそ、真摯に祈りながら。
その目から涙をこぼし続けて。
「……皆。ありがとうございます。俺のわがままに付き合ってくれて」
龍影の胸の中から、自分で出る。
立ち上がり。入口へゆっくりと、ケイが歩いていく。
「……デブリーフィングに行ってきます」
全員に、言う彼は。やるべきを終えたような顔で。
ギチギチと、おかしな異音が続いている。 壊れたまま、駆動し続けているような。
そのまま、なんてことない声色で。
「行ってきます」
ケイはドアを開けて。レイナード少佐らがいるらしい場所へ向かう。
彼は、突入部隊をなりいきでつくり、指揮したゆえに。説明する義務がある。
・・・・・
誰のせいで彼女が死んだのかを。
ケイの目は、青だった。
この世界は、3勢力が入り乱れ争い。
インベイドと戦う世界。
- 53ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 00:21:36
- 54二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:23:22
このレスは削除されています
- 55ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 00:24:07
- 56エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 00:26:06
- 57ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:28:19
- 58龍影25/04/07(月) 00:33:32
- 59ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 00:33:56
- 60ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:36:32
- 61ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:37:11
- 62東方大陸軍司令長官◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 00:37:39
『─────先ずは今回の緊急招集に応じた全ての機体と人員に感謝を。彼らの献身なくして、人類の勝利はあり得なかった。
私、東方大陸軍司令長官ボロニアス・ソローネ陸軍大将は、コレを確かな事実として認識している』
【デブリーフィングの場では、様子の伺えない黒色に染まったモニターが声を垂れ流していた。壮年の男の声だ。歴戦の戦士としての自負の込もった勇ましい声】
『報酬目当て、実に結構。性能試験、実に結構。他の私情、勿論構わない────────献身と貢献という結果だけが重要だ。東方大陸軍は決して約束を破りはしない。事前の告知通り、“正当な”報酬を支払わせて頂こう』
『死した者が英霊となって我らを見守る、だなんて妄言は吐かん。より物質的な話をしよう。奪還作戦の成功は旧西方列強連合領、植民大陸、東方大陸間の最大の交通路の存続を意味する』
『大陸の分断によってインベイドに各個撃破されるという未来は回避出来た、という訳だ。初期の絶望的な状況からは中々の成果ではないかね?』
『─────人自連からは何か他に議題はあるか?私の“答えられる範囲”であれば答えよう』 - 63ミハエル ◆Ja4KRR/zQ225/04/07(月) 00:38:11
- 64ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 00:38:40
追いかければ外は雨。まるでこの戦場で死んでいった人々の涙のように。
大量に打ち付けている。
「……」
ケイは、パイロットスーツの上にいつもの白いパーカーを羽織って。
しかしそのフードを被らず、びしょ濡れのままデブリーフィングが行われているらしい場所へと歩いていく。
「……スイ。オルフェリアの死と、ファルマの死で人類の勝率はどれだけ減った」
《……》
ケイの言葉には素直に従うはずのスイが、黙っていた。
「言え」
《言いません》
「言えよ!!!」
《言えば、貴方は私に失望するでしょう》
その言葉が、ケイの逆鱗だった。
「傷ついてるって、解れよ。慰めるな!!!」
がん、と時計型端末を叩いた。
……スイは、蒼風の中に戻る。 光が消えていた。
エイダンはその一部始終を行ったあと。デブリーフィングルームに行ったケイを見つけて良い。
- 65ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 00:44:03
- 66ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 00:47:17
- 67エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 00:51:27
- 68ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 00:52:43
デブリーフィングの扉を強引にこじ開けて、ケイが入る。
「人自連所属、BFパイロット。ケイ・サヤギリ」
驚いている逆巻カンナ……今回、強引に音頭を取ったのでそういうことになった暫定上の人自連代表……を無視して。
ケイはドンドンと歩いていく。
机に、ホログラム資料を叩きつけた。
「先の作戦における。マキシム准将死後最前線で何が起きていたのかの資料です。確認を」
「そして――――その資料に書かれている戦死者たちの死は。俺に全て責任があります」
ケイが焚き付けた。だから死んだ命がいる。
その中には、オルフェリアの名前もあった。
「K.I社のパイロットたちの損失もある。独断での吶喊作戦です」
「K.I社の軍記上決して許されないことということを承知で行いました」
「処罰を求めます。 最も重い処罰を」
それだけを、青に染まった瞳で言い切る。
わしゃわしゃと、頭をまるで犬のように撫でられながら……ケイが上記の言葉を語ったことを聞くだろう。
- 69ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 00:57:26
- 70二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:03:22
このレスは削除されています
- 71ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 01:04:19
- 72ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 01:09:50
- 73東方大陸軍司令長官◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 01:12:00
『作戦の推移については理解している』
【やはり、威厳を帯びた声は機械的に、突然目の前に現れたパイロットに驚きもせずに言葉を続ける。それから────────一瞬の間があって、音声が流れた】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『オルフェリアは虚偽の申告をして参加機を騙したな。我がクロノス・インダストリーのパイロットとして実績のある彼女が同伴するならと吶喊作戦への参加を同意した機体も存在するに違いない。だが、実際には吶喊作戦に参加しなかった。つまりは作戦内容に虚偽の記述をしたという事になる』
『そもそも、〈熱線砲“ソドム”〉の奪還を提案したのもオルフェリア・ソローネである。作戦の立案者が彼女である以上、遂行責任はオルフェリアに存在したと考えるのが妥当だ』
『よって』
【連々と黒色に染まったモニターから声が流れて、反論を許さない。それだけの気迫と、そして確信に満ちた響きがあった】
『オルフェリア・ソローネを吶喊作戦における戦犯と認定し、作戦参加機への賠償責任を課す。本人の資産が賠償額に満たない場合は、連帯保証人である父ボロニアス・ソローネにも同様の賠償責任を課すものとする』
【死人に口なし。それが東方大陸軍司令長官が導き出した答えであった─────────既に貴重な戦力が大きく削られている。これ以上の戦力の消耗は絶対に避けなければならない、というのが結論であった】
【賠償金は渡すから責任については口出しするな、と暗に仄めかす内容だ】
- 74二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:16:43
このレスは削除されています
- 75ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 01:18:10
まぁまぁ物騒な獲物(もん)は仕舞ってしまって
俺がその気になってたら生身のアンタなんて、チョチョイのチョイのお茶の子さいさいですよ
……目的といえば、憐れんでいるだけ 俺の自己満です
メビに頼んで、事務処理の傍ら経歴をザッと洗ってもらいました
【メビが軽く会釈する】
そしたらアンタ、二児を養うためにその身をボロボロにして、今だって時にはそーゆー行為をしてるらしいじゃないですか
俺はそう云う家族愛に弱いんですよ
だから、その金はアンタの退職金としては充分なはずです
……ただ、デスペラードのアンタは俺の慈悲をそのまま良しとしないはずだ そうでしょう?
- 76逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 01:20:35
「ちょ、ちょぉっとまった!!!えー、彼の支援をしてる逆巻重工です!!」
「オルフェリア・ソローネが確かに砲台奪還に参加しなかったのは事実ですが、それは虐殺級が"統率個体"であったのが原因で――――」
やばい、やばい!!とカンナは思った。
人自連にとってK.Iは実質の仮想敵だが。それは逆も言える。
死人に口なしで収めるとしても、このままではケイが納得しない。
実際に視線を送れば――――ああ、だめだ。噛みつく数秒前だ。
ケイ「全部っ、死んだ人間が悪いと?」
噛みつき始めた。
不味い、このままでは会議がめちゃくちゃになりかねない。
BFの、蒼風の如きコア粒子推進機関が点火したように。このままでは彼が止まってくれない。
自壊したがっているのだとカンナは察した。
- 77ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 01:32:00
…なんなんだ、今日は…!
【先程の狙撃手に、友軍を弔った若いBF乗りに、今度は眼前の軍人。】
【誰も彼もが嫌に善性を見せる。…厳密にはこいつにも何か意図があるようだが】
【売春に抵抗がある訳ではない。こちらも気持ち良くなる為にやっている事だし、何より金になる…気の緩みで時折孕んでしまい、かたや父が子の顔を見る前に戦死し、もう片方は父の顔すら分からない2人の子を産んでしまいはしたが】
【──────それを、憐れむ?】
………特に善い事をした訳でも、アンタの利になる何かを、私はした覚えがない
【なんならK.Iの人間にこれだけの施しを受ける程の義理を果たすどころか、唾を掛けた事さえある。今の愛機のアメミットだって巧妙に偽装してはいるが元々はデスペラードだからと治外法権で犯してきたK.Iパイロットへの仕返しにわざとインベイドの多い地帯に誘導して騙し取ったスレイガンをベースとしている】
【これでは理屈が通らない。金は欲しいが、金を受け取るにはある程度の義理が要る】
…アンタの言う通りだ。いったい私に何を望んでいる?
- 78東方大陸軍司令長官◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 01:40:48
『─────先ずは今回の緊急招集に応じた全ての機体と人員に感謝を。彼らの献身なくして、人類の勝利はあり得なかった。
私、東方大陸軍司令長官ボロニアス・ソローネ陸軍大将は、コレを確かな事実として認識している』
【──────デブリーフィングの冒頭で語られた言葉が、再び全く同じ調子と声音で繰り返される】
【その言葉から読み取れる明らかな事実は二つだ。一つは司令長官からの誠意で、もう一つは彼こそがオルフェリアの実の父親であるという事】
【言葉が、続く】
『私の死亡から次の東方大陸軍司令長官の正式任命まで72時間は必要とするだろう。それまでの間、私の副官が司令長官代理としての権限を振るえる。
条約の締結は後任によって覆せる為に非推奨だが、物質及び情報の受け渡しは咎められないだろう──────もし問題になるとしても、私の命令で行われたという事にすれば問題ない』
【ボロニアス・ソローネは既に死亡している。会議に出席しているのは彼の残響であり、そして遺言である──────最期に命じられた通りに、副官はその声を再生している。その中の一つにこんなものが存在していた】
『逆巻重工第6代最高経営責任者、逆巻カンナ。私から一つ提案がある───────人類の生存圏をインベイドから奪還する作戦について、だ』
『逆巻重工の姿勢は私もリスペクトする所。貴殿の組織とパイロットであれば、安心して背中を預ける事が出来るだろう』
- 79ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 01:42:57
- 80逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 01:50:10
「なっ――――!?!」
その事実に、カンナは思わず席を立った。
――――ボロニアス大将が死んだ!? なぜ!? いつ、どこで!?!?
――――どこの馬鹿がやりやがった!!!
その言葉を抑え込めたのは故人への敬意と、カンナという少女が先代CEOから帝王学に近い教育を常に受けていたからだった。
確かなことは、クロノス社における対インベイド戦争の第一人者が死んだこと。
逆巻重工にとって、彼はともすればカビの生えたいくつかの人自連の大義を忘れた者たちよりも信頼をおいた将だ。
G-3ベースの故司令官、そしてマキシム准将という北方戦線の英雄たちと評価は同列。
――――手痛すぎる損失だ! 人類の対インベイド戦術が退行すらしかねない!!
高速で思考を回しながら故大将からの提案のメリットとリスクを考える。
メリットは明確な戦果。インベイドから土地を奪うということは、人自連にとってもK.Iにとっても最高の成果だ。
デメリットは失敗した際の損失と信用毀損。責任の押し付け合いが発生するだろう
ケイ「――――ぇ?」
そして、その提案は効果があった。 ただ自分が壊れることを望んだ少年に、彼は死してもより大きな世界を見せた。
ケイの思考は、粒子推進が急に止まったBFのように停止している。
- 81ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 01:57:23
……………は????
【呆れた。先程の善意ですら、更なる善意を施す為の布石だと知ったその顔は、先程の純粋な少女の如き鳩が豆鉄砲を喰らったような表情だった】
【これを飲めば…いや、もうとうに飲まざるを得ないが。デスペラードでいる理由を有無を言わさず全て消し飛ばされてしまった。】
【意図せず、晴れてK.Iの小飼いとなってしまった】
なんだよそれ…プッ、馬鹿だろアンタ…ハハハ…大馬鹿だ……こんな………こんなクソみたいな……さっきあったばかりのデスペラードにそんな親身になるか、フツー???
【何故か涙が零れた。こんな事で心を動かされるだなんて末代までの恥でしかない】
【…この世界は腐っている。ハニヤが幸福を感じられるのはきっと死んだ時だけだろう】
・・・・・・・・・・・・
【……けど、まだ死ぬわけにはいかない】
なんで、そこまでしようと思ったんだよ…?
【自分に幸福など訪れない。でも、せめて…生きてて良かったと心から言って欲しい人間がいるから。自分のように、生まれてすぐ1人になる地獄を味わって絶望して欲しくないから】
【質問をする。こちらの思った通り答えが待っていることを無意識に期待して】
- 82ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 01:59:37
「オルフェリアさんの、父親……?」
なら、なぜ悲しんでいない。 なぜ、娘が悪いと言い切るんだ。
なぜ、なぜ――――??
なぜ、死んだ後のことまで考えられるんだ!?この人は!?
ケイの世界が広がり続ける。死んで終わりではないことを。ボロニアス大将が魅せていた。
「では、その提案を受けましょう」
逆巻カンナが気づいた。今受ければ、彼の自壊を止められる。
この少年は世界が狭い。 過去を聞いてなお、彼の祖父の経歴は未だ謎だ。
先代CEOならば知っていただろうがもう既にあの人は棺桶の中。
調べるには時間が必要で。何よりケイのためでもあった。
- 83ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 02:04:59
- 84ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 02:13:50
- 85東方大陸軍司令長官◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 02:15:21
『─────20年前、我々は技術の未発達によってイルベリア半島が外星体によって占領されるという事態を黙認するしかなかった。
重装兵級によって護衛された海上の孤島に統率個体を撃滅可能なだけの戦力を送り込む手段がなかったからだ』
『技術は進歩した。オルフェリアの“ソロネ”、エイダンの“Syringe's”と言った飛行可能なBFすら現れ始めている──────今ならば、我々は彼の地を奪還するに足る戦力を投入可能だろう』
『少数精鋭による統率個体への攻撃と、大規模部隊によるイルベリア半島への反攻。その結果を以って開拓大陸への海上交通路を取り戻すと同時に、領地奪還戦のサンプルケースとして問題点を洗い出して来たる『大反攻』をより効率的に進める為の計画』
『──────『再征服(レコンキスタ)計画』と名付けた』
【滔々と、死者の残響が鳴る。インベイドとの戦争に全てを投じた軍人であった。その言葉の一つ一つには燃え上がる“熱”があった】
【負けない為の戦略ではなく、勝つ為の戦略を考え続けてきたのだ】
『旧西方列強連合軍司令官バルバロイ・アークライ陸軍中将は私の同志だ。いいや、違う。逆巻カンナCEO。“我々”の同志なのだ』
『私にはもう時間がない。だが『再征服計画』遂行に当たっては彼が大きな助けになるだろう。人自連もデスペラードも関係なく、何を使ってでも作戦を果たそうという気概のある男だ』
『故に、彼に協力を求められた時に、可能な限りで良いから力になって欲しい。彼のプライベート回線の通信番号は副官に送らせよう────色好い返事を期待している。私にはもう見えないのが残念ではあるが』
『…………それから、レイナードとエイダン。この話は上層部には黙っていてくれよ。そうでなきゃ私が怨霊として化けて出る必要があるからな』
【最後に軽く笑う声がして、しかし血を吐く掠れた声が僅かな聴こえてから直ぐに音が消えた】
- 86ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 02:17:20
- 87ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 02:26:09
う゛っっっ………………はい
【きちんとした設備を提供してもらうという事は、裏を返せば号に入っては郷に従えということでもある。むしゃくしゃした時に酒やクスリ、好奇心で煙草も吸った憶えのある身としてはそれらとお別れするのは名残惜しいが…子どもの教育に悪いというのは紛れもない事実なのでぐうの音も出なかった】
…そーいや、臓器も手術するって言ってたにゃよね…?せっかく健康度元通りになるんにゃからこれから売春はー…ダメですよねハイすみませんでした
【正直な話、産めよ増やせよ度外視でヤりたくなった時にそういう小遣い稼ぎをしたりした事もある。不意の懐妊を防ぐ為にも、アメミットの多目的収納スペースの一部には避妊用のピルを忍ばせていたり…とはいえ、デスペラードが一何時もそんな貴重品に手を出せる訳もないので本当に最終手段ではあるのだが】
【金以前に、ハニヤにはセッ〇スジャンキーの気があった】
- 88逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 02:27:16
「かしこまりました。ボロニアス大将――――時期を見てバルバロイ・アークライ中将にコンタクトを取ります」
逆巻カンナが、ケイに熱を吹き込まれていくのを察して更に話を進める。
「もはや返信は期待していませんが……月風も強引ですが飛行可能BFなのです」
ケイが自壊するのを止められる最初で最後のチャンスを、カンナはボロニアス大将の残響によって得られた。
メリット・デメリット。リスクはどうでもいい。
ありとあらゆる手を使って。ケイという少年を『戻す』ことだけに神経を注ぐための時間稼ぎに
この作戦を利用することをカンナは決断した。
「初期インベイド戦争の屈辱を晴らすことを誓います」
それは逆巻重工の悲願だった。 あらゆるものが足りず。しかし人は脅威を認識できず。
その領土を食い荒らされた時代。 月風を駆る者たちですら足りなかった時代。
同胞たちにすら、裏切られた時代。
今やらなければ、人類はいずれ互いへの意味無き憎悪と怠惰の果てに自滅する。
走らなくてはならない。 新しい時代の卵が。腐った卵に変わってしまう前に。
孵化させなければならない!!
カンナにとって、ケイはその卵だった。ならばK.Iからも、人自連からも。卵を見つけなくてはならない!!
多く、多く!!
そのために必要なのは、実戦という成果だ。 現実を知れる戦場だ。
ボロニアス大将は、その場所を提供してくれたのだ!!
- 89ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 02:31:22
- 90エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 02:33:11
- 91ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 02:37:30
いやー…まぁ、今まさに人生の運全部使い切ってるんじゃないかとは思ってはいるにゃよ
【正直な話、男に甲斐性や誠実さはとうに求めてはおらず、棒おっ立ててこっちを気持ち良くしてくれればどうでもいいのだが…まぁ、そういう歪みはこれから治していけばいいだろう】
なんというか、色々とありがとうにゃ!正直K.Iなんてクズの集まりとしか思ってなかったけど…まさかアンタみたいな良い男もいるにゃんてね!
会社の連中に、一刻も早くこの事を報告しなくちゃならんにゃ!んじゃあ今日はこの辺で!
【本当に、色々とあった一日であった】
【企業活動の心強い支援者を得た元デスペラードの怪猫は大手を振って一旦の別れを告げて屋上から離れていく】
- 92ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 02:39:25
- 93龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 07:50:25
「これが姐さんの新型…」
「オリジナルアーヴィング…初めて見た…」
輸送機で運ばれて来た龍影の新しい相棒に整備員達はざわめいている。
オリジナルアーヴィング、スパイスのアーヴィングフレームの元になった月風の事を指す言葉であり、蔑称としても使われる。時代遅れの戦場伝説に乗る気狂いを指す時にも使う。
「月風じゃ無いわ。この子は望月、最新のBFよ。」
龍影は整備員達にそういう。
「月風を弄れるのはここの整備班で俺だけだ。テメェらにも出来るようにミッチリやってやるぞ!」
整備長は喝を入れた。
「ごめん、整備長。月風の系列にしちゃって。」
龍影は慌ただしくなる格納庫で整備長の隣に立ち、謝った。
「いいんだ、王。元々お前の乗ってたチャオレンもアーヴィングフレームも入れたキメラだったからな。統一してある方がやりやすい。」
整備長は龍影に顔を向けず、牽引台からオートスタンディングでハンガーに誘導されている望月を見ている。
「ところで王。チャオレンは…どうだった?」
整備長は一兵器としてでなく、バディフレーム…相棒としてどうだったのか聞いた。
「チャオレンはね。私を最後まで運んでくれたわ。どんなにボロボロになっても。是不在超人的名感到害羞的优秀的孩子。(超人の名に恥じない立派な子だったわ。)」
しんみりと…でもその勇姿を整備長に伝えた。
「…そうか…そうか…。」
整備長はそれ以上言わない。
涙を浮かべている龍影の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「だが報酬が殆ど飛んでるのは頂けねぇ。大体なんだあの両腕のビームブレード内蔵の盾は?!」
意味のわからない複合装備サキガケの仕様に文句を言った。
「そりゃ、インファイトの盾兼近接兵装よ。ただのソニックブレイド如きで増加装甲つけた腕が切り落とされたんだもん。陽電子防護膜が展開できるビームブレード発振器…盾を別で持たなくていい分軽量化出来たのよ?」
龍影は注文した新型兵装をキラキラとした顔で説明した。 - 94龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 08:03:00
「しかし色だ色。墨色だなんて。お前らしくもない。」
整備長は不思議がった。基本的に生身の終了も辞さない龍影はその返り血をぼかすために錆止めの様な赤銅色の塗装をしていた。なのに旧時代の記録にある高級車の様な黒に蒼という色は今までの彼女を知っている整備長にとっては意図が分からないものだった。
「あの色、好きだもん。」
彼の目の色そっくりで。龍影はその理由を最後まで言わずに何とか飲み込んだ。そして「(何を言った今?)」と自分でも理解出来ないことを言った事に気づく。
眼球を動かさずに隣に立つ整備長を見る。多分言葉に出していなくてもバレているのだろう。
「まぁお前がしたいのなら止めんが…」
やっぱりバレてるやつだ。この時ばかりは義体の年齢に思考が引っ張られていることを痛感した。
- 95龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 08:28:41
「あ、パイロットシートの包装剥がしてない。整備長、破きに行って来ても?」
逃げるようにそそくさと望月へ向かう。
「姐さん!操縦ちょっと独特過ぎますよコイツ!身体弄ってないとマトモにこんなの動かせませんよ!」
コックピットハッチを開けてインターフェースを確認した整備員が文句を言う。
「そりゃそーでしょ!わざわざ桜空技研の神経接続式半思考制御入れてんだから!」
逆巻CEOからは嫌な顔をされたが龍影の義体強度によってクイックブースト時に発生する高Gでのブラックアウトが無い為、限定的にマニュアル制御の蒼風を超える俊敏性を獲得している。後の制式採用モデルにこの半思考制御のデータをフィードバックするとか何とか逆巻の人らは言っていたが全身義体を使う1部のパイロットくらいしかこの仕様にしないだろう。
- 96エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 08:30:20
【未だ降り止まない雨粒に打たれながら、二人がかりでケイを運び込んだ先は唯一空いていた入院部屋だ】
「どうぞ、CEO。Mr.サヤギリも」
【ケイのことはベッドに座らせ、備えてあった戸棚からタオルを取り出して二人に渡す】
【自分を軽く拭いたあとは、先ほどと同じようにケイについた水滴を拭う】
【しかし、その手つきは先ほどと違い、わずかに力が込められていた】
【だから、わしゃわしゃと言うよりはごしごしに近いかもしれない】
「……とりあえず、体を温めましょうか。特にMr.サヤギリは。このままじゃ風邪をひきますよ」
【だいたいの水分を吸収し終え、重みを増したタオルを戸棚から一緒に引っ張り出した洗濯籠に突っ込みながら、一息つくように言った】
- 97逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 08:53:31
「ありがとう。エイダン・リー……しかし、まいったな。この雨はまだ止みそうもない」
なんとか病室のベッドにケイを座らせ、逆巻カンナはエイダンからタオルを受け取り雨で濡れた長い金糸を拭き取る。
エイダンはケイの体に張り付いた水分を拭っている間にも小さくケイに語りかけたり、軽く手を目の前で振る仕草をして反応を確認しているが……
(まずいな)
その反応は極めて鈍い、または無反応なものも多い。端的に言えば生気の薄さだ。
典型的な高ストレス下に晒されたことによる感情失禁、そしてパニック発作……抑うつも見られるか?
だが、手遅れではない。 取り返しがつかないほど壊れる前に手を打てたと息を吐く。
そして同時に疑問。
ケイはかつて自分が世話になったという人自連の居住地が滅んだ様を見たという。
これほどの感受性の高さなら、その際に同じかそれ以上に壊れてもいいはずだ。
だがあの後に自身がコンタクトを取った際のケイは何も問題がなかった。
「エイダン・リーさん。外壁の奥。砲台のコントロールシステムで何があったか詳しく教えてくれないか?」
龍影やミハエルへも話を聞く必要があるが、まずは共にいるエイダンへの聞き取りをカンナは始めた。
龍影とは彼女の新機体調整も含めてすり合わせが必要になる。話すことは確定だったのだが。
エイダンからの返答次第ではすぐに彼女を呼び出してもいい、と思った。
- 98エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 09:42:09
「……先ず、照明は完全に落ちていました。酷い腐敗臭が辺りに漂っていて、ライトで照らすとインベイドに襲撃を受けたらしき死体があちこちに転がっていました」
【最初に環境の説明をしてから、エイダンは淡々と語りだした】
【ソドムを起動させるため、自分とミハエル、王の三人がBFから降りてコンソール室へ向かったこと。
その間、ケイは後方の安全確保のために蒼風に乗ったまま、一人で昇降機付近に残ったこと。
起動を終えて戻った時に、王の要望に応えてケイが完全に機能を停止したチャオレンを解体したこと】
【そして、おそらくはコンソール室へ移動し始めた時から、ケイの精神に多大な負荷がかかっていたことを話した】
「通信から聞こえる彼の声はひどく震えていました。今にも泣き出しそうなほどに」
【それを今になるまで抑え込めたのは、間違いなく彼が受けたと言うシュミレーター訓練の賜物であろうとエイダンは考えている】
【もちろん、口には出さないが】
- 99ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 10:05:57
「……無力感、か?」
カンナは、ケアをどこまでも苛んだだろうものの正体に見当をつけた。
その状況下では、蒼風の保有する火器のほとんどは使い物にならない。バルカンですら過剰火力になりかねなかっただろう。
大量の死体を見た上で、三人が降りたのが原因なのか……? 死体?
ではなぜその瞬間にパニックを起こさなかった?
「……そういうのは、シミュレーター訓練だけで抑え込めるもの?」
カンナが初めてあった時、ケイは蒼風を軽々と動かした理由を『地下のシミュレーターでやった月風と操縦が全く同じだったから』と答えた。
そして、祖父。彼にとんでもない難易度のものをずっとやらされたりもしたのだ。とも。
だからエイダンに見解を聞きつつ。話を掘る。
記憶を掘り返す。ケイがとんでもない、と言ったのだ。おそらく尋常なデータではない。
人をいじめ抜くような、殺意と悪意に塗れたような戦場のデータ。
「まさか、ケイがやってたのは初期インベイド戦争のデータなのか?」
先代CEOがそのデータを知った時、怒りのままに抗議の電話をしていたことを幼いながらにカンナは覚えていた。
────よくもここまで人を“壊す”ことに特化したものを作れたな貴様ら!!という怒号だった。
確か、データを使った企業側から返された答えは『その地獄を乗り越えられないのなら、BFに乗る資格はない』 『世界は救えない地獄なのだ』
というもの。
当然としてデータは既に全シミュレーターから排除されている。
- 100龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 10:47:22
ファルマの病室から出て、しばらく歩いていたら逆巻のCEOがいた。
「お疲れ様です。」
デブリーフィングが終わり、エイダンと話していた彼女のの隣に立つ。ほんの少し、沈黙が訪れる
龍影は自分が少し涙で赤くなった顔ではある事を思い出すが気にしているような状況では無い。
「初期襲撃のシュミレーター…」
さっきCEOとエイダンの話していた単語を咀嚼する。インストールされているコロニー奪還シナリオのモデルは桜空徹底抗戦。民間人が初めてインベイドに殺され、管理していた企業は我先に放棄し、企業主導の世界運営を決定させた恥ずべき撤退戦。シュミレーター内で使用出来るのがADTと旧世代のBF(バトルフレーム)、そして当時最新型であった月風という馬鹿みたいに尖ったシナリオと機体構成のヘルグラウンド(人格破壊訓練)用であった。が、乗る前にPTSDになるとリコールとなったものだ。
- 101エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 11:11:57
「おそらくは、そうでしょうね」
【カンナの想定にエイダンは頷く】
【彼は今回のような大規模対インベイド戦闘を実践で経験するのは初めてだと言っていた。経験0であの活躍をしたのだ】
【即席の連合隊を統率してインベイドの大群を突破し、強襲型を単独で撃破し、フリクタル装甲を持つ手練れを討ち取った】
【しかも、蒼風という極めて操縦難易度の高い機体を使って】
「普通はいくら才能があり、訓練を積んだといっても、これほどの動きをすることは不可能です。……しかし」
【あの鬼畜という形容詞すら生温い、使用者の心身に地獄とは何たるかを押しつぶす勢いで叩きつけてくるデータをクリアできる者ならば、可能だろう】
【好奇心で知り合いのハッカーに頼んでサルベージ、復元してもらった例のデータを体験したことのあるエイダンにはわかる】
【アレは ''仮想現実'' ではなく、まぎれもない ''現実'' だった】
【あの時、自分は確かに一兵士として屍山血河に爆炎が飛び交う戦場の真っ只中に放り込まれ、儚い抵抗の末に殺された】
【短い付き合いながら、確かな親交を育んだ味方とともに、インベイドの餌食となった感触は今でも鮮明に思い出せる】
- 102ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 11:34:11
「……いきて、る、よな……」
そのまま、ケイはぼんやりとした目で、頭をすとんと、龍影の肩に。
「……爺ちゃんは、俺を守ってくれた」
「この地獄の中で生きる『人』を見ろって……生きた人を感じろ。って……そして、受け継いでくれって……」
「地獄でも負けない人を、ここから学んで、愛せって……」
ゆっくり、ゆっくりとケイは言葉というものを取り戻し始めている。
大丈夫だ。まだケイは『こっち』にいる。 カンナはその行動を見て確信した。
「その、二人には酷かもしれないんだけど」
と、カンナは言って。聞くことを決断した。
「……デブリーフィングに来る前に、ケイは何を?」
昏倒していたはずだ。体がマトモに動くかも怪しいはずの彼が、歩いてやってきたことにも驚きだったが。
聞かねばならないと思った。 彼の源泉が、誰もが話すことを躊躇うような地獄ならば。
- 103龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 11:53:21
- 104エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 12:20:04
- 105ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 12:22:04
「……それは……初めて、大規模な対インベイド戦を経験する人間がやっていい領分を遥かに超えているんじゃ……」
自分より年下の少年が、初めての、現実の戦いで。なり行き上でもまとめ上げた部隊から出た、名も知らない死人を、見送る?
「……あまりにも、感受性と共感性が……」
高すぎる。とカンナは評した。
誰かが笑う時に共に笑い。泣く時に共に泣く。誰かを寿ぎ、見送り。痛みと恐怖があるはずの人のそれを解し。良い人生だったと満足させるなど……並大抵の聖職者でも困難なはずだ。
「俺の役目だったんです」
ケイは、ぼんやりと遠くを見ながらまたつぶやいた。
「俺が、ファルマをころした」
「脚をやられたBFを置いていく判断をしたのも俺だ。だから俺がころしたんだ」
「俺が、俺がもっと上手くやれば……!!!」
「オルフェリアは死ななかった……!!!」
魂そのものを差し出すような声だった。
この世界においては聖者としか言いようのない善性だった。
神が人の世に干渉できないのは、穢れがないからだ。とある本で読んだ一節をカンナは思い出した。
そんなものに人が近づいたら、死ぬしかない。人は穢れがあって初めて人なのだから。
きっと彼はこの日初めて、本当の意味で他者の血を受け取り穢れたのだ。
ケイに初めて穢れを与えたのは、彼の祖父だ。
初期インベイド戦争データという地獄で仮想の穢れを与え。そして最後に自分という唯一の肉親の死でもって。ケイという魂に楔を与えた。
正しい処置だった。そして同時に弱点にもなった。
王龍衛、エイダン・リー……だけではない。彼が親しいと思う誰かが惨たらしく死んだ時。 ケイは間違いなく壊れ果てて、戻って来れなくなる。
「……彼の祖父は、恐ろしいな」
ケイに、守りたいものを守れという穢れを与えたのだ
- 106龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 12:41:31
- 107ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 13:05:40
「いいよ。勿論ーーーー」
とカンナが言った瞬間。ケイが動いた。
弾かれたように龍影の肩を掴んで。ベッドへ押し倒すように上下の関係になって。
「なんで?」
虚ろな目が、龍影を射抜いていた。
「やめて、くれよ……」
それは、すぐ涙が溜まって。
「……夢を見たんだ。 あの管制室で、三人が死んだ夢を。俺がソドムを撃った夢を」
龍影、エイダン、ミハエルのことを指していることは明白だった。
「みんなあそこで死ぬかもしれないって思った俺の気持ちをわかってくれよ!!!」
爆発した。
「あそこに、小型インベイドが1体でもいたら!!みんな死んでたんだ!!」
止まらなかった。
「俺だけ置いていくつもりだったんだろ!!!」
コア粒子機関が過熱するような音だった。
- 108ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/07(月) 13:11:18
- 109龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 13:18:29
「ここじゃ駄目。そう言うのは私か貴方の家でね?」
パシュッ
ケイの首、正確には静脈に龍影はトリアゾラムの自己注射薬を打ち込んだ。しっかりと体を支える。
「貴方がどんなに怖い思いをしたのかはわかってる。でも安心しなさい。戦闘義体の私が貴方を置いて死ぬなんて事は無いから。」
睡魔によって意識を失いそうなケイの唇に自らの唇を重ねる。舌の絡み合う音がしばらく聞こえる。
彼が優しい夢の世界に漕ぎ出したのを確認してから唇を離し、上に被さるようになっているのを優しく自分が押し倒されたベッドに寝かしつけた。
「エイダン、ケイをお願いしても?」
そう言って立ち上がった龍影は
「取り乱してごめんなさいね。話の続きをしましょうか。」
すぐに切り替えてCEOに言った。
- 110二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 13:23:31
- 111逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 13:33:56
僅かな水音がなって、唇どうしが離れたあと。彼はベッドで寝息を立てはじめる。薬が効いたのだ。
なにかない限りはケイは当分起きないし……薬による強引な入眠だ。悪夢を見ることもないだろう。
カンナはその光景に呆気にとられていて。
「……そこは、その……。 えーっとさ。ほら……」
「ケイが適任だったー、とか。一番安全な場所だったからー、とか、言うべき場面じゃ……??」
またもやパイロットとコンストラクターの決定的視座の違いにふるえていた。
(まぁ、まぁ彼女がそれで良いのなら良いのだろう、うん)
そう納得して、廉月の資料を彼女に手渡す。
パット見でも分かるほど、月風を安く。ある程度扱いやすくをコンセプトにした機体だと分かる。
- 112ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 13:40:12
- 113龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 13:51:11
「まさか、あの場でBFに乗って警戒するのが適任だったのはミハエルよ。ケイが残ると勝手に言ったの。まぁ結果的に安全な所にいた事になったけど。それに私は彼にそんな事が言えるくらい"綺麗"じゃないのよ?」
カンナの問いに答えた後、渡された資料を見る。
「予算は考えないで色々ついてるセーフティは外してオートとマニュアルの切り替えが任意で行えるようにして。それとこの子(廉月)にならチャオレンへの採用を見送ったのが付けれるわ。
そう言って手帳程のノートをカンナに渡す。
その中にはギッチリと書き込まれていた。しかしどこの企業も採用していない機構や武器、OS、操縦方式etc…未知の領域の物もある。
「ここに書いてあるのは桜空技研で研究されてたものよ。その中でも今の技術で復刻出来るのをまとめてあるわ。貰って頂戴。」
続けて、
「蒼風の隣に立てる機体にして欲しいの。出来る?」
龍影は確認した。恋人を守れる月風にしてくれるか。と。
- 114逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 13:59:49
「……つまりあれか。それが最善かもと自分で思いながら、状況がそっくり過ぎて結果的にトラウマを引いたと。
――――やはり初期インベイド大戦シナリオは消去されて当然だね」
そんなものを何十、何百と経験したらもうどんな状況でも安心できない。 普通の兵士なら人格が破壊される。
(……祖父は、ケイに最悪への警戒心を植え付けるためにやらせたのか?)
叩いて叩いて、精神を数度以上殺しかねないほどに苛烈な監禁じみた訓練をさせてやっと今の善性。
「仮になんだけどさ。祖父の手で初期インベイド大戦シナリオを受けてなかったらケイは……」
そこまで言って。まぁ自分たちに出会うことなく死んでいるだろう。と結論がついたから、資料を読んでいく。
「要求はビーム兵器系が多いね。無反動滑空砲とか高速速射砲はいらない?」
マニュアルとオートの切り替えは設計要件の一つだ。当然のごとく受け入れながら、さらりと提案する。
逆巻重工は、どちらかと言えば実弾重視傾向が強い。 砲身含めてどんな細かいセッティングでもこなしてあげよう。という自負ゆえの提案だった。
特に、蒼風に並ぶというならば。
- 115龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 14:11:27
- 116エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 14:22:43
- 117逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 14:33:49
「両腕部固定式のサーベル兼シールド……ってこれ!?! 陽電子膜!?!」
聞いたところで改めて装備を確認……したところで大きく声が出てしまった。ケイが起きる気配はない。
ちょっと不味いと思って。カンナは入院室の外にでて議論しようと促して。
「K.I社でも一部の機体しか採用してない最高品技術じゃないか!! うちの蒼風のシールドにだって、シグドニット合金と超カーボン複合材かつ耐ビームコーティングでなんとかってところなのに!!」
悔しそうな声を抑えきれず叫んでいる逆巻カンナだったが、蒼風のシールドとて大概である。
下手に受ければシールドごと貫通すらありえるキルケー部隊の86×700mmライフル弾を、横当てすればほぼ無傷で弾いたのだ。
最もそんな神業ができるのはケイくらいだし、そう何度もできる神業ではない。
「それにこれは神経接続技術……桜空のものか!!」
その技術に対して、カンナは偏見など持っていなかった。
技術に罪はない。あるのはそれを人間を使い潰す勢いで利用する者たちだ。
「確かにラインとしてはできなくはない……けど今すぐってなると……ウチだけだと悔しいが完成度は7割弱が限界だね」
これ以上に引き上げるなら、何処か別の企業の技術協力を仰ぐ必要がある。
……頭を下げるなら、ヴァルハラテックだろうか? カンナはそう考えた。
「数日か数週間かわからないが、少し時間がかかると思ってくれ。けど必ず要求通りに仕上げる」
「蒼風の隣に立つ機体にしてみせる」
それは彼女の自負だった。
- 118ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 14:55:05
- 119龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 15:03:12
- 120逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 15:10:26
「むりむりむり!!陽電子膜はいろんな意味で技術課題とかコストがかかるんだ!性能もこれは最高クラスだしウチでいけるけど実質はピンキリ強いし……そんなぽんぽんつけられるような装備ならみんな重装兵型に苦労してないでしょ!?」
叫ぶようなそれは、まさに企業だからってなんでもできるお大尽というわけではないことを示していた。
「その神経接続式半制御システムについてはこちらでコンタクトが取れるツテがある。完成度100%を目指すから安心してくれ」
カンナは胸を張る。
まぁ実際にはヴァルハラテックに先述したシグドニット合金と超カーボン複合材の混合比率条件など、さまざまな技術を協力対価にする予定だが、意味のないプライドを張ってパイロットを半端な機体で危険に晒すわけにもいかない。
「機体名と色も了解だよ……ところで、なんで墨色に蒼のエッジラインなのか聞いてもいい?」
と、カンナは全てを了承して。彼女にとって最高の機体を作る決意を固めた。
- 121龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 15:18:43
- 122エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 15:27:39
- 123逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 15:30:48
「あぁ……」
カンナは納得した。どうやらケイはケイで、ある種人の良さが長所にも短所にもなっているのかもしれない。
(……こんなにも愛されているんだ。壊れている場合じゃないぞ、ケイ)
カンナは心の中で、絶対にケイを再起させねばという決意を固めた。それは目の前の女性とて同じであろう。
「任せたまえ。私はこれでもコンストラクターでもあるんだ」
設計者としての喜びを感じながら、握手を交わした。
ヴァルハラテックとのコンタクトをどう取るかも考えなくては……。
ケイ「おにぎり……おにぎりが食べたいです……」
さすが18歳というところだ。まさか胃痛どころか口直しに白米を求めている。
……つまりだいぶ脂が濃い料理のようだ。 これが続いていけばそのうち彼も胃薬か消化器内科の住人になる日は近かった。
- 124PMC◆KPwoT407kA25/04/07(月) 15:46:20
「ハニヤの姉御がK.Iの特大のシノギ持ち帰ってきたってマジかよ!?」
「けど…K.Iでしょ…?私達を騙してアメミットを奪い返すつもりなんじゃ」
「そうかもしんないけどあのハニヤがそんなヘマをしでかすとも思えねぇし…なにより当の本人がお墨付き与えてんだろ?だったら…」
「…乗るっきゃねぇよな、その大泥舟」
【PMC『ネテル・ケルテト』にて。話題は先日ハニヤが持ち掛けられた巨額のスカウトで持ちきりだった】
【浮き足立つ極僅かの社員は、隻眼隻腕の老人の鶴の一声で静まり返った】
「元よりオレらはデスペラードの称号に未練なんぞねェし、だからこそ人自連に入るコネもない癖にこんな集まりを作ったワケだろ?だったらこんな一世一代のビジネスチャンスを逃す手はねェさ。ダメならデスペラードらしく野垂れ死ぬ、上手く行けば企業雇いとして大出世だ」
「…ウス」
「そうですね」
「うおおおお!燃えてきたっス!!」
「…いつになく盛り上がってますね、ルゥルア」
【社員達の熱狂の傍らで、その少女は赤子…自らの姉妹をあやしながら静かに聞いていた】
【『ムニーラ・アル=アサド』、ハニヤの実子にして御歳9歳となる若きデスペラード…だった者である】 - 125ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 15:57:19
メビ! そっちの調整は終わらせたか!
【もはや企業の工廠と肩を並べる規模の個人倉庫】
【今日も今日で趣味として、金龍は整備士たちに混じって愛機の調整をしていた】
【軍人なら軽いメンテナンスはしても、ここまで本格的に工具を扱って油まみれになるのは珍しいだろう】
『各部UI、大佐のお好みに合わせましたよ』
流石俺の相棒だ いつも通り手際が良くて助かる
にしたって、あの奪還戦のせいで予備機体に乗り換える羽目になるとはな……
関節部の特に大事なシャーシが逝っちまうなんて、上層部も上層部でなんつうポンコツ兵器を寄越しやがったんだよ
『とは言っても、その上層部が新機体を送ってきましたからね』
最早ある種のマッチポンプだろ
そうじゃなければ、この数日で金を生み出す金食い虫を用意できる訳が無いさ
『もしかしたら、回りくどく休暇を取らせようとしてるのかもしれませんよ?』
そりゃ一体どこのツンデレだよ……
知ってるか? ツンデレってのは扱い方が上手くないと、人気じゃなくてヘイトを集めるだけのハイリスクローリターンな属性なんだぜ?
『ハイハイ、そういう事でしたら分かりましたよ』
なんか急に僕への態度が雑になったね? - 126ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 16:07:17
それはそうとだ、姐さんの機体はあとどれぐらいだ?
【サンダータイガーの隣で輝く、野生と品性が上手く織り交ぜられた機体に目を向ける】
『整備長曰く、「本人による試運転が済んで、エイダンさんからの許可が降りれば、まぁ残り1〜2日って所だ」という事です』
ふーん そうかい 思ったよりも早く共闘できそうだな
『もしかして楽しみにしてます?』
当たり前だ 変形機構なんてもんロマンの塊だろ
『なるほどそゆこと。ですが、この機能についてはどうです?』
【金龍のサイバネアイに、ハニヤが出した要望書と機体の仕様書が送られる】
【そして、とある機能が赤丸で囲まれ、その視認性を上げていた】
……まぁ目を瞑っておくよ いつかはこの技術が役立つ時があるかもしれないからな……
『了解』 - 127ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 16:22:21
- 128ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 16:28:49
- 129龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 16:31:44
コックピットシートのビニール包装を剥がす。ミチミチとした手応えを感じ、裂けて小さい穴が空いた途端にバリッと音を立て大きく裂ける。
包装を剥がし終わった龍影は満足気にコックピットを覗き込んでいた整備員にビニールのゴミを渡す。
「座り心地は最高ね。コックピット閉じるわよ。離れて。」
コックピットシートに座り、一言。
「懐かしい。」
はるか昔に乗っていた機体のコックピットインテリアそのままだ。逆巻は昔からこの辺を一切変えていないらしい。
《ACCESS SET》
電子音声はチャオレンと違う。そりゃそうだ。
シートの背もたれに背中を押し付ける。
カシュン
機体と龍影は接続された。
「網膜投影…これ頼んでないけどな…」
操縦桿が視界から消え、望月の前にあるキャットウォークが近くに見えた。
すぐさま設定で網膜投影を切る。しかし速度計、高度計、粒子残量計、機体ステータスの4種類は視界に残っている。
「邪魔じゃないんだけどなぁ…鬱陶しい…」
細かい設定画面を開き、オフにしていく。龍影の前にあるサブモニターに表示されきったのを確認する。
「やっぱこうだな。うん!」
龍影は設定を終わらせる
『整備長!慣らしいってきまーす!」
新型機に乗り、ウキウキしながら龍影は格納庫から望月を飛び立たせた。
- 130ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 16:48:14
- 131ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 16:54:29
- 132ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 17:10:27
「まぁ…」
【言葉が出かけて、それをしまい込む。自分の親がデスペラードらしからぬ親身さを見せてくれる理由を、ムニーラは昔聞いた事がある、だが…】
「…色々あったみたいですからね。あ、上ミノとかありますか?私一度食べてみたかったんです」
【それは本人の口から語られるべきだろうと、どうせなら好意に甘えて贅沢をしてみる】
えっ…何?上?ミノ???同じ言語使ってるムニーラさん???
…えーーーっと…オススメの、ヤツで
【対するハニヤはデスペラードとして生きてきた事から食べ物に対してかなり合理主義が入っていて、腹を満たせればそれでいいくらいにしか思っておらず】
【自分が何を食べたいのかも分からないので、とりあえず相手の好みに合わせる事にした】
- 133エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 17:20:53
- 134二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 17:21:54
このレスは削除されています
- 135ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 17:23:39
- 136ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 17:35:08
- 137ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 17:42:48
- 138逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 17:48:51
「悪いね、エイダン博士。つい話し込んできてしまったよ」
龍影との話し合いを終えて、カンナが部屋の中に入ってくる。
「彼の様子は……今のところは平穏みたいだね」
よかった、と安心するカンナ。 これでまた悪魔など見ていようものなら叩き落として龍影を呼ぶところだった。
「……エイダン博士に言っても栓のないこととは知っていますが、これは独り言として捉えてください」
と、エイダン隣に座って話す。
「現状の人自連はまぁ、各種派閥に分かれていますが……現在の状況をお伝えしておきます」
「具体的にいえばまぁ政情ですが……対クロノス過激派が1、穏健派が2、バランス派が3、対インベイドよりが3……というところです」
カンナが語ったのは人自連内部で蠢く企業のパワーバランス……その比率だ。
人自連は良くも悪くも烏合の衆だ。集まれば強く、小さい分足の速いものもいる。 対クロノスを過激に考えるものが多いのも仕方ない。
「アズマ工業がバランス派のおかげで、とち狂う羽目になっていない状態が救いですよ」
「対インベイド派の中でも温度差はありますが、私を通していくつかやっておきます」
まぁ、ヴァルハラテックはK.I 社との因縁もあるから自分がやるが、他の企業ならば話を秘密裏に通すことくらいはできるだろう。
「そして、話にならない老害が3つ」
ここだけ、カンナは比率ではなく数で語った。つまりそういうことだ。
あるいは腐敗を広げてその数を増やしているかもしれないが、カンナが把握している限りは3つ。
対インベイドを顧みることもなく、クロノスへの抗争にのみ戦略を傾けたがる、あるいはクロノスという言葉だけで怒鳴り散らかすアレルギー患者。
「そちらの動向には注意を……最悪企業間抗争をお勧めします」
といって、紙資料をこっそりと。
- 139龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 17:49:00
ピカピカの新しい相棒でアウトサイド上空を緩い弧を描きながら旋回している。この辺の微調整は機体任せではなく、"何となく"で行っていた。
「やっぱりこの辺の調整をだいたいで動かせるのが半思考制御の強みね。」
人機一体。まさにその言葉がピッタリのような操作感だった。
粒子消費はほぼ無い。
「凄まじい燃料効率だ…逆巻は一体何を使ってるんだ…?」
舞うようにロール、アップ、ストール、ダウン、フラットマニューバ(下方向に推進しながら機体軸を斜めに向ける。進行方向は変わらずに下へ落ちるが、機体は斜め下方向に動いているように見せる飛行型BFのみに行える曲芸飛行の一種)を行う。その間も一切コントロールを喪失することは無く、難なく成功させた。
「完璧ね…ケイにも見せたいわ…」
そう呟き、龍影は格納庫へ戻る
- 140ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 17:52:43
- 141ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 18:01:49
- 142ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 18:03:55
と、とにかくメビ……
何か良い感じの箱にクッション敷き詰めて、そこにルゥルアちゃんを寝かしておいてくれ
熟成庫なんてもん、赤ちゃんにとっちゃキツ過ぎる環境だからな
『承りました。では皆さん、大佐を待っている間に私がおもてなししますのでどうぞこちらへ』 - 143ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 18:07:40
- 144二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 18:14:11
このレスは削除されています
- 145ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 18:16:10
『ご足労お詫び申し上げます。では一つお伺いしたいのですが、何かルゥルア様を寝かしつけるのに最適な道具はございませんか?』
【胸の中で眠る赤子に余計な縦振動を与えず、それでいて優雅にスタスタと歩き出す】
『恥ずかしいお話、金龍様は「機能が備わっている」とおっしゃっておられましたが、乳幼児をお世話する事はこれが初めてでして……そういった道具は所持しておりませぬゆえ……』
- 146ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 18:21:31
- 147ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 18:27:12
- 148二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 18:34:12
このレスは削除されています
- 149ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 18:36:48
- 150ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 18:43:53
- 151ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/07(月) 18:46:55
- 152ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 18:48:53
- 153ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 18:54:01
- 154ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 18:57:05
(G-3コロニー攻略戦から数日~数週間後想定)(エイダンさんの方とのRPもそのまま続けます)
「…………」
なんとなくが理由で、最低限の修理が完了した蒼風――――無理をするなという理由であちこちにリミッターがかけられている――――を使って。
ケイはアウトサイドと呼ばれる場所のうち一つへ飛んでいた。
後ろめたさがあったからか、地面をかすめるほどの低空で、廃墟となっている障害物を躱したりして自分の腕を試している。
《距離、残り60秒です……輸送依頼ですが、うまくいきそうですね》
「……ああ」
鈍り続けていた自分の反応力も、自殺まがいのレースじみた機動でゆっくりと取り戻し始めていく。
コックピットの後ろには、とあるデスペラードが欲しているらしい『荷物』を積んでいた。
……たぶんなんか後ろめたいんだろうな。
とケイは察していたけど、依頼人のどうしても届けてほしいという言葉に根負けしたのだ。
《――――直上にBF反応》
「?」
スイの言葉に、ケイは上を向いた。
――――『墨色と蒼の機影』が、滑らかに飛んでアウトサイドへと消えていっている。
こちらに気づく素振りはないから、レーダー避けは機能していたらしい。 その機影は、遠目で見ても月風にそっくりだった。 逆巻重工が支援したのだろうか?
「……綺麗だなぁ」
と言いながら、彼もまたアウトサイドの契約格納庫へ機体を入れて、『受取人』を探すことにした。
- 155ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/07(月) 18:58:55
- 156エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 19:05:51
「お気になさらず。ワンオフ機の発注で熱が入る経験は僕にもありますから」
【カンナの謝罪に対して、エイダンは丁寧に気にしないよう伝える。たまに外から聞こえてくる声に込められた熱を、自分も過去に出した覚えがあったので、さして気にしていなかった】
「アドバイス、感謝します。こちらの資料を活用できる人物に心当たりがあるので、そっちに渡しておきますね」
【渡された紙資料を即座に抱えていた鞄の奥へしまう。''三つの老害'' に関してはエイダンにも覚えがあった。法務部と情報部の部長が一緒に人自連の特定の企業について、よく話しているところを見たことがあったからだ】
「では、僕からも少し独り言を」
【また近いうちに出撃することになるかもしれないなと思いつつ、口を開く】
「端的に言えばMr.サヤギリのことが気に入ったので、支援を行いたいのです。立場上、表立って関わるのは難しいため、あくまでもプライベートの範疇になりますが」
「工学関係で知見が欲しい場合はぜひご連絡ください。金銭や物資面、コネなどでも、できる範囲で融通を利かせます」
【そう言って羽織っている白衣の胸ポケットから、小さく畳まれた一枚のメモ用紙を取り出して渡す。開いて中を見ると、そこには11桁の数字がポップな筆記体で書かれていた】
- 157ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 19:10:37
- 158ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 19:10:39
- 159龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 19:11:33
- 160ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 19:18:28
- 161ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 19:26:54
- 162逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 19:29:06
「手段と方法はおまかせします。逆巻重工は『企業間抗争への積極的非介入』を宣言していますから」
「身内の恥ということで、タイミングを選べば人自連側の自浄作用も協力するでしょう。」
逆巻重工の姿勢を煙たく思うものも多い。 だが、だからこそ逆巻重工は"老害"達による対インベイドを志向する新興~中堅企業を守る弾除けでもある。
対クロノス過激派も逆巻への非難は口先か、営業戦争での良い相手となる程度となれば、”老害”の狂気が見えるだろう。
その力は、今後のためにも削いでおきたい。
人自連は対インベイドが先、対クロノスが後。というのが逆巻重工の姿勢だった。
「……ありがとうございます」
そのメモを見開いた目で見ながら、丁寧に受け取る。これをなくすわけにはいかない。番号を覚えたあとは焼くことも視野に入れながら、カンナは味方を手に入れることができた。
蒼風はいい機体だ。だが『枯れた技術』を大事に用いすぎた結果、限界が近い。
「ここぞという時に、連絡しましょう。私らもK.I社への技術協力は惜しみません」
乱用すれば信頼を損ねる。 やるなら誠意と、信頼に対価を添えるべきだろう。
たとえそれが未来の企業間抗争を激化させるという、胃にとてつもない負荷を抱えるだろう行為であっても。
対インベイドでの協力の前には些事であった。
「『子どもたちに誇れる未来のために』。これからもよろしくお願いします」
それは、北方戦線で戦う戦士たちが陣営を問わず叫んでいた符牒だった。 今はもう、知る人も少ない。
ケイという少年を通して。二人は同志となった。
ケイ「……受取人どこだよ……」
《マーキング、近いです》
ケイはあちこちをきょろきょろとお上りのように見ながら、受取人を探していた。
受取人がいるとされる場所は、なぜか格納庫で。
ケイ「すみませーん」
と言って、格納庫のインターホンを押した。
- 163ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/07(月) 19:32:33
- 164龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 19:35:03
- 165ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 19:38:01
- 166ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 19:40:01
- 167ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 19:45:23
- 168二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 19:46:42
このレスは削除されています
- 169龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 19:47:58
- 170ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 19:50:10
- 171ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/07(月) 19:59:32
- 172ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 20:00:38
「優しいのは、母さん譲りですかね」
【煌びやかな紙吹雪を眺めながら言葉を返す】
「デスペラードって自由を謳ってはいても、実際はホントに窮屈で…母さんも私の年齢の頃にはBF操縦だけで稼ぐのが苦しくなってきたって事でとっくに『そういうこと』もしてたみたいで…この万年発情猫耳女の事だから半分くらいは自己満足もありそうですけども」
「…けど、私には絶対にそれを許さなかったんです。母さんはこんなのだから気にもとめてませんけど、それで心を壊すデスペラードが全く居ない訳でもないからなのか」
「自分に使える全てのコネを駆使してPMCを立ち上げたりして、私に精一杯デスペラードらしくない生き方をさせてくれた、優しい親なんです。だから…これくらいのお返しは当然ですよ」
- 173ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 20:01:03
- 174龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 20:13:33
- 175ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 20:14:39
- 176ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 20:21:38
「へえ……望月……月を望む……?」
機体を見て、武器を見て。 そういう印象を持つ。
墨色と蒼が、誰かへの憧れを示しているような気がしたのは、気の所為かなとケイは受け流して。
そして龍影の話を聞くと……だんだん突っ込んだ話がしたくなってきた。
「廉月ってのはたぶんそろそろ逆巻重工から発表される機体?ってやつですよね?」
「ってことは、基本装備は月風と同じ、実弾もビームも使える型なのを龍影さん用にチューンナップしたのか」
「武装系を減らした理由はなんです? 作戦状況に合わせてってのは理解できますが……今の技術で月風を作るなら、あの装備類でも稼働時間に影響はないと思うんですけど」
《ケイ、落ち着いてください》
早口が止まらず、とうとうスイが口を挟みだした。
- 177ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 20:22:48
- 178龍影◆9BZ6kXGcio25/04/07(月) 20:23:56
- 179ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 20:28:45
- 180ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 20:32:36
「瞬間のラグ……?」
《おそらく未来予測精度のことだと思われます》
首を傾げたケイに、スイが捕捉したのは初期インベイド戦争時代、月風乗り達が口々に言っていた用語だった。
未来予測精度――――ある程度の時間を12のステップに分け。12ステップ内の敵の動きを正確に予測して戦える能力のことを指す。
この12ステップ動作の予測能力が高いほど、精度が高いという証になる。
FCSがマニュアルな彼らには必須の技能だった。
このセットを『手番』と呼ぶ人もいたので、ケイはそちらを良く使うのだが。
「龍影さんは何手読めますか? 俺は……絶好調の時は……ああ、いや。いっそ今から初めましょうか。手番戦」
問いかけてきたのは、無垢な少年ではなく。
ボードゲームにおいて対局を申し込んできた棋士のようで。
「対戦お願いします。 まず俺は高度を取って索敵。機動は直線でレーダー範囲を拡大します」
挑んできた。ケイの絶好調は5手だ。祖父は老いていたが、6手まで読んできた。
- 181ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/07(月) 20:34:23
(やっぱり…疲れてた)
【ベッドを明け渡した瞬間、僅か数秒ほどで睡魔に捕まった彼を見て、ウルヴィは嘆息した。誤魔化していたじゃないか、と。けれども横になってくれたのだから良しとして、名刺のようなものを彼の手に握らせる】
【デフォルメされた猫と狼の間のような顔が、物騒な返り血に濡れたアイコン…ウルヴィのエンブレムと共に、連絡先が添えられたものだ】
【────それから一歩の度に生じる激痛に奥歯を噛み締め、ウルヴィは部屋を後にする】
【『お言葉を”信じて”休ませて貰いますね』という彼の言葉が、何故か脳裏を過る。ズキリと、胸が痛む。きっとこれもフィードバックの残り香、代償の一つだろうと無視した】
【そうしてウルヴィは、これからも自身を誤魔化す。気付こうとすらしないままに、誤魔化されていることすら、忘れたままに】
- 182ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 20:36:20
- 183ポロッゾ海賊連合◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 20:50:04
『───クロノス・インダストリーの輸送船だな?我々は“ポロッゾ海賊連合”だ。速やかに避難の準備して下船しろ』
【──────────────────夜。波も穏やかな何の変哲もない日に、何の変哲もない戦闘が発生した】
【広域回線を通じてクロノス・インダストリーへと一方的な要求を突き付けた“ポロッゾ海賊連合”に、乗り合わせていたパイロットは真っ向からその要求を拒絶した。当然である、もしも投降すれば間違いなく軍法裁判にかけられるからだ】
【特別な出自もなく、資産だって多くはない一般兵である。懲戒処分を受けて仕事を失えばもう生きてはいけなくなるだろう】
【だから、コレは何の変哲もない戦闘なのである】
『チッ!私一人を相手に二人掛かりとは、操縦の腕に自信がないのか!』
『挑発には乗らない。勝てないと思うなら武装解除して投降すれば良いんだからな』
【“ローン・ソルジャー”のロングビームライフルが水上を軽快に駆ける『フロンティア』に向けて粒子ビームを放つが命中しない。機体の機動力では互角でありながら、一方的に攻撃を躱される─────理由は一つだ】
【『フロンティア』と呼ばれる拡張装備の原因だ。海上という足場が船に限られる戦場ではBFの機動力は飛翔可能機でもなければその“船”に依存する】
【そして『フロンティア』とは時速約180kmで海を駆け回るモンスターマシンだ──────一般的な駆逐艦ですら時速100kmを超えるものは極少数と言えば、その規格外さが分かるだろうか?】
『“旧アメリゴ人”がァ…………ッ!』
『相互認識に差異が存在するようだな、クロノスのパイロット』
【海賊のアサルトライフルから放たれた銃弾がカスタムを施された“ローン・ソルジャー”の機体装甲に弾かれ、余裕を取り戻す。そうだ。遠距離からでは有効打はない。ならば接近した瞬間にロングビームライフルを叩き込めば良い─────と】
『俺達が“アメリゴ人”だ。勘違いするなよ────さあ、溺れて死ぬか無人島に置き去りか。好きな方を選ばせてやる』
【海底から叩き込まれた特殊弾頭『ドルフィン』によって輸送艦の底面には穴が開いて浸水が始まり、『フロンティア』に乗っていた機体が潜水した】 - 184ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 21:04:19
- 185エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 21:09:29
「それはありがたい。貴方たちの技術にはとても助けられていますからね」
【過去に逆巻重工が提供してくれた間接パーツデータの恩恵を真っ先に受けたのは工学事業部だ】
【おかげで ''スカッド・ソルジャー'' の機動力向上や ''スレイガン'' の量産を早められ、 『ソロネ』や『Syringe's』といったエース機を製造することができた】
【そのことを誰よりも理解しているエイダンは、思わず浮かべていた笑みを深める】
「こちらこそ、よろしくお願いします。『子供たちに誇れる未来のために』 ……そして、『人類の発展のために』」
【例のシミュレーターが作り上げた地獄でいくども耳にした符牒に、自らの信念を付け加えて、エイダンはカンナへ手を差し出した】
- 186ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 21:12:43
- 187ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 21:19:34
『ムニーラ様がよろしいのであれば』
【そう言うと門を抜け出し、車の施錠を開けると、助手席に土産の入った袋を置く】
【それからは気苦労ゆえか、ムニーラも上等なクッションの上で眠りつき、同時に車は帰路に着いた】
- 188ポロッゾ海賊連合◆OXAm1h6odk25/04/07(月) 21:20:09
【──────────結果から言えば、クロノスのパイロットと輸送船の乗員は『フロンティア』によって無人島に安置された】
【“ポロッゾ海賊連合”はクロノスの司令部に無人島の座標を通信している。古来、海賊船に捕まった者は身代金を支払わねばならない。その身代金がコア鉱石になっただけだ】
【ヘイトを買い過ぎず、かと言って手心も加えず、拠点の防衛は強固に、そのような絶妙なバランスの上で“ポロッゾ海賊連合”は続いている】
『────────人自連に捕虜として引き渡しても、コッチの要求通り帰されるかは分からないからな。全く面倒なものだよ、あの多頭の獣は』
『言ってやるな。我々だってその頭の一つだ。クロノスを本気で憎む企業がいても、我々が企業戦略に干渉する必要もないだろ』
【海中に潜んで機を見て特殊弾頭『ドルフィン』によって輸送船を撃沈した機体と、『フロンティア』から潜水した機体である】
【あくまで“ポロッゾ海賊連合”の目的はクロノス・インダストリーという巨大企業の有する資源とコア鉱石の極一部であり、彼らに大きな損害を与える気は毛頭ない】
【彼らの恐るべき“船長”が出撃していない時点で、徹底的に殲滅をする気は最初からなかったと言っても構わないだろう】
『…………………“再征服計画”の無期限延長の噂、本当なのか?』
『本当か嘘でも関係ないだろう。バルバロイ中将は間違いなく計画を実行に移す。彼も故郷への帰還を望む者───────我々の“同類”だ。諦められはしまい』
【“ポロッゾ海賊連合”。その企業理念は唯一つだけだ。それが叶うのならば、クロノスだろうと人自連だろうとデスペラードであろう協力する】
『俺達は開拓大陸に、故郷に帰るんだ』
【彼らは約20年前のインベイド侵攻によって、故郷への帰還が叶わなくなった者達の集まりである】
【故郷がどうなっているのかは分からない。家族の安否も、友人の安否も分からない。それでも、それだからこそ、彼らは帰らねばならないのだ】
- 189ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 21:22:21
『御三方、到着しました。お目を覚まして下さい』
- 190逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 21:22:33
握手をし、彼の信念を胸に刻みながら。さて次は何を話すべきか。とカンナは悩む。
ヴァルハラテックへコンタクトを取る旨は既に話したし……
「あ」
思い出した。今後ケイとの付き合いが深くなる上、エイダンもパイロットである以上。
・・
ケイの悪癖は話しておかねばとカンナは思ったのだ。
「もしケイが『何手読む想定の性能です?』とか。未来予測精度がどうこうとか言い出した時は無視しちゃってOKです」
「あの概念、もう今は廃れてるのに……あの子普通に使っちゃうから……」
彼の無知ゆえの悪癖に巻き込まれ、理由もわからぬままいきなり
『対戦お願いします』
『自分はこうしました。そちらの手番どうぞ』
『対戦ありがとうございました』という言葉を食らい、宇宙を脳内に浮かべる傭兵は多いのだ。
地下という空間はケイに常識を全く与えていないのである。
カンナはケイの祖父を恨んだ。あの野郎勝手に満足して勝手に……
「彼の祖父が教えてなかった常識もいつか、ついでに教えてやってください。お願いします」
懇願だった。ケイに関わる人にカンナはいつも頭を下げている。
血の繋がっていない弟を気遣うようなものだった。
- 191ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 21:26:58
- 192逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 21:29:02
- 193二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 21:35:08
このレスは削除されています
- 194ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 21:40:47
- 195エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/07(月) 21:46:19
「''未来予測制度''……ああ、例の12ステップのことですね」
【シミュレーター内で使用機体に ''月風'' を選択した時にお世話になったことを思い出した】
【ほぼ全ての操作を手動で行わなければならない以上、必須機能であることはわかっていたが、それ自体に慣れるまでに何回瞬殺されたか……】
「わかりました。今後、彼は多くの世界を知ることになるでしょうからね。それらに素早く適応できるよう、誠心誠意、サポートさせていただきます」
【脳裏によぎった苦々しい過去回想を振り払い、笑みを浮かべたまま、エイダンはカンナの懇願に快く応じる】
【この言葉に嘘はない。ケイの理想を叶える手伝いをすると決めた以上、彼の成長に繋がることに積極的に手を貸すことは確定事項だ】
- 196ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 21:48:27
- 197ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 21:52:38
- 198ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/07(月) 22:00:13
- 199逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/07(月) 22:02:16
「ありがとうございます……はぁ、よかった……」
「うちの実働部隊はむしろ彼の悪癖にノリノリになっちゃうので……」
礼を言った後、カンナはへなへなと椅子に背中をもたれさせた。
どうやら、相当、彼の無知のフォローに気を揉んでいたらしい。
特定の傭兵と長く一緒になるという経験もない彼に対して、逆巻重工の月風乗りはそれを訂正するどころか
積極的な『対局』を申し込む奴らしかいなかったのだ。
~~回想~~
ケイ「対戦お願いします。有視界ですね?」
月風乗り「はい。先手もらいます。上昇しながら索敵、狙いをつけて右側へ高速速射砲を撃ちます」
ケイ「索敵、レーダー範囲を広げてから加速開始、発砲を確認して左へ回避。ビームライフルを撃ちました。1手番終わりですね。」
月風乗り「2手番目いきます。右シールドで防ぎながら有針徹甲弾です。その後、蒼風に向けて加速」
ケイ「急上昇しながら前転します。ビームライフルです。撃墜でよろしいですね?」
月風乗り「被撃墜です。対戦ありがとうございました」
ケイ「ありがとうございます。……危なかった……」
~~回想終了~~
「あれは人間がやる遊びじゃない。ケイは遊びたい盛りだろうからやめさせたいのに……うちのバカどもは!!!」
カンナはキレていた。外国語どころか宇宙人の会話だった。
「だからどうか、ほんとにお願いします……!!」
その懇願が数分間続いた後、カンナはヴァルハラテックへと電話をした。
ケイはしばらく逆巻重工の社屋で休ませ。体と心を回復させた。
それで、なんとか場は収まったのだ。
- 200ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/07(月) 22:06:20
(この人と居ると色々飽きないな〜)
気に入ってもらえたようですね
ではここから今日の授業を始めますよ
ここにまだ未調理の野菜がめちゃくちゃあります
それと醤油、砂糖 、味噌は混ぜない主義ですが、今回は検証も合わせて2種類の漬けダレを作りましょう
まずは包丁の握り方から
うんうん上手く握れてますね
次に素材の切り方
包丁を持ってる手とは逆の手を猫の手にしまして〜
(いや地味にここハニヤさんの方が娘より上手いな)