- 1全3レス(予定)25/04/06(日) 22:37:39
このごろは何かと立て込んでいた。繁忙期を抜けて一息と思ったところで、にわかに増える生徒会の業務。問題児共の世話、対応、後始末。そしてトレーニング。後輩たちの面倒を見るというのも、心のリフレッシュにはなるがやはり身体は疲れてしまう。
女帝然とするために取り繕うのも中々しんどいものだ。特に、後輩たちを相手にする時。ただでさえ歳上は話しかけにくいだろう。……自分で言っていて少し傷つくが、彼女達にとって私は特にとっつきにくい手合いだ。疲れなど少しでも滲ませていれば余計に遠慮させる。だから人前にいる時は、ほんの少しでもそういう面を見せてはならない。
とはいえ、流石の私ももう限界だった。夕暮れ時で大半の生徒がトレーニングに勤しんでいて、無理に仮面を被る必要がないというのもある。が、頭はぼーっとして、足元も少し覚束ない。今すぐにでも座り込んで、眠ってしまいたい。
それでも体に鞭打って歩く。確かに起きているのに、どこか夢の中にいるような感覚。そんな不可思議な感覚を不可思議と認識しているかもよくわからない状態で歩き続ける。……ようやく辿り着いた。
いつもならノックをするところだが、一刻も早く入りたくて構わず扉を開ける。こちらに気づいた男が……私のトレーナーが、手元の資料からこちらへ視線を移す。……居てくれてよかった。
挨拶もせず、後ろ手にトレーナー室の鍵を閉める。その音と、何より私らしからぬ行動や異様な様子に全てを察してくれたらしい。席を立って、窓のカーテンを閉めていく。
「どれくらい休めるんだ?」
ひとまず部屋のソファ、その端の方に座ると最後のカーテンを閉めながらトレーナーが聞いてきた。
「仕事は殆ど終わっている。だから、今日のところはずっと、だな」
これからする。というか、してもらう事を思うと緊張してしょうがない。デスクワーク続きとは別種の理由で、全身が固まる。返答する声まで幾分固く、上擦ってしまった。
「そっか……お疲れ様。よく頑張ったね」
隣に座ったトレーナーがそう言って、その声音以上に優しく私のことを抱きしめた。生徒会室の椅子よりも硬い胸板であるはずなのに、これ以上なく安らぐ。 - 2全3レス(予定)25/04/06(日) 22:37:58
私は女帝だ。生徒会副会長だ。後輩たちには背中を見せて目標となり、先達達から学ばせていただいた恩に報いるためにも彼女たちを超えなければならない立場だ。何より私は学生でここは学園。このようなことは許されん。
それでも時折、ほんのたまにだが、どうしてもこういう事をしてしまいたくなる。愛する人にただただ甘えて、受け止めて欲しくなる。そして実際に、甘えてしまう。今のように抱きしめてもらって、撫でてもらって、褒めたり慰めてもらったりして。
トレーナーの、コイツの手は存外逞しい。手を握るまでもなく、髪を梳かれるだけでそれが分かる。そんな手とは対照的に優しい手つきは、疲れの有無に関わらず眠ってしまいそうになる。
「どうしたい?」
どこか抜けていて、世話を焼かずにはいられない。尻を叩いてやらねば我慢ならない。そんなトレーナーは何処にもいない。全てを委ねてしまう。女帝という在り方を保っていられなくなる。一人の素直な恋する少女になってしまう。
「……少し、眠りたい」
枕には不適なのだが、何故かぐっすりと眠れてしまう。そんなトレーナーの膝で眠りたい。そういうつもりで言ったのだが……。
「どういうつもりだ、貴様」
気づいた時には、押し倒されていた。いや、覆い被さられていたという方が正しいか?手を抑えつけられるとかではなく、抱きしめるトレーナーと少し座り心地の悪い古びたソファとでサンドイッチされてしまったような形だ。
「いやあ、ね。……コーヒー溢しちゃって、仮眠用の毛布が今ないから。冷えないようにって」
どういう理屈だ、と言ってやりたい。ため息の一つもついてやりたい。そのはずなのだが……実を言うと悪い気はしない。隙間なく密着しているからか温かさは抜群。トレーナーの体温も、匂いも、鼓動もただ抱きしめてもらっている時よりハッキリと伝わってくる。
難点は重苦しいことと……私の早鐘を打つ鼓動がトレーナーに伝わってしまいそうで恥ずかしいということか。 - 3全3レス(予定)25/04/06(日) 22:38:20
「チューはする?」
「いや、いい。……貴様の寝相の悪さでは、二人で転げ落ちるのがオチだ」
何より、それは夜の楽しみに取っておきたい。コイツの腕枕で眠れるのは久しぶりだからな。……全てを委ねてしまいたいとは言いつつ、こういう事は恥ずかしくて言えないのだから、存外まだ余裕があるのかもしれんな。
……それにしても、コイツと一緒に眠る時は毎回お休みのキスをねだっている。なんて知ったら、私を慕ってくれる者たちはどう思うのだろうな。
「腰の痛みはデスクワークの分でたくさんだ。寝てくれるなよ」
「わかったよ。……おやすみ、エアグルーヴ 」
一際強く……それでいて私が痛みや不快感を感じないような力でトレーナーに抱きしめられる。気が抜けたのだろう。瞼が酷く重くなってきた。
遠くで学友達の声が聞こえる。トレーニングに明け暮れる声が。そのような中で、こんな幸福に浸るなど女帝としては許されん。だが……
ただの『エアグルーヴ 』には、最早意識を手放す他になかった。そして———
———20分ほど後に、ソファから転げ落ちて今度は私と床とにサンドされる側となったたわけの声で目が覚めた。 - 4おわり25/04/06(日) 22:39:03
- 5二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 22:47:52
- 6二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 22:49:57
これはベロちゃんでギャルですわ
- 7二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 22:56:09
うーんまさにたわけ
- 8二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 22:59:34
>> 時折、ほんのたまに
グルトレがかなり慣れてるっぽいんだけど本当にたまになのか?結構頻繁にやってないかコレ?
- 9二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:01:09
いつテイオーにバレるんだよ
お約束でしょ - 10二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:02:13
トレセン学園は生徒を過剰な労働から解放しろ
- 11二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:06:45
転げ落ちた勢いでグルπを…みたいなToLOVEるキボンヌ
と思ったがたわけが下じゃ難しいか - 12二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:16:48
寝相の悪さを知ってるし毎回おやすみのキスをねだってるってアンタらそういう仲かよ!?
- 13二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:35:50
キスじゃなくてチューと言うのがなんとなくたわけっぽいと思う様な流石のたわけでもチューはないだろうって思うような
- 14二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:45:33
- 15二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:48:05
ほう甘えん坊エアグルーヴですか…たいしたものですね
- 16二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 07:45:56
毛布が無かったー?本当かー?
- 17二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 17:11:24
- 18二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 17:16:53
だからこそじゃないか!
- 19二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 00:08:28
校内に広まっちゃってあちこちでからかわれる女帝…
- 20二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 04:14:52
後輩たちから慕われる厳しくも優しい憧れの副会長様も愛する人の前ではただのベロちゃんなんだ……
あの世界ならバレても後輩たちは解釈違いとか脳破壊なんてせずにそれはそれで推せる〜しそうだな - 21二次元好きの匿名さん25/04/08(火) 14:01:17
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