【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.13

  • 1ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:00:13

    【あらすじ】
    素晴らしい・・・これ以上の結果は望めないでしょう。
    カンナ、貴方は本当に可愛いですね。

  • 2ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:01:04
  • 3ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:01:54
  • 4ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:02:31
  • 5ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:03:33
  • 6二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 21:19:46

    カンナ…

  • 7ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:32:51

    ────────────────────

    カンナ:
    「────────────────────!!!!!!」

    耳障りな声が聞こえる。
    自分から出たとは思えない、怪物染みた声が。

    SRT生徒A:
    『エマージェンシー!! エマージェンシー!! もうこれ以上は躱しきれない!!!』

    カンナは近くの見張り塔の先端に武装ヘリを”担いだ”まま飛び乗ると、そのまま迎え撃つようにして飛んできた武装ヘリを叩き落とした。
    二機のヘリが、爆発と共に炎と煙に巻かれて墜ちていく。

    SRT生徒B:
    『ヘッジホッグ4がやられた!! 援護に入る!!!』

    ちょうど良いな。

  • 8ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:37:07

    ─────トンッ

    SRT生徒B:
    『・・・え?』

    SRT生徒が不審音のした方を見ると、そこには目の錯覚か瞳を発光させたカンナがいた。
    夜闇の中にあって月光に照らされた獣の瞳のように輝くソレは、SRTの生徒といえど恐怖させるには十分だった。

    ───防弾ガラスを拳で叩き割る。

    カンナ:
    「寝てろ。」

    背負っていた短機関銃を抜くと、拳で開けた穴から操縦士を滅多撃ちにする。

    SRT生徒B:
    『─── キュゥ・・・。』

    操縦士が気絶したことを確認したカンナは、少しヘリの上を登ると回っていたローターに手を伸ばした。
    通常であればキヴォトスの人間であっても圧倒的な回転速度によって吹き飛ばされてもおかしくないヘリのローターだが、カンナの手がローターに当たると、まるで鋼鉄の塊にでもぶつかったかのようにローターが拉げて止まる。

  • 9ホットドリンク大好き25/04/13(日) 21:38:13

    カンナは止まったローターを そのまま力一杯 引き千切ると、近くを飛んでいた別の武装ヘリにブーメランか何かのように投げつけた。

    ───── ガンッ

    SRT生徒C:
    『我、操舵不能!! 繰り返す! 我、操舵不能!!!』

    投げつけられたローターは操縦席の防弾ガラスをも貫通し、武装ヘリの操作機器を破壊した。
    また二機のヘリが墜ちる。

    カンナは墜ちていく武装ヘリを足場に、また近くの建物に飛び移った。

    カンナ:
    「まず、ヘリを全て墜とす。
    その次にSRT特殊学園の生徒を一人ずつ制圧(け)していく。」

    全ては、公共の安全の為に。

    ────────────────────

  • 10二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 21:40:58

    ふ、フリークス…

  • 11二次元好きの匿名さん25/04/13(日) 22:11:51

    めっちゃ暴れとる

  • 12二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 01:12:19

    >>10

    お前今局長の事なんつった?

  • 13二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 08:12:59

    先生(CV野沢雅子)"サキ!オメエの真の力を見せてみろ!"
    サキ「わ、私!?」

  • 14二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:41:36

    🐇「先生…これ私たち勝てるんですかね?」

  • 15二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 15:24:43

    逃げるが勝ちとも言う

  • 16二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 20:31:21

    逃げられるとは言ってない

  • 17二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 20:47:55

    >>15

    「逃げられるものならな!」

  • 18ホットドリンク大好き25/04/14(月) 22:40:33

    ────────────────────

    ミヤコ:
    「暴れてますね・・・。」

    サキ:
    「あぁ、凄いな。 あ、またヘリが一機墜ちた。」

    モエ:
    「言ってる場合か!?」

    武装ヘリに搭乗しながら、どこか他人事のように二人は呟いた。
    いつもはボケに回るモエも、こればかりは突っ込まざるを得ない。

    ミヤコ:
    「あぁ、すみません。
    ですが ここまで現実離れした動きを見せられると思わず・・・・。」

    ミヤコの視線の先では、カンナが空中のヘリを蹴り飛ばしていた。
    蹴り飛ばされたヘリは、SRTの校舎に突っ込んで爆発する。

  • 19ホットドリンク大好き25/04/14(月) 22:42:47

    サキ:
    「こっちもだ。 ヘリの機銃を ずっと撃ち込んでるんだが一切当たる気配がしなくて、つい他人事になってしまった。 すまん。 ・・・その点、ミユは凄いぞ。 さっきから何発か当ててるんじゃないか?」

    動き回るカンナに狙いを定めるミユは、額に汗を滲ませ、照準から一切目を離さずにサキへと言葉を返した。

    ミユ:
    「うん、50%くらいでヒットするようになってきた・・・かな。」

    その言葉に、サキは瞠目する。

    サキ:
    「本当に凄いじゃないか! どうやって当ててるんだ!?」

    ミユはまた一発カンナに撃ち込んだ。
    スナイパーライフルのマガジンをノールックで交換する。

    ミユ:
    「・・・移動に、規則性がある。
    えっと・・・移動距離も移動高度もバラバラに見えるけど、その実 常に一番良いポジションに最短距離で移動してる。
    だから、分かり易い。 異常に動きが速いけど、当てられないことはない・・・。
    でも・・・ちょっとダメージにはなってない・・・かな。」

    いつもはオドオドしたミユから明らかに人外染みた理論が飛び出したのを聞いて、サキは露骨に顔を顰めた。

  • 20ホットドリンク大好き25/04/14(月) 22:44:45

    サキ:
    「ミユ・・・お前もか。」

    ミユ:
    「え?」

    サキの低い声を聞いてビクッとはしたが、ミユは照準から一切 目を離さなかった。

    ミヤコ:
    「・・・ミユ、カンナ局長の動きが予想できるんですか?」

    嫌そうな顔をするサキとは対象的に、真剣な表情でミユに尋ねるミヤコ。

    ミユ:
    「あ、うん。 直近くらいなら・・・。」

    ミヤコ:
    「では、30秒後は?」

    ミユ:
    「え? えぇ・・・!?」

    ミユは遂に照準から目を離すと、周りを飛ぶヘリを確認した。
    そして直ぐに一棟の建物を指差す。

  • 21ホットドリンク大好き25/04/14(月) 22:46:28

    ミユ:
    「あ、あそこ! あそこの壁は絶対に経由する!」

    ミヤコ:
    「あそこは・・・。」

    モエ:
    「私が吹き飛ばした寮・・・。」

    どういう因果が、ミユが指差したのは今回の件が発覚する切っ掛けともなった寮だった。
    モエが欲望に負けて爆薬を大爆発させたのが遠い昔のようだ。

  • 22ホットドリンク大好き25/04/14(月) 22:51:31

    ミヤコ:
    「カンナ局長が あの壁を経由するのは!?」

    ミユ:
    「えっと───」

    ミユは その圧倒的な視力で、発砲炎と爆炎の中からカンナの影を見つける。

    ミユ:
    「───34秒後!」

    ミヤコ:
    「分かりました、では───」

    ミヤコは手早くロープを取り出した。
    ミヤコの意図を察したサキが、いよいよ顔を手で覆う。

    サキ:
    「あぁ、やっぱりコイツが一番おかしい・・・。」

    ミヤコ:
    「───これより決死の空中戦に挑みます! 総員、準備を!!」

    ────────────────────

  • 23二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 01:06:45

    やっぱ君等も十分そっち側だよ!

  • 24二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 06:38:00

    そっち側にいってしまう生徒増えそう

  • 25二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 15:46:21

    素晴らしい

  • 26二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 19:55:47

    >>25

    あにまん民までカヤ化し始めてて草

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 21:32:09

    >>26

    おやおやおや

  • 28ホットドリンク大好き25/04/15(火) 22:57:25

    ────────────────────

    ───爆発音。

    ───鋼鉄を切り裂く音。

    ───ガラスを割る音。

    全てが、鬱陶しい。

    まだ、敵は消えない。
    静寂は訪れない。

    敵が、公共の安全を乱す悪が こんなに。

    敵。
    テキ。
    てき。

    ・・・はて?
    なぜ私は戦っているんだったか。

  • 29ホットドリンク大好き25/04/15(火) 22:58:00

    ???:
    「3、2、1・・・GO!」


    なんだ?
    誰の声だ?

    ミヤコ:
    「───カンナ局長!!」

    ・・・お前は。

    なるほど、カヤの教育は上手くいったと見える。

    理性が【恐怖】を上回った時だけに見える、【狂気】。
    カヤの瞳に良く似た【狂気】が、お前の瞳にも見える。

    ───お前も、怪物に成ろうとしているのか。

    ・・・いいだろう。
    お前、いや貴官に見せようじゃないか。
    私が見出した、【正義】を。

    ────────────────────

  • 30ホットドリンク大好き25/04/15(火) 23:13:20

    ミヤコ:
    「っ!」

    それに気が付いた瞬間、明確な死の気配を感じた。

    カンナ局長が腕を高く掲げた。
    端から見ると それだけ だけど、そこには悍ましい程の【力】が籠もっている。

    ───あれを正面から受けたら死ぬ。

    寒気を覚えるような確信。
    そして、それが自分に向けられているという【恐怖】。

    あぁ、だけど。
    目の前に死が迫っているというのに。

    ───目を奪われるほど、キレイだと思った。

  • 31ホットドリンク大好き25/04/15(火) 23:15:00

    あの【力】を得る為に、どれだけの傷を負ったんだろう?
    どれだけの研鑽を積めば、あの域に達することが出来るんだろう?
    死の域に至った【恐怖】は、どうしてこんなに美しいんだろう?

    そんな【好奇心】が頭の中を巡ったかと思うと、次の瞬間 視界が開いた。
    どうしてかは分からない。
    でも、その視界の中では世界を広く見通すことが出来た。

    ───私は、あの拳を躱すことが出来る。

    ───私は、この攻撃の後に反撃することが出来る。

    ───私は、この人と戦える。

    思考が、クリアになっていく。
    無意識に無理だと思っていたことが、可能であることに気が付く。

    私は今、確実に何か『壁』を超えた。

    ────────────────────

  • 32ホットドリンク大好き25/04/15(火) 23:48:16

    カンナの拳が輝く。
    比喩ではなく、確実に閃光を帯びて輝く。
    パチパチとプラズマを帯びた拳は、次の瞬間 その【力】を解放した。

    ─── 拳の先から、物質が消滅する。

    音を置き去りにした世界の中で、それは突然 起こった。
    拳の先にあった、寮の一角が消える。
    まるで最初から そうであったかのように、自然に。

    ───極まった業は、魔法と見分けがつかない。

    その言葉を証明する光景だった。

    音が戻る。

    ───雷が落ちたかのような轟音。

    ───滝のような勢いで空へと噴出する粉塵。

    ───解放されたエネルギーが、空中でパチパチと輝く。

    ───少し遅れて起こる粉塵爆発。

  • 33ホットドリンク大好き25/04/15(火) 23:52:24

    端から見ると、怪獣が怪光線でも放ったかのような光景だった。
    こんな攻撃を近くで受けて、無事な存在はキヴォトスでも滅多に居ない。
    カンナが知る限りでも、指を折って数える程度だ。



    しかし、確かに爆炎から飛び出す影があった。
    ───それも二つ。

    ミヤコ:
    「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

    サキ:
    「あぁぁぁぁぁぁっ!!!」

    傷に塗れ、しかし その目は月光に照らされた獣の瞳のように爛々と輝いて。

    カンナ:
    (───なるほど、『キラーラビット』だ。)

    カンナは いつかカヤがラビット小隊を そう評したのを思い出した。
    白いウサギのように小さく純真だが、やがて屈強な円卓の騎士すら屠るのだと。

    その元ネタとなった映画で、彼女達は こう呼ばれていた───



    ───── カルバノグの兎 と。

    ────────────────────

  • 34二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 07:43:17

    怪物vs怪物「たち」

  • 35二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 16:18:58

    どんだけ鍛えたんだカヤァ!!

  • 36二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 18:50:29

    勝ったな風呂入ってくる

  • 37ホットドリンク大好き25/04/16(水) 22:41:06

    ────────────────────

    ─── ババッ

    ミヤコとサキが構えた銃口から、発射炎が連続する。

    カンナは それに対して、拳の反動で動けない腕とは逆の手を、射線を遮るように振るった。

    ───── カラン カランッ・・・

    すると カンナの指と指の間から、今さっき銃口から放たれたはずの銃弾が、煙を上げて転がり落ちる。
    ───銃弾を素手で掴まれたのだと、直ぐに理解することが出来た。

    サキ:
    「はぁ!? 巫山戯てるのか!!?」

    カンナ:
    「───私は、大真面目だ。」

    カンナが背負った短機関銃を抜く。
    そのグリップを握られた短機関銃に、先程の拳のソレに似た神秘の光が宿る。

    ミヤコ:
    「!! ミユ!!!」

    ミユ:
    「─── 分かってる!」

    カンナが引き金を引く その前に、どこからともなく狙撃弾が飛んできた。
    僅かに、銃口がズレる。

  • 38ホットドリンク大好き25/04/16(水) 22:43:47

    ───── ボッ

    次の瞬間、カンナの短機関銃の銃口から夥しい数の光弾が飛び出した。
    僅かに逸れた銃口はミヤコ達の後ろ、先程の拳で その一部を消失した寮へと飛んでいく。

    ─── 寮は、一瞬で見るも無惨な瓦礫と化した。

    ミヤコ:
    「あ・・・。」

    モエ:
    『やった! これで爆破の件はチャラだよね!?』

    サキ:
    「そんなワケないだろ。 もっと酷くなったぞ。」

    ミユ:
    『0になったっていう意味では・・・チャラ、かも?』

    ミヤコ:
    「・・・無理にフォローする必要は ありませんよ、ミユ。」



    カンナ:
    「随分と余裕そうだな、貴官らは。」

    ミヤコ達 ラビット小隊は、カンナへと向き直った。
    全身からオーラのような蒸気を発し、その圧倒的 体温から全身の古傷が赤く浮かび上がったカンナへと。
    その形相は飢えた獣のようでもあり、怒れる鬼神のようでもあった。

  • 39ホットドリンク大好き25/04/16(水) 22:44:48

    常人であれば前に立つことも難しいプレッシャー。
    しかし、その常人の『壁』を超えたミヤコは、涼しい顔をしてカンナの前に立つ。

    ミヤコ:
    「えぇ。 もう、決着は付きましたから。」

    カンナ:
    「なに?」

    訝しむカンナに背を向け、ミヤコは後ろから現われた人物に笑顔を向けた。

    ミヤコ:
    「お疲れ様です─── 先生。」

    ”ミヤコも、お疲れ様。”



    カンナ:
    「シャーレの、『先生』・・・。」

    カンナが少し警戒を滲ませた声で呟く。

    連邦生徒会長が召喚し、あのカヤが強い興味を示す大人。
    【恐怖】が通用せず、【力】では どうにもならない存在。
    カヤの言葉を借りるなら、『全ての盤面を引っ繰り返し得る者』が やって来た。

    ────────────────────

  • 40二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 01:55:29

    先生のネゴシエーションかな?

  • 41二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 06:47:35

    まぁこの騒ぎをまとめられるのはカヤか先生ぐらいか

  • 42二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 07:13:44

    先生は、カヤとは別ベクトルで狂っているとも言える

  • 43二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 15:15:40

    このカンナ、テラー側に近づいていってるのかな?

  • 44二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 16:44:29

    >>43

    もうテラー化してなかったっけ?

  • 45二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 20:52:36

    ”(さて…どう切り抜けようかな…)”

  • 46二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 23:02:40

    >>44

    あのカヤが使ってた謎ナイフの事かな?カンナも使ってたっけ?

  • 474425/04/17(木) 23:11:25

    すみません。
    完全に私の勘違いでした。

  • 48ホットドリンク大好き25/04/17(木) 23:15:29

    >>44

    してないはず。

    現行、テラー状態で安定しているのはカヤだけ。

    (ただし、テラー化した状態で色彩の同類インストール済み)


    (|) ←神聖:アテン(不可解な観念【外なる太陽】)


    (° ) ←神聖:クヌム


    ※テクスチャおよびキャラクタ(記憶)は共用

  • 49ホットドリンク大好き25/04/17(木) 23:19:35

    >>46

    使ってない。

    使ったのはサオリ。


    この世界線のカンナのフィジカルは、これが素です。

    特に改造もしてなければ、ドーピングもしてません。

  • 50ホットドリンク大好き25/04/17(木) 23:22:22

    >>47

    ええんやで。

    正直ワシも記憶が曖昧やから、確認してくれるのは助かるわ。

  • 51二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 23:22:51

    >>49

    ナチュラルボーン不動卿だったのか…!

  • 52二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 23:24:05

    >>50

    ありがとうございます!

    更新を楽しみに待ってます!

  • 53ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:51:52

    ────────────────────

    カンナ:
    「・・・こうして直接お会いするのは初めてでしょうか?
    ヴァルキューレ警察学校、公安局 局長を務めさせて頂いています。 尾刃カンナと申します。」

    カンナは警戒する素振りを見せながらも、極めて冷静な対応を見せた。

    ”うん。 そんなに畏まらなくても大丈夫だよ?”

    カンナ:
    「・・・そういうワケにも。
    先生の ご活躍は、影ながら目にさせて頂いていましたから。」

    ”そうなんだ。”

    カンナ:
    「えぇ。 ですので───貴方が最も警戒すべき相手であることは、良く分かっているつもりです。」

    カンナは短機関銃で明後日の方向に発砲した。

    ───すると、物陰から短い悲鳴が響く。

    カンナ:
    「・・・SRTの抗争を終結させましたか。
    もう2、3日は続いてもおかしく無かったはずですが。」

  • 54ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:53:54

    悲鳴を皮切りに、周囲の物陰という物陰からSRTの生徒が現われる。
    もはや隠しておく意味もないと思ったのか、武装ヘリの応援も現われ始めた。

    ”只の喧嘩だったからね。”

    その言葉を証明するように、抗争の中核を担っていたSRT生徒会役員の二人が、先生の両脇を守るように現われた。

    カンナ:
    「そう言い切れてしまう貴方は、やはり私からすると恐ろしいですよ。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「『狂犬』が・・・よくもSRT(ウチ)のシマで暴れてくれたな・・・。」

    SRT生徒会役員(連邦生徒会派):
    「いつもいつも面倒を掛けてくれる・・・!」

    怒り心頭の二人の手には、それぞれアンチマテリアルライフルと巡航ミサイル用のレーザーターゲットデザイネイター(光学目標指示装置)が握られていた。
    それは、最強の火力を誇るSRT特殊学園でも最上位の兵器達だった。

    ”一応 聞くけど・・・まだやる?”

    先生の周りには、ラビット小隊を始めとしたSRTの全戦力が集結しつつあった。

  • 55ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:55:55

    カンナ:
    「そうですね───」

    常識的に考えて、ここは降参する流れである。
    しかし、カンナは獰猛に嗤った。

    カンナ:
    「───素晴らしいと思います。
    連邦生徒会長と防衛室長が紡いだ【力】と【正義】の真髄、その真価を以前から試してやりたかったので。
    そして・・・それは貴方も。」

    ”私?”

    カンナ:
    「はい。 建前を抜きにするならば・・・貴方が指揮するSRT。
    超法規的機関シャーレの下、『限りなく本来の力を発揮した』SRTと戦いたい・・・!」

    カンナの口から、白い息が吐き出された。
    全身から生物が出せる音ではない、金属が擦れるような異音が響く。

    SRT全体に、緊張が走った。

  • 56ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:57:21

    カンナ:
    「───【力】こそ、正義の故です。
    単純ではありますが、『我々』は このキヴォトスで最も強いが故に、『正義』なのです。
    貴方が、それを用いるに足る大人であるかどうか───」

    カンナが前傾姿勢になり、片手に短機関銃を構え、片手を地面に着く。
    獣の構えのような その体勢は、見る者全てにプレッシャーを与えた。

    カンナ:
    「手合わせ願い───」

    ???:
    「ボス。」

    今にも総力戦が始まりそうな緊張を破ったのは、一人のヴァルキューレ生徒だった。
    普通のヴァルキューレ生徒と違い、カンナが最初にそうしていたように機動隊のようなボディアーマーを纏ったヴァルキューレ生徒。
    いつの間にか カンナの脇に跪くかのように現われた その生徒を視界に収めると、カンナは極めて機嫌が悪くなったように鋭く睨み付けた。

    カンナ:
    「・・・なんだ?」

    ???:
    「連中に情報が渡っちゃった。 どうすれば良い?」

  • 57ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:58:28

    カンナ:
    「何だと?」

    カンナはヴァルキューレ生徒から その言葉を聞くと、戦闘態勢を解いた。
    その場を支配していた緊張感が、一気に弛緩する。

    カンナ:
    「・・・妨害できないか?」

    ???:
    「無理らしい。」

    カンナ:
    「・・・そうか。」

    カンナは先程までの怪物染みた動きから一転、極めて人間らしく視界を手で覆って空を仰いだ。
    それは、仕事で大きなミスが発覚したことを部下から聞いたOLの姿に似ていた。

  • 58ホットドリンク大好き25/04/18(金) 00:59:59

    数秒そうした後、カンナは先生に向き直った。

    カンナ:
    「・・・失礼。 急用が入ったので、この場は中座させて頂きます。」

    それだけ言って、立ち去ろうとする。

    SRT生徒会役員(連邦生徒会派):
    「待て!! タダで帰れると───」

    散々 暴れたカンナを引き留めようとする役員を、もう一人の役員が制した。

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「───行かせてやれ。」

    SRT生徒会役員(連邦生徒会派):
    「はぁ!? 巫山戯てるのか!!? これだけの被害を出させておいて見過ごせと!?」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「大真面目だ。 ・・・それに『これだけの被害』で済んで良かっただろう? 相手は、あの『狂犬』だぞ?」

  • 59ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:01:03

    SRT生徒会役員(連邦生徒会派):
    「うっ・・・。」

    役員の脳裏に、暴れ狂うカンナを止めに駆けずり回った記憶が蘇る。
    それは『厄災の狐』を筆頭とした七囚人とは また違った脅威だった。

    SRT生徒会役員(連邦生徒会派):
    「・・・分かった。 分かったが、その代わり お前には洗い浚い吐いて貰うぞ。 それでトントンにしてやる!」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・あぁ、望むところだ。」

    プンプンと頭から蒸気が出ていそうな同僚が事態の収拾に向かったのを見送ると、カヤ派の役員はサンクトゥム・タワーの方を眺めた。
    何ともいえないボンヤリとした表情で、自らが仕えた・・・否、仕えていた孤独な王を想った。

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    (・・・義理は果たしましたよ、ボス。)

    それだけ心の中で呟くと、相方が歩いて言った方に向き直り、同じ道を歩き始めた。

    ────────────────────

  • 60二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 01:19:39

    〉同じ道を歩き始めた。

    ここ好き

  • 61ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:51:32

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    カヤ?:
    「足を洗いたい・・・?」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「はい・・・。 SRTの今後を考えると、シャーレとの一体化を目指すのが最善かと・・・。」

    気まずそうな表情で話を切り出すSRTの生徒会役員。
    防衛室のデスクで執務をこなすカヤの前に跪き、頭を垂れる。
    それは、『前組織』での慣習だった。
    今や必要の無くなった慣習だが、敬意を込めて意図的に続ける古参も少なく無い。

    カヤ?:
    「・・・なるほど。 貴方はシャーレの在り方に魅入られたんだね。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・はい。」

    本心を見抜かれた役員は更に萎縮する。
    昔から恐ろしい人では あったが、『連邦生徒会に属するようになって暫く経った後』は別ベクトルで恐ろしい人だった。
    しかし、目の前にいる人は かつての【恐怖】を宿している。
    それは【狂気】による恐怖ではなく、単純な【暴力】による恐怖。
    かつては酔っていたソレが、今は こんなにも恐ろしい。

  • 62ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:52:14

    カヤ?:
    「・・・自分が何を言ってるかは分かってるよね?」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「はい・・・私は裏切りを認めて頂きたく参りました。」

    ───── カチャリ

    冷たい感触が、こめかみに当たる。
    それは懐かしく、そして良く知っている感触だった。

    ───拳銃の銃口が、突きつけられていた。

    カヤ?:
    「なら、血達磨にされるくらいは覚悟しているワケだ。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・指の一本や二本、目玉の一個や二個を差し上げるくらいは覚悟して来ました。」

    カヤ?:
    「ふぅん?」

  • 63ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:53:46

    カヤは銃口を役員の こめかみから離した。

    カヤ?:
    「そんなの貰っても困るだけなんだけど?」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「それくらいの覚悟、ということです。」

    カヤ?
    「なるほど。」

    カヤは少し頤に手を当てて考える素振りを見せる。
    SRTの役員は、冷や汗を流しながら回答を待った。

    やがて、カヤが口を開く。

    カヤ?:
    「・・・いいよ、認めて上げる。 その代わり、一つ仕事をして欲しい。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・何なりと。」

    カヤ?:
    「そんなに畏まらなくてもいい。 大したことじゃない。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「はっ・・・。」

  • 64ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:55:20

    カヤはデスクから1冊のファイルを取り出した。
    表紙に『機密』と読める判子が押してある。

    カヤ?
    「この情報を、貴方の派閥で独占して。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「しかし・・・そんなことをすればSRTで内部分裂が・・・。
    我々はボスを支持していると思われていますし・・・。」

    カヤ?:
    「それでいいの。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「え・・・?」

  • 65ホットドリンク大好き25/04/18(金) 01:56:49

    カヤ?:
    「内部分裂を引き起こして。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・しかし。」

    沈黙による役員の僅かな抵抗。
    カヤが深い溜息をつく。
    それだけで恐怖に身が浸る気分がするが、SRTの役員は必死に耐えた。

    カヤ?
    「・・・別に本当に仲違いをしろって言ってるワケじゃない。
    ただ、一時的に そう演じて欲しいだけ。」

    SRT生徒会役員(カヤ派):
    「・・・なぜ、でしょうか?」

    その問いに、今度はカヤは深い笑みを浮かべた。
    見る人間全てが凍り付きそうな、歪で残酷そうな笑みだった。

    カヤ?:
    「───罠に掛けたい学園があるの。」

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 66二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 07:26:52

    おっと?カヤの企みが....

  • 67二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 09:31:19

    罠にかける…口ぶりからするとSRT以外のどこかの学園か…

  • 68二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 16:12:05

    SRT生徒会役員(カヤ派)も覚悟キメてる良いキャラクターしてて好き

  • 69二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 21:29:23

    覚悟ガンギマリなカヤ一派

  • 70二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 00:23:05

    ここまではカヤの計画通りか

  • 71二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 01:53:02

    >それは、『前組織』での慣習だった。


    この生徒会役員(カヤ派)は元アリウスかな?

  • 72ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:29:43

    ────────────────────

    カヤ:
    「───お待たせしてしまいましたね、先生。」

    ”大丈夫、いま来たところだよ。”

    外回り用の黒装束を身に纏ったカヤは、防衛室の応接室で待っていた先生の対面に座る。

    カヤ:
    「それで・・・私に話とは何でしょう?」

    ”率直に聞くね? ───どうしてSRTの子達を喧嘩させたの?”

    カヤは少し目を見開いた。

    カヤ:
    「ほぅ・・・あれを”喧嘩”と称しますか。
    あれは紛れもなく内紛であったはずですが・・・。」

    ”答えて。”

    真剣な眼差しで、先生はカヤを見据えた。

  • 73ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:30:26

    カヤ:
    「・・・いいでしょう、お答えします。」

    カヤもまた、その羊に似た瞳孔を先生へと向けた。

    カヤ:
    「私はですね、先生。 罠を仕掛けたのです。」

    ”罠?”

    カヤ:
    「えぇ、彼女達は最後に良い仕事をしてくれましたよ。」

    カヤは応接机の上にあったリモコンを取ると、そのままテレビの電源を入れた。

    クロノス報道部:
    『───今回の取材により連邦生徒会が主導で進めていた計画が明らかになりました。
    子ウサギ公園を拡張する形で進められる【子ウサギタウン】計画は、浮浪者や学籍を持たない生徒を対象とした社会福祉であり、当局が得た情報によりますと───』

    カヤ:
    「フフッ・・・どうやら罠に掛かってくれたようです。」

    ”・・・クロノスジャーナリズムスクール?”

  • 74ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:31:01

    カヤ:
    「えぇ、そうです。 クロノス”ジャーナリズム”スクール・・・私の天敵『でした』。」

    カヤは邪悪な笑みを浮かべた。

    カヤ:
    「かつて私が・・・いえ、『私達』が暴れていた時代。
    彼女達は最も厄介な敵でしたよ。
    えぇ、それこそ今の天敵である財務室などよりも よっぽど。
    『報道』は『軍隊』の天敵ですから。」

    ”・・・。”

    カヤ:
    「【力】も【恐怖】も顧みず、ただ『言論の自由』の為に戦う。
    『私達』に都合の悪い情報を報道して方々に敵対勢力を作り、叩こうにも襲撃計画を先んじて知られて逃げられる・・・。
    厄介な敵でしたが、同時に敬意すら抱いたものです。」

    ”なら・・・どうして?”

    カヤ:
    「・・・正直、罠に掛からないなら それで良かったのです。」

    カヤは少し寂しそうに目を伏せた。

  • 75ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:31:37

    カヤ:
    「それは今でも私の天敵がいるという証。
    その時は私も喜んで、再びクロノスを相手取る策を講じるつもりでした。」

    ”・・・でも、クロノススクールの子達は罠に掛かってしまった。”

    カヤ:
    「そうです。 本当に”掛かってしまいました”。
    ・・・ねぇ、先生。 あの学園に『ジャーナリズム』の真髄を知る者は どれだけいるでしょうね?
    秘密を暴き、真実を追究するのは良いでしょう。
    しかし、その秘密を暴いた結果、社会にどのような うねりが生まれるのか・・・きっと彼女達は想像もしていないでしょうね。
    『社会への貢献』『正確かつ公正な報道』『民主主義を支える』・・・そんな意識は、もう無くなってしまったようです。」

    ”・・・うねりって?”

    カヤ:
    「・・・先生、この『子ウサギタウン』計画には”守秘義務”があります。
    そして、この守秘義務が何らかの理由で破られた場合、この計画は白紙になることになっているんです。」

    ”まさか・・・。”

  • 76ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:32:08

    カヤ:
    「えぇ、すでに かつての伝手を利用してキヴォトス中の対象生徒・・・『学籍を持たず、普通の生活を送れない生徒』に話を持ちかけていました。
    ・・・皆さん話を持ちかけた際は大変喜んで頂けたのですが、こういった形で頓挫することになるとは非常に残念でなりません。
    きっと皆さん怒っているでしょうね。
    あぁ、『クロノスジャーナリズムスクールが取材と称して勝手に機密情報を持ち出さなければ』こんなことにはならなかったのに。」

    ”─── っ!”

    カヤ:
    「・・・そうです。
    既に手の者を使って扇動しています。
    きっと早晩、クロノススクールに襲撃があるでしょう。
    私は騒動の鎮圧を口実に報道機関を抑えます。
    誰にも邪魔はさせません。 ・・・勿論、貴方にも。」

    ”・・・。”

    カヤ:
    「・・・先生?」

    ”・・・君は、誰?”

    カヤ:
    「・・・? どうされたのですか先生。
    私は『不知火カヤ』ですよ。
    それ以上でも、それ以下でもありません。」

    ”・・・。”

  • 77ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:32:54

    カヤ:
    「・・・。」

    ”・・・。”

    カヤ?:
    「・・・はぁ、流石は先生と言ったところでしょうか。」

    ”───!”

    カヤは整った いつもの髪型を崩した。
    そして黒装束の外套を脱ぐと、下から師に良く似た黒スーツが現われる。
    先生の知る『不知火カヤ』とは全く異なる、気怠げな生徒がそこにいた。

    官服:
    「ご指摘の通り、私は貴方の知る『不知火カヤ』ではありません。
    ですが正真正銘の『不知火カヤ』でもあります。
    ・・・早い話が二重人格とでも思って頂ければ。」

    ”・・・君の望みは何?”

    官服:
    「───キヴォトスの支配。」

    ”!!”

  • 78ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:33:21

    官服:
    「私の望みはずっと それだけですよ。
    ・・・そして それだけの為の存在でもあります。」

    ”・・・。”

    官服:
    「・・・連邦生徒会長が失踪した今、私を止められる者は誰も居ません。
    リンもアオイも、私とは相性が悪いですから。」

    ”・・・。”

    官服:
    「先生。 もし宜しければ私と共にキヴォトスを支配する気はありませんか?
    そうですね・・・今ならキヴォトスの半分くらいは付いてくるかも知れませんよ?」

    ”・・・それで、君は満足するの?”

    官服:
    「・・・。」

    ”もう一度 聞くね? ・・・君の本当の望みは?”

  • 79ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:33:44

    官服:
    「・・・それは既に叶わない望みです、先生。」

    ”・・・。”

    官服:
    「・・・話が以上であれば、私はこれで。」

    ”・・・望みは、捨てないでね?”

    官服:
    「・・・。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 80ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:34:35

    <防衛室長の執務室>


    官服:

    「─── 先生にも振られた。

    ・・・みんな、キヴォトスの半分じゃ足りないっていうのかな?」


    官服は仕事がキレイに片付いた、何も無いデスクの上で頬杖を突く。

    そうしてふと、先生の言葉を反芻した。


    官服:

    「・・・『本当の望み』か。」


    官服はデスクの引き出しから一枚の写真を取り出した。

    そこには迷惑そうにするピンク色の髪をした生徒の肩を、水色の髪をした生徒が楽しそうに寄せる光景が写っていた。


    官服:

    「なんで、消えたの・・・? どうして皆、私に嘘を付くかな・・・。」


    開け放たれた引き出しの中には、他にも柴大将やユキノ、カンナなど との写真が詰め込まれていた。

    ───その多くが、彼女の元から去っていたか関係性が歪んでしまった。


    官服:

    (クロノススクールを抑えれば かなり動きやすくなる。

    そうしたら まずはベアトリーチェを抑えて、次は名もなき神々の王女、それから『夜』を超えて・・・次・・・次は───)


    そこで官服としての意識は途絶えた。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 81ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:35:15

    カヤ:
    「───おや、少し眠っていたようですね。」

    カヤは手に持っていた写真を、壊れ物を扱うかのように丁寧に引き出しに仕舞う。

    カヤ:
    「ご安心ください、連邦生徒会長。
    貴方に代わり、キヴォトスの崩壊は何としてでも防いでみせます。」

    ───例え、何を捧げてでも。

    ────────────────────

  • 82ホットドリンク大好き25/04/19(土) 02:40:10

    >>71

    SRT生徒会役員(カヤ派)『前組織』は───


    1.アリウス

    2.連邦生徒会 合流前の、『宵闇のクヌム』の軍勢

    3.アビドスの不良組織


    dice1d3=3 (3)

  • 83二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 09:30:08

    アビドス編やアリウス編とも繋がってきそうな

  • 84二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 13:14:13

    元不良組織のカヤ派より手が早く出て癇癪グセのある連邦生徒会派w
    カヤ派の覚悟がガンギマリすぎて同じ方向に進んでも連邦生徒会派は付いていけるのか?

  • 85二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 16:33:40

    >>84

    まぁ戦友に裏切られたと思って一時的に暴走してるだけの可能性もあるから…

  • 86二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 22:30:28

    ラスボス系メインヒロインの不知火カヤ

  • 87ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:17:42

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    カヤ:
    「─── 数字は嘘を付きません。 しかし、本当のことも言わないのですよ、カンナ。」

    SRT特殊学園から少し離れた場所、ビル群の影に隠れるように止まった護送車両の中でカヤは嘯いた。
    その手には、在りし日と同じように缶コーヒーが握られている。
    カンナもまた、護送車両の座席に座りながら缶コーヒーを呷った。

    その脇では、ヴァルキューレ生徒が傷の手当てをしていた。
    全体的に擦り傷を作っていたカンナだったが、ラビット小隊の弾丸を握り潰した手が特に深い傷を負っている。
    カンナは、手当てを受けている手とは逆の手で缶コーヒーを持つ。

    カンナ:
    「・・・だから どうした。
    私は どうやって他の室長を騙くらかしたのかと聞いている。
    ─── 今回の一件、少なくとも連邦生徒会は乗り気だった。」

    カンナは飲み終わったコーヒー缶を握力で握り潰すと、護送車に備え付けられたゴミ箱に投げ入れた。

    カヤ:
    「騙くらかしたとは心外ですね。
    私はただ、然るべき手順に沿って政策を上奏しただけですよ。
    ・・・まぁ、確かに皆さんの多くに了承して頂けましたが。」

    カヤも缶コーヒーを飲み終える。

  • 88ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:18:32

    ───── ベコッ

    カヤの手の中に収まっていたコーヒー缶が、一瞬で握り潰された。
    そしてカンナと同じようにゴミ箱に投げる。

    カンナ:
    「そこが疑問だ。
    今の連邦生徒会は何事にも消極的だったはず。
    それが今更こんなに俊敏に動くはずがない。」

    カヤ:
    「フフッ───こう見えて私、政治は得意なんですよ?」

    カンナ:
    「・・・。」

    カヤは口元に手を当て、悪戯な笑みを浮かべた。
    カンナは、それを鋭い目で睨み付けた。
    ・・・『不知火カヤ』は、こんなに人間味があっただろうか?

  • 89ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:19:10

    カヤ:
    「今回の最大の障害はアオイ室長でした。
    彼女は常に公正で・・・融通が利きませんから。
    しかし、今回の計画で どれだけ犯罪率が低下するのか懇切丁寧に説明させて頂いたところ、まぁ・・・何とか ご納得頂けましたよ。
    ・・・ちゃんと話せば分かるんですよ、彼女は。」

    カヤは数回に及ぶ説明と、それに伴う予定の摺り合わせを思い出したのか ちょっとウンザリしたような表情を浮かべた。

    カヤ:
    「リン代行は手順さえ踏んでしまえば どうとでも出来ました。
    彼女は優秀ですが・・・昔から どうも人を信じ過ぎるきらいがある。
    冷静に考えれば分かったはずです。
    別に博愛主義者でも何でも無い私が、なぜカイザーコンストラクションの計画を乗っ取ってまで こんなことをするのか。
    しかし結局は犯罪率の低下や社会満足度の向上という、私が意図的に求めた数字を信じてしまった。
    ・・・その裏にある、露骨な悪意に気付かなかった。」

    カヤは深い溜息をついた。

    カヤ?:
    「はぁ・・・だから『貴方はトップに向かない』って散々言ったのに。」

    どこか憐れむような、それでいて複雑な感情を押し込めるような表情。
    それはカンナからするば致命的な隙だった。

  • 90ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:20:44

    カンナ:
    「・・・誰だ、お前は。」

    カヤ?:
    「・・・?」

    カンナ:
    「私の知ってる『不知火カヤ』は、そんなに正常じゃない。」

    官服:
    「・・・フフッ。」

    カヤは護送車に備え付けられたコーヒーメイカーを操作し始めた。

    官服:
    「・・・オリジナルブレンドで良い?」

    カンナ:
    「・・・ノンカフェインで頼む。」

    横に置かれたマグカップをセットする。
    カヤがボタンを押すと、マシンからコポコポとコーヒーが注がれ始めた。

  • 91ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:21:44

    官服:
    「・・・『愚妹』は、貴方に期待していた。 貴方であれば、共に歩めると。」

    カンナ:
    「・・・。」

    官服:
    「でも、貴方は袂を分かった。 ・・・『私達』は つくづく魂を分かつ者に恵まれない。」

    マグカップは直ぐに いっぱいになった。
    カヤはノンカフェインの珈琲の入ったマグカップをカンナに渡した。

    カンナ:
    「・・・『自分達』で選んだ道だろう?」

    官服:
    「・・・。」

    二人の視線が、ぶつかり合う。
    先に逸らしたのは官服だった。

    官服:
    「・・・じゃ、私は行くから。」

    カンナ:
    「待て、どこに行く。」

    カンナは手渡された珈琲を啜りながら尋ねた。

  • 92ホットドリンク大好き25/04/19(土) 23:23:09

    官服:
    「何処って・・・本気で言ってる?」

    カンナ:
    「・・・?」

    ジト目で見られ、カンナは首を捻った。 本気で心当たりは無かった。

    官服:
    「決まってるでしょ。 SRT特殊学園の校舎を復旧するの。」

    カンナ:
    「あぁ・・・。」

    今度はカンナが視線を逸らす番だった。 気を紛らわす為に珈琲も啜る。

    カンナ:
    「・・・引き留めて悪かったな。」

    官服:
    「別に。 『いつものこと』だから。」

    それだけ言って、今度こそカヤの姿をした官服は去って行った。

    カンナ:
    (・・・『いつものこと』か。)

    考えてみれば、仕事先でカヤと遭遇するのは、確かに大規模破壊の後に限ってのことだった。

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 93二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 02:16:21

    ボンドルドと官服で役割分担している…

  • 94二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 09:41:02

    >>88

    (…あのコーヒーって確かスチール缶だよな…)

  • 95二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 15:19:19

    やはり化け物か…

  • 96二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 22:33:26

    カヤ?「化け物になっても構わない。それでキヴォトスを守れるなら。」

  • 97ホットドリンク大好き25/04/20(日) 23:06:16

    ────────────────────

    コノカ:
    「───聞いてるんすか、姉御!」

    カンナ:
    「ん? あぁ・・・。」

    カンナはコノカの声によって現実に引き戻された。

    コノカ:
    「怪しいっすねぇ・・・アタシ以外の女のことでも考えてるんすか?」

    カンナ:
    「・・・気持ち悪いことを言うな。
    私は ただ、先の仕事について振り返っていただけだ。」

    コノカ:
    「ふ~ん・・・まぁいいっす。
    それで、結局 何してたんすか姉御?」

    カンナ:
    「お前には───」

  • 98ホットドリンク大好き25/04/20(日) 23:07:32

    ”関係ない”。
    そう言おうとして、先の様子のおかしいカヤのことが脳裏に浮かんだ。
    アレが何だったのかは分からないが、もしかすると こういう風に他人を突き放し続けた自分の姿でもあるのかもしれない。

    カンナ:
    「───・・・そうだな。
    今回は お前も真面目に副局長としての責務を果たしたことだし、私も それに応えるべきかもな。」

    コノカ:
    「お、嫌に話が分かるっすねぇ~。 何か変なクスリでも決めてるんすか?」

    カンナ:
    「・・・やはりお前には関係のない話だったか。」

  • 99ホットドリンク大好き25/04/20(日) 23:08:10

    コノカ:
    「あっ、いや冗談っすよ!! そう気を悪くしないで欲しいっす!! ホラ、この通り!」

    恥も外聞もなくペコペコと頭を下げる副局長に嘆息しながら、カンナは事務室の外へと歩き出した。

    カンナ:
    「はぁ・・・久しぶりにトレーニングに付き合え。 話はそれからだ。」

    コノカ:
    「お、いいっすねぇ! トレーニング後の飯は姉御の奢りで!!」

    カンナ:
    「・・・あまり調子に乗るなよ。」

    頭は痛いが、心は軽い。
    カヤの言った『魂を分かつ者』とは、こういう人間のことを言うのかもしれないとカンナは思った。

    ────────────────────

  • 100二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 08:29:01

    カンナの瞳に狂気

  • 101二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 15:58:02

    >>100

    もとから…

  • 102二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:40:29

    狂犬ですからね....

  • 103二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 01:58:12

    狂犬(真)

  • 104ホットドリンク大好き25/04/22(火) 03:47:11

    ────────────────────

    報告書を読んでいたマコトは、次の文章を目に入れた瞬間、その報告書を落っことした。

    『クロノスメディアスクール、防衛室によって占拠。
    後に、第三者委員会という名の監視組織が設立予定。』

    マコト:
    「─── ウソだろう? アレに引っ掛かったというのか??」

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    カヤ:
    「ここに、『絶対報道しちゃいけない情報』を置きます。
    これを報道すると、社会福祉の計画が立ち消え、対象者・・・今回の場合『普通の生活を送ることの出来ない、学籍を持たない生徒』が暴動を起こす・・・という寸法です。
    勿論、ある程度 扇動は必要でしょうが。」

    マコト:
    「キキキッ! そんなのに引っ掛かる情報組織がいるワケがないだろう?
    一に、少し考えれば報道後の反応が分かる。
    二に、少し探れば陰謀が露呈する。
    近頃 報道の質は確かに落ちているが、これに気付かないほどバカじゃないだろう。」

  • 105ホットドリンク大好き25/04/22(火) 03:48:28

    カヤ:
    「そうですよね。
    これに引っ掛かる程バカじゃないですよね。」

    二人:
    「「キキキッ(フフフッ)!!」」

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    マコト:
    「・・・まさか、ここまでバカだったとは。」

    イロハ:
    「まぁ・・・報道機関が狙われるとは普通考えませんから・・・。」

  • 106ホットドリンク大好き25/04/22(火) 03:49:31

    マコト:
    「・・・いや、『天敵』の居なくなった弊害だろう。
    鳥は天敵が居なくなると、一世代で飛べなくなると言うからな。」

    イロハ:
    「鳥・・・ですか。」

    マコト:
    「まぁ、引っ掛かってしまったものは仕方あるまい。
    現状 防衛室の手に堕ちていないクロノス生徒を集めろ。
    これから先、情報戦が より大切になってくる。」

    イロハ:
    「・・・何が始まるんです?」

    マコト:
    「・・・戦争だ、イロハ。 2年ぶりに、自由を掛けた戦争が始まるぞ。」

    ────────────────────

  • 107二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 08:28:56

    このレスは削除されています

  • 108二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 17:40:55

    たいき

  • 109二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 23:44:25

    期待

  • 110二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 08:04:38

    ほ!

  • 111ホットドリンク大好き25/04/23(水) 09:42:46

    ────────────────────


    最近、オリジナルでの意識が安定しなくなってしまいました。

    どうやらトリニティでの一件が原因で、死んだ子・・・『かつての私』が黄泉帰りつつあるようです。

    これによってキヴォトスは やがて未曾有の危機に晒されるかもしれませんが、しかし それは乗り越えるべき宿痾。

    先生を筆頭とした皆さんの健闘を祈ることにしましょう。


    とはいっても、そんな未来も現状を打破しなければ実現しません。

    ベアトリーチェは刻一刻と次なる一手に向けて準備を進めています。

    チェスで言えば歩兵(ポーン)を多く獲り、騎士(ナイト)や女王(クイーン)も抜いた形になりますが、ここまで不意打ちでハンデを勝ち取っても、勝率は五分五分と言いますから恐ろしい話です。


    やはり、大人は怖いですね。


    泣いても笑っても、次の一局で未来は大きく変わるでしょう。

    ベアトリーチェの領地が広がり、キヴォトスの終焉が早まるのか。

    あるいはアリウスが解放され、我々の宿願に また一歩近づくのか。


    ・・・。


    とはいえ、急いては事をし損じるとも言います。

    ここは より確実な勝利を期する為に、待ちに入るのが賢明でしょう。 特に、油断させる為に遊ぶのも良いかもしれません。


    さて、どうしましょうか?


    1.そういえばニヤニヤ教授から連絡が来ていましたね。(七囚人関係)

    2.久しぶりにアビドスに帰ってみますか。(対策委員会イベント)

    3.FOX小隊の皆さんと遊び()ましょう。


    dice1d3=2 (2)

    ────────────────────

  • 112二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 15:40:30

    お、リゾートかな?

  • 113二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:06:01

    これは期待

  • 114二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:13:21

    >>112

    水着回と聞いて

  • 115二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 01:20:09

    >>114

    存在しない記憶

  • 116ホットドリンク大好き25/04/24(木) 01:29:57

    >>114


    水着回では───


    1.ある

    2.ない

    3.部分的にそう


    dice1d3=1 (1)

  • 117ホットドリンク大好き25/04/24(木) 01:36:00

    (|) <「おや、リン行政官。 奇遇ですね。」

    リン:
    「・・・。(絶対に知り合いに会わないであろうアビドスに休暇を楽しみに来たのに、何の因果か知り合いに出会ってしまった時にするような露骨に嫌な顔)」

  • 118二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 02:21:32

    (|) 仮面着けたままの水着姿なのか……

  • 119ホットドリンク大好き25/04/24(木) 02:55:30

    ────────────────────

    リン:
    「・・・まさかアビドスで貴方に会うとは思いませんでした。」

    カヤ:
    「そうですか? 一応、ここが故郷なのですよ?」

    リン:
    「だからこそ、です。
    ・・・アビドスには あまり良い記憶が無いと聞いていましたが。」

    カヤ:
    「時間の経過は傷を癒やすものです。
    そして時に、郷愁は忌避感を上回るのですよ。」

    リン:
    「・・・そういうものですか。」

    カヤ:
    「えぇ、そういうものです。
    いつか『かつての私』にも分かるでしょう。」

    リン:
    「・・・。」

  • 120ホットドリンク大好き25/04/24(木) 02:59:56

    カヤ:
    「ちなみに、アビドスでの ご予定は?」

    リン:
    「・・・特にありませんね。
    何分、突然 湧いた休暇でしたので。
    衝動的に、とにかく遠くへ、と。」

    カヤ:
    「疲れていますね。」

    リン:
    「・・・否定はしません。」

    カヤ:
    「そういうことでしたら、この後 少し お付き合い頂けませんか?」

  • 121ホットドリンク大好き25/04/24(木) 03:01:22

    リン:
    「・・・まぁ、構いませんが。
    ・・・どこに行くつもりでしょう?」

    カヤ:
    「『柴関ラーメン』という店舗ですよ。
    『知り合い』が営んでいる店舗なのですが、どうにも一人で訪れるのは抵抗がありまして。」

    リン:
    「・・・驚きました。
    『かつて』なら いざ知らず、『今の貴方』にも そんな感情があったんですね。」

    カヤ:
    「心外です。」

    リン:
    「そうですか。 では、案内は 任せますね。」

    カヤ:
    「・・・お任せ下さい。 アビドスは『私』にとって、ちょっとした庭ですから。」

    ────────────────────

  • 122二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 07:59:59

    カヤの異常性って割と知られてるのかな?

  • 123二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 15:48:20

    待機

  • 124二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 23:10:07

  • 125二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 23:13:52

  • 126二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 23:14:04

  • 127二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 23:15:57

    ホタテビキニを着ろと!?

  • 128ホットドリンク大好き25/04/24(木) 23:17:52

    >>122

    知ってる人は知ってるって感じ。

    一般的には知られてないし、大体 実際は真実の都市伝説くらいの感覚。


    『かつての不知火カヤ』と『現在の不知火カヤ』の二面性に至っては、リンを筆頭に先生やカンナ、後は失踪した連邦生徒会長くらいしか気付いてない。

  • 129ホットドリンク大好き25/04/24(木) 23:55:53

    ────────────────────

    カヤ:
    「失礼しますよ。」

    カヤは柴関ラーメンの暖簾を潜る。

    柴大将:
    「・・・失礼だと思うなら帰んな。」

    柴大将はカヤに背を向けたままピシャリと言い放った。

    カヤ:
    「おや、では出直すとしましょう。」

    カヤは綺麗に回れ右して帰ろうとする。
    それをリンが手で制した。

    リン:
    「待って下さい、何か用事があったのでは?」

    カヤ:
    「しかし、柴さんは こう言っていますし。」

    言葉を額面通りに受け取ってしまうカヤに、リンは嘆息した。

  • 130ホットドリンク大好き25/04/24(木) 23:58:34

    リン:
    「はぁ・・・何があったのかは知りませんが、きっと店主も勢いで言ってしまっただけですよ。 ・・・そうですよね?」

    柴大将:
    「・・・。」

    柴大将は何も言わなかったが、壊れたロボットのような ぎこちない動きで ゆっくりと前に向き直った。
    その顔は、犬の顔でありながら怒っているのか緊張しているのか良く分からない複雑な表情をしていた。
    それが答えだった。

    柴大将:
    「・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。
    ・・・・・・・・・・・・注文は?」

    暫く何度も口を開きかけた柴大将だったが、最終的に口から出たのは、そんな月並みの言葉だった。

    カヤ:
    「特製味噌ラーメンは まだありますか?」

    柴大将:
    「・・・あるにはあるが。」

    カヤ:
    「では、それで お願いします。 味玉のトッピングも付けて下さい。」

    柴大将:
    「・・・あいよ。」

  • 131ホットドリンク大好き25/04/25(金) 00:01:29

    カヤ:
    「リン行政官は何にします?」

    リン:
    「・・・非番ですし、リンで結構ですよ。 それで・・・メニュー表はありますか?」

    先ほどまで回れ右して帰ろうとしていたクセに、注文を聞かれた途端 素早く席に着いた同僚に再び溜息をつきつつ、リンも席に座る。

    柴大将:
    「あぁ、勿論。」

    柴大将はカヤの相手をしていた時の ぎこちない動きとは打って変わって、スムーズな動きでリンにメニュー表を渡す。

    リン:
    「・・・。」

    リンは分かり易い二人だと思いながら、メニュー表を物色した。
    ・・・如何にも学生の味方、といった感じの量の多いメニューが目立つ。
    連邦生徒会の食堂の、食べ易いサイズのラーメンに慣れているリンからすると、少し重く感じた。

  • 132ホットドリンク大好き25/04/25(金) 00:04:06

    カヤ:
    「そちらの塩ラーメンの小盛であれば、貴方でも食べ易いと思いますよ、リン。」

    リン:
    「では・・・それで。」

    柴大将:
    「あいよ。 少し待っててくれ。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    柴大将がラーメンを準備する音だけが その場に響く。
    カヤは食い入るように柴大将の動きを注視しているし、リンもリンで話す必要性を感じていない。
    調理に集中している柴大将に至っては口を開くはずもなかった。

    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    そうして約10分ほど、そんな地獄のような沈黙が続いた。

    ────────────────────

  • 133二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 03:28:25

    リン(……気まずい…)

  • 134二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 06:44:11

  • 135二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 08:41:42

  • 136二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 18:06:41

    このレスは削除されています

  • 137二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 18:48:37

    頑張れリン

  • 138二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 00:34:04

    空気が死んでる…

  • 139ホットドリンク大好き25/04/26(土) 01:35:15

    ────────────────────


    <小一時間後・・・>


    カヤ:

    「とても楽しかったです。」


    リン:

    「あれで・・・ですか?」


    リンの脳裏には、ラーメンの価格と品位のバランスについて永延と口論を続ける極寒の修羅場があった。

    ラーメンは美味しかったが、それを差し引いても とても楽しかったとは言えない。


    カヤ:

    「えぇ、とても。

    柴さんが『私』の話を聞いてくれたのは数年ぶりですから。

    ましてや喧嘩など幼い頃 以来です。

    ついてきてくれたこと感謝しますよ、リン。」


    リン:

    「・・・そうですか。」

  • 140ホットドリンク大好き25/04/26(土) 01:36:45

    カヤ:
    「・・・ところで、リンは連邦生徒会の食堂で出しているラーメンと、柴さんのラーメン・・・どちらが好みでしょうか?」

    リン:
    「急に何ですか。」

    リンは眉を顰めながらも、口元に手を当てて考えた。

    リン:
    「・・・店主には申し訳ないですが、私は連邦生徒会の方で出るラーメンの方が好みですね。
    こちらのラーメンは少し・・・油が強すぎて・・・。」

    リンの言葉を受けて、今度はカヤが考え込む素振りを見せる。

    カヤ:
    「ふむ・・・やはり好みに地域差があるということでしょうか・・・。
    それとも普段の食生活? いえ、というよりも消費カロリーの差とみるべきかもしれません。
    ・・・どの道、これで勝ったとは言えませんね。」

    リン:
    「カヤ室長?」

  • 141ホットドリンク大好き25/04/26(土) 01:38:17

    カヤ:
    「カヤで結構ですよ。
    こう見えて、今は私も非番ですので。」

    リンは胡乱げにカヤの全身を見た。
    いつもの黒ずくめである。

    リン:
    「その服装で・・・ですか?」

    カヤ:
    「心外ですね。 これは私の私服のようなものですよ。 事実、公の場では いつも此方は着ていないでしょう?」

    リン:
    「・・・その主張は、作業着を私服と言い張るようなものですが。」

    カヤ:
    「おやおやおやおや、そう言う貴方はどうなのですか?
    貴方もまた、いつもの制服と変わりないように思えますが。」

    リン:
    「・・・。」

    実際、リンの服装も いつもの連邦生徒会の服装だった。

  • 142ホットドリンク大好き25/04/26(土) 01:40:28

    カヤ:
    「・・・ふむ、丁度良い機会かもしれません。」

    リン:
    「?」

    カヤは懐から一枚のチケットを取り出した。

    カヤ:
    「実は柴さんに、余りモノのチケットを貰いまして。
    なんでもビンゴ大会で一等の景品だった、『リゾートの利用権』らしいですよ?
    2枚用意していたらしいのですが、結局一人しか当選しなかったのだそうです。」

    リン:
    (・・・。)

    余りに不器用な柴大将の態度に、リンは心の中で嘆息した。
    まったく、素直にカヤの為にとっておいたと言えばいいものを。

    リン:
    「・・・それは良いですね。 是非 行ってきては如何でしょう?」

  • 143ホットドリンク大好き25/04/26(土) 02:15:45

    カヤ:
    「おや、何を他人事のように・・・。 貴方も行くのですよ?」

    リン:
    「・・・はい?」

    カヤ:
    「私は感動しています。
    まさか貴方が ここまで思い切った政策を採るとは・・・。
    私は貴方を少し見くびっていたのかもしれません。」

    リン:
    「何を言っているんですか?」

    カヤ:
    「原則に反することではありますが、私は賛成しますよ。
    近日の連邦生徒会の懐事情を加味すると、この策は非常に有用です。
    隠蔽が必要であれば、私の方で幾らでも協力致しましょう。」

    リン:
    「あの・・・。」

    カヤ:
    「良い機会ですから、直ぐ其所の店舗で水着を購入して視察に参りましょう。
    水着であれば連邦生徒会の視察とは分かり難いですし、何よりリゾートで休暇を楽しむことも出来ます。」

  • 144ホットドリンク大好き25/04/26(土) 02:17:36

    リン:
    「・・・。」

    カヤ:
    「そうと決まれば直ぐにヘリをチャーターして───」



    ───── パッ

    リンは軽く手を叩いた。
    カヤの動きが、合図を出された猟犬のように止まる。

    リン:
    「───詳しく説明して下さい。 私が、いつ、どのような政策を採ったというのですか?」

    カヤ:
    「おや、貴方が『ロスト・パラダイス・リゾート』の使用権を お祭り運営委員会に販売したのではないのですか?」

    リン:
    「え?」

    カヤ:
    「え?」

    二人:
    「「え??」」

    ────────────────────

  • 145二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 09:21:23

    おや???

  • 146二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 15:16:43

    おやおや????

  • 147二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 19:45:15

    カイザーのバカはどこだァ!

  • 148二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 23:41:36

    何やってんだぁ!カイザー!

  • 149ホットドリンク大好き25/04/27(日) 00:51:48

    ────────────────────


    <上空、ヘリの中にて・・・>


    カヤ:

    「───では、本当に貴方ではないと?」


    リン:

    「当然です。

    あの群島は連邦生徒会の直轄地ですよ?」


    カヤ:

    「だからこそ、自由に使えるではありませんか。 元々 何に使うでも無かった土地のはずです。

    お祭り運営委員会に使用権を販売し、その際に発生する あらゆる取引から税収を得れば、ローリスクでハイリターンが期待できるはずですよ?」


    リン:

    「・・・貴方ではないのですから。

    私が そんな阿漕な政策を採ると、本当に思っていたのですか?」


    カヤ:

    「・・・だからこそ、感動していたのですが。」


    リン:

    「心外ですね。」


    リンとカヤは、お互いに溜息をついた。

    二人の服装は、いつものそれとは違い、店頭で購入した水着になっている。

  • 150ホットドリンク大好き25/04/27(日) 00:53:26

    リンの服装は身体のラインが出る長袖・長ズボンのラッシュガードで、胸元までキッチリ ファスナーを閉めていることで、かえって女性的印象を強めている。
    髪は動きやすいように、ポニーテールで纏めていた。

    カヤも普段とは違い、いつもの仮面を外して髪型もローポニーテールで纏めていた。
    服装は一般的なノースリーブでズボン部分が膝上まである競泳水着なのだが、何しろ身体がバキバキなので、完全にアスリートか何かにしか見えない。

    そんな対象的な二人だが、今回は どちらも黒色で統一していた。
    特に意図はなく、単に気に入ったデザインの物のカラーが店頭に黒色しか置いていなかった偶然の産物なのだが、元来のリンの目付きの鋭さやカヤの胡散臭さが相まって、完全にマフィアか何かの悪の組織っぽい雰囲気になっていた。

    カヤ:
    「───目的の島が見えてきましたよ。
    恐らく、利用権をビンゴで当てた先客がいるはずです。 ・・・排除しますか?」

    リン:
    「・・・しませんよ。 我々はあくまでオフなんですから、それを忘れないで下さい。」

    カヤ:
    「そうですね。 『単にリゾートに遊びに来ただけで、決して実態調査などしていない』のですよね。」

  • 151ホットドリンク大好き25/04/27(日) 00:54:47

    リン:
    「分かっているなら構いません。
    我々はあくまで遊びに来た一般生徒。
    ・・・連邦生徒会の行政官と室長であるというのは伏せていきましょう。
    あまり事態を大事にすると、かえって解決を難しくする恐れがありますから。」

    カヤ:
    「そうですね。
    その点については同意します。
    ご安心ください、こう見えて市井に紛れるのは得意でして。
    万が一、ビンゴ大会でリゾートの利用権を当てた先客というのが顔見知りでも無い限り露呈しませんよ。」

    リン:
    「まさか。
    アビドスで貴方と遭遇しただけでも ちょっとした奇跡です。
    これ以上 偶然が重なることはないでしょう。」

    カヤ:
    「そうですね。
    まさかそんな偶然が起こることは無いでしょうね。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 152ホットドリンク大好き25/04/27(日) 00:56:03

    ホシノ:
    「・・・ヘプチッ!」

    シロコ:
    「・・・?
    どうしたの、ホシノ先輩。 風邪?」

    ホシノ:
    「う~ん、ちょっと悪寒が。 誰か噂でもしてるのかもしれないねぇ・・・。」

    ────────────────────

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