- 1二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:35:28
一日のトレーニングも終わり、書類仕事を片付けていた時。
「トレーナーさん!」
フクキタルがノックもそこそこにトレーナー室に飛び込んできた。全力で駆けてきたのか、頬は赤く染まっている。
「どうしたの?」
「これ、使ってください!」
そう言ってフクキタルが手渡してきたのは未開封のオレンジ色のリップ。
「どうしてこれを?」
「先ほどトレーナーさんの今後を占ってみたのですが、この色のリップをつけると吉、と出たのです! なのでひとっ走りして買ってきました!」
何たる行動力。占いのために全力で駆け回る様は彼女らしい。
「気持ちは嬉しいんだけど……派手すぎないかな? こういうのはもうちょっと若い子が使ったほうが……」
「何の問題もありません! 何故なら占いがそう言っているので! ……それに、トレーナーさんは十分若々しくて美人さんですから」
「そうかなぁ?」
最後のほうは小さくて上手く聞き取れなかったが、フクキタルがそこまで推すのなら使ってあげたほうが喜ぶだろう。ここはありがたくもらっておくことにした。
「それでは、明日はそれをつけて来てくださいね! 運気の上がるリップをつけてパワースポット巡りをすればトレーナーさんの人生は順風満帆、バラ色ハッピーです!」
……いつの間にやら週末の予定を決められてしまった。まぁ、特に予定があるわけでもないし、担当の趣味にとことん付き合ってあげるのもトレーナーとしての私の役目だろう。
「ではまた明日! さようなら~!」
「ええ、また明日」
トレーナー室に飛び込んできた嵐は、勢いそのままにまたどこかへ去っていった。
……それにしても、このリップの色。
「フクキタルの髪に似てるなぁ……」 - 2二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:36:11
おぉ~~~ええやん
ちょっと死んで来るわ - 3二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:36:29
フクちゃんったらまぁもうやだ~好き
- 4二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:38:44
自分の色に染めようとしてるッ
- 5二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:39:47
自分の色(物理)
- 6二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 18:42:20
続きはあるのかい
- 7二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 19:55:49
担当の髪色のリップをつけるトレ♀概念は良い
- 8二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 20:52:06
フクキタルはこういう事やる
- 9二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 21:36:52
「トレーナーさ~ん! おはようございま~す!」
週末、フクキタルとパワースポット巡りをするという約束の日。約束の時間より少し前に学園の門の前に行ってみれば、フクキタルがこちらに向かってぶんぶんと手を振っていた。
「おはよう、フクキタル」
「トレーナーさん、ちゃんとリップつけてきてくれたんですね!」
私の唇には昨日フクキタルに渡されたオレンジ色のリップが塗られている。何でもこれをつけると吉なんだとか。
「変じゃないかな?」
「変じゃないですよ! よく似合ってて素敵です!」
「ありがとう」
お世辞……かどうかはわからないが、まぁこうも直球で褒められると嬉しい。
「では早速参りましょう!」
フクキタルがこちらに体を寄せた時、いつもとは違う甘く優しい匂いが鼻腔をくすぐった。
「香水を使ってるの?」
「あぁ、そうでした! 今日は運気が上がるようにとフクシアの香水をつけてきたんです!」
フクキタルはそう言って綺麗な色のボトルを取り出した。
「フクシア?」
「はい、先日誕生花について調べていたら見つけたんです。私の誕生日……5月22日の誕生花、フクシア!」
「へぇ……あまり馴染みはないけど、何か縁起がいいの?」
「名前に『フク』ってついてるので多分そうです!」
どうだろうか。まぁ、フクキタルが嬉しそうなので良しとしよう。
「せっかくなのでトレーナーさんもどうぞ! フクは分け合ってこそですから!」
「あっ、ありがとう」
フクシアの香りがふたりの間を満たす。
「えへへ……トレーナーさんと私、おんなじ香りですね」
その日は機嫌良さそうに足取りを弾ませるフクキタルと一日中過ごしたのだった。 - 10二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 23:10:13
フク→トレ♀の占いにかこつけたアピールは健康寿命に良い
- 11二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 11:06:20
フクトレ♀は良い……