- 1◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 11:39:15
キヴォトスで転生したら何をする?なんて話を友人達と話していまして、ふと思いついたのが耕すということでした。
モブ生徒でも動物やロボットモブでもいいので畑を耕したんですよキヴォトスで。治安が悪かろうと奪われようと畑を耕したいんですよ。未開発の場所とか、荒廃したところとか、アビドス砂漠みたいな場所を開墾して畑や田んぼにして農作物を作りたい。欲を言えば採れた農作物を売ったり、労働力として雇ったヘルメット団とか傭兵とかと分かち合いたいんですよ。春夏秋冬、色んな農作物を作って日銭を稼いだり開墾したりして生きていきたいんです。ゆくゆくはキヴォトスで一番大きな大農園って言われるようになりたいという思いもあります。
その過程でネームドキャラに会えたら会えたで嬉しいし、野菜を買ってくれたのなら万々歳。手伝いに来てくれたりしたら最高ですね。畑仕事が似合う生徒私的第一位はサオリだと思います。次点でゲーム開発部か便利屋68のメンバー。温泉開発しようとしたらいつの間にか畑を耕すことになっていて宇宙猫になってるカスミなんかもいいですね。そんな妄想です。ご清聴ありがとうございました。 - 2◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 11:39:54
ご清聴ついでにダイス振って畑を耕すSS風味やりたいんですが構いませんね
- 3二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 11:40:53
構いません!!
ぜひぜひ - 4二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 11:41:44
いい夢じゃねえか、見せてくれよ。
- 5二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 11:41:48
じゃがいも
トマト
キャベツ
枝豆
小麦
を栽培して
野菜ピザを作ってください - 6二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 11:42:15
いいですね アビドス砂漠にはまずゴミを撒き散らしましょう
ゴミの力で砂漠を緑化、アフリカの農村が得る収入と和解京大研究者が挑む「争いのない社会」への取り組みjstories.media - 7二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 11:42:44
ジュリが家庭菜園作ってるからいける あとはきっちり畑を防衛する手筈を整えれば
- 8◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 11:49:55
ではまずルール設定を。
初期の農地はキヴォトスの中でも荒廃した一角。荒廃レベルは1d999で算出します。999が無理な場合は1d100で算出します。
算出された荒廃レベルをどうにかするための行動は以下の行為をダイスで決定し、1d100で成功か失敗かを算出します。1~5でクリティカル、6~50で成功、51~95で失敗、96~100でファンブルです。
選択肢
1機械を使う
2労働力を雇う
3手作業で頑張る
では、始めていきますが、ちょっとタイヤ交換あるので投稿遅れます。お付き合い願います。 - 9◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:08:20
荒廃レベル1d999=
- 10二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:08:58
このレスは削除されています
- 11◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:09:16
dice1d999=194 (194)
- 12◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:20:10
私は今日からキヴォトスで農家を始める。こつこつ貯めたお金で購入した土地は荒廃していて、少しだけ頭を抱えたくなったが、土地の購入の際に「結構荒れている」と説明されていたのだ。それでも始めると決めていたのだから覚悟はしている。
ここから私の夢である『キヴォトスで最も大きな大農園』への道が始まるのだと心を奮い立たせ、私は荒廃した土地を見渡した。藪が生い茂り、桑の木も生えているように見える。人の手が入らない土地はすぐに荒廃すると話には聞いていたが、これほどとは思ってもみなかった。
「まずは草刈りからかなぁ」
誰に聞かせるでもなく呟いた言葉は荒れた土地に吸い込まれていった。
選択
dice1d3=1 (1)
1機械を使う
2労働力を雇う
3手作業で頑張る
- 13◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:21:05
行動に対する成否
dice1d100=75 (75)
- 14二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:21:41
20%荒廃ってどのぐらい酷いんだろうな
軍隊の全滅判定は30%からというが土地の基準はさっぱし…
ああ農業機械通じずか… - 15◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:29:14
「うわぁっ…!?」
反動で逆方向に引っ張られ、体が思ってもいない動きをする。なるほど、これがキックバックというものなのかと冷静に考える自分がいて、少々おかしくなった。
さて、この土地を購入した時に購入した機械を使って草刈を行おうとしたが、機械が桑の木や見えていなかった大きな石にぶつかり、刃の部分が壊れてしまった。幸いなことに怪我はなかったが、この機械は刃の部分を修理するまで使えないだろう。機械の修理を試みようと思ったが、そもそも刃を作るなんてことはできないし、できたとしても規格に合わないのであれば事故のもとになってしまうだろうと判断し、断念する。
「手作業かぁ…」
これだけの土地を手作業で草刈りを行うなんて自殺行為だ。せめて人を雇いたいが…あいにくお金に余裕があるわけでもない。さて、どうしたものか…
選択
dice1d2=2 (2)
1労働力を雇う
2手作業で頑張る
成否
dice1d100=60 (60)
- 16二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:32:57
手作業でできる範囲からコツコツ拡げるしかないね…
原始的だけど取れた作物で幾らか稼げたら
馬とか牛買って酪農+トラクター代わりに鋤引っ張って貰って農地拡大しよう - 17◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:34:28
手作業で草刈を始めたのはいいが、全く進まない。農業機械も使わずに広い土地の草刈りを行うなんて、どうして考えてしまったのだろうと数十分前の自分を呪いたくなりながらも、どうにか草刈りを行う。しかし広すぎる。広い土地があった方がいいと考えていた自分を殴りたい。だが、私が始めると決めたのだ。根を上げるよりも草刈りを続けないと。
手作業での草刈りの成否
1d100= - 18◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:34:42
dice1d100=56 (56)
- 19二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:37:06
ち い か わ !
- 20二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:39:55
刈払機使うならチップソーよりナイロンコードの方が良いかもね
飛び散りやすいからちょっと汚いけど怪我の心配は減る - 21二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:41:15
初期目標を小さく取るとか技能講習をして成否ダイスにマイナス補正付けれる様にしよう
そろそろお友達選んでもいいのよ…? - 22◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 12:43:40
何時間も草刈りをしているのに、終わらない。終わりが見えない草刈りの時間が精神を削る。心が蝕まれていくような感覚に苛まれながらも、私は時間を見て昼時であることに気付いた。
朝早くから何時間も草刈りをしていたというのに、草刈りが終わっているのは三割にも満たない。開墾とは、これほどまでに難しいことだったのかと、弁当を食べながら思う。草刈りが終わったら石や桑の木の伐採も待っていることを考えると、気が遠くなる。だが、ここで折れるわけにはいかない。折れてしまったら私の夢は道半ばどころか踏み出せずに終わってしまう。
「…しかたない」
お金は無いが、人を雇おう。そうでもしないと終わらない気がする。というか絶対終わらない。
雇った人数
dice1d100=90 (90)
成否(補正値70までを成功とします)
dice1d100=29 (29)
- 23二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 12:55:19
ず、ずいぶん一気に呼んじゃったな
100人弱で開拓したが最後、その規模維持するのにずっと雇いっぱなしじゃないと面倒見切れなくならない?
食うに困ってる子とかなら生産物の現物支給とかでいけるか… - 24二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 16:50:56
砂漠で育てる作物は美味しいらしい
- 25◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 16:59:22
報酬を前払いで募集をかけたら、90人という規模で来てくれた。報酬についても前もって記載していたが、やはりご飯付きということに惹かれたのだろうか。…よく見ると、少し痩せている子が多いように見受けられる。お金は多く持っていないが、食料の備蓄はある。しばらくの間は給金と賄いで食いつないでもらわなければいけないだろうが…やはりこうして痩せている子供を見ていると、耕し食わせなければという思いが溢れてくる。
仕事内容を説明し、作業に取り掛かってもらうと、私の苦労は何だったんだという速度で草刈り作業が進んだ。何でも、募集に応じてくれた子の中には農業の心得がある子が何人かいたようで、草刈りが凄まじい速度で終わった。ただし、まだ桑の木や石を完全には撤去できていないので、明日はそれが目標となるだろう。そんなことを考えていると、来てくれた子の一人が呟いた。
「ここから家まで遠いな」
そう言われて気付いた。この土地はキヴォトスでも僻地と言っていい場所にある。ここで朝から夜まで農作業をするのなら、仮拠点くらいは必要だろう。これだけ広い土地なのだから、プレハブでも、掘っ立て小屋でもいいから何かないだろうか。
dice1d3=1 (1)
1廃虚を見つけた。雨風は凌げそうだ。
2妙に頑丈そうなコンテナが積まれている。中には何も無いようだ。
3簡易的な野営キットを発見した。無いよりはましだろう。
- 26二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 17:08:43
廃墟か 規模ダイスとか振ってみる?
小さいなら住宅級、中ぐらいでオフィス級、大きいなら廃校級とか
展開が変わってきそう - 27◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 17:11:17
- 28◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 17:18:35
土地の一角に廃虚があった。
もう誰も住んでいない、手放された土地だったからもうボロボロだが、鉄筋コンクリートで造られているようで、とても頑丈だ。ブルーシートなどを用いれば、雨風を凌ぐことはできるだろう。土地の開墾を進めている間に見つけた水場もある。不法投棄されたドラム缶などもあったので、火を熾せば風呂にも入ることができる。募集で来てくれた子達曰く、廃校した学校――――しかも、大規模な学校の一つだろうとのことだった。これだけの規模の学校が廃校するとは、かつてのキヴォトスというのは、魔境だったのかもしれない。
まだ肌寒い時期とはいえ、汗を掻いて体がベタベタする。護身用に持っている銃についているファイヤースターターで火を熾している間に、来てくれた子達は廃虚をできる限り住みやすいように改造し始めていた。強かだ。
そんな彼女達が普段何をしているのかと聞いてみれば、一人の少女が学校に行かずに日銭を稼いでいると言われた。他の子達も大体そういう感じだと言っていて、愕然とした。スケバンのような不良生徒や、ヘルメット団という子達がいることは知っていたが、これほどまでに多いのかと。
私が愕然としていると、廃虚を改造していた子の一人が生きている発電機や機械の修理キットがあると少し興奮しながら報告して来た。人が来なくなってから久しいと言うのに、機械が生きているとは思ってもみなかった。どれだけ頑丈なのだろう、この学校の発電機というのは。それだけの機械を持っているのに、どうして廃校してしまったのだろうという疑問が残るものの、あるものは使わせてもらおう。
発電機と修理キットを1つずつ手にいれた。 - 29二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 17:24:23
おお… これはいずれ農高を創立できるフラグ…?
学校建てて学籍ゲットみたいのってキヴォトスじゃどつやるんだろうね - 30◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 19:15:40
一日を通しての成果は草刈りが終わったことと、拠点を手に入れたことだった。この拠点を住みやすくするのだと息巻いている子もいる。今のところ、彼女達はこの場所でやりがいのようなものを感じているようにも見えた。やりがいだけでは人は生きていけない。前払いのお金を支払ってはいたが、農地の開墾が終わったら、追加で給料を支払わなければいけないだろう。
それにしても、この学校は何を学ぶための学校だったのだろうか。山の中にある学校なのだから森林などについて学ぶ学校だったのだろうか?それとも、人里離れた場所でなければいけない理由でもあったのか…疑問はあげていけばキリがないが、もう廃校になった場所なのだから考えていても仕方ない。
そんなことを考えつつも簡易的な夕餉を取り、ドラム缶で作ったドラム風呂で汗を流した頃にはもう、夜も更けてしまった。私は最後で構わないから先に使ってくれと伝えたのだから当然ではあるが…この拠点を改造している子達が言っていた様に、風呂などの水回りは早く直さないと。壊れてはいるが、人が暮らすための設備が残っているらしいので、農地の開墾を進めるのと並行して拠点の整備も行わなくては。
…ところで農業の知識を持っている子達はどうして切り倒した桑の木から葉を摘んでいたのだろうか?桑というのは、マルベリーという名前でジャムなどに加工して販売されているのは知っているが、ベリーということは果実を食べる者で、葉は使えるものではないと思うのだが… - 31二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 19:51:03
- 32◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 20:00:50
土地の開墾二日目。あれだけ藪が生い茂っていた場所には桑の木や大きな石以外のものはなく、労働力と知識というものは偉大であると感じた。私が感動していると、農業知識を持っている子達が私に言った。
「教えようか?」
何を、とは聞かなくても分かる。農業についての知識だろう。農業のノウハウを学べるのなら願ったりだ。二つ返事で応じた私に彼女らは小さく笑い、自分のやる作業を見ているように言った。言葉での説明もできなくはないが、見て、実際にやってみた方が覚えやすいのだそう。確かに、と頷いた私は彼女達が行う作業を見て、時折疑問に思ったことは質問して土地の開墾を進めた。
私が彼女達に学びを得ていると、他の少女達も後に続くように学びを得始めていた。これで農地の開墾効率が加速度的に上がるぞ。…それにしても、これだけの知識があるというのに、どうして彼女達は学校に通っていないのだろう。これだけの知識と、それを実践できる技術があるというのに。
(農業についての知識を得たことで、ダイスの成功確率が変動しました。1~5でクリティカル、6~70で成功、71~95で失敗、96~100でファンブルです。引き続きお付き合いください)
桑の木の及び大きな石の撤去の成否
dice1d100=83 (83)
- 33二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 20:10:49
重機が必要なサイズだったか…
- 34◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 20:18:59
桑の木の中に、強く根を張る桑の木があった。大きな石も中々撤去できないからと少し掘ってみれば、予想以上に大きな石だった。これなら確かに撤去するには時間がかかるし、撤去するための機械が必要となってくる。他の場所の桑の木や石は撤去できたようだが、私がいる区画の桑の木や石はまだ撤去できていない。スコップを使って掘り起こすことも考えたが、これだけ大きな石や強く根を張っている桑の木を撤去するには時間がかかる。…ふと思ったのだが、この木は本当に桑の木なのだろうか?桑の木にしては幹が太いような気がするし、葉の形が違うような気がする。桑の葉は三つに分かれていたが、この葉は百鬼夜行の方にある物語にあった天狗?の葉の様にも見える。
「あれ、これってイチジクじゃ…?」
「うん…なんか、イチジクっぽいよね、これ」
「病害虫に強いって話だけど…どんな生命力よ…野生化してるじゃない。カミキリムシによる食害も無さそう」
「イチジクって何?」
「あれでしょ、果物の…タルトとか生ハムに巻かれてるやつ」
「ああ、トリニティで凄い高いパフェに使われてたやつだ」
なんと、この木はイチジクの木である可能性が出てきたようだ。イチジク。図鑑を見てみると、桑の仲間のようで、生で食べることだけではなく、加工食品として様々なものに使われているようだった。もしかしたら、他にも自生しているものがあるかもしれない。 - 35二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 20:27:57
実がついたら熟す時に鳥に食べられないよう袋で包まないとね
これで夏の楽しみが出来た - 36◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:06:50
お昼ご飯を食べながら話し合いを行った結果、イチジクはこのまま残しておくことにした。野生化しているとはいえ、イチジクはイチジク。しかも、あそこまで荒廃していたこの土地でここまで根を張り、病気や虫による食害もないとなれば、病気や虫に強い個体へと進化を遂げている可能性があるためだ。果実が実るのであれば、この土地で初めて採れた作物として試食、美味しければ販売も可能かもしれない。夢のある話だ。雇った子達も楽しそうに話をしている。
…そういえば、廃虚を改造している最中の子達が何かの校章を見つけたと言っていたが、どこかの学校の傘下だった学校なのだろうか。持ってきてくれたが…ボロボロ過ぎてどこの学校なのかが分からない。ただ、特徴としてギリギリ分かるのは――――dice1d6=3 (3)
1 十字架、だろうか?
2 薔薇、だろうか?
3 太陽、だろうか?
4 数字の7、だろうか?
5 連なる棘のようなもの、だろうか?
6 雷、だろうか?
- 37二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 21:12:30
"夢の跡"だったか
- 38◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:25:57
太陽。そう、太陽だ。燦々と照り付けてくる太陽を象ったような、そんな校章に見える。ボロボロだが、太陽を象った校章に見えるそれは、ここがまだ廃校していなかった頃、生徒達が所属する学校を象徴するものだったに違いない。ということは、あのイチジクは…この学校の栄枯盛衰を見守ってきた木なのかもしれない。歴史を見守ってきた果樹、なんともロマンを感じさせてくれる。
私がこの土地に想いを馳せていると、スマホでイチジクのことを調べていた少女が疑問の声をあげた。
「ねぇ、なんでこんな環境でイチジクが育つの?」
そう言った彼女が見せてきたスマホの画面には、イチジクが好む気候が記載されている。日当たり良好で、浅く根を張り、高温多湿を好み、寒気、乾燥を嫌う――――あのイチジクの木と、この土地には似ても似つかない内容だ。あのイチジクは深く、強く根を張っていて、この土地は藪や桑の木が生い茂っていたが、この土地を少しでも離れたら砂漠が見えてくる。寒暖差が激しく、乾燥しているこの場所は、イチジクが育つような環境ではない。
「調べた方がいいのかな…」
「調べるなら、専門家も呼ばないといけないわ」
「自分達で一回調べない?」
「それより開拓が先じゃない?イチジクは実ってからでいいんじゃないかな」
そう呟いた誰かの声が嫌に響いた。調べるか、それとも農地の開墾を進めるか。私達の今後を決める選択になるかもしれない。私が選ぶべきは――――
dice1d3=2 (2)
1 専門家を呼ぶ
2 開墾を進めつつ、自分達で調べる
3 一旦保留にして、開墾を進める
- 39◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:41:07
『開墾を進めつつ、自分達で調べよう』
それが私の選択だった。理由として挙げられるとすれば、専門家を呼んだとして、専門家の調査はどれだけの時間がかかるのか分からないということや、最悪この土地を売り渡さなければいけない可能性があるからだ。少ない可能性ではあると思うが…いつか私が年老いて、動けなくなった時、この場にいる誰かに譲渡することはあったとしても、譲渡のタイミングはきっと今じゃない。
「じゃあ、その方向で」
「とりあえず開墾進めよー。石は一旦避ける方向で」
「重機欲しー…手作業じゃ限界あるって」
「水回りどうなった?」
「ぼちぼち。今日でトイレは使えるようにしたいな」
私が下した決定に反対する者は、意外にもいなかった。専門家を呼ぶという選択をしたらデモやクーデターをしていたかも、などと末恐ろしいことを言ってくる者もいた。自分達で調べ、何かを達成する…それが彼女達にとって大事な宝になるような気がする。募集をかけてやってきてくれたのが昨日で、まだ二日しか関わっていないが、彼女達は燻っていた火種のように感じた。もしくは、水を得るまで休眠していた植物の種。芽吹く時をずっと待っていたのだろう。そして、芽吹く瞬間はきっと今なのだ。…彼女達に報いるためにも、私は頑張らなければ。
奮起したことや、団結力が少し上昇したことで、今日の成果に補正が入ります。開墾の進行度は1d100=%で算出され、今回は+10の補正値が加えられます。
開墾の進行度
dice1d100=70 (70) %+10%
- 40◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:43:54
80%を超えたことで、イベントを発生させます。イベントは以下の通りです。
1 襲撃
2 異常気象
3 ネームド生徒の来訪
それでは、こちらのイベント発生のダイスを転がします。
dice1d3=1 (1)
- 41二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 21:45:41
近年大豆の根粒菌だけじゃなく、他の植物にも共生して根の延長のようになるマイコス菌根菌が一部話題になるけど
キヴォトスではきっと更なる進化で樹木の根も対応して、それこそ地下水まで何kmと伸びる菌か、吸い上げる根になったのかもしれない
トリコみたいな進化w - 42◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:47:38
襲撃が選択されたため、規模を算出します。今回は一度目の襲撃のため、襲撃者の人数や実力は1d50で算出します。50に近ければ近い程ミッションの難易度ハードくらい、1に近い程ノーマルくらいとします。
襲撃者の人数及び実力
dice1d50=7 (7)
- 43◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 21:52:34
銃声と野蛮な声が聞えた。驚いて振り向くと、いかにも荒くれ者です、と言わんばかりの風貌のロボットが七人いた。話を聞くに、この土地を自分達の縄張りにするため、私達に立ち退くように言っているようだ。そんなことするわけがないだろう、と私が言えば、彼らは武器を構えるが――――
dice1d3=1 (1)
1 後ろから来た少女達にタコ殴りにされた。
2 乱射していたのか、弾切れで唖然としている。
3 数の暴力に勝てるわけが無かった!
- 44二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 22:12:18
お、本校の生徒かな?
- 45◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 22:16:29
「うちらのシマを奪おうなんざ10年早ぇんだよ!」
「オラっ、オラっ!てめぇらスクラップにして重機にしてやんよ!」
「一生発電機にしてやろうか!?」
恐らく銃声を聞きつけたのだろう少女達が後方からロボット達を殴りつけ、タコ殴りにし始めた。こういうところを見ると、彼女らも不良生徒としてキヴォトスをたむろしている少女達の一人なんだな、と感じる。
ボコボコにされたロボット達は捨て台詞を吐いて逃げていったが、ああいう手合いは戻ってくるだろうとのことだった。開拓が思いの外進んだお蔭で、綺麗になったこの土地を狙う者は少なくないので気を付けろと彼女達に忠告されたため、防衛について考えなくてはいけないようだ。
「ま、すぐには来ないと思うよ」
「それよりも、これだけ開墾が進んだんだし、そろそろ耕して作物植えてみない?」
「夏野菜なんかいいかもね。収穫まで結構早いし」
そう提案してくる少女達に私は頷き、現在開墾が完了した区画で畑を耕し、作物を育てるという過程を行うことにした。これだけ早く終わるとは思っていなかったため、苗を購入してなかった。とりあえずいくつか苗や種の注文をしておき、畑を耕す作業を行おう。日が暮れる頃にはきっと少しくらいは耕せている…はずと信じたい。
成否(補正として、出た数値に-10します)
dice1d100=58 (58)
- 46◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 22:41:31
日が暮れる頃には、一つの区画が畑として稼働できるくらいにはなった。…とはいえ、その区画で稼働できる畑は半分と言った割合だが。大きな石はなかったものの、小さな石が大量に出てきたため、その石の撤去に時間を持っていかれてしまった。ただ、これで畑として機能するだろう。明日からは他の区画を開墾するのと同時に畑に肥料を与えたり、廃虚の改造やイチジクの研究など…忙しくなりそうだ。
二日目の夜。未だ開発中の廃虚にトイレが完成した。廃虚とは思えないほどに綺麗に作り直されたそれは、水洗式である。廃虚の改造を行っていた少女達はそういったことに長けているのだろう。廃水処理装置も発電機と同様に生きていたらしく、明日は水道や風呂場の整備に取り掛かるそうだ。
「そういえば、リーダーはなんでこの土地開墾してんの?」
リーダーというのは、私のことだろうか?
私が首をかしげると、干し草などを用いた布団が用意された部屋――――壁がくり抜かれているようで、全部屋を見ることができる――――に集まった少女達が他に誰がいるのだと言わんばかりの表情を浮かべていた。
「これだけの土地を買って、報酬は前払いで、ご飯も出してくれるくらいお金があるんでしょ?」
「金持ちの道楽って感じでもないし、気になるよね」
「年だってうちらより一個か二個上くらいでしょ?何でこんなことしてんの?」
言われてみれば、私がこの場所を開墾したい理由を話していなかった気がする。ここを開墾したい理由は――――dice1d5=5 (5)
1 ただ、耕したかったから。それだけだ。
2 夢を、見たんだ。大きな夢を見て、見続けて、実現したいって思ったからだ。
3 私の夢を笑ったやつを、見返したいんだ。
4 キヴォトスで一番の農園を作りたいから、だ。
5 自分の手で、何かを残したかったから、だろうか。
- 47二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 22:47:34
鉄腕キヴォトス村…
- 48◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 22:53:20
私が、私の手でキヴォトスに何かを残せたら。形として、何かを残せるのだとしたら、何て素晴らしいのだろう。そう思った。だから、お金を貯めて、土地を買って、開墾しようと思った。誰も傷付けない名声で、キヴォトスで一番大きな大農園――――私が、私達が作った作物でたくさんの人がお腹いっぱいになれる、という形が残ったのなら、素敵だと思ったから。
私の言葉に、少女達はよく分からないけど、と枕詞を付けて言う。
「ようは、でっかい畑作って、皆を驚かせたいってことだろ?」
「なら、あれだ!キヴォトスで一番大きい大農園だけじゃ足りないんじゃね!?」
「具体的には?」
「学校!学校作ろうぜ、私達で!大農園を経営する農学校!」
なんと。大農園だけでは飽き足らず、農学校まで作ろうと言い出した少女がいる。夢物語だと切って捨てるのは簡単だろう。だが、キヴォトスで一番大きな大農園、という夢を持っている私が言えた義理ではないし、素晴らしいことだと思う。
だって、学校ができたのなら、きっとその形が残り続ける。この土地に元々あった学校はもう廃校してしまったようだけれど、私達がその轍を踏まなければ、きっと、ずっと残り続けると思うから。
「なら、生徒会長はリーダーだな!」
「理事長じゃないんだ」
「じゃあ他の役員は?」
「んー…分からん!」
土地を買って開墾を進めた二日目。私の夢に学校を作るというものが追加された。 - 49◆Qihk7ENzE625/04/14(月) 22:55:03
今日はここまで。明日の投稿は恐らく14時以降になると思いますので、可能であれば保守などお願いします。それではここまでお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
- 50二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 05:29:49
このレスは削除されています
- 51二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 12:15:07
色んなとこから90人も集めたら各校のトップが(何企んでるんだ?)と調べ始めそう
そして皆一様に「畑?」となる - 52◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 15:27:38
三日目の朝。私達は耕した土に水を撒いていた。この土地は水はけがよく、乾燥している。こんな土地で藪や桑の木が生えていたのが不思議なくらいだ。
現在、私を含めた91人のメンバーはいくつかのグループを作って行動している。一つは私と同じように農耕地を作り、作物の調子を確認するグループ。一つはこの環境では育たないはずのイチジクの木を研究するグループ。一つは廃虚となっている学校の改造もとい、改築を行うグループだ。30人弱での作業となっているが、今のところ大きな進捗があるのは廃虚の改築グループだろう。今のところ、水を撒いている私達のグループと、イチジクの木の研究を行っているグループは大きな進捗というものはない。イチジクの木の研究も、作物を育てることも、開墾も、時間がかかる行為だ。
だが、ここでへこたれるわけにはいかない。私の夢を実現するためにも、手伝ってくれている彼女らに報いるためにも、私は折れてはいけないのだ。三日で折れるなんて情けない。三十年経って折れるならまだしも、たかが三日で折れるなんて笑いの種にもならない。
水を撒き、草を刈り、石をどかし、桑の木を切り落とす作業を繰り返す。そんな作業をしていると、ヘルメットをかぶっている少女の一人が呟く。
「なんでこんなに桑の木が生えてるんだろう」
彼女は桑の木がなぜこんなに生えているのかが気になったらしい。確かに、この区画の隣には藪に囲まれた状態ではあったが、桑の木が等間隔に生えており、栽培を目的としているようにも見えた。野生化しているとはいえ、ここまで等間隔の生えているとなれば、ここでは何らかの意図で桑の木を育てていたのだろう。この廃校した学校では、何を目的として桑の木を育てていたのだろうか…そもそも、桑の木だって、この炎天下に晒されているというのに枯れずに残っているのは不思議なものだ。これについても、調査する必要があるかもしれない。
未開墾のエリア(残り20%)の開墾%
dice1d20=14 (14)
- 53二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 15:29:35
残り6%か…
- 54◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 16:02:38
お昼ご飯を食べ終え、午後の作業を始めようとした私達は、イチジクの木の研究をしていたグループに声をかけられて足を止めた。彼女達が持ってきたのは、給湯ポット。何を入れてきたのだろうと思っていると、彼女達が湯呑に給湯ポットの中身を注ぎ、私達に配ってきた。煎茶のような香りがするが…少し違う気がする。これは、何だろうか。
「桑の葉茶だよ。ほら、昨日まで集めてた葉」
「この炎天下でずっと天日干しにしてたら、すぐに乾燥してお茶にできたよ」
「味は保証する。ここの桑の葉、普通の桑の葉茶よりも香りがいいと思う」
「多分、この環境がそうさせてるんだろうね」
初日から今日に至るまで桑の葉を集めていた理由はこれだったのかと思いつつ、湯呑に注がれた桑の葉茶を一口飲んでみる。…ふむ、爽やかな香ばしさを感じ、煎茶を飲んでいるような感じだ。ただ、やはり煎茶とは違う香りと味だ。人を選ぶ味…とまではいかないこれは、もしかしたら売れるかもしれない。商品化ができれば、の話ではあるが。
『桑の葉茶』を獲得しました。 - 55二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 20:10:49
お、早くも桑茶ができたか 優秀なヘルメッツだ
主産業にできるかな - 56◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 20:14:59
桑の葉が商品化できる可能性が浮上したため、等間隔に植えられたと思われる桑の木を残し、他の区画の開墾を進めたいところだ。…しかしながら、現在開墾できていない場所は大きな石が多く、重機を持ち合わせていない私達では撤去するのには何日もかかるだろう。
「アケミの姐様ならどうとでもなるんだろうけどなぁ…」
「えっ、あんたあの人の舎弟だったの?」
「元だけどな。今はただのスケバン」
「いや元でもただのスケバンは無理でしょ…」
アケミ…栗浜アケミか。ニュースやネットの記事で見たことがあるような気がする。
怪力無双と謳われ、ヴァルキューレの警察車両を12台、戦車2台大破させ、ヴァルキューレの生徒にも多くの怪我人が出たという事件を起こした伝説のスケバン――――尾鰭が付いていそうな話だが…事実であれば容易いのかもしれない。…生憎、私や、雇った少女達にそのような怪力の持ち主はいないため、石を撤去するのなら重機の確保が急務となる。
しかし、この募集に応じてくれた子は全員不良生徒やヘルメット団のようだが、色んな境遇の少女達ばかりだ。伝説のスケバンの元舎弟であったり、ブラックマーケットではちょっと名が知れている不良生徒だったり、規模が大きくなる前に団を抜けたヘルメット団の少女だったり、自分の肌に合わなかったからと退学した生徒だったり…個性豊かというには少々度が過ぎている集まりだ。だというのに、不和がないのは、やはり燻っていたものが燃え上がり、一つの炎となっているからなのだろうか。
「にしてもきゅうり楽しみだなー」
「あれやりたい!川に入れて冷やして齧るやつ!」
「あんたそれ絶対金曜のあれ見たからでしょ」
彼女達と共に取り寄せた種や苗が届いたので植えたが、夏が楽しみになってきた。もちろん失敗だってあるだろうが、人生はトライアンドエラー。失敗しても失敗を糧に成功を掴めばいいのだ。野菜が収穫出来たら夏野菜カレーなんかも作りたい――――そう考えていると、廃虚を改築しているグループが慌てて走ってきた。
「dice1d3=1 (1) 」
1 猪がいた!?
2 何かとんでもない壁みたいなのが迫ってるんだけど!?
3 凄いの見つけたよ!!
- 57二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 20:26:53
お、飼い慣らせばタダでブタ入手できるな
豚は人間の残飯で育てられるから最初の家畜にしやすいかも
まあだから肉質良くしようとすると人間側の食い扶持削るからアラブじゃ不浄扱いもされたんだけどな - 58◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 20:48:00
「「「猪ぃ?」」」
猪。人里離れた山なのだから当然いるのだろうが…そこまで慌てるような存在だろうか?
私が首をかしげていると、農業の知識を持つ少女達が嫌な記憶が蘇ったと言わんばかりの苦い顔で言う。
「あいつら、畑荒らすのよね」
「稲なんか臭いがついて売り物にもならなくなるわよ」
「しかも増えるし頭もいい。…野生動物は大体頭がいいけど、猪とか熊は特にだね」
畑に行けば食べ物があるのだから、そりゃあ荒らすだろう――――なんて、昔の私であれば呑気なことを言っていたに違いない。しかし、今は違う。ロボット達の襲撃よりも猪の発見の方が緊急事態だ。
…………しかし、だ。見つけ次第処理するという選択は簡単だが、そんなことを続けることは、キヴォトスで一番大きな大農園と農学校として正しいことなのだろうか。猪は豚の野生化したものだし、家畜にすることも可能だろう。畑を荒らされないようにしつつ、捕獲、研究、家畜化――――もしくはある程度育っている猪のみを狩るというのはどうだ。
私の提案に対し、反対――――というよりも、餌をどうするのかなどの疑問や失敗した時のリスクが大きいという意見がいくつか出た。今、始まったばかりの私達には家畜を手に入れるような余裕はないと。もっともな意見だ。しかし、うりぼう…子猪を確保して、今から長期的な食糧確保や畜産業などに動くことは、長い目で見ればメリットがあるという意見も出た。残飯や、刈って干しておいた草があるため、始まったばかりの今ならまだ育てる余裕があると。…………これはきっと、私達の道を決める選択の一つだ。私が選ぶべきは――――
dice1d2=2 (2)
1 今回見つけた猪は駆除しよう
2 長期的な食糧確保を行おう
- 59二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 20:55:48
連作障害避けに休ませる畑で牧草育て
牧草食わせた家畜の糞尿を肥料に変えてで
そして鋤とか引っ張るトラクター代わりになって
牛とか馬の家畜は農業とよくマッチするんだよね(ゲーム知識)
猪はどうなんだろう トリュフとか森で茸掘りするのに豚使うと聞くけど
キヴォトスオオイノジシなら代わりになるか - 60二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 21:36:45
それは猪というより馬や牛の領分なんだよなぁ
…でもキヴォトス特産のそれだけデカくて賢い猪が居るならそれもいけるか?
よし、それができるなら引っ張るプラウも用意しよう。いちいちクワで掘り返さなくても一気に耕せるぞ!
- 61二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 21:42:24
キヴォドスファンゴ… 飼えるかな?
- 62二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 21:47:30
- 63◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:13:02
長期的な食糧確保の計画として、今回発見した成体の猪を狩り、その子供は畜産業の先駆けとして飼育することにした。今回見つけた猪だけがこの山に生息している動物とは思えないので、今後はこの山の生態調査にも着手するべきかもしれない。
それはそれとして、今は見つけた猪を狩ることに注力しよう。報告が正しいのであれば、キヴォトスのような過酷な環境に適応した大きな猪だということだそうなので、油断はできない。…ただ、私は荒事は苦手だ。銃だって十発撃てば十発明後日の方向に飛んでいくくらいなのだ。だから、雇った少女達に任せて、私は土地の見回りや、探索に精を出すことにした。農耕地として開墾したとはいえ、未開の地は意外とあるのだ。桑の木の群生地、イチジクの木、廃虚の改築など、気になることはたくさんある。
「…本当に、等間隔に生えている」
まずは桑の木の群生地を調査しようと思い、桑の木が群生している区画に訪れた。素人の目でも、何か見つかるかもしれないと考えたためだ。
藪に覆われていた時には分からなかった桑の木の群生地。等間隔に植えられているように感じる桑の木は、青々とした葉を蓄えており、この過酷な環境であっても強く生きる植物の偉大さを感じさせる。この木もきっと、地下深くまで根を張っているのだろう。
「ん?…………蝶、か?」
不意に、私の横を黒い蝶が飛んでいった。…いや、蝶というよりも、蛾だ。蝶のようにヒラヒラと飛ぶのではなく、その虫は大きな蛾のように雄大さを感じさせる大きな羽で力強く飛んでいった。しかし、あんな姿の蛾なんていただろうか?あんな体で飛べるのか?パッと見ただけでも飛べるような姿ではなかったような気がする。
…昔、あれに似た虫を図鑑で見たような気がしたが、はて…なんという名前の虫だっただろうか。
「おや…?虫食いか?」
桑の木をよく見ると、虫食いの形跡がある。あの黒い蛾の幼虫が食べたのだろう。葉の裏に食い破られたような黒い繭があるため、あの蛾?の抜け殻がこの黒い繭なのだ。…それにしてもこの黒い繭、触れてみると、とても手触りがいいな…まるで絹を触っているかのような――――――――うん?そういえば、学校に通っていた頃には考えもしなかったが、絹というのは何を使って作られているのだろうか?ウールは羊、カシミヤは山羊、綿は綿花、リネンは亜麻…絹、シルクは何でできているのだろう? - 64二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 22:17:15
おお 幾らでも産業の種が転がってるな
- 65二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 22:27:22
皆で育てるけど、ビニールハウスのような温床場が無いから季節に合った野菜から始めようね
校舎の南窓がある教室に支柱を立てたトマトやキュウリのプランターを並べるとこから初めそう - 66◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:28:00
この繭はいくつか採取して農業知識を持っている子に聞いてみよう。この桑の木が何のために使われていたのか分かるかもしれない。もしかしたら、虫除けのためだったのかもしれないからな。
…さて、今のところ私が調べられるのはこのくらいだろうか?そろそろ日も落ちる。銃声も止んだし、恐らく猪の確保が終わったと思われる。一度改築中の廃虚に戻って、経過報告と行こう。
拠点に戻ると、昨日よりも拠点の外が賑わっていた。まるでお祭りのようだ。
「あ、リーダー!見てくれよ!」
そう言って見せてきたのは、解体されて、毛皮と肉と骨と内臓――――見事に処理された二頭の巨大な猪だった。大量の水を使って洗い流されているようで、臭みも感じない。91人で食べてもすぐには無くならない量の肉が手に入ったことで彼女達は喜色一色のようだ。
「あと、うりぼうは飼育ケージに入れてるよ。まさかあるとは思ってなかったけど…この学校、畜産もやってたみたい」
「だからこんな人里離れた場所にあったのかもね。ちょっと離れたところに牛糞とかを発酵させる施設もあったし」
なるほど。糞尿の臭いによる被害を抑えるために人里離れた場所にこの学校があったのか。考えてみれば納得だ。
「とりあえず干し肉と燻製とで分けるとして…まずは今日の分、食べてみようよ」
腐らせたりしてももったいないし、命に失礼だろうと思い、私が頷くと、少女達がワッ、と湧いた。久しぶりにがっつりと肉を食べられるのだから当然だろう。分厚くカットしても全員に行き渡るほど、この猪は大きい。一頭だけで二メートルはあるのではないか?猪とは、ここまで巨大化するものなのかと疑問は尽きないが、今はこの肉にありつけることに感謝しよう。
三日目の夜。いつも以上のご馳走だった。 - 67◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:28:59
そろそろ各学園の反応もダイスしたいのですが、構いませんね
- 68◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:34:47
反応は以下の通り。
1 警戒
2 疑問
3 静観
4 放置
5 調査
6 興味
連邦生徒会 dice1d6=2 (2)
ミレニアム dice1d6=4 (4)
ゲヘナ dice1d6=1 (1)
トリニティ dice1d6=6 (6)
百鬼夜行 dice1d6=3 (3)
ヴァルキューレ dice1d6=4 (4)
山海経 dice1d6=3 (3)
レッドウィンターdice1d6=1 (1)
- 69◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:35:45
…なんか調査しようとする学園いませんね。
- 70二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 22:38:21
どこも至極真っ当な反応だなぁ
トリニティはこれお茶っ葉受けましたかね - 71◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:49:05
四日目…と行きたいところですが、一旦落ちます。落ちる前にイベントダイスを転がしておきます。
dice1d3=2 (2)
1 襲撃
2 異常気象
3 ネームド生徒の来訪
- 72◆Qihk7ENzE625/04/15(火) 22:49:59
異常気象が選択されたので修羅場が確定したところで本日は以上となります。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
- 73二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 22:52:19
おつー やはり農業主体では人より自然のが主障害に相応しいか
- 74二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 23:16:12
まあ推定アビドス砂漠の近くだからね
そりゃ異常気象の1つや2つ発生してもおかしくない… - 75二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 06:25:50
地震、雷、火事、おじさん さてなにが来るものか
- 76二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 06:44:10
おじさんで草
- 77◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 11:12:39
四日目の朝。改築が進む廃虚の屋上で遠くに見える砂漠や市街地を眺めていると、ざり、と嫌な空気が私の肌を突き抜けた。強い風と共に小さな砂が頬を撫でる。この土地を購入した時におまけとして渡されたゴーグルを付けていたため、目に入ることはなかったが…砂漠の遥か彼方で、何かが動いているのが見えた。
はて、砂の中を動く動物で、あれだけ巨大なものはいただろうか。あれだけの大きさ…まさに鯨だ。絵本で読んだ記憶がある『砂鯨』というのは、実在したのか。私の知らないことが溢れている、というのは素晴らしいことだ。ロマンを感じる。
「リーダー!部屋に戻って!」
「砂嵐だ!砂嵐が来てる!」
遠くに見えるあの暗雲と壁のようなものは砂嵐だったようだ。
呼びに来てくれた元ヘルメット団の少女達が見せてくれたスマホに表示されているのは、小さな規模ではあるものの、砂嵐の襲来を通達するウェザーニュースだった。今日一日で過ぎ去るようだが、屋外での活動はできないだろう。外で作業しようものなら砂で体を傷付けてしまうかもしれない。
「結構木が多いから砂嵐の被害を抑えることはできるでしょうけど…」
「最悪、畑が砂に包まれることは覚悟した方がいいかもしれない」
「苦労して耕したのに…」
「くっそ、砂嵐め…」
「とりあえず廃虚の穴は昨日で塞いでるから砂が入ってくることはないだろうけど、明日は砂掃除からかなぁ」
四日目の朝。私達は大自然の脅威を知ることになった。
砂嵐の被害%(初期の発生なので最大値は50、数値に-10の補正です)
dice1d50=20 (20)
- 78◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 11:40:35
砂嵐が来ていても、私達はやれることをやるだけである。外から聞こえる大きな風の音を聞きながら、私達は改築が進む拠点の探索及び修繕を進める。
それにしても大きな学校だ。生きていた発電機や、修理キットのこともあるし、探せば他にも何か見つかるかもしれない。この黒い繭について記載がある資料も見つかるかもしれないと期待を胸に、私は廃虚となってしまった校舎の中を歩く。何度も言うが、これだけの規模の学校が廃校になるなんて、何があったのだろうか。この規模の学校なのだから栄えていただろうに。
「あ、リーダー。何してんの?」
廃校した原因は何だったのかと考えながら廊下を歩いていると、教室だった部屋の内装工事を行っている少女達に遭遇する。穴の開いた壁や窓などを木材や不法投棄されていた廃材を駆使して応急処置を施していた彼女達は、大規模なDIYを行っているようだった。捨てられていた丸太の腐った部分を剥がし、その中にある芯の部分を使って何かを作っているようだが…
「ああ、これ気になる?」
「腐ったところは肥料とかに使うから袋に詰めてるんだ」
「で、腐ってない芯の部分だけ家具に使うんだ」
彼女達曰く、木というのは、新しい細胞が外側に作られるため、中心部分の成長が止まるのだという。成長が止まり、死んだ細胞が硬く変質することで『芯材』となる部分が生まれるのだそうだ。芯材は樹脂を多く含むため頑丈で腐りにくい…のだが、加工が難しく、塗装も樹脂と反応して剥がれる可能性もあるらしい。木材にも色々あるようだ。
「いつまでも干し草ベッドってのはあれだし、彩りがないじゃん?」
「放置されてた丸太、結構あったからこれから色々作る予定だよ」
彼女達のお蔭で文化的な暮らしができそうだ。風呂を作ったり、トイレを作ったりと、彼女達の技術力は素晴らしい。 - 79二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 11:58:43
すげぇ頼りなるなヘルメッツ しかし砂嵐なぁ 雪と違って融けないしなぁ
時間かけて防風林でっかく育てるぐらいしか対策思いつかんな… - 80◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 12:41:07
四日目の昼。
今回襲来した小規模の砂嵐だったようで、今は風の音も止んでいる。外を覗いてみれば、被害は少ないものの、砂がいたるところにこびりついており、うりぼうの餌として干し草にしようと雑草などを干していた場所にも砂がかかっており、砂を落としても餌には使えないだろう。飼料を買う必要が出てきたかもしれない。
…そういえば、この場所にある水源はどこからやってきているのだろうか。人がいなかったというのに、全く汚れておらず、整備も必要なかった井戸や小川…砂漠のどこかに大きな水源があるのだろうか?オアシスか、それとも地底湖か…はたまた水を際限なく生産するオーパーツでもあるのか…興味は尽きない。だが、私が今一番関心を向けているのはこの土地で大農園と学校を作ることだ。夢を叶えるまで、他のことに目移りしている暇はない。
「…ふむ」
砂嵐が過ぎ去った昼下がり、私は資料室で見つけた本を開いていた。本、と言っても日記のようなものだが。
〇月〇日晴れ
今日も今日とてマルベリーの収穫。白いもの、黒いもの、赤いもの、結構たくさん種類がある。しかも先輩方が品種改良をしたことで成虫となって出てきた後の繭も使える――――むしろ破って出てきてくれないといけないらしい――――蚕を育てるためにも桑の木が使われる。黒い蚕というのは初めて見た時驚いたけれど、この絹で作った服を着た時の感動が忘れられない。私が今着ている制服のように素晴らしいものを作ることができることに、誇りを持っている。
それにしてもマルベリーのジャムって結構美味しいのね。スコーンにもよく合うとトリニティの生徒が多く購入していく。本校の生徒達もたまにここで作ったものを買いに来てくれる。同じ学校なんだからサービス価格にすると言っても定価で買っていく――――同じ仲間なんだから遠慮しなくていいのに。
…あの蛾は蚕だったようだ。 - 81二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 14:22:31
先人も農業やってそして夢潰えていたか まだデカい環境要因か何かありそうだな
- 82二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 16:12:23
日記は大事
始めたての農業はどこがどうつながるかわからないから取り敢えずログ残しておくに越したことはないってじっちゃんの友達が言ってた - 83◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 16:22:11
劣化しているせいでこれ以降はほぼ最後のページしか読めない。
〇月〇日曇り
砂嵐が多くなってきた気がする。桑の木やイチジクの木など特定の植物は問題なく成長している。凄まじい生命力だ。けれど、砂嵐対策のために予算が割かれ、動物の飼育にも限界が来ている。
本校の生徒達も砂嵐をどうにかしようと躍起になっているけれど、防砂林がない現状、本校が砂に飲み込まれるのは時間の問題だろう。小規模な砂嵐が続くなら分かるけど、ここまで大きな砂嵐が連続するなんて…今までこの学校で収穫出来ていた作物もやられてしまった。今まで取引してくれていた学園や企業も私達の学校から作物を購入してくれなくなっている……質が悪くなったと言っていたけれど、品質はずっと最上級を維持しているはずなのに。
〇月〇日
今日でこの学校が廃校することになった。動物達がこの土地から出ないようにしつつ、野生に返すように動くらしい。そんなことをして生態系が崩れてしまったら元も子もないというのに。
この日記をもう見ることはないだろうけど、私とは違う誰か…私とは違うあなたがこの日記を読んで、何かを感じたのなら、お願い。もう一度、私達に夢を見せてほしい。私達の夢は、続いていくんだって、信じさせてほしい。無責任なOGの戯言だと笑うかもしれないけれど…夢をもう一度。
…どうやら私の持っている夢は、この学校が栄えていた頃の生徒の夢とも合致しているようだった。夢の続き…それは、私の夢が叶った時、ようやく始まるようなものだろう。
土地を購入し、開墾を進めて九割弱を開墾して四日。私は今いる90人分の火と、かつてここにいた生徒の願いを背負うことになったようだ。 - 84◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 17:20:28
砂嵐の被害は砂のみに留まっていたようで、干し草以外は掃除をすれば問題なく畑の運営が行えるとのことだった。暑さに強い品種であると謳われていた夏野菜の苗も無事なようだった。また買い直しとなったら肩を落としてしまうところだった。91人で作業をしているから当然ではあるが、一日で凄まじい進捗だ。
「あ、そういえばリーダー、桑の葉茶、お試しで売ってみないかって話が出てるんだけど、どうする?」
「香りも味も市販のものよりいいって話らしいよ」
「うちらはお茶の違いなんか分からなかったけどね」
ふむ…パッケージのこともあるが、一度売ってお金に変えるという動きはしておいた方がいいかもしれない。私の貯金もまだ余裕があるものの、無限ではない。しかし販路はどうするべきだろうか。私にその伝手があるわけではない。どこかの学園でも、個人にでもいいので売ることができればいいのだが…
「お茶といえばトリニティだよな」
「百鬼夜行でも煎茶とか飲んでるし、需要ありそうじゃね?」
「ミレニアムとかどうよ?健康にいいとか謳えば買う連中多そうじゃね?」
「いや、効能とか聞かれたら答えられないでしょ…」
「そもそもの話、販売許可下りるの?」
「「「うーん…」」」
売り物にしようにも、私達には実績がない。言い方は悪いが、無名の私と、不良生徒の集まりだ。そんな私達から物を買いたいと言うような酔狂な者がこのキヴォトスにいるだろうか。…いないだろうな。探せばいるかもしれないが…
「リーダーが通ってた学校で買いそうな人っていない?」
「…いない、とは言い切れないが、分からない。私はあまり目立たない生徒だったからな」
面倒事に巻き込まれたくなかったから目立たないようにしていた、というのが正しい表現かもしれないが。 - 85◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 17:23:45
ここでリーダーの通っていた学園をダイスで選出します。アビドスはこの廃虚にあった校章なので対象外とします。
dice1d7=2 (2)
1 ミレニアム
2 ゲヘナ
3 トリニティ
4 百鬼夜行
5 ヴァルキューレ
6 山海経
7 レッドウィンター
- 86◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 17:24:15
やべぇとこ引きましたね。楽しくなってまいりました。
- 87◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 18:04:24
私の母校、ゲヘナ学園。あそこで桑の葉茶を買ってくれるような人物はいただろうか?…入学当初から雷霆の如く駆け抜けて卒業していった子がいたが、彼女は私のことなど見向きもしなかっただろう。彼女であれば面白がって購入したかもしれないが…いやどうだ?購入するか?そもそも卒業後はキヴォトスの外に出たようだし、詮無き事か。…ふむ、かなり過激なやんちゃをしていたものの、同級生のよしみ程度はある。元気にしているといいのだが。――――彼女、寿命以外で死ぬことないのでは?いや、寿命でも死ななそうだな。
まぁ、あの子のことはいい。他に購入を検討してくれそうなのは…風紀委員会のメンバー…いや、あまり興味を持たないだろうし、万魔殿の彼女達も桑の葉茶を飲んでいるイメージが湧かない。ヘビメタ好きな彼女なら話を聞いてくれるだろうか?
…日記に残っていたマルベリージャムを購入していたという生徒は確かトリニティの生徒だったが、その伝手が…いや、この日記は遠い昔のものだ。もう使える販路ではないだろう。そもそも、トリニティとゲヘナの溝は深い…………だが、エデン条約の締結が成された今なら、元ゲヘナの人間であっても話くらいは聞いてくれるだろうか?
「とりあえず売りに出してみない?試飲もできるってことで」
「味を知って買ってくれるかもしれないし、ありかもね」
私が少し考え事をしていると、彼女達の方が先に考えがまとまったらしい。長々と考え事をするのは私の悪い癖だ。お茶を試飲してもらい、気に入ってもらってから購入してもらう――――ありかもしれない。
「どれくらい作れたんだ?」
「大体30パック」
「なら一度10パックを試しに売ってみよう。限定という言葉に人は弱い」
(((ちょっと分かる…)))
ゲヘナで売れた数
dice1d10=8 (8)
- 88◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 18:20:41
「お、おお…暴力以外でお金を稼ぐってのは、こういうものなのか…」
「やばい、ちょっと手が震えてる…」
「まさか8パックも売れるとは思わなかった」
夜にゲヘナ学園の自治区、その一角で桑の葉茶の試飲販売を行ったら、案外売れてしまった。やはり1パックdice1d500=138 (138) 円というのが琴線に触れたのだろうか。パック(袋)の中に30回分の茶葉が入っていてこの価格はお得なのやもしれない。
スケバンをやっていた子や、元ヘルメット団の子達が売り上げが入っている封筒をまるで宝物のように握っている。自分達が汗水流して作ったものが売れた、という体験は、彼女達の心に強く染み込んだようだった。
- 89◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 20:56:54
四日目の夜。かつてこの学校に通っていた生徒の様に日記を付けることにした。農業日誌というやつだ。農業知識を持っている子達から聞いた話によれば、この日誌を付けておくことによって、連作障害の阻止や地質管理などができるのだという。
それと、頼まれていた堆肥をゲヘナで買ってきた。もみ殻と混ぜ合わせて発酵させ、土壌を改善させるのだという。今の土も悪くはないそうだが…この先もっとたくさんの作物を育てるつもりなのだ。最初の方で土壌をもっと良いものにすることが大事だと、私は考えている。これについても農業日誌に付けておく。この先、この農業日誌が何冊も生まれることを期待しつつ、今回の収入を貯金箱の中に入れる。この1104円が、私達の始まりの収益だ。素晴らしい。素晴らしい成果じゃないか。
「リーダー、ちょっといい?」
昼夜問わずイチジクの木と桑の木の調査をしていた一人が声をかけてきた。何か進捗があったのだろうか?
「イチジクの木はまだあれなんだけど、桑の木の群生地。やっぱりあれ、蚕を育てるための餌としても使われてたみたい」
「黒い蚕――――あれ、飛べるのか?」
「野生で生きる術を失った虫のはず…なんだけどね。ここの蚕はこの土地限定ではあるけど、野生に帰化したみたい」
「ふむ…」
「で、繁殖力も野生化したことで強くなってるかもしれない。ここはまだ調査が必要だけど、この調査が進めば代表的な産業になるかも」
「人員を増やした方がいいか?」
「ううん…まだそこまで。これ以上雇ってもパンクすると思う」
…それもそうだ。食料に余裕がある今が、現状、私が、私達がやりやすい人数なのだろう。91人で大農園を作り、学校を作ってやろうじゃないか。
廃虚の改築率(ティア1的なものなので25%が最大となります)
dice1d25=5 (5) %
- 90◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 20:59:10
5%(窓、壁の修繕)としましょう。あと流石に補正かけます。+10で。
- 91◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 21:16:05
五日目。私達は夢を見ているのかと思うような光景に遭遇した。
「…バカな」
イチジクの木に、実が成っているのだ。まだ青いが、丸い、イチジクの実が成っている。
早過ぎる…いや、そもそも花も咲いていなかったはずだ。果物というのは、受粉もせず、実るものなのか?そもそも、昨日まで小さい実すら育っていなかったはずだ。ただ青々とした葉が生い茂る立派なイチジクの木としか見ていなかったが、このイチジクの木、間違いなく何かがおかしい。
「成長速度が速すぎる…!」
「この品種がおかしいだけの可能性はあるけど、本格的に調べないとヤバいかもね」
「これだけ早く育つならたくさん採れそうだよな」
「それが問題なのよ」
「なんで?」
「仮に成長が早くて実をつける品種だったとして、このイチジクがどこからそんな栄養を手に入れてるのって話」
「この土地の栄養?」
「下手をすると他の植物が成長する分の栄養も吸い上げる可能性があるってことか…ヤバくね?」
五日目の朝。この土地の植物達の異常性に触れた。 - 92◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 21:17:31
五日目の朝、この土地の異常さが見えてきたところで本日はここまででございます。予定では七日目に到達したら時間を少し飛ばすつもりですので、よろしくお願いします。
- 93◆Qihk7ENzE625/04/16(水) 21:31:28
恐らく午後からの投稿となります。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
- 94二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 06:03:48
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- 95二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 07:37:33
ゲヘナの我が道を行く気っ風が良い方に出た子だったか主人公ちゃん
色々起きまくってて初期作物に豆科植えようとか言ってられなくなってきたか?
ええとまとめると
できそうな産業が果樹、茶葉、養豚、養蚕
厄ネタが砂漠化、砂嵐、大猪や黒蚕や急成長無花果とかの変異生物
か? - 96◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 15:42:36
五日目の朝。私達はこの土地の植物達の異常性を目の当たりにした。調査を進める必要があるが、まずは今できることを続けていくのが肝要だ。あのイチジクの成長速度が我々が手を加える前からそうであるのならば、他の植物もそうなのではないか?そう仮定すると、この土地は凄まじい栄養を蓄えているか、植物達が莫大な栄養を蓄える術を持っているということになる。
私達が植えた苗や種が、この土地に適応できるのであれば…………今考えていても仕方がないことだ。私は学者でもなければ研究者でもない。ただ目立たずに過ごし、お金を貯めて土地を買ったゲヘナの卒業生というだけだ。このまま学校を作れたのなら生徒会長ではなく、理事長や校長というポジションに納まりそうだ。
「それにしても蚕かぁ…絹って虫が作ってたんだな」
「植物だと思ってたけど違ったんだね」
「服とかも作れるといいなー。私お洒落とかしてみたい」
「ここの記録を見るに、黒い蚕の作る繭は高級品だったようだ。質のいい服が作れるだろうな。反物が作れたのなら、高値で取引できるはずだ」
「やる気出てきたわ」
「あんた裁縫の成績いっつもトップだったよね」
ほう、素晴らしい才能を持っている人材がまだまだ眠っているようだ。これは養蚕のための準備も進めていきたいところだ。確か旧型の機織り機――――人力タイプのものが骨董屋で売っていたはずだ。今は自動化の時代だからなのか、それともその機織り機がどこにでもあるものだからなのか、手ごろな価格で販売されていたと記憶している。準備が整ったら何台か購入することも視野に入れるべきだろう。 - 97二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 18:05:28
このレスは削除されています
- 98◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 19:45:04
「リーダー、とりあえずなんだけどさ、最初にやることは二つ…多くて三つにしとくのがいいと思う」
「まぁ、何でもかんでもやるとパンクするのがオチだからね」
「だから、今のところ大きな加工が必要なさそうなものを売って資金を貯めるべきじゃないかな」
なるほど、もっともな意見だ。あれもこれもとやって全て中途半端になるのはこの土地を買った人間としても、雇った彼女達にも失礼な行為となってしまう。今は畑の作物に集中し、マルベリーやイチジクなどを収穫して加工、またはそのまま売り出して資金を集めるべきだ。
私は彼女達の意見に賛同し、当初の目的であった畑を耕し、作物を育てることを当面の業務に指定する。集まったメンバー全員がそれに従い、種や苗を植えた畑の水やりを開始した。拠点の南側にもプランターで育てている蔓性植物の代表格へちまも育てているが、あの植物の種を購入した時に聞いた話によると、食べられるらしい。たわしのイメージが強かったが、そうか、品種によっては食べられるのか…食いでがありそうな野菜で何よりである。
さて、そんなことを考えながら水やりをしていると、桑の木の群生地から飛んできたと思われる黒蚕が力強く羽ばたいているのが見えた。こんな炎天下の中、あんな黒い虫が焼けないのは何か秘密があるのだろうか?
「そういえばこの土地、バッタいないよな」
「バッタ?」
「そう、バッタ。あいつら何でも食べるじゃん」
「キヴォトスのどこかにバッタ塚ってやつがあるらしいわよ」
「バッタ塚…なんか授業で聞いた気がする」
かつて、キヴォトスでバッタが大量発生したことがあったという。原因は当時の台風によって草原が増えたことだという。バッタはどんどん増えていき、その際、いがみ合っていた学園ですら手を取り合って蝗害を食い止めたそうだ。卵や蛹が孵化、羽化する前に焼いたり、埋めたりと手を尽くしたが…その結果は芳しくなく、最終的には大量の雨による水没、バッタに寄生する菌による全滅で終息したという。当時の被害、バッタの供養、団結の象徴としてバッタ塚なるものが作られたそうだが、今は忘れられて久しい。 - 99◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 20:30:38
今のところバッタは観測されていないし、大きな被害に怯える必要はないだろう。相変わらずの炎天下に少しだけ辟易しながらも水を撒き続け、区画ごとに見回りを行い、お昼ご飯を食べる。保存食として作った猪の燻製や干し肉も意外と悪くない。
「リーダー、うりぼうのことなんだけど」
「何か問題が?」
「今のところ問題なし。ただ、何か大きくなるのがちょっと早いかなーって思うくらい?」
「…ふむ」
この土地に生息している生き物は皆そういうもの、と考えるのがいいのか、異常であると考えるのがいいのか…やはり生態調査は行った方がいいかもしれない。今私達が食べている猪も二メートルを超えた個体だった。この土地の生息する生き物は巨大化するか、成長速度が異常になるのか…分からないが、調査隊を作るべきだろう。調査にも時間がかかるため、今は畑に集中していきたい。イチジクの調査も改築もまだ途中なのだ。全てやるのはまだ難しい。ゲヘナ学園の風紀委員会や万魔殿、温泉開発部のような大量の人員がいるわけでもないし、いたとしてもパンクしている。…早く作物を収穫し、分かち合うことができればいいのだが。 - 100◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 20:34:14
そろそろイベント発生させて七日目行きます。五日目の夜と六日目は進展がなかったということで。
dice1d3=1 (1)
1 襲撃
2 異常気象
3 ネームド生徒の来訪
- 101二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 20:34:32
それはバッタも巨大なやつが発生するフラグ…
わりと世界の危機級シナリオへの道が舗装され始めているような - 102◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 20:43:55
楽しくなってきましたね
- 103◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 20:47:14
襲撃の規模
dice1d50=6 (6)
- 104二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:00:47
面白いスレに出合えた、これからが楽しみ
- 105二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:01:31
まだまだ各校からもそんなに注目されてないしで襲ってくるのも非組織的なザコばかりかな
実際問題91人のフルスペックってどのぐらいかな? 襲撃で幾つ出たらヤバい? - 106◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 21:09:12
ではここに最初に襲撃して来た連中を含めて13人として襲撃イベントを開始します。
七日目の朝。屋上で双眼鏡を使って周囲を見渡していた私の目に、あの時襲撃して来たチンピラたちの姿が写った。数は増えているが、それでも13人。性懲りもなくまたやってきたらしい。荒事が得意ではない私を除いたとしても90人いるというのに、それに気付いていないと見た。しかも油断しているのか騒ぎながらやってくる。襲撃を行いたいなら奇襲するために隠密行動を徹底するべきだろうに。
「リーダー、何かいた?」
「ああ。前に来たお客様だ。前と同じようにボコボコにされたいらしい」
「性懲りもなく来たのね…マジで重機の足しにしてやろうかしら」
「あの程度の連中で手を汚す必要は無いだろう。だがまぁ…dice1d5=2 (2) 」
1 さっさとお帰りいただこうじゃないか
2 ここから撃ち降ろしてやろうじゃないか
3 痛い目を見てもらおうじゃないか
4 畑を荒らす可能性があるなら叩き潰してしまおうか
5 一方的に叩き潰してやろう
「リーダー、やっぱりゲヘナだよね」
「む…」
まぁ、卒業生とはいえゲヘナ学園の人間だったのだ。荒事は苦手だが、こういう発言は普通にする。
襲撃者への対応
dice1d3=2 (2)
1 屋上から狙撃できるメンバーが撃ち降ろした!
2 数の暴力でタコ殴りだ!
3 朝の見回りに行っていたメンバーがアンブッシュ!
- 107◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 21:33:25
牽制目的で屋上から20人で銃弾を交互にお見舞いしつつ、出撃した残り70人がやってきた襲撃者たちをタコ殴りにし始める。やはり数の暴力とは人類の英知だ。
「性懲りもなく来やがって!」
「スクラップにされたいらしいな!」
「銃弾なんか勿体ねぇ!バットで十分だよ!」
「しかも13人って舐めてんのか!?」
屋上でその様子を眺めている私にも声が聞こえてくるほどの声量で、彼女達は襲撃者をタコ殴りにしている。襲撃者は手も足も出ないようだ。やはり数の暴力。圧倒的な個にはどうにもならないこともあるが、群はそれより大きな群に飲み込まれるのが世の常というものである。
…もちろん例外はあるが。圧倒的な個であっても、群に負けることも無きにしも非ず。雷霆の如きあの子も群に負けた。中心となっていたのは確か…空崎と羽沼、だったか。接点がほとんどなかったとはいえ、彼女らはゲヘナ学園の生徒。接点が少ないとはいえ、ゲヘナ学園の生徒であるのなら可愛い後輩であることは変わりない。混沌と自由を掲げながら元気にしているといいのだが。私は面倒事を楽しめる質ではなかったが、面倒事すら楽しめるのがゲヘナ学園の生徒である。
「………………久しくエクレアを食べていないな」
「エクレアかぁ…私はシュークリーム派」
「なるほど。シュークリームもいい。だが…私はエクレアが好きなんだ。白と黒の、雷雲を思わせるような、チョコレート&生クリーム&カスタードマシマシの頭の悪そうなエクレアが」
「何そのこだわり」
「ゲヘナの一角にそういうエクレアを売っているスイーツ店がある。…あそこならイチジクやマルベリーの販路になるかもしれないな」
昔のことを思い出していると、襲撃者たちが捨て台詞を吐きながら逃げていった。…また来るのだろうな、ああいう手合いは。 - 108◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 21:39:41
明日ちょっと早いので今日はここまでにします。明日の投稿は時間を二週間後くらいに飛ばしたいと思います。それでは本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
- 109◆Qihk7ENzE625/04/17(木) 22:38:09
投稿はやはり午後になるかと思います。よろしくお願いします。
- 110二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 22:39:00
ヒナが後輩圏内ということは雷帝の活躍時期によっては独裁時代の可能性もあるのか
- 111二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:28:26
わりと雷帝ちゃんと友好的な感じの先輩だったんだね
…っていや大丈夫か!? 雷帝まで話広がるの!? - 112◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 09:28:40
見向きもされていなかったとは思います。目立たないようにしてたので、この子。雷帝がこの子見てたとしても「何かいるな」程度かと
- 113二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 14:51:17
輪作計画立てたいな
- 114◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 15:17:50
あっという間に二週間の時が経った。畑を耕して水を撒き、獣が出れば狩り…週に一度現れる襲撃者に対してもある程度の対処ができるようになっている。今のところ裏社会の中で名が売れているような連中がやってくることはないし、作戦を立てずとも撃退が可能だ。
「リーダー!マルベリー、めっちゃ採れたよ!」
「収穫時期が早くないか?」
「イチジクもそうだけど、マルベリーも成長が早いみたい」
「そうか…それで、食べたか?」
「まだ。皆リーダー待ってるよ」
先に食べていればいいものを、と思いつつ、私を呼びに来たヘルメットの少女に連れられて、まだまだ改築が進む拠点の中、三番目に完成した食堂の席につく。集まった91人、全員の前に置かれている紙皿には、熟しきったイチジクと、赤、黒、白…色とりどりのマルベリーが盛られている。苦労して手に入れたもの…と言うには少し語弊があるかもしれないが、この土地で初めて収穫した作物だ。91人全員に行き渡るほど収穫できるとは思ってもいなかったが…素晴らしい結果ではないか。
「では、食べようじゃないか」
「二週間…長かったような、短かったような…」
「匂い凄いね…こんなに甘い香りするんだ」
「イチジクの果肉、滅茶苦茶赤いね」
「トリニティのお店で見たやつより美味しそう…」
私達は汗水流して収穫したマルベリーとイチジクを手に取り、一つずつ口に放り込んでみる。これだけの熟し具合、味にも期待できるだろう。そう思ったのだが――――
「「「んんんんんんん……??」」」
味のクオリティdice1d50=9 (9)
- 115◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 15:20:30
不味いわけではないが、大味だ。渋いとか、苦いとかはない。だが、大味で、しかも薄味である。
「…これ、成長が早過ぎるから?」
「多分剪定とか摘果とかしてないからだと思う…」
「調査のためにも手を付けてなかったけどやっぱり摘果必要だったかぁ…」
農業とは奥が深い。この土地に来てから二週間目――――日数にすれば14日目。私達は新たな学びを得た。 - 116二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 15:24:51
つくづくダイスには見放されてるなー
補正を高めて目指せ固定値による運ゲー回避 - 117◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 15:26:34
- 118二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 15:57:49
- 119二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 16:27:47
濃厚な農耕生活
- 120二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 16:48:39
確実に前には進んでる、でもトントン拍子には進まないってのがいい塩梅で面白い。
- 121二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 17:32:10
ダイス神「だって人類が何千年も向き合ってきた問題が現代知識があるからってそんなトントン拍子に進んだら面白くないじゃん!」
- 122◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 22:25:29
15日目。拠点で私達は今後の動きについて話し合いを行った。
農業日誌も毎日つけていたが、作物の成長が通常よりも早いことや、作物の管理…他には井戸の扱いや、現在拠点に保管してある備蓄など、様々な課題や疑問が浮上し続けている。
「まずイチジクだけど、コンポートにすれば商品化できるわね」
「マルベリーもジャムにすれば味に問題はなかったよ」
「なるほど。うりぼうの生育状況はどうだ?」
「今のところ健康そのもので大きくなってる。問題があるとすれば、偏食気味なとこかな」
「グルメなのか?」
「ううん…どんぐり粉を混ぜた餌はよく食べるけど、他の干し草みたいな飼料は食べないわね」
単なる食わず嫌いだと思う、と呟いた彼女達の報告を農業日誌に記録しつつ、次は拠点改築組に目を向ける。
「拠点改築組、進捗は?」
「まぁ、村の中央集会所レベルってとこかな。100%中の25%くらい?」
「今のところ襲撃してくる連中を拠点に踏み込ませてないから問題ないけど、バリケードなんかは用意しておきたいかな」
「建物はすぐに何度も直せるけどさ、畑は違うでしょ?畑とか、果樹を守るためのバリケードは欲しい」
とりあえず用意したという有刺鉄線は、不法投棄されていた鉄くずなどを使って作ったものだそうだ。有刺鉄線は案外馬鹿にできない性能をしている。襲撃者の足を止めさせる、進行ルートを固定化させるなど、用途は様々だ。野生動物の侵入を防ぐこともできるし、私達には必須級の防衛アイテムであると言えるだろう。 - 123◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 22:28:53
…さて、そういえばゲヘナ、最初のダイスで警戒引いてましたね。なんで警戒してるんですかね?楽しくなってまいりましたね。
- 124二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 22:37:24
楽観的に考えると、ゲヘ生徒ナなんて100人近い単位でマトモにまとまる事早々ないだろうから規模的にも
あとゲヘナ生が絡んでてゲヘナに干渉してくる可能性もあるとなれば並程度のちょっと気にしとくか位の警戒はされるよね
それ以上に危険かもと思われてるとしたら何か人か土地かに事情がある感じかな - 125◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 22:49:05
「とりあえず会議は終了にして…コンポートとジャムを売りに行こうじゃないか」
「あとお茶ね。固定のお客さんが生まれてるらしいから」
あのお茶に興味を持つだけでなく、定期的に購入する者がいるようだ。
…そういえば、拠点改築班が作ってくれた手押し車(自転車付き)でゲヘナの一角で物を売っていると、たまにギョッとされることがあるが、私が雷霆の如きあの子と同じ時期の卒業生だったからとかなら、笑い話だ。面倒事には巻き込まれたくないから目立たないように優等生でいたというのに。…だからか?だからなのか?ゲヘナで優等生だからギョッとされていたのか?優等生で何が悪いのだ…
まぁ、それはいい。私がギョッとされていようが物が売れるのであれば問題ない。私のことはどうでもいいのだ。作物が売れて、彼女達の収入になれば問題ない。合法的な収入を得た時の彼女達は本当に輝いているのだ。
「あ、今日は私達だけで売りに行ってくるよ」
「うん?」
「ほら、リーダーが物売ってると、たまにゲヘナの三年生っぽい人たちがギョッとしてるじゃん?怖がってる感じの人もいたし」
「なんか、お客さんもそれ感じ取っちゃうみたいだからさ」
「………………そうか」
そうか…私は怖がられているのか…………………………………………そうか。
新しい知見を得た。…少し、悲しい。 - 126◆Qihk7ENzE625/04/18(金) 23:03:13
投稿頻度が少なくて申し訳ないのですが、今回はここまでにします。明日も午後からやります。細々とやっていきますのでお付き合いください。
それではここまでお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。 - 127二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 00:29:11
承知しました。
ゆっくりお休みください。 - 128◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 09:22:48
では、昨日お伝えした通り、午後からの投稿となります。よろしくお願いします。
- 129二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 10:46:22
このレスは削除されています
- 130◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 15:31:42
申し訳ないのですが、投稿は夜になりそうです。ですので、夜の投稿の予定を。
1つ目はイベント発生。dice1d3=2 (2)
1 襲撃
2 異常気象
3 ネームド生徒の来訪
2つ目はそのイベントを超えての報酬とコンポートとジャム、お茶の売れ具合の確認。この二つをやっていきたいと考えていますのでよろしくお願いします。
- 131二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 15:37:00
このレスは削除されています
- 132二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:31:11
貧しくとも健やかな日々が続きますように
- 133二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 22:15:10
早く美味しい野菜ができることを祈ってます。
- 134二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 22:16:27
……なんか前にやけに強い元農家の先生を見た気が……。
- 135◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:05:22
屋上で遠くに広がる砂漠を眺めていると、ふと雷鳴が響いた。はて、雷鳴…雷に私は縁があるが、この土地で雷鳴が轟くなど中々ない話ではなかろうか。しかし、久しぶりに天然物の雷鳴を聞いたな。銃声や爆発音などの人工的な雷鳴よりも天然物の雷鳴の方が心地良い。硝煙の臭いもしないしな。
「リーダー、何してんの?」
「雷鳴を聞いていた。久しぶりに聞いたから聞き入ってしまった」
「………………リーダー、ヤバいかも」
「む?」
「雨が来る。それも大豪雨レベルの」
「ほう。それはいいことではないのか?」
「不味いってもんじゃなく不味いわ。集中豪雨は土地をまっさらにする可能性がある」
「つまり?」
「耕した畑も、種も苗も薙ぎ倒されるかもしれないってこと」
不味いを通り越しているのではないだろうか、それ。
「対策は?」
「防風ネットね。ほら、前に防砂用に用意したでしょ?現状、あれが限界よ」
「そうか…物を売りに行っているメンバーはゲヘナで一度寝泊まりしてもらうのがいいか?」
「リーダー、雷鳴はいつ聞えたの?」
「む?今も聞こえているだろう?砂漠の向こう側から」
「…リーダーの耳どんだけ良いの…?私には聞えないわよ」
ヘルメットを被っている彼女曰く、私は耳がいいらしい。思えば、面倒事に巻き込まれないように視力よりも聴力を鍛えた記憶がある。いつしか地獄耳になっていた私の耳は、彼女には聞えないほど遠くで鳴り響いている雷鳴を捉えていたようだった。
「雲の動きからして…直撃は明日かしらね…あとでラジオも確認しましょう」
「まさか銅線でラジオが作れるとは思ってもみなかったな」 - 136二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:14:37
砂漠近くで地面緩そうだもんねぇ 水ひたひたになったら根っこ抜けそう
元から生えてる木々類はいいとして新規作物……
水路掘ったりポンプ置いたりで掻き出し…今じゃ間に合わないか 課題だなぁ - 137◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:35:04
15日目、夜。
銅線で作ったラジオの前に集まった私達は、アビドス砂漠、ゲヘナ学園自治区を含む多くの地域で外出を控える必要があるほどの大豪雨がやってくるとの情報を得た。コンポート、ジャム、お茶を売りに行っていたメンバーも拠点に帰ってきており、今回の収益dice3d999=434 14 640 (1088) 円を貯金箱に入れつつ緊張した面持ちでいる。
「つまり…防風ネットしか準備できてない現状、この土地の水はけの良さに賭けるしかない、と?」
「うん。現状、排水ポンプなんかはないし、あったとしてもこの拠点の電力供給が間に合わない可能性がある」
「蓄電器が足りねぇ…!」
「機材がもっとあれば停電に怯えることがない拠点が作れるんだけどね…」
「あ、小川の近くにも一応防波堤は作ってるけど、あんま期待しないでね」
「そうか…」
やることはもうやりきってしまっており、私達はもう祈るほかないようだった。…この土地に根付いている植物はともかくとして、私達が植えたものは…ゼロになってしまうかもしれない。それがとても怖い。
「リーダー、顔凄いことになってるよ」
「む…?」
「顔、怖いことになってるよ」
「流石dice1d3=1 (1) って呼ばれてただけあるなって」
1 無常の才女
2 ゲヘナの避雷針
3 冷徹な地獄耳
「なんだねそのあだ名は」
「ゲヘナに売りに行ったら、何か凄い服装の人が言ってたよ」
「凄い服…?」
「横乳が露出してる服。カウベルも付いてた気がする」
「…………………………ああ、天雨か。元気そうだったか?」
「うん。お茶買っていったよ」
「そうか。元気にしていたか」
後輩が元気にしているなら、良いことだ。何だかんだ言っても後輩というのは、目に入れても痛くないものだ。
- 138◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:36:18
収益ダイス10dでやり直します。
dice10d999=262 634 426 718 866 810 153 597 812 80 (5358)
- 139◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:42:49
さぁ、運命のダイスのお時間です。作物の被害を転がしましょう。そう、ルール通り1d100で。賽の神よお慈悲をくださいませ。
補正値として-10行います。頼むぞ賽の神。某小鬼スレイヤーみたく私は骰子を転がさせないとかできないから頼みますよ骰子の神。
dice1d100=40 (40)
- 140◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:43:24
許されました
- 141二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:49:57
3割…… 我が軍 全 滅 !!
まあ7割作物生きてればここでは御の字か
電力問題もあるかー 砂嵐多いとこじゃ風車とかも壊れちゃうだろうしなぁ
C国がゴビ砂漠にソーラーパネルいっぱい立てたのも何か問題起きてたような? うーん - 142◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:51:48
許されたところで私は明日リアルで草刈りがあるので終わらせていただきます。本日もお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
ちなみに明日は17日目からです。災害を二つ攻略したことで災害時の心得を獲得、異常気象発生時の被害に補正値が入ります。イベントはどうしようかな…………………やりましょう。襲撃か、災害か。農業開拓団の明日はどっちだ。
dice1d3=3 (3)
1 襲撃
2 異常気象
3 ネームド生徒の来訪
- 143◆Qihk7ENzE625/04/19(土) 23:52:07
…おっと。
- 144二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:59:18
おお 起承転結の転が来るか
- 145二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 00:18:41
- 146二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 06:50:15
農作物の成長には窒素が必要なんだけど、雷によって空気中の窒素が植物の吸収しやすい形になるのね。
昔の人はそれを見て、雷が稲に落ちると子(実)が増える、稲の相方だってことで稲妻っていう説がある。
- 147二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 13:09:05
誰が来るんだろうか
- 148二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 15:12:04
農家は大変だなぁ
- 149二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 17:05:01
このレスは削除されています
- 150◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 17:06:17
落雷を伴う大豪雨の翌日。17日目の朝、私達は水はけが異常に良い土地の周囲の見回りを行った。被害は…3割といったところか。防風ネットが破れてしまった区画の被害は目を背けたいほどだったが、それ以外の被害はゼロに等しい。まぁ、種や苗はまた植えればいい。誰にも怪我などがなくてよかった。
「リーダー、そういえば電話来てたよ」
「電話?この土地、電話線あったのか?」
「拠点改築で切れてたのを修理したんだ。これでスマホの電波とかを強化できるよ」
「そうか。…それで、誰からだ?」
「えーと…ゲヘナ学園の三年生だったかな?名前は…dice1d9=5 (5) だったかな。リーダー、やっぱりゲヘナ学園で人気者みたいだね」
1 空崎ヒナ
2 天雨アコ
3 羽沼マコト
4 京極サツキ
5 鬼方カヨコ
6 黒舘ハルナ
7 鰐渕アカリ
8 氷室セナ
9 下倉メグ
「私は普通の優等生をやっていただけだぞ」
「ゲヘナで優等生がおかしいんだと思う」
「あと、目立たない人間だったぞ、私は」
「目立たない人が無常の才女なんて呼ばれないでしょ」
誰だそんなあだ名を私に付けたのは。私はただのゲヘナ学園卒業生だぞ。大農園と学校を作りたいと考えているだけのただの卒業生。耳がいいだけのゲヘナ学園卒業生というだけで…全く。どうせ可愛い後輩の誰かがつけたあだ名だろうし、大目に見てやるとしよう。
- 151二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 17:13:47
やはり無常の方なのか無情ではなく
人物の形容としてはなかなか捉え難く付けられにくそうな…どんなキャラだったんだ
そしてカヨコかぁ またなんとも定型が無さそうな - 152◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 17:37:00
それにしても鬼方か…私の記憶が正しければ、『可愛らしい女の子』よりも『綺麗な女性』というイメージが先行する少女だったと思う。話したことはあまりなかったと思うが、ヘビメタが好きというのは聞いていたような気がする。ブラック・デス・ポイズン…だったか?私の肌には合わなかったが、趣味は人それぞれである。
「それで、鬼方は何か言っていたか?」
「ああ、うん。ちょっと遊びに行くからとかなんとか」
「ふむ…?電話は繋がったままか?」
「ううん。それだけ伝えて切られちゃった」
「そうか。なら、茶でも用意して待っていようじゃないか。ところで私のあだ名の無常、あれの意味をちゃんと理解していると思うか?」
「そもそもどういう意味?」
「万物は流転し続ける、という意味だ。祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり…なんて歌が百鬼夜行の古文にあるとおり、変わらぬものなど一つもない、という意味だな」
人間のあだ名として使うのなら、『無常』よりも『無情』があっていると思うが。…どちらも人間のあだ名に使うかと言われると微妙だが、後者の方がまだマシ…マシか?どうだろうな… - 153二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 17:45:32
超然と悟ってる雰囲気からか 何か儚い気配だったか
あるいは文字通り合う度にキャラ変わってね? という意味で呼ばれたものか - 154二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 18:12:32
- 155二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 19:44:38
行く先々でアドバイスした結果、何かしらの大きな変化のきっかけになったケースが多かったからとかかもしれない
- 156◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 20:36:56
「…本当に、畑を耕してるんだね」
「む?…………ああ、鬼方か。久しぶりだな。卒業式以来か?」
私達が畑を耕していると、透き通るような声が耳に届き、振り向けば白い――――わりと怖がられていることが多いという私の後輩――――後輩?後輩か?…まぁ、後輩か。とにかく、鬼方カヨコが大きな鞄を持って畑の前に立っていた。
「久しぶり。これ、お土産。スポーツドリンクだけど」
「おお、それはありがたい。皆、鬼方――――客人が手土産を持ってきてくれたぞ」
「「「あざーす」」」
「…統率が取れてるね」
「燻っていたものに火が付いた。共通の道を見つけた。やる気や統率とは、目的目標あってこそだ」
結局人は何かの目的が、目標がないと生きていけないのだ。雷霆の如き彼女だって、何か私達には見えない何かが見えていて、それに至るための過程を突き進んでいただけだったりするのだろう。やり方がやり方だったために革命を起こされてしまったわけだが。
「さて、鬼方。せっかく遊びに来たんだから茶でも飲んでいけ。コンポート食べるか?最近取れたものだ」
「お茶…ああ、桑の葉の…」
「ああ。土産として持っていくといい。今の鬼方の仲間に宣伝してくれ」
「…変わったね」
「何を当たり前のことを。変わるだろう。私は人間だぞ?」
「他の三年生も驚くと思うよ」
「…………………そうか」
やはり怖がられているらしい。
三年生に定着しているイメージ(1に近い程『優等生』、『変わり者』。100に近い程『恐怖』、『謎』、『得体の知れない何か』、『つかみどころがない』などのイメージ。補正として+20が行われます)
dice1d100=60 (60)
カヨコに定着していたイメージ
dice1d100=8 (8)
- 157◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 20:37:18
なんてこった。
- 158◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 20:38:22
まぁ、知らないものは怖い、ということで続けていきましょう。頑張れ農業開拓団
- 159二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 20:56:52
むっ 昔はカヨコと仲良く、カヨコほか親しい間柄からは印象良いけど他からはかなり警戒されてた感じか
変わったというのはこの場合良い方に変わったと思われたのかどうなのか
さて用事はあるのかないのか - 160◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 22:18:42
鬼方を拠点の食堂に案内し、桑の葉茶を出して向かい合う。…ふむ、風の噂で便利屋とやらに所属していると聞いていたが、血色が悪くない。むしろ生気があって、健康的だ。精神的にも、身体的にも。いい表情をするようになった。
「それで?わざわざ私に会いに来たということは…何かあったのか?」
「特には無いよ。ただ、土地を買って畑を耕してるって聞いて気になっただけ」
「む?鬼方には私の夢を話したことがあったと思ったが」
「あの時はただの妄想かと思ってたんだよ。物作りより作ったものを奪う方が早いって思考の生徒が多いゲヘナ生の発言だよ?」
「ふむ…まぁ、中々やんちゃな生徒が多いからな、ゲヘナは」
「あれをやんちゃで済ませるのはあなたくらいだと思うよ」
わりといるのではないか?ほら、赤い髪の彼女…………そう、下倉なんかはそういう思考に至りそうだと思う。羽沼は…まぁ、わりかし常識人だからな。混沌と自由を掲げているわりには冷静になって冷や汗をかくような少女だった。空崎は真面目過ぎる。後進教育とかやれているのだろうか?私はそういった後輩がいるような人間ではなかったし、彼女の気持ちが分からないが…何とかやれているのだと思いたい。
「今作業している子達は…ブラックマーケットに住み着いてた子達だよね」
「ああ。雇った。一年契約、前払いだ」
「持ち逃げされるとは思わなかったの?」
「持ち逃げされたのなら、私はその程度の人間だったと言うだけだ。面接もしたぞ?そこまでやって金を持ち逃げされたのなら、私はその程度だった…ただそれだけだろう」
「はぁ…危機感があるのかないのか…いや、そもそもお金に執着がないのか。そこは昔から変わってないね」
「結局、金銭は手段や分かりやすい誠意だ。無駄に執着して何になる」
もちろん、この土地の管理を手伝ってくれている少女達のために稼がないといけないのは分かっている。来年も彼女達に一年契約でお金を支払えるように、頑張らなくては。ゆくゆくは月一の給金制度にしたいものだ。
「元気にしてるのが分かったし、そろそろ帰るよ」
「うん?もう帰るのか?猪カレー食べていかないのか?」
「社長――――今所属してるところの子達がラーメン食べに行くって言ってたから」
「そうか。なら、また遊びに来るといい。今度は、その子達を連れて」
…………そうか。鬼方、お前は今、幸せなんだな。善いことだ。 - 161◆Qihk7ENzE625/04/20(日) 23:21:15
眠いので今回はここまで。明日は農業まっしぐらで行きます。頑張っていきましょう農業開拓団。2スレ目になったら色々と補正かけてバンバン進んでいくようにしますのでお付き合い願います。
それでは、ここまでのお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。 - 162二次元好きの匿名さん25/04/20(日) 23:38:02
続き楽しみにしてるで
- 163二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 00:27:42
是非続きを頼みます
農耕スローライフはいくらあっても良いとされる - 164二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 08:23:56
待機
- 165◆Qihk7ENzE625/04/21(月) 10:40:13
18日目の朝。誰よりも早く起きた私は、日課である農業日誌を片手に広い土地を見て回っていた。
管理していて気付いたのだが、この土地の異常性は動植物の巨大化や成長速度の他にも存在している。土地を開墾する際に私達を散々苦しめた藪や雑草。あれらが全く生えてこなくなっているのだ。まるで『それが正常な状態である』と認識したかのように、雑草が全く生えてこない。根を全て抜いたから、という可能性もあったが、雑草の根を舐めてはいけない。雑草と呼ばれ、名前が分からない植物達の生命力は並の植物よりも優れているのだ。
「…土地が人の気配を感じ取り、目覚めたのか?」
自らの呟きに、苦笑が零れた。そんなファンタジーのようなことがあるとは思えない。…あの赤い空も中々ファンタジーをしていたが、異常現象なんて起こらない方がいい。
…だが、仮に私の呟きが正解だったのなら、この土地は文字通り生きているということになるのだが…いや、そもそも星を生物と仮定するのなら、キヴォトスの土地は全て生きているということになる。当たり前のことだ。深く考えても意味の無いものだろう。
「私の声がこの土地に聞えているのかは知らんが…まぁ、世話になるぞ」 - 166二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 13:07:39
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- 167◆Qihk7ENzE625/04/21(月) 17:51:29
朝の見回りを終えて、畑の管理や拠点改築を行う。…毎日同じことをしているはずなのに、飽きるということがないのは、この土地が退屈とはかけ離れた場所にあるからなのか、それともキヴォトスの当たり前が通用しないからなのだろうか。
まず、動物が十人で囲ってようやく狩れる猪や、警戒心が尋常ではないキジや野生化した鶏たち。ちなみに鶏は蹴りをかましてくる。なんだあの鶏。まぁ、それはいい。その他にも、急激な成長を起こす植物の数々と、生えてくる気配の無い雑草など…調べることは数多く存在しており、のんびりしている暇がないことが、私に充実感を与えているのかもしれない。
「リーダー、日誌どうなってる?」
「ああ、もう半分まで来ている。そろそろ新しいものを買わなければな」
「あー…もうちょっと分厚いのが欲しいかもね」
農業のことだけではなく、改築、探索、狩り、襲撃防衛、異常気象の記録などもまとめて行っているためか、農業日誌はもう半分しか書けるページがないのだ。
申し訳ないのですが、ちょっと体調が優れないので本日はここまでにします。明日こそ、明日こそは農業バリバリやっていきますのでお付き合いください。
それでは短いですが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。 - 168二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 18:03:08
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- 169二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 20:27:11
更新お疲れ様です。
時間軸は最終章後かな? - 170二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:10:03
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- 171二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:02:12
雑草は綺麗に草刈りしても、数日たてばニョキニョキ生えてくるよね
厄介極まりない - 172二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 00:05:07
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- 173二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 00:41:24
いいスレを見つけた。期待してます
- 174二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 07:08:53
このレスは削除されています
- 175二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 12:55:17
追いついたー先がめっちゃ気になる良いスレ
- 176◆Qihk7ENzE625/04/22(火) 16:01:11
「お?」
「うん?」
「え?」
「紫色の花が咲いてる…じゃがいもの花ってこんな色なんだ?」
この土地で育てた植物の成長速度が恐ろしく早いのは知っていたが、まさかじゃがいもが先に生えてくるとは思ってもいなかった。
…それにしても、じゃがいもの花というのは、ここまで鮮明な紫色なのか。かつてこの花を使った冠を王族に贈った者がいると聞いていたが、ここまで鮮やかな紫色の花は確かに贈り物としても使えそうだ。ナスの花もこれと似たようなものが咲くのだろうか?
「連作障害対策でナス科の植物とは植えてないけど…病気とか、虫には注意しないとね」
「多いのはモザイク病だったか?」
「他にも色々あるよ。乾腐病、炭疽病…そうか病。虫で言えばジャガイモセンチュウ、アブラムシ、ニジュウヤホシテントウとかね」
「…案外、多いものだな」
「うん。だから農薬とか殺虫剤が大事になってくるの。前に作ったでしょ?」
「…あれか」
牛乳、とうがらし、にんにく、ニラ、よもぎ、酢などを煮詰めて濾した、あの農薬。農薬を買うのを忘れたため、私が買ってきた野菜や調味料などで作られたものだが、虫除けにも使えるし、病気を防ぐこともできる…らしい。だが、やはりちゃんとした農薬は用意すべきではあるため、買わなくてはいけないものリストに入っている。
「開墾した直後に植えたから…大体一週間か。ジャガイモがこうなら、他の野菜も凄いことになってそうだね」
「ああ。へちまも凄まじい速度で伸びている。天然のカーテンが完成しそうな勢いだ」
「この土地、変だけど面白いや。知識が通用する時もあれば通用しない時もある」
開拓とは、こういう問題を解決していきながら発展していくことを示すのだろう。頑張らなくては。 - 177二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 18:23:08
ヘルメットの子、本当に農業に詳しいな さらっと実はこの学校で以前農業してた生徒さんが何も言わずに混じってたりして
- 178二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 19:43:47
なんか聞いたことあるなと思ったら無農薬農薬か、ダッシュの
- 179◆Qihk7ENzE625/04/22(火) 20:57:59
「ところでリーダー」
「うん?」
「ずっと気になってたんだけど…リーダーのその銃…その…何?」
「ああ、これか?護身用の銃だ」
私の銃は少々――――少々か?まぁ、とにかく少々独特なデザインをしている。バレルが二つ縦に併設されており、引き金を引くと弾丸が二発、絶妙なタイミングで吐き出されるのだ。一発目は徹甲弾、二発目はライフル弾が飛び出る。その際の反動は…まぁ、考えたくも無いが。ハンドガンではなく、こいつはハンドキャノンの類ではないのだろうか。
ちなみに私は雷の刻印が刻まれているこいつを使いこなせた試しがない。反動が大きすぎて弾丸が明後日の方向に飛んでいくのだ。何なんだこいつは。…そういえば、これはあの子から貰ったものだったな。クラスがいつも同じだったわりには話をしたことはなく、話したのはあの時だけだが…あの子は何を思ってこの銃を私にくれたのだろう。今となっては詮無き事ではあるが――――まぁ、いつかあの子がキヴォトスに帰ってきたら聞けばいいだろう。帰ってくるかどうかは別として。
「私の妙なデザインの銃の話はいいだろう。それはそれとして、野生化した鶏は飼育可能なのか?」
「卵から育てたら行けると思う…けど、巣が見つからないんだよね」
「ふむ…うりぼうはどうだ?」
「もう元気も元気。リーダーも見てるでしょ?」
「ああ。しかし、あれだな。あれが豚になるとは考えられん」
「まぁ、大昔の人達が飼いならした結果があれだもん。仕方ないよ」
柵を破壊するのではないかと思う程元気なうりぼう達。あれが何年経てば家畜の豚となるのだろうか。そう思いつつ、昼ご飯を食べる。…猪の肉も、そろそろ無くなる――――いや、まだあるな。燻製、気付いたら増えている気がする。鹿肉とか、猪とか、キジとか、鶏とか。…ゲヘナ学園に掛け合って売れるか確認してもらおうか?給食部という部活がある。あそこなら買ってくれるやもしれん。 - 180◆Qihk7ENzE625/04/22(火) 21:53:37
18日目の夜。
急成長する植物を管理するだけで一日が持っていかれてしまうほど忙しくなってきたためか、拠点がまだ改築が終わっていないはずなのに全員が入れるくらいの改造が施された大浴場で、少女達がだみ声を出して天井を眺めていることが多くなってきた。かく言う私もそこそこ疲れて天井を見上げている。
「…」
「……」
「………」
「…………何?」
「いや、あれだな。私はお前達よりスタイルが少々貧相だなと思ってな」
大浴場で湯に浸かっている少女達を見ていると、私の体が貧相なものに見えてしまう。まぁ、コンプレックスとか、そういうものはないのだが、出るところが出ている少女達を見ると、どうしてもそう感じることがある。ゲヘナにある銭湯でたまに見かけた凄いスタイルの少女…眼鏡をかけないとよく見えないと呟いていたが、本当に凄かったな。最近の子は発育がいいらしい。…空崎はまぁ…この先どうなるのか分からん。
「もう機能美って感じだもん、リーダー。細くて心配になるけど」
「その細い体でよく畑仕事やれてるよね」
「正直筋肉痛が激しいがな」
寝る前に行うストレッチで緩和しているが、それでも筋肉痛が凄まじい。ストレッチを止めたら確実に悪化するだろう。
「休みなよ。シフト組んで休日作ってるじゃん、リーダー」
「皆が働いている間、雇い主が休むなどあってはならんだろう」
「リーダーが倒れたら誰が看病するのさ」
「む…」
「そうなる前に休みなよ。休むことだって仕事だよ」
そうか、そういう視点も持たなければならないのか。今後気を付けていかなければならないことが増えたようだ。 - 181二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 22:34:33
土仕事の後はやっぱ風呂だよな
- 182二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 23:36:09
わかるマン
- 183二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 06:17:32
- 184二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 10:32:34
キヴォトス人でもなんだそれ…ってなるやつ!
- 185二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 15:31:44
- 186二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 15:57:58
- 187◆Qihk7ENzE625/04/23(水) 16:01:50
DMCのネロってキャラが持ってるブルーローズっていう銃をイメージしてました。…ところでその銃何です?それ、そもそも銃ですか?
- 188二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 16:09:34
- 189◆Qihk7ENzE625/04/23(水) 16:34:26
19日目の朝。
休めと言われて休んでいる間、改築が進み続ける拠点で発見された資料を眺めていると、面白い記述があった。『砂漠を泳ぐ巨大な影』…連邦生徒会がたまに通達している総力戦?なるもので戦うらしいビナーが、この影の正体なのだという。砂嵐が起こる際に現れたり現れなかったりするらしいが、あれは倒せるものなのか?前に見た砂鯨、あれは恐らくビナーだったのだろう。
「ビナー…こちらにやってこないのであれば触らぬ神に祟りなしだ」
神も仏も信じちゃいないが、厄災を自ら引っ張ってくることもないだろう。向こうから来たのなら何が何でも払い除けるつもりではあるが。
…おや、ビナーの記録の他にも何かあるな…………氷海溶岩踏破工作船…?どんな技術を結集すれば溶岩と氷海を踏破するような船が生まれるというのやら。しかし、氷海や溶岩地帯といった極限環境にある資源を確保することができたのなら、資源が少ない環境であっても発展ができるかもしれない。ゲヘナの火山地帯での活動は厳しいが、この記録にあるような船があればあるいは… - 190二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 16:43:17
耐熱砕氷船? 砕氷はともかく溶岩をどう耐えるのか……内部で合成した液体窒素撒き撒きとかだと
転用したら脅威過ぎて例の人の遺産案件としてぶっ壊されそう - 191◆Qihk7ENzE625/04/23(水) 19:56:53
ここにあった学校は農業を主にしていた学園のはずだが…工学を専攻している学科でもあったのだろうか?いや、だったらミレニアムに行けばいいだろう。あそこの方が設備も整っているし、予算もある。横領が行われたという噂があったが、それでも赤字になっていないのだから、ミレニアムで学んだ方がいいだろう。この校舎でやる必要があったのか、それとも、また別の理由があったのか。
もういない生徒や情報のことを考えても詮無き事か。他の資料に何か面白いものはないだろうかと、私は資料に手をつける。…………イチジク、桑の木――――この辺りはもう読み終えている資料だ。蚕についてはまだ調べることが多いが…雑草が生えてこない理由や、この土地の生物が巨大化する現象は何故起こるのか記述はないだろうか。
「…」
「……」
「………」
「…………ん?」
『植物の寿命、生命力を強化するミネラルについて』…?そんな摩訶不思議なミネラルが存在するのだろうか?なんとも非科学的――――いや、ミネラルは科学か?科学なのか?まぁ、いい。読んでみよう。
記録
ーーーーオアシス、付近で採集した石を解析。石から微弱な力場の放出を確認。
石を砕き、粉にしてプランターへ。成長速度が前年より10%早い。
さらに詳しく解析したところ、石から力場の他にミネラル検出。成長速度の原因はこのミネラルの可能性が高い。研究を続ける。
オアシスの付近で出土した壺の中に入っていた種を植えた馬鹿がいる。調べてからだとあれほど言ったはずだ。
種は水と土の気配を感じ取ったかのように急激な成長を遂げた。葉や枝、幹、果実を見るに、イチジクであると断定する。なお、現在栽培されている品種のイチジクとは少々差異を感じる。出土したという観点から、このイチジクは古代種であると推測される。
…また謎が増えたぞ。 - 192二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:23:50
厄ネタになりそうなもんだらけだな…
- 193◆Qihk7ENzE625/04/23(水) 22:56:22
本日はここまでとします。明日は2スレ目に移行したいと思っていますので、お付き合い願います。
それでは、ここまでのお付き合いありがとうございました。明日もよろしくお願いします。 - 194二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 01:12:45
おつかーれ
どんどんヤバげな情報が - 195二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 07:25:05
一応保守
- 196◆Qihk7ENzE625/04/24(木) 11:43:54
記録を読み進めれば読み進めるほど、訳が分からなくなってくる。深淵を覗いているかのような気持ちになってくるぞ、これは。深淵を覗いている時、深淵もまたこちらを覗いていると言うが、これはその類かもしれん。
しかしオアシスか…となると、砂漠のどこかにある水源だろう。オアシス…砂漠…そういえば雷霆の如きあの子が授業中にブツブツ呟いていたような…確か…アビドス砂漠がどうとかなんとか………ああ、私がいつも見ている砂漠はアビドス砂漠という名前だったな。あの砂漠には、私が知らない何かがあるということなのだろう。
しかし、準備もなく砂漠に赴くなど自殺行為に等しい。せめて燃料と食料、水を一週間分運べるくらいのトラックなどが必要だ。あとは、土地勘のある案内人も欲しい所だ。アビドス…学校、あるのだろうか?あるとしたらこの土地ももしかしたら、元々はその学校の土地だった可能性があるが…あんな砂漠地帯で学校がまだ残っているのなら――――そこで生きる者達は本当に強い人間なのだろう。
「まぁ、この土地を譲り渡せ、となれば話は別だがな」
元々ここがどういう場所で、誰が管理していたのかはさておき、ここを公平公正合法的な取引で購入したのは私だし、この荒れた土地を開墾して使えるようにしたのは私が雇った少女達だ。彼女達が納得できる理由と条件が無い限りこの土地を明け渡すことはない。その結果私がどうなったとしても、彼女達とかつてここにいた者達の火、意志を背負ったのだから、その責任を果たさなければいけないのだ。この世界に何か形になるものを残すというのは、そういうことなのだ。変わり、移ろいゆく世界に、確かな形を残す――――責任が伴うことである。誰かの想いを背負う――――これもまた責任と覚悟が伴うものである。
19日目の昼に近付いている時間帯。私は改めて責任と火を背負った。 - 197◆Qihk7ENzE625/04/24(木) 12:10:52
- 198二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 17:38:09
縦乙埋め
次回も楽しみ - 199二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 21:03:18
埋め
- 200二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 00:08:56