【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part9【のんびり進行】

  • 1アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:03:37

    襲来した異星人!

    侵略されるエネルギー資源!

    存亡の危機に晒されてなお人類は……

    未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!


    【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】

    ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界あらすじ(とりあえずこれだけ読んでくれたなら最低限大丈夫な筈の簡潔にまとめた世界観)

    その1:どういう世界なの?

    特殊なエネルギー鉱石「コア鉱石」を動力源とする人型歩行兵器「バディフレーム(通称:BF)」が兵器として一般化した高度な機械文明が築かれている、地球に酷似した惑星が舞台だよ!

    元々は人類同士で細かい諍いとかはありつつもそれなりに穏やかな世界だったんだけど、本編から20年くらい前に惑星外性生物「インベイド」が隕石に乗って地表に飛来、どうやら上述のエネルギー塊「コア鉱石」がインベイドにとっては食糧として美味しくてたまらないらしくて、人類に敵対行動を取り始めたんだ!

    必死に抵抗したんだけど、現在では地表のおよそ3~4割程が完全にインベイドがうようよ闊歩している危険地帯になっちゃって、そこから時々インベイドが攻め寄せて来る油断できない状況なんだよ……。

    その2:で、今どうなってるの?

    インベイドとの緒戦により人命を多く失いながらも、結果として「クロノス・インダストリー(通称:K.I社)」が世界を主導、地表や地下に「コロニー」と呼ばれるいくつかの居住拠点を制定してそこを中心にインベイドに対抗する様になったんだ!…
    00m.in

    次スレは>>190踏んだ方が

  • 2アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:04:16

    【前スレ】

    【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part8【のんびり進行】|あにまん掲示板夢のエネルギーをただのご飯にしちまう異星人!ここぞとばかりに人類の覇権を握ろうとする大企業!惑星(※地球じゃないよ)がヤベェ!!……な「ここ3ロボSF」スレの裏スレ、設定スレです次スレは>&gt…bbs.animanch.com

    【禁止事項】

    ・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)

    ・必要性の認められない確定ロール

    ・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)


    【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】

    ・版権設定の利用

    ・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること

    ・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること

    ・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)

    ・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)

  • 3アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:04:35

    Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
    A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
    テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
    ↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!

    Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
    A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!

    Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
    A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!

    Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
    A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
    エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
    「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!

    Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
    A5:へへっ

  • 4アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:05:02

    【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消してご利用ください)】

    h ttps://x.gd/Z5SAZ


    【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】

    https://00m.in/

  • 5アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:06:08

    (※>>10まで保守を行う!)

  • 6アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:06:27

    (※敵の潜水艦を発見!)

  • 7アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:06:52

    (※\駄目だ!/)

  • 8アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:07:02

    (※\駄目だ!!/)

  • 9アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:07:13

    (※\駄目だ!!!/)

  • 10アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 13:07:27

    (※\駄目だ!!!!/)

  • 11リンゼイ◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 17:40:18

    前スレ182
     「次回からはステルスミッションに従事します。暴れてお店に迷惑かけたら申し訳ないもの」

    【あのような大立ち回りを披露したのは、何もテンションが上がったからというだけではない。むしろ、元々は一回きりの来訪ですますつもりだった、という理由の方が大きい】

    【が、予想を遥かに超える量の宝が、ここには眠っていると判明したのだ。おまけに深く語り合える同士付き】

    【そうとわかれば宝を全て発掘し、話の種が無くなるまで通わなければゲーマーの名が廃る。そう思い込んでいるリンゼイが、また誰かに巨砲を向けることはないだろう】

    【おそらく、きっと、多分、メイビー……!】

  • 12エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 18:12:45

     「へぇ。それは楽しみだ」
     (銃火器か超火器を目にした時と同じか……いや、それ以上に頬が緩んでるなぁ)

    【だらしなく頬を緩めて見せる金龍に、意外と子ども好きなのかと思いつつ相槌を打つ】

    【明らかに18の彼よりも幼いハニヤが二児の母であることには驚いたが、まともな庇護を受けないデスペラードなら不思議ではないと納得した】

    【まともな庇護を受けられない中で二人も子供を育てたという事実は、かなりの称賛を受けて然るべきことだが。……まぁ、ぽっとでの自分が言っても詮ないことだろう】

     (それに多分……というか絶対、Mr. 勞が色々と言葉をかけただろうし。本人が気にしてる様子もないなら、下手に口を開く必要はないな)

  • 13ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 18:18:04

    >>12

    そう思えてもらえれば、尚更ここで立ち話するのは如何ともし難いな......


    ほら、姐さんも早く乗って乗って

  • 14アカネ◆fDey8JUvvk25/04/14(月) 18:39:53

    (1/4)
    【アカネ・アマギリは停滞していた、或いは取り残されていた】
    【G-3コロニーの死闘にも参加せずコロニー間の物資輸送の護衛を勤めるだけの日々……だがそれはアカネにとって苦ではなかった】

    【一列縦隊。前面装甲に優れたアカネのコメットが先頭を走り、後ろに1機のARATAME、輸送車両が続いて最後尾にもARATAMEが1機】
    《最近は『所属不明機』による輸送ルートへの襲撃が多い、十分にお気を付けください》
    《お気を付け下さいって、何かアドバイスでもねーのかよ?》
    《背中にも目をつけてくださるとか……》
    《はあ?》
    《……すみません》
    【輸送車両の運転手と雑談をする程度には穏やかな道なりであった】
            ・・・・
    【だから救難信号ではない、通常の広域回線で助けを求める声とその後の銃声、断末魔が聞こえた時も】
    《罠でしょうが念のため先行して確認しておきます》
    【そうARATAMEと輸送車両を残し先行偵察に向かうなどという──】
    【愚行のツケをアカネは払う羽目になっていた】

  • 15アカネ◆fDey8JUvvk25/04/14(月) 18:40:43

    (2/4)
    敵数5、いや6か?上にもか?
    【アカネは直ぐ、分不相応に巨大な翼を背負ったSHINONOME改造機が飛翔しているのを認める】
    あれで強襲する気か!?馬鹿が!いや馬鹿でなければこんな戦闘禁止区域で通信妨害など!!
    【かけるわけもない、と砲塔旋回、仰角を取り旧式のAPFSDSで翼持ちを撃ち抜く】

    《ああ”-っ!?俺のプランWを粉々にしやがってえ!!》
    【突如オープン回線で飛び込んできた男の叫び声に思わず顔を顰め、よどみない動きでコメットをスラローム機動させながら次弾装填を待つ】
    《まあいい、ならプランHだ!おい!》
    《ああ”っ……!!》
    は?
    【聞こえてきたのは殴打の音。そして年若い女性が呻く声】
    《聞こえてるようだな?どうだ、これが俺達の新兵器よ……その名も人質ちゃん2号、ただいま同乗中!》
    《因みに1号ちゃんもいい働きをしてくれたぜ!ノコノコお前をおびき出してくれてさあ!》
    《おーい、聞こえてたら止まれ!!俺だってこんなところで人質ちゃんを消耗させたくねえんだ!》
    【こんな『新兵器』、通じる方が稀だろう。だがアカネにとっては効果的であった】
    ………。
    【コメットはその足を止め、静かに鎮座する】

  • 16アカネ◆fDey8JUvvk25/04/14(月) 18:42:16

    (3/4)
    《へへへ……》
    【暫くしてコメットはいかにもデスペラードが整備した五機のBF……SHINONOME三機、ARATAME二機に囲まれた】
    【こちらからの通信を一切試みなかったのはアカネのせめてもの抵抗だろう】
    《あー、通信をオンにしろ。ただし救援要請は無しだ》
    《お、お願い……じゃないと私殺されちゃう!!》
    《………通信オンにしました。感度ありますか?》
    《へへ、よく聞こえてるぜ……っていうかお前女だったのかよ。それじゃ、たっぷり感じてくれよ、お前さんも。》
    【コメットに近づいてくる一機のARATAMEは、その拳をコメットに触れさせる】

    【そして、放電】
    《ああ"っ!!!》
    【痙攣するアカネを笑う声がする】
    《何つーか気が強そうな声してるなあ?》
    【もう一度】
    《う”あ”あ”っ!!》
    《でもまあ、そういう奴を好き勝手するのはいつだって浪漫があるよなあ……サンキュー、人質ちゃん》
    《……はあっ……その……その子には……手を出さないで………》
    《分かった分かった、お前さんの言うことは分かった。じゃあ安心して逝けるように教えてやるよ》
    《人質ちゃん2号な、合成音声なの。いやまさかここまで効果的とは俺も俺の才能が恐ろしいけどな!!あっちょっと待ってろ、今お礼の言葉をしゃべらせて

  • 17アカネ◆fDey8JUvvk25/04/14(月) 18:43:07

    (4/4)
    【次の瞬間には急旋回した砲塔、その砲身で男の機体は横殴りにされ地面を転がっていた】
    【その勢いのまま砲塔は旋回していき射線にSHINONOMEの一機が乗った瞬間に砲撃、それの上半身を消し飛ばす】

    《てめえ!!》
    【アサルトライフルを構え乱射してくるSHINONOMEには超信地旋回で軸合わせからの突撃で弾き飛ばし、起き上がる前に再装填が済んだ砲弾をぶち込んで爆砕させる】

    【電磁ナックルを構えて背後から突進してくるARATAMEはさらなる前進で逃げるように距離を取りつつ砲塔は真後ろを向かせ、砲撃。これも爆砕】

    【コメットは足を止め、怖気づいて逃げ出していた最後のSHINONOMEにも砲塔を向け、砲撃】
    《は、外れた!!》
    【それも当然である。高電圧電磁ナックルによりFCSはダウン、無茶な横殴りで砲のアライメントに歪みもある】
    ……。
    《あっ》
    【どうしても足を止めた上での弾着修正は必要だった。2射目で最後のSHINONOMEも上半身と下半身が泣き別れする】

    はあ……っ!?
    《痛かったぞクソ女ァ!!穴だらけになって地獄で詫びろ!!》
    【コメットが揺れる。先に横殴りにしたARATAME─頭目の機体─が上に乗り、至近距離からアサルトライフルを乱射しているからだ】
    【コクピットの上部、内部の計器が吹っ飛び凶器となってアカネを襲う】
    《はぁ……はぁ……はぁ……クソ女が……大損じゃねえか……!!》
    【1マガジンを撃ち切ると頭目のARATAMEはコメットから降り、使えるパーツだけでも回収しておくかと歩き出し】

    【そして砲撃音と共に胴体に風穴を開け爆散した】
    早漏がよ………。
    【そこでアカネの意識は途切れた】

  • 18エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 20:05:37

    >>17

    (1/2)


    【今にも雨が降り出しそうな曇天の下で黒煙をあげる5機のBFの残骸。それらをスカッド・ソルジャーたちは淡々と解体し、回収し、中の死骸を取り出していた】


     『照合完了しました。No. 331132:JEROKE (ジェローク)。SHINONOME三機、ARATAME二機で構成されたデスペラードです。企業所属のBFに追い込まれると合成音声を使用したローコストの人質戦法を取るとされています』


     「それ、よっぽどのお人好しじゃないと引っかからないよね」


    【横面に工学事業部と銘打たれた大型車両の中で、スカッドたちに指示を送っていたエイダンは、隣の部下から報告された不明機に関する内容に思わずツッコミを入れた】


     『ええ。ですので、逃亡用の隙を作るために使用していたようです。……稀に、引っかかってしまうパイロットもいたようですが』


     「善人は早死にする、か。……まあ、彼女には生きてもらうんだけど」


    【残骸回収を終えたスカッドたちに持ち場に戻るよう指示を飛ばしながら、モニター端に表示されている通信画面に目をやる】


    【そこには大小様々な管に繋がれ、厳重に包帯を巻かれた状態でベッドに横たわる女性がいた。その横から、艶やかな黒髪を靡かせた美しい女医が顔を出す】


     『急にアンタから呼び出しが来たから何かと思えば……リー、本当にいいんだね?』


    【高品質なサイバネ化手術を保証する医療系企業 《Heart Repairs》 。その第一級救急隊の隊長にして、高名な外科医 グロリア・ドーセントだ】

  • 19エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 20:09:59

    >>18

    (2/2)


     『アンタのことだから承知の上だろうが、プラチナ会員特典のプレミアムプランは今回の治療には適用されない。費用は100%、自腹になるよ』


     「構わない。彼女は今の工学事業部、ひいてはK.I社に必要な人材だ。頼むよ、グロリア」


    【旧友にしてお得意様の言葉に、グロリアは肩をすくめる。その仕草には若干の呆れが含まれていた】


    【この男はいつもこうだ。必要があると判断すれば、いくらでも赤の他人のために大金を積む。……そして、いつのまにか、それらを黒字にする成果を出しているのだから恐ろしい】


     『はいよ、任せておきな。この娘っ子が目覚めたら、完全新品 (ヴァージン) の体とご対面させてやるさ』


     「よろしく、Dr.」


    【酒に焼けた喉から吐き出された頼もしい言葉に、信頼をのせた返事して通信を切る。そして、車両の荷台に乗せられたズタボロのBFに視線を移した】


     「それじゃあ僕らも早く帰って、新しい仕事に取り掛かろうか。……ま、直しやすいよう形を整えて、図案を引くだけだけど」


     『その前に上の説得がありますよ』


     「あ、そうだった。……今のうちに大まかな案だけまとめておこうか」


     『了解です』


    【多くのスカッドたちを引き連れ、迫る雨の気配から逃れるように出発する車の中で、技術者たちは話し合う】

    【ときどき侃侃諤諤とお互いの好みを押しつけあう事態に陥りながらも、本社に着く頃には、何とか案を形にすることができた】


    【疲労を背中に負いながらも、どこか晴れ晴れとした表情で上からの呼び出しに向かう白衣の男たちを、スカッド・ソルジャーたちは内心引いた目で見送った】

  • 20ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 20:35:18

    【第6別荘に帰った金龍とその客人】
    【昼食を半ばまでは一緒に摂っていたが、今日これから始まる修羅場について語るには場違いであったために、金龍とエイダンは別室で対面していた】

    ……で、俺とメビで作り上げたローストビーフは最高だった所でだ、今日の本題に入ろう

    【そう言って持ってきたスマホをテーブルに乗せると、ホログラム状の許可証が現れる】

    アンクを実地試験に向かわせるには、最終的に開発主任を務めているあんたの許可が必要だ
    ここに来てくれた以上、それを承知してくれてるだろうが最後に1度聞こう
    この画面に賛成してくれるか?

  • 21エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 21:34:34

    >>20

    【投影されたホログラムの画面を前にして、エイダンは浮かべていた笑みを深めた。肩を軽くすくめて、何を今さらと言外に表す】


     「美食に舌鼓を打つためだけに来たわけじゃないからね。むしろ、こちらが本題だ」


    【身を乗り出し、ゴーグルの奥の目を光らせ、日々の職務で鍛えられた指先を許可証に向ける】


     「もちろん、喜んで賛成させてもらうよ」


    【ホログラムがさざなみを立て、数秒を経て元の形を取り戻す。その中央には『実施試験 承認』という、シンプルながらも熱を帯びた文字が列をなしていた】

  • 22ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 21:41:35

    >>21

    感謝するよ、エイダン殿

    いやそれにしても美味いなこのオレンジジュース 

    美味すぎてこれ以上言葉で表すのも憚られるレベルだぞオイ

  • 23ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 21:46:58

    Imagine Dragons - Bones (Official Music Video)

    でだ、俺の”剣龍”の乗り心地はどうだ?

    こんだけデッケェし、こんだけ快適だぞ

    おまけにTVとゲーム機も設置してる


    【14:00 とある砂漠(第6別荘から500km)】

    【サンダータイガーとガンコンテナ4つを輸送できる格納スペースに、高級ホテルと同等の居心地を誇る居住スペースも備えられた輸送機】

    【メビはエイダンにワイングラスを渡す】

    【一方で後ろの格納スペースには、ビーストモードのアンクが待機していた】

  • 24アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 22:46:17

    前スレ>>196

    前スレ>>197

    前スレ>>199


    『こ、の、ガ、キ、ィィイイイ……ッ!!オレを教導機にするつもりかァアッッ!!??』


    【デントナは激怒していた、自分が翻弄されていることに対して、その上で、敵が自分の動きから学びを得ようとしていることに対して】

    【空は自分の世界だった、クソッタレな敵でも、クソッタレな作戦でも、ここでなら戦えた、それが自分の半分も生きていない、いや、自分が戦って来た20年も生きていない少年が追い付き、追い抜こうとしている】

    【────────────たまるものか、譲ってたまるものか、怒りのままに噛み締めた歯茎からは血が滲んでいた】


    『ナ、メ、ん、じゃ、ねェェェェエエエエッッッ!!!!』


    【もう何分間も瞬きをしていない、血走った瞳には赤く歪んだ蒼風が映る、否、映ったと思えば、消える】

    【見えるのは僅かな交錯の間だけだ、突入角度、障害物の配置、そして自分が狙われているという現実、全てが敵の姿を捉える為に必要な材料だ】

    【極限の集中力、幾度天地が引っ繰り返ったかも分からない────────────構わない、目前の敵を】


    『ッ、あァッッ!!??』


    【見えた、至近距離、それは今までの様な斬り結ぶ軌道ではない、間違いなく正面から】

    【ぶつかり合う、軌道】


    『────────────ィ、ッギガッ!ガァァァギギギィィィイイイイイッッッッ!!!!』


    【叫びと共に機体が唸る、地表が押し寄せる、蒼風が突き出したビームサーベルはデントナが直前に取った捻転運動により、コックピットよりも僅かに右へと逸れた】

    【反抗に自身が持つ粒子サーベルを蒼風の首元目掛けて突き出しながら、金属分子が融解する音と焼け焦げる音が耳元で響く、サーベルは空戦用ユニットである尾翼の一方を切断し、バランスを崩したスカッド・ソルジャーは錐揉み回転をしながら岸壁へと弾き飛ばされる】

  • 25エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 22:46:35

    >>23

     「月並みな言葉になるが……最高だね。ファーストクラスがエコノミーに思えてくるよ」


    【渡されたグラスを傾け、中の赤ワインで喉を潤す。熟成された葡萄の芳香に感じ入りながら、改めて機内の様子に目を向けた】


    【壁にかけられた4Kの液晶テレビと中型スピーカーから流れる賑やかなBGM。直に座って寝そべれそうなほど清潔に保たれた絨毯。有名なパーティゲームから、マイナーな名作RPGまで揃えたゲームコーナー】


     (ここにリンゼイがいたら、なんて言うかな。……超COOL?エキサイティング?)


    【ゲーマーな友人がたちまちハイテンションになる姿を想像して、軽く吹き出しそうになった口を押さえた】

  • 26アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 22:46:38

    前スレ>>196

    前スレ>>197

    前スレ>>199


    【────────────ガシャァァァアアンッッ!!】

    【空の支配者が岩壁に叩き付けられ、その衝撃が岩場を崩落させる轟音、黒煙を噴くスカッド・ソルジャーがその隙間から半身を覗かせている】


    『デントナ、聞こえるか、応答しろ!』

    『ガ────────────ガガッ────────ギ、ガッ、バッ────────────ッッ!!』


    【エドワード機の爆発を受けて上空へと舞い上がった望月が、足元を狙い放った射線を潜り抜けながら、ルヴァウが取った通信に返って来たのは耳障りなノイズの混じる、デントナの苦悶の嗚咽】

    【……死んではいない、死んではいない、が、少なくともこの戦闘中に戦線へ復帰するのは不可能だろう】


       ・・・・・・・・・・・・・

    【だが生きているのならば今は良い、ルヴァウの理知は、即座にデントナの安否よりも眼の前に墜落する蒼風へと思考を割いた】

    【アブソーバー随一の機動戦闘のスペシャリストがやられ、残る味方が崖上に縛り付けられている今、自分達だけでこの未知の最新鋭機を相手取らなければいけないのだ】


                      ・・・・

    『フランク!ベンソン!まだ行けるな!浮いた敵はお前達で対処しろ!』

    『『了解!!』』『エドを殺った女!』『敵討ちだ!』


    【二機一対の多脚BFが飛ぶ、腰から下をローターの様に回転させる異端の飛翔方法、マシンガンを構えると傷ついた望月へと射線を引く】

    【一方で、ルヴァウとシンドリーのガーゴイルは銃口を着陸した蒼風へと向けながら】


    『少年兵、機体から降りないか、ドミニクの……いや、我々の目的はあくまで、G-3の英雄として名を揚げた人自連が保有するそのBFを破壊することだ。

                             ・・・・・・

     機体から降りた生身の人間を殺すことは、少なくとも今日する仕事ではない、命は助けよう』

    『……ルヴァウ、アンタ……!?』


    【シンドリーが動揺の混じった声を上げる、アブソーバーの副隊長ルヴァウ・バッドガンもまた、己の口から零れる言葉が不思議で仕方が無かった、今更善性を騙るつもりは無い、外道に堕ちている自覚など有り余っているのに】

  • 27アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 22:47:07

    前スレ>>196

    前スレ>>197

    前スレ>>199

                    ・・

    『知っててくれたなら嬉しいねぇ、後輩のSHINSEI乗りちゃんよぅ?』


    【みしり、みしり、金属塊を押し込みながら、ホバリングユニットと背部スラスターの同時点火は前進する力に転換される】

    【馴染みのある駆動音が心地好い、アキルは自身の身体と等しい愛機の操縦桿を力強く握り締め】

    【……眼下、ヴィーナスの腕下て徐に集束する粒子の輝きを見止めれば、実体剣を弾いて後退】


    【当然、それだってアンドレアルフスの読みの内、移動先に配置された同種のビームサーベルはSHINONOMEの胴を……】


    『ボー!』


    【……爆発、爆風、左利きのガーゴイルが放った滑空砲の一射はヴィーナスの直前で爆散し、ナカトウを切り裂く筈であった剣の軌道を跳ね上げた】


    『────────────おっと、ごめんヨ、お宅の戦い方をマネしちまッたネ』

    『ははははっ、けど良いのかよぅ、そういうのならこっちにだって一日の長があるんだぜぃ?』


    【死線は幾度も超えて来た、ゴエティアの蓄積する戦術も、データにも、敗けないだけの実地経験がこの悪鬼羅刹の傭兵部隊には備わっている】

    【奇襲など食らうのが当たり前なのだ、そして、奇襲をする側に立つこともまた有り触れている】


     ・・

    『連携がお得意だロ?』


    【────────────僅かな、風切り音、それだけが頼りである、超長距離より放たれた対BF弾の高速弾道、ヴィーナスの側背部に】


    『煙幕ノ内側に閉じこもッてれバ、ラインハンターに狙われるコトもなかったネ』

    『徹甲弾を撃ち落とすのは見事な芸だよぅ、けど、狙撃弾を撃ち落とせる奴なんて、俺は見たコトねぇなぁ?』

  • 28アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 22:47:38

    前スレ>>196

    前スレ>>197

    前スレ>>199


     ・・・・

    「良い支援だな!」


    【アバドンの巨躯が跳ねる、城壁が如き重量を浮かばせる、異形の4脚】

    【煙幕より姿を表したマーキュリーの眼前へと突き進む、例えば、それだけの重量は、衝突するだけでも多大なダメージになるだろう】

    【その前にグレネードランチャーの砲門が睨み付ける、装填されているのは先程と同じ徹甲弾────────────では、無い】

    【弾頭が空中で4つの小型球に分裂し飛翔する、それぞれに括りつけられているのは、合金製ワイヤーを格子状に組み上げた網だ】


    【『アブソーバー』は略奪者である、それは、BFを鹵獲する際に用いられるネットランチャーの一種】


                ・・・・・

    【だが、小賢しい手段だ、こんなもので本当にマーキュリーの動きを止められると思っているのか?】


    「もっとだァ、もっと引き出しを開けろよゴエティア!折角良いステージを整えてやってるんだ、出し惜しみなんて萎えることするんじゃねぇよ!!」


    【────────────無論、そんな筈も無い】

    【装弾、弾種は再び榴弾に切り替わる、全てを飲み込む悪鬼アバドンは手を変え品を変えて標的を追い詰めるのだ】

    【背部ランチャーの砲口が頭上に跳ねる、グレネードランチャーの真価、曲射】

    【マーキュリーに絡みつこうとするネットランチャーを躱すなら、その後方に弾着する榴弾の爆発に突き当たる、だが前進をすると言うのなら、アバドンの巨体と正面衝突だ】

  • 29アリソン◆PPyRfvMZl625/04/14(月) 22:48:03

    >>11


    『おう、また来いよ、今度はとっておきのハードも見せてやる、丁度今修理中だからよ』


    「……」


    【上機嫌の店主を置いて、アリソンは心底げんなりした表情を浮かべていた】

    【道化の様な、読めない女だ、向こうのペースを押し付けられる────────────苦手な、タイプだ】


    「……はァ、好きにしろよ」


    【カウンターに片肘を置いて嘆息する、灰皿の小さな火種を潰して、古臭い店の空気に溶け込む煙を視線が追う】

    【そんな微睡みの時間は、店主に『お前も出て行け』と尻を叩かれるまで続いた】

  • 30ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 23:03:54

    >>25

    なんだなんだ? 何か嬉しい事でも思い出してるのか?


    【水の入った水筒をガブガブ飲み干しながら問いかける】

  • 31二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 23:04:27

    このレスは削除されています

  • 32エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 23:19:43

    >>30

     「と言うよりは、愉快なことかな」


    【ちびちびとグラスの中のワインを少しずつ減らしていきながら、愉快な友人について軽く語る】


    【ゲームが好きすぎて廃人に両足首を突っ込みかけていること、ロマンの産物:ハンドキャノンを携行していること、等々……】


     「最近はレトロゲーム探しに奔走してるよ。データ化されていないから、実機で手に入れなくちゃならないらしくてね」


    【おかげで ''Familiar Computer'' なんていう大昔のハードを自作することになるとは思わなかった。まあ、楽しかったからいいけど】


    【なお、その友人は今、ホクホク顔で宝 (ゲーム) を抱えながら帰路についているのだが、エイダンがそれにまつわるドタバタを知るのはもう少し後である】

  • 33ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 23:21:19

    >>32

    レトロゲーね......もしかしてプログラムさえ知っとけばどんな機器にでも、それこそ細菌にでも組み込めちゃうゲームソフトも持ってるのか?

  • 34エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/14(月) 23:35:19

    >>33

     「どうだろう?細菌を作って人類を滅ぼしたり、進化させたりするゲームは持っているようだけどね」


    【エイダンは付き合いでゲームをすることはあれど、あくまでプレイヤーであってゲーマーではない。ので、彼女の熱いゲーム語りは話半分で聞いている】


    【そのため、そんなとんでもプログラムを内蔵したソフトを持ってるかまではわからない。が、持っていてもおかしくはないなと思う】


    【なにしろ、レアなゲームがあると聞いたら晴天市街どころか、アウトサイドにまで足を運びかねないのだから】

  • 35ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/14(月) 23:37:39

    >>28

    『脅威レベルを7から8に修正─────出し惜しみしていては友軍の来訪まで耐え切れない、か』


    【“ストラス”は判断を下した。稼働時間には余裕がある。「ゴエティア戦団」の救援部隊も既に四機が超音速航空輸送機を使って接近中だ】


    【エネルギー残量を気にする必要はない】



                         ・・・・・・・・・・

    『────────────────────抹殺モードに移行する』


    【“ヴィーナス”と“マーキュリー”が吐き出す粒子の燃焼色が紅蓮へと移り変わる。追加特殊装甲パッケージが組み替わり、継戦能力を削ってでも眼前の敵を抹殺するべく焔を噴き上げる】


    【肘関節が駆動する。ビームライフルは実弾兵装の様に次弾を装填する必要もない。砲口から吐き出された榴弾を上空で全て撃ち落とす。小技だ。砲口初速度は既に把握済み。ならば間違える余地もない】


    【同時に両肩の火炎放射器が熱量を吐き出す。クロノスが運用する特殊合金拡散弾頭への対策を念頭に置いて作成された兵器だ。容易くネットランチャーを融解させて、肉薄する機体に集中する】



    【─────クイックブースト。城砦の如き四脚の上を取る。今度はもう片方の火炎放射器が火を吐き出して、背部グレネードランチャーを狙う】


    【既に榴弾を装填していたのなら誘爆し、例えそうでなくとも砲身を歪ませて暴発の危険性を抱え込ませるには充分な熱量だ。そして火焔に紛れてカメラアイを穿つ軌道で粒子ビームを狙撃している───アバドンにではない。ボー・ワンチェンの『Gargoyle』への奇襲だ】

  • 36ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 23:39:14

    >>34

    あー俗に言うシミュレーター......俺はどうしてもそういうの苦手でなぁ......

  • 37ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/14(月) 23:39:35

    >>24

    「ッッッ!?! ぐ、っっぅうううアアア!!!」

     衝突しながら目の前に突き出されたビームサーベルに対してケイが取ったのは、純然なる反撃行動。衝突の中で機体の首を捻り、首から頭部が切断、ないし貫通されることをなんとしても避ける動き。

     そしてもう一つが、突き出したビームサーベルが必殺に至らなかったことを直感しての『二の矢』だった。

     地面への激突を避けようとする飛行型スカッドソルジャーの動きを確認、予測して。

     激突コースだろう岸壁に向け有針徹甲弾を放ち、敵を足場に蹴り上がるようにして上空へ飛び……ウイングバインダーの全てを利用して降下、土埃が機体全身を覆う速度で墜落の勢いで着地した。


    「ぐ、ぅ……!!! ふ、ぅぅぅぅ……や、やれた……」

     数秒、遅れて。突き刺さった有針徹甲弾の炸裂が岸壁で起きたことをケイは確認する……しかし、戦闘不能で終わったようだ。

     瓦礫の中に、スカッドソルジャーが埋もれている。


    「はぁ、はぁ、はぁ……すぅ――――ありがとう。楽しかった……もっと、ずっと戦いたかったよ」

     始めての高揚。自分自身の殻を一つ破った感覚が、デントナ機という強敵への敬意だけを表して。

    「ごほっ、げほっ!!ご、ぅ……はぁぁぁ……!!!」

     ヘルメットに、吐き出した血がついた。目の前が状態ではまともに戦えない。すぐさま脱いだ。

  • 38ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/14(月) 23:40:18

    まぁ、知人にはいつか会わせてもらうとするか

    「姐さん、通信送ってるが聞こえてるか?」

  • 39ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/14(月) 23:45:05

    >>26

    『少年兵、機体から降りないか』

    「……??」

     その直後に、老兵、というべき男からの通信が届いた。デントナ機の足掻きとなる先のサーベルが効いたのか、モニターの映像は僅かに乱れている。


    『ドミニクの……いや、我々の目的はあくまで、G-3の英雄として名を揚げた人自連が保有するそのBFを破壊することだ』

     それは、とても理路整然としたもので。理知に溢れていて。


                             ・・・・・・

    『機体から降りた生身の人間を殺すことは、少なくとも今日する仕事ではない、命は助けよう』

    『……ルヴァウ、アンタ……!?』

     女性の動揺する声からして、きっと。そんなことを普段する人間でないのだろうと、ケイは予測した。

     ……興味が湧いた。

     通信回線を自分とだけ聞こえるようにして開く。


    「ありがとう。あんた……優しいんだな。は、はは、ははは……!」

     思わずおかしくなって、ケイは笑ってしまった。優しくないはずの男に、優しいという例えしか出ない程度に、ケイは自分の学のなさを恥じた。

     急な加減速を連続した蒼風は獲物を見据えた獣のように、僅かに屈んでいる。

  • 40龍影◆9BZ6kXGcio25/04/14(月) 23:50:18

    >>26

    「わらわらと…鬱陶しい!むさいまま女の子を囲うならせめてBFから降りてタキシードを着なさいよ!」

    龍影は威勢にも似たセリフを吐き、踊り迫る二機のBFを迎え撃つ。

    点滅するリフレクターフィールドでもマシンガン如きに抜かれない。そんな絶対的な自信があった。

    異音のする推進器を奮い立たせる。レッドアラートを切り、ペダルを踏む。また推進器は不気味な音を奏でる。

    「いくぞぉ!!」

    レーダーにはコマ落ちのように飛び跳ねる望月が映る。目視はBF側の補正により残像が映る。

    >>39

    「ケイ!アドレナリン投与!武器を構えて!あんたはわたしと帰るのよ!」

    敵の動きはとても鹵獲の動きではない。

  • 41二次元好きの匿名さん25/04/14(月) 23:52:02

    このレスは削除されています

  • 42ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/14(月) 23:56:37

    >>26

    「そ、っか。俺、英雄なんて呼ばれてるんだな……」


     置いていったスカッドソルジャーも、死んだファルマも、そして命すらも賭け通したオルフェリアも差し置いて。自分がそう呼ばれている。


     ――――ああ、なんて。滑稽。こんな自分を、そう呼ぶ人達がいる事実が、ケイを苛立たせ、同時に落ち着かせた。

     蒼風は関節部からバチバチと軽い火花が散っている。 しばらくの戦闘は問題ない範囲だが、気を使う動きをしては死が見えていた。


    「――――英雄だけじゃ……あの戦いには、勝てなかったよ」

     自分の中の何かが、漏れていく。怒り、憎しみ、悲しみ。全てが籠もった声。

    「英雄だけじゃ、世界は救われないんだ」

     あの場で取りこぼした命たち。消えたものたち、生きている人たちの祈りを、呪いを、拾い上げようとするような声。

     蒼風が、俯いたケイの動きと連動して、地面を向いた。


    >>26 >>40

     愛する人の、生きている声が届いた。どんな薬よりも強いアドレナリンだった。


    「だからごめん。 貴方の気遣いを受け入れたら。俺はきっと俺自身を赦せなくなる」

     ケイは、オルフェリアの言葉を今度こそ借りた。


    「俺は――――ケイ・サヤギリ。大陸一の、月風乗りだ。その提案は……受け入れられない」

     蒼風が、二機のガーゴイルへそのツインアイを向けた。 青く青く光るセンサー光が、二機を見据える。

     ケイの目は、青だった。


    「俺が命惜しさに逃げたら、あの場にいた皆への侮辱になる。皆を、そうはさせたくない」

     蒼風のコア粒子推進機関が、高鳴り。重低音を同時に響かせる。


    「――――だから。行きます」

    「機体だけを壊したいなら、やってみてください」

     蒼風が一気に加速、二機のガーゴイルの視界から消える。壁を蹴り、上空を駆け――――無反動滑腔砲を、敵の頭部へ向けて放った。

  • 43ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/15(火) 00:03:26

    >>27

                  ・・・・・・・

    『そうだな。私も数える程しか組んだ事がない─────狙撃弾を撃ち落とす狙撃手など、な』


    【点での攻撃に対して、同じ点での攻撃で撃墜するのは至難の業であろう。超音速すら生温い速度なら尚更だ】


                        ・・・・

    【両腕下部固定型瞬間式ビームサーベルを収納せずに、紅蓮に燃え盛る“ヴィーナス”は弾かれた様に空を駆ける────────────────線なら別だ】



    『疾ッ────────!』


    【振り抜かれたビームサーベルが対BF弾を瞬時に霧と蒸発させた。衝撃で体勢を崩せば直ぐ追撃を行うであろう練度の敵だ。油断はない】


    【リミッターを解除している。次からは神経の伝達速度よりも疾くビームサーベルが展開されるだろうが、種が割れた初見殺しに頼るべきでもあるまい】


    【大口径リニアキャノンを射撃する。万全の状態のシールドでもなければ受け止め切れない質量と速度の暴力。マッハ5──────1秒で1500mを移動する速度で金属球が滑空砲を装備した『Gargoyle』に殺到する】


    【加速。“ヴィーナス”の巨体が一瞬で地表スレスレまで推進してから直角に曲がって超低空飛行を開始する。狙うはやはり『Gargoyle』だ。右腕の高周波大型実体剣と左腕の瞬間式ビームサーベルによって冷徹にコクピットを狙う。回転する右腕の手首は腕の外側に向けられ続けている】



    【第一の刃、無反動砲の砲身を穿つ大口径リニアキャノンの砲撃】

    【第二の刃、右腰から逆袈裟にコクピットを潰そうとする右腕の高周波実体剣】

    【第三の刃、左胸から胴体部を横一文字に薙ぎ払う軌道の左腕のビームサーベル】

    【第四の刃、“マーキュリー”によって死角から突如として放たれたカメラアイを潰そうとする粒子光線の狙撃】


    【確実に一機を削り落とすべく、悪魔の猟犬が駆け抜けた】

  • 44◆j28rRKKOSY25/04/15(火) 04:35:06

    (1/4)
    【放棄された市街、人など住んでいない筈の地に閃光と爆炎が煌めき、夜の闇の中を人自連のBF、SHINSEIが駆ける】

    「クソッタレのデスペラード野郎が……よくも仲間を……」 

    【荒い息を吐きながらコクピットの中でパイロットが呻く、デスペラードの輸送隊を襲撃し荷物を奪う簡単な任務のはずだった、それがどうだ、1機のBFに襲撃地点を突破された挙句に車両部隊はミンチにされ、戦闘開始から10分も経たずに6機のBF隊は2機を残して壊滅している】

    「ちょこまか動きやがって!挟み込むぞ!」

    【タンク型とは思えない小回りの良さで市街地を移動するターゲット、苔色をしたそれを追いながら僚機に合図を出し進路を塞がせる、前後からの射撃を食らわせ仕留める算段だった】

    『敵機確認しました!射撃開始します!』

    【通信が入ると同時、敵機の進路を塞ぐ様に現れた僚機がロケットランチャーを構える、しかし敵は止まる気配も見せずに突進、放たれたロケット弾の爆風で視界が暗くなる】

    「直撃したか!これで終わ……⁉︎」

  • 45◆j28rRKKOSY25/04/15(火) 04:35:58

    (2/4)
    【爆風が晴れる、そこにあったのは撃破されたターゲットではなく、コクピットを貫かれ沈黙した僚機の姿だった、銃剣を引き抜くとターゲットはこちらに旋回、ビームカービンをこちらに向ける、次はお前だ、と告げるかのように】

    「貴様だけは落とす!」

    【激昂しライフルを放ちながら突進する、迎撃に放たれたビームカービンを耐ビーム仕様のシールドが容易く防ぐのを見るとターゲットは射撃を続けながら逃走する】

    【ビル街をバック走行のまま逃げ回るターゲットとそれを追う者、両者の射撃戦は追う側の優勢だろうか、しかし転機は突然訪れた】

  • 46◆j28rRKKOSY25/04/15(火) 04:36:58

    (3/4)
    【何度目かの曲がり角を曲がったその時、足元が突然爆発しSHINSEIのバランスが崩れる、地雷を敷設する隙等無かった筈、その答えは続く攻撃によって示される】

    「吸着爆弾⁉︎」

    【バランスを失いシールドで隠しきれなくなった脚部に張り付いた爆弾が数秒の間を空けて爆発、関節を吹き飛ばされた巨体が地面に倒れ伏す】

    「これで勝ったと思うなよ!デスペラードが!」

    【倒れて尚、ライフルを構えようとするSHINSEIのコアタンクにビームカービンが斉射され、市街地にまた一つ新しい爆炎が上がった】

  • 47二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 04:38:16

    このレスは削除されています

  • 48◆j28rRKKOSY25/04/15(火) 05:00:39

    (4/4)
    「駄目ですね、データは回収出来ませんよ」

    【戦闘から数日後、襲撃チームが消息を絶った市街地で調査の為に送られた男達が話す、目の前には原型を留めていないBFの残骸が転がっている」

    「完全に破壊されてますので、戦闘中にどこかのサーバーに送られていなければ無理でしょう」

    「そうか……原型のあった機体の方は?」

    「ご丁寧にデータが消去されていました、デスペラードがよく使うハッキングツールでしょうね」

    【手に持っていた端末の画面を見せながら説明すると別の機体のデータを表示する、そこには中世の騎士の兜、それと車輪の付いた砲、それを組み合わせたマークが端末に表示されていた】

    「なんだこれは……エンブレムか?」

    「データが消去された後に入れられていました、恐らく自分の腕前を誇示したい性格なんでしょう、G3の戦闘時に目撃されていた様ですしそこから身元は割り出せるかと」

  • 49二次元好きの匿名さん25/04/15(火) 13:04:42

    ソーリー。
    新しい企業出してもよろしいでしょうか?

  • 50◆ECPjTIh3Iw25/04/15(火) 13:08:24
  • 51アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/15(火) 20:07:05

    >>40

    >>42

    >>43


    【心の底から絞り出す様な少年の言葉を、押し黙ったままで聴いていた、優しいなんてことが在ろう筈も無い、男の両手は血に染まっている】

    【────────────20年以上、洗っても洗っても落とせない、もしもこの戦争が終わってしまえば自分はただの『人殺し』として生きていくことになる】


                       ・・・・・・ ・・・・・・・・

    【いつしか殺す理由に納得を求めていた、戦場が欲しい、戦争が続けば良い】


                             ・・・・・・・・・・・

    【人殺しの負い目と共にのうのうと生き続けるよりも、いずれ地獄に堕つる悪鬼として】


     ・・・・・・・・・・

    【戦いの最中で死にたい】


    【ドミニクの創り出す混沌こそが、彼にとってはあまりにも都合が良かったのだ】


    『────────────了解した、ならば外道らしく、斃(ころ)すぞ、ケイ・サヤギリ』


    【続く言葉は、冷たく、無慈悲なものだった、蒼風の再起動と共に二機のガーゴイルは瞬時に距離を置く、機動性では圧倒的に向こうに分があるが】

    【放たれた滑空砲の一射を増加装甲により強化が施されたシンドリー機の前腕が弾き落とす、何も言わずとも背中合わせに、互いの後背を互いが守る、ルヴァウとシンドリーの不敗のフォーメーション】

    【それでもこれは、死線だ】


    『シンドリー!!』

    『慣れない降伏勧告なんていきなりするんじゃあないよ、ビックリするじゃないか……!!』

  • 52ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/15(火) 20:07:22

    【15:30 オペルームステージ6】

    流石は、姐さんとその新機体だったな……

    俺の依頼したように、建造物をほとんど無傷で制圧したぜ
    これなら当初の予定通り、俺たち専用の補給基地へ改装できそうだ

    エイダン殿も、上層部の言う通りに壊滅しなくてよかったって思えるだろ?

    【箝口令や機密保持への誓約書など、さまざまな情報規制が行われた手術室】
    【金龍は無菌処置をされた服に着替えつつ、隣のエイダンに語り掛ける】
    【しかしその姿は上半身裸であった。なぜか? これから新しいインプラントを移植するためである】

  • 53アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/15(火) 20:07:23

    >>40

    >>42

    >>43


    【跳ねる、飛ぶ、交差する、片方を狙えばもう一方が望月の背後へと回る】

    【変則軌道はジェミニの十八番、純粋な速度、航空戦術に於いてはデントナに劣るとしても、望月の加速に食らいつく彼らもまた熟練の傭兵だ】

    【小口径のマシンガンでは突破出来ぬリフレクターフィールド、しかしそれは逆に言えば、撃たれ続けている間はフィールドを展開している必要があるということでもある】

    【絶え間ない弾幕は正しくはダメージを与える為の物ではない、望月の行動選択を制限する為のものだ】


    『フィールドを『展開してる間は!』!』『出せないんだろ』『エドワードを殺った』『『近接兵器は!!』』


    【誰よりも高い空の上から、彼らは異なる肉体を持つが故の二人分の視野で以て、されど兄弟であるが故に共有出来るたった一つの価値観で以て、先程の攻防を観察していた】

    【────────────ブレードは展開出来なくなった、射程が然程長くない頭部の銃砲は近付かなければ脅威ではない】

    【ならば警戒すべき唯一の武装はビームライフル、望月もまた、この状況ではビームライフルに頼らざるを得ない筈】


    『粒子兵器は』『消耗が激しい』『その急加速は』『いつまで続けられる!?』

    『長期戦になれば!』『息切れは必至!』『その大層な機体の粒子タンク』『絞り尽くして干からびさせて』『『真綿でジワジワと絞めてイカせてやるよ、女傭兵!!』』


     ・・・・・・・

    【憎悪を共有する、二機一対の兄弟パイロット、ユース・ブラザーズはコックピット内で全く同時に叫んだ】

  • 54アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/15(火) 20:07:46

    >>40

    >>42

    >>43


    「ンハハハハハ!派手に花火打ち上げたかと思やァ、今度は大ジャンプってか、まるで大道芸だな!」


    【巨体が反転する、重装を誇る鬼の多脚BFは、それで居て各脚部のスラスターによって速度を緩ませず急旋回が可能である】

    【頭上を跳び越えたマーキュリーに対して再度“前面”を向けたアバドンは、その巨盾で以て火炎を受け流し、前進に用いられていた推進力はそのままマーキュリーと距離を置く後退に用いられる】

    【機体外装の過熱を示すメーターは急激な増減を繰り返し、コックピット内にアラートを響かせた】

    【コンソールへの殴打で以て、止める】


               ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・

    「嬉しいじゃねぇかよ、殺しの手段は多様化する、戦争は進化する!」


    【悪鬼は狂喜する、グレネードランチャーの砲口は再び宙のマーキュリーよりやや上を向いた、榴弾の2連射】

    【それと全く同時に、アバドンを狙い空中で立ち位置を入れ替える形となったマーキュリーの遥か後方から、二機のガーゴイルが照準を定めている】

    【ヒルマー・クレイズ、最初の標的となった、企業の尖兵への並々ならぬ憎悪を持つ傭兵が放つ無反動砲の一射】

    【そして、ザ・フリー・ボーイ、ドミニク直々に名前を授けられた、嘗ての少年兵】


    「安心したぜ、どんな立場になったって人間の本質は変わらねぇモンだなァ!より強く!より新しく、だ!どんな奴よりも自分達の方が上手く命を奪えると証明する、BF開発競争の賜物じゃねぇか!

     ンハハハハ……!愉しもうぜゴエティア戦団、殺しの流儀、てめェらの最新鋭を見せてみろ、もっとカオスにな!」


    【フリー・ボーイのガーゴイルが放つのは、アバドンの撃った榴弾よりも弾速の速い徹甲弾、弾着はこちらの方が先】

    【前方の榴弾への対処を優先すれば、後方の徹甲弾の対処に遅れる理屈】

  • 55アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/15(火) 20:08:03

    >>40

    >>42

    >>43


    【空の薬莢が跳ねた、渓谷の遥か後方、高台より見下ろす迷彩色のローン・ソルジャーは、白煙が揺らめき立つ銃砲に新たな弾丸を込める】


    『観測結果を寄越せ、ジョナサン、間違えるな』

    『……座、標、……ポイン、ト、F、4……風速、東、から、35……』


    【自機よりも前方、優秀な義眼が捉える観測結果を伝えるジョナサンの通信をヘッドセット越しに、照準の調整】

    【昔も、今も、己のやるべき事は変わらない、狙うべき敵を撃つ】


    【────────────ヴィーナスの砲撃、初弾は空を切った、左利きのガーゴイルが左脚を軸とする回転運動によって】

    【続いて殺意を放つ二つの剣戟、実体剣を弾き上げた横槍はアキルのSHINONOMEが持つ金属塊……されど神速の連撃双方を止めるには能わず】

    【視覚外からの粒子ビームによって頭部を穿たれ、さしもの歴戦の傭兵でも動きを止めたほんの一瞬、交差する軌道のサーベルが左利きのガーゴイルのはらわたを抉り抜いた】


    『────────────ッ!』

  • 56アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/15(火) 20:08:22

    >>40

    >>42

    >>43


    【頽れるガーゴイルをSHINONOMEが支え、ホバリングユニットは後退する、金属塊を抱えてアンドレアルフスの眼前に立ちはだかるのは手負いの味方を庇う様に】

    【ノイズが奔る通信、ボー・ワンチェンとの回線は繋いだままで、アキルは傷ついた僚機の安否を探る】


    『ははァ……なんだよぅ、ビルの奴またしくじってやがる、珍しいコトがあるモンだなぁ?おいボー!生きてるかぃ!?』

    『ッ、ぁ……ッぶな、いナ、おい……ヒハハっ、良かったヨ、利き腕ハ無事でサ!』


    【────────────融解し、深々と削られた傷口からは、コックピット内部の様子を垣間見ることが出来た】

    【同じ地域で生まれ育った、下半身不随の侍にとっては兄の様な男の右腕は、肩から先がばっさりと焼け落ちていた、右目は跳び込んできた金属片によって潰され、頭部からは夥しい流血】

    【荒く今にも絶えそうな呼吸を繰り返しながら、されどその左腕は未だに確と操縦桿を握り締めている】

    【この状況を予期していた訳ではあるまいに、ガーゴイルの操縦系統は、奇しくも半身を失った今でも生きていた】


    『しくじったネ、ゴエティアのヤツ、こんなにガラ空きにしテくれタなラ、カメラが利かなくたっテ外ガ丸見えダ……!』

                         ・・・・ 

    『────────────オイオイ、俺より格好良くなりやがって、ボー、もう一丁だ、ド派手に死に花咲かせようぜぃ!』

    『ヒハッ、生きて帰るっテ選択肢は無しかヨ……違いないネ、殺し殺されガ、オレ達の行きたい、死にたい戦場サ……!!』


    【左腕を構える、滑空砲の一射、それは当然アンドレアルフスからすれば容易く回避が可能な狙いの甘い砲撃だ】

    【が、その射撃と同時に発生した轟音は、あるものを掻き消す】


    【ビル・コークショットより、アンドレアルフスへ、狙いを修正した二度目の狙撃、その発射音を】

  • 57龍影◆9BZ6kXGcio25/04/15(火) 20:17:58

    >>53

    「燃費がいいと言っても確かに長期戦は無理ね…」

    悔しいがぴょんぴょんしている2機相手に回避と防御をするしかない龍影は反撃の機会を伺っていた。

    「A8式短刀であればリフレクターを切らずとも十分な切断力はある…どうする…?」

    その時、左腕に刺さったソニックナイフを見て思いつく

    機体をひねりわざと背部大型推進器を兄弟に晒す。

    その時に刺さっているソニックナイフを格納していた武装のように取り出して反転、接近を始める。

    この博打が通じるかは分からないがやる価値はある。

  • 58エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/15(火) 20:24:19

    >>52

     「そうだね。ただでさえ何かと不足しがちな世の中だ。使える資源は多い方がいい」


    【同じく無菌処置の施された清潔な衣服に着替えながら同意する】


    【脳内では、画面越し見た《シェセプ・アンク》の活躍が何度も細かく再生されている】

    【拡散マントで浴びせられるビームの雨霰を遮りつつ、スピナーホイールで的確に敵機を残骸に変えていく勇姿は感嘆物だった】


     「……ところで、何で僕は君の移植手術を見学することになったんだっけ?」


    【《アンク》がサーベルで飛びかかる敵機を切り裂いたあたりで再生を止め、エイダンは金龍に改めて尋ねる】

    【ぶっちゃけ流されるも同然で同行したため、詳しい訳を聞けないまま、ここまでやって来たのだ】


    【別に断る理由もないし、踵を返すつもりもないが、気になるので知りたかった】

  • 59ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/15(火) 20:34:08

    >>58

    エイダン殿が暇ならどうせと言うやつさ 

    ガキってのはいつでも新しいおもちゃを見せびらかすだろ?


    で、今回はお抱えの生体改造部門から新しく製造された“クロットリンプ”の移植だ


    【自分の背骨を親指で差す】


    その原理は至ってシンプル 

    体内の電気周期をいじり、神経伝達速度を底上げする

    簡単に言えば、一時的にアメコミキャラの“フラッシュ”になれるんだよ

    まぁ、その原理ゆえに義体を使うのが大前提になるが、俺はちょっと“特別”だから何とでもなるけどね


    【着替え終えてから手術室までの通路を歩くと、堅牢な扉が目に入る】


    おっと、何やかんや言ってる内に着いたようだ

    それじゃ、グロリア先生とご対面と行こうかね〜

  • 60ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/15(火) 20:51:06

    >>51

    「……!!!」

     外道らしく、と宣言したルヴァウの殺意の質が変わったことをケイは察した。蒼風はツインアイの残光を残しながら機動し、色しか残さない。紛れもない、死線の気配とともに。


    「――――ッッ!!」

     砲声が鳴り響く。三、四、五度と。背中合わせになった二機のガーゴイルを囲うように機動しながら、蒼風は無反動滑腔砲での射撃を続ける。 当然相手側の反撃を躱すため、その射撃間隔と機動は不規則。

     フェイントを織り交ぜながら、一発をシンドリーの盾にわざと当てて。


    「今、ッッ!!」 《関節負荷肥大、着地機動は注意を》

     蒼風が飛ぶ。コア粒子推進機関とウイングバインダーをフル活用した、上下反転倒立で真上を取る。

     予備として残してあった滑腔砲弾の弾倉が背中合わせになった二機のうち、ルヴァル機へ向けて放り投げられ……地面に刺さった箇所へと頭部バルカンを撃ち込んだことで爆発した。蒼風は全推力を降下に利用し、強引に着地――――悲鳴を上げる関節すら利用することで、爆炎の中で隠れた二機へと突っ込む。


    《スキャン》

    【敵機予測位置表示】


     煙野中で、レーダーを元に機影が強調表示される。それを元にケイは先行入力を『三手』当て込んだ。微調整はマニュアルで行く。

    (……祖父から教わったとおりに。殺意に、敬意を持って。殺意で返す!)


    「オオオオ!!」

     加速した蒼の残光と色が、煙の中を彩る。

     一手目、ルヴァウとシンドリー機の間に割り込む。そのままシンドリー機へ有針徹甲弾を遅延0で射出。シールドが割れずとも良い。拘束が狙いだ。

     二手目、高速速射砲をシンドリー機へ追撃。ルヴァウ機へ旋回機動で接近。ビームサーベルを縦振り、回避させることが狙い。即座に機動。

     三手目、離れきった距離を利用して、ルヴァウ機をシンドリー機からの射線に被せ盾にする。そうでなくても密着させる、そして、最後の有針徹甲弾を射出。

      蒼風の機動が、始まった。

  • 61人自連依頼人◆xZJxX8ZGsA25/04/15(火) 20:58:10

    「既にゴエティア戦団は派遣されてしまったのだが…未だ状況は拮抗している。そこで貴方の力を借りたい」
    【焦燥を滲ませながらも爽やかな男性の声は、仲間を案じているのだろう。SOUND ONLYという文字の隣、返り血に濡れた猫のようなアイコンを見つめてしまうのは、彼の生真面目さゆえの癖かもしれない】

    《いいよ。ただ、緊急だから二割上乗せ。前金は四割》
    「分かった……支払おう」
    【希望の光を幻視した男は、冷え切った少女の声で現実に引き戻される。だがこの程度の要求は…危険度を顧みればかなり良心的なものである】

    「忌々しいが…急いた三羽烏のお陰で彼らは保っている。外縁への派遣など不和の種となるのは分かり切っているだろうに──失礼、今のは忘れてくれ。大事なのは、まだ彼らは無事なはずということだ」
    【ゴエティア戦団。人自連の強大な執行組織の一つだが、彼らはその長を人質に取られ、老害達によって使われてしまっている。支配権外縁への派遣など、本来ならばクロノス・インダストリーへ“一言”は挟まねばならないはずだが、老害がそれを行ったとは思えない。しかしそんな愚痴を彼女へぶつけるのは無礼だと思い直し、男は自らの言動を恥じながら、深呼吸した】

    「彼らを、頼む」
    《受けた以上、全力は尽くす》
    【プツン、と通信が切れる。“助ける”とは言ってくれなかったが、それこそ彼女の誠実さなのだろうということも理解できる応えだった】

  • 62ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/15(火) 20:58:36

    >>54

    >>56

    『────────────────────機体性能を更新。機体間相互通信を開始する』


    【言葉を返しはしない。命を奪う速度を突き詰めたとして、その事実を恥じる気は“ストラス”にはないのだから】

    【戦争が進化しようと、インベイド侵攻より前からずっと彼は一介の“兵士”である。無機質な殺意で敵を排除する機械の歯車に過ぎない。狂えるような熱はなく、存在するのは凍えるような思考のみ】



    『強制排除を執行する』


    【二連続の粒子ビーム。先程の焼き直しだ、榴弾を直ぐに撃墜──────無反動砲の砲撃が背後へと回された巨盾によって堰き止められる。だが徹甲弾を防ぐ猶予はない。無問題だ。両肩の火炎放射器を再び眼前の鬼の四脚に正面から浴びせる。クイックブーストで横に加速】


             ・・・・

    【目眩し、それから位置確認に過ぎない。左腕下部に固定されたビームライフルの吐き出す粒子が直進して炎を飛び越え、】




    【───────────────────鬼の横も飛び越えて、滑空砲を構えた『SHINONOME』の背後からコクピットを貫く軌道で殺到した】



    『貴様は後だ』


     ・・・・・・・

    【機体間視界共有。マルチタスクによって背後から迫る徹甲弾を紙一重で躱して、鬼の四脚に衝突する軌道上に置いた。火炎放射器による炎の壁は徹甲弾を隠匿するだろう。装甲に命中した場合のドミニク機の損傷を確かめる目的もあった】

  • 63エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/15(火) 21:01:13

    >>59

     「なるほどね」

     (フラッシュ……リンゼイが寄越した古雑誌にそんな名前のキャラクターがいたような……)


    【ぼやぼやと胸元に雷マークを刻んだ人型を描きながら歩を進める】

    【二人の足が扉の3歩前に辿り着きそうになったあたりで、広々とした空間が音も無く目の前に広がった】


     『よ〜こそ、お客様ァ!アタシがグロリア・ドーセント、そこの若旦那の手術を担当するDr.だ。よろしく』


    【規則正しく、間隔を空けて配置された最新鋭の医療機器を背景に、そう高らかに名乗った女は諸手を上げて二人を歓迎する】

    【艶やかな黒髪と豊満な肢体を隙間無く緑色の手術着に詰め込んで、マスクの裏で満面の笑みを浮かべながら】


     「……グロリア、初対面の患者にその対応は不味くないかい」


     『別にいいだろ。アンタが大人しく連れられてる時点で普通じゃないんだ、下手なおべっか使ったって意味ないさ』


    【そう言い放ち、カカッと不敵な笑いをたてるグロリアの様子を見て、エイダンはわざとらしく肩をすくめた】

  • 64ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/15(火) 21:11:35

    >>63

    どうも〜グロリア先生

    噂はかねがね、思ったよりも元気な方なんですね


    【片手をヒラヒラと振り上げてニコリと返事する】


    それはそうと、これが終わったら少しディナーに行きませんか?

    特上のワインが飲めるレストランを予約しますぜ?

  • 65ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/15(火) 21:17:24

    >>55

    >>56

    『意識は残存。致命傷かは不明。自白剤は使えないと覚悟するべきか?』


    【アンドレアルフスは目を細めた。致命傷を与えるつもりであったが果たせなかった。ビームサーベルの射程内に突入してきたのは想定外と言っても差し支えはないだろう】


    【踏み込む。中型推進機構が火を噴き出して加速が行われる。瞬時に彼我の距離を詰める、殺さず制圧などと甘い事は考えない。敵機は揃いも揃って歴戦の傭兵だ】


    【例え敵機と僚機の距離が縮まっても迷わず撃てるだけの技量を、狙撃手も備えているだろう】



    『狙いが甘い、故意だな』


    【──────機体間の視界共有によって背後からの徹甲弾の情報をストラスに繋げる。火炎放射器によって炎の壁が出来た後のドミニク機の座標もだ】


    【無反動砲から放たれた攻撃を右手の構えるリニアキャノンによって真正面から粉砕して肉薄する。高周波大型実体剣はコクピットを守護するが如く前に構えて、しかし両腕から突き出たビームサーベルが攻撃を成立させる】


    【右手。刺突の姿勢で『SHINONOME』を狙った。背後から迫る粒子ビームとの挟撃だ。そして横への回避を見透かして左手のビームサーベルをガーゴイルのパイロットを巻き込む軌道で薙ぎ払っている】



    (──────チッ、良い腕をしている)


            ・・・

    【右の推進機構が弾けた。コア粒子の誘爆を防ぐ為に接続回路を切断。左方向へのクイックブーストが使用不可能になる─────肉薄しての近接戦では分かり易い弱点になるだろう】

  • 66エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/15(火) 22:07:54

    >>64

     『カカッ!ナンパかい、若旦那?そういうのはね、相手と同じもんを飲み食いできるようになってから言うもんだよ』


    【冗談半分といった風な調子で言いながら、軽く手を振りかえす。そのまま親指を立て、手術台を指差した】


     『なんだったら、おまけにアルコール分解用の内蔵インプラントも入れてやろうか?』


    【どんなに強烈な酒精も一瞬で蒸発させる特製品だ。それなりに値は張るが、調節してほろ酔い気分のままで居続けることもできるので入れたがる富裕層は多い】


     『アタシは葡萄みたいな甘いもんより、煙くさい蒸留酒が好みでね。一緒に飲みたいなら入れた方がいいよ』


    【二マリ、とまたもや不敵な (今度は挑発的な意も含んだ) 笑みを浮かべたあと、少し間を置いて】


     『……まぁ、もし違うなら、四週間目の末に予定を空けておくよ。それまでは予約がギチギチでね』


    【そう言って窮屈そうなため息をついた。名医と呼ばれる由来の腕前にあやかりたい者は多いのだ。おかげで大好きな酒も葉巻も、満足に楽しめる暇は少ない】

  • 67ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/15(火) 22:14:12

    ハッハッハ 冗句ですよ冗句

    内臓系はもう十分ですが、存外と良い顔してくれるんですねぇ?
    もしかして惚れたんです?

    【実地試験の帰り際、メビとお見合い写真を見比べ、近々取り付けるようにしていた金龍】
    【いつもより少し舞い上がっていたのもあって口から出た売り言葉だが、良い値はついているらしい】

  • 68エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/15(火) 23:07:31

    >>67

     『ハッ!生憎と一目惚れするほど初心じゃないよ。稼げる額が上げれそうなら上げてみる主義ってだけさ』


    【商売前に口先だけとはいえ、喧嘩を買うほどイカれてはない。損になるだけの買い物はしないと決めている】

    【……まあ、ここらで雑談はやめるべきだろう。これ以上続けると将来の懐に入る金が減りそうだ】


     『さ、寝ころびな。次に起き上がる頃には一足飛びで出口まで辿り着ける身体になってるよ。見学はそっちだ』


     「わかった」


    【手慣れた様子でサイバー手術用の機器を操作しつつ、片手間に指示を出すグロリアに、エイダンは特に何も言わず指定された位置についた】


    【あとは金龍が下げられた手術台に上がるだけだ】

  • 69ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/15(火) 23:18:05

    なんか……俺の知ってる銭ゲバと同じ香り……
    まま、今日はよろしく頼むよ

    ズバッと行ってササっと取り付けちゃってくれ

    【そう言って青い合成革の手術台にうつ伏せに倒れる】

  • 70エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/15(火) 23:46:22

    >>69

     『任せな。伊達に高給取ってないんだよ、アタシは』


    【手術台が静かに上がり、麻酔が注射される。自然と意識が深い眠りに沈んでいき、体の感覚が鈍っていく】

    【機器が奏でる無機質な駆動音と単調な電子音の子守唄を耳に掠めながら、金龍の目は閉じられた】


           〜数十分後〜


     「……やあ、起きたみたいだ。おはよう、Mr. 勞。気分はどうだい?」


    【プールの底から浮き上がるような感覚とともに意識が覚醒する。瞬きを数回繰り返して晴れた視界に映ったのは、真っ白な天井を背景にこちらを覗き込むサイバーゴーグル】


     『バイタル異常無し、拒絶反応の類も無し。……良い身体だねぇ、ホント』


    【呆れと感心を半分ずつ込めたような声が聞こえる。前と横から入ってきた言葉の内容を頭の中で処理していると、唐突な浮遊感が自らを覆った】


    【手術台が下がり、拘束が解ける。冷たい床の気配が如実に感じられた】

    【降りて状態を確かめてみろ、ということらしい】

  • 71エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/16(水) 00:20:09

    >>69

     『任せな。伊達に高給取ってないんだよ、アタシは』


    【手術台が静かに上がり、麻酔が注射される。自然と意識が深い眠りに沈んでいき、体の感覚が鈍っていく】

    【機器が奏でる無機質な駆動音と単調な電子音の子守唄を耳に掠めながら、金龍の目は閉じられた】


           〜数十分後〜


     『バイタル異常無し、拒絶反応の類も無し。……良い身体だねぇ、ホント』

     「ああ、起きたのかい。おはよう、Mr. 勞。気分はどうだい?」


    【プールの底から浮き上がるような感覚とともに意識が覚醒する】


    【呆れと感心を半分ずつ込めたような声のあとに、気さくな言葉がかけられる。後ろと横から入ってきた内容を頭の中で処理していると、唐突な浮遊感が自らを覆った】


    【手術台が下がり、拘束が解ける。冷たい床の気配が如実に感じられた】

    【降りて調子を確かめてみろ、ということらしい】

  • 72二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 00:23:49

    このレスは削除されています

  • 73二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 00:30:57

    このレスは削除されています

  • 74ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 00:31:29

    >>71

    生憎……俺は“特別”だからな……


    【深く息を吸い込み、四肢を目一杯伸ばす】

    【そこで身体中のつっかえを取り除くと、腕立て伏せの要領で起き上がり、紅い血を滴らせながら脚を床に付ける】


    あぁー……何だかとっても良い気分だ……

    新品のコールビートに初めて乗った時みたい……


    【麻酔がまだ残っているからか、頭がイマイチ回らない。思考が支離滅裂に連続する。夢を見ているのと似た感覚】

    【だがその体質のおかげか、数刻後には覚醒する】


    ……よし、早速試すか

    エイダン殿、自分の首に気をつけたほうが


    【いつの間にか金龍の左手は、右側に置かれていたメスが握られていた】


    良かったと思うぜ?


    【エイダンがはっと気づいた時には、すでにメスが彼の首すれすれを泳いでいた】

    【そして、そこから頬へ滑らせてペシペシ叩く】


    どうだ? 今の俺は速いと思うか?

  • 75エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/16(水) 09:10:40

    >>74

            ・・・・・・・・・・

     「……そうだね。速すぎて見えなかった、かな?」


    【無遠慮に頬に当てられる冷たい板を手のひらで退け、そのまま回収しながら答える】

    【そして、エイダンは勞 金龍に対する警戒心のギアを一段階上げることにした】


    【新しい体の性能を試すなら、ただ目の前に迫るだけでも良かったのに、こんな手を使うのだから】

    【首筋に刃を当てなかったことを考えると殺意は無いのだろうが】

    【麻酔明けでハイになっているのか、若気の至りか。後者であることを祈っておこう】


     『あー、ちょっと、ちょっと。ここでスプラッタを起こす気なら清掃代と蘇生代を上乗せするよ?』


     「その必要はないよ、グロリア。ただの戯れさ。……はい、返却」


    【お得意様の喉が掻っ切られると思ったのか、身を乗り出してきたグロリアにメスを返し、その場から離れた】

  • 76二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 11:13:20

    このレスは削除されています

  • 77ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 11:18:54

    前スレ200
    いつものように少年は格納庫へ向かう。だが今までとは違う。機械油で汚れたつなぎを着て先生と二人で整備していた時と違う。
    「楽しみだ!あのピカピカのアイツに会える!」
    動かす足は早くなる。
    黒ずんだコンクリート建築が立ち並ぶ中、真新しい白灰色の建物が見える。
    「003」と黒く番号の振ってある格納庫
    少年の新しい相棒の家
    逆巻という会社の人たちから貰った鍵でドアを開け、中に入る。
    毎日洗濯できている綺麗で清潔な作業着に身を包んだ大人達が少年の相棒の為にここに居る。
    「あっ…」
    言葉に詰まる。深呼吸をする。胸に手を当て、己の鼓動を落ち着かせる。
    よし、
    少年は呟く。
    「ヤモリのパイロット、カスミ・ハヤテです!よろしくお願いします!」
    格納庫で作業している全員に聞こえるように多少うわずった声で挨拶をした。
    …しまった。
    少年は前の相棒の名を呼んでしまった事に気づき顔を赤くした。
    「あぁ、この"ヤモリ"の整備を任された、班長のヨツバだ。よろしく、ハヤテ君。」
    整備班長のヨツバという男は少年に右手を出す。その手は若く、それでいて頼りになる。そんな手だった。
    「す、すいません…朧月…でした。」
    照れくさそうに少年はヨツバの手を握り返す。
    「お前ら!整備するのは我らが逆巻の新型!廉月の特殊仕様『朧月』だ!良いな!」
    ヨツバは声を張り他の整備士に聞こえるように言った。
    「おうよ!「任せろ!「よろしくな!ハヤテ!」
    作業をしていた手を止めて応える。
    少年の視線は朧月へ移る。
    見慣れたチョコチップパターンカムのボディに黒茶色の腕脚。そして先生から貰ったゲッコーのエンブレム。
    全てが少年の為に用意されていた、新しい相棒。
    しかしこの機体は廉月の特徴である背中の大型推進器はない。ヤモリと同様に陸戦特化仕様だからだ。
    …現在の朧月は雨の予兆として嫌われる傾向にある。だが先生は「雨は恵みだ。ヤモリみたいなトカゲにとってはな。」と言っていた。せめて恵みの雨を降らせたい、そんな想いが込められた名前である。

  • 78アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 11:57:05

    >>57

    >>60

    >>65


    『────────────移動する射線、私達の周りを囲うみたいに移動しているね』

    『対応する、移動予測地点、前後への同時偏差射撃、及び全周防御運動』『あいよ、ルヴァウ!』


    【目で追うことは不可能だ、デントナの様な空中戦に於ける超絶技巧も持ち合わせては居ない、だが機体そのものが幾ら速くとも放たれる弾速には限度がある】

                                ・・

    【射線さえ見えていれば回避が出来る、次いで、発射地点より前後へのマシンガンによる偏差、同時射撃、当たらずとも良い、弾をばら撒きこちらは蒼風の高速移動への対抗手段を持っているという牽制】

    【そして回避が出来ない射撃は、増加装甲にて受ける、弾く、丸みを帯びたガーゴイルの装甲は衝撃を緩和させることが可能だ】

    【直上からの反応、落下する弾倉の炸裂に左腕を前面に掲げて対処】


    『……外した訳ではない、わざと爆発させたな、煙による視界のロックを掛けた……!』


    【それは蒼風のパイロットへのある種、信頼でもある、無計画にこの様なことをする訳があるまいと、故に狙いを推測する】

    【────────────この状況下では蒼風の射線も通らない】


    『接近戦に持ち込む気だ、スリーカウントでフォーメーションを解除、3、2、1……!!』


    【……二機のガーゴイルがそれぞれの後方へ銃口を向け反転するのと、蒼風がその間へと割り込んで来るのは、ほぼ同時だった────────────やはり、背後が狙い】

    【一手目は有針徹甲弾、シンドリーは左腕の増加装甲で以て受ける、内部での炸裂は左腕を吹き飛ばして、二手目、速射砲の弾頭は左腕が弾けた反動による後退を利用し、蒼風を中心に置いた円軌道で回避】

    【そして三手目、サーベルを回避したルヴァウ機の背後へと回った蒼風の軌道の狙いは、こちらの射線を妨ぐ為か】


    『撃て、シンドリーッ!!』『うぉらぁぁああああああ!!!』


    【シンドリー・クレマティスは怯まない、愛する夫が、この程度を回避出来ない訳が無いと信じているから】

    【一切の躊躇なく、右腕に残されたマシンガンを夫の背後へと向けて掃射する、ルヴァウ機は妻の射線から直上への跳躍によって退避し、振り向き様、徹甲弾を放とうとした蒼風の『腕』を狙い引鉄を引く】

  • 79アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 11:57:21

    >>57

    >>60

    >>65


    【距離を詰めようとする望月────────────逃げる、逃げる、ジェミニ、否、逃げるし逃がさない】

    【兄弟パイロットの狙いは望月の息切れである、そうと決めた時点で、戦術を変えはしないクレバーさが二人には共通している、どこまでも執拗に、いやらしく】

    【片方に近付こうとすれば、逃げる、そうして背後に回ったもう一方は望月を追う、機体間の距離は詰まらず広がらない】


     ・・・・

    『詰ませるぞ、ベンソン!』『分かってらぁ、フランク!』


    【互いに有効打は持ち合わせない消耗戦、されど、追われる側の消耗がより激しいのは自明の理だ】


                    ・・・・・・・・・・・・

    【やりたいことはさせてやらない、お前の出番は終わっている、と】


    『逃げろ、逃げろ!』『追え!追え!』『接近したい!?』『分かってんだよ!!』『『させてやらねぇよ!!』』

  • 80アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 11:58:00

    >>57

    >>60

    >>65


                    ・・・・・・・・

    「────────────オイ、そりゃもう見たぞ大道芸人」


    【左腕の砲塔が正面を向いた、時限信管、1秒後】

    【放たれたばかりの榴弾がアバドンの構える大盾の直前で爆発し、マーキュリーの放った火炎流を爆風によって掻き乱して、塞ぐ】


       ・・・・・

    「で、見せた筈だ」


    【異形の大型4脚は、推進力を保ったままの旋回が可能である、横を擦り抜けたマーキュリーの軌道上をアバドンのモノアイはそのまま追いかけて、機体が最も近く、交錯する一瞬、榴弾の接射を放った】

                               ・・・・

    【マーキュリーが狙った、僚機射線上へのアバドンの誘導は成らない、フリー・ボーイ、ヒルマーの支援射撃は、それぞれの弾道が交差する射線で放たれており、アバドンは既にその交点の先へ移動を完了している】


    「何年戦ってると思ってンだ、同士討ちなんざするワケねぇだろうド阿呆が、ジョナサン!」


    【次いで更なる支援が降る、後方のタンク型BFが重々しく両腕を掲げた、ミサイルランチャーである】

    【元戦車団所属、義体のパイロット、ジョナサン・バルガネルラは瞬きを必要としない義眼の輝きで以てマーキュリーに狙いを定めると】


                    ・・・・

    【撃鉄を起こす、同士討ちはしない手動誘導によるホーミングミサイルの曲芸射撃、左右両腕から計16発】

  • 81アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 11:58:32

    >>57

    >>60

    >>65


    『……なぁ、そりゃクセか?』


    【アキル・ナカトウは小さく口笛を吹いた……死んだ同胞の癖が乗り移った訳でもあるまいに】

    【ヴィーナスの攻撃は先程と同様だ、左右の挟撃、現在地と、回避可能方向への────────────確かに隙は無い】

    【隙は無いが、ボーのガーゴイルを巻き込む軌道だ】


    【右手の刺突、及び背後からの粒子ビームをホバリングユニットの水平移動によって躱す、無論、そちらにはヴィーナスの左腕ビームサーベルが翻っている】

    【────────────いや】


    『それとも、デスペラードに命懸けって言葉はねぇと、タカァ括ってるのかよぅ?』


                              ・・・・

    【ビームサーベルが、左利きのガーゴイルを斬り裂いて、止まった】


    『────────────ッハ、ヒハッ────────────』


    【ボー・ワンチェンが嗤っている、露わになったコックピットで、その上半身はとうに腰から下と泣き別れしている】

    【それなのに、左利きのガーゴイルはヴィーナスの左腕を確と掴んで、離していなかった】


    『ちぇぇぇぇぇぇぇすとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』


    【刺突を躱し、懐へと跳び込むSHINONOME、構えた金属塊を振りかぶり、ヴィーナスがコックピットを守る様に配置した実体剣諸共に】

    【押し込む様に、叩き付ける】

  • 82ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 12:06:46

    >>75

    まぁまぁ安心して下さいよ、先生


    うっかり刃を当てたのならまだしも、さっきからずっと峰部分ですよ

    それにスプラッタ沙汰なら、戦場とゲームの中だけで充分ですからね


    【へッと笑い、宥めるように手を小さく縦に振る】


    それはそうと、エイダン殿にはちょっと申し訳なかったな

    思ったよりもビビらせてたようだ


    【片手合掌で謝意を示す】

  • 83二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 12:23:09

    このレスは削除されています

  • 84ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/16(水) 12:50:53

    >>80

           ・・・・

    『あぁ。それはもう見た』


                         ・・・・・・

    【────────────────────機体ではない。粒子ビームに榴弾が着弾している。火炎は元より機体への損傷が目的ではなく、眼前に迫るナニカへの確信を与えない為だ】


    【振り返らずにアンドレアルフス機との視界共有を介して背後からの火力支援を捕捉する。左腕下部に固定された粒子ビームライフルが再び粒子を吐く。全てを撃墜する必要はない。肩越しに速射する】



    【ホーミングミサイルの一つが粒子に貫かれて炸裂する。爆風と破片が拡散して、他のホーミングミサイルを巻き込んで誘爆した─────続く。ビームライフルに実弾兵器と同様の装填時間は存在しないからだ。充分な火力を粒子の続く限り放てる】


    【全て、誘爆させ終わる。射出から一秒もしない内に察知しなければストラス程の射撃手でも意図的に誘爆させるのは密度の面で不可能であっただろう。だが機体間視界共有は「ゴエティア戦団」より死角を排除する】


    【そして、】


     ・・・・・・

    『振り向いたな?』


    【狙いを定める必要もない。広範囲を巻き込む火炎が間を置かずに再び放たれる─────今度はアバドンの機体背面を狙い澄ます形で、だ】


    【照準を必要としない武装は、最高速で戦場に燃え広がった】

  • 85ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/16(水) 13:14:18

    >>81

    『そうだな。私の癖だ、ついつい一石二鳥を狙おうとしてしまう』


    【動揺なく、アンドレアルフスは至って冷静に言葉を紡いだ。左腕下部固定型のビームサーベルが左腕諸共掴まれて動かない、お陰で追撃が行えずに敵にチャンスを与えてしまっている。悪癖だ】


    【鋭く剣閃が奔る。力の押し合いに持ち込まれれば機体に万が一が生じる可能性があるからだ。衝突の直前に実体剣をスラスターと合わせて上方向に動かして金属塊を弾く─────しかし左腕が動かない現状では其れが限界で、】


     ・・・・・・・・・・・

    『仲間想いには殊更に効く』


                         ・・・・・・・・

    【────────────────────左腕がパージした。「ゴエティア戦団」の機体は専用機ではなく、追加特殊装甲パッケージを装備した機体である】

     ・・・

    【だから、追加装甲との連結を解除するだけで容易に拘束から逃れられる】



    『思い上がるなよ、デスペラード』


    【直前まで掴まれていた筈の左腕が、大口径リニアキャノンを瞬時にコクピットに押し当てて引き金を引いた。二連射。直撃せずとも衝撃だけで人体構造を破壊するのには充分なマッハ5の弾速が至近距離から叩き込まれる】



         ・・・・・・

    『目の前で腐るほど見た。俺に“命懸け”を語るな、貴様らよりは知悉している』


    【対地級インベイド相手に命懸けで突っ込み、若い命を散らす代わりにその武器を奪ったパイロットも。同じだけの覚悟を持ったパイロットを雑兵だけの特攻隊で圧殺した“統率個体”の戦術も】


              ・・・・・・

    【命が弾薬と同じ様に使われていた時代を生き抜き戦い抜いたのだ。命を懸けても、効果は命一つの分しかないと理解している】

  • 86エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/16(水) 13:23:47

    >>82

     『その考えを持ち続けてくれることを願うよ。……にしても、最近の若者のジョークは過激だねぇ』


     「次回があるなら、もう少し穏やかなものにして欲しいかな。何しろ、ほら、心臓が跳ねやすい歳なものだから」


    【軽薄な態度だが嘘は無い】

    【それで (薄いとは思っていた)害意も無かったと判断して、ようやっと二人は肩の力を抜いた】

    【先ほどまで良い雰囲気だった相手に凶刃や凶弾を向けられた経験が、二人に緊張の糸を張らせていたのだ】

  • 87ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/16(水) 13:39:55

    >>78

    「(味方を信頼してる!!なら!)」

     真上に飛んだルヴァウ機、そして目の前で弾丸を放つシンドリー機の動きを見て、ケイは最後と一発である有針徹甲弾の射撃を……止めなかった。


    「次善、策だァ!!」

     即座に狙いを正面のシンドリー機へ修正しながら射出。と同時に蒼風を前に加速させて、ルヴァウ機の射線から外れる。目の前のシンドリー機の射撃は左の盾で強引に防ぎ。


    「い、けぇ!!」

     機体をケイの視点で大きく上に持ち上げながら頂点でロールさせれば、ルヴァウ機は既に目の前。

     インメルマンターン。初期インベイド戦争時代に月風乗り達が好み活用した、戦闘機動である。


    「ぉおおおぉ!!!」

     シンドリーの偏差射撃で右腕が傷ついていることにも構わず、右のビームサーベルをルヴァウ機とのすれ違いで展開し切りつける。当たったのか、僅かに装甲が焼けたか否かも、ケイには判別できないまま。


    【右腕部稼働限界、大破】

    「……!!!」

     サーベルを振り切った瞬間。蒼風の右腕が限界を超え、固定された滑腔砲ごと肘から千切れるように宙を舞った。

     そのまま、ケイは僅かに距離をとって敵となる二機を確認、強引に着地。機体の排熱を行わせる。


    【警告。コア粒子残量37%】【関節負荷肥大】【コア粒子推進機関過熱、強制冷却】

    「はぁ、はぁ……はぁ……くそ……!!」

    《ケイ、これ以上の全力機動は……》

    「でもやらなきゃ死ぬ!!」

     まだギリギリ残っている左腕の盾で機体を庇いながら。叫び、僅かに溢れた吐血を拭う。アラートが鳴り止まない。


    (倒しきれなかった……!!)

     汗が伝う。左腕にライフルを持たせる。 膠着を維持できるか。それすらわからない領域まで蒼風も、ケイも消耗していた。

  • 88ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 13:40:25

    >>86

    ハッハッハ 過激なんてのは俺達には両親よりも身近なんですがね、でしたら心肺機能を活性化させる食事でも用意しましょうかい?

    香辛料の力は偉大ですぜ?


    この際に先生にも養命酒を贈っておきますよ?

    どうします?


    【インプラント手術第一人者であるグロリアの御業のおかげで、術後の痛みや傷も無いまますっかりと馴染んでいるため、身体中に付着した血を洗おうと部屋を出る準備をする】

  • 89エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/16(水) 14:19:37

    >>88

     「そうだね、お言葉に甘えようかな。辛味の本場を味わう機会なんて滅多に無いだろうし」


    【床に積もっている血を踏まないようにして、自身も部屋から出ようと歩き出す】

    【とりあえず着替えて気分を切り替えなければならない】


     『アタシはけっこう。養命の手段は熟知してるしね。どうせ贈るなら、ウィスキーの方で頼むよ』


    【片付けの準備を始めながら、グロリアは片手を振って二人を見送る。ついでに自分好みの酒を贈らせようとしてくるあたり、ちゃっかりしている】

  • 90龍影◆9BZ6kXGcio25/04/16(水) 14:45:24

    >>79

    望月は加速してフランク機との距離を詰める。

    背部大型推進器は不気味な音を奏でる。

    ビームライフルを捨てて攻勢に出たはいいが、この兄弟の撹乱に構っていたのもあって推進用の粒子もだいぶ減った。

    回避軌道に入ってベンソンとスイッチングする。

    その一瞬だけ同軸かつ望月の腕の可動域内に入る。

    「ブラインド!フラッシュ!」

    望月の腰部側面から放たれたタイルが炸裂して太陽と見間違う程の閃光を放つ。望月の背中側で瞬いたため殆ど被害は無いだろうが龍影は念の為にカメラを落とした。

    しかし相手は機体頭部をフラッシュから守る判断はおそらくこの一瞬で取ることは無い。

    安全距離を無視した閃光弾の使用は望月の表面を熱する。

    その高温に体が晒されている訳でもないのに龍影はチリチリと肌が焼ける感覚になる。

    「サーチ!」

    望月のセンサーアイは紫色に光る。

    カメラは無事だ。視界は白飛びしていない。

  • 91ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 14:46:46

    >>89

    でしたら、知人から50年もののを取り寄せておくんで、1週間後の経過報告と共に楽しみに待っててください


    【背中を見せたまま片手を上げ、金龍は補助士と共にシャワールームへと去って行った】

    【そうして、日常もまた過ぎて行った】

    【K.I管轄区異常無し】

  • 92ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 15:11:30

    >>77

    「ヨツバさん!コレに乗っても?!」

    少年は目をキラキラさせて朧月を指さす。

    「ハヤテ君、朧月は君のBF(相棒)だ。許可なんて取らなくても大丈夫。」

    ヨツバは笑顔で伝えた。

    「…はいっ!」

    少年は駆け足でキャットウォークへ続く階段を駆け上がる。

    コックピットブロックの蓋は開いており、パイロットを待っていた。

    「はいよ、これ。」

    整備士から冊子を渡される。

    それを小脇に抱えて、開いている蓋から中を覗くと、コックピットレイアウトはヤモリのものであった。

    すぐさまシートに滑り込むように座り、起動操作を始める

    「コア粒子機関始動。…機能確認は…良かった、これもヤモリと同じだ。」

    慣れた手つきで次々にスイッチを操作してセットアップしていく。

    「酸素供給システム・作動、よし。排気温度調整機構・作動…よし。機体位置測定機能・作動…ん?連動?これはヤモリには無い機能だ…」

    渡された冊子を読む。

    <同型同士で位置情報を共有してマップデータを更新する>

    「なるほど…ってことはヤモリをほんとに廃すつもりなんだ…でも今はこの機能は無視でいいな…コア粒子伝達流路調整機能・作動…うわっ…あ、そっか…本来は背中の推進器に回す分の粒子タンクも入ってるから活動時間が長いのか…これはすごい…っ!…えーっと最後はBP(バディ)保護機能・作動。自己診断システムは…うん、全て正常。」

    コックピットブロックの蓋が閉じてモニターに外の様子が映る。

    キャットウォークにいる整備士達はサムズアップをしてから離れる。

    『あっ出撃はしませんから!』

    少年は安全距離へ離れた整備士へ伝える。

    「ハヤテ君!朧月で外を走ってきても大丈夫だよ!」

    朧月へヨツバは大声を出して伝える。

    「…ありがとうございます!朧月!発進します!」

    以前使っていたハンガーのように錆び付いた音を出すことなくキャットウォークは左右に避ける。

  • 93ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 15:25:01

    >>92

    少年のトカゲは月となり、大地を踏みしめた。

    高さと重心がヤモリとはまるで違うが、乗り慣れた相棒と同じ操作感であった。

    「す…凄い!」

    少年は相棒の滑らかな動きに感動した。CNTを使わずにここまで人のように歩めるのだから。

    そこからはコロニーの外で動きを一通り見た。跳ぶ、しゃがむ、屈む、武器の構え等…スライディングといったトリッキーな動作もする。ヤモリよりもスムーズに全ての動きが出来た。凄まじい動作性だった。

    格納庫へ戻り、ハンガーに繋がれた相棒から降りる。

    興奮と好奇心で少年の目はキラキラと輝いている。

    「朧月…よろしくな!」

    無邪気に新しい相棒の名を呼ぶ少年の瞳の奥は、憎しみで塗りつぶされた殺意を抑え込んだ深い辰砂色をしていた。

  • 94ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 16:06:17

    >>38

    聞こえてる。ミャーはこの機体で何をすればいい?

    【どこか硬い返事で通信に応答する】

  • 95ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 16:27:15

    >>94

    まぁまぁリラックスリラ〜ックスだ、姐さん

    いつものミャーミャー語尾が消えてるぜ?


    【ハッハッハ】


    まぁとにかく、今回の任務はデスペラードの大規模補給ステーションの制圧だ


    本来は上層部から俺へ委託された“殲滅任務”だが、“とある情報通”から手に入れた情報によれば、その立地と保管されている物資の量が中々惹かれる物でな、このまま燃やし尽くすのも勿体無い

    ってな訳で、俺個人の判断で姐さんに代役を任せる


    ステーションの建築物と物資をできる限り破壊せず、敵だけを滅ぼしてくれ


    ちなみに依頼料は3億、俺とアンタで7:3だ

    文句は無しだぜ? アンタの活躍でデータもウハウハ、それに伴う利益の大半はアンタの懐に納まる事になってる

    お互いのこれからを考えれば、妥当な分配だろう?

  • 96ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 18:11:40

    >>95

    にゃるほど…BFだけスクラップにしてなるべくものは壊すなと

    了解、配分はそれで文句ないにゃ

  • 97ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 18:16:20

    >>96

    Exactly(その通り)


    それじゃ、10秒後に降下だ チーズ片手に幸運を祈ってるぞ

  • 98ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 18:18:58

    「10,9,8,7,6,5……」

    【格納スペースのスピーカーから機械音声が流れる】

  • 99ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 18:23:10

    >>97

    >>98

    吉報を期待するといいにゃ…行くよ、シェセプ・アンク

    【カウントダウン終了後、格納庫から四速モードで投下された最新鋭機が、降下の勢いを利用し初っ端から高速で戦場を駆け始める】

  • 100二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 18:36:40

    >>99

    「やっぱサボって吸うタバコほど美味いもんはないな〜」

    「だなだな〜」

    「BFがあるつっても『今日中に鉱石を全て積め込め』ってやれるわけねぇだろ。あんな馬鹿げた量をどこに持って行くって話だよ」

    「だなだな〜」


    【とある倉庫の片隅、タバコを燻らせる3人の軍人崩れあり。その着古した服は泥と煤まみれであった】

    【金にも兵器にも変えられるレアメタルを輸送用BFに移すように言われていたものの、一般BF5機をフル稼働させても持て余す量であり、先ほど人力要員として駆り出されていたものの途中で放棄したらしい】


    【ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……】


    「ん? なんか聞こえねぇか?」

    「気のせいだろ、ここじゃ風が強いのはいつもの事だ」

    「だなだな〜」

  • 101ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 18:47:25

    >>100

    (まだ向こうは警戒が薄い、ならまずは乗られる前に“乗れるやつ”を減らす)

    【ホイールをトップスピードに乗せつつ、まずはミサイルバインダーを用いて待機状態のBFの中枢めがけて攻撃を開始しつつ、自機の足元にも何発か撃ち込んで発射の衝撃をブレーキ代わりにしつつ曲がり撹乱を始める】

  • 102二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 18:52:55

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 18:54:56

    >>101


    【KABOOOOOOOOOOOOMMMMMMMMM】

    【KLATOOOOOOOOOOOOMMMMMMMMM】

    【ミサイルが直撃し、格納庫が2棟爆発する!】


    「なんだぁ!!!???」


                     「現況報告!」

           

         「敵が来たぞおおお!!!!」


      「おいどうなってんだ!?」

     

    『敵襲だ! 戦闘員は早く持ち場に着け!』

  • 104◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 20:06:01

    狩の星無き夜

    夜間の移動は我々としてもありがたい。
    異端への神罰を終わらせ、家へ帰っている時である。
    空は黒々としており、常に光り輝いている星も墨を零したような何も無い真夜中である。頼りになるのは4機ヤモリのBOXコックピット先端に着いているライトのみである。
    武装は30mm突撃砲。コロニーへ輸送中であったのもを奪って使っている。
    くすんだ深緑色に赤紫が斑にある装甲は光線を通さない。

  • 105ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 20:41:23

    >>103

    (BFが狙われてると悟れば、駆け込む場所は決まっている)

    やる気のないデスペラードなんてちょろいもんにゃ。もうちょい真面目に仕事やってりゃあ面倒だったのににゃ

    【ホイール装甲を一時的に2足へ切り替え、前足のビームスピナーホイールを慌てて格納庫に向かうデスペラード目掛けて発射する】

    【本格的なBF戦闘が始まるまでに極力相手の力は削いでおきたいからだ】

  • 106二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 20:48:42

    このレスは削除されています

  • 107ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 20:49:45

    「はっ──」

    【その熱量により、敵は断末魔も跡形も残らず塵に帰す】

    「総員頭引っ込めろ! ダニエル! チャウ! ぼさっとしてねぇで早く歩兵の援護をしろ!」

    「すばしっこくて照準が定まらねぇんだよ! テメェら巻き込んじまって良いのなら撃ってやるよ!」

    「弾幕を張れ。俺が前に出る」

    【重量BFがLMGを放ち、軽量BFはビームソードを取り出して迫る】

  • 108ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 21:00:03

    「管制室! 敵の数は!?」

    『今見えるので1機だよ! 1機! しかも……獣から変形してるぞ!?』

    「企業の新機体か! ……いや! だったらここで鹵獲すれば損害以上の利益が出る! 

    【通信先を別の作業場から向かっているBFパイロットへ切り替える】

    「マクロ! EMPグレネードだ! 動きを止めた後は全BFで取り囲んで嬲ってやれ!」

    「ここで使うと施設がズタボロっすよ?」

    「良いからさっさと持って来い!」

  • 109◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 21:00:07

    >>106

    後方からの銃声

    殿のヤモリは後方から飛んできた弾丸に当たる。

    前面装甲の内側で跳弾したのか、貫通はしなかった。

    「アンドレイ!」

    ギリギリと音を立て、牛の嘶きに似た軋む音を鳴らしてヤモリは倒れ込む。

    残りの3機はその奥にぼんやりと輪郭が見た。

    ババババ!

    30mmを掃射するが手応えは無い。

    「クソッタレ!どこにいる!デルタフォーメーションを維持!見つけ次第発砲!ターゲットは共有!」

    残りのヤモリがキビキビと立て直す。

    『主の導きありて我ら星を想う!』

    怒号にも似た声色で叫んだ。

    人の心よりも深く、暗い夜闇は大きく口を広げ、3匹のトカゲを待つ。

  • 110ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:02:25

    >>107

    …ここ!

    【四脚の未確認BFが空を走り弾幕を躱す、そして…】

    【ブースターブレードの推進器を吹かし、軽量BFに肉薄する。ビームソードの切っ先を熱拡散マントを駆使して逸らして空いた懐にスピナーホイールを駆動させて直接ぶつけた後、弾幕に対する盾にしつつ質量兵器として重量BFに投げつける】

  • 111アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 21:03:32

    >>85

    >>87

    >>90


    【強引な照準変更により放たれた徹甲弾は、狙い寄りやや左に逸れ、シンドリーが駆るガーゴイルの左脇腹へと突き刺さる】

    【炸裂、爆風、命中位置はコックピットの僅か下だ】


    『ッッ、ルァァアアアアアアッッ!!』


    【────────────怯まない、怒声と共に蒼風の軌道を追う様な射撃を重ねる、数秒、カチンとバネが空を切る音が銃腔内で響いて】

    【弾切れだ】


    『やるな……!』


    【空中で軌道が交差する一瞬、薙ぎ払われた蒼風のビームサーベルは、ルヴァウ機の右肩から右胸部へと浅く斬り込まれた】

    【僅かに覗く装甲の隙間から垣間見えたものは、着古した戦闘服を纏い、歴戦を思わせる風情の皺枯れた黒髪の男が、蒼風を見つめる姿】

    【笑っている、感心する様に】


    『……シンドリー、無事か』

    『ッ、あぁ……っ、問題無い、動けるよ……ちょっと脇腹、抉られてるけどね……!ルヴァウ、マガジンの余りはあるかい……!?』

    『携帯しているのは一つだけだ、これで終わりだぞ』


    【蒼風の威力は、二機のガーゴイルの戦力を大きく削いだ、片方は隻腕、脇腹からもうもうと煙を上げて、されど、撃滅には至らず】

    【腰後ろに携行したドラムマガジンを、ルヴァウ機はシンドリー機へと手渡した】


    『────────────手負いの獣が、最も怖い、か』

  • 112アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 21:03:47

    >>85

    >>87

    >>90


    『『クソが!』』『視界が落ちた!』『大丈夫だ!』『ああ、互いの位置は!』『未だレーダーに映っている!』


                          ・・・

    『距離を取る!』『画面復旧までの時間は!』『20秒耐えるぞ!』『問題は無い!』


    【ホワイトアウトするメインモニター、兄弟の間にほんの一瞬の動揺が奔り────────────されど、それは直ぐに落ち着いた】

    【レーダーに映るジェミニⅠ、ジェミニⅡ、互いの位置関係、及び直前の風景とV-9外縁の地形を脳にインプット】

    【二機一対の多脚BFは、共に脚部のスラスターを回転させて望月と距離を空けた】


    【画面が復旧するまでは、射撃が止む】

  • 113アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 21:04:03

    >>85

    >>87

    >>90


    【──────────── バ ゥ ン 、 巨体の浮遊する重低音は、渇いた地表に吹き荒れる砂煙と共に】


     ・・・・・・・・・

    【アバドンが飛翔する、馬鹿げた巨重を浮かせるスラスターの出力は、通常ガーゴイルを稼働させるものの凡そ10倍にも昇る】

    【逆に言えば、それ程の出力を搭載してようやくその機体は飛ぶことが出来るのだ、理由は、ただ一つ】


    【オ、オ、オ、オ、オ、オオ、オオオオオ────────────ッッッッ!!!!】


                                      ・・・・

    【眼前に立ちはだかる炎の壁、逃げ場が無いと言うのなら、一切の躊躇なく突撃する】

    【炎を纏う進撃、コックピット内にはけたたましいアラートが鳴り響き、外装は熱に焼き溶かされ、そして】

    【また新たな装甲が露わになる、“多層装甲”だ、熱暴走を防ぐために装甲間で液体窒素を噴射する冷却機構は絶え間なく煙を上げ】

    【まるで、鬼が声を張り上げているかの様な、轟音と共に火炎流を突破する】


    「ハ、ハ、ハ、ハ、ハハハ、ハハハハハハハハ!!!

     ゴエティアアアアアアアア!!地獄の風呂釜沸かすにゃァ、この程度じゃ足りねぇぞォ!!!」


    【グレネードランチャーがギシリと照準を向ける、ブラフだ、機体は兎も角そちらは熱にやられている、が】

    【もしも一瞬でも意識を向けたならば】


     ・・・・・・・

    【ラインハンターの狙撃がマーキュリーの頭部を狙う】

  • 114アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 21:05:18

    >>85

    >>87

    >>90


    『だぁ、かぁら、よぉぅ!!』


    【────────────ヴィーナスの、リニアキャノンは】

    【直前になって、ヴィーナスと密着する程に再前進したSHINONOMEの胴体に砲身が引っ掛かり、回転し切らずに停止する】

    【“長物は接近し過ぎれば使えない”、当然の道理、アキル・ナカトウはよくよくそれを理解していた】


         ・・・・・・                 ・・・・・ ・・

    『それなら見誤ってんだよぅ、俺達は仲間想いなんじゃねぇ、支払った分の対価を求めているだけさ!!』


    【火砲の接射は封じた、残るは単純、殴り合いの至近距離】

    【不足は無い、油断も驕りも無い、頭上に跳ね上げられた金属塊を再び十全な力で振り下ろす】


    【支払ったもの────────────エドワード・スコア、ボー・ワンチェン、二人の戦友。

     及びデントナ・F・ラインベックのスカッド・ソルジャー、そして最後に、自分自身も含めて】


         ・・・・・           ・ ・ ・

    『命2つ、鋼鉄の身体が4つ! 締 め て 6 文 銭 の 渡 し 賃 さ ぁ ! ! ! 冥土の土産が要るんだよぅ、対価を寄越しな、金持ちの大企業さんよぅ!!!』

  • 115ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 21:07:20

    「ぐぅっ……!」

    【激しい衝撃に思うように空中での姿勢制御ができない! 今のチャウはまさに籠の中の虫!】

    「危ねぇ!」

    【ダニエルは咄嗟に横へステップ回避! その瞬間には隙が生まれてしまった!】

  • 116ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:11:32

    >>115

    …っにゃっ!!!

    【軽量BFが身動きが取れないよう押さえつけつつ、ブースターブレードのアームを稼働させ、強引に機体を回転させるように推力を産むと重装BFを仕留めんと後ろ足のスピナーホイールをビーム刃を発生させコックピット目掛けて発射する】

  • 117ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 21:17:46

    >>116

    「でも盾は構えるわなぁ!」


    【右肩にマウントしていた盾を動かし、トマトジュースになるのを防ぐ!】


    「今だマクロ!」


    「ホイホイッと!」


    【そこへハニヤの後ろの倉庫の屋根から登場! 即発式EMPを彼女の足元へ投げつける!】

    【BOOOOM】


    (止まったな……)


    「総員……今から企業様を席から引っ張り出して存分に可愛がってやれ」


    「ぐへへへへへ」

    「ギャハハハハ」

    「デヘデヘ」


    【ハニヤの四方八方から悪情が群がり始める】

  • 118ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:23:51

    >>117

    【未確認BFの動きが沈黙する。動く様子はない】

  • 119ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/16(水) 21:28:54

    >>87

    >>111


    【青風とガーゴイル達の間に、邪魔をするよう黒い機体が割って入り、ガーゴイル二機へそれぞれライフル、ショットガンを発射して牽制する】


    《───よく耐えたね》

    《連盟からの正式な依頼で、救援に来た》

    【青風の前に経った黒い機体からだろうか。人類自由連盟の回線に割り込んだのは、やや冷たい印象を覚える少女の声だ】

    【青風、望月、ヴィーナス、マーキュリー。情報通りの四機、全て生存。しかし損傷具合を秤にかけて青風の援護に入ったが、望月もやや危うい】


    【BESTIAの青風を守るような立ち位置だけで、アブソーバーにとっては状況が悪くなった事が分かるだろう。それは救援が来たという事実だけではなく──】


     ・・・・・・・・・・

    【救援が来るほどの時間が経った、ことも意味する】

  • 120二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 21:32:31

    このレスは削除されています

  • 121ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 21:32:54

    >>118

    「男ならどうする?」

    「殺しちまおうぜ?」

    「だなだな」

    「待てよ? こんだけの機体に乗っているなら人質の価値はあるんじゃねぇか?」


    「んじゃそうするが、女なら?」

    「マワしてどっかに売っ払っちまおう」

    「ばか! 前者は良くても、後者の方がもっと企業から金もらえるだろうが!」

    「だなだな」


    【鳥が所構わず撒き散らすクソよりも穢らわしい野郎ども、その表現に尽きる。だからこそ、ハニヤも心置きなく殺れる】

  • 122ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/16(水) 21:33:35

    >>111

    「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

     睨み合う。笑っている老年の男。 警報が鳴り止まない蒼風の操縦席の中で、ケイはその男を睨む。その呼吸は荒れ切っている。

    (次を……次は……!!)

     もはやモニターにすら多量のノイズが混ざるほどの内部ダメージを受けながら、ケイはビームライフルの照準を二機交互へ向けて牽制をかけていく。が、動けない。 むやみに動けば落とされる。 戦局の天秤がルヴァウ達に傾ききっているという直感だった。


    【警告 右脚部関節負荷大 中破】【警告 コア粒子推進機関過熱中】【警告 排気温度異常 強制冷却中】

    「ぐ……っ!くそ!」

    《ケイ》

     ぐらりと関節の負荷が蒼風をよろめかせようとするのを、ケイ自身の技量で止める。汗が止まらない。大量の警告表示が状況を突きつけてくる。

     ……けれど、自分はまだ生きている。まだ終わってなどいない。


    《貴方は、まだ諦めていませんか?》

     スイの言葉に、ケイは息を吸って。吐いて、答えた。

    「当たり前だ……!!」


    (まだコア粒子推進機関は動く。ビームライフルは撃てる。サーベルが振れる)

    (もっと酷い状況を、シミュレーターで、月風のデータで何度も経験した。諦めるには、速い!強制排熱が終わったあと……男の僚機を狙う!!)

     意気を整え、息を吸って。ケイは笑うことなく命を戦いの天秤に載せ直した。 その瞬間に。


    >>119

    『───よく耐えたね』

     蒼風とガーゴイル達の間に、邪魔をするよう黒い機体が割って入り、ガーゴイル二機へそれぞれライフル、ショットガンを発射した。

    「な……!?!」

    『連盟からの正式な依頼で、救援に来た』

     ケイの驚愕に答えるのは、女性の声。

    《機体名照合……BESTIA。ウルヴィです》

     増援だった。

  • 123ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:41:29

    >>121

    【機能が止まるように見えた寸前、ホイールが駆動し踏みつけていたBFのコックピットに引導を渡す】

    【それは偶然か否か………勿論、否だ】

    (あれも対策済みとは流石は巨大企業…抜かりないにゃ。一斉砲火が始まる直前に意表をつくとして…)

    【獣は静かに、牙を尖らせる】

  • 124ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/16(水) 21:42:53

    >>113

    『…………機体情報を更新。思わぬ収穫だな』


    【ストラスは冷静に呟いた。敵機の言葉に付き合う意味はないと、ストラスは判断していた。長年戦場で戦い抜いた者であれば、話術で隙を作りこそすれ曝け出しはしないだろう───────インベイド侵攻以前より活動する傭兵としての心構えだ】


    【夥しい量の砂塵を巻き上げながらも後方へと重装のマーキュリーが進撃する。ガリガリと岩が削られ砕ける不快な音が響いた】


    『───システムより解析。ブラフです───』


    『知っている。ゴエティアに来る前はあの手の武器もそれなりに担いだ経験があるからな』


    【グレネードランチャーを無視して粒子ビームライフルをアバドンのモノアイへと撃ち込む。重装甲機であっても、そこだけは強度に劣る。構造上の問題だ────────風切り音。即時の理解】


    『私よりも巧い。"ラインハンター"か』


    『───メインカメラ、損傷───』


    【狙撃手の方角に構えていた巨盾を飛び越えた狙撃がマーキュリーを穿つ。捻れ飛んだ頭部がクルクルと回りながら砂塵に塗れ、バチバチと音を立てて断面が火花を散らす】


    【ストラスは目の前の敵を睨んだ。両肩の火炎放射器と左腕のビームライフルの燃料残量を確認する。使い尽くす勢いで消費してももう暫し保つだろう】

             ・・

    『────────────────────私が命を捨てれば、もう五分は貴様らを縛り付けられるか?』


    【警戒レベルは既に8だ。つまりは一機二機捨ててでも排除するべきであろう最上位の執行対象であるという事実に他ならない】


    【僅かでも時間を稼げば、その分だけ撤退に使える時間を削れる。速やかにストラスは作戦目標の変更を行なった】


    『もう少し付き合うと良い。“悪魔”を殺せる折角の機会だぞ?』


    【──────長年戦場で戦い抜いた者であれば、話術で隙を作りこそすれ曝け出しはしない。全ての会話は駆け引きである】

  • 125ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/16(水) 21:47:31

    「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!!!!!!!!!!」

    「撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃ち殺せーーー!!!!!」

    【半狂乱で集中砲火! もはや理性もへったくれもない! 恐怖に体が自ずと防衛しているのだ!】

  • 126ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/16(水) 21:48:15

    その異様な集団に、1機のBF が接近していた。
    「サイファーカルトか…」コックピットの男は誰に言うでもなく、そう呟く。
    目の前のモニターに彼らが映り、その隅に〔ジャマー 起動中〕の字が移る。そして、彼らの武装、そして彼らの足取りから、彼らが帰還の最中である事を見抜く。
    ー『獲物』は油断している。
    「相手は4機…」彼の駆るBFの速度が上がり、サブアームに握られた盾が前を向く。「さあ、『狩り』時間だ。」それから間を置かずして、75mm機関銃の引き金が引かれた。

  • 127シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:49:32

    >>111

    >>122

    【背後から蒼月の眼前にワイヤーが伸びる。それはシールド発生器のようで、蒼月を守る意図があることは明らかだった】

    …あら、向こうのよくわかんないやつと被ったかしら、まあいいわ

    こちら人自連所属、ジークルーネ

    これより蒼月及び望月の援護に入ります…と。建前はこれくらいでいいわよね?そんなボロボロで動き回られても迷惑だからとっとと離脱して。退路も既に確保してある、望月にも送っといて

    【姿を現した濃紺の機体は機械のそれとは思えない軽やかな挙動で接近しつつそう告げると、眼前のBFに事前に解析した安全な離脱ルートマッピングのデータを送信する】

    ま、動けたらの話だけど

  • 128ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 21:56:10

    >>125

    【その瞬間───────!】

    にゃっ!!!

    【未確認BFは何事も無かったようにマントを翻し、一斉砲火を防ぐと再び四輪機動を開始、隙を突いてブースターブレードでコックピットを潰す、ホイールで脚部を轢く等の攻撃方法で周囲のBFを沈めていく】

  • 129ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/16(水) 21:58:45

    >>127

    「ジーク、ルーネ?!」

    《ヴァルハラテックの試作BFです。パイロット、シグレ・イェンネフェルト》

     自機を守るよう展開されたワイヤー達に驚くような声を出しながら、濃紺の機体が蒼風に接近する。


    『――――建前はこれくらいでいいわよね? そんなボロボロで動き回られても迷惑だからとっとと離脱して。退路も既に……』

    《離脱ルートのマップデータ受信を確認。望月にも送信します》

    「……シグレ、イェンネフェルト?」

     その声に、ケイはどこかで聞き覚えがあるような、ないような……懐かしい感覚になりながら。


    『ま、動けたらの話だけど……』

    「……ありがとう!! 助かった!」

     蒼風のコア粒子推進機関の排熱が全て終わった。 動ける。

     ケイはその場にいることで、ルヴァウ達を少しでも牽制することに決めた。 ぶっきらぼうな少女に負けず、感謝を示しながら。コア粒子推進機関の高音を鳴らし、足手まといではないことを示す。

  • 130ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/16(水) 22:04:37

    >>114


    『この期に及んで戯言を──────!』


    【大口径リニアキャノンを一部の躊躇も挟まず投げ捨てる。この距離では鈍器としても無能なだけだ。ここで判断を間違える様では生き残れない】


                         ・・・・・・

    【右腕のビームサーベルもパージする。剥離された兵装を左腕で掴み、双方を近接兵装へと即座に切り替えて向かい合う。アンドレアルフスは確かに激昂していた】


              ・・・・・・

    『──────────────────支払いの履行を求めるのなら、先ずは貴様らだろうが!命の数、壊した鋼の数、借金を満額揃えて返すまでソレを語る資格なぞあるかァッ!!!!!』


    【肩を並べた戦友と有象無象とでは価値が違うなどとほざくのならば、アンドレアルフスにとっても顔も知らないデスペラードなぞ有象無象も同様だ。何の価値もない】


    【スラスターを吹かせる。大型実体剣が真っ向から金属塊と衝突して鍔迫り合いに持ち込む。ギリギリと鋼と鋼が互いに押し込み合う。至近距離からでは質量ではなく出力こそが正義だ。そして最新鋭機と旧型を比較した時、その差は─────】



    『潰れて死ぬが良いッ!最新鋭機のエンジン出力が貴様の冥土の土産だ!!!!!』


                        ・・・

    【───────────────────ブラフだ。左腕に掴んだビームサーベルがヴィーナスの影に隠れて刺突を放つ。既に全開にしたスラスターは例え後方に逃れたとしても直ぐに追随するだろう】


    【怒りすらも隠れ蓑に、ヴィーナスは冷たい殺意を奔らせた】

  • 131二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 22:10:17

    >>128

    「はは……ははは……はははははははははははは!!!!!」

    「助けてお母あああああああさあああああああああん!!!!!!!!!!!!」

    「このクソッタレがああああああ!!!!!!!!!!!!!」


    【予想だにしない反撃、あっという間の逆転劇、20機あったのが2機未満へと減らされる】

    【その2機未満というのも満足に動けなくなっていた】


    ……降参だ。頼むから殺さないでくれ


    【窮鼠が猫を噛む? 否、強獣が弱肉を喰むのだ】

    【その覆らない摂理に、男は両手を上げて戦意が無いのを示す】


    『こちら金龍、メビに確認させたところ、そこの部隊長らしい。情報を引き出せるから慈悲をかけてやりな。少なくとも弾薬代の節約にもなる』


    【ぬくぬくとサラミを食べていたボンボンから通信が入る】

  • 132ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/16(水) 22:17:31

    >>109

    「揃いも揃って同じ事を…」

    そう言いながら右手コントロールパネルを操作する。

    【サブアームに右手の重機関銃を持たせる】

    【もう一方のサブアームで、盾の裏の二重振動ブレードを右手に持たせる】

    【左上のサブアームの軽バズーカを、先ほど無力化したヤモリの近くに向け発射】

    【盾を後ろに向ける】

    【上記をすることで、①近くの生身の人間を処理し、かつその空いたスペースに相手のBFを近寄らせない。②速度を生かしてスペースに入り込み(数の少ない方を後ろにする)、すぐ目の前のBFのコックピットに二重振動ブレードを突き差し無力化、かつもう1機の攻撃を防ぐ盾にする。③後ろのBFは後ろに向けておいた盾で防御しつつ、サブアームに持たせた75mm機関銃で処理。という流れ作業をできるようにした。】

  • 133龍影◆9BZ6kXGcio25/04/16(水) 22:18:08

    >>112

    ナイフが虚空を斬る。まだ届かない。

    「噓…?」

    龍影は声を漏らす。

    だが結局は18年程度しか乗っていない人間がそれ以前から乗っている無法者かの違いである。

    完全に読み合いに負けた。

    相手のモニターが復旧する前に視界から居なくなるように望月は逃げるしかなかった。

    >>119

    「なるほど…お上の懐刀ね…」

    戦局は確かにこの瞬間、動いた。

  • 134シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 22:28:35

    >>129

    …は?

    【素っ頓狂な声を上げると、シグレは呆れながら蒼月との通信回線を一旦切ってヴァルハラテック専用回線に切り替える】

    ジークルーネより【シュヴェルトライテ】、緊急事態発生。こちらの会話が向こうに通じない

    【シグレの問いに、通信回線の向こうから合成音声が響く】

    『恐ラクシグレ見習士官ノコミュニケーション能力不足及ビ向コウノ勝利条件未把握ニヨルソゴダト思ワレマス。コノ機体ノ専門ハ戦況把握デアリパイロット個人ノ精神マデハイチイチ解析シテイラレマセン』

    『ゴ武運ヲ』

    【そう言って乱雑に回線が閉じられる。苛立ちをかかえながら、シグレは再び蒼月に回線を繋ぎ】

    私の話が通じなかったのかしら?『退路作ったからさっさと退け』って言ったのよ。

    どれだけ粋がってもボロはボロ。何機かは仕留めたり虫の息に追い込んだみたいだけどこのまま残り11機をそれで相手取れるつもり?

    【【シュヴェルトライテ】が観測したデータを元にシグレが淡々と告げる。圧倒的戦力差をものともしない戦いぶりには素直に感心するが…相手が悪い。性能だけで乗り切るには機体ももう限界。これで足でまといにならない?シグレはその虚勢を鼻で笑うしかなかっま】

    やらなくちゃならないなんて精神論かまさないでよ私がムカつくだけだから。アンタのやろうとしてる事とこっちの勝利条件が根本的にズレてんの。もう倒さなくていいから下がれっつってんのよ…こっちは!

    それに増援が来た以上もう向こうも勝手に引くわ。引かないんなら…

    >>133

    望月?聞こえるかしら

    【望月へも通信回線を繋げようと試み】

    退路は作ったからさっさと蒼月連れて離脱して。この場はゴエディアの増援と私達と…あの黒いのが持たせるわ。そう長引きはしないでしょう

  • 135ライ◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 22:36:49

    >>132

    「どこだ!何処に居やがる!」

    ヤモリのサーマルアイには何も映らない。

    二度目の銃声

    まただ。また牛の嘶きに似た軋む音を立ててヤモリが倒れる。

    ちらちらとヤモリから上がる炎が夜闇を照らすが、下手人の姿はわからない。

    「くそっ!くそっ!どうなってやがる!」

    30mmを虚無に似た暗闇に放つ。BFに着弾した時の金属音は聞こえない。

    「あっ…あっ…ああああああああああ!」

    恐怖に潰されたヤモリは弾倉がなくなるまで30mmをばらまいた。

  • 136ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/16(水) 22:49:00

    >>134

    「……そこまで言う?」

    《当たり前の判断と思われます。合理的な言葉でなければ通じない可能性が大かと》

     ……それもそうだ!とケイは頭を振った。


    「……相手は普通じゃない。蒼風でもやりきれなかった」

    「俺がいま全力で逃げたら、相手の圧力と追撃がこっちに来る。逃げる俺に向かってだ」

     逃げれば、逆に相手が勢いづく。その例をケイは何度も経験していた。 逃げるにしてもタイミングが必要。という論だった。


    「倒す倒さないじゃない。 君の言う『いずれ相手が逃げを選ぶ』という判断を取らせるには……俺がここにいるのが、一番いいんだ」

     なんなら、今からでも見せてやろうか? そうケイは笑いながら、シグレだけに見えるよう僅かに下がる。

     シグレの言うことは正しいのだ。だからゆっくりと下がるのだ。 逃げの姿勢を取っていると、悟らせないほどゆっくりと。

  • 137二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 22:54:55

    このレスは削除されています

  • 138ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/16(水) 23:01:39

    >>135

    そして弾倉から弾が尽きた時、重いものが投げ出される音の鳴った後、ヤモリのパイロットは見た。全身が黒い。背後の僚機から出る炎に辺りが照らされる中、それはただ黒かった。

    それは、ヤモリよりも大きかった。

    それは、真っ赤な眼を持っていた。

    - ヤモリのパイロットは、それと目が合ってしまった。

  • 139龍影◆9BZ6kXGcio25/04/16(水) 23:05:09

    >>134

    「了解…ジークルーネ…支援感謝する。ありがとう。」

    龍影は感謝を伝え、蒼風に近づく。

    >>136

    「ケイ!!輸送機まで引くよ!デコイ撒いて!!」

    ケイに撤退を促す。

    今が引き時だ。

  • 140シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 23:12:56

    >>136

    《だから勢いづかせる事もこっちの計算通りなのよ…!射線が集中すればこっちもやりやsプツッ》

    【回線が途切れる。シグレそれに気付かずしばらくスピーカーに怒鳴り散らしていた】

    これだからお人好しっていうのは…ねぇ!聞いてる!?ちょっとさっきからだんま…

    誰よスピーカー勝手にミュートしやがったのは!!??

    『私デス』

    【合成音声が響く】

    【シュヴェルトライテ】…!貴方ね!人が話をしてる途中で勝手な真似を!

    『コノママデハ連携ドコロカ援軍全員仲良ク撃退サレルト判断。救助対象ト仲良クデキナイノナラモウ無言デ遊撃シテクダサイ』

    ……っあああーーーーっ!!!!!ムカつく!!!!

    >>139

    【【シュヴェルトライテ】に強制ボイスミュートされたジークルーネは神経接続操縦を活かして無言で頷きその機動のカバーに入る】

  • 141ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/16(水) 23:13:21

    >>134

    >>136

    >>139

    【隣の紺色の機体、ジークルーネが上手く説得してくれたらしいのか、望月が青風を連れて離脱を狙う】


    《ありがと》

    【ジークルーネへと接続を試み、感謝を伝える。BESTIAはBESTIA DREADへと名を改めたが、守る武装は一切持ち合わせていないまま。追わせないならまだしも、守り抜くのは相応に厳しいものがあるのだ。故に状況はこちらの方がやりやすい】

  • 142ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/16(水) 23:19:53

    >>139 >>140 >>141

    《ケイ、望月が来ました》

    「龍影があっちを振り切った!? ……ありがとう!! すぐ下がる!!」

     望月がそのままこちらに来て、デコイを振りまいた瞬間を狙い、蒼風も撤退の姿勢に入る。


    「――――■■■!! やっぱり君は凄いな!!」

     ジークルーネからの毒舌にまるで動じる気配すらないまま。通信を向けるケイは、なぜかずっと笑っていた。

     ノイズが走った言葉が、彼女の耳に届いたかは、定かではない。

  • 143シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 23:30:57

    >>141

    『識別コードベスティアドレッドヨリ連絡。10秒後ニボイスミュートヲ解除シマス。仲良クヤレヨシグレチャン』

    余計なお節介を…!

    【回線が繋がって多少のタイムラグの後、返答が返る】

    こちらのやるべき事をやったまでよ。それにまだ…ゴミ掃除が残ってるわ

    【救助対象が逃げれば狙撃が来る。それが分からないシグレではない】

    【故の【シュヴェルトライテ】の事前解析だ。入り組んだ迷宮のような渓谷地帯を活かして狙撃可能ポイントを把握し、それを避ける、若しくはこちらで容易に防げるか当てられても致命傷は困難なルートを算出した。あとは正面の敵をある程度凌げばいいのだ】

    >>142

    望月は話が早くて助かるわ…って

    今違う名前言わなかった?初対面だから名前間違えも無いこともないか。1回は許しましょう

    【相変わらずこちらの回線は強制ミュート状態である】

  • 144ライ◆.4YTxDiDm.25/04/16(水) 23:34:20

    >>138

    「ぁ…ああああああ!」

    引き金を引くも弾はでない。

    何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。引き金を引く。

    「ほ、星の加護はーー」

    グルんと白目を剥く。

    ヤモリはあと一匹。

    「くそっ!何なんだ!何なんだあいつはああああ!!!」

    武器も仲間も捨てて逃げた。

    勝てない勝てるわけがない

    姿もわからない時に2人殺した。逃げる理由なんてそれだけで十分なのだ。

  • 145アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 23:35:42

    >>130 >>139 >>141 >>142 >>143


    『────────────、ふむ、』


    【増援があれば報告する筈の観測地点からの通信が無い、既に何者かに潰されたか、いずれにせよ、新たに出現した機影はアブソーバーにとって招かれざる客だった】

    【二機のBFを睨み付けながら、ルヴァウは静かにコンソールを叩く、“VOICE ONLY”、ドミニクとの間に通信回線が開いた】


    『ドミニク、敵の増援だ』

    「あァ?何だ、面白いところだったってのに、水差しやがって……しょうがねぇな。

     形勢の決まった戦い程つまらんモンは無い、これ以上は敗け戦、名残り惜しいが退き時だ」


    【この戦いの首謀者────────────悪鬼の首魁は、頭の欠けたマーキュリーを眼前に、しかし腹心の報告により殊の外あっさりと終戦を宣言する】

    【何の躊躇いも、逡巡も見せず、あれ程獰猛に獲物へと食らいついていた獣の本性は】

    【たったのひと瞬きの間に理性の彼方へ消え失せて】


                ・・・・・・・・・

    「チャフ、スモーク展開!撤退するまでが戦争だぜお前ら、はしゃぎ過ぎて忘れモンすんなよォ、ンハハハハハハ!!」


    【巨体が浮遊する、その一瞬を牽制に、後方に控えていたグレネードランチャー持ちのガーゴイルが、タンク型BFが、そして】


     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    【始めからこの戦場の各所に隠れ潜んでいた、作業服や、軍服、パイロットスーツ姿のアブソーバー構成員達が】

    【各々が手にした迫撃砲やランチャーによって、煙幕弾、チャフを斉射】

    【瞬く間に、戦場は煙幕と通信阻害の嵐に包まれた】

  • 146アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 23:36:06

    >>130 >>139 >>141 >>142 >>143


    『なんだよ、終わりかよ!』『クソッ、エドワードの仇、取り損ねたぜ!』


    【例えば二機一対の多脚BF、あれ程執拗に望月に追い縋っていた兄弟パイロットが、腰部の射出装置から巻き上げるスモークが】


                    ・・・・ ・・・

    『残念、ウチの御大将がお呼びだ、取り立ても支払いもまだ先の話になりそうだな】


    【ホバリングユニットのSHINONOMEが、何も背負う物は無いとばかりの身軽で跳び退り】

    【ヴィーナスが追撃に放とうとした刺突を、割り込んできたシールド持ちのガーゴイルが受け止める】


    『企業のクソ犬が!貴様らのやりそうな不意打ちなど、見え透いているんだ!』

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    『おーおー、今日はお前の大声がちっとも聞こえなかったなヒルマー、盾は新しいの貰って来たのかぃ?』

    『……ッ、やかましい!!』


    【響き渡る罵声ごと、包み込む白煙が────────────】


    【そして崖の下で、傷ついた蒼風達と対峙する二機のガーゴイルが、ゆっくりと手榴弾らしき物体を足元に転がして】

    【パンッ────────────と、弾ける閃光が】

  • 147アブソーバー◆PPyRfvMZl625/04/16(水) 23:36:23

    >>130 >>139 >>141 >>142 >>143


    【百戦錬磨の無法者達を、この悪辣の首謀者達を、彼方の時代に取り残され、永遠に敗残を続ける悪鬼羅刹達を】

    【砂塵の彼方に覆い隠して往く】


    【煙が晴れる頃、そこには最早誰も居はしない、崖下に墜落し、瓦礫に埋もれていた筈のスカッド・ソルジャーも、きっとルヴァウ達が回収して行ったのだろう】

    【空の薬莢、潰れた装甲車、斃れた左利きのガーゴイル、ただ、物言わぬ激闘の痕のみが、残される】

  • 148ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/16(水) 23:46:56

    >>143

    >>147


    《回収されたらしいね》

    【“掃除”するまでもなくアブソーバーの機体は反応を消失、シグレへの通信を返しながら肩を竦める】

    【撤退を選んだ以上、ここから追撃も無いだろう。仕事は無事に完了、護衛対象は全て生存という最良の結果だ】

  • 149シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 23:47:26

    >>145

    …予測通り。流石はヴァルハラの秘密兵器

    【通信妨害に阻まれながら、シグレは狼狽えることなく一応の奇襲に備える。通信が回復して直ぐ】

    ジークルーネより【シュヴェルトライテ】、ダメ元で聞くけど敵機の追撃は可能?

    『予想進路算出ノ結果、R/W3-07ノ機動力ビ装備デハ不可能ト判断。R/W3-08デアレバ一機ハ落トセマシタガ』

    あのスナイパー女の機体なら…チッ、近接格闘専門の弊害ね

    『元ヨリ偵察任務用ノ装備シカ用意ガナイノデスカラ無イモノネダリハ禁句デス。貴方モ帰投シテクダサイシグレ見習士官』

    …了解

    【遥か後方で待機する僚機と強行偵察艇目掛けて、ジークルーネがブースターを吹かしていった。】

  • 150二次元好きの匿名さん25/04/16(水) 23:52:47

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  • 151シグレ◆KPwoT407kA25/04/16(水) 23:53:11

    >>148

    そうね。張り切るまでもなかったわ

    【こちらも身振り手振りで返す。どうやら相手も神経接続機らしい】

    (デスペラードにしてはやけに機体に使われてる機構に古臭さがない…拠り所のない傭兵にこんな機体が用意できるのかしら?)

    …シグレ・イェンネフェルト。人自連企業ヴァルハラテック所属よ

    次に会うときも敵じゃないといいわね、デスペラード

  • 152ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/16(水) 23:53:23

    >>145

    >>146

    >>147


    『GN.14“レラジェ”。GN.44“シャックス”。GN.39“ハルファス”。GN.70“セーレ”の派遣は取り止めだ。状況は終了した』



    【『対多重大型装甲貫通パイルバンカー:カリスト』を搭載した追加特殊装甲パッケージ『ジュピター』二機と『マーキュリー』二機の出動命令の撤回宣言を行なってから、GN.36“ストラス”は崖下の友軍機に通信を繋いだ】



    『現在時刻を以ってバトルログのリアルタイム通信を切断する────────我々の上層部に機体のデータが渡るのは其方としても回避したい事態だと予測しているが、間違っていないかね?』


    『気遣いはもっと分かり易くするべきですよ、ストラスさん。此方の状況も終了しています。崖上地帯の安全は保障しましょう』


    【獲物を仕留め損ねたアンドレアルフスも再び通信を繋いだ。未だ通信妨害の影響が強いエリアでも、「ゴエティア戦団」の『大型多重硬殻通信構造物』は一定の通信環境を保障する】



    『ま、何にせよ災難だったな。それはそれとして、救難信号を送った輸送機の定員をお聞きしたい。我々も“足”を使ってしまったのでな』


    『出撃の度に航空機を使い捨ての質量爆弾にするの、中々にクレイジーですよね。普段はコレで壊滅状態になった所をボコボコにするのですが』


    【今回は相手が悪かった、とアンドラアルフスは肩を竦めて苦笑いした。怒りの影は消え失せている】

  • 153ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/17(木) 00:05:03

    >>144

    ソレはサブアームのバズーカを逃げるヤモリの脚へと放つ。通常より小さな物ではあるが、それはヤモリの脚を破壊するのには十分だった。

    脚を失ったヤモリは前のめりに倒れる。必死に動かそうと、辺りのレバーを闇雲に動かしていた時、辺りが揺れた。そして揺れが収まった時には、周りからミシミシと耳障りな音が響く。

    自分がコックピットごと潰される。

    それを確信したパイロットは、ただ叫ぶ以外できなかった。

    「やめろ!許してぐれ!俺は…俺はまだ死にたk」


    ー ベキョリという耳障りな音と共に、ヤモリの胴体が踏み潰される。

    それは脚をどけた後、逃げる生身の人間達を一瞥し、その場から去っていった。


    この話は人自連、デスペラードの間に広まり、それを聞いた何人かはこう答えた。「そいつは『悪魔』に違いない」…

  • 154ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/17(木) 00:14:34

    >>151

    《ウルヴィ、ただの傭兵。…そうだといいね、学生さん》

    【名乗られれば名乗り返す、礼節は大事だ。無法者として信用を得にくい立場なら尚の事である】

    【見たことない機体も学生だったのならば納得だと思考しながら、ウルヴィはスラスターを噴かして飛び立った。次会うときにどうなるかは仕事次第、ウルヴィは敵であれば容赦なく斬ることが出来てしまう。しかし肩を並べられるなら、その方が望ましいと思いながら】

  • 155龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 00:15:41

    >>145

    >>146

    >>147

    「終わった…?」

    ポツリと龍影は呟くことしか出来なかった。

    望月は中破以上の損害が出ていた。

    だが今はただ、ケイと生きていることを喜ぶことにした。

  • 156ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 00:17:25

    >>145 >>146 >>147 >>152 >>155

    《敵機、スモークとチャフを展開。撤退していきます》

    「!! 引き際、良いな……」

     どうやらお互いに退くタイミングが被ったようだと、ケイは察した。


    (予め撤退のパターンは決めてある動き……危なかった。もしあと少し増援が遅かったら……)

     想像するだけで、ケイは寒気がした。 蒼風を退かせながら各機に礼の通信を開き、感謝を伝えていく。

    「ゴエティア戦団の方々もありがとうございます。皆さんのおかげで助かりました」

     通信を切る。という言葉に頷きながら。最後になにか言うくらいは許されるだろうと。礼は欠かさず。


    「……ほんとに、助かった……」

     操縦席の中で、一気にケイは体の力を抜いた。 警戒は引き続き緩めない。だが生き残れたのだという、実感だった。

  • 157ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/17(木) 00:29:26

    >>154

    『其方の独立傭兵も』


    【通信を繋いでいたストラスが、ウルヴィに言葉を投げかけた】


    『協力、感謝する。お陰で職責を果たせた』


    >>155

    >>156

    『あぁ、そんな大した事ではない』


    【アンドラアルフスの“ヴィーナス”との機体間視界共有で頭部を喪失した姿のまま渓谷に降下しながらストラスは答えた】



    『あくまで自動で行われている戦闘データの蒐集を止めるだけだ。あのデスペラード共の機体性能と、それから戦術及び戦闘技量についてを集める分には便利だが──────』


    『正式な人自連所属機に対して使うのは肖像権やらの侵害になっちゃいますからね。シュミレーターに自機が勝手に出動するのは気分が悪いでしょう』


    『そういう事だ。実際、我々が投下した修理部品を輸送機まで運ぶ必要もあるだろう。良ければ案内をお願いしたい』

  • 158ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/17(木) 00:40:49

    >>131

    りょーかい。こいつは捕虜にして連れ帰った方がいいにゃ?

    【うねりを上げていたホイールの駆動を止め、四脚の未確認BFはその性能を遺憾無く披露した】

  • 159ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/17(木) 00:49:39

    >>157

    《…、律儀だね。そっちも、おつかれ》

    【去り際に聞こえた通信に対し、通信圏内へ留まるように停止する。ウルヴィの無機質な声音だけでは皮肉か本心か分かりづらいものだが、わざわざ想定外の通信にも止まって返事をする行動が、その性格を現していた】


    【そうして今度こそ、漆黒の機体は空へ消える】

  • 160ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/17(木) 00:53:48

    >>158

    いいや、もう間も無く来る部下たちに引き継がせる

    キツく拘束してしまえば充分だ

    今日はこれで以上、ご苦労だった


    【最寄のランディングゾーンに剣龍が降りつつ、金龍はその座標を彼女に送る】


    それはそうと姐さん


    【14:15】


    15分でこの規模を制圧するとは中々なんじゃないの?

    あまりにも手際が良いもんだから慰安装置が搭載されてるのを忘れるほどだったよ


    【アッハッハッハッハッハ】

  • 161ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/17(木) 00:59:07

    >>159

    『感謝を忘れて驕り高ぶった者の末路は忘れられぬからな。自己満足に過ぎんさ─────お疲れ様。敵にならない事を祈らせて頂こう』


    【上層部───────年端も行かぬ戦団長を捕らえた企業の重鎮の顔を思い浮かべ、脳内で機関銃を乱射しながらストラスは飛び去る機体を見送った】

  • 162ハニヤ◆KPwoT407kA25/04/17(木) 01:01:18

    >>160

    …色々融通効かせてくれたおかげで体が軽かったのと、この機体の性能のお陰にゃ

    【コックピットから降りると手際よく部隊長を拘束し、再度シェセプ・アンク内部に戻る】

    【もし顔見知りなら、それが元デスペラードのハニヤ・アル=アサドだということをそこで初めて把握する事になるだろう】

    あと、それについてはミャーもまさかホントに載せてくれるとは思ってなかったのにゃ、まぁ採用したからには有効活用させていただきますがにゃ!

    【わざわざ身体を潔癖な程に“健全”に戻すよう進言したのはハニヤ本人だ。それくらい欲張っても文句は言われないだろうと】

  • 163ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/17(木) 01:07:45

    >>162

    ……ま、まぁ何かしらに流用できればそれでもまた小銭稼ぎできるますから……


    (我ながら、K.Iの輩はどいつもこいつもぶっ飛んでるな……)


    エイダン殿、いつの間にアンタらの部門はあんな装置を発明したんですかい?

  • 164エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 09:22:25

    >>163

     「ん?ああ……」


    【《シェセプ・アンク》に搭載した機器から送られてくる稼働データの整理をしていたエイダンは、横からの質問に作業の手を止めずに答える】


     「修羅場明けで溜めたモノを発散したい、でも疲れてるから風俗に行くのも面倒くさい。そんな贅沢を言う職員のために開発したんだ」


    【要は、軍部と違って慰安サービスを受けられない文系職員のための発明である】


    【主要業務であるBFや兵器開発とはズレていたため予算申請は苦労するかと思いきや、他の部にも配備することを条件にあっさりと許可が出された時は、どこも似た欲を抱えているのかと可笑しい気持ちになったものだ】


     「僕も、まさかBFに載せることになるとは思わなかったけどね。要望書を見た時は目を疑ったよ」


    【整理を終え、データをまとめたUSBを自前のノートパソコンから抜き取り、そのまま体を伸ばすエイダンの脳裏には】

    【実戦的な機構についての要望が並ぶ中で燦然と輝く例の文章が、ズームアップされた状態で浮かんでいた】

  • 165龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 10:10:29

    >>156

    「ケイ、お疲れ様…」

    優しく、安堵した声で話した。2人とも生きている。どっと疲れが出たが、まだ仕事は残ってる。

    >>157

    「わかった。こっちよ。」

    ヴィーナスのパイロットを輸送機へ案内する。

    「整備長、聞こえる?王よ。」

    <こちらカラード。返答は整備班長のヤマトだ。戦闘は終わったか?>

    「良かった…繋がった!」

    <王か…サヤギリの坊にも伝えとくが、今カラードはエンジンがやられちまってるから緊急で修理中だ。もうしばらくしたら飛ばせるが2機積んでの帰投は難しい。どうする?>

    「望月と蒼風はヴァルハラの方に載せてもらう事にした。それとゴエティアから損傷したエンジンの整備をしたいって申し出が来てるけど…どうする?」

    <パーツを回してくれ。と伝えといてくれるか?>

    「わかった。ありがとう、整備長。」

    <…帰る時、パイロットはこっちに乗るか?>

    「うん、そっちに乗る。」

    <そうか…>

    そんな会話をしていると偽装を被せた輸送機が見えてきた。

  • 166ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 10:44:57

    >>165

    「お疲れ……はは、なんとかなった……」

     龍衛の声に、疲れを隠せない表情を見せながら頷く。彼女がゴエティア戦団のパイロットと話をして、こちらの機体をヴァルハラに乗せるという話までは聞き取れた。


    「色々と……信じられない戦いだったな」

    《はい。敵の技量、戦力比から考えれば、生還率は低い戦いでした》

     7倍近い戦力比に、ゴエティア戦団の増援がなかった場合。自分たちはすり潰されていただろう……いや、ゴエティア戦団が来てもなおすり潰される可能性の方が高かったのだ。

    「あの子には謝っておかないと」

    《ジークルーネのパイロットですか》

     ケイは頷いた。前で戦い続けた自分には見えていないもの……敵手に対しての畏れを抜いた、冷徹な分析……それを彼女に見えていたのだろうと今ならわかる。 もっとも、こちらの謝罪を受け入れてくれるかはわからないのだけれど。


    《ですが、ケイは逆巻カンナにも謝らなくてはならないのでは?》

    「……そうだった……」

     マニュアルのはずなのに、偽装された輸送機に近づいていく蒼風は器用に頭部を項垂れさせていた。

  • 167ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/17(木) 11:00:38

    >>164

    ......なぁメビ、これもロマンに入るのか?


    『ワタシハソーユーノハワカリマセン』


    うん......そうか......


    【物欲とは正反対の方向に居る金龍は、人類のディープ過ぎる欲求に呑み込まれかけた】


    まぁ......そろそろ家に帰投しましょうか 姐さん

    ムニーラちゃんとルゥルアちゃん2人もここに待っていますしね

  • 168龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 11:14:32

    >>166

    「ごめんなさい…自分でロッテを崩すなって言ったのに分断される形にしちゃって…リードは失敗ね。」

    龍影はポツリと、済まなそうにケイへ話す。

    「トラウマに突き動かされて突っ込んで孤立…兵士失格ね。」

    エドワードの声を思い出してまた指が震える。

    「…ケイ、…っごめんなさい、やっぱり後にするわ。」

    何かをケイに伝えようとしたが今じゃないと、龍影は考え、言い淀んだ。

  • 169ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 11:22:28

    >>168

    「龍影……いや。大丈夫だよ。俺も、同じミスをしてたじゃないか」

     あの男の相手を任せる決断をしたのはケイでもある。振り切らせるために、1対1に持ち込む決断をしたのだ。 G-3コロニーの管制室前で勝手に追い込まれて勝手に自滅しかけた自分より、よほど上等と言える。

    「後でも今でも、なんでも言って。怖かったでも、なんでも……俺は話を聞けるから」

     逆巻カンナからの説教という未来を頭から振り切ったケイは、そう言い切った。

  • 170龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 11:41:50

    >>169

    「うん…ありがとう…でも後でゆっくり話したいかな…」

    自然と涙が溢れ、ポロポロとこぼれる。

    「うっ…あぁ…」

    嗚咽がこぼれる。

    ケイが居る。抱え込まなくていい。この2つだけで龍影は安心して涙を流せた。

    ケイとの通信は切っていない。

    外にこの声は聞こえない。

    "安心出来る空間"(依存先)で龍影は泣いた。だがその涙はG-3で流した喪うという恐怖から来たものでは無い。「居る。居てくれる。」安心感から来ているものだからだ。

  • 171ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 11:50:46

    >>170

    「大丈夫……大丈夫だから……」

     自分の回線も全て外側から秘匿して。誰にも聞こえないようにする。この弱さを、外に聞こえることをきっと彼女は嫌がるだろうから。

    「龍影が俺と一緒にいてくれるって言ったように。俺も一緒だから」

     彼女の拠り所の一つに、自分がなれているなら。ケイはそれで良かった。

     ケイと彼女の時間は、まだゼロじゃない。それがわかっているから。

    「今は、ゆっくり自分を落ち着けていいんだ」

     彼女を傷つけるものがないように、ケイは諸々の動きが終わるまでボロボロの蒼風で警戒を続けた。

  • 172シグレ◆KPwoT407kA25/04/17(木) 12:31:40

    「Cv-A8/FとCv-K7改の搬入急げ!」
    「無茶言わないでください!この偵察艇が格納できるBFは3機までです!元々N01、05、07で定員オーバーじゃないですか!」
    「05は真上で見張ってんだから元から1個空きは出来てんだろが!07は甲板に出しとけ!それで2個入れられるでしょ!」
    「ウス!」
    【整備班の怒号が響き渡る中、ヴァルハラテックの強行偵察艇は満身創痍の2機を逆巻に送り届けるということで話がつき、どうにか艦載されることとなった】
    ………
    『浮カナイ顔シテマスネシグレ見習士官。アア失礼、元カラソンナ顔デシタカ』
    喧嘩売ってんの?
    【甲板上で警戒を続けるジークルーネに対して合成音声の回線が繋がる】
    そりゃあもう憂鬱な事だらけよ。ゴエティア除けで結局『アブソーバー』とはちょっと顔見せ合うくらいしか接敵できなかったし、アカデミーに帰るまでも遠のいたし
    『ソレデハチョックラ私ト楽シイオ話デモシマショウ。先日自治区ノ街角ニパフェ専門店ガ開店シタラシイノデ今度買ッテキテモラエマセンカ?』
    それのどこが楽しい話なのよ。つか自分で買いなさいよ。人の事コミュニケーション能力不足とは言うけどアンタだって大概じゃない。少しは自分の声で会話する努力をしたらどうなの?
    『言ワレズトモ重々理解シテオリマスガ、私ハコウイウ人間デスノデ改善ハ期待シナイデクダサイ』
    いけしゃあしゃあと…!

  • 173ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 13:04:44

    >>172

    《こちら蒼風に搭載されている独立型戦闘支援コンピュータ、スイです。ジークルーネのパイロット、聞こえますか?》

     タイミングを狙ってか知らずか、蒼風の中枢に搭載されているコンピュータがシグレに電子音声を掛けていた。

    《先の戦闘ではケイを援護していただき、ありがとうございました。敵の隙のなさから撤退のタイミングを見失っていたことを、本人からの言伝で謝罪します》

     どうやら、このコンピューターはパイロットが降りる際に言伝を預かっていたらしい

    《そしてもう一つ、ケイからあなたへの賞賛が……「やはり君は冷静だ。前で戦っていた俺には見えていないものが見えていた。これからもまたよろしく。■■■」……だそうです。最後の音声ノイズがあることを謝罪します。》

     どうやら、内部ダメージの影響で音声がまたも乱れたらしい。


    《……どういう意味なのか本機には分かりかねますが、ケイは貴方を高く評価しているようです。こちらからも、ケイをよろしくお願いします》

     と、電子音声が言葉を届け終えたのか、一度通信を切った。繋げ直そうと思えば繋がるだろう。

     ……コンピューターと話をしたいと思えば。

  • 174シグレ◆KPwoT407kA25/04/17(木) 13:39:22

    >>173

    『思ッテタヨリ高評価ッポイジャナイデスカ。良カッタデスネ“冷静”ナシグレ見習士官』

    その判断をあの場でやってくれたら言うこと無しだったのに今更かよ…って何よ、その取ってつけた冷静さの強調は

    『イイエ?シカシ貴方ガ冷静ナ判断ガ取レタノハシュヴェルトライテノ観測結果アリキデアッテ貴方個人ハ瞬間湯沸カシ器ノヨウニ気ガ短クオマケニ性格モ悪イ問題児デアルトイウコトヲユメユメ忘レナイデクダサイネ、ソレト回線繋ゲ直シマスカ?』

    …回線以外に言いたいことは色々あるけど遠慮するわ。本人が不在みたいだし、コンピュータっぽいのと会話するのは同時に1人だけで十分なのよ。そんな事より最後また名前呼ぶ時にノイズかかってなかった?

    『内装マデ深刻ナ損傷状態ダッタノデショウ。トモカク今ハ気ニスベキ事デモナイカト』

    …そうね。

    【操縦桿を握り直し、ジークルーネは2機を逆巻に送り届けるまでの間警戒態勢に戻った】

  • 175二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 15:00:39

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  • 176ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 15:01:51

    カンカンと鍋を叩き、食材を炒める心地よい音が厨房から聞こえる。空腹を刺激する香りもただよっている。
    「ストリートチルドレンの頃にここには近づけなかったなぁ…」
    初めて入る店で少年は少し懐かしさを感じていた。
    ロクなものを食べれてなかったあの頃は、こんなに美味しそうな匂いのする所に近づけなかったからだ。
    「すいませーん!野菜炒めと…ビールを!」
    店員を呼び注文をするが、少し怪訝な顔をされた。
    「…お客様、BFパイロットですか?あなたがそこのチームで飲酒なさるのは咎めませんが、未成年の方にアルコールの提供は…」
    「あっ…すいません…では…ソーダに変更で…」
    少年からしてみたら食事は飲酒とイコールで結べる環境であったので面を食らった。
    「わかりました!野菜炒めとソーダの2品でよろしいでしょうか?」
    店員は手元のメモにサラサラと書き込み、少年に確認をした。
    「あ、追加注文するかも…です。」
    「わかりました、もう一度注文なされる時は先程と同じように声をかけてくださいね。」
    店員はそういうと厨房の方へ向かっていった。
    「そういえば先生はこういう所じゃなくて商品を受け渡すだけのお店ばっかりだったなぁ…」
    グラスに注がれた水を飲む。

  • 177龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 16:06:24

    >>176

    龍影は久しぶりにここに来た。ケイと初めて会った場所…彼の手を引きながら店の扉を開けた。

    「いらっしゃいませー!」

    笑顔で店員が挨拶をした。

    「啊,是两个人。」(あ、2人で)

    龍影も笑顔で返す。

    「カウンターですか?それともテーブル席ですか?」

    店員は確認した。

    「んー…テーブル席でお願いするわ。」

    少し考えてから答えた。

    「それではこちらの席にお願いします!」

    ハキハキと話す店員の支持に従い、席につく。

    「何頼もうかしら…」

    龍影はメニュー表を開き、考えた。その表情はとても楽しそうなものである。

  • 178ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 16:10:54

    >>177

    「あ、ここ……!! 懐かしいな……」

     懐かしいと言っても、G-3コロニー攻略戦前に初めてあった場所だ。そう時間は経っていないはずなのだが、なぜか系にとっては懐かしさが多い場所だった。

     香辛料のある料理といい白米といい、たくさん口の中にかきこんだ記憶が蘇る。

    「どれにする? 龍影」

     席につき龍影の楽しそうな表情に顔をほころばせながら、頭の中は料理のメニューで一杯なのがケイである。

  • 179ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 16:21:31

    >>177

    >>178

    「カップルか?…でも女性の方は義体…」

    つい言葉に出してしまった。理由は、少年はその女性のうなじに戦闘義体特有の端子カバーの合わせ目があるのを見たからだ。

    だが線が柔らかい。セクサロイドにもそういうモデルがあるのだろうか…

    「でもそういうサービスでそんなの連れてここに来るのは有り得ないか。」

    そう呟き、視線を手元の端末に落とす。

    <F義体 人自連 パイロット>

    と検索をする。

    戦闘義体なんてこのコロニーに生活してるだけならオーバースペックであるため、パイロットくらいしか無いだろうと推測し、人自連登録パイロットに渡されるパイロットリストで検索する。

    「王龍影…へぇ…あの人が…」

    まさかこんな所で自分以外のパイロットに会えるのかと辰砂色の目をキラキラとさせた。

  • 180龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 16:29:14

    >>178

    「うーん…あの時頼んだもので大丈夫かな?結構美味しかったし。」

    龍影は店員を呼んでその時頼んだメニューをそのままツラツラと注文する。

    「それと…サワーを1つ。まずはこれだけ。」

    5品も頼んだが、仕事終わりなのだからこれくらいはケイと分ければペロリと平らげれるだろう。


    >>179

    首に視線を感じ、うなじを隠す。

    辺りを見渡すも何か不審なものは無い。

    「なんだったの今の…」

    ケイへ視線を戻そうとしている時、ある席に座って野菜炒めを食べている辰砂色の目をした少年と目が合う。

    感じた視線と似た眼差しをしていた。

  • 181ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 16:33:24

    >>180

    「じゃあ、それで!!」

     言い切るケイの声は期待もあるのか待ち遠しいものになっていて。


    「? ……」

     龍影が視線を関知したのと同時、ケイもその主に対して警戒する。

     そうなれば自然と、辰砂色の目をした、自分と同じくらいの青年を見つけられるわけで。

    「君かな?」

     墨と青の混ざった視線が、ぶつかった

  • 182ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 16:44:53

    >>180

    >>181

    黒と青の瞳の同世代であろう青年に声をかけられて驚いた

    「あっ…いや、そういうつもりじゃなくて…ここ(青天)の中で義体の人に会うのは珍しいからで、えっと…」

    口ごもったがすぐに覚悟を決め、

    「申し訳ございません!」

    凛と声を張って2人に謝った。

    店内はザワつくが構うものか。ここでパイロット同士の繋がりを絶たれるのはマズい。そう少年は判断しての行動である。

    しかし、この2人の出しているものはカツアゲのような空気では無かった。

    顔を上げて、口を開く。

    「あ、あの…ぼ、僕はカスミ・ハヤテ…です。じ、人自連でパイロットをしています…」

    うわずり、吃りそうになりながらも何とか言葉を2人に伝えた。

  • 183ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 16:50:16

    >>182

    「?!……ああっ!いやいや。大丈夫だよ! 気にしないで……!!」

     少年にいきなり謝られたものだから、ケイも立ち上がり身振り手振りでその必要はないと示すことになった。

    「ほら、頭上げて、ね? 俺も悪かったから……」

    (ほんとに悪かったな……ちょっと気をつけなきゃ……)

     龍影が自分自身の身体を見られたのを見て、ケイもとっさに警戒した……その閾値の上がり方が高すぎたのだろうと察して、ケイ自身も謝ることにした。


    「君も操縦士なんだ……俺は、その……サヤギリ、っていうんだ」

     こっちが下の名前を言うことはまだ早いかな?という判断をしたまま。ハヤテという同年代の自己紹介を受け入れる。

  • 184龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 16:52:51

    >>182

    「驚いた。ケイと同じくらいの子がパイロットやってるなんて…」

    龍影からしてみれば、ケイが特段のイレギュラーだと思っていた。しかしそんなパイロットがまさかもう1人いるだなんて思っていなかった為驚いた。

    「…パイロットってことは…もう依頼は?」

    新兵であって欲しい。ほんの少しだけそう思った。

  • 185ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 16:59:24

    >>183

    「サヤギリさん…よろしく…です。」

    銃を抜くどころか謝られた事にあたふたしているようだった。とりあえず右手を出して敵意が無いことを見せた。

    >>184

    「14の時にアーヴィングに乗って土木作業をしたのが初乗りです。それ以降は3年間先生指導の元、動きを学びました。それで先生の僚機としてG-3へ。それが初めての実戦です。」

    この人に嘘は言えない。少年は直感した。

    辰砂色の目はインベイドへの憎悪を隠した。

  • 186ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 17:32:55

    >>185

    「よろしく……できれば、さっきのは水に流してくれると助かるかな……はは……」

     握手を交わしながら……やってしまった。という後悔で引きつった笑みをなんとか隠して、席に座るように促す。


    「14って……俺より速い……!?!」

     とはいえ、その後の経歴には驚くばかりであったが。

    (……爺さんが俺に10年近く訓練させてくれたのは、もしかしたら珍しいのかも……)

     己の中で、祖父と共にした地下のことはあまり語るまいという心境が、ケイにはここしばらくの地上生活で身につき始めていた。

  • 187ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 17:39:53

    >>186

    「兎にも角にも働かないと!だったので。」

    サヤギリとの握手はとてもしっかりと頼れるものであった。

    ふと思った。

    「こんな事を聞いちゃなんですが、お二方の使う機体はなんです?自分はヤモリから逆巻ってところの廉月ってのに乗り換えて…」

    シームレスに、とても自然に龍影たちのテーブル席に移る。

  • 188ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 17:46:44

    >>187

    「ああ、俺は……」

     ふと、時計型端末に己の視線を落としたあと、ハヤテに視線を向け直す。

    「Cv-k7『月風』……だよ。逆巻だと七式とか呼ばれてる、あれ。廉月は確か、八式だったかな?」

     本当の機体名は、言えなかった。 G-3コロニー戦が初陣の彼に、何を言われるか分からないから。

     そんなふうな、はぐらかしで誤魔化すくらいしか、できない。

  • 189龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 17:48:02

    >>185

    「そう…G-3から生還…素晴らしい先生だったのね…」

    少し申し訳なさそうに答える。

    >>187

    「ヤモリから廉月…?」

    珍しくは無い経歴だが、自分以外の廉月乗りに会うのは初めだ。

    「あ、自己紹介がまだだったわね、王龍影よ。廉月乗りとして、よろしく。」

    ケイと握手し終わり、自分たちのテーブルについた少年に右手を出した。

  • 190ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 17:54:48

    >>188

    「月風…まさかオリジナルアーヴィング?!凄い!まだあの機体のパイロットが居たなんて!」

    少年の辰砂色の目はキラキラと輝いている。

    「あれ?…でもサヤギリって名前で月風の登録は無かったような…?」

    少年は疑問に思った。

    >>189

    「あ、ご丁寧にすいません。」

    龍影の差し出された右手を握り返した。

    とても柔らかく、優しく、温かいものであった。

    だがこの温もりも感触もニセモノである。少年はどこか悲しいものを感じた。

  • 191ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:01:20
  • 192◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 18:02:56

    【《B-1 コロニー》 に置かれた、クロノス・インダストリーの子会社が集まるビジネス街】

    【その近辺に一つの医療センターがある。K.I社に連なる会社群の中でも5本の指に入る《Heart Repair社》が運営する白亜の殿堂】
    【コロニー内に住まう富裕層が日夜足繁く通うそこに一人、変わった人物が入院していた】

     『失礼します』

    【ピッ、という単調な電子音とともに扉が開く。翳していたカードキーを仕舞った看護師は、一応の断りを入れて入室した】

    【ここは特別個人病室。いわゆる訳アリな患者を置くための部屋だ】
    【詳細をわずかでも探ろうとすれば痛い目を見る、もしくは命を失いかねないほどに厄介で、重要な傷病人を癒すための部屋】

             ・・・・
     (……でも、そうは感じないのよね)

    【清潔なリネンのベッドに横たわる女性を見て、そう思う】
    【この看護師は人が纏うワケを肌感で察することのできる体質であった。だが、彼女からは何も感じない】
    【普通の、ショートヘアが似合う女性患者としか思えない】

    【……となると、周りがワケありなのか】

     (どっちにしろ、早く目覚めて退院して欲しいわ。私の精神衛生的に)

    【医療従事者らしく患者の早期退院を祈りながら、いつも通りの仕事を始める】
    【まずは掃除から。そう思って目を逸らしたからか、看護師は女の体がピクリと動いたことに気づかなかった】

  • 193ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 18:04:31

    >>189 >>190 

    「改良機に乗ってるんだ。機体名も変えてる……見つからないのは、そのせいじゃないかな?」

     無難な言い方をしているが、墨と青が混じった目が、少年の憧れに耐えきれないというかのように机に向いていた。

     とはいえ、龍影との握手に際して、平常心をある程度取り戻し始めていた……いつまた崩れるかもわからないものだが。

    (スイは……はぁ、今日は蒼風のほうか……カンナさんとなにか話し合いでもしてるのかなぁ)

     本来ならあるはずの翡翠色の蛍光が時計型端末にないことを、ケイは少し不安に思っていた。

  • 194龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 18:15:15

    >>190

    ケイとは違う、磨き上げたグリップダコのあるがっしりとした握手をした。

    「料理は大丈夫なの?」

    握手を終え、座り直した龍影は、もう自分たちのテーブルに座り、あたかも初めから居たかのようにしている少年に聞いた。

    彼のテーブルには…先程まで食べていた野菜炒めが無い。

    自分達の机には少年の食べかけの野菜炒めがそこにある。

    「えっ…」

    思わず声が出た。

  • 195ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 18:18:29

    >>194

    「……??」

     龍影の声に反応して、テーブルを見て。

     ……なんだ、ただの野菜炒めじゃないか。と視線をハヤテに戻して。


    「……ぇっ!?!?!」

    (えっ、野菜炒め!?!なんで!?! いつの間に!?!)

     二度見の、料理を見て目を見開いた。

  • 196ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:22:20

    >>193

    「なるほど…そういう事でしたか。」

    少年はサヤギリからの回答に納得した。まぁ改造機なら自分の朧月のように名前くらい変えるだろうと。

    >>194

    >>195

    握手が終わった後に自分の居た席の野菜炒めとソーダを移し、食べ始める。そんな時に龍影とサヤギリの反応をされた事を不思議に思った。

    ただ自分は野菜炒めをこっちに持ってきただけなのに。

    「ん?何か気になる事でも?」

    モグモグと野菜炒めを食べている少年は不思議そうに聞いた。

  • 197アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 18:26:31

    >>192

    【その女性は目を開ける】

    【普通に体を動かそうとして、しかし少しだけ身体が重い気がして、無理に力を入れようとせずベッドから起き上がることもしなかった】


    【やがてあなたの姿を認め、何かを伝えようと口も開く】

    ……あ……り……。

    【確かめるような発声。声を上げるのもいつぶりだろうか】

    んんっ。ありがとう、ございます。

    【そしてまず感謝の言葉を述べる程度にはこの女性はどこかズレていた】

  • 198ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 18:29:40

    >>196

    「(ろ、龍影さん!!野菜炒めが!! 野菜炒めがいつの間にかこっちのテーブルに移ってる!?!)」

     あまりにも自然すぎて見逃したのか、それとも彼の動作が速すぎて分からなかったのか。どちらにしても異常事態。

     ケイはその顔を驚愕に青褪めさせながら、龍影に助けを求める。


    「(しかも何事もなく食べてる!?!)」

     その後、こちらの困惑を気にすることなく食事をする少年に、(なんて肝が太い同年代なんだ!!)と関心と驚愕の渦に飲み込まれていた。

    『あのー……ご注文の回鍋肉大盛り、白米付きですが……』

    「あ、はい!!どうぞ!! 俺の注文です!!」

     店員さんの注文が来たおかげで、なんとか正気を取り戻した。

  • 199龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 18:35:05

    >>196

    「何って…え?野菜炒め…いつの間に?」

    見落とした。いや、自然過ぎて背景と一体化してたのであろうか。それにしても恐ろしい…

    >>198

    「魯肉飯とサワー、小龍包でーす!小龍包の方は大変お熱くなっておりますのでお気をつけください。」

    「あ、ありがとうございます。」

    ケイにも今の現象を聞こうとしたが、店員が持ってきた料理を食べてとりあえず仕切り直す。ことにした。

  • 200ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:40:01

    >>198

    >>199

    「あ、野菜炒めは自分のテーブルから持ってきてますよ?」

    注文したのを盗った訳では無いことを説明した。

    でもそんなに不思議がる事なのだろうか。

    少年は自身の行った動きが奇っ怪である事を理解するのにはまだしばらくかかるだろう。

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