シャーレ調理倶楽部-Toad in the hole-

  • 1二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:54:00

    マリー「(今日からシャーレの当番は、一緒に食事を作るという決まりになりました)」


    マリー「(その栄えある最初のメンバーとして、意気込んできたのは、はい、その通りで……)」


    マリー「(けれど、けれど先生……)」


    マリー「えと……よろしくお願いします……」


    イロハ「お世話になります」


    マリー「あ、いえいえ、こちらこそ……」


    イロハ「……」本 ペラペラ



    マリー「(万魔殿の方はいきなり過ぎます、先生……)」ヒィン


  • 2二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:55:18
  • 3二次元好きの匿名さん25/04/06(日) 23:57:00

    マリー「(当番中は業務的な会話でなんとか間を取り持てますが……)」

    イロハ「……」本 ペラペラ

    マリー「……」キョロキョロ

    イロハ「……」本 ペラペラ

    マリー「……」

    イロハ「……」本 ペラペラ

    マリー「(こうして同じ空間に2人きりというのは……間が……)」

  • 4二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:00:48

    マリー「――えっと、えっと。な、なにを作りましょう?」アセアセ

    イロハ「カップ麺とかでいいんじゃないですか? そういえばそろそろスーパーで惣菜が半額になる時間ですね、確か。適当に買ってきてお皿に盛り付けれるのもアリなんじゃないかと」

    マリー「え、えと……それだと先生がおっしゃった”一緒に料理をする”ということが出来なくなってしまうので……」

    イロハ「……めんどくさ」ボソッ

    マリー「あ、あのあの、えと……」シュン

    イロハ「一緒に厨房に立っているわけですから、その任は達成されたと見るべきでしょう。お腹が膨れればなんでもよくないですか?」

    マリー「いえ、ですがせっかく初めのメンバーに選んでいただいたので、先生のためにもここはしっかりと……」

    イロハ「というか、私料理とかあんまり得意じゃないので、端っこで本でも読んでますよ。調理はお任せします。それなら、先生の顔も立てられますしあなたもやりやすいでしょう?」トテトテ トスン

    マリー「あの……」

    本 ペラペラ

    マリー「……」ムッ

  • 5二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:02:01

    新たなやつだ!!

  • 6二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:04:33

    マリー「……」ムー

    イロハ「……」ペラペラ

    マリー「……」ムーッ

    イロハ「……はぁ」

    マリー「……」ムンッッ

    イロハ「トリニティのお清楚部分を煮詰めた、シスターフッドの方ですよね? あなた方からしたら、万魔殿に所属する私などと仲良くお料理なんてお嫌でしょう。なら、ここは自由にしていただいて――」

    マリー「イヤじゃないです!」

    イロハ「……わお」

    マリー「イヤだったらそもそも本日の当番をお断りしています! 事前にスケジュールが共有されて、イロハさんと当番になるって理解した上で参りましたもん!」

    イロハ「(とはいえ、マコト先輩から”足を引っ張ってこい”って言われただけで、私としてはこの方にいじわるする気はないんですよねぇ)」ポチポチ

    マリー「イロハさんっ」

    イロハ「(個人的にからかったら面白そう、とは。――思いますが)」

  • 7二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:05:12

    >>5

    今日は書き終わってるので一気にやりますん!

  • 8二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:09:09

    マリー「私たちは、あの会議の場でしかお会いしたことありませんし、正直言うと怖い人たちだなとは思いましたが、それでもこうやって一緒にお料理できるならといろいろ考えて――」

    イロハ「わかりましたわかりました。すみません、うちの議長からちょっとしたパワハラ受けてまして、一回ごねてみただけです」

    マリー「ぱ、ぱわはら……? 議長というのは、万魔殿の……?」

    イロハ「ぜんぜん無視してもいい話なので。わたし個人としては、あなたと料理するのは別にやぶさかではありません。トリニティの料理は、噂に聞けば非常にユニークであると伺っていますので」ニヤリ

    マリ「ユニーク……。あまりいい意味で使われているわけじゃないですね?」ムッ

    イロハ「そりゃ、ウナギをぶつ切りにして茹でるだけとか、キャベツを一玉丸々茹でるだけとか、パンも卵も野菜も全部油で揚げた朝食を摂るとか……。そういったものを普段召し上がられているのでしょう?」

    マリー「そっ――! 誰ですかそんなことを言ってるのは!!」

    イロハ「(先輩です)」

    マリー「そんな料理は――まあ……確かに一部では……。ですが!! そればかりではありません! トリニティ総合学園は非常に幅広く、歴史のある文化を持っていてっ」プンスコ

    イロハ「はいはい、どうどう。ここで我がゲヘナ学園伝統の料理を作り、あなたの鼻の穴を開かせてみたくもありますが、残念ながら私は料理はできません。なので、今回はあなたのお手伝いに徹しさせていただきます。どうしますか? まずはお湯? それとも油を熱します?」

    マリー「むー!」プクー

  • 9二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:11:41

    副題の意味が気になって調べたら料理名だった

  • 10二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:11:57

    マリー「じゃあ、今日は私が考えたメニューでよろしいんですね?」プンプン

    イロハ「かまいませんよ。先生が夜食をストックしてある場所は知っているので、口に合わずとも空腹は免れます」ニヤニヤ

    マリー「絶対! 美味しいって言わせてみせますから!!」

    イロハ「プディングとかなら、まあ、お腹にも溜まりますし、お菓子の範疇ですから味は期待できますね。何を作るんですか?」

    マリー「!」ズイッ

    イロハ「わっ!」

    マリー「まさに考えていたメニューがプディングでした! すごいです!」

    イロハ「は、はぁ。甘味ならば安心安全安定の――」

    マリー「ですが、甘くはありません。私たちがプディングと形容する食べ物はいろいろありまして……。本日作るのは、お食事に適した塩気のあるプディング――”トード・イン・ザ・ホール”というお料理です!」

    イロハ「とーど……トード!?」

  • 11二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:12:50

    イロハ「ゲテモノはさすがに予想外なんですが!?」

  • 12二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:14:45

    >>9

    ぱっと見料理名だとまったく思わない料理

    これから副題に料理名つけようかなってー思ってーわかりやすいかなーおもてー!

  • 13二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:20:29

    マリー「こちらが、本日使う食材ですっ」ズラッ

    イロハ「……」チラッ

    イロハ「……あれ? カエルは?」

    マリー「ふふふ。確かに、お料理の名前にはカエルとありますが、実際に使うわけではないんです。面白いお料理名ですよねっ」

    イロハ「卵、ウインナー、小麦粉、牛乳。……見た目は普通の食材ですね?」

    マリー「いえ、ほんとにカエルは使わないので……。あとは付け合わせにちょっとしたサラダと、ソースも作らなければなりません。さあ! しましょう、お料理!」

    イロハ「まあ、今日のお仕事もなかなかにハードでしたからね……。まったく、明らかにシャーレの案件ではないものにまで手を出して……。先生はもうちょっと手を抜くことを覚えないと」ブツブツ

    マリー「? 何かおっしゃいましたか? ところで、イロハさんは先ほどお料理はあまりされないとおっしゃっておりましたが……」

    イロハ「包丁握ったことがあんまりないですね。というか、皆無かもしれません。記憶の限りでは」

    マリー「んー、では包丁を使う作業は私がしますね。調理実習とかはされないのですか?」

    イロハ「実習? 調理室はパイプ爆弾を作る方々が屯しているので、危なくて近寄れません。一週間に一ぺんは盛大に自爆してますし」

    マリー「そ、そうですか……」

  • 14二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:24:21

    イロハ「ま、一応お手伝いはしますよ。先生にご迷惑をかけるのもアレですし。あまり難しいことはできませんが、まずは何をすれば?」

    マリー「では、その卵を4つ、ボウルに割り入れていただけますか? 私は他の物を用意するので」カチャ

    イロハ「それぐらいでしたら、お安い御用です」パカッ

    マリー「割り入れて頂いたら、塩を2つまみ、チリペッパーを……3振り。ブラックペッパーを、ミル3回転ぐらい入れて、よく混ぜますっ」

  • 15二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:28:14

    マリー「次は、小麦粉が50gぐらい……計り計り……よし」

    イロハ「卵を溶く、というのはどのあたりまでですか? 黄身の部分は潰せましたが」

    マリー「白身の、どろっとした部分がゆるゆるになるぐらいです。ちょっと疲れちゃうかもしれませんけど……」

    イロハ「この程度では疲れませんて」カシュカシュ

    イロハ「こんなもんですかね?」タラー

    マリー「はい、完璧です! そしたら、ちょっとずつ小麦粉を入れていくので、手を止めずにずっと、ぐるぐるかき混ぜてていただきますか?」ポフポフ

    イロハ「む……ダマになってしまいますね」カシュカシュカシュ

    マリー「最後に思い切りぐいーんって混ぜると、意外とダマは消えますので気にしなくても平気ですよ」ポフポフ

    イロハ「そういうものですか」カシュカシュカシュ

    マリー「……ではこれで小麦粉が全部入ったので、お願いします!」

    イロハ「い、意外と力仕事ですね……やりますけどっ」グィーン シャコシャコシャコシャコ

  • 16二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:31:42

    イロハ「お、重い……。右腕が疲れた……」

    マリー「お疲れさまです。ですが、ほら! さっきのダマなんて、消えてしまいました!」

    イロハ「ふふん。詳しくは知りませんが、なんだかケーキの生地のような粘り気ですね。このまま型に入れて焼くのでしょうか」ペトー

    マリー「いえ、ここに牛乳100mlを入れまして……最後に馴染ませるように、かき混ぜをお願いします」

    イロハ「うっ……。わかりましたよ。あ、でも、牛乳のおかげで生地がさらさらになって、幾分か楽になりますね」カシュカシュカシュ

    マリー「全体の色が均一に、プリンのような色になったら生地は完成です! あとはオーブンの予熱を200℃で準備、と……」ピッピッピ

    イロハ「ふむ。こんなものですかね」トロトロ

    マリー「生地はまだ使いませんので、布かラップをかけて、冷蔵庫で寝かせておきましょう。小麦粉に水分を吸わせるため、おやすみしていただく時間ですね」

    イロハ「……料理というのは手間がかかるものなんですね」ガチャ バタムッ

    マリー「手間というか……。他のことを準備している間、生地は使いませんので……。レシピというのは、複数の工程が存在する料理という作業を、いかに効率的に進められるかという計画書ですから。この後に発生する作業の前準備をしつつ、他のことをするための時間なのです」

    イロハ「万魔殿で料理したら、地獄が出来上がりそうです。美食の連中が求めるものや、給食部がキレ散らかしている気持ちが少しわかりますね……」

  • 17二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:36:16

    マリー「ではお次はウインナーを焼きましょう」カチッ ボッ

    イロハ「言って頂ければお持ちしましたのに。ゲヘナの腸詰は他自治区でも評判なんですよ?」

    マリー「実はトリニティでも流通しているソーセージは、ゲヘナのものも多いです。多分これもそうじゃないでしょうか?――あ、やっぱりゲヘナ産です」パッケージ ウラ

    イロハ「……そうなんですか? トリニティへの輸出はかなり絞っていた気がしますが。それに、これはソーセージではなくウインナーです。サイズが違います」

    マリー「うー……。どういった経路で流通しているかまでは、私のような若輩には理解の及ぶものではありません……」

    イロハ「どこか別の自治区を経由している可能性がありますね。後ほど調べさせてみますか」

    マリー「……べつにご迷惑をおかけしているわけでは」

    イロハ「ああいえ、誤解しないでください。こういうところで悪だくみするやつがわんさといるので。産地偽装してるとか……。それに、トリニティで需要が高いならマコト先輩は嬉々として輸出を増やすはずです。『奴らの口と胃を染め上げてやれ。キキキー』とか言って」

    マリー「あの、底が知れない万魔殿の議長様ですか。正義実現委員会のツルギ委員長と少し似ている……」

    イロハ「尊敬に値する方ではありませんけどね。ツルギさんほど戦闘タイプでもありませんし。ですが、今のゲヘナにはあのぐらいの方がいいんですよ。ええ」

  • 18二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:43:49

    マリー「私はさらに次の工程の準備を……玉ねぎをみじん切っておきますので、焼きはお任せしても?」ホウチョウ

    イロハ「かまいませんよ。ゲヘナの生徒として責任をもって焼いときます。にしても、ずいぶん皮の薄いしっとりしたウインナーですね? ウインナーならばもっと皮の厚くパリっとしたものが美味しいでしょうに」

    マリー「私も、そういうウインナーを朝食にいただくのが好きです。けれど、こちらのレシピではしっとりしたものの方が良くてですね。本来は生ソーセージが一番なのですが、トリニティ内では人気があって、なかなか手に入らないんです」

    イロハ「それこそご連絡いただければ用意しましたよ。こちらでは加熱したものも、生のものも、同量程度流通していますし、手に入らないということはまずないです」

    マリー「だってご連絡先知らないですもん……。先生経由で頼むのも、ほら……」スッ トントントントン

    イロハ「お、お見事な包丁さばき」

    マリー「シスターフッドはほぼ毎日、食堂ではなく部内で調理していますので。この程度は」フンスッ

    イロハ「大変ですねぇ。……ああ、そういえば先生、制度だっていうのに”テーブルに着くまでメニューはナイショにしといてね!”って、なんだか浮かれているようなことをおっしゃっていました。この制度、もしかして女子高生の手料理が食べたい先生の私欲なのでは」ニマニマ

    マリー「あはは……同じことをおっしゃっていました。ですが、こうして万魔殿の方といっしょにお話する機会というのも、貴重ですから」トントントン パラパラ

    イロハ「それは確かに。私もシスターフッド……しかもサクラコさんのお気に入りの方とこうしてゆっくりお話するとは、夢にも思いませんでしたから――っと、焼き目がついたので、とりあえず火を止めますね」カチッ

  • 19二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:44:55

    昔のテレビ番組で豚一頭を解体してソーセージなどを作る工程を見て、食える箇所は一つ残らず食うという執念を感じた

  • 20二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:48:01

    イロハ「ウインナーどうします?」

    マリー「この油を薄く塗ったオーブン皿に並べていただけますか?」

    イロハ「はぁ、油を……。やることが細かいというか、マメですねー」

    マリー「このあとに先ほどの卵液を入れるので、こうしないとくっついてしまうんですよ」

    イロハ「なるほど。たまにありますね、グラタンのはしっこの部分とか……。あそこはあそこで、イブキが大好きでして」

    マリー「あの背の小さいかわいらしいお方ですね! いつかいっしょにお料理してみたいなぁ……」

    イロハ「機会があれば連れてきますよ。もしかしたら議長も付いてくるかもしれませんけど」

    マリー「あはは……お手柔らかに。それに、実は1度、油を塗らずに焼いてしまったことがありまして。その時は……シスターフッドの皆さんが、スプーンで必死にこそぎ落としながら食べる、申し訳なさでいっぱいの夕食になりまして……」

    イロハ「あはははっ。ちょっと見て見たい光景ですね、それ。うちの給食部でそんな状態になったら、手りゅう弾が投げ入れられます」

    マリー「そ、そうなのですか? 私はお優しい方々に支えられ、援けられてばかりです。……あ、ウインナーはなるべく、端に付かないよう、真ん中に寄せていただく感じで……」

    イロハ「ふむふむ」

  • 21二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:50:17

    >>19

    ブラッドソーセージだハギスだ……食べてみたいけど……臓物食べられない私からしたら無謀なソーセージ……。

    でもハギスに捧げる詩を詠んで食べる一連を経験してみたい

  • 22二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:52:19

    マリー「そしたら先ほど冷蔵庫に入れておいた生地を一度攪拌し、ウインナーにかぶせないように、ゆっくりと慎重に注ぎます……」トロトロ

    イロハ「めんどくさくないです? そのままダバっといれてはいけない理由があるんですか?」

    マリー「このお料理で一番重要な工程と言っても差し支えありません……!」シュウチュウッ

    イロハ「そ、そうですか……」

    マリー「隙間がないように……均一に……。ウインナーがちょっと顔をのぞかせる程度の嵩まで……できた!」トロッ

    ピッピッピ

    マリー「オーブンもちょうど予熱が終わりましたね!」

    イロハ「計画書。なるほどです……。時間のかかる作業を並行して行うマルチタスク能力が重要ですか。……給食部の部費の値上げを考えましょうかね」

    マリー「器具さえあれば、生地を溶いて、ウインナーを焼いて、オーブンに入れるだけなので、大量調理にも対応できるとは思います」

    イロハ「4000人の昼食でもいけますかね?」

    マリー「それは無理ですね……。いや、でも焼成の方法によっては……少なくともシスターフッドの部員分は問題なかったわけですし……」ブツブツ

  • 23二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:55:52

    マリー「ま、まあ、とりあえず。あとは、予熱の終わったオーブンで、30分。いつも途中で取り出しますが、焼き色を見ながら調節する方法でやらせていただきますね。というか、そうじゃないとわたし失敗しちゃいますので……。焼き過ぎたり、焼きが甘かったり……」

    イロハ「ここまで来たら信頼していますよ。本日はマリーさんの指示で動きます」

    マリー「指示なんてそんな……。それに、メインの方はほとんど終わりましたから」

    イロハ「焼きの時間は休憩ですか?」トスン

    マリー「いえ、違います!」

    イロハ「……お料理というのは大変ですね」ハァ

    マリー「実はこれだけではほとんど味がないものでして。ウインナーの塩気はありますが、人によっては薄いかもしれません。なので、ソースを作ります」

    イロハ「ソース……それはまた、時間のかかりそうなものですね。ここまででおよそ30分弱。さらに時間を?」

    マリー「とはいっても、すごく簡単なソースで……」

    イロハ「調味料を合わせるだけでしたら、確かに時間はかかりませんか」

  • 24二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 00:59:12

    マリー「まず鶏ガラを煮込みます」

    イロハ「鶏ガラですね……ん? それは、どの程度時間がかかるのですか?」

    マリー「三日ほどですかね?」

    イロハ「三日!?」

    マリー「煮込めば煮込むほど濃厚なチキンストックになりますので……。そのあと大量の香味野菜を入れて6時間ほど煮込んで、玉ねぎを1時間かけてゆっくり炒め……」

    イロハ「ちょ、簡単なソースって言ったじゃないですか! 日を跨ぐ調理を簡単とは……トリニティだとそうなんですか!? 面倒を超えています!」

    マリー「ふふ。冗談です♪」

    イロハ「……」

    マリー「あぅ……すみません」

    イロハ「いえ……。シスターの方の冗談は冗談に聞こえないということを学ばせていただきました」

  • 25二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:00:29

    マリー「ほ、ほんとに簡単なレシピですのでっ。えと、まずは油を敷いて、さきほど刻んだ玉ねぎを炒めます。イロハさん、すみませんがお鍋にお湯を……4分の1ほど入れて、沸騰させていただけますか?」ジュゥゥゥ

    イロハ「ああ、はい……わかりました」ジャーッ カチッ ボッ

    マリー「玉ねぎは色づくまで。焦げが出始めるあたりまで、弱中火で手早く、しかしゆっくりしっかりと……」

  • 26二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:05:12

    イロハ「ぼこぼこし始めましたよ」

    マリー「そしたら、そこにある四角いキューブを指で砕きながら入れていただいてもいいですか?」ジャッジャッ

    イロハ「了解です。柔らかいですね。これは?」ポロポロ

    マリー「チキンコンソメです。チキンストックの代用品ですが、こちらも十分美味しいですから」

    イロハ「さっきの日を跨ぐスープですか……」

    マリー「いえ、市販品が売っていますので、自分で作るのはあまり……。ただ、ちょっと買い忘れちゃって。それはここに来る前、下のコンビニで買ってきたものです。あまり、こっちには売っていないんですよね」

    イロハ「ああ、D.Uっていろんな自治区の食材が扱われてはいますが、かゆいところに手がとどかないって聞いたことがありますね。たしか、下のコンビニの、ソラさんに言えばある程度は仕入れていただけるみたいですよ」

    マリー「そうなんですか? 汎用性が高いので、ちょっとお願いしてみようかな……。ん、玉ねぎも良い感じに色づきましたので、バターを少しいれて、風味を付けましょう」パチパチパチ

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:10:00

    マリー「そして、イロハさんに作っていただいたスープを……入れます」ジュワァァァ

    イロハ「オニオンスープみたいな見た目になりましたね」

    マリー「言われて見れば。そのまま飲めると思いますよ。実際、作るのはいろいろな工程を省いたグレイビーソースのようなものなので。コンソメキューブのおかげで、だいぶ楽をさせていただいております」

    イロハ「さすがに三日も使っていたら、先生干からびてしまいそうですしね」

    マリー「そうなる以前に、私もお勤めがありますから……。イロハさんだってお仕事がおありでしょうし。時折、煮込みたくなる気分の時に作るぐらいです」

    イロハ「え、いや、本当に実行されてるんですか……」

    マリー「考え事とかする時に煮込み料理ってなんだかちょっと良くて……。さて、フライパンで煮立たせつつ、塩を1つまみ、ウスターソースを半分ぐらいの円で2回し、お砂糖を大匙半分ぐらい。お好みで香草……オレガノやタイムを入れてもいいかもしれません」パッパッパッ

    イロハ「――んっ。いい香りですね」

    マリー「玉ねぎの甘い香りと、チキンコンソメの濃厚でスパイシーな香り。これを作っている間はお腹が減るんです……」グゥ

    イロハ「ふふん。でしたら……」ゴソゴソ

    マリー「?」

  • 28二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:12:57

    イロハ「料理している人の特権でしょう? ”味見”は」スプーン

    マリー「!」

    イロハ「さあさあ、下手なものを先生に出すわけにはいきませんから。一口、一口だけ……」

    マリー「ま、待ってください!」

    イロハ「……むー」ケチンボ

    マリー「いえ、そういうわけではなく……。ここに、小麦粉を大匙1ほど入れて、とろみをつけます」サラサラ

    イロハ「ああ……まだ工程があったと。スープではなく、ソースですもんね」

    マリー「ヘラで引いたとき、一瞬だけ底が見えるぐらい煮詰めたら……完成です! さあ!」

    イロハ「?」

    マリー「”味見”のお時間です」ニコッ

    イロハ「!」ニヤリ

  • 29二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:15:37

    イロハ「では……」

    マリー「とても熱いので、よく冷まして……」フゥ フゥ

    パクッ

    イロハ「これは……。簡単といいつつ、ちゃんと美味しいですね。ちゃんとお肉のスープのような濃厚さと、弾ける玉ねぎの香りと甘みがあります。食感も良い」シャクシャク

    マリー「個人的にはもう少し煮詰めるか、甘い方が好みですが、これぐらいがクセもなく基本的で良いかもしれません。味付けはこれで決まりとしましょう」シャクシャク

    イロハ「おっしゃる通り、清涼感のある香りづけは合うかもしれませんね」

    マリー「フレッシュのローズマリー、タイムなどがあれば一番ですが……どうします? ここからなら香りづけできますよ?」

    イロハ「いえ、先生のお口にも入るものですから、マリーさんが基本的とおっしゃるならここでやめておきましょう。好みはおいおい聞いて、次回に生かすという形で。私も、これはこれでとても美味しく思います」

    マリー「そうですね。……このソースが、ふわふわでもっちりした卵生地によく合うんですよ。ドレッシング代わりにもなりますから、付け合わせのサラダも一緒にいただけて一石二鳥だったりもします」

    イロハ「ほう……。あの液体がそんな感じになるんですね」

    マリー「卵の他に小麦粉がたっぷり入ってますからね。卵と小麦粉。味付けは最小限。冷蔵庫でよく冷やしてから焼くと、サクふわもっちりした不思議な食感になるんです。それに、今回入れたウインナーはハーブとレモンの香りづけがされていたものなので、きっと噛み締めるとソースに香りを入れずとも、さわやかな香りがするはずです!」

    イロハ「組み合わせ次第でレシピが変わるんですね……。自分でいろいろ試せるというのは、ちょっと楽しそうです」

  • 30二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:18:41

    イロハ「あ、オーブンの方はどうでしょう。そろそろ20分ぐらい経ちますけど」

    マリー「もうそんなに経ちますか。そろそろいい具合だと思いますよ」

    イロハ「どれどれ……わっ!」

    マリー「! も、もしかして焦がしちゃいましたか!?」

    イロハ「い、いえ。ただなんというか、爆発してるというか……」

    マリー「どれどれ……。ふふ。違いますよ、イロハさん。これは成功しています」

    イロハ「そ、そうなのですか。三倍近く膨らんでいるので驚きました……」

    マリー「卵をたくさん使っていますからね……。ケーキだって、ふっくらふくらむでしょう? あともうちょっとだけ焼いて、焦げ目を付けましょうか」

  • 31二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:20:19

    ――……。

    マリー「……うん! もういいでしょう! 申し訳ありませんが、そこの台にスペースを作っていただけますか? 天板はすごく熱いので、取り出したらそこに置かせていただきます」

    イロハ「わかりましたよー。ボウルやまな板は流し台に突っ込んじゃいますね」

    マリー「ありがとうございますっ。よい、しょっと」ガチャン

    イロハ「お気を付けを。――こうして見るとほんと、すごい膨らみましたね。ウインナーも生地に持ち上げられて……。パンみたいです。あ、でも柔らかくて、すこしプルプルしてる……」ツンツン

    マリー「えへへ。楽しいですよね、このお料理。この見た目こそが、”トード・イン・ザ・ホール”の由来なんです」ニコニコ

  • 32二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:24:06

    イロハ「そういえば、少し前にゲヘナの水辺でカエルが鳴き始めましたんですよ。水辺というか、温泉開発部が爆破した穴に雨水が溜まった場所なんですけど」

    マリー「そうなんですか。トリニティは気温が低いので、すくなくとも昨夜時点ではまだ……。あの声を聞くと、春が来たなぁって思うんです」

    イロハ「お嬢様方はお花で季節を感じるのかと思ってました。カエルでですか。あはは、面白いですね。カエル、カエルで」

    マリー「い、いや、お花も確かに……! でも、ほとんど同じ時期に例えばですねっ! 夜、宿題をしているときなんかに遠くでカエルの声が聞こえてくると「あ、春だなぁ」って! 思うだけですから!」アセアセ

    イロハ「まあ言われて見れば、風物詩って感じはしますか。意識したことはないですけどね。少なくとも私は」

    マリー「うぅ……」

    イロハ「トード・イン・ザ・ホール……穴の中のヒキガエル。生地に埋もれるようなウインナーが、カエルですか。ふふ。訪れた春と未だ冬の、どちらのお料理なんでしょうね」

  • 33二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:26:07

    イロハ「さて、では先生に連絡をしても?」

    マリー「あ、はい。よろしくお願いします。私はテーブルと、お飲み物の支度をしますね」

    イロハ「はーい。……返ってくるの早っ。ええと、あと10分くらいでいらっしゃるそうです」

    マリー「ありがとうございます。オーブン皿も良い感じに触れるぐらいの温度になる時間ですね。では、テーブルナイフと、フォークと……」

    イロハ「……」

    マリー「あ、お紅茶……。よりも、イロハさんはコーヒーの方が?」

    イロハ「そうですね。私はコーヒーでお願いします。……マリーさん」

    マリー「はい?」

    イロハ「これ、私のモモトークアカウントです。よければ、連絡先を交換しませんか?」

    マリー「え……それはもちろんかまいませんが、えっと?」

  • 34二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:28:33

    イロハ「産直のソーセージ。外部には輸出していない、ゲヘナでも一部でしか取り扱っていない代物があるんです。よろしければ、今度手に入ったときにおすそわけしようかと思いまして」

    マリー「そんな良いものをいただけるんですかっ」

    イロハ「本日はいろいろと学ばせていただきましたので。そのお礼とでも思ってください。……あ、マコト先輩にはナイショですよ。めんどくさいので」

    マリー「うわ、うわわ、ありがとうございます! しかし、シスターフッドは清貧を是としておりまして……。それに見合うお品物のお返しが……」

    イロハ「いいですよそんなの。律儀です――あ、そしたら、イブキが好きそうな何か甘いお菓子をくださいよ。トリニティにはいろいろお菓子があるでしょう?」

    マリー「――……はい! シスターフッドで作ったお菓子はもちろん、美味しいお店だってたくさんありますから! あ、でしたらぜひイブキさんを連れて一度教会の方へ遊びにいらしてください。大歓迎いたします! そうだ、ナギサ様のロールケーキも……」

    イロハ「はは……さすがに教会に行くのはいろいろと問題が……。ですが、いつかはそうですね。お邪魔させていただきましょうか。うちのアレがうるさいので、すぐにとはいきませんが。個人的にこっそり伺えるタイミングがあれば、連絡しますよ」

    マリー「ぜひ、お待ち申し上げていますっ♪」

  • 35二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:29:27

    ――……。

    ガチャ

    ”いやあ、お疲れさま!”
    ”すぐそこで撃ち合いがあってさあ、ちょっと遅れちゃった”

    イロハ「遅いです先生。すっかり生地がしぼんでしまったじゃないですか」

    ”生地? しぼむ?”
    ”うわあ、初めて見る料理だ!”
    ”これは……ケーキ、じゃないね。ウインナー入ってるし”

    マリー「お疲れさまです、先生。今切り分けますね」

    ”マリーもお疲れさま”
    ”二人で作ったんだよね”
    ”初めての試みだったけど……どうだった?”

    イロハ「二人と言うか……。私はマリーさんの指示で動いただけなので。そもそも料理できませんし」

    マリー「いえいえ、お料理できないなんてとんでもない。生地を作ったのはイロハさんです。随分助けていただきました」キコキコ

    イロハ「作ったと言うより混ぜてただけですけどね」

  • 36二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:31:53

    マリー「今度、教会の方に遊びに来ていただくお約束もしていただきましたし、新しい知見も得られて。――とても、とても楽しい時間でした!」

    ”えっ”
    ”トリニティに? しかもシスターフッドの教会に!?”

    イロハ「いやいや、不確定な話ですよ。公式に赴けるわけがないでしょう。ただまあ、イブキが喜びそうなんで。トリニティのお菓子は、絶対に好きですから」

    マリー「いっぱいご用意してお待ちしてますっていうお話を、つい先ほど。スイーツ部の皆さんにもアドバイスをもらって、ナギサ様のロールケーキもご用意しましょうって!」ウキウキ

    ”そ、そうかぁ……”
    ”よかった、よかったよ……”
    ”二人が一番最初で、ほんとよかった!”

    イロハ「この制度が公布されて、しかもいきなりトリニティの方と当番を組まれたので何か意図があるとは思いましたが……。ま、ご期待に添えたようでなによりです。ですが、うちにはマコト先輩が居ることをお忘れなく、先生。うるさいですよ、あの人は」

    ”ま、まあ”
    ”実はさっき連絡来たんだけどね……”

    イロハ「私もです。見なくていいですよ。あれがあるから帰ってこい、これがあるから電話させろ。足を引っ張ってこい、トリニティのシスターを堕落させろ、等々……。全部無視しましたけどね。まとめるとすべて”嫌がらせして来い”に帰結しますので」ハァ

    マリー「あはは……。あの、お話は食べながらにしませんか? 冷めても美味しいですが、どうせなら温かいうちに召し上がっていただきたいので」

  • 37二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:35:37

    イロハ「(……先生にも連絡するとか、ほんともうあの人は……。なら、ここは帰ってからのお小言を少しでも減らすために……。すみませんね、マリーさん)」

    ”ごめんごめん”
    ”じゃあさっそくいただこうか!”
    ”ちなみに、これはなんていう料理なの?”
    ”マリーのレシピってことは、トリニティの料理だよね”

    マリー「ええ、そうです。伝統的なトリニティのプディングで……」

    スッ

    マリー「?」

    イロハ「ええ。これはトリニティに伝わる、カエルの肉の腸詰を使った料理だそうで」

    マリー「イ、イロハさ――むぐっ」オクチ オサエ

    ”カエル!?”

    イロハ「そうです。”トード・イン・ザ・ホール”。”穴の中のヒキガエル”。冬眠しているカエルを捕まえ、厳しい冬を超える人間とカエルの生存競争を表した、寓話的料理だそうです」

    ”そ、そんなものがトリニティに……”
    ”ううっ……。でもカエル肉って美味しいってよく聞くし……これも勉強だと思って……!”

    マリー「むぐむぐっ」

  • 38二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:36:28

    イロハ「競争に打ち勝ったカエルたちの勝ち鬨を聞きながら。敗者をむさぼる哀れな子羊になろうではありませんか。では――」ニヤニヤ

    ”「いただきます!」”

  • 39二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:37:07

    マリー「ぷはっ。ち、違いますから! それ、普通のウインナーですからね!!」

    ~Fin~

  • 40二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:39:20

    何と言うか、可愛い
    より仲良くなれ

  • 41二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:40:06

    あい、終わりです。
    今夜もどうもありがとうございました!

    投稿しながら
    生地は小麦粉ではなくホットケーキミックスで、メープルシロップかけても美味しいんじゃないかと思いました。
    したっけマックのグリドル的な料理になるとおも

    意外と見た目よりお腹に溜まる卵料理でした!
    イギリス料理だよ。まずい料理しかないわけじゃないよ!

  • 42二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:41:31

    >>40

    イブキをかすがいにして万魔殿とトリニティでエデンしようぜ……

  • 43二次元好きの匿名さん25/04/07(月) 01:44:32

    次回はどのキャラにしようか……。
    組み合わせするようにしてから毎度悩む。
    料理はともかく……。

    マッシュルームケチャップも出来あがったし、チキンナゲットでも作ろうかな……。

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