【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part10【のんびり進行】

  • 1ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 17:56:59

    襲来した異星人!

    侵略されるエネルギー資源!

    存亡の危機に晒されてなお人類は……

    未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!


    【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】

    https://00m.in/PCkBk#google_vignette


    次スレは>>190踏んだ方が

  • 2ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 17:58:28

    前スレはコチラ

    【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part9【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com

    【禁止事項】

    ・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)

    ・必要性の認められない確定ロール

    ・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)


    【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】

    ・版権設定の利用

    ・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること

    ・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること

    ・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)

    ・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)

  • 3ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 17:58:54

    Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
    A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
    テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
    ↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!

    Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
    A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!

    Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
    A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!

    Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
    A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
    エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
    「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!

    Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
    A5:へへっ

  • 4ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:00:17

    【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)】

    テストテスト00m.in

    【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】

    https://00m.in/

  • 5ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:01:58

  • 6ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:02:22

  • 7ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:02:36

  • 8ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:03:42

    ひーかりーにねがーいをかけてーあーつーいぎんがをー胸にーいーだけばー

  • 9ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:04:43

    ゆめーはいーつしかーかなうとーしーんじてー

  • 10ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 18:07:31

    シャアーbelieveing!a play as!

  • 11ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 18:46:33

    前スレ200

    「ま、まぁそれじゃあ……食べようか……」
     冷や汗を流しながら、ケイはやってきた食事に対して手を合わせて食べ始めた……なおその量は常人の1.5倍というくらいしか取り立てて異常な部分はないのだが。
    (何を話すべきかなあ……??)と悩んでいた。

  • 12龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 18:55:03

    前スレ200
    「いや、その野菜炒めを持ってくる君の姿を私は見落とした。一体何をしたの?」
    火傷しなように小龍包の熱いスープを冷ましながら口へ運ぶ。
    「素早く動いても私の義体の動体視力で捉えきれないってのはありえないはずなの。どんな手品?」
    ある種恐怖にも似たものの正体をつかもうとした。

  • 13◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 18:59:46

    前スレ197

    【換気用に開いた窓から舞い込む風の音。いつもなら、それだけしか聞こえないはずの部屋に自分以外の声が響いた】
    【乾いた喉から出された、妙齢の女性の声】

     『お、お目覚めになられたんですかっ』

    【視線をベッドに向けると、そこには変わらず女性が横たわっている】
    【ただ違うのは彼女が瞼を開き、その桃色の瞳でこちらを見つめているということ】

     『えっと、ど……んんっ!……今から先生をお呼びします。ので、感謝はそちらに』

    【少し前まで失礼な考えをしていた自覚があるため、感謝を受け取るのは気が引けた】
    【滑りそうになった口を咳払いで止め、自然な愛想笑いを浮かべる】

     『先生……はい、特別個人病室の患者さんが……はい、わかりました』

    【胸元に入れていた携帯端末で彼女の主治医を呼び出し、改めて向きなおる】

    『すぐにいらっしゃるそうです。……その、何かお聞きしたいことがあれば伺います。答えられる範囲かつ、仕事をしながらにはなりますが』

    【愛想笑いが引き攣ったものになってやしないか。そんな一抹の不安を抱えながら、看護師は女性のそばによった】
    【点滴を取り替えるためだ】

  • 14ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 19:07:19

    >>11

    >>12

    2人は何に脅えているのだろうか…そんなことを考えていた時に龍影から質問された。

    「え?そうです?そんな事したつもりはなかったのになー」

    質問はおそらく少年の動きに関してなのだろうが、自覚は無い。

    とりあえず話を合わせようと考えるが、ボロが出たら相手への信頼を落としかねない。

    「ストリートにいた時の癖ですかねー」

    少年は真実だとは思えないが、明らかな嘘でもない回答をした。

  • 15アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 19:12:53

    >>13

    ご丁寧に。恐れ入ります。

    【アカネの表情は変わらない】

    【咳払い、愛想笑い、動揺など知ったことではないとばかりの愚直な答え】


    そうですね……

    【そして辺りを見回す】

    私は……どんな治療をされたのです?

    恐らく治療前の私は感電と全身打撲、裂傷もしていたのではありませんか?

    【冴えてきた頭で考えれば『なぜ生きている』のかが分からなかった】

  • 16ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 19:13:50

    >>14

    「そ、そう、なんだね……ははは……」

    (絶対普通じゃない。絶対に!! 生身の訓練やってた頃の爺さんと同じ動きの類だよこれ!一瞬だけどあれと同じ匂いがした!)

     ケイが爺さんと呼び慕う祖父も、己に鍛錬をつけてくれた幼い頃に似たような動きをしていることがあった。義体使いのような、ひたすらに速いわけではない。

     いつの間にか鞘から抜いた刀を手に持っていて、いつの間にか自分の間合いに入って、そしていつの間にか目の前に剣がある。

     そうなればあとはどうしようもなく、必定の敗北が待っている。

     二桁になった頃の子どもに対して随分と大人げない祖父だったが……肉体を鍛える最低限の訓練として受け入れていたケイは、その頃の記憶を思い出して震えていた。

  • 17アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 19:17:58

    >>15

    【そのうえで言えば違和感がなさすぎる。まるで怪我など無かったかのように】

    【自分が脳髄だけになり電子の世界でヴィジョンでも見ているか、あるいは非常に高価な義体でも使われたか、あるいは再生治療なんて眉唾モノのおかげか……】

    【その辺りをはっきりさせたかったのだ】

  • 18龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 19:18:38

    >>14

    「な、なるほど…?」

    ストリートと言った為、このハヤテという少年、浮浪孤児であるのだろう。

    その環境に晒されるならつくであろう技術ではある。それだとしても卓越した技量である事に変わりは無い。

    「ほ、他に食べる?」

    だいぶ強引だが龍影は話題を切り替えようとした。

  • 19ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 19:30:17

    >>16

    サヤギリがソワソワしているのが不思議だった。まさか自分の動きに何か原因が?

    少年は考えたがこれといって引っかかるような事はしていないという答えにたどり着く。

    >>18

    少年は龍影の提案にのった。

    「ではお言葉に甘えまして、チマキとゴマ団子を」

    美味しいものを沢山食べると体を壊す。ストリートで学んだ事のため、このような場での食は細い。


    「蒼風…なるほどね。」

    手元の端末でサヤギリの登録記録を見る。

    G-3でストラクチャー奪還に貢献したBFの名前であった。

  • 20◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 19:30:39

    >>15

     『……そうですね。貴方が想定しているのとほぼ同じ傷を負って、ここに運び込まれました』


    【当時の騒がしさは記憶に新しい】

    【第一救急隊が引くストレッチャーに乗せられていた彼女は、今の状態からは考えられないほど酷い姿をしていた】


    【後ほど駆り出された手術で見た、まるで拷問を受けたかのような有り様に血の気が引いたのを覚えている】


     『なので、サイバネ化手術を行いました。肌移植だけでなく、一部の内臓も取り替える必要がありましたので』


    【入れ替え終わった点滴を専用の袋に仕舞う。部屋の掃除も終わったいま、後は手術を主導した、彼女の主治医を待つだけだ】


    【その間、具体的にどのようなインプラントを移植したのかを話しすことにした。ここに運び込まれる以前の身体より、どう強くなり、どう変わったのかを、わかりやすく説明した】

  • 21ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 19:38:14

    >>19

    「っっっ…………」

     ハヤテが自分の機体名を見つけて呟いたのを聞いて、顔をとうとう俯かせた。 もはや隠すことはできない。

    「……うん。俺は、蒼風の……操縦士だ。下の名前は、龍影さんも言ってたけど、ケイだ」

     ケイは大きく重い息を吐いて……大盛りの回鍋肉を食べる手が、止まった。 今でもたくさんの人の声が脳に響く戦いだった。

     恨まれても、憎まれてもおかしくないと覚悟を決めても、やはり恐ろしいものだった。

  • 22アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 19:44:01

    >>20

    【説明を受けるうちにアカネの顔色からも血の気が引いていく】

    【──少なくとも表情に関しての手術は全く問題ないらしい】

    人工肝臓、スマートリンク、視覚野サポート、アドレナリンインジェクタに補助血液ポンプ……?

    私が知る限り、いや私の知らない最新の強化人間技術ではありませんか……!

    ……失礼、説明は分かり易かったです。

    【驚愕、動揺。そして沈黙する】


    【ここまで手厚く調整されると『なぜ生かされた』かという疑問が湧いてくる】

    【自我は奪われてはいない。思考回路はどうだろうか。今のところ何かに忠誠を誓わなければならないような感じはしないが】

    その……詳しい話は主治医に伺いますね。

    【主治医と会えるならそちらに直接聞いた方が良いだろう、と判断し一先ず質問を打ち切った】

  • 23ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 19:47:53

    >>21

    「あのインベイド共を倒してくれたんです。落ち込むことはありませんよ、サヤギリさん。むしろあの規模のイレギュラーも起きた戦いで全体の損耗が5割いってないので大成功ですよ。」

    少年はなぜそのようになるのかが分からなかった。「戦いとは味方を効率的に殺すものである。」と先生から教わったからだ。

  • 24ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 20:00:55

    >>23

    「そう、だね。分かってる。分かってるよ……うん……」

     どう見ても、分かっているようには見えない顔の沈み具合だった。その通りだ。むしろ上出来だ。同じ地獄を何度も、あのシミュレーターで経験したじゃないか。良くやったほうだ……。

    (でもそれで、死んだ人たちが満足してくれるのか……?)


    「……はぁ……」

     重い息だけが、漏れる。 腕の良いBF乗りだったことだけは知っている祖父も、同じことに悩んでいたのだろうか。

    「……ごめん、変な空気にしちゃったな。 少し腹に食べ物を収めよう」

     切り替えようとして、ご飯を口に運ぶ。 自分の思いを吐き出したい気持ちしか湧いてこないのは、あまりに不健全だし、甘ったれというものだと。ケイは思ったから。

  • 25龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 20:03:42

    >>19

    「わかったわ。チマキとゴマ団子ね?」

    龍影は店員を呼び、追加で注文をした。


    >>23

    ハヤテの発言は軍人、それも戦略や作戦規模で戦局をみるものの考えだ。によるメインシャフト開通、人型の大量発生。イレギュラーばかりが起きたのに5割未満で済んだのは人類軍の意地であろう。

    >>24

    「大丈夫、大丈夫…」

    なだめるようにケイの背中をさする。

  • 26龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 20:12:12

    >>24

    サヤギリさんはストレス耐性があまりないみたいだった。

    これがオリジナルアーヴィングパイロットなのだろうか。

    >>25

    龍影さんが頼んでくれたのに対して

    「ありがとうございます」

    と例を言う。

    しかし、あの2人の関係は歪だな…お互いにお互いを沼にしずめあっている。少年は少し寒気を感じた。

  • 27ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 20:17:29

    >>25

    「……」

     こくりと、背中を擦られながら頷いた。この重さに慣れるのは、果たしていつなのか分からないが……

     慣れたくないな、という思いのほうが比率として重くて。

     ならば、慣れないまま強くなるしかないのだ。と、祖父の言葉を思い出して息を吐く。

     大丈夫、と龍影に頷いた。


    >>26

    「ところで。君の機体も廉月のカスタムなんだろ? ……どんな感じか聞いてもいいかな?俺はこんな感じ」

     話題を変えて、ケイは自身の機体……蒼風のデータを見せた。

  • 28ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 20:28:01

    >>27

    「僕はヤモリをずっと乗ってたので、廉月の大型推進器を取り外して陸戦仕様にしています。」

    少年はサヤギリに朧月の写真を見せた。アーヴィングと同じ配色のオリジナルを。

    「でもヤモリみたいに蹴ったり出来ないのでちょっと矯正しなきゃって感じですけどね。」

    そう言って蒼風をみる。その写真に写る月風は資料の通りではあるが、覇気が違う。冷ややかに、猛々しく、凛と立つその青い月は少年の辰砂色の瞳を引き付けた。

  • 29ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 20:35:58

    >>28

    「へぇ……この配色は、珍しいな」

     スイがいないことがなおさら悔やまれるほど、朧月のカスタムはケイにとって興味深いものだった。大型コア粒子推進機関を取り外し、廉月の機体パワーと稼働時間を陸上の走破性に寄せたものだと確認が取れる。

     機体の迷彩もそうだが、ここまで陸戦に割り切った構成のカスタムは逆巻重工としても珍しいデータの対象になるはずだ。

    「元がヤモリで、蹴り技系なら……あとでカンナさんにその手のを装備を申請できるかもしれない」

     という。 相手を蹴り飛ばす、蹴って押し付けるという技はケイも良くやる手だ。 頼めば作ってもらえるだろうと伝えた。 得意分野は活かすべきだ。


    「俺の蒼風じゃあ、できないことだからね」

     そう締めくくる。まさにできることの違いそのものだった。

  • 30二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 20:38:41

    このレスは削除されています

  • 31龍影◆9BZ6kXGcio25/04/17(木) 20:42:07

    >>28

    「あ、私のも。これが望月、今の相棒よ。」

    少年に望月の画像を見せる。

    そして見せられた朧月の配色を見て納得した。

    純陸戦特化機になっている。

    「でも確かにヤモリみたいな蹴りは出来ないものね。」

    廉月の細い足で蹴りなんて恐ろしい。

    >>29

    「ケイ、コレがアーヴィング、ヤモリの塗装よ。」

    チョコチップパターンカムを不思議そうに見ていたケイへ軽く説明をした。

  • 32ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 20:49:05

    >>31

    「あ、それなんですけど……月風って意外と関節が頑丈で、機体もパワーあるんですよ。だからほら、こんな風に……」

     見せる映像は、デントナ機だったり。あるいは人型インベイドに加速を利用した蹴りの押し付けを食らわせる映像だ。

     前者は岸壁に突っ込む際の離脱追撃。後者は不意打ちじみて足で相手を地面に紅葉おろしにしたあと、四肢を速射砲で断裂させている。

    「やろうと思えばできるんです。ただ、やり方をミスったら怖いのは……はい」

     昔の記憶が蘇る。死んだ体勢で蹴りを入れた結果、月風の膝関節がイかれかけたシミュレーターの記憶だ。

     その記憶を思い出しながら、これがヤモリの基本塗装なのだと言われれば、とても感心していた。


    「荒野とか市街地とか……そっち向けの塗装なんですね」

     頷き、ご飯を平らげておかわりを申請する。

  • 33ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 21:02:13

    >>29

    「でもCNTみたいな強靭さがないから前蹴り以外が怖くて出来ないっすよ。」

    坂巻の方でヤモリと同じ脚はおそらく用意できない。

    そうなると壁に足を突き刺して歩く。そんな芸当ができるわけない。

    「スラスターが無い分、それに回していた粒子も機体駆動に使えるので長時間動けますよ。」

    キラキラと新しい相棒について語る。

    >>32

    墨と蒼の月は偏愛に近い優しさと徹底的な殺意を纏っていた。

    薄気味悪い。

    少年は口にこそ出さなかったが、この龍影という女の依存はもう手遅れであると理解した。


    「チマキとゴマ団子でーす。」

    店員が持ってきた声で帰ってくる。

    「ありがとうございます。」

    少年は何とか笑顔で答えた。

    ゴマ団子を口に放り込むように食べる。味がしない。

    今話しているこの2人はおおよそまともでは無いという事が恐怖でしか無かった。

  • 34◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 21:03:47

    >>22

    【白い肌がみるみる青く染まっていく。どうやら、彼女は自分が生かされた理由がわかっていないらしい】

    【やはり、彼女自身がというよりは、彼女の周りが訳アリのようだ】


     『ええ、そうしてください。きっと、もう── 』


    【いらっしゃるはずですから】

    【その言葉を遮るように ピッ!と電子音が鳴り、扉が開かれる。同時に看護婦は頭を下げ、ベットから離れた】


     『グッド モーニング!三週間ぶりだね。目覚めの気分はどうよ、お嬢さん』


    【艶やかな長い黒髪と清潔な白衣を揺らし、片手をあげながらの陽気な挨拶とともに入室してきた大柄な女性】


    【街頭テレビやSNSで一度は彼女の顔や名を見かけたことがあるだろう。インプラント手術の第一人者、医学会の重鎮、黄金の腕をもつ外科医】

    【《Heart Repair社》が誇る才女、グロリア・ドーセント】


    【一般的なBF乗りの生涯年収を積んで、やっと顔が拝めるとされる雲の上の人物が、気さくな笑みをアカネに向けていた】

  • 35ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 21:13:17

    >>33

    「あー、確かに……横蹴りができないのは面倒だよなぁ……いっそアンカー代わりに足に振動ナイフ仕込むとか?」

     目の前の少年が自分に恐怖していることをなんとなく理解しながら、努めて参考になるようアドバイスを送っていく。


    「……映像とか見て、なんでこんなことできるんだ?って思ったら聞いてください。できる限り噛み砕いて解説していきますから」

     己の蒼風を、優しさと殺意を纏う死神めいた存在として畏れられていることだけは分からなかったが。

  • 36アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 21:18:42

    >>34

    グッド……モーニング。

    【ベッドの上から上体を起こし、引き攣った顔で返答する。どこまでも愚直であった】

    か、体に異常はありません。そういう意味では最高の気分です。

    精神的には、猛烈に締め付けられるような……き、緊張……?

    グロリア・ドーセント。あなたが主治医であるというなら……私は……とんでもない高値で買われたということ……。

    【低めの声がはっきりと動揺する。妙齢のはずだがもはや純真さすら感じさせるかもしれない】


    と、ともかく!あなたにいかなる事情があれど私を救ってくださったことは心から感謝いたします。

    【グロリアとは態度も、背丈も、髪も。対照的な妙齢の女性は一礼する】

  • 37二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:33:44

    このレスは削除されています

  • 38◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 21:46:43

    >>36

    【若々しく初々しい態度に、グロリアは愉快そうな笑い声をあげた】

    【こういうふうに生真面目なタイプは好みだ。面白くて】


     『カカッ、カチコチだね〜。取り敢えず顔上げな』


    【手を横に振って緊張をほぐすように促しながら、頭を下げて遠ざかる看護師と入れ替わるようにしてアカネのそばに立つ】


     『それと、礼ならアンタを買った奴に言うんだね。アタシはソイツに頼まれたから、アンタを治したんだし』


    【報告された体調をカルテに記しながら、あっさりと渡された礼を返す】

    【実際、彼が自腹を切ったから彼女は五体満足でベットに寝ていられるのだ。そうでなければ今頃は臓器も皮も売り飛ばされ、白骨だけが荒野に残されているだろう】


     『もうすぐソイツも来るよ。それまで聞きたいことがあれば教えるけど?』


    【そう言って、紙面を走り終えたボールペンを胸ポケットに差し戻す】

    【緑がかった金色の目がアカネの緊張に揺れる桃色の瞳を真っ直ぐに見つめた】

  • 39二次元好きの匿名さん25/04/17(木) 21:54:48

    このレスは削除されています

  • 40アカネ◆fDey8JUvvk25/04/17(木) 21:57:37

    >>38

    あ、はい……。

    【とりあえず顔を上げた】


    【先ず考えたのは『私を買ったのはどんな人か』だが、それももうじき本人が来るならそちらに聞いた方が良いだろうと判断する】

    【次に思い浮かんだことは……こちらを見つめる金色が、『綺麗な瞳ですね』なんてとんでもないことで、直ぐに首を振って脳内からかき消す】

    ええと……私を買った人はどのような性格なのですか?せめて失礼のないようにしたいのです。

    【だから聞くべき質問はそれ一つだった】

  • 41ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/17(木) 23:10:19

    >>35

    チマキとゴマ団子を食べ終えた少年は代金をテーブルに置き

    「いえ、本日はありがとうございました。また依頼などで会えましたら。」

    完全にかかわる相手を間違えた少年は足早に去った。

    「戦場では会いたい人たちだったな…」

    少年は青天の街へ消えた

  • 42エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/17(木) 23:14:05

    >>40

    【少しは肩の力を抜けただろうか】

    【こちらに集点を合わせた瞳を見て、そんなことを思いながら口を開く】


     『度が過ぎなきゃ礼節とか気にしないタイプだよ。譲れない所は絶対譲らないけど、それ以外は融通が効く』


    【自分がやりたいことを全力でやる、利他的な利己主義者。要は奇人】

    【必要と思えば巨額の投資も戸惑わず、最終的には黒字に変えるか、トントンに持っていく手腕を持つ】

    【あと優秀】


            ピッ


    【そんな長い付き合いを経てわかっている部分をそのまま伝えていると、またもや単調な電子音が室内に響いた】


     『お、来たね』


    【扉が左右に開き、静かに誰かが入ってくる】

    【170cm未満の小柄な体躯を揺らすことなく、確かな足取りで歩いて】

    【短く整えられた茶髪を窓から差し込む陽光に照らされながら】


     「こうして顔を合わせるのは初めてだね。初めまして、Ms.アマギリ」


    【丁寧な礼の後、顔があげられる】

    【空色のサイバーグラスの奥から、二つの黒い目がアカネを捉えた】


     「クロノス・インダストリー社工学事業部部長、エイダン・リーだ。今日は君を雇いに来た」


    【そう告げたのは、平坦かつ軽薄という、独特な調子の声。あの採掘場で上から降ってきていたそれが、今は前からかけられていた】

  • 43ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/17(木) 23:32:02

    >>41

    「……なんか、色々致命的なものを間違えた気がするな……」

     もっと仲良くなれる人と、仲良くなれなくなってしまったような。

     そういう寂しさ、罪悪感。なにかを間違えた感覚のまま、ケイはその背中を見送った。


    「……はぁ……」

     ぐったりと、ケイは机の上にだらける姿勢になってしまう。

  • 44ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/17(木) 23:57:17

    いやー今日も今日とて変わりませぬな〜メビ殿

    『そうですわね〜金龍殿』

    【朗らかな日に包まれ、2人は縁側で茶を啜る】

  • 45アカネ◆fDey8JUvvk25/04/18(金) 07:26:50

    >>42

    ……確かに、直接顔を合わせるのは初めてですね、エイダン部長。アカネ・アマギリです。

    【ゆっくりと立ち上がり、入院服のまま返礼する】

    【その声には採掘場で覚えがあったし、ドクター・グロリアの言葉を鵜呑みにして待っていれば本当にそんな雰囲気の人物が来たものだから】

    【アカネの緊張は幾分マシになっていた】


    【そして雇うという提案は、予想していなかったわけではない】

    【生まれや人自連での立場、身体に特別なものがない以上、そこまでの価値をつけられるのは自身の能力しかないと考えていた】

    【──それくらいには自信があった訳だが】


    【それでも即決はできず、少し悩んでから口を開き回答する】

    ………承知しました。砲弾が届くなら、3000km先の目標にも中てて見せましょう。

    それ以外も、ご用命とあれば。

    【サイバーグラスの奥の2つの光を捉え、アカネは鋭く見つめ返した】

  • 46龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 07:42:29

    >>41

    「あっ…ちょっと!」

    ハヤテという少年を追いかけるように店の外に行ったがその姿は既に溶け込んでおり見つけることは出来なかった。

    龍影はテーブルに戻り、座る。

    >>43

    「多分…パイロットとしては仲良くしてくれるよ…」

    歪つな形に育まれた愛に対しての忌避感であろうと龍影は考えた。

    「残り…食べちゃおっか。」

    龍影は並んでいる料理に箸をつけた。不思議な時間ではあったが、小さな歯車が噛み合い、動き出したという確信がどこかにあった。

  • 47ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 07:48:24

    >>46

    「うん……そうしよっか」

     机の上に残ってる料理をゆっくり食べながら。少し沈んだ顔が料理の美味しさで少しずつ戻ってくる。

    「あ、そういえば廉月の損傷とかは大丈夫そう?」

     こっちはもうカンカンに怒られました。と疲れた笑みをしている。蒼風自身も内部パーツが相当やられていたらしい。

  • 48龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 07:58:04

    >>47

    「望月は修理じゃなくて、同じ仕様の廉月に交換になっちゃった。飛んできた破片による内部フレームの破損が酷かったみたいで。良くこれで撤退まで持たせたね。って驚かれちゃった。機体の納入は色々揃えたいから4週間欲しいってカンナちゃんに言われた。」

    まだ2回しか出撃して無いのに。

    龍影はボソッっと、どこか寂しそうに言った。

    「ケイ。この後はどうする?」

    あんな戦いで嫌な事を思い出してしまった龍影としてはもう少しケイと一緒に過ごしたかった。

  • 49ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 08:03:40

    >>48

    「あちゃぁ……でもカンナさんのことだから、ちゃんと望月として納入してくれると思うよ……あの人としても、アブソーバー相手は予想外だったらしいから」

     あの人、コンストラクターとして壊れた機体はちゃんと直すから。と言い切るのはケイからの信頼が見えていた。

     むしろよく生き残ってくれたと言ったでしょう?とケイは笑って。

    「俺は……蒼風の修理に時間かかるから、今は何も予定ないよ」

     ケイとしても限界を一度ならず数度超えたのだ。休みたい気持ちは多数存在していた。

  • 50ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/18(金) 08:13:00

    >>41

    しばらく歩いた少年はふと携帯を取り、ヨツバへ繋ぐ。

    ワンコールでヨツバは出た。

    「はいコチラ003格納庫の整備班長ヨツバです。」

    「カスミ・ハヤテです。ヨツバ整備班長、CNT人工筋肉による内部フレームの保護って朧月でも出来ますか?」

    少年は少し無茶を振った。

    「…格闘戦仕様かい?出来ないことはないけどヤモリ程のものにはならないよ?」

    ヨツバはおそらく少年が欲しいであろう性能にはならないと答えた。現状、先行配備型しかない廉月は来る正規量産型よりもカスタムの幅が狭い。そのカスタム性の中でヤモリのような脚力を実現させるのは至難の技である。

    「…内部フレームの補強をCNTでやってください。ヤモリ程でなくていいので。」

    やはり、少年は推測通りであった事に少し残念がった。

    「待ちたまえ、ハヤテ君。出来ないとは一言も言っていないじゃないか。同じ値とはいかなくても、近似値にはしてみせるさ。それに君の意見は他のヤモリ乗りへ機体を卸す時の指標にもなる。ありがとう。本社の技師にも掛け合ってみるよ。おやすみ。」

    ヨツバはそう言って通話を切った。

    「逆巻はネジが飛んでないと関われないのか?」

    少年は芸術に似た職人魂を見せられて唖然とするしか無かった。

  • 51龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 08:23:56

    >>49

    「じゃあケイの家にお邪魔しよっかな。」

    冗談で龍影は言ったつもりだった。

    てっきり、「待ってくださいよっ!」とアタフタするものだと。その後に「冗談だ」と茶化すつもりだった。

    しかし、目の前に座る少年は、龍影の予想と全く違う反応だった。

  • 52ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 08:30:40

    >>51

    「……え?いいの!?」

     少しだけ音を立てて立ち上がってしまって。周りの人に謝りながら座る。

    「えっと……地下に、一緒に来てくれるんだね?」

     確認するように、念を押す。もしかすれば逆巻の都市にある家の方と勘違いしている可能性もあるからだ……それでも龍影の決意が固ければ。

    「じゃあ……一緒に、爺ちゃんとみんなへいっぱい報告しなきゃね」

     ケイは笑いながら、準備を始めるだろう。

  • 53龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 08:38:51

    >>52

    まさかこんなにもキラキラした目で、しかも実家に招待されると思っていなかった龍影は後に引けなくなった。

    「えっ実家にお邪魔して…大丈夫なの…?」

    ケイに確認をした。

    だが、もし。

    もし、私の予想が正しいとしたら、彼の戦闘技術も、エンブレムが狼の理由もそこに行けば分かる。そんな気がした。

    「なら…実家に…お邪魔しようかしら…」

    龍影はテーブルに置かれた伝票を取り、そのまま会計へ向かった。バクバクと心音は大きくなる。

  • 54ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 08:47:18

    >>53

    「もちろん!誰かを地下に呼ぶなんて初めてだったけど……龍影ならみんな歓迎してくれるはずだよ!」

     伝票で会計を終えた龍影の隣に立ちながら、まぁ……あまり大したものはないんだけど!と笑う。

    「あ、でも滑りやすいからそれを防止する靴は履いていこう。水道管の上を通るから危ないんだ……底が見えないんだよ」

     さらっと命の危険を口にして、青天市街を出る民間輸送機のチケットを申請する。

     位置関係としては、青天市街からは遠い……逆巻重工支社都市の近くだ。

    「ここ!ここを通っていくんだ」

     何も問題がなければ、ケイは発電所の近くにあるマンホールを開けて先に入っていくだろう。

  • 55龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 08:58:36

    >>54

    「えっ…えっ?!」

    通る?底が見えない?!

    出てくる単語に驚きつつも、すぐに自分が履いている物を確認する。

    アウトサイド暮しの龍影にとってヒールやローファー等は縁遠い為、今履いているのは、しっかりと靴紐の結ばれた軍靴である。

    そのままあれよあれよと輸送機に乗り、逆巻重工のお膝元の市街地へ来た。

    ケイに手を引かれる形で、野良猫の気配すらない、発電所近くのマンホール前に来た。

    騙された?

    龍影は考えたくもないがいつでも拳銃を抜けるようにイメージをする。

    そうすると溶接されたマンホールを持ち上げようとケイが四苦八苦していた。

    「…はぁ、ケイちょっとどいて。」

    龍影はコートと上を脱ぎ、それをケイに渡し、簡素なタンクトップ姿になる。

    そのまましゃがみ、マンホールを掴むと

    メキメキと音を立てて持ち上げ始めた。

    がゴン!

    中々聞く事のない溶接箇所の破断音を立て、蓋は開いた。

    「これでいい?」

    龍影はケイの方に向き、確認した。

  • 56ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 09:07:20

    >>55

    「う、うん……凄いな……俺ここを通るのに苦労したんだけど……」

     やっぱり義体って凄い。と言いながら先に通るケイ。

     中は水道管やら配電盤、様々な地下保管庫に続く管が通っている、まさに迷路。

    「ここ、気をつけてね!!」

     それからは、まるで迷う気配すらなくケイはどんどんと突き進んでいく。真っ暗で底が見えない位置にある水道管を橋のように渡り、端っこにある配管を綱渡りの如く通ったり。 ボロ板のような渡しをへし折らないように歩いたりして……

    「ただいま、じいちゃん」

     『ケイへ この先通るな』という注意書きのある白い板にしゃがんで挨拶をするケイが龍影の目に映るだろう。 そのまま少し歩けば、錆びた鉄製のドア。

    「ここが、俺の実家だよ……ごめんね、酷いでしょ」

     地上に比べれば、なんともまぁ……という環境のそれをあげれば。


    「みんなただいま!帰ってきたよ!」

     ケイは冷蔵庫や娯楽本、ちょっとした椅子や机、そして電球しかない薄暗い部屋を勝って知ったるように歩き電気をつけた。

     ……その部屋の奥の扉の近くには、十個以上の写真立てがあるのに気づくはずだ。

  • 57二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 09:31:00

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  • 58龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 09:44:45

    >>56

    逆巻の方でも把握しきれてないであろう迷路を躊躇なく突き進むケイの後を追う。

    錆びたドアへ続く道の前にあった注意書きの字に見覚えがある…しかしどこで見たんだっけ…

    ぐるぐると考え、ケイの後を着いていたら、既に扉を開けて招いたので、そこで思考をやめ、中に入る。

    「お邪魔しまーす…」

    生活感がある。しかし物は少ない。

    ここでケイは一人暮らしをしていたのだろう。それを何年間も。少し胸が少し絞められた気持ちになる。

    ふと、奥に置いてある写真立てに目が止まった。

    「ケイ、あの写真は?」

  • 59ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 09:49:01

    >>58

    「爺さんだよ」

     当時はまだ若かったのだろうケイの祖父が、黒髪と青い目が、引き締まった表情でカメラを向いている。

     もう一つの写真は、幼いケイの隣に収まるよう膝立ちになっている……髪が白く染まり、皺も増えた姿。だがその青目は衰えることなく、微笑みながらケイと共にある写真。

     その二つを見ながら、龍影の肩を優しく触れて。


    「紹介するよ、爺さん……俺の恋人の、龍影だよ」

     すごく良い人なんだ、と笑って。


     ……もういくつかの写真立てを見れば、14から15の頃のケイと、同年代の少年少女達の写真で埋まっている。

     背後には、ボロボロの月風が数機。

    「奥の扉にも、もっとあるんだけど……まずはみんなに。左からシグネ、マレッタ。写真を撮る担当になっててここには写ってないけど、デレック」

     勝ち気そうな、今にも怒り出しそうな少女。頬に黒ずみを残しながら、どんなもんじゃい!と言いそうな少女。そして壮年の男性に肩を組まれているケイが、中心だった。

    「俺の肩を組んでるのが、マキシム准将……当時はもっと階級低かったらしいけど……」

    「俺の、戦友達だよ」

     それが、ケイにとっての全てだった。

  • 60龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 10:05:28

    >>59

    「教官…」

    ぽつりと、龍影は呟く。

    桜空撤退時に最後まで共に戦ってくれた月風乗りの写真に、わざわざ逆巻から出向して乗り方、戦い方を教えてくれた教官、そしてその若き日の姿、白髪となり、年老いた姿…

    写真を眺めていき、最後は青い月風の前で撮った集合写真を見る。

    肩には狼のエンブレムがある。

    「そっか…やっぱり」

    一糸乱れぬ連携でインベイドを葬っていた狼の部隊章。ケイが今使っている蒼風のエンブレムはそれの名残りだったと納得した。

    涙が溢れそうになるが、それを拭い、深呼吸をする。

    「貴方のお孫さんは任せてください、教官。必ず、必ず生き残らせます。」

    澄んだ蒼色の瞳をもつ老人の写真に龍影は誓うように言った。

  • 61ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 10:22:18

    >>60

    「……そっ、か」

     やっぱり爺さんは龍影さんの知り合いだったんだな。そんな風に、ケイはぼんやりと自覚して。

    「……ありがとう。爺さんもきっと喜んでくれるはずだよ」

     ゆっくり彼女の背をさする。自分は、娘夫婦の側の子だったらしいんだ。とさらっと語りながら。

    「爺さんが繋いだもの……俺もちゃんと守るから」

     ケイはゆっくり、写真の祖父に向けて頷いた。


    「で、こっちが、俺の戦友たち。奥のシミュレータールームにはもっとあるよ」

     数分経った黙祷の後、ケイは数機のボロボロになった月風を中心に集合している写真を前に動かす。

     大事に、壊れ物を扱うように。先ほどの紹介を繰り返して。

     ……初期インベイド大戦シナリオの、ケイの戦友だと察することができるはずだ。

  • 62龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 11:32:40

    >>61

    黙祷を終えたケイはシュミレーターについて話し始めた。

    「懐かしい…」

    ケイの紹介する名は全て桜空で散った龍影の戦友だった。

    教官から機動戦も出来ないのかと共に怒鳴られ、7手読みなんてインチキだと共に笑い、カッコくらい付けさせろと龍影の小隊の背中を押して戦い続けた大馬鹿野郎(友人)達。

    ほんの18年前の遠い思い出。


    あの戦いはK.Iの技術奪取とインベイドの襲撃が重なった悲劇だった。

    管制は死体を見て吐いていた教練中の新人が、守備隊はK.Iとの戦闘で壊滅。

    事態の収拾が出来なくなったK.Iはコロニー公社と共に消えた。

    最期は粒子炸裂弾による滅菌。

    悪夢を思い出し、寒気を感じる。

    でも、隣にはケイが居る。

    優しい、包み込む温かさを感じる。

    「娘夫婦…あぁ、お姉様の…」

    姉のように慕っていた仲間の息子に手を出したのか自分は…と後ろめたさを感じた。

  • 63ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 11:49:23

    >>62

    「こっち……シミュレーターの方だと全員学徒動員だったけど……このデータの写真に映ってるのは、北方戦線撤退まで皆生き残れたよ……桜空組は、シグネとマレッタ。撮影役のデレックだけだったけど」

     慰めになってくれればと話すのは、自分の思い出。

    「シグネからは何度も怒られた。あんたは冷静な判断を最初からできれば言う事なしなのに!アホが!って」

     ヴァルハラテックのジークルーネみたいだったと、笑う。自分にも他人にもずっと厳しいやつだったんだ、と。


    「俺、家族は爺さんしか知らなくてさ……だからその……龍影のいう、お姉様ってのが、母さんなのかな」

     母親のことは、何も知らないんだ。そう申し訳がなさそうに言いながらケイは龍影の背中をさすり続ける。

     龍影の沈んだ声にも、気にかけるように。少しでも今を見てほしいように。


    「……俺じゃ、駄目かな?」

     自分も気持ちが、少しだけ溢れた。

  • 64龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 12:49:06

    >>63

    「そっか…」

    懐かしくも、少し寂しくなった。

    「ケイはお姉様…お母さんについて教官から聞いてないの?」

    母を知らないとケイは言ったが、あの惚気話が好きな教官が話していないことに驚いた。

    自分が彼女について話そうと思ったが、母親としての姿を知らないからだ。

    ケイは優しく隣に立ち、背中をさすってくれている。

    そんな彼に龍影は何も言わず、唇を重ねる。

    女としての温もりしか与えれない己を嫌悪して。

  • 65エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/18(金) 12:50:15

    >>45

     「話が早くて助かるよ。……それじゃあ、先ずは座ってくれ。病み上がりだろう、君」


     『なら、アンタも座んな。椅子と、ついでに茶も持ってきてやるよ』


     「ありがとう」


    【ベットのそばに置かれた丸椅子に腰掛け、差し出された緑茶を一口。もちろん、アカネにも配られている】

    【お茶は飲みやすいように程よく冷やされており、すっきりとした苦味が喉を潤した】


     「これが今回の契約内容をまとめた書類だ。質問や要望があれば遠慮なく言ってくれ」


    【肩にかけていた鞄から、雇用契約と題されたファイルを取り出して渡す】

    【グロリアは茶を配ってすぐに席を外した。色々と忙しい上に、これからの話は部外者が聞いていいものでもない】


    【書類の要点は以下の三つ。本来はもう少し生真面目な書き方をされているが、字数の問題があるので大雑把にまとめる】


    【一つ、アカネ・アマギリはエイダン・リーの直属の部下となる (要は私兵) 。また、それに伴って所属を人類自由連盟からクロノス・インダストリー社に移籍するものとする】


    【二つ、雇用期間は15年。その後の契約更新についてはアカネの一存に任せる。なお、期間中にエイダン・リーが死亡した場合は期間は10年に短縮。雇用主も工学事業部に変更となる】


    【三つ、職務内容について。

    1.インベイドとの戦闘

    2.対人自連、デスペラード (特にサイファー・カルト) との戦闘

    3.工学事業部による物資輸送の護衛

    基本は上記2つが優先となる】

  • 66ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 13:06:01

    >>64

    「はい……爺さんの娘、が俺の母さんなのは知ってるんですけど、あまり語ってくれなくて。いや……話す時の爺さんが、辛そうで」

     俺を自分の子だ、と大切に育ててくれる祖父の悲痛さを堪える顔を、見たくなかったんです。と。

     だから、ケイからも聞くことはなかったのだ。


    「小さい頃、シミュレーターに乗せてってねだったら。少しだけ悲しそうで……嬉しそうで」

    『そこで見ているんだ……インベイドとの戦い方を、お前に教えてやる』


    「……そういった爺さんは、笑ってましたよ。少しだけ、嬉しそうに」

     今でも鮮明に思い出せる戦いぶりに、凄かったんだ。と語って。直後に。

    「んっ……!……ふ、っ……」

     やってきた龍影からの唇を、そのまま受け入れる。ずっと昔からあったソファに体を預けながら、彼女の背中に腕を回して。


    「……爺さんは、許してくれる」

     ずっと、俺のことを考えてくれてる人でしたから。そう耳元で言葉にして、目を閉じる。

    「爺さんがそうなら、きっと俺の母さんも……許してくれます。だって、今知ったって今更でしょ?」

     大丈夫だから。どうか安心して欲しいと。貴方が後ろめたく思うことは何もないと。微笑むことが、安心につながって欲しいと。

    「全部終わってやり切った後に、ね?」

     母さんと爺さんが、少し呆れながら笑ってくれるくらい二人で幸せになれば、帳消しだよ。そう言葉に乗せた。

  • 67龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 14:08:35

    >>66

    「ごめん…」

    唇を離し、龍影は謝るも今の状況に委ねる。

    混ざり、交ざりあいたいと。

    ケイの青い瞳に龍影が写る。

    ギュッと背中に手を回し、彼を抱き返した。

    ただお互いの温もりを感じ、幸福に満ちる。そんな時間が流れた。

    龍影の擬似体温は彼を温め、また彼の体温は龍影を温めた。

    しばらくの時間が経った。

    この後をどうするかは、彼に任せよう…

    「全部受けいれるから。」

    耳元で優しく、暖かく、包み込むような歪んだ愛を含む声で囁き、向かえる。

  • 68ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 14:25:26

    >>67

    「ん……じゃあ……」

     そのまま、しばらく抱き合って。

    「……あっ!?!」

     ふと、大事なものを忘れていた!というかのように一度立ち上がって。何をするかと言えば。

    「ごめん、此処から先は……ね?」

     写真立ての一つ一つを、割れたりしないよう丁寧に倒していくケイが龍影にも見えるだろう。

     シミュレーターの、初期インベイド大戦シナリオの戦友たちの写真もゆっくり棚の板で視線を隠して――――ああ、シグネの怒鳴る声が聞こえる――――。ふぅ、と息を吐いた。あの少女の怒鳴り声は今思い出しても心臓に悪い。とっさに謝りたくなってしまう。

     全ての写真立ての視線を隠し終えると、ケイは龍影のもとに戻って。


    「これでよし、だね」

     もう誰も見てない……はず。そう悪戯っぽく笑い、しかし恥ずかしさを隠せないままソファへ横になっている龍影に唇を重ねる。

    「ホテルでも、どっちでも……俺は大丈夫だよ」

     やり直しのように龍影に腕を回して、彼女の柔らかさと疑似体温を感じる……澄んだ匂いを感じると、どこまでも幸せで。

     どうしよっか?と言うのは、ケイが始まりだった。

  • 69龍影◆9BZ6kXGcio25/04/18(金) 15:29:06

    >>68

    動作ひとつひとつが愛おしく感じる。

    写真を倒し終わったケイとまた唇を重ねる。

    優しい口付けであった。

    唇を離したケイの提案はどこか恥ずかしさも混じっていた。

    「じゃあ…ホテル…かな?流石にココだとはっちゃけたら床抜けそうだし…」

    しっかりと楽しむケイと龍影の場合、老朽化したココを破損させる危険があったからだ。

    「でも私は逆巻の街に来るのは初めてだから、そのホテルまでの案内…お願いね?」

  • 70アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 15:35:58

    「────────────スゥ……」

    【構える、狙いを定める、凡そを定めたら、息を吸って】

    「……、」

    【呼吸を止めて、指先を引く、ほんの数cm────────────ただのそれだけで命を奪える武器が、今、手元に】
    【響くのは渇いた発砲音、20m先の壁に掛けられた人型の的がカタンと微かに揺れて、それから】
    【タン、タン、タン、タン……連続して銃口が弾ける、訓練用のオートマチック、装弾数は15発、撃ち尽くすまで絶え間なく】

    「……フッ、はぁっ……ハッ……」

    【カチン、と、弾切れを報せるバネの震動が指先に伝った、銃口を降ろし、止めていた呼吸を再開する】
    【それからゴーグルとヘッドセットを外してモニターの表示に視線を向けた、“10/15”】

    「15発中10発、67%……真ん中に当たったのは最初の3発だけ、か。
     駄目だな、どうにもしっくり来ねぇ、跳ね上がってく照準のブレが修正効かねぇのは……手癖だろうなぁ、クソ」

    【────────────青天市街、その外れにある射撃訓練場は、深夜であるにも関わらず薄らと明かりが灯されていた】
    【十中八九、この女傭兵のせいだろう】

  • 71ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/18(金) 16:18:30

    >>69

    「……はい」

     愛おしさのままに額を当てながら、しばらく楽しんだ後。最後に少しだけと、故郷のシミュレーターを起動したあとに。鉄製の扉が閉まる。

     1組の男女が体を近づけ合いながらホテルに入っていった。

     何事もなかったかのように戻った部屋の奥、シミュレータールームの最近記録はーーーー

    『Cv-K7 月風 短時間シミュレーター戦闘記録』

    【一位 ケイ・サヤギリ 99999点】

    【一位 王龍影     99999点】

     二つの一位が、並んでいた。

  • 72ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 16:55:06

    今日も変わんねーなーメビちゃん

    『ですわねー金龍くん』

    【2人は浮き輪の紐を握り合いながらぷかぷかと海上を浮かんでいた】

  • 73ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 17:19:51

    そ〜いやさ〜メビ〜

    『なんでしょ〜か〜金龍様〜』

    お見合いって〜いつだっけ〜

    『明後日の13:00から、藤谷間庭園ですね』

    【だらけきっていた顔が瞬時に引き締まる】

    切り替え早いね〜

    『主人のスケジュール管理も召し使いの役目ですから。それに、そろそろ奥様を得らなければなりませんから。ここが分水嶺ですよ、金龍様』

    へいへい〜

  • 74ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 17:30:45

    【12:45 藤谷間庭園 正門前】
    【紺色のスーツ姿がいまいち合わない金龍と、黒に黄が差された着物姿が様になっているメビが居た】

    すぅー.......ふぅー......緊張するなー.......

    『金龍様は知人以外の女性と話す事はあまり無いですからね』

    そうだよなー......メビ、俺ってかっこいい?

    『世間一般的には中の上は保証されるかと』

    地味に手厳しいねー

    『主人を叱咤激励するのも召し使いとしての役目ですから。それよりも相手を待たせるのはいけませんから早く向かいますよ』

    はいはい、それじゃ行きますか

    【緊張の糸が少し解され、待合室まで向かうその足取りは少し柔んでいた】

  • 75アカネ◆fDey8JUvvk25/04/18(金) 17:39:20

    >>65

    【勧められるまま会釈して着席し、緑茶にもお礼を述べつつ一口いただく】

    お上手ですね、心遣いも、駆け引きも。

    【心地良い苦味と冷たさにそんな感想を述べた】


    拝読します。

    【そして黙々と書類に目を通す】


    ……!?

    【目を見開いたのは私兵への抜擢を記した文章に対して】

    ああ、いえ……確かにこれならば元人自連であろうが関係ありませんが……。

    【それができれば苦労はしない事実が目の前にあることを、顔を引き攣らせつつ認める】

    【エイダン部長に万一があった場合の雇用主についてのフォローも文面にあることを確認し、その条件の良さに困惑の色は濃い】


    浅学を晒しお恥ずかしいですが、これ以上私から要望することは思いつきません……。

    ただ、一つだけ質問がございます。

    戦闘が優先業務とありますが、私は何に乗るのです?あるいは砲台の砲手を?

  • 76ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 17:48:21

    「金龍様のお目見えです」

    【庭園の使用人が、花模様の入った障子を開ける】
    【そして金龍の目には、一切の穢れなき白着物の、素朴にそこはかとなくだが顔立ちが良い少女が写る】

    (か、可愛いいいいいい!!!!!!!!! 生で見るとすっげぇ可愛いんだけど! えっ!? 俺この娘と結婚できるの!? まじで!? いやでもこのまま何も喋らないのも不味いよなー!!! 何話せば良いんだおいコレ!?)

    「金龍様、そこでお立ちになられるのも辛いのでこちらの方にどうぞお座り下さい」

    えっあっはい! はい! はい!

    【使用人に怪訝そうな顔で呼ばれ、金龍は思考の螺旋から抜け出す】
    【そしてお見合い相手と座卓を挟み、座布団に正座する】

  • 77ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 17:56:50

    ど、どうもー初めましてー、じ、自分は勞金龍って者です......
    よろしく!

    【さっきまでかけられた発破はどこへやら、金龍はたどたどしい声で自己紹介する】

    「どうも金龍さん、私は明日珠です」

    【彼とは対照的に、小川がせせらぐように返す少女】

    (こ、声まで可愛いいいいいい!!!!!!! もうこの辺で俺のキャパ限界! メビ! 助けて! タオル投げて! メビ! メビ! 助けてくれ! ちょっと本当にやばいってこれ!!!)

    「......金龍さん? さっきから石像みたいに固まってますけど大丈夫です?」

    えっあっはい! 大丈夫ですよ! 俺の筋肉は鉄のように硬いですから! アッハッハッハッハッ!

    【?】

  • 78ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 18:14:07

    ああえっと今のは軍人特有の冗談と言いますか何と申しますか自分はK.Iの大佐をやらせてもらってましてですねついでにちょっとした地主でもあるので食べるのには困らないと言いますか何としますかええーっとそのーあのーえっとー

    【決壊したダムのように、彼の口からドバドバと言葉が溢れる】

    「そうですか、金龍さんは本当に凄い人なんですね。食べ物には困らないと言いましたが、何か栽培なされているのですか?」

    【そんな彼の勢いを受け止めたかのように、珠は全く動揺せずに質問する】

    はい!

    (金龍様、声のトーンを下げて)
    (すんません......)

    そうですね......自分の実家の方では林檎やみかん、それとぶどうとかも育てていまして、農耕企業に及ばないものの、結構良い評価を受けているんですよ

    「へーそうですか。でしたら金龍さんのおすすめは何ですか?」

    桃です
    これは他のどこよりも1番美味しいと言われていまして、良かったらこの後の外出で食べてみます?

    「是非ともお願いします」

    (今『是非とも』って言った?)
    (ええ、そうおっしゃっておられました)
    (......よっしゃー......!)

    【小さくガッツポーズ】
    【こうして、金龍は最初の関門をどうにかくぐり抜ける事は成功した】

  • 79ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/18(金) 18:37:21

    『GN.14“レラジェ”。GN.44“シャックス”だ。襲撃機の処理を完了した』

    【フルフェイスのパイロットスーツに包まれている年若い女性の声が通信越しに輸送を行っていた二機の『ARATAME』に届いた】

    【襲撃者は五人。機体は人自連の『SHINONOME』の改造機であり、食い詰めたデスペラードだった。父母と兄弟、それから娘】

    「た、頼む…………!妻と娘は見逃してくれ………ど、どうか………………!」

                         ・・・・・・・
    【────────────────────全て捕虜にした】

    【自軍の三倍の戦力を『無傷で』虐殺可能なだけの技量が「ゴエティア戦団」の要求基準だ。たったの五機を連携して機体を損耗させずに、全て生かして捕虜にするのも容易い】

    【対物ライフルを構えて捕虜を見下ろす女性とは別に、ワイヤーによって彼らを拘束した大柄の義体の男性は肩を竦めた】


    『おいおい、勘違いしないでくれよ。俺達は健全で紳士的な組織だ。尊厳を奪うなんて真似はしない。少し“尋問”するだけだよ』

    『麻酔薬は打ち終えたな。ショック死されてしまうのも困る。手指の切断工程とアキレス腱の切断工程を開始しろ』

    『自白剤の脊髄投与は連れ帰った後ですかね、上官殿。機体内部の通信ログをサルページすれば今回の襲撃の背後関係を明らかにするには十分でしょう』

    【淡々と、無機質に、そして合理的に。シャックスは一家の肉体を切り刻んだが、麻酔によって痛みは生じない。人道的配慮と、それから必要性の問題である】

    【仕事に私情は挟まない。勤務時間内で"おいた"をするなぞ不真面目の極みだ。何処までも勤勉に、彼らは与えられた任務を果たすのみ】

    【強化人間手術の被験体としてやはり機械的に処理されるのだろうと思えば、同情心も湧くが】

  • 80ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 18:45:34

    【13:00 プライベートジェット"天空"】
    【本来の目的地を庭園内の美食屋から少し変え、最寄りの農園へ向かっていた】

    どう、でしょうかね?
    飛行機の乗り心地はいかがですか、珠さん?

    【リクライニングソファで、隣に腰掛ける彼女に、金龍は適当なワイドショーを8Kで流しながら伺う】

    「はい、とても快適で、このままぐっすり眠れそうです」

    それを聞けて、自分も今ちょっとほっとしました
    苦手な物あるって確認した後に、いざ目の前に出そうとすると、なぜだか不思議と体が震えますから

    「そういうのは誰でもなる物ですし、あまり気負い過ぎなくて大丈夫ですよ」

    ありがとうございます......
    そうそう、何か要ります? 機内にはある程度の飲料や小食を揃えてますけど

    「でしたらキャラメルとサイダーを、私の好物なんです」

    分かりました


    【メビは今回、主人公の姿を見守るだけである】
    【そのために、彼自身がソファから立ち上がる】
    【棚から茶色の小箱を、冷蔵庫から透明な瓶を取り出し、それぞれの包装と冠を外してから彼女へ優しく手渡す】

    はい、どうぞ

    「ありがとうございます」

  • 81ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 19:11:25

    「ところでずっと思っていたのですが、あちらの女性はどちらでしょうか?」

    【そう言って、微動だにしないまま別のソファに座る召し使いの事を問い掛ける】

    彼女はメビ、俺の家族、俺の相棒です。
    5年前の話ですが、俺が要望で頼んで送ってもらったんです

    「要望で送ってもらった......?」

    ああ! いやそういうのじゃなくて、そう! 言葉の綾ってやつですから誤解しないでください!

    【磁石の同極が反発するがごとく、かなり引かれた顔をされたが、誤解を解くべく必死に否定する】

    彼女はアンドロイドなんです!
    実際にほら! よく見ないと分からないのですが、薄らと機械部品が眼球から透けてるんですよ!

    「本当ですね......」

    【金龍に手招きされた彼女の目を覗き見ると、確かに電子部品が存在した】

    信じて頂けたら良かったです......

    (マジで一瞬死んだかと思ったぁ......)

  • 82ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/18(金) 19:11:38

    要望したと言うのも、好成績を修めながら進級した事による自身への褒美ですね
    実家では両親から優しくしてもらっていましたが、それでも1人寂しい時はありますから

    「......そう......ですか............」

    ......おっと、そうは話してる間に着きそうですね
    向こうで待たせている車で移動しますから、どうぞ俺に捕まって下さい

    「......ありがとうございます」

  • 83ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/18(金) 19:39:44

    >>79

    ー その光景を、2人…正確には1人と1機が直視していた。

    『…これと似たものなら何度も見たが慣れないなタイチョウはどうだ。』

    人の乗る方のBFのコックピット内に、不自然な合成音声が流れる。それに対し、彼は何も言わない。

    「隊ちょー、こっちはスタンバイOK。いつでも撃てるよ。」続けて幼い女性特有の高い声が響く。

    「こっちもいつでも起動できます!」最後に、若い男の声が流れた。

    『ジブンもイツでもイケるただほかの人間はどうするこのままなら巻き込むコトになる。』

    それを聞いて、初めて男…ニオニクスが口を開く。

    「別に彼らを回収しても大したメリットはない。

    それに、今回の作戦内容は『ゴエティア戦団の戦力を削る』事だ。」

    『…ターゲットをBFから出させたカレらにカンシャをすべきだな。』

    「…お前は本当に人間じゃ無い事が疑わしい。

    10秒のカウントを起動。パオラは9の時点で一番装甲の厚い奴を狙え、使うのはテルミット弾。

    ソクラテス、お前は胴体に比べ強度の低い弱い脚部を破壊しろ、反対側のBFは俺がやる。」


    1…2…3…

  • 84ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/18(金) 20:01:00

    >>83

    『コード43Sを発令しろ。救難信号も同時にだ』


    【酷く冷静に、レラジェは背後に佇む二機の一般兵に命令を下した。高い火力だ。恐らくは既に準備を整えていたのだろう。例え彼らが肉壁になっても、攻撃は機体を貫通するやもしれぬ】


     ・・・・・・・・・・・・・

    【違う機体を肉壁にすれば良い】



    『非合理的な運搬態勢だな。腕を自由にさせろ』


    『お堅い事言わないでくださいよ、上官殿。俺の方が生身での運動能力は優れていますからこの程度は問題になりませんよ』


    【投げられたデスペラードの機体が砲撃を受け瞬時に爆散し、飛び散った破片が“捕虜”を殺戮し尽くすのが見える。咄嗟にシャックスがレラジェの襟首を掴まなければ危うかっただろう──────情報については見送る他あるまい】


         ・・・・・・

    【俗に言うお姫様抱っこの形で運搬されながらも、レラジェは冷静に僚機に戦術を伝えた】



    『我々が搭乗するまで時間稼ぎに徹しろ。20秒程も稼げれば十分だ』


    『了解しました。緊急時の自爆シークエンスの起動を完了、全力で持ち堪えます』


    【二機の『ARATAME』が誘導ミサイルを地面へと撃ち込んで砂煙を巻き起こし、襲撃機の視界を制限する。「ゴエティア戦団」機の前に立って、忠実に任務を果たすべく敵機への突撃を開始した】


    【鋭い射撃音が地を揺らす。アサルトライフルを前に向けて乱射しながら、二機は射線上に立った】

  • 85アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 20:11:26

    >>70


    【ブゥン────────────と、暗い稼働音を響かせる飲料の自動販売機】

    【首から吊り下げたドッグタグ状のアクセサリーをモニターに翳せば、個人を特定する認証コードが読み取られ、自動的に金銭の支払いが完了する】

    【整然と並んだ商品サンプルの下にあるボタンに触れる、落下音】


    「……ッハ、悪いな、こんな時間まで働かせてよ」


    【意思を持たない自販機に、冗談交じり、側面を軽く小突いて投げかける労いの言葉】

    【プルタブに指を添えれば、ガシュ、という、落下による振動で少しだけ活発になった炭酸の音が弾ける】

    【いつの時代も人々の舌と喉を悦ばせてくれている甘味炭酸飲料、変わらない子供じみたケミカルな味わいが、アリソンにとっては嬉しかった】

  • 86ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/18(金) 20:18:55

    >>85

    「こんなところに射撃場があったのか…」

    少年は好奇心に負け、中へ入ると、自販機の前に立つ1人の女性がいた。

    硝煙とケミカルシュガーの甘ったるい香りが充満する。

    恐らく、この女性はついさっきまでここで撃っていたのだろう。

    身体にはインプラントや端子カバーの合わせ目がない。

    龍影さんと違って

    「義体じゃないのか…」

    そこだけははっきりと言葉として漏れ出していた。

  • 87アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 20:31:55

    >>86


    「……何だ、こんなご時世だって、巷じゃ生身の奴の方がまだ多数派だろうが、ンな口に出す程珍しいかよ?」


    【振り返らない、休憩スペースのベンチに腰を下ろして、缶を傾けながら気怠げな低い声が鳴る】

    【けれど、身体の陰に隠れていたもう片方の腕をひらりと翳せば】

    【それは鋼色に鈍く、紛うこと無き義肢の輝きを放っていた】


                ・・・・

    「まぁ、アタシも左手足はこんなんだから、100%生身とは言えねぇがな。

     それよか深夜に出歩いてるお前の事情の方が気になるな、バッドボーイ、ピストルに興味が出て来る歳か?」

  • 88ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/18(金) 20:39:04

    >>84

    目の前で起きた事態に、奇襲を仕掛けた側が困惑と動揺をさせられる。

    「ウッソ…まさか機体を投げて防いだの!?」

    『おどろいたまさかここまでのコトをしてくるとは。』

    「落ち着け!パオラは標的を変えずに第2射!マキトは鵺を直ちに起動して戦闘に参加しろ!ソクラテス!お前は弾幕を張って前へ進め!俺はこの2機を処理する!」

    そう言っている中でもニライニストは既に武装を切り替え、戦闘体制に入っていた。

    【ジャマーは起動中かつまだニライニスト達はまだ攻撃していない為恐らく認知されていない。】

    【よってまず面倒と思われる2機の後ろに回り込み、片方を軽バズと頭部バルカンで、もう片方を75mm機関銃で処理しようとする。】

  • 89ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/18(金) 20:42:46

    >>87

    「えっ…あっ…そっそうじゃなくて…でしてね。ここのBFパイロットは生身が多いのかって…あっじ、自分はBFのパイロットをやっ…やってて、それで、サバイバルオプションの.45を使いこなそうと思って…その…」

    文章はガタガタとしてとても気取った言い回しになるものでは無かった。

    だが少年は一切目線を逸らしはしなかった。目の前の女性が襲ってくる場合の予兆を見落とさないために。

  • 90ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/18(金) 20:54:28

    >>88

    【背後に回り込まれた旧式の量産機が無数の弾幕を浴びて、その装甲が弾けた】

    【鋼。配線。制御装置。撃ち込まれた弾幕が機体を砂の城に押し寄せる波の如く削り取って、奇襲必殺の攻撃に機体が不出来な機械人形めいて踊る】



    『情報提供、感謝する。コレでゴエティアの連中に恩を返せたな』


    【────────────────────自爆シークエンスが起動する。コア粒子が臨界状態へと移行し、欠けた装甲の機械人形が背後から攻撃を仕掛けた襲撃者に少しでも近寄ろうと駆動した】



    【駆ける。バルカン砲がコクピットを貫通して左腹が血と共に弾け飛んだ。駆ける。バズーカが機体の半身を砕いて瓦礫が同じく半身を砕いた。まだ足が一つ残っている。接近する】


    【駆ける。前に突き出した腕は機関砲によって瞬時に折り砕かれた。駆ける。隻腕となった機体に叩き込まれる弾幕が衝撃を伝えて、進む度に筋肉が断裂して骨を圧し潰される。指さえ動けば十分だ】



    『──────────後は頼んだぞ』


    【そして、蒼い閃光が弾けた】

  • 91アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 21:02:09

    >>89


    「パイロットだァ……?」


    【────────────アリソンは初めてハヤテの方を向いた、眉間には皺が寄り、表情は如何にも不機嫌そうで】

    【じろじろとその頭から爪先までを観察する、背丈は自分と同じかやや低いくらい、成程、体格は一丁前に鍛えられてもいる、パイロットと言われれば確かにそういう印象を抱かなくも無い】

    【が、それにしても……小さく嘆息して】


    「……ったく、ヴァルハラの学生パイロット連中と言い、G-3で活躍したっつう少年兵と言い、最近は平気で子供がBFに乗って戦いやがる。

     そんなに人材が足りてねぇのかよ人自連(ウチ)は、先が思い遣られるな……」

  • 92ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/18(金) 21:09:12

    >>91

    「アーヴィング乗りとしてはふつーの年齢だと先生から聞きましたが…そこまで不思議なものなんですか?」

    「デスペラードとして」という注釈が必要ではあるが、コレが少年にとって、その知識が当たり前の事であった。

    「それに撃破依頼でもデスペラード相手の時は自分より小さいのがパイロットをしていました。人自連はその流れが濃いとも。」

    先生から教わった知識があっているのかの確認も含めで色々とぶつけた。

  • 93アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 21:53:08

    >>92


    「ポリシーの問題だ、少なくとも、アタシはガキの後ろで戦いたくはねぇ……そんな戦場はゴメンだね」


    【吐き捨てる様に言いながら、機械の左腕を忌々しそうに擦る】

    【自分がこうなったのも子供の頃だ、今では、この身体で過ごした時間の方が長くなってしまったが】

    【戦いの場では命を懸けなければならない、五体満足で生き延び続けられる者は一握り】


         ・・・・・・

    「ちゃんと命は惜しいか?バッドボーイ」


    【炭酸飲料を飲み干して、右手で放る、宙を舞った空き缶はほんの少し水滴を散らしながら、数m離れた壁際のゴミ箱に吸い込まれて行った】


                    ・・・

    「ここに来るのが初めてってコトは遊び方も知らねぇんだろう、見ててやるよ」

  • 94エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/18(金) 22:00:18

    >>75

     「いや、君にはBFに乗ってもらう」


    【熱のこもった声と共に鞄から赤い表紙のファイルを取り出し、再び手渡す】

    【中身の厚さは一つ前のものとさして変わらないが、そこに込められた思いは比較にならないほど重いと察することができるだろう】


     「《コメット》改め、《Conqueror》。君専用のワンオフ機だ。……今のところは、が付くけれど」


    【サイファー・カルトが産み出した致命的かつ革命的な技術『フリクタル加工』】

    【コア粒子を吸収し、ほとんどのレーザー攻撃を無効化するそれを使用者ごと征圧するために創られた、実弾一辺倒という特殊機体】


     「最近流行りの対粒子兵器技術用に実弾兵器の製造に入ったは良いんだけど、今までレーザー偏重でやってきた弊害が出てね」


    【軽くなった鞄を膝に置き、肩を揉みほぐしながら、エイダンはアカネを買った理由を説明する】


     「試験用に新しいBFを作ることになったんだ。……けど、新しすぎて既存のモーションプログラムが全く合わない。これだとウチのパイロットじゃ動かせない。……だから、君を雇うことに決めた」


    【タンク型のBF (しかもカスタム機) という前例の少ない高難易度機体を自在に扱う、優秀なパイロットが、K.I社には必要なのだ】


     「君の存在が人類の発展に、我が社に、工学事業部に、僕には必要不可欠だ。故に支援も報酬も惜しまない。……期待しているよ、Ms.アマギリ」


    【サイバーグラスの奥で、その瞳に白銀の光を煌めかせながら、エイダンは笑った】

  • 95ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/18(金) 22:05:13

    >>93

    「インベイドが居なくなった世界を見るまでは。」

    惜しいかという質問の回答であるかわからない、だが少なくても少年の本心である。

    見ててやる。少年は鉛のようなプレッシャーを感じた。

    「…お願いします。」

    .45で的に当てる…

    「ウサギ相手より簡単だ。」

    辰砂色の瞳は赤く紅く、澄んでいた。

  • 96アカネ◆fDey8JUvvk25/04/18(金) 22:36:38

    >>94

    BF、Conqueror、フリクタル加工……。

    【説明を聞き、資料を読み込んでいくにつれて】

    【そして多くのモノに必要不可欠だとまで断定されるにつれて】

    【ピースがあるべきところにハマったような感覚をアカネは覚えた】


    承知しました。


    ……それに、あなた方が私に貸し付けたものは私の命程度では返せないことも重々承知しております。

    【アカネからすれば少し棘のある言い方だが、それくらいの人間味はある】

    あえて申し上げさせてください。よろしくお願いいたします。

    【だが返事は明確であり、そして桃色の瞳は真っ直ぐであった】

  • 97アリソン◆PPyRfvMZl625/04/18(金) 22:55:17

    >>95


    「インベイドは憎いか、当然だな」


    【────────────そう、元はと言えば、全てあの異星体が空から降って来た、それが始まりなのだ】

    【誰も戦わなくて良い世がやって来る、せめて、そう信じて戦わなければ】

    【報われない】


    「……」


    【精緻な狙い、黒光りする指先の得物】

    【先程までしどろもどろと話していた未だ少年らしさが色濃く残る顔立ちに、戦士の気迫が微かに宿る】

    【タン、タン、タン────────────】


    「チッ……アタシより上手いじゃねぇかよ、格好付かねぇな……」

  • 98エイダン◆Fd5AlHEdkk25/04/18(金) 23:49:02

    >>96

     「ああ、任せてくれ。そしてこちらこそ、よろしく頼む」


    【確かな意思を雄弁に伝える瞳を見つめて答えつつ、握手のために手を差し出す】

    【多少の棘なぞ気にならない。眠っている間に外堀を埋められたのだから、あって当たり前だ】


    【契約を交わして、エイダンは立ち上がった】

    【皺の皺を伸ばしつつ、鞄を肩にかけ直そうとして……】


     「そうだ、これを渡しておくんだった」


    【思い出したように (事実、思い出して) またもや鞄の中から三つ目のファイルを取り出した。一つ目、二つ目と比べると格段に薄いファイルだった】


     「所属がK.Iに移るんだから、今の拠点にはいられないだろう?こちらは女性の一人暮らしに充分な広さと家具、不足のないセキュリティを約束できる住居だ」


    【 ''お気に召したなら、リハビリと検診が終わる頃には引っ越せるよ'' という言葉を受けながら目を通してみれば、そこには《C-2コロニー》にあるマンションの一室に関する情報が書かれていた】


    【階層は二階。セキュリティは、約束された通りに確かだった】

  • 99二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 04:33:32

    このレスは削除されています

  • 100二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 04:34:12

    このレスは削除されています

  • 101ニライニスト25/04/19(土) 04:35:05

    >>90

    ー 光が収まり、あたりの気色が蒼から通常へと戻って行く中で、確認できるモノがある。

    それは大きく凹み、熱で歪に歪んだ盾。…それと、地面に倒れた暗い塗装のBFだ。

    しかし、その機体に致命的な損傷は見当たらない。


    「ぐっ…」辺りが元に戻ってから殆ど間を置かず、ニライニストが起き上がる。

    彼は痛みが響く頭を抑えながら、正面のひび割れたモニターを見た


    【メインカメラ損傷:胴体サブカメラ起動中】

    【左上サブアーム損失】

    【右下サブアーム中破:機能停止】

    【バランサー小破:手動調整必須】

    【ジャマー破損:機能停止】


    これらの文章が、赤い字でモニターに表示されていた。

    「…致命的でないとはいえあの機体、よくもここまでやってくれたな…」

    彼の乗機『カワード』はぎこちなくも立ち上がると、自らの装備を確認する。

    75mm機関銃は爆破の熱で歪み、到底使えそうにない。

    頭部バルカンは残弾数が半分を切っているが、使えはする。

    盾を見れば、裏側に設置していた軽機関銃と二重振動ブレードはほぼ無傷だった。

    そして、軽バズーカに関してはその頼りなさにも関わらず無傷で転がっている。

    「軽さ故に採用したが、通常のバズーカならあの時止められたか…

    帰ったらあの技術者に一言言うべきだな。」

    軽口を言うが、実際のこれは余裕があまりない故にでた言葉であった。

    左手に盾を、右手にブレードを、右上のサブアームに軽バズーカを、左下には軽機関銃を握らせた。

    「まあいい…お前がそこまでして護った存在が、それに値する程の物か見極めさせてもらうぞ。」

    それと同時に、彼は最高出力でブースターを吹かした。

  • 102ニライニスト25/04/19(土) 04:35:28

    >>100

    それより少し前…Socratesは自らの隊長の指示を従順に遂行していた。そして無人のBFの近くについたその時、僅かに晴れた砂煙の中に人影らしき物をセンサーが感じた。弾幕を切り、スピーカに切り替え、自らの音声を流す。

    『止まれさもなくば射撃を再開するおまえたちのキタイにはジブンの方が近いジブンはころさないですむ人間をころしたく無い。』(あくまで作戦内容は "ゴエティア戦団の戦力を削る"事であり、なら捕虜にした方がいいと判断。自分が有利な状況であるために発せられた物である。因みに後半は偽りのない本心。)

    【パオラは先程と同じ場所に榴弾を叩き込もうとしている。尚通常の物】

    【マキトは『鵺』で接近中】

    【上記は全て、自爆する前のタイミングでの状況である】

  • 103二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 08:06:06

    >>101

    >>102

    【コア粒子循環経路をオーバーヒートさせての自爆シークエンスが起動して、爆風が砂煙を巻き上げて僅かに見えた人影も直ぐに消えた】


                         ・・・・・・・・・・

    【────────────────────二つの赤い眼光が灯る】


    【其れは不吉の前兆であり、避け得ぬ悪魔の叫びであり、そして駆動する鋼の奏でる讃美歌であった。鋼鉄の巨人に命が吹き込まれる】



    『バトルログのリアルタイム通信、及び機体間視界共有を開始───────強制排除を執行する』


    『素晴らしいアドバイスをありがとう。代わりに俺からも一つだけアドバイスを』


    【放たれた榴弾に吸い込まれるようにして粒子熱線が叩き込まれて中空で炸裂する。背部のグレネードランチャーによって曲射された煙幕弾が後方支援機と襲撃機との間に壁を作った】


    【戦場の分断が目的である。正確に目標を捉えられないとなれば同士討ちを警戒せざるを得ず、もし仮に巻き添えを気にせずに撃ち込むとしても不正確な狙撃はレラジェにとって尽く対応可能だ】



    『襲撃機には粒子ビーム兵器を備え付けておくのをオススメする。稼働時間に制限は生まれるが、大抵の実弾兵装よりも火力と速射性と迎撃困難性で凌駕するだろう』

                        ・・

    『全く、世も末だな。人類が数万年も消費して培い築き上げた倫理と道徳は、たったの二十年で機械にすら劣る有様となってしまった』

  • 104ゴエティア戦団◆OXAm1h6odk25/04/19(土) 08:06:47

    >>101

    >>102

    >>103


    【───────────────120mm機関砲が火花を散らした。その絶大な反動を利用して高速で“ウラヌス”が後方へと下がる。放たれた弾幕線は幾つも重なっており、一つでも受ければ“全く同じ”軌道を描く次弾に刈り取られるだろう。圧縮鋼板760mm程度は容易く貫通するキルゾーンだ】


    【そして煙幕とキルゾーンによって切り刻まれ制限された戦場の中で、異常なまでに肥大化した両腕のバディフレームが接近している─────────特務執行機、“ジュピター”だ。攻撃目標は重装甲の『アーテルリー』の胴体部】


    【タワーシールドによって機影を隠し、しかし左腕の『対多重装甲パイルバンカー:カリスト』が冷徹に狙いを定めようとしている。機体の全速力で接近を実行する】


    『支援する』


    【“ジュピター”が首を傾げた。瞬時、巨大なタワーシールドと“ジュピター”自身によって隠されていた粒子ビームが“ジュピター”の一歩前を進む】


    【粒子ビームを防御しないのなら、メインカメラを機体頭部諸共蒸発させる。防御の為に足を止めたらその上からパイルバンカーで粉砕する。そのような策である】

  • 105二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 09:04:02

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  • 106ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/19(土) 09:05:09

    >>97

    ウィーバースタンスで.45を構え、深呼吸して発砲。軽やかに銃声が鳴る。15発撃ったのを確認してからマガジンを取り、スライドストップしているのを目視で見てから銃を手元の台に置く。


    「…上手い?そうなんですか?先生がいたら拳骨が飛んできますよ。」


    ピンホール(的の中央)に9発、その付近に6発。的に全弾当てるのは訓練した歩兵なら当然だ。だが、ピンホールは基本的に拳銃で当てるものではない。

  • 107アリソン◆PPyRfvMZl625/04/19(土) 10:15:19

    >>106


    「嫌味か?そりゃあ……じゃあその先生とやらが居たら、アタシはここで殺されてるかもな?」


    【ふん、と鼻を鳴らして自嘲気味に笑いながら、綺麗に弾痕が真ん中に寄った的を睨む】

    【生まれた時から戦場が身近にある世代、殺さなければ殺される、その残酷な事実を知って育った世代】

    【呑み込みの早い子供の時分から兵器の扱いを身に染み込ませて、嗚呼、確かに彼は優秀な兵士で、将来は勇敢な戦士になるのだろう】


    「────────────たまったモンじゃねぇな」


    【自分にはまだ、平和な時代の記憶がある、薄れかけた本当に微かな記憶だが】

    【朝起きて、家族に挨拶をして……父親は早くに出勤してしまうから、母親と兄弟にだけ、それから簡単だけど暖かい朝食を食べて、学校へ行く】

    【うんざりしながら授業を聞き、将来のことなんて碌に考えず適当にノートを取って、放課後が待ち遠しくて仕方が無くて、待ちに待った帰り道にはマーケットに寄り小遣いでお気に入りの棒キャンディーを買って────────────】


    【この少年兵に、そんな記憶はあるのだろうか、そんな経験をしたことはあるのだろうか】

    【ギシ、と鋼の指先が響いた、古い型のサイバネだ】


    「……バッドボーイ、名前はなんだ」

  • 108ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/19(土) 10:27:17

    >>107

    「カスミ・ハヤテ。元ストリートです。」

    目の前の女性に名前を聞かれた。正直に答える。ここの薄暗い路地でネズミのように這い回り、吐瀉物のように腐り、ぐちゃぐちゃと万力の様な理不尽に押しつぶされていたと。

    「先生はG-3で僕を庇って死にました。でも、先生のおかげで今、パイロットとして僕は戦えています。…すいません、不躾ではありますが、お名前をお伺いしても?」

    少年は目の前に居る自分の境遇を哀れみ、不快と感じている女性に聞いた。この人の心には、少年の様な若者を食い潰す現状を嘆く力を残している。もしかしたら、と。しっかりとした、友好的な辰砂色の眼差しで握手を求めた。

  • 109アリソン◆PPyRfvMZl625/04/19(土) 10:54:04

    >>108


    「そうか、遊ぶヒマもねぇな」


    【ストリート・チルドレン、今の時代に於いても最底辺も最底辺、戸籍の登録すらあるかも分からない生まれと育ち】

    【されどアリソンの声色には蔑む様なものはない、出会った時と変わらず、一貫して不愛想で不機嫌そうで】


                         ・・・・・・

    「アリソン・キャラドール、傭兵だ、アタシもガキの頃からな」


    【握手の為に差し出された掌を、その意図が分かっているのに、パシン、と軽く叩いてスルーしたり】

    【ベンチを蹴飛ばす様にして立ち上がれば、自販機に寄り、さっきと同じ炭酸飲料をもう一本購入する】

    【────────────それを放り投げるのは、ハヤテの手元に向かって】


     ・・・・

    「悪いコトすンぞ、ちょいと付き合え、アンラッキーボーイ」


    【付いて来い、と、有無を言わさぬ強引な言葉選びで、射撃訓練場を出入り口の方へ歩き出した】

  • 110ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/19(土) 11:14:59

    >>109

    てを叩かれた事に少し寂しさを感じた少年は、ヒュンっと突然自分めがけて飛んできた缶ジュースを目視で見ることなく手に取る。

    「あ、ありがとう…ございます…キャラドールさん…」

    そのすぐあとにアリソンと名乗った女性の言葉に驚く。

    「わ、悪いこと?!ジョイントとかはやりませんよ?!」

    ジョイント、コア粒子の汚染時に発生する極彩色の視界異常と多幸感をもたすも、パイロット以外が手にできるの場合粗悪なものばかりのせいで良く死亡事故が起きるストリートドラッグ。基本的に色を失い、壊れてしまった路地のセクサロイドが自決用に使うものでもある。

    少年はパイロットになったからとうとう中毒者に会ったのかと警戒する。

  • 111ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 11:46:34

    >>82

    【13:13 勞家直営桃園】

    【かつての神への貢物が日の光りで淡く輝き、甘く優しい香りを春風が運ぶこの長閑(のどか)な風景に、青鹿毛の馬の蹄がパカラパカラと小気味良く鳴る】

    【鞍の上では、金龍が馬の手綱を握り、前に座る珠を包む形で支えていた】


    いかがです? この丘から見える景色、辺り一面が緑と薄紅に彩られたこの景色

    昨今では、俺たちの住んでるような土地でも珍しいでしょう?


    「……凄い……です」


    【金龍より2歳幼い彼女にとっては本当に珍しかったようで、今日で1番大きく感情を発露する】


    アッハッハ その様子だと、随分とお気に召されたようですね

    実を言うとこの近くに自然保護区もありまして、後でそちらの方にも行ってみましょうか


    「でしたら、リスは居ますか?」


    【今日にこれ以上無いほどの愛くるしい目で、振り向きざまに金龍を見上げながら質問する】


    (やばい! このお目目眩しすぎる! メビ! ホイッスル! ホイッスル頼む!)

  • 112ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 11:46:51

    ……エエトーゼンイマスヨ。モシカシテミタコトガナイノデスカ?

    「お恥ずかしながら……かつては私の祖先が暮らす北の大地にも居たと聞いてますが、どうやら生息数が少なくなった影響で気軽に見れなくなった様子でして……」

    そしたら、今日の珠さんはその願望が叶う幸せ者ですね
    レンジャー曰く『ここでは順調に数を増やしていますので、元気に暮らしている』らしいので、ほら、桃を食べながらゆっくりと焦らずに行きましょう

    【今し方採ってきた新鮮で傷1つ無い桃を手渡す】

    「……ありがとうございます……!」

    なぁに、未来の貴女の伴侶として、やるべき事をやっているまでの話ですから
    貴女の願望は、俺の義務です
    これからも気軽に申し付けちゃってください

  • 113アリソン◆PPyRfvMZl625/04/19(土) 12:56:34

    >>110


    「阿呆、ンなモン使わねぇし興味もねぇわボケェ」


    【見くびられたものだ、と、一層不機嫌そうに吐き捨てると、懐から掌大より少し小さな紙箱を取り出して】

    【薬の類は入っていない、至って健全な紙巻き煙草────────────まあ、これを“健全”と呼ぶのは些かツッコミ所ではあるのだが】

    【口の端に慣れた手付きで咥えて、安物のライターで火を灯す】

    【尾を引く煙が、今宵の道標だ】


    【ネオン煌びやかな青天市街のメインストリート、ここは眠らない夜の街、通りの両サイドから忙しなく投げかけられる客引きの声】

    【歓楽街に相応しい色艶を湛えた女が、「遊んでいかない?」とハヤテを引っ掛けようと手招く様子も】

    【けれど目的地はここでは無い、大通りをつかつかと通り過ぎれば、足取りは細い路地の先へと向けられる】

  • 114ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:03:10

    >>112

    「はい、では、金龍様だと本人確認が取れたんで、奥様とどうぞお進みくだせぇ」


    ありがとうよ、ジャンブさん

    だが少し惜しい! 実は彼女とはまだそういう関係じゃないんですよ!


    「え? いや〜金龍様が珍しくメビさん以外の、しかもこんな大層な別嬪さんを連れてる物だからてっきりそう言うのだと思ったんだがなぁ!」


    ハッハッハ 次ここに来た時の楽しみにしてください


    【お互いに「それでは」と別れれば、金龍は馬を徐(おもむろ)に駆り出した】


    そう言えば珠さん、馬に乗るのも初めてですよね?


    「どうしてお分かりに?」


    【金龍からの何気無い一言に、彼女はその澄んだ黒目を丸くさせる】


    まず馬ってのは向こうじゃ乗る機会なんてそうそう無いですし、飼育しようにもこんだけの広大な土地と莫大な金を使わなければならない

    何より、僕がこの“陽光”を連れて来た時にとても驚いていましたから、そういうのを考えると自然と……ね?


    「そこまで表情に出てたなんて、私は何とはしたない真似を……」


    あーいえいえ! そんな思い詰めずとも良いですから! 俺ははっきりと感情に出してくれる人の事は好きですから!

    ……先にも言っててましたが、気軽に思った事は何でも僕に話してください 約束ですよ


    「……はい」

  • 115逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/19(土) 14:04:16

    「望月の予備パーツ今すぐ用意して!! 絶対龍影さんには望月を新品同然で返すように!!」
     ヴァルハラテックからの厚意で運び込まれた望月と蒼風を整備デッキに固定しながら、逆巻カンナは整備作業の陣頭指揮を取っていた。
     CEOのすることではない、と言われれば誰も否定はできない。だが逆巻カンナは同時にコンストラスターでもある。
     どちらも文句を言われることなくこなし続ければ、誰も悪くないだろう?という暴論を実現しているのがこの女性だった。

    「しかしまぁ、どちらもボロボロ……いや、蒼風の方が酷いか?」
     カンナの見立てでは、望月は修復可能領域の余裕を広く取っていたから問題はない。
     蒼風の方が危険であった。

    『カンナちゃんよ、蒼風の内部パーツの診断終えたぜ。ケイ坊が動かせてたのが奇跡だ』
     そこに、無骨な青ヘルメットと様々な工具を取り揃えた防護ジャケットを着ている老年の男性が歩いて端末を見せた。
     2代前のCEOの頃から逆巻重工の機体整備の親方を担当している、ゴンタロウという老人だった。

    「ありがとね、ゴンさん……うわ、酷いな」
     示された蒼風の内部データは殆どが黄色。もしくは赤。四肢の関節に至ってはそこを通り越して黒……修理不可能の領域であった。

    『推進機関に関節の出力、おまけにコア粒子伝達流路調整のリミッターをぜぇんぶ切ってやがったからな。どこもコア粒子焼けでひでぇことになってるぞ』
    「コア粒子焼けェ!?内部にビーム兵器でも食らって……いや、そういうことか」
     ごくたまに起きる現象だ。機体全体を流れるコア粒子の量が伝達流路の許容を超えたことで流路から溢れ出す。そうなると駆動用に高温化したコア粒子が排気用のダクトに辿り着くことすらできず内部構造を低威力のビーム兵器がごとくジワジワと焼いていくのだ。
     コア鉱石が発見される前の古い時代、化石燃料などを用いた機関に必須のオイルが切れた時に起きる『焼き付き(オーバーヒート)』と呼ばれるものと同義だ。

    「あのバカ、帰ってきたら〆るよ」
     カンナはケイをヘッドロックの刑に処すことを決めた。

  • 116ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/19(土) 14:26:11

    【狭く、光源も殆どない洞窟の中。しかしその岩肌は見えず、代わりに視界を埋め尽くすのは刃であり、甲殻であり、惑星外生物の濁流だ】

    【身の丈を超える両手剣で波を切り払うBFに続き、黒と赤で塗られた“スレイガン”が猛追する。その武装にはやや変更が加えられており、実弾のライフルとショットガンをハンガーに携え、二つのブレードを振るう】

    《MISSION UPDATE─ソドム奪還まで耐え抜く》
    《CHECK POINT》
    【BFシミュレータを使う者であれば見慣れたフォントで、目標変更が告げられる。同時に車両に似たBFが駆けつけ、機体のエネルギー、残弾が全て回復した】

    【それからしばらく無限湧きのインベイドを倒し続けると、両手剣のBF──『ソロネ』は離脱し、プレイヤーと『アリオール』は撤退、リザルト画面が表示された】

    「…ふん」
    【表示されたスコアを一瞥もせず、プレイヤーとしてスレイガンを操っていたウルヴィは、ヘッドセットを放って紙パックを手に取りストローへと口付ける。既に生ぬるくなってしまった珈琲牛乳の甘さが渇いた喉と疲労した脳を潤した】

    『あの名作、初期インベイド戦争シミュレータにも幾つか欠点があってね。特に大きいのは、黎明期だから武装も機体も少ないこと、更に近年確認された新型のインベイドのデータは存在しないこと。そんなわけで試しに君の戦闘ログから直近の…コロニー奪還戦の一部を作らせて貰ったよ!それにエイダンのお陰でスレイガンを自機ユニットとして追加することができたし…ああ!勿論スレイガンだけじゃないよ?SHINSEI、更に機体ごとの武装カスタムも幾つか用意しておいた。ということで、依頼はごく単純。このシミュレータをプレゼントするから、君はレビューを提出してくれればいい。じゃあ、よろしく』
    【ウルヴィが人類自由連盟からの緊急依頼を終えた次の日。BFのメンテナンスに来たデュラハンはマシンガントークを浴びせるだけ浴びせ、依頼という形でしっかりと“前金”を添えて『それ』を置いていった】

    【全く困ったものだが、依頼は依頼だ。期日を指定されてないとは言え早ければ早いほど良いだろうと考え、指名依頼が無いことを確認して…『堕落の街』と名付けられたキャンペーンの3週目を終えたところだ。これクロノスに見つかったら怒られるのではなかろうか?と考えながらウルヴィは嘆息する】

  • 117ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:27:40

    >>114

    【ブルン! フッフッフッフッフッ!】

    【2人がこれからの話をしていると、馬が急に荒れ始め、落ち着きが無くなる】


    おっと! 「キャァ!」


    大丈夫です珠さん、俺が支えてますから落ちる事はありません

    どうどうどうどう 落ち着け陽光 何があった?


    【ヒヒン! フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ!】


    陽光! 本当に何があった!?

    俺がいるから安心しろ!


    【フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ……ブフーン】

    【金龍の言葉がようやく耳奥に届いたのか、陽光は次第に冷静を取り戻す】

    【だが、その視線は脅威を見つけた時のそれだった。草むらの一つに注がれる】


    【ブフッブフッブフッブフッブフッ……!】


    あーなるほど……分かったぜ、陽光

    珠さん、これから俺はアイツと一悶着起こしますが見ててください


    【ガサガサと音を出し、灰茶色の分厚い毛皮に白い牙、黒い爪が現れる】


    「見ててくださいって……相手は熊ですよ!?」


    大丈夫です

    俺の筋肉は鉄よりも硬いですから

  • 118ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:28:37

    【手綱を彼女に握らせ、馬に「彼女を任せたぞ」と託す】
    【それから、雄大な歩みで熊に近づく】

    よーどうした熊さんよー
    君のお散歩を邪魔しちゃって悪いけど、何か食べ物でも探してたのか?

    【ブフッブフッブフッブフッ】

    それとも逸れた子供を探しに来てたのか?
    だったらどんな容姿なのか教えてくれよ〜手を貸すからさ〜

    【ブフッブフッブフッブフッ】

    おっと、頼むから変な気は起こさないでくれ
    俺と珠さんはただリスに会いたいだけなんだ
    何も君に危害を加えようとは思っちゃいないから……見逃してくれない?

    【ブフッブフッブフッブフッブフッブフッブフッヴァオオオオオオオ!!!!】
    【突然として毛並みを逆立て、金龍の胴体と同じ太さの前脚を振り上げる!】

    やっぱそんな甘くないよなぁ!

    【瞬間! 彼をなますにしようと襲いかかる!】
    【一般人が当たれば良くて即死! 悪ければ致命傷だ!】

  • 119ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:28:50

    だが、俺もあいにく甘くはないんだよ、なっ!!!

    【ドォン!】

    「……冗談ですよね……」

    【そう思う珠の前には、金龍に迫ったかと思った熊が、急に真横の木に激突したのだ!】
    【何故か? 金龍が前脚を掴んだのだ! 100kgは優に超える前脚を! そしてすぐさま真横へ投げ飛ばしたからだ! 300kgはある熊を!】

  • 120ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:32:44

    コォォォォォ……

    【氣を練り、左足を後ろに、両腕を前へ出す。構えはまだ解かない】

    【ブフッブフッブフッブフッブフッブフッ】
    【熊が、起き上がる】

  • 121ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:33:04

    コォォォォォォォォォォ……

    【ブフッブフッブフッブフッブフッブフッ】

    コォォォォォォォォォォ……

    【ブフッブフッブフッブフッブフッブフッ】

    コォォォォォォォォォォ……

    【ブフッブフッブフッブフッブフッブフッ】

    コォォォォォォォォォォ……

  • 122ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 14:51:24

    【クオックオックオックオッ】
    【熊が、森の奥へ逃げ去った。金龍の放つ氣に打ちのめされたからだ】

    ……フゥー、これ以上争わなくて良かったぁ 

    (保護区なんだから殺すとマズいんだよなぁ)

    「助けて頂きありがとうございます、金龍さん」

    いえ、今回ばかりは保護区へ行こうと誘った俺が招いた事態、感謝は結構です
    自然環境を鑑みればここへは滅多にやって来ないんですが、今日はその“滅多”とやらに遭遇してしまいましたね……

    (後でレンジャーに報告しとかないと)

    「……進みましょう」

    え?

    「ここへ誘って頂いたのは貴方からです……しかし、リスに会ってみたいのは私です……だから、進みましょう」

    ……プッ、アッハッハッハッハッハ!

    「な、何かおかしな事でも言いましたか?」

    あーいえいえ! 何でも無いです!
    そういう事ならさっさと行きましょう!
    善は急げってやつですから!

  • 123逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/19(土) 14:57:34

    >>115

    『で、カンナちゃん。蒼風はどうすんだ?廃棄か?』

    「まさか!コレは本来【あの人】が使うための機体だよ?予備パーツはたんまり……とは言わないけど、ある程度は確保してるって!」


    「こういう時のためにうちの月風系もフレームをブロック構造にしてるんだから、ちゃんと直るよ」

     カンナはそう断言した。心臓たるコア粒子機関もそうだが、BFというものは予備パーツさえあれば修理が効く。

     特に月風は初期インベイド戦争時代の機体なわけだから、ある程度の整備互換性は持っていて当たり前。

     即座にとはいかないが、蒼風は直る。と断言する理由だった。


    「ただ問題は……」

    『ケイ坊が蒼風を使いこなしすぎてる、ってぇ部分だな』

     もっとも、最大の問題はどうにもならない。ケイの『使いこなす』とは一般の言葉とは意味が違う。

     フレームが千切れるまで、推進機関が吹き飛ぶギリギリまで、最悪は己が命を落とすその時まで……あらゆる限界を蹴り飛ばして戦う少年のそれは尋常なものではない。正気のままそれをやるのだ。


    「たまったもんじゃないよ。父さんに【あの人】以外は誰も使いこなせないって断言されたコイツ(蒼風)をここまで痛めつけられちゃ、ね」

         ・・・・・

     もともとそういう人のための機体のはずだった。あらゆる戦場を生き抜いた【彼】にしか扱えない、最大の欠陥機にして最強の機体。

     CEOを受け継ぐ前、最後の大仕事として設計を担当した数年前は、大真面目に蒼風をそう思って作っていた……本当に。

  • 124逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/19(土) 15:01:42

    >>123

     だが、実際はどうだ?クロノスも人自連も、デスペラードでさえも蒼風と並ぶ、いやそれ以上の機体を送り出し続けている。

     挙げ句の果てに【彼】ではない、ケイは蒼風を『彼自身の操縦技術』によって、そして敵の手を振り切るためズタボロにした。そうしなければならないほどの状況に追い込ませた。


    「────ゴンさん。私……ちくしょう……ちくしょォ……!!」

     カンナは何度も、蒼風の爪先にあたる装甲を拳で叩いていた。

    「負けてる……!これを最高傑作と思ってた数年前の私は馬鹿だ……!! 私は、この程度の機体しかッ、この程度の機体を超えるものすらッ!作れてない……ッ!!」

     自分自身が敗れたような気持ちで、装甲を殴る力も無くなったカンナは俯いた。

     自分はエイダン・リーのような天才ですらない。

     サンダータイガーを送り出した者たちのような知識も及んでいない。

     ヴァルハラテックのミカエラのように、強大な野望も技術も持てていない。

     あげく逆巻重工という己を育ててくれた誇りを、数年前の己自身が貶めているようで、情けなさで一杯で。


     肩に、己の祖父以上に親しい老人の手が寄せられて、ゆっくりと自分の頭をぶっきらぼうに撫でてくれる。

    『おめぇさんは頑張ったよ。だから次考えようぜ。機械はいつか壊れるし時代遅れになるもんだ』


    『俺たちは、新しいのをずぅっと作らなきゃいけねぇんだ。わかるだろ?』

     巌のようにどっしりとした低い声に、カンナは何度も何度も頷いた。カンナという少女が憧れた男の、声だった。

     頷くくらいしか、この時のカンナはまだできなかった。

  • 125ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 16:32:45

    【15:07 ???】
    【小鳥が金龍を出迎えたかのようにさえずる】
    【先程までいた場所と比べ、少ないものの確かに在る日光が、優しく木々の間に差し込む。まるで何かを示すように】

    とうちゃ〜く、着きましたぜ

    「ここに……居るんですね……」

    【心なしか、彼女の挙動が少々忙しなくなっている】

    一応言っておきますが、リスは見るだけです 連れ帰るのはダメですからね そこは分かってください

    「……分かりました」

    ……そんなにしょげないでください 仕方が無いんです 
    珠さんが言っていたように、その生息数ははるか昔の時代より減っているんです
    だから……これは俺の持っている権力だとか金だとか以前の話になってきます……

    【彼女の右手をそっと握る。慰めにもならないだろうが、それでも握る】

    代わりに、彼らの全てを模倣したペットロボを贈ります
    満足できないようなら、足繁くここに来ましょう 
    それが、俺のできる全ての誠意です

    「……分かりました」

    【彼女の左手が、そっと金龍の右手に被さる】
    【今日で初めて、彼女の方から寄り添ってきた】

    よし、それでは情報と照らし合わせて見て回りましょう

  • 126ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/19(土) 16:39:11

    >>116

    【モニターに目を向ければ、既にリザルト画面は終了しており、ソドムからの熱線がゴモラへ発射されるカットシーンが再生されていた】


    【SIGNAL LOSTの文字列が脳裏を過る。結局、彼女に『おかえり』とは言えなかった。薄々分かって居た結果だ、珍しくもない一つの終わりだ。それを自分のせいにするほど、ウルヴィは傲慢ではない】


    「オルフェリアは…最後まで生きた」

    【あの時、隣のベッドで答えを求めた少年に言うべきだった言葉は、きっとこっちだったのだろう。漠然とそんな気がして、背もたれに体重を預ける】

    【死とは結末であり、精算だ。そして結末を見据え、選ぶのは人の意思。『死んだ』とは『生きた』という事実に他ならない】

    【今更だ。あの時のウルヴィは言葉を吟味した上で、ケイという少年にあれしか言えなかったのだから】


    「…元気かな」   ・・・

    【自身の命を文字通り運んでくれた者の顔を思い出す。義理など無いだろうに、彼はウルヴィを助け、わざわざ面倒を見てくれた。無言で去ったのは…無礼だったかもしれない。しかし微睡みに落ちた彼の隣で目覚めるまで待つというのも、起きた後に何をすべきか分からない】


    【彼らは、いや…あの場に居た全員が、人として戦っていた。矜持、信念、祈りを持っていたはずだ】

    「私なんかと違って…」

    【ズゴゴゴ。空気をストローで吸う音が響く。紙パックの中身が無くなった間抜けな音で、思考が中断される】


    【それらしいラベルだけ張り付いた空っぽのゴミを捨てるために、ウルヴィは立ち上がった】

  • 127二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 18:17:18

    このレスは削除されています

  • 128ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 18:18:15

    >>125

    【15:18】


    直近だとここで目撃されているので、ジャンブさんからもらった餌を置いて……よし

    あとは忍耐、来るのを待つのみです


    「……待つってどれほどです?」


    1分、1時間、1日……もしくは


    【プキュッ プキュキュッ】


    今です


    【吸い込まれていきそうなほどつぶらな瞳、等間隔で綺麗に並ぶ背中の黒線、そして小さくて可愛いお手手、シマリスだ】


    初めて見た感想は……(ってこれじゃ聞けないか)


    「(食べて……今度は頬袋に入れて……初めて見たけど凄いや……)」


    【珠が息を忘れるほどにリスを見入っていたのだ】

  • 129ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 18:18:37

    「あっ……もう1匹来ましたよ」

    おっ運が良いですね あれは夫婦です 
    付いて行けば巣に辿り着けるはずですが、この時期は気性が荒いですし、そっと眺めるだけにしましょう
    しかし、今日は満足してもらえましたか?

    「……はい……!」

    それなら何よりです 
    では、あの夫婦が去ったら、俺たちも帰りましょうか

    「……はい」

  • 130ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 18:28:18

    【18:19 第11別荘】

    帰ったぞ〜メビ〜

    『お帰りなさいませ、金龍様、珠様。お召し物と食事はすでにこちらで用意させて頂いております』

    さっすがメビちゃ〜ん
    だったら、今日の夕飯は何かな?

    『フレンチパン、ステーキとマッシュドポテト含む付け合わせ、シーザーサラダ、オニオンスープ、そしてピーチパイです』

    やったー!

    『珠様もよろしかったでしょうか?』

    「……はい……大丈夫です……ありがとうございます……」

    そういう事なら、珠さんも早く着替えて手洗いして席に着きましょう!
    メビは何てったって俺の料理の師匠ですから! 
    味は保証しますよ!

    「……はい」

  • 131ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 18:38:33

    ほんじゃいただきます!

    『頂きます』

    「……頂きます」

    【全員が手を合わせれば、一斉にナイフとフォークを取り出して食べ始める】

    うーん! やっぱメビの料理は最高だぜ!
    このリブステーキ、前より上達してるし、オニオンスープは玉ねぎ由来の甘みが濃い!
    マッシュドポテトも滑らかすぎてこのまま飲めちまいそうだ!

    『お褒めに預かり、光栄です』

    珠さんも、実際に口にしてみてどうです?

    「……凄く……美味しいです……今まで食べた事が無いぐらい……」

    それは何より!
    まだまだ量はありますから、気にせずにどんどん食べちゃってください!

  • 132ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 18:48:19

    【19:03】

    いや〜食った食った〜

    『……そうですね』

    デザートのピーチパイはどうでした?

    「……金龍さんから頂いたあの桃も美味しいですけど、今まで食べた事のない類の菓子で、あのサクサクした生地の食感や、中のとろりとした桃など、また機会があれば食べたいぐらい美味しかった……です……」

    ……またメビに作らせますから、楽しみにしてください

    『金龍様、お風呂が沸きました。お早めに浸かっててください』

    さすがメビちゃん、何から何まで配慮が行き届いているぜ

    それでは珠さんからどうぞ、今日はとても疲れたようですし、俺は後で構いませんから

    「……ありがとうございます」

  • 133ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:01:16

    【19:21 浴室】
    【一通り身を浄めた後、珠は3人は入れそうなほどに広い浴槽に浸かっていた】

    「ふぅー……(こんなに広くてあったかいお風呂は初めてだな……だけど……今日であの人とも初めてする……のかな……)」

    【クマを撃退した時の姿を思い出す】

    「(怖いけど……)」

    【桃や菓子を手渡す姿を思い出す】

    「(優しかったな……)」

  • 134ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:02:22

    【いつぞやの14:31 剣龍】
    メビ、この娘ドストライクなんだけど誰なの?

    『その御方は明日珠(あけびたま)、旧ジャポンのご令嬢です。とは言っても、その御家の権威はここ数十年で衰弱なされていますが』

    ……つまり、昔の創作物で流行ったとされる没落令嬢であり、親族が彼女をダシに再びのし上がろうとしてる訳だよな?

    『ええ、そのようです』

    ……だったら、この際に俺が娶っても良いんだよな?

    『私は金龍様の召し使いです。主人の選択に助言する事はありましても、その心まで決めるような真似はしません』



    【20:45 浴槽】

    「彼女……時々体を強張らせていたんだよな……」

    【浴槽で1人、ポツリと呟く】

  • 135ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:03:59

    【20:45 寝室】

    「(……ダブルベッド……やっぱりするんだね……)」


     【妾の娘でも役に立つもんじゃな!】
                         
                   【本当にお前みたいな娘にも感謝する日が来るとはとは思わなんだ!】
     
            【これで明日家は安泰だ!】
     
    【自分は勞金龍です……よろしく!】


    「(あの人は優しいけど……)」


    【忌々しい人種の血を取り入れるのは屈辱だが、背に腹は変えられん!】
     
                【そしたら、今日の珠さんはその願望が叶う幸せ者ですね】

     【ここまで来てあのガキを捕まえられなかったら、貴様は勘当だ!】

          【貴女の願望は、俺の義務です】

    【アンタみたいな愚図でも、少しは養ってきて良かったと思わせとくれよ!】


    「少し……嫌だな……」

  • 136ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:10:09

    【20:57】
    【金龍は、ベッドの上に居る珠と顔を合わせる】

    ……どうも

    「……お風呂から上がられたのですね」

    ええ……つい先ほど……

    【話しながらバスローブをハンガーに掛け、下着姿で彼女の隣に腰掛ける】

    珠さん……良いですかね

    「…………はい…………」

    【金龍は、彼女の言葉に合わせて部屋の光を消し、左手を握りながら優しく押し倒す】

  • 137ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:16:09

    珠さん……体、震えてますよ……

    「…………私は…………大丈夫です」

    珠さん……

    「…………覚悟はできていますから…………」

    珠さん……約束したじゃないですか 『気軽に思った事は何でも僕に話してください』って
    今僕とこうして話して、思った事を全て僕にぶつけてください

    「…………怖いんです…………」

    はい……

    「……本当は、今日みたいに優しくされて嬉しいんです……だけど怖いんです……」

    はい……

    「……だけど、家では何もできなかった私に、家族に唯一報いる方法がこれしかないんです……」

    はい……

    「……どうやって断ったら良いんです……」

  • 138二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 19:28:41

    このレスは削除されています

  • 139ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:34:15

    ……明日まで待って下さい

    「……何をですか……」

    プロポーズですよ

    「……だったら、どうして今ここで私と夜伽をされないのです……」

    ここで答えを出すには色々早すぎるからです
    俺に、猶予をください 
    誰もが納得できる答えを出せるまで

    「……どうやってその言葉を信じれば良いんです……」
            
    言葉じゃなくて、俺を信じて下さい

    「……ふざけているんですか……」

    大真面目に話しています
    だから、俺自身を信じて下さい

    【その言葉は、震えを、恐怖を、重圧を、全て取り除いた。何故かは誰も、当の本人たちでさえ知る由は無い】

  • 140ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:48:33

    「……分かりました……でしたら私の方から1つだけお願いしても」

    はい、何でも言って下さい

    「……このまま私が寝付くまで手を握って下さい……後ろから抱いて下さい」

    喜んで

  • 141ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 19:56:16

    【チュンチュンチュン チュチュンチュチュン】

    ふがっ……うーん……

    『金龍様、お目覚めの時間で──』

    【「静かに」というジェスチャーで言葉を遮る】

    珠さんが起きたら俺を呼んで

    【「承りました」と会釈する】

  • 142ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 20:05:54

    「…………うん?」

    『お目覚めになられましたようですね、珠様』

    【水分補給してもらうようにとピーチティーを差し出す】

    「……ありがとう、メビさん」

    『奥様をお世話するのも召し使いの役目ですから。それでは私は金龍様をお呼びしますので、また後ほど』

  • 143ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 20:40:04

    【メビによって身支度はスムーズに済み、2人は陽光にまた1度乗る】

    それでは、あの丘にまた行きましょうか

    「……はい」

    【パカッ、パカッ、パカッ、パカッ】

    どうです 日を改めて見た光景は

    「……変わらないです……記憶の中と変わらないほど美しいです……」

    良かった……それは本当に良かった……
    でしたらここで降りましょうか 

    「……はい」

    【そうして、とある桃の木の下に2人は立つ】

  • 144ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/19(土) 20:40:28

    改めて、貴女の大好きなこの風景の中で言わせて下さい
    俺は、明日珠さん、貴女が好きです

    桃を食べた時の、あの純粋に喜んでいた貴女が好きです
    リスを見た時の、あの純粋に笑っていた貴女が好きです

    しがらみが多いから、嫌な事を思い出してしまうから、俺の愛を受け止めるのに3年はかかるかもしれません 

    だけど俺は、貴女自身の虜になっているんです

    指輪をまだ用意できてませんし、肝心な所で上手い言葉を思い付けない、こんな不甲斐ない男ですが、俺と結婚して下さい

    【膝を付き、懐から取り出した桃を、彼女の左手に握らせる】

    貴女を支えるために、生涯を掛けさせて下さい

    「……はい、喜んで」

    【これは、金龍が、俺が彼女を幸せにする物語だ】
    【桃園の誓い】

  • 145ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/19(土) 21:52:34

    >>113

    少年はアリソンの後を追う。途中、何度か客引きに声を掛けられるが、全て断る。

    「キャラドールさん、いったいどこまで行くんですか?」

    路地に入ろうとしたので流石に警戒した。

    まさかここでカツアゲを??

  • 146アリソン◆PPyRfvMZl625/04/19(土) 22:21:38

    >>145


    【ゆら、ゆら、と不規則に揺れる白煙は風に吹かれて四散する、生温い、夜の気配だ】

    【迷い無く路地を進む足取りが不意にある建物の前で止まる、半地下に降りる階段、蛍光灯がチカチカと明滅する先】

    【重たい鉄製の扉越しには、微かに地鳴りの様な音響が足元に伝って来た】


    「……安心しろ、取って食われやしねェよ」


                        ・・

    【ドアノブに手を掛ける、押し開くと、その音響の正体が耳を劈く程の大音量で鳴るポップミュージックと気付くだろう】

    【フロアに色取り取りの電光が迸る、薄暗い夜の遊び場、ごった返す様々な身なりの人々が、轟く音楽に合わせて踊り戯れている】


    『アリソォン!珍しく若いの引っ掛けてんじゃねぇか、良い趣味してんなぁ!?』

    「余計なクチ利いてンなベック、喧嘩なら買うぞ、てめェの顎だけじゃなくて舌までサイバネになりてェならだけどな」


    【出入り口の近くに陣取っていた男女の一団が、アリソンらを見つけると揶揄う様に片手を挙げた、馴染みなのだろう】

    【じろじろとハヤテを見つめる客の視線はまるで物珍しいものを見るようで】

    【一つまた一つとフロアに続く段差を下りながら、振り返って手招く、少しでもはぐれたら合流に手間取るであろう混雑具合だ】


    「こっち来い、酒は……まぁ、飲めねぇよな、ソフトドリンクが良いか」

  • 147娼婦の戯言◆OXAm1h6odk25/04/19(土) 23:08:28

    『────────────────────生身に過度な期待を懐くのは、やめておけ』


    【甘い紫煙が浮かび上がった。古びたランプ一つに光源を頼るホテルの一室には、しかし酷く柔らかいベッドが備え付けられていた】

    【未だ歳若い『少女』である。咲き誇る前の花蕾を思わせる細い肢体には適切な筋肉と女性らしい柔らかさが秘められていた】

    【真紅の薄いネグリジェからは鎖骨が覗いており、手を伸ばせば直ぐにでも剥ぎ取れそうであったが】
    【しかし扇情的な装いとは対照的に、少女の双眸に灯るのはギラついた欲望の輝きではなく諦観と憂鬱に澱んだ暗い濁りだけである】


    『ほう、江戸彼岸女史。その心は?』

    『人間の拳と銃火器を比べれば自明の理だろうと私は認識しているが?』

    【向かい合う逞しい益荒男はシャワー上がりなのか既に肌を露に濡らしていたが、しかし少女の言葉に興味が湧いたのか静かに続きを促した】


    『ソフトフェアの進化はハードウェアの発達に速度で劣る、という事だ。バディフレームも同様の設計思想だろう。生身では到底不可能な事を実行する為の機動躯体だ』

    『ふむ、だから機械相手をお勧めすると?』

    『違う。“使い分け”の話だ。生身では些か面倒な事も多いが、一方で確かに“人”だからこそ可能な事柄も存在している─────古来より高級娼婦、花魁に求められたものが何か理解るかね?』

    【机の上に置かれたアフターピルを一瞥して、だが文句を口にする事もなく少女はベッドの上で大きく腕を伸ばしている男に尋ねた】


    『教養だろ?』

    『半分正解だな。要は“話していて楽しい”と思わせられる能力、という事だ』

  • 148娼婦の戯言◆OXAm1h6odk25/04/19(土) 23:30:37

    『肉体的快感では生身の娼婦では義体化された娼婦には勝てないだろう。義体化の初期投資を考慮しても隔たりがある──────必然的に、精神的快楽を如何にして与えるかにシフトする』

    『ふむ。一理あるが、しかし精神的快楽ってのは何なんだ?インベイドの侵攻で人類は様々な概念や物を“余分”として切り捨てざるを得なくなったが、今も“楽しみ”というのは存在するだろう?』

    『無知を装うのならばもう少し惚け方を上手くしろとアドバイスしておこう』

    【男の手が背中側から少女の肌を撫ぜた。しっとりと吸い付くような柔らかい感触。キメ細やかな肌は高級なシルクのようで、しかし少女は言葉を続けている】

                         ・・
    『────────────────────懺悔だ。旧西方列強連合領に数多くの信徒を擁する宗教はインベイドの侵攻によって企業の支配が進む中で邪魔な権威と看做され排除されたが、根本的に宗教とは必要性の産物だ。供給を絶っても需要は残る』

    『ふぅん?確かに納得出来る理屈だ。それこそクロノスの理事会なんかは“教皇”なんて存在は認めないだろうさね…………………ああ。つまりは元来宗教が担っていた役割を代行した、と?』

    『乱世であるからこそ、メンタルケアというものは人々にとって不可欠な新たな産業になり得る可能性を秘めていた。競合相手を企業経済が排除する中で代替は極めてスムーズに行われた──────だが問題点も生じる』

    【少女は一度言葉を止めた。男に視線を向ける。今の所は短絡的な行動に走る気配はない】

     ・・・
    『信頼性の問題だ。宗教は権威によって情報の守秘を約束して受け入れさせたが、民間の企業ではそのような信頼性が不足する。ハニートラップという物が古来より存在するように情報というのは貴重な物だからだ。例え何処にも肩入れしないと宣言しようと脅迫されれば吐かざるを得ないのでは信頼には値しないだろう』

    『まァな。結局は力が大事なのさ。理不尽な暴力を跳ね除けられるだけの暴力が』

    『だからこその、我々“戦闘娼婦”だ』

  • 149娼婦の戯言◆OXAm1h6odk25/04/19(土) 23:44:57

    『だが“戦闘娼婦”はまた別の問題にも繋がった。誰からの干渉も跳ね除けられるという事は、強者側のパワーゲームに巻き込まれる事も同時に意味するのだから───────籠絡工作員が送り込まれる、という事も発生する』

     ・・・・・・ ・・・・
    『俺みたいにな。強化人間“エドヒガン”、アンタをスカウトに来たんだ』

    『情報には守秘義務が発生する。情報を利用して、我々が行動を起こす事もない。適切な金銭的報酬を支払って入館したのであれば正式な“お客様”──────我々としても金を落とす限りは歓迎しようとも』

    【接吻を交わす。唇をこじ開けて侵入する男の舌を逆に絡め取り、ゆっくりと刺激を与える。精神的な快楽を与えるのがメインとは言えどこの程度の技能は仕込まれている】

               ・・・・
    『つまり、俺がアンタを堕とせばイイってコトだ。楽しい夜にしようぜ?』

    『何年この仕事をしていると思っている。私の最初の言葉を忘れたか?
    “生身に過度な期待をするのはやめておけ”、だ』

    【江戸彼岸は、薄いネグリジェを脱ぎ捨てて男に身を任せた】

  • 150ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/20(日) 09:01:18

    >>146

    「路地にこんなのがあったなんて…ストリートの時は気づかなかったなぁ…」

    キョロキョロと見ているとキャラドールはここの馴染みなのか皆に挨拶をされている。

    ぶっきらぼうに応える彼女はズンズンと人混みの奥に進んでいく。

    「ちょっ…待って!」

    なんとか追いつくと、キャラドールから何を飲むか聞かれた。ショット(酒)かサービス(ソフトドリンク)か。

    「じゃあ…トニックを…」

    こういう店には先生に連れていかれたことがある。トニック(ハーブテイストの清涼炭酸飲料)なら飲めるだろと言われて飲まされた。あの味が忘れられない。カウンターの向こうに並ぶのは飲まされた物と同じ名前だ。だから頼んだ。

    店内の照明はユラユラと辰砂の瞳に紫の影を作る。

  • 151ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/20(日) 10:14:28

    今日も変わらないですね〜珠さん

    「そうですね〜金龍さん」

    【とある茶楼で、新婚は、ゆったりと流れる海と風を眺めていた】
    【男性の胸元にはリングネックレスが、女性の左薬指にはそれよりも一回り小さいリングが見られる】

    俺......やっぱ珠さんの事好きだわ

    「私もですよ」

    【2人はにこやかに笑い、互いに片手を固く絡ませた】

  • 152アリソン◆PPyRfvMZl625/04/20(日) 10:23:10

    >>150


    「まぁ、非認可なところもあるからな、賭博だったりドラッグだったり血腥いファイトクラブだったり……バレねぇ様にひっそりやってンのさ。

     あ、ここはちゃんと認可されてる店だぞ、ジャンルとしちゃァ一応、飲食店扱いだ」


    【ホールドし易い細い円筒状のグラスに弾ける炭酸が注がれる、透明の中にほんの少しだけ、滲む程度の白が溶けた清涼な色合い】

    【対照的にアリソンが注文したものは、ドギツい人工着色料のてらてらとした赤色がフロアのライトを反射して輝くアルコール入りのカクテルだ】

    【酔えるか、酔えないか、そこにあるのは大人と子供の境界線でもある】


    「昔……インベイドが空から降って来る前はな、こういう店も、青天市街(ここ)だけじゃなくあっちこっちにあった。

     アタシもガキの時分だ、怖いもの見たさで裏口から忍び込んだりして、バレて大人連中に大目玉食らって……」


    【突き出される二つのグラス、カツン、とハヤテが何か言う前に彼のトニックに乾杯の仕草をして】

    【甘ったるく舌に絡みつく、決して質が良いとは言えないアルコールを喉に流し込む】


    「あァ、安心しろよバッドボーイ、お前が怒られる時にはとっておきの言い訳がある。

     “アリソン・キャラドールに無理矢理連れ込まれた”って言いな」

  • 153ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/20(日) 11:00:50

    >>152

    なにか話すよりも前に出された酒を手に取り、キャラドールはカツンっとグラス同士の触れ合う音を奏で、それを流し込んだ。

    ツンと鼻に刺すケミカルな香りが彼女から流れてくる。

    その後に紡がれた、警句…というよりは言い訳を教えてくれた彼女に、

    「わかりました…アリソンさ…キャラドールさん。」

    つい呼んでしまった。場酔いというものなのだろうか。

    少年はトニックを飲み、ボタニカルな香りが鼻から抜けるのを感じながら、落ち着こうとした。酒も入ってないのに少年の顔は赤い。

  • 154ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/20(日) 11:38:39
    年月も過去も呑み込んで(ケイと王龍影)R-18(G)パート

    ⚠️注意事項⚠️


    ・ベッドシーン(または過激なゴアシーン)が苦手な方は閲覧しないでください!


    ・本文章はエロ(グロ)を多分に含み、場合によってはキャラ崩壊が起きます。


    ・行為のシーンは必ずしも閲覧者の望み通りに行かない場合があります。




    ケイ◆ECPjTIh3Iw:

     地下でちょっとだけ、ちょっとだけBFのシミュレーターの記録をちゃっかり更新したあと。

     ケイは龍影と共にホテルへ入っていく。

     『そういうこと』を目的にしている場所だったからか、受付などはなく。簡単なチェックインだけで入れるため手間は少ない。

     とはいえ、やはり緊張はするもので。

    「え、っと……へへ」

     指定された部屋に入ったあとも、ケイはあどけない笑みを崩せないままであった 


    龍影◆9BZ6kXGcio:

    「誘っといて何もしないの?相変わらずね」

     龍影はケイの前に立ち、臀部へ両掌を這わせながら唇を重ねる。

     部屋には、甘い吐息の漏れる音が反響する。龍影は唇を離して囁く。「シャワー…どうする?」


    ケイ◆ECPjTIh3Iw:

     「ん、……っ はぁ。地下はそう酷い匂いでもなかったけど……でもやっぱり、気になるよね」…
    00m.in

    (上or下に張られた文章のあと)


     ――――朝日が登る少し前で思うこと。

     世の中には、ドロイフィリアと呼ばれる性癖があるらしいとケイは知った。

     生身の人間ではなく、セクサロイド……機械的な存在に対して、一層の興奮を覚える異常性癖の一種。


    「……もしかしたら、それになっちゃうかも……」

     自分の腕の中にいる龍影を感じながら、ケイは彼女が起きない程度の独り言で抑えた。

     絡め取られるような……いや、いっそ自分から絡まれに行っているのだが……彼女の愛情。欲望。それらを感じるたび、機械が内側にあるはずの彼女からどうしようもなく感じる強い熱が、愛おしくてしょうがなくなる。


     肌、指、舌……夜に交わったそれらが作り物とは思えない。だが、どうしても。男としての欲望のようなものが思う。

     ――――自分のために龍影がこうなってくれたのだと思うと。嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。


    「やばい、やばい……全部おかしくなる……」

     実際にはとうの昔におかしくなっているのだが……。ケイはうわ言を言いながら、自分の腕の中にいる龍影を起こさないようにするのが、精一杯だった。

  • 155アリソン◆PPyRfvMZl625/04/20(日) 11:38:44

    >>153


     ・・・・

    「アリソンで良い、間怠っこしいな、言いかけたならそっちで呼んじまえよ」


                            ・・・・

    【わざとらしいチェリーフレーバー、子供は飲めない子供騙しの味、ハヤテが呼び名を咄嗟に言い換えるのにフンと小さく鼻を鳴らして】

    【名前に拘りなんて無い、呼びやすい様に呼べば良い、咄嗟に口から零れたのならばそちらの方が呼びやすいのだろう】

    【この程度で酔いはしない、つい、とグラスを早々に半分程まで飲み干して】


    「……?」


    【ハヤテの顔が赤いことに気が付く】


    「────────────おいバーテン、アルコール入れてねェだろうな」


    【雌獅子の様な女に眼の前で凄まれれば、二人のドリンクを用意したバーテンダーは慌てて首を横に振る、当然だ、信用問題になるのだから】

    【ならば、とアリソンはハヤテの顔をじっと覗き込んだ】


    「まさか場酔いか!?弱過ぎンだろオイ……大丈夫か?」

  • 156ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/20(日) 14:50:54

    >>104

    …アーテルリーの頭部が、あっけなくレーザーによって消失する。

    当たり前だ。反応も、発進も遅いキャタピラでは避けるという芸能は不可能だ。

    Socratesは視界を失う。彼にできる事は、最善策を考えることのみ。

    (かなりまずい)

    (確認できたのは近接型の奴と遠距離の奴)

    (このままじゃ近接に当たる避けても音以外で周りが分からないから後で当たる)

    無慈悲にも"ジュピター"は近づいてくる。

    (…いや待て)その時、Socratesはある"賭け"を思いつく。

    (近接の場所は分かる…ただ真っ直ぐに突っ込んできていた)

    (なら…)

    そして、ジュピターのパイロットは見た。自分に向かって、全速力で近づき始めたアーテルリーを。

  • 157ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/20(日) 14:51:44

    >>104

    「畜生!」『鵺』を操作するマキトが苛立って吐き捨てる。

    まだ距離があるにも関わらず、無数の120mmの弾丸が鵺を掠める。

    その内の1発が、左のサブアームに持っていた盾を擦った。

    その途端にサブアームが関節からボキリと折れ、盾は当たった所から粘土のように歪む。

    それは、120mmの弾幕がこけおどしではない事を伝え、戦慄させるのには十分だった。

    「…キト、マキト!」

    緊張で途切れかけた意識が、パオラの呼びかけで戻る。

    「あ、ああ…一体なんだ!?」

    「そっちは大丈夫そう?こっちは今隊長とまた連絡が繋がったよ!」

    「そうか!でもこっちは全く大丈夫じゃない!!弾幕がきつい!」

    「分かってる。近接型は正直無視していい。でも問題は引き撃ちしてくる方。」

    「そう他人事みたいに言いやがって!この…」

    「だから、『作戦』を考えついた。まず難易度が高いけど、これがうまくいけば相手を積みにできる。」

    「…作戦?」『作戦』という言葉を聞いたマキトが落ち着きを取り戻し、そう問う。

    「それは…」パオラは自らの『計画』をマキトと自らの隊長に伝えた。

    ………

    鵺、そして観測ドローンがかなり近づいた時、彼らは隊長機の有様を初めて見た。

    「そんな…そんなボロボロじゃ『作戦』は無理だよ!すぐ戻って!」

    こういうのも当たり前だ。ただでさえ難易度が高いにも関わらず、内1機は酷い負傷を負っているというのはかなり大きな影響を与える。

    その状況の中で、ニライニストが声を張り上げる

    「いや、撤退はしない!まだ十分動ける上に支障はない!」

    「で、でも!」

    「何度も言わせるな…俺はまだ十分に動ける。」

    「…わかった。マキト近くに私の操作してる観測ドローンが見える?それをどこかに固定して!」

    僅かに見回すと、そのドローンを発見した。鵺がそれを掴み、左の折れて剥き出しになった配線をそれに括り付ける。

    「よし、見える。タイミングになったら伝えるから、それまでどうにか耐えて!」

    「了解!優先して奴の周辺に弾幕を張れ!!」

    そして鵺・カワードの2機がウラヌスの確認できる地点まで到達し、『作戦』が始まった。

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