- 1二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:04:00
- 2二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:04:57
妙の暖かさを覚えた。
季節で言えばまだ寒いはずなのに。
他の感覚がはっきりしない。
手足は動かないし、視界もぼやけてほとんど見えない。
耳もはっきりせず、上手く音が拾えない。
何があったのかもいまいち思い出せない。
――ダメだよシロコちゃん!
それでもそんな声が聞こえてきた。
なにがダメなのだろうか...前後の記憶がはっきりしない。
銀行強盗はホシノ先輩に怒られるからやめたはずだ。
――こんな...だめだシロコ...こんなこと...
――シロコちゃん、目を覚ましてください!
――シロコ先輩、早く起きてよ!
――シロコ先輩...お願いですから...
――馬鹿シロコ...これじゃ...
6人、私に声をかけてくるのがわかった。
だがどれも悲しみを含んだ声だった。
けれど、はっきりしなかった記憶もどんどん鮮明になっていくにつれて状況が読み込めた。
――ああ...この暖かさは私の血の熱だ。
思い出した...私はこれから死ぬのだ。
反転したホシノ先輩を私達は救って、襲来してきたセトの憤怒を追い返した。
けれど、私は致命傷を負ってしまって、死を待つばかりだ。
それでも...私は満足だった。
ホシノ先輩は生きていて、この世界の私はなにもかも私と違って正しい道を歩み続けて、そして先生も...
だから私は...このまま穏やかに微笑みながら死 ねる。
これできっと、よかったんだ。 - 3二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:22
「あれ...ノノミ、アヤネ、セリカ、よわシロコ、ホシノ先輩、先生...どこ?」
みんなに囲まれて目を瞑り、再度開けば私は1人で立っていた。
傷を負ったはずだがどこにもその痕跡がない。
また、私の声に反応は何もなかった。
砂漠だったその場所は一面真っ白になっていた。
そう、真っ白だ。
凹凸もなく、ただ真っ白で平面な大地には何もなく、誰もいない。
ただどこか懐かしいような...暖かい雰囲気の空間だった。
「誰かいる?」
再度声を掛けるがやはりなにも返ってこない。
「...なにあれ、扉?」
何もないと思ってたがこの空間の中央と思われる場所に扉があった。
私はひとまず扉以外に何もないかを確認するために歩き出すが...扉との距離が離れない。
その代わりに近づくことはできた。
「入れってこと...?」
この空間には扉だけであり...扉から離れることはできない。
なにがなんだかわからないが...これがもしかしたら死後の世界の入口なのだろうか?
「これが死後の世界の扉ならもう一度先生に...いや、無理かな」
天国と地獄があればきっと自分は地獄で先生は後者だなと思って少しだけ望んだ先生との再会は諦めた。
もう、やれることはやり切ったのだ...地獄でも私は文句ない。
そう思いながら、私は扉を開いた。 - 4二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:32
「...さむい」
次に訪れた感覚は寒さだった。
それと、体に痛みを感じる。
それと違和感だった。
体は軽くて、視野が低い。
座り込んでいるようだったが...それにしても自分の座高はもう少しあったはずだ。
――流石にやり過ぎでは...
――仕方ないよ、この子結構強かったし...下手に手加減したらやられてたのはこっちだよ?
聞き覚えのある声に私は前を向く。
そこにはホシノ先輩とノノミがいた。
だが、様子が違う。
ホシノ先輩はあまり変わらないが深い悲しみを抱えた目をしていて、ノノミは私の知ってるノノミよりも余裕がなく、幼さを感じる。
まさかと思い、自分の体を確認すると予想通り縮んでいた。
これはどういうことだろうか...走馬灯...にしては体の痛みと寒さがやけにリアルだった。
だったら今までのは夢だろうか?
ホシノ先輩やノノミ、後輩達との生活、先生との出会い...そして悲劇の数々...あれは全て夢?
「...ようやく落ち着いた様子だね」
私は屈み込んで覗いてくるホシノ先輩を見上げる。
「...うーんその姿は流石に寒そうだね...とりあえず、これ撒いておきなよ」
マフラーを...巻かれた。
「あっ...」 - 5二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:42
何時無くしたのかも忘れてしまったその温もりに私は...ただ泣くことしかできなかった。
泣いている私をホシノ先輩とノノミは慌てながら色々話しかけてくれた。
とりあえずはアビドス高校に入ることになった。
そして、今までのことは夢ではないと確信した。
マフラーの件といい、私が見てきたことと一致している。
であるなら走馬灯...にしても私に自由意志があり過ぎる。
マフラーを巻いて貰ってからの行動が完全に同じとは言えない。
であるなら...タイムスリップだろうか。
そんな馬鹿な、と言われそうだが私自身が行ったこともあるので個人的にはすぐに飲み込めた。
ただ、どうして見た目も含めて過去に戻ったのだろうか?
あの時、死んだこととなにか関係があるのだろうか。
「えっと...話してもいいかな?」
教室で暖かい飲み物を渡されて、再度ホシノ先輩に声を掛けられて考え事を一度中断する。
「ん...大丈夫、ホシノ先輩」
「へえ...おじさんのこと知ってるんだ」
じろりとした目で見られた。
しまった...初対面なはずなのについ呼んでしまった。
「ゆ、有名...だから」
「へえ...そう」
表情は穏やかだが明らかに敵意を持たれた気がする。
それはそうだ...ホシノ先輩の名前を知ってるのは同級生や後輩と言ったプライベートな人たちを除けば大抵はよくない人物だ。
「まあいいや...キミ、名前は?」
「...砂狼...シロコ」 - 6二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:54
名前を聞かれて素直に応えるが未だに警戒されている。
「それで、シロコちゃんは何しにここに来たの?
おじさんに何の用かな...返答次第じゃヘイローの無事は保証しないよ」
「ちょっ...ホシノ先輩、いきなりそれは」
「ノノミちゃん、この子私の名前を知ってるんだよ?
私の名前を知ってる人って大抵は危ない人だよ...そういう人達と戦って来て有名だからね」
「でも、それだったら私だって...」
「ノノミちゃんはちょっと例外だけどさ」
なんだか微妙にギクシャクしている2人を見て懐かしさを覚える。
今でこそ仲はいいが...出会ったときはこんな感じだった。
「それで...どうかな?」
「...わからない」
「わからない?」
「覚えてない...名前以外は...」
昔の出来事をなぞるように答える。
ホシノ先輩は怪しむように私を見ていた。
「記憶喪失でしょうか...でしたらヴァルキューレに連絡した方がいいでは?」
「うーん...おじさんもこんなケースは初めてだからね...どうしようっか
...そういえばシロコちゃん、さっきなんで泣いてたの?」
マフラーを巻かれて泣いたときのことを聞かれる。
「...わからないけど...この暖かさが...嬉しくて」
本音は隠しながらも出来る限り想いを伝える。 - 7二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:05
「シロコちゃん...か」
再度マフラーに触れる。
無くしてしまったマフラー...私が使ってた時に比べると新品に近かった。
それでも、大事なマフラーだった。
想いが、とめどなく押し寄せてくる。
私は再度、泣いていた。
「...ねえ、シロコちゃん...うちに来る?」
「ホシノ先輩!?」
「なんだかこの姿見ていると悪い子には思えなくてね
それに...どうしてもほっとく気になれなくてさ...どうかな、シロコちゃんがいいなら私は歓迎するよ」
以前経験した時は流れは少し違うが同様にアビドスに勧誘される。
だが、それだけでも嬉しかった。
「うん...入る...よろしく...ホシノ先輩」
私は...泣きじゃくりながらアビドスに入った。
「あっ...そのマフラーそんなに気に入ったらならあげるよ、どうせ安物だし」
「ありがとう、ホシノ先輩」
さらにホシノ先輩からマフラーをもらった。
まだ新しめなマフラーだが...もう2度と無くさないと誓う。
「じゃあ、シロコちゃん...ようこそ、アビドスへ」
とりあえず流れに身を任せるように昔の出来事をなぞる。
この先、どうなるかはわからないが...今はまだ考えないでもいいかもしれない。 - 8二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:17
「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
日も暮れ始めた頃、帰宅することになった。
この頃の私はまだ家を持っていないため、ホシノ先輩の家にしばらく居候するということになった。
個人的にも...その方がよかった。
「いやーごめんね、散らかしっぱなしで」
ホシノ先輩はそう言うが問題なく思えた。
だが、大慌てでポスターを...ユメ先輩に関するものを急いで片していた。
「ホシノ先輩、そのポスター...」
「気にしないでいいよ、おじさんのちょっとした...ね」
ホシノ先輩は無理矢理話を終わらせた。
当然だ...今日あった相手に自分の傷を見せようとはしないだろう。
ここで下手に突っ込んでも怪しまれるだけなだけだ。
素直に話を切り替えよう。
「寝具1つしかないからおじさんと一緒に寝てもらうけど構わないよね
お互い体小さいし、多分入るよ
あっ...その前にお風呂とご飯だね、すぐにお湯溜めるから入りな?
おじさんはご飯の用意をするからさ」
ホシノ先輩に言われるがままにお風呂と食事を済ませる。
なんでもない...なんならどこかギクシャクした雰囲気だったが私の心は浮ついていた。
どれだけ...この時間が愛おしく思えるのか私にもわからない。
なんでもないホシノ先輩との日常が...私の中に深く深く染み渡る。
「それじゃ、そろそろ寝ようか」 - 9二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:59
食事も終え、ホシノ先輩に促されてベッドに入る。
ベッドに入って、少し困っていた。
ホシノ先輩に抱き着きたい欲と、流石にそれはと思う気持ちが私を板挟みにしていた。
少しの間迷っているとホシノ先輩に抱きしめられた。
「...ホシノ先輩?」
「大丈夫だよ...シロコちゃん
この先、不安だろうけどもうアビドスの仲間なんだから..,何があってもおじさんが守ってあげるからね
だから...こんなおじさんでよければ甘えていいよ」
ホシノ先輩は私の気持ちを思ってか抱きしめてくれた。
それは、少々的外れではあったが、その優しさの込められた温もりだけで十分だった。
「...ん...ありがとう、ホシノ先輩」
小さなホシノ先輩の体にさらに小さな私の体を預ける。
何があっても...か。
そうだ...もしもそれが許されるのなら。
もしも、過去をやり直せるなら...
今度は...誰も死なせない
ノノミも、アヤネも、セリカも...ホシノ先輩も。
そして、きっと来るであろう先生も。
ホシノ先輩が、先生が私達を大事に思うように私だってその気持ちは負けない。
何故こうなったかはわからない。
それでも...この機を逃すことはあり得ない。
決意を胸に、私は眠りに着いた。
とりあえず明日以降からできることをしていこう。
何が出来るかはわからない。
孤独な戦いではある。
それでも...未来を変えられるなら私はきっと...戦い抜ける。 - 10二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:28
過去に戻ってから数日が経った。
特になにかめぼしいことは出来てない。
意気込んだはいいが...特にやれることが思い浮かばなかったのだ。
こういう時に先生がいればなと思ってしまうが無理な話だ。
実は未来から来た...なんて言っても信じてはくれないだろう。
未来の事を下手に教えてコントロールが出来なくなっても困る。
なのでとりあえずは以前と同じような生活を送って日常をなぞることにした。
そのため、軽く1年はやることがなかった。
少々ヤキモキしながらもその日々は悪くなかった。
過ごした日々を全て覚えているわけではないので、完全に過去をなぞっているとは言えない。
だが、その日常は確かに私を満たしていた。
もう諦めていた砂狼シロコとしての日常を、ホシノ先輩と歩めるだけで私は嬉しかった。
そのため...もう少しこの幸せに浸っていたいと思っていた。
だから私は...今日も晴れやかな気持ちでアビドスに向かう。
今日は...正式に私とノノミがアビドスに入学する日だ。
「えっ...ホシノ先輩本気ですか?」
「本気本気...シロコちゃん、あの時本気出せてなかったみたいだし...本気のシロコちゃんが気になってね」
「わ、私には確認しなかったのに...」
「ノノミちゃんはまだまだね
素質はあるから...もう少し鍛錬しようか」
「はい...」
教室に入るとなにやら騒がしかった。
「ん...おはようノノミ、ホシノ先輩
何の話...?」
「あ、おはようシロコちゃん
突然でわるいんだけどさ...
おじさんと勝負しようよ...本気でさ」 - 11二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:39
ホシノ先輩との本気の勝負。
唐突な提案だった。
「な、なんでまた...?」
「いや...シロコちゃんのちゃんとした全力を知っておきたくてさ...
最初に戦ったときって怪我とかでコンディションよくなかったでしょ
今なら大丈夫そうだと思ったけど...どう?」
「でも、今日入学式で...」
「もちろん、終わった後だよ
それに...これはおじさんなりの入学祝だと思ってよ」
不敵な笑みをホシノ先輩は浮かべていた。
だが、興味が引かれないと言ったら嘘になる。
色彩とかそういうのを覗いても私は元の世界のよわシロコよりは強くなっている。
今は多少条件が違うが...この実力でホシノ先輩に追いつけたのか...
はたまた追いつけなかったとしてもどこまで食らいつけるようになったのか...
私も知りたくなった。
「いいよ、やろうか...ホシノ先輩
やるからには無論、勝つ気でいくよ」
「そう来なくっちゃ」
「えっ...ええっ...?」
私とホシノ先輩の雰囲気にノノミは焦っていた。
そういえば元の世界ではこんなイベントは起きなかったな...と思いながら入学式を始めた。
こちらでは元の世界と同じノノミと並んで写真を撮った。
若干頬が緩んでいた気はするが。
そしてそのまま戦闘準備をする。
今の体には少し大きい銃を持ってグラウンドに出る。
その先には盾とショットガンを構えたホシノ先輩が立っていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:51
「2度目の戦闘だね、シロコちゃん
今度はちゃんと手加減して傷あんまり作らないようにするよ」
「ん、心配しないで...今度勝つのは私だから」
私達は一定の距離を保って対峙している。
ノノミは少し離れた場所で心配そうな顔で見ている。
会話も終わり、少し間を睨みあうと、2人同時に駈け出す。
接近し、ホシノ先輩の顔を目掛けて蹴り上げる。
それは盾で防がれるが...ホシノ先輩が驚いた顔をしていた。
「どうしたのホシノ先輩...予想よりも強かった?」
「そうだね、びっくりしたよ...でもこれなら楽しめそうだ」
盾を動かし、攻撃を逸らされる。
一瞬、動きが止まる私にホシノ先輩が追撃として銃を放つが距離を取ってそれらを躱す。
「いい動きじゃん...やっぱこの前のはすごく弱ってたんだね」
「ん、当たり前...それにまだまだ、全力じゃない」
軽く言葉を交し、グラウンドを再度駈け出す。
今度はホシノ先輩を直接狙うのではなく、その周りを走る。
「...速いね...おじさんの全速力に近いんじゃないかな
それで、こっからどうするのかな...速いけど、それだと全然追いつけるよ?」
ホシノ先輩の言葉は事実だ。
その目は確かに私を捉えていた。
そんなホシノ先輩を無視して加速しながら突撃をする。
再度蹴りを叩き込みながら、銃でホシノ先輩を狙い撃つ。
背後にある、秘密兵器を隠しながら。 - 13二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:06
「なにか隠してるね」
私の猛攻を盾と少しの反撃だけでホシノ先輩はいなしながそう声を掛けてくる。
ホシノ先輩の戦い方はまるで私の実力を測るのが目的で、本気の戦闘とは違う。
たしかに私はまだ本気を出してないし、実力で言っても届くかどうかの元の私よりもさらに弱体化している状態だ。
相対的に考えればホシノ先輩にはまだ届かない。
それでも、今回は私に利がある。
ホシノ先輩は私の動きをまだ知らない。
知らないはずなのに初見で今のところいなされているが...こちらだってまだ動ける。
そして私はホシノ先輩の動きを知っている。
ホシノ先輩の反撃は、経験からで対応している場面もある。
ホシノ先輩も読まれたことには気づいている様子だったが...
この2点は大きなアドバンテージだ。
それに...秘密兵器もある。
「ほらほら、まだまだ甘いよ、シロコちゃん...そろそろおじさんも本格的に反撃しちゃうよ」
「ん...その余裕をまずは崩す」
私は猛攻を止め、横に逸れる。
その瞬間、私の秘密兵器であるドローンが姿を現し、ホシノ先輩を襲う。
「うへっドローン!?」
ホシノ先輩は慌てながらも盾で防がれる。
その間私は背後に回り、無言で攻撃をする。
だが、ホシノ先輩は私の攻撃は躱して反撃として銃を放ち、位置を変える。
せっかくの初見+前後で実質2VS1の状態に作ったが防がれた。
これで落とせるとは思ってなかったが...これも完璧に防がれるとは思わなかった。
「...やるじゃん、シロコちゃん...おじさん少し喰らっちゃったよ」 - 14二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:25
ホシノ先輩を見れば頬に銃弾が当たった後が着いていた。
「いや...これでもう少し喰らってほしかった...
せっかくの初見のアドバンテージだったのに」
「いやいや...実際驚いたよ
ほんと、強いねシロコちゃん...おじさん楽しくなってきたよ
それじゃ、続きと行こうか!」
今度はホシノ先輩から攻めて来た。
少しの攻防しかしていないはずなのに的確に私の弱いところを狙ってくる。
「ん、攻撃がいやらしい...」
「相手の弱点を突くのは戦闘の基本だよ?」
精度、速度、威力...どれを取っても今の私の上を行ってる。
やはりこの姿の私にはここまでなのだろうか...
せめて、もう1年体が成長しないとダメなのだろうか...
――ふと、1つの景色が浮かんだ。
それは...地獄だった。
崩壊したキヴォトス、死にゆく生徒たち。
そして、私が殺したホシノ先輩。
「...うわああああ!」
「なっ...!?」
無理矢理ホシノ先輩を突き飛ばし、距離を取る。
これはただの試合である。
ここでの勝ち負けに意味はない。
だが...甘えるな。 - 15二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:35
「...目つきが変わったね、どうしたの?」
「気にしないで...本気で行くだけだから...」
「手を抜いていたの?」
「そうじゃない...勝てないと思って、少し気が抜けただけ...もう大丈夫」
きっと、私の雰囲気が変わったのもホシノ先輩は気づいて声を掛けてくる。
そう...甘えるな...
「今は勝てない」を繰り返した結果、私はあの時、1人で全てを終わらせようとするホシノ先輩を止められなかった。
その結果はホシノ先輩をこの手で殺し、生まれたのは地獄だ。
あまりにも高すぎる壁だが...常に乗り越える気でいろ。
もっと、強くなれ...でなければ、繰り返すだけだ。
声にならない叫びをあげて、ホシノ先輩に突っ込む。
多少の被弾は無視して、ホシノ先輩にひたすら攻撃を当て続ける。
ホシノ先輩も、先ほどより目つきが鋭くなっていた。
「どうしたのシロコちゃん...動きにキレが出てきたのはいいけど...目つきが怖いよ」
「ただ、全力なだけ...」
「...それだけじゃないね...すごく必死な目だ
.......まるで誰か大切な人でも失ったことがあるような目だよ」
ホシノ先輩の指摘に動揺し、足が止まる。
ホシノ先輩はその隙を見逃さずに足払いを掛けて私を倒し、銃弾を浴びせてくる。
私は焦り、銃弾を受けながらも受け身を取って後ろに下がる。
距離を取って、再度駈け出し、今度はドローンを前に出す。
「今度はどうやって来るのかな?」
前を飛ぶドローンに足場にし、私は飛び上がる。
「飛んだところで空中じゃ動けないから狙い放題だ.......」 - 16二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:46
ホシノ先輩の言葉が止まる。
「...なるほど、太陽を背にしたんだ
しかもドローンも...」
太陽を背に、ホシノ先輩の目を眩ませながら上空から銃弾の雨を降らせる。
ホシノ先輩は目を細めながらこちらを見て反撃として銃を放つが精度が悪い。
急所以外は無視しながら私は急降下しつつ、勝負を決めに行く。
「あっ...」
だが、私は着地ミスをしてグラウンドを転がる。
いつの間にか体が小さいことを忘れて動いてしまった。
その結果の着地ミスだった。
それが勝負を分け、私の頭に銃を突きつけられる。
「ストップ、シロコちゃん
これ以上はお互い大怪我しそうだし...今日はこれくらいにしようか」
「ん...わかった...」
こうして...私はホシノ先輩に敗れた。
その後はノノミによって治療を受けた。
その際、やはり実力差を痛感する。
大きな怪我はないものの、私は怪我自体は非常に多かった。
対してホシノ先輩はそんな怪我自体も少なかった。
やはり...もっと強くならないと...
「さて...実力は大体わかったよ...
強いね、シロコちゃん...すっごく強いよ....これじゃすぐにでもおじさん抜かされそうだね...
...でも、色々隠してること、あるよね」 - 17二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:56
ホシノ先輩はじっと私を見据えている。
「な、なんのこと...?」
「記憶喪失って言ってたけどさ...あれ、嘘だよね
まず、さっきの戦い...私が知る限りだとシロコちゃん、実戦でドローンなんて初めてだよね
なのにすごい上手いよ...まるで戦い慣れてるみたいにさ」
「それは...」
言葉に詰まる。
否定してもきっと、意味がない。
上手い反論も浮かばない。
「それにさっきの目...とても記憶喪失でなにも知らない子がしていい目じゃないよ」
なにも答えられない。
どうすればいいのだろうか...解決策が浮かばない...
「ま...いいや...」
だが、ホシノ先輩はあっさりと引き下がった。
「い、いいんですかホシノ先輩!?
なにか隠してることがあるなら問い詰めないで...敵かもしれないんですよ!?」
「落ち着きなよ、ノノミちゃん
そりゃ...ノノミちゃんの言いたいこともわかるけどさ...
シロコちゃんのこと、見なよ」
ホシノ先輩に促されてノノミは私を見る。
私は今...どんな顔をしているのだろうか。
ノノミは...何を感じてるのだろうか。 - 18二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:08
「どう、ノノミちゃん...シロコちゃんのこと、どう見える?」
「...すごく怯えてるような」
「敵意は?」
「感じ...ない...です」
「そう...シロコちゃんは確かに色々隠してる
けどね...出会って数日、一切敵意を向けてきたことはないよ
あの戦いだってそう...仮にどこかの刺客だとしたら...私が言った目をしながら敵意を向けないなんて器用なことは無理だと思うんだ
だから...秘密があるだけなら敵でもないし、いいかなって」
「...そう...ですか
確かにホシノ先輩の言う通り...敵意はないですし...
シロコちゃん...ごめんなさい...ずっと疑っていて」
「ん...大丈夫...」
ホシノ先輩とノノミの優し気な顔に安堵する。
「とりあえず、今日はもう帰ろうか...
帰りにラーメン屋寄ろうよ
おじさんのおごりだよ」
「わあ、じゃあ全部乗せラーメン食べたいです!」
「...ちょっとは遠慮して欲しいかなー」
私はホシノ先輩とノノミの後に続いて、学校を後にする。
「ああそうだ...改めてだけど...大事なことを1つ言わせて?」
「なに?」
「なんでしょうか?」
「2人とも、入学おめでとう」
ホシノ先輩の言葉に私のノノミは嬉しそうに返事をした。
ひと騒動あったが、私とノノミは無事にアビドスに入学をした。 - 19二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:43
それからしばらく時間が経ち、私は2年生になった。
体も大きく成長し、よわシロコぐらいにはなった。
元の世界通りにアヤネとセリカも入学してきた。
来る日に備えて私は特訓をして、強くなってはいるが...未だにホシノ先輩には届かない。
改めてホシノ先輩の強さを実感する。
とりあえず、今日もホシノ先輩を超えることを目標に私は家を出る。
家を出て、愛車に跨って学校を目指す。
見れてはあるが懐かしさを覚える景色を眺めながら私は軽快に学校へ向かうが...その際、地面に倒れてる人影があった。
「あれ、誰だろう...
.....あっ」
少し考えて気付いた。
「せん...せい...」
そう...この人は先生だ。
そうだった...こうやってアビドスで遭難しかけてた先生を私が助ける...これが私と先生の出会いだった。
心拍数が上がるのを感じる。
胸が痛い
どの世界の先生も大切だが...この世界...私が最初にいた世界の先生だけはより特別だ。
どの先生も同じ決断をするだろうとはいえ...この世界の先生は実際に私のためにすべてを捧げてくれたのだ。
そんな相手が特別じゃないわけがない。
一瞬で頭が真っ白になり、言葉が出ない。
何を言えばいいのだろうか...
言いたいことは色々あるがきっとこれは言ってはダメなんだろう。
"み..."
「えっ...?」
"水を..." - 20二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:57
ああ...そうだった。
最初の会話はこんな感じだったなと思い出す。
っと危ない...干渉に浸るのも悪くないがそのままでは先生が死んでしまう。
「私の飲み掛けでいいなら」
"ありがとう!"
お礼を言うと猛烈な勢いで残りの飲み物を飲み干した。
間接キスも気にせずに。
"ごめん...助かったよ...
見ての通り、遭難しかけてて"
「いや、仕掛けてたじゃなくてもうしてたよ」
"...はい"
見栄を張りたかったのだろうか...私は一蹴してしまったが。
"さて、挨拶しないとね...私はシャーレから来た先生だ
今回、依頼があったアビドス高校を目指してここまで来たんだけど...君、アビドス高校がどこか知ってる?"
「アビドス高校なら知ってる...着いてきて」
"本当に!?
助かった...このまま行ったらまた遭難しそうだったから一度引き返そうかなって思ってたんだけど助かったよ...えっと"
「私は砂狼シロコ...先生が向かうアビドス高校の2年生だよ」
"君がアビドス高校の生徒だったのか...とりあえず、よろしく...シロコ"
「ん、よろしく」
初対面での挨拶は終わったが...私はどんな顔をしていたのだろうか。
おかしな表情はしていなかったのだろうか...色々心配だが...無事に乗り越えられた。
何はともあれ、先生がやってきた。
ここからは自体が大きく動きそうだ。 - 21二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:08
「それじゃ...行こうか」
"道案内、よろしくね"
「うん...あっアビドスに来るにあたって何個か注意点
悪い生徒なんていないけど...1年のセリカが先生に突っかかるかも...
でも悪気があるわけじゃなくて...アビドスを守るために必死なだけだから...
それと3年のホシノ先輩...
先生ってよりも...大人をあの人は根本的に信じてないから警戒されるかも
でも、先生のことは少し時間かかるけどちゃんとした人だってわかってくれるはずだから」
"ありがとう...注意して接してみるよ
そういうシロコは私の間違いじゃなきゃだいぶ信頼してくれるように思えるんだけど"
「ん...どうだろうね」
答えをはぐらかすが...実際先生のことは信頼している。
だが、それは私だけの一方通行な思いだ。
先生にも...ほかの生徒より信頼してくれるような関係を築けたらなと思い、アビドスに向かう。
「着いたよ、ここがアビドス」
"おお...これは..."
「無理に感想を言わないでいいよ...ギリギリで廃校を免れてるようなものだからね」
「...あっおはようございます、シロコ先輩」
先生と共にアビドスに到着するとアヤネと出会った。
「おはよう、アヤネ」
"やあ、おはよう...君がアヤネ...じゃあメールをくれたのは君だね"
「メールって...シロコ先輩この人は!?」
「そう、シャーレから来た先生」
「ほ、本当に来てくれたんですね!?
よかった...今からみんなを呼びますね
ですからシロコ先輩、先生を教室への案内、お願いしますね!」 - 22二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:28
私が先生を教室に案内してしばらくすると...全員集まった。
ノノミは楽しそうに、アヤネも嬉しそうにしながら会議の準備をしていた。
セリカは見てわかるほど不機嫌だった。
ホシノ先輩の表情からは読み取れないが経験からきっとダメそうな大人が来たと思ってるんだろう。
アヤネ「それではこれより、本日の廃校対策会議を開始します」
アヤネの進行によって先生の自己紹介を交えた対策会議が始まった。
やはり前の世界同様、ノノミとアヤネとは問題はなさそうだ。
私に関しては言う必要はない。
それとやはり、ホシノ先輩とセリカが問題なのを再確認した。
少しだけピリピリした会議を進めていると外から爆発音がなった。
「な、なによ今の!?」
「外からですね...あれは...ヘルメット団!?」
外を見ればヘルメット団がアビドス高校の前に集結していた。
「こんな時にあいつら...物資だって今は底をつきかけてるのに...!」
「泣き言言ってられません...皆さん、戦闘準備をお願いします!
先生は危険なので隠れててください!」
それぞれがバタバタと戦闘準備をする中、私は先生に声を掛ける。
「先生、さっきアヤネはああ言ってたけど...動ける準備しといて?」
"えっ..."
「アビドスはみんな強いし...あいつらなんか敵じゃないけど...見ての通りみんな焦りがある
きっと、戦闘も上手くいかない
だから先生の指示が絶対に必要になる
そのために準備しといて」 - 23二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:39
私の指示に若干驚きつつも先生は頷いた。
"それは構わないけど...シロコは私の指示で動けるの?"
まだ出会ったばかりで信頼されていないのは先生には自覚もあったのだろう。
そんな中で私の指示に先生も驚くのは無理はない。
「ん...大丈夫...先生の指示ならどんなのでも信じて実行する
だから、その時が来たらお願い」
"わかった...じゃあ、またあとで"
話も終わり、私も準備をして戦闘を開始する。
予想通り...いや前回と同じくやはり焦りから上手く連携が取れない。
相手だってそんなに強くないという事実がさらに私達の焦りを引き起こしていたと今の自分ならよくわかった。
そして着々と私達は追い詰められていく。
"みんな、これから指示をだすからその通りに動いて欲しい"
インカムから先生の声が聞こえてきた。
「はあ!?
先生は部外者なんだし、黙って隠れてなさい...余計なおs」
「わかった、なにをすればいい」
「ちょっ...シロコ先輩!?」
セリカの反発する言葉を遮るようにして指示を仰ぐ。
"まず、ノノミが銃を地面に向けて撃って煙幕を...その隙に...!"
先生の指示を受け、とりあえずその様に動くという方針になった。 - 24二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:53
「みんなお疲れさまー...あの状況でよく頑張ったねー」
先生の指示もあり、あっという間に戦闘は終わった。
ノノミとアヤネは先生の指示でスムーズに動けたこともあり、かなり興奮していた。
「納得できない!」
だが、セリカは荒れていた。
「セリカ...?」
「今回の戦闘...確かに先生の指示で勝てたのは事実だけど...これでいいの!?
こんなぽっと出の大人にいいように指示されて...こんなのでアビドスを守れるの!?」
「......セリカ」
「な、なによ...シロコ先輩...」
さっきまで勢いよく喋っていたセリカが急に大人しくなった。
「はーい、2人ともストップだよー
シロコちゃんもそんなに怖い顔しないで」
ホシノ先輩が間に入って仲裁する。
怖い顔...私は今どんな顔をセリカに向けていたのだろうか...
「ごめん...セリカ...」
「べ、別にいいけど...でもやっぱり、私は認められない!」
「はいはい、今日はここまでにしようか
話の続きは...また明日にでもやろうか
とりあえずみんな、今日は帰ろう
先生も帰りなよ、私達も解散するからさ
とりあえず、今日はありがとう」 - 25二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:03
ホシノ先輩の指示で私達は解散し、帰宅することになった。
先生は申しわけなさそうな顔をしていた。
「シロコちゃんはちょっとおじさんに付き合ってよ」
「わかった...」
ホシノ先輩に促されて一緒に帰ることになった。
「いやー...中々に強烈な1日だったねー」
「そうだね...」
「先生か...シロコちゃん、どう思う?」
「私は...信頼できる人だと思う」
「そっかそっか...シロコちゃんはそう思うか...」
歩きながら会話をしているが...どこかぎこちない。
「にしても珍しいね...あそこまでセリカちゃんに怒るの」
「...まあ」
「言いたいことはわかるよ...確かにセリカちゃんもせっかく助けてくれた先生に言い過ぎだしね
でも...シロコちゃんがあそこまで怒るとは思わなかったな」
「ん...」
いまいち何が言いたいのかわからず、小さな返事しか返せない。
「...ほんと...シロコちゃんは先生の事を気に入ったんだね」
「ま、まあ...信頼はできると思うよ」
「信頼...ね...本当にそれだけ?」
ホシノ先輩の言葉に足を止める。
その目は私を疑いの眼差しで見ていた。 - 26二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:14
「...ホシノ先輩の言ってる意味が解らない」
「...シロコちゃんはさ...私が大人を信用してないのは知ってるよね」
「うん...」
「わかってると思うけど...私は先生を疑ってる...」
「ん...わかってた」
「そんな信用できない大人相手にさ...シロコちゃんはどうなの?」
「どう...って」
「後輩にも私と同じように疑えなんて言わないけどさ...今日初対面の人に向ける目じゃないよね
なにか...特別な出来事がないと出来ないよ」
ホシノ先輩の指摘は適格だ。
だが、私の想いと別方向の答えに繋がってしまっている気がする。
だけど...伝え方がわからない。
「で、でも...先生はどうなの...初対面って感じだったはずだよ」
「それはそれでおかしな話になってくるんだけどさ...まあでも、大人は狡猾だし...それくらい出来そうなんだよ」
「...ほ、ホシノ先輩」
「シロコちゃん、君は一体なんなのかな?
何を隠してるの?
最初から先生の元で動いていて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気?」
それがホシノ先輩の出した答えだった。
今日あった信頼できない大人に全幅の信頼を置く私...今までの経験が無ければ異様な光景に映るだろう。
なら、ホシノ先輩を批難できないし、反論する術もない。
「わた...しは...」
ホシノ先輩の顔を見るのが辛かった。
救いたいと思っていたはずの存在のホシノ先輩
だが、その人は今...明確に私に敵意を向けていた。 - 27二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:26
「私は...!」
違うと叫びたかった。
そうじゃないんだ...先生のことは信頼できる大人だとホシノ先輩と一緒に歩んで知っているんだと。
私は敵じゃない...ただみんなを救いたいだけなんだと...けれど伝えられない...伝わらない。
「わたしは...ただ...」
皆が大好きで皆を守りたいだけだと...言えなかった。
そんなもどかしさと、最愛の人の1人であるホシノ先輩から向けられる敵意に耐えらずに私はいつの間にか泣いていた。
けれど、そんな私をホシノ先輩は優しく抱きしめてくれた。
「...ごめん...私も混乱してるんだよね...わからなくて」
「ホシノ先輩...?」
「先生に全幅の信頼を置いて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気だって仮に言われてもいまいち納得できない要素があるんだよね」
「そ、そうなの...?」
「先生に向けてたあの目...シロコちゃんは私達全員にも向けてるんだよね...敵だとしたらこれがわからないんだよ」
私はそんな目をみんなに向けていたのか...
「今だってそう...シロコちゃんの目に悪いものは見えなくて...ただただ辛そう...悲しそうな目をしてるだけなんだよね
まったく...本当にシロコちゃんは何者で...何を隠してるのかな」
「.......ごめん...ホシノ先輩」
「謝らないでいいよ...私の方こそ...ごめんね」
私を離したホシノ先輩にはもう敵意はなく、優しく微笑んでいるだけだった。
「お詫びにラーメン奢るからこのままラーメン屋行こうか」
「ん...じゃあ全部乗せラーメンで」
「だから遠慮してって...」 - 28二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:48
ホシノ先輩とラーメンを食べ終えて、私は帰路に就く。
紆余曲折あったが...なんとか解決してよかった。
"やあ、シロコ...奇遇だね"
「あっ先生」
その帰り道、先生と遭遇した。
"ホシノに呼ばれてたけど大丈夫だった...?"
「うん、大丈夫...少しこっち側で誤解があったけどなんとかなった」
"そっか...よかった"
「けどそれと先生への信頼は別...頑張って」
"頑張るよ..."
元々私がしゃべらないのと、一応は初対面なので会話はあまり続かない。
それでも先生は口を開いて話をしてくれる。
"なんだか歓迎されてなかったね...私...
状態ゆえにしょうがないとは思うけど"
「セリカのこと...あまり怒らないで...
セリカも必死なだけだから」
"朝にも言ってたことだね...わかってる
真面目でいい子だと思うよ"
「ん...よかった...」
"あとホシノは...頑張って信頼を得るよ
それと...シロコ"
「なに...?」
"シロコは...どうしてそんなに私を信じてくれるんだい?"
当然の質問を先生はしてくる。 - 29二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:12:01
「...先生が信頼できる人だってわかってるから」
"けど、今日初めて会ったばかりだよ"
「ん...それでも...わかってる
...直感みたいなものだと思って」
"直感...まあ、どうあれ生徒に信用してもらえて嬉しいよ"
先生は若干照れ臭そうにしていた。
「それじゃ、私はこっちだから」
分かれ道に差し掛かり、先生にそういう。
"わかった...今日はありがとう、シロコ"
「ん...気にしないで
これからよろしく...先生
何かあったら頼って」
"ぜひそうさせてもらうね"
晴れやかな気持ちで先生とも別れる。
とはいえ、これから自体は急激に動き出す。
焦っても仕方ないがいつでもすぐに対応できるようにしなければならない。
まだホシノ先輩に届かない実力も...上げないと。
やるべきことは色々あるが...全員を救うためにもやらなければならない...
泣き言は...言っていられない。 - 30二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:12:47
とりあえずここ何日かでスレ立てるために書き溜めてたものは全部かけた
感想、随時待ってます
モチベーションにつながるのでぜひ - 31二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:16:54
取り敢えず…
心に来るね - 32二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:17:47
書き溜めしてたとはいえ初っ端からすげえ量だな
- 33二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:29:34
期待しておこう
- 34二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:47:48
初っ端から読み応えすごい
- 35二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 23:58:47
クロコSSとは珍しい
- 36二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 08:06:45
期待
- 37二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 17:18:46
期待して保守
- 38二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 21:54:52
ありがとうございます
素晴らしいです - 39二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 01:46:50
夜ふかしスレから来たよ
重い…… - 40二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 07:49:05
- 41二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 14:54:45
期待しています
- 42二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 15:05:19
記憶引き継いじゃってるぶん、嬉しいのもあるだろうけど、心はがりがり削られるだろうなあ……
自分が知ってる破滅への道に片足を突っ込んでしまったらわかっちゃうわけだし
マフラーを巻かれたことに対して自分を責めないでおくれよ……悲しいよ…… - 43二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 21:24:45
待ちます
- 44二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 22:21:39
保守
- 45二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 23:58:10
シッテムのOSがアロナかプラナかでだいぶ変わるぞ………
前似たようなスレでそこで言ったけど、プラナなら因果律が連邦生徒会長の手で固定されてそう
そのせいでシロコが庇っても地下生活者がダメ押し爆破3回目やってきそうなんだよね - 46二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 00:28:59
バレそう…にはないかな?そこまで甲が鋭い人はいないし
- 47二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 00:32:00
流石にクロコいないと時間超えてくるとか予想しないだろうし...
- 48二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 07:01:32
待ってるよ
- 49二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:24:05
クロコに救いはあるのか
- 50二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 19:08:04
まだかな~
- 51二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 00:20:20
書いてます...
- 52二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 00:55:38
待機
- 53二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 06:46:04
ノノミ or おじさんからもらったと思われるshirokokawaiiのメールアドレスは変わってないのかな
中の人がクロコになっちゃったせいでメールアドレスが変わってたら晴れたり曇ったりしそう - 54二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 14:53:23
書き途中
- 55二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 22:32:01
わくわく
- 56二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 08:23:54
このレスは削除されています
- 57二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 11:52:58
今日更新目標...
- 58二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 18:22:57
ワクテカ
- 59二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:56:32
先生がやって来て数日が経った。
アビドスはその間も色々起きた。
便利屋と出会ったり、ゲヘナの風紀委員がやってきたり...柴関ラーメンが爆破されたり...
セリカが誘拐事件も起きた。
それらは全て前の世界同様、問題なく解決して先生はみんなに認められ始めた。
ここまでは問題ない...次に起きるのはホシノ先輩がアビドスを去ろうとすることだ。
前の世界では、置手紙を残してひっそりと行ってしまった。
そして、私達はそれを助けに向かう。
いつも通り...前の世界をなぞるだけだ。
けれど...心はもやもやする。
前の世界をなぞれば、問題なく事件は解決する。
けれど...ホシノ先輩は辛い思いをする。
本当はセリカの誘拐事件でも思っていたが...未然に防ぐことはできないのか?
道を逸れないことで同じルートを辿れても...わざわざ辛い思いをさせる必要があるのだろうか。
もしかしたら...必要なのかもしれない。
けれど、それは今考えても誰も答えてくれない。
だとしたら...私は抗ってみたい。
出来るなら辛い思いをさせたくない。
「こんな遅くまで何をしているのかな...シロコちゃんは...」
「ん...ホシノ先輩を待ってたから」
今まさにアビドスを出て行こうとするホシノ先輩の前に立ち塞がる。
ホシノ先輩はどこか私が来るのをわかっていたような表情をする。
「そっかそっか...でもごめんね...おじさん今日は用事があるから1人で帰ってほしいな」
「用事ってカイザーコーポレーションに?」
「.......鋭いね」
「やっぱり...」
「なんでわかったのかなー...」 - 60二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:56:49
私は何も言わないでホシノ先輩の前に立つ。
ホシノ先輩の表情が変わった。
「でもそっか...やっぱシロコちゃんは止めに来るか...」
「私が来るのもわかってたの?」
「確信はなかったけど、なんとなく来るかなーって思ってたよ
シロコちゃん...いつもどこか遠い目をしてるし...私達を見てるけど、どこかずれてると言うかさ...
まるですべてを知ってるみたいにね...
...この前のセリカちゃんの時も、焦ってないでしょ」
「ホシノ先輩だって...」
「私は焦ったよ...隠してたんだよ
けど、シロコちゃんは焦ってない...
この0と1の差は大きいよ、シロコちゃん
...セリカちゃんがどうでもいいとは思ってないはずだし...だとしたらセリカちゃんが誘拐されるのも、その後どうなるかも知ってた...とかかな」
「......」
「今更敵かどうかは疑ってないよ...ちゃんとアビドスの仲間なのはわかってる
けどやっぱ...色々謎なんだよね...シロコちゃんは」
「......私は」
「いいよ、なにも聞かないから
出来たらそれは...今後もみんなのためにお願いね?」
「がっ...!?」
気付いたときにはホシノ先輩は私のすぐ目の前に来て、的確に急所を狙って私の意識を奪おうとする。
「ほし...の...せんぱい...」
「なんとなくシロコちゃんが来るかなって思ってたからすぐに鎮圧できるように動きを考えてて正解だったよ
うん...シロコちゃんは仲間だからこうして私を止めに来てくれたんだよね...それは嬉しかったよ
だから...私1人でみんなを守れるなら,,,私は自分の身なんていくらでも差し出せるんだ
ありがとう...シロコちゃん...みんなをお願いね」
「だめ...いっちゃ...ほし...の...せん...ぱ...」 - 61二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:57:07
体が揺さぶられている。
私を呼ぶ声が聞こえてくる。
"シロコ、起きて!"
「シロコちゃん、起きてください!」
目を開けると先生とノノミが私の傍にいた。
セリカとアヤネも少し離れた位置で私を心配そうに見ていた。
「先生...ノノミ...
はっ...今何時!?
ホシノ先輩は!?」
「時間は8:30です...
ですが...ホシノ先輩は...」
ノノミの反応から察するにもうホシノ先輩は去ってしまったようだ。
置き手紙もみんな見ているだろう。
「ノノミ、みんな...今から会議を緊急で始めよう
議題はホシノ先輩を取り戻す方法で」
「わ、わかりました!」
私の呼びかけで緊急会議を開く。
「それでは、これより緊急会議を開きます
まず...ホシノ先輩はどこへ行ったのでしょうか」
「それはわかってる...カイザー...
ホシノ先輩は自分の身を犠牲にしてアビドスの借金を返すつもり......だと思う」
危ない...今の言い方ではホシノ先輩が言うように全部わかってるような言い方だった。 - 62二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:57:24
「随分詳しいのね...シロコ先輩...」
「えっと...」
「昔からシロコちゃんは勘が鋭いと言うか...不思議なところが多いんですよ」
「そう...」
セリカが怪しむが、ノノミの無意識なのか分からなかったがフォローでとりあえずその場は切り抜ける。
「んで...多分今回...敵になるのは大きく2つになるはず」
「えっ...カイザーだけじゃないの!?」
「それは...私も初めて聞きますね」
「......私も、アビドスの借金返済のために色々調べて最近知った
ホシノ先輩がここを出て行ったのは恐らく、こいつの『契約』を結んだから
私達が弱い...大人の戦い方をしてくる相手
それがカイザーとは違うもう1つの敵...黒服」
大人の戦いと聞いて全員が暗い顔をする。
そう、この戦いは武力だけでなんとかなるものではない。
闇雲に戦って、最悪矯正所に全員で行くことも考えられる。
「どうすればいいのよ...それ」
「これじゃホシノ先輩を取り戻すことが...」
「けど...こっちにも大人が着いている」
「...そっか...先生は大人ですね」
"よく気付いたね、シロコ"
「先生...お願いしていい?」
"任された...それで、これからどうする?"
「本当は先生が黒服をなんとかしてからがいいんだろうけど...私は待ってられない
今すぐにホシノ先輩を助けに行きたい...」
私の言葉に、みんなが頷いた。 - 63二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:57:34
「はい、行きましょう!」
「今度は私達が助ける番ね!」
「帰ってきたらうんと叱りましょう!」
みんなが意気揚々と声を上げる。
「ってことで...先生、やっていい?」
"いいよ...今回の契約自体無効だし...順番にこだわる必要もないよ"
「ありがとう、先生
カイザーは契約の有無にかかわらず抵抗するはずだからみんな、戦闘準備して行こう
会議は以上!」
会議の終了宣言と同時にみんなが一斉に動き出す。
私も準備をしていると、ノノミが傍に来ていた。
「ノノミ、どうしたの...そんなに時間ないよ」
「シロコちゃんは...どこまでわかってるんですか?」
「ただの予想...わかってるわけじゃない」
「...嘘ですよね...ホシノ先輩が言ったようにシロコちゃんは......」
「大丈夫だよ、ノノミ」
ノノミの言葉を遮る。
「私は...アビドスの味方だから
正直に言うと...隠してることってのは確かにある...
けれど、それだけは本当だから...包み隠さずに言える」
「...まっすぐな目ですね
ホシノ先輩はよく相手の目を見てますが...私もそれに倣って...シロコちゃんを信じてみます」
「ありがとう、ノノミ
大丈夫、きっとうまく行くから」 - 64二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:57:47
準備を終え、先生に声を掛けようとすると先生はどこかへ電話をしていた。
「何してるの...先生?」
"ちょっとした秘密兵器
さっ...こっちの仕込みも終わったし...ホシノを助けに行こう"
「うん...」
若干気になるが気にしても仕方ないので無視してみんなと一緒にカイザーへと向かう。
カイザーの元へ向かうと、相手も予測していたのか...大量の兵士と共に私たちの前に立ち塞がった。
「これはこれはアビドス生徒の諸君...お揃いでようこそ
それで、今回は何の用かな?」
「白々しいわよ、さっさとホシノ先輩を返しなさい!」
白々しい態度のカイザー理事にセリカがかみつくが...ニタニタと笑いながらカイザー理事も答える。
「何を言うか...小鳥遊ホシノは自分から進んで契約を結んでカイザーの元へ来たのだよ
それを返せだなんて...どういうことかな?」
「うるさい、そんなの認められないんだから!」
「はっはっは...!
威勢はいいが...これは事実だ!
それなのに小鳥遊ホシノを奪いに来るのだから...こちらとしては正当防衛として迎え撃つしかないな...?」
待ってましたとばかりにカイザー理事は言い放つ。
だけど...
"いや、確かにその契約は認められない"
「...誰だ、貴様」
"シャーレの先生だよ...
もう一度言うね、その契約は認められない...ホシノを返してもらうよ" - 65二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:58:12
先生の名前を聞いて、カイザー理事が動きを止めた。
「そうか...シャーレか...
これは面倒だな」
「そうよ...私は正直わかんないけど、先生が言うには契約は認められないんだからさっさとホシノ先輩を返しなさいよ!」
だが、カイザー理事はまたも不敵に笑う。
「いいや...返せないな
......何故なら...今日、シャーレとアビドスの諸君はここに来なかった...これが今日の出来事なのだからな」
「な、なんですって!?」
カイザー理事はあくまでも徹底抗戦をする気だ。
だが、そんなことは分かっている。
不敵に笑うカイザー理事だが、次の瞬間、爆発音が響き渡った。
「なにごとだ!?」
「ゲヘナの風紀委員とトリニティの砲撃部隊が攻めてきました!」
「な...なにい!?」
それを聞いていた先生が笑っていた。
やはり、そうか...
手順は少々違ったが、元の世界通りにゲヘナとトリニティの協力も得られた。
「理事、どうしますか!?」
「おのれ...おかしいぞ...
なんなんだこれは...あまりにも出来すぎではないか!?」
そうだ...今回は私がいる。
出来る限りホシノ先輩を早くに救出するために動いていて、第三者には不気味に覚えるだろう。 - 66二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:58:23
「理事、ご指示を...ゲヘナ、トリニティ双方止まりません!」
「ええい、全軍半分に分かれて各個撃破せよ!
ここは少数でいい、こっちはたかが4人と戦えない大人一人だ!
この作戦の要はアビドスの連中だ...そこさえ潰せば我々に風が向くはずだ!」
意外にもテキパキとカイザー理事は指示を出して行く。
「案外冷静だね」
「やかましい...はらわた煮えくり返ってるわ!
だが、これくらいの逆境...何度でも乗り越えて今の地位を手に入れたのだよ!
それに...私にも最終兵器がある!」
そういうと、背後にあった巨大な兵器...ロボに乗り込んだ!
「さあ、この新型兵器、ゴリアテの威力を思い知るがいい!」
カイザー理事は意気揚々と宣戦布告をする。
だが、それくらい予想済みであり、攻略済みだ。
私の敵では無い。
"とりあえず、ここは焦らずにいこう
まずはノノミ..."
「ん、ここは私1人で十分...みんなは取り巻きをお願い
先生はみんなのサポートをして」
"ちょっ...シロコ!?"
みんなが私を止める声が聞こえるが無視してゴリアテに向かう。
みんなの言いたいことはわかるが私にはゴリアテとの戦闘経験がある。
これくらい、1人で倒せないと後々困る。
それに...一刻も早くホシノ先輩を救わないと... - 67二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:58:33
「この...ちょこまかと!」
ゴリアテの周りを私は動き回り、翻弄する。
新型というだけあって理事も操作に慣れてない様子だ。
「ん、こっちだよ」
「この...大人をからかったらどうなるか徹底的に教える必要があるな!」
煽るように言葉をかける。
理事は目論見通りに怒っている。
「ええい、もはや全て吹き飛ばしてくれる!」
ついに我慢できなくなったのか、頭に付いてる巨大な砲台にエネルギーが集まっていく。
「シロコ先輩、大丈夫かしら...」
「心配ですねえ...焦ってるように見えますけど」
ノノミや後輩たちが心配する。
何故だろう...こんなに順調なのに...
「吹き飛べ!」
エネルギーが溜まりきり、発射される。
「待ってた!」
私は隠し持っていたホシノ先輩の盾を取り出し、それを防ぐ。
そして反動で動けなくなったゴリアテに近づく。
だがその瞬間、私の体は凄まじい衝撃とともに吹き飛ばされた。 - 68二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:59:21
"シロコ!?"
「はーはっはっは!
言ったろう、大人をからかったらどうなるか教えると!
おっと、こんなもんじゃすまないぞ?」
吹き飛ばされ、痛みで悲鳴をあげる体に鞭打って立ち上がる。
どういうことだ...私の知ってるゴリアテはこれで倒せるはずだが。
いや...どちらにせよ...私の勝ちはもう決まっている。
「どうした、今更怖気づいたか?」
「ん...私の勝ちを確信してた」
「なに?」
カイザー理事が不審に思った瞬間、ゴリアテが内部から爆発し始めた。
「なにい!?」
「さっきの砲撃の後にできた硬直の時間に砲台からたくさんグレネード投げ入れておいたよ」
「おのれ...こんなああああ!」
カイザー理事は断末魔を挙げながらゴリアテが爆発する。
...すこし入れすぎただろうか。
まあ...死にはしないだろう。
だが不思議だ...今までの出来事と差異はあれど...今より大きな差異はなかったはずだが...だが、今はいい
「終わったね...みんな、早くホシノ先輩のところに急ごう」
「待ってください、シロコちゃん!」
ノノミが私の腕を掴み、止める。
腕に鈍い痛みが走る...恐らく、ヒビが入ったのかもしれない。
ノノミは泣きそうな声だった。 - 69二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:59:32
「なに、ノノミ...もう障害物もないんだから早くホシノ先輩を助けに行こう」
「それでも...少しだけ...一呼吸だけでもいいので足を止めてください!」
意味が分からない...もう何も邪魔はないのになぜ休む必要があるのか。
「必死になるのはわかります...
けど、そうやって1人で突っ走って大けがまでして...私は見ていてすごく悲しいです
ホシノ先輩だってそうやって助けられても嬉しくないと思います!」
「でも...」
「シロコちゃんがそこまで必死になる理由がわかりません
私たちだってホシノ先輩は大事で、助けるのには必死ですが...シロコちゃんの気持ちは私たちの比較にならないのがわかります
それでも...私たちは仲間ですよ」
「わかってる...わかってるからはやく...」
「...少しは落ち着いて、後ろを見てください
戦いが始まってから...一度もちゃんと目が合ってませんよ」
そう...だったろうか...
逸る気持ちを抑え、振り返る。
たしかに...ノノミの言うとおりだった。
ずっと焦って、1人で突っ走っていた。
多分...みんなと一緒に戦っていたらこの怪我もなかったかもしれない。
あらためて振り返ると、泣いているノノミ、少し怒ってるセリカ、心配そうなアヤネ、それを見守っている先生がいた。
「ごめん...たしかにそうかも
この怪我の応急処置だけはして...終わったらみんなでホシノ先輩を迎えに行こう」
「はい...そうしましょう!
アヤネちゃん、手伝ってください」
「わ、わかりました」
「まったく...突っ走りすぎよ...」
"まあ...何はともあれ...お疲れ様" - 70二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:59:45
応急処置も終わり、ゲヘナとトリニティもカイザーの軍勢を制圧したという話を聞いた。
これにてこの戦いは私達の勝ちだ
「それじゃ、迎えに行こうか」
「そうですねー」
カイザーの建物に入って、暗がりを進んでいく。
進んだ先にはホシノ先輩が縛られていた。
「すごいね...シロコちゃん...
まさかカイザーを退けて私を助けに来るなんて...」
「ん、頑張った...」
「そうだね...そんな怪我までして...」
「それくらい、ホシノ先輩が大事だから...」
「...私...間違えすぎたんだけどね
こうやって、私が犠牲になれば借金も改善するかと思ったんだけど...借金どころかアビドスを潰す気だったみたいだし...ほんと...私って...
それに私はシロコちゃんにだって...」
「間違いなんて、誰にでもある」
そう...誰にも...私も間違いだらけだった...
「大事なのは...間違った後だと思うよ
だから...帰ってきて、ホシノ先輩」
みんなも後ろで肯定する声が聞こえてくる。
先生は言いたいことを全て言われてしまったと呟いていた。
「シロコちゃん...みんな...」
「ほら、なにか言うことあるでしょ」
「...うへへ...ただいま、みんな」 - 71二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 22:19:58
シロコ…
- 72二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 07:06:45
だいぶ焦ってるのが…
- 73二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 16:38:07
冷静になれシロコ
- 74二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 19:21:07
錯乱してるか…?
- 75二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 20:26:01
おじさんは過去の自分を一番傷付けたのと同じことをシロコ(クロコ)にやりかけてるんだよな……
シロコ(クロコ)が2周目とかはわからなくても傷付けたことくらいはさすがに察してあげて欲しいな - 76二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:12:11
1周目の知識をいまんとこあんま活かせてないな・・・
- 77二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 00:26:53
1週目より強くはなってそうなんだけどね…
- 78二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 00:49:23
シロコが実力行使に出ると察知して一瞬で倒してのけたおじさんが無法すぎる
まだ臨戦ですらないのに…… - 79二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 07:28:06
シロコにとってこれから起こることを知っていて戦闘ノウハウがあるのは有利だけど、これから起こることを"知ってしまっている"ことはある意味不利でもあるという
そもそもこのシロコの前提理念が自分は死んでもみんなは守るだからなぁ(前科あり)
いのちだいじに、、、 - 80二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 15:13:45
並行世界というか未来を知っていることをカミングアウトするにしろしないにしろ最善手をとるにはきちんと仲間を頼れるかが鍵になりそう
やっぱり1人で解決できることなんてたかが知れてるから… - 81二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 00:08:30
他人を頼れ()
- 82二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 08:54:57
ホシノへの説得のしかたが重すぎる
- 83二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 16:04:29
ホシノが察しよすぎるのがきつい...
- 84二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:22:57
保守をひとつまみ
- 85二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 05:19:23
クロコは曇らせる
- 86二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 13:25:16
かいてるよ
- 87二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 21:54:06
待機
- 88二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 00:32:05
ほ
- 89二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 07:52:56
待機保守
- 90二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 12:00:55
今日には更新できるはず!
- 91二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:55:42
あんまこの単語だけでやるの好きじゃないけど…保守!
- 92二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:40:37
カイザーとの出来事からまた少し日付が経つ。
その間、やはりいろいろなことが起きた。
なんでもない日常の数々や...エデン条約にかかわること。
無人島にも行ったりした。
事件はあれど...総じて私は再び青春をみんなと味わっていた。
そんなある日、私は偶然ホシノ先輩と出会い、お茶にすることにした。
お茶を飲みながら雑談する。
それだけですごく楽しい。
「そういえば最近のシロコちゃんはすごく楽しそうだよね」
そんなことをホシノ先輩は言い出した。
「楽しそうって...たしかに楽しいけど、改まって何?」
「昔はさ...そんなことなかったよ?
たしかに楽しんでるときもあるけど...それでも心ここにあらずって感じでさ
まあ、大方シロコちゃんが隠してることが関係してるんだろうなって想像はついたよ」
「ん...それは...」
「ああごめん...別に無理に聞こうとはしてないからね
その隠し事で別にアビドスを乗っ取るとかそういう類いじゃないってのはわかってるからさ
それにおじさんだって隠し事はあるからさ...
何がそこまでシロコちゃんを必死にさせるか気にはなるけど...追及はしないよ...」
「ん...ありがとう...」
「それと、先生と仲良さそうでおじさんも嬉しいよ」
別ベクトルから攻撃を受け、飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
「んぐっ...げほっ...なんのことかわからない」
「うへえ...わかりやすい...図星だねえ」
「......意味が分からない」 - 93二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:40:48
口元を拭う際、ホシノ先輩の顔を見るがニヤニヤしていた。
「なに...本当に何もないって」
「...おじさん仲いいとしか言ってないんだけど」
「......」
「先生のこと...好きなんでしょう」
「.......うるさい」
「青春だねえ」
ニヤニヤ笑うホシノ先輩を無視してお茶を飲み続ける。
「そういうホシノ先輩こそどうなの」
「うへ...おじさん?」
「そう...先生のこと、どう思ってる?」
「んー...嫌いじゃないよ?
でもシロコちゃんみたいに恋愛感情はないかなー...」
「一言余計」
「まあ...先生に限らず誰だって持たないかもね...」
「......まだ疑ってる?」
「...ちょっぴりね」
私の指摘に申し訳なさそうな顔でホシノ先輩は頷いた。
「何度も助けてもらってるのに...」
「わかってるよ...でもこれは長年の影響というかなんというか...」
実際、ホシノ先輩も何度も助けられている自覚はある。
だからいまだに信用しきれないことに罪悪感を持っているのだろう。
ホシノ先輩の過去を考えれば当然ではあるが...
少し悲しい気持ちになる。 - 94二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:40:58
「でも...信じきれてないのも事実だけど、先生のことはどの大人よりも信用してるのも事実だよ」
「ん...それもわかってる」
「だからおじさんにももう少し時間が欲しいかな...」
「ん...それもいいと思うよ」
「もし先生のこと好きになったらおじさん容赦なくいくよー」
「わ、私には関係ない...」
「えっ...じゃあおじさんが先生と付き合ってもいいの?」
「それはだめ!」
「...食い気味じゃん」
「あっ...」
なんてこともない恋バナ...ホシノ先輩としたのはいつ以来だろうか...
そもそも初めてな気もする。
ホシノ先輩も私も恋愛なんてするタイプではないし...
い、いや別に私だって先生のことは好きじゃない...
なんて考えているとホシノ先輩の携帯にアヤネから電話が来た。
『ホシノ先輩、今どこにいますか!?』
「今シロコちゃんと一緒にカフェでお茶してるけど...どうしたの!?」
『緊急事態です...ハイランダーの生徒が攻めてきました!』
「...ハイランダー?」
『はい...今日はたまたま先生も来てらっしゃったので対策を考えているところです
至急、シロコ先輩と一緒に来てください』
「わかった、すぐに行くね
...ってことだけど...シロコちゃん?」
ハイランダーといえば...列車砲の事件だろうか...
それにしては早すぎる...
プレナパテス...は私と先生なので襲撃がないのは当然なの考えないでもいいが...
それにしたって時期が早すぎる...これはいったいどういうことだろうか? - 95二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:41:09
「...ちゃん...シロコちゃん!」
「あっ...どうしたの、ホシノ先輩」
「どうしたのってこっちのセリフだよ...ぼーっとしちゃって...」
「あっごめん...」
ハイランダーの襲撃...それ自体は元の世界でもあった。
だが、それはもう一カ月くらいは先の話だ
そもそもあれは契約の日付もかかわってきたはずなのだが...
考えれば考えるほど不自然なことが出てくる。
だが正直、今何を考えたところで何か答えが出るわけでも対策もできない。
起きたことは事実、それならしっかり動かないといけない。
「急ごう...いくら先生がいてもさすがに私たちがいないと人数も少ないしきついと思う」
「そうだね...
まったく...せっかく平和になってきたのにねー」
会計を済ませて店を出る。
「あれ、天気もよくないね」
「...今日は快晴だったはずなんだけど」
「そうだよね...
......なんか、嫌な予感がするね」
「ん...やめよう、縁起でもないし」
ホシノ先輩のいう通り、空模様が怪しい。
まるでこの先を暗示しているような...
いや、気にしすぎだろう。
今は急がないと...
ホシノ先輩と一緒にアビドスに戻る。
何かが崩れ始めた気がしながらも... - 96二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:41:21
結局、アビドスに戻ってからの展開は元の世界と特に変わらなかった。
いや...一点だけあった。
契約の日付が変わっていた。
もしかして私の行動が歴史を変えた?
私が...崩壊を早めている?
いや、この考えをやめよう。
でなければ結局答えは何も変えられないということになる。
それでは今までの行動は無駄になるし...それに...
私はまたみんなの死を見届けないといけないのか...?
"シロコ、大丈夫?"
「うわ...先生!?」
"なにか困った顔してるけど..."
「ん...今日のことについて考えてた...」
"突然でびっくりしたね...でも大丈夫だよ、今回も何とかなるよ"
「...そうだね」
話してて思い出した。
そうだ...次の事件はシャーレの爆破だ!
先生のこともだが...先生さえいればホシノ先輩の今後の暴走も止められるはずだ。
「先生、しばらく私の家に泊まって」
"えっ...ええ...!?"
「理由は...説明できない
けどこれは大事なこと...お願いだからせめて総会が終わるまでは私の家に止まって!」
"...わかった...すごい真剣なのは伝わったよ...とりあえず今から荷物だけ取りに行くから先に帰ってて?"
「ん、わかった」
今のタイミングで思い出せてよかった。
これで先生はシャーレが爆破されても平気だ。 - 97二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:41:31
「じゃあ私、買い物をして帰るね...今日はご馳走にするから」
"おっ...じゃあ期待して待ってるね"
「うん...あっシャーレ出たら連絡して、私もそっちに行くから」
"わかった、それじゃ後でね"
先生と別れて私はスーパーに向かう。
料理に関しては特に得意というわけではないが...それでもできる限り美味しいものを作ろう。
そう思っているといつの間にか籠はパンパンになっていた。
正直、浮かれているのが分かった。
まだ確定したわけではないがこれで先生の死は回避できるはずだ。
そんなの...嬉しくないわけがない。
だから足取りが軽やかでスーパーを巡る。
ふと、一つのコーナーで足が止まる。
夜の営みで使うものがひっそりとおかれていた。
いやまて...それが目的なわけじゃない...だからこれは買うべきではない...
雑念を消して買い物を進める。
......あれは念のため買うことにした。
「先生...遅いな...」
買い物を終えて家に帰るが不思議と先生からの連絡がこない。
約束を忘れて今こっちに来ているのだろうか...?
心配になってくるが、電話がなった。
「......もしもし、どうしたの...アヤネ」
「大変です、シロコ先輩!」
「どうしたの...慌てすぎ、少し落ち着いて...」
「シャーレが何者かによって爆発されました!
先生も爆発に巻き込まれて現在意識不明です...!」
「...えっ?」 - 98二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:41:42
そう、ノノミがいないのだ。
「ノノミ先輩ですか?
連絡がつかないんです...もう寝てるのでしょうか...」
「なんでもっと焦らないの!?
先生がこんな状況なのに...せめて家に行くとか...」
「アヤネちゃんに当たってもしょうがないよ、シロコちゃん
こんな状況だからこそじゃない?
冷静な判断を出来てないんだよ」
「そういうホシノ先輩は何でそんなに」
「私だって冷静じゃないよ...現に今シロコちゃんに言われるまでわかってなかった」
「......ごめん...でも、今すぐにノノミに合わないと...」
そうだ...先生のことで抜けてしまっていたがノノミはほぼ同時期で誘拐されるはずだ。
起きてしまったことは仕方ない。
だが、まだすべてが終わったわけじゃない。
ノノミの誘拐が防げればきっとまだ挽回できるはずだ。
「ホシノ先輩、ついてきて...ノノミの家に向かう」
「...まって、シロコちゃん
ノノミちゃんの家に行く、それはいいんだけど...何をそんなに焦ってるの...?」
「......詳しくは話せない...けど、たぶんノノミが危ない」
「...わかった、行こう」
ホシノ先輩はそれだけで信じてくれたようだった。
「急ごう、たぶんそこまでもう時間がないかも」
先生を一瞥して病室を出る。
仕方ないとはいえ、冷静に頭が回るなのが自分でも嫌だった。 - 99二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:42:09
「ノノミ、いる!?」
「ノノミちゃーん?」
ノノミの家について声をかけるが返事がない。
同じくホシノ先輩も声をかけるが返事がない。
私は扉を蹴破ってノノミの家に入る。
「ちょっ...シロコちゃん!?」
私の強硬にホシノ先輩は驚くが無視して部屋に入るがやはりノノミは家にいなかった。
「...遅かったか」
「ノノミちゃん、こんな時間になんでいないんだろう」
「ノノミは...たぶん誘拐された...」
「...どういうこと?」
ホシノ先輩の表情が変わる。
「探しに行かないと...けどどこを...」
ノノミが連れ去られたのはどこだろうか。
相手はネフティスなので実家だろうか。
考え事をしていると強い衝撃とともにホシノ先輩によって壁に叩きつけられた。
「いい加減にしてシロコちゃん!
ノノミちゃんが誘拐されたってどういうことなの!?」
鬼気迫る表情で私に詰め寄る。
ああそうだ...ホシノ先輩にとってユメ先輩を失ってから支えてくれた存在なのだ。
だからこうも必死になるのだろう...少しでも手がかりを持ってそうな私に対して...
なんて説明したものか... - 100二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:42:14
っしゃキターーー
- 101二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:42:23
「今日来てた大人たちは一枚岩じゃない...それぞれの思惑がある...
ネフティスもそう...ネフティスの復興を考えてノノミを誘拐して、少しでも自分たちの有利な方に持っていきたいんだと思う
たぶん明日...連絡が来る」
「なんでそんなことがわかるの...」
「.......ごめん、先生のことで手がいっぱいになってた
私がしっかりしてれば防げたはずなのに」
「質問の答えになってないよ!
どうしてシロコちゃんはそんなこと知ってて、黙ってたの!」
「理由は言えない」
「どうして!」
「アビドスの...みんなのためだから!」
「......」
私の言葉にホシノ先輩は力を緩めて私を離す。
「ホシノ先輩...これからネフティスに行ってみようと思う
詳しい場所はわからないけどきっとノノミもそこにいると思う...
一応明日の総会には出てくるはずなんだけど、先手を打つ」
「...それはやめておきな
なんだかんだ、あそこはノノミちゃんの家なんだし...誘拐じゃないって世間的にはごまかされるかもしれない
そしたら私たちは不法侵入者になる」
「...明日まで待つの?
でもそれだと...」
「シロコちゃんは先に帰ってな...」
「...アビドスから抜けて一人で行く気?」
「やっぱりわかるんだね...」
「そんなこと、させない...」
やはり、これは想像通りの結果だ。
アビドスを抜けて一人でノノミを助け...私たちだけで総会に出席させる気だ。 - 102二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:42:35
「...また、止めに来る気?」
「ん、当たり前...その道はだめだよ、ホシノ先輩」
お互い睨みあう。
同時にどうしてこうなるのかとも考える。
私はみんなを守りたい。
ホシノ先輩もそれは同じだ。
同じ想いなのに私たちはぶつかる。
「わかった...じゃあ明日総会より前の時間にアビドスに来なよ」
「えっ...?」
「私だって準備があるし...そっちだって必要でしょ?
それなら...少し時間おいて万全な状態でやろうか」
「...ん、わかった」
「私は先に帰るよ...準備のためにも」
「...じゃあ私も」
そういうとホシノ先輩は私の横を通り過ぎて先に一人で帰り始める。
その際、何か言われた気がしたが聞き取れなかった。
また...なにも変えられずにこの状態になってしまった...
けれど、仕方ない。
それに私は...この時のために強くなってきたのだ。
今回はホシノ先輩を止めて見せる。
私も帰って準備を進めよう。
その前に...もう一度先生の顔を見に行こう...
ああ...そうだ...二人にも、声をかけよう。 - 103二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 02:47:12
これプラナか…?
- 104二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 03:02:18
- 105二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 09:05:24
やはりホシノvsシロコか
- 106二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 18:00:14
帰ってくれ
- 107二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 01:14:38
止めることが出来るのだろうか?
- 108二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 08:46:33
なんだか怖い...
- 109二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 18:37:15
待機保守
- 110二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 02:27:39
帰れ! プラナ、塩撒いといて塩!
- 111二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 09:03:49
どうなるかね
- 112二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 12:25:02
もう少し...まっていただけると...
- 113二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:11:09
待つ
- 114二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 02:57:22
楽しみ
- 115二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 09:00:48
ほっしゅ
- 116二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 18:16:29
今日はある程度書きたい...
- 117二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 01:51:54
寝る前に延長させますよ!
楽しみなので! - 118二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 10:49:35
たいき
- 119二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 11:37:54
私は待っているぞ……
- 120二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 20:46:05
保守
- 121二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 21:07:43
うへ〜保守保守
- 122二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 05:41:53
保守
- 123二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 13:47:59
ほほほほほぉしゅ
- 124二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:44:09
このレスは削除されています
- 125二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:44:21
早朝のアビドス。
人は少ないけれどそこは確かに私の青春が詰まった大事な場所。
そんな場所は今、青春には似つかわしい雰囲気で包まれていた。
「来たね...シロコちゃん
それに、セリカちゃんにアヤネちゃんも...
シロコちゃんが来るのは分かってたけど、まさか2人も一緒に来るとはね」
「私だって1人で戦って1人でホシノ先輩を止めたかった
けど、私の実力は悔しいけどまだホシノ先輩に届いてない
今は私1人でとか言ってる状況じゃない...だから2人にも手伝ってもらう」
「話は全てシロコ先輩から聞きました...3人の意見は同じです」
「そうよ...こんなこと、絶対に許さないんだから!」
アヤネもセリカもホシノ先輩相手に威勢がいい。
頼もしい限りだ。
「私は...本当にいい後輩に恵まれたね」
「ん...だったら」
「だからこそ...猶更私1人で全て終わらすんだよ
アビドス生徒会が残したものは残った私が引き継いで、新しいアビドス廃校対策委員会がこの先に残るんだよ
これしか...道はない」
「道ならある...きっと先生がいたら」
「その先生は...今はいないでしょ?」
「......」
先生がいたら...どんな風に解決したんだろうか。
もう1つの世界...私が私にならなかった世界では先生は動いていた。
なら、きっと策は浮かんでいてたのだろう...けれど私はそれを知らない...だから、今出来ることをする。
「もう...何を言ってもダメみたいだね」 - 126二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:44:32
これ以上の対話は無意味と判断した。
何を言っても通じない。
ホシノ先輩は強硬策を考え、そしてそれを実行できる力がある。
なら、私達で無理やりにでも止める...そう思っていたが...
「...強いね...みんな...後輩の成長がこんなにもすごいと私も嬉しいよ
もう、私1人がアビドスを去ってもなにも問題はなさそうだね」
ホシノ先輩はあまりにも強かった。
アビドスのグランドは凄まじい戦闘の蹄を残し、そこに立っていたのはホシノ先輩だけだった。
戦闘にこそ参加しなかったアヤネだが...軍用ヘリ3機同時操作という離れ業を見せた。
セリカもすごかった...特にそのスピードには度肝を抜かれた。
それに私だって...基礎能力はあげて...さらにホシノ先輩にも通じそうな策を何個も考え、実践もした。
けれど、そのすべてを重ねてもホシノ先輩には届かなかった。
ただホシノ先輩を疲れさせるだけだった。
こんなにも...差があったのか。
暴走したホシノ先輩とはやりあえたのに...
いや、あれは色彩の影響もあるだろう。
そんなのは当てにできない...してはいけない。
何はどうあれ、私達ではホシノ先輩に届かなかった。
「もうこんな時間だ...みんな強かったし...予定よりだいぶオーバーしてる...急がないと」
ホシノ先輩はもう私達を見てもいなかった...
「まって...ホシノ先輩...」
体を引きずりながら私はホシノ先輩の前に出る。
「いっちゃ...ダメ...」 - 127二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:44:43
ホシノ先輩は何も言わずに歩いてくる。
「あの時と同じだよ...ホシノ先輩...」
何を言っても。
「お願いだよ...ホシノ先輩...
これは間違ってるんだって...」
ホシノ先輩は答えず、私を見ない。
「私を見て、ホシノ先輩!」
その姿を見てホシノ先輩に掴みかかるが...簡単な足払いをかけられて、転ばされた。
「そうだね...もしかしたらこれはダメなのかもしれない
けれど、今回は確実にシロコちゃん達は助かる」
「でも...先生がいれば...」
「先生は今はいない
あの人の事は信じてるけど...今はいないんだから私が1人で考えるしかない」
「それでも...ホシノ先輩...」
「ああそうだ...さっき、私を見てって言ってたけど...それそのまま返すよ
何を見てるかは知らないけど...シロコちゃんこそ、私達を見てないよね...」
「それ...は...」
その指摘を...私は反論できなかった...
「......まあいいや...再三言ってるけど...敵意は感じないし
じゃあね...シロコちゃん
ノノミちゃんと一緒に...次のアビドスを頼んだよ」 - 128二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:44:54
結局、ホシノ先輩を止めることはできずに去ってしまった。
私は...ホシノ先輩に言われたことが頭をぐるぐると周り、離れない。
私は...未来を変えることだけを意識しすぎていてホシノ先輩を...みんなをちゃんと見れていなかったのかもしれない。
私はみんなとの過ごした経験はあるが...みんなはない。
そんなのがみんなを見ずに守りたいだの大切打の言っても上辺だけだといわれても仕方がない。
「いつまで寝てるのよ、シロコ先輩...私が動けてるんだし、シロコ先輩だって動けるでしょ」
セリカが倒れている私を見下ろしていた。
「わからない...体は確かに動ける...けど...」
「だったら早く立ちなさいよ...ホシノ先輩、追うわよ」
「...私は...追っていいの?」
「さっき言われたことを気にしてるの?
あれ、半分嘘よ?」
「う、嘘...?」
「確かにシロコ先輩...私達とは違うどこか遠い場所を見ている時が多いけど...それはずっとじゃない
ちゃんと私達を見てくれてるわよ...あれはシロコ先輩を遠ざけるためよ」
「確かに...私達はシロコ先輩の考えは読めません
けれど、信頼はしています...考えは読めなくても...ホシノ先輩だって同じです」
「......そっか、ありがとう...2人とも」
2人の言葉に力が入る。
沈んだ心が...再び立ち上がる。
「ごめん、2人とも...私、隠し事がある...
でも、アビドスは大切で...それが原因での隠し事...
無理は承知だけど...信じて私に着いてきて」
私の言葉に2人は頷き、ホシノ先輩を追うために準備を始める。 - 129二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:45:08
準備と軽い治療を終えて私達は総会の場所に向かう。
「ねえ、シロコ先輩...この後どうするの?」
「ん...とりあえずホシノ先輩は泳がせてノノミの救出を最優先にする」
「お、泳がせるって...あれでいいの!?」
「大丈夫...どうせ今のホシノ先輩に挑んでも惨敗するだけだし...それならホシノ先輩には暴れてもらって、ノノミを救出してもらう」
「総会はどうするんですか?」
「どうせうやむやになるから気にしないでいい」
「わかったけど...ホシノ先輩は1人で大丈夫なの?」
「問題ない...むしろ本気のホシノ先輩には私達は着いていけないからそのまま1人で戦ってもらう方がホシノ先輩にはいい...
それに...あれくらいじゃホシノ先輩は止められない
けど、疲労はたまる...頃合いを見てもう1度しかける」
今後の方針も伝え終わった頃、爆発音が聞こえた。
きっとホシノ先輩が暴れているのだろう。
「急ごう...タイミングも重要になる」
総会の会場に入ると既に戦場と化していた。
「すごいわね...ホシノ先輩...」
「感心する気持ちもわかるけどまずはノノミを探さないと」
ホシノ先輩は見当たらない。
私達は正面から入ったが襲撃の都合上、正面から行くとは考えにくい
「二手にわかれよう...私は1人で、セリカはアヤネと行ってノノミを探そう」
「わかったわ」
銃撃音を無視して、捜索を始めた。 - 130二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:45:18
様々な部屋を探していくがノノミは見つからない
代わりに銃撃音が近づく。
こんなことなら詳細をあの世界で聞いておけばよかった。
いや、そんな暇はないし...そもそもこんな状況になるなんて予想外だ。
「......あとはこの部屋だけ」
ひときわ銃撃音が激しい部屋に来た。
おそらく、まだホシノ先輩は戦っていて、ノノミはここにいるのだろう。
「シロコ先輩!」
「ん...結局合流したね...」
分かれたセリカとアヤネとも合流する。
「行こう...ここにノノミとホシノ先輩がいる」
「ホシノ先輩を止められるでしょうか...」
「今はそれよりもノノミを救出することを最優先に考えよう
ホシノ先輩はノノミを救うために利用するぐらいで考えて」
「り、利用って...」
「結局、今戦っても勝てないのもそう
それならまずはノノミだけを考えるべき」
「わかったわ!」
「行きましょう!」
部屋を開けて中に突入するそこはすでに戦場と化していた。
ホシノ先輩はノノミを守るように戦い、囲まれていた。
さすがというべきかそれでもホシノ先輩は敵を圧倒して着々と数を減らしている。
「セリカ、アヤネ...いくよ!」 - 131二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:45:29
敵勢力を背後から襲い、ホシノ先輩を囲う陣形を崩す。
「シロコちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん...」
「みんな...!?」
2人も驚いていたがすぐに連携を始める。
本気のホシノ先輩と私たち。
すでに半分以上削られた相手では勝負はあっという間に決着がついた。
「プレジデントは!?」
殲滅も終えたころ、ホシノ先輩が声を上げた。
「プレジデント...?」
「さっきまでいたんだ...
...くそ、あいつこの機に逃げてヘリで列車砲を狙うつもりか」
ホシノ先輩がぶつぶつとつぶやくとそのまま屋上へ走って行ってしまった。
「ホシノ先輩!」
「とりあえず追おう!」
屋上へ向かうと事態は一変していた。
ヘリからカイザープレジデントが突き落とされていた。
ヘリの上にはスオウと言う名の生徒が立っていた。
「なっ...どういうこと?」
「これは...」
「小鳥遊ホシノ...生徒会の谷へ来い...お前なら場所はわかるはずだ」
「君は...」 - 132二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:45:40
スオウと呼ばれた生徒はそのままヘリを飛ばして砂漠へ向かう。
ホシノ先輩はそれを追おうとするが...
「シロコ先輩...?
ホシノ先輩は泳がせるって」
「ごめん...やっぱりできる限り止めたい」
私はホシノ先輩の前に立つ。
「どいて、シロコちゃん
私だって何度も本気で後輩を撃ちたいわけじゃないんだ」
「もう、1人でやる必要はないよ
ノノミは助かった、総会はめちゃくちゃ...みんながいるんだよ
1人で解決しようとしないで」
「どいて」
「退かない...ホシノ先輩を1人にしない
私はみんなを...ホシノ先輩を守りたい
これが私の望み...私が見ているもの」
「...そっか...嘘はついてなさそうだね
だったら尚更、私は1人でいくよ
私が1人でやればみんなを守るんだ
こんなにいい後輩たちは...守らないと」
「ホシノ先輩!」
立ちふさがったが...先ほどのダメージがまだ残っていたのか私の動きが止まる。
その隙にホシノ先輩は私を押しのけて砂漠へ行ってしまった。
「シロコ先輩...!」
よろけた私をみんなが支えてくれた。 - 133二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 15:45:57
「シロコちゃん、大丈夫ですか?」
「大丈夫...ふらついただけ...」
けど...ホシノ先輩が」
「行っちゃったわね」
「とりあえず..追いたいのですが...生徒会の谷とは」
「私が知ってる、急ごう」
「な、なんでも知ってるわね...シロコ先輩」
「時折未来を知ってるような動きをするんですよ、シロコちゃん」
ノノミの言葉にぎくりとしながらも私は冷静を装って歩き出す。
「行こう...ついてきて」
「わかりました!」
「ところでシロコちゃん...先生はどうしたんですか?
こういう時...真っ先に相談すれば何とかなると思うのですが...」
「先生は...シャーレが謎の爆発を起こしてそれに巻き込まれて意識不明」
「えっ!?」
「だから...今は先生抜きで戦うしかない」
ノノミは衝撃を受けた顔をしていたがすぐに切り替えてくれた。
「今度こそ...止めよう
次に合流した時がホシノ先輩を止めるチャンス」
「わかったわ!」
「とりあえず走りながらですが作戦を考えましょう...まともに戦っても勝ち目はないので」
「そうですね」
生徒会へ向かいながら作戦会議を行う。
だが、心は落ち着かない。
すこし変化はあるが結局...今のままでは過去のくりかえしにしかなってないのだから - 134二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 22:16:34
確実に転生(?)前に近づいてきてるな
どうなるのやら - 135二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 07:02:25
朝ほしゅ
- 136二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 12:45:49
おっ更新されとる
- 137二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 20:52:55
覚悟だッ!覚悟が必要なんだッ!!
- 138二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 01:42:25
うーん強情
- 139二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 08:57:13
待機します
- 140二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 17:26:09
ホシノ...
- 141二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 18:04:13
知ってるがゆえに頼れないよね…でも頼ってね…
- 142二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 00:54:21
対話が必要なのですよ
- 143二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 08:58:41
- 144二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 12:27:09
かいてます
- 145二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 21:34:26
ほっしゅ
- 146二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 05:02:02
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 13:17:52
見せてくれよ!おめぇの作った物語を!
- 148二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 21:16:28
速めの保守をさせてもらおうか
- 149二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 02:43:01
時間かかっててすまねえ...
- 150二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 08:42:43
- 151二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 13:27:32
これは良い物語だ
- 152二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 23:04:59
ほしゅの
- 153二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 08:11:30
ほしゅ
- 154二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 16:43:54
同意できる
- 155二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:40:24
寝る前保守
- 156二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:59:55
ここクロコはハイランダー関連の事知ってるんだろうか
- 157二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:04:49
「ホシノ先輩...どこよ」
砂漠を行く中、疲れた声でセリカは文句を言う。
アヤネは文句を言わな...いや、あれは言わないじゃなくて言えないだ。
「少し休憩しよう...」
「シロコ先輩、私はまだ...」
「ん...焦ったところでいい結果は生まれない
この後ホシノ先輩と戦うわけだし...」
「すみません...」
「気にしないでいい...限界なのはアヤネだけじゃないし」
私は少し離れて水分補給をする。
「シロコちゃん」
ノノミが私の隣に座ってきた。
「この先、どうなっちゃうんですかね
ホシノ先輩、本当にこのままアビドスを...」
「...大丈夫、そんなことはないし、させない」
不安がるノノミを元気づけるために声をかける。
もっとも...ホシノ先輩はアビドスを去る前に...いや、これはやめておこう
「シロコちゃんはこの先、どうなるかわかってるんですか?」
「......わからない」
その答えに嘘をついた。
だが、これを嘘にしないようにしないと - 158二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:04:59
休憩も終えて私たちは再び走り出す。
そして生徒会の谷へと近づいていた。
「シロコちゃん!」
「わかってる...戦ってるね...」
銃声が聞こえる。
ハイランダーのスオウとホシノ先輩が戦っているだろう。
もっとも...この戦いでホシノ先輩が負けることはない。
それくらい2人には実力差があるのは知っている。
少しでもホシノ先輩が体力を消費してくれないかと淡い期待を抱く。
「いたわ!」
セリカが声をあげるとホシノ先輩とスオウがいた。
決着はもう着いたようでスオウは膝をついていて、ホシノ先輩はそれを見下ろしていた。
「ホシノ先輩!」
「......追いつかれちゃったか」
「もうやめよう...ホシノ先輩...」
「ここまで来たのに今更止められないよ
それに...私は....」
「大丈夫、まだ引き返せる...だから」
「...引き返さない...アビドスを...みんなを守るために」
自分の中で苛立ちを覚えるのを感じた。
「この...ホシノ先輩のわからず屋!」
私は...銃を構える。 - 159二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:05:11
「...何考えてるの、シロコちゃん」
「ん、バカな先輩を連れ戻す方法!」
「そういう事じゃなくてさ...」
ホシノ先輩が困惑するのもわかる。
私達は痛いほどホシノ先輩の強さを叩きつけられた。
様々な作戦をとり、試行錯誤を繰り返してもその全てが届かない。
そんな私が取った行動は...ただの突撃だった。
作戦もなにもない、馬鹿正直な一点突破。
「作戦とかなにもないの?」
「ない...そんなの考えたところで無駄ってのが結論
だったら...真正面から全てを叩き込む」
「随分...舐められたものだね...
そんなやけっぱち、私には届かないよ!」
ホシノ先輩のいう通り、私の攻撃はいなされ、反撃を叩き込まれる。
「やあああああ!」
「...ノノミちゃん!?」
だが、私に気を取られていたのかノノミの攻撃には少し反応が遅れていた。
「私だっているわよ、ホシノ先輩!」
「セリカちゃん...!」
2人に挟まれながらもホシノ先輩は的確に攻撃を捌いていた。
「まだまだ!」
「くっ...!」 - 160二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:05:26
さらに私が体勢を整えて突撃する。
ホシノ先輩は私が参戦しても攻撃を捌いていた。
流石だと思いつつも、その表情には余裕が見えない。
「ホシノ先輩!」
「あ、アヤネちゃん!?」
ホシノ先輩が驚いた声をあげる。
それもそうだ...普段戦闘に参加しないアヤネまで銃を持ってホシノ先輩に突撃するのだ。
「ホシノ先輩、いい加減にしてよ!」
セリカがホシノ先輩に声を荒げる。
「いつまでも意地を張らないでください、ホシノ先輩!」
ノノミがホシノ先輩をつかむ。
「ホシノ先輩!」
アヤネがホシノ先輩の諭そうとする。
「帰ってきて、ホシノ先輩!」
私がその手を掴む。
「.......うああああああ!」
だが、ホシノ先輩は雄たけびを上げて私たちを吹き飛ばしながら正確に全員の急所を狙い撃つ。
一瞬静寂...そこにはホシノ先輩が立っているだけだった。 - 161二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:05:41
「はあ...はあ...」
戦いの結果は火を見るよりも明らかだった。
私たちの思いはすべて拒絶されて、ホシノ先輩は独りだった。
「ごめんね...みんな...
みんなを傷つけてるのはわかる...けど、あれは存在しちゃいけないんだよ
だから、私は私を犠牲にしてでも...みんなを守る...それは譲れない」
そう言い放つホシノ先輩は...辛そうだった。
「ほし...の...先輩...」
「ほんと...シロコちゃんには何度も驚かされるよ...
なんどひやりとしたことか...こりゃ、本格的に抜かされるね
けど、それは今じゃない...
私が去ったあと...みんなを守るために私なんか超えてよね」
ホシノ先輩は振り返って列車砲へ向かう。
私たちを見ないようにしながら。
けれど。
「どこに行くの...ホシノ先輩
私は...まだ立っているよ」
私は立ち上がり、ホシノ先輩をにらみつける。
「おかしいな...もう立てないはずなのに」
「立つよ...何度でも...ホシノ先輩を止めるために」
ホシノ先輩は呆れたような顔をしていた。 - 162二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:05:59
「うおおおおおお!」
私は雄たけびを上げながら突撃する。
「それはさっきも見たよ」
そんな攻撃はホシノ先輩は軽くいなし、お返しに私の額に銃を放った。
少し額が割れ、血があふれたけれど...それがなんだ...
「ホシノ先輩...」
構わず私は突撃し、被弾覚悟でホシノ先輩に突っ込む。
無理な突撃でホシノ先輩に銃弾を浴びせることに成功した。
だが、ホシノ先輩はその何倍も私に銃弾を浴びせる。
「ホシノ先輩...」
ホシノ先輩は泣きそうな顔をしていた。
その顔を見たところで足は止まらない。
いや...そんな顔を見たからこそ、止まれない...ホシノ先輩は...絶対に一人にしない...
「ホシノ先輩!」
再度、ホシノ先輩に手を伸ばす。
瞬間、ホシノ先輩の動きが止まり、力を抜いたのが見えた。
「頑固だな...シロコちゃんは...
...私の負けだよ」
脱力したホシノ先輩は私の銃弾に吹き飛ばされた。 - 163二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:06:09
「えっ...」
目の前の光景が信じられなかった。
ホシノ先輩が私の銃弾によって倒れていた。
「ホシノ先輩」
「...私の負けだよ...シロコちゃん...みんな」
倒れたまま、ホシノ先輩はそう呟いた。
「負けって...」
「負けは負け...みんなの熱意が凄すぎてさ...もう、無視するのも辛くなってさ」
「じゃあ...もう...」
「もう...1人ではいかないよ
列車砲をどうにかしたいんだけど...みんな、力を貸してくれる?」
その言葉を聞いて私は泣いていた。
「ちょっとシロコちゃん...なんで泣いてるのさ...」
「だって...だって...」
言葉を紡げなかったが...嬉しい気持ちがこみあげてきた。
「行こう、ホシノ先輩...みんなで一緒に」
私はホシノ先輩に手を差し出す。
ホシノ先輩はその手を取ろうとする。
けれど...
「勝負はまだついてないぞ、小鳥遊ホシノ!」 - 164二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:06:19
慌てて後ろを振り向くと列車砲が起動していた。
そして列車砲にはスオウが乗っていた。
「なっ...!?」
「...あれは」
「小鳥遊ホシノ、列車砲を止めたければ私を追ってこい!」
スオウはそのまま列車砲に乗って去っていく。
ホシノ先輩は武器を手に取って立ち上がる
「ホシノ先輩...!」
私は慌ててその手を取るが...
ホシノ先輩は辛そうな顔で私を見て...
「ごめん...シロコちゃん...」
銃で私を撃ち抜いて吹き飛ばし...1人列車に乗って行ってしまった。
呆然としてしまう。
まただ...
また、この展開だ。
差異はあれど変わっていない。
また、ホシノ先輩は行ってしまう。
「シロコちゃん!」
ノノミが慌てて私のもとに来る。
「ありがとう、ノノミ
それより急いで追わないと」 - 165二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:06:30
泣き言は言ってられない。
私たちも慌てて追跡を開始する。
「けど、これホシノ先輩に追いついてどうするの?
今だって止められないわけだし」
「そうですね...せめてホシノ先輩並みに強い人がいないと戦いにならないのが...」
「ホシノ先輩と戦えるほど強い人...」
ダメなことではあるが、色彩の力を得た私ならおそらく該当するだろう。
だがそんな力は使ってはいけないし使えない...
そういえば先生は...この世界ではどうやってホシノ先輩に追いついたのだろう。
時間が空いて忘れている...そう思っていると電話が来た。
知らない番号だった。
「...もしもし?」
「砂狼シロコの電話であってるかしら...」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
この声は確か...
「...この声...ゲヘナ風紀委員会の空碕ヒナ!?」
私の声に全員が驚いた声を上げる。
「なんで私に...」
「昨日先生から依頼があったのよ...
こっちもいろいろ立て込んでて連絡が遅れて悪かったわね
大体の状況はわかってるわ...小鳥遊ホシノを止めるんでしょ?
先生から依頼されたわ...あとは私にまかせて」
「待って!」 - 166二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 03:06:41
電話を切られそうになって慌てて止める。
「なに...そろそろ小鳥遊ホシノと会うんだけど...」
「私たちが合流するまで時間稼ぎに徹して」
「無理よ」
私の頼みはきっぱりと断られた。
「あなただって小鳥遊ホシノの力は知ってるでしょ
そんな相手、いくら手負いとはいえ私だって脅威よ
そんな相手に手を抜いたらこっちが負けるわ
だから...自分たちで何とかしたいって思ってるあなたたちには悪いけど小鳥遊ホシノは私が倒すわ」
「ちが...そういうことじゃ...」
「それが嫌なら急いで合流することね」
そういうと通話が切られてしまった。
「ノノミ、急いで!」
「し、シロコちゃん!?
わかりました」
だめだ...この展開、思い出してきたがどんどん私が知ってる通りの展開になっている。
このままでは...ホシノ先輩は...いや、焦っても仕方がない。
焦りつつも私たちはホシノ先輩を追う。
列車を乗り継ぎ、砂漠を走って列車砲を追うと...ホシノ先輩と空碕ヒナの姿が見えた。
ホシノ先輩は跪いて、空碕ヒナはホシノ先輩に銃を向けていた。
「間に合った...?」
そう思った瞬間、爆発が起きた。 - 167二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 12:18:59
更新されてる!
- 168二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 19:36:42
更新される悦びは唯一無二やの
- 169二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 02:46:18
ギリギリ間に合ってないのでは?
- 170二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 11:03:49
この時のホシノ見てるのほんとキツイ
- 171二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 20:00:39
やべえ...
- 172二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 03:26:59
保守じゃ!
- 173二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 13:16:33
シロコ...
- 174二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:12:55
ちゃんと書いてるから..まってね
- 175二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 06:09:59
待機
- 176二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 14:43:28
保守
- 177二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 22:51:43
も、もう少し...
- 178二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 07:12:02
ゆっくり待ってますよ~
- 179二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 16:14:59
保守
- 180二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:45:48
完走期待保守
- 181二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 08:41:44
待機
- 182二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 12:47:51
保守
- 183二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:45:32
頑張れ!
- 184二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 02:57:04
残りレスも少ないし、いっそ新スレ建ててもええんやで
- 185二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 12:50:55
ギリセーフ
- 186二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 18:55:32
続きを待っている
- 187二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 02:29:28
次スレで続きだすかも
- 188二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 11:37:51
待ってるよ
- 189二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 19:57:55
了解です
- 190二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 01:07:34
明日には更新出来そう
曇らせ多めでいくので...お楽しみに(?) - 191二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 01:16:36
やったぁー!
- 192二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 10:23:34
続くの嬉しい
- 193二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 18:44:20
最近風邪とかインフルとかやばいみたいなのでスレ主様もあにまんの民の方々もお身体に気をつけて
次スレ待機保守! - 194二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 22:11:01
このレスは削除されています
- 195二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 22:20:08
- 196二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 08:06:32
たておつ
- 197二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 08:31:35
たておつうめうめ
- 198二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 18:31:51
うめ