- 1二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:04:00
- 2二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:04:57
妙の暖かさを覚えた。
季節で言えばまだ寒いはずなのに。
他の感覚がはっきりしない。
手足は動かないし、視界もぼやけてほとんど見えない。
耳もはっきりせず、上手く音が拾えない。
何があったのかもいまいち思い出せない。
――ダメだよシロコちゃん!
それでもそんな声が聞こえてきた。
なにがダメなのだろうか...前後の記憶がはっきりしない。
銀行強盗はホシノ先輩に怒られるからやめたはずだ。
――こんな...だめだシロコ...こんなこと...
――シロコちゃん、目を覚ましてください!
――シロコ先輩、早く起きてよ!
――シロコ先輩...お願いですから...
――馬鹿シロコ...これじゃ...
6人、私に声をかけてくるのがわかった。
だがどれも悲しみを含んだ声だった。
けれど、はっきりしなかった記憶もどんどん鮮明になっていくにつれて状況が読み込めた。
――ああ...この暖かさは私の血の熱だ。
思い出した...私はこれから死ぬのだ。
反転したホシノ先輩を私達は救って、襲来してきたセトの憤怒を追い返した。
けれど、私は致命傷を負ってしまって、死を待つばかりだ。
それでも...私は満足だった。
ホシノ先輩は生きていて、この世界の私はなにもかも私と違って正しい道を歩み続けて、そして先生も...
だから私は...このまま穏やかに微笑みながら死 ねる。
これできっと、よかったんだ。 - 3二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:22
「あれ...ノノミ、アヤネ、セリカ、よわシロコ、ホシノ先輩、先生...どこ?」
みんなに囲まれて目を瞑り、再度開けば私は1人で立っていた。
傷を負ったはずだがどこにもその痕跡がない。
また、私の声に反応は何もなかった。
砂漠だったその場所は一面真っ白になっていた。
そう、真っ白だ。
凹凸もなく、ただ真っ白で平面な大地には何もなく、誰もいない。
ただどこか懐かしいような...暖かい雰囲気の空間だった。
「誰かいる?」
再度声を掛けるがやはりなにも返ってこない。
「...なにあれ、扉?」
何もないと思ってたがこの空間の中央と思われる場所に扉があった。
私はひとまず扉以外に何もないかを確認するために歩き出すが...扉との距離が離れない。
その代わりに近づくことはできた。
「入れってこと...?」
この空間には扉だけであり...扉から離れることはできない。
なにがなんだかわからないが...これがもしかしたら死後の世界の入口なのだろうか?
「これが死後の世界の扉ならもう一度先生に...いや、無理かな」
天国と地獄があればきっと自分は地獄で先生は後者だなと思って少しだけ望んだ先生との再会は諦めた。
もう、やれることはやり切ったのだ...地獄でも私は文句ない。
そう思いながら、私は扉を開いた。 - 4二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:32
「...さむい」
次に訪れた感覚は寒さだった。
それと、体に痛みを感じる。
それと違和感だった。
体は軽くて、視野が低い。
座り込んでいるようだったが...それにしても自分の座高はもう少しあったはずだ。
――流石にやり過ぎでは...
――仕方ないよ、この子結構強かったし...下手に手加減したらやられてたのはこっちだよ?
聞き覚えのある声に私は前を向く。
そこにはホシノ先輩とノノミがいた。
だが、様子が違う。
ホシノ先輩はあまり変わらないが深い悲しみを抱えた目をしていて、ノノミは私の知ってるノノミよりも余裕がなく、幼さを感じる。
まさかと思い、自分の体を確認すると予想通り縮んでいた。
これはどういうことだろうか...走馬灯...にしては体の痛みと寒さがやけにリアルだった。
だったら今までのは夢だろうか?
ホシノ先輩やノノミ、後輩達との生活、先生との出会い...そして悲劇の数々...あれは全て夢?
「...ようやく落ち着いた様子だね」
私は屈み込んで覗いてくるホシノ先輩を見上げる。
「...うーんその姿は流石に寒そうだね...とりあえず、これ撒いておきなよ」
マフラーを...巻かれた。
「あっ...」 - 5二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:42
何時無くしたのかも忘れてしまったその温もりに私は...ただ泣くことしかできなかった。
泣いている私をホシノ先輩とノノミは慌てながら色々話しかけてくれた。
とりあえずはアビドス高校に入ることになった。
そして、今までのことは夢ではないと確信した。
マフラーの件といい、私が見てきたことと一致している。
であるなら走馬灯...にしても私に自由意志があり過ぎる。
マフラーを巻いて貰ってからの行動が完全に同じとは言えない。
であるなら...タイムスリップだろうか。
そんな馬鹿な、と言われそうだが私自身が行ったこともあるので個人的にはすぐに飲み込めた。
ただ、どうして見た目も含めて過去に戻ったのだろうか?
あの時、死んだこととなにか関係があるのだろうか。
「えっと...話してもいいかな?」
教室で暖かい飲み物を渡されて、再度ホシノ先輩に声を掛けられて考え事を一度中断する。
「ん...大丈夫、ホシノ先輩」
「へえ...おじさんのこと知ってるんだ」
じろりとした目で見られた。
しまった...初対面なはずなのについ呼んでしまった。
「ゆ、有名...だから」
「へえ...そう」
表情は穏やかだが明らかに敵意を持たれた気がする。
それはそうだ...ホシノ先輩の名前を知ってるのは同級生や後輩と言ったプライベートな人たちを除けば大抵はよくない人物だ。
「まあいいや...キミ、名前は?」
「...砂狼...シロコ」 - 6二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:05:54
名前を聞かれて素直に応えるが未だに警戒されている。
「それで、シロコちゃんは何しにここに来たの?
おじさんに何の用かな...返答次第じゃヘイローの無事は保証しないよ」
「ちょっ...ホシノ先輩、いきなりそれは」
「ノノミちゃん、この子私の名前を知ってるんだよ?
私の名前を知ってる人って大抵は危ない人だよ...そういう人達と戦って来て有名だからね」
「でも、それだったら私だって...」
「ノノミちゃんはちょっと例外だけどさ」
なんだか微妙にギクシャクしている2人を見て懐かしさを覚える。
今でこそ仲はいいが...出会ったときはこんな感じだった。
「それで...どうかな?」
「...わからない」
「わからない?」
「覚えてない...名前以外は...」
昔の出来事をなぞるように答える。
ホシノ先輩は怪しむように私を見ていた。
「記憶喪失でしょうか...でしたらヴァルキューレに連絡した方がいいでは?」
「うーん...おじさんもこんなケースは初めてだからね...どうしようっか
...そういえばシロコちゃん、さっきなんで泣いてたの?」
マフラーを巻かれて泣いたときのことを聞かれる。
「...わからないけど...この暖かさが...嬉しくて」
本音は隠しながらも出来る限り想いを伝える。 - 7二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:05
「シロコちゃん...か」
再度マフラーに触れる。
無くしてしまったマフラー...私が使ってた時に比べると新品に近かった。
それでも、大事なマフラーだった。
想いが、とめどなく押し寄せてくる。
私は再度、泣いていた。
「...ねえ、シロコちゃん...うちに来る?」
「ホシノ先輩!?」
「なんだかこの姿見ていると悪い子には思えなくてね
それに...どうしてもほっとく気になれなくてさ...どうかな、シロコちゃんがいいなら私は歓迎するよ」
以前経験した時は流れは少し違うが同様にアビドスに勧誘される。
だが、それだけでも嬉しかった。
「うん...入る...よろしく...ホシノ先輩」
私は...泣きじゃくりながらアビドスに入った。
「あっ...そのマフラーそんなに気に入ったらならあげるよ、どうせ安物だし」
「ありがとう、ホシノ先輩」
さらにホシノ先輩からマフラーをもらった。
まだ新しめなマフラーだが...もう2度と無くさないと誓う。
「じゃあ、シロコちゃん...ようこそ、アビドスへ」
とりあえず流れに身を任せるように昔の出来事をなぞる。
この先、どうなるかはわからないが...今はまだ考えないでもいいかもしれない。 - 8二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:17
「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
日も暮れ始めた頃、帰宅することになった。
この頃の私はまだ家を持っていないため、ホシノ先輩の家にしばらく居候するということになった。
個人的にも...その方がよかった。
「いやーごめんね、散らかしっぱなしで」
ホシノ先輩はそう言うが問題なく思えた。
だが、大慌てでポスターを...ユメ先輩に関するものを急いで片していた。
「ホシノ先輩、そのポスター...」
「気にしないでいいよ、おじさんのちょっとした...ね」
ホシノ先輩は無理矢理話を終わらせた。
当然だ...今日あった相手に自分の傷を見せようとはしないだろう。
ここで下手に突っ込んでも怪しまれるだけなだけだ。
素直に話を切り替えよう。
「寝具1つしかないからおじさんと一緒に寝てもらうけど構わないよね
お互い体小さいし、多分入るよ
あっ...その前にお風呂とご飯だね、すぐにお湯溜めるから入りな?
おじさんはご飯の用意をするからさ」
ホシノ先輩に言われるがままにお風呂と食事を済ませる。
なんでもない...なんならどこかギクシャクした雰囲気だったが私の心は浮ついていた。
どれだけ...この時間が愛おしく思えるのか私にもわからない。
なんでもないホシノ先輩との日常が...私の中に深く深く染み渡る。
「それじゃ、そろそろ寝ようか」 - 9二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:06:59
食事も終え、ホシノ先輩に促されてベッドに入る。
ベッドに入って、少し困っていた。
ホシノ先輩に抱き着きたい欲と、流石にそれはと思う気持ちが私を板挟みにしていた。
少しの間迷っているとホシノ先輩に抱きしめられた。
「...ホシノ先輩?」
「大丈夫だよ...シロコちゃん
この先、不安だろうけどもうアビドスの仲間なんだから..,何があってもおじさんが守ってあげるからね
だから...こんなおじさんでよければ甘えていいよ」
ホシノ先輩は私の気持ちを思ってか抱きしめてくれた。
それは、少々的外れではあったが、その優しさの込められた温もりだけで十分だった。
「...ん...ありがとう、ホシノ先輩」
小さなホシノ先輩の体にさらに小さな私の体を預ける。
何があっても...か。
そうだ...もしもそれが許されるのなら。
もしも、過去をやり直せるなら...
今度は...誰も死なせない
ノノミも、アヤネも、セリカも...ホシノ先輩も。
そして、きっと来るであろう先生も。
ホシノ先輩が、先生が私達を大事に思うように私だってその気持ちは負けない。
何故こうなったかはわからない。
それでも...この機を逃すことはあり得ない。
決意を胸に、私は眠りに着いた。
とりあえず明日以降からできることをしていこう。
何が出来るかはわからない。
孤独な戦いではある。
それでも...未来を変えられるなら私はきっと...戦い抜ける。 - 10二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:28
過去に戻ってから数日が経った。
特になにかめぼしいことは出来てない。
意気込んだはいいが...特にやれることが思い浮かばなかったのだ。
こういう時に先生がいればなと思ってしまうが無理な話だ。
実は未来から来た...なんて言っても信じてはくれないだろう。
未来の事を下手に教えてコントロールが出来なくなっても困る。
なのでとりあえずは以前と同じような生活を送って日常をなぞることにした。
そのため、軽く1年はやることがなかった。
少々ヤキモキしながらもその日々は悪くなかった。
過ごした日々を全て覚えているわけではないので、完全に過去をなぞっているとは言えない。
だが、その日常は確かに私を満たしていた。
もう諦めていた砂狼シロコとしての日常を、ホシノ先輩と歩めるだけで私は嬉しかった。
そのため...もう少しこの幸せに浸っていたいと思っていた。
だから私は...今日も晴れやかな気持ちでアビドスに向かう。
今日は...正式に私とノノミがアビドスに入学する日だ。
「えっ...ホシノ先輩本気ですか?」
「本気本気...シロコちゃん、あの時本気出せてなかったみたいだし...本気のシロコちゃんが気になってね」
「わ、私には確認しなかったのに...」
「ノノミちゃんはまだまだね
素質はあるから...もう少し鍛錬しようか」
「はい...」
教室に入るとなにやら騒がしかった。
「ん...おはようノノミ、ホシノ先輩
何の話...?」
「あ、おはようシロコちゃん
突然でわるいんだけどさ...
おじさんと勝負しようよ...本気でさ」 - 11二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:39
ホシノ先輩との本気の勝負。
唐突な提案だった。
「な、なんでまた...?」
「いや...シロコちゃんのちゃんとした全力を知っておきたくてさ...
最初に戦ったときって怪我とかでコンディションよくなかったでしょ
今なら大丈夫そうだと思ったけど...どう?」
「でも、今日入学式で...」
「もちろん、終わった後だよ
それに...これはおじさんなりの入学祝だと思ってよ」
不敵な笑みをホシノ先輩は浮かべていた。
だが、興味が引かれないと言ったら嘘になる。
色彩とかそういうのを覗いても私は元の世界のよわシロコよりは強くなっている。
今は多少条件が違うが...この実力でホシノ先輩に追いつけたのか...
はたまた追いつけなかったとしてもどこまで食らいつけるようになったのか...
私も知りたくなった。
「いいよ、やろうか...ホシノ先輩
やるからには無論、勝つ気でいくよ」
「そう来なくっちゃ」
「えっ...ええっ...?」
私とホシノ先輩の雰囲気にノノミは焦っていた。
そういえば元の世界ではこんなイベントは起きなかったな...と思いながら入学式を始めた。
こちらでは元の世界と同じノノミと並んで写真を撮った。
若干頬が緩んでいた気はするが。
そしてそのまま戦闘準備をする。
今の体には少し大きい銃を持ってグラウンドに出る。
その先には盾とショットガンを構えたホシノ先輩が立っていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:07:51
「2度目の戦闘だね、シロコちゃん
今度はちゃんと手加減して傷あんまり作らないようにするよ」
「ん、心配しないで...今度勝つのは私だから」
私達は一定の距離を保って対峙している。
ノノミは少し離れた場所で心配そうな顔で見ている。
会話も終わり、少し間を睨みあうと、2人同時に駈け出す。
接近し、ホシノ先輩の顔を目掛けて蹴り上げる。
それは盾で防がれるが...ホシノ先輩が驚いた顔をしていた。
「どうしたのホシノ先輩...予想よりも強かった?」
「そうだね、びっくりしたよ...でもこれなら楽しめそうだ」
盾を動かし、攻撃を逸らされる。
一瞬、動きが止まる私にホシノ先輩が追撃として銃を放つが距離を取ってそれらを躱す。
「いい動きじゃん...やっぱこの前のはすごく弱ってたんだね」
「ん、当たり前...それにまだまだ、全力じゃない」
軽く言葉を交し、グラウンドを再度駈け出す。
今度はホシノ先輩を直接狙うのではなく、その周りを走る。
「...速いね...おじさんの全速力に近いんじゃないかな
それで、こっからどうするのかな...速いけど、それだと全然追いつけるよ?」
ホシノ先輩の言葉は事実だ。
その目は確かに私を捉えていた。
そんなホシノ先輩を無視して加速しながら突撃をする。
再度蹴りを叩き込みながら、銃でホシノ先輩を狙い撃つ。
背後にある、秘密兵器を隠しながら。 - 13二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:06
「なにか隠してるね」
私の猛攻を盾と少しの反撃だけでホシノ先輩はいなしながそう声を掛けてくる。
ホシノ先輩の戦い方はまるで私の実力を測るのが目的で、本気の戦闘とは違う。
たしかに私はまだ本気を出してないし、実力で言っても届くかどうかの元の私よりもさらに弱体化している状態だ。
相対的に考えればホシノ先輩にはまだ届かない。
それでも、今回は私に利がある。
ホシノ先輩は私の動きをまだ知らない。
知らないはずなのに初見で今のところいなされているが...こちらだってまだ動ける。
そして私はホシノ先輩の動きを知っている。
ホシノ先輩の反撃は、経験からで対応している場面もある。
ホシノ先輩も読まれたことには気づいている様子だったが...
この2点は大きなアドバンテージだ。
それに...秘密兵器もある。
「ほらほら、まだまだ甘いよ、シロコちゃん...そろそろおじさんも本格的に反撃しちゃうよ」
「ん...その余裕をまずは崩す」
私は猛攻を止め、横に逸れる。
その瞬間、私の秘密兵器であるドローンが姿を現し、ホシノ先輩を襲う。
「うへっドローン!?」
ホシノ先輩は慌てながらも盾で防がれる。
その間私は背後に回り、無言で攻撃をする。
だが、ホシノ先輩は私の攻撃は躱して反撃として銃を放ち、位置を変える。
せっかくの初見+前後で実質2VS1の状態に作ったが防がれた。
これで落とせるとは思ってなかったが...これも完璧に防がれるとは思わなかった。
「...やるじゃん、シロコちゃん...おじさん少し喰らっちゃったよ」 - 14二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:25
ホシノ先輩を見れば頬に銃弾が当たった後が着いていた。
「いや...これでもう少し喰らってほしかった...
せっかくの初見のアドバンテージだったのに」
「いやいや...実際驚いたよ
ほんと、強いねシロコちゃん...おじさん楽しくなってきたよ
それじゃ、続きと行こうか!」
今度はホシノ先輩から攻めて来た。
少しの攻防しかしていないはずなのに的確に私の弱いところを狙ってくる。
「ん、攻撃がいやらしい...」
「相手の弱点を突くのは戦闘の基本だよ?」
精度、速度、威力...どれを取っても今の私の上を行ってる。
やはりこの姿の私にはここまでなのだろうか...
せめて、もう1年体が成長しないとダメなのだろうか...
――ふと、1つの景色が浮かんだ。
それは...地獄だった。
崩壊したキヴォトス、死にゆく生徒たち。
そして、私が殺したホシノ先輩。
「...うわああああ!」
「なっ...!?」
無理矢理ホシノ先輩を突き飛ばし、距離を取る。
これはただの試合である。
ここでの勝ち負けに意味はない。
だが...甘えるな。 - 15二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:35
「...目つきが変わったね、どうしたの?」
「気にしないで...本気で行くだけだから...」
「手を抜いていたの?」
「そうじゃない...勝てないと思って、少し気が抜けただけ...もう大丈夫」
きっと、私の雰囲気が変わったのもホシノ先輩は気づいて声を掛けてくる。
そう...甘えるな...
「今は勝てない」を繰り返した結果、私はあの時、1人で全てを終わらせようとするホシノ先輩を止められなかった。
その結果はホシノ先輩をこの手で殺し、生まれたのは地獄だ。
あまりにも高すぎる壁だが...常に乗り越える気でいろ。
もっと、強くなれ...でなければ、繰り返すだけだ。
声にならない叫びをあげて、ホシノ先輩に突っ込む。
多少の被弾は無視して、ホシノ先輩にひたすら攻撃を当て続ける。
ホシノ先輩も、先ほどより目つきが鋭くなっていた。
「どうしたのシロコちゃん...動きにキレが出てきたのはいいけど...目つきが怖いよ」
「ただ、全力なだけ...」
「...それだけじゃないね...すごく必死な目だ
.......まるで誰か大切な人でも失ったことがあるような目だよ」
ホシノ先輩の指摘に動揺し、足が止まる。
ホシノ先輩はその隙を見逃さずに足払いを掛けて私を倒し、銃弾を浴びせてくる。
私は焦り、銃弾を受けながらも受け身を取って後ろに下がる。
距離を取って、再度駈け出し、今度はドローンを前に出す。
「今度はどうやって来るのかな?」
前を飛ぶドローンに足場にし、私は飛び上がる。
「飛んだところで空中じゃ動けないから狙い放題だ.......」 - 16二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:46
ホシノ先輩の言葉が止まる。
「...なるほど、太陽を背にしたんだ
しかもドローンも...」
太陽を背に、ホシノ先輩の目を眩ませながら上空から銃弾の雨を降らせる。
ホシノ先輩は目を細めながらこちらを見て反撃として銃を放つが精度が悪い。
急所以外は無視しながら私は急降下しつつ、勝負を決めに行く。
「あっ...」
だが、私は着地ミスをしてグラウンドを転がる。
いつの間にか体が小さいことを忘れて動いてしまった。
その結果の着地ミスだった。
それが勝負を分け、私の頭に銃を突きつけられる。
「ストップ、シロコちゃん
これ以上はお互い大怪我しそうだし...今日はこれくらいにしようか」
「ん...わかった...」
こうして...私はホシノ先輩に敗れた。
その後はノノミによって治療を受けた。
その際、やはり実力差を痛感する。
大きな怪我はないものの、私は怪我自体は非常に多かった。
対してホシノ先輩はそんな怪我自体も少なかった。
やはり...もっと強くならないと...
「さて...実力は大体わかったよ...
強いね、シロコちゃん...すっごく強いよ....これじゃすぐにでもおじさん抜かされそうだね...
...でも、色々隠してること、あるよね」 - 17二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:08:56
ホシノ先輩はじっと私を見据えている。
「な、なんのこと...?」
「記憶喪失って言ってたけどさ...あれ、嘘だよね
まず、さっきの戦い...私が知る限りだとシロコちゃん、実戦でドローンなんて初めてだよね
なのにすごい上手いよ...まるで戦い慣れてるみたいにさ」
「それは...」
言葉に詰まる。
否定してもきっと、意味がない。
上手い反論も浮かばない。
「それにさっきの目...とても記憶喪失でなにも知らない子がしていい目じゃないよ」
なにも答えられない。
どうすればいいのだろうか...解決策が浮かばない...
「ま...いいや...」
だが、ホシノ先輩はあっさりと引き下がった。
「い、いいんですかホシノ先輩!?
なにか隠してることがあるなら問い詰めないで...敵かもしれないんですよ!?」
「落ち着きなよ、ノノミちゃん
そりゃ...ノノミちゃんの言いたいこともわかるけどさ...
シロコちゃんのこと、見なよ」
ホシノ先輩に促されてノノミは私を見る。
私は今...どんな顔をしているのだろうか。
ノノミは...何を感じてるのだろうか。 - 18二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:08
「どう、ノノミちゃん...シロコちゃんのこと、どう見える?」
「...すごく怯えてるような」
「敵意は?」
「感じ...ない...です」
「そう...シロコちゃんは確かに色々隠してる
けどね...出会って数日、一切敵意を向けてきたことはないよ
あの戦いだってそう...仮にどこかの刺客だとしたら...私が言った目をしながら敵意を向けないなんて器用なことは無理だと思うんだ
だから...秘密があるだけなら敵でもないし、いいかなって」
「...そう...ですか
確かにホシノ先輩の言う通り...敵意はないですし...
シロコちゃん...ごめんなさい...ずっと疑っていて」
「ん...大丈夫...」
ホシノ先輩とノノミの優し気な顔に安堵する。
「とりあえず、今日はもう帰ろうか...
帰りにラーメン屋寄ろうよ
おじさんのおごりだよ」
「わあ、じゃあ全部乗せラーメン食べたいです!」
「...ちょっとは遠慮して欲しいかなー」
私はホシノ先輩とノノミの後に続いて、学校を後にする。
「ああそうだ...改めてだけど...大事なことを1つ言わせて?」
「なに?」
「なんでしょうか?」
「2人とも、入学おめでとう」
ホシノ先輩の言葉に私のノノミは嬉しそうに返事をした。
ひと騒動あったが、私とノノミは無事にアビドスに入学をした。 - 19二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:43
それからしばらく時間が経ち、私は2年生になった。
体も大きく成長し、よわシロコぐらいにはなった。
元の世界通りにアヤネとセリカも入学してきた。
来る日に備えて私は特訓をして、強くなってはいるが...未だにホシノ先輩には届かない。
改めてホシノ先輩の強さを実感する。
とりあえず、今日もホシノ先輩を超えることを目標に私は家を出る。
家を出て、愛車に跨って学校を目指す。
見れてはあるが懐かしさを覚える景色を眺めながら私は軽快に学校へ向かうが...その際、地面に倒れてる人影があった。
「あれ、誰だろう...
.....あっ」
少し考えて気付いた。
「せん...せい...」
そう...この人は先生だ。
そうだった...こうやってアビドスで遭難しかけてた先生を私が助ける...これが私と先生の出会いだった。
心拍数が上がるのを感じる。
胸が痛い
どの世界の先生も大切だが...この世界...私が最初にいた世界の先生だけはより特別だ。
どの先生も同じ決断をするだろうとはいえ...この世界の先生は実際に私のためにすべてを捧げてくれたのだ。
そんな相手が特別じゃないわけがない。
一瞬で頭が真っ白になり、言葉が出ない。
何を言えばいいのだろうか...
言いたいことは色々あるがきっとこれは言ってはダメなんだろう。
"み..."
「えっ...?」
"水を..." - 20二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:09:57
ああ...そうだった。
最初の会話はこんな感じだったなと思い出す。
っと危ない...干渉に浸るのも悪くないがそのままでは先生が死んでしまう。
「私の飲み掛けでいいなら」
"ありがとう!"
お礼を言うと猛烈な勢いで残りの飲み物を飲み干した。
間接キスも気にせずに。
"ごめん...助かったよ...
見ての通り、遭難しかけてて"
「いや、仕掛けてたじゃなくてもうしてたよ」
"...はい"
見栄を張りたかったのだろうか...私は一蹴してしまったが。
"さて、挨拶しないとね...私はシャーレから来た先生だ
今回、依頼があったアビドス高校を目指してここまで来たんだけど...君、アビドス高校がどこか知ってる?"
「アビドス高校なら知ってる...着いてきて」
"本当に!?
助かった...このまま行ったらまた遭難しそうだったから一度引き返そうかなって思ってたんだけど助かったよ...えっと"
「私は砂狼シロコ...先生が向かうアビドス高校の2年生だよ」
"君がアビドス高校の生徒だったのか...とりあえず、よろしく...シロコ"
「ん、よろしく」
初対面での挨拶は終わったが...私はどんな顔をしていたのだろうか。
おかしな表情はしていなかったのだろうか...色々心配だが...無事に乗り越えられた。
何はともあれ、先生がやってきた。
ここからは自体が大きく動きそうだ。 - 21二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:08
「それじゃ...行こうか」
"道案内、よろしくね"
「うん...あっアビドスに来るにあたって何個か注意点
悪い生徒なんていないけど...1年のセリカが先生に突っかかるかも...
でも悪気があるわけじゃなくて...アビドスを守るために必死なだけだから...
それと3年のホシノ先輩...
先生ってよりも...大人をあの人は根本的に信じてないから警戒されるかも
でも、先生のことは少し時間かかるけどちゃんとした人だってわかってくれるはずだから」
"ありがとう...注意して接してみるよ
そういうシロコは私の間違いじゃなきゃだいぶ信頼してくれるように思えるんだけど"
「ん...どうだろうね」
答えをはぐらかすが...実際先生のことは信頼している。
だが、それは私だけの一方通行な思いだ。
先生にも...ほかの生徒より信頼してくれるような関係を築けたらなと思い、アビドスに向かう。
「着いたよ、ここがアビドス」
"おお...これは..."
「無理に感想を言わないでいいよ...ギリギリで廃校を免れてるようなものだからね」
「...あっおはようございます、シロコ先輩」
先生と共にアビドスに到着するとアヤネと出会った。
「おはよう、アヤネ」
"やあ、おはよう...君がアヤネ...じゃあメールをくれたのは君だね"
「メールって...シロコ先輩この人は!?」
「そう、シャーレから来た先生」
「ほ、本当に来てくれたんですね!?
よかった...今からみんなを呼びますね
ですからシロコ先輩、先生を教室への案内、お願いしますね!」 - 22二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:28
私が先生を教室に案内してしばらくすると...全員集まった。
ノノミは楽しそうに、アヤネも嬉しそうにしながら会議の準備をしていた。
セリカは見てわかるほど不機嫌だった。
ホシノ先輩の表情からは読み取れないが経験からきっとダメそうな大人が来たと思ってるんだろう。
アヤネ「それではこれより、本日の廃校対策会議を開始します」
アヤネの進行によって先生の自己紹介を交えた対策会議が始まった。
やはり前の世界同様、ノノミとアヤネとは問題はなさそうだ。
私に関しては言う必要はない。
それとやはり、ホシノ先輩とセリカが問題なのを再確認した。
少しだけピリピリした会議を進めていると外から爆発音がなった。
「な、なによ今の!?」
「外からですね...あれは...ヘルメット団!?」
外を見ればヘルメット団がアビドス高校の前に集結していた。
「こんな時にあいつら...物資だって今は底をつきかけてるのに...!」
「泣き言言ってられません...皆さん、戦闘準備をお願いします!
先生は危険なので隠れててください!」
それぞれがバタバタと戦闘準備をする中、私は先生に声を掛ける。
「先生、さっきアヤネはああ言ってたけど...動ける準備しといて?」
"えっ..."
「アビドスはみんな強いし...あいつらなんか敵じゃないけど...見ての通りみんな焦りがある
きっと、戦闘も上手くいかない
だから先生の指示が絶対に必要になる
そのために準備しといて」 - 23二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:39
私の指示に若干驚きつつも先生は頷いた。
"それは構わないけど...シロコは私の指示で動けるの?"
まだ出会ったばかりで信頼されていないのは先生には自覚もあったのだろう。
そんな中で私の指示に先生も驚くのは無理はない。
「ん...大丈夫...先生の指示ならどんなのでも信じて実行する
だから、その時が来たらお願い」
"わかった...じゃあ、またあとで"
話も終わり、私も準備をして戦闘を開始する。
予想通り...いや前回と同じくやはり焦りから上手く連携が取れない。
相手だってそんなに強くないという事実がさらに私達の焦りを引き起こしていたと今の自分ならよくわかった。
そして着々と私達は追い詰められていく。
"みんな、これから指示をだすからその通りに動いて欲しい"
インカムから先生の声が聞こえてきた。
「はあ!?
先生は部外者なんだし、黙って隠れてなさい...余計なおs」
「わかった、なにをすればいい」
「ちょっ...シロコ先輩!?」
セリカの反発する言葉を遮るようにして指示を仰ぐ。
"まず、ノノミが銃を地面に向けて撃って煙幕を...その隙に...!"
先生の指示を受け、とりあえずその様に動くという方針になった。 - 24二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:10:53
「みんなお疲れさまー...あの状況でよく頑張ったねー」
先生の指示もあり、あっという間に戦闘は終わった。
ノノミとアヤネは先生の指示でスムーズに動けたこともあり、かなり興奮していた。
「納得できない!」
だが、セリカは荒れていた。
「セリカ...?」
「今回の戦闘...確かに先生の指示で勝てたのは事実だけど...これでいいの!?
こんなぽっと出の大人にいいように指示されて...こんなのでアビドスを守れるの!?」
「......セリカ」
「な、なによ...シロコ先輩...」
さっきまで勢いよく喋っていたセリカが急に大人しくなった。
「はーい、2人ともストップだよー
シロコちゃんもそんなに怖い顔しないで」
ホシノ先輩が間に入って仲裁する。
怖い顔...私は今どんな顔をセリカに向けていたのだろうか...
「ごめん...セリカ...」
「べ、別にいいけど...でもやっぱり、私は認められない!」
「はいはい、今日はここまでにしようか
話の続きは...また明日にでもやろうか
とりあえずみんな、今日は帰ろう
先生も帰りなよ、私達も解散するからさ
とりあえず、今日はありがとう」 - 25二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:03
ホシノ先輩の指示で私達は解散し、帰宅することになった。
先生は申しわけなさそうな顔をしていた。
「シロコちゃんはちょっとおじさんに付き合ってよ」
「わかった...」
ホシノ先輩に促されて一緒に帰ることになった。
「いやー...中々に強烈な1日だったねー」
「そうだね...」
「先生か...シロコちゃん、どう思う?」
「私は...信頼できる人だと思う」
「そっかそっか...シロコちゃんはそう思うか...」
歩きながら会話をしているが...どこかぎこちない。
「にしても珍しいね...あそこまでセリカちゃんに怒るの」
「...まあ」
「言いたいことはわかるよ...確かにセリカちゃんもせっかく助けてくれた先生に言い過ぎだしね
でも...シロコちゃんがあそこまで怒るとは思わなかったな」
「ん...」
いまいち何が言いたいのかわからず、小さな返事しか返せない。
「...ほんと...シロコちゃんは先生の事を気に入ったんだね」
「ま、まあ...信頼はできると思うよ」
「信頼...ね...本当にそれだけ?」
ホシノ先輩の言葉に足を止める。
その目は私を疑いの眼差しで見ていた。 - 26二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:14
「...ホシノ先輩の言ってる意味が解らない」
「...シロコちゃんはさ...私が大人を信用してないのは知ってるよね」
「うん...」
「わかってると思うけど...私は先生を疑ってる...」
「ん...わかってた」
「そんな信用できない大人相手にさ...シロコちゃんはどうなの?」
「どう...って」
「後輩にも私と同じように疑えなんて言わないけどさ...今日初対面の人に向ける目じゃないよね
なにか...特別な出来事がないと出来ないよ」
ホシノ先輩の指摘は適格だ。
だが、私の想いと別方向の答えに繋がってしまっている気がする。
だけど...伝え方がわからない。
「で、でも...先生はどうなの...初対面って感じだったはずだよ」
「それはそれでおかしな話になってくるんだけどさ...まあでも、大人は狡猾だし...それくらい出来そうなんだよ」
「...ほ、ホシノ先輩」
「シロコちゃん、君は一体なんなのかな?
何を隠してるの?
最初から先生の元で動いていて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気?」
それがホシノ先輩の出した答えだった。
今日あった信頼できない大人に全幅の信頼を置く私...今までの経験が無ければ異様な光景に映るだろう。
なら、ホシノ先輩を批難できないし、反論する術もない。
「わた...しは...」
ホシノ先輩の顔を見るのが辛かった。
救いたいと思っていたはずの存在のホシノ先輩
だが、その人は今...明確に私に敵意を向けていた。 - 27二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:26
「私は...!」
違うと叫びたかった。
そうじゃないんだ...先生のことは信頼できる大人だとホシノ先輩と一緒に歩んで知っているんだと。
私は敵じゃない...ただみんなを救いたいだけなんだと...けれど伝えられない...伝わらない。
「わたしは...ただ...」
皆が大好きで皆を守りたいだけだと...言えなかった。
そんなもどかしさと、最愛の人の1人であるホシノ先輩から向けられる敵意に耐えらずに私はいつの間にか泣いていた。
けれど、そんな私をホシノ先輩は優しく抱きしめてくれた。
「...ごめん...私も混乱してるんだよね...わからなくて」
「ホシノ先輩...?」
「先生に全幅の信頼を置いて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気だって仮に言われてもいまいち納得できない要素があるんだよね」
「そ、そうなの...?」
「先生に向けてたあの目...シロコちゃんは私達全員にも向けてるんだよね...敵だとしたらこれがわからないんだよ」
私はそんな目をみんなに向けていたのか...
「今だってそう...シロコちゃんの目に悪いものは見えなくて...ただただ辛そう...悲しそうな目をしてるだけなんだよね
まったく...本当にシロコちゃんは何者で...何を隠してるのかな」
「.......ごめん...ホシノ先輩」
「謝らないでいいよ...私の方こそ...ごめんね」
私を離したホシノ先輩にはもう敵意はなく、優しく微笑んでいるだけだった。
「お詫びにラーメン奢るからこのままラーメン屋行こうか」
「ん...じゃあ全部乗せラーメンで」
「だから遠慮してって...」 - 28二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:11:48
ホシノ先輩とラーメンを食べ終えて、私は帰路に就く。
紆余曲折あったが...なんとか解決してよかった。
"やあ、シロコ...奇遇だね"
「あっ先生」
その帰り道、先生と遭遇した。
"ホシノに呼ばれてたけど大丈夫だった...?"
「うん、大丈夫...少しこっち側で誤解があったけどなんとかなった」
"そっか...よかった"
「けどそれと先生への信頼は別...頑張って」
"頑張るよ..."
元々私がしゃべらないのと、一応は初対面なので会話はあまり続かない。
それでも先生は口を開いて話をしてくれる。
"なんだか歓迎されてなかったね...私...
状態ゆえにしょうがないとは思うけど"
「セリカのこと...あまり怒らないで...
セリカも必死なだけだから」
"朝にも言ってたことだね...わかってる
真面目でいい子だと思うよ"
「ん...よかった...」
"あとホシノは...頑張って信頼を得るよ
それと...シロコ"
「なに...?」
"シロコは...どうしてそんなに私を信じてくれるんだい?"
当然の質問を先生はしてくる。 - 29二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:12:01
「...先生が信頼できる人だってわかってるから」
"けど、今日初めて会ったばかりだよ"
「ん...それでも...わかってる
...直感みたいなものだと思って」
"直感...まあ、どうあれ生徒に信用してもらえて嬉しいよ"
先生は若干照れ臭そうにしていた。
「それじゃ、私はこっちだから」
分かれ道に差し掛かり、先生にそういう。
"わかった...今日はありがとう、シロコ"
「ん...気にしないで
これからよろしく...先生
何かあったら頼って」
"ぜひそうさせてもらうね"
晴れやかな気持ちで先生とも別れる。
とはいえ、これから自体は急激に動き出す。
焦っても仕方ないがいつでもすぐに対応できるようにしなければならない。
まだホシノ先輩に届かない実力も...上げないと。
やるべきことは色々あるが...全員を救うためにもやらなければならない...
泣き言は...言っていられない。 - 30二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:12:47
とりあえずここ何日かでスレ立てるために書き溜めてたものは全部かけた
感想、随時待ってます
モチベーションにつながるのでぜひ - 31二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:16:54
取り敢えず…
心に来るね - 32二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:17:47
書き溜めしてたとはいえ初っ端からすげえ量だな
- 33二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:29:34
期待しておこう
- 34二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 22:47:48
初っ端から読み応えすごい
- 35二次元好きの匿名さん25/04/11(金) 23:58:47
クロコSSとは珍しい
- 36二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 08:06:45
期待
- 37二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 17:18:46
期待して保守
- 38二次元好きの匿名さん25/04/12(土) 21:54:52
ありがとうございます
素晴らしいです - 39二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 01:46:50
夜ふかしスレから来たよ
重い…… - 40二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 07:49:05
- 41二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 14:54:45
期待しています
- 42二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 15:05:19
記憶引き継いじゃってるぶん、嬉しいのもあるだろうけど、心はがりがり削られるだろうなあ……
自分が知ってる破滅への道に片足を突っ込んでしまったらわかっちゃうわけだし
マフラーを巻かれたことに対して自分を責めないでおくれよ……悲しいよ……