- 1二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 01:31:14
ふらふらとする体を気力だけで動かして才羽ミドリは荒廃した街を歩き続ける
亡き友の銃を抱え、先の戦いで限界を迎えつつある双子の姉を背負い、あるかも分からない希望を信じて。
『モモイ、ミドリ、そろそろ目的地ですよ』
通話越しに彼女は淡々と、でも少し明るく話しかけてくる。
「ヒマリ先輩…残念ですけど、何もなさそうです。」
こんなに荒れた街だ
“あれ”に対抗する道具どころか、普段使いの武器すらまともにあるとは思えない
『いえ、元よりこの街自体には目的はないのです。…元が栄えていた場所ではあったので多少は期待してしまっていましたが』
ヒマリは残念そうにそう言うと、ミドリにある座標を告げる
『ゲマトリア。神秘を追求する探求者達がかつてエデン条約調印式の混乱に乗じて作り上げた物がそこにはあるはずです。』
「分かりました先輩。…洞窟?」
ミドリは送られてきた座標を元に瓦礫に埋もれた洞窟に入る
そこにはあった。エデン条約締結し、ハッピーエンドを迎えようとした矢先に暴れたゲマトリアの教義 『ヒエロニムス』が。
「ありましたよ!」
『ええ、本当に良かったです。非無機物でありながら、多大な戦力を持つそれなら…もしかしたら通用するかもしれません』
「…!どう起動するんですか」
言葉にこそ出さないがミドリの声には喜びが含まれていた。
『少々お待ち下さい。少し模索します。ですが、確実な方法が1つ。祈ることです。』 - 2二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 01:31:37
「そ、そんなんで大丈夫なんですか?」
想定外の返事に少し素っ頓狂な声が出てしまう
『…私は真面目ですよ?こほん、トリニティ総合学園の生徒たちの祈り、及び幸せな結末を望んだ2つの学園の祈りを歪曲したものがこれです。あなた方2人と私では限界はあるでしょうが、“あれ”のくるギリギリまで祈りましょう』
そう言うとヒマリは黙り込んで作業を始める
その様子を見たミドリは抱えていた姉をおろし、応急処置をする。
そしてヒエロニムスに向かってこの悲しみが無くなるように祈る
祈り初めて10分ほどたっただろうか。お姉ちゃんが意識を取り戻した
「うーん、ミドリ?ありがと…」
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
「おかげでね。…ところで、これは?」
目覚めたお姉ちゃんはわたしに礼を言うとすぐにそれを聞いてくる。もうちょっと自分の事も心配してほしいんだけどなぁ。
内心そう思いながらも、ミドリはヒマリに教えてもらった内容を説明する
「…じゃあ私も祈るね」
そう言うとモモイも手を合わせ祈る
「この事件が解決して、またみんなで過ごせますように」 - 3二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 01:39:04
SS書くにしてはすごい時間に立ててる…期待で保守しとこう
- 4二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 01:48:59
神スレの予感
- 5二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 02:06:30
祈り続けて30分はたっただろうか。
目の前のそれは軋む音を立てる
『起動したようですね。後は備えるだk』
不快なノイズがはしり、白色のドローンの通話がきれ、地面に墜落する。
それと共に“それ”は現れた
生物とはとても言いがたく、もはや1つの巨大な構造物と化したそれ。その中心には黒いドレスを基調とした、赤色のヘイローを持つ少女がいた
わたしたちの大切な仲間であったアリス。
その本来の性質である『名も無き神々の王女』
「アリス!戻ってきて!」
お姉ちゃんのその呼びかけも虚しくアリス、いやAL-1Sはわたしたちに攻撃してくる。
構造物が形を変形して目の前で呼びかけるモモイを襲う
元々私たちの校舎であったミレニアム。それを分解・再構築した彼女は圧倒的な物量を元にした飽和攻撃をしてくる
それをとっさにステップで避けてお姉ちゃんを抱えてまた避ける。
「お姉ちゃん!戦うしかないよ!何度も説得したけど駄目だったよね!?」
「う、でも!アリスは…」
「そうやって戦ってきて、時間を稼いでくれたユウカたちや、ユズちゃんも犠牲になったんだよ!苦しいけど…戦うしか…」 - 6二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 02:17:14
お姉ちゃんは良い意味でも悪い意味でもお人よしだ。 自我がないとはいえ、ここまでむちゃくちゃにしてしまったことを許せるかも私には分からない。ただそれでも、わたしだって、できる事ならアリスちゃんを取り戻したい。でも、それはもう可能性と呼ぶには無理があるし、幻想と言った方が正しいだろう…
かつての仲間に銃を向け、己の想いを殺してミドリは銃撃を放つ。
が、AL-1Sはそれを無効化し、それだけでなく、弾丸を吸収する
「…やっぱ銃は効かないか」
ミドリはその動きに既視感があった
要塞都市エリドゥ。リオに殺されようとしたアリスを助けるために訪れた場所。そこで見たアビ・エシェフと同じ動きを王女はする。
「となると、今できるのはあれが完全に起動するまで耐えるだけかな」
相変わらず続いている攻撃を避け、避けれない物は、銃撃で相殺、もしくは破壊する。
正直ミドリの考えは賭けではあった。アリスの復活を望むのと同じように奇跡に依存している。ただ、ミドリは賭けに勝った
祈りが通じたのだ
ミドリの前で大きな爆発が起き、王女の攻撃を相殺する
それと共に、地響きをならし、ヒエロニムスが立ち上がる。 - 7二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 02:40:09
回歴するってタイトルでスタドリしか思い浮かばなかった
風信子ってヒヤシンスの別名なのね、期待 - 8二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 02:40:25
ヒエロニムスの攻撃は今までの私たちの攻撃とは違って明確にAL-1Sに通用していた
爆発…こそしているが、攻撃として見るならまるで魔術みたいな、そんな攻撃。今までの兵器とは違い、吸収はできないみたい
ただ、AL-1Sは甘くはなかった。
構築している構造物を作り替え、二丁の銃のような形となり、ヒエロニムスに銃弾を撃ち込む
瞬間に60発以上の玉がヒエロニムスを襲った
「…え?!嘘でしょ…あれネル先輩の」
ミドリの気づいたようにこの攻撃はネルの銃を再現し、技すらも再現してしまっていた
ヒエロニムスも流石に堪えたようで、うろたえる。その隙を見逃す訳も無く王女はまた新しく攻撃をしてくる。
構造物が砲台のように形をかえ、ビームを放つ
アビ・エシェフを思わせるその攻撃がヒエロニムスを襲う
「ミドリ…あれはまずいよ!」
「分かってる。」
あれに当たればひとたまりもない
ミドリはユズの銃を構え、急いでグレネード弾を撃ち込む
相殺こそできなかったがだいぶ軽減できたのか、ヒエロニムスは体勢を立て直し、最大級の火力を叩き込む
王女も再構成が間に合わず、防御を貫通し、大ダメージをくらったようだ。遠目に見てもアリスのボディは欠損している事が分かる
このまま押していければ! - 9二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 02:47:59
が、そんな淡い希望をあざ笑うが如く、無慈悲にも平坦な機械音声が響く
『プロトコル:アトラハシースの箱舟の主砲』
そうつげると、王女を纏う構造物が大きくうねり、唸り1つの巨大なレールガンを作り出す。
それは、かつてアリスが光の剣・スーパーノヴァと名付けて使っていた勇者の証明と瓜二つな巨大な主砲であった。
かつて勇者としてこの地を救ってきた剣は魔王の杖となり、希望を貫く
主砲から放たれた光はヒエロニムスを貫き、ミドリに向かってとんでくる - 10二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:00:08
ああ、…もしかして死ぬのかな
ヒマリ先輩。生き残ったみんなのこと…よろしくお願いします
ごめんねユズちゃん。私もそっちに行くよ
ごめんねアリスちゃん。助けてあげれなくて
ごめんねお姉ちゃん。1人だけ残しちゃって。
もはや諦めの中ミドリはそっと目をつむる
その直後、右肩に衝撃を感じる
だが、死ぬような痛みではない。それどころか優しさすらも感じる衝撃だった
目を開け、ゆっくりと痛みを感じた方向を見る
…才羽モモイが倒れていた - 11二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:21:50
「…っ!お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
返事がない
近づきながらまた叫ぶ
「お姉ちゃん!ねえ!お姉ちゃんってば!っ…!うぅお姉ちゃん!!」
返事がない。ヘイローが点滅する。
「お姉ちゃん!ねえ、お願い!おねえちゃん!!!」
返事がない。ヘイローに亀裂が入る
揺さぶってまた叫ぶ
「お姉ちゃん!起きてよ!ねえ!お姉ちゃん!お姉ちゃんってば!お願い!頼むから!起きてよ!!お姉ちゃん!おねえちゃん!!!」
返事がない。自身のヘイローにも少し傷が入る
「おねえちゃん…おねえちゃん!うぅぅ。あぁねえ!おきてよ!おねえちゃん!!!」
姉としての気力だろうか。うっすらと目を開く。
「みど…り。なかないで…」
「おねえちゃん」
「ごめ…ね…。でも、だ…じょう…ぶ。ミドリは、わた…のじまんの…いもうと…だから。」
息も絶え絶えななか最後の気力を振り絞る
「じぶんを…せめないで…くるしくても…さい…ごには…はっぴ…えんどがまってるよ。」
ヘイローが砕けた - 12二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:34:13
「うぅお姉ちゃん…なんで。」
亡き姉を抱きしめて泣き続ける。自身のヘイローに亀裂が入る。それでも泣き続ける。王女の攻撃がとんできても避ける事が出来ず当たる
そうなるはずだった
刹那、摩訶不思議な事が起きた
割れたモモイのヘイローの粒子が寄り添うようにミドリのヘイローに纏わり付いて、ヘイローを修復したのだ
それだけでない。倒れたはずヒエロニムスが呪文を唱え、青い光がミドリを包む
攻撃を受ける直前、ミドリはこの世界から姿を消した - 13二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:37:52
BADEND(王女覚醒)の世界線のミドリが本来起こりえない奇跡によって、本編世界線に転移し、生き抜くお話です。
幸せを掴み、2つの世界を救うまで - 14二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:42:03
ミレニアム勢のシリアスはいいぞ……
- 15二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 03:43:27
- 16二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 12:43:56
ほしゅ
- 17二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 14:33:53
トリニティ総合学園 通功の古聖堂前
「えっと、ここでよかったかな?」
聖園ミカはマップで確認し、中へと入る
「ナギちゃんも私にこれを任せるのはどうかと想うけど」
エデン条約。連邦生徒会長がゲヘナとトリニティ間の和平条約として進めてきた条約。その調印会場として選ばれた古聖堂の下見を任された彼女は不服そうにそう呟く。
「なんで、ゲヘナ嫌いの私にこの仕事をさせるかなぁ」
ゲヘナとトリニティの溝は深く、互いに嫌いあっている。彼女もその1人であった。
愚痴をこぼしながら古聖堂の内部、外部を確認していく。下手すれば数十年も使われていないそこは、流石に脆い場所もあれど修繕すれば使えるだろう。そう考えたミカは戻る。戻ろうとした。
して……ちゃ…なんで
微かではあるが近くで誰かの呟く声が聞こえる
好奇心からか、ミカは声のする方向に向かって歩いていった
めったに人が立ち入らない古聖堂の影。そこにその少女はいた - 18二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 17:33:23
金髪で緑色の目をしたその少女は遠目でも分かるほどにボロボロで、制服もどの学校の物が判別がつかなかった。
どうして…お姉ちゃん
先ほどは遠くで完全には聞き取れなかった言葉。彼女はうわごとのように呟き続け、力なく壁にもたれかかっていた。
「大丈夫!?すごいボロボロ…!」
私の経験した中でも最も危険な場面だろう。もし、このまま放っておいたら死んでしまう。そう直感が告げ、少女へと駆け寄りのぞき込んで声をかける
「どうしたの…?大丈夫だよね!?」
きっと私も今、傍からみたら錯乱しているのだろう。それでも、今できる呼びかけを続けるしかない。
少しして私の呼びかけに気づいたのだろうか。
少女のうわごとがやみ、私の事をゆっくりと見てくる。
「?……!?いったい、なにがおきてるの?」
正直、それは私が聞きたい。その想いはそっとしまい、正気を取り戻したであろう少女に向きあう
「えっと、酷くボロボロだけど何があったの?」
「……っ!うぅっ。」
困惑の視線を向けてきていた彼女は改めて起きた事を思いだしてしまったのだろう。とても苦しそうな表情を浮かべ今にでも泣きそうになった
「うわっごめん!!そういうつもりじゃないの!」
そう言い、何とか落ち着かせようと試行錯誤する - 19二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 17:44:23
「…あれはどこに?なんで街がこんなに綺麗なの?」
しばらくして、先ほどよりも落ち着いてきたのだろう。少女はぽつり、ぽつりと独り言を言い始める。さっきのように下手に刺激を与えれば、却って混乱させるだろう。そう考えミカはそっと傍で様子を見守っていた
「…ねえ、ここってどこ?」
「へ?」
自分のいる場所も分かっていないのだろうか。
「通功の古聖堂。トリニティ総合学園の大聖堂だよ。」
「え?どういう…こと?そこはもう…」
少女は私の答えに酷く混乱し、だが自身の中で1つの結論に至ったのか少し表情が緩む
「私の幻想かもしれないけど、もしかしたら…」
そう言うと、力すら抜けたのだろう。少女は気絶してしまった。 - 20二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 18:07:13
「大丈夫?…完全に気絶しちゃってるね。」
幸い、命に別状はなさそうでほあるがここまでボロボロなのだ。早く治療したほうが良いだろう。
そう思い、スマホを取り出して電話をかける
「ミネ団長!今すぐ通功の古聖堂に来れる?」
『ミカさん?どうかいたしましたか?』
「要救助者!できるだけ速くきて!」
『承知いたしました。セリナ、ハナエ治療の準備を』
スマホ越しに地面を蹴る音が聞こえ通話がきれた
数分後、現場に到着したミネはてきぱきと処置を進め、少女を抱えて病院へとかけていった
「ふう、団長に任せておけばひとまずは安心かな?…でも、心配だし私もあの子のお見舞いにいこうかな」
ミカはミネが駆けていった方向を見て歩き出した。 - 21二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 18:49:01
Tips:才羽ミドリ(回歴)
趣味:イラストメイキング、ゲーム
名も無き神々の王女が覚醒してしまった世界線で姉と共に希望を求めて戦い続けてきた。そのおかげか本編世界線よりも圧倒的な戦闘技術を持つ。
姉のスタンスにより攻撃よりも迎撃、カウンターを得意とする。が、真価を発揮するのは姉との連携である。主な攻撃手段は彼女自身の銃であるが、ユズの遺品であるグレネードランチャーも愛用している。 - 22二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 20:15:42
Tips:ミレニアムサイエンススクール跡地
旧三大校の一校
エリドゥを掌握した名も無き神々の王女は次にミレニアムサイエンススクールを標的とした。
美甘ネルを中心に抵抗を続けたが抵抗虚しく、王女はアトラハシースの箱舟でミレニアムの兵器、校舎を作り替え耐久戦の末敗北。一部の生き残りは逃亡を続けながら、王女に対抗手段を探している。
今では殆ど何も残っていない荒地である。 - 23二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 20:41:14
目の前に狭くも暖かい空間が広がる
カーテンから漏れる光が部屋をうっすらと照らし、私の視界に入ったモニターを引き立てる。
モニターの画面がつき、軽快な音楽と共にドット絵が画面を覆う。ふと、周りに意識を向けるとそこには3人の少女が、ワイワイとゲームを遊んでいる様子がおぼろげに見える。
ミドリ
そう呼ばれた気がする。
私もその声に応えようとすると3人に近づこうと動くと、1人の服とヘイローが変わり、また1人が霧のように霧散する。
いつしか暖かい空間は折りたたまれ、狭い洞窟と化していた。
そこで私を光が貫きーー
意識が明るくなる。目の前に映るのは暖かい白い天井と私をのぞき込む1人の少女だった - 24二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 22:26:04
けられていたブランケットをめくり、上半身を起こす
「あっ!起きた!」
目の前の少女は嬉しそうに跳ね、私が目覚めたことを喜ぶ。この人はさっき助けてくれた人だっけ?お姉ちゃんが私を庇って死んだ事にショックを受けてたから記憶が曖昧だ。
何とか先ほどのやりとりを思い出す
『通功の古聖堂。トリニティ総合学園の大聖堂だよ』
…この発言が正しいなら、ここはきっと過去の世界だ。仮に神がいるなら私にもう一度チャンスをくれたのかもしれない。
それを確かめるために周りに時計かカレンダーがないか確認する。が、見当たらない。
「まだ、混乱してる?」
キョロキョロと辺りを見回す私を心配してか少女は私に声をかけてくる
「はい。ちょっと予想外の事が起き続けてるので」
「?あんなにボロボロだったからね。…何が起きたかは今は聞かないけど。もっとお大事にしてね?」
「気をつけ…ます。ごめんなさい。変な質問になるんですけど今の年月を教えてほしいです」
流石に少女も困惑したのか少し困った表情で教えてくれる
「4月24日だよ。」
…確か私とお姉ちゃんが倒れた日は3月25日だ。
一ヶ月も何もせずに生きれるとは考えにくい。そうなるとやっぱり私は1年ほど過去に遡ったのだろう
もう。2度とは失わない。
そう決意した。 - 25二次元好きの匿名さん25/04/09(水) 23:12:03
- 26二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 07:33:01
続きを楽しみに待ちます
- 27二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 17:12:11
SSスレは普通に保守って言って保守していいよね…?
- 28二次元好きの匿名さん25/04/10(木) 20:18:12
4レス以上同じ単語でなければ多分問題は無いはず
- 29二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 00:27:02
「ねえねえ…おーい。聞いてる?」
思考を巡らせ続けていたからだろうか。
私に呼びかける少女の声に気づいていなかったようだ。
「ごめんなさい。少し考えごとをしていて」
そう言うと少女は膨らませていた頬を戻し、私に向きあう
「…私からも質問なんだけどさ。あなたってどこから来たの?」
「……」
困った。トラブルになるリスクを考慮すると迂闊にミレニアムとは答えられない。かといって他の学校を答えてもいずれボロが出るだろう。
「…答えられません。けど、各地を巡り続けていました。」
今言える最大の事実を伝える。
少女も納得こそしていないが、配慮はしてくれたようで、それ以上は触れてこなかった
「そう…分かった!でも、いつか言えるようになったら教えてね。」
「はい。」
全てが解決したら。その時は明かしても良いかもしれない。そんな風に考えていると、少女はあっ!と思い出したように喋りだす。
「って、あなたにばっかり聞くのもダメだよね!私は聖園ミカ!ティーパーティーのパテル派のトップだよ。これからよろしくね!」
「よろしくお願いします。ミカさん」
「よろしく!えっと…名前聞いてもいい?」 - 30二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 00:43:39
「…ミドリです」
ちょっと迷った結果この少女、ミカさんには本名を伝える事にした
推測が正しければ、今この世界には才羽ミドリは2人いる。つまり、才羽ミドリとして動くと遅かれ速かれ厄介な事にはなる。
…偽名は決めないとね。
「ミドリちゃんだね!うん、改めてよろしくね、ミドリちゃん!」
「こちらこそ。…でも、ミカさん。できれば人前ではこの名前では呼ばないで頂けると嬉しいです。ちょっと事情があって。」
ミカさんはやっぱり困惑したようで、でもそこで聞いてこない所から彼女の優しさを感じる
「そうなんだ。分かった。じゃあなんて呼べばいい?ミドリちゃん」
ミドリは考え、周りを見回す。
急に考えても思いつかないからアイデアを出すために周囲においてある物から着想を得ようとする。ふと隣のベッドに飾られている花瓶に目か止まる。周りが一面の白なのもあって際立ってもいるのだろう。その紫色の花は美しく見えた。
…いつだったか花をモチーフにしたゲームを作ったがその時にみた花だ。これは確か、葡萄風信子だったっけ。ムスカリともいってたかも?確か…花言葉は悲嘆だったような。ある意味、今の私には合ってるかもね
「…ムスカリ」
「ムスカリ?…あ、その花からとったんだ。綺麗だし、花言葉も素敵だよね。」
彼女は間違いなく本心からそれを言っている。私にも知らない意味でもあるのだろうか。
ミドリは一瞬そんな疑問が頭に浮かぶが、そんな疑問はその後の会話で忘れてしまうのだった - 31二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 00:49:01
Tips:病室のムスカリ1
ミドリが運ばれた病室に飾られていた花
ミドリが考えたように花言葉は悲嘆ではある
しかし、ムスカリには他の意味もあり、ミネがその花言葉から病人たちのために飾った。 - 32二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 00:53:20
- 33二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 01:13:43
才羽アオ化したのかと思ったがそんなことはなかったぜ
- 34二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 06:59:18
セルフ保守
- 35二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 12:10:31
苗字は名乗る必要が無さそうですね
- 36二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 21:09:09
- 37二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:31:23
「ねえミドリちゃん。この後はどうするつもりなの?」
ミカさんと会話、と言ってもほぼミカさんからの質問攻めにあってた中、不意に核心を突く質問をされた。
どうしよう。過去のトリニティに飛ぶなんて想定できるはずもないから、本当に当てがない。
金も機能しない世界で、物資もヒマリ先輩から受け取った数少ない物を使っていたせいで、今の環境だと戸籍すらない私は数日間生き抜くのが限界だろう。
「その感じだと、あてが無さそうだね…」
バツの悪そうな顔をしていたのか、想定内だったのか分からないが、ミカさんは少し考えた後こちらに向きあう。
「ミドリちゃんが良ければだけど…私の家にくる?これでもティーパーティーのトップだからミドリちゃんが住める部屋くらいなら用意できるだろうし」
それは、今の私にとっては願ってもない最高の提案だった。
「…本当に良いんですか?私が言うのもあれだけど、あの、ついさっきあった仲ですし」
「確かにそうだね。…」
ミカは真剣な面持ちでミドリに言う
「きっとあなたには私にも言えない大事な使命があるんだと思う。けど、それが解決したとき、あなたの帰る場所が無ければそれは解決と言えるのかな?それに、もう一つはみんなが幸せに暮らせる学校にしたいっていう、私のエゴ」
だから…とにこやかに笑ってミカは言う
「気を使わなくていいんだよ。私もミドリちゃんと仲良くなりたいしね」
そうして差し伸べてくれた手を私は掴む
「よろしくお願いしますミカさん」
ボロボロだった物語に新しい一頁が綴られた - 38二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 23:46:58
その後、1週間の療養を経て私は退院した。
入院中もミカさんは毎日様子を見に来てくれ、たわいもない雑談をしてくれた。失った物の哀しみはそれを実感して増していくが、新しい友とこの平穏な生活がいやしてくれた。それを噛み締め苦しみに向き合い続ける。
ミカさんは私のあれこれを対応してくれてたみたいで、いつの間にかトリニティに学籍が置かれていた。アリスちゃんの時に私たちもやったが、何故こうも簡単に学籍を偽造するのか。
桃園ムスカリ
この虚の名前を掲げてこれからは生きていく
桃園と言う名字はミカさんが決めてくれた。園の字は本人曰くおそろいとのこと。…まさか姉を思わせる桃の字があるとは思わなかったけど。不思議な偶然もあるものだ
ーー
病院を出るとそこにはミカさんが待ちくたびれたかのように待っていた
「あっ来たね!それじゃあいこっか!」
「はい」
ミカはミドリを案内しようと歩き始めるが、忘れていたことを思い出したようで立ち止まる - 39二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 06:49:36
仲良し!
- 40二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 11:07:19
「忘れる所だった!はいこれ、退院祝いだよ!」
そう言いミカさんはバッグから取り出した物を渡してくる。
トリニティ総合学園の校章が書かれている学生証だった。私の偽名と年齢が書かれている。
所属がトリニティ総合学園になっている事には若干の寂しさを覚えつつもそれを大事にしまう
「これで多分生活に困ることはないはず。そしてもう一つ」 - 41二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 11:07:39
そう言うと今度は大きい物なのか、鞄に両手を入れてそれを取り出す
修理とデザインの変化で前とは見た目こそ僅かに違うけど
私のサブ武器であり、ユズちゃんの遺品であるグレネードランチャー、にゃん’sダッシュだった
「あなたが倒れていた場所に転がっていたから返すね。」
ちょっと壊れてた場所を勝手に修理しちゃったけどね。と付け加えてミカは言う
塗装が剥がれかけ、銃身に傷が入っていたそれは新品当然と言えるまでに修理されていた。
塗装は黒を基調としていた元々のデザインを崩さず、所々のラインが他の色に変わっていて、剥げ落ちてしまったけど、元々ミレニアムの校章が描かれていた部分にはトリニティの校章が入っていた。
「ありがとうございます!ミカさん」
ユズちゃんの…私の愛銃を抱きしめて精一杯お礼をつげる。
「わーお。ここまで喜んでくれると、私も嬉しくなっちゃうなぁ。」
ミカもつられて笑顔になる。
「よーしじゃあ、そろそろ行こうか」
そんなやりとりでまた少し仲が深まった2人は、ミカの住む屋敷に向かって歩いていった - 42二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 20:58:36
「ここって本当に家ですか?」
「そうだよ?」
ミドリは物語の中でしか見ないような建物を見て予期せぬ衝撃をうける。
ミカさんに連れられてついたのは豪華な屋敷。いや、宮殿という方が正しいかもしれない。それほどまでに広大な土地と城のような豪邸だった。
もしかしたら単純な広さだけでみたら私たちの部室棟よりも大きいかも。そんなことを考えているとミカさんがこちらに手招きをする。
「さぁ入ってミドリちゃん」
「えっとお邪魔します?」
どっちかって言うとただいまじゃないかな?そんなことを言うミカさんを見て、私が今日から暮らすのだと実感する。
正直、こんな建物は創作物でしか見なかったし、暮らすなんて雲の上の存在だと思っていた。…だから、いずれ慣れるだろうけど、正直今は落ち着かない。
「ってもう!そんなにかしこまらないで」
そんな私を見かねてか、ちょっとムスッとしたミカさんが私の手を引っ張って歩きだす。
ミカさんに引きずられながら屋敷を巡っていると、やはり私の知っている機械都市であるミレニアムや滅びかけた世界とは全然違う雰囲気を実感する。きっと昔の私やお姉ちゃんならインスピレーションが湧いた!といって部室にこもるだろうなぁ。そう不意に懐かしみながら、ウキウキと話すミカさんと屋敷の中を見て回った。 - 43二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 23:30:29
私に色々と教えてくれるミカさんの横顔はとても楽しそうだった。私も気になる事がたくさんあったから聞いて回る。ミカさんも、その質問に答えながら、更に色んな事を教えてくれた。そんなこんなで小一時間ほど屋敷を歩き回った末、私たちの小さな冒険は終着点にたどり着く。
ミカさんはとある扉の前に立ち止まりじゃーん!と言わんばかりのジェスチャーをする
「この部屋が今日からミドリちゃんが過ごす部屋だよ!」
そう言うその部屋は外の扉だけ見ても、他の部屋よりも大きく、特別な雰囲気を醸し出していた。
ミドリはゆっくりと扉を開くと思わずおぉと声が漏れる。
お姫さまが住む部屋みたい。この部屋に入って私は真っ先にその感想が頭に浮かぶ。ベッドも棚も…内装全てが高級感に溢れている。今までいった旅館やホテルよりもきっと凄い。
小物もミカさんが綺麗にしていたのだろう。きちんと並べられ飾られているそれらが部屋を彩っていた。
そして最後にテーブルに立て掛けられている2丁の銃に目が向く。私とお姉ちゃんの愛銃だった。じっくり見ると壊れているようだが、誰かが直そうと試行錯誤した様子が見られた。ミカさんが頑張って直そうとしたのだろう。
銃をじっくり見ている私に気づいたのかミカさんは様子を見ていた話かけてくる
「ごめんね。そっちの2丁は頑張ってはみたけど駄目だった…」
この人はどれだけ優しいのだろう。申し訳無さそうに言ったミカさんに私は焦って言う
「いや、そんなことないです!ミカさん…ありがとうございます」
それに、と私は続ける
今私がこうやって平穏な生活をおくれるのは間違いなくミカさんのお陰だ。
そんな思いと銃のせいで伝え損ねた部屋の感想を伝えると、ミカさんは恥ずかしそうに喜ぶ
「…ふふっ。恥ずかしいけど、ミドリちゃんがよろこんでくれてて良かったよ」
そう言うとミカさんの方も少し話しやすくなったのか、私が気づかなかったことを説明しながら、雑談をする。
ーーどれほど話したのだろうか。空が茜色に染まりはじめた頃にミカさんは1つ提案をしてくる
「ちょっと速いけど、一緒にディナーに行かない?」 - 44二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 23:54:33
tips:フレッシュインスピレーション
ミドリが使ってきていたスナイパーライフル。彼女は愛銃の手入れ、メンテナンスは欠かさずに行っていたが、転移前のアトラハシースの主砲によって修理するのが難しい破損具合になった。
tips:ユニークアイディア
モモイの使っていたアサルトライフル。彼女の銃は本人がミドリより前線で戦っていたのもあり、損傷が激しかった。それを騙し騙し使ってきたため、最後の戦いで限界を迎えてしまった - 45二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 09:36:22
保守
- 46二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 09:38:27
tipsあるの凄い好きなんだよな